インクジェット記録装置
【課題】画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できるインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、複数のモードを実行させる制御部と、を有し、複数のモードは、ノズル孔から白色系インクを吐出させ、白色系インクを記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる第2領域に付着させて、画像を記録する第1画像記録モードと、ノズル孔からカラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、カラーインクおよび樹脂インクを、第1領域の白色系インク上で接触させて付着させ、画像を記録し、かつ、ノズル孔から樹脂インクを吐出させ、樹脂インクを第2領域の白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第2画像記録モードと、を含む。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、複数のモードを実行させる制御部と、を有し、複数のモードは、ノズル孔から白色系インクを吐出させ、白色系インクを記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる第2領域に付着させて、画像を記録する第1画像記録モードと、ノズル孔からカラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、カラーインクおよび樹脂インクを、第1領域の白色系インク上で接触させて付着させ、画像を記録し、かつ、ノズル孔から樹脂インクを吐出させ、樹脂インクを第2領域の白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第2画像記録モードと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクを液滴として吐出するノズル孔を有するインクジェット記録装置が知られている。このようなインクジェット記録装置を用いて所望の画像を得るために、近年、多様な種類のインクが用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、色材を含有するインク組成物(以下、「カラーインク組成物」ともいう。)を用いて記録媒体に画像を記録した後、色材を含有しないインク組成物(以下、「樹脂インク組成物」ともいう。)で画像をコーティングする方法が記載されている。
【0004】
一方、インクのうち白色顔料を含有する白色系インク組成物は、例えばプラスチック製品や金属製品のような下地の色が白色とは限らない記録媒体にカラー画像を記録する場合において、カラー画像の発色性を向上させるべく下地の色を消す用途に使用されることがある。また、透明シートにカラー画像を記録する場合にあっては、カラー画像の透過性を下げる白色遮蔽層の形成に用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−195451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録媒体上に白色系インク組成物からなる白色画像を記録した後に、白色画像上にカラーインク組成物からなるカラー画像を形成し、さらに、カラー画像の耐擦性を向上させるために、カラー画像を樹脂インク組成物でコーティングすると、画像の記録速度が低下する場合があった。この場合、具体的には、白色画像の記録・カラー画像の記録・樹脂組成物のコーティングのために、少なくとも記録媒体を3回通紙させる必要があった。
【0007】
また、記録媒体上において、白色画像のみが記録されており、カラー画像およびクリア画像の記録されていない領域は、耐擦性が不十分な場合があった。
【0008】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる第2領域に付着させて、画像を記録する第1画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させて付着させ、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第2画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、樹脂と、前記白色系色材以外の色材と、を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。
【0011】
適用例1に記載の態様によれば、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できる。
【0012】
[適用例2]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域とは異なる前記記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第4画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第5画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。
【0013】
適用例2に記載の態様によれば、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できる。
【0014】
[適用例3]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを制御して実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる該記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第7画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第8画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。
【0015】
適用例3に記載の態様によれば、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できる。
【0016】
[適用例4]
適用例1において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第2画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われることができる。
【0017】
[適用例5]
適用例4において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第1画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第2画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われることができる。
【0018】
[適用例6]
適用例1、適用例4、適用例5のいずれか1例において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第3画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第3画像記録モードは、前記第2画像記録モードに代えて行われることができる。
【0019】
[適用例7]
適用例2において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第4画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われることができる。
【0020】
[適用例8]
適用例7において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第4画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第5画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われることができる。
【0021】
[適用例9]
適用例2、適用例7、適用例8のいずれか1例において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第6画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第6画像記録モードは、前記第5画像記録モードに代えて行われることができる。
【0022】
[適用例10]
適用例3において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジと、
前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第7画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第8画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われることができる。
【0023】
[適用例11]
適用例3または適用例10において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上に付着させて、画像を記録する第9画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第9画像記録モードは、前記第8画像記録モードに代えて行われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】プリンターの構成を示す斜視図。
【図2】ヘッドのノズル面を示す概略図。
【図3】第1画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図4】第2画像記録モードによってカラー画像およびクリア画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図5】第1実施形態においてノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図。
【図6】第4画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図7】第5画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図8】第2実施形態においてノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図。
【図9】第7画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図10】第8画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図11】第3実施形態においてノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
1.インクジェット記録装置
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、複数のモードを実行させる制御部と、を有する。
【0027】
1.1.装置構成
本実施形態に係るインクジェット記録装置について、図1〜図2を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、インクジェット記録装置としてインクジェットプリンター(以下、単に「プリンター」という。)を例示する。なお、後に詳細に記載するが、本発明はこの装置構成に限定されるわけではない。
【0028】
図1は、本実施形態におけるプリンター1の構成を示す斜視図である。図1に示すプリンター1は、シリアルプリンターである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するもののことをいう。
【0029】
図1に示すように、プリンター1は、ヘッド2を搭載すると共にインクカートリッジ3を着脱可能に装着するキャリッジ4と、ヘッド2の下方に配設され記録媒体Pが搬送されるプラテン5と、キャリッジ4を記録媒体Pの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、被記録媒体Pを媒体送り方向に搬送する媒体送り機構8と、を有するものである。また、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御し、かつ、複数の画像記録モードを実行させる制御部CONTを有している。なお、上記媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)である。上記媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
【0030】
制御部CONTは、命令情報を受け付ける命令情報受付手段を有することができる。命令情報は、ユーザーによる操作受付手段(例えば、プリンター20に設けられたタッチパネルや操作ボタン、プリンター20に接続されたPC等のキーボード等)の操作に基づいて出力されて、命令情報受付手段に受け付けられる。また、命令情報としては、例えば、後述する画像記録モードの実行命令等が挙げられる。
【0031】
また、制御部CONTは、命令情報受付手段から出力された命令情報を受け付けて実行動作を行う命令実行手段を有することができる。命令実行手段は、上述したキャリッジ4、ヘッド2、キャリッジ移動機構7、媒体送り機構8等の各動作の実行タイミング等を制御したり、連携させたりする実行動作を行うことができる。
【0032】
ヘッド2は、インク組成物を微少粒径の液滴にしてノズル孔17から吐出して、記録媒体P上に付着させる。ヘッド2は、上記の機能を有すれば特に限定されず、どのようなインクジェット記録方式を用いてもよい。ヘッド2のインクジェット記録方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏光電極に与えて記録する方式またはインクの液滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
【0033】
図2は、本実施形態に係るヘッド2のノズル面15を示す概略図である。図2に示すように、ヘッド2は、ノズル面15を備える。インクの吐出面でもあるノズル面15には、複数のノズル列16が配列されている。複数のノズル列16は、ノズル列毎に、インクを吐出するためのノズル孔17を複数有する。
【0034】
複数のノズル列16は、ノズル列毎に、例えば異なる組成のインクを吐出可能になっている。図2の例では、ノズル列がインクの組成に対応して3列設けられており、各ノズル列が主走査方向に沿って配列されている。具体的には、白色系インク組成物を吐出可能なノズル列16A、カラーインク組成物を吐出可能なノズル列16B、樹脂インク組成物を吐出可能なノズル列16Cからなる。
【0035】
図2の例では、ノズル列16A〜16Cは、それぞれ、ノズル面15上で主走査方向に対して交差する副走査方向に延びているが、これに限定されず、ノズル面15内で主走査方向に対して交差する方向に角度を与えられて配置されていてもよい。
【0036】
ノズル孔17は、所定のパターンで複数配列されることにより、ノズル列を形成する。本実施形態では、ノズル孔17は、ノズル面15における副走査方向に複数並べられて配置されているが、これに限定されず、例えばノズル面15における主走査方向と直交する方向に沿ってジグザグ状に配置されていてもよい。なお、ノズル列を構成するノズル孔17の数は、特に限定されるものではい。
【0037】
複数のノズル列16は、副走査方向に向かって、所定数のノズル孔17を含む複数の領域に分割して用いることができる。図2の例では、ノズル列16A〜16Cは、副走査方向の上流側T1にある第1群と、該第1群よりも副走査方向の下流側T2にある第2群と、からなる。なお、1つの群を構成するノズル孔17の数は、特に限定されるものではない。また、群を構成するノズル孔17の数は、群毎に同一であっても、異なっていてもよい。
【0038】
上述のようにシリアルヘッドタイプのプリンター(記録装置)を中心に説明したが、この態様に限定されない。具体的には、記録ヘッドが固定化され副走査方向に順に配列されているラインヘッドタイプのプリンター、特開2002−225255号公報に記載されたようなX方向、Y方向(主走査方向、副走査方向)移動する以降機構が設けられたヘッド(キャリッジ)を備えるラテラルタイプのプリンターであっても良い。例えば、surepressL−4033A(セイコーエプソン株式会社製)は、ラテラルタイプのプリンターである。本発明においては、後述するシリアルヘッドのノズル列を分割して画像を記録する記録装置、若しくは、ラテラルタイプの記録装置が、先に吐出される白色系インクの画像を良好に形成した後に、カラー画像を良好に形成できるので好ましい。
【0039】
1.2.画像記録モード
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、制御部からの命令に基づいて、複数のモードを実行する。本発明におけるモードとは、インクジェット記録装置を用いて記録媒体上に所望の画像を記録するための態様をいう。なお、本発明において「画像」とは、ドット群から形成される印字パターンを示し、テキスト印字、ベタ印字も含める。
【0040】
1.2.1.第1実施形態
第1実施形態は、第1画像記録モードと、第2画像記録モードと、を実行して、記録媒体上に所定の画像を記録する態様である。なお、本発明において、クリア画像とは、樹脂インクによって形成される画像のことをいう。
【0041】
図3は、第1画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図3(A)は、第1画像記録モードによって、第1領域および第2領域に白色系インク組成物からなる白色画像(W)の記録された記録媒体Pの上面を示す図である。また、図3(B)は、図3(A)のB−B’断面を表す図である。
【0042】
図4は、第2画像記録モードによってカラー画像およびクリア画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図4(A)は、第2画像記録モードによって、第1領域にカラーインク組成物および樹脂インク組成物からなるカラー画像(Co+Cl:Co+Clはカラーインクと樹脂インクとが混ざった画像である)が記録され、第2領域に樹脂インク組成物からなるクリア画像(Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図4(B)は、図4(A)のB−B’断面を表す図である。
【0043】
図3および図4に示すように、第1実施形態によって、記録媒体Pの第1領域には、白色系インク組成物からなる白色画像(W)と、該白色画像(W)上にカラーインク組成物および樹脂インク組成物からなるカラー画像(Co+Cl)と、が記録される。また、記録媒体Pの第1領域と異なる第2領域には、白色系インク組成物からなる白色画像(W)と、該白色画像(W)上に樹脂インク組成物からなるクリア画像(Cl)と、が記録される。
【0044】
以下、各モードについて詳細に説明する。なお、本発明において、白色系インク組成物を「白色系インク」、カラーインク組成物を「カラーインク」、樹脂インク組成物を「樹脂インク」、と省略して記載する場合がある。
【0045】
(1)第1画像記録モード
第1画像記録モードは、ノズル孔から後述する白色系インクを吐出させ、該白色系インクを記録媒体の第1領域および第2領域に付着させて、画像を記録する態様である。
【0046】
図1のプリンター1を用いると、第1画像記録モードは、次のように実施される。まず、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Aのノズル孔17から白色系インクの液滴を吐出(白色系インクのみを吐出、又は、樹脂インクと実質的同一時に吐出させずに白色インクを吐出)させて、記録媒体Pの第1領域および第2領域に付着させる。このとき、第1領域への画像の記録と、第2領域への画像の記録とは、キャリッジ4の同一走査時に行われる。
【0047】
これにより、記録媒体Pの第1領域および第2領域には、白色系インクからなる白色画像(W)が記録される(図3(A)、図3(B))。
【0048】
(2)第2画像記録モードおよび第3画像記録モード
第2画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、該カラーインクおよび該樹脂インクを、前記第1領域の前記白色系インク上で接触させ付着させて、画像を記録し、かつ、ノズル孔から樹脂インクを吐出させ、該樹脂インクを前記第2領域の前記白色系インク上に付着させて、画像を記録する態様である。
【0049】
本発明において「実質的に同一時」とは、一方のインクおよび他方のインクの両インクの液滴が、互いに混ざり合うことができるタイミングで吐出されることをいう。また、一方のインクが、記録媒体に着弾後に流動している状態で、他方のインクを吐出する場合を含む。さらに、例えば、ノズルを記録媒体に対して走査させてインクの吐出を行う種類の一般的なインクジェットプリンターを用いる場合、1回の走査(以下、「1回のパス」ともいう。)内で一方のインクおよび他方のインクの両者により、一の特定画像を形成するときをいう。したがって、両方のインクを全く同時に吐出する場合の他、1回のパス内において一方のインクを吐出した後に他方のインクを吐出する場合についても、「実質的に同一時」に含まれる。
【0050】
第2画像記録モードは、図1のプリンター1を用いる場合には、次のように実施される。上記の第1画像記録モードに続いて、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Bのノズル孔17からカラーインク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。
【0051】
これにより、第1領域に記録された白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録される。また、第2領域に記録された白色画像(W)上には、樹脂インクからなるクリア画像(Cl)が記録される(つまり、実質的同一時に吐出されない)(図4(A)、図4(B))。
【0052】
ここで、第2画像記録モードにおいて、第1領域に対する画像の記録は、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、カラーインクおよび樹脂インクを白色画像上で接触させることにより行われる。こうすると、カラーインクのみを用いてカラー画像を形成した後、当該カラー画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0053】
また、第1領域へのカラー画像(Co+Cl)の記録と、第2領域へのクリア画像(W)の記録とは、同一走査時に行われる。
【0054】
第1画像記録モードおよび第2画像記録モードを実行する第1実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましい。このとき、第2画像記録モードは、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量と、第1領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂の量との合計(第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量)が、0.03mg/inch2以上となるように実施されることがより好ましく、0.1mg/inch2以上であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量が、0.03mg/inch2以上であると、記録される画像の耐擦性が一層良好となる。
【0055】
