説明

インタラクティブボード用の透過型スクリーン、インタラクティブボード、インタラクティブボードシステム

【課題】高い正面輝度と適当な視野角を有しながら、輝線等を低減でき、良好な映像を表示できるインタラクティブボード用の透過型スクリーン、これを備えるインタラクティブボード及びインタラクティブボードシステムを提供する。
【解決手段】インタラクティブボード50用のスクリーン10は、プリズム層11と、プリズム層11よりも出射側に設けられる光拡散層12と、プリズム層11よりも出射側に設けられる基板層13とを備え、光拡散層12は、拡散特性の異なる2種類の拡散材である第1拡散材及び第2拡散材を含有しており、第1拡散材は、光拡散層12の母材との屈折率差が、第2拡散材と光拡散層の母材との屈折率差に比べて大きく、その拡散作用が第2拡散材よりも大きいものであり、第2拡散材は、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在する第2拡散材の表面積の和が単位面積の2倍以上であるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタラクティブボード用の透過型スクリーン、これを備えるインタラクティブボード及びインタラクティブボードシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、会議や授業等の場面において、ボード上に描いた文字や図形を、そのままパーソナルコンピュータに入力したり、パーソナルコンピュータの画像情報をボード上に投影し、手書きされたボード上の文字や画像をパーソナルコンピュータ上に表示したりできるインタラクティブボードと呼ばれる電子黒板の利用が広まってきている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に示すインタラクティブボードでは、パーソナルコンピュータからの画像を、ボードの前面側、即ち、観察者側から投射している。そのため、ボードに手書きで文字等の情報を書き加える際に、投影画像が遮られるという問題や、ボードの前面に投影機を設置するための場所が必要となるという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献2に示すような、背面から投射された映像を表示可能な透過型スクリーンをボードとして用い、パーソナルコンピュータ等の表示部の画像を、光源装置を用いてボード(透過型スクリーン)の背面側から投射して表示するインタラクティブボード等も開発が進められている。特許文献2の透過型スクリーンでは、光が入射する入射面と、入射面から入射した光を全反射する全反射面とを備えるプリズムを配列したプリズム層を備えており、このようなプリズム層を用いることにより、透過型スクリーンを用いた表示装置の薄型化等を図っている。また、特許文献3に示すように、透過型スクリーンを用いた対話型のリアプロジェクションテレビの開発も進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3093288号公報
【特許文献2】特開2008−20481号公報
【特許文献3】特開2008−46177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような透過型スクリーンは、適当な視野角を確保し、かつ、映像光を結像させるために、拡散作用を有する光拡散層を備えている。この光拡散層は、一般的に、拡散材を含有する樹脂製等のシート状の部材が用いられることが多い。しかし、拡散材の拡散特性やその含有量等によっては、好ましい拡散特性を発揮できない場合がある。その場合、拡散が不十分となって、正面方向に生じる急峻な輝度のピーク(輝線等)が生じたり、拡散が過度となって正面輝度が低下したりする等の問題が発生する。
【0006】
本発明の課題は、高い正面輝度と適当な視野角を有しながら、輝線等を低減でき、良好な映像を表示できるインタラクティブボード用の透過型スクリーン、これを備えるインタラクティブボード及びインタラクティブボードシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、背面側から映像光を投射するインタラクティブボード用の透過型スクリーンであって、入射側に設けられ、光が入射する入射面と前記入射面から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面とを備える単位プリズム(111)が複数配列されたプリズム層(11)と、前記プリズム層(11)よりも出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層(12)と、前記プリズム層よりも出射側に設けられ、該透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層(13)と、を備え、前記光拡散層は、拡散特性の異なる2種類の拡散材である第1拡散材及び第2拡散材を含有しており、前記第1拡散材は、前記光拡散層の母材との屈折率差が、前記第2拡散材と前記光拡散層の母材との屈折率差に比べて大きく、その拡散作用が前記第2拡散材よりも大きく、前記第2拡散材は、前記光拡散層をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在する前記第2拡散材の表面積の和が前記単位面積の2倍以上であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記光拡散層の前記第1拡散材及び前記第2拡散材を含有する母材は、アクリル系樹脂であり、前記光拡散層の厚さは、200μmであること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項3の発明は、請求項2のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記第1拡散材は、シリコン製の粒子であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、前記第2拡散材は、アクリル系樹脂製の粒子であること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、出射側に、少なくともハードコート機能を有する機能層(14)を備えること、を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)である。
