説明

インクリボンカートリッジおよび印刷装置

【課題】インクリボンを繰出す転写ローラとドライブローラと、転写ローラに当接させたインク補充片によりインクリボンにインクを補充するインクタンクとを有するインクリボンカートリッジにおいて、装着前のインクリボンカートリッジを放置しても、インク補充片の当接部にインクが溜まることがないようにする。
【解決手段】インクタンク120を、上下に分割し、上側のインクタンクに前記インク補充片および含浸性部材を設け、下部のインクタンクにインク吸蔵体を配備して成し、インクリボンカートリッジ112を装着する際に下側のインク吸蔵体を上側の含浸性部材に当接させ、インク補充片121および転写ローラ122を介してインクリボン111にインクを供給するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシリアルドットインパクトプリンタ等の印刷装置におけるインクリボンのインク供給機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインク供給構造付きインクリボンカートリッジを有するドットインパクトプリンタでは、図16の概略構成図に示したように、液状インクが含浸されたエンドレスの形態であるインクリボン111を収納したインクリボンカートリッジ112を搭載している。そして、キャリッジユニット115に搭載した印刷ヘッド113と用紙114の間にインクリボン111を介在させ、印刷ヘッド113の図示しないワイヤをインクリボン111に衝突させることによって印刷を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき、インクリボン111には図示しないインクが含浸されているが、印刷を繰り返すことによってインクが減少する。そこで、前記インクリボン111にインクタンク120のインクを供給し、補給するようになっている。
【0004】
また、このドットインパクトプリンタは、左右方向へ移動するキャリッジユニット115に搭載された印刷ヘッド113を有し、移動手段としてスペースモータ116及びプーリ117aおよび117cを備えている。
【0005】
プーリ117aおよび117cにはスペースベルト118が連結されており、スペースベルト118の所定の位置にキャリッジユニット115が固定され、スペースモータ116が駆動するとキャリッジユニット115が矢印A、B方向へ移動する。インクリボンカートリッジ112はサイドフレーム119a、119bに固定されており、内部には含浸性部材からなるインクタンク120を有してインク補充片121を接触させて配備し、毛細管現象によりインクタンク120のインクがインク補充片121に流れ出す構造となっている。
【0006】
そして、インク補充片121と圧延させて転写ローラ122を回転自在に配設し、転写ローラ122と圧接させてドライブローラ123を回転自在に配設する。従ってドライブローラ123が回転するのに伴い、転写ローラ122も回転する構造となっている。前記構成のドットインパクトプリンタにおいて、印刷を行う際、スペースモータ116を駆動し、キャリッジユニット115と共に印刷ヘッド113が左右に移動する。
【0007】
プーリ117aととともにスペースモータ116の軸上に配備したプーリ117bにはギヤ124a、124b及び図示しないドライブシャフトを連結させて配備している。当該ドライブシャフトはインクリボンカートリッジ112内のドライブローラ123と同軸上の位置に配備して嵌め合わされている。従って、スペースモータ116が駆動するとプーリ117b及びギヤ124a、124bを介して図示しないドライブシャフトが回転し、インクリボンカートリッジ112内のドライブローラ123が回転する。
【0008】
その結果、転写ローラ122とドライブローラ123との間に挟まれたインクリボン111が搬送される。前記インク補充片121は転写ローラ122とが圧接させている。
【0009】
従って、前記インクタンク120のインクはインク補充片121を介して転写ローラ122に供給され、転写ローラ122を介してインクリボン111に転写される。このようにしてインクリボン111にインクを供給することができる。
【特許文献1】特開平08−192560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成では、インク補充片121を転写ローラ122に常時圧接させているため、未使用のインクリボンカートリッジを長い間放置した場合等では、転写ローラ122がインク補充片121に接触している部分のみに余分なインクが溜まり、溜まったインクがインクリボン111に供給されるとインクが過剰の状態にて転写されることになり、当該インクリボンカートリッジが装置に装着され最初に印刷される文字が滲む等の印刷ムラが発生したり、印刷した文字の初期濃度が高くなってインクリボンカートリッジの寿命を伸ばすことができないなどの