説明

インクジェット記録装置

【課題】クリーニングヘッド部に連結するチューブの姿勢をクリーニング動作に追従させて応力集中による連結部の破損やチューブの折れを防ぐことができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 クリーニングヘッド部14とチューブ18とを連結するチューブ連結部14cを保持し、当該チューブ連結部14cに連なるチューブ18が連れ動くのを許容して保持する第1保持部材19a,19bが、移動支持部材15に対してクリーニングヘッド部14の進退方向のみに移動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、例えば紫外線硬化インクを吐出する吐出ヘッドと、吐出ヘッドから媒体(メディア)に吐出された紫外線硬化インクに対して紫外線を照射する紫外線ランプとを備えている。このインクジェット記録装置では、吐出ヘッドから媒体に吐出された紫外線硬化インクを紫外線ランプによって紫外線を照射することで硬化させて記録を行っている。
【0003】
記録ユニットに設けられた吐出ヘッドは、キャリッジに搭載されてY軸支持部材(Yバー)に設けられた走査ガイドに沿って主走査方向(Y軸方向)に往復動可能に設けられている。また、記録ユニット(吐出ヘッド)は1ライン記録する毎に副走査方向(X軸方向)に所定量移動し、主走査方向へのキャリッジの移動と吐出ヘッドの副走査方向への移動を交互にくりかえしながら対向するステージ部に吸着保持された媒体に対して記録が行われる。
【0004】
記録動作を開始する前や、一旦停止した記録動作を再開する前に、キャリッジが待機位置にある状態で、インクに大気圧より高い吐出圧を作用させて吐出ヘッドのノズルからインクを押し出すパージ動作が行われ、続いて吐出圧を大気圧に戻してインク吐出ヘッドの吐出面に付着したインク滴をクリーニング装置のクリーニングヘッド(ワイパーヘッド)を当接させて拭き取り、吸引除去するクリーニング動作(ワイピング動作)が行われる。
【0005】
或いは、吐出ヘッドのインク吐出面のノズルの乾燥を防ぐため、キャリッジが待機位置に待機する間、インク吐出面をキャップで覆ってノズル内に残留するインクを吸引ポンプにて吸引除去する。これによりノズル内に残留する残留インクが乾燥して目詰まりを起こすのを防止している。
【0006】
例えば、吐出ヘッドのノズル面に対向配置されたヘッドキャップとこれを保持するキャップホルダに連続する被ガイド部とインク吸引ポンプとがチューブで接続されている。被ガイド部は固定フレームで移動可能に支持されている。偏心カムの回転位置により、レバーが支点を中心に揺動してレバーの一端側に連結しているキャップホルダを通じてヘッドキャップがノズル面を覆う動作位置とノズル面より退避した退避位置とで切り替えられるようになっている。ヘッドキャップの進退移動に伴って被ガイド部が固定フレームにガイドされたままチューブが追従して移動してチューブの折れを防ぐようになっている(特許文献1、図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−126985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したクリーニング装置は、クリーニングヘッド(ワイパーヘッド)が吐出ヘッドのノズル面に対して接離動し、当該クリーニングヘッド(ワイパーヘッド)がノズル面に接したままスライドしてクリーニング(ワイピング)するため、クリーニングヘッド(ワイパーヘッド)が移動するにしたがってインク回収部とこれに接続するチューブが折れ曲がって、残留インクの吸引動作を妨げる。特に、記録に用いるインク成分との関係でチューブの材質がゴム材のように可撓性が大きいものから樹脂材のように可撓性が低いものが使用される場合には、クリーニング動作(ワイピング動作)にともなって引き回されるチューブに撓みや摺動抵抗が作用してインク回収部との連結部に応力集中が生じると破損するおそれがある。また、チューブに作用する移動負荷(接触力)によってクリーニングヘッド(ワイパーヘッド)の姿勢が崩れてノズル面への当接が不十分になり、残留インクの吸引動作に支障をきたすおそれもある。
【0009】
また、上述した特許文献1においては、ヘッドキャップは回動するレバーの一端に連結されたキャップホルダに連結して進退動しているため、被ガイド部と固定フレームとのクリアランスを設けなければ片当たりが生じやすく進退動をガイドすることはできない。
また、被ガイド部と固定フレームとのクリアランスを多くとれば、ヘッドキャップの姿勢が不安定になり、ノズル面に均等に押し当てることが難しくなる。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決し、クリーニングヘッド部に連結するチューブの姿勢をクリーニング動作に追従させて応力集中による連結部の破損やチューブの折れを防ぐことができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、以下の構成を備える。