説明

インク残量検出装置、インク残量検出方法およびインクジェット記録装置

【課題】インクタンク内のインク残量を発光部からの光を用いて検出するに際し、発光部の寿命低下を抑えつつ、インク残量が所定量より少なくなったか否かを正確に検出できるようにする。
【解決手段】発光手段から発せられる複数段階の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて受光部から出力される出力信号の差分を求める。この差分が一定値以上であるか否かによってインク残量が所定量より少なくなったか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクタンク内のインク残量を検出するインク残量検出装置、インク残量検出方法、およびインク残量検出機能を備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に供給するインクを貯留するためのインクタンクには、現在、様々な形態のものが知られている。例えば、インクタンクのインク貯留形態には、内部に収納したスポンジにインクを浸透させることでインクを貯留するスポンジ方式、内部に直接インクを貯留させた生タンク方式、インクを可撓性の袋に貯留した袋方式などがある。このうち、スポンジ方式はスポンジを入れることから、容積に対するインクの貯留量が少なく、また、袋方式にあってはインクを収納する袋をケーシングで保護する必要があるため、全体の容積に対するインク貯留量は少ない。容積効率が最も良いのは、生タンク方式である。但し、生タンク方式を採るインクタンクにあっても、内部に貯留されているインク残量の検出機能において以下のような課題がある。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置では、インク残量が一定の閾値量に達した時点で、ユーザに対する警告、インクジェト記録装置の動作停止などを行う機能が設けられている。このような警告機能、動作停止機能などは、インク不足による記録不良の発生を防止する上で重要な役割を果たす反面、一定量のインクが残留しているにも拘わらず、そのインクを使用できないことにユーザが不満を覚えることもある。こうした不満を解消するためには、少量のインクをばらつきなく、正確に検出可能できる残量検出装置が必要となる。
【0004】
現在、インクタンク内のインク残量を検出する残量検出装置としては、ドットカウント方式、フロート方式、プリズム方式がある。ドットカウント方式はインクの吐出回数を画像データに基づいてカウントし、そのカウント値からインク残量を算出する方式であり、部品の追加が不要になるという利点がある。しかし、記録ヘッドの温度変化や製造上のばらつきなどによりノズルの吐出量にばらつきが生じ、実際のインク消費量と計算上のインク消費量に大きな差が生じることがある。
【0005】
また、フロート方式はタンク内に液面の高さによって移動するフロートを入れ、光学センサによりフロートの位置を読み取るという構成上、大きなスペースを必要とすると共に、少量のインク検出には適さないという課題がある。
【0006】
一方、プリズム方式は、インクタンクの内部に三角柱状の透明な樹脂部材からなるプリズムを設け、プリズムに照射した光の反射光の有無を検出することによってインクの有無を検出する方式である。プリズムへの光の照射、反射光の検出は、発光素子と受光素子を備えた光センサによって行う。このプリズム方式において、発光素子からプリズムに向けて照射された光はインクタンク内部とプリズムとの界面に45°の角度で入射する。界面に45°の角度で入射された光は屈折率の差から、樹脂とインクの界面では透過し、樹脂と空気の界面では反射される。その結果、インク有りの時は受光素子が光を検出できず、インク無しの時は光が反射され、その反射光が受光素子に受光される。従って、受光素子からの出力信号によってインクタンクにおけるインクの有無を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−7147号公報
【特許文献2】特開2003−89218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、プリズム方式では液面の位置を直接的に検出するため、ドットカウントよりも精度が良く、しかもプリズム自体は樹脂で他の部材と一体成形することが可能であるためリサイクル性も良く、小型に形成することができるという利点がある。
しかしながらプリズム方式にあっても、次のような課題がある。すなわち、インクタンクが長期間静止状態で置かれていた場合、プリズム表面にインクが付着することがあり、その結果、インクタンク内のインクが空になっていてもプリズム表面に付着したインクによってインク有りと誤検出されることがある。このような誤検出を避けるための対策として発光強度を上げることが考えられる。しかし、強い発光強度を維持しつつインク残量検出を行うと発光素子の寿命が大幅に低下するという課題がある。また、発光素子に負荷を増大させない方法として、プリズムの表面に接していたインクをスムーズにプリズム表面排除するべく、プリズム表面に撥水剤を塗布することも行われている。しかし、プリズム表面に精密に撥水剤を塗布することは困難であり、製造工程が複雑化しインクタンクのコスト増大を招くという問題がある。
【0009】
また、撥水剤を用いない方法として特許文献1の発明には、プリズムの横に溝を形成し、その毛管力でプリズム表面のインクを引き込み除去することを行う技術が開示されている。しかし、特許文献1に開示の技術では、プリズムの横に微細な溝を成形することは困難であり、実現性や精度上の問題を克服しなければならない。
【0010】
さらに、特許文献2には受光センサが受け取った情報から最も反射率の低いインクタンクからの反射光を検出できるように発光素子の発光強度を高い強度に定める技術が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示の技術では、反射率の低いインクタンクだけでなく、反射率の高いインクタンクにまで高い強度の光を発光させることとなり、発光素子の寿命が著しく低下するという問題がある。
【0011】
本発明は、インクタンクに設けた反射面に光を照射する発光部と反射面からの反射光を受光する受光部とを用い、インクタンク内のインク残量が一定量に達したか否かを、投光部の寿命低下を軽減しつつ正確に検出できるインク残量検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
【0013】
すなわち、本発明の第1の形態は、インクタンクにおけるインク残量が所定量より少なくなったか否かを検出するためのインク残量検出装置であって、前記インクタンクに設けられ、前記インクタンク内のインク残量が前記所定量より少ないときの光反射率が、前記インクが所定量以上であるときの光反射率より高くなる反射体と、前記反射面に入射させる光を発生する発光手段と、前記反射体から反射された反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた出力信号を発する受光手段と、前記発光手段の発光強度を複数段階に切り替える発光制御を繰り返し実行する制御手段と、前記受光手段から出力される出力信号に基づいて前記インクタンク内のインク残量が前記所定量に達したか否かを判断する判断手段と、を備え、前記判断手段は、前記発光手段から発せられる前記複数段階の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて前記受光部から出力される出力信号の差分が一定値以上であるか否かに基づいて前記インクタンク内のインク残量が前記所定量に達したか否かを判断することを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の形態は、インクタンクに貯留されているインクが所定量より少なくなったか否かを検出するためのインク残量検出方法であって、前記インクタンクに設けられ、前記インクタンクのインク残量が前記所定量より少ないときの光反射率が、前記インクが所定量以上であるときの光反射率より高くなる反射体と、前記反射面に入射させる光を発生する発光手段と、前記反射体から反射された反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた出力信号を発する受光手段と、を備え、前記発光手段の発光強度を複数段階に切り替える発光制御を繰り返し実行する制御工程と、前記受光手段から出力される出力信号に基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断する判断工程と、を備え、前記判断手段は、前記発光手段から発せられる複数段階の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて前記受光部から出力される出力信号の差分が一定値以上であるか否かに基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断することを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の形態は、インクを貯留するインクタンクと、前記インクタンクから供給されたインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクタンクに貯留されているインクが所定量より少なくなったか否かを検出するインク残量検出手段と、を備えたインクジェット記録装置において、前記インク残量検出手段は、前記インクタンクに設けられ、前記インクタンクのインク残量が前記所定量より少ないときの光反射率が、前記インクタンクのインクが所定量以上であるときの光反射率より高くなる反射体と、前記反射面に入射させる光を発生する発光手段と、前記反射体から反射された反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた出力信号を発する受光手段と、前記発光手段の発光強度を複数段階に切り替える発光制御を繰り返し実行する制御手段と、前記受光手段から出力される出力信号に基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断する判断手段と、を備え、前記判断手段は、前記発光手段から発せられる複数段階の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて前記受光部から出力される出力信号の差分が一定値以上であるか否かに基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、インクタンクの反射面に複数段階に強度を異ならせた光を入射させ、インクタンク内のインク残量が一定値に達したか否かを、各段階における反射光の光量の差分に基づいて検出する。このため、インクが反射面に付着し易い状態にあっても投光部からの発光強度を抑えつつ、インクタンク内のインク残量が一定値に達したか否かを正確に検出することが可能になり、投光部の寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態におけるインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態におけるインク流路の概略を示す図である。
【図3】本実施形態におけるインクタンクの構成を示す断面図である。
【図4】本実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態における発光素子の駆動回路を示す図である。
【図6】本実施形態における受光回路を示す図である。
【図7】プリズムへの入射光の挙動を示す図である。
【図8】プリズム表面のインク膜及びインク膜付近での光の挙動を示す図である。
【図9】本実施形態における発光強度の段階を示す図である。
【図10】本実施形態における発光強度のテーブルの選択処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態における各テーブルに基づく制御動作を示すフローチャートである。
【図12】図6に示す受光回路における光電流と検出電圧との関係を示す図である。
【図13】製造日からの経過期間毎の発光素子順電流と受光光量との関係を示す図である。
【図14】製造日からの経過期間毎の発光強度と受光回路検出電圧との関係を示す図である。
【図15】本実施形態における光電流と検出電圧との関係を示す図である。
【図16】本実施形態におけるインク残量と受光回路検出電圧との関係を示す図である。
【図17】各発光強度における閾値到達時のインク残量を示す図である。
【図18】各発光強度における発光素子の出力変化を示す図である。
【図19】各発光強度における発光素子の寿命を示す図である。
【図20】インクタンクの傾斜とインク無を検知した時のインク残量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明に実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1に本実施形態におけるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)の本体部1の外観構成を示す図である。図示の記録装置の本体部1には、インクを吐出する記録ヘッド25が備えられると共に、記録ヘッド25に供給するインクを貯留するインクタンク24が本体部1に交換可能に備えられている。記録ヘッド25には、複数のノズルが配列され、このノズル内に設けられた吐出エネルギー発生素子を画像データに応じて駆動することにより、ノズルの開口部である吐出口からインク滴を吐出するようになっている。本実施形態では、吐出エネルギー発生素子として電気熱変換素子(ヒータ)を用いている。ヒータ駆動時にはノズル内のインクは300℃位まで急加熱されて膜沸騰を生じ、その際の気泡の発生圧力によってノズル内のインクを吐出口から吐出する。また、本体部1の背面側には記録媒体Pが配置され、ここから繰り出された記録媒体Pが記録ヘッド25の吐出口と対向する搬送経路を移動し、外部へと排出される。
【0020】
図2に本体部1に設けられたインクの流路構成の概略図を示す。インクタンク24は、記録ヘッド25よりも重力方向下方に配置されており、記録ヘッド25と一本のインク供給流路2で連結されている。記録動作時において記録ヘッド25内のインク21が消費されると、記録ヘッド内の負圧が高まり、インクタンク24内のインク21は流路2を通って記録ヘッド25内に吸い上げられる。これによりノズルにインクが充填される。また、インクタンク24内のインクが消費されて行き、インクタンク24の残量が所定量より少なくなった場合、表示あるいは音声によってユーザに警告を発したり、さらにインク残量が少なった場合、記録動作を停止させたりする必要がある。仮に、上記のような警告動作あるいは記録動作の停止制御を行なわず、インク残量が無い状態で記録動作が継続された場合には次のような問題が生じる。
【0021】
(i)流路2内のインクが消費され、空気が流路2に浸入してインクの液面とノズル面の水頭差がなくなるとノズルのインク保持力が低下し、インクがノズルから漏れて記録媒体の搬送経路や記録媒体を汚すことがある。
【0022】
(ii)インク残量が無い状態でインクの吐出を継続すると、ノズル内のインクも枯渇し、ヒータの熱が過剰に蓄積して、ヒータの故障の原因となる。
【0023】
従って、インク残量が無くなった場合には、警告を発したり、自動的に記録動作を停止したりすることが必要となるが、そのためには、まず、インクタンク24内のインク残量が所定量に達した場合にこれを正確に検出する必要がある。
【0024】
