説明

インク組成物、インクカートリッジ、インクジェット記録方法及び印刷物

【課題】硬化性に優れ、酸素非透過性容器内において保存安定性に優れたインク組成物、前記インク組成物を充填した酸素非透過性容器を収納したインクカートリッジ、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、印刷物を提供すること。
【解決手段】(A)N−ビニルラクタム類、(B)酸化防止剤、及び、(C)重合禁止剤を含有し、(B):(C)の重量含有比が10:1〜100:1であることを特徴とするインク組成物。前記インク組成物を充填した酸素非透過性容器を収納したインクカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク組成物、インクカートリッジ、インクジェット記録方法及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
【0003】
紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインク組成物、特にインクジェット記録用インク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)としては、高感度で硬化し、高画質の画像を形成するインク組成物が求められている。高感度化を達成することにより、活性放射線の照射により高い硬化性が付与されるため、消費電力の低減や活性放射線発生器への負荷軽減による高寿命化などの他、十分な硬化が達成されることにより、未硬化の低分子物質の揮発、形成された画像強度の低下などを抑制することができるなど、種々の利点をも有することになる。また、得られた画像(印刷物)がひび割れや剥離等を起こしにくく、硬化膜の柔軟性に富むインク組成物が求められている。硬化膜が高い柔軟性を有することで、様々な環境下で長期間印刷物を高画質に保ったまま表示、保管でき、また、印刷物の取り扱いが容易になるなどのメリットがある。
【0004】
インク組成物として、N−ビニルラクタム類を含有するインク組成物が開示されている(特許文献1)。また、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインク組成物として、密着性に優れるインク組成物が開示されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特許第2880845号公報
【特許文献2】特表2004−514014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、酸素非透過性容器内において保存安定性に優れたインク組成物、前記インク組成物を充填した酸素非透過性容器を収納したインクカートリッジ、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記<1>、<9>、<10>及び<12>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<8>及び<11>と共に以下に示す。
<1> (A)N−ビニルラクタム類、(B)酸化防止剤、及び、(C)重合禁止剤を含有し、(B):(C)の重量含有比が10:1〜100:1であることを特徴とするインク組成物、
<2> 前記(A)N−ビニルラクタム類がN−ビニルカプロラクタムである<1>に記載のインク組成物、
<3> 前記(B)酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、サルファイド系酸化防止剤、及び、芳香族アミン系酸化防止剤よりなる群から選択された少なくとも1つの酸化防止剤である<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> インク組成物全量に対する前記(B)酸化防止剤の含有量が0.2〜4.0重量%である<1>〜<3>いずれか1つに記載のインク組成物、
<5> 前記(C)重合禁止剤がニトロソ系重合禁止剤、及び、ヒンダードアミン系重合禁止剤よりなる群から選択された少なくとも1つの重合禁止剤である<1>〜<4>いずれか1つに記載のインク組成物、
<6> インク組成物全量に対する前記(C)重合禁止剤の含有量が0.01〜0.5重量%である<1>〜<5>いずれか1つに記載のインク組成物、
<7> 前記(B):(C)の重量含有比が30:1〜70:1である<1>〜<6>いずれか1つに記載のインク組成物、
<8> インクジェット記録用である<1>〜<7>いずれか1つに記載のインク組成物、
<9> <8>に記載のインク組成物を充填した酸素非透過性容器を収納したインクカートリッジ、
<10> (a1)被記録媒体上に<8>に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法、
<11> 前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、且つ、被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線である<10>に記載のインクジェット記録方法、
<12> <10>又は<11>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、硬化性に優れ、酸素非透過性容器内において保存安定性に優れたインク組成物、前記インク組成物を充填した酸素非透過性容器を収納したインクカートリッジ、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のインク組成物は、(A)N−ビニルラクタム類、(B)酸化防止剤、及び、(C)重合禁止剤を含有し、(B):(C)の重量含有比が10:1〜100:1であることを特徴とする。なお、数値範囲の記載である「10:1〜100:1」は「10:1以上、100:1以下」と同義であり、以下、他の数値範囲の記載についても特に断りのない限り同様とする。以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
業務用インクカートリッジの大半にインク組成物を充填した酸素非透過性容器が収納されている。通常はインクカートリッジ製造の際に空気が混入しないようにインク組成物を酸素非透過性容器に充填した後、酸素非透過性容器をインクカートリッジ容器に収納する。酸素非透過性容器に充填されたインク組成物に含まれるN−ビニルラクタム類は酸素非透過性容器内でカチオンラジカルとなり、他のモノマーを重合させ、インク組成物の粘度上昇を引き起こす。一方、開放系の容器等、インク組成物が空気に触れる容器を用いた場合、空気中の酸素が前記カチオンラジカルをクエンチするためインク組成物は増粘しない。しかし酸素非透過性容器内ではインク組成物が空気に触れることがないため、容器内で生じたカチオンは酸素によりクエンチされることがなく、重合を引き起こしてインク組成物を増粘させると考えられる。かかるインク組成物の増粘は、インク組成物に重合禁止剤を添加したのみでは効果的に抑制することができない。本発明においては重合禁止剤に加えて酸化防止剤を併用することにより、酸素非透過性容器内におけるN−ビニルラクタム類を含むインク組成物の増粘を効果的に抑制することができた。
【0011】
1.インク組成物
(A)N−ビニルラクタム類
本発明のインク組成物はN−ビニルラクタム類(以下、(A)成分ともいう。)を含有する。
本発明に用いることができるN−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(A−1)で表される化合物が挙げられる。
【0012】
【化1】

【0013】
式(A−1)中、nは1〜5の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、被記録媒体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは2〜4の整数であることが好ましく、nが2又は4であることがより好ましく、nが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び、硬化膜の被記録媒体への密着性が得られるので好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していても良い。
【0014】
本発明において、インク組成物は、N−ビニルラクタム類をインク組成物全体の5重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5〜40重量%であり、さらに好ましくは15〜35重量%であり、特に好ましくは20〜30重量%である。N−ビニルラクタム類の含有量が上記範囲であると、硬化性、硬化膜柔軟性、硬化膜の被記録媒体への密着性に優れる。
N−ビニルラクタム類は比較的融点が高い化合物である。N−ビニルラクタム類が40重量%以下の含有率であると、0℃以下の低温下でも良好な溶解性を示し、インク組成物の取り扱い可能温度範囲が広くなり好ましい。上記N−ビニルラクタム類はインク組成物中に1種のみ含有されていてもよく、複数種含有されていてもよい。
【0015】
(B)酸化防止剤
本発明のインク組成物は(B)酸化防止剤を含有する。
酸化防止剤は機能面から一次酸化防止剤(ラジカル連鎖禁止剤)又は二次酸化防止剤(過酸化物分解剤)に分類される。一次酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤が挙げられ、二次酸化防止剤としてはリン系酸化防止剤及びサルファイド系酸化防止剤が挙げられる。
本発明においては酸化防止剤としては公知のものを用いることができ限定されるものではないが、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び、サルファイド系酸化防止剤(イオウ系酸化防止剤)よりなる群から選ばれた少なくとも1つの酸化防止剤を好ましく用いることができる。
以下、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、サルファイド系酸化防止剤、及び、芳香族アミン系酸化防止剤について詳細に説明する。
【0016】
(1)フェノール系酸化防止剤
本発明において、フェノール系酸化防止剤とはフェノール基を有する化合物を指し、この他に何ら限定されるものではない。フェノール系酸化防止剤としては公知のものを用いることができ限定されるものではないが、式(1)に示す化合物であることが好ましい。
【0017】
【化2】