第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量は、特に限定されないが、制御部CONTによって制御できる。好ましい例としては、制御部CONTは、あらかじめ取得した画像情報に基づいて、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量を算出する。次に、算出されたカラーインクの樹脂の量を基にして、第2領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂量を算出する。そして、制御部CONTは、算出した値に基づいて、樹脂インクの吐出量やDuty値を決定する。このようにして、第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量を、所定の値に調整することができる。
【0056】
なお、第1領域に付着させるインク中に含まれる樹脂の量は、インク中の樹脂の含有量、インクの吐出量、インクのDuty値等に基づいて算出できる。
【0057】
ここで、本明細書において、「Duty値」とは、下式で算出される値である。
【0058】
duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
【0059】
また、第2領域の白色画像上に記録される樹脂インクに含まれる樹脂の量(第2領域の白色画像(W)上に記録されるクリア画像(Cl)に含まれる樹脂の総重量)は、0.03mg/inch2以上であることが好ましく、0.1mg/inch2であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。クリア画像(Cl)に含まれる樹脂の総重量が0.03mg/inch2以上であると、第2領域に記録される白色画像(W)を十分に保護することができ、白色画像の耐擦性を一層向上できる。
【0060】
なお、第2領域の白色画像(W)上に記録されるクリア画像(Cl)に含まれる樹脂の総重量は、制御部CONTによって制御される。具体的には、制御部CONTは、白色画像(W)中に含まれる樹脂量等に基づいて、樹脂インクの吐出量やDuty値を決定する。
【0061】
(3)ノズル列の分割について
上記の画像記録モードにおいて、ノズル列を所定数のノズル孔を含む群毎に分割する態様を好ましく用いることができる。
【0062】
ノズル列を分割して用いる画像記録方法ついて、上記の第1画像記録モードおよび第2画像記録モードを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0063】
図5は、ノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図である。まず、第1画像記録モードにおいて、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクの液滴を吐出させる。これにより、記録媒体Pの第1領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第1の白色画像が記録され、記録媒体Pの第2領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第2の白色画像が記録される(図5(A))。
【0064】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第1群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第2画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1の白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第1のカラー画像が記録され、第2の白色画像上には、樹脂インクからなる第1のクリア画像が記録される(図5(B))。
【0065】
また、上記の第2画像記録モードのキャリッジの走査時には、第1画像記録モードが再度実行される。この場合において、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクの液滴を吐出させる。これにより、第1の白色画像が記録されていない第1領域(第1領域の副走査方向の上流側)には、第3の白色画像が記録される。また、第2の白色画像が記録されていない第2領域(第2領域の副走査方向の上流側)には、第4の白色画像が記録される(図5(B))。
【0066】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第2群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第2画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第3の白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第2のカラー画像が記録され、第4の白色画像上には、樹脂インクからなる第2のクリア画像が記録される(図5(C))。
【0067】
このように、ノズル列を分割して利用する場合にも、第1実施形態における画像の記録を行うことができる。ノズル列を分割することで、高速に記録することができる。また、記録媒体をバックフィードした場合は、印刷位置ズレが生じる可能性が高いので、バックフィードを行わない若しくはその回数を減らせる点でも有効である。
【0068】
第1実施形態によれば、第1画像記録モードおよび第2画像記録モードの2回のモードを実施することで、耐擦性に優れた画像を記録することができる。それゆえ、第1の実施形態では、白色画像の記録・カラー画像の記録・クリア画像という3回のモードを実施するよりも、画像の記録を高速に行うことができる。
【0069】
(4)その他
第1実施形態では、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量が0.03mg/inch2以上となる場合には、第2画像記録モードに代えて、第3画像記録モードが実行されてもよい。
【0070】
第3画像記録モードは、第1領域の白色画像上にカラーインクのみ吐出させ若しくはカラーインクと樹脂インクを実質的同一時に吐出させず、該第1領域の白色画像上にカラーインクのみからなるカラー画像を記録する以外は、第2画像記録モードと同様である。
【0071】
具体的には、第3画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクを吐出させ、該カラーインクを第1領域の白色画像上に付着させて、カラー画像を記録し、かつ、前記ノズル孔から樹脂インクを吐出させ、該樹脂インクを前記第2領域の白色画像上に付着させて、クリア画像を記録する態様である。
【0072】
第2画像記録モードから第3画像記録モードへの切り替えは、制御部CONTが算出した値に基づき実行される。この場合、制御部CONTは、あらかじめ取得した画像情報に基づいて、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量を算出して、算出した値に基づいて、モードの切り替えを実行することが好ましい。
【0073】
なお、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量は、カラーインクの樹脂の含有量、カラーインクの吐出量、カラーインクのDuty値等に基づいて算出できる。
【0074】
第1実施形態において、第3画像記録モードを備えていると、記録されるカラー画像によっては、樹脂インクを使用しなくてよい場合がある。そのため、樹脂インクの消費量を低減できる。
【0075】
1.2.2.第2実施形態
第2実施形態は、第4画像記録モードと、第5画像記録モードと、を実行して、記録媒体上に所定の画像を記録する態様である。
【0076】
図6は、第4画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図6(A)は、第4画像記録モードによって、第1領域に白色系インクからなる白色画像(W)が記録され、第2領域に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図6(B)は、図6(A)のB−B’断面を表す図である。
【0077】
図7は、第5画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図7(A)は、第5画像記録モードによって、第1領域にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図7(B)は、図7(A)のB−B’断面を表す図である。
【0078】
図6および図7に示すように、第2実施形態によって、記録媒体Pの第1領域には、白色系インクからなる白色画像(W)(例えば、実質的同一時に吐出されずに記録された画像)と、該白色画像(W)上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)と、が記録される。また、記録媒体Pの第1領域と異なる第2領域には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される。
【0079】
以下、各モードについて詳細に説明する。
【0080】
(1)第4画像記録モード
第4画像記録モードでは、ノズル孔から白色系インクを吐出させ、該白色系インクを記録媒体の第1領域に付着させて、画像を記録し、かつ、ノズル孔から前記白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域とは異なる前記記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0081】
図1のプリンター1を用いると、第4画像記録モードは、次のように実施される。まず、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Aのノズル孔17から白色系インク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1領域上には、白色系インクからなる白色画像(W)が記録される。また、第2領域上には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される(図6(A)、図6(B))。
【0082】
ここで、第4画像記録モードにおいて、第2領域に対する画像の記録は、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、白色系インクおよび樹脂インクを記録媒体P上で接触させることにより行われる。こうすると、白色系インクのみを用いて白色画像を形成した後、当該白色画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0083】
また、第1領域への白色画像(W)の記録と、第2領域への白色画像(W+Cl)の記録は、同一走査時に行われる。
【0084】
また、第2領域に吐出された白色系インクと樹脂インクとに含まれる樹脂の総量は、0.03mg/inch2が好ましく、0.06mg/inch2以上であることがより好ましい。白色画像(W+Cl)に含まれるクリア(Cl)の樹脂の量が0.03mg/inch2以上であると、当該白色画像(W+Cl)の耐擦性を一層向上できる。
【0085】
(2)第5画像記録モード
第5画像記録モードは、ノズル孔からカラーインク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0086】
第5画像記録モードは、図1のプリンター1を用いる場合には、次のように実施される。上記の第4画像記録モードに続いて、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Bのノズル孔17からカラーインク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。
【0087】
これにより、第1領域に記録された白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録される(図7(A)、図7(B))。
【0088】
ここで、第5画像記録モードにおいて、第1領域に対する画像の記録は、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、カラーインクおよび樹脂インクを白色画像(W)上で接触させることにより行われる。こうすると、カラーインクのみを用いてカラー画像を形成した後、当該カラー画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0089】
第4画像記録モードおよび第5画像記録モードを実行する第2実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましく、0.1mg/inch2以上であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。このとき、第5画像記録モードは、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量と、第1領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂の量との合計(第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量)が、0.03mg/inch2以上となるように実施されることがより好ましい。第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量が、0.03mg/inch2以上であると、記録される画像の耐擦性が一層良好となる場合がある。
【0090】
第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量の調整は、第1実施形態と同様にできるので、その説明を省略する。
【0091】
(3)ノズルの分割について
上記の画像記録モードにおいて、ノズル列を所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いることができる。
【0092】
ノズル列を分割して用いる画像記録方法ついて、上記の第4画像記録モードおよび第5画像記録モードを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0093】
図8は、ノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図である。第4画像記録モードにおいて、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクを吐出させ、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インク組成物を吐出させる。これにより、記録媒体Pの第1領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第1の白色画像(W)が記録され、記録媒体Pの第2領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第2の白色画像(W+Cl)が記録される(図8(A))。
【0094】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第1群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第5画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1の白色画像(W)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第1のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図8(B))。
【0095】
また、上記の第5画像記録モードのキャリッジの走査時には、第4画像記録モードが再度実行される。この場合において、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクが吐出され、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インクが吐出される。これにより、第1の白色画像(W)が記録されていない第1領域(第1領域おける副走査方向の上流側)には、第3の白色画像(W)が記録される。また、第2の白色画像(W+Cl)が記録されていない第2領域(第2領域における副走査方向の上流側)には、第4の白色画像(W+Cl)が記録される(図8(B))。
【0096】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第2群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第5画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第3の白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第2のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図8(C))。
【0097】
このように、ノズル列を分割して使用する場合にも、第2実施形態における画像の記録を行うことができる。
【0098】
第2実施形態によれば、第4画像記録モードおよび第5画像記録モードの2回のモードを実施することで、耐擦性に優れた画像を記録することができる。それゆえ、第2実施形態は、白色画像の記録・カラー画像の記録・クリア画像という3回のモードを実施するよりも、画像の記録を高速に行うことができる。
【0099】
第2実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましい。
【0100】
(4)その他
第2実施形態では、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量が0.03mg/inch2以上となる場合には、第5画像記録モードに代えて、第6画像記録モードが実行されてもよい。
【0101】
第6画像記録モードは、第1領域の白色画像上にカラーインクのみを吐出させて、該第1領域の白色画像上にカラーインクのみからなるカラー画像を記録する以外は、第5画像記録モードと同様である。
【0102】
具体的には、第6画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクを吐出させ、該カラーインクを第1領域の白色系インク上に付着させて画像を記録する態様である。
【0103】
第5画像記録モードから第6画像記録モードへの切り替えは、上述した第2画像記録モードから第3画像記録モードへの切り替えと同様に行うことができるので、説明を省略する。
【0104】
第2実施形態において、第6画像記録モードを備えていると、記録されるカラー画像によっては、樹脂インクを使用しなくてよい場合がある。そのため、樹脂インクの消費量を低減できる。
【0105】
1.2.3.第3の実施形態
第3実施形態は、第7画像記録モードと、第8画像記録モードと、を実行して、記録媒体上に所定の画像を記録する態様である。
【0106】
図9は、第7画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図9(A)は、第7画像記録モードによって、第1領域に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録され、第2領域に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図9(B)は、図9(A)のB−B’断面を表す図である。
【0107】
図10は、第8画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図10(A)は、第8画像記録モードによって、第1領域にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図10(B)は、図10(A)のB−B’断面を表す図である。
【0108】
図9および図10に示すように、第3実施形態によって、記録媒体Pの第1領域には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)と、該白色画像(W+Cl)上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)と、が記録される。また、記録媒体Pの第1領域と異なる第2領域には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される。
【0109】
以下、各モードについて詳細に説明する。
【0110】
(1)第7画像記録モード
第7画像記録モードは、ノズル孔から白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、該白色系インクおよび該樹脂インクを、記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる該記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0111】
図1のプリンター1を用いると、第7画像記録モードは、次のように実施される。まず、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Aのノズル孔17から白色系インク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1領域および第2領域上には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される(図9(A)、図9(B))。
【0112】
ここで、第7画像記録モードにおいて、第1領域および第2領域への画像の記録は、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、白色系インクおよび樹脂インクを記録媒体P上で接触させることにより行われる。こうすると、白色系インクのみを用いて白色画像を形成した後、当該白色画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。そのため、印刷速度を速くすることができる。
【0113】
また、第2領域に吐出された白色系インクと樹脂インクとに含まれる樹脂の総量は、0.03mg/inch2が好ましく、0.06mg/inch2以上であることがより好ましい。白色画像(W+Cl)に含まれる樹脂の総量が0.03mg/inch2以上であると、当該白色画像(W+Cl)の耐擦性を一層向上できる。
【0114】
(2)第8画像記録モード
第8画像記録モードは、ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0115】
第8画像記録モードは、図1のプリンター1を用いる場合には、次のように実施される。上記の第7画像記録モードに続いて、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Bのノズル孔17からカラーインク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。
【0116】
これにより、第1領域に記録された白色画像(W+Cl)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録される(図9(A)、図9(B))。
【0117】
ここで、第8画像記録モードにおいて、第1領域に対する画像の記録は、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、カラーインクおよび樹脂インクを白色画像(W+Cl)上で接触させることにより行われる。こうすると、カラーインクのみを用いてカラー画像を形成した後、当該カラー画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0118】
第7画像記録モードおよび第8画像記録モードを実行する第3実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましい。このとき、第8画像記録モードは、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量と、第1領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂の量との合計(第1領域の白色画像(W+Cl)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量)が、0.03mg/inch2以上となるように実施されることが好ましく、0.1mg/inch2以上であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量が、0.03mg/inch2以上であると、記録される画像の耐擦性が一層良好となる場合がある。
