説明

インターロックシステムおよび回路遮断器

【課題】ヒューズが取り付けられていない場合に、サーキットブレーカが閉路状態になるのを回避する。
【解決手段】平行移動されることによってサーキットブレーカを閉路状態または開路状態に切り替える操作レバーと、そのサーキットブレーカと接続されるヒューズを取り付けるための取り付け端子とが配置された操作パネル上に設けられたインターロックシステムであって、取り付け端子にヒューズが取り付けられているかどうかに応じて操作レバーの移動可能量を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤操作を防止するためのインターロックシステムおよび回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
給電システムには、負荷に過電流や短絡等の事故が発生した際に、電源と負荷との間を遮断する回路遮断器が設けられるのが一般的である。
【0003】
図5は、回路遮断器を備えた給電システムの一構成例を示すブロック図である。
【0004】
図5に示す給電システムは、回路遮断器100と、電源200と、負荷300とを備えている。
【0005】
回路遮断器100は、ヒューズ101と、サーキットブレーカ102とを備えている。
【0006】
ヒューズ101は、電源200と負荷300との間で一方の極側に接続されている。なお、図5は、ヒューズが正極側に接続されている場合を示している。
【0007】
サーキットブレーカ102は、両極を開路するものであり、ヒューズ101と直列に接続されている。
【0008】
回路遮断器100では、ヒューズ101が溶断すると、それに連動してサーキットブレーカ102がトリップして両極を開路するようになっている。
【0009】
図5に示したような回路遮断器では、負荷へ電力を供給している状態でヒューズを取り外すと、アーク放電が発生する。これにより、給電システムの保守を行う作業者等が感電してしまう危険性がある。
【0010】
回路遮断器にインターロック機構を設けることにより、このような感電の危険性を回避することができる。
【0011】
インターロック機構は、サーキットブレーカ102を開路状態または閉路状態に切り替える操作レバーや、ヒューズを取り付けるための取り付け端子が配置された操作パネル上に設けられる。
【0012】
図6は、インターロック機構を説明するための図であり、(a)はサーキットブレーカが開路状態の場合の操作パネルの外観の正面図、(b)はサーキットブレーカが閉路状態の場合の操作パネルの外観の正面図である。
【0013】
操作パネル20上には図6に示すように、取り付け端子21と、インターロックカバー11と、操作レバー22とが配置されている。
【0014】
なお、取り付け端子21が配置されている方向に操作レバー22を所定の位置まで平行移動させると、サーキットブレーカが閉路状態になる。一方、取り付け端子21が配置されている方向と反対方向に操作レバー22を所定の位置まで平行移動させると、サーキットブレーカが開路状態になる。
【0015】
インターロックカバー11は、取り付け端子21と操作レバー22との間で、スライド溝23を介して取り付け具24にて操作パネル20に取り付けられている。すなわち、インターロックカバー11は、取り付け端子21と操作レバー22との間でスライドさせることができるようになっている。なお、インターロックカバー11の下部は蓋で覆われており、上部は開口部になっている。
【0016】
サーキットブレーカが開路状態のときには図6(a)に示すように、ヒューズ101は、インターロックカバー11によって覆われていない。この場合、作業者等は、ヒューズ101を取り外すことができる。
【0017】
一方、サーキットブレーカが閉路状態のときには図6(b)に示すように、取り付け端子21が配置されている方向に操作レバー22を平行移動させるために、インターロックカバー11が取り付け端子21側にスライドされる。これにより、ヒューズ101の一部がインターロックカバー11によって覆われることになる。この場合、作業者等は、ヒューズ101を取り外すことができない。
【0018】
なお、図6に示したようなインターロック機構が例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2007−318827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
図6を参照しながら説明したインターロック機構を適用すれば、サーキットブレーカが閉路状態である場合、すなわち、負荷へ電力を供給している場合にヒューズが取り外されてしまうのを回避することができる。従って、上述したような感電の危険性を回避することができる。
【0021】
しかしながら、図6を参照しながら説明したインターロック機構を適用しても、ヒューズが取り付けられていない場合に、サーキットブレーカを閉路状態にすることができてしまうという問題点がある。
【0022】
図7は、回路遮断器を備えた給電システムの他の構成例を示すブロック図である。
【0023】
図7は、図5に示した給電システムにおいてヒューズ101が取り外されている場合を示している。この状態でサーキットブレーカ102が閉路状態になると、電源200の負極が電位を持つことになる。
