説明

インクジェット記録装置

【課題】本発明が解決しようとする課題は、用紙のカールを抑制することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置は、記録媒体を保管する保管部と、前記保管部から搬送される前記記録媒体に水性インクを吐出させて画像を形成する画像形成部と、前記保管部から前記画像形成部へ前記記録媒体を通過させるスリット、及び前記スリットを開閉する開閉部を有し、前記保管部と前記画像形成部を分離する分離部と、前記保管部から前記画像形成部への前記記録媒体の搬送を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に伴い、前記開閉部を開閉するよう制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット専用コート紙などはコスト的に高価であることや筆記性に欠ける等の理由から、近年では普通紙に印刷することが多くなってきている。しかしながら、普通紙に水性インクジェットインクで印刷すると、インク中の水分による紙繊維の膨潤によるカールが発生する。特に数日後に残るカールは、印刷物として画像品質を損なう等の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−23823公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、用紙のカールを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置は、記録媒体を保管する保管部と、前記保管部から搬送される前記記録媒体に水性インクを吐出させて画像を形成する画像形成部と、前記保管部から前記画像形成部へ前記記録媒体を通過させるスリット、及び前記スリットを開閉する開閉部を有し、前記保管部と前記画像形成部を分離する分離部と、前記保管部から前記画像形成部への前記記録媒体の搬送を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に伴い、前記開閉部を開閉するよう制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第一の実施形態におけるインクジェット記録装置の側面断面図である。
【図2】第一の実施形態におけるインクジェットヘッド、インクカートリッジ、及びチューブの拡大図である。
【図3】第一の実施形態におけるインクジェット記録装置のブロック図である。
【図4】第一の実施形態における開閉部が閉じた状態の分離部を示す図である。
【図5】第一の実施形態における開閉部の開閉のフローチャートである。
【図6】第一の実施形態における開閉部が開いた状態の分離部を示す図である。
【図7】第一の実施形態における時間経過と用紙のカール量を示す図である。
【図8】第一の実施形態におけるカールした用紙を示す図である。
【図9】第二の実施形態における分離部の拡大図である。
【図10】第二の実施形態における分離部の側面断面図である。
【図11】第三の実施形態における開閉部の閉じた分離部を示す図である。
【図12】第三の実施形態における開閉部の開いた分離部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、インクジェット記録装置の実施の形態を説明する。
【0008】
(第一の実施形態)
図1は、インクジェット記録装置1の側面断面図である。インクジェット記録装置1は、画像形成部2、保管部3、分離部4を有する。
【0009】
画像形成部2は、水性インクを吐出させて用紙Pの表面に画像を形成する。画像形成部2は、インクジェットヘッド115、インクカートリッジ116、チューブ118を有する。
【0010】
保管部3は、用紙カセット100、101、除湿部150を有する。用紙カセット100、101は、用紙Pを保持し、図1の手前方向に引き出しが可能である。除湿部150は、例えばシリカゲルのような除湿剤であり、保管部3の湿度を下げ、用紙カセット100、101に保管される用紙Pを乾燥させる。除湿部150は、保管部3の湿度を画像形成部2の湿度よりも下げる。保管部3の湿度は、インクジェット記録装置1の外気の湿度よりも低いことが望ましい。
【0011】