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、ケース内に収納されるインクリボンと、当該インクリボンにインクを補充するインク補充片と、当該インク補充片にインクを補充するインクタンクとを有するインクリボンカートリッジにおいて、前記インクタンクは、前記インク補充片と離間して設けられるとともに、移動可能に支持され、インクタンクが外部から力を受けると前記インクタンクが移動して前記インク補充片と当接するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置によれば、ケース内に収納されるインクリボンと、当該インクリボンにインクを補充するインク補充片と、当該インク補充片にインクを補充するインクタンクとを有するインクリボンカートリッジにおいて、前記インクタンクは、前記インク補充片と離間して設けられるとともに、移動可能に支持され、インクタンクが外部から力を受けると前記インクタンクが移動して前記インク補充片と当接するようにしたので、インクリボンカートリッジを使用せずに放置しておいた場合でも、前記ローラとインク補充片が圧接している部分に余分なインクが溜まることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0014】
(構成)
図1は、実施例1のインクリボンカートリッジおよび印刷装置の構成を示す概略図である。同図に示したように、スペースベルト118の所定の位置に固定されたキャリッジユニット115は印刷ヘッド113を搭載し、スペースベルト118は移動手段として設けたスペースモータ116とアイドルプーリ117aおよび117cとを連結しており、スペースモータ116が駆動するとキャリッジユニット115および印刷ヘッド113が矢印A、B方向へ移動する機構となっている。
【0015】
プーリ117aとともにスペースモータ116の軸上に配備したプーリ117bにはギヤ124a、124b及び図示しないドライブシャフトを連結させて配備している。ドライブシャフトはインクリボンカートリッジ112内のドライブローラ123と同軸上の位置に配備しており、オペレータがインクリボンカートリッジ112をサイドフレーム119a、119bに装着するとドライブローラ123と図示しないドライブシャフトが連結する構成となっている。
【0016】
従って、スペースモータ116が駆動するとプーリ117b及びギヤ124a、124bを介して図示しないドライブシャフトが回転し、インクリボンカートリッジ112内のドライブローラ123が回転する。その結果、転写ローラ122とドライブローラ123との間に挟まれたインクリボン111が搬送される構成となっている。
【0017】
図2は、インクリボンカートリッジ112の要部を示す図1のX−X断面図であり、図3はインク補充片121とインクタンク120aの連結を示す上面図である。図2に示したように、125はインクリボン111の幅方向の一側方に開口し、合成樹脂にて形成された箱形状のインクリボンカートリッジケースであり、126はインクリボンカートリッジケース125の開口部を閉止する合成樹脂にて形成される蓋状のインクリボンカートリッジカバーである。
【0018】
インクリボンカートリッジカバー126には支軸126zが形成されており、インク補充片121を有する含浸部材から構成されるインクタンク120aは合成樹脂からなる箱状となっており、前記支軸126zに嵌め合わされた状態にてインクリボンカートリッジケース125に配備され、インク補充片121は転写ローラ122と圧接させて配備している。
【0019】
インクタンク120aにはインクが含浸されてない含浸性部材120dが配置されている。そして、含浸性部材120dは、押付けリブ140にて保持されている。その下方には、インクが含浸されたインク吸蔵体127が設けられ、合成樹脂材にて形成されたインクタンク120bにて保持されている。含浸性部材120dとインク吸蔵体127の中央部分には前記インクリボンカートリッジカバー126の支軸126zが挿入可能な取り付け部が形成されている。
【0020】
なお、前記含浸性部材120dは不織布や繊維またはスポンジからなり、インク吸蔵体127は不織布や繊維またはスポンジからなり、インク補充片121は弾力性に富み含浸性の高いフェルトからなる。
【0021】
また、インクタンク120aとインクタンク120bの間にスプリング128を介在させてインクタンク120b及びインク吸蔵体127を常時下方へ押し付け、インクタンク120aと非接触状態を保つ構成となっている。
【0022】
そして、印刷装置本体側にはインクリボンカートリッジカバー126に形成された支軸126zの同軸上に、押し上げリブ135を配設している。
【0023】
(動作)
以上の構成により、実施例1のインクリボンカートリッジおよび印刷装置は、以下のように動作する。この動作を図4の動作説明図を用いて以下説明する。
【0024】
