説明

インテグリンアンタゴニストを用いて多発性骨髄腫および骨髄腫誘導骨吸収を治療する方法

【課題】多発性骨髄腫を治療するための医薬組成物の提供。
【解決手段】アルファ4サブユニット含有インテグリンおよびアルファ4サブユニット含有インテグリンのリガンドの間の相互作用のアンタゴニストを治療的に有効な量で含む医薬組成物。該アンタゴニストが、アルファ4インテグリン結合剤であり、該アルファ4インテグリン結合剤は、a)VLA−4およびアルファ4ベータ7両方と、それぞれのアルファ4リガンドとの相互作用に拮抗する抗体相同体(homolog);b)VLA−4とそのアルファ4リガンドの相互作用に拮抗する抗体相同体;およびc)アルファ4ベータ7とそのアルファ4リガンドの相互作用に拮抗する抗体相同体、からなる群より選択されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、多発性骨髄腫、およびヒトにおける骨髄腫の主な副作用である、重症の骨損失を生じる、骨髄腫細胞による骨吸収因子の放出の治療に関する。より詳細には、本発明は、多発性骨髄腫細胞の骨髄への誘導;該細胞の続くインテグリン依存生存;および多発性骨髄腫患者において骨破壊を生じる、該細胞のインテグリン依存骨吸収因子放出に関連する、こうした接着の生物学的影響を阻害する、アルファ4含有インテグリンのアンタゴニストなどのインテグリンアンタゴニストに関する。
発明の背景
多発性骨髄腫は、二番目によく起こる血液学的悪性疾患であり、米国において、毎年、15,000の新規に診断される症例があり、そして毎年、30,000ないし40,000の骨髄腫患者が存在する(MundyおよびBertolini、1986)。患者の80パーセントは、破骨細胞(OCL)形成および活性の増加により引き起こされる壊滅的な骨溶解性の骨破壊を患う(MundyおよびBertolini、1986)。この骨破壊は、激しい苦痛を与える骨の痛み、病的骨折、脊髄圧迫、および生命を脅かす高カルシウム血症を引き起こす可能性がある。多発性骨髄腫は、標準的な化学療法または幹細胞移植により治癒することが不可能であるため(Attalら、1996)、そして骨髄腫骨疾患に関連し、重症の病的状態および死亡の可能性があるため、骨髄腫増殖自体、および特に、これらの患者で発生する骨溶解性骨破壊を調節する治療戦略が、非常に重要である。
【0002】
しかし、多発性骨髄腫患者における破骨細胞活性の増加に責任がある病理学的機構は、未知である(Mundy、1988)。骨損傷は、いくつかのパターンで発生する。時に、患者は孤立したプラズマ細胞腫と関連した、分離した骨溶解性損傷を発展させる。ある患者は、骨粗鬆症の外観を模倣し、そして体軸骨格全体に骨髄腫細胞が広く伝播するためである、拡散した骨減少症(osteopenia)を有する。ほとんどの患者で、骨髄腫細胞の巣に隣接して発生する多発性の別個の溶解性損傷が存在する。高カルシウム血症は、進行した疾患を有する患者の約3分の1で、骨破壊の結果として発生する。まれに、骨髄腫を有する患者は、溶解性損傷または骨損失を持たず、むしろ、骨髄腫細胞の周りに新規骨形成の増加を有する。このまれな状況は、骨硬化性骨髄腫として知られる。
【0003】
骨溶解性骨損傷は、断然、骨髄腫患者における最も一般的な骨格的発現である(Mundy、1998)。正確な分子的機構は不明のままであるが、15年にわたる観察により:1)骨髄腫において、骨が破壊される機構は、正常骨吸収細胞である破骨細胞を介し;2)破骨細胞は、骨髄腫細胞の集合に隣接する骨髄腫の骨吸収表面上に集積し、そして骨髄腫において、破骨細胞が刺激される機構は、局所のものであるようであり;3)in vitroでヒト骨髄腫細胞を培養すると、リンホトキシン−アルファ(LT−a)、インターロイキン−1(IL−1)、副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)およびインターロイキン−6(IL−6)を含む、いくつかの破骨細胞活性化因子が産生されることが長年知られてきており;4)高カルシウム血症は、該疾患の経過中のある時点で、骨髄腫の患者のおよそ3分の1で発生し、高カルシウム血症は、常に、顕著に増加した骨吸収と、そしてしばしば、糸球体濾過の欠陥と関連し;5)骨髄腫における破骨細胞骨吸収の増加は、通常、骨芽細胞機能の顕著な欠陥と関連する、ことが示されてきている。血清におけるアルカリホスファターゼ活性は、他の種類の骨溶解性骨疾患の患者とは異なり、減少するかまたは正常範囲内であり、そして放射性核種スキャンは、取り込み増加の徴候を示さず、欠陥がある骨芽細胞が、骨吸収の増加に反応することが示される。
【0004】
上に列挙される、多様な仲介因子が多発性骨髄腫患者における破骨細胞活性の刺激に関連付けられているが、骨髄腫細胞により産生される因子の報告は一致しておらず、そしていくつかの研究は、多発性骨髄腫細胞集団中の、間質細胞およびマクロファージを含む、他の混入細胞種の存在のため、結論が出ていない。IL−6は、いくつかの骨髄腫細胞株および患者由来の新鮮な単離骨髄腫細胞の増殖を亢進する主な骨髄腫増殖因子である(Batailleら、1989)。IL−6産生は、PCRにより、新鮮な単離骨髄腫細胞の約40%で検出することが可能であるが、免疫細胞化学またはELISAアッセイによると、研究した150人の患者中、わずか1人でのみ検出可能なIL−6産生が示される(Epstein、1992)。IL−6受容体は、多発性骨髄腫患者由来の13試料のうち、6つでしか検出されなかった(Batailleら、1992)。さらに、成熟骨髄腫細胞は、IL−6に対し、最小限の増殖反応しか示さないことが報告されてきている。インターロイキン−11(IL−11)は、プラズマ細胞腫に対し、IL−6様活性を有するが、現在まで、骨髄腫細胞がIL−11を産生することを立証した研究者はいない。Batailleおよび同僚ら(1995)は、難治性骨髄腫の5人の患者にIL−6に対する抗体を灌流すると、これらの患者の2人のみで、骨髄腫細胞負荷の大きさが減少したことを示してきている。IL−1は非常に強力な骨吸収剤であり、動物モデルにおいて、腎不全の非存在下で、高カルシウム血症を誘導する(Boyceら、1989)。対照的に、高カルシウム血症は、腎不全を起こしていない骨髄腫患者ではまれにしか起こらない。より重要なことに、非常に精製された骨髄腫細胞では、IL−1産生は検出不能であり、そしてTNF−a産生はまれにしか検出されず、他の混入細胞種、例えばマクロファージがIL−1およびTNF−aの供給源である可能性があることが示唆される(Epstein、1992)。同様に、LT−aは、大部分のヒト骨髄腫細胞株により産生される(Batailleら、1995)が、in vivoで、骨髄腫細胞により産生されないようである(Alsinaら、1996)。IL−1、TNF−a、LT−aおよびIL−6に加え、骨髄腫細胞は、生物学的に活性がある、M−CSFの一部切除(truncated)型を産生するが、M−CSFは、ヒト骨髄培養において、独力で高カルシウム血症を引き起こさず、または破骨細胞形成を誘導しない(MacDonaldら、1986)。
【0005】
したがって、骨髄腫患者の骨溶解性骨疾患におけるこれらの因子のいずれの役割も、in vivoで明確に立証されてきておらず、したがって、明らかに、既知のサイトカイン類がこれらの患者に見られる骨吸収を完全に説明するわけではない。
【0006】
骨髄腫骨疾患における接着分子相互作用の役割
Andersonおよび同僚らは、骨髄腫細胞および骨髄微小環境における細胞の間の接着相互作用の重要性を、骨髄腫細胞の増殖および骨溶解性骨疾患の発展の両方において立証した、最初のグループであった。多発性骨髄腫細胞は、細胞表面接着分子、CD29(VLA−4)、LFA−1、およびCD44を発現する(Chauhanら、1995)。これらの研究者らは、骨髄腫細胞が、細胞外マトリックスタンパク質および骨髄間質細胞の間の特異的な接着相互作用を介し、骨髄に配置されると示唆した。彼らはさらに、多発性骨髄腫細胞の間質細胞に対する接着が、正常および多発性骨髄腫骨髄由来間質細胞の両方によるIL−6分泌を誘発し、そしてIL−6仲介腫瘍細胞増殖を増加させたことを示した。しかし、CD29、LFA−1またはCD44に対する抗体は、骨髄腫細胞に反応する、骨髄間質細胞によるIL−6産生を減少させず、別のリガンド・受容体相互作用が、骨髄腫細胞に結合した骨髄間質細胞によるIL−6分泌を誘発したことが示唆された。可能性がある接着経路を単に同定しただけでは、必ずしも該経路が重要であることを意味しない。この場合、関連付けられた経路のいずれも、IL−6産生には役割を果たしていない。
【0007】
Vanderkerkenら(1997)はまた、ネズミ骨髄腫のモデルにおいて、ネズミ5T2細胞および5T33骨髄腫細胞の表現型的接着プロフィールも調べた。これらの研究者らは、これらの細胞株がVLA−4、VLA−5、LFA−1、およびCD44を発現することを示し、そしてこれらの接着相互作用が、骨髄腫細胞が骨髄間質細胞に結合するのに重要である可能性があると示唆した。
【0008】
多くの実験が進行したのにもかかわらず、in vivoでの骨髄腫における増加した破骨細胞性骨破壊の根底にある基本的な機構は、ほとんど理解されないままである。これは、in vitroで得られた接着相互作用に関するデータを、容易にin vivoの環境に転換することが不可能であることに反映される。例えば、多くのin vitro研究は、骨髄間質に対する造血幹細胞の接着において、インテグリンVLA−4およびインテグリンLFA−1両方を関連付けている(PapayannopoulouおよびNakamoto、1993に概説される)。これらのin vitroデータは、どちらかの経路が、in vivoで遮断された場合、その結果、造血幹細胞が骨髄から末梢血に移動するであろうことを予測するであろう。しかし、霊長類の研究において、VLA−4に対するモノクローナル抗体(mAb)は幹細胞を有効に末梢に移動させたが、LFA−1のベータ2インテグリン鎖に対するモノクローナル抗体は、好中球計数が増加し、したがって、mAbの有効性が立証されたにも関わらず、効果がなかった(PapayannopoulouおよびNakamoto、1993)。これらのデータは、in vitroの結果は、実際、in vivoの関連性を正確に予測することが不可能であったことを示す。
【0009】
リンパ腫などの白血病を含む、多発性腫瘍の転移におけるインテグリンVLA−4の役割が研究されてきており、相反する結果が出ていることに注目すべきである。上に述べたように、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞へのヒトアルファ4鎖のトランスフェクションは、VLA−4発現を生じ、そしてこれらの細胞がin vivoで骨髄に移動する能力を与え、この現象はVLA−4に対するmAbにより阻害された(Matsuuraら、1996)。対照的に、VLA−4でリンパ腫細胞をトランスフェクションすると、肝臓、肺および腎臓への転移が強力に阻害され、そして骨髄への誘導および骨髄における増殖に影響を及ぼさなかった(Gosslarら、1996)。さらに、非常に転移性のネズミ黒色腫細胞上でのVLA−4の発現は、in vivoで肺転移の形成を強力に阻害し(Qianら、1994)、そして黒色腫を骨髄に転移しやすくしなかった。
