説明

インダクタンス素子、インダクタンス素子内蔵多層基板、半導体チップ及びチップ型インダクタンス素子

【課題】多層基板内に形成され、同一のプロセスでコイルの巻数を自由に変更でき、コイルの形成方向を自由に変更でき、コイルのトランスとしての効率が高く、小型で特性の良好なトランスとして機能するインダクタンス素子を提供する。
【解決手段】インダクタンス素子は、多層基板と一体的に形成される複数のコイル、を有し、複数の前記コイルは、前記多層基板内に支持され、複数の前記コイルの発生磁界の中心線は、それぞれ略一致し、及び複数の前記コイルのそれぞれは、お互いに少なくとも一部が立体的にオーバーラップするように配置される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層基板内に形成されたインダクタンス素子に関し、より詳しくは、トランスとしての機能を有する多層基板内に形成された複数のコイルを含むインダクタンス素子、当該インダクタンス素子を内蔵する多層基板、当該多層基板が積層された半導体チップ、及びチップ型インダクタンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
コイル類は古くからアンテナ、モーターなど、広い分野で用いられてきた。電子機器の分野では、コイルを使用したインダクタ(インダクタンス素子)と呼ばれる素子が、単独あるいは複合の電子部品として、又はICチップの外面に積層された素子などとして製造されており、広く用いられている。そのようなインダクタンス素子には、単体のコイルを含むものだけでなく、相互に磁気的に結合した複数のコイルを含むものがある。後者は、供給された電流の電圧を所定の電圧に変換する変圧器やインピーダンスを変換する変成器として機能するものであり、トランスとして知られている構造である。そのような素子の形態は多様であり、例えばインダクタのみを表面実装用にチップ化したものはチップインダクタ(チップ型インダクタンス素子)と呼ばれ、携帯電話には1台に20個以上搭載されているという報告もある。インダクタを内蔵した部品も数多くあり、例えばインダクタとコンデンサとを組み合わせた積層LCフィルタと呼ばれる部品は、ノイズ除去などの目的で高周波用途を中心に広く用いられている。また、VCO(Voltage Controlled Oscillator)と呼ばれる部品もインダクタとコンデンサとを組み合わせた内部構造を有している。VCOは、加える電圧によって発振周波数を変えることができる発振器であり、無線回路の品質を左右する重要な部品である。近年爆発的に普及した携帯電話を始めとする高周波領域での使用を想定した機器には、これらの部品が多数搭載されている。電子機器の小型軽量化が進行するに伴い、これらの部品にも小型化が強く求められている。小型のトランスを実現することを目的とした構造としては、下記のような従来の技術がある。
【0003】
特開2002−158135号公報には、その図33〜37に、多層基板内に形成された2つのコイルでトランスを構成する構造を有するカプラが記載されている。このカプラでは、2つのコイルを積層方向に対向させて配置している。しかし、このような構造では、積層させる導体層の数に制限があるため、コイルの巻数に制限が有り、充分な機能を果たすことが難しい。また、コイルの単位巻線が形成する面は多層基板に平行であるので、断面積を大きくすると多層基板上に大きい面積を必要とし、小型化することが困難である。更に、2つのコイルは、対向させられて配置されているため、1つのコイルが占める体積の2倍の体積の多層基板を占有し、スペース効率が低く、小型化することが難しい。また更に、2つのコイルは立体的なオーバーラップ(重なり合い)を有しないため、一方のコイルが発生する磁場による他方のコイルへの鎖交磁束の量が限られており、それらの間の磁気的な結合を大きくすることが困難である。また更に、2つのコイルのトランスとしての効率を高めるために、それらの中心軸に沿って磁性体を配置しようとしたとしても、その方向は基板に垂直であるため、磁性体を形成することは極めて困難である。
【0004】
特開平4−237106号公報には、集積化インダクタ素子及び集積化トランスが記載されている。その集積化インダクタ素子及び集積化トランスは、半導体基板上に絶縁膜と金属膜とを交互に積層することによって形成されるものであり、コイルの中心軸は基板に平行な方向にある。しかし、そこには基板に対し垂直方向の螺旋状回路部分はスルーホールまたはビアホールによって形成するとの記述はあるが、より具体的な製造法についての説明はない。また、2つのコイルは、対向させられて配置されているため、1つのコイルが占める体積の2倍の体積の基板を占有し、スペース効率が低く、小型化することが難しい。更に、2つのコイルは立体的なオーバーラップを有しないため、一方のコイルが発生する磁場による他方のコイルへの鎖交磁束の量が限られており、それらの間のトランスとしての効率を高くすることが困難である。
【0005】
特開平11−40920号公報には、複数のインダクタを集積化した複合部品が記載されている。しかし、それらの複数のインダクタは、隣接するインダクタの発生する磁束が略直交するようにインダクタを配置したものであり、従って、それらの複数のインダクタは、トランスとして機能するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、多層基板内に形成され、同一のプロセスでコイルの巻数を自由に変更でき、コイルの形成方向を自由に変更でき、コイルのトランスとしての効率が高く、小型で特性の良好なトランスとして機能するインダクタンス素子を提供することを目的とする。またそのようなインダクタンス素子を内蔵する多層基板及びチップ型素子、並びにそのようなインダクタンス素子が外面に積層された半導体チップを提供することも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の特徴を有する本発明より達成される。請求項1に記載の発明は、多層基板と一体的に形成される複数のコイル、を有し、複数の当該コイルは、当該多層基板内に支持され、複数の当該コイルの発生磁界の中心線は、それぞれ略一致し、及び複数の当該コイルのそれぞれは、お互いに少なくとも一部が立体的にオーバーラップするように配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴に加えて、複数の当該コイルは、それの単位巻線が作るコイル面が当該多層基板に垂直であり、及び当該多層基板に平行な巻線部分及び当該多層基板に垂直な巻線部分を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の特徴に加えて、複数の当該コイルの単位巻線は、同じコイルの隣接する他の単位巻線と同じ方向から見た場合に互いに反対方向に旋回する螺旋状のパターンをそれぞれ有し、及び互いに隣接する当該単位巻線の組は、当該螺旋状のパターンの先端同士又は末端同士において交互に接続されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明の特徴に加えて、複数の当該コイルのそれぞれの単位巻線は、所定の配置単位を反復するように配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明の特徴に加えて、複数の当該コイルのそれぞれの単位巻線の当該所定の配置単位は、すべての複数の当該コイルの単位巻線が、それぞれ当該多層基板に垂直な同一平面内に配置されるような配置単位であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明の特徴に加えて、複数の当該コイルは、2つのコイルであり、及び当該2つのコイルのそれぞれの単位巻線の当該所定の配置単位は、当該2つのコイルの単位巻線が、それぞれ当該コイルの中心軸方向に関して交互に配置されるような配置単位であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項2から6のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、当該コイルの内部を貫通する磁性体からなる芯構造を更に有することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項2から7のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、当該多層基板上に形成され、及び当該コイルの所定の箇所にそれぞれ接続された2つ以上の電極部を更に有することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項2から8のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、当該電極部の少なくともいずれかは、当該コイルの末端に接続されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明の特徴に加えて、当該電極部は、当該多層基板の同じ側の外面上に形成され、及び当該電極部で同じコイルに接続されたものは、当該コイルの両側のコイルエッジ近傍のいずれかの側に、当該コイルの中心軸に関して交互に形成されることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項8又は9に記載の発明の特徴に加えて、少なくとも1つの当該電極部は、当該電極部と同じコイルが接続された他の電極部であって、当該多層基板の同じ側の外面上に形成された他の電極部の少なくともいずれかと、間隙を介して対向する位置まで延在するように設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明の特徴に加えて、当該の対向する電極部同士は、導体によって接続され、それによって、当該電極部同士は、トリミングにより分断可能となっていることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項2から12のいずれか1項に記載の発明の特徴に加えて、当該多層基板と一体的に形成されるコンデンサであって、当該コイルの所定の箇所と電気的に接続されるコンデンサを更に有することを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項2から13のいずれか1項に記載のインダクタンス素子と、当該多層基板と、を有し、及び当該多層基板上に又はその内部に他の回路が支持されていることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載のインダクタンス素子内蔵多層基板が外面に積層されたことを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項8から13のいずれか1項に記載のインダクタンス素子と、当該多層基板と、を有し、及び当該多層基板は、当該インダクタンス素子を支持することができる平板であることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明していく。これから本発明の第1の実施形態に係るインダクタンス素子10の構成について説明する。図1(a)は、インダクタンス素子10の構成を表わす斜視図である。インダクタンス素子10は、コイル10a(図1(a)の実線部分)及びコイル10b(図1(a)の点線部分)から構成される。この実施形態では、コイル10a及び10bは、多層基板10eにおける複数の絶縁層の形成ステップにおいて、絶縁層の間に形成される導電層の一部として形成される部分を含むインダクタンスを与える構成要素であって、中心軸が多層基板に平行であり、それの単位巻線10c及び10dが作るコイル面が多層基板に垂直であり、及び多層基板に平行な巻線部分及び当該多層基板に垂直な巻線部分を含む。コイル10a及び10bは、投射形状が四角形等の、導線の繰り返されるパターンである単位巻線10c及び10dが、それぞれ電気的に直列に連続して接続された形態で構成される。本明細書におけるコイル10a及び10b並びにそれの単位巻線10c及び10dの形態は、インダクタンスを与えるためのいかなる形態も広く含むものとする。好適には、コイル10a及び10bの多層基板10eに平行な巻線部分は、積層される導電層の一部として形成され、多層基板10eに垂直な巻線部分は、絶縁層を介して隣接する導電層間を接続するバンプ、ビア或いはスルーホール(に充填された導体)などとして形成される。このようにしてコイル10a及び10bを形成することにより、ビルドアップ工法などの公知の多層基板製造技術を利用して、多層基板の製造工程においてコイル10a及び10bを多層基板内に同時に形成することが可能となる。コイル10a及び10bの末端は、多層基板10eの長手方向に向かって延びており、多層基板10e内の他の回路と接続することができる。多層基板10eは、絶縁層を積層させて構成される基板である。図で多層基板10eの輪郭線が破線で示されているのは、多層基板10eがコイル10a及び10bを含む領域の外にも広がっていてもいいことを示している。なお、実際の多層基板10eの形成ステップでは、絶縁層と導電層とが交互に積層させられる。そして、導電層の部分は前述のコイル10a及び10bの一部となり、他の絶縁層の部分は多層基板10eとなる。コイル10aとコイル10bとは、それらのコイルの発生磁界の中心線が、それぞれ略一致するように配置され、通常は、それらのコイルの中心線が一致するように配置される。このように配置することによって、一方のコイルの作る磁力線が他方のコイルのコイル面に対して垂直に近い状態で入射するために、一方のコイルが発生した磁場による他方のコイルへの鎖交磁束を大きくすることができる(漏れインダクタンスを小さくすることができる)。更にコイル10aとコイル10bとは、お互いに少なくとも一部が立体的にオーバーラップするように配置される。このように配置することによって、お互いのコイルの間の距離(例えば中心間距離)が小さくなるために、一方のコイルが発生した磁場による他方のコイルへの鎖交磁束を更に大きくすることができる。このように鎖交磁束を大きくすることができると、効率の高いトランスを構成することができる。また、このようなコイルの配置によって、コイル10a及び10bが占有する多層基板10eの体積を小さくすることができ、コイルの配置密度を上げて、インダクタンス素子10をより小型にすることができる。この実施形態では、それらのコイルは、所定の単位巻線の配置単位を反復するように配置されており、特に、2つのコイルの単位巻線がそれぞれコイルの中心軸方向に関して交互に配置されるような配置単位を反復するように配置されている。このような規則的な配置をすることによって、コイルの配置密度を上げることができ、コイルの間の磁気的な結合も大きくすることができる。なお、インダクタンス素子10は、コイル10a及び10bと多層基板10eとの全体を意味するのではなく、多層基板10e内に保持されたことを特徴とするコイル10a及び10bから構成されるインダクタンス素子を意味する(インダクタンス素子90を除き、以下、同様である)。なお、インダクタンス素子10のコイルは、その中心線が直線であるが、中心線が曲線であっても構わない。その際、曲線は閉じていてもよく、この場合、コイルはトロイダル型となる。インダクタンス素子10は、一次側と二次側との間で電圧及びインピーダンスを変換するトランスとして機能するが、図16(a)に示すように、一次側のコイル10bの一方の端子に不平衡入力を接続し、二次側のコイル10aのそれと瞬時電圧極性が同じ側の端子を接地すると、コイル10a及び10bのそれぞれ他方の端子の間より、平衡出力を得ることができ、バラン(平衡不平衡変成器)としても機能させることができる。
【0024】