【0008】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)と、前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンを支持する支持部材(51)と、を備えるインタラクティブボード(50)である。
請求項7の発明は、請求項6に記載のインタラクティブボード(50)と、前記インタラクティブボードの前記インタラクティブボード用の透過型スクリーン(10)の背面側から映像光を投射する光源部(60)と、前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの観察面への接触による入力を検出して検出信号を出力する検出部と、前記検出部からの検出信号に応じて、表示する映像に応じた映像光を前記光源部から投影させる制御部(70)と、を特徴とするインタラクティブボードシステムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)インタラクティブボード用の透過型スクリーンは、プリズム層と、プリズム層よりも出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層と、プリズム層よりも出射側に設けられ、該透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層とを備え、光拡散層は、拡散特性の異なる2種類の拡散材である第1拡散材及び第2拡散材を含有しており、第1拡散材は、光拡散層の母材との屈折率差が、第2拡散材と光拡散層の母材との屈折率差に比べて大きく、その拡散作用が第2拡散材よりも大きく、第2拡散材は、光拡散層をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在する第2拡散材の表面積の和がその単位面積の2倍以上である。従って、光拡散層は、十分な拡散作用を発揮でき、インタラクティブボード用の透過型スクリーンは、良好な視野角を有しつつ、輝線を低減でき、良好な映像を表示できる。また、第1拡散材と第2の拡散材とは、光拡散層の母材との屈折率差が異なり、第1拡散材と光拡散層の母材との屈折率差が、第2拡散材と光拡散層の母材との屈折率差よりも大きいものとしたので、各屈折率差の調整により、拡散作用の大きさの調整が容易である。
【0010】
(2)光拡散層の第1拡散材及び第2拡散材を含有する母材は、アクリル系樹脂であり、光拡散層の厚さは、200μmであるので、安価かつ容易に透過型スクリーンを製造できる。
【0011】
(3)第1拡散材は、シリコン製の粒子であるので、少量で大きな拡散作用を発揮することができる。また、シリコン製の粒子は、入手が容易であり、光拡散層を安価にかつ容易に製造できる。
【0012】
(4)第1拡散材より拡散作用の小さい第2拡散材は、アクリル系樹脂製の粒子であるので、拡散作用の大きな第1拡散材と組み合わせて用いることにより、拡散作用の大きな拡散材による拡散特性を大きく変えるような影響を及ぼすことなく、輝線を低減できる。
【0013】
(5)インタラクティブボード用の透過型スクリーンは、出射側に、少なくともハードコート機能を有する機能層を備えるので、このスクリーンの観察面に傷がつくことを極力抑えることができる。また、スクリーンの利便性や品位を向上させることができる。
【0014】
(6)本発明によるインタラクティブボード用の透過型スクリーンと、この透過型スクリーンを支持する支持部材とを備えるインタラクティブボード、及び、このインタラクティブボードと、光源部と、検出部と、制御部を備えるインタラクティブボードシステムであるので、良好な視野角を有しつつ、輝線を低減でき、良好な映像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】スクリーン10を備えるインタラクティブボード50及びインタラクティブボードシステムの実施形態を示す図である。
【図2】実施形態のスクリーン10の層構成を説明する図である。
【図3】単位プリズム111の形状を説明する図である。
【図4】シリコン系ビーズとアクリル系ビーズとの拡散特性を示す図である。
【図5】アクリル系ビーズの含有の有無の拡散特性を比較する図である。
【図6】スクリーンの変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無い。従って、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。例えば、光学シートは、光学フィルムとしてもよいし、光学板としてもよい。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
【0017】
(実施形態)
