説明

インクジェット記録装置

【課題】簡単な構成で、記録媒体の種類毎に適切なタイミングでプリントヘッドをクリーニングできるようにして、紙粉等の記録媒体粉によるノズル孔の詰まりを防止しつつ、クリーニングに際して無駄なインクが吐出されないようにする。
【解決手段】記録媒体の種類毎に予め設定されたクリーニング実施条件を記憶しておく記憶手段と、プリントヘッドにより印刷される記録媒体の種類を入手する種類入手手段とを備え、前記記憶手段に記憶されている、前記種類入手手段により入手された記録媒体の種類に対応するクリーニング実施条件が成立したときに、前記プリントヘッドをクリーニングするようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、該プリントヘッドをクリーニングするクリーニング手段とを備えたインクジェット記録装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェット記録装置においては、プリントヘッドのノズル孔が開口する面であるインク吐出面を自動でクリーニングするようになっている。このクリーニング方法の一例としては、特許文献1に示されているように、インク吐出面に可撓性のワイピング部材を接触させた状態で、プリントヘッドをワイピング部材に対して相対移動させて行う。
【0003】
このようなクリーニングは、通常、前回のクリーニング終了後からの印刷時間の累積値、又は、前回のクリーニング終了後からの、プリントヘッドのインク吐出面がキャップに覆われている休止時間の累積値が、予め決められた基準時間を超えるという条件が成立したときに行われる。また、特許文献1では、装置の電源を投入した直後や、中断していたプリント作業を開始するときに、クリーニングを行うようにしている。このようなクリーニングにより、プリントヘッドのインク吐出面に付着したインクミストや、インク吐出面の乾燥、インク増粘によるノズル孔の詰まりを防止するようにしている。
【0004】
また、例えば特許文献2に示されているように、プリントヘッドのインク吐出面におけるノズル孔の付近に紙粉が付着することによるインクの吐出異常を、振動板の残留振動パターンから検出して、吐出異常を検出した場合には、フラッシング処理やワイピング部材によるワイピング処理を行うようにすることが知られている。また、特許文献2には、その従来技術として、プリントヘッドのインク吐出面の濡れ状態を光学センサにより検出することで、インクの吐出異常を検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−313540号公報
【特許文献2】特開2004−276367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、印刷を行う記録媒体の種類によっては、その記録媒体の搬送中に記録媒体から多量の紙粉(記録媒体粉)が発生して、その紙粉がプリントヘッドのインク吐出面のノズル孔やその周囲に付着する場合がある。この場合、従来のように、前回のクリーニング終了後からの印刷時間の累積値が基準時間を超える等といった条件が成立したときにクリーニングを行うようにすると、記録媒体の種類によっては、クリーニングを行う前にノズル孔の詰まりが生じる可能性がある。そこで、前記基準時間を短くすると、紙粉が発生し難い記録媒体では、クリーニングが無駄に行われることなる。ここで、クリーニング時には、ワイピング部材によりプリントヘッドのインク吐出面を摺動させるだけなく、ノズル孔からインクを強制的に吐出させて、ノズル孔内に入り込んでいる紙粉をノズル孔の外側へ排出させてノズル孔の詰まりの回復動作を行うことが好ましいが、前記のように基準時間を短くすると、紙粉が発生し難い記録媒体では、無駄なインクが吐出されてしまう。
【0007】
一方、特許文献2の従来方法として記載されている、光学センサによる吐出異常検出方法では、検出精度が低く、特に紙粉の付着を正確に検出することは困難である。また、特許文献2で提案されている、振動板の残留振動パターンから吐出異常を検出する方法では、残留振動検出のための回路や判定の処理が必要であり、回路や制御処理が複雑になる。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、記録媒体の種類毎に適切なタイミングでプリントヘッドをクリーニングできるようにして、紙粉等の記録媒体粉によるノズル孔の詰まりを防止しつつ、クリーニングに際して無駄なインクが吐出されないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、この発明では、記録媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、該プリントヘッドをクリーニングするクリーニング手段とを備えたインクジェット記録装置を対象として、前記記録媒体の種類毎に予め設定されたクリーニング実施条件を記憶しておく記憶手段と、前記プリントヘッドにより印刷される記録媒体の種類を入手する種類入手手段とを更に備え、前記クリーニング手段は、前記記憶手段に記憶されている、前記種類入手手段により入手された記録媒体の種類に対応するクリーニング実施条件が成立したときに、前記プリントヘッドをクリーニングするように構成されているものとした。
【0010】
ここで、プリントヘッドをクリーニングする動作としては、ワイピング部材によりプリントヘッドのインク吐出面を摺動させる動作(インク吐出面をクリーニングする動作)や、ノズル孔からインクを強制的に吐出させてノズル孔の詰まりを回復させる動作等がある。
【0011】
前記の構成により、クリーニング手段は、記憶手段に記憶されている、種類入手手段により入手された記録媒体の種類に対応するクリーニング実施条件が成立したときに、プリントヘッドをクリーニングするので、記録媒体の種類毎に適切なタイミングでクリーニングを実施できるようになる。すなわち、普通紙やはがき等のように紙粉が発生し易い記録媒体については、クリーニングの実施間隔が短くなるようなクリーニング実施条件を記憶手段に記憶しておき、コーティング紙等のように紙粉が発生し難い記録媒体については、クリーニングの実施間隔が長くなるようなクリーニング実施条件を記憶手段に記憶しておけば、印刷する記録媒体の種類毎に適切なタイミングでクリーニングを行うことができる。したがって、紙粉等の記録媒体粉によるノズル孔の詰まりを防止しつつ、クリーニングに際して無駄なインクが吐出されないようにすることができる。また、記録媒体の種類毎にクリーニング実施条件を記憶しておく記憶手段と、印刷される記録媒体の種類を入手する(例えばオペレータの入力により入手したり、記録媒体の種類を判別するセンサにより入手したりする)種類入手手段とを設けるだけの簡単な構成で済む。
【0012】
前記インクジェット記録装置においては、前記記録媒体の種類毎のクリーニング実施条件は、該記録媒体の種類毎に、前回のクリーニング終了後からの、前記プリントヘッドにより印刷された記録媒体の周囲長さの累積値及び該記録媒体の厚みの累積値の少なくとも一方に関して予め設定されたものである、ことが好ましい。
【0013】
すなわち、記録媒体粉は記録媒体の縁から発生するので、前回のクリーニング終了後からの、プリントヘッドにより印刷された記録媒体の周囲長さの累積値又は該記録媒体の厚みの累積値が大きいほど、多量の記録媒体粉が発生してその記録媒体粉がプリントヘッドのインク吐出面に付着したりノズル孔内に入り込んだりしている可能性がある。そして、記録媒体の種類毎に前記累積値に関してクリーニング実施条件を予め設定しておけば、記録媒体の種類毎により一層適切なタイミングでクリーニングを実施できるようになる。
【0014】
前記のようなクリーニング実施条件の場合、前記記録媒体の種類毎のクリーニング実施条件は、前回のクリーニング終了後からの、前記プリントヘッドにより印刷された記録媒体の周囲長さの累積値に、前記記録媒体の種類毎に予め設定された第1係数を掛けた値が第1所定値を超えるという条件、及び、前回のクリーニング終了後からの、前記プリントヘッドにより印刷された記録媒体の厚みの累積値に、前記記録媒体の種類毎に予め設定された第2係数を掛けた値が第2所定値を超えるという条件のうちの少なくとも一方の条件である、ことが好ましい。
【0015】
このことにより、クリーニング実施条件が成立したか否かの判定を容易に行うことができ、制御処理が簡単になる。
【0016】
前記インクジェット記録装置においては、前記記録媒体の種類毎のクリーニング実施条件は、前回のクリーニング終了後からの前記プリントヘッドの走査時間の累積値に、前記記録媒体の種類毎に予め設定された係数を掛けた値が所定時間を超えるという条件であってもよい。
【0017】
すなわち、前回のクリーニング終了後からの前記プリントヘッドの走査時間の累積値が大きいほど、多量の記録媒体粉がプリントヘッドのインク吐出面に付着したりノズル孔内に入り込んだりしている可能性がある。そして、記録媒体の種類毎の係数で前記累積値を調整することで、記録媒体の種類毎に適切なタイミングでクリーニングを実施できるようになる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明のインクジェット記録装置によると、記録媒体の種類毎に予め設定されたクリーニング実施条件を記憶しておく記憶手段と、プリントヘッドにより印刷される記録媒体の種類を入手する種類入手手段とを備え、前記記憶手段に記憶されている、前記種類入手手段により入手された記録媒体の種類に対応するクリーニング実施条件が成立したときに、プリントヘッドをクリーニングするようにしたことにより、簡単な構成で、記録媒体の種類毎に適切なタイミングでプリントヘッドをクリーニングできるようになり、紙粉等の記録媒体粉によるノズル孔の詰まりを防止しつつ、クリーニングに際して無駄なインクが吐出されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置としてのプリンタの外観を示す、プリンタ前側の斜め右側から見た斜視図である。