【0018】
式(1)において、mは1〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、n個のR1は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20の分岐を有していてもよいアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルケニル基、及び、炭素数1〜5のアルキニル基を表し、これらの基は式(1)に示すベンゼン環と連結基を介して結合していてもよく、前記連結基としては、カルボニル基、カルボニルオキシ基(−COO−)、オキシカルボニル基(−OCO−)、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基(−NH−)、アミド基、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、ホスホン酸エステル基、リン酸エステル基、トリアジン及びジオキサン等の複素環から2個以上の水素原子を除いた3〜8員環の多価の複素環基、アルキルアミノ基並びにこれらの連結基の組合せから選択される多価の連結基が挙げられる。さらに、2つ以上のR1で表される基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
1で表される基は導入可能な炭素原子に置換基を有していてもよい。導入することができる置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基及び(メタ)アクリロイル基等が例示できる。
1はmが2以上である場合にm価の連結基を表し、具体的には単結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、ホスホン酸エステル基、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、アミノ基、水素原子をm個除いた炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水素原子をm個除いたm価の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、トリアジン及びジオキサン等の複素環から水素原子をm個を除いた6〜12員環の複素環基、並びに、これらの連結基の組合せ等が挙げられ、導入可能な炭素原子にR1と同じく前記置換基を有していてもよい。
【0019】
式(1)においてmが1である場合、即ち式(1)で表される構造を1つのみ有する化合物は、連結基X1を有しないことはいうまでもないが、式(2)〜(4)で表される化合物であることが好ましく、式(2)又は(3)で表される化合物であることがより好ましい。
【0020】
【化3】

【0021】
式(2)においてR2及びR3で表される基は式(1)におけるR1で表される基と同義であるが、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜8個のシクロアルキル基であることが好ましい。
炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基が好ましく、炭素数3〜8個のシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基が好ましい。中でもR2及びR3で表される基としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、シクロヘキシル基であることが好ましい。R2及びR3で表される基がこれらの嵩高い構造を有することにより、長期間の保存安定性に優れたインク組成物が得られるため好ましい。
式(2)においてR4で表される基は式(1)におけるR1で表される基と同義であるが、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基、メトキシ基等の炭素数1〜3のアルキルオキシ基、ジメチルアミノ基等のアルキルアミノ基等が挙げられ、これらの基は式(1)におけるR1と同様に連結基を介して結合していてもよい。
またR2〜R4で表される基は導入可能な炭素原子に式(1)のR1と同様に前記置換基を有していてもよい。
【0022】
式(3)においてR5、R6、R8及びR9で表される基は、式(2)におけるR2及びR3と同義であり、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜8個のシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが好ましい。
7は水素原子、メチル基、又は、エチル基等の低級アルキル基を表し、R5、R6、R8及びR9で表されるいずれか1以上の基と結合して環を形成してもよい。
色(3)で表される化合物は、R5、R6、R8及びR9で表される基が水素原子であり、R7で表される基が炭素数1〜3の低級アルキル基であることが最も好ましい。
式(1)で表される化合物は式(4)で表される化合物でもよい。
【0023】
【化4】

【0024】
式(4)において、R10は水素原子又はメチル基を表し、n1+n2は1〜5の整数を表し、n1は0〜5の整数を表し、n2は1〜5の整数を表す。
【0025】
式(1)においてmが2である場合、即ち式(1)で表される構造を2つ有するフェノール系酸化防止剤は式(5)又は(6)で表される化合物であることが好ましい。
【0026】
【化5】

【0027】
式(5)においてR11及びR12で表される基は、式(1)におけるR1で表される基と同義であるが、R11はそれぞれ独立にメチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、又は、1−メチルシクロヘキシル基であることが好ましい。
13はヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、又は、−L1−R14を表す。
14はR13において連結基L1を介して結合するもう1つの他の式(5)で表される化合物を表す。連結基L1としては、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、炭素数1〜6個のアルキレン基、炭素数6〜12個のアリーレン基及びこれらを組み合わせた連結基が挙げられる。
2は式(1)のX1と同義であるが、炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、中でもメチレン基であることがより好ましい。X2は導入可能な炭素原子に前記置換基を有していてもよく、前記アルキレン基の炭素原子に置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有することが好ましい。
【0028】
式(6)において、R15〜R22で表される基は、式(1)におけるR1で表される基と同義であるが、R16、R17、R20、R21はメチル基、tert−ブチル基であることが好ましい。
3は2価の連結基を表し、式(1)におけるX1と同義であるが、中でも炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基、オキシ基、チオ基、ホスホン酸エステル基、リン酸エステル基、ジオキサン等の複素環から水素原子を2個除いた基及びこれらの連結基の組合せが挙げられ、導入可能な炭素原子に式(1)におけるR1と同様に置換基を有していてもよく、2つの置換基が結合して環を形成してもよい。
【0029】
式(1)においてmが3又は4の場合には、式(7)で表される化合物であることが好ましい。
【0030】
【化6】

【0031】
式(7)において、R23は、式(1)におけるR1と同義であるが、水素原子、メチル基、tert−ブチル基であることが好ましく、tert−ブチル基であることがより好ましい。
24は、水素原子又はメチル基を表す。
4は、2価の連結基を表し、単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基及びこれらの組合せよりなる2価の連結基を表す。
【0032】
5は式(1)におけるX1と同義であるが、mが3又は4である場合には水素原子をm個除いた炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水素原子をm個除いたm価の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、水素原子をm個を除いた6〜12員環の複素環基が挙げられ、具体的には下記の連結基であることが好ましい。なお、下記の連結基において「R」はX4を介してX5と結合する式(7)における括弧内の基を表す。これらのRは1つの化合物内において同一でも異なっていてもよい。
【0033】
【化7】

【0034】
本発明に好ましく用いることができるフェノール系酸化防止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。なお、本発明では、化学式において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
【化10】

【0038】
【化11】

【0039】
【化12】

【0040】
【化13】

【0041】
前記A−14の具体例としては、Noclizer SP(大内新興化学工業(株)製)、Sumilizer S(住友化学(株)製)等が挙げられ、A−15の具体例としては、Noclizer SCM(大内新興化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0042】
本発明に用いることができるフェノール系酸化防止剤は、式(2)又は式(3)で表される化合物が好ましい。式(2)で表される化合物としては、A−5が好ましい。また、式(3)で表される化合物としては、A−37が好ましい。
【0043】
(2)芳香族アミン系酸化防止剤
本発明のインク組成物は、酸化防止剤として芳香族アミン系酸化防止剤を含むことが好ましい。芳香族アミン系酸化防止剤としては公知のものを用いることができ限定されるものではないが、式(8)で表される化合物であることが好ましい。
【0044】
【化14】

【0045】
式(8)においてAr1はa+b価の芳香族炭化水素基を表す。
Nはそれぞれ独立にAr1と単結合を介して結合する−NH−又は−N=を表す。
25はLNに含まれる窒素原子に単結合又は二重結合を介して結合する基を表し、それぞれ独立に炭素数6〜18のアリール基、直鎖若しくは分岐を有する炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルケニル基を表す。
26はそれぞれ独立に直鎖又は分岐を有する炭素数1〜15のアルキル基を表す。R25とR26とが単結合又は二重結合を介して結合して環を形成していてもよい。
aは1〜3の整数を表し、bは0〜3の整数を表し、a+bは1〜6の整数を表す。
式(8)に示す化合物は導入可能な炭素原子に置換基を有していてもよい。導入することができる置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基、アルコキシ基等が例示できる。
前記芳香族炭化水素基Ar1としては炭素数6〜12のものが好ましくベンゼン、ナフタレンからa+b個の水素原子を除いた基がより好ましい。
前記LNとしては−NH−が好ましく、R25としてはフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基、炭素数3〜6のアルキル基が好ましい。
さらに式(8)に示す化合物は、式(9)又は式(10)に示す化合物であることが好ましい。
【0046】
【化15】

【0047】
式(9)において、Ar1は式(8)におけるAr1と同義である。Ar2はフェニル基又はナフチル基を表す。
式(10)において、Ar1は式(8)におけるAr1と同義であり、フェニレン基であることが好ましく、パラ位に−NH基を有するパラジアミンであることがより好ましい。R25は式(8)におけるR25と同義であり、直鎖又は分岐を有する炭素数3〜5のアルキル基が好ましく、分岐を有する炭素数3〜5のアルキル基がより好ましい。
式(9)及び式(10)に示す化合物は導入可能な炭素原子に置換基を有していてもよい。前記置換基は式(8)における置換基と同様である。
【0048】
本発明に好ましく用いることができる芳香族アミン系酸化防止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。なお、本発明では、化学式において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
【0049】
【化16】

