説明

インクリボン走行部の構造

【課題】 インクリボンの走行がリニアに制御可能な、高速印字対応の、小型、軽量化されたインクリボン走行部の構造を提供すること。
【解決手段】 インクリボンを回転自在に保持し正回転によりインクリボンを送り出し逆回転によりインクリボンを巻き戻すことが可能な原反ホルダと、原反ホルダには減速機を介して直結されたステッピングモータと、インクリボンの走行を計測するロータリーエンコーダと、2つのガイドローラの間にインクリボンに懸垂させたダンサーローラと、正回転により巻き取り逆回転により送り戻すことが可能な巻取ホルダと、巻取ホルダには減速機を介して直結されたステッピングモータと、巻取り側ダンサーローラの位置を検出する2個以上の単位検出手段と、更に原反ホルダと巻取ホルダにはリボンコアと滑ることなく確実に供回りするようリボンコアに加工されたキー溝に嵌合いする係合部を各1ヶ所以上設けて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンとサーマルヘッドを使って、印字媒体に印字を行うサーマルプリンタにかかるもので、包材フィルム搬送速度40インチ/sec(約1000mm/sec)超えにも瞬時に同期して印字が出来るように、インクリボンが弛みなく良好に急加速、急停止、そして印字未使用部分を繰り戻すために、逆回転方向に急加速、急停止出来る、小型、軽量化されたインクリボン走行部の組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装品に対して賞味期限、製造番号、収穫地表示など印字対象物毎に異なる文字や記号を表示することが求められ、このよう場合、一般にサーマルプリンタにより各種情報の印字が行われる。
【0003】
サーマルプリンタは通常、サーマルヘッド、インクリボン、そしてプラテンローラにより構成されている。サーマルヘッドは、その端部に複数の発熱素子を備え通電により所望の発熱素子が発熱する構成となっている。インクリボンは原反ホルダに巻回されており、包装機等から連続的に繰り出される包装フィルムと同期して原反ホルダから繰りだされると共に、印字後は巻取ホルダにより巻き取られるように構成されている。プラテンローラは、その外周面が包装機等から連続的に繰り出される包装フィルムと接触するように配置されており、サーマルヘッド及びインクリボンに対する印字受け部を構成している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
サーマルプリンタも初期の頃は平面型サーマルヘッドに冷時剥離型インクリボン(主にワックスインク)を用いて最大印字速度は10インチ/sec(約250mm/sec)程度であった(例えば特許文献1参照)。次にコーナーエッジ型サーマルヘッドに熱時剥離型インクリボン(主にレジンインク、またはセミレジンインク)を用いて最大印字速度は20インチ/sec(約500mm/sec)程度であった(例えば特許文献2参照)。そして印字速度30インチ/sec(約750mm/sec)への対応機としては(特許文献2参照)の伝達機構を効率化した(特許文献3参照)の機構を利用して(特許文献4参照)や(特許文献5参照)の様な軽量コンパクトな製品等が出てきて、多数の包装機械の包装フィルムへの印字が行えるようになり、この速度以上の領域や非接触を要望する分野はインクジェットプリンタやレーザープリンタという棲み分けでどうにかやってこられた。
【0005】
サーマルプリンタに用いられるインクリボンの多くは、リボンコア内径25.4mm(呼称1インチコア)、リボンコア外径33mm、回り止め用キー溝として両側面に1ヶ所づつ又は2ヶ所づつ、巻長さは機種やインクの種類による厚みで様々で初期外径は約50〜90mmと幅がある。この様にインクリボンの初期外径と終わりとでは随分と差がある為、初期のものでは原反ホルダにフリクションクラッチで所望の制動をかけ、外周の変わらないピンチローラでインクリボンを挟み繰り出し、巻取ホルダへは繰り出し速度以上の速度をフリクションクラッチを介して伝え、インクリボンを弛みなく巻き取らせていた為に2ヶ所でフリクションクラッチを必要とした(例えば特許文献1参照)。インクリボンをピンチローラで繰り出すとインク面を傷を付けると共にピンチローラにもカスが付着し、それがまたインク面を荒らすとなるために頻繁にピンチローラの清掃が必要であった。