【0010】
要約すると、in vitro研究に基づき、接着経路のin vivo関連性を、信頼性を持って予測する方法は明らかでない。さらに、in vivo研究が行われた際も、生じるデータは、一定しない。多発性骨髄腫の分野における、わかりにくい不一致の1つの主な理由は、現在利用可能な動物モデルが、ヒト疾患の優れた予測材料でないことである。多発性骨髄腫の場合、in vitroで増殖することが可能であるヒトおよびネズミ骨髄腫細胞株が、in vivoで骨破壊と関連することはまれである(Mundy、1998)。
【0011】
これらの骨吸収因子の産生を阻害し、したがって進行性骨破壊を停止し、そして骨髄腫患者の生活の質を改善する、化合物またはアンタゴニストを同定することが、非常に望ましいであろう。
発明の概要
我々は、最近開発された、マウスがヒト疾患のすべての特徴を持つ重症の骨溶解を発展させる、多発性骨髄腫のネズミモデルを用いた(Garrett、1997)。本細胞株および動物モデルを用い、我々は、アルファ4インテグリン/アルファ4インテグリンリガンド経路の阻害が、in vivoで多発性骨髄腫細胞が増殖するおよび/または生存する能力の減少につながることを立証した。我々は、VLA−4/VCAM−1相互作用を介した骨髄腫細胞および骨髄間質細胞の間の細胞・細胞付着は、in vivoで骨微小環境の破骨細胞性骨吸収を刺激する活性の産生を増加させるのに必要であることを示す。
【0012】
我々は、本相互作用が、骨髄腫細胞の骨髄区画への誘導、該細胞の続く生存および増殖、究極的な骨髄腫誘導骨溶解の進行に重要であることを提唱する。我々はこれを動物モデルで試験し、そしてin vivoで、アルファ4サブユニット含有インテグリンVLA−4のアンタゴニストが、IgG2bサブタイプの抗体の産生を強力に阻害することを見出した。このアイソタイプは、5TGM1細胞株に産生されるものと同一であり、そしていかなる時点でも、骨髄区画における骨髄腫細胞の数の正確な代用物である。したがって、VLA−4経路の遮断は、IgG2b産生を非常に強力に阻害し、そして骨髄腫負荷のレベルを阻害することが示唆される。
【0013】
本発明の1つの側面は、多発性骨髄腫を治療するための方法であって、アルファ4サブユニット含有インテグリン(例えばVLA−4)および本インテグリンのリガンド(例えばVCAM−1)の間の相互作用のアンタゴニストを含む組成物を、治療的に有効な量、個体に投与することを含む、前記方法である。本アンタゴニストは、アルファ4インテグリン結合剤またはアルファ4インテグリンリガンド結合剤であってもよい。好ましい剤は、抗VLA−4または抗アルファ4ベータ7抗体相同体(ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片);抗VCAM−1抗体相同体(ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片);およびアルファ4サブユニット含有インテグリンとそれらのリガンドの相互作用の小分子阻害剤である。組成物は、約0.1ないし約20 mg/kg体重を提供するような投薬量で投与してもよい。特に、好ましい剤は:a)VLA−4およびアルファ4ベータ7両方をひとまとめにし、それらのそれぞれのアルファ4リガンドとの;またはb)VLA−4とそのアルファ4リガンドとのみの;またはc)アルファ4ベータ7とそのアルファ4リガンドとのみの、相互作用に拮抗することが可能である。
【0014】
本発明の別の側面は、骨髄の腫瘍と関連する骨吸収を阻害するための方法であって、前記腫瘍を持つ哺乳動物に、VLA−4などのアルファ4サブユニット含有インテグリンおよびVCAM−1などのアルファ4サブユニット含有インテグリンのリガンドの間の相互作用のアンタゴニストを、前記骨吸収の阻害を提供するのに有効な量、投与することを含む、前記方法である。本アンタゴニストは、VLA−4結合剤などのアルファ4インテグリン結合剤またはVCAM−1結合剤などのアルファ4インテグリンリガンド結合剤であってもよい。好ましい剤は、抗VLA4または抗アルファ4ベータ7抗体相同体(ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片);抗VCAM−1抗体相同体(ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片);およびアルファ4サブユニット含有インテグリンとそれらのそれぞれのリガンドの相互作用(例えばVCAM−1/VLA−4相互作用)の小分子阻害剤である。アンタゴニストは、約0.1ないし約20 mg/kg体重を提供するような投薬量で投与してもよい。
【0015】
本発明のさらに別の側面は、破骨細胞形成の存在により特徴付けられる障害を有する患者を治療する方法であって、該患者に、アルファ4サブユニット含有インテグリンおよびアルファ4サブユニット含有インテグリンのリガンドの間の相互作用のアンタゴニストを、破骨細胞形成を抑制するのに十分な量、投与することを含む、前記方法である。同様に、該アンタゴニストは、アルファ4結合剤またはアルファ4リガンド結合剤であってもよい。好ましい剤は、抗VLA−4または抗アルファ4ベータ7抗体相同体(ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片);抗VCAM−1抗体相同体(ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片);およびアルファ4サブユニット含有インテグリンとそれらのそれぞれのリガンドの相互作用(例えばVCAM−1/VLA−4相互作用)の小分子阻害剤である。組成物は、約0.1ないし約20 mg/kg体重を提供するような投薬量で投与してもよい。別に明記されない限り、すべての参考文献は、本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】5TGM1細胞および骨髄細胞の共培養における、TRAP陽性多核OC様細胞形成に対する中和抗体の影響。懸濁中の5TGM1細胞(1 e 3)および骨髄細胞(1 e 6)の混合物を、48ウェル培養プレートに蒔き、そして10μg/mlの抗VCAM−1抗体(VCAM−1 Ab)、抗アルファ4ベータ1抗体(α4β11Ab)、抗ICAM−1抗体(ICAM−1 Ab)またはコントロールとしてのラットIgGを含み、または含まず培養した。培養6日後、培養を固定し、そしてTRAP陽性多核OC様細胞(TRAP(+)MNC)の数を測定した。VCAM−1 Abおよびアルファ4ベータ1 AbはどちらもTRAP(+)MNC形成を阻害する一方、ICAM−1 Abは影響を及ぼさなかった。データは平均±S.E.(n=3)で表す。=IgGコントロールと有意に異なる。
【図2】ラット胎児長骨の器官培養における骨吸収に対する、5TGM1およびST2馴化培地の影響。ST2単独、5TGM1単独、並びにST2および5TGM1の共培養から得られた馴化培地(48時間)を、45カルシウム標識ラット胎児長骨の器官培養における骨吸収活性に関し、アッセイした。標識ラット胎児長骨を、馴化培地(40%v/v)またはコントロール培地の存在下で、120時間培養した。データは、コントロール培地中のものに対するカルシウム放出のパーセンテージ増加として表す。ST2間質細胞の馴化培地からの放出は、白い棒で示す。5TGM1からの放出は斜線の棒で示す。5TGM1およびST2の共培養から採取した馴化培地からの放出は黒い棒で示す。データは平均±S.E.(n=4)で表す。=ST2単独と有意に異なる。***=5TGM1単独と有意に異なる。
【図3】5TGM1細胞による破骨細胞形成活性の産生に対する、組換え可溶性VCAM−1(sVCAM−1)の影響。sVCAM−1(1 x 10−8ないし1 x 10−7モル)の存在下または非存在下で24時間培養した、5TGM1細胞から、馴化培地を採取した。これらの馴化培地の破骨細胞形成活性を、マウス骨髄培養でアッセイした。骨髄細胞(1e6/ウェル)を48ウェルプレートに蒔き、そして馴化培地(斜線の棒)または同濃度のsVCAM−1を含むコントロール培地(IMDM)(白い棒)の存在下で培養した。6日後、培養を固定し、そしてTRAP陽性多核OC様細胞(TRAP+ MNC)の数を測定した。1 x 10−7MのsVCAM−1で処理した5TGM1細胞由来の馴化培地はTRAP(+)MNC形成を増加させた。データは平均±S.E.(n=3)で表す。=コントロールと有意に異なる。
【図4】5TGM1を持つマウスにおける血清IgG2b上昇に対する、VLA−4に対するmAb PS2の影響。マウスに1e5の5TGM1細胞を注入し、骨髄にコロニーを形成させた。マウスを3匹ずつ2群に分け、1つはコントロール群として用い、そして第二の群は、第8、11、14、17および20日に、80μgのmAb PS/2(〜4 mg/kg)で処置した。5TGM1骨髄腫細胞により産生される抗体アイソタイプである、IgG2bのレベルを、第1ないし6週に、毎週測定した。mAb処置は、強力にIgG2b産生を阻害し、骨髄腫細胞の生存および増殖のin vivoでの阻害を示した。
【図5】5TGM1を持つマウスにおける血清IgG2b上昇に対する、VCAM−1に対するmAb M/K−2.7の影響。図4に記載されるように、マウスに5TGM1細胞を注入し、骨髄にコロニーを形成させた。マウスを4または5匹ずつ群に分け、1つはコントロール群(白い正方形)として用い、そして第二/第三の群は、予防的に、80μg(白いひし形)および160μg(白い円)のmAb(〜4ないし8 mg/kg)で処置し、第四の群は、治療的に160μgのmAb(三角)で処置した。5TGM1骨髄腫細胞により産生される抗体アイソタイプである、IgG2bのレベルを測定した。mAb処置は、非常に強力にIgG2b産生を阻害し、骨髄腫細胞の生存および増殖のin vivoでの阻害を示した。
【図6】多発性骨髄腫を持つマウスの生存に対する、抗アルファ4インテグリン抗体の影響。発明の詳細な説明 本発明は、とりわけ、多発性骨髄腫を予防するための処置に関する。より詳細には、本発明の方法は、多発性骨髄腫の治療における、アルファ4サブユニットを含むインテグリンおよび本インテグリンのリガンドの間の相互作用のアンタゴニストの使用に関する。「多発性骨髄腫」という用語は、プラズマ細胞の腫瘍性疾患を有する個体における医学的状態を意味するよう意図され、腫瘍性クローンは、患者間のプラズマ細胞系譜における異なる段階の細胞を表す(Mundy、1998)。
【0017】