インクタンク24内のインク残量が所定量より少なくなったか否かの検出を正確に行うために、本実施形態では光学式のインク残量検出を行なう。このため、本実施形態では、インクタンクを図3に示すように構成している。図3において、インクタンク24はインクを貯留する液室6と、インクをインクジェット記録装置の本体部へと導入する注入口9と、液室6に貯留されているインクを毛管力により、注入口へと送るインク供給パイプ8を備える。さらに、インクタンク24は、内部の圧力を大気圧と同等にするための大気連通口11と、インクの残量を本体側に備えられた光学センサにより読み取るための反射体としてのプリズム14とが備えられる。
【0025】
液室6は、インク無し状態を検出して記録動作を停止した時点でインクの残量が最小限になるように底部に傾斜面7が形成されており、インクタンク24の内側に配置された供給パイプ8の開口端8aにインクが導かれるようになっている。さらに、インク無し状態の検出における僅かなばらつきに対処するため、供給パイプの開口端8aの付近には傾斜面7より下方に窪んだ凹部7aが形成されている。そして、開口端8aは傾斜面7により下方に配置されている。これにより、インク無し状態の検出に若干のばらつきが発生した場合も、凹部7a内のインクを消費して空気が流路の中に浸入するのを回避することができる。
【0026】
注入口9と大気連通口11はそれぞれ輸送時には切れ込みの入ったゴム栓12で密閉されており、これによって外気の浸入とインク漏れが防止されている。記録装置の本体部1へのインクタンク24の装着時には、中空状の金属製の針状ジョイント部17がゴム栓12の切れ込みを押し分けてインクタンク24内に侵入することによって、インクタンク24の密閉状態が開放される。このようにして記録装置の本体部1とインクタンク24とが連結されることにより、インクタンク24の注入口9から針状ジョイント部17を介して記録ヘッド25へとインクが供給される。さらに、針状ジョイント部18を介してインクタンク24内の空間が大気に連通し、大気連通口11から空気が導入される。
【0027】
またインクタンク24において、大気連通口11より上部には不揮発性の記憶素子15が設けられている。この不揮発性の記憶素子15はEEPROM基板を有し、保護ケース16に接着されている。インクタンク24を本体部1に装着したとき、記憶素子15は、図外の本体部1側の読取端子に接触して、本体部1側に設けられた後述のCPUとの間で情報の読み取り、書き込みを行い得るようになっている。記憶素子15には、インクタンク24内に収納されているインクの色、製造年月日、製造番号などの情報の他、本体部1側から送信されるインクの消費量のデータも書き込まれる。このインクの消費量は記録した画像データから各色のインクを何回吐出したかの累計をカウントするドットカウント方式を用いて算出したデータである。また、ノズルからインクを吸引してノズルの吐出性能を回復させる回復動作時に消費されるインク量を、吐出相当の量に換算して、記録動作におけるドットカウント値に加えることも可能である。なお、このEEPROMと接触する読取端子および後述のCPUにより読取手段が構成されている。また、本実施形態において、記録ヘッド25の回復動作は、記録ヘッド25の吐出口を図2に示すキャップ6で覆い、ポンプ3によってキャップ6内に発生させた負圧によって各ノズルからインクを吸引することにより行う。これにより、ノズル内は記録に適した新たなインクで満たされ、ノズルから吸引した廃インクは廃インクタンク4へと排出される。
【0028】
次に、本実施形態におけるインクジェット記録装置に設けられている制御系の概略構成を図4に基づき説明する。
【0029】
図4において、CPU100は、ROM101に格納されているプログラムに従い、種々の演算、計数、計時、判断、制御などの処理を行い、インクジェット記録装置の各部の制御を行う。また、CPU100には計時動作を行うタイマが内臓されている。RAM102は入力操作部104などから入力されたデータなどの種々のデータを一時的に格納すると共に、CPU100が処理を実行する際にデータを一時的に保持するワークエリアとしての役割も果たす。また、CPU100には、記録ヘッド25の駆動を行うヘッド駆動回路106、搬送モータ108を駆動する搬送モータ駆動回路107、キャリッジモータ110を駆動するキャリッジモータ駆動回路109などが接続されている。さらに、CPU100は、後述の発光素子30を駆動する発光素子駆動回路111、発光素子30の反射光を受光素子40が受光してその受光量に応じた出力信号(出力電圧)を出力する受光回路112が接続されている。さらに、CPU100には、インクジェット記録装置の状態などを表示する表示部113が設けられている。
【0030】
次に、本実施形態におけるインクタンク内のインクの残量を検出する検出装置の構成および作用について詳述する。
【0031】
本実施形態におけるインクタンク24には、図3に示すように、インクタンク24インク残量が所定量より少ないときの光反射率が、インクが所定量以上であるときの光反射率より高くなる反射体としての三角柱形状のプリズム(反射体)14が設けられている。プリズム14はインクタンク24の他の部分と同様の透明材料により形成されており、その屈折率は1.40以上1.87未満となっている。本実施形態ではプリズム14はインクタンク24の他の部分と一体成形可能で、リサイクルにも適している樹脂材料を用いることが望ましい。本実施形態では透明なポリプロピレンを用いている。ポリプロピレンは屈折率が1.48であり、インクに対する接液性も良好であるため、プリズム14の形成に適している。プリズム14は図7に示すように直角二等辺三角形の断面形状をなしており、直交する二つの斜面14a,14bが交差する稜線がインクタンク24の内壁から液室内部に向かって突出するように配置されている。なお、斜面14aは斜面14bの下部に配置されている。
【0032】
また、プリズム14の外側を向いた底面、すなわち斜面14a,14bの稜線に対向する面14cに対向して、本体部1には発光素子30と受光素子40とを備えた光センサ50(図7参照)が配置されている。発光素子30は図5に示すように発光ダイオード30により構成され、この発光ダイオード30のカソード側には複数の異なる抵抗R1,R2,R3,R4が並列に接続されている。発光ダイオード30は、記録装置の本体部1から3.3V程度の電圧を印加することにより発光させることができる。本実施形態では、発光ダイオード30は波長900nmの赤外光を発光するものとなっている。赤外光等の波長の長い光は散乱されにくく、またインクの吸収スペクトル上、吸収されにくい。この赤外光の特性は、後述のプリズム14へのインク膜の付着に対しても有利に働く。
【0033】
本実施形態では、複数の抵抗を切り替えて使用することにより、発光ダイオード30の発光強度を複数段階に切換える発光制御を行うことが可能になっている。例えば、図5に示す発光ダイオード30の駆動回路では、スイッチング素子SW1〜SW5のいずれか一つをオンさせることによって抵抗R1〜R5の中の一つを電流制限抵抗として用い、電流IFを5段階に変化させ得るようになっている。これにより、発光ダイオード30の発光強度を5段階に切り替えることができる。なお、スイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4,SW5の切り替えは、記録装置本体側に設けられたCPU100によって行う。
【0034】
発光ダイオード30から発光された光はプリズム14の底面に対して直角に入射して内部を透過し、図7に示すようにプリズム14の斜面14aに対して45°の角度で入射する。
【0035】
一般に屈折率nBの物質から屈折率nAの物質へ角度θmで入射した時、以下の条件が成立すれば入射した光は、両物質の界面で反射される。
sineθm=sinθm/sin90°≧nA/nB (式1)
【0036】
ここで、本実施形態の条件を式1に当てはめると、θm=45°、nB=1.46(プリズムの樹脂の屈折率)であるため、プリズム14に入射した光が斜面14aにて全反射される条件は、式2に示すようになる。