図1は、スクリーン10を備えるインタラクティブボード50及びインタラクティブボードシステムの実施形態を示す図である。
インタラクティブボードシステムは、インタラクティブボード50と、投影機60と、パーソナルコンピュータ70と、インタラクティブボード50の観察面上に文字や図形等を描画可能な入力部80と、不図示の情報検出部とを備えている。
インタラクティブボード50は、支持部材51とインタラクティブボード用の透過型スクリーン(以下、理解を容易にするため、単にスクリーン又はボードという)10とを備えている。このインタラクティブボード50は、背面側から映像光を投射して観察面に映像を表示する形態である。
支持部材51は、スクリーン10の四辺を保持してその平面性を維持し、かつ、所定の高さにスクリーン10を支持する部材である。本実施形態の支持部材は、スクリーン10の四辺の周縁部を保持する枠部材52と、枠部材52の両端から鉛直方向に延び、スクリーンを所定の高さに指示する脚部53とを備えている。なお、支持部材51は、スクリーン10の高さを変えられるものとしてもよいし、変えられないものとしてもよい。また、支持部材51の脚部53の床面との接地部分に車輪等を設けて、移動可能な形態としてもよい。
【0018】
スクリーン10は、映像を表示したり、タッチペンやマーカー等の入力部80を用いて使用者Sが観察面上に文字等の情報を描画したりすることが可能なボードである。このスクリーン10は、透過型スクリーンであり、インタラクティブボード50の背面側に位置する投影機60からスクリーン10の背面に投影された映像光を透過し、その観察面に表示可能である。このスクリーン10の形状に関する詳細は、後述する。
投影機60は、スクリーン10(インタラクティブボード50)の背面側から映像光Lを投射する光源部である。本実施形態の投影機60は、プロジェクタであり、図1に示すように、スクリーン10の中央部より下側から斜め上へ向けて映像光を投影する形態のものである。
【0019】
入力部80は、スクリーン10の観察面にタッチするためのタッチペンやマーカー等の部材である。入力部80は、使用者Sの指等でもよい。
不図示の情報検出部は、入力部80によって描画された文字や図形等の情報を検出し、パーソナルコンピュータ70へ伝送する機能を有している。本実施形態の情報検出部は、位置センサを用いているが、これに限らず、各種方式のタッチパネル等を用いることができる。
また、この情報検出部は、パーソナルコンピュータ等の制御部と有線又は無線によって通信可能であり、本実施形態の情報検出部は、パーソナルコンピュータ70とUSBケーブル等により接続され、通信可能となっている。
【0020】
パーソナルコンピュータ70は、スクリーン10に表示する情報を投影機60へ出力したり、情報検出部からの情報を取り込んでデータ化したり、取り込んだ情報を含む映像を出力したりする制御部と、スクリーン10に表示する画像情報や、各種のアプリケーションのプログラム等を記憶する記憶装置である不図示の記憶部とを備えている。制御部は、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成され、インタラクティブボードシステムを統括的に制御する部分である。この制御部は、情報検出部の検出信号に基づいて、入力部80が接触した観察面の座標位置を判定したり、入力部80で描画された文字や図形等を判別したりする。
本実施形態のパーソナルコンピュータ70は、USBケーブル等を用いて有線で情報検出部及び投影機60と接続され、通信可能となっているが、これに限らず、少なくとも一方と無線で通信可能な形態としてもよい。
なお、本実施形態ではパーソナルコンピュータ70を用いる例を示したが、少なくともインタラクティブボードシステムを統括的に制御可能な機能を有するものであれば、例えば、携帯電話等の携帯情報端末を用いてもよく、使用環境等に応じて適宜選択して用いてよい。
【0021】
本実施形態のインタラクティブボードシステムは、以上の構成を備え、パーソナルコンピュータ70が映像情報を投影機60に出力し、投影機60がインタラクティブボード50の背面へ映像光を投射し、インタラクティブボード50が観察面(スクリーン10の観察者側の面)に映像を表示する。また、情報検出部は、入力部80を用いて使用者Sによって接触された観察面の座標位置を検出して出力し、パーソナルコンピュータ70が、座標位置を判定できる。この位置情報は、例えば、パーソナルコンピュータ70の画面の位置情報と、観察面の位置情報(座標情報)とが一致するように、使用者Sがインタラクティブボード50又はパーソナルコンピュータ70の調節部(図示せず)を操作して、予め調整している。
【0022】
これにより、使用者Sが入力部80を用いてスクリーン10の観察面上に描画した図形や文字等を、投影画像と組み合わせ、図形や文字等が投影画像上に描かれたように表示することができる。また、例えば、パーソナルコンピュータ70の表示画面をインタラクティブボード50に表示し、使用者Sは、マウスで操作するように入力部80を操作してパーソナルコンピュータ70を操作することもできる。
さらに、スクリーン10は、一般的なホワイトボード等のように、マーカー等の所定の筆記具を用いてその表面(観察面)に手書きで文字や図形等の情報を描画したり、描画した文字等を消去したりすることも可能である。
【0023】
図2は、本実施形態のスクリーン10の層構成を説明する図である。
図2では、スクリーン10を、使用状態における画面上下方向に平行であって、スクリーン10の厚み方向(スクリーン面に直交する方向)に平行な方向で切断した場合の断面の一部を拡大して示している。
