説明

インターフェース

1つの第1の工具要素(1)と1つの第2の工具要素(1')との間のインターフェースであって、第1または第2の工具要素に設けられた1つの突出部(25)と、第2または第1の工具要素に設けられ、突出部を受け入れる1つのリセス(3)と、を有するインターフェースが提案される。このインターフェースは、リセス(3)が多角形および/または星形に構成される様々な突出部(25)を対象として設計された内側輪郭形状(5)を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの第1の工具要素と1つの第2の工具要素との間のインターフェースに関する。
【0002】
ここでは、工具要素と工具要素の間の接続部位を、インターフェースという概念で表しているが、これらの工具要素は、加工物の表面加工に利用される部品、あるいはアダプタ、コネクタ、またはその類でよい。ここでは1つの工具要素を取り付けることができる工作機械のスピンドルも、工具要素という概念で表している。
【背景技術】
【0003】
ここで論じる種類の様々なインターフェースが知られている。これらは、つまるところ、インターフェースを介してトルクを伝達できるように、2つの工具要素を接続するために利用されるものである。工具ヘッドと工具ホルダとを接続するための、回り止め機構ならびに軸方向固定機構を備える工具カプラが知られている(ドイツ特許出願公開第35 32 891号)。そのようなインターフェースは、トルクが伝達可能なように2つの工具部材を互いに接続するために利用されている。接続に際しては、それぞれの工具要素が、つながったときに自動的に固定可能であると同時に、その操作が可能である点にも、配慮しなければならない。トルクが確実に伝達されるようにする、すなわち回り止めを保証するために、少なくとも1つの回し金を設けることが提案されている。他にも、工具要素と工具要素の間に、例えば多数の歯を有する歯形など、多角形の接続部を実現する可能性についても論じられている。そのようにして実現されたインターフェースについては、十分なトルクの伝達が不可能であること、さらに、インターフェースに配置されるそれぞれの工具要素の正確な位置合わせを保証できないことが判明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、これらの短所を有していない、第1および第2の工具要素間のインターフェースを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、請求項1に記載の各特徴を有する、第1および第2の工具要素間のインターフェースが提案される。このインターフェースは、工具要素の一方に1つの突出部を、他方にこの突出部を受け入れる1つのリセスを設けるようにして実現されている。このインターフェースは、リセスが、多角形および/または星形に構成された様々な突出部に対応するように設計された1つの内側輪郭形状を有することによって、傑出したものとなっている。重要な観点として、この内側輪郭形状は、最良のトルク伝達を保証する複数の湾曲領域を有しており、そこでは、インターフェースに対して配置されるそれぞれの工具要素が、切欠き効果を持つ箇所が一切生じないように、互いにぴたりとはまり合うようになっている。そのような箇所は、インターフェースを損傷しかねない上に、互いに組み合わされる工具部材の正確な位置合わせが、それにより困難になることがある。特にこのインターフェースは、リセスの内側輪郭形状のそれぞれの湾曲領域が、異なる形状に構成された突出部を受け入れて正確に保持することができるように構成されることによって傑出したものとなっている。すなわち、このリセスには、多角形または星形に構成された様々な突出部を差し込むことが可能であり、それにより、このリセスを備えた工具要素の使い勝手が大幅に向上している。このリセスは、1つの特殊な形状に構成された突出部だけを対象として設計されたものではない。そうではなくて、様々な形状に構成された複数の突出部を、リセスにはめ込んで正確に保持することが可能である。
【0006】
インターフェースの好ましい例示的実施形態の1つは、リセスが、1つの第1の領域に互いに隣接する、内側から見て凹状に構成された複数の部分が設けられており、かつ1つの第2の領域が、少なくとも1つの凹状の第1の部分と、これに隣接する少なくとも1つの凸状の第2の部分とを有している、1つの内側輪郭形状を呈することによって、傑出したものとなっている。これらの2つの領域の構成形状が組み合わされることにより、このリセスに、実質的に多角形に構成された様々な突出部を差し込むことも、また星形に構成された外側輪郭形状を有する様々な突出部を差し込むことも可能となる。