【0024】
このとき、例えば作業者50が図7に示したような位置に触れると、図7において太い破線で示した経路で電流が流れ、作業者50が感電してしまう。
【0025】
本発明は、ヒューズが取り付けられていない場合に、サーキットブレーカが閉路状態になるのを回避することができるインターロックシステムおよび回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために本発明のインターロックシステムは、平行移動されることによってサーキットブレーカを閉路状態または開路状態に切り替える操作レバーと、前記サーキットブレーカと接続されるヒューズを取り付けるための取り付け端子とが配置された操作パネル上に設けられたインターロックシステムであって、
前記取り付け端子にヒューズが取り付けられているかどうかに応じて前記操作レバーの移動可能量を変化させる。
【0027】
また、上記目的を達成するために本発明の回路遮断器は、サーキットブレーカと、平行移動されることによって前記サーキットブレーカを閉路状態または開路状態に切り替える操作レバーと前記サーキットブレーカに接続されるヒューズを取り付けるため取り付け端子とが配置された操作パネルと、を有する回路遮断器であって、
前記操作パネル上に設けられ、前記取り付け端子にヒューズが取り付けられているかどうかに応じて前記操作レバーの移動可能量を変化させるインターロック部を有する。
【発明の効果】
【0028】
本発明は以上説明したように構成されているので、ヒューズが取り付けられていない場合に、サーキットブレーカが閉路状態になるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のインターロックシステムの実施の一形態の構成を示す図であり、(a)は操作パネルの外観の側面図、(b)は操作パネルの外観の正面図である。
【図2】図1に示したインターロックシステムの動作を説明するための図であり、(a)は操作パネルの外観の側面図、(b)は操作パネルの外観の正面図である。
【図3】図1に示したインターロックシステムの動作を説明するための図であり、(a)は操作パネルの外観の側面図、(b)は操作パネルの外観の正面図である。
【図4】本発明のインターロックシステムの他の形態の構成を示す図である。
【図5】回路遮断器を備えた給電システムの一構成例を示すブロック図である。
【図6】インターロック機構を説明するための図であり、(a)はサーキットブレーカが開路状態の場合の操作パネルの外観の正面図、(b)はサーキットブレーカが閉路状態の場合の操作パネルの外観の正面図である。
【図7】回路遮断器を備えた給電システムの他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
本発明のインターロックシステムは、平行移動されることによってサーキットブレーカを閉路状態または開路状態に切り替える操作レバーと、そのサーキットブレーカと接続されるヒューズを取り付けるための取り付け端子とが配置された操作パネル上に設けられる。
【0032】
図1は、本発明のインターロックシステムの実施の一形態の構成を示す図であり、(a)は操作パネルの外観の側面図、(b)は操作パネルの外観の正面図である。
【0033】
本実施形態のインターロックシステムは図1に示すように、インターロックカバー11と、インターロックバー12とを備えている。
【0034】
なお、取り付け端子21に取り付けられるヒューズは、操作レバー22にて閉路状態または開路状態が切り替えられるサーキットブレーカと直列に接続されるものである。すなわち、取り付け端子21に取り付けられるヒューズと、操作レバー22にて閉路状態または開路状態が切り替えられるサーキットブレーカとにより、図5に示したような回路遮断器が構成される。そして、この回路遮断器においては、インターロックカバー11とインターロックバー12とがインターロック部を構成する。
【0035】
図1の図中上方向、すなわち、取り付け端子21が配置されている方向に操作レバー22を平行移動させ、操作レバー22の位置が所定の第1の位置になると、サーキットブレーカが閉路状態になる。一方、図1の図中下方向、すなわち、取り付け端子21が配置されている方向と反対方向に操作レバー22を平行移動させ、操作レバー22の位置が所定の第2の位置に達すると、サーキットブレーカが開路状態になる。
【0036】
インターロックカバー11は、取り付け端子21と操作レバー22との間で、スライド溝23を介して取り付け具24にて操作パネル20に取り付けられている。すなわち、インターロックカバー11は、取り付け端子21と操作レバー22との間でスライドさせることができるようになっている。インターロックカバー11の下部は蓋で覆われており、上部は開口部になっている。そのため、インターロックカバー11は、取り付け端子21にヒューズが取り付けられている場合に、最も取り付け端子21寄りにスライドされると、そのヒューズの少なくとも一部を覆うことになる。なお、図1はインターロックカバー11が最も操作レバー22寄りにスライドされている状態を示している。
【0037】
