説明

インク組成物及び着色膜

【課題】インクジェット方式により着色膜を形成する際に硬化後の平坦性に優れた着色膜を得ることができるインク組成物、及びこれにより得られた着色膜を提供する。
【解決手段】少なくとも硬化性樹脂(A)、顔料(B)及び溶剤(C)を含み、隔壁により区画された複数の空間領域を備えた支持基板にインクジェット方式により着色膜を形成するのに用いるインク組成物であって、(A)成分中、2官能以上であって、尚且つ、25℃における粘度が12000mPa・s以下の多官能液状硬化性樹脂(A1)が25重量%以上含まれ、(C)成分中、沸点200℃以上の高沸点溶剤(C1)が80重量%以上含まれ、(A)〜(C)成分の総量に対する(A1)成分と(C1)成分の合計の割合が、40重量%以上であるインク組成物であり、また、このインク組成物を用いて着色膜を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁を備えた基板にインクジェット方式により着色膜を形成する際に用いるインク組成物、及びこのインク組成物を用いて得た着色膜に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパーソナルコンピュータ、薄型カラーテレビ等をはじめ、カラーLCDの需要が増加しており、特に、近年ではこれらの大型化が著しい。それに反し、大型の薄型カラーテレビ等の需要の増加に合わせた低価格化も進み、カラーLCDの主要な部材であるカラーフィルタに対するコストダウンの要望も高い。
【0003】
基板上に赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色の着色パターンを備えたカラーフィルタは、これまでに染色法や顔料分散法に代表される方法で製造されてきた。このうち染色法は、ガラス基板等の支持基板に透明な水溶性高分子材料をフォトリソグラフィーにより所望の形状にパターニングした後、得られた透明パターンを染料水溶液に浸漬して透明パターンを染色し、これを3回繰り返すことにより、R、G及びBの着色膜を形成するものである。また、顔料分散法は、基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをフォトマスクで必要部分を紫外線照射し、続いてアルカリ現像することで単色のパターンを得て、この工程を3回繰り返すことにより、R、G、及びBの着色膜を形成する。染色法や顔料分散法以外の方法としては、熱硬化性樹脂に顔料を分散させたインクをオフセット印刷法でR、G、及びBの3回の印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
【0004】
しかしながら、これらの方法は、いずれもR、G及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要がある。そのため、コスト高になると共に、歩留まりが低下するといった問題もある。そこで、これらの問題を解決するために、インクジェット方式により、それぞれの着色膜を形成するインク組成物を一度に吐出して、カラーフィルタを製造する方法が提案され、種々の検討がなされている。このインクジェット方式によるカラーフィルタの製造方法では、3色のインク組成物の拡散を防ぐために、予め支持基板に隔壁(ブラックマトリックス)を設けておき、この隔壁によって区画された空間領域内に所定のインク組成物を吐出して着色膜を形成する(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ところで、カラーフィルタでは微細な着色パターンを支持基板上に精度良く作成することが必要であり、インクジェット方式による場合には、隣り合う着色膜の色の混入を防止するために隔壁を撥液処理すると共に、着色膜が形成される空間領域における支持基板の表面を親液処理してインク組成物を正確に且つ確実に付着させる方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。ところが、隔壁の撥インク機能によって、隔壁間際で着色膜が形成されずに色抜けの原因になったり、着色膜が平坦に形成されずに色むらの原因になったりすることがある。そこで、インク組成物に用いる硬化性樹脂を、特定のメルトインデックス及びガラス転移点を備えた熱硬化性樹脂にすることで、吐出したインク組成物の乾燥過程におけるレべリングを十分に行えるようにして平坦な着色膜を得る方法が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−75205号公報
【特許文献2】特開2001−350012号公報