巻数比に関する代替の実施形態として、図1(b)にインダクタンス素子11を示す。インダクタンス素子11は、インダクタンス素子10とほぼ同様の構造を有しているが、コイル11bの単位巻線11dが2回巻である点で異なっている。この実施形態によれば、巻数比が1:2のトランスを含むインダクタンス素子を構成することができる。ここで、コイルの単位巻線はコイルの中心軸方向に関して均等に配置されているため、一方のコイルが発生した磁場による他方のコイルへの鎖交磁束を大きくすることができ、効率的なトランスを構成することができる。なお、単位巻線11dの巻数は自由に変更することができる(整数にも限られない。)ため、任意の巻数比を得ることができる。
【0025】
単位巻線の配置に関する代替の実施形態として、図1(c)にインダクタンス素子12を示す。インダクタンス素子12は、インダクタンス素子10とほぼ同様の構造を有しているが、3つのコイル12a、12b、及び12b’から構成される点で異なっている。コイル12aとコイル12bとコイル12b’とは、それらのコイルの発生磁界の中心線が、それぞれ略一致するように配置され、お互いに少なくとも一部が立体的にオーバーラップするように配置される。それらのコイルは、所定の単位巻線の配置単位を反復するように配置されており、特に、3つのコイルの単位巻線がそれぞれコイルの中心軸方向に関して順番に配置されるような配置単位を反復するように配置されている。この実施形態によれば、3つ以上の独立したコイルからなるトランスを含むインダクタンス素子を構成することができ、幅広い用途に用いることができる。
【0026】
積層方向に関する代替の実施形態として、図1(a)に「代替の実施形態における積層方向」と示した方向、すなわちコイルの単位巻線を逐一積層する方向に積層させることもできる。このようにすると、積層される膜の数に制限があるため巻数の大きいコイルを作ることは難しいが、導体を層間で接続する箇所を少なくすることができるため、製造は容易となる。なお、多層基板の材料としてセラミック材料を用いた場合は、グリーンシートに導電性ペーストを印刷して、それを多層化後に一括焼結することが比較的容易であるのに対し、多層基板の材料として有機材料を用いたビルドアップ工法の場合は、プロセスが複雑となり、多層化に伴う歩留まりの低下やコストアップが問題となる。従って、図1(a)に「積層方向」として多層基板の積層方向を示した本発明の実施形態の構成は、多層基板の積層数が制限されていても任意のコイル長のコイルを形成できるため、そのような従来のビルドアップ工法に伴う問題が解消される。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態に係るインダクタンス素子20の構成について説明する。図2(a)は、インダクタンス素子20の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子20は、インダクタンス素子10とほぼ同様の構造を有しているが、多層基板20eの外面に、コイル20aの所定の箇所と接続された電極部20fに代表される電極部が形成された構造を更に有している点で違っている。このように、多層基板20eの外面に電極部20fが形成されているため、多層基板20eの外部からインダクタンス素子20への配線をそこを通じて簡単に行わせることができる。図2(a)では、電極部20fはコイルの末端に接続されている。この形態の電極部は、コイル全体の機能を必要とする入出力を経由させるのに好適である。図13(a)にインダクタンス素子20の回路図を示す。なお他の形態として、電極部をコイルの末端以外の所定の箇所に接続してもよい。この形態の電極部は、コイルの一部の機能を必要とする入出力を経由させるのに好適であり、タップとして使用することができる。
【0028】
コイルの配置に関する代替の実施形態として、図2(b)にインダクタンス素子21を示す。インダクタンス素子21は、インダクタンス素子20とほぼ同様の構造を有しているが、3つのコイル21a、21b、及び21b’から構成される点、及び電極部21fが増えたコイルの数に応じて追加されている点で異なっている。コイル21aとコイル21bとコイル21b’とは、それらのコイルの発生磁界の中心線が、それぞれ略一致するように配置され、お互いに少なくとも一部が立体的にオーバーラップするように配置される。それらのコイルは、所定の単位巻線の配置単位を反復するように配置されており、特に、3つのコイルの単位巻線がそれぞれコイルの中心軸方向に関して順番に配置されるような配置単位を反復するように配置されている。この実施形態によれば、3つ以上の独立したコイルからなるトランスを含むインダクタンス素子を構成することができ、幅広い用途に用いることができる。また、2つ以上のコイルを、電極部21fにおいて導線などでジャンプすることにより直列に接続することによって、使用時に巻数比を変更できるトランスを得ることができる。
【0029】
次に、本発明の第3の実施形態に係るインダクタンス素子30の構成について説明する。図3(a)は、インダクタンス素子30の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子30は、インダクタンス素子10とほぼ同様の構造を有しているが、多層基板30eの同じ側の外面上に電極部30f及び30gが形成された構造を更に有している点で違っている。図3(b)は、インダクタンス素子30の電極部30f及び30gの構成を示す図である。電極部30f及び30gは、同一のコイル、ここではコイル30bの所定の箇所に接続されている。このように、多層基板30eの外面に電極部30f及び30gが形成されているため、そこを通じて多層基板30eの外部からインダクタンス素子30への配線を簡単に行うことができる。特に電極部30gは、タップとして使用すると好適である。更に電極部30fは、電極部30gと、間隙(図3(b)で「間隙」と示した部分)を介して対向する位置まで延在するように設けられる。すなわち、少なくとも1つの電極部(電極部30f)は、当該電極部と同じコイルが接続された他の電極部であって、多層基板の同じ側の外面上に形成された他の電極部(電極部30g)の少なくともいずれかと、間隙を介して対向する位置まで延在するように設けられている。ここでは、電極部30fは、電極部30gが多層基板30eの長手方向に並べられている行と平行に隣接する行に沿って配置される。また、電極部30g同士は比較的距離を置いて配置されるが、電極部30gと電極部30fとは近接して配置されており、好適には電極部30gと電極部30fの間の間隙は、電極部30g同士の間の間隔より小さい。このような構成をとることによって、電極部30fと、電極部30g(のいずれか)とを、ワイヤーボンディング、半田などでジャンプすることが可能になる。図3(a)及び図3(b)では、ボンディングワイヤー30hが、電極部30fと右側の電極部30gとの間をジャンプしている。このワイヤーによるジャンプによって、コイル30bのジャンプされた電極部の間の巻線が短絡されるため、コイル30bの巻数を減少させることと同じ効果を、使用時に自由に得ることができる。これによって、インダクタンス素子30のトランスとしての巻数比を使用時に自由に変更することができる。後述のインダクタンス素子40との比較では、インダクタンス素子30は、いずれか1組の電極部をジャンプすることによって、巻数比を自由に変更することができるという利点がある。なお、ボンディングワイヤー30hは、インダクタンス素子30の構成要素ではなく、必要に応じ、ユーザが使用時に取り付けるものである。電極部30f及び30gは、ランドなどの形態をした導体で構成される。インダクタンス素子30の構成要素30a〜30eは、インダクタンス素子10において符号の数字部分を10から30に替えた構成要素と対応している。図13(b)にインダクタンス素子30の回路図を示す。図13(b)では点線で表わされたボンディングワイヤー30hによって、末端の電極部30fと中間の電極部30gとがジャンプされており、コイル30bのそれらの電極部の間の巻線が短絡されている。
【0030】