インターロックバー12は、所定の形状の部材であり、インターロックカバー11に接続されている。具体的には、インターロックバー12は、固定具25によってインターロックカバー11の正面側と接続されている。これにより、インターロックバー12は、固定具25を軸として移動可能なようになっている。また、インターロックバー12は図1(b)に示すように、第1の部分12aと第2の部分12bとを含んでおり、第2の部分12bは、インターロックカバー11と操作レバー22との間に介在している。
【0038】
次に、図1に示したインターロックシステムの動作について説明する。
【0039】
まず、取り付け端子21にヒューズが取り付けられていない場合のインターロックシステムの動作について説明する。
【0040】
図2は、図1に示したインターロックシステムの動作を説明するための図であり、(a)は操作パネル20の外観の側面図、(b)は操作パネル20の外観の正面図である。
【0041】
図2を参照しながら、作業者がサーキットブレーカを閉路状態にしようとする場合を考えてみる。この場合、作業者は、インターロックカバー11を取り付け端子21側にスライドさせ、上述した第1の位置まで操作レバー22を移動させようとする。
【0042】
インターロックカバー11を取り付け端子21側にスライドさせた場合、インターロックカバー11に接続されたインターロックバー12も取り付け端子21側に移動することになる。しかし、第2の部分12bは図2(b)に示すように、インターロックカバー11と操作レバー22との間に介在したままである。
【0043】
そして、第2の部分12bの存在位置は、第1の位置よりも図中下側となっている。つまり、第2の部分12bは、操作バー14を第1の位置まで平行移動させるのを妨げる位置に存在しており、作業者は、操作レバー22を第1の位置まで平行移動させることができない。
【0044】
次に、取り付け端子21にヒューズが取り付けられている場合のインターロックシステムの動作について説明する。
【0045】
図3は、図1に示したインターロックシステムの動作を説明するための図であり、(a)は操作パネル20の外観の側面図、(b)は操作パネル20の外観の正面図である。
【0046】
図3を参照しながら、作業者がサーキットブレーカを閉路状態にしようとする場合を考えてみる。この場合、作業者は、インターロックカバー11を取り付け端子21側にスライドさせ、上述した第1の位置まで操作レバー22を移動させようとする。
【0047】
取り付け端子21にヒューズが取り付けられている場合でも、取り付け端子21にヒューズが取り付けられていない場合と同様に、インターロックカバー11を取り付け端子21側にスライドさせると、インターロックカバー11に接続されているインターロックバー12も取り付け端子21側に移動することになる。
【0048】
ここで、取り付け端子21にヒューズが取り付けられている場合、インターロックバー12は、ヒューズ101に接触することになる。具体的には、インターロックバー12の第1の部分12aがヒューズに接触する。上述したように、インターロックバー12は、固定具25を軸として回転可能となっている。そのため、図3(b)を参照するとわかるように、第2の部分12bは、インターロックカバー11と操作レバー22との間から移動することになる。つまり、第2の部分12bは、インターロックカバー11と操作レバー22との間に介在しなくなる。従って、作業者は、操作レバー22を第1の位置まで移動させることができる。
【0049】
このように本実施形態においてインターロックシステムは、取り付け端子21にヒューズが取り付けられているかどうかに応じ、平行移動されることによってサーキットブレーカを閉路状態または開路状態に切り替える操作レバー22の移動可能量を変化させる。
【0050】
これにより、ヒューズが取り付けられていない場合に、サーキットブレーカが閉路状態になるのを回避することができる。
【0051】
また、インターロックカバー11を取り付け端子21側にスライドさせた場合、取り付け端子21に取り付けられたヒューズの少なくとも一部がインターロックカバー11によって覆われることになる。
【0052】
そのため、サーキットブレーカが閉路状態である場合に、ヒューズが取り外されるのを回避することもできる。
【0053】
なお、本実施形態においてインターロックバーの形状は、図1〜図3に示したような形状としたが、この形状に限定されない。また、本実施形態では、固定具25を用いてインターロックバーをインターロックカバー11の正面側と接続した場合について説明したが、固定具25を用いてインターロックバーをインターロックバーの側面側と接続してもよい。
【0054】
図4は、本発明のインターロックシステムの他の形態の構成を示す図である。なお、図4は、操作パネル20の外観の正面図である。
【0055】
図4(a)に示すインターロックバー12−1は、ヒューズと接触していないときは、インターロックバー12と同様の形状をしている。但し、インターロックバー12aでは、固定具25aを用いて2つの部材を接続している。
【0056】
これにより、図4(a)に示すように、ヒューズと接触したときのインターロックバー12−1とインターロックカバー11の側面との間の最大距離は、インターロックバー12を用いた場合に比べて短くなる。すなわち、省スペース化を実現することができる。
