説明

インターホン装置

【課題】強制的に音声信号が送信されてきた場合に、受信側において音声信号の出力を禁止可能とすることにより使い勝手の向上を図ったインターホン装置を提供する。
【解決手段】インターホン子機3a、3bにおいて、インターホン親機2から強制信号を受信した際に、マイク21及びスピーカ22の動作をオンとするか否かを、マイク21及びスピーカ22共に許容する通話モード、スピーカ22についてのみ許容するスピーカモード、マイク21及びスピーカ23共に禁止する禁止モードの3つの段階で選択設定することができるようにした。また、たとえばインターホン子機3aにおいてマイク21のみならずスピーカ22の動作も禁止する禁止モードを選択設定している場合には、呼出対象であインターホン子機3a及び呼出元であるインターホン親機2の双方で禁止音をスピーカ12、22から出力するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン子機及びインターホン親機等の複数のインターホン機器を通話可能に接続してなるインターホン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばインターホン子機とインターホン親機とを通話可能に接続してなるインターホン装置においては、インターホン親機からインターホン子機へ音声信号を強制的に出力し、インターホン子機において何ら操作を必要とすることなく、インターホン子機のスピーカから強制的に音声を出力させるような機能を有するものがある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−23667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなインターホン装置によれば、受信側(上記背景技術ではインターホン子機側)から強制的に音声が出力されてしまうため、たとえばインターホン子機を会議室等に設置していたりすると、会議中であるにも拘わらず音声が出力されてしまう事態が想定され、使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、強制的に音声信号が送信されてきた場合に、受信側において音声信号の出力を禁止可能とすることにより使い勝手の向上を図ったインターホン装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、通話のためのマイク及びスピーカと、操作部と、操作部の操作に応じて自身の動作を制御する制御部とを備えた少なくとも2つのインターホン機器が通話可能に接続されており、一方のインターホン機器の操作部において呼出操作されたことにより他方のインターホン機器を呼び出し、他方のインターホン機器の操作部において応答操作されたことにより一方のインターホン機器と他方のインターホン機器との間で通話が可能となるインターホン装置であって、一方のインターホン機器に、自身の操作部において呼出操作とは異なる音直操作されたことにより、自身のマイク及びスピーカの動作をオンするとともに他方のインターホン機器に所定の信号を送信し、他方のインターホン機器において、操作部の操作を伴わずにマイク及びスピーカの動作がオンされる音直モードを設定する一方、他方のインターホン機器に、所定の信号の受信に伴いマイク及びスピーカの動作をオンする事態を、マイク及びスピーカ共に許容する、スピーカについてのみ許容する、マイク及びスピーカ共に禁止するの少なくとも3つの段階で選択する選択手段を設け、更に、一方のインターホン機器に、音直操作した際に他方のインターホン機器においてマイク及びスピーカ共に禁止するが選択されていると、その旨を報知する報知手段を設けたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、他方のインターホン機器に、所定の信号の受信に伴いマイク及びスピーカの動作をオンする事態を、マイク及びスピーカ共に許容する、スピーカについてのみ許容する、マイク及びスピーカ共に禁止するの少なくとも3つの段階で選択する選択手段を設けているため、たとえば呼出対象となる他方のインターホン機器を会議室に設置していた場合、マイク及びスピーカ共に禁止するを選択することにより、会議中等に他方のインターホン機器から強制的に音声が出力されてしまうことを防止したり、会議の内容等が不用意に呼出元となる一方のインターホン機器から出力されてしまうような事態を防止したりすることができ、使い勝手が良い。
また、一方のインターホン機器に、音直操作した際に他方のインターホン機器においてマイク及びスピーカ共に禁止するが選択されていると、その旨を報知する報知手段を設けているため、呼出対象側ではマイク及びスピーカ共に動作していないにも拘わらず、呼出元側でマイクに喋り続けるといった事態を防止することができ、使い勝手が一層良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、たとえば呼出対象となるインターホン機器が会議室に設置されていた場合、マイク及びスピーカ共に禁止するを選択することにより、会議中等に該インターホン機器から強制的に音声が出力されてしまうことを防止することができる。また、会議の内容等が不用意に呼出元となるインターホン機器から出力されてしまうような事態についても防止することができる。さらに、呼出元側において、呼出対象側でマイク及びスピーカ共に禁止されている旨を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】インターホン装置の構成を示した説明図である。
【図2】インターホン親機及びインターホン子機のブロック構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン装置について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、インターホン装置1の構成を示した説明図であり、図2は、インターホン親機2及びインターホン子機3aのブロック構成を示した説明図である。