【0007】
以下において「多角形」の突出部とは、隣接する面が異なる角度で交わって複数の稜を形成している、平坦な面だけからなる外側輪郭形状を有する突出部をいう。面のいくつかが、外側に向かって凸状に膨らんでおり、それぞれ平坦な面に隣接している外側輪郭形状も、多角形と呼ぶ。それ以外にも、多角形の突出部の外側輪郭形状を実現するために、平坦面と凹状面、または凸状面と凹状面を選択することもできる。
【0008】
以下において「星形」に構成された様々な突出部とは、相互に一定の距離をおいて配置され、側面が平坦であるかまたは湾曲している、複数の突起を有する、様々な突出部のことであると解釈されるものである。その際にこれらの側面は、内側に向かって凹状に引っ込んでいても、あるいは外側に向かって凸状に膨らんでいてもよい。星形の突出部の突起先端部は、尖っている、すなわち鋭角で交わる隣接する2つの面により形成されてもよいし、あるいは、一定の半径を描いていてもよい。この場合、突起の両側面の半径は、この突起の先端部の半径と等しくてもよい。
【0009】
その他の構成形態については、従属請求項から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明を図面に基づき詳しく説明する。
【0011】
図1には、ここには示されていない第2の工具要素の1つの突出部を受け入れて、第1の工具要素1と第2の工具要素間の回転を防止した接続状態を実現するために利用される1つのリセス3を備える、インターフェースの第1の工具要素1の上面図が示されている。
【0012】
リセス3は、図1の紙面の奥の方へと延びており、ここでは2つの部分、具体的には実質的に円筒状に構成されている部分と、図1において図を見る者に向かって拡幅している1つのテーパした内面を有する部分とを有している。まず、内側輪郭形状5を有する第1の部分について詳しく説明する。
【0013】
内側輪郭形状5は、多角形および/または星形に構成された様々な突出部を受け入れられるようにするために、円周方向に見て様々な形状に構成された複数の領域を有している。内側輪郭形状5は、図1の上側に、第1の、内側から見て凹状の部分9a、9bおよび9c、ならびに第2の凹状の部分11aおよび11bからなる、第1の領域7を有している。水平に延びる直径線D1の下側には、この直径線に関して対称に構成されたもう1つの第1の領域7'が配置されており、この領域7'は、同様に凹状に構成された第1の部分9'a、9'bおよび9'cを有しており、それらの間に凹状に構成された第2の部分11'aおよび11'bが配置されている。
【0014】
これらの第1領域7および7'の間には、少なくとも1つの凹状の第1の部分15と、これに隣接する少なくとも1つの凸状の第2の部分とを有する、少なくとも1つの第2の領域13が配置されている。ここに示される例示的実施形態においては、内側から見て凹状に構成された第1の部分15の両側に、凸状に構成された2つの部分17aおよび17bが隣接するように、この第2の領域13が水平な直径線D1に関して対称に構成されている。
【0015】
第1の直径線D1と直交する垂直な直径線D2に関して対称に、凹状に構成された1つの第1の部分15'を有しており、ここではその両側に凸状に構成された2つの部分17'aおよび17'bが隣接している、もう1つの第2の領域13'が設けられている。
【0016】
図1に示される例示的実施形態においては、第1の領域7および7'が、垂直な直径線D2に関して対称に構成されることが明らかである。
【0017】
第1工具要素1を図1を見る者と向き合った側の端部を上から見たこの上面図に示されるように、第1の工具要素1の前面は、ここでは連続した環状面として構成されている1つの端面19を有する。この端面19は、第1の工具要素1の中心軸21に対して垂直な1つの仮想平面内に位置している。この中心軸21は、第1の工具要素1が工作機械に接続されている場合、または、第1の工具要素1が工作機械のスピンドルである場合は、この工具要素の回転軸にもなっている。
【0018】
ここでは端面19が、内部に向かって先細になる1つのリセス領域23を取り囲んでいるが、このリセス領域23は、リセス3の第2の部分に分類されるものであって、図1の紙面の奥の方へと延びている。これは、リセス3の第1の円筒状の部分に移行している。
【0019】