次に、本発明の第4の実施形態に係るインダクタンス素子40の構成について説明する。図4(a)は、インダクタンス素子40の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子40は、インダクタンス素子30とほぼ同様の構造を有しているが、多層基板40eの同じ側の外面上に配置された電極部が、同一の形状の電極部40gのみである点で違っている。図4(b)は、インダクタンス素子40の電極部40gの構成を示す図である。電極部40gは、同一のコイル、ここではコイル40bの所定の箇所に接続されている。このように、多層基板40eの外面に電極部40gが形成されているため、そこを通じて多層基板40eの外部からインダクタンス素子40への配線を簡単に行うことができる。更に、いずれか1つの電極部40gは、他の電極部40gと、間隙(図4(b)で「間隙」と示した部分)を介して対向する位置まで延在するように設けられる。すなわち、少なくとも1つの電極部(1つの電極部40g)は、当該電極部と同じコイルが接続された他の電極部であって、多層基板の同じ側の外面上に形成された他の電極部(他の電極部40g)の少なくともいずれかと、間隙を介して対向する位置まで延在するように設けられている。ここでは、電極部40gは、多層基板40eの長手方向の同じ行の中に並べられて配置される。また、電極部40g同士は近接して配置されており、その間隙は電極部40gの幅(多層基板40eの長手方向に平行な辺の長さ)より小さくなっている。このような構成をとることによって、電極部40g同士を、ワイヤーボンディングなどでジャンプすることが可能になる。図4(a)及び図4(b)では、ボンディングワイヤー40hが、電極部40gの間をジャンプしている。このワイヤーによるジャンプによって、コイル40bのジャンプされた電極部の間の巻線が短絡されるため、コイル40bの巻数を減少させることと同じ効果を使用時に自由に得ることができる。これによって、インダクタンス素子40のトランスとしての巻数比を使用時に自由に変更することができる。前述のインダクタンス素子30との比較では、インダクタンス素子40は、電極部40gが1つの行に並べられて配置されているため、電極部40gの占有する面積を小さくすることができるという利点がある。なお、ボンディングワイヤー40hは、インダクタンス素子40の構成要素ではなく、必要に応じ、ユーザが使用時に取り付けるものである。電極部40gは、ランドなどの形態をした導体で構成される。インダクタンス素子40の構成要素40a〜40eは、インダクタンス素子30において符号の数字部分を30から40に替えた構成要素と対応している。図13(c)にインダクタンス素子40の回路図を示す。図13(c)では点線で表わされたボンディングワイヤー40hによって、末端の電極部40fと2つの他の電極部40gとがジャンプされており、コイル40bのそれらの電極部の間の巻線が短絡されている。
【0031】
次に、本発明の第5の実施形態に係るインダクタンス素子50の構成について説明する。図5(a)は、インダクタンス素子50の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子50は、インダクタンス素子30とほぼ同様の構造を有しているが、対向する電極部30g及び30fに代えて、その対向する電極部30gと30fとが導体(ランド)によって接続されて一体となったような形態の電極部50gを構成要素としている点で異なっている。図5(b)は、インダクタンス素子50の電極部50gの構成を示す図である。このような構成をとることにより、電極部50gと所定の箇所で接続されたコイル50bは、電極部50gと接続された箇所の間が短絡され、なおかつ、図5(c)に示すようにトリミングによってコイル50bの異なる箇所に接続された電極部50gの領域同士を分断して短絡を解除することが可能となる。このように、使用時に電極部50gをトリミングによって分断することにより、コイル50bの有効な巻数を自由に調整することができ、インダクタンス素子50のトランスとしての巻数比を自由に調整することができる。図5(d)は、電極部50gの他の構成を示す図である。この電極部50gは、インダクタンス素子40の電極部40gを導体によって一体的に接続したような構成をしている。電極部40gを接続する導体の幅は、図5(d)に示すように電極部40gの幅より狭いとトリミングが簡単になり好適であるが、同じ幅であってもよい。このような構成をとることにより、図5(c)に示したものと同様に、トリミングによってコイル50bの異なる箇所に接続された電極部50gの領域同士を分断して短絡を解除することが可能となる。
【0032】
次に、本発明の第6の実施形態に係るインダクタンス素子60の構成について説明する。図6は、インダクタンス素子60の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子60は、インダクタンス素子20とほぼ同様の構造を有しているが、コイル60a及び60bの内部に磁性体60iからなる芯構造を有している点で違っている。インダクタンス素子60の構成要素60a〜60fは、インダクタンス素子20において符号の数字部分を20から60に替えた構成要素と対応している。このように、コイル60a及びコイル60bの内部に磁性体60iが配置されているため、トランスの効率を高くすることができるという利点がある。なお、磁性体60iの芯構造は、図6に示すような両端が開放された棒状のものであってもよいが、コイル60aの外側で両端同士が結ばれた環状(「ロ」の字形)であってもよい。また、それは複数の環状部分を有していてもよい。
【0033】
次に、本発明の第7の実施形態に係るインダクタンス素子70の構成について説明する。図7は、インダクタンス素子70の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子70は、インダクタンス素子20とほぼ同様の構造を有しているが、コイルの両端以外の所定の箇所に接続された電極部70fがあること、及び同じコイル70aに接続された電極部70fが、コイル70aの両側のコイルエッジ近傍のいずれかの側に、当該コイルの中心軸に関して交互に形成される点(千鳥配列)で違っている。インダクタンス素子70の構成要素70a〜70fは、インダクタンス素子20において符号の数字部分を20から70に替えた構成要素と対応している。このように、同じコイルに接続された電極部70fが交互に形成されているため、それらの間の距離を離すことができ、生産性が向上し、電極部70fに半田で導線を接続しやすくなり、誤接続が発生しにくくなる。図13(d)にインダクタンス素子70の回路図を示す。コイル70aにタップが設けられており、これは図7で長手方向の中間位置に配置された電極部70fに対応する。なお、コイルの末端以外に接続された電極部70fは、タップとして使用することができる。二次側コイルの形態に関する代替の実施形態として、図16(b)にインダクタンス素子71(構造は図示せず)の回路を示す。インダクタンス素子71は、インダクタンス素子70とほぼ同様の構造を有しているが、コイル71aが中間部で分断されている点、及びコイル71aの分断箇所のすぐ前後の2箇所の中間部にそれぞれ電極部71fを有する点で異なっている。図16(b)で平衡出力と書かれた端子が、その中間部の2箇所の電極部71fに対応する。このような構成をとることにより、お互いに電気的に相補な出力である平衡出力を中間部から取り出すことができる。ここで、図16(c)に示すように、インダクタンス素子71の一次側のコイル71bが、その中間部の両側において使用中心周波数の1/4波長のコイルの長さ(1/4波長共振器を形成)であって、かつ、二次側のコイル71aも、その分断された中間部の両側において使用中心周波数の1/4波長のコイルの長さ(1/4波長共振器を形成)であったとすると、一次側のコイル71b(の一方の端子)に不平衡入力が入力された場合に二次側のコイル71a(の中間部の2箇所の端子)に平衡出力を出力するようなバラン(平衡不平衡変成器)としてそれを機能させることができる。
【0034】