分離部4は、保管部3を画像形成部2と分離し、画像形成部2の湿気が保管部3に流入できないようにする。分離部4は、画像形成部2の下面または保管部3の上面、若しくは画像形成部2の下面及び保管部3の上面を兼ねると定義する。第一の実施形態では、1つの筐体であるインクジェット記録装置1が有する画像形成部2と保管部3を分離部4により分離させた構成であるが、これに限らず、画像形成部2と保管部3が夫々別の筐体であり、画像形成部2と保管部3を重ねた構造をとっても良い。この時、画像形成部2と保管部3の重なり合う面を分離部4とする。分離部4については図4の説明で後述する。
【0012】
インクジェット記録装置1は、給紙ローラ102、103、搬送ローラ対104、105、112、113、114、120、140、レジストローラ106、搬送ベルト107、駆動ローラ108、従動ローラ109、ファン110、負圧チャンバ111、排紙ローラ対126、搬送ガイド130、131、ダクト141、センサ160を有する。
【0013】
用紙カセット100、101はサイズの異なる用紙Pを保持しても良い。給紙ローラ102は選択された用紙サイズに対応した用紙Pを用紙カセット100から取り出し、搬送ローラ対140から分離部4が有するスリット301(後述する)を通過させ、搬送ローラ対104及びレジストローラ対106に搬送する。給紙ローラ103は選択された用紙サイズに対応した用紙Pを用紙カセット101から取り出し、搬送ローラ対105、搬送ローラ対140から分離部4が有するスリット301を通過させ、搬送ローラ対104及びレジストローラ対106に搬送する。
【0014】
搬送ベルト107は、駆動ローラ108と2本の従動ローラ109で張力が与えられている。搬送ベルト107の表面には所定間隔で小径穴が無数に空いている。搬送ベルト107の内側には用紙Pを搬送ベルト107に吸着させるため、ダクト141を介してファン110に連結された負圧チャンバ111の天板が搬送ベルト107の裏面に密着している。負圧チャンバ111は、多数の溝と穴を有する上部天板と空気排出用のダクト141接続用の穴を有し、その中空状の内部がファン110の吸引により負圧に設定されて、天板表面が搬送ベルト107の表面に接触する。
【0015】
搬送ベルト107は、繊維にゴムを積層し、表面を研磨して製作される無端ベルトである。搬送ベルト107は、ステンレス鋼などの有端ベルトに端部処理をしたものでも良い。ファン110により発生する吸引力によって、ダクト141、負圧チャンバ111、搬送ベルト107上の無数の小径穴を通して用紙Pを搬送ベルト107の搬送面に吸着する。
【0016】
排紙側には、搬送ローラ対112、113、114及び排紙ローラ対126を有する。搬送ローラ対120、及び搬送ガイド130、131は、両面印字を行う際に用紙Pをもう一度給紙側に搬送する。搬送ガイド130、131は、用紙Pの搬送ルートをソレノイド211、212(図3に示す)により切り替える。
【0017】
図2は、インクジェットヘッド115、インクカートリッジ116、及びチューブ118の拡大図である。搬送ベルト107の上方には画像データに応じて用紙Pにインクを吐出するライン型のインクジェットヘッド115が4列並んでいる。上流からイエロー(Y)インクを吐出するインクジェットヘッド115Y、マゼンタ(M)インクを吐出するインクジェットヘッド115M、シアン(C)インクを吐出するインクジェットヘッド115C、ブラック(K)インクを吐出するインクジェットヘッド115Kの順に並んでいる。
【0018】
更に、各インクジェットヘッド115には、各色インクが保持されているイエロー(Y)インクカートリッジ116Y、マゼンタ(M)インクカートリッジ116M、シアン(C)インクカートリッジ116C、ブラック(K)インクカートリッジ116Kが設置されており、夫々チューブ118Y、118M、118C、118Kで連結されている。
【0019】
各色インクは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックで、固形分や添加剤以外の組成のうち、30〜80重量%程度水分の水性インクを用いる。上述では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの複数色のインクで画像形成する構成を示しているが、これに限らず、単色のインクで画像形成する構成でも良い。
【0020】