【図2】プリンタの内部の構成を示す、プリンタ右側から見た概略図である。
【図3】ガイド部の構成を示す概略図であって、(a)は幅狭サイズの記録紙を搬送するために、中央ガイド部材が使用位置にある状態を示し、(b)は幅広サイズの記録紙を搬送するために、中央ガイド部材が不使用位置にある状態を示す。
【図4】記録紙保持部の構成を示す断面図である。
【図5】印刷部のプラテンの構成を示す平面図である。
【図6】プラテンの下側に設けられた区画室の構成を示す概略平面図であって、(a)は幅狭サイズの記録紙がプラテン上を通過している状態を示し、(b)は幅広サイズの記録紙がプラテン上を通過している状態を示す。
【図7】キャップ部とプリントヘッドとの位置関係を示す、プリンタ後側から見た要部概略図である。
【図8】キャップ部の構成を示す断面図である。
【図9】キャップ部を部分的に水平方向に沿って切断して示す、上側から見た図である。
【図10】キャップ部とプリントヘッドとの位置関係を示す斜視図である。
【図11】キャップ部及びプリントヘッドの要部を示す断面図であって、(a)はキャップ部材を密着位置にセットした状態を示し、(b)はキャップ部材を格納位置にセットした状態を示す。
【図12】スイッチバック部のスイッチバックローラ対が、切断後搬送ローラ対より搬送されてきた記録紙を受け取ってプリンタ後側へ引き込んでいる状態を示す、プリンタ右側から見た概略図である。
【図13】スイッチバックローラ対の従動ローラが第2の位置に切り換えられた状態を示す図12相当図である。
【図14】プリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【図15】キャッピング制御部によるキャッピング制御動作を示すフローチャートである。
【図16】クリーニング制御部によるクリーニング制御動作を示すフローチャートである。
【図17】キャップ部及びプリントヘッドの要部を示す断面図であって、(a)はワイピング部材をワイピング位置にセットした状態を示し、(b)はインク吐出面のクリーニング作動を行っている状態を示す。
【図18】ワイピング部材をインク吐出面から離間した状態を示す、キャップ部及びプリントヘッドの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置としてのプリンタAの外観を示す。このプリンタAは、写真プリントシステムに用いられるものであって、例えば、画像データの取得及びオーダ情報の取得を行いかつ必要な補正処理等を行う受付ブロック200(図14参照)から通信ケーブルを介して伝送される画像データを、オーダ情報に基づいて記録紙P(後述のロール状の記録紙P及びシート状の記録紙Pの両方を含む(図2参照))に対して印刷を行うように構成されている。
【0022】
以下の説明において、後述の手差し供給ユニット9(手差しトレイ102)が設けられている側をプリンタ前側と定義し、その反対側をプリンタ後側と定義する。また、プリンタ前側から見て左側をプリンタ左側と定義し、右側をプリンタ右側と定義する。図2の紙面と垂直な方向は、プリンタ左右方向であって、記録紙Pの幅方向及び後述の主走査方向Xと一致している。また、図2の左右方向は、プリンタ前後方向であって、後述の副走査方向Yと一致する。
【0023】
プリンタAは筐体3を備え、この筐体3の内部には、図2に示すように、プリンタAの下部に設けられかつロール状の長尺の記録紙P(後述のマガジンM1,M2)を収容する記録紙収容部1と、プリンタAの上部に設けられかつ該記録紙収容部1から引き出されて搬送されてきた記録紙Pに対して画像データの印刷を行う印刷部2とが設けられている。尚、ロール状の記録紙Pは、その印刷面が外側になるように巻かれている。
【0024】
前記筐体3内の上部でかつ前記印刷部2に対して記録紙Pの搬送方向下流側の部分には、印刷後の記録紙Pを所定のサイズに切断するカッター部4と、該カッター部4による切断後の記録紙Pをスイッチバックさせるスイッチバック部5と、該記録紙Pの裏面(印刷面とは反対側の面)に整理番号等を印字するための裏面印字ユニット6と、記録紙Pの印刷面を乾燥させるための乾燥ユニット7と、ロール状の記録紙Pのカール(ロール状に巻かれている際の巻き癖によるカール)を取り除いてプリンタAの外部へ排出するためのデカールユニット8と配設されている。
【0025】
図1に示すように、プリンタAの筐体3の上面部には、デカールユニット8により排出された記録紙Pを、そのサイズに応じてプリンタ左側又は右側に振り分けるためのコンベア装置150と、プリンタ左側に振り分けられた大判の記録紙Pを受け止めるための大判トレイ104(図1参照)と、プリンタ右側に振り分けられたL版等の通常の写真サイズの記録紙Pを受け止めてオーダ毎に集積するための集積装置210とが配設されている。尚、筐体3の下面には、プリンタA全体を移動させるためのキャスター3aが取り付けられている。
【0026】
前記記録紙収容部1は、印刷部2のほぼ真下に位置していて、記録紙Pを収容するための2つのマガジンM1,M2を収容可能になっている。これらのマガジンM1,M2は、上下方向に並んで配設されており、各マガジンM1,M2内の記録紙収容室S1,S2には、それぞれ、ロール状の記録紙Pが、巻芯Rにより保持された状態で収容されている。本実施形態では、マガジンM1内の記録紙収容室S1には、幅広サイズ(例えば幅が12インチを上回る)のロール状の記録紙Pが収容されており、マガジンM2内の記録紙収容室S2には、幅狭サイズ(例えば幅が12インチ以下)のロール状の記録紙Pが、その軸心方向(プリンタ左右方向)に二列に並んで収容されている。
【0027】
本実施形態では、プリンタAは手差し供給ユニット9を備えており、この手差し供給ユニット9は、所定サイズのシート状の記録紙Pをセットすることが可能な手差しトレイ102と、この手差しトレイ102にセットされたシート状の記録紙Pを印刷部2へ搬送する手差しローラ対27とを有している。これにより、プリンタAは、前記シート状の記録紙Pに対しても印刷可能に構成されている。前記手差しトレイ102は、基端部で回動自在に筐体3に支持されかつ先端側が伸縮自在に構成されていて、先端側を短くした状態で筐体3のプリンタ前側面に沿った格納状態(図1参照)と、先端側を引き延ばした状態で筐体3のプリンタ前側面からプリンタ前側に突出した使用状態(図2参照)とに切り替えることが可能に構成されている。これにより、シート状の記録紙Pを使用しない場合には格納状態とし、シート状の記録紙Pに印刷するために該記録紙Pをセットする場合には使用状態とする。
【0028】
前記印刷部2は、記録紙Pに対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドHと、プリントヘッドHの下方に設けられかつ記録紙Pを印刷位置に吸着保持する記録紙保持部Dとを備えている。
【0029】
前記プリントヘッドHは、主走査方向Xに延びる不図示のガイドレールに沿って移動(走査)可能に構成されている。具体的には、プリントヘッドHは、図7に示すように、2つのプーリ46(図7では、一方のプーリ46のみ示す)に巻き掛けられた駆動ベルト12に取付固定されている。そして、一方のプーリ46は、駆動モータ11によって回転駆動されるようになっており、駆動モータ11の回転力がプーリ46を介して駆動ベルト12に伝達されて、これにより、プリントヘッドHが前記ガイドレールに沿って主走査方向Xに移動する
また、プリントヘッドHは、主走査方向Xと垂直な副走査方向Yに並ぶ2つのヘッドユニット13,13を有しており、これらのヘッドユニット13,13の下面に設けられているノズル孔(図示せず)からインクを吐出することで、記録紙Pに対して所定の画像や文字等を印刷できるようになっている。したがって、各ヘッドユニット13の下面は、インク吐出面13aとなる。
【0030】
筐体3内の左右両側の下部には、それぞれ、互いに色相の異なるインクが封入された7つのインクカートリッジ(図示省略)がそれぞれ着脱可能に収容されるカートリッジ収容部が設けられている。これらインクカートリッジを、カートリッジ収容部に対してそれぞれ着脱することにより、使用中又は使用済みのものを新しいものに交換できるようになっている。尚、前記インクカートリッジには、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド、バイオレット及びクリア(透明)の各インクが封入されている。
【0031】
前記筐体3内の上部には、記録紙収容部1から記録紙Pを引き出して所定の搬送経路に沿って搬送するための記録紙搬送機構が収容された搬送機構収容部20が設けられている。前記印刷部2、カッター部4、スイッチバック部5、裏面印字ユニット6、乾燥ユニット7及びデカールユニット8は、搬送機構収容部20に設けられていて、前記所定の搬送経路上において、記録紙Pの搬送方向下流側に向かって、この順に並んでいる。
【0032】
前記搬送機構収容部20における印刷部2と記録紙収容部1との間には、ガイド部23と、供給ローラ24及び2つの圧着ローラ24a,24bとが、前記記録紙搬送機構の一部として設けられている。ガイド部23における上流側部分は、プリンタ前側の分岐部23aと、プリンタ後側の分岐部23bとに分岐している。
【0033】
ここで、記録紙収容部1には、前述の如く、2つのマガジンM1,M2が収容されており、幅広サイズのロール状の記録紙Pに印刷を行う場合には、マガジンM1内に収容された記録紙Pが、その先端部から引き出されてガイドローラ21によりガイドされながらマガジンローラ対22によりマガジンM1外へと送り出される。このマガジンM1外に送り出された記録紙Pは、前記ガイド部23におけるプリンタ後側の分岐部23bからガイド部23に進入し、このガイド部23を通って供給ローラ24へと搬送される。ガイド部23は、記録紙Pの先端部を搬送経路からずれないようにして供給ローラ24へと案内するとともに、後述の如く各記録紙Pの幅方向の位置決めを行うようになっている。