nA≦nB/sinθm=1.46/sin45°=1.05 (式2)
【0037】
このように、プリズム14に隣接している物質が屈折率1.05以下であれば、光は図7のXの方向に反射され、1.05未満であれば透過する(Y方向に進む)。空気の屈折率が1.00であり、インクの屈折率は水に近い1.3程度であるため、プリズム14の反射面14aの周囲が空気であれば入射光は反射面14aでX方向に反射される。また、反射面14aの周囲にインクが存在すれば入射光は反射面14aを透過してインク内へ進む。(Y方向に進む)。さらに、反射面14aで反射された入射光は図7(d)のように、反射面(斜面)14aと直交する反射面(斜面)14bにおいても反射され、受光素子40に入射する。
【0038】
このように、発光素子からの光がプリズム14の反射面14aを照射する箇所(光スポット箇所)の高さ以上の高さまでインクが貯留されている場合には、図7(a)に示すように、入射光は受光素子40には入射しない。逆に、発光素子30からの光がプリズム14の反射面14aを照射する光スポット箇所よりも低い位置までインクが消費されている場合には、図7(b)に示すように入射光は反射面14a,14bで反射され、受光素子40に受光される。つまり、プリズム14の光反射率は、インクが光スポット箇所以上にあるか否かによって変化することとなる。
【0039】
次に、図6に基づき本実施形態に用いられる受光検出回路を説明する。
【0040】
本実施形態に用いられる受光検出回路は、フォトトランジスタにより構成される受光素子40と、このフォトトランジスタ40のコレクタ(C)に接続された抵抗Rとを備える。そして、抵抗Rの一端とフォトトランジスタ40のエミッタ(E)との間には電源電圧Vccが印加されている。
【0041】
フォトトランジスタ40は、その受光部がプリズム14の反射面14bからの反射光を受講し得る位置に配置されており、反射光の光量に応じた電流(光電流Ic)がフォトトランジスタ40のコレクタ、エミッタ間に流れる。電源電圧Vccは3.3Vであり、CPU100ではコレクタ、エミッタ間の電圧Voを検出する。検出電圧Voは、電源電圧Vccと抵抗Rで生じた電圧降下との電圧差である。すなわち、Vo=Vcc−Ir×Rである。図12に光電流Icと検出電圧Voとの関係を示す。フォトトランジスタ40に流れる光電流Icと抵抗Rに流れる電流Irは同一であるため、光電流Icが大きい程、抵抗Rにおける電圧降下が大きくなるため、検出電圧Voは低下する。抵抗Rに流れる電流の最大値IrmaxはV/Rのため、検出電圧Voは0付近(図12では約0.3V)になると飽和し、それ以上の光電流Icが流れても検出電圧Voは低下しなくなる。つまり、フォトトランジスタ40に、ある一定量以上の反射光が入射すると、検出電圧は殆ど同じとなる。そこで、プリズム14からフォトトランジスタ40の受光部40aへと光が入射したか否かの検出は、検出電圧Voと予め設定した閾値電圧とを比較し、検出電圧値Voが閾値電圧未満であるか否かによって行う。すなわち本実施形態では、フォトトランジスタ40の受光部40aに入射する光の光量によってインクの有無を検出するようになっている。
【0042】
但し、上記のようにプリズム14を用いてインクタンク24におけるインクの有無を検出する場合、プリズム14に接しているインクの状態によっては誤検出を生じることがある。例えば、プリズム表面にインクが固着してインク膜が形成された場合、液室内のインクが無くなっても、プリズム表面に形成されたインク膜によってインク有りと検出されることがある。こうした現象は、主にインクタンク24が長期間放置されていた場合や、表面張力の低いインクが貯留されている場合に生じ易い。図8はプリズム14の表面にインク膜が形成された状態を示す図である。図8のように、インク膜内に入射した光はインク膜と空気との界面で反射されるか、あるいは界面を透過する。これは、図8に示すようにインク膜と空気との界面における法線が一定ではなく、入射光と法線とのなす角度である入射角が不均一になることによる。すなわち、インク膜と空気との界面に入射した光のなかでも、入射角が45°以下となる光はインク膜と空気との界面で反射されてプリズム14に再入射する。また、入射角が45°未満となる光は界面を透過し、プリズム14に再入射されない。さらに、プリズム14の表面の一部にのみインク膜が形成される場合もあり、インク膜が形成されていない箇所に照射された光は、フォトトランジスタ40の受光部40aに入射する。
【0043】
このように、プリズム14の表面にインク膜が形成される状況下では、受光部40aに入射する光量は安定せず、受光量の変動がインク残量の検出に誤差を生じさせることがある。すなわち、プリズム14にインク膜が形成されている場合は、インク膜が形成されていない場合に比べて受光部40aに入射する光量が減少するため、インクタンク24内のインクが無くなっていても、インク有りと誤検出されることがある。受光光量の減衰量はインク膜の付着の程度(膜の厚み、光のスポット箇所にかかっている面積)、インクの種類(吸光特性)、発光ダイオード30からの光量の影響などを大きく受ける。これに対し発光ダイオード30の発光強度を大きくして受光部40aの受光量も大きくすれば、プリズム14の表面にインク膜が形成されていても受光部40aによる受光量を増大させることができ、誤検出を防止することができる。但し、発光強度を高くしてしまうと、発光ダイオードの劣化が早くなり、寿命が低下してしまう。
【0044】
そこで、本実施形態では、発光ダイオードの発光強度を複数段階に切り替え可能とし、適切なタイミングのみ発光強度を高くし、プリズム14の表面にインク膜が形成されることによる誤検出を防止し、且つ発光ダイオード30の寿命を低減させないようにしている。
【0045】
図9に本実施形態で用いる発光ダイオード30の発光強度レベルを示す。本実施形態では、LV1〜LV5の5段階に発光強度を調整し得るようになっている。発光強度の調整は、図3に示す電流制限抵抗(R1〜R5)の値を切り替え、順電流IFの値を切り替えることにより行う。本実施形態では、5段階の順電流IFの中から3段階の順電流を選択し、選択した順電流を適時切り替えることによりインク残量の検出を行う。5段階の順電流の中から3段階の順電流を選択する処理は、インクタンク24の製造日から現在までの経過期間に基づいて行う。すなわち、経過時間の長いインクタンク24ほど、インク残量検出においてより強い発光強度の光が発生されるように、前述の3段階の順電流の選択を行う。インクタンク24の経過期間は、インクタンク24に設けられたEPROM103に書き込まれているインクタンク24の製造年月日と記録装置の本体部1に設けられたタイマ105の計測時間とに基づいて後述の制御系におけるCPU100が算出する。また、経過時間に基づく順電流の選択、すなわち発光強度の選択は、CPU100が図9に示すテーブル1〜3を選択することによって行う。
【0046】
図10は、CPU100によって記録動作開始前に実行される発光ダイオード30の発光強度を表すデータのテーブル選択処理を示す。まず、CPU100は、上記のEEPROM103からインクタンク24の製造年月日の読み取りを行う(ステップS1)。次に、CPU100は、内蔵されたタイマによる計測時間とインクタンク24の製造年月日とを比較して、インクタンク24の製造からどれだけの期間が経過しているかを算出する(ステップS2)。この後、経過した期間に基づき、CPU100は、発光ダイオード30の発光強度を弱、中、強の3段階に変化させるためのテーブルを、3種類のテーブル1〜3の中から選択する。すなわち、経過期間が1ヶ月未満であれば、図9に示すテーブル1を選択し(ステップS3,S4)、1ヶ月以上6ヶ月未満であればテーブル2を選択し(ステップS5,S6)、6ヶ月以上ならばテーブル3を選択する(ステップS6,S7)。
【0047】