アルファ4ベータ1インテグリンは、VCAM−1、フィブロネクチンおよびおそらく、アルファ4ベータ1インテグリンと結合する、または別の方式で相互作用する他の分子の細胞表面受容体である。これに関し、アルファ4サブユニット含有インテグリンと結合する、または別の方式で相互作用するこうした分子は、個々にそして集合的に「アルファ4リガンド(類)」と称される。したがって、本明細書において、a4b1インテグリン(「VLA−4」または「a4b1」または「a4b1インテグリン」は交換可能に用いられる)という用語は、VCAM−1および細胞外マトリックスタンパク質のメンバー、特にフィブロネクチン、あるいはそれらの相同体または断片に結合することが可能であるポリペプチドを指すが、一般の当業者には、VLA−4の他のリガンドが存在する可能性があり、そして慣用法を用い解析することが可能であることが認識されるであろう。
【0018】
にもかかわらず、アルファ4サブユニットがベータ1に加え、他のベータサブユニットと関連するであろうことが知られ、したがって、「アルファ4インテグリン」という用語を、アルファ4サブユニットがベータサブユニットの1つまたは別のものと関連するインテグリンと定義することが可能である。「アルファ4」インテグリンのさらなる例はアルファ4ベータ7である(R. LobbおよびM Hemler、1994)。本明細書において、「アルファ4インテグリン(類)」は、VLA−4と共に、ベータ1、ベータ7または他のいかなるベータサブユニットでもよいものを持つインテグリンを意味する。
【0019】
本明細書に論じられるように、本発明の方法に用いられるアンタゴニストは、特定の種類または構造の分子に限定されず、したがって、本発明の目的のため、アルファ4サブユニットを含むいかなるインテグリン、例えばVLA−4を持つ細胞の表面上のVLA−4および/またはアルファ4ベータ7を持つ細胞の表面上のアルファ4ベータ7インテグリン(LobbおよびHemler, J. Clin. Invest., 94:1722−1728(1994))に、および/またはそれらのそれぞれのアルファ4リガンド、例えばそれぞれVCAM−1およびMadCAMを持つ細胞の表面上のVCAM−1およびMadCAMに結合することが可能であり、そしてVLA−4(またはアルファ4ベータ7)またはVCAM−1(またはMadCAM)を有効に遮断するまたは被覆する、いかなる剤も、本明細書の実施例に用いられるアンタゴニストの同等物(equivalent)と見なされる。
【0020】
インテグリン「アンタゴニスト」には、アルファ4インテグリン(類)がアルファ4インテグリンリガンドおよび/または受容体と結合することを阻害する、いかなる化合物も含まれる。抗インテグリン抗体または抗体相同体含有タンパク質(以下に論じられる)と共に他の分子、例えばインテグリンのリガンドタンパク質の可溶性型が有用である。アルファ4インテグリンのリガンドタンパク質の可溶性型には、可溶性VCAM−1またはコラーゲンペプチド、VCAM−1融合タンパク質、または二官能性VCAM−1/Ig融合タンパク質が含まれる。例えば、アルファ4インテグリンリガンドの可溶性型またはその断片を投与し、インテグリンに結合させ、そして好ましくは細胞上のインテグリン結合部位に関し競合させ、それにより、抗アルファ4インテグリン(例えばアルファ4ベータ7抗体および/またはVLA−4抗体)などのアンタゴニストの投与と類似の効果を導いてもよい。特に、アルファ4インテグリンリガンドと結合するが、インテグリン依存情報伝達を引き出さない、可溶性アルファ4インテグリン突然変異体が、本発明の範囲内に含まれる。こうした突然変異体は、野生型インテグリンタンパク質の競合的阻害剤として利用することが可能であり、そして「アンタゴニスト」と見なされる。本発明の方法に用いられる他のアンタゴニストは、以下に定義されるような「小分子」である。
【0021】
本発明に含まれるのは、1つ以上のアルファ4インテグリンの作用に拮抗する剤、例えばいくつかのアルファ4インテグリン、例えばVLA−4およびアルファ4ベータ7、または他の組み合わせのアルファ4インテグリン類に拮抗する、単一の小分子または抗体相同体を用いる方法である。やはり本発明の範囲内に含まれるのは、組み合わされた活性が1つ以上のアルファ4インテグリンの作用に拮抗するように、異なる分子の組み合わせを用いる方法、例えば組み合わせてアルファ4インテグリンVLA−4およびアルファ4ベータ7、または他の組み合わせのインテグリン類に拮抗する、いくつかの小分子または抗体相同体を用いる方法である。
【0022】
本明細書に論じられるように、特定のインテグリンアンタゴニストを、例えば免疫グロブリンまたはその断片などの抗体相同体に融合させまたは別の方式で結合させてもよく、そして該アンタゴニストは、特定の種類または構造のインテグリンまたはリガンドまたは他の分子に限定されない。したがって、本発明の目的のため、融合タンパク質(以下に定義されるようなもの)を形成することが可能であり、そしてアルファ4インテグリンリガンドに結合することが可能であり、そしてアルファ4ベータ7および/またはVLA−4インテグリンを有効に遮断するまたは被覆する、いかなる剤も、本明細書の実施例に用いられるアンタゴニストの同等物と見なされる。
【0023】
本発明の目的のため、「アルファ4インテグリンリガンド/アルファ4インテグリン相互作用のアンタゴニスト」は、アルファ4リガンド(例えばVCAM−1)および/またはアルファ4インテグリン(例えばアルファ4ベータ7またはVLA−4)仲介結合を阻害するまたは遮断することが可能である、あるいは例えば、アルファ4リガンド仲介アルファ4インテグリン情報伝達またはアルファ4リガンド仲介アルファ4リガンド情報伝達を阻害するまたは遮断することにより、アルファ4リガンドおよび/またはアルファ4インテグリン機能を別の方式で調節することが可能であり、そして好ましくは抗アルファ4インテグリン抗体と同じ方式で、多発性骨髄腫の治療に有効である、剤、例えばポリペプチドまたは他の分子を指す。
【0024】
特に、VCAM−1/VLA−4相互作用のアンタゴニストは、以下の特性の1つまたはそれ以上を有する剤である:(1)該剤は、VLA−4リガンド/VLA−4相互作用、例えば骨間質細胞および骨髄腫細胞の間のVCAM−1/VLA−4相互作用を阻害するのに、十分な特異性を持って、VLA−4を持つ細胞(例えば骨髄腫細胞)の表面上のVLA−4を被覆するまたは該VLA−4に結合する;(2)該剤は、VLA−4仲介シグナルの伝達、例えばVLA−4/VCAM−1仲介情報伝達を修飾するのに、そして好ましくは阻害するのに、十分な特異性を持って、VLA−4を持つ細胞(すなわち骨髄腫細胞)の表面上のVLA−4を被覆するまたは該VLA−4に結合する;(3)該剤は、VLA−4/VCAM相互作用を阻害するのに、十分な特異性を持って、骨間質細胞上のVLA−4リガンド(例えばVCAM−1)を被覆するまたは該リガンドに結合する;(4)該剤は、VLA−4リガンド仲介VLA−4情報伝達、例えばVCAM−1仲介VLA−4情報伝達を修飾するのに、そして好ましくは阻害するのに、十分な特異性を持って、骨間質細胞上のVLA−4リガンド(例えばVCAM−1)を被覆するまたは該リガンドに結合する。好ましい態様において、アンタゴニストは特性1および2の1つまたは両方を有する。他の好ましい態様において、アンタゴニストは特性3および4の1つまたは両方を有する。さらに、1つ以上のアンタゴニストを患者に投与してもよく、例えばVLA−4に結合する剤を、VCAM−1に結合する剤と組み合わせてもよい。
【0025】
例えば、抗体または抗体相同体(以下に論じられる)と共に、VLA−4およびVCAM−1に対する天然結合タンパク質の可溶性型が有用である。VLA−4に対する天然結合タンパク質の可溶性型には、可溶性VCAM−1ペプチド、VCAM−1融合タンパク質、二官能性VCAM−1/Ig融合タンパク質、フィブロネクチン、選択的スプライシングされた非III型連結部分を有するフィブロネクチン、およびアミノ酸配列EILDVまたは類似の保存的置換アミノ酸配列を含むフィブロネクチンペプチドが含まれる。VCAM−1に対する天然結合タンパク質の可溶性型には、可溶性VLA−4ペプチド、VLA−4融合タンパク質、二官能性VLA−4/Ig融合タンパク質およびそれらに匹敵するものが含まれる。本明細書において、「可溶性VLA−4ペプチド」または「可溶性VCAM−1ペプチド」は、膜にそれ自体を係留する(anchoring)ことが不可能なVLA−4またはVCAM−1ポリペプチドである。こうした可溶性ポリペプチドには、例えば、該ポリペプチドを係留する膜貫通ドメインの十分な部分を欠くまたは膜貫通ドメインが非機能的であるように修飾されているVLA−4およびVCAMポリペプチドが含まれる。これらの結合剤は、VLA−4に対する細胞表面結合タンパク質と競合することにより、または別の方式でVLA‐4機能を改変することにより、作用することが可能である。例えば、VCAM−1の可溶性型(例えば、Osbornら, 1989, Cell, 59:1203−1211)またはその断片を投与し、VLA−4に結合させ、そして好ましくは骨髄腫細胞上のVLA−4結合部位に関し競合させ、それにより小分子または抗VLA−4抗体などのアンタゴニストの投与に類似の効果を導いてもよい。
【0026】
別の例において、VCAM−1、またはVLA−4を持つ骨髄腫細胞の表面上のVLA−4に結合することが可能なその断片、例えばVCAM−1の2つのN末端ドメインを含む断片を、第二のペプチド、例えばVCAM−1部分の可溶性またはin vivo存続時間を増加させるペプチドに融合させてもよい。第二のペプチドは、可溶性ペプチド、好ましくはヒトペプチド、より好ましくは血漿タンパク質、または免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーの断片であってもよい。特に好ましい態様において、第二のペプチドはIgGあるいはその一部または断片、例えばヒトIgG1重鎖定常領域であり、そして少なくともヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む。
【0027】
本発明の方法に有用な他のアンタゴニストには、限定されるわけではないが、例えば細胞表面上のVLA−4受容体に結合することによりVLA−4を遮断する、または細胞表面上のVCAM−1受容体に結合することによりVCAM−1を遮断することにより、アルファ4インテグリン/アルファ4インテグリンリガンド相互作用を破壊することが可能なペプチド(「小分子」と呼ばれる有機分子)の作用を模倣する剤が含まれる。これらの「小分子」は、それ自体、小さいペプチドであってもよいし、あるいはより大きいペプチド含有有機化合物または非ペプチド性有機化合物であってもよい。本明細書において、「小分子」は、抗体または抗体相同体を含むことを意図しない。こうした「小分子」の分子量は、一般的に2000未満であるが、我々は、この数を分子量の絶対的な上限として適用することを意図しない。
【0028】