【0006】
これへの対処として繰り出されるインクリボンの速度を計測するロータリーエンコーダを備え、この信号を読み込み制御に利用する事で、インクリボンの繰り出しは、原反ホルダまたは巻取ホルダを、モータから直接のフリクションクラッチを介さないノンスリップ駆動へと替わり、ピンチローラ駆動は少数派となった(例えば特許文献2参照)。この頃、サーマルプリンタの駆動を含めた全ての動きを制御する制御基板の作製にあたっては、モータ制御、ナビゲーション、PPC、レーザープリンタと、これらの制御に特化したROM、RAM、周辺機能を満載したシングルチップマイコンが多数出そろっており高速性が要求されるリアルタイム制御等のアプリケーションでも、より低コストでかつ高性能/高機能なシステムを組むことができるようになっていた。これらの中には2相エンコーダ入力も2CH組み込まれ2軸のサーボ構築も簡単にできるものもあった。ステッピングモータドライバーの中には基本ステップ角1/16分割までの制御が出来るマイクロステップコントローラ内蔵のものもあり、これはモータの回転数はクロック信号のみで制御できた。これらの情報は当時既にインターネットにて自由に拾い集めることが出来、当該事業者は容易に組み合わせて作製できたものと思われる。
【0007】
繰り出しがモータから直接リボンホルダへのノンスリップ駆動に替わり、大きな慣性負荷であるインクリボンと共にリボンホルダを頻繁に正回転、逆回転させるために、リボンコアとリボンホルダは滑ることなく確実に供回りすることのできるキー溝を利用したものとなった(例えば特許文献6や特許文献7を参照)。
【先行技術文献】
【0008】
【特許文献】
【特許文献1】特開平9−156144号公報
【特許文献2】特開2000−238396号公報
【特許文献3】特開2007−118550号公報
【特許文献4】意匠登録第1304306号公報
【特許文献5】意匠登録第1304307号公報
【特許文献6】特開2002−52773号公報
【特許文献7】特開2005−153401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、サーマルプリンタは小型、軽量化されたもの(特許文献4や特許文献5を参照)が普及しだした為、その扱いやすさから今までインクジェットプリンタや、レーザープリンタの印字速度領域であった40インチ/sec(約1000mm/sec)超えの印字能力を要望する声がでてきた。40インチ/sec超えの高速対応型のサーマルプリンタは随分と前から市場に投入されていたが、大きくて、重たくて、高価であり、市場の要望する物とは大きな開きがあった。
【0010】
そしてこれらの、大きくて、重いは、高速型サーマルプリンタのインクリボン走行部を従来構造のまま採用したためと思われる。包装フィルムへの印字はサーマルヘッドは固定されていても印字指令毎に情報を追加する間欠動作の印字となり毎回、加速→同期速度→減速停止となる。そして包装フィルムが高速搬送されているために加速減速時に繰り出された未使用部分のインクリボンが大量発生するため、高価であるインクリボンの未使用部分は、瞬時に繰り戻して次回の印字指令を待たなければならない。このように瞬時に、高速領域での送りと戻しが要求されるなか、従来の構造(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)では原反軸か、巻取軸のどちら一方(双方もある)はフリクションクラッチを介して制御されてきた。フリクションクラッチを介して高速領域までの急加減速させる為には、高許容回転数で、かつ且つ許容トルクの大きなタイプでないと急加速した折に滑りが多くて急加速出来ず、また急停止させた折りには慣性に負けて停止出来ない羽目になる。高トルクタイプになると摩擦熱への発生対処で当然外形の大きなものへとなる。またインクリボンは使い始めと終わりでは外形が随分と変わるため差分まで考えると、また一段と高負荷トルクのものとなってしまう。これを駆動するモータはフリクションクラッチが原反軸、巻取軸のどちらに接続されても、送りと戻しがあるために正逆両回転が必要なのでフリクションクラッチ負荷に合わせて大きくなってしまう。なのでフリクションクラッチを介して行うインクリボン走行部の組立て方法が、大きくて、重たくなる要因となっていた。