上記ステップS1からS7の処理によりテーブル1が選択された場合には、弱の発光強度としてLv1が、中の発光強度としてLv2が、強の発光強度としてLv3がそれぞれ設定される。なお、発光強度Lv1は、発光ダイオード30における順電流IFを10mAとすることによって得られる発光強度である。また、発光強度Lv2はIFを20mA、発光強度Lv3はIFを30mA、発光強度Lv4はIFを35mA、発光強度Lv5はIFを50mAにそれぞれ設定することで得られる発光強度である。従って、テーブル1が選択された場合には、弱、中、強の3段階の発光強度を得るために10mA,20mA,35mAの電流が設定される。また、テーブル2が選択された場合には弱、中、強の発光強度を得るために10mA,35mA,50mAの電流が設定され、テーブル3が選択された場合には弱、中、強の発光強度を得るために10mA,50mA,100mAの電流が設定される。このように、本実施形態では、長期間経過しているインクタンク24ほど強い発光強度を用いている。これは、インクが長期間プリズムに接触しているほど、プリズム14の表面にインクが付着し易いからである。本実施例においては発光ダイオード30から発光される光量は放射束において、Lv1は0.4mW、Lv2は0.9mW、Lv3は1.5mW、Lv4は2.4mW,Lv5は5.2mWである。ここで放射束を単位として用いた理由は、本発明で用いる発光素子は赤外光等視認できない光も含まれるため、視認性の影響の出る照度などの単位を用いるよりも、波長に関係ない光の量である放射束を用いた方が適切と判断したからである。
【0048】
次に、記録動作中のインクタンク24のインク残量検出について説明する。
【0049】
記録動作中は、発光ダイオード30の発光強度を図11のフローチャートに示すように弱、中、強の3段階に適時切り替えてインクタンク24内のインク残量を検出する。まず、ステップS11では、発光ダイオード30の発光強度を、弱と中の2段階に切り替える。この弱、中の発光強度の切り替えは100msecの周期で行う。100msecの周期で切り替える理由は、インクタンク24から消費されるインクの体積流量の最大値が1.0ml/secであるため、100msecの周期で切り替えを行えば0.1ml程度の誤差でインク残量を検出でき、充分な検出精度が得られるためである。なお、発光ダイオードの電流制限抵抗の切り替え(スイッチング素子SW1〜SW5)は10msec以下の周期で行うことが可能であり、受光素子であるフォトトランジスタ40の応答速度も0.01msec程度である。このため、さらに速い周期で切り替えれば、さらに高い検出精度を求めることも可能である。
【0050】
この後、ステップS12では、フォトトランジスタ40の出力電圧(フォトトランジスタ40のコレクタ・エミッタ間電圧)が予め定めた閾値以下となったか否かを判断し、閾値電圧値以下となった場合にはインク無しと判断し、記録動作を停止させる(ステップS13)。また、ステップS12においてフォトトランジスタ40の検出電圧が閾値電圧を超えると判断された場合には、ステップS14に移行する。
【0051】
ステップS14では、発光強度が弱である場合の検出電圧Voと発光強度が中となる場合の検出電圧Voとを比較し、その差分(電圧差)が予め定めた一定値(例えば0.4V)に達したか否かを判断する。そして、電圧差が一定値未満であればば、インクタンク有りと判断し、記録動作を継続する。以下、ステップS14で発光強度が弱である場合の検出電圧Voと発光強度が中となる場合の検出電圧Voとの電圧差が一定電圧となるまでステップS14とS16の処理を繰り返す。
【0052】
また、ステップS14において前記電圧差が一定値以上になったと判断された場合には、インク無しの状態、すなわちインクがプリズム14の光スポット箇所より下側に達しているが、プリズムに膜が形成されている可能性があると判断する。この場合、ステップS15において発光ダイオードの発光強度を強とする。これは、発光ダイオード14における順電流IFを図9のテーブル1,2,3のいずれかに応じて設定する。
【0053】
以上のように本実施形態では、発光強度が弱である場合の検出電圧Voと発光強度が中となる場合の検出電圧Voとの電圧差が一定電圧となったか否かを判断し、その結果に応じてプリズムの表面にインク膜が形成されているか否かを判断している。この電位差に基づく判断が可能となる理由を以下に説明する。
【0054】
まず、図13を参照して、発光ダイオード14の順電流IFとその時に受光素子であるフォトトランジスタ40に流れる光電流Icとの関係を説明する。ここでは、発光ダイオード14からの光がプリズムの反射面14aに照射される位置(スポット箇所)よりもインクタンク24内の液面の高さが低下した直後、つまりインク膜の付着が最も起こり得る状況での光電流Icの特性を示している。なお、図13にはインクタンク24の製造日から現在に至る経過期間ごとに順電流IFと光電流Icとの関係を示している。同図から読み取れるように、順方向電流IFが大きいほど、光電流Icは大きくなる。また、インクタンク24の製造日からの期間が長いほど光電流Icが下がる傾向があり、この傾向からインク膜がプリズム表面に形成された際の影響を見ることができる。また、インクタンク24の液面が前述のスポット箇所より低くなるインク無しの状態では、小さい順電流IF、つまり弱い発光強度でで大きな電流値Icが得られる。この結果に基づいて導き出される、発光ダイオード30の発光強度とフォトトランジスタ40における検出電圧(フォトトランジスタ40のエミッタ・コレクタ間電圧)の関係を図14に示す。
【0055】
図14に示すように、インクタンク24の製造日から現在に至る経過期間が長いほど、順電流IFに対するフォトトランジスタ40の検出電圧の低下が緩やかになる。このため、ある一定の閾値分圧(例えば1.65V)よりインク電圧が下回った時点で、インク無しとの判断を下すようにした場合、経過時間が長いインクタンク24を用いる場合ほど、発光ダイオード30に大きい電流を印加する必要があることが分かる。この図14に示す結果を、フォトトランジスタ40における光電流Icと検出電圧V0との関係に反映させた結果を図15(a),(b),(c)に示す。なお、図15(a)は1ヶ月経過したインクタンク24を用いた場合を、同図(b)は6ヶ月経過したインクタンク24を用いた場合を、同図(c)は12ヶ月経過したインクタンク24を用いた場合をそれぞれ示している。
【0056】
図15(a)を参照して、1ヶ月経過したインクタンク24を使用した場合を例に採り、光電流Icと検出電圧Voとの関係を説明する。インクタンク24内に完全にインクが無くなった状態において、発光ダイオード30の発光強度が弱となる順電流IFが10mAの時には、光電流Icは357μAとなる。また、発光強度が中となる順電流IFが20mAの時には、光電流Icは714μAとなる。但し、光電流Icが13μAに達すると検出電圧は0.3Vに飽和した状態となり、それ以上順電流IFを上げても検出電圧Voは変化しない。
【0057】
これに対し、インク膜が形成されている領域では、発光ダイオード30の発光強度が弱となる順電流IFが10mAの時には光電流Icは3.7μAとなり、検出電圧Voは2.49Vとなる。これは、前述のようにプリズム14の表面にインク膜が形成されることによって反射光量が減衰した結果を示している。また、発光強度が中となる順電流IF=20mAの時には、検出電圧Vo=1.96Vとなる。この場合も、インク無しの場合に比べて検出電圧Voは低下しているが、IF=10mAの時とIF=20mAの時とでは、検出電圧に0.53Vの電圧差が生じている。すなわち、この場合には、検出電圧Voが飽和領域内にないため、光電流Icの差が小さい場合にも、検出電圧Voには大きな電圧差が生じる。
【0058】
このように、プリズム14の表面の中で発光ダイオード30の光が照射されるスポット箇所にインク膜が形成されている場合、弱と中の発光強度の光をプリズム14に照射した時の検出電圧の差が、プリズム14の表面にインクが存在しない場合に比べて大きくなる。従って、プリズム14に対する発光強度が弱の場合の検出電圧と中の場合の検出電圧との差が一定値(0.4V)未満であれば、インクタンク24にインクが残っていると判断する。また、電圧の差が一定値(0.4V)以上の場合には、プリズム表面にインクの膜が付着している可能性があると判断する。