例えば、VLA−4リガンドの結合ドメインを模倣し、そしてVLA−4の受容体ドメインに適合する、オリゴ糖などの小分子を使用してもよい。すべて本明細書に援用される、J.J. Devlinら, 1990, Science 249:400−406(1990)、J.K. ScottおよびG.P. Smith, 1990, Science 249:386−390、および米国特許4,833,092(Geysen)を参照されたい。逆に、VCAM−1リガンドの結合ドメインを模倣し、そしてVCAM−1の受容体ドメインに適合する、小分子を使用してもよい。
【0029】
本発明に有用な他の小分子の例は、Komoriyaら(“The Minimal Essential Sequence for a Major Cell Type−Specific Adhesion Site(CS1) Within the Alternatively Spliced Type III Connecting Segment Domain of Fibronectin Is Leucine−Aspartic Acid−Valine”, J. Biol. Chem., 266(23), pp.15075−79(1991))に見出すことが可能である。彼らは、VLA−4に結合するのに必要な最小限の活性アミノ酸配列を同定し、そして特定の種のフィブロネクチンのCS−1領域(VLA−4結合ドメイン)のアミノ酸配列に基づき、多様な重複ペプチドを合成した。彼らは、フィブロネクチン依存細胞接着に対し阻害活性を有する、8アミノ酸ペプチド、Glu−Ile−Leu−Asp−Val−Pro−Ser−Thrと共に、2つのより小さい重複ペンタペプチド、Glu−Ile−Leu−Asp−ValおよびLeu−Asp−Val−Pro−Serを同定した。続いて、LDV配列を含む、より長い特定のペプチドがin vivoで活性があることが示された(T.A. Fergusonら, “Two Integrin Binding Peptides Abrogate T−Cell−Mediated Immune Responses In Vivo”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp.8072−76(1991);およびS.M. Wahlら, “Synthetic Fibronectin Peptides Suppress Arthritis in Rats by Interrupting Leukocyte Adhesion and Recruitment”, J. Clin. Invest., 94, pp.655−62(1994)。フィブロネクチンに対するVLA−4およびVLA−5接着両方を阻害することが可能な、環状ペンタペプチド、Arg−Cys−Asp−TPro−Cys(Tproは4−チオプロリンを示す)もまた記載されてきている(例えば、D.M. Nowlinら, “A Novel Cyclic Pentapeptide Inhibits Alpha4Beta1 Integrin−mediated Cell Adhesion”, J. Biol. Chem., 268(27), pp.20352−59(1993);およびPCT公告PCT/US91/04862を参照されたい)。本ペンタペプチドは、いくつかの細胞外マトリックスタンパク質の認識部位における共通モチーフとして知られてきていたFN由来のトリペプチド配列Arg−Gly−Aspに基づいた。
【0030】
他の小分子VLA−4阻害剤の例は、例えば、細胞接着阻害活性を有するベータアミノ酸を含む直線ペプチジル化合物を記載する、Adamsら, “Cell Adhesion Inhibitors”、PCT US97/13013に報告されてきている。国際特許出願WO 94/15958およびWO 92/00995は、細胞接着阻害活性を持つ環状ペプチドおよびペプチド模倣化合物を記載する。国際特許出願WO 93/08823およびWO 92/08464は、グアニジニル、尿素、チオ尿素含有細胞接着阻害化合物を記載する。米国特許第5,260,277号は、グアニジニル細胞接着調節化合物を記載する。
【0031】
こうした小分子模倣剤は、複数のペプチド、半ペプチド性化合物または非ペプチド性有機化合物を合成することにより産生し、そしてその後、アルファ4インテグリン/アルファ4インテグリンリガンド相互作用を阻害する能力に関し、これらの化合物をスクリーニングしてもよい。一般的には、米国特許第4,833,092号、ScottおよびSmith, “Searching for Peptide Ligands with an Epitope Library”, Science, 249, pp.386−90(1990)、およびDevlinら, “Random Peptide Libraries: A Source of Specific Protein Binding Molecules”, Science, 249, pp.40407(1990)を参照されたい。
【0032】
他の好ましい態様において、細胞表面アルファ4インテグリンおよび/またはアルファ4インテグリンリガンドに、遮断または被覆を含め、結合するため、本発明の方法で用いられる剤は、抗VLA−4および/または抗アルファ4ベータ7モノクローナル抗体または抗体相同体である。治療、特にヒト治療に好ましい抗体および相同体には、ヒト抗体相同体、ヒト化抗体相同体、キメラ抗体相同体、Fab、Fab’、F(ab’)2およびF(v)抗体断片、並びに抗体重鎖または軽鎖の単量体または二量体あるいはそれらの混合物が含まれる。VLA−4に対するモノクローナル抗体は、本発明の方法における好ましい結合剤である。
【0033】
本明細書において、「抗体相同体」という用語には、ジスルフィド結合を介し連結される免疫グロブリン軽鎖および重鎖からなる、損なわれていない(intact)抗体が含まれる。「抗体相同体」という用語はまた、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖および1つ以上の抗原に結合することが可能なそれらの抗原結合断片から選択される、1つまたはそれ以上のポリペプチドを含むタンパク質を含むよう、意図される。1つ以上のポリペプチドで構成される抗体相同体の構成要素ポリペプチドは、所望により、ジスルフィド結合または別の方式で共有架橋されていてもよい。
【0034】
したがって、「抗体相同体」は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM種(と共にそれらのサブタイプ)の損なわれていない免疫グロブリンを含み、ここで免疫グロブリンの軽鎖は、カッパまたはラムダ種であってもよい。
【0035】
「抗体相同体」にはまた、抗原結合特異性を保持する、損なわれていない抗体の一部、例えばFab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、F(v)断片、重鎖単量体または二量体、軽鎖単量体または二量体、1つの重鎖および1つの軽鎖からなる二量体、並びにそれらに匹敵するものが含まれる。したがって、上述の抗体由来の抗原結合断片と共に、全長二量体または三量体ポリペプチドは、それ自体、有用である。
【0036】
本明細書において、「ヒト化抗体相同体」は、組換えDNA技術により産生される抗体相同体であり、抗原結合に必要でないヒト免疫グロブリン軽鎖または重鎖のアミノ酸のいくつかまたはすべてが、非ヒト哺乳動物免疫グロブリン軽鎖または重鎖由来の対応するアミノ酸に対し、置換されている。
【0037】
本明細書において、「キメラ抗体相同体」は、組換えDNA技術により産生される抗体相同体であり、免疫グロブリン軽鎖、重鎖または両方のヒンジおよび定常領域のすべてまたは一部が、別の免疫グロブリン軽鎖または重鎖由来の対応する領域に対し、置換されている。別の側面において、本発明は:(1)VLA−4標的化部分、例えばVLA−4を持つ骨髄腫細胞の表面上の抗原(すなわちVLA−4)に結合することが可能なVCAM−1部分;(2)所望により、第二のペプチド、例えばVLA−4標的化部分の可溶性またはin vivo存続時間を増加させるもの、例えば免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーあるいはその断片または一部、例えばIgGの一部または断片、例えばヒトIgG1重鎖定常領域、例えばCH2およびCH3ヒンジ領域;および毒性部分を含む、キメラ分子の変異体(variant)を特徴とする。VLA−4標的化部分は、いかなる天然発生VLA−4リガンドまたは断片、例えばVCAM−1ペプチド、または類似の保存的置換アミノ酸配列であってもよい。好ましい標的化部分は、可溶性VCAM−1断片、例えばVCAM−1分子のN末端ドメイン1および2である。キメラ分子を用い、VLA−4、および好ましくは活性化VLA−4を持つ骨髄腫細胞の存在により特徴付けられる障害、例えば多発性骨髄腫のリスクがある患者、例えばヒトを治療してもよい。
【0038】
本明細書において、「ヒト抗体相同体」は、組換えDNA技術により産生される抗体相同体であり、免疫グロブリン軽鎖または重鎖のアミノ酸はすべて、ヒト供給源に由来する。
【0039】
抗VLA−4抗体相同体を作成する方法
モノクローナル抗体相同体を産生するための技術が周知である。簡潔には、不死細胞株(典型的には骨髄腫細胞)を、既定の抗原、例えばVLA−4を発現する全細胞で免疫した哺乳動物由来のリンパ球(典型的には脾臓細胞)に融合させ、そして生じたハイブリドーマ細胞の培養上清を、該抗原に対する抗体に関し、スクリーニングする。一般的には、Kohlerら, 1975, Nature, 265:295−297を参照されたい。
【0040】
免疫感作は、標準法を用い、達成することが可能である。単位用量および免疫感作計画は、免疫される哺乳動物種、その免疫状態、該哺乳動物の体重などに応じる。典型的には、免疫哺乳動物を出血させ、そして適切なスクリーニングアッセイを用い、各血液試料由来の血清を、特定の抗体に関しアッセイする。例えば、抗VLA−4抗体は、VLA−4発現細胞由来の125I標識細胞溶解物の免疫沈降により、同定することが可能である。(Sanchez−Madridら, 1986, Eur. J. Immunol., 16:1343−1349およびHemlerら, 1987, J. Biol. Chem., 262, 11478−11485を参照されたい)。抗VLA−4抗体はまた、フローサイトメトリーにより、例えばVLA−4を認識すると考えられる抗体とインキュベーションしたRamos細胞の蛍光染色を測定することにより、同定することも可能である(Elicesら, 1990, Cell, 60:577−584を参照されたい)。ハイブリドーマ細胞の産生に用いられるリンパ球は、典型的には、こうしたスクリーニングアッセイを用い、抗VLA−4抗体の存在に関し、血清がすでに陽性に試験されている免疫動物から単離する。
【0041】