【0034】
また、幅狭サイズのロール状の記録紙Pに印刷を行う場合には、マガジンM2内に収容された2つのロール状の記録紙Pの双方又は一方が、その先端部から引き出されて、その引き出された記録紙Pが、ガイドローラ21によりガイドされながらマガジンローラ対22によりマガジンM2外へと送り出される。このマガジンM2外に送り出された記録紙Pは、前記ガイド部23におけるプリンタ前側の分岐部23aからガイド部23に進入し、このガイド部23を通って供給ローラ24へと搬送される。
【0035】
さらに、手差しトレイ102にセットされたシート状の記録紙Pに印刷を行う場合には、該記録紙Pが、前記記録紙搬送機構を構成する手差しローラ対27により前記供給ローラ24へと搬送される。
【0036】
前記2つの圧着ローラ24a,24bは、供給ローラ24に対して圧着されるように対向配置されている。供給ローラ24は駆動ローラであり、圧着ローラ24a,24bは従動ローラである。そして、供給ローラ24に搬送されてきた記録紙P(幅広サイズ若しくは幅狭サイズのロール状の記録紙P、又はシート状の記録紙P)は、供給ローラ24と圧着ローラ24a,24bとの間に挟み込まれた状態で、供給ローラ24の駆動回転により印刷部2へと供給される。尚、2つの圧着ローラ24a,24bのうちのいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0037】
前記供給ローラ24の駆動回転により印刷部2へと供給される記録紙Pは、供給ローラ24に対して記録紙Pの搬送方向下流側に位置する印刷部2に供給(搬送)されて、印刷部2にてプリントヘッドHによって記録紙Pに対して印刷が行われる。
【0038】
前記印刷後のロール状の記録紙Pは、印刷後搬送ローラ対25によりカッター部4に送られて、カッター部4の固定刃4a及び可動刃4bによって所定のサイズに切断される。この切断後の記録紙Pは、3組の切断後搬送ローラ対26によってプリンタ後側へ搬送された後にスイッチバック部5に受け渡される。ここで、シート状の記録紙Pについては、縁なし印刷に仕上げる場合に、該記録紙Pの先端及び後端における余白がカッター部4にて切断される。尚、前記3組の切断後搬送ローラ対26は、それぞれ、互いに圧着した圧着状態と、圧着を解除した圧着解除状態とに切替え可能に構成されており、記録紙Pをスイッチバック部5に受け渡した後に圧着解除して、次に搬送されてくる記録紙Pの受け入れに備える。
【0039】
スイッチバック部5では、前記切断後の記録紙Pを、その先端側から受け入れてスイッチバックローラ対173によりプリンタ後側へ引き込んだ後、今度は記録紙Pの後端を先頭にしかつ搬送方向を水平方向から鉛直方向(図2の左右方向から上下方向)に変更して、記録紙Pを排出する。
【0040】
スイッチバック部5から排出された記録紙Pは、供給ローラ対175により裏面印字ユニット6に送られて、記録紙Pの裏面(記録紙Pのプリンタ前側の面に相当)に整理番号等が印字された後、乾燥ユニット7へと搬送される。
【0041】
前記乾燥ユニット7では、記録紙Pを3組の搬送ローラ対28によって搬送しながらその印刷面(記録紙Pのプリンタ後側の面に相当)の乾燥処理が行われる。乾燥処理が終了した記録紙Pは、搬送ローラ対29によってデカールユニット8に送られる。
【0042】
前記デカールユニット8では、ロール状に巻かれた記録紙Pのカール(ロール状に巻かれている際の巻き癖によるカール)を取り除くために、駆動搬送ローラ81とデカールローラ82とで記録紙Pを挟持搬送しながら、デカールローラ82を、駆動搬送ローラ81の真上の位置から駆動搬送ローラ81の外周面に沿って図2で時計回り方向に移動させる。これにより、記録紙Pはそのカール方向とは反対方向に曲げられた状態でデカール処理されて、筐体3に形成された排出口90からコンベア装置150の搬送ベルト151(図1参照)上に排出される。尚、シート状の記録紙Pの場合には、デカールローラ82は、駆動搬送ローラ81の真上の位置(後述の搬送位置)に位置して、シート状の記録紙Pに対してデカール処理がなされないようになっている。
【0043】
以下、プリンタAの各構成要素について詳細に説明する。
【0044】
前記記録紙収容部1には、前記マガジンM1,M2をそれぞれ載置するためのスライド台30が設けられている。スライド台30は、その左右両側に設けられてプリンタ前後方向に延びる図示しないリニアガイド等により、プリンタ前後方向にスライド自在に構成されている。これにより、スライド台30をプリンタ前後方向にスライド移動させることで、マガジンM1,M2を筐体3内から出したり筐体30内へ入れたりできるようになっている。このスライド台30の前面は、筐体3の一部をなしかつ開閉可能な扉部材31によって覆われており、この扉部材31を開放状態にすることで、前記記録紙Pの取り替え作業が行えるようになっている。
【0045】
前記マガジンM1,M2は、持ち運び可能に構成された略密閉状の箱型容器とされている。記録紙収容部1にセットした状態のマガジンM1,M2の上面におけるプリンタ前側の端部には、マガジンM1,M2内に収容された記録紙PをマガジンM1,M2外へと引き出すための開口部111がそれぞれ形成されている。この開口部111は、プリンタ左右方向(マガジン長さ方向)に延びる略矩形状をなしている。そして、マガジンM1,M2には、開口部111を開閉するための開閉シャッタ機構(図示せず)が設けられている。この開閉シャッタ機構は、モータ駆動式のものであって、マガジンM1,M2を記録紙収容部1にセットしたときに開口部111を開くとともに、記録紙収容部1から取り出す際には、開口部111を閉じるようになっている。また、プリンタAを長時間稼働させない場合には、開口部111を閉じることによって、マガジンM1,M2内の空気が乾燥するのを防止して、該マガジンM1,M2内の記録紙Pにひび割れ等が生じないようにする。
【0046】
マガジンM1,M2内の記録紙収容室S1,S2に設けられたマガジンローラ対22は、マガジン駆動ローラ32及びマガジン従動ローラ33からなる圧着型ローラ対である。
【0047】
幅狭サイズの記録紙Pが収容されるマガジンM2では、マガジン従動ローラ33が一本の円筒状ローラにより構成されているのに対し、マガジン駆動ローラ32は、左側分割ローラと右側分割ローラとの2本の円筒状ローラを直列に(同軸に)配設して構成されている。このマガジン駆動ローラ32を構成する左右の分割ローラはそれぞれ、別々のモータに接続されて独立に駆動可能になっている。これら2つのモータのうちの一方は、前記マガジンM1内に設けられたマガジン駆動ローラ32の駆動源としても利用される。
【0048】
マガジンM2内のマガジン駆動ローラ32を構成する左右の分割ローラは、マガジンM2内に収容された左右二列の各記録紙Pの幅に対応する長さに設定されている。そして、マガジンM2内に収容された左右二列の記録紙Pを共に引き出す場合には、左右の分割ローラが共にそれぞれのモータによって駆動される。また、マガジンM2内に収容された二列の記録紙Pの一方のみを引き出す場合には、該一方の記録紙Pに対応する分割ローラのみが該分割ローラに対応するモータによって駆動される。マガジンM1内に収容された幅広サイズの記録紙Pを引き出す場合には、該マガジンM1内に配設されたマガジン駆動ローラ32が、一方のモータにより駆動される。このとき、該一方のモータとマガジンM2内のマガジン駆動ローラ32との連結は切り離される。
【0049】
このように、本実施形態では、マガジンM2内のマガジン駆動ローラ32は2つの分割ローラで構成され、各分割ローラはそれぞれ異なるモータによって独立に駆動可能になっている。したがって、前述の如く、このマガジン駆動ローラ32を構成する左右の分割ローラの駆動をそれぞれ制御することで、マガジンM2内の記録紙Pのうち必要な記録紙Pだけを選択的に引き出すことができる。
【0050】
前記供給ローラ24は、一本の円筒状ローラで構成されている。本実施形態では、供給ローラ24の外径は、各マガジン駆動ローラ32の外径に等しい。供給ローラ24は、マガジン駆動ローラ32を駆動するモータとは別の不図示のモータによって駆動され、記録紙Pを記録紙収容部1から引き出して印刷部2側へ搬送する正方向の回転と、該記録紙Pを記録紙収容部1内へ戻す逆方向の回転とが切換可能に構成されている。また、マガジンローラ対22のマガジン駆動ローラ32も同様である。これにより、例えば、幅狭サイズの記録紙Pから幅広サイズの記録紙Pに変更して印刷する場合や、ロール状の記録紙Pからシート状の記録紙Pに変更して印刷する場合等において、カッター部4で、ロール状の記録紙P(長尺の記録紙P)の印刷済みの部分を所定サイズに切断した後、当該記録紙Pの未印刷の部分を記録紙収容部1内に戻すことができる。
【0051】
ガイド部23は、図3に示すように、プリンタ左右方向に互いに所定間隔(幅広サイズの記録紙Pの幅に対応する間隔)を隔てて並ぶ左右一対のガイド部材41,42と、両ガイド部材41,42の間に配設される中央ガイド部材43とを有している。
【0052】
前記左右のガイド部材41,42は、断面コ字状をなしていて、開口側が互いに対向するように配設されている。また、左右のガイド部材41,42は、プラテン45の主走査方向Xの中央を通るプリンタ中央面95に対して左右対称になるように配設されている。そして、幅広サイズの記録紙Pに印刷を行う際には、該記録紙Pの幅方向両側端部がそれぞれ両ガイド部材41,42の溝部41a,42aに嵌挿されつつその搬送が行われる。これにより、記録紙Pの幅方向位置が規制されて、記録紙Pが所定の搬送経路から幅方向にずれるのを防止することができる。