すなわち、ここでは第1の工具要素1に設けられたリセス3が、2つの部分、具体的には、上記で説明したような内側輪郭形状5を有する円筒状のリセス領域、ならびに、ここでは図1の紙面の奥の方へと円錐状に先細になっているリセス領域23を有する。ここで付言しておくが、リセス領域23が、円錐部分の側面の形状に構成される内面を有しておらず、円筒状に構成されているインターフェースも実現することができる。
【0020】
図2には、図1に基づいて説明した、内側輪郭形状5とリセス領域23とからなるリセス3を備えた第1の工具要素1が示されている。図1に示されているそれ以外の符号はみな、簡素化のために省略した。図2は、第1の工具要素の同じ前面図を示したものなので、図1に関する説明を参照されたい。
【0021】
図2と図1との間の唯一の相違点は、上述の内側輪郭形状5を有するリセス3の円筒状の部分の内側に、突出部25の第1の例示的実施形態の輪郭形状が描かれている点にあり、その外側輪郭形状27は、上記に掲げた定義に則して多角形に構成されている。ここに示される突出部25の例示的実施形態は、2つの平行な第1の部分29および29'を有する外側輪郭形状27を有しており、これらの部分29および29'は、垂直な直径線D2に関して一定の距離をおいて対称に配置されるとともに、水平な直径線D1に関して対称に構成される、外側輪郭形状27の凸状の第2の部分31、31'に隣接している。第2の部分31、31'は、内側輪郭形状5の第1領域7、7'の第2部分11a、11bおよび11'a、11'bの曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有する円筒の部分面を形成している。外側輪郭形状27のこれらの第2の部分31、31'の水平な直径線D1までの距離は、突出部25の外側輪郭形状27が、これらの凸状部分31、31'の領域において、内側輪郭形状5の凹状部分11a、11bおよび11'a、11'bに当接するように選定されている。
【0022】
突出部25の幅は、互いに平行に延びる第1の部分29、29'の領域においては、これらが実質的に内側輪郭形状5の第2領域13、13'の凸状の第2部分17a、17bおよび17'a、17'bに当接するように選定されている。
【0023】
図2から、突出部25が、上側および下側で、円筒状のリセス領域の内側輪郭形状5に確実に支持されること、さらに、その面同士が平行な第2部分29、29'もまた、内側輪郭形状5の第2の領域13、13'内で、具体的にはその凹状の第2の部分17a、17bおよび17'a、17'bによって確実に支持されることが明らかである。
【0024】
すなわち、第1の工具要素1の円筒状のリセス領域の特殊な形状に構成された内側輪郭形状5は、突出部25の少なくともいくつかの領域を微小な遊びで受け入れるようになっており、そこでは高トルクを伝達することができる。
【0025】
図2に略示される突出部は、公知の形状を有している。
【0026】
最後に図2には、工具要素の円筒状のリセス領域の、内側輪郭形状5の領域内に位置することになる、突出部25の1つの円筒状の突出部領域が示されているだけである。図2には示されていないが、この突出部25はまた、図を見る者に向かって拡幅している、1つの円錐形の突出部領域を有しており、その円錐部分の側面の形状に構成された外壁が、工具要素1のリセス3の円錐形のリセス領域23の内壁に当接するようになっている。
【0027】
図3には、第1の工具要素1の上面図が示されるが、その細部については、図1のところで説明した。したがって、図1に記載される符号は、図3には再掲しておらず、図1に関する説明を参照されたい。内側輪郭形状5を有する円筒状のリセス領域の内側には、ここでは星形に構成された1つの突出部25'の外側輪郭形状27'が描かれているが、これは、周方向に互いに等間隔で配置される、一様に構成された複数の凸状の突起33を呈しており、それぞれの突起33の間には凹状の凹み35が配置されている。これらの突起33および凹み35は、ここでは同じ曲率半径を有しており、またそこではそれぞれの突起33および凹み35が、仮想中心面に関して対称に構成されている。
【0028】
これらの突起は、凸状の、すなわち外側に向かって膨らんだ両側面と、凸状の先端部とを有する。両側面と先端部は、同じ曲率半径を有する。
【0029】
図3から明らかなように、突出部25'の外側輪郭形状27'は、内側輪郭形状5の第2の領域13および13'と、その他に、第1の領域7および7'の第1の部分9a、9b、9c、および、9'a、9'bおよび9'cに、面同士で当接している。
【0030】
