説明

インテグラルスキンフォーム用ポリウレタン組成物

【課題】ひまし油の使用量が40重量%以上と言う高い植物由来成分の応用率を維持しながら、生産性の高いインテグラルスキンフォームを製造可能な原料組成物を提供する。
【解決手段】ポリイソシアネート(A)と、ポリオール、架橋剤、発泡剤、触媒を含んでなるポリオール混合物(B)から、反応射出成形法によって、密度が0.2〜0.8g/cmのインテグラルスキンフォームを製造する組成物であって、
(1)ポリオールは、ポリオール100重量部に対して、ひまし油に由来するポリオールを40重量部以上含み、ひまし油に由来するポリオールは平均官能基数2.0〜2.7かつ水酸基価が30〜170mgKOH/gであり、
(2)触媒が、第3級アミンと金属触媒を共に含む
ことを特徴とするポリウレタンインテグラルスキンフォーム用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡体の密度が0.2〜0.8g/cmであり緻密な表皮および微小なセルを持つ成形品であるインテグラルスキンフォーム成形品を反応射出成形法によって、短時間で効率よく製造する組成物および方法に関するものである。
本発明で得られたインテグラルスキンフォーム成形品は、優れた触感、弾性感を持ち、自動車のアームレスト、ハンドル、コンソール蓋、チェンジノブなどの自動車内装品、家具としてのカバー材あるいは椅子の肘掛け等、あるいは小児用安全具、たとえば、椅子、歩行器、あるいは遊具用保護具、保持具、安全バーの表面材等に用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年の環境負荷低減の観点から、石油資源を原料とする石油由来樹脂に替えて、植物資源から得られる植物由来樹脂が求められている。すなわち、植物由来樹脂は、空気中のCO2を取込みながら光合成により生長する植物から得られた原料からなり、使用後の燃焼処理によりCO2が大気中に排出されても結果的に大気中のCO2量は増加しない。
バイオプラスチック製品はいずれは燃やされたり微生物によって分解されることで大気中にCO2が放出されるが、そのCO2を吸収した植物から作られるので大気中のCO2は増加しない。
このようにカーボン・ニュートラルの見地からは非常に有益なバイオプラスチックであるが、トウモロコシやサトウキビなど食料としても重要な原材料が使われている場合もあり、食料が工業材料に使われる場合の需給バランスの変化も最近問題になっている。
【0003】
特表2002−524627号公報(特許文献1)には大豆油、菜種油、綿実油、椰子油を使ったウレタンフォームの製造技術が開示されている。また、特表2007−507594号公報(特許文献2)には、大豆油、ベニバナ油、アマニ油、コーン油、ヒマワリ油、オリーブ油、カノーラ油、ゴマ油、綿実油、パーム油、菜種油、きり油、魚油、ピーナッツ油、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸ピーナッツ油、高オレイン酸ヒマワリ油、及び高エルカ酸、菜種油(ハマナ油)いった種々の植物油を活性水素含有変性して、軟質ポリウレタンを製造する技術が示されている。近年、植物由来原料をウレタン樹脂に応用する発明はかなり多い。
【0004】
この点、食料と競合しない作物で、なおかつ、ポリウレタン成形において非常に都合よく水酸基を分子中にもつヒマシ油をポリウレタン樹脂用のポリオール成分として使った発明はかなり長い歴史を持つ。
たとえば、特開昭58−93717号公報(特許文献3)には電気絶縁用ポッティング剤のポリオールとして、特開昭62−1335512号公報(特許文献4)にはポリウレタンエラストマーのポリオールとして、特開平07−165866号公報(特許文献5)には無溶剤の2液型樹脂塗料のポリオールとして、他のポリオールと併用してではあるが、ひまし油を使う方法が開示されている。これらはひまし油を油脂としての性質を持った親油性のポリオールと考え、他の石油由来ポリオールとの組み合わせによって、耐水性に優れたウレタン樹脂を開発し、それを上記用途に利用するという点が開発の中心になっている。
【0005】
このひまし油は約90%リシノール酸と約10%の水酸基を持たない長鎖脂肪酸のトリグリセライドとしての化学構造を持ち、平均分子量約950、平均官能度約2.7、水酸基価155〜165 mgKOH/gのポリエステル系ポリオールとしての性質を持っている。
現実にこのひまし油をイソシアネートと反応して固めると、ポッティング材や塗料への応用でも判るようにひまし油の性質である疎水性を持った比較的硬い成形品が出来る。仮に、このひまし油を軟質ウレタンフォームに応用しようとすると、一般的に軟質ウレタンフォームのベースポリオールに使用されるポリオール成分、つまり平均分子量約2000〜8000、平均官能度約2〜3.0、水酸基価20〜60mgKOH/g といった性状のポリオールに較べ、分子量が小さく架橋度が高過ぎるために、その結果成形品は硬すぎて且つ伸びが不足し、全体的にはごわごわした傾向になる。
【0006】