図3は、インクジェット記録装置1のブロック図である。インクジェット記録装置1は、制御部であるCPU(Central Processing Unit)201と、各種プログラムなどを記憶しているROM(Read Only Memory)202と、各種の可変データや画像データなどを一時的に記録しているRAM(Random Access Memory)203と、外部からのデータを入力したり、外部へデータを出力したりするインターフェース(I/F)204を有する。また、インクジェット記録装置1は、給紙ローラ102、103に連結している給紙ローラモータ214を制御する給紙ローラモータ制御駆動回路213と、複数の搬送ローラ対104、105、112、113、114、120、140、及びレジストローラ106に連結している搬送ローラモータ216を制御する搬送ローラモータ制御駆動回路215と、駆動ローラ108に連結しているベルト駆動モータ218を制御するベルト駆動モータ制御駆動回路217と、複数の排紙ローラ対126に連結している排紙ローラモータ220を制御する排紙ローラモータ制御駆動回路219を有する。
【0021】
なお、給紙ローラモータ214と搬送ローラモータ216とベルト駆動モータ218と、排紙ローラモータ220は一つの共通モータで行っても良い。また、インクジェット記録装置1は、センサ160を制御するセンサ制御駆動回路205と、ファン110を制御するファン制御駆動回路206と、開閉部を開閉するためのソレノイド209に連結し、制御する開閉部制御駆動回路208と、経路変更のためのソレノイド211、212に連結し、制御する経路変更制御駆動回路210と、インクジェットヘッド115Y、インクジェットヘッド115M、インクジェットヘッド115C、インクジェットヘッド115Kを制御するインクジェットヘッド制御駆動回路221を有する。
【0022】
CPU201は、バスを介して、ROM202、RAM203、I/F204、センサ制御駆動回路205、ファン制御駆動回路206、開閉部制御駆動回路208、経路変更制御駆動回路210、給紙ローラモータ制御駆動回路213、搬送ローラモータ制御駆動回路215、ベルト駆動モータ制御駆動回路217、排紙ローラモータ制御駆動回路219、及びインクジェットヘッド制御駆動回路221と接続している。センサ160は、用紙Pが通過しているか否かを検知する。センサ160による検知結果はセンサ制御駆動回路205を介して、CPU201に送信される。インクジェットヘッド115Y、インクジェットヘッド115M、インクジェットヘッド115C、インクジェットヘッド115Kは、インクジェットヘッド制御駆動回路221からの信号に基づき、用紙Pにノズルからインクジェットヘッドを吐出する。
【0023】
以下、分離部4について説明する。分離部4は、画像形成部2及び保管部3を分離する。
【0024】
画像形成部2は、画像形成のためにインクジェットヘッド115から用紙Pに水性インクが吹き付けられているため、外気と隔離されたインクジェット記録装置1の内部で水蒸気が充満された状態となり、湿度が上昇する。そのため、画像形成部2の湿気が保管部3に流入できないよう、分離部4により画像形成部2と保管部3を分離している。
【0025】
図4は開閉部が閉まった状態の分離部4を示す図である。分離壁300は、画像形成部2及び保管部3を分離する壁である。分離壁300は、画像形成時に用紙Pを保管部3から画像形成部2へ通すスリット301を有し、さらにスリット301を塞いだり、開放したりする開閉部302を有する。また、分離壁300は、スライドガイド303、スプリング304、ソレノイド209を有する。スリット301の縦幅に比べ、開閉部302の縦幅は大きく、スリット301の横幅に比べ、開閉部302の横幅は大きく、スリット301を開閉部302が閉じる時に、開閉部302がスリット301を覆うように塞ぐ。
【0026】
開閉可能な開閉部302は、スライドガイド303に図4の矢印X方向に摺動可能な状態で取り付けられている。開閉部302は、リンクを介してソレノイド209に固定される。開閉部302及びソレノイド209の固定部分が柔軟に連結できるようになっている。スプリング304は、一端がインクジェット記録装置1に固定され、もう一端が開閉部302の端部に固定される。
【0027】
図4に示すように、画像形成時以外は、ソレノイド209はOFFであり、スリット301を塞いでいる。この時、スプリング304は縮んだ状態である。
【0028】
図5は、開閉部302の開閉のフローチャートである。以下、説明するインクジェット記録装置1の制御はCPU201が行う。1000において、給紙ローラ102または103が給紙動作をしたか否かを判断する。ユーザから印刷指令が出されると、保管部3の用紙カセット100であれば給紙ローラ102により用紙Pが給紙され、用紙カセット101であれば給紙ローラ103により用紙Pが給紙される。
【0029】
ユーザが印刷指令を出さず、給紙ローラ102または103が給紙動作をしなければ(1000のNo)、開閉部302はスリット301を塞ぐよう閉じられたままであり、1000の判断を繰り返す。
