説明

インジェクターアッセンブリ、化学反応装置、および化学プロセス

【課題】ガス状のハロゲン化チタンと酸素とを反応させ、酸化チタン粒子を製造する化学反応装置を提供する。
【解決手段】化学反応装置は、ガス状のハロゲン化チタン及び酸素の流れを導くことができる反応装置導管と、前記動いている成分ストリームに、ガス状ハロゲン化チタン及び酸素及びそれらの混合物から選ばれた追加の成分を注入し、ナタリー数が0.5又はそれ以下である流れを提供するためのインジェクターアッセンブリとを有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
反応物を受け取り、反応物が連続的な原理で混合し反応することを許容するための管状反応装置導管のような、伸張された反応装置導管を含む化学反応装置は良く知られている。そのような反応装置では、反応物ストリームが始動され、反応が行われるにつれて反応装置導管の縦軸に沿って流れるようにされる。反応物と他の成分は、反応装置導管中の様々なポイントにおいて動いている反応物ストリームに注入されることができる。反応した生成物は他の成分(それらはしばしば再利用される)から分離されて回収される。
【0002】
成分がストリーム中の他の成分と完全に混合することを許容するようなやり方で反応物または他の成分を動いている反応物ストリームに注入することは、例えばストリームが比較的高い速度で動いている時に、難しくなることがある。動いているストリームの周囲の周りへの成分の注入は、反応装置導管の内側壁に沿った成分のスリップストリームをしばしば生じる。結果として、成分は主要な反応物ストリームの外側境界層に顕著に浸透せずその中の成分と混合しない。もし反応物が腐食性であれば、反応装置導管壁に損傷をもたらすことができる。
【0003】
これらの問題点に遭遇するプロセスの商業的に重要な例は、塩化物プロセスによる二酸化チタンの製造である。そのようなプロセスでは、ガス状のチタニウムハライド(チタニウムテトラクロライドのような)と酸素のストリームが加熱され、伸張された気相酸化反応装置導管に高いフローレートで導入される。高温(約1093℃(2000°F)から1538℃(2800°F))の酸化反応が反応装置導管中で起こり、それによって粒子状の固体二酸化チタンとガス状の反応生成物が生成される。二酸化チタンとガス状の反応生成物はそれから冷却され、二酸化チタン粒子が回収される。固体二酸化チタンは顔料として非常に有用である。
【0004】
二酸化チタンを生成するための塩化物プロセスの容量を増加させるために、反応装置導管中にその中の第一の反応ゾーンの下流に第二の反応ゾーンを作ることができる。予熱されたチタニウムテトラクロライドおよび/または酸素が第二の反応ゾーンに追加されて、第一の反応ゾーンからの酸素および/またはチタニウムテトラクロライドと反応することができる。残念ながら、主要な反応物ストリームが反応装置導管を通して動いている速度のため、それが主要な反応物ストリームの外側境界層を越えて顕著に浸透するようにするようなやり方で追加の反応物を注入することは困難なことがある。追加の反応物は、典型的には反応装置の内側壁に沿って強制され、十分に浸透して主要な反応物ストリームと混合することはない。もし追加の反応物がチタニウムテトラクロライドであれば、反応装置壁への腐食が起こることがある。
【発明の概要】
【0005】
一側面では、発明は、反応装置導管の導管開口部をその縦軸に沿って流れる成分ストリームに追加の成分をより効果的に注入する新規なインジェクターアッセンブリを提供する。インジェクターアッセンブリは、反応装置導管の第一および第二のセクションを一緒に流動的に接続するようなやり方で反応装置導管の第一のセクションの下流端と反応装置導管の第二のセクションの上流端の間に取付け可能となっている。
【0006】
この第一の側面によるインジェクターアッセンブリは、上流端、下流端、および上流端と下流端の間に配置されたインジェクター導管壁を有するインジェクター導管からなる。インジェクター導管壁は、反応装置導管の第一および第二のセクションの導管開口部と流体通信するように揃えることができるインジェクター導管開口部を規定する。インジェクター導管壁は、反応装置導管中の成分ストリームに追加の成分を横向きに注入するための、それを通じて伸びている少なくとも一つのポートを含む。外側チェンバーは、インジェクター導管壁の外側周りにその断面周囲に沿って伸びており、ポートと流体通信している。外側チェンバーは、追加の成分の源から追加の成分を受け取る入口を含む。
【0007】
別の側面では、発明は、向上された反応物インジェクションアッセンブリを組み込んだ化学反応装置を提供する。反応装置は、導管の縦軸と実質的に平行である流路に成分ストリームを通す反応装置導管と、成分ストリームに追加の成分を注入するインジェクターアッセンブリからなる。反応装置導管は、第一のセクションと第二のセクションを含み、第一および第二のセクションの各々は上流端、下流端、および上流端と下流端の間に配置され反応装置導管開口部を規定する反応装置導管壁を有する。
【0008】
インジェクターアッセンブリは、反応装置導管の第一のセクションの下流端と反応装置導管の第二のセクションの上流端の間に配置され、第一および第二のセクションを一緒に流動的に接続する。インジェクターアッセンブリは、インジェクター導管と外側チェンバーを含む。インジェクター導管は、上流端、下流端、および上流端と下流端の間に配置されインジェクター導管開口部を規定するインジェクター導管壁を有する。インジェクター導管開口部は、反応装置導管の第一および第二のセクションの導管開口部と揃えられてそれらと流体通信している。インジェクター導管壁は、成分ストリームに追加の成分を横向きに注入するための、それを通じて伸びている少なくとも一つのポートを含む。
【0009】
反応装置の外側チェンバーは、インジェクター導管壁の周りにその断面周囲に沿って伸びており、ポートと流体通信している。外側チェンバーは、追加の成分の源から追加の成分を受け取る入口を含む。
【0010】
更に別の側面では、発明は、そのような反応装置を使用することによってより効果的に行われる化学プロセスを提供する。プロセスに従って、成分が反応装置導管をその縦軸に沿って成分ストリームとして流れるようにするようなやり方で、反応装置導管中に一つ以上の成分が導入される。反応装置導管の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれた複数のポートを通して追加の成分が成分ストリームに横向きに注入される。追加の成分は追加の成分が成分ストリームの外側境界層を顕著に浸透するようにさせるのに十分な速度でポートを通して注入される。
【0011】
一実施形態では、発明性のある化学プロセスは、二酸化チタンを生成するプロセスである。ガス状のチタニウムハライド(例えば、チタニウムテトラクロライド)と酸素を、チタニウムハライドと酸素が反応装置導管を通してその縦軸に沿って反応物ストリームとして流れるようにするようなやり方で、反応装置の反応装置導管の第一の反応ゾーンに導入する。ガス状のチタニウムハライド、酸素、およびその混合物から選ばれた追加の成分を、第一の反応ゾーンの下流である反応装置導管中の第二の反応ゾーンに導入する。追加の成分は、追加の成分が反応物ストリームの外側境界層を顕著に浸透するようにさせるのに十分な速度で、反応装置導管の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれた複数のポートから反応物ストリームに横向きに注入される。反応装置導管の第一および/または第二の反応ゾーン中でチタニウムハライドと酸素が気相で反応することが許容されて、二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物を形成する。二酸化チタン粒子は、それからガス状の反応生成物から分離される。