この為、軟質ポリウレタンフォーム分野にひまし油を応用する場合には、たとえば、
特開平7−206962号公報(特許文献6)
では、ひまし油の使用量を限定し、
特開平5−163342号公報(特許文献7)
WO2007−020904号公報(特許文献8)
WO2007−020905号公報(特許文献9)
では、ひまし油の水酸基にアルキレンオキサイドを付加したり、ヒドロキシ脂肪酸の重合物を応用して分子量を大きくしたり、さらにひまし油の水酸基が2級水酸基で反応性が低すぎると考えられる為、付加するアルキレンオキサイドの末端をエチレンオキサイドにすることで水酸基を一級化して活性を上げるなどの対応を取っている。
【0007】
仮に石油由来のアルキレンオキサイドやラクトンを付加して、ひまし油の分子量を増やし、水酸基価が約80mgKOH/g以下のひまし油変性ポリオールを合成したとすれば、その時点で合成されたポリオール中の天然由来成分の含有量は、50重量%以下に低下してしまう。また、その種の変性に要求なコストも無視出来ない。
【0008】
特開平10−87777号公報(特許文献10)は、天然由来成分であるひまし油をそのまま、比較的高い含有量でウレタン樹脂に応用している。ポリオール成分A)100重量%につき50〜99重量%のひまし油と、2)成分A)100重量%につき0.9〜49.9重量%のヒドロキシル基を含むイソシアネート反応性成分と、3)成分A)100重量%につき0.1〜5重量%の水と、場合により4)添加剤を含むポリオール成分100重量%と、B)イソシアネート成分とから、10g/l〜1100g/lの密度をもつ発泡ポリウレタン成形品を成形するという発明であり、実施例をみると、密度0.055g/cm3から密度0.15g/cm3の成形品が22秒から15分の時間で粘度上昇を示す反応性を示しながら、均等に発泡されて成形されている。
【0009】
この際、ひまし油と併用するポリオールとしては、段落0011に「例えば1800〜12,000、好ましくは3000〜7000の範囲の分子量をもつ化合物が挙げられる。これらの化合物は更にイソシアネート基と反応することが可能な基を含んでいなければならず、又は約>2.5、好ましくは2.6〜3.0、最も好ましくは2.8〜3.0の(平均)官能価をもつもの」とあり、架橋剤には、ジエチレングリコールなどのグリコールが使われている。
【0010】
特許文献10の発明は、かなり高い含有量でひまし油を含むポリオール成分が水を使った発泡成形で成形された場合に、一定以下の密度で発泡することが可能であり、比較的低温(25℃)で固化しうることを示しているが、密度が0.2〜0.8g/cmの緻密な表皮を持つ成形品であるインテグラルスキンフォームを反応射出成形法によって、短時間で効率よく製造するための原料組成あるいは成形条件についてはなんら説明をしていない。
特にひまし油が持っている水酸基は2級の水酸基であり、反応性が比較的遅い2級の水酸基を持つポリオールから成形されるポリウレタン成形品の成形時間は、通常比較的長くなると考えられ、生産性改良に関する議論は全くなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2002−524627号公報
【特許文献2】特表2007−507594号公報
【特許文献3】特開昭58−93717号公報
【特許文献4】特開昭62−1335512号公報
【特許文献5】特開平07−165866号公報
【特許文献6】特開平7−206962号公報
【特許文献7】特開平5−163342号公報
【特許文献8】WO2007−020904号公報
【特許文献9】WO2007−020905号公報
【特許文献10】特開平10−87777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、天然由来成分として、ひまし油とひまし油由来成分を使い、このひまし油成分を出来るだけ処方に含む平均密度が0.2〜0.8g/cm3の緻密な表皮を持つインテグラルスキンフォームを、反応射出成形法によって短時間で効率よく製造する方法に関するものである。
反応射出成形法によって、短時間で効率よく製造するということは、原料注入から、成形品取り出しのために型をあけ始めるまでの時間(脱型時間という。)が3分以内、より望ましくは2分以内、さらに望ましくは100秒以内であることを意味する。
本発明が対象とする主要な製品は、緻密な表皮を持つインテグラルスキンフォームであり、かつポリウレタン分類から言えば、軟質ウレタンフォームより硬く、一定の形状保持性と変形に対する回復性を併せ持ち、いわゆるパッド類としての性質をもつ半硬質ウレタンフォームが対象である。
【0013】
通常は、この半硬質ウレタンフォームを製造する為のポリオール混合物の処方は、高分子量の常温硬化型(コールドキュアーとも呼ばれる)の軟質ウレタンフォーム用ポリエーテルポリオールと架橋剤の組み合わせから設計され、軟質ウレタンフォームに較べ、より硬く、より高密度の発泡成形品が開発の目標となっている。この分野であれば、分子中に水酸基を持ち軟質ウレタンフォーム用ポリエーテルポリオールより低分子量であり、高めの架橋度を持つ、ひまし油あるいはひまし油誘導体が、より効率よく、より高い含有量で使いこなせる可能性が高いという技術的推定と思想に基づき、本発明は検討されたものである。
