説明

インク供給流路の弁装置

【課題】メニスカスを維持できる負圧を記録ヘッドに与えつつ、記録ヘッドにインクを供
給する弁装置の気泡を確実に排除すること。
【解決手段】一端がインク室2に連通し、また他端がインクジェット式記録ヘッドに連通
するインク供給流路の途中に、中心部に通孔21を備え、インク室2とインクジェット式
記録ヘッドとの圧力差に応動する弾性薄膜20と弾性支持部19とからなる膜弁6と、イ
ンク室側に位置して通孔に弾接する弁座8と、弁座8の下流側に配置され、弾性支持部1
9の延長方向を長辺としてその端部側がインク室側を上方とし、かつ断面積が狭くなる流
路を形成する流路形成板10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録ヘッドとインクタンクとを接続するインク供給流路に
配置される負圧発生機能を備えた弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、共通のインク室とノズル開口とに連通する圧力発生室に圧
力を印加してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドと、記録
ヘッドにインクを供給するインクカートリッジとをキャリッジに搭載し、キャリッジを往
復動させながら印刷データに一致させてインク滴を記録用紙に吐出させるように構成され
ている。
【0003】
このような記録ヘッドは、通常そのノズル開口がインクカートリッジのインク液面より
も低くなるように配置されているため、ノズル開口には水頭圧が作用し、ノズル開口から
インクの漏れ出しが生じるという問題がある。この問題を解消するため、通常インクカー
トリッジ内に多孔質体を収容し、多孔質体による毛細管力によりインクカートリッジのイ
ンクの圧力が記録ヘッドよりも若干低くなるように構成されている。
【0004】
しかしながら、インクの消費が進んで多孔質体に吸収されているインクの量が少なくな
ると、多孔質体の毛細管力に起因して記録ヘッドへのインクの供給に滞りが生じて、カー
トリッジ内のインクを完全に消費できないという問題や、多孔質体の実質体積分だけ、カ
ートリッジに収容できるインクが少なくなってインクカートリッジが大型化する等の問題
がある。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば特開昭62-231759号公報に見られるようにイン
クタンクの下部に通孔を備えた壁によりインク溜めと空洞とに分離し、この通孔にアンブ
レラチェックバルブを設けて、記録ヘッドのインク圧が低下した時点で、バルブを開弁さ
せてインク溜めのインクを空洞に排出させて記録ヘッドに供給するように構成したインク
ジェット記録ヘッド用のインクカートリッジが提案されている。
【0006】
これによれば、多孔質体が不要となるため、インクの収容量を増加させることが可能と
なるが、一般的にアンブレラチェックバルブは、記録ヘッドへのインクの供給を精密に調
整するにはそのオフセット量が大き過ぎ、インク供給量や記録ヘッドとの差圧に大きな変
動を来して印字品質の低下を招くという大きな問題がある。
【0007】
このような問題を解消するために、特開平8-174860号公報に見られるように、通孔を備
えた弾性薄膜からなる膜弁座によりインク流入側とインク流出側とに分離し、インク流入
側とインク流出側との間で若干でインクジェット式記録ヘッドのインク圧を負圧に維持さ
せながら、記録ヘッドでのインク消費に合わせてインクを供給することができるインクカ
ートリッジが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これによれば、広い面積の膜弁座により記録ヘッドでのインクの消費に対応させて記録
ヘッドに負圧状態を維持させつつインクを供給することができるものの、インク滴吐出能
力を回復させるために記録ヘッドに負圧を作用させて記録ヘッドからインクを強制的に排
出させた際には、膜弁座の面積が大きいためここの流速が低く、気泡の排除が困難である
という不都合を抱えている。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、記
録ヘッドとの間の微小な差圧に確実に応動して記録ヘッドに印字に適した負圧を維持させ
つつ、膜弁座近傍の気泡を確実に外部に排除することができるインクジェット式記録装置
のインク供給路における弁装置を提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、上記弁装置を内蔵したインクカートリッジ、及びインク供給針