ここで、スクリーン面とは、スクリーン10全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、本明細書中及び特許請求の範囲において、同一の定義として用いている。また、以下の明細書中において、スクリーン10(インタラクティブボード50)の使用状態におけるスクリーン10の画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)は、特に断りが有る場合を除いて単に画面上下方向、画面左右方向という。
本実施形態のスクリーン10は、図2に示すように、使用状態における光の入射側(背面側)から順に、プリズム層11、光拡散層12、基板層13、表面機能層14を有している。また、スクリーン10は、光拡散層12と基板層13の間に接合層15aが設けられ、基板層13と表面機能層14との間に接合層15bが設けられ、それぞれ接合層15a,15bにより一体に接合されている。このスクリーン10は、背面側に位置する投影機60から投影された映像光Lを結像して表示する。
また、本実施形態のスクリーン10は、観察面側から見て略矩形状であり、その画面サイズは、例えば、対角80インチサイズ(1220mm×1620mm)である。
【0024】
プリズム層11は、スクリーン10の最も入射側(背面側)に設けられている。このプリズム層11は、投影機60から投影された映像光Lを集光して、垂直方向(画面上下方向)においてスクリーン10の正面方向へ略平行光として観察面側へ出射する光線制御作用を有している。プリズム層11の入射側に表面には、単位プリズム111が複数配列されている。
プリズム層11は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂により形成される。本実施形態のプリズム層11は、屈折率1.55のウレタンアクリレート系樹脂製である。
【0025】
図3は、単位プリズム111の形状を説明する図である。
プリズム層11は、前述の図2に示すように、入射側(背面側)の面に、単位プリズム111がシート面(プリズム層11全体としてみたときの平面方向となる面であって、スクリーン面に平行な面)に沿って一方向(画面上下方向)に複数配列されている。
単位プリズム111は、図3に示すように、入射側へ凸となる形状であり、光が入射する入射面A1と、入射面A1から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面A2とを備えている。本実施形態の単位プリズム111は、入射面A1と全反射面A2とによって形成される頂角α=38°であり、その配列ピッチP1=50μmである。
スクリーン10の下方に位置する投影機60から斜めに照射された映像光のうち入射面A1の頂部近傍に入射した光の少なくとも一部は、光L1のように、入射面A1で屈折して全反射面A2側へ進み、全反射面A2で全反射し、垂直方向においてスクリーン面の法線方向に略平行光となって観察者側へ進む。
【0026】
光拡散層12は、光を拡散する作用を有する層であり、図2に示すように、プリズム層11の出射側(観察面側)に一体に形成されている。光拡散層12は、光透過性を有する樹脂に、異なる拡散特性を有する2種類の拡散材が略均一に分散するように配合されたシート状の部材を用いることができる。光拡散層12は、プリズム層11を形成するベース(基材)となる機能も有しており、プリズム層11は、光拡散層12の片面(背面側の面)にUV成形により一体に形成されている。
【0027】
本実施形態の光拡散層12は、その厚さが200μmであり、屈折率が1.55であるMBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂を母材とし、拡散材として略均一に混錬されたシリコン系ビーズ(屈折率1.41、粒径約2μm)及びアクリル系ビーズ(屈折率1.53、粒径約8μm)を含有している。
上述のように、本実施形態の光拡散層12に含まれる拡散材であるシリコン系ビーズ及びアクリル系ビーズは、シリコン系ビーズの方が、アクリル系ビーズよりも光拡散層12の母材となる樹脂との屈折率差が大きく、その拡散特性が異なっている。
【0028】
なお、光拡散層12の拡散材を含有する母材は、上述のMBS樹脂に限らず、例えば、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂や、TAC(トリアセテートセルロース)やPET、PC(ポリカーボネート)樹脂、アクリル系樹脂等、適宜選択できる。また、拡散作用の大きい拡散材及び拡散作用の小さい拡散材は、母材との屈折率差等に応じて、適宜、選択して用いてよく、ガラスビーズや、プラスチックビーズ等の無機又は有機の化合物の略透明な粒子を使用できる。このとき、拡散材の粒径は、光の拡散が波長に依存しないように、1μm以上であることが好ましい。
また、光拡散層12に用いられるアクリル系ビーズは、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在するアクリル系ビーズの表面積の和が、その単位面積の2倍以上であることが好ましい。この理由については後述する。
【0029】
基板層13は、このスクリーン10の平面性を維持する基板となる層である。基板層13は、接合層15aを介して光拡散層12の出射側に一体に積層されている。
この基板層13は、スクリーン10を構成する他の層に比べて厚さが最も厚く、これにより、スクリーン10の平面性を維持するために充分な剛性を有している。従って、スクリーン10は、基板層13を備えることにより、剛直となり、その観察面に筆記された場合にも透過型スクリーンが撓んだり、変形したり、破損したりすることを防止できる。本実施形態の基板層13は、光透過性を有する略平板状のガラス板を用いており、その屈折率が1.52であり、厚さが6mmである。
