説明

インク供給装置及び画像形成装置

【課題】インクを循環させながら記録ヘッドからインクを吐出させることができるインク供給装置を提供する。
【解決手段】インク供給装置は、第1のタンクと、第2のタンクと、大気に開放された第3のタンクとを有している。第1のタンクに第1の圧力調整機構が設けられている。第2のタンクに第2の圧力調整機構が設けられている。ポンプから吐出されたインクは、第1の流入口を経て第1のタンクに供給され、さらに第1のタンク内のインクが第1の流出口から記録ヘッドに供給される。記録ヘッドから出たインクは、第2の流入口を経て第2のタンクに戻され、さらに第2の流出口を経てポンプに吸入される。第1のタンク内の圧力が第1の所定値を越えると、第1のタンク内のインクが第1の圧力調整機構を介して第3のタンクに供給される。第2のタンク内の圧力が第2の所定値以下になると、第3のタンク内のインクが第2の圧力調整機構を介して第2のタンクに引き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばインクジェットプリンタ等の画像形成装置に適用されるインク供給装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の画像形成装置は、インクを吐出する記録ヘッドと、該記録ヘッドにインクを供給するインク供給装置とを備えている。記録ヘッドをワイピングする際、記録ヘッドをインクで濡らすために、インクを記録ヘッドのオリフィス面に張り出させることが行なわれている。このため従来のインク供給装置の一例では、記録ヘッドの入口側とインク貯留部とを接続する第1流路と、前記記録ヘッドの出口側とインク貯留部とを接続する第2流路とによって循環流路を構成し、この循環流路の第1流路と第2流路とをバイパス流路によって接続するとともに、このバイパス流路にリリーフ弁を設けている。ワイピングの際に第1流路から記録ヘッドに向かうインクの一部がバイパス流路を通じて第2流路に流れ、前記リリーフ弁の開度を制御することにより、インク貯留部から記録ヘッドへ流れるインクの圧力が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−331281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクによって画像を形成する際に、記録ヘッドとインクの供給源との間でインクを循環させることが望まれている。前記従来のインク供給装置では、ワイピングする際(インクを張り出すとき)に記録ヘッド内のインク圧力を正圧に保つようにしているため、画像形成時にインクを循環させながらインクをノズルから吐出できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態において、インク供給装置は、ポンプと、第1のタンクと、第2のタンクと、第3のタンクと、第1の中継管路と、第2の中継管路と、第1の圧力調整機構と、第2の圧力調整機構とを有している。前記ポンプは、吸入口と吐出口とを有している。前記第1のタンクは、第1の流入口および第1の流出口を有し、前記第1の流入口が吐出管路を介して前記ポンプの吐出口に接続され、前記第1の流出口が供給管路を介して記録ヘッドのインク供給口に接続されている。前記第2のタンクは、第2の流入口および第2の流出口を有し、前記第2の流入口が戻り管路を介して前記記録ヘッドのインク回収口に接続され、前記第2の流出口が吸入管路を介して前記ポンプの吸入口に接続されている。前記第3のタンクは、大気に開放されたインク貯留部を有し、インクカートリッジからインクが供給される。前記第1の中継管路は、前記第3のタンク内の大気と前記第1のタンクとをつないでいる。前記第2の中継管路は、前記第3のタンクのインク貯留部と前記第2のタンクとをつないでいる。前記第1の圧力調整機構は、前記第1の中継管路に設けられ、前記第1のタンク内の圧力が第1の所定値以上になると開弁することにより前記第1のタンク内のインクを前記第3のタンク内の大気中に排出する。前記第2の圧力調整機構は、前記第2の中継管路に設けられ、前記第2のタンク内の圧力が第2の所定値以下になると開弁することにより前記第3のタンク内のインクを前記第2のタンクに引き込む。
【0006】
実施形態において、画像形成装置は、前記インク供給装置と、該インク供給装置からインクの供給を受けて印刷媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、印刷媒体を収容する媒体収容部と、該媒体収容部に収容された印刷媒体を記録ヘッドへ搬送する供給機構とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】1つの実施形態に係るインク供給装置の構成を模式的に示す図。
【図2】図1に示されたインク供給装置がインク循環モードにあるときの図。
【図3】図1に示されたインク供給装置がインク張り出しモードにあるときの図。
【図4】インク供給装置のコントローラの構成を示すブロック図。
【図5】インク供給装置のインク供給プロセスを示すフローチャート。
【図6】1つの実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、1つの実施形態に係るインク供給装置について、図1から図5を参照して説明する。図1は、例えばインクジェットプリンタ等の画像形成装置の記録ヘッド(インクジェットヘッド)10にインクを供給するためのインク供給装置20の構成を模式的に示している。このインク供給装置20は、インクカートリッジ21から供給されるインクを記録ヘッド10に供給するとともに、インクを循環させる機能を有している。