を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、上記弁装置の製造方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような問題を解消するために本発明においては、上流側と下流側との圧力差に応動
する弾性薄膜、これの表面に形成され、通孔を有する弁体部、及び該弁体部と一体に形成
されて常時上流側に付勢する弾性支持部とからなる膜弁と、前記インク流路の上流側に位
置して前記通孔に弾接する弁座と、該弁座の下流側に配置され、前記弾性支持部の延長方
向を長辺としてその端部側が上方となり、かつ断面積が狭くなる流路を形成する流路形成
板とを備えるようにした。
【0013】
膜弁が広い面積で差圧を受けて記録ヘッドでのインクの消費に対応して流路を開いて記
録ヘッドにインクを供給する。また流路形成板により膜弁の下部領域が端部側を上方とし
かつ狭くなるように形成されているため、ここに気泡が集中し、かつ記録ヘッドに負圧を
作用させてインクを強制的に排出した際にもここのインク流速が無用に低下せず、したが
って気泡がインク流に乗って外部に排出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
そこで、以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の弁装置が組み込まれたインクカートリッジの一実施例を示すものであ
って、インクカートリッジ本体を構成する容器1は、上部にインク室2を有し、また底面
4に記録ヘッドのインク供給針Nが挿入されるインク供給口5を形成して構成されている

【0016】
インク室2とインク供給口5との間には、これらを分離する膜弁6を収容できるように
略矩形状の凹部が形成されている。膜弁6は、その下面の周囲を容器1の段差部1aに支
持されて、インク室側を弁座形成部材7により固定して容器1に組みこまれている。
【0017】
弁座形成部材7は、中心に下流側に突出する凸部7aが形成され、その先端にゴムなど
の弾性部材からなる弁座8が固定されて、また周辺にインク室2に連通する通孔9が少な
くとも1つ、好ましくは凸部7aを対称点とするように複数個穿設されている。
【0018】
膜弁6の下方領域には弁座8を最下部とし、また両側をインク室側とするインク流規制
板10が配置されている。インク流規制板10が占める最高位置にはインク供給口5に連
通する通孔11、11が穿設されている。
【0019】
膜弁座6は、図3(a)、(b)に示したように柔軟な高分子フィルム12と、金属板
13との積層体を長方形に切り出し、インク容器1と弁座形成部材7とによる支持領域と
なる4辺14、15、16、17と、弁体部18となる中心部と、弁体部18を両側から
支持し、かつ長辺側に延びる細長い弾性支持部19、19を残すように金属板13をエッ
チングして窓から高分子フィルム12の露出部20、20を形成するとともに、弁体部1
8にインクを流通させる通孔21を穿設して構成されている。
【0020】
弾性支持部19、19は、記録ヘッドのメニスカスを維持できる程度の負圧よりも若干
大きな差圧が作用したとき弾性変形できる弾性を有するように、その幅が選択されている

【0021】
膜弁座6は、容器1の段差部1aにセットされた状態で、インク室側から弁座形成部材
7により固定して容器1に液密状態で固定され、必要に応じて上部にインクに含まれてい
る気泡や、塵埃を除去するフィルタ22が配置される。
【0022】
この実施例において、インクカートリッジのインク供給口5を、記録ヘッドのインク供
給針Nに挿通して、記録装置にセットする。インク供給針Nの挿通により大気がインクカ
ートリッジや記録ヘッドに浸入して以後の印刷に不都合を来す虞が有る。
【0023】
このような不都合を回避するため、記録ヘッドにキャップ部材を介して負圧を作用させ
てインクカートリッジのインクを記録ヘッドに吸い込むと、インク供給口5の圧力が低下
して膜弁6に差圧が作用して、図2(a)、(b)に示したように膜弁6が弁座8から離
れてインク室2のインクが膜弁6の下部の最高位置の通孔11を通過してインク供給口5
に流れる。
【0024】
一方、膜弁6の下方領域はインク流路規制板10により、膜弁6の長辺方向が端部程、
膜弁側に接近し、かつ幅方向が絞られた流路が形成されているから、膜弁6の下方に集ま
っている気泡は自身の浮力により通孔11の近傍に集まる。そしてここでのインクの流速