まず、オペレータがインクリボンカートリッジ112をサイドフレーム119a及び119bへ装着すると、図4に示したように、印刷装置本体側に設けた押し上げリブ135によりインクタンク120bが矢印D方向に押し上げられ、インクが含浸されたインク吸蔵体127がインクタンク120aの含浸性部材120dに圧接される。
【0025】
すると、インクは毛細管現象により浸透し、矢印H方向へ上昇する。ここで、インクリボン111自体にあらかじめ含浸されていたインクが印刷により所定量消費される平均的な時間をt1とし、インク吸蔵体127のインクがインクタンク120aへ浸透してインク補充片121を介して転写ローラ122に供給される時間をt2とすると双方の時間の関係が略等しい関係、すなわちt1≒t2となるように、前述のようにインク吸蔵体127、インクタンク120aの含浸性部材120d、インク補充片121の材料を選出している。これによりインクリボン111に含浸されていたインクが一定量消費されてからインク吸蔵体127のインクが供給されるようになる。
【0026】
すなわち、印刷装置が印刷命令を受信すると印刷装置の制御部によりスペースモータ116を駆動し、キャリッジユニット115と共に印刷ヘッド113を移動させ、所定の位置にて印刷を行い、スペースモータ116が駆動することによってプーリ117b及びギヤ124a、124bを介して図示しないドライブシャフトが回転し、インクリボンカートリッジ112内のドライブローラ123が回転し、転写ローラ122とドライブローラ123との間に挟まれたインクリボン111が搬送される。
【0027】
そして、インクリボン111が数周しインクリボン111に含浸されていたインクが一定量消費された時点で、インク吸蔵体127のインクが供給され始めるので、適量のインクを供給することができる。
【0028】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように、実施例1のインクリボンカートリッジによれば、インクタンクを、上下のインクタンクから構成し、上部インクタンクに前記インク補充片および含浸性部材を設け、下部インクタンクにインク吸蔵体を配備して成し、前記インクリボンカートリッジを装着するときに下部インクタンクのインク吸蔵体と上部インクタンクの含浸性部材を当接させ、前記インク補充片および前記ローラを介してインクリボンにインクを供給できるようにしたので、インクリボンカートリッジを使用せずに放置しておいた場合でも、前記ローラとインク補充片が圧接している部分にインクが溜まることがない。
【0029】
また、インクリボンに含浸されたインクが所定量消費される時間と、下部インクタンクのインク吸蔵体のインクが上部インクタンクの含浸性部材、インク補充片および転写ローラを介してインクリボンに供給される時間を略等しくなるようにしたので、インクを効率良く使用することができる。
【実施例2】
【0030】
(構成)
図5は、実施例2のインクリボンカートリッジおよび印刷装置を示す概略構成図である。実施例1の構成と同様である部分については簡略化のためにその詳細な説明を省略する。
【0031】
図6は、インクリボンカートリッジ112の要部を示す図5のX−X断面図である。同図に示したように、実施例2のインクリボンカートリッジでは、インクタンク120bが一度上側へ上昇し、インクタンク120aと圧接すると下側へ戻らないように、爪部120cが形成されている。
【0032】
そして、図7に示すように、キャリッジユニット115にはインクタンク120b及びインク吸蔵体127をインクタンク120a側へ押し上げるリブ115aが形成されている。このリブ115aは、インクタンク120b及びインク吸蔵体127とスペース方向において同一上に配置されており、キャリッジユニット115が所定量移動することにより、インクタンク120b及びインク吸蔵体127を押し上げ、インクタンク120aの含浸性部材120dと圧接させる構成となっている。
【0033】
そして、通常は、キャリッジユニット115の左右方向の移動量を制御し、リブ115aはインクタンク120bと接触しない状態となっている。また、サイドフレーム119bにはセンサ129を配備し、インクリボンカートリッジ112の装着を検出している。
【0034】
図8は、実施例2の印刷装置の制御系ブロック図を示したものである。同図に示したように、実施例2の印刷装置の制御系は、制御部130の制御のもとに、スペース駆動機構134によりキャリッジユニット115を図5の矢印A、B方向に移動させながら、ヘッドドライバ131を経由した制御命令に基づき、ワイヤドット駆動機構132により図示しないワイヤドットの駆動を制御するようになっている。
【0035】
そして、インクリボン111に含浸されたインクの消費量は、印刷ヘッド113のドット数、すなわち印刷した文字数に比例することから、ワイヤドットの動作回数をカウントするカウンタ133を設け、カウンタ値が所定の回数に到達するとキャリッジユニット115を所定量だけ移動させ、インクタンク120b及びインク吸蔵体127を押し上げる制御を行うようになっている。