典型的には不死細胞株(例えば骨髄腫細胞株)は、リンパ球と同じ哺乳動物種に由来する。好ましい不死細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培地(「HAT培地」)に感受性であるマウス骨髄腫細胞株である。典型的には、HAT感受性マウス骨髄腫細胞を、1500分子量ポリエチレングリコール(「PEG 1500」)を用い、マウス脾臓細胞に融合させる。融合から生じるハイブリドーマ細胞を、その後、未融合および非生産的に融合している骨髄腫細胞を殺すHAT培地を用いて選択する(未融合脾臓細胞は、形質転換されていないため、数日後に死ぬ)。望ましい抗体を産生するハイブリドーマを、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることにより、検出する。例えば、抗VLA−4抗体を産生するよう調製されたハイブリドーマは、ハイブリドーマ培養上清を、組換えアルファ4サブユニット発現細胞株に結合する能力を有する分泌抗体に関し、試験することにより、スクリーニングすることが可能である(Elicesら、上記を参照されたい)。
【0042】
損なわれていない免疫グロブリンである抗VLA−4抗体相同体を産生するため、こうしたスクリーニングアッセイで陽性と試験されたハイブリドーマ細胞を、ハイブリドーマ細胞が培地にモノクローナル抗体を分泌するのを可能にする条件下でそして十分な時間、栄養培地中で培養した。ハイブリドーマ細胞に適した組織培養技術および培地は周知である。馴化ハイブリドーマ培養上清を集め、そして所望により、周知の方法により、抗VLA4抗体をさらに精製してもよい。
【0043】
あるいは、非免疫マウスの腹腔にハイブリドーマ細胞を注入することにより、望ましい抗体を産生してもよい。ハイブリドーマ細胞は腹腔内で増殖し、抗体を分泌し、抗体は腹水として集積する。シリンジで腹腔から腹水を引き取ることにより、抗体を採取してもよい。
【0044】
いくつかのマウス抗VLA−4モノクローナル抗体が、先に記載されてきている。例えばSanchez−Madridら、1986、上記;Hemlerら、1987、上記;Pulidoら, 1991, J. Biol. Chem., 266(16), 10241−10245を参照されたい。これらの抗VLA−4モノクローナル抗体、例えばVLA−4のP鎖を認識することが可能な、HP 1/2および他の抗VLA−4抗体(例えばHP2/1、HP2/4、L25、P4C2、P4G9)は、本発明にしたがった治療法に有用であろう。VCAM−1およびフィブロネクチンリガンドに対する結合に関与するVLA−4アルファ4鎖エピトープを認識するであろう抗VLA−4抗体(すなわち、リガンド認識に関与する部位でVLA−4に結合し、そしてVCAM−1およびフィブロネクチン結合を遮断することが可能である抗体)が好ましい。こうした抗体は、Bエピトープ特異的抗体(B1またはB2)と定義されてきており、そしてまた本発明にしたがった抗VLA−4抗体でもある。
【0045】
VLA−4に対する完全なヒトモノクローナル抗体相同体は、本発明の方法において、VLA−4抗原を遮断するまたは被覆する可能性がある、別の好ましい結合剤である。これらは、Boernerら, 1991, J. Immunol., 147, 86−95に記載されるように、in vitroプライム化(primed)ヒト脾臓細胞を用い、その損なわれていない型で調製することが可能である。あるいは、これらは、ヒトB細胞からのヒトモノクローナル抗体の調製を記載する、Perssonら, 1991, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 88:2432−2436に、またはHuangおよびStollar, 1991, J. Immunol. Methods 141, 227−236、米国特許5,798,230(1998年8月25日、“Process for the preparation of human monoclonal antibodies and their use”)に記載されるように、レパトア・クローニングにより調製してもよい。本方法にしたがい、エプスタイン・バーウイルス、またはエプスタイン・バーウイルス核抗原2(EBNA2)を発現するその誘導体での感染により、ヒト抗体産生B細胞を不死化する。不死化に必要とされるEBNA2の機能は、続いて停止され、抗体産生の増加を生じる。
【0046】
完全なヒト抗体を産生するためのさらに別の方法において、米国特許5,789,650(1998年8月4日、“Transgenic non−human animals for producing heterologous antibodies”)は、異種抗体を産生することが可能なトランスジェニック非ヒト動物および不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニック非ヒト動物を記載する。内因性免疫グロブリン遺伝子は、アンチセンスポリヌクレオチドにより、および/または内因性免疫グロブリンに対して向けられる抗血清により、抑制される。異種抗体は、その種の非ヒト動物のゲノムに通常見られない免疫グロブリン遺伝子によりコードされる。非再編成異種ヒト免疫グロブリン重鎖の配列を含む、1つまたはそれ以上の導入遺伝子を、非ヒト動物に導入し、それにより機能的に導入遺伝子免疫グロブリン配列を再編成し、そしてヒト免疫グロブリン遺伝子によりコードされる多様なアイソタイプの抗体レパトアを産生することが可能な、トランスジェニック動物を形成する。こうした異種ヒト抗体は、B細胞で産生され、該B細胞をその後、例えば、骨髄腫などの不死化細胞株と融合させることにより、または完全なモノクローナル異種ヒト抗体相同体を産生することが可能な細胞株を永続させるための他の技術で、こうしたB細胞を操作することにより、不死化する。
【0047】
大きな非免疫化ヒトファージライブラリーもまた、標準的ファージ技術を用い、ヒト治療薬として発展させることが可能な高親和性抗体を単離するのに用いてもよい(Vaughanら、1996)。本発明の方法において、VLA−4抗原を遮断するまたは被覆する可能性がある、さらに別の好ましい結合剤は、抗VLA−4特異性を有するヒト化組換え抗体相同体である。キメラ抗体の調製のための初期の方法に続く、新たなアプローチが、EP 0239400(Winterら)に記載された。該方法では、抗体を、1つの種の相補性決定領域(CDR)を別のもの由来のものに関し、置換することにより、改変する。本方法は、例えば、ヒト重鎖および軽鎖Ig可変領域部分を、ネズミ可変領域ドメイン由来の代替CDRで置換するのに用いてもよい。これらの改変Ig可変領域は、続いて、ヒトIg定常領域と組み合わせ、置換ネズミCDR以外は、組成が完全にヒトである抗体を生成することが可能である。こうしたCDR置換抗体は、かなり少ない非ヒト構成要素を含むため、キメラ抗体に比べ、ヒトにおいて免疫反応を引き出す可能性がより低いと予測されるであろう。CDR「移植(grafting)」を介したモノクローナル抗体のヒト化のための方法は、「再成形(reshaping)」と名付けられている(Riechmannら, 1988, Nature 332, 323−327; Verhoeyanら, 1988, Science 239, 1534−1536)。
【0048】
典型的には、特定の抗原に結合するマウス抗体の領域であるのはCDRである(3つは抗体重鎖に、3つは抗体軽鎖にある)ため、ネズミ抗体の相補性決定領域(CDR)をヒト抗体の対応する領域上に移植する。CDRの移植は、遺伝子操作により達成され、これにより、ネズミ重鎖および軽鎖可変(V)領域遺伝子部分のクローニングによりCDR DNA配列が決定され、そしてその後、部位特異的突然変異誘発により、対応するヒトV領域に移される。該方法の最終段階で、望ましいアイソタイプのヒト定常領域遺伝子部分(通常CHに関しガンマIおよびCLに関しカッパ)を添加し、そしてヒト化重鎖および軽鎖遺伝子を哺乳動物細胞で共発現し、可溶性ヒト化抗体を産生する。
【0049】
これらのCDRのヒト抗体への転移は、本抗体に、元来のネズミ抗体の抗原結合特性を与える。ネズミ抗体における6つのCDRは、構造的にV領域「枠組み」領域に乗っている。CDR移植が成功する理由は、マウスおよびヒト抗体の間の枠組み領域が、CDRが交換可能であるように、非常に類似の3−D構造を有し、CDRに対する付着点が類似である可能性があることである。こうしたヒト化抗体相同体は、Jonesら, 1986, Nature 321, 522−525;Riechmann, 1988, Nature 332, 323−327;Queenら, 1989, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86, 10029;およびOrlandiら, 1989, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86, 3833に例示されるように、調製してもよい。
【0050】
にもかかわらず、枠組み領域内の特定のアミノ酸は、CDRと相互作用し、そして抗原結合親和性全体に影響を及ぼすと考えられる。ヒトV領域枠組みにいかなる修飾も加えない組換えヒト化抗体を産生する、ネズミ抗体由来のCDRの直接転移は、しばしば、結合親和性の部分的または完全な欠失を生じる。いくつかの場合、結合活性を得るためには、受容抗体の枠組み領域の残基を改変することが必須であるようである。
【0051】
Queenら、1989(上記)およびWO 90/07861(Protein Design Labs)は、ネズミMAb(抗Tac)のCDRをヒト免疫グロブリン枠組みおよび定常領域と組み合わせることにより、受容抗体の枠組み領域に修飾残基を含む、ヒト化抗体の調製を記載してきている。彼らは、ヒトV領域枠組み残基のいかなる修飾も伴わない、直接CDR転移からしばしば生じる、結合親和性の損失の問題に対する1つの解決を示してきている;彼らの解決は、2つの重要な段階を伴う。まず、コンピューターアナリストにより、元来のネズミ抗体、この場合、抗Tac MAbのV領域枠組みに対する最適タンパク質配列相同に関し、ヒトV領域枠組みを選択する。第二の段階において、ネズミCDRと相互作用するようである枠組みアミノ酸残基を視覚化するため、コンピューターにより、ネズミV領域の三次構造をモデル化し、そしてその後、これらのネズミアミノ酸残基を、相同ヒト枠組み上に補充する。Protein Design Labs、米国特許5,693,762も参照されたい。
【0052】
異なるアプローチ(Tempestら, 1991, Biotechnology 9, 266−271)を用い、そして、マウス残基の根本的な導入を伴わないCDR移植のため、それぞれNEWMおよびRIE重鎖および軽鎖由来のV領域枠組みを、標準として利用してもよい。NEWMおよびREIに基づくヒト化抗体を構築する、Tempestらのアプローチを用いる利点は、x線結晶学により、NEWMおよびREI可変領域の3次元構造が知られており、そしてしたがって、CDRおよびV領域枠組み残基の間の特異的な相互作用をモデル化することが可能であることである。