【0119】
第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量の調整は、第1実施形態と同様にできるので、その説明を省略する。
【0120】
(3)ノズルの分割について
上記の画像記録モードにおいて、ノズル列を所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いることができる。
【0121】
ノズル列を分割して用いる画像記録方法ついて、上記の第7画像記録モードおよび第8画像記録モードを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0122】
図11は、ノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図である。第7画像記録モードにおいて、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インクを吐出させる。これにより、記録媒体Pの第1領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第1の白色画像(W+Cl)が記録され、記録媒体Pの第2領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第2の白色画像(W+Cl)が記録される(図11(A))。
【0123】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第1群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第8画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1の白色画像(W+Cl)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第1のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図11(B))。
【0124】
また、上記の第8画像記録モードのキャリッジの走査時には、第7画像記録モードが再度実行される。この場合において、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクが吐出され、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インクが吐出される。これにより、第1の白色画像(W+Cl)が記録されていない第1領域(第1領域の副走査方向の上流側)には、第3の白色画像(W+Cl)が記録される。また、第2の白色画像(W+Cl)が記録されていない第2領域(第2領域の副走査方向の上流側)には、第4の白色画像(W+Cl)が記録される(図11(B))。
【0125】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第2群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第8画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第3の白色画像(W+Cl)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第2のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図8(C))。
【0126】
このように、ノズル列を分割して使用する場合にも、第3実施形態における画像の記録を行うことができる。
【0127】
第3実施形態によれば、第7画像記録モードおよび第8画像記録モードの2回のモードを実施することで、耐擦性に優れた画像を記録することができる。それゆえ、第3実施形態では、白色画像の記録・カラー画像の記録・クリア画像という3回のモードを実施するよりも、画像の記録を高速に行うことができる。
【0128】
(4)その他
第3実施形態では、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量が0.03mg/inch2以上となる場合には、第8画像記録モードに代えて、第9画像記録モードが実行されてもよい。
【0129】
第9画像記録モードは、第1領域の白色画像上にカラーインクのみを吐出させて、該第1領域の白色画像上にカラーインクのみからなるカラー画像を記録する以外は、第8画像記録モードと同様である。
【0130】
具体的には、第9画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクを吐出させ、該カラーインクを第1領域の白色系インクおよび樹脂インク上に付着させて画像を記録する態様である。
【0131】
第8画像記録モードから第9画像記録モードへの切り替えは、上述した第2画像記録モードから第3画像記録モードへの切り替えと同様に行うことができるので、説明を省略する。
【0132】
第3実施形態において、第9画像記録モードを備えていると、記録されるカラー画像によっては、樹脂インクを使用しなくてよい場合がある。そのため、樹脂インクの消費量を低減できる。
【0133】
1.3.インク組成物
本実施形態に係るインクジェット記録装置に使用するインク組成物は、白色系インク組成物、カラーインク組成物および樹脂インク組成物からなる。以下、各インク組成物に含まれる成分について説明する。
【0134】
1.3.1.白色系インク組成物
「白色系インク」とは、社会通念上「白」と呼称される色を記録できるインク(インキ)であり、微量着色されているものも含む。また、その顔料を含有するインク(インキ)が「白色インク(インキ)、ホワイトインク(インキ)」などといった名称で呼称、販売されるインク(インキ)を含む。さらに、例えば、インク(インキ)が、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に100%duty以上又は写真用紙の表面が十分に被覆される量で記録された場合に、インクの明度(L*)および色度(a*、b*)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測した場合に、70≦L*≦100、−4.5≦a*≦2、−6≦b*≦2.5、の範囲を示す、インク(インキ)を含む。
【0135】
本実施形態の白色系インクは、白色とは限らない記録媒体(例えば、プラスチックや金属)に対して画像を記録するために用いられる場合がある。このような場合に、白色系インクは、記録媒体の色を消したり、カラー画像の透過性を下げたりするために、下地層の形成に用いられる。
【0136】
次に、白色系インクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0137】
(1)白色系色材
本実施形態に係る白色系インクは、白色系色材を含有する。白色系色材としては、例えば金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色系色材には、中空構造を有する粒子を含み、中空構造を有する粒子としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。中空構造を有する粒子としては、例えば、米国特許第4,880,465号などの明細書に記載されている粒子を好ましく用いることができる。本実施形態の白色系インクに含有される白色系色材としては、これらの中でも、白色度および耐擦性の観点から、二酸化チタンが好ましい。
【0138】
白色系色材の含有量(固形分)は、白色系インクの全質量に対して、好ましくは1%以上20%以下であり、より好ましくは5%以上15%以下である。白色系色材の含有量が上記範囲を超えると、インクジェット記録装置のノズル詰まり等が発生する場合がある。一方、白色系色材の含有量が上記範囲未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向がある。
【0139】
白色系色材の体積基準の平均粒子径(以下、「平均粒子径」という。)は、好ましくは30nm以上600nm以下であり、より好ましくは200nm以上400nm以下である。白色系色材の平均粒子径が前記範囲を超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なったり、インクジェット記録装置に適用した際にノズルの目詰まり等が発生することがある。一方、白色系色材の平均粒子径が前記範囲未満であると、白色度が不足する傾向にある。
【0140】
白色系色材の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。
【0141】
(2)その他の成分
(樹脂)
白色系インクは、樹脂を含有することができる。樹脂の機能の一つとしては、白色系インクを記録媒体に定着させることが挙げられる。樹脂の含有量(固形分量)は、白色系インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。白色系インクに含まれる樹脂の含有量が上記範囲にあることで、白色系インクのノズル詰まりを好ましく防止できる。また、白色系インクに含まれる樹脂の含有量が上記範囲、とりわけ上限を超えずにあることで、白色画像のヒビ割れや、白色画像上に形成されるカラー画像のヒビ割れ等の発生を低減できる場合がある。
【0142】
樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂や、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0143】
上記の例示した樹脂の中でも、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィンワックスを好ましく用いることができる。
【0144】
ポリエステル系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、Eastek1100、1300、1400(以上商品名、イーストマンケミカルジャパン社製)、エリーテルKA−5034、KA−3556、KA−1449、KT−8803、KA−5071S、KZA−1449S、KT−8701、KT9204(以上商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
【0145】
スチレンアクリル系樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを利用してもよい。スチレンアクリル系樹脂の市販品としては、ジョンクリル62J(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0146】
ポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、画像のヒビ割れの発生を低減できるという観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0147】
ポリオレフィンワックスの市販品としては、「ケミパールW4005」(三井化学株式会社製、ポリエチレン系ワックス、粒径200〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%)等のケミパールシリーズが挙げられる。その他、AQUACER513(ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER840(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE-2213、ハイテックE-9460、ハイテックE-9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上、東邦化学株式会社製)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(サンノプコ社製、ポリエチレンエマルジョン、粒径40nm)等が挙げられる。これらは、常法によりポリオレフィンワックスを水中に分散させた水系エマルジョンの形態で市販されている。本実施形態に係る白色系インクにおいては、水系エマルジョンの形態のまま直接添加することができる。
【0148】
ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
【0149】
(有機溶媒)
白色系インクは、有機溶媒を含有することができる。白色系インクには、複数種の有機溶媒が含有されていてもよい。白色系インクに用いる有機溶媒としては、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体等が挙げられる。
【0150】
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、被記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、被記録媒体上に優れた画像を形成することができる。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0151】
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、白色系インクをインクジェット記録装置に用いた場合に、ヘッドのノズル面でのインクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0152】
ピロリドン誘導体として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂の良好な溶解剤として作用することができる。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
【0153】
(界面活性剤)
白色系インクは、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
【0154】
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。シリコン系界面活性剤は、被記録媒体上で白色系インクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有するという観点から好ましく用いることができる。シリコン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
【0155】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、DF110D、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力および界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。アセチレン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、白色系インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0156】
(水)
白色系インクは、水を50%以上含有する、いわゆる水系インクであってもよい。水系インクは、非水系(溶剤系)インク(例えば、記録物に用いるインクとしては米国特許出願公開第2007/0044684号明細書に記載されたインクを参照)に比べて、記録ヘッドに用いられているピエゾ素子や、被記録媒体に含まれる有機バインダー等への反応性が弱いので、これらを溶かしたり、腐食させたりすることを低減できる場合がある。また、水系インクは、高沸点・低粘度の溶剤を多く含有する非水系インクに比べて、乾燥性に優れた画像を形成することができる場合がある。さらに、水系インクは、溶剤系インクに比べて、臭気も抑えられており、かつ、その組成の50%以上が水であるので環境にも良いという利点がある。
【0157】
(その他)
本実施形態に係る白色系インクは、さらに、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有することができる。本実施形態に係る白色系インクは、これらの化合物を含有していると、その特性がさらに向上する場合がある。
【0158】
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0159】
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
【0160】
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0161】
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
【0162】
本実施形態に係る白色系インクは、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0163】
1.3.2.カラーインク組成物
本実施形態に係るカラーインク組成物(以下、単に「カラーインク」ともいう。)は、前述の白色系色材以外の色材(以下、単に「色材」ともいう。)と、樹脂と、を含有する。
【0164】
(1)色材
色材としては、例えば、染料、顔料等が挙げられる。色材の含有量は、カラーインク全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
【0165】
染料および顔料は、米国特許出願公開2010/0086690号明細書、米国特許出願公開2005/0235870号明細書、国際公開第2011/027842に記載されているもの等を好適に用いることができる。染料および顔料のうち、顔料を含むことが一層好ましい。顔料は、耐光性、耐候性、耐ガス性などの保存安定性の観点から有機顔料であることが好ましい。
【0166】
具体的には、顔料は、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料、染料キレート、染色レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが用いられる。上記顔料は、1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。
【0167】
また、染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0168】
(2)樹脂
カラーインクは、樹脂を含有する。樹脂の機能としては、例えば、カラーインクを記録媒体に定着させたり、カラーインク中の色材の分散性を向上させたりすることが挙げられる。
【0169】
樹脂の含有量は、カラーインクの全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上7質量%以下である。カラーインク中の樹脂の含有量が上記範囲内にあると、上記の樹脂の機能が良好に発揮される。
【0170】
カラーインクに含まれる樹脂としては、上述した白色系インクの説明で例示した樹脂を用いることができる。
【0171】
(3)その他の成分
カラーインクは、上記以外の成分を含有することができる。カラーインクに使用可能な成分としては、上記「1.3.1.(2)その他の成分」で挙げた成分と同様であるので、その説明を省略する。
【0172】
1.3.3.樹脂インク組成物
本実施形態に係る樹脂インク組成物(以下、単に「樹脂インク」ともいう。)は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。本実施形態に係る樹脂インクは、色材を実質的に含有していないので、無色透明または無色半透明の液体である。なお、「色材を実質的に含有せず」とは、例えばインク中の色材の含有量が0.5質量%未満であること、より好ましくは0.1質量%未満であること、一層好ましくは0.01質量%未満、最も好ましくは0.005質量%未満であることをいう。
【0173】
本実施形態に係る樹脂インクは、上記の各実施形態で述べたように、主として白色画像およびカラー画像の耐擦性を向上させるために用いられる。
【0174】
以下、樹脂インクに含まれる成分について説明する。
【0175】
(1)樹脂
樹脂インクは、樹脂を含有する。樹脂の機能の一つとしては、樹脂インクを記録媒体に定着させることが挙げられる。
【0176】
樹脂の含有量は、樹脂インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。樹脂インク中の樹脂の含有量が上記範囲内にあると、上記の樹脂の機能が良好に発揮される。
【0177】
樹脂インクに含まれる樹脂としては、上述した白色系インクの説明で例示した樹脂を用いることができる。
【0178】
(2)その他の成分
樹脂インクは、上記以外の成分を含有することができる。樹脂インクに使用可能な成分としては、上記「1.3.1.(2)その他の成分」で挙げた成分と同様であるので、その説明を省略する。
【0179】
1.3.4.インクの物性
白色系インク、カラーインクおよび樹脂インク(以下、単に「インク」ともいう。)の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。インクは、20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こすことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。インクの粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、インクの温度を20℃に保持することで測定できる。
【0180】
2.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0181】
2.1.インクの調製
表1〜表2に示す配合量で、色材、樹脂成分、1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、プロピレングリコール、界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過、真空ポンプを用いて脱気処理をして、以下の評価に用いる白色系インク(Wインク)、カラーインク(Coインク)および樹脂インク(Clインク)を調製した。
【0182】
なお、カラーインクの調製にあたって、顔料(色材)をあらかじめ分散させた顔料分散液を用いた。顔料分散液は、次のようにして調製した。まず、撹拌装置、還流管、温度センサー、滴下ロートを備えた2000mlのセパラブルフラスコ内を充分に窒素置換した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部をセパラブルフラスコに入れて攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、滴下ロートにジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部、シクロヘキシルアクリレート(以下、「CHA」と呼ぶ)483.0質量部、メタクリル酸(以下、「MAA」と呼ぶ)66.6質量部、アクリル酸(以下、「AA」と呼ぶ)50.4質量部及びt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(以下、「BPEH」と呼ぶ)4.8質量部を入れ、80℃で4時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下した。滴下終了後、80℃で1時間保持した後、BPEH0.8質量部を加え、さらに80℃で1時間反応を行った。熟成を終了させた後、減圧蒸留によりジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した。その後、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と呼ぶ)600.0質量部を加え、樹脂固形分50%のインクジェットインク用ポリマー組成物溶液を得た。このようにして得られたインクジェットインク用ポリマー組成物溶液の一部を取り、105℃の強熱乾燥機で1時間乾燥した後、得られたインクジェットインク用ポリマー組成物の固形物の酸価は130mgKOH/gであり、重量平均分子量は34,000であった。次に、インクジェットインク用ポリマー組成物溶液120.0質量部に対して30%水酸化ナトリウム水溶液6.0質量部を加えて、高速ディスパーで5分間攪拌し、さらに顔料濃度25質量%のC.I.ピグメントブルー15:3を含む分散液を、480.0質量部を加えて、高速ディスパーで1時間攪拌し、顔料分散液を得た。