【特許文献3】特開2008−15270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来提案されている方法を含めて、インクジェット方式によって形成した着色膜の平坦性について十分満足できるレベルには達していない。そこで、この原因について本発明者らが検証したところ、驚くべきことに、着色膜の平坦化を阻害する要因のひとつが、インク組成物の硬化の際に現れる着色膜頂部での凹みである事実を突き止めた。すなわち、硬化後の着色膜は、図5(ハ)に示すように、隔壁2によって区画された領域の平面方向ほぼ中央に、殆どの場合において凹みが形成される。そのメカニズムについて、本発明者らが推測するには、先ず、支持基板1に形成した隔壁2によって区画された空間領域に吐出されたインク組成物は、乾燥工程や硬化工程においてその表面から溶剤が蒸発していく(図5(イ)の矢印線)。この溶剤の蒸発は、中央部より周縁部での蒸発速度が大きく、これに伴い、中央部から周縁部に向かうインキ組成物の対流が生じ(図5(ロ)の太矢印線)、最終的には、中央部に比べて周縁部が盛り上がったような着色膜が形成され、中央部に凹みが生じると考えられる。
【0008】
そこで、本発明者等は、凹みを無くしてより平坦な着色膜を得る手段について鋭意検討した結果、着色膜の硬化に直接関係する硬化性樹脂を所定の割合で液状硬化性樹脂にすると共に、この液状硬化性樹脂と溶剤との合計量を規定することで、上述したような中央部から周縁部に向かうインク組成物の対流を可及的に防ぐことができて、平坦性に優れた着色膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、インクジェット方式により着色膜を形成する際に、硬化後の平坦性に優れた着色膜を得ることができるインク組成物を提供することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、平坦性に優れて、カラーフィルタ等にした場合に色むらや色抜け等の問題を可及的に低減できる着色膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、少なくとも硬化性樹脂(A)、顔料(B)及び溶剤(C)を含み、隔壁により区画された複数の空間領域を備えた支持基板にインクジェット方式により着色膜を形成するのに用いるインク組成物であって、(A)成分中、2官能以上であって、尚且つ、25℃における粘度が12000mPa・s以下の多官能液状硬化性樹脂(A1)が25重量%以上含まれ、(C)成分中、沸点200℃以上の高沸点溶剤(C1)が80重量%以上含まれ、(A)〜(C)成分の総量〔(A)+(B)+(C)〕に対する(A1)成分と(C1)成分の合計〔(A1)+(C1)〕の割合[〔(A1)+(C1)〕/〔(A)+(B)+(C)〕]が、40重量%以上であることを特徴とするインク組成物である。
【0012】
また、本発明は、上記のインク組成物を用いて、インクジェット方式により支持基板に塗布し、乾燥及び硬化させて得た着色膜である。
【0013】
本発明におけるインク組成物は、硬化性樹脂(A)として、2官能以上であって、尚且つ、25℃における粘度が12000mPa・s以下、好ましくは6000mPa・s以下の多官能液状硬化性樹脂(A1)を含有する。多官能液状硬化性樹脂(A1)の25℃における粘度が12000mPa・sを超えると、本発明が目的とする着色膜の硬化の際の凹みを減らすことができず、硬化後の着色膜の平坦性を確保することができない。また、このような多官能液状硬化性樹脂(A1)の含有量は、硬化性樹脂(A)中に25重量%以上、好ましくは35〜95重量%の割合となるようにする。(A)成分中の(A1)の割合が25重量%未満であると、やはり着色膜の硬化の際の凹みを減らすことができず、硬化後の着色膜の平坦性を確保することができない。
【0014】
多官能液状硬化性樹脂(A1)については、例えばカラーフィルタに要求される耐熱性、耐熱水性、耐薬品性などの物性を満足させるため、2官能以上の多官能液状硬化性樹脂である必要があり、なかでもアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等の多官能液状硬化性樹脂を好適に用いることができる。なお、液状の硬化樹脂としては、一般に、低分子量、非晶性を示す分子構造であるほど、液状で低粘度が得られる。
【0015】
多官能液状アクリル系樹脂としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリエート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)クリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロパキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート等の(メタ)アクリル酸類等からなる液状樹脂を挙げることができる。これらはその1種のみを単独で用いてもよく、また、2種以上を併用することもできる。
【0016】