【0050】
B−1に示す化合物の具体例としては、Sumilizer 9A(住友化学(株)製)が挙げられ、B−3に示す化合物の具体例としては、Sumilizer MXA(住友化学(株)製)が挙げられ、B−7に示す化合物の具体例としては、Antigene RD−G(住友化学(株)製)が挙げられる。
本発明においては、式(10)に示す芳香族アミン系酸化防止剤を用いることが好ましく、中でもB−12がより好ましい。
【0051】
(3)リン系酸化防止剤
本発明のインク組成物は酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含むことが好ましい。本発明に用いるリン系酸化防止剤としては公知のものを用いることができ限定されるものではないが、式(11)又は式(12)で表される化合物であることが好ましい。
【0052】
【化17】

【0053】
式(11)及び式(12)において、R27で表される基はそれぞれ独立に水素原子、ナトリウム原子、直鎖もしくは分岐を有する炭素数1〜20のアルキル基、又は、炭素数6〜18のアリール基を表す。これらの基は酸素原子と連結基を介して結合していてもよく、前記連結基としては、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基及びこれらの連結基の組合せが挙げられる。また、R27は導入可能な炭素原子に後述する置換基を有していてもよい。
1で表される基はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の分岐を有していてもよいアルキル基、炭素数6〜18のアリール基を表し、これらの基はリン原子と連結基を介して結合していてもよく、前記連結基としては、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基又はこれらの組合せが挙げられる。また、Q1は導入可能な炭素原子に後述する置換基を有していてもよい。
前記炭素数1〜20の分岐を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜15のものが好ましく、炭素数5〜15のものがより好ましく、具体的にはオクチル基、イソオクチル基、デシル基、イソデシル基及びトリデシル基等が挙げられる。
前記炭素数6〜18のアリール基としては、炭素数6〜12のものが好ましい。具体的にはフェニル基、ナフチル基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
cは0又は1の整数を表し、0であることが好ましい。
式(11)又は式(12)において、少なくとも1つのR27がアリール基であることが好ましく、2つのR27がアリール基であることがより好ましい。
27及びQ1に導入可能な置換基としては、メチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基及びノニル基等の直鎖又は分岐を有する炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基及びナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基、並びに、ヒドロキシ基が挙げられ、中でもtert−ブチル基、tert−アミル基等の炭素数4又は5のアルキル基が好ましい。
また、R27及びQ1で表される基のうちいずれか2つの基が結合して環を形成してもよく、2つのR27がアリール基である場合に、炭素数1〜3のアルキレン基を介して環を形成していることが好ましい。
【0054】
本発明で用いることができるリン系酸化防止剤は、式(11)、式(12)で表される化合物同士が多価の連結基を介して複数個結合していてもよい。具体的には式(13)〜式(15)に示す化合物が挙げられる。先に式(13)及び式(14)で表される化合物について説明する。
【0055】
【化18】

【0056】
式(13)及び式(14)において、R28で表される基は式(11)及び式(12)におけるR27で表される基と同義であるが、R28を介して連結基X6と結合する場合にはR27から水素原子を1つ除いた2価の連結基を表し、R27が水素原子である場合には酸素原子とX6とは直接結合する。
2で表される基は、式(11)及び式(12)におけるQ1で表される基と同義であるが、Q2を介して連結基X6と結合する場合にはQ1から水素原子を1つ除いた2価の連結基を表し、Q1が水素原子である場合にはリン原子とX6とは直接結合する。
cは式(11)及び式(12)におけるcと同義である。
dは2〜4の整数を表し、2又は3であることが好ましい。
6は多価の連結基を表し、2価又は3価の連結基であることが好ましく、具体的には単結合、オキシ基、水素原子をd個除いた炭素数1〜6の炭化水素基、水素原子をd個除いた芳香族炭化水素基、又は、これらを組合せたd価の連結基等が挙げられ、導入可能な炭素原子に置換基を有していてもよい。前記置換基としては式(11)及び式(12)に導入可能な置換基が挙げられる。
【0057】
さらに、式(13)及び式(14)に示す化合物の他、式(13)で表される化合物が複数個結合したものとして、式(15)に示す化合物も本発明のリン系酸化防止剤として用いることができる。式(15)において、R27で表される基は式(11)及び式(12)におけるR27で表される基と同義であり、好ましい範囲も同様である。式(15)で表される化合物は導入可能な炭素原子に置換基を有していてもよい。前記置換基としては式(11)及び式(12)に導入可能な置換基が挙げられる。
【0058】
【化19】

【0059】
本発明に好ましく用いることができるリン系酸化防止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。なお、本発明では化学式において炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
【0060】
【化20】

【0061】
【化21】

【0062】
【化22】

【0063】
【化23】

【0064】
本発明においては、C−26を好ましく用いることができる。
【0065】
(4)サルファイド系酸化防止剤
本発明のインク組成物はサルファイド系酸化防止剤を含むことが好ましい。本発明において用いることができるサルファイド系酸化防止剤としては、公知のものを用いることができ限定されるものではないが、式(16)に示す化合物であることが好ましい。
【0066】
【化24】

【0067】
式(16)において、R29で表される基はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルケニル基及び炭素数1〜5のアルキニル基を表し、中でも炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数10〜20のアルキル基がより好ましい。
これらの基は式(16)に示す硫黄原子と連結基を介して結合していてもよく、前記連結基としては単結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシ基、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基及びこれらの組合せよりなる連結基が挙げられ、中でも炭素数1〜6のアルキレン基、カルボニルオキシ基及びこれらを組み合わせた連結基が好ましい。
中でもR29で表される基は、炭素数10〜20のアルキル基が、連結基としてアルキレン基及びカルボニルオキシ基を介して硫黄原子に結合していることが好ましい。
29は導入可能な炭素原子に置換基を有していてもよい。導入することができる置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基、アルコキシ基等が例示でき、中でも炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0068】
本発明に好ましく用いることができるリン系酸化防止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0069】
【化25】

【0070】
本発明においては、リン系酸化防止剤としてD−1を好ましく用いことができる。
【0071】
(5)酸化防止剤の含有量
本発明においてインク組成物全量に対する前記(B)酸化防止剤の含有量は0.2〜4.0重量%であることが好ましく、0.5〜3.0重量%であることがより好ましく、0.8〜2.0重量%であることがさらに好ましい。
上記の数値の範囲内であると、N−ビニルラクタム類の酸化を防止でき、さらに、酸化防止剤の酸化による変色を抑制できる。
【0072】
(C)重合禁止剤
1.重合禁止剤の種類
本発明のインク組成物は、保存時の所望されないラジカル重合を抑制するために(C)重合禁止剤を含有する。
前記(C)重合禁止剤はヒンダードアミン系重合禁止剤及びニトロソ系重合禁止剤よりなる群から選択された少なくとも1つの重合禁止剤であることが好ましい。以下、本発明に用いることができるヒンダードアミン系重合禁止剤及びニトロソ系重合禁止剤について詳述する。
【0073】
(1)ヒンダードアミン系重合禁止剤
重合禁止剤としてヒンダードアミン系重合禁止剤を好ましく用いることができる。
ヒンダードアミン系重合禁止剤はヒンダードアミン(Hindered Amine)構造(塩基性窒素原子に対し、立体障害となっている構造)を有する部位をその分子内に持つアミン化合物であればよく限定されるものではないが、公知のヒンダードアミン系重合禁止剤を用いることができる。本発明においては脂肪族ヒンダードアミン系重合禁止剤が好ましく、中でも式(17)で表される化合物をより好ましく用いることができる。
【0074】
【化26】