【0011】
本発明は、リボンホルダの制御からフリクションクラッチを取り除き、急加速、急停止、そして逆回転と、インクリボンの走行がノンスリップでリニアに制御可能な、高速印字対応の、小型、軽量化されたインクリボン走行部の組立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明は、巻回されたインクリボンを回転自在に保持し正回転により前記インクリボンを所定の経路に送り出すことが可能であると共に逆回転により前記インクリボンを前記経路より巻き戻すことが可能な原反ホルダと、前記原反ホルダへノンスリップで駆動を伝える原反用減速機と、前記原反用減速機に直結した原反用ステッピングモータと、前記インクリボンを正回転により巻き取ることが可能であると共に逆回転により前記インクリボンを前記経路に送り戻すことが可能な回転自在に保持する巻取ホルダと、前記巻取ホルダへノンスリップで駆動を伝える巻取用減速機と、前記巻取用減速機に直結した巻取用ステッピングモータと、前記インクリボンを迂回させるための保持されたガイドローラと、前記経路上に配置されるサーマルヘッドと前記巻取ホルダの間に配置した前記インクリボンの走行を計測するロータリーエンコーダに接続される保持されたエンコーダローラと、前記経路上の前記エンコーダローラと前記巻取ホルダの間に配置した2つの保持されたガイドローラに前記インクリボンが掛け渡されその間に前記経路の長さを変更可能に移動する前記インクリボンに懸垂させたダンサーローラと、前記ダンサーローラの絶対位置の検出を行う前記懸垂方向に配置した少なくとも2個の単位検出手段と、隣り合う前記懸垂方向の前記単位検出手段の検知位置間距離をAとして前記ダンサーローラの前記懸垂方向の動きを的確に捉えられる部分に取付けたセンサードグの前記懸垂方向の幅をBとしたときA<Bを満たした前記センサードグと、前記センサードグが前記単位検出手段の両端では僅かにオーバーランして非検知となるよう確保した前記ダンサーローラのストロークと、更に前記原反ホルダと前記巻取ホルダにリボンコアと滑ることなく確実に供回りするよう前記リボンコアに加工されたキー溝に嵌合いする係合部を少なくとも各1ヶ所以上設ける、ことを特長とするインクリボン走行部の組立方法を提供する。
【0013】
(2)上記(1)の本発明の適用において、枠板の片面のみに配置して実施する。
【0014】
(3)上記(1)の本発明の適用において、サーマルヘッド押圧部を枠板の1つの隅に前記サーマルヘッドが一辺を越えて枠外向けて押圧されるように配置し、その上部に前記ダンサーローラ、前記センサードグ、及び、前記すくなくとも2個の単位検出手段を配置する。
【0015】
(4)上記(3)の本発明の適用において、前記原反用ステッピングモータと、前記巻取用ステッピングモータを隣り合わせて配置し、かつ前記サーマルヘッドの押圧される方向と直角をなす方向の前記サーマルヘッドのコネクタ側に前記サーマルヘッド押圧部も含め横一列に配置する。
【0016】
(5)上記(4)の本発明の適用において、前記巻取ホルダを四角な枠板の1つの隅に配置すると共に、同巻取ホルダを配置した隅に隣り合う隅に前記原反ホルダを配置し、二つ並んだ一辺の反対側の一辺の隅に前記サーマルヘッド押圧部を配置する。
【0017】
(6)上記(4)の本発明の適用において、前記原反ホルダと前記巻取ホルダを隣り合わせて配置し、かつ前記サーマルヘッドの押圧される方向と直角をなす方向の前記サーマルヘッドのコネクタ側の隣に配置して、前記サーマルヘッド押圧部も含め横一列に配置する。