即ち、インク滴を吐出する吐出ヘッドのインク吐出面に対向配置され、当該吐出ヘッドによる記録動作に先立ってインク吐出面に当接して当該インク吐出面をクリーニングするクリーニング装置を備えたインクジェット記録装置であって、前記クリーニング装置は、前記インク吐出面に対して進退動するクリーニングヘッド部と、前記インク吐出面に当接するクリーニング位置と前記インク吐出面より離間した待機位置との間の前記クリーニングヘッド部の移動動作を支持する移動支持部材と、駆動源から前記移動支持部材に駆動伝達して前記クリーニング位置と待機位置との間を移動させる駆動機構と、前記クリーニングヘッド部に連結され当該クリーニングヘッド部が前記インク吐出面にから拭き取ったインクを排出するチューブと、を具備し、前記クリーニングヘッド部と前記チューブとを連結するチューブ連結部を保持し、当該チューブ連結部に連なる前記チューブが連れ動くのを許容して保持する保持部材が、前記移動支持部材に対して前記クリーニングヘッド部の進退方向のみに移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、クリーニングヘッド部とチューブとを連結するチューブ連結部を保持し、当該チューブ連結部に連なるチューブが連れ動くのを許容して保持する保持部材が、移動支持部材に対してクリーニングヘッド部の進退方向のみに移動可能に設けられているので、クリーニングヘッド部が進退方向、即ちインク吐出面に当接する向きとインク吐出面から退避する向きに移動すると保持部材も追従して移動するため、クリーニングヘッド部が傾くおそれはなく、チューブ連結部に無理な応力も作用しない。
【0013】
また、本発明においては、インク滴を吐出する吐出ヘッドのインク吐出面に対向配置されて、前記インク吐出面をクリーニングするクリーニング装置を備えたインクジェット記録装置であって、前記クリーニング装置は、クリーニング液が流通するチューブが接続され、前記インク吐出面をクリーニングするクリーニングヘッド部及び当該クリーニングヘッド部を内部に収納して内部から外部に進退可能に支持する移動支持部材と、前記移動支持部材を前記クリーニングヘッド部の進退方向と交差方向へ移動させるとともに、前記クリーニングヘッド部を前記移動支持部材の内部から外部に進退させる駆動手段と、を有し、前記駆動手段は、駆動源と、該駆動源より駆動伝達されて前記移動支持部材を前記クリーニングヘッド部の進退方向と交差方向への移動を前記クリーニングヘッド部の進退動作に変換する変換機構を有し、前記駆動源を駆動させて前記移動支持部材の前記交差方向への移動に伴って前記変換機構を通じて前記クリーニングヘッド部を進退移動させるとともに、前記移動支持部材には、前記クリーニングヘッド部と前記チューブとを連結するチューブ連結部を保持する保持部材が、前記クリーニングヘッド部の進退方向に移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、クリーニングヘッド部とチューブとを連結するチューブ連結部を保持する保持部材がクリーニングヘッド部の進退方向に移動可能に支持されているので、クリーニングヘッド部が進退方向に移動しても保持部材がチューブ連結部を常時保持するので、チューブが折れ曲がるおそれはなく応力集中しやすいチューブ連結部の破損を防止することができる。
【0015】
また、本発明においては、前記クリーニングヘッド部と前記チューブとを連結する前記チューブ連結部は前記クリーニングヘッド部の底面に形成され、該チューブ連結部に連結された前記チューブは前記クリーニングヘッド部の進退方向に延設されており、前記チューブ連結部を保持する前記保持部材が前記移動支持部材の進退方向と交差方向への移動を規制されて支持されているのが好ましい。
上記構成によれば、チューブ連結部を保持する保持部材が移動支持部材の進退方向と交差方向への移動を規制されて支持されているので、移動支持部材の進退方向と交差方向への移動に際してチューブ連結部に作用する負荷は少なく、チューブ連結部が破損するリスクが減少する。
【0016】
また、本発明においては、前記クリーニングヘッド部のインク回収部と前記チューブとを連結するチューブ連結部が前記保持部材に保持されて前記クリーニングヘッド部の進退方向に連れ動き、前記保持部材にはクリーニング動作に追従して前記チューブの移動を許容する逃げ部が形成されているのが好ましい。
これによれば、クリーニングヘッド部のクリーニング動作によってチューブ連結部がクリーニングヘッド部の進退方向に連れ動いても保持部材はチューブの移動を逃げ部により逃がすので、チューブが保持部材と干渉することなくチューブの折れや接触力による応力集中は起こり難くなる。
【0017】
また、本発明においては、前記チューブ連結部を保持するとともに当該チューブ連結部に接続する前記チューブが前記クリーニングヘッド部の進退方向と交差する向きに移動可能な逃げ部が形成されている第1保持部材と、前記第1保持部材の両側に突設された一対の舌片を各々進退方向に沿って設けられたスリットに挿入させてクリーニングヘッドの進退方向の移動のみを許容する第2保持部材が前記移動支持部材に組み付けられていてもよい。
上記構成によれば、第1保持部材がその両側に突設された一対の舌片を第2保持部材のスリットに挿入したままクリーニングヘッド部の進退方向に沿って移動するので、クリーニングヘッド部をインク吐出面に姿勢が崩れることなく当接させることができ、これに追従してチューブもスムーズに移動する。
また、クリーニングヘッド部がクリーニング動作を開始すると、その進退方向と交差する向きに連れ動くチューブを第1保持部材と干渉しないように逃げ部により逃がすので、チューブ連結部に折れや応力集中が発生することはなくなる。
【0018】
また、本発明においては、前記クリーニングヘッド部はインク回収部が移動支持部材に設けられた該ガイド軸を支持するフレームに設けられたコイルばねにより支持されていることが望ましい。