インターホン装置1は、1つのインターホン親機2と、2つのインターホン子機3a、3bとを有し、インターホン親機2と各インターホン子機3a、3bとを通話可能に接続してなる。インターホン親機2は、通話のためのマイク11及びスピーカ12と、操作画面を表示するためのディスプレイ13と、インターホン子機3a、3bからの呼び出しに応答したり、インターホン子機3a、3bから強制的に音声を出力させたりする際に操作される操作部14を備えているとともに、自身の動作を制御する制御部としてのCPU15を内蔵している。そして、インターホン親機2のCPU15は、操作部14が呼出操作されたり、応答操作されたりすることによってインターホン子機3a、3bとの間で通話する呼出応答モードと、操作部14が呼出操作とは異なる音直操作されることによって後述するような態様でインターホン子機3a、3bへ強制的に音声信号を送信する音直モードとの少なくとも2つのモードで自身の動作を制御可能となっている。
【0011】
また、インターホン子機3aは、通話のためのマイク21及びスピーカ22と、インターホン親機2を呼び出したり、後述するようにインターホン親機2からの強制的な音声の出力を禁止したりする際に操作される操作部24を備えているとともに、自身の動作を制御する制御部としてのCPU25を内蔵している。そして、CPU25では、インターホン親機2同様の一般的な呼出応答モードに加え、後述するようなインターホン親機2からの音直モードによる強制的な音声信号の送信に対して、呼出操作することなく双方向での通話を可能とする通話モード、音声信号をスピーカ22から出力するのみとしたスピーカモード、及び音声信号の出力を禁止する禁止モードの3つのモードでインターホン子機3aの動作を制御可能となっており、操作部24を操作することにより何れのモードで動作させるか選択可能としている。尚、各モードは、インターホン子機3aに内蔵されている図示しない記憶部に記憶されている。また、インターホン子機3bは、インターホン子機3aと同じ構成を有している。
【0012】
上述したようなインターホン親機2及びインターホン子機3a、3bを有するインターホン装置1では、従来同様、たとえばインターホン子機3aの操作部24において呼び出し操作すると、インターホン親機2が呼び出される。そこで、インターホン親機2の操作部14において応答操作すると、インターホン子機3aとインターホン親機2とが双方向で通話可能に接続されるようになっている(呼出応答モード)。
【0013】
また、インターホン親機2からの音直モードによる強制的な音声信号の送信に対し、インターホン子機3a、3bでは、夫々選択されているモードに応じて対応可能となっている。ここで、まず通話モードにおけるインターホン親機2及びインターホン子機3aの動作について説明する。尚、以下の通話モードのみならず、スピーカモード及び禁止モードにおいてもインターホン子機3bはインターホン子機3aと同様に動作する。
インターホン親機2の操作部14において、インターホン子機3aを呼出対象として選択して音直操作すると、インターホン親機2のCPU15は、自身のマイク11及びスピーカ12の動作をオンするとともに、インターホン子機3aのCPU25へ強制信号を送信する。一方、インターホン子機3aのCPU25では、強制信号を受信すると、自身がどのモードに設定されているかを判断する。そして、通話モードに設定されていると判断すると、操作部24における応答操作がない状況のまま(すなわち、応答操作を促す動作も実行しなければ、応答操作の有無を判断する動作も実行しない)、自身のマイク21及びスピーカ22の動作をオンとする。したがって、インターホン親機2とインターホン子機3aとの双方向で、マイク11、21により集音された音声を送受信してスピーカ12、22から出力することにより、上記呼出応答モードでの通話と同様に、インターホン親機2とインターホン子機3aとの間で通話が可能となる。
【0014】
次に、インターホン子機3aにおいてスピーカモードが設定されていた場合のインターホン親機2及びインターホン子機3aの動作を説明する。
上記同様に、インターホン親機2から送信されてきた強制信号の受信にもとづき、インターホン子機3aのCPU25は、自身がどのモードに設定されているかを判断する。そして、スピーカモードに設定されていると判断すると、自身のスピーカ22のみの動作をオンとする。したがって、インターホン親機2からの音声(インターホン親機2のマイク11が集音した音声)については、インターホン子機3aのスピーカ22から出力されるものの、インターホン親機2のスピーカ12からインターホン子機3a側の音声が出力されないという状態となる。
【0015】
さらに、インターホン子機3aにおいて禁止モードが設定されていた場合のインターホン親機2及びインターホン子機3aの動作を説明する。
上記同様に、インターホン親機2から送信されてきた強制信号の受信にもとづき、インターホン子機3aのCPU25は、自身がどのモードに設定されているかを判断する。そして、禁止モードに設定されていると判断すると、インターホン親機2から送信されてきた音声信号を破棄し、スピーカ22から予め設定されている禁止音を出力するとともに、インターホン親機2へ禁止信号を返信する。一方、インターホン親機2では、禁止信号を受信すると、オンとしていたマイク11の動作をオフするとともに、インターホン子機3a同様、予め設定されている禁止音をスピーカ12から出力する。したがって、インターホン親機2、インターホン子機3a共にマイク11、21の動作はオフされており、両者の間で通話は不可能な状態となる。また、インターホン親機2及びインターホン子機3aにおいて、夫々スピーカ12、22から禁止音が出力され、インターホン親機2側ではインターホン子機3aが禁止モードに設定されている旨が、インターホン子機3a側ではインターホン親機2から音直モードによる送話があった旨が夫々報知される。尚、インターホン親機2及びインターホン子機3aにおける禁止音の出力は、所定時間(たとえば30秒間)の経過をもって停止させるようにしてもよいし、インターホン子機3a側での所定の解除操作(たとえばモードの変更)に応じて停止させる(たとえば、解除操作に応じてインターホン子機3aからインターホン親機2へ解除信号を送信し、インターホン親機2では該解除信号の受信をもって禁止音を停止させ、マイク11、21の動作をオンとする等)ようにしてもよい。