【0053】
中央ガイド部材43は、不図示の送り機構(例えばボールネジ機構)により支持されていて、記録紙Pの搬送面とほぼ同じ面上に位置する使用位置(図3(a)に示す位置)と、記録紙Pの搬送面からプリンタ前側に外れて位置する不使用位置(図3(b)に示す位置)との間で移動可能に構成されている。
【0054】
中央ガイド部材43は、略直方体形状の部材からなり、該中央ガイド部材43の幅方向中央を通る面が前記プリンタ中央面95に一致している。中央ガイド部材43は、その長手方向に垂直な断面形状が略H字状に形成されており、中央ガイド部材43の左右両側面にはそれぞれ断面コ字状の溝部43aが形成されている。
【0055】
そして、幅狭サイズの記録紙Pに印刷を行う際には、中央ガイド部材43が前記送り機構によって前記使用位置に移動される。この結果、該記録紙Pの幅方向両端部のうち前記プリンタ中央面95側に位置する端部が、中央ガイド部材43の溝部43aに嵌挿されつつその搬送が行われる。この搬送中、記録紙Pのプリンタ中央面95側とは反対側に位置する端部は、前記左右のガイド部材41,42によってガイドされる。これにより、幅狭サイズの記録紙Pの幅方向位置を規制することができる。一方、幅広サイズの記録紙Pに印刷を行う際には、中央ガイド部材43が前記送り機構により前記不使用位置に移動されて、記録紙Pの幅方向位置は前記左右のガイド部材41,42によって規制されることとなる。
【0056】
前記印刷部2は、前述のガイドレール、駆動モータ11、駆動ベルト12及びプーリ46を含むプリントヘッド駆動機構と、前記記録紙保持部Dと、この記録紙保持部Dに対して記録紙Pの搬送方向下流側に配設された圧着型の印刷後搬送ローラ対25(図2参照)とを備えている。ここで、主走査方向Xは、記録紙Pの幅方向(プリンタ左右方向)に相当し、副走査方向Yは、記録紙Pの搬送方向(プリンタ前後方向)に相当する。
【0057】
前記プリントヘッドHの底面(後述する記録紙保持部Dと対向する面)には、2つのヘッドユニット13が互いに副走査方向Yに間隔を空けて並んで設けられている。各ヘッドユニット13の下面には、複数のノズル孔(図示せず)が副走査方向Yに列をなすように開口している。
【0058】
前記ヘッドユニット13は全て同一構成であって、それぞれ、主走査方向Xに配設された、各色のインクを吐出するための複数のノズルアレイを有している。この各ノズルアレイにおいて、ノズル孔が副走査方向Yに列状に配設されている。これにより、各ヘッドユニット13は、単体でカラー画像を形成可能な構成とされている。
【0059】
ここで、前記各ヘッドユニット13の構成としては特に限定されるものではないが、本実施形態における各ヘッドユニット13は、インクが充填された圧力室(ノズル孔毎に別個に設けられている)内の容積が圧電素子(ピエゾ素子)によって変化することで、圧力室に連通するノズル孔からインクを吐出する一般的なピエゾ方式のものを採用している。尚、ヘッドユニット13は2つである必要はなく、1つや3つ以上であってもよい。
【0060】
前記記録紙保持部D上の記録紙Pは、記録紙保持部Dに対して記録紙Pの搬送方向上流側に設けられた供給ローラ24により一定の単位搬送量で間欠的に(ステップ状に)副走査方向Yに搬送され、この間欠搬送時における記録紙Pの各停止時に、プリントヘッドHが主走査方向に一走査(一往動作又は一復動作)されて、この走査時に、主走査方向の各位置で、各ヘッドユニット13のノズル孔からインクが吐出される。つまり、プリントヘッドHの一走査後に、記録紙Pが単位搬送量だけ搬送され、その後、再びプリントヘッドHが一走査され、この動作が繰り返し行われて、所望の画像が記録紙Pに印刷されることになる。
【0061】
前記記録紙保持部Dは、図4及び図5に示すように、プリントヘッドHのプリント領域に対応して表面(上面)に開口する複数の吸着孔60が形成されかつフラッシング領域に対応してフラッシング孔61が形成されたプラテン45と、プラテン45におけるプリントヘッドHによるプリント領域下方に設けられかつ吸着孔60と連通する空間62と、該空間62内の空気を吸引排気することで吸着孔60を介してプラテン45の表面上に負圧を発生させて記録紙Pをプラテン45の表面上に吸着保持する吸引ファン(図示省略)と、を備えている。前記空間62の下側には、吸引ファンや後述する開閉機構64が収容された機器収容空間65が形成されている。
【0062】
前記空間62は、主走査方向Xに並ぶ隔壁によって複数(本実施形態では6つ)の区画室66に区画されている(図6参照)。各区画室66の下面には、前記機器収容空間65に連通する連通孔67が形成されている。各区画室66の連通孔67には、それぞれ開閉板67aが設けられている。各開閉板67aは、主走査方向Xに延びる支持軸68回りに回動することで各連通孔67を開閉可能に構成されている。
【0063】
各開閉板67aは、不図示の付勢バネによって、支持軸68回りに図4で時計回り方向に付勢されていて、機器収容空間65内に収容された開閉機構64によって開閉駆動される。この開閉機構64は、主走査方向Xに延びるカム軸69と、カム軸69に回転一体に取り付けられた6つ(図4ではそのうちの4つのみを示す)の回転板カム70と、カム軸69を回転駆動するための不図示のカム駆動モータとを有している。
【0064】
前記6つの回転板カム70は、各開閉板67aの位置に対応して、主走査方向Xに互いに所定の間隔を隔てて配設されている。各回転板カム70には、円弧状のカム面が形成されている。各回転板カム70のカム面の形状(カムプロフィール)は、後述する開閉板67aの選択的な開閉動作を実現できるように設定されている。
【0065】
前記カム駆動モータによってカム軸69が回転駆動されると、カム軸69の回転角に応じて、所定の回転板カム70のカム面が、開閉板67aのカム当接面67bに当接して、開閉板67aを押し上げる。この結果、開閉板67aは、支持軸68を中心に上側(図4で反時計回り方向)に回動して、連通孔67の周縁部に沿って設けられたシール材71に密着する。こうして、連通孔67が開閉板67aによって閉塞される。連通孔67が閉塞された区画室66には、吸引ファンの吸引力が作用しなくなるので、当該区画室66以外の区画室66に吸引ファンの吸引力が集中的に作用することとなる。
【0066】
本実施形態では、このことに着目して、記録紙Pの幅寸法に応じて、不要な吸着孔60(記録紙Pに覆われていない吸着孔60)に吸引力が作用しないように、各連通孔67を選択的に塞ぐようにすることで、前記吸引ファンの吸引力を、必要な吸着孔60(記録紙Pに覆われている吸着孔60)に集中的に作用させて、記録紙Pの平面性を確保するようにしている。
【0067】
具体的には、図6に示すように、マガジンM2内に収容された二列の記録紙Pのうちプリンタ左側の記録紙Pに印刷を行う場合には、6つの区画室66のうちプリンタ右側(つまり記録紙Pが通過する側とは反対側)に位置する3つの区画室66の連通孔67を開閉板67aによって閉塞する。同様に、プリンタ右側の記録紙Pに印刷を行う場合には、プリンタ左側に位置する3つの区画室66の連通孔67を開閉板67aによって閉塞する(図6(a)参照)。また、マガジンM1内に収容された幅広サイズの記録紙Pに印刷を行う場合には、6つの区画室66のうちプリンタ左右方向の両端に位置する区画室66の連通孔67を開閉板67aによって閉塞する(図6(b)参照)。一方、二列の記録紙Pに対し同時に印刷を行う場合には、各開閉板67aを全て開状態にして、6つの区画室66の連通孔67を全て開放する。
【0068】
このような開閉板67aの選択的な開閉動作は、後述する搬送制御部202にて前記カム駆動モータの回転位相を制御することで実現される。尚、本実施形態では、開閉板67aを支持軸68回りに回動させることで、不要な吸着孔60に吸引ファンの吸引力を作用させないようにしたが、例えば、プラテン45の下面(裏面)に主走査方向Xに並ぶ複数枚の開閉板67aを設けて、各開閉板67aを副走査方向Yにスライドさせるようにしてもよい。
【0069】
前記フラッシング孔61は、インクの増粘を防止するために印刷開始時等にフラッシング処理によりプリントヘッドHのノズル孔から吐出されるインクを受け止めるためのものであり、フラッシング孔61内には、その吐出されたインクを吸収するインク吸収部材(図示せず)が収容されている。このフラッシング孔61に吐出されたインクは、廃棄管を介して回収部358(図8参照)に回収される。フラッシング孔61は、プラテン45の左側端部に形成されている(図5参照)。尚、図5では、図の上側がプリンタ前側に相当し、図の下側がプリンタ後側に相当し、図の左側がプリンタ右側に相当し、図の右側がプリンタ左側に相当する。
【0070】
図5に示すように、前記プラテン45の記録紙Pを支持する支持面45a(上面)には、副走査方向Yに延びる凹部45cが形成されている。この凹部45cには、インク吸収部材72が収容されている。このインク吸収部材72は、記録紙P全体に画像を印刷する縁なし印刷を行う際に、プリントヘッドH(ヘッドユニット13)より吐出したインクの一部が支持面45a上の記録紙Pの幅方向の端縁から外側に外れてはみ出したとしても、その外側に外れたインクによりプラテン45の支持面45aが汚れるのを防止するために設けられたものである。このため、凹部45cは、支持面45aにおいて支持面45a上の記録紙Pの幅方向の端縁に対応する位置でかつ副走査方向YにおけるプリントヘッドHに対応する位置において、該端縁に沿って延びる(つまり副走査方向Yに延びる)ように形成されている。
【0071】
また、印刷部2において、プリントヘッドHの主走査方向Xの印刷領域外(プラテン45のプリンタ左側の側方)の位置には、印刷を行っていない場合にプリントヘッドHが待機するための待機位置が設定されており、この待機位置に位置するプリントヘッドHの下側に、キャップ部52(図7〜図11参照)が設けられている。尚、図7では、図の左側がプリンタ右側に相当し、図の右側がプリンタ左側に相当する。