【0036】
(動作)
以上の構成により、実施例2のインクインクリボンカートリッジおよび印刷装置は以下のように動作する。この動作を図5の構成図、図9のリボンカートリッジの動作説明図および図10の動作フローチャートを用いて以下詳細に説明する。
【0037】
まず、本装置の図示しない電源が投入されると、スペースモータ116が駆動し、キャリッジユニット115の図5の矢印A、B方向の原点出しを行う。
【0038】
最初にキャリッジユニット115は矢印方向Aに移動し、図示しない原点検出センサにてキャリッジユニット115を検出すると、スペースモータ116が逆方向に駆動し、キャリッジユニット115は矢印方向Bへ移動して所定の位置にて停止する。
【0039】
そして、サイドフレーム119bに配備したセンサ129にてインクリボンカートリッジ112の有無を認識し、インクリボンカートリッジ112が装着されていない場合はアラーム信号を発生し、インクリボンカートリッジ112が装着されたことを検知すると(ステップS01)、制御部130は印刷を開始する(ステップS02)。
【0040】
制御部130は、図示しない回路に内蔵されているカウンタ132に予め定められたインクリボン111に含浸されているインク量を設定する(ステップS03)。
【0041】
同時に制御部130はカウンタ132にインクリボン111のインク消費量をカウントさせる(ステップS04)。
【0042】
インクの消費量は具体的には印刷ヘッド113にて印刷するドットの数をカウントすることによりカウントされる。カウンタ132は印刷したドット数に従って減算していく。
【0043】
印刷動作に伴い、スペースモータ116が駆動することによってプーリ117b及びギヤ124a、124bを介して図示しないドライブシャフトが回転し、インクリボンカートリッジ112内のドライブローラ123が回転する。
【0044】
その結果、転写ローラ122とドライブローラ123との間に挟まれたインクリボン111が搬送される。この時、インクタンク120aはインクタンク120bおよびインク吸蔵体127と非接触状態であるので、インクはインクリボン111へ供給されず、インクリボン111に生地に含浸されているインクのみにて印刷を行っている状態である。
【0045】
そして、印刷が継続されて、カウンタ132のカウント値が予め定められた一定値に達すると(ステップS05)、制御部130はインクリボン111に含浸されているインクが消費された状態に達した判断し、キャリッジユニット115をA方向へLmm移動させ(ステップS06)、インクタンク120bの下側にてΔ秒間停止する(ステップS07)。
【0046】
なお、前記キャリッジユニット115の移動量Lは、図6のリブ115aの位置を通常の移動範囲のA方向リミット位置とすると図中Lの長さとなり、キャリッジユニット115をインクタンク120bの下側にて停止する時間Δは爪部120cによりインクタンク120aと圧接すると下側へ戻らないようになっているので、0.5秒ないし1秒程度で十分である。
【0047】
すると、図9に示したように、キャリッジユニット115に設けたリブ115aによりインクタンク120b及びインク吸蔵体127が上昇しインクタンク120aに圧接する。
【0048】
そして、インク吸蔵体127に含浸されたインクは毛細管現象により矢印H方向へ上昇し、インク補充片121を介して転写ローラ122へ供給され、転写ローラ122を介してインクリボン111に転写される。
【0049】
このようにしてインクリボン111に含浸されていたインクが一定量消費されてからインク吸蔵体127のインクを供給し印刷を再開する(ステップS8)。
【0050】
そして、制御部130はカウンタ132にある所定の定められたインク吸蔵体127に含浸されているインク量を設定する(ステップS11)。これと同時に制御部130はカウンタ132に吸蔵体127のインク消費量をカウントさせる(ステップS12)。
【0051】
前述のように、インク吸蔵体127のインク消費量は印刷ヘッド113にて印刷されるドット数をカウントすることによりカウントされる。カウンタ値が定められた一定値に達すると(ステップS13)、制御部130は、インク吸蔵体127に含浸されているインクが消費されたと判断して印刷を停止し(ステップS14)、インクリボンカートリッジの交換をオペレータへ促すアラームを表示する(ステップS15)。
【0052】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように、実施例2のインクリボンカートリッジおよび印刷装置によれば、前記インクタンクは、上下のインクタンクから構成し、上部インクタンクに前記インク補充片および含浸性部材を設け、下部インクタンクにインク吸蔵体を配備して成し、キャリッジユニットに下部インクタンクを上昇させるリブを設け、印刷文字数をカウントしてインクリボンカートリッジ装着時から所定の印刷量を行ったときに、前記リブによりインクタンクの下部を上昇させてインクを供給するようにしたので、インクリボンに含浸されたインクが消費する量を精度よく検知し、適時にインクリボンにインクの供給を開始することができる。