【0059】
ここで、再び図11を参照してステップS15以降の処理について説明を行う。前述のステップS14において弱と中の発光強度の光をプリズム14に照射した時の検出電圧の差が0.4V以上であると判断された場合には、プリズム14の表面にインクの膜が付着している可能性がある。従って、この場合にはステップS15において発光ダイオード30から強強度の発光(強発光(図9))を行い、フォトトランジスタ40の検出電圧Voが閾値電圧(1.65V)以下であるか否かを判断する(ステップS17)。
【0060】
強発光の時の検出電圧Voが閾値電圧以下であった場合、インク無しと判断して記録動作を停止する(ステップS18)。また、検出電圧Voが1.65V以上であった場合にはインク有りと判断し(ステップS19)、その後はステップS15へと移行して強発光を継続する。ここで強発光を継続する理由は、弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧の電圧差が0.3V以上である場合、インクタンク24内のインクの液面がプリズム表面に照射される光のスポット箇所の一部にかかるような高さに位置する可能性もあり、より迅速な検出を行うためである。
【0061】
1ヶ月経過したインクタンク24の例では、強発光時の順電流をIF=35mAとしており、検出電圧V0が1.65V以下となった時点で、インク無しと判断し、記録動作を停止した。本実施形態では弱と中の電圧差の閾値を0.4Vとした。閾値を0.4Vにしたのは、強発光をした時にプリズム以外の面にあたった光の微小な反射による光電流Icの増加等の原因で、インク有りの状態で強レベルの発光と弱レベルの発光とで0.3V程度の差が生じてしまうためである。
【0062】
以上、製造から1ヶ月経過後のインクタンク24に対するインク残量検出の例を説明したが、図15(b)に示す6ヶ月経過後のインクタンク24に対するインク残量検出では、図9のテーブル2を用いる。6ヶ月経過後のインクタンク24では、プリズム14に対するインクの付着の程度が1ヶ月経過の場合よりも強く、順電流IFに対して検出電圧Voの変化量が小さい。順電流IFが10mAの場合と20mAの場合とでは、検出電圧に0.4Vの電圧差を得ることができない。よって、6ヶ月経過後のインクタンク24を使用する場合には、テーブル2に設定されているように、中発光を行うための順電流IFとして、35mAの電流を発光ダイオード30に流すようにしている。これによれば、6ヶ月経過後のインクタンク24であっても、弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧との間に0.84Vの電圧差を得ることが可能となる。従って、前述のように、弱発光と中発光とを繰り返し、電圧差が0.4Vに達した時点で、強発光を行う。強発光時の順電流はテーブル2に示すように50mAとしている。このとき、検出電圧V0は1.65Vとなる。このようにインク膜の付着が強い場合も、発光強度のレベルを上げることで、インクの有無を迅速かつ正確に検出することが可能である。なお、12ヶ月経過後のインクタンク24においてインクの有無を検出する場合には、図9のテーブル3を選択して、中発光時、強発光時の順電流をさらに高める。すなわち、図15(c)に示すように、弱発光時の順電流IFを10mA,中発光時の順電流を20mA,強発光時の順電流を50mAとする。これによれば、図15(c)に示すうように、弱発光時と中発光時それぞれの検出電圧との間に0.66の電圧差を得ることができる。従って、弱発光時と中発光時それぞれの検出電圧の間に0.4V以上の電圧差が生じた時点で、強発光に切り替えることでインク残量の有無を、迅速かつ正確に検出することができる。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、インクタンク24内のインク残量が一定量以下となるまで弱発光と中発光を行い、一定量以下となった時点で高精度な検出が可能な強発光を行うようにしている。これによれば、常に強発光を行なっている従来のインク残量検出に比べ、発光ダイオード30の寿命は大幅に延長され、しかも大きな検出動作遅れを生じることなく正確にインク無しを検出することができる。
【0064】
図16および図17に、本実施形態におけるインク残量の検出動作を、製造後一ヶ月以内のインクタンク24と、製造後6ヶ月経過のインクタンク24とに実施した結果を示す。
【0065】
図16(a),(b)は、インクタンク24を記録装置の本体部1に装着してインクを消費させた時のインク残量と検出電圧との関係を測定した結果を示す図である。図16(a)は製造後1ヶ月以内の新品のインクタンク24に対する測定結果である。この場合、発光ダイオード30を駆動するための順電流の組合せとしては、図9におけるテーブル1が用いられる。また、図16(a)では、本実施形態との比較対象として、弱(IF=10mA)、中(IF=20mA)、強(IF=35mA)の各発光強度のみで発光させた場合の測定結果も示している。
【0066】
新品のインクタンク24では、インクの液面の低下とほぼ同時にプリズム表面からインクがひいていくので、弱発光、中発光、強発光のいずれにおいても、検出電圧Voは最大値から最小値にかけてシャープな変化を示す。本実施形態では、弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧を行き来し、図中のAの残量に到達した時、弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧との電圧差が0.4Vとなった。このため、このAの残量に達した時点から強発光に切り替えている。
【0067】
図17(a)に閾値電圧(1.65V)に到達した時のインク残量と、弱発光、中発光、強発光をそれぞれ単独で行なった際に閾値電圧に到達した時のインク残量とを表示した。図示のように、テーブル1に従って順電流IFを変化させる本実施形態では、インク残量が3.80mlとなった時点で閾値電圧(1.65V)に達している。これに対し、弱発光、中発光、強発光をそれぞれ単独で行なった場合に閾値電圧に達するインク残量は、3.67ml,3.77ml,3.85mlとなっている。この結果から、本実施形態によれば、強発光のみで検出を行う場合に次ぐ早いタイミングでインク無しを検出できることがわかる。
【0068】
図16(b)は6ヶ月放置したインクタンク24を用いて(a)の場合と同様の実験を行った結果を示している。このインクタンク24ではインクがプリズム14の表面に固着しており、液室1a内のインクが無くなってから、プリズム表面のインクがひけるまでに多くの時間がかる。従って、発光ダイオード30の発光強度の違いによって、閾値の電圧に到達するまでの時間には大きな差が生じている。このインクタンク24の場合、発光強度の変化(順電流の変化)にはテーブル2が用いられる。すなわち、弱(IF=10mA)、中(IF=35mA)、強(IF=50mA)とした。本実施形態との比較対象として弱、中、強それぞれの発光強度のみで発光を行った場合の結果も合わせて示している。本実施形態では、検出電圧Voが弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧との間を行き来し、図中のBの残量に到達した時、弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧との電圧差が0.4Vとなった。この時点で発光ダイオード30の発光強度を強発光に切り替えている。このため、弱発光、中発光のみで検出を行なった場合に比べ、大幅に早いタイミングでインク無しを検出することができる。図17(b)に閾値電圧到達時のインク残量を示した。図17(b)に示すように、弱発光、中発光それぞれを単独で行なった場合と、本実施形態による発光を行なった場合とで、閾値電圧到達時のインク残量を比較した場合、その差は、図17(a)に示した場合よりも大きくなっている。つまり、本実施形態によれば、弱発光、中発光を単独で行う場合に比べてより迅速にインク無しを検出することができるが、その検出タイミングの差は、製造日からの経過時間が長いインクタンク24ほどより顕著になる。