【0014】
本発明はポリオール中のひまし油あるいはひまし油誘導体の使用量が(ポリオールに対して)40重量%以上という高い植物由来成分の応用率を維持しながら、生産性の高いインテグラルスキンフォームを製造可能な原料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ポリイソシアネート(A)と、ポリオール、触媒、架橋剤、発泡剤、必要に応じて着色剤およびその他の助剤からなるポリオール混合物(B)から、反応射出成形法によって、平均密度が0.2〜0.8g/cm3、より望ましくは0.3〜0.7g/cm3、さらに望ましくは0.3〜0.5g/cm3の緻密表皮を持つポリウレタン弾性発泡体を製造する組成物に関する発明であって、その際、原料に天然由来成分として、ひまし油およびひまし油誘導体を出来るだけ原料処方に含みうる条件を見出す発明である。
【0016】
本発明は、ポリイソシアネート(A)と、ポリオール、架橋剤、発泡剤、触媒を含んでなるポリオール混合物(B)から、反応射出成形法によって、密度が0.2〜0.8g/cmのインテグラルスキンフォームを製造する組成物であって、
(1)ポリオールは、ポリオール100重量部に対して、ひまし油に由来するポリオールを40重量部以上含み、ひまし油に由来するポリオールは平均官能基数2.0〜2.7かつ水酸基価が30〜170mgKOH/gであり、
(2)触媒が、第3級アミンと金属触媒を共に含む
ことを特徴とするポリウレタンインテグラルスキンフォーム用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多量のヒマシ油をポリウレタン樹脂用のポリオール成分に使用でき、ポリウレタン成形品の成形時間が短く、得られたポリウレタン樹脂が良好な特性、例えば耐摩耗性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】耐磨耗性試験に使用する装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[(A)ポリイソシアネートについて]
本発明で用いるポリイソシアネート(A)としては、ポリウレタンフォームの製造に通常使用されているものが用いられる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0020】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−および/または1,4− フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6− トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、ポリアリールポリイソシアネート(PAPI)などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数4〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0022】
上記イソシアネートの内、短時間脱型が要求される本発明においては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「モノメリックMDI」ともいう)及び/又はポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(「ポリメリックMDI」ともいう)を(イソシアネートの30重量%以上で、例えば50重量%以上で)含むことが好ましく、イソシアネートはモノメリックMDI及び/又はポリメリックMDIであることが特に好ましい。ここで、本明細書において、ポリメリックMDIとは、ジフェニルメタンジイソシアネートである2核体成分とそれ以上の多核体成分とからなる混合物をいう。
【0023】
更に、ポリイソシアネート化合物は、モノメリックMDI及びポリメリックMDIは、各々その変性体を含んでよい 。そのようなモノメリックMDIの変性体として、モノメリックMDIの部分化反応、例えば、尿素化、ビューレット化、アロファネート化、カルボジイミド化、イソシアヌレート化、及び/又はウレタン化等で得ることができる変性体を例示することができる。
【0024】
[(B)ポリオール混合物について]
ポリオール混合物(B)は、(B1)ポリオール、(B2)触媒、(B3)架橋剤、(B4)発泡剤、(B5)他の成分によって構成される。
【0025】
[(B1)ポリオールについて]
ポリオールは、ポリオール100重量部に対して、ひまし油に由来するポリオールを40重量部以上、より望ましくは50重量部以上、さらに望ましくは60重量部以上含んでいる。
【0026】