【0009】
インクカートリッジ21は交換可能であり、密閉された内部空間にインク22が収容されている。インクカートリッジ21には、インク供給ポート21aと大気開放ポート21bとが設けられている。図1中の矢印Yは、インク供給装置20の上下方向(高さ方向)を示している。
【0010】
インク供給装置20は、インクカートリッジ21との接続をなすための接続部25を備えている。接続部25は、インク供給ポート21aに接続されるインク供給接続口25aと、大気開放ポート21bに接続される大気開放接続口25bとを有している。インク供給接続口25aにはインク供給管31が接続され、大気開放接続口25bには連通管32が接続されている。インク供給管31と連通管32は、それぞれ、接続部25から下方に延びている。
【0011】
記録ヘッド10は、インクを吐出するノズル40が形成されたオリフィスプレート41と、ノズル40に連通する圧力室42と、圧力室42内のインクをノズル40から吐出させるアクチュエータ43と、圧力室42に連通するインク供給口45およびインク回収口46とを備えている。アクチュエータ43としては、PZT等の圧電素子を用いて圧力室42を直接または間接的に変形させるものが知られている。記録ヘッド10の他の形態として、静電気によってダイヤフラムを駆動するもの、あるいはヒータによりインクを加熱して気泡を生成し圧力を発生させるもの、インクを静電気で直接的に移動させるものなど、そのいずれを用いてもよい。
【0012】
さらにこのインク供給装置20は、インクカートリッジ21の下方に配置された第1のタンク51と、第2のタンク52と、第3のタンク53と、廃インクタンク54と、循環ポンプ55と、開閉弁56と、液面センサ57と、コントローラ58などを含んでいる。
【0013】
本実施形態の場合、インクカートリッジ21は、第1のタンク51よりも高い位置に配置されている。第2のタンク52は、第1のタンク51よりも低い位置に配置されている。第3のタンク53は、第1のタンク51と第2のタンク52との中間の高さに配置されている。廃インクタンク54は、第3のタンク53の下方に配置されている。廃インクタンク54の上部には、接続口54aと、大気開放口54bとが設けられている。記録ヘッド10と、循環ポンプ55と、コントローラ58の高さは問わない。
【0014】
循環ポンプ55は電動モータ(図示せず)によって駆動され、後述するようにコントローラ58によって発停が制御される。この循環ポンプ55は、インクを吐出する吐出口55aと、インクを吸引する吸入口55bとを有している。
【0015】
第1のタンク51は、記録ヘッド10に対してインクを供給する上流側に配置されている。第1のタンク51の内部はインク22を収容可能な密閉空間をなしている。第1のタンク51に、第1の流入口51aと、第1の流出口51bと、フィルタ60と、第1の圧力調整機構の一例である第1のリリーフ弁61と、第1の圧力追従部材の一例である第1の弾性部材62などが設けられている。
【0016】
第1のタンク51の流入口51aは、吐出管路70を介して、循環ポンプ55の吐出口55aに接続されている。循環ポンプ55の吐出口55aから吐出管路70を経て第1のタンク51に向かうインクは、第1の流入口51aとフィルタ60を通過して第1のタンク51内に流入する。フィルタ60の一例は、枠に取付けられたメッシュ部材からなる。
【0017】
第1のタンク51の流出口51bは、第1のタンク51の底部とほぼ同じ高さに設けられている。この流出口51bは、供給管路71を介して、記録ヘッド10のインク供給口45に接続されている。第1のタンク51の流出口51bが第1のタンク51の底部に設けられている理由は、第1のタンク51内の空気が供給管路71を経て記録ヘッド10に送られることを防ぐためである。
【0018】
第1のリリーフ弁61は、第1のタンク51の最上部付近に設けられている。この第1のリリーフ弁61は、第1の中継管路73を介して、第3のタンク53内の大気部74に連通している。大気部74の下には、インク22を溜めるインク貯留部75が存在している。第1のリリーフ弁61を第1のタンク51の最上部に設ける理由は、第1のタンク51内の空気を完全に放出できるようにするためである。
【0019】
第1のリリーフ弁61の一例は、弁体61aとばね61bとからなる一方向弁であり、第1のタンク51内の圧力が第1の所定値以上となったときに、弁体61aがばね61bの弾力に抗して開弁することにより、第1のタンク51内のインク(気泡が混入していることもある)を第1の中継管路73を経て第3のタンク53に供給するようになっている。すなわち第1のリリーフ弁61は、第1のタンク51内の圧力を第1の所定値(正圧)に保つための第1の圧力調整手段として機能する。なお、弁体61aとばね61bとからなるリリーフ弁61の代りに、圧力センサと電磁弁とを組合わせることにより、第1のタンク51内の圧力が第1の所定値に達したときに電磁弁を開くように構成してもよい。
【0020】