【0012】
これらの様々な側面は、添付の図面を参照することによってより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、発明性のあるインジェクターアッセンブリの実施形態の後方斜視図である。
【図2】図2は、発明性のあるインジェクターアッセンブリの実施形態の前方斜視図である。
【図3】図3は、図1および2に示された発明性のあるインジェクターアッセンブリの実施形態の端面図である。
【図4】図4は、図1−3に示された発明性のあるインジェクターアッセンブリの後面図である。
【図5】図5は、図3の5−5ラインに沿って撮られた断面図である。
【図6】図6は、図4の6−6ラインに沿って撮られた断面図である。
【図7】図7は、発明性のある反応装置の実施形態の断面図である。
【図7A】図7Aは、図7の7A−7Aラインに沿って撮られた断面図である。
【図8】図8は、お互いに直接隣接して置かれた発明性のあるインジェクターアッセンブリを2つ含む、発明性のある反応装置の実施形態の断面図である。
【図9】図9は、お互いに対して間隔をあけた関係に置かれた発明性のあるインジェクターアッセンブリを2つ含む、発明性のある反応装置の実施形態の断面図である。
【図10】図10は、ルチル二酸化チタンを生成するための発明性のあるプロセスの実施形態を描いた概略図面である。
【図11】図11は、ルチル二酸化チタンを生成するための発明性のあるプロセスにおいて使われた発明性のある反応装置の実施形態の断面図を、関連付けられた成分予熱アッセンブリのダイアグラム表現と共に含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで図1−7を参照すると、発明性のあるインジェクターアッセンブリが描かれ全般的に参照番号10によって示されている。インジェクターアッセンブリ10の意図された用法は図7によって描かれている。示されるように、インジェクターアッセンブリ10は、追加の成分(図示せず)を反応装置18の反応装置導管16の導管開口部14を通して反応装置導管の縦軸20に沿って流れている成分ストリーム12に注入するためのものである。図7によって示されるように、成分ストリーム12は矢印21によって示される方向に流れている。インジェクターアッセンブリ10は、反応装置導管の第一および第二のセクションを一緒に流動的に接続するようなやり方で反応装置導管16の第一のセクション24の下流端22と反応装置導管の第二のセクション28の上流端26の間に取付け可能となっている。
【0015】
成分ストリーム12に注入された追加の成分は、蒸気、液体またはスラリー状の形態の単一の反応物または他の成分、または反応物および/または他の成分の組み合わせであることができる。同様に、成分ストリームは、蒸気、液体またはスラリー状の形態の一つ以上の反応物または他の成分からなることができる。発明性のあるインジェクターアッセンブリ10の主な用法は、ガス状の成分を動いているガス状の成分ストリームに注入することである。例えば、下記のように、発明性のあるインジェクターアッセンブリ10は、追加のチタニウムハライド蒸気または酸素を動いているチタニウムハライド/酸素蒸気反応物ストリームに注入して、それにより二酸化チタンを生成するプロセスにおいて第二の反応ゾーンを形成するのに使うことができる。
【0016】
ここで特に図1−6を参照すると、インジェクターアッセンブリ10は、インジェクター導管30と外側チェンバー32からなる。インジェクター導管30は、上流端34、下流端36、およびインジェクター導管壁38を有する。インジェクター導管壁38は、インジェクター導管30の上流端34と下流端38の間に配置され、反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28の導管開口部14と流体通信するように揃えることができるインジェクター導管開口部40を規定する。例えば、図7によって示されるように、インジェクター導管開口部40は、インジェクター導管30と反応装置導管の第一および第二のセクションが一緒に真っ直ぐな経路(または少なくとも近似的に真っ直ぐな経路)で揃えられるように、反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28の導管開口部14と軸上で揃えられることができる。
【0017】
インジェクター導管壁38は、インジェクター導管壁の断面周囲44の周りに間隔をあけて置かれ、インジェクター導管壁を通して伸びている、反応装置導管16中の成分ストリーム12に追加の成分を横向きに注入するための複数のポート42を含む。図面に示されるように、ポート42は、導管壁38の断面周囲44の周りに等間隔で(または少なくとも近似的に等間隔で)置かれる。
【0018】
ここでおよび添付の請求項で使われているように、反応装置導管16(または場合によってはインジェクター導管壁38)の断面周囲とは、反応装置導管16の縦軸20(インジェクター導管壁38の場合には、図7によって示されるようにインジェクターアッセンブリ10が反応装置導管の第一および第二のセクション24と28の間に配置されている時)に対して垂直に(または少なくとも近似的に垂直に)伸びている反応装置導管16(またはインジェクター導管壁38)の周囲を意味する。追加の成分を成分ストリーム12に横向きに注入することは、反応装置導管16の縦軸20(よって成分ストリーム12の縦軸)(インジェクターアッセンブリ10の場合には、図7によって示されるようにインジェクターアッセンブリ10が反応装置導管の第一および第二のセクション24と28の間に配置されている時)に対して角度をつけて追加の成分を成分ストリーム12に注入することを意味し、角度は30°から90°の範囲である。成分ストリーム12の外側境界層への顕著な浸透を確かなものとするためには、追加の成分が成分ストリーム12に注入される、反応装置導管16の縦軸20(よって成分ストリーム12の縦軸)に対する角度が90°に近ければ近いほど良い。図面によって示されるように、化学反応装置18は、反応装置導管16の縦軸20(よって成分ストリーム12の縦軸)に対して約90°の角度で追加の成分を成分ストリーム12に注入するように設定される。
【0019】
外側チェンバー32は、インジェクター導管壁38の外側表面46の周りにその断面周囲44に沿って伸びており、ポート42と流体通信している。外側チェンバー32は、追加の成分の源(図示せず)から成分ストリーム12に注入されるべき追加の成分を受け取るための入口48を含む。入口48は、フランジ50と、フランジが入口に成分を通している導管または他の構造(図示せず)の対応するフランジに取り付けられる(例えば、ボルト止めされる)ことを許容するための対応する開口部52を含む。
【0020】
スペーサー板60は、インジェクター導管30と外側チェンバー32の間に配置される。図面によって示されるように、スペーサー板60の長さとインジェクター導管16の長さは同じである。ここでおよび添付の請求項で使われているように、スペーサー板とインジェクター導管の各々の長さとは、反応装置導管16の縦軸20(インジェクターアッセンブリ10の場合には、図7によって示されるようにインジェクターアッセンブリ10が反応装置導管の第一および第二のセクション24と28の間に配置されている時)に沿って伸びている部品の寸法を意味する。図4によって最も良く示されるように、スペーサー板60は、ポート42の各々と外側チェンバー32の間に配置された通路62を含む。各通路62は対応するポート42と外側チェンバー32を一緒に流動的に接続する。