【0183】
また、白色系インクの調製にあたって、二酸化チタン(色材)をあらかじめ分散させた二酸化チタン分散液を用いた。二酸化チタン分散液は、次のようにして調製した。まず、ガラス転移温度40℃、質量平均分子量10,000、酸価150mgKOH/gの固形アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体の25質量部をジエチレングリコールジエチルエーテル75質量部の混合溶液に溶解させて、樹脂固形分25質量%の高分子分散剤溶液を得た。次に、前記高分子分散剤溶液の36質量%にジエチレングリコールジエチルエーテル19質量%を加え混合し、二酸化チタン分散用樹脂ワニスを調製し、さらに二酸化チタン(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Slurry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリー)45質量%を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、二酸化チタン分散液を得た。
【0184】
なお、表1〜表2おけるインク組成の単位は、いずれも、質量%であり、二酸化チタン顔料および樹脂についてはいずれも固形分換算した値である。表1〜表2に記載の成分は、具体的には、以下のものを用いた。
(色材)
・二酸化チタン顔料(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Slurry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリー)
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
(樹脂)
・ポリエステル系樹脂(ユニチカ株式会社製、商品名「KT−8803」)
・スチレンアクリル系樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリル62J」)
・ポリエチレン系ワックス(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「AQUACER513」、平均粒子径150nm)
(その他の成分)
・界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」、シリコン系界面活性剤)
・1,2−ヘキサンジオール
・2−ピロリドン
・プロピレングリコール
・イオン交換水
【0185】
2.2.インクジェットプリンター
以下の評価試験には、インクジェット記録装置として、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン株式会社製、ノズル解像度:180dpi)の紙案内部に温度が可変できるヒーターを取り付けて改造したものを用いた。
【0186】
次に、表1〜表2に記載の白色系インク、カラーインク、樹脂インクを、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−G930」)専用のインクカートリッジにそれぞれ充填して、当該インクカートリッジを上記の改造したプリンターに装着した。
【0187】
なお、上記プリンターのインクの吐出量は、Duty100%におけるインクの吐出量を15mg/inch2に設定した。
【0188】
2.3.評価試験
実施例および比較例の評価試験用サンプルの作成にあたって、画像の記録条件を以下のように設定した。
【0189】
(条件a)
条件aは、上述した第1実施形態を実行するものである。
【0190】
(条件b)
条件bは、上述した第1実施形態の第2画像記録モードに代えて、第3画像記録モードを実施する以外は、上述した第1実施形態と同様にするものである。
【0191】
(条件c)
条件cは、上述した第2実施形態を実行するものである。
【0192】
(条件d)
条件dは、上述した第2実施形態の第5画像記録モードに代えて、第6画像記録モードを実施する以外は、上述した第2実施形態と同様にするものである。
【0193】
(条件e)
条件eは、上述した第3実施形態を実行するものである。
【0194】
(条件f)
条件fは、上述した第1画像記録モードを実行した後、第6画像記録モードを実行させるものである。つまり、条件fでは、第2領域に記録された白色画像上には、いずれの画像も記録されない。
【0195】
(条件g)
条件gは、上述した第1画像記録モードを実行した後、第6画像記録モードを実行し、これにより記録された第1領域および第2領域の画像上に、樹脂インクを付着させて、クリア画像を印刷するものである。
【0196】
2.3.1.実施例1
実施例1の評価サンプルは、条件aによって作製した。
【0197】
(第1画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0198】
(第2画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像を印刷し、かつ、樹脂インクを吐出させて、第2領域の白色画像上に樹脂インクからなるクリア画像を印刷した。なお、第1領域へのカラー画像の記録と、第2領域へのクリア画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0199】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0200】
このようにして、実施例1の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0201】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体には、ルミラー(R) S10−100μm(東レ株式会社製、透明PETフィルム)を用いた。
【0202】
2.3.2.実施例2
実施例2の評価サンプルは、条件bによって作製した。
【0203】
(第1画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0204】
(第3画像記録モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクをキャリッジの同一走査時に吐出させた。これにより、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷し、第2領域の白色画像上に樹脂インクからなるクリア画像を印刷した。
【0205】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0206】
このようにして、実施例2の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0207】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0208】
2.3.3.実施例3
実施例3の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを50%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、実施例3の評価サンプルを得た。
【0209】
2.3.4.実施例4
実施例4の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを60%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、実施例4の評価サンプルを得た。
【0210】
2.3.5.実施例5
実施例5の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを100%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、実施例5の評価サンプルを得た。
【0211】
2.3.6.実施例6
実施例6の評価サンプルは、条件cによって作製した。
【0212】
(第4画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷し、かつ、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、記録媒体の第2領域上に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0213】
(第5画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像を印刷した。
【0214】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0215】
このようにして、実施例6の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0216】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0217】
2.3.7.実施例7
実施例7の評価サンプルは、条件dによって作製した。
【0218】
(第4画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷し、かつ、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、記録媒体の第2領域上に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0219】
(第6画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷した。
【0220】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0221】
このようにして、実施例7の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0222】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、100%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0223】
2.3.8.実施例8
実施例8の評価サンプルは、条件eによって作製した。
【0224】
(第7画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像を印刷した。
【0225】
(第8画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像を印刷した。
【0226】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0227】
このようにして、実施例8の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0228】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0229】
2.3.9.比較例1
比較例1の評価サンプルは、条件fによって作製した。
【0230】
(第1画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0231】
(第6画像記録モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷した。
【0232】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0233】
このようにして、比較例1の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0234】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0235】
2.3.10.比較例2
比較例2の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを100%にした以外は、比較例1と同様にした。これにより、比較例2の評価サンプルを得た。
【0236】
2.3.11.比較例3
比較例3の評価サンプルは、条件gによって作製した。
【0237】
(第1画像記録モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0238】
(第6画像記録モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷した。
【0239】
(その他の画像記録モード)このようにして得られた白色画像およびカラー画像の記録された記録媒体を、再びプリンターに通紙した。そして、樹脂インクを吐出させて、第1領域のカラー画像上および第2領域の白色画像上に、樹脂インクからなるクリア画像を印刷した。
【0240】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0241】
このようにして、比較例3の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0242】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0243】
2.3.12.比較例4
比較例4の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを80%にした以外は、比較例3と同様にした。これにより、比較例4の評価サンプルを得た。
【0244】
2.3.13.比較例5
比較例5の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを5%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、比較例5の評価サンプルを得た。
【0245】
2.4.評価試験
2.4.1.第1領域の耐擦性評価
得られた評価サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥した。その後、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g,摩擦回数10回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と、記録媒体の第1領域とを擦り合わせ、画像の表面状態を目視にて観察した。なお、評価基準は以下の通りである。
A:印刷面に傷および剥がれがない
B:印刷面に傷は認められるが、剥がれはない
C:印刷面に傷および剥がれが認められる
【0246】
2.4.2.第2領域の耐擦性評価
第1領域の耐擦性の評価と同様の条件で、記録媒体の第2領域の耐擦性の評価試験を行った。なお、評価基準は以下の通りである。
A:印刷面に傷および剥がれがない
B:印刷面に傷は認められるが、剥がれはない
C:印刷面に傷および剥がれが認められる
【0247】
2.4.3.印刷スピードの評価
印刷スピードの評価は、記録媒体を通紙した回数をカウントすることにより行った。評価基準は以下の通りである。
A:通紙回数が1回
B:通紙回数が2回
C:通紙回数が3回
【0248】
2.5.評価結果
以上の評価結果を表1〜表2に併せて示す。
【0249】
なお、表中の「T1(mg/inch2)」は、第1領域の白色画像上に記録された画像に含まれる樹脂の総重量を示す。また、表中の「T2(mg/inch2)」は、第2領域の白色画像上に記録された画像に含まれる樹脂の総重量を示す。T1およびT2は、Duty100%時のインクの吐出量(15mg/inch2)に、Duty値およびインク中の樹脂含有率を乗じることによって算出した。
【0250】
また、表1中の実施例6〜実施例8のT2の欄における括弧内の数値は、樹脂インクに由来する樹脂の総重量(mg/inch2)を示すものである。
【0251】
【表1】
【0252】
【表2】
【0253】
表1〜表2の評価結果に示すように、実施例1〜実施例8の評価サンプルの作製によって得られた画像(記録媒体の第1領域および第2領域に記録された画像)は、耐擦性に優れ、良好であることが示された。また、実施例1〜実施例8の評価サンプルの作製は、いずれも、記録媒体の通紙を2回で行うことができ、高速に行えることが示された。
【0254】
一方、比較例1および比較例2は、条件fを用いて画像を印刷した。条件fは、第2領域の白色画像の形成時に樹脂インクを用いるものではなく、第2領域上に形成された白色画像上にクリア画像の印刷を行うものでもない。そのため、第2領域における白色画像の耐擦性に優れていなかった。
【0255】
また、比較例3および比較例4は、条件gを用いて画像を印刷した。条件gは、画像の印刷に際して、記録媒体を3回通紙する。そのため、印刷スピードに優れないものであった。
【0256】
比較例5は、条件bを用いて画像を印刷した。しかしながら、第1領域の白色画像上に記録されたカラー画像に含まれる樹脂の総重量(T1)が、0.03mg/inch2未満であった。そのため、カラー画像の耐擦性に優れない記録物が得られた。
【0257】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0258】
1…プリンター、2…ヘッド、3…インクカートリッジ、4…キャリッジ、5…プラテン、7…キャリッジ移動機構、8…媒体送り機構、15…ノズル面、16…複数のノズル列、16A(16B,16C)…ノズル列、17…ノズル孔、CONT…制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクを液滴として吐出するノズル孔を有するインクジェット記録装置が知られている。このようなインクジェット記録装置を用いて所望の画像を得るために、近年、多様な種類のインクが用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、色材を含有するインク組成物(以下、「カラーインク組成物」ともいう。)を用いて記録媒体に画像を記録した後、色材を含有しないインク組成物(以下、「樹脂インク組成物」ともいう。)で画像をコーティングする方法が記載されている。
【0004】
一方、インクのうち白色顔料を含有する白色系インク組成物は、例えばプラスチック製品や金属製品のような下地の色が白色とは限らない記録媒体にカラー画像を記録する場合において、カラー画像の発色性を向上させるべく下地の色を消す用途に使用されることがある。また、透明シートにカラー画像を記録する場合にあっては、カラー画像の透過性を下げる白色遮蔽層の形成に用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−195451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録媒体上に白色系インク組成物からなる白色画像を記録した後に、白色画像上にカラーインク組成物からなるカラー画像を形成し、さらに、カラー画像の耐擦性を向上させるために、カラー画像を樹脂インク組成物でコーティングすると、画像の記録速度が低下する場合があった。この場合、具体的には、白色画像の記録・カラー画像の記録・樹脂組成物のコーティングのために、少なくとも記録媒体を3回通紙させる必要があった。
【0007】
また、記録媒体上において、白色画像のみが記録されており、カラー画像およびクリア画像の記録されていない領域は、耐擦性が不十分な場合があった。
【0008】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる第2領域に付着させて、画像を記録する第1画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させて付着させ、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第2画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、樹脂と、前記白色系色材以外の色材と、を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。
【0011】
適用例1に記載の態様によれば、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できる。
【0012】
[適用例2]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域とは異なる前記記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第4画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第5画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。
【0013】
適用例2に記載の態様によれば、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できる。
【0014】
[適用例3]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを制御して実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる該記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第7画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第8画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。
【0015】
適用例3に記載の態様によれば、画像の記録速度が速く、耐擦性に優れた画像を記録できる。
【0016】
[適用例4]
適用例1において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第2画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われることができる。
【0017】
[適用例5]
適用例4において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第1画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第2画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われることができる。
【0018】
[適用例6]
適用例1、適用例4、適用例5のいずれか1例において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第3画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第3画像記録モードは、前記第2画像記録モードに代えて行われることができる。
【0019】
[適用例7]
適用例2において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第4画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われることができる。
【0020】
[適用例8]
適用例7において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第4画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第5画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われることができる。
【0021】
[適用例9]