突出部25の外側輪郭形状27'が、リセス3の内側輪郭形状5に当接していないのは、第1の領域7および7'の第2の部分11a、11bおよび11'a、11'bのところだけである。
【0031】
突出部25'の外側輪郭形状27'が、リセス3の内側輪郭形状5に、ほぼ面全体にわたり面同士で当接するため、インターフェースの両方の工具要素間で非常に高いトルクを伝達することができる。
【0032】
つまるところ図1から図3に示した第1の工具要素1は、多角形の外側輪郭形状27を有する突出部25も、また星形の外側輪郭形状27'を有する突出部25'も、リセス3に差し込むことが可能であり、また、少なくとも部分的に面同士で内側輪郭形状5に当接するので高トルクを伝達可能であり、傑出したものとなっている。また、突出部25'のこの例示的実施形態においては、図2に示される多角形の突出部25の場合よりも一段と高いトルクを伝達できることが明らかである。
【0033】
図1から図3に関する以上の説明から明らかなように、第1の領域7および7'の第2の部分11a、11bおよび11'a、11'bは、必ずしも凹状に構成する必要はない。少なくとも突出部25の外側輪郭形状27が相応に適合されるなら、ここに平坦な領域を設けることも考えられるかもしれない。その場合は、第2の部分31、31'を変更しなければならないかもしれない。これらは、連続的に凸状に構成されるのではなく、当該箇所に平面を有することが求められるであろう。
【0034】
いずれにせよ、図3に基づいて説明したような外側輪郭形状27'を有する星形の突出部25'の使用を、このケースにおいても採用できるであろうことは明らかである。言うなれば、第1の領域7および7'のそれぞれの領域11a、11bおよび11'a、11'bと、突出部25'の外側輪郭形状27'との間に、自由空間が生じていることが判明している。そのため、問題の領域11a、11bおよび11'a、11'bを、凸状ではなく平坦に構成することも可能である。
【0035】
それ以外にも、図3から明らかなように、これらの第2の領域11a、11bおよび11'a、11'bもまた、内部輪郭形状5に関して内側から見て凸状に構成することができるかもしれないが、それにより、内側輪郭形状5は星形に構成されることになり、その結果、これらの領域も同様に、突出部25'の外側輪郭形状27'に面全体にわたり面同士で当接することになるであろう。したがって、図3から明らかな、内側輪郭形状5と突出部25'の外側輪郭形状27'との間の空間がなくなることになるであろう。それにより、突出部25'の外側輪郭形状27'が、工具要素1のリセス3の内側輪郭形状5に面全体にわたり面同士で当接するので、非常に高いトルクを伝達できるようになる。
【0036】
図4には、第2の工具要素1'の側面図が示されている。インターフェースを実現するためには、この第2の工具要素1'がどのように構成されているかは重要ではない。これは、コネクタ、アダプタ、あるいは、ここに示されるように、少なくとも1つの、ここでは複数の、幾何形状が定義されていて、チップの部材となっている切刃を備える工具ヘッド37であればよい。インターフェースを実現するのに、第2の工具要素1'の構成形態は、それ以上は重要ではないので、ここではこの工具ヘッド37の詳細な構成形態について、これ以上詳しくは説明しない。肝要なのは、工具ヘッド37が1つの突出部25'を有することである。これには、第1の工具要素1のリセス3の円錐形に構成されたリセス領域23に当接するように構成された1つの円錐部分の側面の形状の外面を有する、円錐状に先細になる1つの突出部領域39が含まれている。
【0037】
突出部25'は、その工具ヘッド37とは反対側の端部39に、1つの円筒状の突出部領域41を有しており、その外側輪郭形状27'は、図3に基づいて既に説明したように、星形に構成されている。
【0038】
突出部25'の最大外径は、工具ヘッド37の外径よりも小さくなっている。したがって、突出部25'を取り囲み、第2の工具要素1の中心軸45に対して垂直な1つの平面内に位置する、1つの、ここでは環状の端面43が構成されるようになっている。
【0039】
インターフェースが組み付けられた状態にあるとき、円筒状の突出部領域41は、その外側輪郭形状27'により、図1から図3に基づいて説明したような内側輪郭形状5を有する円筒状のリセス領域と係合する。それに対応して、円錐形の突出部領域38は、第1工具要素1のリセス3の円錐形のリセス領域23に当接する。最後に、第1の工具要素1の端面19が、第2の工具要素1'の端面43と互いに当接し、それにより、インターフェースの両方の工具要素1、1'は相互に正確に位置合わせされる。