【0069】
次に、発光素子の寿命曲線のグラフを図18に示す。発光ダイオード30は通電時間に伴い、発光体が劣化していき、出力が低下する。通常は初期状態の発光強度の80%まで低下したところを発光ダイオード30の寿命とする。図18は、発光ダイオード30を発光していき、通電時間と発光強度の関係を測定したものである。この測定では、本実施形態の制御に従って発光ダイオード30を駆動した場合と、順電流IFを、10mA,20mA,35mA,50mA,100mAのそれぞれに固定して駆動した場合を示している。また、本実施形態における測定は、製造日からの経過時間が1ヶ月以内の新品のインクタンク24と、6ヶ月経過後のインクタンク24と、1年経過後のインクタンク24とを均等な割合で用いた平均的な条件にて行なっている。
【0070】
図示のように、順電流IFを一定にして発光ダイオード30を駆動した場合には、発光強度が高いほど(IFが高いほど)、時間当たりの出力の低下率が高い。特に、本実施形態において強発光として用いられる35mA、50mA、100mAの順電流のみで発光ダイオード30を駆動した場合には、使用可能範囲の80%を早期に切るようになっている。しかし、本実施形態の制御により駆動した発光素子は、図19に示すように、弱発光(IF=20mA)に固定して発光させた場合に次いで、発光強度の劣化が小さいことが確認された。
【0071】
以上の測定結果から、本実施形によって適切なタイミングで適切な光量の発光を行なうことにより、プリズム表面へのインクの付着による検出遅れはなくなり、且つ発光素子の寿命が低減されることを確認した。
【0072】
(発明の他の実施形態)
上記実施形態では、インクタンク24の製造日から現在までの経過期間に基づき、5段階の発光強度の中から弱、中、強の3段階の発光強度を定めるようにしている。しかし、インクが変質しにくいものである場合、あるいはインクの消費量が多くインクタンク24が頻繁に交換されるような場合には、弱、中、強の3段階それぞれの値を固定値にしても良い。また、発光ダイオード30の発光強度を4段階あるいは6段階以上に切り替え得るようにしてもよい。さらに、発光ダイオード30の発光強度の切り替えは、上記実施形態のように発光ダイオード30に接続された電流制限抵抗を切り替えるものに限らず、周知のPWM方式によって切り替えるようにすることも可能である。
【0073】
さらに、本発明は、インクタンク24使用中に行なう発光素子の発光強度を、弱、中、強の3段階に切り替えるものに限定されない。すなわち、発光強度を4段階以上に切り替えてインクの有無を検出するようにすることも可能である。例えば、発光強度を、弱、中弱、中、強の4段階に切り替え可能にすることも可能である。この場合、インクタンク24使用当初は、発光素子の発光強度を2段階以上、例えば弱、中弱、中の3段階に順時切り替える制御を繰り返す。そして3段階の発光強度に伴う3つの検出電圧のうち、2つの検出電圧の電圧差が一定値に達した時点で、発光強度を強に切り替えるようにする。電圧差を求めるための2つの検出電圧の組合せとしては、例えば、弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧の組合せ、中弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧との電圧差の組合せ、などが考えられる。また、弱発光時の検出電圧と中発光時の検出電圧との電圧差の組合せを加えることも可能である。そして、少なくとも一つの組合せにおける電圧差が、予め定めた値になった時点で強発光に切り替えるようにする。これによれば、強発光への切り替えをより確実に行うことができ、より高い信頼性を得ることができる。
【0074】
上記実施形態では、発光素子の発光強度をインクタンク24の経過期間に応じて変更するものとしたが、インクタンク24の経過時間以外の条件をも考慮して発光素子の発光強度を制御するようにして良い。
【0075】
例えば、発光素子の発光時間をCPU100によって計測し、その計測時間が一定時間経過するごとに発光素子の発光強度を高めるようにしてもよい。さらに、インクタンク24あるいはインクジェット記録装置の周囲の環境温度を検出する環境センサを設け、その環境温度に基づいて前記発光素子の発光強度を制御することも可能である。さらに、記録装置の本体部またはインクタンク24の基準となる使用姿勢に対し、現在のインクタンク24の使用姿勢が傾いていると、図20に示すようにインク無しの水位に達した時に、残りのインク残量が少なくなる場合がある。その場合、記録ヘッド25が空気を吸い込む可能性が高くなるため、より速い検知が求められる。よってどの程度傾いているかを検出する傾き検出手段を設け、その検出結果に基づき発光素子の発光強度を変化させるようにしてもよい。図20(a)が理想のインクタンク24設置状態とすると、図20(b)、(c)はインクタンク24が水平面に対して傾いているため、インクタンク24の開口端8aから空気が入り込みやすくなってしまっている。このような状態であると、プリズム14に付着したインクの影響により、インク無しの検知タイミングが遅くなってしまった場合、空気を開口端8aから吸い込んでしまうおそれがある。これを避けるため、インクタンク24又はインクジェット記録装置本体が所定角度以上傾いていると傾き検出手段が検出した場合に、発光ダイオード30の発光強度を上げるようにCPU100が制御するようにしてもよい。
【0076】
このように、インクタンク24の経過時間以外の条件を考慮して発光強度を制御するようにすれば、より高精度にインクの有無を検出することが可能になる。
【0077】
また、上記実施形態においては、インクタンク24の液室の底部を形成する傾斜面7と同一もしくはそれ以下となる位置に反射体としてのプリズム14の反射面14aを配置することによって液室内のインクが無くなったか否かを検出するようにした。しかしながら、本発明は、インクタンク24あるいは液室内のインクの有無を検出するものに限定されない。すなわち、本発明はインクタンク24内のインク残量が所定量より少なくなったか否かを検出するものであり、反射体を設ける位置によって検出の基準とするインク残量(所定量)は種々変更可能である。例えば、インク残量が、インクタンク24の容積の20パーセント、30パーセントあるいは50パーセント未満になったか否かを検出するようにすることも可能であり、前述の所定量は任意に設定可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 ヘッド
2 キャップ
6 液室
7 液室内傾斜部
8 インク供給流路
9 インク供給口
10 大気連通流路
11 大気連通口
14 プリズム
18 光センサ
21 インク
22 インク膜
23 本体部
24 インクタンク
30 発光ダイオード(発光素子)
40 フォトトランジスタ(受光素子)
IF 順電流
Ic 光電流
Vo 出力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクタンクにおけるインク残量が所定量より少なくなったか否かを検出するためのインク残量検出装置であって、
前記インクタンクに設けられ、前記インクタンク内のインク残量が前記所定量より少ないときの光反射率が、前記インクが所定量以上であるときの光反射率より高くなる反射体と、
前記反射面に入射させる光を発生する発光手段と、
前記反射体から反射された反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた出力信号を発する受光手段と、