【0030】
給紙ローラ102または103が作動すれば(1000のYes)、1001において、用紙Pを保管部3から画像形成部2に搬送するために、分離部4の開閉部302を開き、スリット301を開放する。図6は、開閉部302が開いた状態の分離部4を示す。図6に示すように、ソレノイド209をONにすることにより開閉部302は矢印Y方向に移動し、スリット301を開放する。開閉部302は、スライドガイド303を摺動移動し、開閉部302の矢印Y方向への移動により、スプリング304は引き伸ばされる。
【0031】
1001において開閉部302が開き、スリット301が開放された後、1002において、センサ160により用紙Pの通過を検知し、用紙Pの画像形成部2への搬送が終了したか否かを判断する。センサ160が用紙Pの搬送を終了したことを検知していなければ(1002のNo)、1002の判断を繰り返し、その間、開閉部302は開いた状態を維持し、スリット301は開放された状態である。用紙Pの搬送が終了したと、センサ160により検知したら(1002のYes)、1003において、開閉部302を閉じて、スリット301を塞ぎ、終了する。また、用紙Pが複数毎連続で、画像形成部2へ搬送される場合、連続で搬送される枚数分の搬送終了後に開閉部302を閉じ、スリット301を塞ぎ、終了する。
【0032】
開閉部302を閉じる際、ソレノイド209をOFFにすることにより矢印Y方向と反対の方向に開閉部302が移動し、スリット301を塞ぐ。ソレノイド209の矢印Y方向と反対の方向への移動により、開閉部302は、スライドガイド303を摺動移動し、スプリング304は図4の状態に戻る。印刷指令が出されない時に、開閉部302が分離部4のスリット301を塞ぐことで、保管部3に保管される用紙Pを画像形成部2と分離する。
【0033】
開閉部302の開閉はソレノイド209に限らず、モータを用いても良い。また、給紙ローラにより用紙Pを給紙したら、開閉部302を開く実施例について説明したが、スリット301通過の上流にセンサを備え、用紙Pが給紙されたことを検知するようにしても良い。
【0034】
上記実施形態では、開閉部302、及びソレノイド209は、分離壁300の下面に備えられ、図6の矢印Y方向に移動させた時に、用紙Pを搬送させるためのスリット301が開放される。この構成に限らず、開閉部302、及びソレノイド209を分離壁300の上面に備えても良い。また、開閉部302を矢印Y方向と逆方向に移動させた時に、スリット301が開放される構成であっても良い。さらに、図1の手前方向、あるいは手前方向の逆方向に開閉部302を移動させた時に、スリット301が開放される構成であっても良い。
【0035】
以下、用紙の保管条件による、時間経過と用紙のカール量との関係について説明する。図7は、時間経過と用紙のカール量を示す図である。湿った用紙、普通の用紙、乾いた用紙の3種類の用紙について、水分量50重量%程度の水性インクを用いて全面ベタ印字による画像形成を行った場合の時間経過に伴う用紙のカール量を測定した結果である。湿った用紙とは、35℃、80%RHの環境に24時間以上放置した用紙であり、普通の用紙とは、25℃、50%RHの環境に24時間以上放置した用紙であり、乾燥した用紙とは、10℃、20%RHの環境に24時間以上放置した用紙である。
【0036】
カールは、図7に示すように印刷直後に少し発生し、数時間後にカール量が減るが、その後徐々にカール量が増加していく傾向を示す。図7のグラフは、印刷直後の用紙のカールが発生した向きをカール量のプラスの値としている。放置時間が約3時間を経過したときに、普通の用紙及び乾いた用紙がわずかではあるがマイナスの値をとっている。これは、印刷直後に発生したカールの向きと反対の向きにわずかにカールが発生したことを示す。
【0037】
カール量とは、水性インクを用いて全面ベタ印字による画像記録を行った用紙を平面に置き、用紙の4つ角において、平面から上面にカールした長さを計測し、4つ角のカールした平均の長さと定義する。図8は、水性インクを用いて全面ベタ印字による画像記録を行い、カールした用紙を示す図である。用紙のカール量は、4つ角のカール量(h+i+j+k)を4で割ることで求められる。
【0038】