【0075】
式(17)において、R30で表される基は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
31は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、3〜8員環の複素環基、ヒドロキシ基、−O−CO−R32基、−N(R33)(R34)基、又は、=N(R33)を表す。
前記R32は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアラルキル基、又は、炭素数6〜12のアリール基を表す。
33及びR34は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、3〜8員環の複素環基、炭素数2〜8のアシル基、アシルオキシ基、又は、アミド基を表す。
3は水素原子又はオキソ基を表す。
前記炭素数1〜10のアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基及びデシル基が挙げられる。
前記炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基及びノルボルニル基が挙げられる。
前記炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が挙げられる。
前記3〜8員環の複素環基としては、ジオキソラニル基が挙げられる。
前記炭素数6〜15のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基及びアントリル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜8のアシル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基及びベンゾイル基等が挙げられる。
前記アシルオキシ基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基のような−CO−O−R35で表される基である。なお、R35は上記R32と同義である。
前記アミド基としては、N−メチルアミド基、N−エチルアミド基、N−フェニルアミド基、N−トリルアミド基のような−CO−NH−R36で表される基である。なお、R36は上記R32と同義である。
【0076】
また、式(17)で表される化合物は、R31において、直接又は連結基を介して、少なくとも1つの他の式(17)で表される化合物と互いに結合してもよい。前記連結基としては、水素原子を2個以上除いたトリアジン及びジオキシラン等の複素環基、水素原子を2個以上除いた直鎖又は分岐を有する炭素数1〜10の炭化水素基並びにこれらを組み合わせた連結基が挙げられる。
【0077】
上記した各基及び連結基は導入可能な炭素原子に置換基を有してもよい。
導入可能な置換基としては、直鎖、分岐又は環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、直鎖、分岐、又は環状のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基など)、前記アリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基など)、ニトロ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(アルキル部分は上記アルキル基と同義)、アリールアミノ基(アリール部分は前記アリール基と同義)、−S−R37基、−CO−O−R37基を表し、R37は、前記直鎖、分岐又は環状のアルキル基あるいは前記アリール基を表す。
【0078】
本発明に好ましく用いることができるヒンダードアミン系重合禁止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。なお、本発明では化学式において炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
【0079】
【化27】

【0080】
【化28】

【0081】
E−17の具体例としてはCHIMASSORB 944LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。E−20の具体例としてはMARK LA 68((株)アデカ製)、E−21の具体例としてはMARK LA 63((株)アデカ製)が挙げられる。
本発明においては、ヒドロキシアミン系重合禁止剤としてE−12〜E−15を好ましく用いことができる。
【0082】
(2)ニトロソ系重合禁止剤
本発明において、重合禁止剤としてニトロソ系重合禁止剤を好ましく用いることができる。本発明においては式(18)又は式(19)で表される化合物を好ましく用いることができる。
【0083】
【化29】

【0084】
式(18)及び式(19)において、R38は水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基を有していてもよい基、あるいは、これらを組合わせた基を表し、eは0〜5の整数を表し、0〜3が好ましく、0又は1が最も好ましい。
39は水素原子、1価の酸素原子(−O-)、又は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0085】
本発明に好ましく用いることができるニトロソ系重合禁止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。なお、本発明では化学式において炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
【0086】
【化30】

【0087】
本発明においては、F−1のニトロソ系重合禁止剤を好ましく用いることができる。
【0088】
(3)重合禁止剤の使用量
本発明において、インク組成物全量に対する前記(C)重合禁止剤の含有量が0.01〜0.5重量%であることが好ましく、0.020〜0.3重量%であることがより好ましく、0.025〜0.1重量%であることがさらに好ましい。
上記の数値の範囲内であると、インク組成物の調製時の重合を抑制でき、インクジェットノズルの詰まりを防止できるため好ましい。
【0089】
本発明のインク組成物における(B)酸化防止剤:(C)重合禁止剤の重量含有比は
10:1〜100:1であり、10:1〜75:1であることが好ましく、10:1〜50:1であることがより好ましい。
(B):(C)の重量含有比が10:1よりも(B)の割合が少ないと酸化防止剤に対して、余剰な重合禁止剤により感度が劣化する。一方で(B):(C)の重量含有比が100:1よりも(B)の割合が多いと酸化防止剤に対して、過少な重合禁止剤によりN−ビニルラクタムの重合が十分抑制できない。
【0090】
(D)エチレン性不飽和化合物
本発明のインク組成物は、前記(A)N−ビニルラクタム類の他にエチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。エチレン性不飽和化合物とはエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する重合性化合物をいい、付加重合性化合物であることが好ましく、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物であることがより好ましい。前記エチレン性不飽和化合物としては、環状炭化水素基を有するモノマー、非環状多官能モノマーを好ましく用いることができる。
【0091】
(1)環状炭化水素基を有するモノマー
本発明のインク組成物は前記(A)N−ビニルラクタム類の他に、式(I)又は式(II)で表される環状炭化水素基を有するモノマーを含有していることが好ましい。前記式(I)又は式(II)で表される環状炭化水素基を有するモノマーは、付加重合性モノマーであることが好ましく、ラジカル重合性モノマーであることがより好ましい。
【0092】
【化31】

【0093】
式(I)又は式(II)におけるR40は、水素原子又はメチル基を表し、k個存在するR40はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
【0094】
式(I)又は式(II)におけるX7は二価の連結基を表し、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基(−C(O)NR’−)、窒素原子(−NR’−)、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキレン基、又は、これらを2以上組み合わせた二価の連結基であることが好ましい。なお、R’は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表す。k個存在するX7はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
【0095】
また、式(I)又は式(II)におけるX7のビニル基と結合する端部は、X7のカルボニル炭素とビニル基とが結合するエステル基又はアミド基であることが好ましく、その場合、アダマンタン骨格若しくはノルボルナン骨格と結合するX7の他の部分は、単結合であっても、前記の基から任意に選択したものであってもよい。
【0096】
式(I)又は式(II)におけるR40及びX7を含むビニル部分(H2C=C(R40)−X7−)の置換数kは1〜6の整数を表す。R40及びX7を含むビニル部分は、各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。なお、「各脂環式炭化水素構造上」とは、式(I)におけるアダマンタン構造上、式(II)におけるノルボルナン構造上及びnを含む環状炭化水素構造上を指す。
また、色材との親和性を向上させるという観点から、式(I)又は式(II)におけるX7の脂環式炭化水素構造と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましく、式(I)又は式(II)におけるX7は−C(O)O(CH2CH2O)p−(pは1又は2を表す。)であることがさらに好ましい。
【0097】
式(I)又は式(II)におけるR41及びR42はそれぞれ独立に置換基を表し、各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、q個存在するR41及びr個存在するR42はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
q個存在するR41及びr個存在するR42は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
41の置換数qは0〜5の整数を表し、また、R42の置換数rは0〜5の整数を表す。
【0098】
式(II)におけるnは、環状炭化水素構造を表し、その両端はノルボルナン骨格の任意の位置で置換していてもよく、単環構造であっても、多環構造であってもよく、また、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外に、カルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。
また、式(I)におけるアダマンタン骨格中の一炭素原子をカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよく、式(II)におけるノルボルナン骨格中の一炭素原子をエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよい。
【0099】
式(I)又は式(II)で表されるモノマーとして、単官能アクリレートの好ましい具体例を以下に示す。なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載することもある。
【0100】
【化32】

【0101】
式(I)又は式(II)で表されるモノマーとして、単官能メタクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
【0102】
【化33】

【0103】
式(I)又は式(II)で表されるモノマーとして、単官能アクリルアミドの好ましい具体例を以下に示す。
【0104】
【化34】

【0105】
式(I)又は式(II)で表されるモノマーとして、単官能ビニルエーテルの好ましい具体例を以下に示す。
【0106】
【化35】

【0107】
式(I)又は式(II)で表される多官能アクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
【0108】
【化36】

【0109】
式(I)又は式(II)で表される多官能メタクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
【0110】
【化37】