次に、本発明の第8の実施形態に係るインダクタンス素子80の構成について説明する。図8は、インダクタンス素子80の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子80は、インダクタンス素子20とほぼ同様の構造を有しているが、コイル80a又は80bの所定の箇所と接続されたコンデンサ80j、接続部80kを更に有している点で異なっている。コンデンサ80jは、対向する2枚の極板と、それらに挟まれる誘電体とから構成される。なお、コンデンサの容量をさらに増大させることが必要な場合には、コンデンサ80jは、一般の積層コンデンサで用いられているような、対向する櫛形の電極からなる極板と、その間に挟まれる多層の誘電体とから構成されるものであってもよい。極板は、好適には、多層基板における複数の絶縁層及び導電層のそれぞれの形成ステップにおいて導電層の一部として形成される。誘電体は、多層基板80eを構成する絶縁材料と同じ材質でもよく、また、誘電率、費用、製造工程等を考慮して、多層基板80eを構成する絶縁材料と異なる材質であってもよい。図8では、コイル80a及び80bの内部にコンデンサ80jが配置されているが、コイルの外部にコンデンサを配置してもよい。コイルの内部にコンデンサが配置されるような構造では、集積度を上げて、全体の厚みを薄くしやすいという利点がある。また、単位巻線(80c及び80d)の磁界と鎖交する面積を大きくして、インダクタンス素子80のトランスとしての効率を高くすることができるという利点がある。一方、コイルの外部にコンデンサが配置されるような構造では、コイルの部分を積層により形成するときの工程を単純にすることができ、また、より大きい極板面積のコンデンサを選ぶことができるという利点がある。更に、コンデンサの極板をトリムすることによって、静電容量を微調整することもできるという利点もある。図8では、コイル80a及び80bは単層のコイルであるが、それらのコイルの少なくともいずれかが、後述のインダクタンス素子110が有する多層コイルの形態であってもよい。接続部80kは、コイル80a又は80bの所定の箇所と極板とを電気的に接続する接点である。図14(a)にインダクタンス素子80の回路図を示す。コイル80aとコイル80bの同じ側の末端の間(一次側コイルと二次側コイルの同相の末端の間)にコンデンサ80jが接続されている。接続部80kとコイル80a又は80bの所定の箇所との接続により、インダクタンス素子80は、種々のLC複合素子を構成することができる。コンデンサの一端を固定し、その他端をコイルの他の箇所に接続したバリエーションの回路図として、図14(b)に一次側コイルと二次側コイルの逆相の末端の間にコンデンサを接続したインダクタンス素子81を、図14(c)に一次側あるいは二次側のコイルの入出力端の間にコンデンサを接続したインダクタンス素子82を、及び図14(d)に一次側あるいは二次側のコイルの入力端又は出力端に直列にコンデンサを接続したインダクタンス素子83を示す。これらのインダクタンス素子80〜83は、コンデンサの接続された箇所に応じた動作特性を有するインダクタンス素子(LC複合フィルタ)として機能する。更には、コイルの中間部(タップに対応)とコンデンサとを接続した構成も考えられる。インダクタンス素子80〜83は、単数のコンデンサを含んでいるが、複数のコンデンサを含んでいてもよく、その際のコンデンサとコイルとの接続は、インダクタンス素子80〜83の接続形態を任意に組合わせることができる。その際にも、コンデンサをコイルの中間部に接続することができる。インダクタンス素子80の構成要素80a〜80fは、インダクタンス素子20において符号の数字部分を20から80に替えた構成要素と対応している。
【0035】
次に、本発明の第9の実施形態に係るインダクタンス素子90の構成について説明する。図9は、インダクタンス素子90の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子90は、インダクタンス素子20とほぼ同様の構造を有しているが、コイルを保持する多層基板90eを構成要素としている点で異なっている。多層基板90eは、コイル90a及び90bを保持するのに充分な体積を有している。このインダクタンス素子90は、多層基板を構成要素としない他のインダクタンス素子と比較すると、独立した単体の素子として使用できる点で異なっており、例えば、チップ・インダクタなどのチップ・インダクタンス素子として使用することができる。なお、多層基板90eに保持される回路素子の部分は、この実施形態の他の実施形態に係るインダクタンス素子の回路素子と置き換えることができる。インダクタンス素子90の構成要素90a〜90fは、インダクタンス素子20において符号の数字部分を20から90に替えた構成要素と対応している。
【0036】
次に、本発明の第10の実施形態に係るインダクタンス素子100の構成について説明する。図10(a)は、インダクタンス素子100の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子100は、インダクタンス素子20とほぼ同様の構造を有しているが、2つのコイルの単位巻線が、多層基板100eに垂直な同一平面内に配置されるような配置単位を反復するように配置されている点で異なっている。すなわち、単位巻線100cと100dとは多層基板100eに垂直な同一平面内に配置されており、単位巻線100dは100cの内側に配置されている。このような配置は、コイルの単位巻線がコイルの中心軸方向に関して交互に配置されるような前述のコイルの配置との比較では、中心軸方向に関してコイルをより高い密度で配置しやすいという利点がある。インダクタンス素子100の構成要素100a〜100fは、インダクタンス素子20において符号の数字部分を20から100に替えた構成要素と対応している。
【0037】
巻数比に関する代替の実施形態として、図10(b)にインダクタンス素子101を示す。インダクタンス素子101は、インダクタンス素子100とほぼ同様の構造を有しているが、コイル101bの単位巻線101dが2回巻の螺旋状のパターンである点で異なっている。この実施形態によれば、巻数比が1:2のトランスを含むインダクタンス素子を構成することができる。なお、単位巻線101dの巻数は自由に変更することができる(整数にも限られない。)ため、任意の巻数比を得ることができる。複数の巻数である単位巻線101dの旋回方向はすべて同じであって、隣り合う単位巻線101d同士は一方の先端と他方の末端とが接続されており、すべての単位巻線101dが発生する磁界の方向は一致するようになっている。なお、図10(c)にインダクタンス素子102として示すように、複数の巻数である単位巻線102dは、同じコイルの隣接する他の単位巻線102dと同じ方向から見た場合に反対方向に旋回する螺旋状のパターンをそれぞれ有し、及び互いに隣接する単位巻線102dの組は、当該螺旋状のパターンの先端同士又は末端同士において交互に接続されるような構成でも構わない。この構成でも、すべての単位巻線102dが発生する磁界の方向は一致する。
【0038】
次に、本発明の第11の実施形態に係るインダクタンス素子110の構成について説明する。図11は、インダクタンス素子110の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子110は、インダクタンス素子20とほぼ同様の構造を有しているが、コイルの単位巻線110c及び110dは、同じコイルの隣接する他の単位巻線と同じ方向から見た場合に反対方向に旋回する螺旋状のパターンをそれぞれ有し、及び互いに隣接する単位巻線の組は、当該螺旋状のパターンの先端同士又は末端同士において交互に接続される。コイル110a及び110bをそのように構成することによって、単位巻線内の巻数を1より大きくすることができ(このような構成を多層コイルと称する)、かつ、コイル110a又は110bに電流が流されると、すべての単位巻線が同じ方向の磁界を発生するため、発生する磁界を大きくすることができ、トランスの効率を高くすることができる。また、発生する磁界の大きさを同程度に維持する条件では、インダクタンス素子110をより小型に構成することができる。
【0039】