これによれば、簡易な機構で吐出ヘッドのインク吐出面に対してクリーニングヘッド部を均一に押し当てたまま、不要なインク滴をクリーニングすることができる。また、コイルばねは、クリーニングヘッド部がインク吐出面に押し当てられた際にガイド軸に作用する過度の押し当て荷重を逃がすこともできる。
【0019】
また、本発明においては、前記駆動源の回転駆動がリンク機構を介して移動支持部材に連結されて駆動伝達され、前記移動支持部材に組み付けられたガイド軸が両側ガイド壁に設けられたスリットカムに挿入されて前記クリーニングヘッド部の進退動及びスライド動作が行われるようになっているのが望ましい。
これによれば、コンパクトな駆動機構によってクリーニング動作が行なえる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、クリーニングヘッド部に連結するチューブの姿勢をクリーニング動作に追従させて応力集中による連結部の破損やチューブの折れを防ぐことができるインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】インクジェット記録装置の外観斜視図である。
【図2】記録ユニットのカバーを取り外したインクジェット記録装置の外観斜視図である。
【図3】記録ユニットに設けられたクリーニング装置の拡大斜視図である。
【図4】クリーニング装置の斜視図である。
【図5】クリーニングヘッド部が待機位置にあるクリーニング装置の斜視図である。
【図6】図5でカバー及び上枠を外した状態の斜視図である。
【図7】クリーニングヘッド部がクリーニング位置にあるクリーニング装置の斜視図である。
【図8】図7でカバー及び上枠を外した状態の斜視図である。
【図9】クリーニングヘッド部が待機位置及びクリーニング位置にあるクリーニング装置の駆動伝達機構を示す斜視図である。
【図10】クリーニングヘッド部がクリーニング位置にある状態と待機位置にある状態を示す斜視図である。
【図11】クリーニングヘッド部の上方斜視図及び下方斜視図である。支持部材に対して取付カバーを高さ方向に重ね合わせた状態を示す左斜視図である。
【図12】クリーニングヘッド部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェット記録装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一部材には同一の符号を付する。なお、以下の説明において、主走査方向はキャリッジが往復動する方向(記録ユニットの長手方向)、副走査方向は、主走査方向と直交するステージ部(吸着プレート)の長手方向(記録ユニットの移動方向)を各々指し示すものとする。
【0023】
図1は、インクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。同図に示すように、インクジェット記録装置1は、例えばフラットベッド型インクジェットプリンタが用いられる。記録ユニット2には、主走査方向に往復動するキャリッジ3(搬送体;図3参照)が設けられている。このキャリッジ3には、対向するステージ部4(ベッド)に吸着支持された印刷対象である媒体に紫外線硬化型のインク液滴(以下、「紫外線硬化インク」という)を吐出する吐出ヘッドが搭載されている。また、キャリッジ3には図示しないが例えばM(マゼンタ),Y(イエロー),C(シアン),K(ブラック)の各色インクを吐出する吐出ヘッドが搭載される。記録ユニット2は、キャリッジが往復動する主走査方向(Y軸方向)と直交する副走査方向(X軸方向)に往復移動可能に設けられている。尚、媒体には、普通紙などの紙類のほかに、PVC(ポリ塩化ビニル),PLA(ポリ乳酸),PP(ポリプロピレン),PET(ポリエチレンテレフタレート),PC(ポリカーボネート),PMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの樹脂シート、織布、不織布などの布シート、アルミやステンレスなどの金属シート、或いは複合材料からなる合成シートなどの各種材料が含まれるものとする。
【0024】
記録ユニット2には、キャリッジ3に搭載され吐出ヘッドから吐出直後の紫外線硬化インクに紫外線を照射して一次硬化させる紫外線硬化ランプがキャリッジ3の走査方向両側に各々設けられている。紫外線硬化ランプユニットはLED素子を光源として搭載されており、吐出ヘッドに設けられた各色ヘッドの記録範囲に対応して設けられている。また、記録ユニット2のユニットカバー2aにも二次硬化用の紫外線硬化ランプが設けられていても良い。
【0025】
図2において、記録ユニット2にはキャリッジ3が主走査方向に移動する際のY軸ガイドレール5が設けられたY軸支持部材6(以下「Yバー」という)が設けられている。キャリッジ3はY軸直動ガイドを通じてY軸ガイドレール5と連繋している。キャリッジ3には図示しないサーボモータにより回転駆動する無端状のタイミングベルトの一部が連結されている。このサーボモータを正逆回転駆動することで、キャリッジ3が主走査方向(Y軸方向)へ往復動するようになっている。
【0026】