【発明の効果】
【0018】
正回転、逆回転共にインクリボンの走行がノンスリップでリニアに制御可能なうえ、インクリボンのテンションを巻径に関係無くほぼ一定に保つことが出来ることで印字品質を向上させた、高速印字対応の、小型、軽量化されたインクリボン走行部の組立て方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態を枠板の片面のみに実施した折の正面配置(インクリボンを抜き差しする面)を示し、原反ホルダに最大外径のインクリボンをセットし巻取ホルダに真新しいリボンコアがセットされ架けられたインクリボンが弛み、ダンサーローラが下限にあり、サーマルヘッドが押圧前、とした初期の状態の平面図
【図2】本実施形態を枠板の片面のみに実施した折の正面配置(インクリボンを抜き差しする面)を示し、原反ホルダには最小外径になったインクリボンが巻取ホルダに最大外径になったインクリボンがあり、架けられたインクリボンをダンサーローラの上限まで目一杯巻取り、サーマルヘッドが押圧中、とした状態の平面図
【図3】センサードグの移動によるセンサの検知出力変化を示した平面図
【図4】図1に示された配置の左側面を示す平面図
【図5】図1のダンサーローラの構成をアームに変えた時の実施の様子を表した平面図
【図6】本実施形態を横長の枠板の中に納めるべく、2つのステッピングモータのみ裏面に配し、それ以外は正面に実施した折りの正面配置を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に関するインクリボン走行部の組立て方法として好ましい実施の形態を、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態とに分けて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態は、枠板1の片面のみに本実施形態を配置し実施したもので、奥行を抑えると共に部品点数を減らして簡素化し、それにより小型、軽量化したもので、ダンサーローラの懸垂方向の動作にリニアガイドを利用したことを特長とする。
【0022】
図1、図2、図3に示すように、巻回されたインクリボン2を回転自在に保持し正回転33によりインクリボン2を所定の経路7に送り出すことが可能であると共に逆回転によりインクリボン2を経路7より巻き戻すことが可能な原反ホルダ4と、原反ホルダ4へノンスリップで駆動を伝える原反用減速機5と、原反用減速機5に直結した原反用ステッピングモータ10と、インクリボン7を正回転により巻き取ることが可能であると共に逆回転によりインクリボン7を経路7に送り戻すことが可能な回転自在に保持する巻取ホルダ29と、巻取ホルダ29へノンスリップで駆動を伝える巻取用減速機11と、巻取用減速機11に直結した巻取用ステッピングモータ13と、インクリボン7を迂回させるための保持されたガイドローラ(8、14)と、経路上7に配置されるサーマルヘッド16と巻取ホルダ29の間に配置したインクリボン7の走行を計測するロータリーエンコーダに接続される保持されたエンコーダローラ17と、経路上7のエンコーダローラ17と巻取ホルダ29の間に配置した2つの保持されたガイドローラ(20、23)にインクリボン7が掛け渡されその間に経路7の長さを変更可能に移動するインクリボン7に懸垂させたダンサーローラ24と、ダンサーローラ24の絶対位置の検出を行う前記懸垂方向に配置した2個の単位検出手段(位置検出センサ上限用27、位置検出センサ下限用28)と、隣り合う前記懸垂方向の単位検出手段(27、28)の検知位置間距離をAとしてダンサーローラ24の前記懸垂方向の動きを的確に捉えられる部分に取付けたセンサードグ26の前記懸垂方向の幅をBとしたときA<Bを満たしたセンサードグ26と、センサードグ26が単位検出手段(27、28)の最両端では僅かにオーバーラン(位置検出センサ上限用の隙間Dと位置検出センサ下限用の隙間C)して非検知となるよう確保したダンサーローラ24のストロークEと、更に原反ホルダ4と巻取ホルダ29にリボンコア(3、30)と滑ることなく確実に供回りするようリボンコアに加工されたキー溝31(31a、31b、31c、31d)に嵌合いする係合部(スプリングプランジャ32)を各1ヶ所設けて組立てられている。