【0111】
前記式(I)及び式(II)で表されるモノマーの他、本発明に用いることができる環状炭化水素基を有するモノマーとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロデシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(以下「EO」ともい)変性クレゾール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−2−フェニル)エチル(メタ)アクリルアミド、N−ジフェニルメチル(メタ)アクリルアミド、5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサシクロヘキサン、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートフェニルエステル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられ、中でもフェニル基等の芳香族基を有するモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0112】
環状炭化水素基を有するモノマーとしては、複素環基を有するモノマーも好ましく用いることができる。中でも複素環基及び少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく、複素環基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、中でもフラン環、ジ又はテトラヒドロフラン環、ピラン環、ジ又はテトラヒドロピラン環、モルホリン環及びイミド環等がよりなる群から選ばれた複素環を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
フラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、フルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジ又はテトラヒドロフラン環を有する(メタ)アクリレートとしてはテトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ピラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、ピラニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジ又はテトラヒドロピラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、ジヒドロピラニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルジヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルテトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、モルホリン環を有する(メタ)アクリレートとしては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられ、イミド環を有するイミドアクリレート(アロニックスTO−1428、東亞合成(株)製)等が挙げられる。中でもテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、イミドアクリレートとしては、アロニックスTO−1428(東亞合成(株)製)等が好ましい。
【0113】
N−ビニルラクタム類を除く環状炭化水素基を有するモノマーの含有量は、インク組成物に対して65重量%以下であることが好ましく、25〜65重量%であることがより好ましく、35〜65重量%であることがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適度であるため好ましい。
【0114】
(2)非環状多官能モノマー
前記N−ビニルラクタム類及び環状炭化水素基を有するモノマー以外に、非環状多官能モノマーを併せて使用することが好ましい。非環状多官能モノマーを含有することで、硬化性に優れ、高い硬化膜強度の画像が得られるインク組成物が得られる。
【0115】
非環状多官能モノマーとしては、具体的には、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下「PO」ともいう)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート及びPO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物等が挙げられ、中でもプロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0116】
非環状多官能モノマーがインク組成物全体に占める割合は、30重量%以下であることが好ましく、0.5〜20重量%であることが好ましく、3〜15重量%であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、硬化性に優れ、高い硬化膜強度の画像が得られるインク組成物が得られるため好ましい。
【0117】
(3)その他のモノマー
本発明においては、その他のモノマーとして下記のラジカル重合性化合物を含有していてもよい。ラジカル重合性化合物を併用するとさらに硬化性に優れるインク組成物が提供できるため好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−80675号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料が知られている。
【0118】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は目的とする特性を向上するために任意の比率で1種を含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン(メタ)アクリル系モノマーあるいはプレポリマー、エポキシ系モノマーあるいはプレポリマー、ウレタン系モノマーあるいはプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いられる。
【0119】
具体例としては、非環状の(メタ)アクリレート等が挙げられ、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−セチル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、ラクトン変性可撓性(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、が挙げられ、さらに具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0120】
さらに、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0121】
本発明においては、オリゴマーや、ポリマーを併せて使用することができる。ここでオリゴマーとは分子量(分子量分布を有するものに関しては、重量平均分子量)が2,000以上の化合物を意味し、ポリマーとは、分子量(分子量分布を有するものに関しては、重量平均分子量)が10,000以上の化合物を意味する。該オリゴマー、ポリマーはラジカル重合性基を有していてもよく、有していなくてもよい。該オリゴマー、ポリマー1分子中に有するラジカル重合性基が4以下(分子量分布を有する化合物に関しては、含まれる分子全体の平均で4以下)であると、柔軟性に優れたインク組成物が得られ好ましい。インクをジェッティングに最適な粘度に調整するという意味でも好適に使用できる。
【0122】
(カチオン重合性化合物)
本発明のインク組成物には、必要に応じてカチオン重合性化合物を併用することもできる。カチオン重合性化合物を併用する場合には、重合開始剤としてカチオン重合開始剤も併用することが好ましい。
本発明に用いることができるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0123】
また、カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物が知られており、最近では400nm以上の可視光波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物として、例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137号の各公報等に公開されている。これらも本発明のインク組成物に適用することができる。
【0124】
(カチオン重合開始剤)
本発明のインク組成物には、必要に応じ、カチオン重合開始剤を用いることもできる。
本発明に用いることができるカチオン重合開始剤としては、第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654-、PF6-、AsF6-、SbF6-、CF3SO3-塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
本発明に用いることができるカチオン重合開始剤の好ましい具体例としては、特開2007−224149号公報に記載された(b−1)〜(b−96)等の化合物が挙げられる。
【0125】
(E)重合開始剤
本発明において、インク組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤が挙げられるが、少なくともラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
【0126】
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤が挙げられ、限定されるものではない。本発明に用いることができるラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤と後述するカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
【0127】
本発明において、インク組成物に用いることのできるラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収してラジカル重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
【0128】
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
【0129】
(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物及び(e)チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J. P. FOUASSIER J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
【0130】
(c)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の15、16及び17族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び同422570号の各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び同2833827号の各明細書に記載されるジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び特公昭46−42363号の各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、及び同52−14279号の各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
【0131】
(d)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系の化合物が好ましい。
【0132】
(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0133】
(g)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0134】
(h)ボレート化合物の例としては、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号の各明細書に記載されている化合物が挙げられる。
【0135】
(i)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、及び特公昭46−42363号の各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0136】
(j)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号の各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
【0137】
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
【0138】
(k)活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、及び同0388343号の各明細書、米国特許3901710号、及び同4181531号の各明細書、特開昭60−198538号、及び特開昭53−133022号の各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、及び同0101122号の各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、及び同4431774号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び特開平4−365048号の各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、及び特開昭59−174831号の各公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0139】
(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan、42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
【0140】
また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem.、29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
【0141】
本発明において、重合開始剤の含有量は、インク組成物全体に対して0.01〜35重量%以下が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、10〜15重量%の範囲であることがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、硬化度が均一な硬化膜を得ることができる。
また、本発明において、インク組成物に後述する増感色素を用いる場合、ラジカル重合開始剤の総使用量は、増感色素に対して、ラジカル重合開始剤:増感色素の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
【0142】
(F)着色剤
本発明において、形成された画像部の視認性を向上するため、着色剤(色材ともいう)を含有することが好ましい。
【0143】
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。本発明において好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
【0144】
(顔料)
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
【0145】
(油溶性染料)
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
【0146】
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0147】
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
【0148】
本発明に適用可能な前記油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
【0149】
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0150】
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
【0151】
また、着色剤として油溶性染料を使用する際、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
【0152】
本発明に使用することができる着色剤は、インク組成物に添加された後、適度に当該インク組成物内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
【0153】
着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用するラジカル重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
【0154】
これらの着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
【0155】
なお、インク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、さらに好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明において、インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
【0156】
(G)分散剤
着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることが好ましい。
高分子分散剤としては、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(以上BYK Chemie社製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(以上エフカアディティブ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ製)等の高分子分散剤;ソルスパース(Solsperse)3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,24000,26000,28000,32000,36000,39000,41000,71000などの各種ソルスパース分散剤、(アビシア社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)楠本化成(株)製「ディスパロン KS−860,873SN,874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