多官能液状アクリル系樹脂は、自己硬化性を有するものを利用するのが望ましいが、自己硬化性が乏しい場合や硬化をより促進させるために、インク組成物中に別途触媒や硬化促進剤を添加するようにしてもよい。このような触媒や硬化促進剤としては、例えば、アセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2-メチル-1−[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1等のα-アミノアルキルフェノン類、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスファイン-オキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、N-フェニルグリシン等のグリシン類、2,4-トリクロロメチル-(ピぺロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン類が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらは、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等の公知の光重合促進剤(増感剤)と併用することもできる。なお、本発明において(A)成分や(A1)成分の配合割合等を規定する場合、これらの触媒や硬化促進剤は(A)成分や(A1)成分には含めないものとする。
【0017】
また、多官能液状エポキシ樹脂としては、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物からなり、例えば、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ等のノボラック型エポキシ樹脂系、ビスフェノールA型エポキシ系、ビスフェノールF型エポキシ等のビス型エポキシ樹脂系やビフェニル型エポキシ樹脂系、脂環式エポキシ樹脂系等を代表的なものとして挙げることができる。これらはその1種のみを単独で用いてもよく、また、2種以上を併用することもできる。
【0018】
多官能液状エポキシ樹脂についても、自己硬化性を有するものを利用するのが望ましいが、自己硬化性が乏しい場合や硬化をより促進させるために、インク組成物中に別途硬化剤や触媒を添加するようにしてもよい。このような硬化剤としては酸、酸無水物等が挙げられる。具体的には、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、ドデセニル無水コハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ジメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等を代表的なものとして挙げることができる。また、触媒としては、3級アミン類、ホスフィン類、4級アンモニウム塩類、ルイス酸類が使用される。具体例としては、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、トリ-n-ブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジンなどの3級アミン類、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等の各種イミダゾール類、1、8-ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン-7、1、5-ジアザビシクロ(4、3、0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1、8-ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン-7等のアミジン類、以上に代表される3級アミン系化合物並びにこれらと有機酸等との付加物、前記アミン類とハロゲン、ルイス酸、有機酸、鉱酸、四フッ化ホウ素酸等との4級アンモニウム塩、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン等のホスフィン類、3フッ化ホウ素、3フッ化ホウ素のエーテラート等に代表されるルイス酸類等である。これらの硬化剤や触媒は、インク組成物の粘度安定性を損なわない程度に用いるようにするのがよく、望ましくは液状であるのがよい。
【0019】
また、多官能液状メラミン樹脂としては、下記一般式〔但し、式中、R1〜R6は、−H、CH2OH、CH2OR’(R’は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し、R1〜R6は同一又は異なってもよい〕で表される完全アルキル基型、イミノ基型、メチロール基型、あるいはその混合系のメラミン樹脂やそのオリゴマーのほか、下記一般式のようにS−トリアジン骨格をもちながら、置換基の−NRRの一部が芳香族炭化水素、又は炭素数1〜4のアルキル基にかわったグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、エチルジアミノ−S−トリアジン、尿素樹脂及びそれらの類似品等が挙げられる。なかでも、メラミンとホルムアルデヒドの縮合物にメチロール基が一部もしくは全てがアルキル化されたブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、混合アルキル化メラミン樹脂、イミノ基含有アルキル化メラミン樹脂、メチロール基/イミノ基含有アルキル化メラミン樹脂が好適である。これらはその1種のみを単独で用いてもよく、また、2種以上を併用することもできる。