なお、基板層13としては、PC樹脂やMBS樹脂、MS樹脂等の樹脂製のシート状の部材を用いてもよい。また基板層13の厚さは、その材質や使用環境等に応じて適宜設定してよいが、平面性維持等の観点から、樹脂製のシート状の部材の場合で8〜10mmの範囲内が特に好ましく、ガラス板の場合で4〜8mmの範囲内が特に好ましい。
【0030】
表面機能層14は、スクリーン10の最も観察面側に設けられ、このスクリーン10の観察面を傷等から保護する耐擦傷性と、防眩機能とを備える機能層であり、筆記しやすい平滑性も有している。
スクリーン10の観察面(前面)は、使用者Sがタッチペン等の入力部80によって文字等を筆記する面であるため、耐擦傷性が求められ、また、筆記等が滑らかに行えるように、ある程度の平滑性も求められる。その一方で、スクリーン10の観察面は、室内の照明光等の反射や映り込み等を低減し、画面の見易さを向上させる観点から、防眩機能を有していることが好ましい。
【0031】
本実施形態の表面機能層14は、厚さ100μmのPET樹脂製のシート状の部材を機能基材層とし、その観察面側となる表面に、スチレン粒子(平均粒径7.5〜8.0μm、屈折率1.59)を含有する電離放射線硬化型樹脂を膜厚7μm程度で塗布して硬化させ、防眩層が形成されている。本実施形態の表面機能層14は、その表面粗さである算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が136nm、最大高さRz(JIS B0601−2001)が453nmであり、防眩機能を発揮するに十分な表面粗さを有しつつ、その筆記性を妨げることはない。
【0032】
接合層15a,15bは、光拡散層12と基板層13、基板層13と表面機能層14とをそれぞれ接合する層である。この接合層15a,15bは、紫外線硬化型のアクリル系樹脂や、圧力により粘着性が顕在化する感圧粘着型のアクリル系樹脂等を用いることができる。また、接合層15a,15bは、その厚みを10〜100μmの範囲内で適宜選択できる。
【0033】
ここで、光拡散層12の拡散材について説明する。
図4は、シリコン系ビーズとアクリル系ビーズとの拡散特性を示す図である。図4において、縦軸は、ゲインを規格化したものであり、横軸は、出射角度である。この図4のグラフでは、測定例1のピークゲイン(ゲインの最大値)を基準(1.0)として、測定例2〜4のゲインを規格化している。また、この図4に示すグラフは、母材をMBS樹脂(屈折率1.55)とし、1種類の拡散材のみを含有する測定例1〜4の光拡散層のサンプルをそれぞれ作製し、自動変角光度計(株式会社村上色彩技術研究所製 GP−500)によって、各サンプルの背面側から各光拡散層の法線方向に光(白色光)を投射した場合の透過光の拡散度合いを測定し、そのゲインを規格化して得た結果である。なお、測定例1〜4の厚さは等しい。
【0034】
図4に示す測定例1(アクリル系1)は、屈折率1.53、平均粒径約8μmのアクリル系ビーズを拡散材として含有する測定例1の光拡散層である。また、図4に示す測定例2(アクリル系2)は、屈折率1.53、平均粒径約8μmのアクリル系ビーズを拡散材として含有する測定例2の光拡散層である。測定例1と測定例2との違いは、拡散材となるアクリル系ビーズの量であり、測定例2の方が、アクリル系ビーズの量が多い。
図4に示す測定例3(シリコン系1)は、屈折率1.41、平均粒径約2μmのシリコン系ビーズを拡散材として含有する測定例3の光拡散層である。また、図4に示す測定例4(シリコン系2)は、屈折率1.41、平均粒径約2μmのシリコン系ビーズを拡散材として含有する測定例4の光拡散層である。測定例3と測定例4との違いは、拡散材となるシリコン系ビーズの量であり、測定例4の方が、シリコン系ビーズの量が多い。
【0035】
ゲインとは、上記の各測定例の光拡散層を用意し、それぞれの背面側から光を入射させたとき、各光拡散層に光が入射する入射面での照度と、各光拡散層から出射する光の輝度を、シート面(光拡散層全体としてみたときの平面方向)の法線方向となす角度ごとに測定し、以下に示す(式1)より求められる値である。
G=π×A/I ・・・(式1)
なお、(式1)において、ゲインをG、円周率をπ、輝度をA(cd/m)、照度をI(lx)で示している。測定したゲインは、各光拡散層のシート面の中心においてそれぞれの角度から観察している。
【0036】
図4に示すように、シリコン系ビーズの方が、アクリル系ビーズに比べて、視野角範囲内のゲインの分布が滑らかであり、効率よく拡散している。
アクリル系ビーズは、母材との屈折率差が小さく、粒径も大きいため、ピークゲインに対する拡散特性が小さく、図4に示すように、視野角範囲内のゲインの分布変化が急峻である。この傾向は、アクリル系ビーズの量を増やしても変わらず、その拡散特性の分布の広がりは、シリコン系ビーズに比べて小さい。また、アクリル系ビーズでは、多重拡散が生じ、光源側に戻される光が多く発生しており、利用効率も低下している。
一方、シリコン系ビーズは、母材との屈折率差も大きく、拡散効果も高いため、拡散材として、少量で高い光拡散性を発揮でき、ピークゲインに対する拡散特性も大きい。従って、上述のように、視野角範囲内のゲインの分布が滑らかである。
しかし、このシリコン系ビーズのみを拡散材として光拡散層に用いた場合、シリコン系ビーズが少量であり、かつ、その粒径が小さいため、拡散材に当たらず、拡散作用を受けずに出射する映像光(以下、素抜け光という)が生じる場合がある。そのような映像光は、観察者には輝線として観察され、画質が低下する場合がある。
【0037】