【0053】
取られるアプローチに関係なく、現在までに調製された初期のヒト化抗体相同体の例は、これが容易な過程ではないことを示してきている。一方、こうした枠組みの改変が必要であろうことを知っていても、利用可能な先行技術に基づき、あるとすれば、どの枠組み残基が、望ましい特異性を持つ機能するヒト化組換え抗体を得るために改変する必要があるであろうか予測するのは不可能である。これまでの結果は、特異性および/または親和性を保持するのに必要な変化は、大部分、既定の抗体に特有であり、そして異なる抗体のヒト化に基づき予測することは不可能であることを示す。
【0054】
本発明に有用な好ましいアンタゴニストには、調製されてきているBエピトープ特異性を有するキメラ組換えおよびヒト化組換え抗体相同体(すなわち損なわれていない免疫グロブリンおよびその一部)が含まれ、そして1993年1月12日に提出された同時係属米国特許出願第08/004,798号、1994年1月7日に提出されたPCT公告US 94/00266に記載される。キメラ(マウスV−ヒトC)およびヒト化抗VLA−4抗体相同体の調製のための出発物質は、先に記載されるように、ネズミモノクローナル抗VLA−4抗体、商業的に入手可能なモノクローナル抗VLA−4抗体(例えばHP2/1、Amae International, Inc.、メイン州ウェストブルック)、または本明細書の解説と一致して調製された抗VLA−4抗体であってもよい。例えば、抗VLA−4抗体HP1/2の重鎖および軽鎖の可変領域がクローンされ、配列決定され、そしてヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖の定常領域と組み合わせ発現されてきている。こうしたHP1/2抗体は、ネズミHP 1/2抗体と、特異性および強度が類似であり、そして本発明にしたがった治療法に有用である可能性がある。
【0055】
他の好ましいヒト化抗VLA4抗体相同体は、Athena Neurosciences, Inc.により、PCT/US95/01219(1995年7月27日)に記載される。これらのヒト化抗VLA−4抗体は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖を含む。ヒト化軽鎖は、マウス21−6免疫グロブリン軽鎖の対応する相補性決定領域由来のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDRI、CDR2およびCDR3)、および少なくとも1つの位で、アミノ酸位が、マウス21.6免疫グロブリン軽鎖可変領域枠組みの同等の位に存在するのと同じアミノ酸により占められることを除き、ヒトカッパ軽鎖可変領域枠組み配列由来の可変領域枠組みを含む。ヒト化重鎖は、マウス21−6免疫グロブリン重鎖の対応する相補性決定領域由来のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)、および少なくとも1つの位で、アミノ酸位が、マウス21−6免疫グロブリン重鎖可変領域枠組みの同等の位に存在するのと同じアミノ酸により占められることを除き、ヒト重鎖可変領域枠組み配列由来の可変領域枠組みを含む。
【0056】
治療的適用
本発明の第一の側面にしたがった本方法において、VLA−4結合剤、特にVCAM融合体および抗VLA−4抗体相同体は、好ましくは非経口的に投与される。「非経口」という用語は、本明細書において、皮下、静脈内、筋内、関節腔内、滑膜内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病変内(intralesional)、頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0057】
VLA−4結合剤は、好ましくは、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、およびそれらに匹敵するもの、またはそれらの組み合わせなどの、多くの周知のキャリアーのいずれでもよい、薬学的に許容しうるキャリアーを含む、無菌薬剤組成物として投与される。本発明の化合物は、無機または有機酸および塩基由来の薬学的に許容しうる塩の形で用いてもよい。こうした酸性塩に含まれるのは以下のものである:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫化水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンホスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラートおよびウンデカン酸塩。塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウムおよびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウム塩、有機塩基を含む塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンおよびアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどを含む塩が含まれる。また、塩基性窒素含有基を、ハロゲン化低級アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル、ハロゲン化長鎖アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル、ハロゲン化アラルキル、例えば臭化ベンジルおよびフェネチルおよび他のもので四級化(quaternized)してもよい。それにより水または油可溶性または分散可能産物を得る。
【0058】
本発明の薬剤組成物は、本発明のいかなる化合物、または薬学的に許容しうるその誘導体を、いかなる薬学的に許容しうるキャリアーと共に含んでもよい。「キャリアー」という用語は、本明細書において、許容しうるアジュバントおよびビヒクルを含む。本発明の薬剤組成物に用いてもよい薬学的に許容しうるキャリアーには、限定されるわけではないが、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、リン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝基質、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく基質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート類、ワックス類、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー類、ポリエリレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0059】
本発明にしたがい、薬剤組成物は、無菌注射可能調製、例えば無菌注射可能水性または油性懸濁物の形であってもよい。本懸濁物は、適切な分散または湿潤剤および懸濁剤を用い、当業に知られる技術にしたがい、処方してもよい。無菌注射可能調製はまた、非毒性の非経口的に許容しうる希釈剤または溶媒中の無菌注射可能溶液または懸濁物、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用してもよい許容しうるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液および等張塩化水素溶液がある。さらに、溶媒または懸濁媒体として、無菌不揮発性油を慣用的に使用する。本目的のため、合成モノまたはジグリセリド類を含む、いかなる刺激がない(bland)不揮発性油を使用してもよい。脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、注射可能剤の調製に有用であり、天然の薬学的に許容しうる油、例えば、特にそのポリオキシエチレン化型のオリーブ油またはひまし油も同様である。これらの油溶液または懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばPh. Helvまたは類似のアルコールも含んでもよい。
【0060】
本発明の薬剤組成物、特にVLA−4/VCAM−1相互作用の小分子アンタゴニストは、非経口的にまたは経口的に投与してもよい。経口的に投与する場合、限定されるわけではないが、カプセル、錠剤、水性懸濁物または溶液を含む、経口的に許容しうるいかなる投薬型で投与してもよい。経口使用のための錠剤の場合、通常用いられるキャリアーには、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムもまた、典型的に添加される。カプセル型の経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。経口使用に水性懸濁物が必要とされる場合、活性成分を乳化剤および懸濁剤と組み合わせる。望ましい場合、特定の甘味料、香料または着色料もまた添加してもよい。局所経皮パッチもまた用いてもよい。本発明の薬剤組成物はまた、鼻エアロゾルまたは噴霧器使用を通じた吸入、乾燥粉末吸入器または用量測定吸入器により、投与してもよい。こうした組成物は、薬剤処方の当業に周知の技術にしたがい調製し、そしてベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、生物学的利用能を亢進する吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の慣用的な可溶化剤または分散剤を使用し、生理食塩水中の溶液として調製してもよい。
【0061】
別の態様にしたがい、本発明の化合物を含む組成物はまた、コルチコステロイド、抗炎症剤、免疫抑制剤、代謝拮抗剤、および免疫調節剤からなる群より選択される、さらなる剤も含んでもよい。これらの種類の各々に含まれる特定の化合物は、その開示が本明細書に援用される、“Comprehensive Medicinal Chemistry”, Pergamon Press,英国オックスフォード,pp.970−986(1990)の適切なグループ表題下に列挙されるいかなるものから選択してもよい。やはり本グループ内に含まれるのは、テオフィリン、スルファサラジンおよびアミノサリチル酸塩(抗炎症剤);シクロスポリン、FK−506、およびラパマイシン(免疫抑制剤);シクロホスファミドおよびメトトレキセート(代謝拮抗剤);ステロイド類(吸入、経口または局所)およびインターフェロン類(免疫調節剤)である。
【0062】