【0072】
前記キャップ部52は、図7〜図11に示すように、主フレーム331と、この主フレーム331に対して、上下方向に移動自在に設けられたプレート状のシフト部材332と、このシフト部材332を上下方向に作動させるシフト部材駆動機構Vと、シフト部材332の上面側に支持されたワイピング機構W及びキャッピング機構Cとを有している。尚、シフト部材332の周縁部全周は、主フレーム331に取り付けた枠状の側壁333に沿うように下側に折り曲げられてなる。
【0073】
前記シフト部材駆動機構Vは、前記主フレーム331に支持されたステッピングモータ型のシフトモータ335と、前記側壁333に支承されたホイールギヤ336と、このホイールギヤ336と一体回転するピニオンギヤ337と、このピニオンギヤ337と噛み合った状態でシフト部材332に取り付けられたラックギヤ338と、ホイールギヤ336と噛み合った状態で、シフトモータ335からの駆動力で回転するウオームギヤ339とを有している。
【0074】
前記側壁333には、光源と受光素子とからなるフォトインタラプト型の上部位置センサ301及び下部位置センサ302が、それぞれ上下に位置するように設けられている。そして、シフト部材332の端部には、シフト部材332が上方に移動した際において上側の移動端に達する前に上部位置センサ301の光線を遮光するとともにシフト部材332が下方に移動した際において下側の移動端に達する前に下部位置センサ302の光線を遮光する遮光片340が設けられている。
【0075】
前記シフト部材駆動機構Vの構成、並びに、上部位置センサ301及び下部位置センサ302の構成から、シフトモータ335を一方の方向に回転させる(正回転させる)ことによってシフト部材332を上方へ移動させる一方、シフトモータ335を他方の方向に回転させる(逆回転させる)ことによってシフト部材332を下方へ移動させることが可能になり、シフト部材332の上方への移動時には、上部位置センサ301が検出信号を出力したタイミングを基準にして、予め設定したパルス信号の数に対応する分だけシフトモータ335を駆動することにより、上部位置センサ301の高さ位置よりも該パルス信号の数に対応した量だけ上側にシフト部材332を位置付け、これとは逆に、シフト部材332の下方への移動時には、下部位置センサ302が検出信号を出力したタイミングを基準にして、予め設定したパルス信号の数に対応する分だけシフトモータ335を駆動することにより、下部位置センサ302の高さ位置よりも該パルス信号の数に対応した量だけ下側にシフト部材332を位置付ける。
【0076】
前記シフト部材332の上面には、2つの樹脂製のホルダ345が副走査方向Yに並びように固定されている。各ホルダ345内には、第1及び第2収容部345a,345bが設けられている。第1収容部345aには、柔軟な樹脂やゴム等の可撓性素材からなるワイピング部材346が上下方向に移動自在に収容されている。このワイピング部材346は、同じく第1収容部345aに収容された圧縮コイルスプリング347によって上方に突出付勢されている。各ワイピング部材346は、プリントヘッドHの各ヘッドユニット13のインク吐出面13a(ノズル孔が開口している下面)をそれぞれクリーニングするものである。各ワイピング部材346の副走査方向Yの長さは、プリントヘッドHの各ヘッドユニット13の副走査方向Yの長さよりも長いプレート状に形成されている。各ワイピング部材346には、プリントヘッドHの後述の押圧部325の下面が当接する押圧部当接部346aがそれぞれ一体的に形成されている。
【0077】
前記各ホルダ345の第2収容部345bには、キャップ部材350が上下方向に移動自在に収容されている。キャップ部材350は、同じく第2収容部345bに収容された圧縮コイルスプリング351によって上方に突出付勢されている。そして、キャップ部材350には、上側に開口した2つの凹部350aが形成され、これら2つの凹部350aの開口周囲に、柔軟な樹脂やゴム等の可撓性素材からなるリップ350bが形成され、各凹部350a内には、インクを吸収する多孔性の樹脂(スポンジ等)からなる吸収体352がそれぞれ配設されている。各キャップ部材350は、プリントヘッドHを使用しないときに、各ヘッドユニット13のインク吐出面13aにそれぞれ密着させるものである。尚、各キャップ部材350は、各ホルダ345に対して姿勢変更可能にそれぞれ支持されており、各ヘッドユニット13のインク吐出面13aと各キャップ部材350との間の相対姿勢が多少変化したとしても、各キャップ部材350(リップ350b)が各ヘッドユニット13のインク吐出面13aにそれぞれ密着するように構成されている。
【0078】
各キャップ部材350には、その底面側からキャップ部材350の各凹部350a内の空間に連通するように減圧チューブ353及び空気供給チューブ354がそれぞれ接続されている。減圧チューブ353は、各凹部350a内の空気やインクを排出する吸引ポンプ355に接続され、この吸引ポンプ355はポンプモータ356によって駆動される。吸引ポンプ355の作動により、各凹部350a内のインクは、減圧チューブ353を介して回収部358に回収される。前記空気供給チューブ354は、各凹部350a内への空気の供給及び非供給を切り替える電磁バルブ357に接続されている。
【0079】
副走査方向Yの両側における側壁333には、支軸360周りに揺動(回動)自在に一対のアーム361がそれぞれ支持されている。これら一対のアーム361の一方の端部(上端部)に、副走査方向Yに延びるブレード362の両端部がそれぞれ連結されている。両アーム361の他方の端部(下端部)には、当接部361aがそれぞれ形成されている。両アーム361は、1つの捩りコイルスプリング364によって倒れ方向(図11(a)で反時計回り方向)に付勢されていて、両アーム361の当接部361aが、シフト部材332における副走査方向Yの両側部分に設けた当接ピン363にそれぞれ当接して、それ以上揺動できないようになされている。シフト部材332を下側へ移動させた際には、図11(b)に示すように、当接ピン363が、アーム361の当接部361aを押圧して、捩りコイルスプリング364の付勢力に抗してアーム361を起立させる方向(図11(b)で時計回り方向)に揺動させる。これにより、ブレード362がワイピング部材346の先端部に摺接して、その先端部に付着している付着物の除去を行う。一方、シフト部材332を上側へ移動させた際には、図11(a)に示すように、捩りコイルスプリング364の付勢力によって、アーム361が当接ピン363に追従するように倒れ方向に揺動する。これにより、ブレード362がワイピング部材346の先端から退避する(押圧部当接部346aの先端からも退避する)。
【0080】
図11(a)は、各キャップ部材350を、各ヘッドユニット13のインク吐出面13aにそれぞれ密着させる密着位置にセットした状態を示す。このように各ヘッドユニット13のインク吐出面13aに各キャップ部材350をそれぞれ密着させるには、プリントヘッドHを待機位置にセットした状態で、シフトモータ335を正回転させてシフト部材332を上方へ移動させることによって、各キャップ部材350を密着位置まで移動させる。すなわち、上部位置センサ301が検出信号を出力したタイミングから、予め設定したパルス信号の数に対応する分だけシフトモータ335を駆動した後に停止する。各ヘッドユニット13のインク吐出面13aに各キャップ部材350がそれぞれ密着することで、各キャップ部材350のリップ350bが弾性変形して、インク吐出面13a(ノズル孔)をキャップ部材350で密封した状態となる。
【0081】
尚、各ヘッドユニット13のインク吐出面13aに各キャップ部材350がそれぞれ密着した状態では、プリントヘッドHに形成した押圧部325がワイピング部材346の押圧部当接部346aを押圧し、これにより、ワイピング部材346の突出量を減じて、ワイピング部材346がプリントヘッドH又はプリントヘッドHに設けられた部品等に接触しないように構成されている。
【0082】
図11(b)は、各キャップ部材350を、前記密着位置よりも下側に位置する格納位置にセットした状態を示す。この状態では、シフト部材332が主フレーム331に最も接近している。この格納位置までシフト部材332を作動させるには、シフトモータ335を逆回転させてシフト部材332を下方へ移動させ、下部位置センサ302が検出信号を出力したタイミングから、予め設定したパルス信号の数に対応する分だけシフトモータ335を駆動した後に停止する。
【0083】
前記カッター部4は、記録紙Pの搬送経路の下側に配置された固定刃4aと、記録紙Pの搬送経路の上側に配置され、モータ(図示省略)により固定刃4aに対して上下方向に移動する可動刃4bとで構成されていて、可動刃4bが記録紙Pの上側から下側に移動することで記録紙Pを切断する。この切断による切り屑は、筐体3の下部に配設された屑箱(図示省略)に落下して収容される。
【0084】
スイッチバック部5は、記録紙Pがデカールユニット8によりコンベア装置150の搬送ベルト151上に排出されたときに、該記録紙Pの印刷面が上側を向くようにするために設けられたものであって、記録紙Pを後述の如くスイッチバックさせる。
【0085】
図2、図12及び図13に示すように、前記スイッチバック部5には、下側の駆動ローラ173aと上側の従動ローラ173bとからなる圧着型のスイッチバックローラ対173と、このスイッチバックローラ対173の上流側において搬送路を挟むように設けられ、切断後搬送ローラ対26より搬送されてきた記録紙Pをスイッチバックローラ対173へ導く一対の第1ガイド部材174と、スイッチバックした記録紙Pを裏面印字ユニット6へ供給する圧着型の供給ローラ対175と、スイッチバックローラ対173と供給ローラ対175との間において搬送路を挟むように設けられ、スイッチバックした記録紙Pを供給ローラ対175へ導く一対の第2ガイド部材176とが設けられている。