また、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000,12000、ソルスパース22000(アビシア社製)等の顔料誘導体もあわせて使用することができる。
本発明のインク組成物中における分散剤の含有量はインク組成物全体の重量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましい。
【0157】
(H)界面活性剤
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、前記界面活性剤として有機フルオロ化合物やポリシロキサン化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。前記ポリシロキサン化合物としては、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に有機基を導入した変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。変性の例として、ポリエーテル変性、メチルスチレン変性、アルコール変性、アルキル変性、アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、エポキシ変性、アミン変性、アミノ変性、メルカプト変性などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの変性の方法は組み合わせて用いられてもかまわない。また、中でもポリエーテル変性ポリシロキサン化合物がインクジェットにおける吐出安定性改良の観点で好ましい。ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物の例としては、例えば、SILWET L−7604、SILWET L−7607N、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2161(日本ユニカー(株)製)、BYK−306、BYK−307、BYK−331、BYK−333、BYK−347、BYK−348等(BYK Chemie社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量は、インク組成物全体の重量に対し、0.0001〜1重量%であることが好ましい。また、これらの界面活性剤は単独で含有しても、2種類以上のポリシロキサン化合物を併用して含有してもよい。
【0158】
(I)その他の成分
本発明のインク組成物には、必要に応じて、前記成分以外の他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、増感剤、共増感剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
【0159】
(増感剤)
本発明のインク組成物には、特にインクジェット記録用に用いる場合、特定の活性放射線を吸収して上記重合開始剤の分解を促進させるために増感剤を添加してもよい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
【0160】
具体的には多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)等が挙げられる。
本発明に用いることができる増感剤の好ましい具体例としては、特開2007−231233号公報に記載された(E−1)〜(E−20)等の増感剤が挙げられる。
【0161】
本発明のインク組成物中における増感剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
【0162】
(共増感剤)
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0163】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0164】
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−54735号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物中における共増感剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
【0165】
(紫外線吸収剤)
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
【0166】
(褪色防止剤)
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
【0167】
(導電性塩類)
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
【0168】
(溶剤)
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
本発明のインク組成物に用いることができる溶剤としては、重合性粒子の内部構造に樹脂を用いている場合、その樹脂の溶解度パラメータの値(SP値)と用いる溶剤の溶解度パラメータの値との差が、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
【0169】
(高分子化合物)
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
【0170】
(塩基性化合物)
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
【0171】
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
【0172】
〔インク物性〕
本発明においては、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用することが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、さらに好ましくは、7〜30mPa・sである。また吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、より好ましくは3〜13mPa・sである。本発明においてインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。さらにインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
【0173】
本発明において、インク組成物の25℃における表面張力は、20〜35mN/mであることが好ましい。より好ましくは23〜33mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで35mN/m以下が好ましい。
【0174】
2.インクカートリッジ
本発明のインクカートリッジは、本発明のインク組成物を充填した酸素非透過性容器を収納したインクカートリッジである。以下、「酸素非透過性容器」を単に「インク容器」ともいう。
本発明においてインク容器は酸素非透過性材料で形成されている。また、インク容器としてはプラスチックケース、又は、袋状体を有する構成が例示でき、好ましくは袋状体を有する構成である。さらにフィルムにより形成された袋状体と、当該袋状体からインク組成物を導出可能な供給部とを備えるインク容器であることがより好ましい。ここで、フィルムにより形成された袋状体と、当該袋状体からインク組成物を導出可能な供給部とを備えるインク容器をインクパックという。
【0175】
本発明において、インク容器は酸素を透過させないことが好ましく、インク容器の酸素透過係数は0であることが好ましいが、実質的には1×10-14cm3・cm/cm2・sec・Pa未満であることが好ましい。
【0176】
酸素透過係数はJIS K 7126Aに記載されている差圧式のガスクロマトグラフィー法により測定することができる。
本発明において、インク容器の酸素透過係数は、以下のように算出される。
酸素透過係数P(cm3・cm/cm2・sec・Pa)
=(X1−X0)・V・l/[Xair−√(X12+Xo2)/2]・P0・A・t
0:試験前インク容器 内酸素組成比
1:試験後インク容器 内酸素組成比
air:空気中の酸素組成比(0.21)
V:インク容器 内容積(cm3
l:インク容器 壁厚み(cm)
A:インク容器 内表面積(cm2
t:時間(sec)
0:全圧(大気圧:1.013×105Pa)
【0177】
本発明に用いるインク容器は常法に従って製造することができ、また市販のものを利用することもできる。これらの中で、インク容器はフィルムにより形成された袋状体と、当該袋状体からインク組成物を導出可能な供給部とを備えるインク容器、すなわち、インクパックであることが好ましい。
袋状体は、代表的にはポリオレフィン製フィルムを常法に従って周縁シールして袋状に成形する方法によって製造することかできる。ここで用いられるフィルムは、機械的強度の観点から、厚さが50〜300μmであることが好ましい。
【0178】
インク容器及びインクパックの材質は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンなどに限らず、上記各ポリマーを適当な比率で配合あるいはラミネートして得られるポリマーやそのフィルムなどであってもよい。特に、該プラスチック製インクパックの材質は、高密度、低密度又は線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレンなどの熱融着可能な熱可塑性ポリマーであることが好ましい。
【0179】
また、インクパックは上記ポリオレフィンの単層フィルム、ラミネートフィルムなどの他にも、例えばこれらのポリオレフィンの外側にさらに適当な樹脂層を形成させた多層フィルムからなっていてもよい。ここで適当な樹脂層を形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリフッ化エチレン(テフロン(登録商標))、環状オレフィンコポリマー、ポリスチレンなどが挙げられる。これらの樹脂のうちには、一般に熱融着が困難なものもあるが、それらを用いて熱融着させてバッグ形態に成形する場合には、最内層にポリオレフィンを配した多層フィルムとすればよい。上記多層フィルムの具体例としては、内層がポリエチレン、中間層がナイロン、外層がポリエステルである3層フィルム、内外層がポリエチレンで中間層がポリプロピレン+ポリスチレンである3層フィルム、内外層がポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンで、中間層が環状オレフィンコポリマーである3層フィルムなどを挙げることができる。ここで環状オレフィンコポリマーとしては、エチレン・テトラシクロドデセンコポリマーなどの市販品を用いることができる。
【0180】
図1は、本発明に好適に使用できるインクカートリッジの一例を示す分解斜視図である。
インクカートリッジ130は、プラスチック製のケース本体132及びケース上蓋131で囲まれた空間に、袋状体としてのインク容器(インクパック)133が収容されている。インク容器(インクパック)133は、フィルムを袋状に形成した袋状体141の一端に、筒状の部材である供給部134を取り付けて構成されており、インク容器(インクパック)133の内部にインク組成物を収容している。
供給部134の先端部は、ケース本体132の前面壁に設けられた切り欠き部140からケース外部に露出され、インクカートリッジ130がカートリッジホルダ(不図示)に装着された状態において、供給部134を通して、プリンタ本体にインクの供給が行われるようになっている。尚、インクカートリッジ130の未装着状態においては、供給部134の開口は内部に設けられた弁によって閉じられていることが好ましい。
【0181】
インクパック133は、上面137と底面138によって挟み込まれた扁平形状に形成され、供給部134を取り付けてある一端側と当該一端側に対する他端側は熱溶着されて、それぞれ前端溶着部135、後端溶着部136となっている。また、上面137と底面138の間の側面139には折り目147が形成され、側面139はインクパック133の内方に折り込まれるように構成されている。
【0182】
ここで、図2と図1とを対比させて、インクパック133の外部構成の詳細について説明する。図2は、図1に示すインクパック133の概略展開図である。図2において、上面137と側面139との境界、底面138と側面139との境界及び側面139の折り目147は二点鎖線で示しており、ハッチング領域は熱溶着される部分を示している。また、供給部134及び内部のインク組成物は図示していない。
図2に示すように、インクパック133は、略長方形にカットされたフィルム160の四辺を熱溶着されて形成されている。四辺のうちの長辺側は、図1に示す前端溶着部135及び後端溶着部136に対応しており、短辺側である中央溶着部148a、148bは、合わさって熱溶着されて図1に示す底面138を形成している。
【0183】
なお、インク容器としてインクパックを使用する例について詳述したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばプラスチックケースから構成されるインク容器であって、その全部又は一部が酸素透過性材料で形成されているもの等であってもよい。
【0184】
3.インクジェット記録方法
本発明において、インク組成物は、インクジェット記録用として使用されることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク容器に収容されたインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インク組成物を硬化して画像を形成する方法である。
【0185】
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a1)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程及び(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。なお、本発明のインクカートリッジにインク容器を収容し、該インク容器にインク組成物が収容されていても良い。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
【0186】
本発明のインクジェット記録方法における(a1)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置が用いることができる。
【0187】
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程における被記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、インク組成物をその内部に含むインクカートリッジ、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0188】
上述したように、本発明で用いるインク組成物のように放射線硬化型インク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0189】
上記のインクジェット記録装置を用いて、インク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、インク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明で使用するインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
【0190】
次に、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、インク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能にラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
【0191】
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
【0192】
また、本発明において、インク組成物の、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
【0193】
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、LED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cm2である。
【0194】
本発明においてインク組成物は、このような活性放射線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
【0195】
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明インク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
【実施例】
【0196】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
【0197】
本発明で使用した素材は下記に示す通りである。
(顔料)
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(以下、「CSC社」とも表記する。)製)
・CINQUASIA Magenta RT−335−D(マゼンタ顔料、CSC社製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、CSC社製)
・KRONOS 2300(ホワイト顔料、KRONOS社製)
【0198】
(モノマー)
・ファンクリル FA−512A(日立化成工業(株)製)
・ファンクリル FA−513A(日立化成工業(株)製)
・ファンクリル FA−512M(日立化成工業(株)製)
・N−ビニルカプロラクタム(NVC、Aldrich社製)
・Actilane 421(プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、Akcros社製)
・KAYARAD DPCA−60(DPCA、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製)
・NKエステルAMP−10G(PEA、フェノキシエチルアクリレート、新中村化学工業(株)製)
・THF−A(テトラヒドロフルフリルアクリレート、Aldrich社製)
・Rapi−Cure DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル、ISP Europe社製)
【0199】
(重合禁止剤)
・FIRSTCURE ST−1(ニトロソ系重合禁止剤 10重量%溶液、ChemFirst社製)
・TINUVIN 770 DF(HALS系重合禁止剤、CSC社製)
・TINUVIN 292(HALS系重合禁止剤、CSC社製)
【0200】
(酸化防止剤)
・1,4‐ビス(1‐メチルプロピルアミノ)ベンゼン(Krobit BPD:芳香族アミン系酸化防止剤、BASF社製)
・ヒドロキノンモノメチルエーテル(以下「MEHQ」と標記する)(芳香族系酸化防止剤、(株)和光ケミカル製)
・ジブチルヒドロキシトルエン(以下「BHT」と標記する)(芳香族系酸化防止剤、(株)和光ケミカル製)
・HP−10(リン系酸化防止剤、(株)アデカ製)
【0201】
【化38】