図7に示すように、湿った用紙ほど、時間経過に伴ってカール量が大きく、乾燥した用紙ほど時間経過に伴ってカール量が抑えられる。このように、湿った用紙に水性インクジェットヘッドにより全面ベタ印刷を行い、その後、用紙Pが保管されていた環境よりも湿度の低い環境に放置されると、全面ベタ印刷された用紙Pのカール量は増幅する。一方、乾燥した湿度環境に保管された用紙Pに水性インクジェットヘッドにより全面ベタ印刷を行い、その後用紙が保管されていた環境よりも湿った環境に放置されると、全面ベタ印刷された用紙Pのカール量が抑制される。よって、用紙Pが保管されている環境をインクジェット記録装置1の外部の用紙Pの排出される環境よりも乾燥させることにより、用紙Pのカールを抑制することができる。
【0039】
第一の実施形態によれば、分離部により、保管部3に保管される用紙Pを画像形成部2と分離し、画像形成部2の湿気が保管部3に流入できないようにすることにより、画像形成後の用紙Pのカールを抑制することができる。
【0040】
(第二の実施形態)
図9に示す第二の実施形態は、分離部4が有するスリット301の縁に弾性部材400を備える。図中、第一の実施形態と同一構成部分には同一符号を付す。第二の実施形態は、第一の実施形態の図1で説明したインクジェット記録装置1の側面断面図の分離部4の構成が異なる。
【0041】
図9は、第二の実施形態における、分離部4のスリット301の拡大図である。分離壁300は、画像形成時に用紙Pを保管部3から画像形成部2へ通し、スリット301を有し、さらにスリット301を塞いだり、開放したりする開閉部302を有する。分離壁300は開閉部302と接する面側において、スリット301の縁に弾性部材400を有する。また、分離壁300は、スライドガイド303、スプリング304、ソレノイド209を有する。スリット301の縁に備えられる弾性部材400は例えばゴムやウレタンである。
【0042】
図10は、第二の実施形態における、分離部4の側面断面図である。図9、図10の斜線部は弾性部材400を示す。開閉部302を閉じる際、スリット301の縁に備えられた弾性部材400は開閉部302に押圧される。このように、開閉部302が弾性部材400を押圧することにより、隙間無く開閉部302を閉じ、スリット301を塞ぐことができる。
【0043】
上述のような構成のインクジェット記録装置1により、用紙Pのカールを抑制することができる。また、弾性部材400をスリット301に備え、開閉部302を閉じる際に開閉部302が弾性部材400を押圧することにより、隙間無くスリット301を塞ぐことができ、より用紙Pのカールを抑制することができる。
【0044】
インクジェット記録装置1の保管部3で外気が入る隙間に弾性部材を備えるようにしても良い。図1の用紙カセット100、101は図面の手前方向に引き出しが可能となっているが、例えば、この用紙カセット100、101の引き出しにおいて、外気が入り込んでくるような隙間に弾性部材400を備えるようにしても良い。また、スリット301の縁に弾性部材400を有するのではなく、開閉部302が弾性部材で形成され、開閉部302を閉じ、スリット301を塞ぐ際に分離壁300を押圧するような構成であっても良いし、スリット301の縁に弾性部材400を有し、さらに開閉部302が弾性部材で形成されていても良い。
【0045】
(第三の実施形態)
図11に示す第三の実施形態は、開閉部500の回動により、スリット301を開放したり、塞いだりする。図中、第一の実施形態と同一構成部分には同一符号を付す。第三の実施形態は、第一の実施形態の図1で説明したインクジェット記録装置1の側面断面図の分離部4の構成が異なる。
【0046】
分離部4は用紙Pを通過させるスリット301を有し、そのスリット301を開閉する開閉部500が備えられる。分離部4は、ソレノイド209、分離壁300、スリット301、スプリング304、及び開閉部500を有する。開閉部500は、一端を分離壁300に軸501で固定され、さらにソレノイド209に軸502で固定されている。開閉部500は軸501、502を中心に回動可能である。スプリング304は一端が分離壁300に、もう一端が開閉部500に固定されており、開閉部500の開閉により、スプリング304は伸縮する。ソレノイド209がOFFの時には、開閉部500は閉じ、スリット301を塞ぎ、ソレノイド209がONの時には、開閉部500は開き、スリット301が開放させる。
【0047】
印刷指令が出され、保管部3から用紙Pが給紙されなければ、図11に示すように、スリット301が開閉部500は閉じ、塞がれる。保管部3に保管されている用紙Pが印刷指令に基づき画像形成部2に搬送される時、ソレノイド209がONとなり、開閉部500が矢印Z方向に移動し、軸501、502を中心に回動する。図12は開閉部500が回動し、スリット301を開放した状態を示す図である。この時、スプリング304は縮んだ状態である。
【0048】