は他の領域に比較して速いため、気泡はインク流に乗せられて記録ヘッドを経由してキャ
ップ部材に排出される。
【0025】
インクの充填が終了した段階で、印刷を実行すると、膜弁座6の下部領域のインクがイ
ンク供給口5から記録ヘッドに流れ込み、膜弁6の下部領域の圧力が徐々に低下する。圧
力低下が弾性支持部19の支持力よりも大きくなると、膜弁6はインク供給口5側にたわ
んで通孔21が弁座8から離れる。これによりインク供給口5の圧力が過度な負圧に至る
までにインク室2のインクが通孔21を通ってインク供給口5に流れ込む。
【0026】
インクの流入により膜弁6の下部領域の圧力が若干上昇すると、弾性支持部19は、上
部からのインクの圧力に打ち勝って弁体部18を、高分子フィルム12の揺動等の影響を
受けることなく、確実にガイドして上流側に移動させて弁座8に弾接させ、通孔21を塞
ぐ。これによりインク室2からのインクの流出が停止する。したがって、インク室3のイ
ンク液面の高低に関りなく、インク供給口5の圧力が記録ヘッドのメニスカスを維持する
のに適した負圧に維持される。
【0027】
長時間の印刷によりノズル開口からのインク滴の吐出に不都合が生じた場合には、記録
ヘッドのノズルプレートをキャッピング手段により封止して負圧を作用させると、前述の
インクの充填操作時と同様の作用により、通孔11の近傍に集まっている気泡が記録ヘッ
ドの外に排出される。
【0028】
図4乃至図6は、それぞれ膜弁6の他の実施例を示すものであって、図4に示したもの
は、弁体部18の通孔21を点対称点とするように配置された枝部23、23を、金属板
13のエッチング等により形成したもので、差圧を弁体部18、及び弾性支持部19に確
実に伝達して高分子フィルム12の過度な変形を防止することができる。
【0029】
図5は、膜弁6の下部領域の流路を、弾性支持部19の延長方向の端部に行く程細くな
るようにインク流路規制板10で絞った場合に最適な膜弁の一実施例を示すもので、中心
部の弁体部18と、これを両側から支持する弾性支持部19と、周辺に取付け用の枠部2
5、26、27、28を残すように、金属板13をエッチングして菱形の窓を形成したも
のである。
【0030】
この実施例によれば、弁体部18が位置する中央領域の高分子フィルム12の剛性を弱
めて、弁体部18を差圧に容易に追従させることができる。また気泡が停滞しやすい最上
部となる弾性支持部19の固定部領域の流路を狭くできて、通孔9から流れ込んだインク
の流れにより気泡を容易に排除することができる。
【0031】
図6は、弾性支持部19、19をジグザグ状に形成した弾性支持部19’、19’によ
り弁体部18を支持させたもので、この実施例によれば弾性支持部19’、19’のたわ
み変形領域を拡大できて、微小な差圧に対しても弁体部20を応動させることができる。
【0032】
図7(a)、(b)は、本発明の他の実施例を示すものであって、膜弁6は図8に示し
たように弁体部18の一側だけを弾性支持部29により片持梁状に支持させるように構成
されおり、また流路形成基板30は、片持梁状の弾性支持部29の延長方向に沿うように
上方に傾斜し、幅が狭くなるように膜弁6の下部の流路を規制するとともに、その最高位
置に設けた1つの通孔31からインクをインク供給口5に流出させるように構成されてい
る。
【0033】
この実施例によれば、膜弁6の近傍のインク流路の領域を可及的に狭く規制することが
可能であるため、膜弁6の気泡を1箇所に集めてインク流れにより外部に排出することが
できる。
【0034】
図9は、同上弁装置に適した膜弁の一実施例を示すものであって、弁体部18と、弾性
支持部29、枠部32を残すように水滴型の窓33を形成するように金属板をエッチング
等により整形したものである。
【0035】
なお、上述の実施例においては弁装置をインクカートリッジに組み込んだ場合に例を採
って説明したが、記録ヘッドとインクタンクを一体化したデスポーザブルタイプの記録ヘ
ッドに対しては、図10に示したように記録ヘッドのインク供給路Pとインクタンクとの
接続領域に上述したの弁装置40を組み込んでも同様の作用を奏することは明らかである

【0036】
図11(a)、(b)は、それぞれ本発明の他の実施例を示すものであって、この実施
例においては記録ヘッドHに連通するインク供給路と、これに連通させて垂設されている
インク供給針Nとの接続部に前述した弁装置40を組み込んだもので、弁装置40の下流
側や、上流側にフィルタ41、42を設けたものである。
【0037】
なお、この実施例においては弁座部を両側から支持する場合に例を採って説明したが、