【0021】
スペーサー板60は、インジェクターアッセンブリ10が反応装置導管16のそれぞれ第一および第二のセクション24と28の間に容易に取り付けられることを許容する。スペーサー板60は、後方表面64と対向する前面表面66を含む。スペーサー板60の後方表面64は(図1によって示されるように)外側チェンバー32に対して差し込まれる一方、スペーサー板の前方表面66は(図2によって示されるように)外側チェンバーに対して外向きに伸びている。後方表面64の差し込みの性質とスペーサー板60の前方表面66の外側チェンバー32に対する外向きの伸張は、図8によって示されるように2つのインジェクターアッセンブリが一緒に背中合わせで容易にボルト止めされることを許容する。
【0022】
複数の開口部68がスペーサー板60を通して板の後方表面64から前方表面66まで伸びている。図7によって示されるように、反応装置導管16の第一のセクション24は、その中に複数の開口部72を持つフランジ70を含む。同様に、反応装置導管16の第二のセクション28は、その中に複数の開口部72を持つフランジ74を含む。反応装置導管16の第一のセクション24のフランジ70は、スペーサー板60の後方表面64に取り付けられることができ、反応装置導管の第二のセクション28のフランジ74は、スペーサー板の前方表面66に取り付けられることができる。ガスケット76が、フランジ70と74の各々とスペーサー板60の間に配置されて適切な密封を確かなものとすることができる。ボルト78が、フランジ70中の開口部72、スペーサー板60中の対応する開口部68、およびフランジ74中の対応する開口部72を通して伸ばされることができ、ナット80が、ボルトに螺子止めされて反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28をスペーサー板に取り付けて、間接的に一緒にされることができる。このようにして、反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28はインジェクターアッセンブリ10に流動的に接続され、間接的に一緒に流動的に接続されることができる。反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28とインジェクター導管30は実効的に、反応装置導管の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれたポート42をもった単一の反応装置導管になる。
【0023】
図面によって示されるように、インジェクター導管30(よってインジェクター導管開口部40)とスペーサー板60は、円形の断面形状を有する。円形の断面形状はインジェクターアッセンブリ10を、管状反応装置導管との関連で使用するのに特に好適なものにする。しかしながら、インジェクター導管30(よってインジェクター導管開口部40)とスペーサー板60は、他の断面形状を有することもできる。限定的でない例には、卵形、正方形、およびその他の多角形断面形状を含む。
【0024】
図面によって示されるように、外側チェンバー32は、円形断面形状を有する導管である。しかしながら、外側チェンバー32は他の断面形状を有することもできる。限定的でない例には、卵形、正方形、およびその他の多角形断面形状を含む。
【0025】
ここで図7−9と11を参照すると、発明性のある化学反応装置が描かれ全般的に参照番号18によって示されている。反応装置は、成分ストリーム12を反応装置導管の縦軸20に平行な(または少なくとも近似的に平行な)流路に通すための反応装置導管16からなる。反応装置導管16は、第一のセクション24と第二のセクション28を含み、第一および第二のセクションの各々は、下流端22、上流端26、および上流端と下流端の間に配置され反応装置導管開口部14を規定する反応装置導管壁88を有する。
【0026】
発明性のある反応装置18は更に、追加の成分(図示せず)を成分ストリーム12に注入するための、上に記載され図面に描かれたような発明性のあるインジェクターアッセンブリ10からなる。インジェクターアッセンブリ10は反応装置導管16の第一のセクション24の下流端22と反応装置導管の第二のセクション28の上流端26との間に配置され、反応装置導管の第一および第二のセクションを一緒に流動的に接続する。図面に示されているように、反応装置導管16の第一のセクション24のフランジ70はスペーサー板60の後方表面64に取り付けられ、反応装置導管の第二のセクション28のフランジ74はスペーサー板の前方表面66に取り付けられている。ガスケット76が、フランジ70と74の各々とスペーサー板60の間に配置されて適切な密封を確かなものとする。ボルト78が、フランジ70中の開口部72、スペーサー板60中の対応する開口部68、およびフランジ74中の対応する開口部72を通して伸ばされ、ナット80が、ボルトに螺子止めされて反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28をスペーサー板に取り付けて、間接的に一緒にされる。
【0027】
インジェクターアッセンブリ10のインジェクター導管30のインジェクター導管開口部40は、反応装置導管16の第一のセクション24および第二のセクション28の反応装置導管開口部14と揃えられ、それらと流体通信している。このようにして、反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28とインジェクター導管30は実効的に、反応装置導管の断面周囲44の周りに間隔をあけて置かれたポート42をもった単一の反応装置導管である。図面によって示されているように、その第一および第二のセクション24と28を含んだ反応装置導管16とインジェクター導管30は、真っ直ぐな経路(または少なくとも近似的に真っ直ぐな経路)で一緒に軸上で揃えられる。図面によって示されるように、反応装置導管16(第一および第二のセクション24と28を含む)と従ってその反応装置導管開口部14とインジェクター導管30とインジェクター導管開口部40は、各々円形の断面形状を有する。示されるように、反応装置導管開口部14とインジェクター導管開口部40の直径は同じか少なくとも近似的に同じである。外側チェンバー32は、インジェクター導管壁38の外側表面46の周りにその断面周囲44に沿ってと、反応装置導管16の縦軸20に垂直なまたは少なくとも近似的に垂直な方向にあるスペーサー板の周りに伸びている導管である。
【0028】