ひまし油由来ポリオール成分とは、(i)ひまし油そのまま(すなわち、精製以外の工程を受けていない天然のひまし油)であってもよいし、(ii)変性ひまし油であってもよいし、これらの混合物であってもよい。変性ひまし油は、酸化ひまし油、水添ひまし油、ひまし油の部分脱水品およびひまし油変性ポリオールを含み、ひまし油変性ポリオールは、(iii)低官能ひまし油変性ポリオールであることが好ましい。低官能ひまし油変性ポリオールの例は、ひまし油の部分アシル化物、ひまし油にひまし油脂肪酸又は12−ヒドロキシステアリン酸を縮合した物、およびひまし油と他の天然油脂のエステル交換品、あるいは多官能アルコールにひまし油脂肪酸又は12−ヒドロキシステアリン酸あるいはそれらの縮合物を縮合させて得られるポリエステル系ポリオールおよび/あるいは水添ひまし油の部分脱水品、その部分アシル化物、水添ひまし油と他の天然油脂のエステル交換品、あるいは多官能アルコールに12−ヒドロキシステアリン酸あるいはそれらの縮合物を縮合させて得られるポリエステル系ポリオールなどである。
【0027】
さらに以上に挙げたひまし油由来ポリオールは、天然のひまし油に由来した成分を主たる成分とし、かつ植物油に由来する成分を全体の80重量%以上含有する。つまり、ひまし油由来ポリオール中の石油由来の成分の含有率は20%未満である。ポリオールがひまし油由来成分を含んでいたとしても、そのポリオール中に含まれるひまし油由来成分が80重量%未満であれば、そのポリオールはひまし油由来ポリオール成分に含まれない。
【0028】
ひまし油由来ポリオール成分は、平均官能基数2.0〜2.7かつ平均水酸基価が30〜170mgKOH/gであり、より望ましくは平均官能基数2.2〜2.70かつ平均水酸基価が100〜160mgKOH/gであることが好ましい。
【0029】
ここで、植物由来のポリエーテルポリオール(特に、ひまし油由来ポリオール)以外のポリエーテルポリオール、特に、石油由来のポリエーテルポリオールは、ポリオール(B1)100重量部に対して、60重量部、例えば50重量部、特に40重量部を超えることは無く、2種類以上の混合物であっても良く、平均官能基数は1.5〜2.5、水酸基価20mgKOH/g〜56mgKOH/gまた末端オキシエチレン単位の含有量は、(ポリエーテルポリオールに対して)10〜25重量%であることが望ましい。
【0030】
ポリオール中で、ラジカル重合開始剤の存在下、エチレン性不飽和モノマーが重合され、得られた重合体がポリオール中で安定分散されたいわゆるポリマーポリオールを併用する事も可能である。
【0031】
実施例にも示す通り、発明者等は何等変性工程を受けていない精製ひまし油と長鎖ポリエーテルポリオールを、代表的な半硬質ポリウレタンインテグラルスキン処方を使って、ポリオール混合物100重量%のうち、30〜80重量%を精製ひまし油に置き換えて成形実験を行った結果、いわゆるひまし油中のリシノール酸部分が持つ水酸基は、常温でのイソシアネートに適していると一般的に説明されている一級水酸基では無く、2級の水酸基であるにもかかわらず、触媒量を調整し、アミン系触媒と金属触媒を併用する事で反応射出成形に一般的に使われる反応性クリームタイム10秒以下、ライズタイム30秒以下の反応性に原料システムを調整しておけば、通常の50℃から70℃の温度設定の成形型で成形すると約90秒で型を開けても、破損することなく、成形品が取り出せる事を確認した。当然の事ながら変性ひまし油よりも精製ひまし油のほうがコスト競争力に優れ、この分野への植物油の応用に際して、コスト重視の対応を取ろうとすれば精製ひまし油の応用が優れている。一方植物油の応用比率を出来るだけ増やそうとすれば、ひまし油由来ポリオールを有効に選択する事によって石油由来のポリオール成分の大半を植物由来に置き換える事が出来ることを確認した。以上が本発明の要点である。
【0032】
また、ひまし油由来ポリオール成分を含むポリオールから成形された成形品は、実施例に示す帆布を使った耐摩耗性試験において、従来のポリエーテルポリオールに較べ、明らかに優れた耐摩耗性を示すことを発見した。優れた耐摩耗性を示すためには、ポリオールの30重量%、例えば40重量%、特に50重量%を越える成分がひまし油由来であることが望ましい。
このことは、ひまし油あるいはひまし油由来ポリオールが本発明対象のインテグラルスキン分野への応用に非常に適している事を示している。
【0033】
一方、実施例には、評価した処方のベースポリオール成分全体の平均官能度と水酸基価も示している。この結果を見る限り、前述のひまし油およびひまし油由来成分の官能度と水酸基価のみならず、石油由来成分をも含むベースポリオール全体平均でみても、従来の石油由来ポリオールの技術傾向に比べ、官能度はより低く、水酸基価は全体的に高い傾向があることが判明した。ひまし油由来成分を含む処方のベースポリオール成分全体の平均官能度と水酸基価に関しても、平均官能基数2.0〜2.70かつ水酸基価が50〜170mgKOH/gであり、より望ましくは平均官能基数2.2〜2.70かつ平均水酸基価が100〜160mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価が高い方(例えば、120〜170mgKOH/g)が、成形品の弾性と変形回復性に優れる傾向が有る。