さらに第1のタンク51には、第1の圧力追従部材の一例である第1の弾性部材62が設けられている。第1の弾性部材62の一例は、ゴム状弾性を有する材料からなるダイヤフラムであるが、他の形態、例えば空気等のガスを封入したバルーンが採用されてもよい。第1の弾性部材62が第1のタンク51内のインク22に接しているため、第1のタンク51内のインク22の圧力が上昇したときに、第1の弾性部材62が第1のタンク51の外側に膨らむように弾性変形する。第1のタンク51自体は実質的に剛体であるため変形しにくいが、第1の弾性部材62が第1のタンク51内の圧力に応じて弾性変形する。すなわち第1の弾性部材62は、第1のタンク51の内部を正圧に保つための蓄圧手段としても機能する。
【0021】
第2のタンク52は、記録ヘッド10に対してインクを排出する下流側に配置されている。第2のタンク52の内部は、第1のタンク51と同様にインク22を収容可能な密閉空間をなしている。第2のタンク52の底部には、このタンク52の底部とほぼ同じ高さに第2の流入口52aが設けられている。第2の流入口52aは、戻り管路81を介して、記録ヘッド10のインク回収口46に接続されている。
【0022】
戻り管路81の途中に開閉弁56が設けられている。開閉弁56の一例は、常時(通電オフ時)は開弁し、コントローラ58から指令が出たとき(通電時)に閉弁するノーマルオープンタイプ(常開弁)である。この開閉弁56は、後述するようにコントローラ58によって開閉が制御される。
【0023】
第2のタンク52の上部に第2の流出口52bが設けられている。第2の流出口52bは、吸入管路85を介して、循環ポンプ55の吸入口55bに接続されている。第2のタンク52の流出口52bは、タンク52の最上部付近に設けられている。流出口52bを第2のタンク52の最上部に設ける理由は、第2のタンク52内の空気を完全に吸い出して第2のタンク52内をインク22で満たすためである。
【0024】
第2のタンク52に、第2の圧力調整機構の一例である第2のリリーフ弁90が設けられている。第2のリリーフ弁90は第2のタンク52の最上部付近に設けられている。第2のリリーフ弁90の流入側は、第3のタンク53の底部とほぼ同じ高さに設けられた流出側接続口53aと第2の中継管路95を介して、第3のタンク53と連通している。
【0025】
第2のリリーフ弁90の一例は、弁体90aとばね90bとからなる一方向弁であり、第2のタンク52の内部の圧力が第2の所定値以下となったときに、弁体90aがばね90bの弾力に抗して開弁することにより、第3のタンク53内のインク22を第2のタンク52内に引き込むようになっている。すなわち第2のリリーフ弁90は、第2のタンク52内の圧力を前記第1の所定値よりも低い第2の所定値に保つための第2の圧力調整手段として機能する。なお、弁体90aとばね90bとからなるリリーフ弁90の代りに、圧力センサと電磁弁とを組合わせることにより、第2のタンク52内の圧力が第2の所定値以下となったときに電磁弁を開くように構成してもよい。
【0026】
さらに第2のタンク52には、第2の圧力追従部材の一例である第2の弾性部材92が設けられている。第2の弾性部材92の一例は、ゴム状弾性を有する材料からなるダイヤフラムであるが、他の形態であってもよい。第2の弾性部材92は第2のタンク52内のインク22に接しており、第2のタンク52内の圧力が低下したときに、タンク52の内側に凹むように弾性変形する。第2のタンク52は実質的に剛体であるため変形しにくいが、第2の弾性部材92はタンク52内の圧力に応じて弾性変形する。すなわち第2の弾性部材92は、第2のタンク52内の圧力を第1のタンク51内の圧力よりも低く保つための陰圧維持手段として機能する。
【0027】
第3のタンク53は、タンク53の底部付近に設けられた流出側接続口53aと、前記インク供給管31が接続される接続口53bと、前記連通管32が接続される接続口53cと、第1の中継管路73が接続される接続口53dと、第3のタンク53内のインク22の液面の上限位置よりも高い位置に開口する大気連通口53eとを有している。またこの第3のタンク53には、インク22の液面が所定値以下となったこと(第3のタンク53が実質的に空になったこと)を検出するための液面センサ57が配置されている。
【0028】
第3のタンク53の流出側接続口53aは、第2のリリーフ弁90と同等の高さの位置に設けられている。この流出側接続口53aは、第2のリリーフ弁90と同等の高さの第2の中継管路95を介して、第2のリリーフ弁90の流入側に接続されている。こうすることにより、第3のタンク53のインク22の液面と第2のリリーフ弁90との水頭差による影響を極力少なくすることができる。
【0029】
インク供給管31に接続された接続口53bは、第3のタンク53の上方から第3のタンク53内に挿入されている。この接続口53bの下端は、第3のタンク53内のインク22の液面の下方において開口している。連通管32に接続された接続口53cも、第3のタンク53の上方から第3のタンク53内に挿入されている。この接続口53cの下端は、第3のタンク53内のインク22の液面設定高さにおいて開口している。
【0030】
第1の中継管路73に接続された接続口53dは、第3のタンク53の上方から第3のタンク53内に挿入されている。この接続口53dの下端は、第3のタンク53内のインク22の液面の上方に距離H1(図1に示す)だけ離れた位置に開口している。このため第1のリリーフ弁61から第1の中継管路73を経て接続口53dに到達したインクは、第3のタンク53内の大気部74を経て、第3のタンク53内に滴下することになる。