もし望ましければ、反応装置18は、反応装置導管16中の成分ストリーム12に一つ以上の成分を注入する一連のインジェクターアッセンブリ10を含むことがもし望ましければできる。例えば、図8によって示されるように、2つのインジェクターアッセンブリ10aと10bが、反応装置導管の第一のセクション24の下流端22と反応装置導管の第二のセクション28の上流端26の間にお互いに直接隣接して配置される。反応装置導管16の第一のセクション24のフランジ70はインジェクターアッセンブリ10aのスペーサー板60の後方表面64に取り付けられる。同様に、反応装置導管の第二のセクション28のフランジ74はインジェクターアッセンブリ10bのスペーサー板60の前方表面66に取り付けられる。ガスケット76が、フランジ70と74の各々と対応するスペーサー板60の間と、インジェクターアッセンブリ10aと10bのスペーサー板60の前方表面66の間に配置されて適切な密封を確かなものとする。ボルト78が、フランジ70中の開口部72、スペーサー板60中の対応する開口部68、およびフランジ74中の対応する開口部72を通して伸ばされ、ナット80が、ボルトに螺子止めされて反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28をスペーサー板60に取り付けて、間接的に一緒にされる。このようにして、反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28は、インジェクターアッセンブリ10aと10bに流動的に接続され、間接的に一緒に接続される。反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28とインジェクターアッセンブリ10aと10bのインジェクター導管30は実効的に、反応装置導管の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれたポート42をもった単一の反応装置導管になる。
【0029】
別の例として、図9によって示されるように。2つのインジェクターアッセンブリ10aと10bが、反応装置導管16中にお互いに対して間隔をあけた関係で配置される。インジェクターアッセンブリ10aは、反応装置導管の第一のセクション24の下流端22と反応装置導管の第二のセクション28の上流端26の間に配置される。反応装置導管16の第一のセクション24のフランジ70はインジェクターアッセンブリ10aのスペーサー板60の後方表面64に取り付けられる。反応装置導管16の第二のセクション28のフランジ74はインジェクターアッセンブリ10aの前方表面66に取り付けられる。ガスケット76が、フランジ70と74の各々とスペーサー板60の間に配置されて適切な密封を確かなものとする。ボルト78が、フランジ70中の開口部72、スペーサー板60中の対応する開口部68、およびフランジ74中の対応する開口部72を通して伸ばされ、ナット80が、ボルトに螺子止めされて反応装置導管16の第一および第二のセクション24と28をスペーサー板60に取り付けて、間接的に一緒にされる。同様に、インジェクターアッセンブリ10bは、反応装置導管の第二のセクション28の下流端94と反応装置導管の第三のセクション100の上流端98の間に配置される。反応装置導管16の第二のセクション28のフランジ102はインジェクターアッセンブリ10bのスペーサー板60の後方表面64に取り付けられる。反応装置導管16の第三のセクション100のフランジ104はインジェクターアッセンブリ10bの前方表面66に取り付けられる。ガスケット76が、フランジ102と104の各々とスペーサー板60の間に配置されて適切な密封を確かなものとする。ボルト78が、フランジ102中の開口部72、スペーサー板60中の対応する開口部68、およびフランジ104中の対応する開口部72を通して伸ばされ、ナット80が、ボルトに螺子止めされて反応装置導管16の第二および第三のセクション28と100をスペーサー板60に取り付けて、間接的にされる。このようにして、反応装置導管16の第一、第二、および第三のセクション24と28と100は、インジェクターアッセンブリ10aと10bに流動的に接続され、間接的に一緒に接続される。反応装置導管16の第一、第二、および第三のセクション24と28と100とインジェクターアッセンブリ10aと10bのインジェクター導管30は実効的に、反応装置導管の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれたポート42をもった単一の反応装置導管になる。
【0030】
当業者によって理解されるように、発明性のある化学反応装置18は他の部品を含むこともできる。例えば、図11によって示され以下で更に記載されるように、一描写的実施形態では、反応装置18は成分ストリーム12を形成するための成分を予熱する予熱アッセンブリ124と126からなる。インジェクターアッセンブリ132と134が、反応装置導管16に予熱された成分を注入するために含まれる。インジェクションチューブ135が、反応装置導管16の縦軸20に沿ってまたは概ね沿って成分ストリーム12に追加の成分を直接導入するために設けられている。
【0031】
ここで図7と7Aを参照すると、発明性のある化学プロセスが描かれている。成分が反応装置導管をその縦軸20に沿って成分ストリーム12として流れるようにするようなやり方で、反応装置18の反応装置導管16中に一つ以上の成分が導入される。追加の成分がそれから成分ストリーム12に(上で規定されたように)横向きに注入される。追加の成分は、反応装置導管16の断面周囲108の周りに間隔をあけて置かれた複数のポート(例えば、発明性のある化学反応装置18の発明性のあるインジェクターアッセンブリ10のポート42)を通して成分ストリーム12に横向きに注入される。一実施形態では、それを通して追加の成分が成分ストリーム12に注入されるポートは、反応装置導管16の断面周囲108の周りに等間隔で(または少なくとも近似的に等間隔で)置かれる。
【0032】
追加の成分は、追加の成分が成分ストリーム12の外側境界層110に顕著に浸透するようにさせるのに十分な速度でポートを通して注入される。一実施形態では、追加の成分は、結果として得られる成分ストリーム12(即ち、追加の成分のそこへの注入後の成分ストリーム12)に対応するナタリー数が0から0.5の範囲になるようにさせるのに十分な速度でポートを通して注入される。別の実施形態では、追加の成分は、結果として得られる成分ストリーム12に対応するナタリー数が0.3以下になるようにさせるのに十分な速度でポートを通して注入される。ここでおよび添付の請求項で使われ規定されるように、結果として得られる成分ストリーム12に対応するナタリー数は、ストリーム中の追加の成分の注入のポイントの3パイプ直径分(即ち、3掛ける反応装置導管16の直径である距離)下流であるストリーム中のポイント(「問われているポイント」)において決定される。
【0033】
ナタリー数は、メインストリーム中のポイントにおける成分の濃度と成分がそのようなポイントにおいてメインストリームと完璧に混合されていることを仮定したメインストリーム中の同じポイントにおける成分の理論的濃度の間の分散を表すかまたは定量化する。断面面積に跨って間隔をあけて置かれた約1000の位置の各々における濃度C1を計算するのに計算的流体力学が使われる。もし成分が問われているポイントにおいてメインストリームと完璧に混合されていれば、分散は零(0)である。他方、もし成分が問われているポイントにおいてメインストリームと完全に混合されていなければ、分散は一(1)である。
【0034】
よって、問われているポイントにおける結果として得られる成分ストリーム12に対応するナタリー数は、追加の成分が外側境界層110を浸透して成分ストリーム12と混合した度合いを反映するものである。結果として得られる成分ストリーム12に対応するナタリー数(NNa)は、以下の式に従って決定される:
【数1】

【0035】
ここで
Cavg=追加の成分が結果として得られる成分ストリーム12と完全に混合されていることを仮定した、問われているポイントにおける追加の成分の平均濃度;