【0202】
・Sumilizer TPL−R(サルファイド系酸化防止剤、住友化学(株)製)
【0203】
(重合開始剤)
・Lucirin TPO(光開始剤、BASF社製)
・ベンゾフェノン(光開始剤、和光純薬(株)製)
・IRGACURE 184(光開始剤、CSC社製)
【0204】
(その他添加剤)
・Solsperse 32000(分散剤、Noveon社製)
・DISPER BYK−168(高分子分散剤、BYK Chemie社製)
・BYK−307(界面活性剤、BYK Chemie社製)
・KF−353(シリコーン系界面活性剤、信越化学工業(株)製)
・FIRSTCURE ITX(増感剤、ChemFirst社製)
【0205】
(シアンミルベースAの調製)
IRGALITE BLUE GLVOを300部と、Actilane421(Akcros社製アクリレートモノマー)を500部と、Solsperse32000を200部とを撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。
なお、シアンミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
【0206】
(マゼンタミルベースBの調製)
CINQUASIA Magenta RT−335−Dを300部と、Rapi−Cure DVE−3を300部と、Solsperse32000を400部とを撹拌混合し、マゼンタミルベースBを得た。なお、マゼンタミルベースBの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
【0207】
(イエローミルベースCの調製)
NOVOPERM YELLOW H2Gを300部と、Actilane 421(Akcros社製アクリレートモノマー)を300部と、Solsperse32000を400部とを撹拌混合し、イエローミルベースCを得た。なお、イエローミルベースCの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
【0208】
(ブラックミルベースDの調製)
SPECIAL BLACK 250を300部と、Actilane 421(Akcros社製アクリレートモノマー)を300部と、Solsperse32000を400部とを撹拌混合し、ブラックミルベースDを得た。なお、ブラックミルベースDの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで7時間分散を行った。
【0209】
(シアンミルベースA−2の調製)
IRGALITE BLUE GLVOを300部と、NKエステルAMP−10Gを650部と、Solsperse32000を50部とを撹拌混合し、シアンミルベースA−2を得た。なお、シアンミルベースA−2の調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで2時間分散を行った。
【0210】
(マゼンタミルベースB−2の調製)
CINQUASIA Magenta RT−335−Dを300部と、NKエステルAMP−10Gを640部と、Solsperse32000を60部とを撹拌混合し、マゼンタミルベースB−2を得た。なお、マゼンタミルベースB−2の調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで7時間分散を行った。
【0211】
(イエローミルベースC−2の調製)
NOVOPERM YELLOW H2Gを300部と、NKエステルAMP−10Gを640部と、Solsperse32000を60部とを撹拌混合し、イエローミルベースC−2を得た。なお、イエローミルベースC−2の調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで5時間分散を行った。
【0212】
(ブラックミルベースD−2の調製)
SPECIAL BLACK 250を300部と、NKエステルAMP−10Gを650部と、Solsperse32000を50部とを撹拌混合し、ブラックミルベースD−2を得た。なお、ブラックミルベースD−2の調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで3時間分散を行った。
【0213】
(ホワイトミルベースEの調製)
KRONOS 2300を500部と、Actilane 421(Akcros社製アクリレートモノマー)を400部と、Solsperse32000を100部とを撹拌混合し、ホワイトミルベースEを得た。なお、ホワイトミルベースEの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
【0214】
〔実施例1〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インク組成物を得た。(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・MEHQ (B) 1.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=50:1
【0215】
<インクの評価>
得られたインク組成物を用い、初期粘度測定、熱安定性の評価、インクジェット記録後の画像の硬化性の評価を行った。以下に評価方法について詳細に説明する。
【0216】
(粘度測定方法)
本実施例における粘度測定は、B型粘度計:Brookfield LVDV−I(Brookfield社製)を用い、25℃条件下で、ローターの回転数20rpmで粘度測定を行った。インク組成物調製後の初期粘度を測定した結果を表1に示した。
【0217】
(熱安定性評価)
(1)45℃で1ヶ月、アルミ蒸着多層構造の酸素非透過性容器に保存したインク組成物の粘度を前記粘度測定方法により測定し、下記の式により、初期粘度からの増減割合(%)を評価した。得られた評価結果を表1に示した。
熱安定性(45℃)(%)=(45℃、1ヶ月保存後のインク粘度−初期のインク粘度)/(初期のインク粘度)×100(%)
(2)60℃で1ヶ月、アルミ蒸着多層構造の酸素非透過性容器に保存したインク組成物の粘度を前記粘度測定方法により測定し、初期粘度からの増減割合(%)を評価した。得られた評価結果を表1に示した。
熱安定性(60℃)(%)=(60℃、1ヶ月保存後のインク粘度−初期のインク粘度)/(初期のインク粘度)×100(%)
【0218】
(インクジェット記録方法)
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。インク着弾後はUV光を露光面照度1,630mW/cm2、に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を1,500mJ/cm2となるようにした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ((株)ジーエス・ユアサコーポレーション製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡績(株)製)を用いた。
【0219】
(硬化性の評価方法)
調製直後のインク組成物を用いて、上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、触診により、画像のべとつきの程度を評価した。
また、硬化感度は以下の基準で評価した。
3: 画像にべとつきなし。
2: 画像がややべとついている。
1: 未硬化のインクが手に転写するほど固まっていない。
【0220】
〔実施例2〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、マゼンタ色のUVインクジェット用インク組成物を得た。
(マゼンタ色インク組成物)
・マゼンタミルベースB 12.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 14.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・MEHQ (B) 1.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=50:1
【0221】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0222】
〔実施例3〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、イエロー色のUVインクジェット用インクを得た。(イエロー色インク組成物)
・イエローミルベースC 12.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 14.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・MEHQ (B) 1.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=50:1
【0223】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0224】
〔実施例4〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ブラック色のUVインクジェット用インクを得た。
(ブラック色インク組成物)
・ブラックミルベースD 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・MEHQ (B) 1.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=50:1
【0225】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0226】
〔実施例5〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA−2 6.0部
・DISPER BYK−168 2.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 26.0部
・ファンクリル FA−512A 36.5部
・NKエステルAMP−10G 9.5部
・KAYARAD DPCA−60 2.0部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.25部(含有量0.025部)
・Krobit BPD (B) 0.3部
・Lucirin TPO 9.0部
・ベンゾフェノン 3.2部
・IRGACURE 184 2.44部
・KF−353 0.06部
(B):(C)=12:1
【0227】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0228】
〔実施例6〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、マゼンタ色のUVインクジェット用インクを得た。
(マゼンタ色インク組成物)
・マゼンタミルベースB−2 13.0部
・DISPER BYK−168 2.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 28.04部
・ファンクリル FA−512A 32.0部
・NKエステルAMP−10G 8.0部
・KAYARAD DPCA−60 1.4部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.25部(含有量0.025部)
・Krobit BPD (B) 0.3部
・Lucirin TPO 9.0部
・ベンゾフェノン 3.2部
・KF−353 0.06部
(B):(C)=12:1
【0229】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0230】
〔実施例7〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、イエロー色のUVインクジェット用インクを得た。
(イエロー色インク組成物)
・イエローミルベースC−2 13.0部
・DISPER BYK−168 2.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 24.0部
・ファンクリル FA−512A 35.0部
・NKエステルAMP−10G 9.0部
・KAYARAD DPCA−60 1.44部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.25部(含有量0.025部)
・Krobit BPD (B) 0.3部
・Lucirin TPO 9.0部
・ベンゾフェノン 3.2部
・KF−353 0.06部
(B):(C)=12:1
【0231】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0232】
〔実施例8〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ブラック色のUVインクジェット用インクを得た。
(ブラック色インク組成物)
・ブラックミルベースD−2 6.0部
・DISPER BYK−168 2.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 26.0部
・ファンクリル FA−512A 36.5部
・NKエステルAMP−10G 9.5部
・KAYARAD DPCA−60 2.0部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.25部(含有量0.025部)