図7に示した弁部を片持梁状に支持した弁装置を組み込むと、弾性支持部を短縮すること
ができるため、組み込みが容易である。
【0038】
また、上述の実施例においては高分子フィルムと金属板との積層体をエッチングにより
加工しているが、弁体部や弾性支持部、及び枠部を金属板のプレス加工により構成したり
、また高分子の射出成形により構成した高分子板を高分子フィルムに貼着するようにして
も同様の作用を奏する。
【0039】
ところで、比較的ドット密度が低い印刷データにあっては、膜弁に作用する差圧が低い
ため、膜弁全体の弾性を可及的に小さくするのが望ましが、弁体部の位置が不安定となり
インク供給能力に低下を来して却って性能が低下する。
【0040】
図12(a)は、このような問題を解消するのに適した膜弁の一実施例を示すものであ
って、弾性を有し、加工が容易な金属板、たとえば厚さ0.03mm程度の不錆鋼50を
、中心点に弁体部52と、その中心に位置する通孔53と、中心を点対称点とするように
一端が弁体部52に連続するジグザグ状の枝部54、54と、枝部54、54の他端に接
続する周縁部55とをエッチング加工やプレス加工したものと、塑性変形可能な延伸性高
分子材料、例えば厚さ0.0035mmのポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂フ
ィルム51を図12(b)、(c)に示したように弁体部52が弁座8から少なくとも離
反する程度まで中心部が突出するように予め塑性変形させたものとを望ましくは弁体部5
2を接着層や粘着層を介して接合して構成されている。なお、接合後、または接合前に樹
脂フィルム51に対して弁体部52の通孔53に対応する位置に通孔を穿設して流路を形
成する。
【0041】
このような塑性変形加工は、図13(I)に示したように樹脂フィルム60の熱変形温
度、または二次転移温度以上、軟化点よりも低い温度に予め加熱して図13(I)に示し
たように所望とする脹らみ形状の凸型材61に位置決めし、ついで図13(II)に示した
ように対応する凹型材62により押圧することにより脹らみを付与することができる。
【0042】
この実施例によれば、樹脂フィルム51は、開弁状態に相当する脹らみを付けられてい
るので、弁体部52の弁座8への当接力は、実質的に枝部54、54の弾性だけが作用す
ることになる。この結果、枝部54、54の剛性を高めて弁体部52のふらつきを防止し
つつ、小さな差圧で開弁させることができる。
【0043】
そして、特に接合領域を樹脂フィルム51と弁体部52とがラップする領域に限定する
と、樹脂フィルム51が弁体部52に作用する弾性力を抑制できて、弁体部52の追従性
を高めることができる。
【0044】
図14(a)、(b)は、上述の塑性変形加工の他の実施例を示すもので、図14(a
)に示した実施例のおいては、塑性加工に必要な凹部63が形成されたキャップ部材64
と、基台65とにより樹脂フィルム60の周縁を気密的に固定し、かつ熱変形温度、また
は二次転移温度以上、軟化点以下に加熱しつつ、凹部63側の圧力が高くなるように通孔
66、67差圧を付与、つまり凹部63に負圧−Pを作用させたり、また基台側から圧力
Pを加えたりして塑性変形させるものである。
【0045】
なお、上述の実施例においてはキャップ部材64に塑性変形させるべき形状に対応した
凹部63を形成しているが、図14(b)に示したように単なる空洞68として形成し、
前述と同様に樹脂フィルム60に差圧を付与しても同様に塑性変形をさせることができる

【0046】
なお、このように高分子フィルムに塑性変形加工を施すことは、図3、図4、図5、図
6、図8、図9に示した実施例に対しても有効であることは明らかである。
【0047】
以上、説明したように本発明においては、上流側と下流側との圧力差に応動する弾性薄
膜、これの表面に形成され、通孔を有する弁体部、及び弁体部と一体に形成されて常時上
流側に付勢する弾性支持部とからなる膜弁と、インク流路の上流側に位置して通孔に弾接
する弁座と、弁座の下流側に配置され、弾性支持部の延長方向を長辺としてその端部側が
上方となり、かつ断面積が狭くなる流路を形成する流路形成板と備えたので、膜弁が広い
面積で差圧を受けて記録ヘッドでのインクの消費に対応して流路を開いて記録ヘッドにイ
ンクを供給でき、また流路形成板により膜弁の下部領域が端部側を上方としかつ狭くなる
ように形成されていて、ここに気泡を集中させ、かつ強制的に排出されるインクの流れに
乗せて気泡を外部に確実に排出することができる。
【0048】