C1=断面面積に跨って間隔をあけて置かれた約1000の位置の各々における追加の成分の実際の濃度;
A=問われているポイントにおける反応装置導管16の断面面積
である。
【0036】
結果として得られる成分ストリーム12に対応するナタリー数(NNa)の決定は以下の例Iによって更に描写される。
【0037】
一実施形態では、追加の成分は、反応装置導管16中のポート(インジェクターアッセンブリ10のポート42のような)へ反応装置導管16の外側112周りにその断面周囲108に沿って伸びる外側チェンバー(インジェクター導管10の外側チェンバー32のような)から通される。外側チェンバー32は、反応装置導管16の縦軸20に垂直かまたは少なくとも近似的に垂直な方向で反応装置導管16の外側112周りにその断面周囲108に沿って伸びている導管(反応装置18のインジェクター導管10の外側チェンバー32のような)である。追加の成分は、追加の成分が外側チェンバーを通してその縦軸に沿って渦を巻くようにするようなやり方で(例えば、十分な速度で)外側チェンバーに注入されることができる。追加の成分が外側チェンバーを通して渦を巻くようにすることは、例えば、追加の成分が全てのポートに入ることを確かなものとすることを助け得る。成分ストリーム12に注入された追加の成分は、蒸気、液体またはスラリー状の形態の単一の反応物または他の成分、または反応物および/または他の成分の組み合わせであることができる。
【0038】
ここで図10と11を参照して、発明性のあるプロセスに従って二酸化チタンを生成するためのプロセスを記載する。反応装置18中でガス状のチタニウムハライド(チタニウムテトラクロライドのような)と酸素が気相で連続的に反応して、二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物を生成する。酸素(O2)のストリーム120、または酸素含有ガス(「酸素ガスストリーム120」)は、ガス状のチタニウムハライドのストリーム122(「チタニウムハライドガスストリーム122」)と反応装置18中で少なくとも700℃(1292°F)の温度で結合される。
【0039】
反応装置18中で結合される前に、酸素ガスストリーム120とチタニウムハライドガスストリーム122は、例えばそれぞれ予熱アッセンブリ124と126中で予熱される。予熱アッセンブリ124と126は、例えば、シェルおよびチューブ型の成分加熱器であることができる。酸素ガスストリーム120はその源128から予熱アッセンブリ120に通され、16℃(60°F)から1871℃(3400°F)の範囲内の温度、典型的にはその内の38℃(100°F)から1054℃(1930°F)の範囲内の温度、に予熱される。同様に、チタニウムハライドガスストリーム122はその源130から予熱アッセンブリ126に通され、121℃(250°F)から982℃(1800°F)の範囲内の温度、典型的にはその内の135℃(275°F)から177℃(350°F)の範囲内の温度、に予熱される。
【0040】
予熱された酸素ガスストリーム120と予熱されたチタニウムハライドガスストリーム122は、予熱アッセンブリ124と126からそれぞれインジェクションアッセンブリ132と134に通され、それにより反応装置18の反応装置導管16の第一の反応ゾーン136に導入される。ストリーム120と122は、ストリームが反応装置導管16を通してその縦軸20に沿って結合された反応物ストリーム12として流れるようにするようなやり方で、インジェクションアッセンブリ132と134によって第一の反応ゾーン136に導入される。
【0041】
図11によって示されるように、インジェクションアッセンブリ132と134は、円筒状の形状のインジェクション導管140によって一緒に接続される。インジェクション導管140は、上流端142、下流端144、およびそれを通して軸上に伸びているインジェクション導管開口部146を含む。
【0042】
酸素ガスストリームインジェクションアッセンブリ132は、下流端152、対向する上流端154、およびそれを通して軸上に伸びている開口部156を有する円筒状の形状の筐体150を含む。下流端壁158が下流端152に固定され、上流端壁160が筐体150の上流端154に固定される。適切な密封を確かなものとするために、ガスケット162が下流端壁158と下流端142と上流端壁160と上流端154の間に位置される。開口部156によって形成される内側直径(即ち、筐体150の内側直径)はインジェクション導管140の外側直径よりも大きい。
【0043】
インジェクション導管140の上流端142は、一般にその上流端142に近い導管140の一部分が筐体150の開口部156の一部分内に(即ち、筐体の内部に)配置されるように、下流端壁158の中央部分166を通して伸びる。インジェクション導管140の上流端142は、筐体150の上流端壁160から距離をあけて置かれる。開口部156によって形成された内側壁(即ち、筐体150の内側壁)とインジェクション導管140の外側周囲表面168の間の空間が、チェンバー170を形成する。インジェクション導管140の上流端142と上流端壁160の間の空間が、筐体150のチェンバー170とインジェクション導管140のインジェクション導管開口部146の間の流体通信を許容するスロット172を形成する。
【0044】
予熱された酸素ガスストリーム120は、予熱アッセンブリ124から筐体150のチェンバー170へ筐体150内の入口176を介して通される。入口176は、酸素ガスストリームが入口からチェンバー170中に接線方向で注入されてチェンバー中の酸素蒸気ストリームに円形または渦巻き状の動きを導入するようにオフセットされたやり方で筐体150に対して位置することができる。円形または渦巻き状の動きは、例えば、酸素蒸気がスロット172の円周周りから導管開口部146に一様に入ることを確かなものとすることを助け得る。
【0045】
図11によって示された実施形態では、別のインジェクションチューブ135が上流端壁160を通して、インジェクション導管140の中心に軸上で距離をおいて伸びる。インジェクションチューブ135は、反応装置18の反応装置導管16中に形成された反応物ストリーム12中に追加の成分(例えば、精錬剤)を導入するのに使うことができる。
【0046】
チタニウムハライドガスストリームインジェクションアッセンブリ134は、下流端192、対向する上流端194、およびそれを通して軸上に伸びている開口部196を有する円筒状の形状の筐体190を含む。下流端壁198が下流端192に固定され、上流端壁200が筐体190の上流端194に固定される。適切な密封を確かなものとするために、ガスケット202が下流端壁198と下流端192と上流端壁200と上流端194の間に位置される。開口部196によって形成される内側直径(即ち、筐体190の内側直径)はインジェクション導管140の外側直径よりも大きい。
【0047】
インジェクション導管140の下流端144は、一般にその下流端144に近い導管140の一部分が筐体190の開口部196の一部分内に(即ち、筐体の内部に)配置されるように、上流端壁200の中央部分202を通して伸びる。インジェクション導管140の下流端144は、筐体190の下流端壁198から距離をあけて置かれる。開口部196によって形成された内側壁(即ち、筐体190の内側壁)とインジェクション導管140の外側周囲表面168の間の空間が、チェンバー204を形成する。予熱されたチタニウムハライドガスストリーム122は、予熱アッセンブリ126から筐体190のチェンバー204へ筐体190内の入口206を介して通される。