【0031】
第3のタンク53の上部付近に設けられた大気連通口53eは、第3のタンク53内のインク22の液面の上限位置よりも高い位置に開口している。この大気連通口53eは、通気管路96を介して、廃インクタンク54の接続口54aに連通している。よって、第3のタンク53内のインク22の液面が大気連通口53eよりも高い位置まで上昇すると、第3のタンク53内のインク22が通気管路96を通って廃インクタンク54に排出されることになる。
【0032】
廃インクタンク54の大気開放口54bは大気と常時連通しているため、第3のタンク53内の大気部74は、大気連通口53eと、通気管路96と、廃インクタンク54と、大気開放口54bとを介して、常に大気に開放されている。インクが水性の場合には、廃インクタンク54内で気化したインク蒸気が、通気管路96と、大気連通口53eとを介して第3のタンク53の大気部74に入るため、第3のタンク53内は保湿され、飽和水蒸気量に保つことができる。
【0033】
以下に、本実施形態のインク供給装置20の作用について説明する。
インクカートリッジ21内のインク22は、接続部25のインク供給接続口25aと、インク供給管31と、接続口53bとを経て、第3のタンク53に供給される。第3のタンク53内のインク22の液面が上昇して接続口53cの下端に達すると、それ以降は第3のタンク53内のインク22の液面は上昇せず、その代りにインク22が接続口53cから連通管32内に流入し、連通管32内を上昇する。連通管32内のインクは、インクカートリッジ21内の液面と同じ高さH2(図1に示す)まで上昇する。
【0034】
一方、第3のタンク53内のインク22の液面が下がると、接続口53cが大気開放されるため、インクカートリッジ21内のインク22がインク供給管31を経て第3のタンク53へ流れ出す。あるいは連通管32内に溜まっていたインクが第3のタンク53に向かって落ちることにより、第3のタンク53内のインク22の液面が接続口53cの下端(開口)を塞ぐ高さまで上昇する。このため第3のタンク53内のインク22の液面は、常に接続口53cの下端(開口)の高さに維持される。この高さが設定液面位置である。
【0035】
第3のタンク53内の設定液面位置は、第2のリリーフ弁90を高さ基準とした場合、あまり高くし過ぎると、第3のタンク53のインク22の液面と第2のリリーフ弁90までのインクの水頭差による圧力が第2のリリーフ弁90の開放圧力に影響を与える。このため設定液面位置は、第3のタンク53内の空気が第2のリリーフ弁90に向かわない程度の高さ、すなわち接続口53cの下端の位置を流出側接続口53aよりも高く設定すればよい
インクカートリッジ21が空になると、第3のタンク53内のインク22の液面は前記設定液面位置を維持することができなくなり、液面高さが減少し、ついには液面センサ57がオンとなる。液面センサ57がオンになると、コントローラ58は、ユーザもしくは上位のコントローラにインクカートリッジ21が空になったことを知らせる信号を出力する。
【0036】
図2は、インク供給装置20がインクを循環させながら記録ヘッド10にインクを供給している状態(インク循環モード)を示している。画像形成時には、記録ヘッド10のノズル40からインク22´が吐出されることによってインクが消費される。インクを循環させながら記録ヘッド10にインクを供給する場合、記録ヘッド10のノズル40近傍のインク圧力Pnに適正値が存在する。Pnは、例えば0からー3000Paの範囲である。
【0037】
ここで、第1のタンク51の流出口51b近傍の「単位体積当りのエネルギー」をP1(Pa)、この流出口51bから記録ヘッド10のノズル40に至る供給管路71の流路抵抗をR1(Pa・sec/m)、第2のタンク52の流入口52a近傍の「単位体積当りのエネルギー」をP2(Pa)、この流入口52aから記録ヘッド10のノズル40に至る戻り管路81の流路抵抗をR2(Pa・sec/m)としたとき、ノズル40近傍の圧力Pnを適正圧力に維持するためには、下記の式(1)を満たすように第1のリリーフ弁61によって第1の「単位体積当りのエネルギー」P1を管理するとともに、第2のリリーフ弁90によって第2の「単位体積当りのエネルギー」P2を管理することで実現することができる。
P2={(R1+R2)/R1}×Pn−(R2/R1)×P1……(1)
この「単位体積当りのエネルギー」P1、P2はベルヌーイの式の「単位体積当りのエネルギー」のことであり、静圧、動圧およびポテンシャル圧の合計である。動圧が無視できるとき、第1のタンク51の流出口51b近傍の静圧をPs1(Pa)、第2のタンク52の流入口52a近傍の静圧をPs2(Pa)、オリフィスプレート41から第1のタンク51の流出口51bまでの距離をH3(m)、オリフィスプレート41から第2のタンク52の流入口52aまでの距離をH4(m)、インク22の密度をρ(kg/m)、重力加速度をg(m/s)とすると、「単位体積当りのエネルギー」P1(Pa)、P2(Pa)は下記の式(2)、(3)で表される。
【0038】
P1=Ps1―ρ・g・H3……(2)
P2=Ps2―ρ・g・H4……(3)
本実施形態では、以下に説明するように、上記式(2)、(3)の静圧Ps1、Ps2の管理を、第1のリリーフ弁61と、第2のリリーフ弁90と、第1の弾性部材62と、第2の弾性部材92とによって実現する。ポテンシャル圧の項はH3、H4の値によって一意に決まるため、「単位体積当りのエネルギー」P1、P2も管理されることとなる。