【0086】
前記スイッチバックローラ対173の駆動ローラ173aは、モータ(図示省略)により、記録紙Pを挟持してプリンタ前側へ搬送する正回転と、記録紙Pを挟持してプリンタ後側へ搬送する逆回転とが可能に構成されている。
【0087】
前記スイッチバックローラ対173及び第1ガイド部材174は、モータ(図示省略)により、スイッチバックローラ対173の駆動ローラ173aの回転軸周りに一体的に回動可能になっており、これにより、スイッチバックローラ対173の駆動ローラ173aに対する従動ローラ173bの相対位置が、図12に示すように駆動ローラ173aに対してほぼ真上に位置して、記録紙Pをプリンタ後側へ搬送する第1の位置と、図13に示すように駆動ローラ173aに対してプリンタ後側に位置して、スイッチバックされた記録紙Pを後端側から裏面印字ユニット6へ(上側へ)供給する第2の位置とに切り換えられるようになっている。
【0088】
ここで、前記切断後搬送ローラ対26より搬送されてきた記録紙Pをスイッチバックさせるスイッチバック動作について説明する。スイッチバックローラ対173が、切断後搬送ローラ対26より搬送されてきた記録紙Pを受け取る際には、駆動ローラ173aは正回転しており、従動ローラ173bは第1の位置にある。そして、記録紙Pの後端が第1ガイド部材174に位置するような量だけスイッチバックローラ対173により記録紙Pをプリンタ後側へ搬送したところで(図12参照)、駆動ローラ173aの正回転を停止する。
【0089】
このとき、前記記録紙Pの先端部は、記録紙Pの自重により下方に湾曲して撓んでいる。尚、記録紙Pにコシがあって自重で撓まない場合には、スイッチバックローラ対173に対して記録紙Pのの搬送方向下流側(プリンタ後側)に設けられた湾曲ガイド板177にその先端部が当接することで、湾曲ガイド板177に沿って下方に折り曲げられるようになっている。
【0090】
続いて、前記スイッチバックローラ対173及び第1ガイド部材174を、駆動ローラ173aの回転軸周りに図12で時計回り方向に回動させて従動ローラ173bを第1の位置から第2の位置へ切り換える(図13参照)。これにより、記録紙Pの後端側(プリンタ前側)が持ち上げられて、記録紙Pの先端側は、自重により垂れ下がった状態になる。すなわち、記録紙Pは鉛直方向に延びた状態になる。
【0091】
その後、前記駆動ローラ173aを逆回転させて、記録紙Pをその後端側から供給ローラ対175の側へ向けて搬送する。スイッチバックローラ対173によりスイッチバックする記録紙Pは、第1ガイド部材174及び第2ガイド部材176を通って、供給ローラ対175のところに達する。
【0092】
尚、本実施形態では、スイッチバックローラ対173の駆動ローラ173aの周りに従動ローラ173bを回動させることで、スイッチバックローラ対173の位置を第1の位置と第2の位置とに切り換えるようにしたが、この形態に限定するものではなく、例えば、駆動ローラ173aと従動ローラ173bとを両方とも移動可能な構成として、スイッチバックローラ対173全体の位置を変更することで第1の位置と第2の位置とを切り換えるようにしてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、スイッチバックローラ対173を、記録紙Pを搬送する駆動ローラ173aと、駆動ローラ173aに従動して回転する従動ローラ173bとで構成したが、スイッチバックローラ対173をなす両方のローラを駆動ローラとして構成するようにしてもよい。
【0094】
スイッチバック部5の下側には、上側に開放する記録紙回収箱83が設けられている(図2参照)。この記録紙回収箱83は、プリンタAの作動中に、例えば紙詰まり等のような異常が発生した場合に、搬送経路に残された記録紙Pを回収するためのものである。すなわち、異常発生時には、搬送経路に残された記録紙Pは、前記記録紙搬送機構によってスイッチバック部5へと搬送される。スイッチバック部5では、当該記録紙Pを受け取って回収箱83へと排出する。これにより、異常発生時に、搬送経路に残された記録紙Pを取り除くために筐体3の様々な箇所を開ける必要がなく、記録紙回収箱83を取り出せる箇所のみを開けるだけで済む。
【0095】
前記裏面印字ユニット6は、ドットインパクト式のサーマルプリンタからなるものであって、記録紙Pの裏面側(搬送経路に対してプリンタ後側)に配設されている。この裏面印字ユニット6に対して記録紙Pの搬送方向下流側には、裏面印字後の記録紙Pを送り出す搬送ローラ対28が配設されている。そして、該搬送ローラ対28の回転により、記録紙Pが、搬送ローラ対28に対して記録紙Pの搬送方向下流側に配設された乾燥ユニット7へと搬送される。
【0096】
乾燥ユニット7は、乾燥装置153内に空気を取り込むための複数の吸入ファン154と、これら吸入ファン154で取り込んだ空気を加熱する複数の加熱ヒータ155と、加熱ヒータ155で加熱された空気を乾燥風として記録紙Pの印刷面に吹き付ける複数の排気ノズル部156とを有している。これら排気ノズル部156からの乾燥風が記録紙Pの印刷面に吹き付けられることで、記録紙Pの印刷面に付着したインクの乾燥処理がなされる。
【0097】
前記デカールユニット8は、駆動搬送ローラ81と、駆動搬送ローラ81の周りに移動可能に構成されたデカールローラ82とを有している。デカールユニット8は、搬送する記録紙Pが、ロール状の記録紙Pであるか、又はシート状の記録紙Pであるかによって、デカールローラ82の位置を搬送位置とデカール位置とに切り換える。前記搬送位置は、デカールローラ82が駆動搬送ローラ81の真上に位置する位置であり、この搬送位置では、記録紙Pは、両ローラ81,82によってデカールされることなく搬送される。一方、前記デカール位置は、デカールローラ82を前記搬送位置から駆動搬送ローラ81の周りに図2で時計回り方向に回動させた位置である。このデカール位置では、記録紙Pは、両ローラ81,82によってデカールされつつ搬送される。
【0098】
そして、デカールユニット8は、乾燥ユニット7から搬送されてきた記録紙Pが、前記手差しトレイ102から供給されたシート状の記録紙Pである場合には、デカールローラ82を前記搬送位置に制御する一方、記録紙PがマガジンM1,M2から引き出されたロール状の記録紙Pである場合には、デカールローラ82を前記デカール位置に制御するようになっている。これにより、手差しトレイ102から供給された記録紙Pに対してはデカール処理を行わず、マガジンM1,M2から引き出された記録紙Pに対してはデカール処理を行って、ロール状に巻かれている際の巻き癖によるカールを取り除く。
【0099】
前記集積装置210は、コンベア装置150から搬送された記録紙Pを集積するためのものであり、プリンタ前側が開口した箱型の集積本体部211と、集積本体部211内の上下両端に配設されたローラ対(図示省略)に所定のテンションを有した状態で巻き掛けられた無端状の集積ベルト213と、集積ベルト213の外周面に略等間隔に設けられた集積プレート212とを備えている。前記ローラ対は、集積ベルト213を回転させて集積プレート212を搬送方向に移動させるための駆動モータ(図示省略)に接続されている。
【0100】
前記複数枚の集積プレート212のうち、集積本体部211の外部に露出している集積プレート212は、集積ベルト213の回転動作に伴って下方に移動する一方、集積本体部211内部に収容されている集積プレート212は、集積ベルト213の回転動作に伴って上方に移動するように構成されている。そして、集積プレート212は、搬送ベルト151に対してプリンタ右側に位置する記録紙Pの受け渡し位置において、プレート表面が水平でかつ搬送ベルト151のベルト面と略面一になるように待機していて、搬送ベルト151によってプリンタ右側に搬送されてきた記録紙Pを搬送ベルト151から受け取る。そして、集積プレート212は、該集積プレート212に所定のプリントオーダに対応した枚数が集積された後、次のオーダの記録紙Pが搬送される前に、集積ベルト213により下方に搬送される。
【0101】
本インクジェットプリンタは、制御系として、図14に示すように、マイクロプロセッサ201(以下、CPUという)と、このCPU201とデータバスを介して接続された搬送制御部202、ヘッド制御部203、印刷制御部204、ROM及びRAMを含む半導体メモリ205、通信インタフェース206、切断制御部207、キャッピング制御部208及びクリーニング制御部209とを備えている。これらは制御ユニット内に構成されている。また、この制御ユニットの入力端子には、前記上部位置センサ301、前記下部位置センサ302、プリントヘッドHが待機位置に達したことを検出する待機位置検出センサ303(図7にも記載)、及び、オペレータが記録紙Pの種類を入力操作するための操作部300が接続されている。
【0102】
前記搬送制御部202は、前記記録紙搬送機構の動作制御を行う。ヘッド制御部203は、プリントヘッドHを主走査方向に往復移動させるための駆動モータ11を駆動させると共に、各圧電素子に所定波形の電圧を供給することによってインク吐出の制御を行うものである。通信インタフェース206は、受付ブロック200との間で情報の送受信を行うためのものである。搬送制御部202及びヘッド制御部203はそれぞれ印刷制御部204からの指令を受けて必要な制御信号を出力する。印刷制御部204は、受付ブロック200から通信インタフェース206を介して受信した画像データに基づき、記録紙Pに対して画像データの印刷を実現するための制御を行う。切断制御部207は、カッター部4の可動刃4bを作動させるモータの動作制御を行う。
【0103】