【0048】
反応装置18の反応装置導管16の第一のセクション24の上流端208は、筐体190の下流端壁198の中央部分210を通して伸びる。反応装置導管16の第一のセクション24の上流端208は、インジェクション導管140の下流端144から軸上で距離をあけて置かれ、これによりチェンバー214中にスロット212を形成する。スロット212は、チェンバー204と反応装置18の反応装置導管16の第一のセクション24の導管開口部14の間の流体通信を提供する。示されるように、反応装置導管16の導管開口部14は、インジェクション導管140のインジェクション導管開口部146と軸上で揃えられる。
【0049】
入口216は、チタニウムハライド蒸気ストリームが入口からチェンバー204中に接線方向で注入されてチェンバー中の蒸気ストリームに円形または渦巻き状の動きを導入するようにオフセットされたやり方で筐体190に対して位置することができる。円形または渦巻き状の動きは、例えば、チタニウムハライド蒸気がスロット212の円周周りから導管開口部14に一様に入ることを確かなものとすることを助け得る。
【0050】
反応装置導管の第一のセクション24は、セクションの直径が上流端208からその下流端22へ増加しているフラストコニカルな形状を有することができる。第二および第三のセクション28と100も、同様のフラストコニカルな形状を有することができる。
【0051】
ガス状チタニウムハライドと酸素から選ばれた追加の成分は、第一の反応ゾーン136の下流である反応装置導管16中の第二の反応ゾーン220中に導入される。追加の成分は、追加の成分が反応物ストリーム12の外側境界層110に顕著に浸透するようにさせるのに十分な速度で反応装置導管16の断面周囲108の周りに間隔をあけて置かれた複数のポートから反応物ストリーム12中に横向きに注入される。一実施形態では、追加の成分は、結果として得られる反応物ストリーム12に対応するナタリー数が零(0)から0.5の範囲になるようにさせるのに十分な速度でポートを通して注入される。別の実施形態では、追加の成分は、結果として得られる反応物ストリーム12に対応するナタリー数が0.3以下になるようにさせるのに十分な速度でポートを通して注入される。結果として得られる反応物ストリーム12に対応するナタリー数は、発明性のある化学プロセスとの関連で上に規定され記載された。
【0052】
一実施形態では、追加の成分は、反応装置導管16中のポート(インジェクターアッセンブリ10のポート42のような)へ反応装置導管16の外側112周りにその断面周囲108に沿って伸びる外側チェンバーから通される。外側チェンバー32は、反応装置導管16の縦軸20に垂直かまたは少なくとも近似的に垂直な方向で反応装置導管16の外側112周りにその断面周囲108に沿って伸びている導管である。追加の成分は、追加の成分が外側チェンバーを通してその縦軸に沿って渦を巻くようにするようなやり方で(例えば、十分な速度で)外側チェンバーに注入されることができる。追加の成分が外側チェンバーを通して渦を巻くようにすることは、例えば、追加の成分が全てのポートに入ることを確かなものとすることを助け得る。
【0053】
図11によって示されるように、追加の成分は、発明性のあるインジェクターアッセンブリ10によって反応物ストリーム12中に横向きに注入される。追加の成分は、インジェクターアッセンブリ10のポート42から反応物ストリーム12中に横向きに注入される。追加の成分は、ポート42へインジェクター導管10の外側チェンバー32から通される。
【0054】
インジェクターアッセンブリ10は、第一の反応ゾーン136の下流に間隔をあけて置かれる。図7と11によって示され上に記載されたように、インジェクターアッセンブリ10は、反応装置導管16の第一のセクション24の下流端22と反応装置導管の第二のセクション28の上流端26の間に配置され、それにより反応装置導管の第一および第二のセクションを一緒に流動的に接続する。発明性のあるインジェクターアッセンブリ10が追加の成分を反応物ストリーム12中に横向きに注入するやり方は上に記載された。
【0055】
一実施形態では、追加の成分は、ガス状のチタニウムハライド、酸素およびその混合物から選ばれる。追加のチタニウムハライドおよび/または酸素は、第一の反応ゾーン136からの未反応のチタニウムハライドおよび/または酸素と反応し、それによりプロセスの容量を増加する。図面によって示されるように、追加の成分は、追加のチタニウムテトラクロライドである。追加のチタニウムハライドのストリーム222は予熱アッセンブリ224中で予熱され、発明性のあるインジェクターアッセンブリ10によって第二の反応ゾーン220中に注入される。チタニウムハライドガスストリーム222は、予熱アッセンブリ224にその源(図示せず)から通され、121℃(250°F)から982℃(1800°F)の範囲内の温度、典型的にはその内の135℃(275°F)から177℃(350°F)の範囲内の温度、に予熱される。
【0056】
チタニウムハライドと酸素は、反応装置導管16の第一の反応ゾーン136および/または第二の反応ゾーン220中において気相で反応することが許容される。結合された反応物ストリームは、例えば92メートル(100フィート)/秒から738メートル(800フィート)/秒の範囲の速度で、反応装置導管16を通して流れる。1気圧(絶対)の圧力で、酸化反応温度は典型的には1260℃(2300°F)から1371℃(2500°F)の範囲内にある。酸化が行われる圧力は幅広く変動することができる。例えば、酸化反応は、21kPa、ゲージ(3psig)から345kPa、ゲージ(50psig)の範囲内の圧力で行うことができる。
【0057】
チタニウムハライド反応物は、チタニウムテトラクロライド(TiCl4)、チタニウムテトラブロマイド、チタニウムテトライオダイド、チタニウムテトラフルオライドを含む、チタニウムのあらゆる既知のハライドであることができる。非常に好適はチタニウムハライドは、チタニウムテトラクロライドである。チタニウムテトラクロライドは、ルチル二酸化チタン顔料を作成するための気相酸化プロセスのもし全てでなければ殆どにおいて選ばれるチタニウムハライドである。それは酸化されて、以下の反応式に従って粒子状の固体二酸化チタンとガス状の反応性生物を生成する。
【数2】

【0058】
一実施形態では、結合された反応物ストリーム12中に注入された追加の成分は、追加のチタニウムハライドである。反応装置導管16の第一および第二の反応ゾーン136と220中に導入されたチタニウムハライドは、チタニウムテトラクロライドであることができる。
【0059】
酸素含有ガス反応物は、好ましくは分子状酸素である。しかしながら、それはまた、例えば、空気(酸素濃縮空気)との混合物中の酸素からなることもできる。採用される特定の酸化ガスは、反応装置導管16内の反応ゾーン136と220の大きさ、チタニウムハライドと酸素含有ガス反応物が予熱された度合い、反応ゾーンの表面が冷却された程度、および反応ゾーンにおける反応物のスループットレートを含む数々のファクターに依存するであろう。
【0060】
採用されるチタニウムハライドと酸化ガス反応物の厳密な量は幅広く変動することができ特別に決定的ではないが、酸素含有ガス反応物が、少なくともチタニウムハライドとの化学量論的反応を提供するのに十分な量で存在していることは重要である。一般的に、採用される酸素含有ガス反応物の量は、チタニウムハライド反応物との化学量論的反応のために要求されるものを超えた量、例えば化学量論的反応のために要求されるものを5%から25%超えた量であろう。