【0016】
以上のように構成されたインターホン装置1によれば、インターホン子機3a、3bにおいて、インターホン親機2から強制信号を受信した際に、マイク21及びスピーカ22の動作をオンとするか否かを、マイク21及びスピーカ22共に許容する通話モード、スピーカ22についてのみ許容するスピーカモード、マイク21及びスピーカ23共に禁止する禁止モードの3つのモードで選択設定することができる。したがって、たとえばインターホン子機3aを会議室に設置していた場合、その設定を選択することにより、会議中等にインターホン子機3aから強制的に音声が出力されてしまうことを防止したり、会議の内容等が不用意にインターホン親機2から出力されてしまうような事態を防止したりすることができ、使い勝手が良い。
【0017】
また、たとえばインターホン子機3aにおいて禁止モードを選択設定している場合には、呼出対象であるインターホン子機3a及び呼出元であるインターホン親機2の双方で禁止音をスピーカ12、22から出力するように構成している。したがって、インターホン親機2側では、インターホン子機3aにおいて禁止モードに設定されている旨を、インターホン子機3a側では、強制信号を受信した旨を夫々容易に把握することができるため、インターホン子機3aで禁止モードが選択設定されているにも拘わらず、インターホン親機2でマイク11に喋り続けるといった事態を防止することができ、使い勝手が非常に良い。
【0018】
なお、本発明に係るインターホン装置は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、各インターホン機器の構成は勿論、強制的な音声信号の送信に係る制御等に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0019】
たとえば、上記実施形態では、インターホン親機2からインターホン子機3a、3bへ強制信号を送信するとしているが、インターホン子機3a、3bからインターホン親機2へも強制信号を送信可能とし(インターホン子機3a、3bにも音直モードを設定する)、インターホン親機2においても通話モード、スピーカモード、及び禁止モードに選択設定可能としてもよい。
また、インターホン装置1として、複数のインターホン親機2を有していてもよく、そのような場合には、インターホン親機同士において強制信号を送信可能としても何ら問題はない。
【0020】
さらに、上記実施形態では、インターホン子機3aにおいて禁止モードに設定されていた場合、インターホン子機3aとインターホン親機2との双方で禁止音を出力する構成としているが、インターホン子機3aにおいて禁止音を出力するか否かは任意に設定可能としてもよく、少なくとも呼出元であるインターホン親機2において禁止音を出力するような構成であればよい。
加えて、上記実施形態では、インターホン子機3aにおいて禁止モードに設定されていた場合、スピーカ12、22を報知手段とし、スピーカ12、22から禁止音を出力して使用者等に報知するという構成を採用しているが、報知手段はスピーカ12、22に何ら限定されることはない。たとえばディスプレイを報知手段とし、ディスプレイに「インターホン子機3aは禁止モードに設定されています」や「インターホン親機2から強制呼出がありました」等の報知メッセージを表示したり、各インターホン機器に別途LEDを報知手段として設けて、該LEDを点灯/点滅させることにより報知する等の構成が考えられる。
【符号の説明】
【0021】
1・・インターホン装置、2・・インターホン親機、3a、3b・・インターホン子機、11、21・・マイク、12、22・・スピーカ(報知手段も兼ねる)、13・・ディスプレイ、14、24・・操作部(選択手段も兼ねる)、15、25・・CPU(制御部、選択手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話のためのマイク及びスピーカと、操作部と、前記操作部の操作に応じて自身の動作を制御する制御部とを備えた少なくとも2つのインターホン機器が通話可能に接続されており、一方のインターホン機器の前記操作部において呼出操作されたことにより他方のインターホン機器を呼び出し、前記他方のインターホン機器の前記操作部において応答操作されたことにより前記一方のインターホン機器と前記他方のインターホン機器との間で通話が可能となるインターホン装置であって、
前記一方のインターホン機器に、自身の前記操作部において前記呼出操作とは異なる音直操作されたことにより、自身の前記マイク及び前記スピーカの動作をオンするとともに前記他方のインターホン機器に所定の信号を送信し、前記他方のインターホン機器において、前記操作部の操作を伴わずに前記マイク及び前記スピーカの動作がオンされる音直モードを設定する一方、
前記他方のインターホン機器に、前記所定の信号の受信に伴い前記マイク及び前記スピーカの動作をオンする事態を、前記マイク及び前記スピーカ共に許容する、前記スピーカについてのみ許容する、前記マイク及び前記スピーカ共に禁止するの少なくとも3つの段階で選択する選択手段を設け、
更に、前記一方のインターホン機器に、前記音直操作した際に前記他方のインターホン機器において前記マイク及び前記スピーカ共に禁止するが選択されていると、その旨を報知する報知手段を設けたことを特徴とするインターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−46234(P2013−46234A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182756(P2011−182756)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】