【0040】
図5には、図4に示される第2の工具要素1'の突出部25'の上面図が示されている。同じ部品には同じ符号が付してあるので、これらについては図4に関する説明、および、突出部25'の外側輪郭形状27'について既に説明している図3に関する説明を参照されたい。
【0041】
はっきりと確認できるように、図5に示される例示的実施形態においては、端面43に複数の切削油/潤滑剤通路47が開口している。これに対応して、工具ヘッド37の作動状態にある切刃の潤滑が所望される場合は、第1の工具要素1の端面19に、図1から図3には簡素化のために示されていない、そのような切削油/潤滑剤通路が備えられることになる。
【0042】
図5には、突出部25'のテーパした突出部領域38および円筒状の突出部領域41が示されているが、この突出部25'は、周方向に均等に分散して配置された複数の突起33を有しており、それらの間に凹状の凹み35が配置されている。突起33および凹み35の構成形態については、既に上記で図3に基づき詳しく説明したので、ここでは繰り返すのを省略する。
【0043】
これから明らかであるように、第2の工具要素1'の突出部25'は、第1の工具要素1のリセス3に何らの支障もなくぴたりと嵌り合い、その外側輪郭形状27'がリセス3の内側輪郭形状5'に対して実質的に相補的に構成されるために、そこで、第2の部分11a、11bおよび11'a、11'bのところを除き、リセス3の内側輪郭形状5に面同士で当接する。それにより、インターフェースに対して配置される両方の構成部品間で、最大限のトルクを伝達できるようになる。上記で明言したように、内側輪郭形状5は、星形に構成されていてもよい。この場合、突出部25'は、リセス3の内側輪郭形状5に面全体にわたり面同士で当接することになる。
【0044】
図6には、第1の工具要素10の第2の例示的実施形態の上面図が示されている。同一部品および機能的に同じ部品には、同じ符号が付されているので、これらについては前の説明を参照されたい。
【0045】
この第1の工具要素10は、星形の内側輪郭形状5を有する1つのリセス3を有する。
【0046】
図1から図3に示される第1の工具要素1に対する決定的な相違点は、このリセス3が偏心して配置される点にある。ここではリセス3の中心49が、垂直な直径線D2から左側に距離eをおいて配置されているが、第1の工具要素1の中心軸21と同様に、水平な直径線D1上に位置している。
【0047】
図6に示される例示的実施形態においても、リセス3は、内側輪郭形状5を有する1つの円筒状のリセス領域と、図を見る者に向かって拡幅し、1つの端面19によって取り囲まれている1つのテーパ状のリセス領域23を有していてよい。この端面19は、第1の工具要素10の中心軸21に対して垂直な1つの仮想平面内に位置している。リセス3が偏心して配置されるため、端面19の幅は、図1から図3に示される例示的実施形態の場合とは異なり、一定ではない。
【0048】
端面19には、図5を参照して第2の工具要素1'の端面43に基づいて説明したように、複数の切削油/潤滑剤通路が開口していてよい。
【0049】
この第1の工具要素10と協働する、ここには示されていない第2の工具要素1'は、その突出部25'が第2の工具要素1'の中心軸45と同心に配置されることが好ましい。
【0050】
リセス3が第1の工具要素10に偏心して配置されるため、以下の効果がもたらされる。差し込まれた第2の工具要素1'の水平な直径線が、図6に示される第1の工具要素10の水平な直径線D1と同じ位置になるように、第2の工具要素1'を差し込むことができる。しかし、リセス3が星形に構成されることを考慮に入れて、第2の工具要素1'を一定の回転角度だけ回転させ、続いて図6に示されているリセス3に差し込むこともできる。この場合は、第1の工具要素10の直径線D1は水平であるが、差し込まれた第2の工具要素1'の直径線D'1は、例えば時計回り方向に45°の角度だけ旋回して配置される。図6には、旋回して差し込まれた第2の工具要素の直径線D'1が描かれている。
【0051】
図6に示される第1の工具要素10に差し込まれる第2の工具要素1'が、中心49まわりに一定の角度だけ旋回して差し込まれ、さらに、リセス3が偏心して配置されることにより、第2の工具要素1'に設けられた1つの切刃の、第1の工具要素10の中心軸21に対する距離を変更することができる。すなわち、リセス3が偏心して配置される場合は、様々な加工直径を実現することが可能となる。
【0052】