適用例2、適用例7、適用例8のいずれか1例において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第6画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第6画像記録モードは、前記第5画像記録モードに代えて行われることができる。
【0022】
[適用例10]
適用例3において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジと、
前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第7画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第8画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われることができる。
【0023】
[適用例11]
適用例3または適用例10において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上に付着させて、画像を記録する第9画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第9画像記録モードは、前記第8画像記録モードに代えて行われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】プリンターの構成を示す斜視図。
【図2】ヘッドのノズル面を示す概略図。
【図3】第1画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図4】第2画像記録モードによってカラー画像およびクリア画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図5】第1実施形態においてノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図。
【図6】第4画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図7】第5画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図8】第2実施形態においてノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図。
【図9】第7画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図10】第8画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図。
【図11】第3実施形態においてノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
1.インクジェット記録装置
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、複数のモードを実行させる制御部と、を有する。
【0027】
1.1.装置構成
本実施形態に係るインクジェット記録装置について、図1〜図2を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、インクジェット記録装置としてインクジェットプリンター(以下、単に「プリンター」という。)を例示する。なお、後に詳細に記載するが、本発明はこの装置構成に限定されるわけではない。
【0028】
図1は、本実施形態におけるプリンター1の構成を示す斜視図である。図1に示すプリンター1は、シリアルプリンターである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するもののことをいう。
【0029】
図1に示すように、プリンター1は、ヘッド2を搭載すると共にインクカートリッジ3を着脱可能に装着するキャリッジ4と、ヘッド2の下方に配設され記録媒体Pが搬送されるプラテン5と、キャリッジ4を記録媒体Pの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、被記録媒体Pを媒体送り方向に搬送する媒体送り機構8と、を有するものである。また、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御し、かつ、複数の画像記録モードを実行させる制御部CONTを有している。なお、上記媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)である。上記媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
【0030】
制御部CONTは、命令情報を受け付ける命令情報受付手段を有することができる。命令情報は、ユーザーによる操作受付手段(例えば、プリンター20に設けられたタッチパネルや操作ボタン、プリンター20に接続されたPC等のキーボード等)の操作に基づいて出力されて、命令情報受付手段に受け付けられる。また、命令情報としては、例えば、後述する画像記録モードの実行命令等が挙げられる。
【0031】
また、制御部CONTは、命令情報受付手段から出力された命令情報を受け付けて実行動作を行う命令実行手段を有することができる。命令実行手段は、上述したキャリッジ4、ヘッド2、キャリッジ移動機構7、媒体送り機構8等の各動作の実行タイミング等を制御したり、連携させたりする実行動作を行うことができる。
【0032】
ヘッド2は、インク組成物を微少粒径の液滴にしてノズル孔17から吐出して、記録媒体P上に付着させる。ヘッド2は、上記の機能を有すれば特に限定されず、どのようなインクジェット記録方式を用いてもよい。ヘッド2のインクジェット記録方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏光電極に与えて記録する方式またはインクの液滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
【0033】
図2は、本実施形態に係るヘッド2のノズル面15を示す概略図である。図2に示すように、ヘッド2は、ノズル面15を備える。インクの吐出面でもあるノズル面15には、複数のノズル列16が配列されている。複数のノズル列16は、ノズル列毎に、インクを吐出するためのノズル孔17を複数有する。
【0034】
複数のノズル列16は、ノズル列毎に、例えば異なる組成のインクを吐出可能になっている。図2の例では、ノズル列がインクの組成に対応して3列設けられており、各ノズル列が主走査方向に沿って配列されている。具体的には、白色系インク組成物を吐出可能なノズル列16A、カラーインク組成物を吐出可能なノズル列16B、樹脂インク組成物を吐出可能なノズル列16Cからなる。
【0035】
図2の例では、ノズル列16A〜16Cは、それぞれ、ノズル面15上で主走査方向に対して交差する副走査方向に延びているが、これに限定されず、ノズル面15内で主走査方向に対して交差する方向に角度を与えられて配置されていてもよい。
【0036】
ノズル孔17は、所定のパターンで複数配列されることにより、ノズル列を形成する。本実施形態では、ノズル孔17は、ノズル面15における副走査方向に複数並べられて配置されているが、これに限定されず、例えばノズル面15における主走査方向と直交する方向に沿ってジグザグ状に配置されていてもよい。なお、ノズル列を構成するノズル孔17の数は、特に限定されるものではい。
【0037】
複数のノズル列16は、副走査方向に向かって、所定数のノズル孔17を含む複数の領域に分割して用いることができる。図2の例では、ノズル列16A〜16Cは、副走査方向の上流側T1にある第1群と、該第1群よりも副走査方向の下流側T2にある第2群と、からなる。なお、1つの群を構成するノズル孔17の数は、特に限定されるものではない。また、群を構成するノズル孔17の数は、群毎に同一であっても、異なっていてもよい。
【0038】
上述のようにシリアルヘッドタイプのプリンター(記録装置)を中心に説明したが、この態様に限定されない。具体的には、記録ヘッドが固定化され副走査方向に順に配列されているラインヘッドタイプのプリンター、特開2002−225255号公報に記載されたようなX方向、Y方向(主走査方向、副走査方向)移動する以降機構が設けられたヘッド(キャリッジ)を備えるラテラルタイプのプリンターであっても良い。例えば、surepressL−4033A(セイコーエプソン株式会社製)は、ラテラルタイプのプリンターである。本発明においては、後述するシリアルヘッドのノズル列を分割して画像を記録する記録装置、若しくは、ラテラルタイプの記録装置が、先に吐出される白色系インクの画像を良好に形成した後に、カラー画像を良好に形成できるので好ましい。
【0039】
1.2.画像記録モード
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、制御部からの命令に基づいて、複数のモードを実行する。本発明におけるモードとは、インクジェット記録装置を用いて記録媒体上に所望の画像を記録するための態様をいう。なお、本発明において「画像」とは、ドット群から形成される印字パターンを示し、テキスト印字、ベタ印字も含める。
【0040】
1.2.1.第1実施形態
第1実施形態は、第1画像記録モードと、第2画像記録モードと、を実行して、記録媒体上に所定の画像を記録する態様である。なお、本発明において、クリア画像とは、樹脂インクによって形成される画像のことをいう。
【0041】
図3は、第1画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図3(A)は、第1画像記録モードによって、第1領域および第2領域に白色系インク組成物からなる白色画像(W)の記録された記録媒体Pの上面を示す図である。また、図3(B)は、図3(A)のB−B’断面を表す図である。
【0042】
図4は、第2画像記録モードによってカラー画像およびクリア画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図4(A)は、第2画像記録モードによって、第1領域にカラーインク組成物および樹脂インク組成物からなるカラー画像(Co+Cl:Co+Clはカラーインクと樹脂インクとが混ざった画像である)が記録され、第2領域に樹脂インク組成物からなるクリア画像(Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図4(B)は、図4(A)のB−B’断面を表す図である。
【0043】
図3および図4に示すように、第1実施形態によって、記録媒体Pの第1領域には、白色系インク組成物からなる白色画像(W)と、該白色画像(W)上にカラーインク組成物および樹脂インク組成物からなるカラー画像(Co+Cl)と、が記録される。また、記録媒体Pの第1領域と異なる第2領域には、白色系インク組成物からなる白色画像(W)と、該白色画像(W)上に樹脂インク組成物からなるクリア画像(Cl)と、が記録される。
【0044】
以下、各モードについて詳細に説明する。なお、本発明において、白色系インク組成物を「白色系インク」、カラーインク組成物を「カラーインク」、樹脂インク組成物を「樹脂インク」、と省略して記載する場合がある。
【0045】
(1)第1画像記録モード
第1画像記録モードは、ノズル孔から後述する白色系インクを吐出させ、該白色系インクを記録媒体の第1領域および第2領域に付着させて、画像を記録する態様である。
【0046】
図1のプリンター1を用いると、第1画像記録モードは、次のように実施される。まず、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Aのノズル孔17から白色系インクの液滴を吐出(白色系インクのみを吐出、又は、樹脂インクと実質的同一時に吐出させずに白色インクを吐出)させて、記録媒体Pの第1領域および第2領域に付着させる。このとき、第1領域への画像の記録と、第2領域への画像の記録とは、キャリッジ4の同一走査時に行われる。
【0047】
これにより、記録媒体Pの第1領域および第2領域には、白色系インクからなる白色画像(W)が記録される(図3(A)、図3(B))。
【0048】
(2)第2画像記録モードおよび第3画像記録モード
第2画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、該カラーインクおよび該樹脂インクを、前記第1領域の前記白色系インク上で接触させ付着させて、画像を記録し、かつ、ノズル孔から樹脂インクを吐出させ、該樹脂インクを前記第2領域の前記白色系インク上に付着させて、画像を記録する態様である。
【0049】
本発明において「実質的に同一時」とは、一方のインクおよび他方のインクの両インクの液滴が、互いに混ざり合うことができるタイミングで吐出されることをいう。また、一方のインクが、記録媒体に着弾後に流動している状態で、他方のインクを吐出する場合を含む。さらに、例えば、ノズルを記録媒体に対して走査させてインクの吐出を行う種類の一般的なインクジェットプリンターを用いる場合、1回の走査(以下、「1回のパス」ともいう。)内で一方のインクおよび他方のインクの両者により、一の特定画像を形成するときをいう。したがって、両方のインクを全く同時に吐出する場合の他、1回のパス内において一方のインクを吐出した後に他方のインクを吐出する場合についても、「実質的に同一時」に含まれる。
【0050】
第2画像記録モードは、図1のプリンター1を用いる場合には、次のように実施される。上記の第1画像記録モードに続いて、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Bのノズル孔17からカラーインク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。
【0051】
これにより、第1領域に記録された白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録される。また、第2領域に記録された白色画像(W)上には、樹脂インクからなるクリア画像(Cl)が記録される(つまり、実質的同一時に吐出されない)(図4(A)、図4(B))。
【0052】
ここで、第2画像記録モードにおいて、第1領域に対する画像の記録は、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、カラーインクおよび樹脂インクを白色画像上で接触させることにより行われる。こうすると、カラーインクのみを用いてカラー画像を形成した後、当該カラー画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0053】
また、第1領域へのカラー画像(Co+Cl)の記録と、第2領域へのクリア画像(W)の記録とは、同一走査時に行われる。
【0054】
第1画像記録モードおよび第2画像記録モードを実行する第1実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましい。このとき、第2画像記録モードは、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量と、第1領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂の量との合計(第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量)が、0.03mg/inch2以上となるように実施されることがより好ましく、0.1mg/inch2以上であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量が、0.03mg/inch2以上であると、記録される画像の耐擦性が一層良好となる。
【0055】
第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量は、特に限定されないが、制御部CONTによって制御できる。好ましい例としては、制御部CONTは、あらかじめ取得した画像情報に基づいて、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量を算出する。次に、算出されたカラーインクの樹脂の量を基にして、第2領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂量を算出する。そして、制御部CONTは、算出した値に基づいて、樹脂インクの吐出量やDuty値を決定する。このようにして、第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量を、所定の値に調整することができる。
【0056】
なお、第1領域に付着させるインク中に含まれる樹脂の量は、インク中の樹脂の含有量、インクの吐出量、インクのDuty値等に基づいて算出できる。
【0057】
ここで、本明細書において、「Duty値」とは、下式で算出される値である。
【0058】
duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
【0059】
また、第2領域の白色画像上に記録される樹脂インクに含まれる樹脂の量(第2領域の白色画像(W)上に記録されるクリア画像(Cl)に含まれる樹脂の総重量)は、0.03mg/inch2以上であることが好ましく、0.1mg/inch2であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。クリア画像(Cl)に含まれる樹脂の総重量が0.03mg/inch2以上であると、第2領域に記録される白色画像(W)を十分に保護することができ、白色画像の耐擦性を一層向上できる。
【0060】
なお、第2領域の白色画像(W)上に記録されるクリア画像(Cl)に含まれる樹脂の総重量は、制御部CONTによって制御される。具体的には、制御部CONTは、白色画像(W)中に含まれる樹脂量等に基づいて、樹脂インクの吐出量やDuty値を決定する。
【0061】
(3)ノズル列の分割について
上記の画像記録モードにおいて、ノズル列を所定数のノズル孔を含む群毎に分割する態様を好ましく用いることができる。
【0062】
ノズル列を分割して用いる画像記録方法ついて、上記の第1画像記録モードおよび第2画像記録モードを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0063】
図5は、ノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図である。まず、第1画像記録モードにおいて、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクの液滴を吐出させる。これにより、記録媒体Pの第1領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第1の白色画像が記録され、記録媒体Pの第2領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第2の白色画像が記録される(図5(A))。
【0064】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第1群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第2画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1の白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第1のカラー画像が記録され、第2の白色画像上には、樹脂インクからなる第1のクリア画像が記録される(図5(B))。
【0065】
また、上記の第2画像記録モードのキャリッジの走査時には、第1画像記録モードが再度実行される。この場合において、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクの液滴を吐出させる。これにより、第1の白色画像が記録されていない第1領域(第1領域の副走査方向の上流側)には、第3の白色画像が記録される。また、第2の白色画像が記録されていない第2領域(第2領域の副走査方向の上流側)には、第4の白色画像が記録される(図5(B))。
【0066】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第2群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第2画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第3の白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第2のカラー画像が記録され、第4の白色画像上には、樹脂インクからなる第2のクリア画像が記録される(図5(C))。
【0067】
このように、ノズル列を分割して利用する場合にも、第1実施形態における画像の記録を行うことができる。ノズル列を分割することで、高速に記録することができる。また、記録媒体をバックフィードした場合は、印刷位置ズレが生じる可能性が高いので、バックフィードを行わない若しくはその回数を減らせる点でも有効である。
【0068】
第1実施形態によれば、第1画像記録モードおよび第2画像記録モードの2回のモードを実施することで、耐擦性に優れた画像を記録することができる。それゆえ、第1の実施形態では、白色画像の記録・カラー画像の記録・クリア画像という3回のモードを実施するよりも、画像の記録を高速に行うことができる。
【0069】
(4)その他
第1実施形態では、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量が0.03mg/inch2以上となる場合には、第2画像記録モードに代えて、第3画像記録モードが実行されてもよい。
【0070】
第3画像記録モードは、第1領域の白色画像上にカラーインクのみ吐出させ若しくはカラーインクと樹脂インクを実質的同一時に吐出させず、該第1領域の白色画像上にカラーインクのみからなるカラー画像を記録する以外は、第2画像記録モードと同様である。
【0071】
具体的には、第3画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクを吐出させ、該カラーインクを第1領域の白色画像上に付着させて、カラー画像を記録し、かつ、前記ノズル孔から樹脂インクを吐出させ、該樹脂インクを前記第2領域の白色画像上に付着させて、クリア画像を記録する態様である。
【0072】
第2画像記録モードから第3画像記録モードへの切り替えは、制御部CONTが算出した値に基づき実行される。この場合、制御部CONTは、あらかじめ取得した画像情報に基づいて、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量を算出して、算出した値に基づいて、モードの切り替えを実行することが好ましい。
【0073】
なお、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量は、カラーインクの樹脂の含有量、カラーインクの吐出量、カラーインクのDuty値等に基づいて算出できる。
【0074】
第1実施形態において、第3画像記録モードを備えていると、記録されるカラー画像によっては、樹脂インクを使用しなくてよい場合がある。そのため、樹脂インクの消費量を低減できる。
【0075】
1.2.2.第2実施形態
第2実施形態は、第4画像記録モードと、第5画像記録モードと、を実行して、記録媒体上に所定の画像を記録する態様である。
【0076】
図6は、第4画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図6(A)は、第4画像記録モードによって、第1領域に白色系インクからなる白色画像(W)が記録され、第2領域に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図6(B)は、図6(A)のB−B’断面を表す図である。
【0077】
図7は、第5画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図7(A)は、第5画像記録モードによって、第1領域にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図7(B)は、図7(A)のB−B’断面を表す図である。
【0078】