また薄膜単独で膜弁を構成する場合に比較して、弾性支持部材の剛性により、キャリッ
ジ等の振動に関りなく膜弁の中心位置の保持と、インクによる弾性率の変動を防止して開
閉動作を安定化して記録ヘッドへのインク供給の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図(a)、(b)は、それぞれ本発明のインクカートリッジの一実施例を、弁装置の長辺方向と短辺方向の断面構造を閉弁状態で示す図である。
【図2】図(a)、(b)は、それぞれ本発明のインクカートリッジの一実施例を、弁装置の長辺方向と短辺方向の断面構造を開弁状態で示す図である。
【図3】図(a)、(b)は、それぞれ同上弁装置を構成する膜弁の一実施例を示す上面図と、これに使用する板材の断面図である。
【図4】本発明のインクカートリッジに使用する膜弁の他の実施例を示す上面図である。
【図5】本発明のインクカートリッジに使用する膜弁の他の実施例を示す上面図である。
【図6】本発明のインクカートリッジに使用する膜弁の他の実施例を示す上面図である。
【図7】図(a)、(b)は、本発明の弁装置の他の実施例を弁装置の長辺方向と短辺方向の断面構造を開弁状態で示す図である。
【図8】同上弁装置の膜弁の一実施例を示す上面図である。
【図9】同上弁装置の膜弁の他の実施例を示す上面図である。
【図10】本発明の弁装置をインクタンクと一体構造として構成された記録ヘッドに組み込んだ実施例を示す断面図である。
【図11】図(a)、(b)は、それぞれ本発明の弁装置をインク供給針に組み込んだ実施例を示す断面図である。
【図12】図(a)は、本発明に適した膜弁の他の実施例を示す上面図であり、また図(b)、(c)は、それぞれ膜弁を構成する樹脂フィルムの形状をA−A線、B−B線での断面形状を示す図である。
【図13】図(I)、(II)は、それぞれ同上膜弁の製造工程の内、樹脂フィルムの加工工程を示す図である。
【図14】図(a)、(b)は、同上膜弁の製造方法の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1…インク容器、2…インク室、5…インク供給口、6…膜弁、7…弁座形成部材、8
…弁座、9…通孔、12…高分子フィルム、19…弾性支持部、20…高分子フィルムの
露出部、21…通孔、N…インク供給針、H…インクジェット式記録ヘッド、P…インク
流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側と下流側との圧力差に応動する弾性薄膜、これの表面に形成され、通孔を有する
弁体部、及び該弁体部と一体に形成されて常時上流側に付勢する弾性支持部とからなる膜
弁と、
前記インク流路の上流側に位置して前記通孔に弾接する弁座と、
該弁座の下流側に配置され、前記弾性支持部の延長方向を長辺としてその端部側が上方
となり、かつ断面積が狭くなる流路を形成する流路形成板と
からなるインクジェット式記録装置のインク供給流路の弁装置。
【請求項2】
前記膜弁が、高分子フィルムと該高分子フィルムよりも弾性率の小さな板材の積層体と
して構成されている請求項1に記載のインクジェット式記録装置のインク供給流路の弁装
置。
【請求項3】
前記弾性支持部が前記弁体部を両側から支持するように形成されている請求項1に記載
のインクジェット式記録装置のインク供給流路の弁装置。
【請求項4】
前記弾性支持部が前記弁体部を片側から支持するように形成されている請求項1に記載
のインクジェット式記録装置のインク供給流路の弁装置。
【請求項5】
前記弁体部から前記通孔を対称点とするように前記弾性支持部が放射状に整形されてい
る請求項3に記載のインクジェット式記録装置のインク供給流路の弁装置。
【請求項6】
前記弾性薄膜が前記通孔を頂点とする凸型形状に塑性変形加工されている請求項1に記
載のインクジェット式記録装置のインク供給流路の弁装置。
【請求項7】
前記凸型形状の脹らみが、少なくとも前記弁体部が前記弁座から離反する程度である請
求項6に記載のインクジェット式記録装置のインク供給流路の弁装置。
【請求項8】
前記弾性薄膜が延伸性高分子である請求項6に記載のインクジェット式記録装置のイン
ク供給流路の弁装置。
【請求項9】
前記弾性薄膜と前記弁体部との重複領域が接着されている請求項6に記載のインクジェ
ット式記録装置のインク供給流路の弁装置。
【請求項10】
上部にインク室を備えた、下部にインクジェット式記録ヘッドのインク供給針が挿入さ
れるインク供給口を備えた容器と、
前記インク室と前記インク供給口とを分割するように張設され、上流側と下流側との圧