・Krobit BPD (B) 0.3部
・Lucirin TPO 9.0部
・ベンゾフェノン 3.2部
・IRGACURE 184 2.44部
・KF−353 0.06部
(B):(C)=12:1
【0233】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0234】
〔実施例9〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ホワイト色のUVインクジェット用インクを得た。
(ホワイト色インク組成物)
・ホワイトミルベースE 31.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 19.0部
・ファンクリル FA−512A 26.4部
・NKエステルAMP−10G 10.0部
・TINUVIN 770 DF (C) 0.1部
・HP−10 (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=10:1
【0235】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0236】
〔実施例10〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、クリアーのUVインクジェット用インクを得た。
(クリアー色インク組成物)
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 51.4部
・NKエステルAMP−10G 10.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.25部(含有量0.025部)
・Krobit BPD (B) 0.3部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=12:1
【0237】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0238】
〔実施例11〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・BHT (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=33.3:1
【0239】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0240】
〔実施例12〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 30.0部
・ファンクリル FA−513M 30.4部
・ファンクリル FA−512M 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・HP−10 (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=33.3:1
【0241】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0242】
〔実施例13〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・ファンクリル FA−512A 20.4部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・NKエステルAMP−10G 35.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・Sumilizer TPL−R (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=33.3:1
【0243】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0244】
〔実施例14〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 30.0部
・ファンクリル FA−512A 10.4部
・THF−A 40.0部
・TINUVIN 770 DF (C) 0.1部
・BHT (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=10:1
【0245】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0246】
〔実施例15〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 30.0部
・ファンクリル FA−512A 50.4部
・TINUVIN 770 DF (C) 0.1部
・Sumilizer TPL−R (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=10:1
【0247】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0248】
〔実施例16〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 26.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 19.0部
・TINUVIN 292 (C) 0.1部
・HP−10 (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=10:1
【0249】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、着弾後のUV光を露光面照度350mW/cm2に集光し、画像に照射される積算光量を1,500mJ/cm2とし、ランプには、UV−LEDランプ:NCCU033(日亜化学工業(株)製)を使用する以外は、上記インクジェット記録と同様の方法によりインクジェット記録を行った。それ以外は実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0250】
〔実施例17〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 18.0部
・TINUVIN 292 (C) 0.1部
・BHT (B) 1.0部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
・FIRSTCURE ITX 3.0部
(B):(C)=10:1
【0251】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、着弾後のUV光を露光面照度450mW/cm2に集光し、画像に照射される積算光量を8,000mJ/cm2とし、ランプには、一般的にプロジェクター用途等に使用される超高圧水銀ランプ:SHP270W(フェニックス電機(株)製)を使用する以外は、上記インクジェット記録と同様の方法によりインクジェット記録を行った。得られた画像にドットの抜けは存在せず、鮮やかな膜厚12μmの画像が描画できた。それ以外は実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0252】
〔比較例1〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B)成分なし
【0253】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0254】
〔比較例2〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・MEHQ (B) 1.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(C)成分なし
【0255】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0256】
〔比較例3〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 3.0部(含有量0.3部)
・MEHQ (B) 1.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=5:1
【0257】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0258】
〔比較例4〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.1部(含有量0.01部)
・MEHQ (B) 1.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=150:1
【0259】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0260】
〔比較例5〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・MEHQ (B) 0.15部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=5:1
【0261】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0262】
〔比較例6〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA 6.0部
・N−ビニルカプロラクタム (A) 25.0部
・ファンクリル FA−512A 35.4部
・NKエステルAMP−10G 20.0部
・FIRSTCURE ST−1 (C) 0.3部(含有量0.03部)
・MEHQ (B) 4.5部
・Lucirin TPO 8.5部
・ベンゾフェノン 3.0部
・IRGACURE 184 2.0部
・BYK−307 0.05部
(B):(C)=150:1
【0263】
(インク組成物の評価)
得られたインク組成物を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示した。
【0264】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】本発明に好適に使用できるインクカートリッジの一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すインクパック133の概略展開図である。
【符号の説明】
【0266】
130 インクカートリッジ
131 ケース上蓋
132 ケース本体
133 インク容器(インクパック)
134 供給部
135 前端溶着部
136 後端溶着部
137 上面
138 底面
139 側面
140 切り欠き部
141 袋状体
147 折り目
148a、148b 中央溶着部
160 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N−ビニルラクタム類、
(B)酸化防止剤、及び、
(C)重合禁止剤を含有し、
(B):(C)の重量含有比が10:1〜100:1であることを特徴とする
インク組成物。
【請求項2】
前記(A)N−ビニルラクタム類がN−ビニルカプロラクタムである請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記(B)酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び、サルファイド系酸化防止剤よりなる群から選択された少なくとも1つの酸化防止剤である請求項1又は2に記載のインク組成物。
【請求項4】
インク組成物全量に対する前記(B)酸化防止剤の含有量が0.2〜4.0重量%である請求項1〜3いずれか1つに記載のインク組成物。
【請求項5】
前記(C)重合禁止剤がニトロソ系重合禁止剤、及び、ヒンダードアミン系重合禁止剤よりなる群から選択された少なくとも1つの重合禁止剤である請求項1〜4いずれか1つに記載のインク組成物。
【請求項6】
インク組成物全量に対する前記(C)重合禁止剤の含有量が0.01〜0.5重量%である請求項1〜5いずれか1つに記載のインク組成物。
【請求項7】
前記(B):(C)の重量含有比が30:1〜70:1である請求項1〜6いずれか1つに記載のインク組成物。
【請求項8】
インクジェット記録用である請求項1〜7いずれか1つに記載のインク組成物。
【請求項9】
請求項8に記載のインク組成物を充填した酸素非透過性容器を収納したインクカートリッジ。
【請求項10】
(a1)被記録媒体上に請求項8に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含む
インクジェット記録方法。
【請求項11】
前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、且つ、被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線である請求項10に記載のインクジェット記録方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−120628(P2009−120628A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292767(P2007−292767)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】