図5は、アクリル系ビーズの含有の有無の拡散特性を比較する図である。図5では、アクリル系ビーズを含有せず、シリコン系ビーズのみを含有している比較例の光拡散層、及び、アクリル系ビーズ及びシリコン系ビーズを含有する本実施形態の光拡散層12の拡散特性を示している。図5において、縦軸は、ゲインであり、横軸は出射角度である。この図5に示すグラフは、比較例の光拡散層及び本実施形態の光拡散層に、背面側から各光拡散層の法線方向に光(白色光)を投射した場合の透過光の拡散度合いを自動変角光度計(株式会社村上色彩技術研究所製 GP−500)によって測定した結果である。
【0038】
図5に示すように、アクリル系ビーズを含有せず、シリコン系ビーズのみを拡散材として用いた比較例の光拡散層では、略正面方向のゲインが局所的に高くなっている。これは、前述のように、拡散作用を受けずに出射する映像光(素抜け光)によって生じ、このような素抜け光は、輝線の要因となる。
一方、アクリル系ビーズ及びシリコン系ビーズを拡散材として用いた本実施形態の光拡散層12では、そのような局所的に高いゲインはなく、素抜け光が低減されている。
よって、本実施形態によれば、光拡散層12が、拡散材としてシリコン系ビーズに加えて、母材となる樹脂(屈折率1.55のMBS樹脂)との屈折率差が小さく、その粒径がシリコン系ビーズに比べて大きいアクリル系ビーズを用いることにより、輝線の原因となる素抜け光を拡散し、輝線の低減することができる。
【0039】
なお、光拡散層12に用いられるアクリル系ビーズは、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在するアクリル系ビーズの表面積の和が、その単位面積の2倍以上であることが好ましい。
アクリル系ビーズを半径Rの略球形であるとすると、ある一方向から見たその投影面積は、πRに相当し、また、その表面積は、4πRに相当する。従って、光拡散層12において、スクリーン面の法線方向から見た単位面積内に存在し、厚み方向に一列に隙間なく配列された拡散材が、単位面積の4倍以上の表面積を有していれば、その単位面積に入射した光は必ず拡散材に当たり、輝線の原因となる素抜け光を防止できるといえる。
しかし、図4に示すように、アクリル系ビーズだけでは、視野角範囲内のゲインの分布が急峻であり、所望の拡散特性を得られないので、ある程度、主たる拡散作用を発揮するシリコン系ビーズを含有する必要がある。また、図5に示すグラフにおいて、素抜け光のある比較例のピークゲインを、素抜け光のない本実施形態のピークゲインで割った値は、約1.04である。従って、素抜け光となる光の成分は、1割未満である。
【0040】
よって、この1割未満の素抜け光成分を確実に拡散させ、かつ、素抜け光が全く存在しない所望の拡散特性を得るという観点から、シリコン系ビーズとアクリル系ビーズとを含有する光拡散層12において、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在するアクリル系ビーズの表面積の和は、その単位面積の2倍以上であることが好ましい。
この条件を満たすことにより、所望の好適な拡散特性を実現しながら、素抜け光を防止して、輝線の低減を図ることができる。一方、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在するアクリル系ビーズの表面積の和が、その単位面積の2倍未満である場合には、アクリル系ビーズの拡散作用が不十分であり、素抜け光が存在し、輝線が発生してしまう。
【0041】
本実施形態の光拡散層12は、その厚さが200μmであり、アクリル系ビーズの配合重量比は、(光拡散層12の全重量):(アクリル系ビーズの重量)=18:1.04となっている。ここで、アクリル系ビーズの比重は、1.2であり、母材となるMBS樹脂の比重は、1.1である。従って、上述の重量比の式は、厚み×単位面積×MBS比重:拡散材の体積×単位面積辺りの拡散材個数×アクリル比重=18:1.04と表すことができる。
本実施形態において、アクリル系ビーズは、その平均粒径が8μmであり、上述の重量比から、光拡散層12をスクリーン面の法線方向から見た単位面積当たりの光拡散層12に存在するアクリル系ビーズの個数は、約400万個となる。よって、この単位面積当たりに存在するアクリル系ビーズの表面積は、8.16cmであり、単位面積(1cm)の2倍以上であり、好ましい範囲を満たしている。
【0042】
そして、前述の図5に示すように、本実施形態の光拡散層12では、略正面方向の局所的な輝度の高さは改善されており、かつ、全体的な輝度分布特性についてはシリコン系ビーズのみの比較例と比べて大きな変化はない。
よって、光拡散層12を備える本実施形態のスクリーン10は、主たる拡散作用を有するシリコン系ビーズの拡散特性に大きな影響を与えることがなく、かつ、アクリル系ビーズによって素抜け光を拡散でき、輝線を低減できる。なお、アクリル系ビーズは、余り多く配合すると、多重拡散により光源側(背面側)に戻される光が増え、正面輝度が低下する等の問題が生じるため、適宜調整することが好ましい。
なお、本実施形態の光拡散層12では、(光拡散層12の全重量):(アクリル系ビーズの重量):(シリコン系ビーズの重量)=18:1.04:0.50となっている。
【0043】
実際に、本実施形態のスクリーン10を備えたインタラクティブボード50を使用したところ、輝線等がなく良好な映像が表示された。
以上のことから、本実施形態によれば、輝線等が観察されず、かつ、高い正面輝度と良好な視野角特性を有し、良好な映像を表示可能である。