【0034】
[(B2)架橋剤(鎖延長剤)について]
架橋剤または鎖延長剤としては、分子量が62〜300の多価アルコール、あるいは低分子ポリオールを含有してもよい。例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールや、アルカノールアミンたとえばトリエタノールアミン、ジエタノールアミン等、およびこれらのEOあるいはPO付加物などが挙げられる。2価アミン、例えば2,4−及び2,6−ジアミノトルエン(80/20重量部の混合物含む)、2,4'−および4,4'−ジアミノジフェニルメタン、アニリンホルムアルデヒド縮合によって得られるポリフェニルポリメチレンポリアミン、ジエチルトルエンジアミン、t−ブチルトルエンジアミン、ジエチルジアミノベンゼン、トリエチルジアミノベンゼン、テトラエチルジアミノジフェニルメタンなどが必要に応じて用いられ、これらにアルキレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールなども用いられる。これらの低分子ポリオールは、単独または併用して使用することができる。本発明で望ましいのは、2官能の架橋剤であり、好ましい芳香族ポリアミンはアミノ基のオルトの位置にアルキル基が置換したものであり、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン及び/又は1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼンである。
【0035】
架橋剤の量は、ポリオール(B1)100重量部に対して、2〜10重量部、例えば3〜8重量部であってよい。2重量部未満ではポリオール混合物と反応するポリイソシアネート量が少なくなり、混合不良が起こり易くなり不適であることがある。8重量部を超えると反応による粘度上昇が速くなるため、混合液の流動性が悪くなり実用的ではないことがある。
【0036】
[(B3)発泡剤について]
本発明の製造方法において、発泡剤として、水および/または必要により他の発泡剤(例えば、蟻酸)を使用する。
発泡剤として用いる水の量は、ポリオール(B1)100重量部に対して、0.20〜0.60重量部であり、より好ましくは0.25〜0.50重量部であることが好ましい。水の使用量が0.20重量部未満であれば、モールド内の液流れ性が悪化し、成形品密度差が大きくなってしまうことがある。また、0.60重量部を越えると、発生ガス量が多くなるために成形品に膨れが発生し、ボイドが多く発生することがある。水の使用量が0.20〜0.60重量部であれば、(A)および(B)の組成にかかわらず、良好なインテグラルスキンフォームを得ることが出来る。なお、上記および以下において、部は重量部を意味する。
【0037】
発泡剤としては、水を用いるのが好ましいが、必要により、さらに他の発泡剤を使用してもよく、他の発泡剤としては、アミン化合物に二酸化炭素を付加したアミン炭酸塩、蟻酸、液化炭酸ガス、液体炭化水素類、結晶水を持つ炭酸塩、他の有機カルボン酸および/または有機カルボン酸エステル等が挙げられる。ポリイソシアネートおよび/またはポリオール混合物に炭酸ガス(例えば、液化炭酸ガス)を溶解させ、それを発泡剤として使うことも可能である。炭酸ガスを溶解させるためには、1〜5kg/cm、例えば2〜5kg/cmの炭酸ガス圧力下で2〜50時間、例えば5〜20時間原料を攪拌しながら保存すればよい。
【0038】
また、前述の蟻酸を主たる発泡剤として使用することも可能である。
この場合、発泡剤はポリオール(B1)100重量部に対して0.4〜2.0重量部の蟻酸であり、より望ましくは0.4〜1.5重量部、さらに望ましくは0.4〜1.0重量部である。蟻酸が0.4重量部より少ないと、発泡が不充分となることがあり、2.0重量部より多いと、ポリオール混合物の反応性が遅くなり、脱型後に発泡体が膨らんだりすることがある。
【0039】
成形品の断面を観察する限り、蟻酸で発泡した成形品は、よりはっきりとしたインテグラルスキンとしての緻密な表皮が形成されるだけで無く、反応液の流れ性に優れる為、より少ない発泡ガスで液が流れる為、結果的には脱型時間が短縮できる。ただし、ポリオールの取り扱い状況によっては水分が混入する可能性もある。また蟻酸も、10重量%程度の水を含んだもののほうが容易に取扱えることから、水の混入を否定することはできないが、水の量は、ポリオール混合物の0.2重量%以下で有ることが望ましい。
【0040】
反応射出成形法によるインテグラルスキンフォームの成形には、Cannon社製のRIM用高圧ポリウレタン成形機、Hennecke社製の高圧発泡機、ポリウレタンエンジニアリング製のR−RIM用高圧発泡機などの反応射出成形機が用いられるが、発泡剤として、多量の蟻酸を用いると、金属、とくに軟鉄や構造用鋼に対する金属腐食が問題になる。
【0041】