【実施例3】
【0053】
(構成)
図11は実施例3のインクリボンカートリッジおよび印刷装置の概略構成図であり、図12は、インクリボンカートリッジ112の要部を示す図11のX−X断面図であり、図13はシャッタ133とインクリボンカートリッジ125の関係を示す斜視図である。
【0054】
実施例3のインクリボンカートリッジでは、インク補充片121と転写ローラ122との間に合成樹脂の中でも比較的容易に摩耗しやすい非結晶性樹脂にて形成されたシャッタ133を接触させて配備し、このシャッタ133をインクリボンカートリッジケース125に設けたスリット125a及びスリット125bに図13に示したY方向に差し込んで取り付けるようになっている。
【0055】
なお、シャッタ133は、後述の図14および図15にも示したように、テンションスプリング134にて矢印Z方向へ常時付勢されている。そして、シャッタ133の先端がスリット125aに差し込まれているので、この付勢力に打ち勝って止まるようになっている。
【0056】
インク補充片121と転写ローラ122はシャッタ133により非接触状態となりインクタンク120からインクの供給が遮断される。転写ローラ122の同軸上にはフランジ部122aが施されており、図13に示したシャッタ133の磨耗部分133aと接触させている。
【0057】
(動作)
以上の構成により実施例3のインクリボンカートリッジおよび印刷装置は以下のように動作する。この動作を、図14および図15を用いて以下説明する。
【0058】
まず、印刷装置が印刷命令を受信すると制御部130はスペースモータ116を駆動し、キャリッジユニット115と共に印刷ヘッド113を移動させ、所定の位置にて印刷を行う。
【0059】
そして、スペースモータ116が駆動することによってプーリ117b及びギヤ124a、124bを介して図示しないドライブシャフトが回転し、インクリボンカートリッジ112内のドライブローラ123が回転する。
【0060】
その結果、転写ローラ122とドライブローラ123との間に挟まれたインクリボン111が搬送される。この時、図14に示すように、インク補充片121と転写ローラ122はシャッタ133によりインクの供給が遮断されているため、インクはインクリボン111へ供給されず、インクリボン111の生地に含浸されているインクのみにて印刷を行っている状態である。
【0061】
そして、キャリッジユニット115のスペース方向の動作により転写ローラ122を回転させると、転写ローラ122に設けたフランジ部122aとシャッタ133の接触させて配備させているので、シャッタ133の磨耗部分133aの摩耗が始まる。
【0062】
ここで、インクリボン111に含浸されたインクが所定量消費される時間をt1とし、シャッタ133が磨耗部分133aにて摩耗して切断されるまでの時間をt3とすると、双方の時間がほぼ等しくなるように、すなわちt1≒t3となるようにシャッタ133の厚さは所定の厚さに設定されている。
【0063】
そして、図14および図15に示すように、テンションスプリング134にてテンションが与えられているため、シャッタ133が切断すると矢印Z方向へ移動し、その結果、インク補充片121と転写ローラ122が圧接され、インクタンク120のインク吸蔵体127のインクがインク補充片121を介して転写ローラ122に供給されるようになり、転写ローラ122を介してインクリボン111に転写され始め、インクリボン111にインクを供給し始めることができる。
【0064】
(実施例3の効果)
以上詳細に述べたように、実施例3のインクリボンカートリッジおよび印刷装置によれば、インク補充片と転写ローラ間に所定の方向に付勢され前記転写ローラのフランジとの磨耗により切断され引き抜かれるシャッタを設けたので、インクタンクを上下に分離する構造とする必要もなく、また、印刷量のカウントやインクタンクを移動させるために電気的駆動部を設けることもなく、インクリボンに含浸されたインクが消費されるときに、適時にインクリボンにインクの供給を開始することができる。
【0065】
《その他変形例》
以上の実施例の説明では、インクリボンカートリッジのインクリボンの繰出し側のローラにインク補充片を当接させてインクを補充する例として説明したが、インクリボンを取り込む側のローラに当接されて補充する場合でも、途中の搬送ローラに当接させてインクを補充する場合でも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上述べたように、本発明は、シリアルドットプリンタに限らず、インクリボンにインクを供給する機構を備えたインクリボンカートリッジを取り付けて使用するタイプライタなどの印刷装置に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1のインクリボンカートリッジの構成図である。