キャリアー成分と組み合わせてもよい、単回投薬型を産生する活性成分の量は、治療される宿主、および投与の特定の方式に応じ、変化するであろう。しかし、いかなる特定の患者のための特定の投薬および治療処方計画も、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別、食餌、投与時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、および治療する医師の判断および治療しようとする特定の疾患の重症度を含む、多様な要因に応じるであろう。活性成分の量はまた、あるとすれば、該成分と共投与される、治療または予防剤にも応じるであろう。
【0063】
細胞接着を妨げる、抑制するまたは阻害するのに有効な本発明の化合物の投薬および投薬速度は、多様な要因、例えば阻害剤の性質、患者の大きさ、治療目的、治療しようとする病理の性質、用いられる特定の薬剤組成物、および治療する医師の判断に応じるであろう。活性成分化合物は、1日当たり約0.001および約100 mg/kg体重の間、好ましくは1日当たり約0.1および約50 mg/kg体重の間の投薬レベルが有用である。最も好ましくは、VLA−4結合剤は、抗体または抗体誘導体の場合、約0.1 mg/kg体重/日および約20 mg/kg体重/日の間の範囲、好ましくは約0.1 mg/kg体重/日および約10 mg/kg体重/日の間の範囲の用量で、1−14日ごとの間隔で、投与されるであろう。非抗体または小分子結合剤の場合、用量範囲は、好ましくは、抗体のこれらの量に対しモル等量の量の間であるべきである。好ましくは、抗体の血漿レベル、少なくとも1 mg/mlを提供するのに有効な量で、抗体組成物を投与する。投薬量の最適化は、in vivoで既定の用量を投与した後の時間に渡り、結合剤の投与後、剤によるVLA−4陽性細胞の被覆の評価を行うことにより、決定することが可能である。
【0064】
個体の末梢血(または骨髄細胞)試料に含まれる骨髄腫細胞は、投与剤を検出する第二の試薬を用い、in vitro(またはex vivo)で剤の存在に関し、探査する(probe)べきである。例えば、これは投与剤に特異的な蛍光色素標識抗体であってもよく、これをその後、標準的FACS(蛍光活性化細胞分取)解析により測定する。あるいは、投与剤の存在は、個体の細胞が、それ自体(例えば蛍光色素により)標識されている同じ剤に結合することが不可能であるまたは結合する能力が減少していることにより、in vitro(またはex vivo)で検出することが可能である。好ましい投薬量は、大部分のVLA−4陽性細胞の検出可能な被覆を生じるべきである。好ましくは、被覆は、抗体相同体の場合、1−14日の期間、維持される。
【0065】
動物モデル:
動物モデルが詳細に記載されてきている(Garrett、1997)。簡潔には、Radlら(1988)は、加齢C57BL/KaLwRijマウスに自発的に発生する骨髄腫のネズミモデルを記載してきている。この状態は、加齢につれ、200の動物中およそ1匹に発生し、そしてヒト疾患のいくつかの特徴を持つ、単一クローン性高ガンマグロブリン血症を導いた(Radl、1988)。より優れたそしてより再現可能な動物モデルを開発するため、我々は、本ネズミ骨髄腫から5TGM1と称する細胞株を樹立し、そしてサブクローニングし、そして該細胞株が、マウスにおいて、ヒト骨髄腫に特徴的な損傷、例えば重症の骨溶解および肝臓および腎臓を含む非骨器官の関与を引き起こすことを見出した(Garrett、1997)。培養細胞を接種されたマウスは、非常に予測可能でそして再現可能な方式で、疾患を発展させ、これには、単一クローン性高ガンマグロブリン血症の形成および放射線学的骨損傷が含まれる。さらに、いくつかのマウスは高カルシウム血症になり、そして骨損傷は、破骨細胞活性の増加により特徴付けられる。したがって、5TGM1を持つマウスにおける罹患器官の組織学的検査およびIgG2b血清レベルの増加に基づき、5TGM1は、ヒト疾患の特徴を正確に反復するネズミ骨髄腫と定義される。
【0066】
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様をさらに例示することを意図し、そして限定することをまったく意図しない。以下の実施例において、必要な制限酵素、プラスミド、および他の試薬および材料は、商業的供給源から入手してもよく、そしてクローニング、連結および他の組換えDNA方法論は、当業に周知の方法により、行ってもよい。
【実施例】
【0067】
実施例1:材料および方法
5TGM1骨髄腫細胞
5TGM1骨髄腫細胞は、元来、加齢C57BL/KaLwRijマウスに自発的に発生する骨髄腫に由来した(Garrett、1997、Vanderkerken、1997)。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Summit、コロラド州フォートコリンズ)および1%ペニシリン・ストレプトマイシン溶液(GIBCO、ニューヨーク州グランドアイランド)を補ったIsocoveの修飾ダルベッコ培地(IMDM、Life Technologies Inc.、メリーランド州ゲイザーズバーグ)中で、5% CO2大気中、37℃で増殖させた。以下に記載されるin vitro実験には、継代25および30の間の5TGM1細胞を用いた。
【0068】
抗体、可溶性VCAM−1
ネズミVCAM−1(M/K−2.7)、インテグリンVLA−4(PS/2)、および細胞間接着分子−1(ICAM−1、YN1/1.7)に対する中和抗体は、Kensuke Miyake博士(Saga Medical University、日本・佐賀)の好意により寄贈された。ヒトVCAM−1の7細胞外ドメインを含む、組換え可溶性VCAM−1(Lobbら、1991)はRoy Lobb博士、Biogen Inc.、マサチューセッツ州ケンブリッジより寄贈された。
【0069】
逆転写・ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
我々は、RT−PCRを用い、それぞれ骨髄間質細胞および5TGM1におけるVCAM−1およびインテグリンアルファ4の発現を確認した。TRIzol試薬(GIBCO)を用いた一段階RNA単離法により、5TGM1、骨髄間質細胞の初代培養およびST2骨髄間質細胞株(理研細胞バンク、日本・つくば)から、総RNAを抽出した。3μgのRNAを50 ngのランダム六量体と、70℃で10分間インキュベーションし、そして氷上で冷却し、その後、製造者の指示にしたがい、逆転写酵素(Perkin−Elmer、ニュージャージー州ブランチバーグ)を用い、第一鎖cDNAに変換した。PCRに用いたプライマーは以下のとおりであった:ネズミVCAM−1 5’プライマー;5’−OH−GCTGCGCGTCACCATTGTTCTC−3’−OH(SEQ ID No:1);ネズミVCAM−1 3’プライマー;5’−OH−ACCACCCTCTTGAAGCCTTGTG−3’−OH(SEQ ID No:2);ネズミインテグリンアルファ4 5’−プライマー;5’−OH−CCCCTCAACACGAACAGATAGG−3’−OH(SEQ ID No:3);ネズミインテグリンアルファ4 3’−プライマー;5’−OH−GCCTTGTCCTTAGCAACACTGC−3’−OH(SEQ ID No:4)。
【0070】
94℃1分間、55℃1分間、72℃2分間からなる30周期で、PCRを行った。PCR反応混合物(総容量50μl)は10マイクロリットルを含んだ。第一鎖cDNA、50 mM KCl、10 mM Tris−HCl(pH 8.3)、2 mM MgCl、デオキシ−NTP混合物(各0.2 mM)、プライマー対(各0.15マイクロモル)および2 U Taq DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer、ニュージャージー州ブランチバーグ)。PCR産物をエチジウムブロミドを含む2.5%アガロースゲル上で分離し、そして紫外線光下で視覚化した。断片の大きさは、分子量マーカーを参照することにより、確認した。
【0071】
骨髄間質細胞上への5TGM1の付着
ヘテロタイプな細胞・細胞接着アッセイのため、ST2細胞(5 e 4/ウェル)を48ウェル培養プレート(Costar、マサチューセッツ州ケンブリッジ)に蒔き、そして10%FBSを補ったアルファMEM中で、集密(confluenncy)になるまで48時間培養した。5TGM1細胞(5 e 6)は培地中で、10マイクロCi[メチル−3H]チミジン(New England Nuclear)と37℃で24時間インキュベーションすることにより、標識した。ST2単層が形成された後、該細胞を血清不含アルファMEM中の1%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma、ミズーリ州セントルイス)とインキュベーションし、そしてトリチウム標識5TGM1細胞を該単層上に蒔いた。VCAM−1またはアルファ4ベータ1インテグリンに対する抗体の非存在下または存在下で、系を37℃で1時間インキュベーションした。5%トリクロロ酢酸で2回、そしてPBSで2回、洗浄することにより、非接着細胞を除去し、そして接着細胞を300マイクロリットルの0.25 mM NaOH中で可溶化し、同体積の0.25 mM HClで中和し、そして液体シンチレーションカウンター中で放射能を測定した。
【0072】
5TGM1およびマウス骨髄細胞の共培養における破骨細胞形成アッセイ
マウス骨髄細胞は、以前記載されたように、5週齢オスC57BLマウスから得た(Yoneda、1993)。大腿骨および脛骨を無菌的に切断し、そして両端を切り落とした。骨髄細胞を流し出し、収集し、そして100 mm培養プレート(Becton Dickinson Labware、マサチューセッツ州ベッドフォード)中の、10%FSB(Hyclone、ユタ州ローガン)および1%ペニシリン・ストレプトマイシンを補ったアルファMEM中で、37℃で2時間インキュベーションした。造血性破骨細胞前駆体を含む非接着細胞および間質細胞を採取した。培地300マイクロリットル中の骨髄細胞(1 e 6)および5TGM1細胞(1 e 3)を48ウェル培養プレート上に蒔いた(第0日)。第2日、新鮮な培地300マイクロリットルを各ウェルに穏やかに添加し、そして第4日、消耗した培地300マイクロリットルを、同体積の新鮮な培地と置き換えた。第6日、培養を固定し、そして商業的キット(Sigma)を用い、酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)に関し染色した。3より多い核を持つTRAP陽性多核細胞を破骨細胞様(OC様)細胞と定義し、そして顕微鏡下で手で計数した。これらのOC様細胞が骨を吸収する能力を有することを確認するため、5TGM1細胞および骨髄細胞を、同一条件下で、5 x 5 mmのクジラ(whale)象牙質スライス上で共培養し、そしてこれらの象牙質スライス上に形成された吸収穴を、記載されるように、走査型電子顕微鏡により、調べた(Yoneda、1992)。