【0039】
インクの循環開始の指令がユーザもしくは上位コントローラからコントローラ58に入力されると、コントローラ58は循環ポンプ55を駆動する。循環ポンプ55が駆動されると、第2のタンク52内のインク22が循環ポンプ55の吸入口55bによって吸引され、このインクが循環ポンプ55の吐出口55aから第1のタンク51に向けて吐出される。
【0040】
このとき、第1のタンク51に供給されたインクの圧力により、第1の弾性部材62が弾性変形を起こし、第1のタンク51内の圧力が上昇する。第1のタンク51の内部が第1の所定値以上になると、第1のリリーフ弁61が開弁することにより、第1のタンク51内のインク22が第1のリリーフ弁61を通って第3のタンク53に供給される。ここで第1のタンク51の第1の所定圧力とは、第1のタンク51の流出口51b近傍の圧力が前記圧力Ps1になるような値である。
【0041】
第1のリリーフ弁61が開弁すると、第1のタンク51の内部は一瞬であるが大気開放されることになる。しかしこのとき第1の弾性部材62が元に戻ろうとする弾性力を発揮し、第1のタンク51内を前記第1の所定値に維持する。このため、第1の弾性部材62が弾性復元力を発揮している間に第1のリリーフ弁61を閉じるように設定することで、第1のタンク51の圧力を前記第1の所定値に維持することができる。第1のリリーフ弁61が開弁すると、第1のタンク51内のインク22は、第1のリリーフ弁61と第1の中継管路73を通って、第3のタンク53に流入する。
【0042】
一方、第2のタンク52内のインク22が循環ポンプ55によって吸い出されるため、第2のタンク52内の圧力が低下する。このため第2の弾性部材92が第2のタンク52の内側に弾性変形することにより、第2のタンク52内が減圧される。第2のタンク52内の圧力が第2の所定値以下になると、第2のリリーフ弁90が開弁することにより、第3のタンク53内のインク22を第2の中継管路95を介して第2のタンク52内に引き込む。すなわちインク貯留部75内のインク22が第2の中継管路95と第2のリリーフ弁90を通って、第2のタンク52に流入する。ここで第2のタンク52の第2の所定圧力とは、第2のタンク52の流入口52a近傍の圧力が前記圧力Ps2になるような値である。
【0043】
第2のリリーフ弁90が開弁すると、第2のタンク52の内部は一瞬であるが大気開放されることになる。しかしこのとき第2の弾性部材92が元に戻ろうとする弾性力を発揮し、第2のタンク52内を前記第2の所定値に維持する。このため第2の弾性部材92が弾性復元力を発揮している間に第2のリリーフ弁90を閉じるように設定することで、第2のタンク52の圧力を前記第2の所定値に維持することができる。
【0044】
ここで、仮に、第1のリリーフ弁61と第2のリリーフ弁90とが直接管路で接続されているとしたら、第1のタンク51内のインクと空気とが、第1のリリーフ弁61を経て直接第2のリリーフ弁90に向かってしまうため、第2のタンク52に空気が戻ってしまうことになる。しかも第1のリリーフ弁61を開弁させた圧力が第2のリリーフ弁90に作用する。その一方で、第2のリリーフ弁90を開弁させる圧力が第1のリリーフ弁61に作用する。このため第1のリリーフ弁61と第2のリリーフ弁90の相互作用により、各リリーフ弁61、90がそれぞれ所定圧力で開弁しない可能性がある。
【0045】
しかるに本実施形態では、第1のリリーフ弁61の流出側が第1の中継管路73を介して第3のタンク53内の大気部74に連通し、かつ、第2のリリーフ弁90の流入側が第2の中継管路95を介して第3のタンク53のインク貯留部75に連通している。しかも第3のタンク53内のインク22の液面高さが接続口53bの下端開口の位置に応じて一定に保たれている。このため、第1のタンク51から第1のリリーフ弁61と第1の中継管路73を通って第3のタンク53に流入するインクは、接続口53dの下端開口から大気部74に落ち、さらに大気部74を通過して第3のタンク53内のインク貯留部75に滴下することになる。
【0046】
このように構成したことで、第1のタンク51内に空気が混入していても、第1のタンク51内のインクと空気を第1のリリーフ弁61から第1の中継管路73を経て第3のタンク53に供給する際に、第3のタンク53内でインクと空気とが分離される。よって、第3のタンク53内のインク22のみが、第2の中継管路95と、開弁した第2のリリーフ弁90とを経て、第2のタンク52内に戻ることになる。つまり第2のタンク52内に空気が戻ってしまうことを回避できるものである。
【0047】
インクカートリッジ21が空になると、第3のタンク53内のインク22の液面が減少する。第3のタンク53内のインク22の液面が流出側接続口53aの位置まで下がってしまうと、第3のタンク53内の空気が第2のリリーフ弁90を介して第2のタンク52に供給されてしまう。しかし液面センサ57が流出側接続口53aよりも高い位置に設けられているため、第3のタンク53内の空気が第2のリリーフ弁90に向かう前に液面センサ57が作動することにより、インクカートリッジ21が空になったことを、ユーザあるいは上位コントローラに報知することができる。
【0048】