【図2】実施例1のインクリボンカートリッジの要部断面図である。
【図3】実施例1のインクリボンカートリッジのインク補充片周辺の構成図(上面図)である。
【図4】実施例1のインクリボンカートリッジの動作説明図である。
【図5】実施例2のインクリボンカートリッジの構成図である。
【図6】実施例2のインクリボンカートリッジの要部断面図である。
【図7】実施例2のインクリボンカートリッジの構成図(上面図)である。
【図8】実施例2の印刷装置の制御系ブロック部である。
【図9】実施例2のインクリボンカートリッジの動作説明図である。
【図10】実施例2のプリンタ制御部の動作フローチャートである。
【図11】実施例3のインクリボンカートリッジの構成図である。
【図12】実施例3のインクリボンカートリッジの要部断面図である。
【図13】実施例3のインクリボンカートリッジの要部斜視図である。
【図14】実施例3のインクリボンカートリッジの動作説明図である。
【図15】実施例3のインクリボンカートリッジの動作説明図である。
【図16】従来のインクリボンカートリッジの構成図である。
【符号の説明】
【0068】
111 インクリボン
112 インクリボンカートリッジ
113 印刷ヘッド
115 キャリッジユニット
115a リブ
120、120a、120b インクタンク
120c 爪部
120d 含浸性部材
121 インク補充片
122 転写ローラ
122a フランジ部
123 ドライブローラ
125 インクリボンカートリッジケース
126 インクリボンカートリッジカバー
125a、125b スリット
126z 支軸
127 インク吸蔵体
128 スプリング
129 センサ
133 シャッタ
133a 磨耗部分
134 テンションスプリング
135 押上リブ
138 カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に収納されるインクリボンと、当該インクリボンにインクを補充するインク補充片と、当該インク補充片にインクを補充するインクタンクとを有するインクリボンカートリッジであって、
前記インクタンクは、前記インク補充片と離間して設けられるとともに、移動可能に支持され、インクタンクが外部から力を受けると前記インクタンクが移動して前記インク補充片と当接することを特徴とするインクリボンカートリッジ。
【請求項2】
前記外部からの力は、インクリボンカートリッジ装着時の外圧であって、
当該インクリボンカートリッジ装着時からインクリボンに含浸されたインクが印刷により消費されて無くなる時間と、前記インクタンクのインクが前記インク補充片を介してインクリボンに供給される時間と、略等しくなるようにしたことを特徴とする請求項1記載のインクリボンカートリッジ。
【請求項3】
ケース内に収納されるインクリボンと、当該インクリボンを搬送するローラと、前記ローラに当接させたインク補充片によりインクリボンにインクを補充するインクタンクとを有するインクリボンカートリッジであって、
前記ローラとインク補充片間を遮断し、先端部を前記ケースに固定し後端部を所定の方向に付勢し、前記ローラの回転部材に前記先端部を当接させた遮断手段を設けたことを特徴とするインクリボンカートリッジ。
【請求項4】
前記遮断手段は、インクリボンカートリッジ装着から、インクリボンに含浸されたインクが消費されて無くなる時間と、前記ローラの回転部材により当該先端部が磨耗して切断する時間が略等しくなるようにしたことを特徴とする請求項3記載のインクリボンカートリッジ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか記載のインクリボンカートリッジを搭載したことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1のインクカートリッジを搭載し、
インクタンクを移動させてインク補充片と当接させる駆動手段と、
インクを消費する印刷量を計測する計測手段を設け、
前記計測結果が所定の印刷量以上となったときに、前記駆動手段により前記力を発生させインクタンクとインク補充片とを当接させるようにしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
前記所定の印刷量は、インクリボンカートリッジ装着時からインクリボンに含浸されたインクが印刷により消費されて無くなる量近傍としたことを特徴とする請求項6記載の印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−30219(P2010−30219A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196558(P2008−196558)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】