【0023】
サーマルヘッド・ダンサーローラ・センサードグ・位置検出センサを結ぶ線S3の様に、サーマルヘッド押圧部18を枠板1の1つの隅にサーマルヘッド16が一辺を越えて枠外向けて押圧されるように配置し、その上部にダンサーローラ24、センサードグ26、及び、2個の単位検出手段(27、28)が配置されている。
【0024】
サーマルヘッド押圧部と2個のステッピングモータを結ぶ線S4の様に、原反用ステッピングモータ10と、巻取用ステッピングモータ13を隣り合わせて配置し、かつサーマルヘッド16の押圧される方向と直角をなす方向のサーマルヘッドのコネクタ16a側にサーマルヘッド押圧部18も含め横一列に配置されている。
【0025】
外枠の一辺と平行に配置された2個のホルダを結ぶ線S5の様に、巻取ホルダ29を四角な枠板の1つの隅に配置すると共に、巻取ホルダ29を配置した隅に隣り合う隅に原反ホルダ4を配置し、二つ並んだ一辺の反対側の一辺の隅にサーマルヘッド押圧部18が配置されている。
【0026】
図1に示すようにガイドローラ20と23の間に敷設されたリニアレール21の台車ユニット25は、ダンサーローラ24の保持と、その懸垂方向の絶対位置を検出させるセンサードグ26と、テンションユニット19の圧縮バネ力を受け取るバネ受けと、3つの機能を併せ持ち無駄なく出来上がっている。
【0027】
図3に示すように、隣接した単位センサの検知位置間距離Aより、センサードグの検知される幅Bを長くすることで、最両端のオーバーラン以外は全て非検知の状態で出力せず、途中では必ず2個のセンサが検知状態となるので常に絶対位置を把握することが出来る。またセンサードグ26をB=2A幅とすれば等間隔で状態が変化するため巻取ホルダのインクリボンの外径算術処理がし易くなる。逆にBの幅をA<Bの範囲内で狭くすればインクリボンのテンション幅をより少なくできる。ダンサーローラの移動量をロータリーエンコーダやポテンションメータで読み込むよりもに安価になっている。基板用のフォトインタラプタや反射型フォトセンサーを並べて基板かすれば一段と安価に出来る。
【0028】
図4は、図1及び図2の左側面図であるが、枠板1の片面のみに本実施形態を配置してインクリボン走行部の組立て方法を実施した結果、奥行きD81が示すように奥行も小型でスッキリと仕上げる事が出来る。前面補強板50はガイドローラ8、14、20とサーマルヘッド押圧部18とエンコーダローラ17に前面から覆い被さり各ローラの補強も兼ね、止めネジ53、54、55、プラス2本で固定された前面カバー板となる。巻取ホルダ29に設けられたリボンコアとの回り止めとなる係合部32はスプリングプランジャとなっているため押さえこめば32aのように没入さすことが出来る。
【0029】
(第2実施形態)
第2実施形態は、図5に示すように、枠板2の片面のみに本実施形態を配置して実施したもので、奥行を抑えると共に部品点数を減らして簡素化し、それにより小型、軽量化したもので、ダンサーローラの懸垂方向の揺動に、巻取ホルダ29を保持している軸を兼用で揺動軸として利用して、張力調整アーム36を取付け、それにダンサーローラ34を保持して、インクリボン2に懸垂させてダンサーローラを揺振させている。張力調整アームの張力調整はテンションユニット37にて行う。ほか第1実施形態に同じ。
【0030】
(第3実施形態)
第3実施形態は、図6に示すように、第1実施形態の四角な枠板1から横長の枠板60へ取り替え、配置換えして実施したもので、原反ホルダ4と巻取ホルダ29を隣り合わせて配置し、かつサーマルヘッド16の押圧される方向と直角をなす方向のサーマルヘッドのコネクタ16a側に、サーマルヘッド押圧部18も含め横一列に配置し、2つのステッピングモータ(10、13)のみ裏面に配置とし、それ以外は正面に配置したものである。アイドラー6、12による迂回も必要なくなったので、原反ホルダ4と原反用ステッピングモータ10はギヤ伝達の原反用減速機62で直結し、巻取ホルダ29と巻取用ステッピングモータ13はギヤ伝達の原反用減速機61で直結し、それぞれのステッピングモータ10、13は減速機のギヤと干渉しないように低頭六角ボルト63で固定した。図1からの配置換えに際してガイドローラ64のみ増設している。