成形機の寿命を延ばし、成形機中に貯蔵される原料の安定性を増すために、触媒として用いる第3級アミンの使用量を増やしたり、モノエタノールアミン(以下、MELAという。)、ジエタノールアミン(以下、DELAという。)、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、これらのアルカノールアミンあるいはエチレンジアミン、ジエチレントリアミンにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールなどの活性水素を含有する弱塩基を、中和剤として使用するのが好ましい。
第3級アミンの増量や中和剤の使用によって、成形機中に貯蔵される原料、とくに蟻酸
を含むポリオール混合物のpHを5以上、好ましくは7以上にしておけば、金属腐食の問題は解決され、成形機の寿命が延びるとともに、原料の貯蔵安定性が向上する。
【0042】
[(B4)触媒について]
触媒は第3級アミンと金属触媒を共に含むことが必須である。
【0043】
本発明で用いるアミン触媒としては、脂肪族アミン、環状アミン、エーテルジアミン、水酸基含有アミン等が挙げられる。
例えば1価脂肪族アミン[N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N−ジメチルセチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン等];2価脂肪族アミン[N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、メチレンビス(ジメチルシクロヘキシルアミン)、3−ジメチルアミノ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’− テトラエチルメチレンジアミン等]、並びに3〜8価またはそれ以上の脂肪族アミン[N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N‘,N’,N’’−ペンタメチルジプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(3−ジメチルアミノプロピル)メタンジアミン等]が挙げられる。
【0044】
環状アミンとしては例えば1価環状アミン[N− メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等]、並びに2価以上の環状アミン[トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ジエチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエトキシピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエトキシ)モルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7]等が挙げられる。
【0045】
エーテルジアミンとしては例えば[ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルエーテル、4,4’−オキシジエチレンジモルホリン、エチレングリコールビス(3−ジメチルアミノプロピル)エーテル]等が挙げられる。
水酸基含有アミンとしては例えば[N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノエタノールのEO付加物、N,N−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N’−トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2− ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)−フェノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−2−エチルピペラジン]等が挙げられる。
【0046】
アミン触媒の使用量は、ポリオール(B1)100重量部に対して、0.4〜3.0重量部であることが好ましい。
【0047】
アミン触媒の使用量が0.4重量部未満では表面キュアが十分でないために成形品の取り出し時に型表面に未硬化のウレタンが残る場合がある。また、3.0重量部より多くなると反応が速過ぎてモールド内の液流れ性が悪化し、成形品密度差が大きくなってしまうことがある。使用量が0.4〜3.0重量部であれば、有機金属触媒との適切な組み合わせによって、短時間で脱型出来得る良好なインテグラルスキンフォームを得ることが出来る。
【0048】
また、多量のひまし油由来ポリオール成分を含み、その水酸基が2級水酸基である本発明においては、有機金属触媒は必須成分である。本発明で使用される有機金属触媒としては、ウレタン化およびウレア化反応を促進する公知のスズ、アンチモン、鉛等の金属を含有する有機金属化合物触媒を用いることができる。