【0061】
チタニウムハライドと酸化ガス反応物に加えて、様々な目的のために反応装置18中にその他の成分を導入することがしばしば望ましい。例えば、一実施形態では、アルミナが二酸化チタンのルチル化を促進するのに十分な所定の量で反応装置18中に導入される。二酸化チタンのルチル化を促進するのに必要なアルミナの量は、当業者に知られているような数々のファクターに依存して変動する。一般的に、ルチル化を促進するために要求されるアルミナの量は、生成されている二酸化チタン粒子の重量に基づいて、重量で0.3%から1.5%の範囲内である。反応装置導管16中に導入されるアルミナの典型的な量は、生成されている二酸化チタン粒子の重量に基づいて、重量で1.0%である。
【0062】
一実施形態では、アルミナは、アルミニウムクロライドを酸素ガスストリーム120、チタニウムハライドストリーム122および/または追加のチタニウムハライドストリーム222と結合することによって反応装置18の反応ゾーン16中に導入される。図面によって示されるように、アルミニウムクロライドは、チタニウムハライドストリーム122と222の一方または両方と結合される。アルミニウムクロライドは、チタニウムハライドストリーム122とチタニウムハライドストリーム222の一方または両方と流体通信しているアルミニウムクロライド発生器230においてその場で発生される。様々な種類のアルミニウムクロライド発生器が当該分野で周知であり、発明のプロセス中で使われることができる。例えば、不活性粒子材料をもつかまたはもたない粉末アルミニウムを、反応物塩素および/または不活性ガスの上向き通路によって反応装置中で流体化することができる。この代わりに、アルミニウムを、粒子形状であるが必ずしも十分に細かく分割されていない塩素ガスのストリーム中に導入してガスストリーム中で流体化することができる。ベッドを取り囲んでいる数々のノズルを介して塩素をベッドに通すことによって、粒子状のアルミニウムの固定されたベッドを塩素化することができる。
【0063】
反応装置18中に有利に導入することができる別の成分の例は、精錬剤である。精錬剤は、反応装置の壁面を洗浄してその汚損を防ぐように機能する。使用することができる精錬剤の例には、砂、造粒され、乾燥され、焼結された二酸化チタンと水の混合物、圧縮された二酸化チタン、岩塩、溶融アルミナ、二酸化チタン、塩混合物等を含むが、それらに限定はされない。
【0064】
反応装置18中に形成された二酸化チタン粒子とガス状の反応性生物は、管状熱交換器240中の冷媒(冷却水のような)との熱交換によって約704℃(1300°F)の温度まで冷却される。精錬剤も熱交換器240中に注入して、熱交換の内部表面から二酸化チタンおよびその他の材料の堆積物を除去することができる。反応装置18中で使われたのと同じ種類の精錬剤を熱交換器240中で使うことができる。
【0065】
熱交換器240を通過した後、粒子状固体二酸化チタンは分離装置250においてガス状の反応生成物およびあらゆる精錬剤から分離される。
【0066】
発明性のあるプロセスに従って製造された二酸化チタンは、顔料としての使用に非常に好適である。
【0067】

発明を更に描写するためにこの予言的な例が提供される。
【0068】
上に記載され図10と11によって描かれた、二酸化チタンを生成するための発明性のあるプロセスが行われる。発明性のある化学反応装置18がプロセスで使われる。予熱された酸素ガスストリーム120と予熱されたチタニウムテトラクロライドガスストリーム122は、ストリームが反応装置導管16を通してその縦軸20に沿って結合された反応物ストリーム12として流れるようにするようなやり方で、反応装置18の反応装置導管16の第一の反応ゾーン136中に導入される。反応装置導管16を通した結合された反応物ストリーム12のフローレートは、2.5キログラム毎秒である。結合された反応物ストリーム12の温度は1300°ケルビンである。反応装置導管16の直径は125cm(7インチ)である。
【0069】
追加の酸素がそれから、インジェクターアッセンブリ10によって第二の反応ゾーン220中に導入される。インジェクターアッセンブリ10は、インジェクター導管壁38の断面周囲44の周りに等間隔をあけて置かれた8つのポート42を含み、各ポートは1.58cm(0.622インチ)の直径を有する。追加の酸素は、外側チェンバー32を通して渦を巻くようにされ、0.189キログラム毎秒の速度で反応物ストリーム12中にポート42を通じて横向きに注入される。追加の酸素の温度は300°ケルビンである、追加の酸素の注入の間のインジェクターアッセンブリ10に跨る圧力低下は30kPa、ゲージ(4.4psig)である。
【0070】
追加の酸素が反応物ストリーム12中にポート42を通じて横向きに注入される速度は、追加の酸素が反応物ストリーム12の外側境界層110を顕著に浸透するようにするのに十分なものである。追加の酸素が反応物ストリーム12中にポート42を通じて横向きに注入される速度はまた、結果として得られる反応物ストリームに対応するナタリー数が0.3となるようにするのに十分なものである。結果として得られる反応物ストリーム12に対応するナタリー数は、インジェクターアッセンブリ10による反応物ストリーム中への追加の酸素の注入のポイントの3パイプ直径分下流である反応物ストリーム中のポイント(「問われているポイント」)において決定される。ナタリー数(NNa)は、以下に示した式に従って決定される。
【数3】

【0071】
ここで
Cavg=0.07で、追加の酸素ガスが結果として得られる反応物ストリーム12と完全に混合されていることを仮定した、問われているポイントにおける追加の酸素の平均濃度;
C1は0から1の範囲で、計算的流体力学を使って断面面積Aに跨って間隔をあけて置かれた約1000の位置において決定された追加の酸素の実際の濃度;
A=38.5平方インチで、問われているポイントにおける反応装置導管16の断面面積
である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応装置導管の導管開口部をその縦軸に沿って流れる成分ストリームに追加の成分を注入するインジェクターアッセンブリであって、前記アッセンブリは反応装置導管の第一および第二のセクションを一緒に流動的に接続するようなやり方で反応装置導管の第一のセクションの下流端と反応装置導管の第二のセクションの上流端の間に取付け可能となっており、前記アッセンブリは、
上流端、下流端、および前記上流端と下流端の間に配置され反応装置導管の第一および第二のセクションの導管開口部と流体通信するように揃えることができるインジェクター導管開口部を規定するインジェクター導管壁を有するインジェクター導管であって、前記インジェクター導管壁は、反応装置導管中の成分ストリームに追加の成分を横向きに注入するための、それを通じて伸びている少なくとも一つのポートを含むものと、
前記インジェクター導管壁の外側周りにその断面周囲に沿って伸びており前記ポートと流体通信している外側チェンバーであって、前記外側チェンバーは追加の成分の源から追加の成分を受け取る入口を含むものと、
からなるインジェクターアッセンブリ。
【請求項2】
前記インジェクター導管壁は、反応装置導管中の成分ストリームに追加の成分を横向きに注入するための、それを通じて伸びている複数のポートを含み、前記外側チェンバーは前記ポートの各々と流体通信している、請求項1のインジェクターアッセンブリ。