力差に応動する弾性薄膜、これの表面に形成され、通孔を有する弁体部、及び該弁体部と
一体に形成されて常時上流側に付勢する弾性支持部とからなる膜弁と、
前記インク流路の上流側に位置して前記通孔に弾接する弁座と、
該弁座の下流側に配置され、前記弾性支持部の延長方向を長辺としてその端部側が上方
となり、かつ断面積が狭くなる流路を形成する流路形成板とからなるインクカートリッジ

【請求項11】
前記膜弁が、高分子フィルムと該高分子フィルムよりも弾性率の小さな板材の積層体と
して構成されている請求項10に記載のインクカートリッジ。
【請求項12】
前記弾性支持部が前記弁体部を両側から支持するように形成されている請求項10に記
載のインクカートリッジ。
【請求項13】
前記弾性支持部が前記弁体部を片側から支持するように形成されている請求項10に記
載のインクカートリッジ。
【請求項14】
前記弁体部から前記通孔を対称点とするように放射状に形成されている請求項10に記
載のインクカートリッジ。
【請求項15】
前記弾性薄膜が、前記通孔を頂点とする凸型形状に塑性変形加工されている請求項10
に記載のインクカートリッジ。
【請求項16】
前記凸型形状の脹らみが、少なくとも前記弁体部が前記弁座から離反する程度である請
求項15に記載のインクカートリッジ。
【請求項17】
前記弾性薄膜が延伸性高分子である請求項15に記載のインクカートリッジ。
【請求項18】
前記弾性薄膜と前記弁体部との重複領域が接着されている請求項15に記載のインクカ
ートリッジ。
【請求項19】
インクジェット式記録ヘッドのインク流路に連通して、インクカートリッジのインクを
前記記録ヘッドに供給するインク供給針において、
前記インク供給針の上流側と下流側を分割するように張設され、上流側と下流側との圧
力差に応動する弾性薄膜、これの表面に形成され、通孔を有する弁体部、及び該弁体部と
一体に形成されて常時上流側に付勢する弾性支持部とからなる膜弁と、
前記インク流路の上流側に位置して前記通孔に弾接する弁座と、
からなるインク供給針。
【請求項20】
該弁座の下流側に、前記弾性支持部の延長方向を長辺としてその端部側が上方となり、
かつ断面積が狭くなる流路を形成する流路形成板が配置されている請求項19に記載のイ
ンク供給針。
【請求項21】
前記膜弁が、高分子フィルムと該高分子フィルムよりも弾性率の小さな板材の積層体と
して構成されている請求項19に記載のインク供給針。
【請求項22】
前記弾性支持部が前記弁体部を片側から支持するように形成されている請求項19に記
載のインク供給針。
【請求項23】
前記弾性薄膜が、前記通孔を頂点とする凸型形状に塑性変形加工されている請求項19
に記載のインク供給針。
【請求項24】
前記凸型形状の脹らみが、少なくとも前記弁体部が前記弁座から離反する程度である請
求項23に記載のインク供給針。
【請求項25】
前記弾性薄膜が延伸性高分子である請求項23に記載のインク供給針。
【請求項26】
前記弾性薄膜と前記弁体部との重複領域が接着されている請求項23に記載のインク供
給針。
【請求項27】
弾性を有する板材に中心点に弁体部と、その中心に位置する通孔と、中心を点対称点と
するように一端が前記弁体部に連続する弾性支持とを形成する工程と、
塑性変形可能な高分子材料のフィルムを中心に突出部を形成する工程と、
上記工程で構成された2部材を接合する工程と
からなる弁装置の製造方法。
【請求項28】
前記突出部が機械的に加圧されて形成されている請求項27に記載の弁装置の製造方法

【請求項29】
前記突出部が流体的に加圧されて形成されている請求項27に記載の弁装置の製造方法

【請求項30】
前記突出部の突出量が、弁体部が弁座から少なくとも離反する程度である請求項27に
記載の弁装置の製造方法。
【請求項31】
前記高分子フィルムが熱変形温度、または二次転移温度以上、軟化点よりも低い温度に
加熱されている請求項27に記載の弁装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−30498(P2008−30498A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278636(P2007−278636)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【分割の表示】特願平9−364611の分割
【原出願日】平成9年12月18日(1997.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】