【0049】
例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、アセチルアセトン鉄などがあげられる。これらの有機金属触媒は、単独又は混合しても使用される。有機金属触媒の使用量は、ポリオール(B1)100重量部に対して、0.02〜1.0重量部であることが好ましい。
この触媒量および触媒の種類を変更する事で、ポリイソシアネートとポリオール混合物の反応性が、フォームの反応立ち上がりが終了する時間、いわゆるライズタイムで40秒以下、例えば10〜40秒になるように調整されていることが必要である。
【0050】
[(B5)他の成分]
他の成分として、所望の添加剤、補強材なども使用できる。
添加剤として、気泡安定剤、例えばシリコーン系整泡剤、界面活性剤、耐候剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、着色剤、老化防止剤、難燃剤、可塑剤、抗カビ剤、分散剤、変色防止剤等などが必要に応じて用いられる。
【0051】
補強材は、ガラス質、無機質、鉱物質などのファイバー、例えばミルドグラスファイバー、ワラストナイトファイバー、プロセストミネラルファイバーあるいはフレーク、例えばマイカ、ガラスフレークなどがあり、必要に応じて用いられる。またガラスマット、ガラスクロスなどを、あらかじめ型内にセットしておき、そのうえでポリウレタン原料を注入して発泡体を得ることも可能である。
他の成分の量は、ポリオール(B1)100重量部に対して、200重量部以下、例えば0.1〜50重量部であってよい。
【0052】
本発明において、イソシアネートインデックス[(ポリイソシアネートのイソシアネート基の当量とポリオール混合物中の活性水素の当量との比)×100]は、70〜130であることが好ましく、90〜110であることが特に好ましい。
【0053】
以上の組み合わせで製造された成形品については、触感が重視される分野に使われることが多い事から、使用に際して耐磨耗性が要求されることも多いため、実施例に示す条件で磨耗試験に供され、ひまし油の応用が成形品の耐磨耗性に与える影響も確認された。実施例にも示すように、ひまし油の応用は成形品の耐磨耗性を改良する傾向を示した。
【実施例】
【0054】
以下、実施例、比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。なおこの実施例は本発明の内容を何等制限するものではない。実施例において、「部」および「%」は、特記しないかぎり、「重量部」および「重量%」である。
【0055】
実施例1〜7および比較例1〜2
1)成形には、CANNON社高圧発泡機を使用した。
基本的な成形条件は表1に示す。
2)実際に評価した原料とその組成、性状を表2に示す。
3)評価した処方と成形結果および物性測定結果を表3に示す。
【0056】
表中の反応混合液の反応性指標は、以下の通りである。
クリームタイム:イソシアネートとポリオール混合物の混合後から液が上昇を始めるまでの時間(秒)
ライズタイム :イソシアネートとポリオール混合物の混合後からフォームの立ち上がりが終了するまでの時間(秒)
【0057】
なお、表3に示された条件で成形された成形品はすべて、モールド1,2の区別無く、90秒で問題なく成形され脱型された。
耐摩耗性を除く物性は、5.0mm厚のシート状型、モールド1で成形された成形品から、サンプルを切り出して、測定した。
【0058】
[耐磨耗性試験]
インテグラルスキンフォーム成形品2について、図1に示すように幅45mmの綿帆布(JIS-L-3102 #6)1の先端に、1.3kgの錘3を接続し、ストローク:10cm、サイクルスピード:50rpmの条件で1000回の摩耗試験を行い、試験後インテグラルスキンフォーム成形品2の表面の外観を目視で確認し、損傷があるかないかを判定する。OK:損傷がないもの。×:僅かに損傷があるもの。
【0059】
以下、実施例および比較例のそれぞれの結果について簡単に説明する。
【0060】
実施例1および2
ポリオール混合物中のベースポリオール部分の約50〜80部に精製ひまし油を使った場合、水酸基が2級水酸基であるにもかかわらず、充分なキュアー特性を示し、90秒で脱型出来た。また反応混合液の型内の流れ性も充分であった。ひまし油は官能基2.7、水酸基価160mgKOH/gとベースポリオールとしては分子量が小さく、全体的な架橋度が高い傾向を持つにもかかわらず、100%を越す伸びとポリエーテルポリオールの使用量が多い比較例1,2に較べ、より優れた引き裂き強度と耐摩耗性を示した。
【0061】
実施例3および4
官能度が低いと説明されているにもかかわらず、充分なキュアー特性を示し、同じく90秒で脱型出来た。比較例より優れた耐摩耗性をやはり示した。
【0062】
実施例5および7