図6から明らかなように、図6に示される第1の工具要素10に差し込まれる第2の工具要素1'の直径線D'1の旋回は、第1の工具要素10の偏心リセス3の中心49まわりで行われる。
【0053】
これから明らかなように、第2の工具要素を図6の第1の工具要素10に対して回転する際の加工直径の変化は、リセス3の星形の内側輪郭形状5のピッチがどのように選定されるかによって決まる。図6に示される例示的実施形態においては、内側輪郭形状が8つの突起51を有しており、その中に、第2の工具要素の、図5の突起33と等しいそれぞれの突起が嵌り込めるようになっている。
【0054】
内側輪郭形状5の突起51の個数をそれよりも大幅に増大することも十二分に可能であり、それにより、両方の工具要素が相対回転する際には、図6に示される例示的実施形態の場合よりも小さい、相互の相対位置変化を実現することができる。
【0055】
図6には、一例として、第2の工具要素に取り付けられる、直径線D1上に配置された1つの切刃55を有する1つのチップ53が略示されている。したがってこの切刃は、第1の工具要素10の中心軸21からの距離r1を有している。第1の工具要素10は中心軸21まわりに回転するため、切刃55は半径r1の1つの軌跡円上に位置することになる。したがって、この切刃55を用いてボアを加工する際には、これと等しい加工直径が生じることになる。
【0056】
チップ55を有する第2の工具要素を第1の工具要素10から取り外して、反時計回り方向に回転させ、再び第1の工具要素10に差し込むと、切刃55から回転軸21までの距離が変化する。図6には、時計回り方向に135°回転された、切刃55'を有するチップ53'が描かれている。ここでは切刃55'が、リセス3の偏心率のために、回転軸21に対して距離r2のところに位置している。その際、r2>r1である。
【0057】
第2の工具要素を180°回転して第1の工具要素10に差し込む場合は、チップ53"がチップ53の反対側に位置することになる。それに対応して切刃55"は、切刃55の反対側に配置される。そこでは切刃55'が、直径線D2に対して距離r3のところに位置する。ここでは、r3がr2よりも大きく、さらにはr1よりも大きい。切刃55"から直径線D2までの距離r3は、r1+eである。
【0058】
偏心率をe=0.58mmとし、第1位置における切刃55の直径線D2までの距離をr1=14.51mmに設定すると、切刃55"が再びこの直径線D1上に位置する、その反対側の位置における距離r3は、r3=15.67mmとなる。切刃55'の回転軸21までの距離は、r2=15.52mmとなる。
【0059】
すなわち、これから明らかなように、第1の工具要素10のリセス3が偏心して配置されるため、リセス3に差し込まれる突出部25を有する第2の工具要素を回転する場合、第2の工具要素が180°回転されると、切刃55の距離r1がr3に増大するようになっている。
【0060】
すなわち切刃の距離は、第1位置においてはr1、第2位置においてはr2、第3位置においてはr3となる。
【0061】
星形のリセスr3のピッチ、ならびに第2の工具要素の突出部のピッチをそれよりも小さくした場合は、両方の工具要素間のそれよりも小さな相対位置変化を実現することが可能となり、それにより、切刃の中心軸21までの距離の、それよりも小さな変化を実現することも可能となる。偏心率eを変更することによっても、半径のr1からr3への変更に影響が与えられるようになる。
【0062】
切刃の軌跡円の半径または直径の変更は、一方では、直径が異なるボアを加工する必要がある場合に、また他方では加工物の加工により切刃55が磨耗した場合に所望されることがある。
【0063】
さらにここに明言しておくが、第2の工具要素の突出部25も、その中心軸45に対して偏心して配置される場合も同様に、第1の工具要素10と、切刃53を有する第2の工具要素との組付け時の相対回転の際に、切刃の中心軸55までの距離の変更を達成することができる。
【0064】
さらに再度付言しておくが、リセス3が、通常のように工具スピンドルに設けられ、それに対応して突出部が、そこに取り付けられることになる別の工具要素に配置されるのか、それともその逆であるのかは、インターフェースにとって重要ではない。一方では、リセス3および突出部25の特殊な構成形態により、一段と高いトルクを伝達することが可能となり、他方では、図6に示される構成形態の場合には、第2の工具要素の切刃の軌跡円の変更が可能となる。
【0065】