図3において、Yバー6の長手方向両側には支柱6aが各々設けられている。各支柱6aはX軸移動機構に連結されている。X軸動機構は、ステージ部3の幅方向両側に設けられたX軸フレーム7上に設けられている。X軸フレーム7上に長手方向(副走査方向)に設けられたX軸ガイドレール8に、図示しないスライダーがX軸直動ガイドを介してスライド可能に連繋している。このスライダーに支柱6aが連結されて、記録ユニット2が副走査方向(X軸方向)に移動可能に設けられている。X軸フレーム7上には長手方向(副走査方向)に沿ってリニアスケールが設けられている。記録ユニット2(スライダー)に設けられたX軸リニアセンサが、対向するリニアスケールを読み取ることで±1.0μmの分解能で記録ユニット2の副走査方向の移動位置を検出することができるようになっている。
【0027】
また、図2に示すように、キャリッジ3の待機位置(ホームポジション)には、インク受け部9が設けられている。インク受け部9は、記録動作に先立って吐出ヘッドによる記録動作に先立って、吐出ヘッドに吐出圧より高めてインクをノズル内に充填させ、ノズルから滴り落ちたインクをインク受け部9で受けて下方の廃液タンク10に回収するようになっている。
【0028】
図3において、インク受け部9の近傍には、吐出ヘッドのインク吐出面に付着しているインク滴をぬぐいとるブレード11が設けられている。ブレード11は吐出ヘッドがクリーニング装置12までY軸方向に沿って移動する際にインク吐出面に摺動してインク滴を拭き取る。
また、ブレード11の近傍には吐出ヘッドのインク吐出面に当接して不要なインクをクリーニングするクリーニング装置12が設けられている。
【0029】
以下、クリーニング装置12の構成とクリーニング動作について、図4乃至図12を参照して説明する。図4において、ブレード11が組み付けられた傾斜板13は、一端側がクリーニング装置12の上部フレーム12aに固定されている。傾斜板13の他端側はインク受け部9に向かって下がるように傾斜している。
クリーニング装置12は、筐体状の装置本体内にクリーニングヘッド部14が収納されている。装置本体には、上部フレーム12a及び下部フレーム12b、長手方向ガイドフレーム12c,12d(両側ガイド壁)、短手方向ガイドフレーム12e,12fが各々設けられている。
【0030】
図4において、クリーニングヘッド部14は、上面及び下面が開放された筒体状の移動支持部材15に進退動可能に支持されている。即ち、クリーニングヘッド部14は、吐出ヘッドが対向する位置に移動すると、移動支持部材15に支持されたまま待機位置からインク吐出面に当接するクリーニング位置へ移動し、クリーニング動作が終了するとインク吐出面から離間した待機位置に戻るように進退動する。移動支持部材15は、後述する駆動源から駆動機構16を通じて駆動伝達されて、短手方向ガイドフレーム12e,12f間に架設された一対のガイドレール17に沿って長手方向に移動する間にクリーニング位置と待機位置との間を上下に移動する。
【0031】
また、クリーニングヘッド部14にはチューブ18が連結されている。このチューブ18はクリーニングヘッド部14がインク吐出面から拭き取ったインク滴を吸引して回収する。また、チューブ18は後述するように、クリーニングヘッド部14との連結部であるチューブ連結部14cが保持部材19(図12参照)に保持されている。保持部材19はクリーニングヘッド部14のクリーニング動作に追従してチューブ18が移動するのを許容して保持するようになっている。また、保持部材19(第1の保持部材19a,19b)は、後述するように移動支持部材15に対してクリーニングヘッド部14の進退方向のみに移動可能に設けられている。
【0032】
図12において、クリーニングヘッド部14の構成について詳述する。クリーニングヘッド部14は、上面が開放された筐体状のインク回収部14aにノズル配置に対向してノズル当接部14bが設けられている。ノズル当接部14bには、例えばゴム又は樹脂等のブレード状の部材が用いられる。また、インク回収部14aの下方にはチューブ18が嵌め込まれて連結されるチューブ連結部14cが形成されている。このチューブ連結部14cが保持部材19に保持されてチューブ18がクリーニングヘッド部14の進退方向に連れ動くようになっている。
【0033】
保持部材19の構成について、具体的に説明する。
図12に示すように保持部材19は、第1の保持部材19a,19bと第2の保持部材19c,19dとを備えている。第1保持部材19aには凹部19eが形成されている。この凹部19eにチューブ18が連結されたチューブ連結部14cが収容された状態で、第1保持部材19aに第1保持部材19bを重ね合わせて止めねじ20でねじ止めされてチューブ連結部14cが一体に保持される。第1保持部材19bの両側には舌片19fが突設されており、第1保持部材19bの中央下端縁には凸部19gが形成されている。この凸部19gと凹部19eとで囲まれる領域が逃げ部19hとなる(図11(d)参照)。第1保持部材19aと第1保持部材19bを組み付けて形成される逃げ部19hは、クリーニングヘッド部14のクリーニング動作に追従してチューブ18が進退方向(上下方向)と交差する向きに移動するのを許容する。
【0034】
また、第2保持部材19c,19dは、移動支持部材15のガイドフレーム12c,12d(図6参照)に対向する側面15a,15bに組み付けられる。側面15aには開口部下向きにして形成されてコ字状のガイド面15c,15d,15eが形成されている。また側面15bにもガイド面15f,15g,15h(図11(b)参照)が形成されている。また、側面15a,15bにはガイドレール17が挿通するガイド孔15iが各々設けられている。
【0035】