図2中の矢印A、Bは、前記インク供給装置20においてインクが循環する方向を示している。図2に示すようにインクが供給管路71と戻り管路81を循環する。そして画像形成時には、記録ヘッド10のノズル40からインク22´が吐出される。ここで、ノズル40近傍の圧力Pnが前記(1)式を満たす値に設定されていることにより、ノズル40の近傍に気泡が生じたとしても、この気泡は記録ヘッド10のインク回収口46と戻り管路81を経て、第2のタンク52に排出される。第2のタンク52に入った気泡は、第2のタンク52の上方に溜まり、一定量を越えると、第2のタンク52の流出口52bからインクと共に吸入管路85を経由して循環ポンプ55の吸入口55bによって吸い出される。吸入口55bによって吸い出された空気(気泡)は、循環ポンプ55の吐出口55aから吐出管路70を経由して、第1のタンク51の流入口51aに向かってインクと共に吐出される。
【0049】
第1のタンク51の流入口51aに供給されたインクと気泡は、フィルタ60を通過して第1のタンク51内に入り、第1のタンク51の上部に溜まる。第1のタンク51の上部に溜まった空気が一定量を越えると、この空気は第1のリリーフ弁61と第1の中継管路73を経て、第3のタンク53に排出される。
【0050】
本実施形態のインク供給装置20は、第1の圧力調整機構としての第1のリリーフ弁61と、第2の圧力調整機構としての第2のリリーフ弁90とによって、第1のタンク51の流出口51b近傍の圧力Ps1と、第2のタンク52の流入口52a近傍の圧力Ps2とを適正に保つことができる。よって、ノズル40近傍の圧力Pnも適正値に保つことができる。すなわちこのインク供給装置20は、インクを適正な圧力で循環させることにより、画像形成中などに循環経路内に混入する可能性のある気泡を除去し、循環経路にインクを充填させることができるものである。インクを循環させながら記録ヘッド10に供給するため、記録ヘッド10のノズル40近傍に発生した異物は、記録ヘッド10のインク回収口46、戻り管路81、流入口52aを経由して第2のタンク52に戻る。
【0051】
インクに混入した異物の比重がインクの比重よりも大きい場合、異物は第2のタンク52の底部に沈殿するため、インクに混入したまま循環経路を移動し続けることが回避される。異物がインクの比重よりも軽い場合には、異物は第2のタンク52の上部に向かい、第2のタンク52の上部に設けられた流出口52bより、インクと共に吸入管路85を経由して循環ポンプ55の吸入口55bにより吸い出される。この異物は、循環ポンプ55の吐出口55aから吐出管路70を経由して、第1のタンク51にインクと共に吐出されるため、フィルタ60によって回収される。
【0052】
図3は、インク供給装置20において、記録ヘッド10のオリフィスプレート41をワイピングするためにインクを張り出す際のインクの循環経路(インク張り出しモード)を示している。インク供給装置20は、インク循環を行なっているときに、インクを張り出す指令がユーザもしくは上位コントローラから出されると、コントローラ58は開閉弁56を閉じる。そして所定時間T1が経過するとコントローラ58は開閉弁56を開ける。こうすることにより、開閉弁56を閉じている間は、第1のタンク51からのインクの圧力が記録ヘッド10に伝わるので、ノズル40近傍に正圧がかかり、オリフィスプレート41の表面にインク22´を張り出すことができる。所定時間T1は開閉弁56を閉じる時間で調整できる。
【0053】
図4は、本実施形態のインク供給装置20のコントローラ58の構成を示すブロック図である。コントローラ58は、プロセッサとして機能するCPU(Central Processing Unit)100を備えている。このCPU100に、バスライン101を介して、ROM(Reed Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、通信インタフェース部104、循環ポンプドライバ105、開閉弁ドライバ106、センサ入出力ポート107などが接続されている。
【0054】
ROM102には、CPU100を制御するためのプログラムや各種の固定的データが格納されている。RAM103には、例えばインクの吐出およびインクの循環に必要な各種データを格納するための種々のメモリエリアが形成されている。通信インタフェース部104は、通信回線を介して外部機器との間で行うデータ通信を制御する。循環ポンプドライバ105は循環ポンプ55を駆動する。開閉弁ドライバ106は開閉弁56を駆動する。センサ入出力ポート107には各種センサ(例えば液面センサ57)が接続されている。
【0055】
図5のフローチャートは、本実施形態のインク供給装置20のコントローラ58によるインク供給プロセスの一例を示している。
図5中のA001において、インク供給装置20の電源がオンされる。A002では、インクの循環を開始するか否かが判断される。循環を開始する場合はA003に移行し、循環ポンプ55が駆動される。A004において、液面センサ57がオフか否かが判定され、液面センサ57がオン(インクが空の場合)は、A011に移り、インクカートリッジ21が空であることを報知するとともに、A010に移行して循環ポンプ55を止め、循環終了となる。A004において、液面センサ57がオフ(所定量のインクが存在する場合)は、A005に移行し、ワイピングのためにインクの張り出しを行なうか否かが判定される。
【0056】