ここに論じる種類のインターフェースにおいては、リセスに1つの円錐形のリセス領域23が、突出部25に1つの円錐形の突出部領域38が設けられ、それによりこれらの円錐形の領域を介して主トルクが伝達されるようになる。ピークトルクは、ここに説明される内側ないしは外側輪郭形状を有するリセス3と突出部領域41の間の形状係合によって伝達される。
【0066】
第1の工具要素1または10および第2の工具要素1'を有するインターフェースでは、両方の工具要素を、定義されている1つの回転位置にあるときだけ、互いに嵌め合わせて接合することができるようにすることもできる。これは、リセス3の内側輪郭形状のピッチと、突出部25または25'のピッチを、不等にすることによって実現することができる。それにより、適切な設計の場合には、所定の回転位置にあるときだけ、突出部がリセスに差し込み可能となることを保証することができる。
【0067】
しかし、両方の工具要素の接触領域に、一方では、1つのピンまたはその類を一方の工具要素に設け、他方では、1つの凹所を他方の工具要素に設けることも考えられる。それにより、ピンがこの凹所に嵌り込むときだけ、両方の工具要素が接合可能となることが保証される。それにより、両工具要素の定義された回転角度位置の決定が行われるようになる。
【0068】
両方の工具要素のそのような位置合わせは、一方では、それぞれの端面に開口している各切削油/潤滑剤通路の位置を相互に合わせるために、または他方では、第1の工具要素に設けられた切刃が、第2の工具要素に設けられたガイドレールまたは切刃に対して所定の位置に配置されることを保証するために重要となることがある。また、インターフェースの領域において、両工具要素を所望に位置合わせすることにより、インターフェースが組み付けられた状態にあるとき、それぞれの工具要素の外周面に設けられたチャック用および/または潤滑用の溝の位置が互いに合うことを保証できるようになる。
【0069】
図1から図6に関する以上の説明から明らかなように、本インターフェースは、その2つの工具要素が嵌め合わされる領域において、簡単に構成されるとともに、高トルクの伝達を保証するものである。図1から図3に基づいて明らかにしたように、リセス3を適切に設計した場合は、一方では多角形に、また他方では星形に構成される様々な突出部が、このリセスに嵌り込むことができるので、そのようなリセスを備える第1の工具要素1を汎用型として使用することが可能となる。すなわち、既存の工具システムに、図1から図3に基づいて説明したような第1の工具要素1を備え付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】リセスを備える第1工具要素の第1の例示的実施形態の上面図である。
【図2】図1に示される第1工具要素を、第2工具要素の突出部の第1の例示的実施形態の輪郭形状とともに示した上面図である。
【図3】図1に示される第1工具要素を、別の工具要素の突出部の第2の例示的実施形態の輪郭形状とともに示した上面図である。
【図4】第2工具要素の側面図である。
【図5】図4に示される第2工具要素の突出部の上面図である。
【図6】リセスを備える第1工具要素の第2の例示的実施形態の上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの第1の工具要素(1;10)と1つの第2の工具要素(1')との間のインターフェースであって、前記第1または第2の工具要素に設けられた1つの突出部(25;25')と、前記第2または第1の工具要素に設けられた、前記突出部を受け入れる1つのリセス(3)とを有しているインターフェースにおいて、
前記リセス(3)が、多角形および/または星形に構成される様々な突出部を対象として設計された内側輪郭形状(5)を有することを特徴とするインターフェース。
【請求項2】
前記内側輪郭形状(5)が、凹状の第1および第2の部分(9、11)を有する少なくとも1つの第1の領域(7)を有することを特徴とする、請求項1に記載のインターフェース。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の領域(7)の前記第1および第2の部分(9、11)が、異なる曲率半径を有することを特徴とする、請求項2に記載のインターフェース。
【請求項4】
前記内側輪郭形状(5)が、複数の凹状の第1の部分と該第1の部分の間に配置された平坦な第2の部分と、からなる少なくとも1つの第1の領域を有することを特徴とする、請求項1に記載のインターフェース。
【請求項5】