第2保持部材19cには、ガイド面15c,15d,15eに突き当てる突き当て面19i,19j,19kが対向位置に形成されている。また、第2保持部材19dには、ガイド面15f,15g,15hに突き当てる突き当て面19m,19n,19oが対向位置に形成されている。第2保持部材19c,19dには、スリット孔19p,19qが進退方向に沿って形成されている。スリット孔19p,19qには第1保持部材19bの両端に突設された舌部19fが挿入係止される。これにより、クリーニングヘッド部14が進退方向の移動のみを許容するようにガイドされる。また、第2保持部材19cには架橋部19rが形成されている。架橋部19rの先端側にはねじ孔19sが設けられている。また、第2保持部材19dには架橋部19rの先端側と重なり合う固定部19tが形成されている。固定部19tにはねじ孔19uが形成されている。
【0036】
第2保持部材19c,19dを移動支持部材15の側面15a,15bに両側から組み付け、第1支持部材19bの舌部19fをスリット孔19p,19qに挿入係止し、架橋部19rと固定部19uをねじ孔19sとねじ孔19uが連通するように重ね合わせて止めねじ21を嵌め込むことにより、保持部材19が移動支持部材15に位置決めされて組み付けられる(図11(b)(d)参照)。
【0037】
また、図12において、移動支持部材15内にはコイルばね22が設けられている。インク回収部14aは、チューブ連結部14cがコイルばね22の上端部に嵌め込まれて支持されている。またコイルばね22に下端部は、後述するガイド軸28が組み付けられたフレーム29(図11(d)参照)に支持されている。このため、ガイド軸28の上下動に応じてコイルばね22を介してインク回収部14aが昇降するようになっている。尚、クリーニング動作時の高さ調節は、吐出ヘッド側の上下動により調節される。ノズル当接部14bは、コイルばね22によって付勢されたままインク吐出面に押し当てられた状態でクリーニング動作が行われる。
【0038】
また、移動支持部材15の側面15aのコーナー部近傍には遮光板15jが突設されている。この遮光板15jの近傍に外側板金カバー24が止めねじ25により組み付けられる(図11(a)参照)。また、外側板金カバー24には、内側板金カバー26が重ね合わせて止めねじ27により一体に組み付けられる(図11(b)(c)参照)。遮光板15jは、移動支持部材15が移動する際に図示しない光センサ(フォトインタラプタ等の位置検出部)の光軸を遮断することで移動位置が検出されるようになっている。また、外側板金カバー24及び内側板金カバー26は、クリーニング動作が行われる際に、インク吐出面より拭き取ったインク滴が飛び散って遮光板15jや図示しないフォトセンサが汚染されないようにするために設けられている。
【0039】
また、図12において、移動支持部材15の側面15aと側面15bとの間には、ガイド軸28が架設されている。ガイド軸28はコイルばね22を受けるフレーム29(図11(d)参照)と連繋しており、ガイド軸28が押し上げられるとコイルばね22の付勢が強まって、インク回収部14a(図11(a)参照)を押し上げるようになっている。ガイド軸28の一端28aは側面15aより外方に突設されており、図5に示すように、対向する長手方向ガイドフレーム12dに形成されたスリットカム12gに挿入されている。また、ガイド軸28の他端28bは側面15bより外方に突設されており、対向する長手方向ガイドフレーム12cに形成されたスリットカム12gに挿入され、後述するリンク機構に連結されている。スリットカム12gは、待機位置とクリーニング位置とで高さ方向に位置が異なるようにガイドフレーム12dの長手方向にスリット位置12g1、傾斜部12g2,スリット位置12g3が連続して形成されている。
【0040】
ここで、駆動機構16の構成及び駆動動作について図9(a)(b)及び図10(a)(b)を参照して説明する。
ステッピングモータ16a(駆動源)のモータ軸16bには、第1リンク16cの一端が接続されており、第1リンク16cの他端は第2リンク16dの一端に回動可能に接続されている。第2リンクの他端はガイド軸28の他端28bと回動可能に連結されている。
【0041】
図9(a)において、移動支持部材15は、ガイドレール17の一端側に待機した状態ある。このとき、図10(a)に示すようにクリーニングヘッド部14(インク回収部14a)は移動支持部材15の中に収容された待機位置にある。即ち、チューブ連結部14cを保持する第1保持部材19a,19bも下降位置にあり、舌部19fは第2保持部材19c,19dのスリット孔19p,19qの下端に係止した状態にある。
【0042】
ステッピングモータ16aを、例えば時計回り方向に回転させると、第1リンク16cが同方向に回転し、第2リンク16dがガイド軸28をスリットカム12gに沿ってスライドさせる。このとき、図9(b)に示すように、移動支持部材15がガイドレール17の一端から他端に向かってスライドする。ガイド軸28はスリットカム12gの傾斜に沿って移動するためコイルばね22に支持されるインク回収部14aが上昇してクリーニングヘッド部14が待機位置からクリーニング位置へ移動する。
【0043】
このとき、このとき、図10(b)に示すようにクリーニングヘッド部14(インク回収部14a)は移動支持部材15より上方に突出したクリーニング位置にある。即ち、チューブ連結部14cを保持する第1保持部材19a,19bも上昇位置にあり、舌部19fは第2保持部材19c,19dのスリット孔19p,19qの上端側に移動した状態にある。