図6および図7に示すように、第2実施形態によって、記録媒体Pの第1領域には、白色系インクからなる白色画像(W)(例えば、実質的同一時に吐出されずに記録された画像)と、該白色画像(W)上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)と、が記録される。また、記録媒体Pの第1領域と異なる第2領域には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される。
【0079】
以下、各モードについて詳細に説明する。
【0080】
(1)第4画像記録モード
第4画像記録モードでは、ノズル孔から白色系インクを吐出させ、該白色系インクを記録媒体の第1領域に付着させて、画像を記録し、かつ、ノズル孔から前記白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域とは異なる前記記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0081】
図1のプリンター1を用いると、第4画像記録モードは、次のように実施される。まず、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Aのノズル孔17から白色系インク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1領域上には、白色系インクからなる白色画像(W)が記録される。また、第2領域上には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される(図6(A)、図6(B))。
【0082】
ここで、第4画像記録モードにおいて、第2領域に対する画像の記録は、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、白色系インクおよび樹脂インクを記録媒体P上で接触させることにより行われる。こうすると、白色系インクのみを用いて白色画像を形成した後、当該白色画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0083】
また、第1領域への白色画像(W)の記録と、第2領域への白色画像(W+Cl)の記録は、同一走査時に行われる。
【0084】
また、第2領域に吐出された白色系インクと樹脂インクとに含まれる樹脂の総量は、0.03mg/inch2が好ましく、0.06mg/inch2以上であることがより好ましい。白色画像(W+Cl)に含まれるクリア(Cl)の樹脂の量が0.03mg/inch2以上であると、当該白色画像(W+Cl)の耐擦性を一層向上できる。
【0085】
(2)第5画像記録モード
第5画像記録モードは、ノズル孔からカラーインク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0086】
第5画像記録モードは、図1のプリンター1を用いる場合には、次のように実施される。上記の第4画像記録モードに続いて、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Bのノズル孔17からカラーインク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。
【0087】
これにより、第1領域に記録された白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録される(図7(A)、図7(B))。
【0088】
ここで、第5画像記録モードにおいて、第1領域に対する画像の記録は、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、カラーインクおよび樹脂インクを白色画像(W)上で接触させることにより行われる。こうすると、カラーインクのみを用いてカラー画像を形成した後、当該カラー画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0089】
第4画像記録モードおよび第5画像記録モードを実行する第2実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましく、0.1mg/inch2以上であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。このとき、第5画像記録モードは、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量と、第1領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂の量との合計(第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量)が、0.03mg/inch2以上となるように実施されることがより好ましい。第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量が、0.03mg/inch2以上であると、記録される画像の耐擦性が一層良好となる場合がある。
【0090】
第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量の調整は、第1実施形態と同様にできるので、その説明を省略する。
【0091】
(3)ノズルの分割について
上記の画像記録モードにおいて、ノズル列を所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いることができる。
【0092】
ノズル列を分割して用いる画像記録方法ついて、上記の第4画像記録モードおよび第5画像記録モードを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0093】
図8は、ノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図である。第4画像記録モードにおいて、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクを吐出させ、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インク組成物を吐出させる。これにより、記録媒体Pの第1領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第1の白色画像(W)が記録され、記録媒体Pの第2領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第2の白色画像(W+Cl)が記録される(図8(A))。
【0094】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第1群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第5画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1の白色画像(W)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第1のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図8(B))。
【0095】
また、上記の第5画像記録モードのキャリッジの走査時には、第4画像記録モードが再度実行される。この場合において、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクが吐出され、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インクが吐出される。これにより、第1の白色画像(W)が記録されていない第1領域(第1領域おける副走査方向の上流側)には、第3の白色画像(W)が記録される。また、第2の白色画像(W+Cl)が記録されていない第2領域(第2領域における副走査方向の上流側)には、第4の白色画像(W+Cl)が記録される(図8(B))。
【0096】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第2群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第5画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第3の白色画像上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第2のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図8(C))。
【0097】
このように、ノズル列を分割して使用する場合にも、第2実施形態における画像の記録を行うことができる。
【0098】
第2実施形態によれば、第4画像記録モードおよび第5画像記録モードの2回のモードを実施することで、耐擦性に優れた画像を記録することができる。それゆえ、第2実施形態は、白色画像の記録・カラー画像の記録・クリア画像という3回のモードを実施するよりも、画像の記録を高速に行うことができる。
【0099】
第2実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましい。
【0100】
(4)その他
第2実施形態では、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量が0.03mg/inch2以上となる場合には、第5画像記録モードに代えて、第6画像記録モードが実行されてもよい。
【0101】
第6画像記録モードは、第1領域の白色画像上にカラーインクのみを吐出させて、該第1領域の白色画像上にカラーインクのみからなるカラー画像を記録する以外は、第5画像記録モードと同様である。
【0102】
具体的には、第6画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクを吐出させ、該カラーインクを第1領域の白色系インク上に付着させて画像を記録する態様である。
【0103】
第5画像記録モードから第6画像記録モードへの切り替えは、上述した第2画像記録モードから第3画像記録モードへの切り替えと同様に行うことができるので、説明を省略する。
【0104】
第2実施形態において、第6画像記録モードを備えていると、記録されるカラー画像によっては、樹脂インクを使用しなくてよい場合がある。そのため、樹脂インクの消費量を低減できる。
【0105】
1.2.3.第3の実施形態
第3実施形態は、第7画像記録モードと、第8画像記録モードと、を実行して、記録媒体上に所定の画像を記録する態様である。
【0106】
図9は、第7画像記録モードによって白色画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図9(A)は、第7画像記録モードによって、第1領域に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録され、第2領域に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図9(B)は、図9(A)のB−B’断面を表す図である。
【0107】
図10は、第8画像記録モードによってカラー画像の記録された記録媒体を模式的に示す図である。具体的には、図10(A)は、第8画像記録モードによって、第1領域にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録された記録媒体Pの表面を示す図である。また、図10(B)は、図10(A)のB−B’断面を表す図である。
【0108】
図9および図10に示すように、第3実施形態によって、記録媒体Pの第1領域には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)と、該白色画像(W+Cl)上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)と、が記録される。また、記録媒体Pの第1領域と異なる第2領域には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される。
【0109】
以下、各モードについて詳細に説明する。
【0110】
(1)第7画像記録モード
第7画像記録モードは、ノズル孔から白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させ、該白色系インクおよび該樹脂インクを、記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる該記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0111】
図1のプリンター1を用いると、第7画像記録モードは、次のように実施される。まず、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Aのノズル孔17から白色系インク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1領域および第2領域上には、白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像(W+Cl)が記録される(図9(A)、図9(B))。
【0112】
ここで、第7画像記録モードにおいて、第1領域および第2領域への画像の記録は、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、白色系インクおよび樹脂インクを記録媒体P上で接触させることにより行われる。こうすると、白色系インクのみを用いて白色画像を形成した後、当該白色画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。そのため、印刷速度を速くすることができる。
【0113】
また、第2領域に吐出された白色系インクと樹脂インクとに含まれる樹脂の総量は、0.03mg/inch2が好ましく、0.06mg/inch2以上であることがより好ましい。白色画像(W+Cl)に含まれる樹脂の総量が0.03mg/inch2以上であると、当該白色画像(W+Cl)の耐擦性を一層向上できる。
【0114】
(2)第8画像記録モード
第8画像記録モードは、ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する態様である。
【0115】
第8画像記録モードは、図1のプリンター1を用いる場合には、次のように実施される。上記の第7画像記録モードに続いて、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、ノズル列16Bのノズル孔17からカラーインク、ノズル列16Cのノズル孔17から樹脂インクを吐出させる。
【0116】
これにより、第1領域に記録された白色画像(W+Cl)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像(Co+Cl)が記録される(図9(A)、図9(B))。
【0117】
ここで、第8画像記録モードにおいて、第1領域に対する画像の記録は、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、カラーインクおよび樹脂インクを白色画像(W+Cl)上で接触させることにより行われる。こうすると、カラーインクのみを用いてカラー画像を形成した後、当該カラー画像上に樹脂インクのみを用いてクリア画像を形成する場合に比べて、記録媒体の通紙回数を減らしたり、キャリッジの走査回数を減らしたりすることができる。これにより、印刷速度を速くすることができる。
【0118】
第7画像記録モードおよび第8画像記録モードを実行する第3実施形態は、特に、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量が0.03mg/inch2未満の場合に実施されることが好ましい。このとき、第8画像記録モードは、第1領域に付着させるカラーインクに含まれる樹脂の量と、第1領域に付着させる樹脂インクに含まれる樹脂の量との合計(第1領域の白色画像(W+Cl)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量)が、0.03mg/inch2以上となるように実施されることが好ましく、0.1mg/inch2以上であることがより好ましく、0.2mg/inch2以上であることが一層好ましい。第1領域の白色画像(W)上に記録されるカラー画像(Co+Cl)に含まれる樹脂の総重量が、0.03mg/inch2以上であると、記録される画像の耐擦性が一層良好となる場合がある。
【0119】
第1領域の白色画像上に記録される画像に含まれる樹脂の総重量の調整は、第1実施形態と同様にできるので、その説明を省略する。
【0120】
(3)ノズルの分割について
上記の画像記録モードにおいて、ノズル列を所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いることができる。
【0121】
ノズル列を分割して用いる画像記録方法ついて、上記の第7画像記録モードおよび第8画像記録モードを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0122】
図11は、ノズル列を分割して用いる場合の画像の記録方法を説明する図である。第7画像記録モードにおいて、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インクを吐出させる。これにより、記録媒体Pの第1領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第1の白色画像(W+Cl)が記録され、記録媒体Pの第2領域の一部には、副走査方向に第1群の長さを有する第2の白色画像(W+Cl)が記録される(図11(A))。
【0123】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第1群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第8画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第1の白色画像(W+Cl)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第1のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図11(B))。
【0124】
また、上記の第8画像記録モードのキャリッジの走査時には、第7画像記録モードが再度実行される。この場合において、第1ノズル列16Aの第1群から白色系インクが吐出され、第3ノズル列16Cの第1群から樹脂インクが吐出される。これにより、第1の白色画像(W+Cl)が記録されていない第1領域(第1領域の副走査方向の上流側)には、第3の白色画像(W+Cl)が記録される。また、第2の白色画像(W+Cl)が記録されていない第2領域(第2領域の副走査方向の上流側)には、第4の白色画像(W+Cl)が記録される(図11(B))。
【0125】
次に、副走査方向の下流側T2方向に、副走査方向の第2群の長さ分だけ記録媒体Pを移動させる。そして、第8画像記録モードにおいて、第2ノズル列16Bの第2群からカラーインクを吐出させ、かつ、第3ノズル列16Cの第2群から樹脂インクを吐出させる。これにより、第3の白色画像(W+Cl)上には、カラーインクおよび樹脂インクからなる第2のカラー画像(Co+Cl)が記録される(図8(C))。
【0126】
このように、ノズル列を分割して使用する場合にも、第3実施形態における画像の記録を行うことができる。
【0127】
第3実施形態によれば、第7画像記録モードおよび第8画像記録モードの2回のモードを実施することで、耐擦性に優れた画像を記録することができる。それゆえ、第3実施形態では、白色画像の記録・カラー画像の記録・クリア画像という3回のモードを実施するよりも、画像の記録を高速に行うことができる。
【0128】
(4)その他
第3実施形態では、第1領域に付着させるカラーインク中の樹脂の量が0.03mg/inch2以上となる場合には、第8画像記録モードに代えて、第9画像記録モードが実行されてもよい。
【0129】
第9画像記録モードは、第1領域の白色画像上にカラーインクのみを吐出させて、該第1領域の白色画像上にカラーインクのみからなるカラー画像を記録する以外は、第8画像記録モードと同様である。
【0130】
具体的には、第9画像記録モードは、ノズル孔からカラーインクを吐出させ、該カラーインクを第1領域の白色系インクおよび樹脂インク上に付着させて画像を記録する態様である。
【0131】
第8画像記録モードから第9画像記録モードへの切り替えは、上述した第2画像記録モードから第3画像記録モードへの切り替えと同様に行うことができるので、説明を省略する。
【0132】
第3実施形態において、第9画像記録モードを備えていると、記録されるカラー画像によっては、樹脂インクを使用しなくてよい場合がある。そのため、樹脂インクの消費量を低減できる。
【0133】
1.3.インク組成物
本実施形態に係るインクジェット記録装置に使用するインク組成物は、白色系インク組成物、カラーインク組成物および樹脂インク組成物からなる。以下、各インク組成物に含まれる成分について説明する。
【0134】
1.3.1.白色系インク組成物
「白色系インク」とは、社会通念上「白」と呼称される色を記録できるインク(インキ)であり、微量着色されているものも含む。また、その顔料を含有するインク(インキ)が「白色インク(インキ)、ホワイトインク(インキ)」などといった名称で呼称、販売されるインク(インキ)を含む。さらに、例えば、インク(インキ)が、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に100%duty以上又は写真用紙の表面が十分に被覆される量で記録された場合に、インクの明度(L*)および色度(a*、b*)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測した場合に、70≦L*≦100、−4.5≦a*≦2、−6≦b*≦2.5、の範囲を示す、インク(インキ)を含む。
【0135】
本実施形態の白色系インクは、白色とは限らない記録媒体(例えば、プラスチックや金属)に対して画像を記録するために用いられる場合がある。このような場合に、白色系インクは、記録媒体の色を消したり、カラー画像の透過性を下げたりするために、下地層の形成に用いられる。
【0136】
次に、白色系インクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0137】
(1)白色系色材
本実施形態に係る白色系インクは、白色系色材を含有する。白色系色材としては、例えば金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色系色材には、中空構造を有する粒子を含み、中空構造を有する粒子としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。中空構造を有する粒子としては、例えば、米国特許第4,880,465号などの明細書に記載されている粒子を好ましく用いることができる。本実施形態の白色系インクに含有される白色系色材としては、これらの中でも、白色度および耐擦性の観点から、二酸化チタンが好ましい。
【0138】
白色系色材の含有量(固形分)は、白色系インクの全質量に対して、好ましくは1%以上20%以下であり、より好ましくは5%以上15%以下である。白色系色材の含有量が上記範囲を超えると、インクジェット記録装置のノズル詰まり等が発生する場合がある。一方、白色系色材の含有量が上記範囲未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向がある。
【0139】
白色系色材の体積基準の平均粒子径(以下、「平均粒子径」という。)は、好ましくは30nm以上600nm以下であり、より好ましくは200nm以上400nm以下である。白色系色材の平均粒子径が前記範囲を超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なったり、インクジェット記録装置に適用した際にノズルの目詰まり等が発生することがある。一方、白色系色材の平均粒子径が前記範囲未満であると、白色度が不足する傾向にある。