前記キャッピング制御部208は、プリントヘッドHの各ヘッドユニット13のインク吐出面13aに各キャップ部材350をそれぞれ密着させるためのキャッピング制御動作を行うものである。このキャッピング制御動作を、図15のフローチャートに基づいて説明する。
【0104】
すなわち、ステップS101で、駆動モータ11を駆動してプリントヘッドHを移動させ、待機位置検出センサ303によりプリントヘッドHが待機位置に達したことが検出されたときに、駆動モータ11を停止して、プリントヘッドHを待機位置にセットする。
【0105】
次のステップS102では、キャップ部材350を密着位置に移動させる。すなわち、シフトモータ335を正回転させて、シフト部材332を上方へ移動させ、上部位置センサ301が検出信号を出力したタイミングから、予め設定したパルス信号の数に対応する分だけシフトモータ335を駆動した後に停止する。
【0106】
前記クリーニング制御部209は、後述のクリーニング実施条件が成立したときに、プリントヘッドHの各ヘッドユニット13をクリーニングするためのクリーニング制御動作を行うものである。
【0107】
クリーニング制御部209によるクリーニング制御動作を、図16のフローチャートに基づいて説明する。尚、このクリーニング制御動作は、前記の如くキャッピング制御部208によりキャップ部材350が密着位置に移動した後に行われる。
【0108】
最初のステップS201で、電磁バルブ357を閉じた状態で、ポンプモータ356を駆動して吸引ポンプ355によりキャップ部材350の凹部350a内を減圧しながら、プリントヘッドHの各ヘッドユニット13の全ノズル孔からインクを吐出させる。この動作は、予め設定した第1設定時間だけ行う。この動作により、ノズル孔において粘性が高まっているインクを強制的に排出するとともに、ノズル孔内に入り込んでいる紙粉をインクと共にノズル孔の外側へ排出する。これにより、ノズル孔の詰まりを回復させる。そして、ノズル孔から排出されたインクは、吸引ポンプ355により減圧チューブ353を介して吸引されて、回収部358に回収される。
【0109】
続いて、ステップS202で、前記吸引ポンプ355による減圧を継続したまま、ノズル孔からのインクの吐出を停止するとともに、電磁バルブ357を開放することにより、空気供給チューブ354を介して、キャップ部材350の凹部350a内に空気を供給する。この動作は、予め設定した第2設定時間だけ行う。この動作により、凹部350a内のインクの排出を促進する。
【0110】
次いで、ステップS203で、前記吸引ポンプ355による減圧を継続したまま、シフトモータ335を逆回転させてシフト部材332を下降させることにより、各キャップ部材350をプリントヘッドHの各ヘッドユニット13のインク吐出面13aからそれぞれ離間させ、次のステップS204で、キャップ部材350がインク吐出面13aから離間した後に吸引ポンプ355による減圧を停止する。
【0111】
次に、ステップS205で、ワイピング部材346をワイピング位置にセットする。このワイピング位置は、図17(a)に示すように、各ワイピング部材346の先端部がプリントヘッドHの各ヘッドユニット13のインク吐出面13aにそれぞれ当接可能な高さ位置であり、このときのシフト部材332の高さ位置は、キャップ部材350が密着位置に位置するときのシフト部材332の高さ位置よりも下側にある。ワイピング部材346をワイピング位置にセットするには、前記ステップS203からのシフト部材332の下降を継続させて、ワイピング部材346がワイピング位置よりも下側の位置(上部位置センサ301が遮光片340を検出する位置よりも下側にある)に位置するように移動させる。その後、シフトモータ335を正回転させてシフト部材332を上昇させる。そして、上部位置センサ301が検出信号を出力したタイミングから、予め設定したパルス信号の数(キャップ部材350を密着位置に移動させる際のパルス信号の数よりも少ない)に対応する分だけシフトモータ335を駆動した後に停止することにより、ワイピング部材346をワイピング位置にセットする。
【0112】
次いで、ステップS206で、各ヘッドユニット13のインク吐出面13aのクリーニング作動を行う。すなわち、駆動モータ11の駆動によってプリントヘッドHを主走査方向Xの待機位置から離れる側(プラテン45の側)へ作動させて、各ワイピング部材346の先端部をプリントヘッドHの各ヘッドユニット13のインク吐出面13aにそれぞれ摺接させる形態でクリーニングする。このインク吐出面13aのクリーニング作動では、図17(b)に示すように、ワイピング部材346の先端部がインク吐出面13aにおけるノズル孔形成領域Fを通過するような所定量だけプリントヘッドHが移動した時点で、駆動モータ11を停止させ、この後、図18に示すように、シフトモータ335を逆回転させてシフト部材332を下降させることによって、各ワイピング部材346を各ヘッドユニット13のインク吐出面13aからそれぞれ離間させる。この後、駆動モータ11の駆動によってプリントヘッドHを待機位置に移動させる。
【0113】
次のステップS207では、前記インク吐出面13aのクリーニング作動を、予め定めた設定回数行ったか否かを判定する。このステップS207の判定がNOであるときには、前記ステップS205に戻って、ステップS205〜S207の動作を繰り返す一方、ステップS207の判定がYESであるときには、そのままリターンする。
【0114】
このようにインク吐出面13aのクリーニング作動は、前記設定回数だけ行われて、記録紙Pから発生してインク吐出面13aに付着した紙粉を確実に取り除くようにしている。
【0115】
前記半導体メモリ205(ROM)には、プリンタAで使用される記録媒体(本実施形態では、記録紙P)の種類毎に、予め設定されたクリーニング実施条件が記憶されている。尚、本実施形態では、半導体メモリ205は、クリーニング実施条件記憶用だけでなく、その他の記憶用と共用のものであるが、クリーニング実施条件記憶用として専用の半導体メモリを設けてもよい。また、半導体メモリ205に限らず、例えばハードディスク装置等に、クリーニング実施条件を記憶するようにしてもよい。
【0116】
本実施形態では、記録媒体(記録紙P)の種類毎のクリーニング実施条件は、記録紙Pの種類毎に、前回のクリーニング終了後(前回の前記クリーニング制御動作の終了後)からの、プリントヘッドHにより印刷された記録紙Pの周囲長さの累積値に関して予め設定されたものである。
【0117】
具体的には、記録紙Pの種類毎のクリーニング実施条件は、前回のクリーニング終了後からの、プリントヘッドHにより印刷された記録紙Pの周囲長さの累積値に、記録紙Pの種類毎に予め設定された第1係数を掛けた値が第1所定値を超えるという条件である。
【0118】
本実施形態では、プリンタAで使用される記録紙Pの種類としては、コーティング紙(光沢印画紙)、非コーティング紙(半光沢印画紙)、及び普通紙であり、それぞれの第1係数がk1、k2及びk3とされている。これらの中で普通紙は紙粉が最も発生し易く、その紙粉がプリントヘッドHの各ヘッドユニット13のインク吐出面13aにおけるノズル孔やその周囲に付着し易い。このため、普通紙の第1係数k3は最も大きい値に設定される。コーティング紙は、紙粉が最も発生し難い。このため、コーティング紙の第1係数k1は最も小さい値に設定される。すなわち、前記第1係数は、k1<k2<k3という関係にある。尚、はがきを使用可能にした場合には、はがきの第1係数が最も大きくなる。
【0119】
オペレータは、操作部300への操作により、プリンタAで印刷しようとする記録紙Pが、マガジンM1内若しくはマガジンM2内のロール状の記録紙Pであるのか、又は、手差しトレイ102にセットされたシート状の記録紙Pであるのかを選択入力するとともに、その選択した記録紙Pの種類を選択入力する。
【0120】
前記記録紙Pの選択入力情報は、印刷制御部204に送られ、印刷制御部204から搬送制御部202及びヘッド制御部203へも送られて、その選択された記録紙Pが印刷部2へと搬送されて、プリントヘッドHにより当該記録紙Pに印刷されることになる。また、記録紙Pの種類の選択入力情報は、クリーニング制御部209に送られる。
【0121】
そして、クリーニング制御部209は、前記半導体メモリ205に記憶されている、前記入力された記録紙Pの種類に対応するクリーニング実施条件が成立したときに、前記クリーニング制御動作を行って、ノズル孔の詰まりの回復動作(ノズル孔におけるインクの強制排出)を行うとともに、インク吐出面13aをクリーニングする。すなわち、前回のクリーニング終了後(前回の前記クリーニング制御動作の終了後)からの、プリントヘッドHにより印刷された記録紙Pの周囲長さの累積値に、前記入力された記録紙Pの種類の第1係数を掛けた値が第1所定値を超えたときに、新たに前記クリーニング制御動作を行う。
【0122】
ここで、記録紙Pの周囲長さの累積値は、シート状の記録紙Pの場合には、1枚の記録紙Pの印刷終了毎の、当該記録紙Pの四辺のトータル長さを加算した値である。一方、ロール状の記録紙Pの場合には、印刷時にカッター部4による切断が未だなされていないので、記録紙Pの周囲長さの累積値は、ロール状の記録紙Pにおける相隣接する2つの切断予定部間の印刷終了毎の、当該2つの切断予定部間における記録紙Pの幅方向(主走査方向X)に対向する2辺のトータル長さを加算した値である。
【0123】