インクの張り出しを行なう場合には、A006において開閉弁56を閉じることにより、オリフィスプレート41にインクを張り出す。A007において所定時間T1待機し、A008において開閉弁56を開け続ける。A009では、インクの循環を終了するか否かが判断される。循環を終了しない場合には、A004に戻り、インクの循環を継続する。A009においてインクの循環を終了する場合には、A010において循環ポンプ55を停止し終了となる。
【0057】
本実施形態のインク供給装置20は、インクジェットプリンタ以外の画像形成装置や、画像形成装置以外の用途に適用することも可能である。
【0058】
次に、1つの実施形態の画像形成装置について、図6を参照して説明する。図6は、画像形成装置の一例であるインクジェットプリンタ110を示している。インクジェットプリンタ(これ以降、プリンタと称する)110は、筐体111と、筐体111に収容されたドラム112と、媒体収容部の一例であるシート収容部113とを有している。シート収容部113は、印刷媒体の一例である複数のシートSを収容する。
【0059】
またこのプリンタ110は、シートSを供給する供給機構114と、押し当てローラ115と、帯電ローラ116と、複数の記録ヘッド10と、複数のインク供給装置20と、除電チャージャ118と、剥離部材119と、ドラム112を清掃するクリーナ120と、排出機構121と、反転機構122と、シートSの先端等を固定するためのチャック機構などを備えている。図6に示すプリンタは、カラーであるため記録ヘッド10は4種類ありそのため符号を10A,10B,10C,10Dとして区別している。インク供給装置20も同様に4種類を20A,20B,20C,20Dとして区別している。なお、プリンタはカラーである必要はなく、単色であってもよい。
【0060】
除電チャージャ118と剥離部材119とは、シートSをドラム112から剥がすための剥離機構を構成している。帯電ローラ116や剥離部材119およびクリーナ120は、画像形成後のシートSが通過する際、シートSの画像面に接しないように、シートSから離間させるための移動機構を備えている。
【0061】
ドラム112は、モータ130を備えた回転機構131によって、回転軸132を中心に矢印Rで示す方向に所定の周速度で回転する。ドラム112の軸線X1は、回転軸132の中心を通っている。ドラム112の回転方向の位置は、エンコーダ等の回転角センサ133によって検出される。
【0062】
図6に示されるように供給機構114は、ピックアップローラ150と、給紙ローラ151と、分離ローラ152と、シート搬送路153と、アライニングローラ対154と、ガイド156等を含んでいる。
【0063】
給紙ローラ151と分離ローラ152によって1枚ずつ取り出されたシートSは、シート搬送路153に送られる。シート搬送路153に送られたシートSの先端は、アライニングローラ対154によって整えられる。アライニングローラ対154とドラム112との間に、シートSをドラム112に向けて案内するガイド156が設けられている。すなわちドラム112は、アライニングローラ対154よりシートの搬送方向下流側に配置されている。
【0064】
また、プリンタ110内には、プリンタ110全体を制御するCPU100がある。CPU100はインク供給装置20も含む装置全体の制御を司るとしたが、インク供給装置20とインク供給装置20以外を異なるCPU(プロセッサ)で実行してもよい。
【0065】
次に、プリンタ110の作動について説明する。プリンタ110によりカラー印刷が開始された場合、まず、シート収容部113に収容されたシートSが、供給機構114によって、ドラム112と帯電ローラ116との間に搬送される。静電気力により、ドラム112の周面にシートSが吸着される。シートSは、ドラム12と共にドラム12の回転方向Rに移動する。すなわちシートSは、供給機構114及びドラム112の回転により、シート収容部113から記録ヘッド10へ搬送される。
【0066】
ドラム112の所定の回転タイミングで、インクが記録ヘッド10からシートSに向けて吐出される。こうしてドラム112が回転する間に、シートSに画像が形成される。すなわち、このプリンタ110は、ラインヘッド形のマルチパス方式によりカラー印刷をなす。
【0067】
記録ヘッド部10での印刷が終了すると、画像が形成されたシートSは、除電チャージャ118と剥離部材119によってドラム112から剥がされ、排出機構121によってプリンタ110外部に排出される。なお、両面印刷の場合は、シートSは、反転機構122によってシートSが反転され再びドラム112に吸着される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したがこれらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10……記録ヘッド、20…インク供給装置、21…インクカートリッジ、22…インク、45…インク供給口、46…インク回収口、51…第1のタンク、51a…第1の流入口、51b…第1の流出口、52…第2のタンク、52a…第2の流入口、52b…第2の流出口、53…第3のタンク、54…廃インクタンク、55…ポンプ、56…開閉弁、58…コントローラ、61…第1のリリーフ弁(第1の圧力調整機構)、62…第1の弾性部材(第1の圧力追従部材)、70…吐出管路、71…供給管路、73…第1の中継管路、74…大気部、75…インク貯留部、90…第2のリリーフ弁(第2の圧力調整機構)、92…第2の弾性部材(第2の圧力追従部材)、95…第2の中継管路、110…プリンタ(画像形成装置)、112…ドラム、113…シート収容部(媒体収容部)、114…供給機構、121…排出機構、153…シート搬送路、220…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口および吐出口を有するポンプと、