【化1】

【0020】
多官能液状メラミン樹脂についても、自己硬化性を有するものを利用するのが望ましいが、自己硬化性が乏しい場合や硬化をより促進させるために、インク組成物中に別途触媒や金属石鹸を添加するようにしてもよい。このような触媒としては、芳香族スルフォン酸系、燐酸系等が挙げられる。また、アミノ基等で酸性基をブロックした貯蔵安定性に優れたタイプも用いることができる。金属石鹸類としてはステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸カルシウム等を用いることができる。
【0021】
本発明のインク組成物には、(A)成分中の多官能液状硬化性樹脂(A1)が所定の割合を外れない範囲で、その他の硬化性樹脂を併用するようにしてもよいが、その他の硬化性樹脂としては2官能以上の多官能硬化性樹脂であるのがよく、具体的にはアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0022】
また、本発明のインク組成物に含まれる溶剤(C)については、(C)成分中、沸点200℃以上の高沸点溶剤(C1)が80重量%以上、好ましくは90〜100重量%となるようにする。沸点200℃未満の溶剤が共存すると乾燥タクトの削減で好ましい場合があるが、沸点200℃未満の溶剤が(C)成分中で20重量%以上なると、インク組成物における溶剤の蒸発が速くなりすぎて、着色膜の平坦性が低下する。
【0023】
沸点が200℃以上の高沸点溶剤(C1)については特に制限されないが、好ましくはジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びその末端アセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル及びその末端アセテート類もしくはジエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びその末端アセテート類、並びにポリエチレングリコールのジアルキルエーテル類からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのがよい。
【0024】
そして、本発明においては、(A)〜(C)成分の総量〔(A)+(B)+(C)〕に対する(A1)成分と(C1)成分の合計〔(A1)+(C1)〕の割合[〔(A1)+(C1)〕/〔(A)+(B)+(C)〕]が40重量%以上、好ましくは50重量%以上となるようにする。粘度が12000mPa・s以下の多官能液状硬化性樹脂(A1)と沸点が200℃以上の高沸点溶剤(C1)との合計を、インク組成物における(A)〜(C)成分の総量に対して40重量%以上にすることで、隔壁によって形成された空間領域に吐出されたインク組成物を硬化させる際、図5で説明したような凹みを形成するようなインク組成物内での対流を防ぐことができことを見出した。
【0025】
また、本発明のインク組成物に含まれる顔料(B)については、有機顔料又は無機顔料のいずれを選択してもよい。このうち、有機顔料としては、例えばアゾレーキ系、不溶性アゾ(PY150)系、フタロシアニン系(PG7、PG36&PB15.6)を含むシアニン系、キノフタロン系(PY138)、キナクドリン系、ジオキサジン(PV23)系、イソインドリノン(PY139)系、ベリノン系、アントラキノン(PR177)系、ピロロピロール系(PR254)、ペリレン系等の顔料を挙げることができ、これの1種又は2種以上を併用することもできる。無機顔料としては、例えばミロリブルー、酸化鉄、コバルト系、マンガン系、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン等の顔料を挙げることができ、これの1種又は2種以上を併用することもできる。これらの顔料については、得られる着色膜の透明性を維持しつつ着色できるようにするために、好ましくは可視光の波長の下限である0.4μm以下の平均粒子径に分散されているのがよく、実用的には平均粒子径の範囲が100nm以下であるのがより好ましい。
【0026】