用紙Pが保管部3から画像形成部2へ搬送されたことを確認後、ソレノイド209はOFFとなり、開閉部500が矢印Z方向と逆方向に移動することで、図11の状態に戻る。
【0049】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。第一の実施形態、第二の実施形態、第三の実施形態は夫々組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 インクジェット記録装置
2 画像形成部
3 保管部
4 分離部
100、101 用紙カセット
102、103 給紙ローラ
115 インクジェットヘッド
116 インクカートリッジ
110 ファン
150 除湿部
160 センサ
201 CPU(制御部)
202 ROM
203 RAM
204 I/F
205 センサ制御駆動回路
206 ファン制御駆動回路
208 開閉部制御駆動回路
209、211、212 ソレノイド
210 経路変更制御駆動回路
213 給紙ローラモータ制御駆動回路
215 搬送ローラモータ制御駆動回路
217 ベルト駆動モータ制御駆動回路
219 インクジェットヘッド制御駆動回路
300 分離壁
301 スリット
302、500 開閉部
303 スライドガイド
304 スプリング
400 弾性部材
501、502 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を保管する保管部と、
前記保管部から搬送される前記記録媒体に水性インクを吐出させて画像を形成する画像形成部と、
前記保管部から前記画像形成部へ前記記録媒体を通過させるスリット、及び前記スリットを開閉する開閉部を有し、前記保管部と前記画像形成部を分離する分離部と、
前記保管部から前記画像形成部への前記記録媒体の搬送を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に伴い、前記開閉部を開閉するよう制御する制御部と、
を備えるインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記保管部を除湿する除湿部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記スリットの縦幅に比べ、前記開閉部の縦幅は大きく、前記スリットの横幅に比べ、前記開閉部の横幅は大きく、前記開閉部が前記スリットを覆うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記保管部から前記記録媒体を給紙することを検知する第1の検知部と、前記保管部から前記画像形成部へ前記記録媒体が搬送されたことを検知する第2の検知部を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1の検知部が前記記録媒体の給紙を検知した時、前記開閉部を移動させ、前記スリットを開放し、前記第2の検知部が前記保管部から前記画像形成部へ前記記録媒体が搬送されたことを検知した時、前記開閉部を移動させ、前記スリットを塞ぐよう制御することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記分離部の前記開閉部の接する面側の前記スリットの縁に弾性部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記開閉部が前記スリットを塞ぐ時に、前記開閉部が前記弾性部材を押圧することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
記録媒体を保管する保管部と、前記保管部から搬送される前記記録媒体に水性インクを吐出させて画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記保管部は、前記記録媒体を通過させるスリット、及び前記スリットを開閉する開閉部を有する分離部により前記画像形成部から分離されることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記保管部を除湿することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−116179(P2012−116179A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112125(P2011−112125)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】