次に、本発明の第12の実施形態に係るインダクタンス素子120の構成について説明する。図12は、インダクタンス素子120の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子120は、インダクタンス素子110とほぼ同様の構造を有しているが、コイル120a及び120bの内部に磁性体120iからなる芯構造を有している点で違っている。このような構成により、トランスの効率を高くすることができるという利点がある。インダクタンス素子120の構成要素120a〜120fは、インダクタンス素子110において符号の数字部分を110から120に替えた構成要素と対応している。
【0040】
次に、本発明の第13の実施形態に係るインダクタンス素子130の構成について説明する。図13は、インダクタンス素子130の構成を示す斜視図である。インダクタンス素子130は、インダクタンス素子110とほぼ同様の構造を有しているが、同じコイル130aに接続された電極部130fが、コイル130aの両側のコイルエッジ近傍のいずれかの側に、当該コイルの中心軸に関して交互に形成される点(千鳥配列)で違っている。インダクタンス素子130の構成要素130a〜130fは、インダクタンス素子110において符号の数字部分を110から130に替えた構成要素と対応している。このように、同じコイルに接続された電極部130fが交互に形成されているため、それらの間の距離を離すことができ、生産性が向上し、電極部130fに半田で導線を接続しやすくなり、誤接続が発生しにくくなる。
【0041】
本発明の他の実施形態として、上記のインダクタンス素子10〜130(インダクタンス素子90を除く)を含むインダクタンス素子内蔵多層基板を提供することができる。このインダクタンス素子内蔵多層基板内(多層基板上)には、インダクタンス素子10〜130以外の他の回路を実装することができ、そのような他の回路とインダクタンス素子10〜130とを接続することによって、より高機能な回路を形成することができる。インダクタンス素子内蔵多層基板は、プリント基板、半導体チップのインターポーザあるいは電極配線層などに使用することができる。本発明のさらに他の実施形態として、上記のインダクタンス素子内蔵多層基板が積層された半導体チップを提供することもできる。
【0042】
これから、上述のインダクタンス素子10〜130の動作について説明する。インダクタンス素子10〜130は、一方のコイルを一次側、他方のコイルを二次側(更に他のコイルを他の二次側)として、一次側と二次側の間で電圧及びインピーダンスを変換するトランスとして動作させることができる。また、不平衡入力を平衡出力へと(又はその逆に)変換するバラン(平衡不平衡変成器)として動作させることもできる。電極部がコイルの末端以外の所定の箇所に接続されたインダクタンス素子は、その電極部をタップとして使用できる。また、タップが二次側コイルの電気的な中間部にあるときは、そこから平衡出力を取り出すことができる。また、インダクタンス素子80、90、100、110などは、一次側コイル、二次側コイルの長さを、それらの中間部の前後でそれぞれ使用中心周波数の1/4波長とすることにより、バランとして機能させることもできる。また特にインダクタンス素子80は、LCフィルタ(カプラを含む)として動作させることができる。インダクタンス素子10〜130(インダクタンス素子90を除く)は、多層基板の形態が、プリント基板、モノリシックICなどを構成する半導体チップをその上にマウントするインタポーザ、又は半導体チップの電極配線層などであって、トランスとしての機能を提供する素子として動作させると好適である。
【0043】
なお、上述のそれぞれの実施形態の内の2つ以上を適宜組合わせることもできる。
【0044】
次に、本発明のインダクタンス素子10〜130の製造方法について説明する。インダクタンス素子10〜130は、グリーンシートに導電性ペーストを印刷して、それを多層化後一括焼結するような、セラミックチップ部品の材料及び製造方法によって製造することもできるし、また、有機材料を用いたビルドアップ工法によって製造することもできる。これから、ビルドアップ工法による製造方法について説明する。まず、絶縁層の両面に銅箔からなる導電層が形成された両面銅張り積層板を準備する。この導電層は多層基板に平行であるため、コイルの多層基板に平行な部分を構成することになる。次に、その両面の導電層間で導通させる箇所にドリル、レーザ等で穴を空ける。そしてその穴をメッキ、導電性ペーストの充填などで導電化し、導電層間の導通をとる。この導電層間の導通部は、コイルの多層基板に垂直な部分を構成することになる。次に、サブトラクティブ法などによってコイルの導線部分を残して導電層を両面とも除去し、多層基板に平行なコイルの導線部分を形成する。このようにして得られた基板を内層基板として、その両面に絶縁層を、そしてその外面に導電層を形成し、パターニング(コイルの水平部分の形成)及び導電層間の電気的接続(コイルの垂直部分の形成)を行い、さらなる多層化を行う。所望のコイルが得られるまで、それまでに形成された多層基板に対してこの一連の多層化工程を継続して実施する。
【0045】
多層化工程は、公知の手法によって実施することができる。いわゆるビルドアップ法による場合には、まず、上記の内層基板の両面に絶縁層を形成する。絶縁層としては、ガラスエポキシ系あるいはアラミド樹脂系などのプリプレグ、液状あるいはフィルム状の熱可塑あるいは熱硬化性の樹脂組成物、あるいは一般的に樹脂付き銅箔と呼ばれる、銅箔と絶縁樹脂層を一体化したものなどが使用できる。
【0046】
絶縁層の形成は、例えば以下のように行われる。上記の内層基板の両面にプリプレグ類、パターン化されていない銅箔、あるいは樹脂付き銅箔を配置し、積層プレス法によりこれらを一括で積層、硬化させ、絶縁層と導電層を一体化したものを作成する。あるいは、上記の内層基板の上に液状の組成物をスクリーン印刷、カーテンコート、スプレーコートなどの公知慣用の方法で塗布し、UV、電子線、熱などで硬化させることによって絶縁層を形成することもできる。あるいは、上記の内層基板上にフィルム状の組成物をロール、ラミネートなどの方法で貼り付け、所定の方法にて硬化させ、絶縁層を形成することもできる。
【0047】
続いてビアを形成する。上記の工程で得られた多層基板の所定の位置にドリル、レーザなどを用いてビアを形成する。プリプレグ類あるいは樹脂付き銅箔を用いて絶縁層と共に導電層も形成した場合に、ブラインドビアの形成に広く用いられている炭酸ガスレーザーを用いるときには、必要に応じてあらかじめ所定の位置の導電体をエッチングで除去する、いわゆるマスク加工を施してもよい。
【0048】
プリプレグ類あるいは樹脂付き銅箔を用いて絶縁層と共に導電層も形成した場合は、ビアに銀、銅などの導電性粉末を配合した導電性ペーストを印刷、ディスペンスなどの方法で埋め込み、所定の方法で硬化させる。あるいは、通常のスルーホールメッキすなわちビア内にメッキ触媒を付与したのちに無電解メッキを行い、続いて電解メッキを行う方法によってメッキ層を形成する方法によっても電気的接続は達成される。一方、液状もしくはフィルム状の組成物を用いて絶縁層を形成した場合は、例えば銅箔をプレスして絶縁層の外側に導電層を形成し、所定の位置をマスク加工した後、ブラインドビアを導電性ペーストあるいはメッキ層により導電化して接続する。この場合、先にブラインドビアの導電化を行っても良い。また、絶縁層、ブラインドビアが形成された基板に触媒を付与し、無電解メッキ処理し、続いて必要に応じて電解メッキ処理することによって導電層の形成とブラインドビアの導電化を一括で行うこともできる。この場合、ブラインドビアの導電化は導電性ペーストによっても行うことができる。
【0049】
あるいは以下の方法により、絶縁層と導電層の形成、導電層間の電気的接続を一括で行うこともできる。すなわち、多層基板上の所定の場所に導電性ペーストなどを用いて先端のとがった導電性バンプを形成しておき、プリプレグと銅箔、フィルム状の絶縁体と銅箔、または樹脂付き銅箔をその上に配置した後にプレス加工を行う。これにより、先端のとがった導電性バンプが絶縁層を貫通し、導電層との電気的接続を実現する。