また、顔料(B)の配合割合については、(A)成分と(B)成分の合計〔(A)+(B)〕に対する(B)成分の割合[(B)/〔(A)+(B)〕]が20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%となるようにするのがよい。(B)成分の割合が20重量%未満であると、十分な着色を得るために着色膜の膜厚を厚くする必要が生じ、結果として隔壁を介して隣り合うインク組成物が混ざり合い、混色してしまうおそれがある。反対に60重量%を超えると、隔壁によって形成された空間領域に吐出されたインク組成物において、図5で説明したような凹みを形成する対流が僅かでも生じた場合に周縁部に顔料が偏在する可能性が増え、結果として着色膜の平坦性を損なうおそれがある。
【0027】
顔料(B)は、顔料を微細分散して安定化させるのに必要な分散剤等を含んだ顔料分散液の状態でインク組成物中に配合されるようにしてもよい。分散剤としては、イオン性、非イオン性界面活性剤等を用いることができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等、その他に有機顔料誘導体、ポリエステルなどが挙げられる。分散剤は1種類を単独で使用してもよく、また、必要に応じて2種以上を混合して用いることも可能である。但し、本発明においてインク組成物の配合組成割合を規定する場合、顔料以外の分散剤等については(B)成分には含めないものとする。
【0028】
また、本発明におけるインク組成物は、隔壁に対する接触角が30°以上となるようにするのがよい。例えば、カラーフィルタのブラックマトリックスを形成する隔壁は、隔壁形成後にプラスマ処理でフッ素系の処理をすることやあらかじめブラックマトリックス組成内に撥液性を有するフッ素、シリコン成分を添加するようにしてその表面が撥液処理されるのが通常であるが、本発明のインク組成物は、このような撥液処理された隔壁に対する接触角が30°以上になるようにするのがよい。なお、本発明のインク組成物を用いてカラーフィルタ等の着色膜を形成する際には、一般的な方法と同様に、インクジェット方式により塗布したインク組成物を乾燥させ、硬化させることで着色膜を得ることができる。
【0029】
本発明におけるインク組成物を用いて着色膜を形成する支持基板については、インクジェット方式によってカラーフィルタ等を形成する際に使われるものであれば特に制限はないが、一般には、透明性や機械的強度等を満足できるものであるのがよい。具体的には、ガラス基板のほか、ポリカーボネート、PET、ポリイミド等のプラスチックシートやプラスチックフィルムを用いることができる。また、支持基板が備える隔壁については、カラーフィルタをはじめ、インクジェット方式により着色膜を形成する用途等に応じたものであれば、区画する空間領域の形状やサイズ、また、隔壁を形成する材料等に何ら制限はない。更には、インク組成物を支持基板に塗布するためのインクジェット方式については、支持基板の複数の空間領域に、それぞれノズルを介して所定のインク組成物を吐出することができるものであればよく、例えばカラーフィルタの作製等で一般に使用されているものを適用することができ、ノズル径やインク組成物の吐出方法等に制限はない。
【発明の効果】
【0030】
従来のインク組成物を用いたインクジェット方式による着色膜の形成では、隔壁によって形成された空間領域に塗布されたインク組成物は、中央部に比べて隔壁周辺での溶剤の蒸発速度が速くなるため、周縁部に向かってインク組成物の対流が生じて隔壁付近が凸になり、中央に凹みを有した着色膜が形成されてしまったが、本発明のインク組成物では、多官能液状硬化性樹脂(A1)と沸点200℃以上の高沸点溶剤(C1)とを所定の範囲で含むことから、着色膜を得る際に常に均一な流動性を確保しながら溶剤を蒸発させることができる。このようにインク組成物が周縁部に向かう対流を防いで溶剤を蒸発させることで、硬化性樹脂を硬化させる工程を経ても形状をそのまま維持して平坦性に優れた着色膜を得ることができる。
【0031】
また、本発明のインク組成物を用いれば、平坦性に優れて極めて良好な着色膜を得ることができることから、例えばカラーフィルタ等を形成した場合に、色むらや色抜け等の問題を可及的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、支持基板の隔壁によって区画された空間領域内に着色膜を形成した様子を示す平面説明図である。
【図2】図2は、図1のX−X’断面方向及びY−Y’断面方向から見た、実施例1のインク組成物からなる着色膜の高さ分布を示す。
【図3】図3は、図2と同様に、実施例3のインク組成物の場合の高さ分布を示す。
【図4】図4は、図2と同様に、比較例1のインク組成物の場合の高さ分布を示す。
【図5】図5は、従来のインク組成物を用いてインクジェット方式により着色膜を形成した場合を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例等により発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下で別段の断りがない限り、部は重量部を表し、%は重量%を表す。また、顔料を含んだ各顔料分散液の調製方法を以下に記す。
【実施例】
【0034】
[顔料分散液1の調製]