尚、クリーニングヘッド部14をクリーニング位置から待機位置へ戻すためには、ステッピングモータ16aを逆回転駆動してガイド軸28を元の位置まで移動させる。これにより、ガイド軸28がスリットカム12gに沿って移動するため、クリーニングヘッド部14が移動支持部材15内に退避する。上述したリンク機構、ガイド軸28及びスリットカム12gが、ステッピングモータ16a(駆動源)より駆動伝達されて移動支持部材15のクリーニングヘッド部14の進退方向と交差方向(水平方向)への移動をクリーニングヘッド部14の進退動作に変換する変換機構を構成する。
【0044】
ここで、インクジェット記録装置のクリーニング動作について、図5乃至図8を参照して説明する。図3に示すインク受け部9において吐出ヘッドからインクを吐出させてからキャリッジ3を走査することで吐出ヘッドが移動しブレード11を経てクリーニング装置12の直上に移動すると、クリーニング動作を開始する。
【0045】
図5に示すように、待機位置においてクリーニングヘッド部14の上面は、上部フレーム12aに設けられたカバー30により覆われている。これにより、ノズル当接部14bなどに付着したUV硬化性インクの硬化が促進されるのを防いでいる。
図6に示すように、クリーニングヘッド部14が移動支持部材15内に下降位置にあるとき、移動支持部材15はガイドレール17の一端側に待機している。ガイド軸28の一端28a及び他端28bは、スリットカム12gの低いスリット位置12g1に係止している。
【0046】
図9(a)(b)に示すステッピングモータ16aを起動すると、駆動機構16によってガイド軸28をスリットカム12gに沿って長手方向に移動させる。図7においてガイド軸28が、スリットカム12gのスリット位置12g1から傾斜部12g2を経てスリット位置12g3に移動すると、吐出ヘッドのインク吐出面にクリーニングヘッド部14が押し当てられるようになっている。クリーニングヘッド部14が移動支持部材15より突出したクリーニング位置に移動する。そして、ノズル当接部14bが対向するインク吐出面に当接したまま図8に示すように移動支持部材15がガイドレール17に沿って他端側へ移動することでクリーニング動作が行なわれる。インク回収部14aに回収されたインク滴は、図示しない吸引機構によって、チューブ18を通じて廃液インクとして回収される。尚、ノズル当接部14bにおいて直接インクを回収(吸引)してもよい。クリーニングヘッド部14は、コイルばね22が若干押し下げられた状態でインク吐出面に押し当てられているのが拭き取り効果を高めるうえで好ましい。
【0047】
クリーニング動作が終了すると、駆動機構16のステッピングモータ16aを逆回転駆動して、移動支持部材15をガイドレール17に沿って元の位置へスライドさせる。このとき、ガイド軸28はスリットカム12gのスリット位置12g3、傾斜部12g2を経てスリット位置12g1に戻るため、クリーニングヘッド部14は移動支持部材15内に退避した位置に戻る。
【0048】
上述したように、クリーニングヘッド部14のクリーニング動作に追従してチューブ18が移動するのを許容する第1保持部材19a,19bが、移動支持部材15に対してクリーニングヘッド部14の進退方向のみに移動可能に設けられているので、クリーニングヘッド部14が進退方向、即ちインク吐出面に当接する向きに移動すると第1保持部材19a,19bも追従して移動するため、クリーニングヘッド部14が傾くおそれはなくチューブ連結部14cに無理な応力は作用しない。また、クリーニングヘッド部14がクリーニング動作を行う際にチューブ18はクリーニングヘッド部14の進退方向と交差する方向へ移動を伴うが、第1保持部材19a,19bは逃げ部19hによりこれを許容して保持するので、チューブ18が折れ曲がるおそれや応力集中により破損するおそれがなくなる。
【0049】
また、クリーニングヘッド部14のインク回収部14aとチューブ18とを連結するチューブ連結部14cが第1保持部材19a,19bに固定されているとチューブ18はチューブ連結部14cに追従して第1保持部材19a,19bとともにクリーニングヘッド部14の進退方向に連れ動き、また第1保持部材19a,19bの逃げ部19hにはチューブ18が挿通しているのでクリーニングヘッド部14のクリーニング動作によって第1保持部材19a,19bとチューブ18が干渉することなくチューブ18の移動を逃げ部19hにより逃がすので、チューブ18の折れや接触力による応力集中は起こり難くなる。
【0050】
具体的には、第1保持部材19a,19bがその両側に突設された一対の舌片19fを第2保持部材19c,19dのスリット19p,19q挿入したままクリーニングヘッド部14の進退方向に沿って移動するので、クリーニングヘッド部14をインク吐出面に対して姿勢が崩れることなく押し当てることができ、これに追従してチューブ18もスムーズに移動する。
また、クリーニングヘッド部14がクリーニング動作を開始すると、その進退方向と交差する向きに沿って逃げ部19hを挿通するチューブ18が第1保持部材19a,19bと干渉しないように逃がすので、チューブ連結部14cに折れや応力集中が発生することはない。
【0051】