【0050】
上記のようにビルドアップ法で積層した場合、ブラインドビアは導電性ペーストなどによって導電体で隙間なく充填することにより、コイルの導線の断面が全て導電体であることが好ましい。しかしながら、従来のスルーホールメッキのように、外周部だけが導電化された構造であっても、周波数帯によっては、本発明の方法を用いて形成したコイルの特徴を損なうことはない。
【0051】
また、ブラインドビアを積み上げてコイルの巻線の垂直部分を形成する場合、スルーホールメッキを用いるような一般的なビルドアップ法では、いわゆるスタックトビア(ビアオンビア)構造は形成が非常に困難であるため、結果的にコイルの巻線の垂直部分が完全な直線とはならず、積層部分に段差がある階段状となることが多い。しかしながら、このような構造となっても、周波数帯によっては、本発明の方法を用いて形成したコイルの特徴を何ら損なうことはない。
【0052】
なお、メッキにより接続されたスルーホール基板を用い、上記の液状あるいはフィルム状の絶縁材料を使用する場合や、一旦ビルドアップ法により形成したブラインドビアのある絶縁層上に更に積層する場合には、穴埋め用のインキあるいはメッキ処理によりスルーホールあるいはブラインドビアを埋め、表面を平滑化してもよい。
【0053】
ビルドアップ法以外にも、以下のような方法によって一括して積層させることもできる。まず、銅張片面ガラスエポキシ基板の基材側の所定の位置にレーザーなどを用いて穴開け加工する。続いて、銅箔を電極(陰極)として電気メッキを行い、穴をメッキで充填する。その上に、低融点の金属バンプを引き続きメッキ法により形成する。次に、銅箔を所定のパターン(コイルの巻線の水平部分)にエッチング加工する。バンプ側には絶縁層に用いるものと同様の絶縁体組成物を薄く塗布し、半硬化させておくことによって、外層基板を作成する。
【0054】
続いて、内層基板と外層基板とを、外層基板のバンプが内層基板の所定の箇所に来るように位置合わせし、プレス加工する。これによって、半硬化させた組成物はバンプ部から押し除かれ、組成物が層間の絶縁層を形成すると同時にバンプ部が内層基板の導電層と電気的接続を形成する。このような工程によって、コイルを形成することができる。この工程を反復するにより、さらなる多層化も容易に行うことができる。この際、絶縁層の厚さは用途に応じて任意に設定できるが、絶縁信頼性の観点からは、10μmから300μm程度が望ましい。導体の厚さも絶縁層と同様用途に応じて任意に設定できるが、実用上5μmから200μm程度が望ましい。
【0055】
これまでは、主としてコイルの形成方法について説明してきたが、多層基板上に電極部を有する実施形態については、電極部もコイルの巻線の水平部分と同様にして形成することができる。また、コイル中心部に磁性体からなる芯構造を有する実施形態については、該当部分に鉄、フェライトなどを含有したペーストを塗布することなどによって、芯構造を形成することができる。また、コンデンサを含む実施形態については、多層基板の積層過程で、導電層をパターニングする際に、コンデンサの極板となる部分を残しておくことによってコンデンサを形成することができる。また、多層基板の積層過程でコンデンサを配置することもできる。
【0056】
以上、コイル部分の製造方法について説明してきたが、コイルの形成と同時に、必要な他の回路やそれとの配線もコイルが形成される各層に形成することもできる。その際、そのような他の回路や配線の形成と整合させるために、上記の多層化工程の中から適当なものを選択して実施することができる。また、ブラインドビアを有しない発明の実施形態については、上述のビルドアップ工法に基づく製造方法によらずに、エッチング、スルーホールメッキ、及び積層プレスを組合わせた公知慣用の多層基板製造方法によって製造することもできる。
【0057】
更に、インダクタンス素子10〜130(インダクタンス素子90を除く。)のいずれについても、モノリシックICなどを構成する半導体チップ上に形成することができる。このような構成にすることにより、半導体にトランスを高い集積度で組み込むことができる。典型例として、トランジスタが形成され、更にタングステンなどによる電極部が形成されたシリコンウェーハの上層いわゆる電極配線層に、図1のインダクタンス素子10を形成する例を示す。この方法を応用することにより、コイルの形状、巻数比、形成方向などは任意に設定可能である。なお半導体は、シリコンに限られることはなく、ガリウムひ素などの任意の公知の半導体材料を使用することができる。
【0058】
まず、トランジスタ、電極部が形成されたシリコンウェーハ上に、最下層の絶縁層を形成する。CVDなどの気相法を用いてシリコン酸化膜を形成するか、近年注目されているポリイミド、ベンゾシクロブテンなどの有機素材をスピンコート後にポストベークする事によって形成できる。続いて、必要な箇所に各種レーザーを用いて穴開けを行う。穴は、半導体ウェーハの特定の箇所又は下層の電極部との電気的接続を行う箇所である。続いて、導電性パターンを形成する。まず、スパッタリングによってアルミニウムの導電層を、又はCVDなどの気相法あるいはメッキ法などの湿式法を用いて銅の導電層を形成する。ついで露光、エッチングして、導電層をパターニングする。この場合、先にパターニングしたレジスト層を形成した後に導電化を行っても良い。この工程で、穴も導電化され、導電層間の電気的接続がなされる。なお、露光工程の前には通常、物理的な研磨、あるいはCMP法と呼ばれる化学的研磨と物理的研磨を組み合わせた方法などにより、表面を平坦化する。
【0059】
次に、その上に更に絶縁層を形成する。ついで、再び穴開け、パターニングにより導電性パターンを形成する。更に絶縁層をその上に形成し、穴開け、導電化、パターニングを施し、さらなる導電性パターンを形成すると共に導電性パターン間の導通を取る。以後、所望のコイルが形成されるまで、この工程を反復する。
【0060】
シリコンウェーハ上に所望のコイルを含む多層基板が形成された後に、そのシリコンウェーハとコイルを含む多層基板とを半導体チップ単位に切り分ける。なお、シリコンウェーハにコイルを内蔵する多層基板を積層させる前に、シリコンウェーハをチップ単位に切り分けておくこともできる。この場合、あらかじめ切り分けた半導体チップの外面に、上記の工程と同様にして、コイルを内蔵する多層基板を積層させるとよい。
【0061】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のインダクタンス素子によると、多層基板内に形成され、小型で、高効率のトランスとして機能する素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係るインダクタンス素子10の構成を示す斜視図であり、(b)は本発明の第1の実施形態の巻数比に関する代替の実施形態に係るインダクタンス素子11の構成を示す斜視図であり、及び(c)は本発明の第1の実施形態の単位巻線の配置に関する代替の実施形態に係るインダクタンス素子12の構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明の第2の実施形態に係るインダクタンス素子20の構成を示す斜視図であり、及び(b)は本発明の第2の実施形態のコイルの配置に関する代替の実施形態に係るインダクタンス素子21の構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は本発明の第3の実施形態に係るインダクタンス素子30の構成を示す斜視図であり、及び(b)はインダクタンス素子30の電極部の構成を示す図である。
【図4】(a)は本発明の第4の実施形態に係るインダクタンス素子40の構成を示す斜視図であり、及び(b)はインダクタンス素子40の電極部の構成を示す図である。