顔料PR254(チバジャパン(株)製商品名BT-CF)とPY150(ランクセス社製:YELLOW PIGMENT E4GN)を重量比80/20の割合で混合したもの142gを、2Lのステンレス容器に採取し、あらかじめブチルカルビトール(BC)で50%溶液としていた分散剤(味の素社製PB823)を160gとブチルカルビトール(BC)20gとを加え、これをセラミックコーティングを施した3本ロールにて流動性が出るまで混練した。次いで、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)278gを添加して混合した後、得られた混練物を横型サンドミルにて分散し、顔料の平均粒径が100nm以下になるまで分散した。分散完了後、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)400gで希釈し、固形分が22.2%の試験用顔料分散液1を得た。
【0035】
[顔料分散液2の調製]
顔料PG36(バスフ株式会社製:ヘリオゲングリーンL9361)とPY150を重量比60/40の割合で混合したもの129gを、2Lのステンレス容器に採取し、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)で50%溶液としていた分散剤(味の素社製PB823)を120g加え、これをセラミックコーティングを施した3本ロールにて流動性が出るまで混練した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)159.3gを添加して混合した後、得られた混練物を横型サンドミルにて分散し、顔料の平均粒径が100nm以下になるまで分散した。分散完了後、1,3−BGDA(1,3−プチレングリコールジアセテート)440gで希釈し、固形分が22.5%の試験用顔料分散液2を得た。
【0036】
[顔料分散液3の調製]
顔料PG36とPY150を重量比60/40の割合で混合したもの129gを、2Lのステンレス容器に採取し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で50%溶液としていた分散剤(味の素社製PB823)を120g加え、これをセラミックコーティングを施した3本ロールにて流動性が出るまで混練した。次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)159.3gを添加して混合した後、得られた混練物を横型サンドミルにて分散し、顔料の平均粒径が100nm以下になるまで分散した。分散完了後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)440gで希釈し、固形分が22.5%の試験用顔料分散液3を得た。
【0037】
[顔料分散液4の調製]
顔料PB15.6(バスフ社製:ヘリオゲンブルーL−6700F)の126gを2Lのステンレス容器に採取し、ブチルカルビトール(BC)108gにあらかじめプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)50%溶液としていた分散剤(味の素社製PB823)を128g加え、これをセラミックコーティングを施した3本ロールにて流動性が出るまで混練した。得られた混練物に、更にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)226.6gを添加して混合した後、横型サンドミルにて分散し、顔料の平均粒径が100nm以下になるまで分散した。分散完了後、ブチルカルビトールアセテート(BCA)412gで希釈し、固形分が18.7%の試験用顔料分散液4を得た。
【0038】
<実施例1〜6及び比較例1〜5>
先ず、固形硬化性樹脂(A3)、多官能液状硬化性樹脂(A1)、溶剤(C)、及び添加剤(シランカップリング剤、界面活性剤)を表1に記載の割合(g)で調合し、次いで、上記で得られた顔料分散液1〜4を表1に記載の重量で加えて実施例1〜6及び比較例1〜5に係るインク組成物を得た。表1中で用いた略号の意味は次のとおりである。なお、液状硬化性樹脂の粘度は、E型粘度計(ブルックフィールド社製 DV-II +Pro CP型)を用いて25℃の粘度を測定した。
【0039】
[A3-1]フルオレン型エポキシ型アクリレート/酸無水物重合付加体(新日鐵化学社製 V259ME:樹脂成分56.5%PGMEA溶液(25℃での粘度9000mPa・s))
[A3-2]ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX4000HK:固体)
[A3-3]フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 154:固体)
[A1-1]ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(日本化薬社製 DPHA:液体(25℃での粘度11900mPa・s))