【0140】
白色系色材の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。
【0141】
(2)その他の成分
(樹脂)
白色系インクは、樹脂を含有することができる。樹脂の機能の一つとしては、白色系インクを記録媒体に定着させることが挙げられる。樹脂の含有量(固形分量)は、白色系インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。白色系インクに含まれる樹脂の含有量が上記範囲にあることで、白色系インクのノズル詰まりを好ましく防止できる。また、白色系インクに含まれる樹脂の含有量が上記範囲、とりわけ上限を超えずにあることで、白色画像のヒビ割れや、白色画像上に形成されるカラー画像のヒビ割れ等の発生を低減できる場合がある。
【0142】
樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂や、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0143】
上記の例示した樹脂の中でも、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィンワックスを好ましく用いることができる。
【0144】
ポリエステル系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、Eastek1100、1300、1400(以上商品名、イーストマンケミカルジャパン社製)、エリーテルKA−5034、KA−3556、KA−1449、KT−8803、KA−5071S、KZA−1449S、KT−8701、KT9204(以上商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
【0145】
スチレンアクリル系樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを利用してもよい。スチレンアクリル系樹脂の市販品としては、ジョンクリル62J(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0146】
ポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、画像のヒビ割れの発生を低減できるという観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0147】
ポリオレフィンワックスの市販品としては、「ケミパールW4005」(三井化学株式会社製、ポリエチレン系ワックス、粒径200〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%)等のケミパールシリーズが挙げられる。その他、AQUACER513(ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER840(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE-2213、ハイテックE-9460、ハイテックE-9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上、東邦化学株式会社製)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(サンノプコ社製、ポリエチレンエマルジョン、粒径40nm)等が挙げられる。これらは、常法によりポリオレフィンワックスを水中に分散させた水系エマルジョンの形態で市販されている。本実施形態に係る白色系インクにおいては、水系エマルジョンの形態のまま直接添加することができる。
【0148】
ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
【0149】
(有機溶媒)
白色系インクは、有機溶媒を含有することができる。白色系インクには、複数種の有機溶媒が含有されていてもよい。白色系インクに用いる有機溶媒としては、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体等が挙げられる。
【0150】
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、被記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、被記録媒体上に優れた画像を形成することができる。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0151】
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、白色系インクをインクジェット記録装置に用いた場合に、ヘッドのノズル面でのインクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0152】
ピロリドン誘導体として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂の良好な溶解剤として作用することができる。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
【0153】
(界面活性剤)
白色系インクは、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
【0154】
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。シリコン系界面活性剤は、被記録媒体上で白色系インクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有するという観点から好ましく用いることができる。シリコン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量が、白色系インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
【0155】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、DF110D、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力および界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。アセチレン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、白色系インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0156】
(水)
白色系インクは、水を50%以上含有する、いわゆる水系インクであってもよい。水系インクは、非水系(溶剤系)インク(例えば、記録物に用いるインクとしては米国特許出願公開第2007/0044684号明細書に記載されたインクを参照)に比べて、記録ヘッドに用いられているピエゾ素子や、被記録媒体に含まれる有機バインダー等への反応性が弱いので、これらを溶かしたり、腐食させたりすることを低減できる場合がある。また、水系インクは、高沸点・低粘度の溶剤を多く含有する非水系インクに比べて、乾燥性に優れた画像を形成することができる場合がある。さらに、水系インクは、溶剤系インクに比べて、臭気も抑えられており、かつ、その組成の50%以上が水であるので環境にも良いという利点がある。
【0157】
(その他)
本実施形態に係る白色系インクは、さらに、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有することができる。本実施形態に係る白色系インクは、これらの化合物を含有していると、その特性がさらに向上する場合がある。
【0158】
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0159】
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
【0160】
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0161】
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
【0162】
本実施形態に係る白色系インクは、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0163】
1.3.2.カラーインク組成物
本実施形態に係るカラーインク組成物(以下、単に「カラーインク」ともいう。)は、前述の白色系色材以外の色材(以下、単に「色材」ともいう。)と、樹脂と、を含有する。
【0164】
(1)色材
色材としては、例えば、染料、顔料等が挙げられる。色材の含有量は、カラーインク全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
【0165】
染料および顔料は、米国特許出願公開2010/0086690号明細書、米国特許出願公開2005/0235870号明細書、国際公開第2011/027842に記載されているもの等を好適に用いることができる。染料および顔料のうち、顔料を含むことが一層好ましい。顔料は、耐光性、耐候性、耐ガス性などの保存安定性の観点から有機顔料であることが好ましい。
【0166】
具体的には、顔料は、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料、染料キレート、染色レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが用いられる。上記顔料は、1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。
【0167】
また、染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0168】
(2)樹脂
カラーインクは、樹脂を含有する。樹脂の機能としては、例えば、カラーインクを記録媒体に定着させたり、カラーインク中の色材の分散性を向上させたりすることが挙げられる。
【0169】
樹脂の含有量は、カラーインクの全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上7質量%以下である。カラーインク中の樹脂の含有量が上記範囲内にあると、上記の樹脂の機能が良好に発揮される。
【0170】
カラーインクに含まれる樹脂としては、上述した白色系インクの説明で例示した樹脂を用いることができる。
【0171】
(3)その他の成分
カラーインクは、上記以外の成分を含有することができる。カラーインクに使用可能な成分としては、上記「1.3.1.(2)その他の成分」で挙げた成分と同様であるので、その説明を省略する。
【0172】
1.3.3.樹脂インク組成物
本実施形態に係る樹脂インク組成物(以下、単に「樹脂インク」ともいう。)は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない。本実施形態に係る樹脂インクは、色材を実質的に含有していないので、無色透明または無色半透明の液体である。なお、「色材を実質的に含有せず」とは、例えばインク中の色材の含有量が0.5質量%未満であること、より好ましくは0.1質量%未満であること、一層好ましくは0.01質量%未満、最も好ましくは0.005質量%未満であることをいう。
【0173】
本実施形態に係る樹脂インクは、上記の各実施形態で述べたように、主として白色画像およびカラー画像の耐擦性を向上させるために用いられる。
【0174】
以下、樹脂インクに含まれる成分について説明する。
【0175】
(1)樹脂
樹脂インクは、樹脂を含有する。樹脂の機能の一つとしては、樹脂インクを記録媒体に定着させることが挙げられる。
【0176】
樹脂の含有量は、樹脂インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。樹脂インク中の樹脂の含有量が上記範囲内にあると、上記の樹脂の機能が良好に発揮される。
【0177】
樹脂インクに含まれる樹脂としては、上述した白色系インクの説明で例示した樹脂を用いることができる。
【0178】
(2)その他の成分
樹脂インクは、上記以外の成分を含有することができる。樹脂インクに使用可能な成分としては、上記「1.3.1.(2)その他の成分」で挙げた成分と同様であるので、その説明を省略する。
【0179】
1.3.4.インクの物性
白色系インク、カラーインクおよび樹脂インク(以下、単に「インク」ともいう。)の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。インクは、20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こすことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。インクの粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、インクの温度を20℃に保持することで測定できる。
【0180】
2.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0181】
2.1.インクの調製
表1〜表2に示す配合量で、色材、樹脂成分、1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、プロピレングリコール、界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過、真空ポンプを用いて脱気処理をして、以下の評価に用いる白色系インク(Wインク)、カラーインク(Coインク)および樹脂インク(Clインク)を調製した。
【0182】
なお、カラーインクの調製にあたって、顔料(色材)をあらかじめ分散させた顔料分散液を用いた。顔料分散液は、次のようにして調製した。まず、撹拌装置、還流管、温度センサー、滴下ロートを備えた2000mlのセパラブルフラスコ内を充分に窒素置換した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部をセパラブルフラスコに入れて攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、滴下ロートにジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部、シクロヘキシルアクリレート(以下、「CHA」と呼ぶ)483.0質量部、メタクリル酸(以下、「MAA」と呼ぶ)66.6質量部、アクリル酸(以下、「AA」と呼ぶ)50.4質量部及びt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(以下、「BPEH」と呼ぶ)4.8質量部を入れ、80℃で4時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下した。滴下終了後、80℃で1時間保持した後、BPEH0.8質量部を加え、さらに80℃で1時間反応を行った。熟成を終了させた後、減圧蒸留によりジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した。その後、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と呼ぶ)600.0質量部を加え、樹脂固形分50%のインクジェットインク用ポリマー組成物溶液を得た。このようにして得られたインクジェットインク用ポリマー組成物溶液の一部を取り、105℃の強熱乾燥機で1時間乾燥した後、得られたインクジェットインク用ポリマー組成物の固形物の酸価は130mgKOH/gであり、重量平均分子量は34,000であった。次に、インクジェットインク用ポリマー組成物溶液120.0質量部に対して30%水酸化ナトリウム水溶液6.0質量部を加えて、高速ディスパーで5分間攪拌し、さらに顔料濃度25質量%のC.I.ピグメントブルー15:3を含む分散液を、480.0質量部を加えて、高速ディスパーで1時間攪拌し、顔料分散液を得た。
【0183】
また、白色系インクの調製にあたって、二酸化チタン(色材)をあらかじめ分散させた二酸化チタン分散液を用いた。二酸化チタン分散液は、次のようにして調製した。まず、ガラス転移温度40℃、質量平均分子量10,000、酸価150mgKOH/gの固形アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体の25質量部をジエチレングリコールジエチルエーテル75質量部の混合溶液に溶解させて、樹脂固形分25質量%の高分子分散剤溶液を得た。次に、前記高分子分散剤溶液の36質量%にジエチレングリコールジエチルエーテル19質量%を加え混合し、二酸化チタン分散用樹脂ワニスを調製し、さらに二酸化チタン(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Slurry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリー)45質量%を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、二酸化チタン分散液を得た。
【0184】
なお、表1〜表2おけるインク組成の単位は、いずれも、質量%であり、二酸化チタン顔料および樹脂についてはいずれも固形分換算した値である。表1〜表2に記載の成分は、具体的には、以下のものを用いた。
(色材)
・二酸化チタン顔料(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Slurry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリー)
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
(樹脂)
・ポリエステル系樹脂(ユニチカ株式会社製、商品名「KT−8803」)
・スチレンアクリル系樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリル62J」)
・ポリエチレン系ワックス(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「AQUACER513」、平均粒子径150nm)
(その他の成分)
・界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」、シリコン系界面活性剤)
・1,2−ヘキサンジオール
・2−ピロリドン
・プロピレングリコール
・イオン交換水
【0185】
2.2.インクジェットプリンター
以下の評価試験には、インクジェット記録装置として、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン株式会社製、ノズル解像度:180dpi)の紙案内部に温度が可変できるヒーターを取り付けて改造したものを用いた。
【0186】
次に、表1〜表2に記載の白色系インク、カラーインク、樹脂インクを、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−G930」)専用のインクカートリッジにそれぞれ充填して、当該インクカートリッジを上記の改造したプリンターに装着した。
【0187】
なお、上記プリンターのインクの吐出量は、Duty100%におけるインクの吐出量を15mg/inch2に設定した。
【0188】
2.3.評価試験
実施例および比較例の評価試験用サンプルの作成にあたって、画像の記録条件を以下のように設定した。
【0189】
(条件a)
条件aは、上述した第1実施形態を実行するものである。
【0190】
(条件b)
条件bは、上述した第1実施形態の第2画像記録モードに代えて、第3画像記録モードを実施する以外は、上述した第1実施形態と同様にするものである。
【0191】
(条件c)
条件cは、上述した第2実施形態を実行するものである。
【0192】
(条件d)
条件dは、上述した第2実施形態の第5画像記録モードに代えて、第6画像記録モードを実施する以外は、上述した第2実施形態と同様にするものである。
【0193】
(条件e)
条件eは、上述した第3実施形態を実行するものである。
【0194】
(条件f)
条件fは、上述した第1画像記録モードを実行した後、第6画像記録モードを実行させるものである。つまり、条件fでは、第2領域に記録された白色画像上には、いずれの画像も記録されない。
【0195】
(条件g)
条件gは、上述した第1画像記録モードを実行した後、第6画像記録モードを実行し、これにより記録された第1領域および第2領域の画像上に、樹脂インクを付着させて、クリア画像を印刷するものである。
【0196】
2.3.1.実施例1
実施例1の評価サンプルは、条件aによって作製した。
【0197】
(第1画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0198】
(第2画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像を印刷し、かつ、樹脂インクを吐出させて、第2領域の白色画像上に樹脂インクからなるクリア画像を印刷した。なお、第1領域へのカラー画像の記録と、第2領域へのクリア画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0199】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0200】
このようにして、実施例1の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0201】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体には、ルミラー(R) S10−100μm(東レ株式会社製、透明PETフィルム)を用いた。
【0202】
2.3.2.実施例2
実施例2の評価サンプルは、条件bによって作製した。
【0203】
(第1画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0204】
(第3画像記録モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクをキャリッジの同一走査時に吐出させた。これにより、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷し、第2領域の白色画像上に樹脂インクからなるクリア画像を印刷した。
【0205】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0206】
このようにして、実施例2の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0207】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0208】
2.3.3.実施例3
実施例3の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを50%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、実施例3の評価サンプルを得た。
【0209】
2.3.4.実施例4
実施例4の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを60%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、実施例4の評価サンプルを得た。
【0210】
2.3.5.実施例5
実施例5の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを100%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、実施例5の評価サンプルを得た。
【0211】
2.3.6.実施例6
実施例6の評価サンプルは、条件cによって作製した。
【0212】