【0031】
以上、本発明によるインクリボン走行部に関する組立て方法を第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変形、変更を加えてよいことはいうまでもない。例えばダンサーローラのテンションを圧縮バネから(引っ張りバネ・ねじりバネ・定荷重バネ)などは容易に考えられる。
【符号の説明】
【0032】
1 枠板(前面配置用)
2 インクリボン(原反側で最大径)
3 リボンコア(原反用)
4 原反ホルダ
5 原反用減速機(タイミングプーリによる)
6 アイドラー(10取付時のベルト迂回用)
7 インクリボン
8 ガイドローラ
9 インクリボン終了検知センサ(外乱防止反射型フォトセンサ)
10 原反用ステッピングモータ
11 巻取用減速機(タイミングプーリによる)
12 アイドラー(13取付時のベルト迂回用)
13 巻取用ステッピングモータ
14 ガイドローラ
15 衝撃吸収ワッシャー
16 サーマルヘッド(コーナーエッジ型、2インチ印字幅)
16a 配線コネクタ(サーマルヘッドの)
17 エンコーダローラ(ロータリーエンコーダ内蔵)
18 サーマルヘッド押圧部
18a 押圧前(ソレノイドOFF状態)
18b 押圧中(ソレノイドON状態)
19 テンションユニット(圧縮バネを使用)
20 ガイドローラ
21 リニアレール
22 上限ストパーボルト
23 ガイドローラ
24 ダンサーローラ
25 台車ユニット
26 センサードグ
27 位置検出センサ上限用(コの字型マイクロフォトセンサ)
28 位置検出センサ下限用(コの字型マイクロフォトセンサ)
29 巻取ホルダ
30 リボンコア
31 キー溝
31a キー溝
31b キー溝
31c キー溝
31d キー溝
32 スプリングプランジャ
32a スプリングプランジャ没入状態
33 正回転(原反側では繰り出し回転方向、巻取側では巻取回転方向)
34 ダンサーローラ
35 下限ストッパーボルト
36 張力調整アーム
36a センサードグ
37 テンションユニット(圧縮バネを使用)
50 前面補強板
51 ストッパーネジ(ガイドローラ23用)
52 ストッパーネジ(ダンサーローラ24用)
53 止めネジ(ガイドローラ20に前面補強板50を固定)
54 止めネジ(サーマルヘッド押圧部18に前面補強板を固定)
55 止めネジ(サーマルヘッド押圧部18に前面補強板を固定)
60 枠板(横長)
61 巻取用減速機(ギヤ伝達)
62 原反用減速機(ギヤ伝達)
63 低頭六角ボルト(ステッピングモータフランジの取付用)
64 ガイドローラ(図1と図2の形態より1本増加した分)
W166 横幅166mm(図2の様な配置で)
H180 高さ180mm(図2の様な配置で)
□42 軸から見た外形が□42mm
Φ25.4 リボンコア内径Φ25.4mm
Φ33 リボンコア外径Φ33mm
Φ90 インクリボン最大外径φ90mm
D81 奥行き81mm(図1の様な配置で)
W233 横幅233mm(図6の様な配置で)
H98 高さ98mm(図6の様な配置で)
A 隣接した単位センサの検知位置間距離
B センサードグの検知される幅
C 位置検出センサ下限用の隙間(オーバーラン隙間)
D 位置検出センサ上限用の隙間(オーバーラン隙間)
E ダンサーローラのストローク
S3 サーマルヘッド・ダンサーローラ・センサードグ・位置検出センサを結ぶ線
S4 サーマルヘッド押圧部と2個のステッピングモータを結ぶ線
S5 外枠の一辺と平行に配置された2個のホルダを結ぶ線