[A1-2]ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製 SR-444:液体(25℃での粘度1280mPa・s))
[A1-3]ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 806:液体(25℃での粘度2500mPa・s))
[A1-4]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 827:液体(25℃での粘度11000mPa・s))
[A1-5]アルキル型メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 マイコート506:液体(25℃での粘度2560mPa・s))
[D1]シランカップリング剤(チッソ社製 S-510)
[D2]シリコン系界面活性剤(ビックケミジャパン製 BYK330)
[BDGAC]ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃)
[EDGAC]ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点217℃)
[PGMEA]プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)
【0040】
また、上記で得た各インク組成物について、以下のi)〜v)を表2にまとめた。
i)『「硬化性樹脂〔(A3)+(A1)〕」及び「顔料(B)」の合計』に対する「顔料(B)」の割合(重量%)
ii)全溶剤中での「沸点200℃以上の高沸点溶剤(C1)」の割合(重量%)
iii)硬化性樹脂〔(A3)+(A1)〕中での「多官能液状硬化性樹脂(A1)」の割合(重量%)
iv)『「硬化性樹脂〔(A3)+(A1)〕」、「顔料(B)」及び「溶剤(C)」の合計』に対する『「多官能液状硬化性樹脂(A1)」及び「沸点200℃以上の高沸点溶剤(C1)」の合計』の割合(重量%)
v)全溶剤中での「沸点200℃未満の低沸点溶剤」の割合(重量%)
【0041】
更には、上記で得た各インク組成物を用いて、以下のようにして支持基板に対してインクジェット方式によりインク組成物を塗布し、着色膜を形成して評価を行った。
【0042】
[撥液処理済み試験用支持基板の作製]
先ず、支持基板の準備として、カラーフィルタ隔壁形成用感光性樹脂組成物(新日鐵化学社製ブラックレジストインキ)を、スピンコーターを用いて125mm×125mm×厚さ0.7mmのガラス基板上にポストベーク後の膜厚が2.2μmとなるように塗布し、80℃で1分間プリベークした。その後、露光ギャップを80μmに調整して乾燥塗膜の上に、開口部が400μm×150μmならびに隔壁ライン30μmのネガ型フォトマスクを被せ、I線照度30mW/cm2の超高圧水銀ランプで100mj/cm2の紫外線を照射し、感光部分の光硬化反応を行った。次に、この露光済み塗板を0.05%水酸化カリウム水溶液中、23℃にて60秒又は80秒の1kgf/cm2圧シャワー現像、及び5kgf/cm2圧のスプレー水洗を行い、塗膜の未露光部を除去してガラス基板上に画素パターンを形成し、その後、熱風乾燥機を用いて230℃にて30分間熱ポストベークした。更には、酸素大気圧プラズマで3秒間処理した後に、CF4大気圧プラズマにて3秒間処理を行って、撥液処理済みの隔壁を備えた試験用支持基板を得た。得られたブラック塗膜(隔壁)上に水又はブチルカルビトールアセテート(BCA)を用いて、静的接触角を測定したところ、それぞれ100°、50°を示した。
【0043】
[撥液処理無し試験用支持基板の作製]
撥液処理済み試験用支持基板の作製と同様にしてポストベークまで行い、その後、酸素大気圧プラズマで3秒間の処理のみを行って、撥液処理無しの隔壁を備えた試験用支持基板を得た。得られたブラック塗膜(隔壁)上にブチルカルビトールアセテート(BCA)を用いて、静的接触角を測定したところ、25°を示した。
【0044】
[着色膜の平坦性評価]
東芝テック社製インクジェットヘッド(CA3)を用いて、実施例1〜6及び比較例1〜5のインク組成物を、上記で得られた試験用支持基板の隔壁で区画された空間領域内に吐出し、80℃にて5分間プレベークを行って、隔壁の厚み(高さ)に対して0.75〜0.95倍の平均膜厚を有する着色膜を形成した。得られた着色膜について、触針式膜厚計(東京精密社製商品名:サーフコム)を用いて、隔壁によって区画された空間領域内(150μm×450μm×高さ2.2μm(いずれも内径))に形成された着色膜の高さ(厚み)を測定し、図1に示すX−X'断面、及びY-Y'断面での高さの分布曲線から、得られた着色膜の平坦性を評価した。
【0045】