(第4画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷し、かつ、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、記録媒体の第2領域上に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0213】
(第5画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像を印刷した。
【0214】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0215】
このようにして、実施例6の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0216】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0217】
2.3.7.実施例7
実施例7の評価サンプルは、条件dによって作製した。
【0218】
(第4画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷し、かつ、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、記録媒体の第2領域上に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0219】
(第6画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷した。
【0220】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0221】
このようにして、実施例7の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0222】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、100%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
なお、記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0223】
2.3.8.実施例8
実施例8の評価サンプルは、条件eによって作製した。
【0224】
(第7画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクおよび樹脂インクを実質的に同一時に吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクおよび樹脂インクからなる白色画像を印刷した。
【0225】
(第8画像印刷モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクおよび樹脂インクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクおよび樹脂インクからなるカラー画像を印刷した。
【0226】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0227】
このようにして、実施例8の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0228】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0229】
2.3.9.比較例1
比較例1の評価サンプルは、条件fによって作製した。
【0230】
(第1画像印刷モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0231】
(第6画像記録モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷した。
【0232】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0233】
このようにして、比較例1の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0234】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0235】
2.3.10.比較例2
比較例2の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを100%にした以外は、比較例1と同様にした。これにより、比較例2の評価サンプルを得た。
【0236】
2.3.11.比較例3
比較例3の評価サンプルは、条件gによって作製した。
【0237】
(第1画像記録モード)具体的には、まず、白色系インクを吐出させて、記録媒体の第1領域および第2領域上に白色系インクからなる白色画像を印刷した。なお、第1領域および第2領域への画像の記録は、キャリッジの同一走査時に行った。
【0238】
(第6画像記録モード)このようにして得られた白色画像の記録された記録媒体を、再度プリンターに通紙した。そして、カラーインクを吐出させて、第1領域の白色画像上にカラーインクからなるカラー画像を印刷した。
【0239】
(その他の画像記録モード)このようにして得られた白色画像およびカラー画像の記録された記録媒体を、再びプリンターに通紙した。そして、樹脂インクを吐出させて、第1領域のカラー画像上および第2領域の白色画像上に、樹脂インクからなるクリア画像を印刷した。
【0240】
そして、画像の記録された記録媒体をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある記録媒体の表面温度を測定したところ、記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0241】
このようにして、比較例3の評価サンプルを得た。なお、いずれの画像もベタパターンを印刷した。また、各インクの吐出条件は、次の通りである。
【0242】
白色系インク:解像度1440×720dpi、100%Duty
カラーインク:解像度1440×720dpi、10%Duty
樹脂インク:解像度1440×720dpi、20%Duty
記録媒体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0243】
2.3.12.比較例4
比較例4の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを80%にした以外は、比較例3と同様にした。これにより、比較例4の評価サンプルを得た。
【0244】
2.3.13.比較例5
比較例5の評価サンプルの作製は、カラーインクのDutyを5%にした以外は、実施例2と同様にした。これにより、比較例5の評価サンプルを得た。
【0245】
2.4.評価試験
2.4.1.第1領域の耐擦性評価
得られた評価サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥した。その後、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g,摩擦回数10回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と、記録媒体の第1領域とを擦り合わせ、画像の表面状態を目視にて観察した。なお、評価基準は以下の通りである。
A:印刷面に傷および剥がれがない
B:印刷面に傷は認められるが、剥がれはない
C:印刷面に傷および剥がれが認められる
【0246】
2.4.2.第2領域の耐擦性評価
第1領域の耐擦性の評価と同様の条件で、記録媒体の第2領域の耐擦性の評価試験を行った。なお、評価基準は以下の通りである。
A:印刷面に傷および剥がれがない
B:印刷面に傷は認められるが、剥がれはない
C:印刷面に傷および剥がれが認められる
【0247】
2.4.3.印刷スピードの評価
印刷スピードの評価は、記録媒体を通紙した回数をカウントすることにより行った。評価基準は以下の通りである。
A:通紙回数が1回
B:通紙回数が2回
C:通紙回数が3回
【0248】
2.5.評価結果
以上の評価結果を表1〜表2に併せて示す。
【0249】
なお、表中の「T1(mg/inch2)」は、第1領域の白色画像上に記録された画像に含まれる樹脂の総重量を示す。また、表中の「T2(mg/inch2)」は、第2領域の白色画像上に記録された画像に含まれる樹脂の総重量を示す。T1およびT2は、Duty100%時のインクの吐出量(15mg/inch2)に、Duty値およびインク中の樹脂含有率を乗じることによって算出した。
【0250】
また、表1中の実施例6〜実施例8のT2の欄における括弧内の数値は、樹脂インクに由来する樹脂の総重量(mg/inch2)を示すものである。
【0251】
【表1】
【0252】
【表2】
【0253】
表1〜表2の評価結果に示すように、実施例1〜実施例8の評価サンプルの作製によって得られた画像(記録媒体の第1領域および第2領域に記録された画像)は、耐擦性に優れ、良好であることが示された。また、実施例1〜実施例8の評価サンプルの作製は、いずれも、記録媒体の通紙を2回で行うことができ、高速に行えることが示された。
【0254】
一方、比較例1および比較例2は、条件fを用いて画像を印刷した。条件fは、第2領域の白色画像の形成時に樹脂インクを用いるものではなく、第2領域上に形成された白色画像上にクリア画像の印刷を行うものでもない。そのため、第2領域における白色画像の耐擦性に優れていなかった。
【0255】
また、比較例3および比較例4は、条件gを用いて画像を印刷した。条件gは、画像の印刷に際して、記録媒体を3回通紙する。そのため、印刷スピードに優れないものであった。
【0256】
比較例5は、条件bを用いて画像を印刷した。しかしながら、第1領域の白色画像上に記録されたカラー画像に含まれる樹脂の総重量(T1)が、0.03mg/inch2未満であった。そのため、カラー画像の耐擦性に優れない記録物が得られた。
【0257】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0258】
1…プリンター、2…ヘッド、3…インクカートリッジ、4…キャリッジ、5…プラテン、7…キャリッジ移動機構、8…媒体送り機構、15…ノズル面、16…複数のノズル列、16A(16B,16C)…ノズル列、17…ノズル孔、CONT…制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる第2領域に付着させて、画像を記録する第1画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させて付着させ、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第2画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、樹脂と、前記白色系色材以外の色材と、を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない、インクジェット記録装置。
【請求項2】
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域とは異なる前記記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第4画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第5画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない、インクジェット記録装置。
【請求項3】
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを制御して実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる該記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第7画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第8画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない、インクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第2画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われる、インクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項4において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第1画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第2画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われる、インクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項1、請求項4、請求項5のいずれか1項において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第3画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第3画像記録モードは、前記第2画像記録モードに代えて行われる、インクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項2において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第4画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われる、インクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項7において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第4画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第5画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われる、インクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項2、請求項7、請求項8のいずれか1項において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第6画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第6画像記録モードは、前記第5画像記録モードに代えて行われる、インクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項3において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジと、
前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第7画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第8画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われる、インクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項3または請求項10において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上に付着させて、画像を記録する第9画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第9画像記録モードは、前記第8画像記録モードに代えて行われる、インクジェット記録装置。
【請求項1】
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる第2領域に付着させて、画像を記録する第1画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させて付着させ、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第2画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、樹脂と、前記白色系色材以外の色材と、を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない、インクジェット記録装置。
【請求項2】
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から白色系インク組成物を吐出させ、該白色系インク組成物を記録媒体の第1領域に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域とは異なる前記記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第4画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第5画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない、インクジェット記録装置。
【請求項3】
インクを吐出するノズル孔を備えたヘッドと、
複数のモードを制御して実行させる制御部と、
を有し、
前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記白色系インク組成物および樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該白色系インク組成物および該樹脂インク組成物を、記録媒体の第1領域および該第1領域とは異なる該記録媒体の第2領域で接触させ付着させて、画像を記録する第7画像記録モードと、
前記ノズル孔からカラーインク組成物および前記樹脂インク組成物を実質的に同一時に吐出させ、該カラーインク組成物および該樹脂インク組成物を、前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上で接触させ付着させて、画像を記録する第8画像記録モードと、
を含み、
前記白色系インク組成物は、白色系色材を含有し、
前記カラーインク組成物は、前記白色系色材以外の色材および樹脂を含有し、
前記樹脂インク組成物は、樹脂を含有し、色材を実質的に含有しない、インクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第2画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われる、インクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項4において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第1画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第2画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われる、インクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項1、請求項4、請求項5のいずれか1項において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録し、
かつ、前記ノズル孔から前記樹脂インク組成物を吐出させ、該樹脂インク組成物を前記第2領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第3画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第3画像記録モードは、前記第2画像記録モードに代えて行われる、インクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項2において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジを有し、
前記第4画像記録モードにおいて、前記第1領域への画像の記録と、前記第2領域への画像の記録とは、前記キャリッジの同一走査時に行われる、インクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項7において、
さらに、前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第4画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第5画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われる、インクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項2、請求項7、請求項8のいずれか1項において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物上に付着させて、画像を記録する第6画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第6画像記録モードは、前記第5画像記録モードに代えて行われる、インクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項3において、
さらに、前記ヘッドを主走査方向に走査させるキャリッジと、
前記白色系インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記主走査方向と交差する副走査方向に複数並べてなる第1ノズル列と、
前記カラーインク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第2ノズル列と、
前記樹脂インク組成物を吐出するための前記ノズル孔を、前記副走査方向に複数並べてなる第3ノズル列と、
を有し、
前記第1ノズル列、前記第2ノズル列および前記第3ノズル列は、前記副走査方向に向かって、所定数のノズル孔を含む群毎に分割して用いられ、
前記群は、前記副走査方向の上流側にある第1群と、該第1群よりも前記副走査方向の下流側にある第2群と、を備え、
前記第7画像記録モードは、前記第1ノズル列の前記第1群から前記白色系インク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第1群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われ、
前記第8画像記録モードは、前記第2ノズル列の前記第2群から前記カラーインク組成物を吐出させ、かつ、前記第3ノズル列の前記第2群から前記樹脂インク組成物を吐出させることにより行われる、インクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項3または請求項10において、
さらに、前記複数のモードは、
前記ノズル孔から前記カラーインク組成物を吐出させ、該カラーインク組成物を前記第1領域の前記白色系インク組成物および前記樹脂インク組成物上に付着させて、画像を記録する第9画像記録モードを含み、
前記第1領域に付着させる前記カラーインク組成物中の前記樹脂の量が0.03mg/inch2以上の場合において、前記第9画像記録モードは、前記第8画像記録モードに代えて行われる、インクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−22862(P2013−22862A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160725(P2011−160725)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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