【請求項3】
前記ポートは、前記インジェクター導管壁の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれている、請求項2のインジェクターアッセンブリ。
【請求項4】
前記アッセンブリは更に、前記インジェクター導管と前記外側チェンバーの間に配置されたスペーサー板であって、前記スペーサー板は前記ポートと前記外側チェンバーの間に配置され前記ポートと前記外側チェンバーを一緒に流動的に接続している通路を含むものからなる、請求項1のインジェクターアッセンブリ。
【請求項5】
前記アッセンブリは更に、前記インジェクター導管と前記外側チェンバーの間に配置されたスペーサー板であって、前記スペーサー板は前記ポートの各々と前記外側チェンバーの間に配置された通路を含み、前記通路の各々は前記対応するポートと前記外側チェンバーを一緒に流動的に接続しているものからなる、請求項2のインジェクターアッセンブリ。
【請求項6】
反応装置導管の縦軸と少なくとも近似的に平行である流路に成分ストリームを通す反応装置導管であって、前記反応装置導管は第一のセクションと第二のセクションを含み、前記第一および第二のセクションの各々は上流端、下流端、および前記上流端と下流端の間に配置された反応装置導管開口部を規定する反応装置導管壁を有するものと、
成分ストリームに追加の成分を注入するインジェクターアッセンブリであって、前記アッセンブリは前記反応装置導管の前記第一のセクションの前記下流端と前記反応装置導管の前記第二のセクションの前記上流端の間に配置され前記第一および第二のセクションを一緒に流動的に接続しているものとからなり、前記アッセンブリは、
上流端、下流端、および前記上流端と前記下流端の間に配置されインジェクター導管開口部を規定するインジェクター導管壁を有するインジェクター導管であって、前記インジェクター導管開口部は前記反応装置導管の前記第一および第二のセクションの前記導管開口部と揃えられてそれらと流体通信しており、前記インジェクター導管壁は、成分ストリームに追加の成分を横向きに注入するための、それを通じて伸びている少なくとも一つのポートを含むものと、
前記インジェクター導管壁の外側周りにその断面周囲に沿って伸びており前記ポートと流体通信している外側チェンバーであって、前記外側チェンバーは追加の成分の源から追加の成分を受け取る入口を含むものとを含む、
化学反応装置。
【請求項7】
前記インジェクター導管壁はそれを通じて伸びている複数のポートを含み、前記外側チェンバーは前記ポートの各々と流体通信している、請求項6の反応装置。
【請求項8】
前記ポートは、前記インジェクター導管壁の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれている、請求項7の反応装置。
【請求項9】
前記インジェクターアッセンブリは更に、前記インジェクター導管と前記外側チェンバーの間に配置されたスペーサー板であって、前記スペーサー板は前記ポートと前記外側チェンバーの間に配置され前記ポートと前記外側チェンバーを一緒に流動的に接続している通路を含むものを含む、請求項6の反応装置。
【請求項10】
前記インジェクターアッセンブリは更に、前記インジェクター導管と前記外側チェンバーの間に配置されたスペーサー板であって、前記スペーサー板は前記ポートの各々と前記外側チェンバーの間に配置された通路を含み、前記通路の各々は前記対応するポートと前記外側チェンバーを一緒に流動的に接続しているものを含む、請求項7の反応装置。
【請求項11】
前記外側チェンバーは、前記インジェクター導管壁の外側周りにその断面周囲に沿って、および前記反応装置導管の縦軸と少なくとも近似的に垂直である方向にある前記スペーサー板の周りに伸びている導管である、請求項10の反応装置。
【請求項12】
前記反応装置導管は、その前記第一および第二のセクションを含み、前記インジェクター導管は少なくとも近似的に真っ直ぐな経路中に一緒に軸上で揃えられている、請求項11の反応装置。
【請求項13】
成分が反応装置導管を通してその縦軸に沿って成分ストリームとして流れるようにするようなやり方で、反応装置導管中に一つ以上の成分を導入することと、
前記反応装置導管の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれた複数のポートを通して追加の成分を前記成分ストリームに横向きに注入することであって、前記追加の成分は前記追加の成分が前記成分ストリームの外側境界層を顕著に浸透するようにさせるのに十分な速度で前記ポートを通して注入されていることと、
からなる化学プロセス。
【請求項14】
追加の成分は、結果として得られる成分ストリームに対応するナタリー数が0から0.5の範囲になるようにさせるのに十分な速度で前記ポートを通して前記成分ストリーム中に注入される、請求項13のプロセス。
【請求項15】
追加の成分は、結果として得られる成分ストリームに対応するナタリー数が0.3以下になるようにさせるのに十分な速度で前記ポートを通して前記成分ストリーム中に注入される、請求項13のプロセス。
【請求項16】
前記追加の成分は、外側チェンバーから前記反応装置導管中の前記ポートへ通され、前記外側チェンバーは、前記反応装置導管の外側周りにその断面周囲に沿って前記反応装置導管の縦軸と少なくとも近似的に垂直である方向に伸びる導管である、請求項13のプロセス。
【請求項17】
前記追加の成分を、前記外側チェンバーを通してその縦軸に沿って渦を巻くようにするステップ、から更になる請求項16のプロセス。
【請求項18】
二酸化チタンを生成するプロセスであって、
ガス状のチタニウムハライドと酸素を、チタニウムハライドと酸素が反応装置導管を通してその縦軸に沿って反応物ストリームとして流れるようにするようなやり方で、反応装置の反応装置導管の第一の反応ゾーンに導入することと、
ガス状のチタニウムハライド、酸素、およびその混合物から選ばれた追加の成分を、前記第一の反応ゾーンの下流である前記反応装置導管中の第二の反応ゾーンに導入することであって、前記追加の成分は前記追加の成分が前記反応物ストリームの外側境界層を顕著に浸透するようにさせるのに十分な速度で、前記反応装置導管の断面周囲の周りに間隔をあけて置かれた複数のポートから前記反応物ストリームに横向きに注入されることと、
前記反応装置導管の前記第一および/または第二の反応ゾーン中でチタニウムハライドと酸素が気相で反応することを許容して、二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物を形成することと、
前記二酸化チタン粒子を前記ガス状の反応生成物から分離することと、
からなるプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−82617(P2013−82617A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−267149(P2012−267149)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2010−506190(P2010−506190)の分割
【原出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(500002799)トロノックス エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】