このうち、図4は比較例1のインク組成物からなる着色膜のX−X'断面及びY-Y'断面方向のそれぞれの高さ分布曲線を示す。X−X'断面方向では、隔壁2の近く着色膜が最も高い部分があってその厚みは2.25μmであり、反対に、隔壁で区画された領域のほぼ中央付近に最も低い部分があってその厚みは1.15μmであった。Y-Y'断面方向においても同様であり、隔壁2の近くに着色膜が最も高い部分があってその厚みは2.04μmであり、反対に、隔壁2で区画された領域のほぼ中央付近に最も低い部分があってその厚みは1.15μmであった。比較例1の着色膜の場合、X−X'断面及びY-Y'断面を確認して最も高い部分の厚みと最も低い部分の厚みとの差は1.10μmであった。なお、高さ分布曲線において、矢印を付した箇所は隔壁部分の高さを表す。
【0046】
これに対し、図2は実施例1のインク組成物からなる着色膜の高さ分布曲線であり、X−X'断面方向の高さ分布では、比較例1の場合に現れたような隔壁2の近くの盛り上がりや、中央での凹みは確認されず、最も高い部分の厚みは1.85μmであり、最も低い部分の厚みは1.72μmであった。また、Y-Y'断面方向の高さ分布では、隔壁の近くに最も高い部分があってその厚みは1.95μmであり、中央付近に最も低い部分があってその厚みは1.87μmであったが、X−X'断面及びY-Y'断面を確認して最も高い部分の厚みと最も低い部分の厚みとの差は0.23μmであった。また、図3は実施例3のインク組成物からなる着色膜の高さ分布曲線であり、X−X'断面方向の高さ分布では、最も高い部分の厚みが2.03μmであり、中央付近の最も低い部分の厚みは1.73μmであり、一方、Y−Y'断面方向の高さ分布では、最も高い部分の厚みが2.10μmであり、中央付近の最も低い部分の厚みは1.73μmであり、X−X'断面及びY-Y'断面を確認して最も高い部分の厚みと最も低い部分の厚みとの差は0.37μmであった。これら以外の着色膜についても同様にX−X'断面方向及びY-Y'断面方向の高さ分布曲線を求めて、最も高い部分の厚みと最も低い部分の厚みとの差が0.4μm以上の場合を×、0.25〜0.4μmの範囲の場合を○、0.25μm以下の場合を◎として、3段階で平坦性を評価した。結果を表2に示す。
【0047】
[隔壁に対する接触角測定]
上記で得た撥液処理無し試験用支持基板の隔壁に対するインク組成物の接触角を測定するために、実施例1のインク組成物と比較例5のインク組成物を、温度23℃湿度60%の環境下で、接触角計(英弘精機社製 OCAシリーズ)を用いてそれぞれシリンジから0.5μl滴下し、隔壁に付着してから1秒後の液滴端部角度を測定した。結果を表2に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【符号の説明】
【0050】
1:支持基板
2:隔壁
3:着色膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも硬化性樹脂(A)、顔料(B)及び溶剤(C)を含み、隔壁により区画された複数の空間領域を備えた支持基板にインクジェット方式により着色膜を形成するのに用いるインク組成物であって、
(A)成分中、2官能以上であって、尚且つ、25℃における粘度が12000mPa・s以下の多官能液状硬化性樹脂(A1)が25重量%以上含まれ、(C)成分中、沸点200℃以上の高沸点溶剤(C1)が80重量%以上含まれ、(A)〜(C)成分の総量〔(A)+(B)+(C)〕に対する(A1)成分と(C1)成分の合計〔(A1)+(C1)〕の割合[〔(A1)+(C1)〕/〔(A)+(B)+(C)〕]が、40重量%以上であることを特徴とするインク組成物。
【請求項2】
(A)成分と(B)成分の合計〔(A)+(B)〕に対する(B)成分の割合[(B)/〔(A)+(B)〕]が、20〜60重量%である請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
(A1)成分の25℃における粘度が6000mPa・s以下である請求項1又は2に記載のインク組成物。
【請求項4】
(A1)成分が、液状アクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、及び液状メラミン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の自己硬化性の多官能液状硬化性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項5】
隔壁に対する接触角が30°以上である請求項1〜4のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のインク組成物を用いて、インクジェット方式により支持基板に塗布し、乾燥及び硬化させて得た着色膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−266788(P2010−266788A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119607(P2009−119607)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】