【0044】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、単位プリズム111は、入射面A1と全反射面A2とを備える全反射プリズムであり、シート面に沿って画面上下方向(垂直方向)に配列される例を示したが、これに限らず、画面左右方向(水平方向)に配列してもよい。さらに、以下に示すような形態としてもよい。
図6は、スクリーンの変形形態を示す図である。
各実施形態において、プリズム層11は、単位プリズム111がシート面に沿って垂直方向に配列される例を示したが、例えば、図6(a)に示す変形形態のスクリーン30のように、単位プリズム111がシート面に沿って同心円状に配列されているプリズム層31としてもよい。単位プリズム111は、シート面の延長上に位置する点Cを中心として同心円状に配列されている。このとき、投影機60は、点Cを通りシート面に垂直な直線上に位置している。
【0045】
また、本実施形態において、単位プリズム111は、入射面A1と全反射面A2とからのみ形成される例を示したが、例えば、図6(b)に示す変形形態のプリズム層41の単位プリズム411のように、全反射プリズム形状411aと屈折フレネルレンズ形状411bとを有する、ハイブリッド型のプリズム形状としてもよい。
全反射プリズム形状411aは、入射面A1と全反射面A2とを備えており、各実施形態において示した単位プリズム111の形状の一部である。屈折フレネルレンズ形状411bは、この全反射プリズム形状411aの垂直方向下側に隣接し、入射面A1と対向し、光が入射する入射面である第3の面A3と、第3の面A3と凸形状をなす第4の面A4とを備えており、所謂、屈折フレネルレンズの形状の一部である。
この第3の面A3に入射した光L2は、界面(第3の面A3)で屈折し、画面上下方向においてスクリーン面の法線方向に略平行光となって観察面側へ進む。そのため、このようなハイブリッド型のプリズム形状とすることにより、略平行光となる映像光の光量を増やすことができ、迷光を低減する効果も高めることができる。
【0046】
(2)本実施形態において、光拡散層12は、厚み方向においてプリズム層11と基板層13との間に設けられる例を示したが、これに限らず、例えば、使用環境等に応じて基板層13の出射側に設けてもよい。
【0047】
(3)本実施形態において、ハードコート機能と防眩機能とを有する表面機能層14がスクリーン10の最も出射側に位置する例を示したが、これに限らず、例えば、表面機能層14は、ハードコート機能に加えて、照明光の反射等を抑える反射防止機能、帯電防止層機能、紫外線吸収機能、防汚機能、着色や減光機能等を備える層としてもよい。
反射防止機能を有する場合は、照明光等の映りこみを防止し、コントラストを向上させることができる。帯電防止機能を有する場合は、静電気を除去し、観察面上への埃等の付着を防止できる。紫外線吸収機能を有する場合は、外光に含まれる紫外線によるスクリーンの黄変を防止できる。防汚機能を有する場合は、スクリーンの表面に汚れが付着することを防止できる。着色や減光機能を有する場合は、コントラストの向上を図ることができる。
なお、このような各種機能を有する層は1つでもよいし、複数設けてもよく、使用環境等に応じて適宜選択して組み合わせて用いてよい。また、1つの表面機能層がこれらの機能を併せ持つ形態としてもよい。さらに、基板層13が十分な耐擦傷性を有するならば、ハードコート機能を有する表面機能層14を設けない形態としてもよいし、表面機能層14に替えてこれらの機能を有する層を設けてもよい。さらにまた、表面機能層14は、ハードコート機能のみを有するハードコート層としてもよく、これらの層に上述の各機能を有する層を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0048】
(4)本実施形態において、インタラクティブボード50は、スクリーンを支持部材51によって支持したものであり、別体の投影機60によって映像光Lが背面側から投射される例を示したが、これに限らず、例えば、スクリーンと投影機とを不図示の筐体内に組み込んで一体としたリアプロジェクションテレビ型のインタラクティブボードとしてもよいし、壁面と所定の距離を離して固定されたインタラクティブボードとしてもよい。
リアプロジェクションテレビ型のインタラクティブボードとする場合、スクリーン10の背面側は筐体によって覆われ、暗室となるので、窓からの光や照明光等のような外光が、スクリーン10の背面から入射することを防止でき、コントラストの向上等を図ることができ、より明瞭な映像を表示できる。
また、壁面に所定の距離を有して固定されたインタラクティブボードとした場合、不図示のミラー部を壁面に配置し、映像光をミラーで反射してスクリーンの背面に投影する形態としてもよいし、ミラー部を備える投影機をスクリーン10の下方に配置し、映像光Lをミラー部で反射してスクリーン10の背面に投影してもよい。
このような構成とすることにより、壁面に固定されるので、背面側からスクリーン10に入射する不要な光を低減でき、コントラストの低下を低減できる。
【0049】
(5)本実施形態において、インタラクティブボード50及びパーソナルコンピュータ70が1台のみ使用されている例を示したが、これに限らず、例えば、複数のパーソナルコンピュータ70をインターネット等に接続した状態で複数のインタラクティブボード50を使用してもよい。このような形態とすれば、遠隔地であっても描画された情報を共有することができ、テレビ会議システム等との併用により、遠隔地同士の会議を効率的に行うことができる。
【0050】