第1の流入口および第1の流出口を有し、前記第1の流入口が吐出管路を介して前記ポンプの吐出口に接続され、前記第1の流出口が供給管路を介して記録ヘッドのインク供給口に接続された第1のタンクと、
第2の流入口および第2の流出口を有し、前記第2の流入口が戻り管路を介して前記記録ヘッドのインク回収口に接続され、前記第2の流出口が吸入管路を介して前記ポンプの吸入口に接続された第2のタンクと、
大気に開放されたインク貯留部を有し、インクカートリッジからインクが供給される第3のタンクと、
前記第3のタンク内の大気と前記第1のタンクとをつなぐ第1の中継管路と、
前記第1の中継管路に設けられ、前記第1のタンク内の圧力が第1の所定値以上になると開弁することにより前記第1のタンク内のインクを前記第3のタンク内の大気中に排出する第1の圧力調整機構と、
前記第3のタンクのインク貯留部と前記第2のタンクとをつなぐ第2の中継管路と、
前記第2の中継管路に設けられ、前記第2のタンク内の圧力が第2の所定値以下になると開弁することにより前記第3のタンク内のインクを前記第2のタンクに引き込む第2の圧力調整機構と、
を具備したことを特徴とするインク供給装置。
【請求項2】
前記第1の圧力調整機構は、前記第1のタンク内の圧力が前記第1の所定値以上になると開弁する第1のリリーフ弁であることを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項3】
前記第2の圧力調整機構は、前記第2のタンク内の圧力が前記第2の所定値以下になると開弁する第2のリリーフ弁であることを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項4】
前記第1のタンクに、第1のタンク内の圧力に応じて変形する第1の圧力追従部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項5】
前記第1の圧力追従部材が前記第1のタンク内の圧力に応じて弾性変形する第1の弾性部材からなることを特徴とする請求項4に記載のインク供給装置。
【請求項6】
前記第2のタンクに、第2のタンク内の圧力に応じて変形する第2の圧力追従部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項7】
前記第2の圧力追従部材が前記第2のタンク内の圧力に応じて弾性変形する第2の弾性部材からなることを特徴とする請求項6に記載のインク供給装置。
【請求項8】
前記戻り管路に設けられた開閉弁を有したことを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項9】
前記開閉弁を制御するコントローラを有し、該コントローラは、前記記録ヘッドのノズルからインクを張り出すモードのとき前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項8に記載のインク供給装置。
【請求項10】
前記第1のタンクから前記第1の中継管路を経て前記第3のタンク内にインクを排出する接続口の下端が、前記第3のタンク内のインクの液面の上方の大気中に開口していることを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項11】
前記第1のタンクの下部に設けられた前記第1の流出口近傍の「単位体積当りのエネルギー」をP1、前記第1の流出口から前記記録ヘッドに至る供給管路の流路抵抗をR1(Pa・sec/m)、前記第2のタンクの下部に設けられた前記第2の流入口近傍の「単位体積当りのエネルギー」をP2、前記記録ヘッドから前記第2の流入口に至る管路の流路抵抗をR2(Pa・sec/m)、前記ノズル近傍の圧力をPnとしたとき、
P2={(R1+R2)/R1}×Pn−(R2/R1)×P1
なる式において、Pnがゼロを含む負の値となるよう前記第1の圧力調整機構と前記第2の圧力調整機構によりP1、P2が設定されたことを特徴とする請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一に記載のインク供給装置と、
前記インク供給装置からインクの供給を受けて印刷媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、
前記印刷媒体を収納する媒体収容部と、
前記媒体収容部から供給された前記印刷媒体を前記記録ヘッドへ搬送する供給機構と、を具備したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−99925(P2013−99925A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170142(P2012−170142)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】