クリーニングヘッド部14はインク回収部14aとガイド軸28が組み付けられたフレーム29との間に設けられたコイルばね22により支持されているので、吐出ヘッドのインク吐出面に対してクリーニングヘッド部14を均一に押し当てて、不要なインク滴をクリーニングすることができる。また、コイルばね22は、クリーニングヘッド部14がインク吐出面に押し当てられた際にガイド軸28に作用する過度の押し当て荷重を逃がすこともできる。
【0052】
尚、第1保持部材19a,19bは2部品でなく一部品であってもよく、第1保持部材19a,19bと第2保持部材19c,19dも別部材でなくともよい。また、第2保持部材19c,19dは省略されていても良い。この場合、チューブ連結部14cを保持する保持部材(第1保持部材19a,19bに相当)は、移動支持部材15に設けられたスリット孔に沿ってクリーニングヘッド部14の進退方向のみに移動可能にガイドされるようになっていても良い。また、チューブ連結部14cに連結するチューブ18は直下若しくは斜め下方に傾斜して接続されていたが、移動支持部材15の側面に昇降可能な逃げ孔を設けて、チューブ連結部14cに対して水平方向に接続されていても良い。
【0053】
また、駆動機構16は、リンク機構とスリットカムを用いたが、これらに限定する必要はなく、例えば移動支持部材15ベルト駆動による往復動やクリーニングヘッド部14はソレノイド駆動などにより昇降動作を行うようになっていても良い。
【0054】
上述したように、クリーニングヘッド部14とチューブ18とを連結するチューブ連結部14cを保持し、当該チューブ連結部14cに連なるチューブ18が連れ動くのを許容して保持する保持部材19(第1保持部材19a,19b)が、移動支持部材15に対してクリーニングヘッド部14の進退方向のみに移動可能に設けられているので、クリーニングヘッド部14が進退方向、即ちインク吐出面に当接する向きとインク吐出面から退避する向きに移動すると保持部材19(第1保持部材19a,19b)も追従して移動するため、クリーニングヘッド部14が傾くおそれはなく、チューブ連結部14cに無理な応力も作用しない。
【0055】
また、クリーニングヘッド部14が進退方向に移動しても保持部材19(第1保持部材19a,19b)がチューブ連結部14cを常時保持するので、チューブ18が折れ曲がるおそれはなく応力集中しやすいチューブ連結部14cの破損を防止することができる。
【0056】
また、クリーニングヘッド部14のクリーニング動作によってチューブ連結部14cがクリーニングヘッド部14の進退方向に連れ動いても保持部材19(第1保持部材19a,19b)はチューブ18の移動を逃げ部19hにより逃がすので、チューブ18が保持部材19(第1保持部材19a,19b)と干渉することなくチューブ18の折れや接触力による応力集中は起こり難くなる。
【0057】
また、チューブ連結部14cを保持する保持部材19(第1保持部材19a,19b)が移動支持部材15の進退方向と交差方向への移動を規制されて支持されているので、移動支持部材15の進退方向と交差方向への移動に際してチューブ連結部14cに作用する負荷は少なく、チューブ連結部14cが破損するリスクが減少する。
【0058】
また、第1保持部材19a,19bがその両側に突設された一対の舌部19fを第2保持部材19c,19dのスリット孔19p,19qに挿入したままクリーニングヘッド部14の進退方向に沿って移動するので、クリーニングヘッド部14をインク吐出面に姿勢が崩れることなく当接させることができ、これに追従してチューブ18もスムーズに移動する。
また、クリーニングヘッド部14がクリーニング動作を開始すると、その進退方向と交差する向きに連れ動くチューブ18を第1保持部材19a,19bと干渉しないように逃げ部19hにより逃がすので、チューブ連結部14cに折れや応力集中が発生することはなくなる。
【0059】
また、クリーニングヘッド部14はインク回収部14aが移動支持部材15に設けられた該ガイド軸28を支持するフレーム29に設けられたコイルばね22により支持されていると、簡易な機構で吐出ヘッドのインク吐出面に対してクリーニングヘッド部14を均一に押し当てたまま、不要なインク滴をクリーニングすることができる。また、コイルばね22は、クリーニングヘッド部14がインク吐出面に押し当てられた際にガイド軸28に作用する過度の押し当て荷重を逃がすこともできる。
【0060】
また、ステッピンモータ16aの回転駆動がリンク機構を介して移動支持部材15に連結されて駆動伝達され、移動支持部材15に組み付けられたガイド軸28が長手方向ガイドフレーム12c,12dに設けられたスリットカム12gに挿入されてクリーニングヘッド部14の進退動及びスライド動作が行われるようになっていると、コンパクトな駆動機構によってクリーニング動作が行なえる。
【符号の説明】
【0061】
1 インクジェット記録装置 2 記録ユニット 2a ユニットカバー 3 キャリッジ 4 ステージ部 5 Y軸ガイドレール 6 Yバー 6a 支柱 7 X軸フレーム 8 X軸ガイドレール 9 インク受け部 10 廃液タンク 11 ブレード 12 クリーニング装置 12a 上部フレーム 12b 下部フレーム 12c,12d 長手方向ガイドフレーム 12e,12f 短手方向ガイドフレーム 12g スリットカム 13 傾斜板 14 クリーニングヘッド部 14a インク回収部 14b ノズル当接部 14c チューブ連結部 15 移動支持部材 15a,15b 側面 15c,15d,15e,15f,15g,15h ガイド面 15i ガイド孔 15j 遮光板 16 駆動機構 16a ステッピングモータ 16b モータ軸 16c 第1リンク 