(6)本実施形態において、プリズム層11は、光拡散層12の入射側の面にUV成形により一体に形成される例を示したが、これに限らず、例えば、プリズム層は、単位プリズムが複数形成されるプリズム形状層とプリズム基材層とを備える形態とし、プリズム基材層の入射側の面にUV成形等によりプリズム形状層を複数配列して形成したものとし、このようなプリズム層を接合層を介して光拡散層12の入射側に一体に積層する形態としてもよい。
【0051】
(7)本実施形態において、防眩層が機能基材層141の出射側に形成される例を示したが、これに限らず、例えば、基板層13が樹脂製等の場合には、防眩層を基板層13の出射側の面に一体に形成してもよい。
このような形態とすることにより、スクリーンの薄型化を図ることができる。また、スクリーンを構成する層が少なくなるので、層間の界面で反射する光量を抑えることができ、透過光量を上げ、明るい映像を表示できる。
【0052】
(8)本実施形態において、インタラクティブボードシステムは、入力部80が接したスクリーンの観察面上の座標位置を検出してパーソナルコンピュータ70へ出力する例を示したが、これに限らず、例えば、インタラクティブボードとは別体であってパーソナルコンピュータ70に有線又は無線で接続される不図示の入力装置等に入力部80により使用者Sが筆記した文字等の情報をスクリーン上に投影する形態としてもよい。なお、このような別体の入力装置としては、タブレット等を用いることができる。
【0053】
(9)本実施形態において、光拡散層12の含有する拡散材は、シリコン系ビーズとアクリル系ビーズの2種類であったが、これに限らず、例えば、拡散作用の異なる3種類以上の拡散材を用いてもよい。
【0054】
(10)本実施形態において、光拡散層12は、その厚さが200μmである例を示したが、これに限らず、スクリーンの画面サイズに応じて、適宜その厚さを選択してよい。
【0055】
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0056】
10 スクリーン
11 プリズム層
111 単位プリズム
12 光拡散層
13 基板層
14 表面機能層
15a,15b 接合層
50 インタラクティブボード
51 支持部材
60 光源部
70 パーソナルコンピュータ
80 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側から映像光を投射するインタラクティブボード用の透過型スクリーンであって、
入射側に設けられ、光が入射する入射面と前記入射面から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面とを備える単位プリズムが複数配列されたプリズム層と、
前記プリズム層よりも出射側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層と、
前記プリズム層よりも出射側に設けられ、該透過型スクリーンの平面性を維持する剛性を有する基板層と、
を備え、
前記光拡散層は、拡散特性の異なる2種類の拡散材である第1拡散材及び第2拡散材を含有しており、
前記第1拡散材は、前記光拡散層の母材との屈折率差が、前記第2拡散材と前記光拡散層の母材との屈折率差に比べて大きく、その拡散作用が前記第2拡散材よりも大きく、
前記第2拡散材は、前記光拡散層をスクリーン面の法線方向から見た単位面積あたりに存在する前記第2拡散材の表面積の和が前記単位面積の2倍以上であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記光拡散層の前記第1拡散材及び前記第2拡散材を含有する母材は、アクリル系樹脂であり、前記光拡散層の厚さは、200μmであること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。
【請求項3】
請求項2に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記第1拡散材は、シリコン製の粒子であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
前記第2拡散材は、アクリル系樹脂製の粒子であること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンにおいて、
出射側に、少なくともハードコート機能を有する機能層を備えること、
を特徴とするインタラクティブボード用の透過型スクリーン。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のインタラクティブボード用の透過型スクリーンと、
前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンを支持する支持部材と、
を備えるインタラクティブボード。
【請求項7】
請求項6に記載のインタラクティブボードと、
前記インタラクティブボードの前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの背面側から映像光を投射する光源部と、
前記インタラクティブボード用の透過型スクリーンの観察面への接触による入力を検出して検出信号を出力する検出部と、
前記検出部からの検出信号に応じて、表示する映像に応じた映像光を前記光源部から投影させる制御部と、
を特徴とするインタラクティブボードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−41122(P2013−41122A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178094(P2011−178094)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】