紙粉は記録紙Pの縁から発生するので、前記累積値が大きくなるということは、それだけ多くの紙粉が発生してインク吐出面13aに付着したりノズル孔内に入り込んだりしたと考えられる。そして、インク吐出に影響があるほどの多くの紙粉がインク吐出面13aに付着したりノズル孔内に入り込んだりした場合に、前記クリーニング制御動作を行う必要がある。ここで、普通紙の場合には、コーティング紙に比べて、前記累積値が同じであっても、より多くの紙粉がインク吐出面13aに付着したりノズル孔内に入り込んだりすると考えられる。そこで、記録紙Pの種類毎に異なる第1係数を前記累積値に掛けて、その値が第1所定値よりも大きくなったときに、前記クリーニング制御動作を行うようにする。こうすることで、紙粉が発生し易い普通紙に印刷する場合には、クリーニングの実施間隔が短くなり、紙粉が発生し難いコーティング紙に印刷する場合には、クリーニングの実施間隔が長くなる。この結果、印刷する記録紙Pの種類毎に適切なクリーニング実施条件を設定して、紙粉によるノズル孔の詰まりを防止しつつ、クリーニングに際して無駄なインクが吐出されないようにすることができる。
【0124】
本実施形態では、駆動モータ11(プリントヘッド駆動機構)、クリーニング制御部209、シフトモータ335(シフト部材駆動機構V)、ワイピング部材346、吸引ポンプ355(ポンプモータ356を含む)、及び、各ヘッドユニット13の圧電素子が、プリントヘッドをクリーニングするクリーニング手段を構成し、半導体メモリ205(ROM)が、記録媒体の種類毎に予め設定されたクリーニング実施条件を記憶しておく記憶手段を構成し、操作部300が、プリントヘッドHにより印刷される記録媒体の種類を入手する種類入手手段を構成することになる。
【0125】
本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0126】
例えば、前記実施形態では、記録紙Pの種類毎のクリーニング実施条件を、前回のクリーニング終了後からの、プリントヘッドHにより印刷された記録紙Pの周囲長さの累積値に、記録紙Pの種類毎に予め設定された第1係数を掛けた値が第1所定値を超えるという条件としたが、前回のクリーニング終了後からの、プリントヘッドHにより印刷された記録紙Pの厚みの累積値に、記録紙Pの種類毎に予め設定された第2係数を掛けた値が第2所定値を超えるという条件に代えてもよく、或いは、これら両方の条件としてもよい。記録紙Pの種類毎の第2係数の大きさの関係は、前記第1係数と同様であり、コーティング紙、非コーティング紙、及び普通紙の順に大きくなる。記録紙Pの厚みの累積値は、シート状の記録紙Pの場合には、1枚の記録紙Pの印刷終了毎の、当該記録紙Pの厚みを加算した値であり、ロール状の記録紙Pの場合には、ロール状の記録紙Pにおける相隣接する2つの切断予定部間の印刷終了毎の、当該記録紙Pの厚みを加算した値である。
【0127】
或いは、記録紙Pの種類毎のクリーニング実施条件を、前回のクリーニング終了後からの前記プリントヘッドHの走査時間の累積値に、記録紙Pの種類毎に予め設定された第3係数を掛けた値が所定時間を超えるという条件としてもよい。記録紙Pの種類毎の第3係数の大きさの関係は、前記第1係数及び第2係数と同様であり、コーティング紙、非コーティング紙、及び普通紙の順に大きくなる。プリントヘッドHの走査時間の累積値は、プリントヘッドHの一走査終了毎の、当該一走査にかかった時間を加算した値である。この累積値が大きいほど、多量の紙粉がインク吐出面13aに付着している可能性があるが、その紙粉の量は記録紙Pの種類毎に異なるので、記録紙Pの種類毎の第3係数で前記累積値を調整して、記録紙Pの種類毎に適切なタイミングでクリーニング制御動作を行うことが可能になる。
【0128】
また、プリンタAで使用される記録媒体としては、記録紙Pのみには限らず、例えば樹脂シート等が含まれていてもよい。プリンタAが、前記実施形態の記録紙Pに加えて樹脂シートも使用可能である場合には、その樹脂シートについてもクリーニング実施条件を半導体メモリ205に記憶しておけばよい。この樹脂シートの場合には、樹脂粉が発生し、この樹脂粉の発生のし易さに応じて、第1係数や第2係数、第3係数の値を設定すればよい。
【0129】
さらに、クリーニング実施条件は、紙粉や樹脂粉等の記録媒体粉の発生し易さに応じてクリーニングの実施間隔が適切になるような条件であれば、どのような条件であってもよい。
【0130】
また、前記実施形態では、ワイピング部材346をインク吐出面13aに摺接させる形態でクリーニングするようにしたが、これには限られず、例えば空気を吹き付ける形態でクリーニングするようにしてもよい。
【0131】
さらに、前記実施形態では、プリントヘッドHにより印刷される記録紙Pの種類を、操作部300により入手したが、これには限られない。例えば、マガジンM1,M2に、その収容している記録紙Pの種類情報を識別するための識別コード部を設け、記録紙収容部1に、その識別コード部の情報を読み取るセンサを設けて、このセンサにより、プリントヘッドHにより印刷される記録紙Pの種類を入手するようにしてもよい。或いは、プリントヘッドH等に、記録紙Pの印刷面に対して光を投光して、その光の反射光量を検出するセンサを設け、このセンサにより、プリントヘッドHにより印刷される記録紙Pの種類を入手するようにしてもよい。
【0132】
さらにまた、クリーニング実施条件の設定には、以下の事項を考慮してもよい。すなわち、7色のインクのうち特定の色のインク(特にブラック)の使用割合が所定よりも高い場合(画像データから判断してもよく、実際のインク吐出動作から判断してもよい)には、特定の色のインク以外の色のインクを吐出するノズル孔に紙粉が溜まり易いので、クリーニングの実施間隔が短くなるようにし、特定の色のインクの使用割合が所定以下の場合には、クリーニングの実施間隔が長くなるようにする。また、印刷後搬送ローラ対25により搬送された記録紙Pの長さが長いほどクリーニングの実施間隔が短くなるようにする。これは、記録紙Pがガイド部23の左右のガイド部材41,42と擦れることで剥がれ易くなった紙粉が、プラテン45と擦れて剥がれる場合に、その記録紙Pの長さが長いほど多くの紙粉が発生することになるからである。さらに、2つのヘッドユニット13を互いに独立に主走査方向Xに移動可能に構成して、クリーニング制御動作も互いに独立に行える場合において、2つのヘッドユニット13のうち、カッター部4に近い側である記録紙Pの搬送方向下流側のヘッドユニット13では、カッター部4による切断により生じる紙粉が付着し易いので、カッター部4に対して遠い側のヘッドユニット13よりもクリーニングの実施間隔が短くなるようにする。
【0133】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、記録媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、該プリントヘッドをクリーニングするクリーニング手段とを備えたインクジェット記録装置に有用である。
【符号の説明】
【0135】
A プリンタ(インクジェット記録装置)
H プリントヘッド
P 記録紙(記録媒体)
11 駆動モータ(クリーニング手段)
205 半導体メモリ(記憶手段)
209 クリーニング制御部(クリーニング手段)
300 操作部(種類入手手段)
335 シフトモータ(クリーニング手段)
346 ワイピング部材(クリーニング手段)
355 吸引ポンプ(クリーニング手段)
356 ポンプモータ(クリーニング手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対してインクを吐出して印刷を行うプリントヘッドと、該プリントヘッドをクリーニングするクリーニング手段とを備えたインクジェット記録装置であって、
前記記録媒体の種類毎に予め設定されたクリーニング実施条件を記憶しておく記憶手段と、
前記プリントヘッドにより印刷される記録媒体の種類を入手する種類入手手段とを更に備え、
前記クリーニング手段は、前記記憶手段に記憶されている、前記種類入手手段により入手された記録媒体の種類に対応するクリーニング実施条件が成立したときに、前記プリントヘッドをクリーニングするように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体の種類毎のクリーニング実施条件は、該記録媒体の種類毎に、前回のクリーニング終了後からの、前記プリントヘッドにより印刷された記録媒体の周囲長さの累積値及び該記録媒体の厚みの累積値の少なくとも一方に関して予め設定されたものであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項2記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体の種類毎のクリーニング実施条件は、前回のクリーニング終了後からの、前記プリントヘッドにより印刷された記録媒体の周囲長さの累積値に、前記記録媒体の種類毎に予め設定された第1係数を掛けた値が第1所定値を超えるという条件、及び、前回のクリーニング終了後からの、前記プリントヘッドにより印刷された記録媒体の厚みの累積値に、前記記録媒体の種類毎に予め設定された第2係数を掛けた値が第2所定値を超えるという条件のうちの少なくとも一方の条件であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体の種類毎のクリーニング実施条件は、前回のクリーニング終了後からの前記プリントヘッドの走査時間の累積値に、前記記録媒体の種類毎に予め設定された係数を掛けた値が所定時間を超えるという条件であることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−30451(P2012−30451A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171043(P2010−171043)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(311001347)NKワークス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】