前記発光手段の発光強度を複数段階に切り替える発光制御を繰り返し実行する制御手段と、
前記受光手段から出力される出力信号に基づいて前記インクタンク内のインク残量が前記所定量に達したか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段は、前記発光手段から発せられる前記複数段階の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて前記受光部から出力される出力信号の差分が一定値以上であるか否かに基づいて前記インクタンク内のインク残量が前記所定量に達したか否かを判断することを特徴とするインク残量検出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、少なくとも3段階に発光強度を切り替える発光制御を行い、最も発光強度の強い段階を除く、2段階以上の段階に発光強度を切り替える発光制御を繰り返し、
前記判断手段は、前記発光手段から発せられる2段階以上の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて前記受光部から出力される出力信号の差分が一定値以上に達したか否かを判断し、
前記制御手段は、前記判断手段によって前記出力信号の差分が一定値以上に達したと判断されたとき、前記発光手段の発光強度を最も強い段階に切り替え、
前記判断手段は、前記発光素子から発生させた最も強い発光強度の光に応じて前記受光部から出力された出力信号の値が、予め定めた閾値に達した時点でインク残量が前記所定量に達したと判断することを特徴とする請求項1記載のインク残量検出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記インクタンクの製造日から現在に至る経過期間に応じて、前記複数段階の中の少なくとも一つの段階における発光強度を高めることを特徴とする請求項1または2に記載のインク残量検出装置。
【請求項4】
前記インクタンクに設けられた記憶素子に記憶された製造日を読み取る読取手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記記憶素子か読み取った前記インクタンクの製造日から現在までの経過期間を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインク残量検出装置。
【請求項5】
前記発光手段は、発光ダイオードと、前記発光ダイオードに流れる電流を制限する電流制限抵抗と、前記発光ダイオードに前記電流制限抵抗を介して電圧を印加する電源とからなり、
前記制御手段は、前記電流制限抵抗の値を切り替えることにより前記発光ダイオードの発光強度を切り替えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインク残量検出装置。
【請求項6】
前記反射体は、前記インクタンクと一体に設けられた透明材料により構成され、前記透明材料の屈折率は1.40以上1.87未満であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインク残量検出装置。
【請求項7】
前記反射体は、直角二等辺三角形の断面形状をなす三角柱形状をなし、互いに直交する2つの反射面がインクタンクの内部に突出し、前記2つの反射面が直交する稜線に対向する底面がインクタンクの外側に向くように配置されており、
前記発光素子から発生させた光は、前記底面に対して直角に入射し、
前記受光部は、前記2つの反射面にて反射された反射光を受光することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインク残量検出装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記発光素子の発光時間が一定時間経過するごとに前記発光手段の発光強度を高めることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインク残量検出装置。
【請求項9】
前記発光手段の発光強度を前記インクタンクの周囲の環境温度に基づいて制御することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインク残量検出装置。
【請求項10】
前記インクタンクの基準となる使用姿勢に対する現在のインクタンクの使用姿勢の傾きを検出する検出手段をさらに設け、前記検出手段によって検出された傾きに応じて、前記発光素子の発光強度を制御することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のインク残量検出装置。
【請求項11】
インクタンクに貯留されているインクが所定量より少なくなったか否かを検出するためのインク残量検出方法であって、
前記インクタンクに設けられ、前記インクタンクのインク残量が前記所定量より少ないときの光反射率が、前記インクが所定量以上であるときの光反射率より高くなる反射体と、
前記反射面に入射させる光を発生する発光手段と、
前記反射体から反射された反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた出力信号を発する受光手段と、を備え、
前記発光手段の発光強度を複数段階に切り替える発光制御を繰り返し実行する制御工程と、
前記受光手段から出力される出力信号に基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断する判断工程と、を備え、
前記判断手段は、前記発光手段から発せられる複数段階の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて前記受光部から出力される出力信号の差分が一定値以上であるか否かに基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断することを特徴とするインク残量検出方法。
【請求項12】
インクを貯留するインクタンクと、前記インクタンクから供給されたインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクタンクに貯留されているインクが所定量より少なくなったか否かを検出するインク残量検出手段と、を備えたインクジェット記録装置において、
前記インク残量検出手段は、
前記インクタンクに設けられ、前記インクタンクのインク残量が前記所定量より少ないときの光反射率が、前記インクタンクのインクが所定量以上であるときの光反射率より高くなる反射体と、
前記反射面に入射させる光を発生する発光手段と、
前記反射体から反射された反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた出力信号を発する受光手段と、
前記発光手段の発光強度を複数段階に切り替える発光制御を繰り返し実行する制御手段と、
前記受光手段から出力される出力信号に基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段は、前記発光手段から発せられる複数段階の光の中の、少なくとも2つの段階における光の各々に応じて前記受光部から出力される出力信号の差分が一定値以上であるか否かに基づいて前記インクタンクのインク残量が前記所定量に達したか否かを判断することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記発光手段の発光強度の放射束は0.1〜10mWの間で用いられることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインク残量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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