16d 第2リンク 17 ガイドレール 18 チューブ 19 保持部材 19a,19b 第1保持部材 19c,19d 第2保持部材 19e 凹部 19g 凸部 19f 舌部 19h 逃げ部 19m,19n,19o 突き当て面 19p,19q スリット孔 19r 架橋部 19s,19u ねじ孔 19t 固定部 20,21,25,27 止めねじ 22 コイルばね 24 外側板金カバー 26 内側板金カバー 28 ガイド軸 29 フレーム 30 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出する吐出ヘッドのインク吐出面に対向配置され、当該吐出ヘッドによる記録動作に先立ってインク吐出面に当接して当該インク吐出面をクリーニングするクリーニング装置を備えたインクジェット記録装置であって、
前記クリーニング装置は、前記インク吐出面に対して進退動するクリーニングヘッド部と、
前記インク吐出面に当接するクリーニング位置と前記インク吐出面より離間した待機位置との間の前記クリーニングヘッド部の移動動作を支持する移動支持部材と、
駆動源から前記移動支持部材に駆動伝達して前記クリーニング位置と待機位置との間を移動させる駆動機構と、
前記クリーニングヘッド部に連結され当該クリーニングヘッド部が前記インク吐出面にから拭き取ったインクを排出するチューブと、を具備し、
前記クリーニングヘッド部と前記チューブとを連結するチューブ連結部を保持し、当該チューブ連結部に連なる前記チューブが連れ動くのを許容して保持する保持部材が、前記移動支持部材に対して前記クリーニングヘッド部の進退方向のみに移動可能に設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
インク滴を吐出する吐出ヘッドのインク吐出面に対向配置されて、前記インク吐出面をクリーニングするクリーニング装置を備えたインクジェット記録装置であって、
前記クリーニング装置は、クリーニング液が流通するチューブが接続され、前記インク吐出面をクリーニングするクリーニングヘッド部及び当該クリーニングヘッド部を内部に収納して内部から外部に進退可能に支持する移動支持部材と、
前記移動支持部材を前記クリーニングヘッド部の進退方向と交差方向へ移動させるとともに、前記クリーニングヘッド部を前記移動支持部材の内部から外部に進退させる駆動手段と、を有し、
前記駆動手段は、駆動源と、該駆動源より駆動伝達されて前記移動支持部材を前記クリーニングヘッド部の進退方向と交差方向への移動を前記クリーニングヘッド部の進退動作に変換する変換機構を有し、
前記駆動源を駆動させて前記移動支持部材の前記交差方向への移動に伴って前記変換機構を通じて前記クリーニングヘッド部を進退移動させるとともに、前記移動支持部材には、前記クリーニングヘッド部と前記チューブとを連結するチューブ連結部を保持する保持部材が、前記クリーニングヘッド部の進退方向に移動可能に支持されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記クリーニングヘッド部と前記チューブとを連結する前記チューブ連結部は前記クリーニングヘッド部の底面に形成され、該チューブ連結部に連結された前記チューブは前記クリーニングヘッド部の進退方向に延設されており、前記チューブ連結部を保持する前記保持部材が前記移動支持部材の進退方向と交差方向への移動を規制されて支持されている請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記クリーニングヘッド部のインク回収部と前記チューブとを連結するチューブ連結部が前記保持部材に保持されて前記チューブが前記クリーニングヘッド部の進退方向に連れ動き、前記保持部材にはクリーニング動作に追従して前記チューブの移動を許容する逃げ部が形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記チューブ連結部を保持するとともに当該チューブ連結部に接続する前記チューブが前記クリーニングヘッド部の進退方向と交差する向きに移動可能な逃げ部が形成されている第1保持部材と、前記第1保持部材の両側に突設された一対の舌片を各々進退方向に沿って設けられたスリットに挿入させてクリーニングヘッドの進退方向の移動のみを許容する第2保持部材が前記移動支持部材に組み付けられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記クリーニングヘッド部はインク回収部が移動支持部材に設けられた該ガイド軸を支持するフレームに設けられたコイルばねにより支持されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記駆動源の回転駆動がリンク機構を介して移動支持部材に連結されて駆動伝達され、前記移動支持部材に組み付けられたガイド軸が両側ガイド壁に設けられたスリットカムに挿入されて前記クリーニングヘッド部の進退動及びスライド動作が行われるようになっている請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−210782(P2012−210782A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78195(P2011−78195)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】