前記内側輪郭形状(5)が、複数の凹状の第1の部分と該第1の部分の間に配置された凸状の第2の部分と、からなる少なくとも1つの第1の領域を有することを特徴とする、請求項1に記載のインターフェース。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の領域の前記第1および第2の部分のそれぞれの曲率半径が、同じ曲率半径であることを特徴とする、請求項5に記載のインターフェース。
【請求項7】
前記内側輪郭形状(5)が、少なくとも1つの凹状の第1の部分(15)と、これに隣接する少なくとも1つの凸状の第2の部分(17)とを含む、少なくとも1つの第2の領域(13)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項8】
前記内側輪郭形状(5)が、互いに向き合わせて配置される2つの第1の領域(7;7')と、その他に、互いに向き合わせて配置される2つの第2の領域(13;13')を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項9】
前記向き合わせて配置される2つの第1の領域(7;7')、および前記向き合わせて配置される2つの第2の領域(13;13')が、それぞれ同一に構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項10】
前記リセス(3)の前記内側輪郭形状(5)が、1つの第1の直径線(D1)および前記第1の直径線と直交して延びる1つの第2の直径線(D2)に関して対称であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項11】
前記第1の工具要素(10)の前記リセス、および/または、前記第2の工具要素の前記突出部が、それぞれ前記第1および/または第2の工具要素の中心軸(21;45)に対して偏心で配置されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項12】
前記突出部および前記リセスが、それぞれ1つの円錐部分の側面の形状に構成された領域(38;23)を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項13】
前記突出部および前記リセスが、それぞれ少なくとも1つの円筒状の領域を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項14】
前記リセス(3)の前記内側輪郭形状(5)が、前記リセスの前記円筒状のリセス領域内に設けられることを特徴とする、請求項13に記載のインターフェース。
【請求項15】
前記各工具要素が、前記突起または前記リセスを取り囲む端面(19;43)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項16】
少なくとも1つの切削油/潤滑剤通路(47)を特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項17】
前記切削油/潤滑剤通路が、前記各端面(19、43)に開口する複数の部分通路を有することを特徴とする、請求項16に記載のインターフェース。
【請求項18】
インターフェースに対して配置される前記各工具要素の1つの定義された回転角度位置を保証するために、前記リセスの前記内側輪郭形状のピッチおよび前記突出部のピッチが不等であることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のインターフェース。
【請求項19】
インターフェースに対して配置される2つの工具要素の接合を、1つの定義された回転位置だけにおいて許容する、1つの位置合わせ装置が設けられることを特徴とする、請求項16または17に記載のインターフェース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−504427(P2009−504427A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527366(P2008−527366)
【出願日】平成18年8月19日(2006.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008192
【国際公開番号】WO2007/022930
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(597099025)マパル ファブリック フュール プラツィジョンズベルクゼウグ ドクトル.クレス カーゲー (24)
【Fターム(参考)】