【0057】
また、図4(b)に示すインターロックバー12−2は、固定具25を用いてインターロックカバー11の側面側と接続されている。そのため、インターロックバー12−2は、ヒューズと接触すると、固定具25を軸として図面の裏面側から表面側の方向に移動することになる。
【0058】
これにより、例えば複数の回路遮断器を用いる場合には、複数の操作パネルが必要になるが、その複数の操作パネルを並べる際の省スペース化を実現することができる。
【符号の説明】
【0059】
11 インターロックカバー
12,12−1,12−2 インターロックバー
12a 第1の部分
12b 第2の部分
20 操作パネル
21 取り付け端子
22 操作レバー
23 スライド溝
24 取り付け具
25,25a 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行移動されることによってサーキットブレーカを閉路状態または開路状態に切り替える操作レバーと、前記サーキットブレーカと接続されるヒューズを取り付けるための取り付け端子とが配置された操作パネル上に設けられたインターロックシステムであって、
前記取り付け端子にヒューズが取り付けられているかどうかに応じて前記操作レバーの移動可能量を変化させるインターロックシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のインターロックシステムにおいて、
前記操作レバーは、前記サーキットブレーカが閉路状態のときには第1の位置にあり、前記サーキットブレーカが開路状態のときには第2の位置にあり、
前記取り付け端子と前記操作レバーとの間に設けられたカバーと、
前記カバーに接続された所定の形状の部材と、を有し、
前記カバーは、前記取り付け端子と前記操作レバーとの間でスライドさせることが可能であり、前記取り付け端子にヒューズが取り付けられた場合に、前記取り付け端子側にスライドされると、当該ヒューズの少なくとも一部を覆い、
前記部材は、
前記取り付け端子にヒューズが取り付けられた場合、前記カバーが前記取り付け端子側にスライドされることによって前記ヒューズに接触する第1の部分と、
前記第1の部分への前記ヒューズの接触に連動して存在位置が変化する第2の部分と、を有し、
前記第2の部分は、前記第1の部分に前記ヒューズが接触していない場合、前記操作レバーが前記第1の位置に移動されるのを妨げる位置に存在するインターロックシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のインターロックシステムにおいて、
前記第2の部分は、前記第1の部分に前記ヒューズが接触していない場合、前記カバーと前記操作レバーとの間に介在することにより、前記操作レバーが前記第1の位置に移動されるのを妨げるインターロックシステム。
【請求項4】
サーキットブレーカと、平行移動されることによって前記サーキットブレーカを閉路状態または開路状態に切り替える操作レバーと前記サーキットブレーカに接続されるヒューズを取り付けるため取り付け端子とが配置された操作パネルと、を有する回路遮断器であって、
前記操作パネル上に設けられ、前記取り付け端子にヒューズが取り付けられているかどうかに応じて前記操作レバーの移動可能量を変化させるインターロック部を有する回路遮断器。
【請求項5】
請求項4に記載の回路遮断器において、
前記操作レバーは、前記サーキットブレーカが閉路状態のときには第1の位置にあり、前記サーキットブレーカが開路状態のときには第2の位置にあり、
前記インターロック部は、
前記取り付け端子と前記操作レバーとの間に設けられたカバーと、
前記カバーに接続された所定の形状の部材と、から構成され、
前記カバーは、前記取り付け端子と前記操作レバーとの間でスライドさせることが可能であり、前記取り付け端子にヒューズが取り付けられた場合に、前記取り付け端子側にスライドされると、当該ヒューズの少なくとも一部を覆い、
前記部材は、
前記取り付け端子にヒューズが取り付けられた場合、前記カバーが前記取り付け端子側にスライドされることによって前記ヒューズに接触する第1の部分と、
前記第1の部分への前記ヒューズの接触に連動して存在位置が変化する第2の部分と、を有し、
前記第2の部分は、前記第1の部分に前記ヒューズが接触していない場合、前記操作レバーが前記第1の位置に移動されるのを妨げる位置に存在する回路遮断器。
【請求項6】
請求項5に記載の回路遮断器において、
前記第2の部分は、前記第1の部分に前記ヒューズが接触していない場合、前記カバーと前記操作レバーとの間に介在することにより、前記操作レバーが前記第1の位置に移動されるのを妨げる回路遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−221800(P2012−221800A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87447(P2011−87447)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】