実施例1〜4の結果に基づき、いわゆるベースポリオールと呼ばれるポリオール成分の全てをひまし油由来ポリオールに置換して評価した。架橋剤、触媒を適当に調整すれば、液流れ性、キュアー性のみならず、成形品の硬さ、強度および伸びにおよぶまで、大きな問題は観察されなかった。このことは、ひまし油およびひまし油由来のポリオールが非常にこの半硬質インテグラルスキンウレタンフォーム分野への応用に適しているかを示している。
【0063】
実施例6および7
架橋剤の種類を変えおよび発泡剤を水発泡から蟻酸発泡に変更して、成形評価した。大きな問題点は観察されなかった。
【0064】
比較例1および2
ひまし油由来成分の使用量が少ないと、伸びの数値が例え良くても、耐摩耗性を評価するとひまし油由来成分の使用が多い方が耐摩耗性が優れている事を確認した。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
ポリオールAおよびBは、石油由来の長鎖ポリエーテルポリオールである。
ポリオールCは、精製工程のみを受けたひまし油であり、ひまし油由来成分100%である。
ポリオールDは、ひまし油と水添ひまし油脂肪酸のエステルでひまし油由来成分100%である。
ポリオールEは、石油由来多価アルコールとひまし油脂肪酸とその他植物油脂肪酸のエステルでひまし油脂肪酸が主成分であり、植物由来成分が90%である。
【0068】
【表3】

【0069】
架橋剤1):1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン及び又は1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン
架橋剤2):エチレングリコール
架橋剤3):ジエタノールアミン
触媒4):トリエチレンジアミンの33%エチレングリコール溶液
触媒5):ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテルの70%ジプロピレングリコール溶液
触媒6):ジブチル錫ジラウレート
蟻酸:99%蟻酸(含水量1.0重量%)
イソシアネート:SBU イソシアネート 0632(住化バイエル社製 液状変性MDI(NCO%=29.0%))
【産業上の利用可能性】
【0070】
インテグラルスキンフォーム成形品は、優れた触感、弾性感を持ち、自動車のアームレスト、ハンドル、コンソール蓋、チェンジノブなどの自動車内装品、家具としてのカバー材あるいは椅子の肘掛け等、あるいは小児用安全具、たとえば、椅子、歩行器、あるいは遊具用保護具、保持具、安全バーの表面材等に用いられる。
【符号の説明】
【0071】
1 綿帆布
2 インテグラルスキンフォーム成形品
3 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート(A)と、ポリオール、架橋剤、発泡剤、触媒を含んでなるポリオール混合物(B)から、反応射出成形法によって、密度が0.2〜0.8g/cmのインテグラルスキンフォームを製造する組成物であって、
(1)ポリオールは、ポリオール100重量部に対して、ひまし油に由来するポリオールを40重量部以上含み、ひまし油に由来するポリオールは平均官能基数2.0〜2.7かつ水酸基価が30〜170mgKOH/gであり、
(2)触媒が、第3級アミンと金属触媒を共に含む
ことを特徴とするポリウレタンインテグラルスキンフォーム用組成物。
【請求項2】
ポリイソシアネート(A)が、ジフェニルメタンジイソシアネートとそのウレタン変性体および/あるいはそのカルボジイミド変性体であることを特徴とする請求項1記載の弾性ポリウレタンインテグラルスキンフォーム用組成物。
【請求項3】
架橋剤が少なくとも1.0重量部の1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン及び又は1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼンを含むことを特徴とする請求項1あるいは2記載のインテグラルスキンフォーム用組成物。
【請求項4】
発泡剤がポリオール混合物100重量部に対して0.4〜2.0重量部の蟻酸であり、塩基性の架橋剤および/あるいはアミン触媒をポリオール混合物に含み、ポリオール混合物のpHが5以上であることを特徴とする請求項1,2あるいは3記載のインテグラルスキンフォーム用組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のポリウレタンインテグラルスキンフォーム用組成物を使用する反応射出成形法。
【請求項6】
原料注入から、成形品取り出しのために型をあけ始めるまでの時間が3分以内である請求項5に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−36354(P2012−36354A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180699(P2010−180699)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000183299)住化バイエルウレタン株式会社 (33)
【Fターム(参考)】