S6 サーマルヘッド押圧部と2個のホルダを結ぶ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、巻回されたインクリボンを回転自在に保持し正回転により前記インクリボンを所定の経路に送り出すことが可能であると共に逆回転により前記インクリボンを前記経路より巻き戻すことが可能な原反ホルダと、前記原反ホルダへノンスリップで駆動を伝える原反用減速機と、前記原反用減速機に直結した原反用ステッピングモータと、前記インクリボンを正回転により巻き取ることが可能であると共に逆回転により前記インクリボンを前記経路に送り戻すことが可能な回転自在に保持する巻取ホルダと、前記巻取ホルダへノンスリップで駆動を伝える巻取用減速機と、前記巻取用減速機に直結した巻取用ステッピングモータと、前記インクリボンを迂回させるための保持されたガイドローラと、前記経路上に配置されるサーマルヘッドと前記巻取ホルダの間に配置した前記インクリボンの走行を計測するロータリーエンコーダに接続される保持されたエンコーダローラと、前記経路上の前記エンコーダローラと前記巻取ホルダの間に配置した2つの保持されたガイドローラに前記インクリボンが掛け渡されその間に前記経路の長さを変更可能に移動する前記インクリボンに懸垂させたダンサーローラと、前記ダンサーローラの絶対位置の検出を行う前記懸垂方向に配置した少なくとも2個の単位検出手段と、隣り合う前記懸垂方向の前記単位検出手段の検知位置間距離をAとして前記ダンサーローラの前記懸垂方向の動きを的確に捉えられる部分に取付けたセンサードグの前記懸垂方向の幅をBとしたときA<Bを満たした前記センサードグと、前記センサードグが前記単位検出手段の最両端では僅かにオーバーランして非検知となるよう確保した前記ダンサーローラのストロークと、更に前記原反ホルダと前記巻取ホルダにリボンコアと滑ることなく確実に供回りするよう前記リボンコアに加工されたキー溝に嵌合いする係合部を少なくとも各1ヶ所以上設ける、ことを特長とするインクリボン走行部の組立て方法。
【請求項2】
枠板の片面のみに配置する、ことを特長とする請求項1に記載のインクリボン走行部の組立て方法。
【請求項3】
サーマルヘッド押圧部を枠板の1つの隅に前記サーマルヘッドが一辺を越えて枠外向けて押圧されるように配置し、その上部に前記ダンサーローラ、前記センサードグ、及び、前記すくなくとも2個の単位検出手段を配置する、ことを特長とする請求項1に記載のインクリボン走行部の組立て方法。
【請求項4】
前記原反用ステッピングモータと、前記巻取用ステッピングモータを隣り合わせて配置し、かつ前記サーマルヘッドの押圧される方向と直角をなす方向の前記サーマルヘッドのコネクタ側に前記サーマルヘッド押圧部も含め横一列に配置すること、を特長とする請求項3に記載のインクリボン走行部の組立て方法。
【請求項5】
前記巻取ホルダを四角な枠板の1つの隅に配置すると共に、同巻取ホルダを配置した隅に隣り合う隅に前記原反ホルダを配置し、二つ並んだ一辺の反対側の一辺の隅に前記サーマルヘッド押圧部を配置すること、を特長とする請求項4に記載のインクリボン走行部の組立て方法。
【請求項6】
前記原反ホルダと前記巻取ホルダを隣り合わせて配置し、かつ前記サーマルヘッドの押圧される方向と直角をなす方向の前記サーマルヘッドのコネクタ側の隣に配置し、前記サーマルヘッド押圧部も含め横一列に配置すること、を特長とする請求項4に記載のインクリボン走行部の組立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−126116(P2012−126116A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294694(P2010−294694)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【特許番号】特許第4853749号(P4853749)
【特許公報発行日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【出願人】(505375975)
【Fターム(参考)】