【図5】(a)は本発明の第5の実施形態に係るインダクタンス素子50の構成を示す斜視図であり、(b)はインダクタンス素子50の電極部の構成を示す図であり、(c)は(b)に示された電極部がトリミングされた様子を示す図であり、(d)はインダクタンス素子50の電極部の他の構成を示す図であり、及び(e)は(d)に示された電極部がトリミングされた様子を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係るインダクタンス素子60の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第7の実施形態に係るインダクタンス素子70の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の第8の実施形態に係るインダクタンス素子80の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の第9の実施形態に係るインダクタンス素子90の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の第10の実施形態に係るインダクタンス素子100の構成を示す斜視図である。(a)は本発明の第10の実施形態に係るインダクタンス素子100の構成を示す斜視図であり、(b)は本発明の第10の実施形態の巻数比に関する代替の実施形態に係るインダクタンス素子101の構成を示す斜視図であり、及び(c)は本発明の第10の実施形態の巻数比に関する代替の実施形態に係るインダクタンス素子102の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第11の実施形態に係るインダクタンス素子110の構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の第12の実施形態に係るインダクタンス素子120の構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の第13の実施形態に係るインダクタンス素子130の構成を示す斜視図である。
【図14】(a)はインダクタンス素子20の回路図であり、(b)はインダクタンス素子30の回路図であり、(c)はインダクタンス素子40の回路図であり、及び(d)はインダクタンス素子70の回路図である。
【図15】(a)はインダクタンス素子80の回路図であり、(b)はインダクタンス素子81の回路図であり、(c)はインダクタンス素子82の回路図であり、及び(d)はインダクタンス素子83の回路図である。
【図16】(a)はインダクタンス素子10をバランとして機能させる場合の回路図であり、(b)はインダクタンス素子71の回路図であり、及び(c)はインダクタンス素子71をバランとして機能させる場合の回路図である。
【符号の説明】
10〜130 インダクタンス素子
10a〜130a コイル
10b〜130b コイル
10c〜130c 単位巻線
10d〜130d 単位巻線
10e〜130e 多層基板
20f〜130f 電極部
30g〜40g 電極部
30h〜40h ボンディングワイヤー
60i、120i 磁性体
80j コンデンサ
80k 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層基板と一体的に形成される複数のコイル、を有し、
複数の前記コイルは、前記多層基板内に支持され、
複数の前記コイルの発生磁界の中心線は、それぞれ略一致し、及び
複数の前記コイルのそれぞれは、お互いに少なくとも一部が立体的にオーバーラップするように配置されることを特徴とするインダクタンス素子。
【請求項2】
複数の前記コイルは、それの単位巻線が作るコイル面が前記多層基板に垂直であり、及び
前記多層基板に平行な巻線部分及び当該多層基板に垂直な巻線部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項3】
複数の前記コイルの単位巻線は、同じコイルの隣接する他の単位巻線と同じ方向から見た場合に互いに反対方向に旋回する螺旋状のパターンをそれぞれ有し、及び
互いに隣接する当該単位巻線の組は、前記螺旋状のパターンの先端同士又は末端同士において交互に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインダクタンス素子。
【請求項4】
複数の前記コイルのそれぞれの単位巻線は、所定の配置単位を反復するように配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載のインダクタンス素子。
【請求項5】
複数の前記コイルのそれぞれの単位巻線の前記所定の配置単位は、すべての複数の前記コイルの単位巻線が、それぞれ前記多層基板に垂直な同一平面内に配置されるような配置単位であることを特徴とする請求項4に記載のインダクタンス素子。
【請求項6】
複数の前記コイルは、2つのコイルであり、及び
前記2つのコイルのそれぞれの単位巻線の前記所定の配置単位は、当該2つのコイルの単位巻線が、それぞれ前記コイルの中心軸方向に関して交互に配置されるような配置単位であることを特徴とする請求項4に記載のインダクタンス素子。
【請求項7】
前記コイルの内部を貫通する磁性体からなる芯構造を更に有することを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
【請求項8】
前記多層基板上に形成され、及び前記コイルの所定の箇所にそれぞれ接続された2つ以上の電極部を更に有することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
【請求項9】
前記電極部の少なくともいずれかは、前記コイルの末端に接続されていることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
【請求項10】
前記電極部は、前記多層基板の同じ側の外面上に形成され、及び
前記電極部で同じコイルに接続されたものは、当該コイルの両側のコイルエッジ近傍のいずれかの側に、前記コイルの中心軸に関して交互に形成されることを特徴とする請求項9に記載のインダクタンス素子。
【請求項11】
少なくとも1つの前記電極部は、当該電極部と同じコイルが接続された他の電極部であって、前記多層基板の同じ側の外面上に形成された他の電極部の少なくともいずれかと、間隙を介して対向する位置まで延在するように設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載のインダクタンス素子。
【請求項12】
前記の対向する電極部同士は、導体によって接続され、それによって、当該電極部同士は、トリミングにより分断可能となっていることを特徴とする請求項11に記載のインダクタンス素子。
【請求項13】
前記多層基板と一体的に形成されるコンデンサであって、前記コイルの所定の箇所と電気的に接続されるコンデンサを更に有することを特徴とする請求項2から12のいずれか1項に記載のインダクタンス素子。
【請求項14】
請求項2から13のいずれか1項に記載のインダクタンス素子と、
前記多層基板と、を有し、及び
前記多層基板上に又はその内部に他の回路が支持されていることを特徴とするインダクタンス素子内蔵多層基板。
【請求項15】
請求項14に記載のインダクタンス素子内蔵多層基板が外面に積層された半導体チップ。
【請求項16】
請求項8から13のいずれか1項に記載のインダクタンス素子と、
前記多層基板と、を有し、及び
前記多層基板は、前記インダクタンス素子を支持することができる平板であることを特徴とするチップ型インダクタンス素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−54207(P2006−54207A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−250949(P2002−250949)
【出願日】平成14年8月29日(2002.8.29)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】