【0073】
いくつかの実験において、5TGM1骨髄腫細胞および骨髄細胞の共培養は、これらの2種の細胞の間の直接的な接触を妨げるため、ウェル間挿入物(Becton Dickinson Labware)を用い、行った。(2 e 6、24ウェルプレート、Costar)。骨髄細胞を下のチャンバーに蒔き、そして5TGM1骨髄腫細胞(2 e 3)を、その後、下(直接的な接触)または上(接触なし)のチャンバーに蒔いた。
【0074】
45Ca標識ラット胎児長骨の器官培養
以前記載されたように、45Ca標識ラット胎児長骨の器官培養により、5TGM1培養から採取した馴化培地を、骨吸収活性に関しアッセイした(Mbalaviele、1995)。妊娠ラットに、妊娠18日目に、250μCiの45Ca(New England Nuclear)を注射した。顕微解剖により、19日齢胎児から橈骨および尺骨幹を得て、そしてステンレスメッシュグリッド上で気相および液層の間で、0.1%BSAを補ったBGJ培地(Sigma)中で24時間プレ培養した。その後、骨を馴化培地(50% v/v)またはコントロール培地の存在下で、120時間培養した。48時間で培地を一度交換した。培養の終わりに、骨を氷冷5%トリクロロ酢酸で2時間インキュベーションし、そして骨および培地中の45Ca放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。骨吸収は:(培地中の45Caカウント)/(培地および骨中の45Caカウント)x 100により計算されるように、骨から培地に放出された45Caのパーセンテージとして定量化した。
【0075】
5TGM1骨髄腫細胞とマウス間質細胞株ST2細胞の共培養
ST2細胞(0.5 e 6)および5TGM1(4 e 6)細胞を10%FBS補足IMDM中で、60 mm培養プレート(Beckton Dickinson)上に共に蒔き、そして一晩培養し、血清不含IMDMで2回洗浄し、そして5 mlの血清不含IMDM中でインキュベーションした。48時間後、馴化培地を採取し、そして使用まで−70℃で貯蔵した。
【0076】
5TGM1を持つマウスにおける血清IgG2b上昇に対する、VLA−4に対するmAb PS2の影響
マウスに1 e 5の5TGM1細胞を注射し、骨髄にコロニーを形成させた。マウスを3匹ずつ2群に分け、1つはコントロール群として用い、そして第二の群は、第8日から開始し、週2回、80μgのmAb PS/2(4 mg/kg)で処置した。5TGM1骨髄腫細胞により産生される抗体アイソタイプである、IgG2bのレベルを、第1ないし6週に、毎週測定した。
【0077】
結果
VCAM−1、VLA−4の発現、およびST2単層への5TGM1付着に対する、VCAM−1およびVLA−4に対する抗体の影響
我々は、RT−PCRを用い、それぞれ骨髄間質細胞および骨髄腫細胞におけるVCAM−1およびインテグリンVLA−4の発現を確認した。期待されるように、ST2間質細胞株および初代骨髄間質細胞はVCAM−1を発現したが、5TGM1はしなかった。対照的に、5TGM−1骨髄腫細胞は、インテグリンVLA−4を発現したが、間質細胞株はしなかった(データ未提示)。さらに、抗VCAM−1抗体(10μg/ml)およびVLA−4抗体(10μg/ml)は共に、ST2単層に対する5TGM1細胞の付着を部分的に阻害し(50−80%)、これらの細胞上に発現されるVCAM−1およびVLA−4インテグリンが生物学的に機能があり、そしてこれらの抗体が中和活性を有することを示した(データ未提示)。
【0078】
マウス骨髄細胞と5TGM1骨髄腫細胞の共培養中のOC様細胞形成
5TGM1細胞およびマウス骨髄細胞の共培養の第6日、多くのTRAP陽性多核破骨細胞様(OC様)細胞が形成された。これらのOC様細胞は、象牙質スライス上に吸収穴を示し、これらの細胞が骨を吸収することが可能であり、そして破骨細胞表現型を持つことを立証した。ウェル間挿入物を用いた実験では、5TGM1細胞を骨髄細胞と直接接触させて培養した際、OC様細胞の形成が観察された。対照的に、ウェル間膜により、5TGM1細胞が骨髄細胞から分離された際、最小限の数のOC様細胞しか形成されなかった。このように、5TGM1細胞は、混合骨髄培養において、破骨細胞形成を誘導し、そして本誘導は、直接的な細胞・細胞接触を必要とする。
【0079】
5TGM1および骨髄細胞の共培養におけるOC様細胞形成に対する、VCAM−1およびインテグリンVLA−4に対する抗体の影響
抗VCAM−1抗体(VCAM−1 Ab、10μg/ml)および抗VLA−4インテグリン抗体(アルファ4ベータ1 Ab、10μg/ml)は共に、OC様細胞形成を劇的に阻害した。対照的に、間質/骨髄腫相互作用に関連付けられる、骨髄間質細胞上の別の接着分子、ICAM−1に対するmAbは、OC様細胞形成にいかなる影響も持たなかった(図1)。
【0080】
VCAM−1およびVLA−4 mAbによる本阻害が、5TGM1誘導OC様細胞形成に特異的であり、そして細胞毒性のためでないかどうかを決定するため、マウス骨髄細胞培養における破骨細胞形成の広く用いられる刺激剤である、1,25(OH)(Takahashi、1988)により誘導されるOC様細胞形成に対する、これらの抗体の影響を調べた。VCAM−1 AbまたはVLA−4 mAbのどちらも、それ自体間質細胞におけるVCAM−1発現に対し影響を持たないビタミンD3により誘導されるOC様細胞形成を阻害しなかった。
【0081】
骨吸収に対する、5TGM1およびST2の共培養から採取した馴化培地の影響
5TGM1細胞およびST2細胞の共培養由来の馴化培地は、ラット胎児長骨アッセイにおける骨吸収の顕著な増加を示した(図2)が、5TGM1の馴化培地は、コントロール培地に比べ、最小限の増加しか引き起こさなかった。ST2細胞由来の馴化培地は、骨吸収にいかなる増加も示さなかった。したがって、VCAM−1およびVLA−4を介した直接的な細胞・細胞接触は、共に、in vitroで、破骨細胞様細胞および骨吸収因子の産生を誘導する。
【0082】
5TGM1細胞による骨吸収および破骨細胞形成活性の産生に対する、組換え可溶性VCAM−1(sVCAM−1)の影響
VCAM−1の可溶性組換え型(sVCAM−1)で処理した5TGM1の馴化培地は、用量依存方式で、ラット胎児長骨における骨吸収を増加させたが、未処理5TGM1のみから得られた馴化培地は、最小限にしか骨吸収を増加させなかった。可溶性VCAM−1自体は骨吸収にいかなる影響も持たない(データ未提示)。マウス骨髄培養系において、sVCAM−1で処理した5TGM1細胞から採取した馴化培地は、OC様細胞形成活性の増加を示したが、未処理5TGM1の馴化培地は、OC様細胞形成の最小限の活性しか示さなかった(図3)。
【0083】
ネズミ骨髄腫細胞の存在下および非存在下で培養した骨髄間質細胞(ST2)におけるRankリガンドmRNAの発現
Rankリガンドは、OCL形成の重要な仲介因子であるようであり、そしてOCL形成に対する破骨細胞形成性サイトカインの影響に関する、最後の共通の経路である可能性があるため、我々は、個々に、そして共培養した際の、5TGM1およびST2細胞におけるRankリガンドの発現を調べた。我々は、5TGM1およびST2細胞の共培養が、ST2細胞においてRankリガンドmRNAを誘導することを見出した。さらに、5TGM1細胞はRankリガンドを発現しないが、sVCAM−1で処理した際、該リガンドを発現する(未提示)。最後に、sVCAM−1で処理した5TGM1細胞由来の馴化培地は、ST2細胞においてRankリガンドmRNAを誘導し、VCAM−1/VLA−4経路が、骨髄腫細胞においてサイトカインを産生し、該サイトカインが骨髄間質細胞によるRankリガンド発現を亢進することを示唆する(データ未提示)。
【0084】
要約すると、我々は、5TGM1細胞単独では、OC様細胞形成および骨吸収を刺激する活性を最小限の量しか産生しないことを示す。しかし、5TGM1骨髄腫細胞を造血性破骨細胞前駆体および間質細胞を含む骨髄細胞と共培養すると、該細胞は間質細胞に強く接着し、そしてOC様細胞形成を増加させた。5TGM1細胞が間質細胞と接触するのを妨げられた共培養では、OC様細胞は形成されなかった。さらに、ラット胎児長骨の器官培養において、5TGM1骨髄腫細胞およびST2骨髄間質細胞の共培養から採取した馴化培地は、ST2または5TGM1単独の馴化培地に比べ、増加した骨吸収活性を有した。これらのデータは、破骨細胞刺激および骨吸収活性の産生に、骨髄間質細胞と5TGM1細胞の直接的な細胞・細胞接触が必要であるという見解と一致する。そこで、我々は、どの細胞接着分子が、破骨細胞形成活性の産生に必要な、5TGM1細胞および骨髄間質細胞の間の直接的な細胞・細胞相互作用に関与したか決定した。2つの接着分子、VCAM−1およびVLA−4インテグリンが共培養におけるOC様細胞形成を非常に減少させるため、我々のデータは、VCAM−1およびVLA−4インテグリンが、この細胞・細胞相互作用に役割を果たしていることを示す。VCAM−1/VLA−4インテグリン相互作用は、破骨細胞形成および骨吸収活性産生の増加を導く、骨髄間質細胞および5TGM1骨髄腫細胞の間の細胞・細胞情報伝達に責任がある。最後に、本骨吸収活性は、部分的にRankリガンドの誘導による。
実施例2:in vivo実験
我々のin vitro研究により、骨髄腫細胞上のVLA−4と骨髄間質細胞上のVCAM−1の間の相互作用が、骨髄腫による骨吸収活性の誘導に重要な役割を果たしている可能性があることが示唆される。我々は、ヒト疾患を正確に反映する動物モデルにおいて、in vivoでこの仮説を試験する、重要な段階を行った。
【0085】
A.本実験において、マウスに1 e 5の5TGM1骨髄腫細胞を注射し、骨髄にコロニーを形成させた。マウスを3匹ずつ2群に分け、1つはコントロール群として用い、そして第二の群は、第8日から開始し、週2回、mAb PS/2で処置した。5TGM1骨髄腫細胞により産生される抗体アイソタイプである、IgG2bのレベルを、第1ないし6週に、毎週測定した。注射当たり80μg(〜4 mg/kg)の用量のmAbで週2回処置すると、強力にIgG2b産生が阻害され、骨髄腫細胞の生存および増殖のin vivoでの有意な阻害が示された(図4)。さらに、処置マウスは、対麻痺発生率の減少を示した(3匹の未処置動物すべてが第42日に対麻痺を示した一方、処置動物は1匹のみが対麻痺を示した)。対麻痺を示さなかった2匹の処置動物はまた、脾臓および肝臓重量の減少も示し、これもまた腫瘍負荷と相関する。最後に、処置動物は、脛骨および大腿骨における組織学による腫瘍領域の減少を示した(6.71±1.74から0.05±0.08平方ミリメートル)。血清カルシウムレベルに対する処置の影響はなかった(データ未提示)。
【0086】
B.同様の実験で、40μgのPS/2での週2回の処置は、IgG2bレベルに対し影響を及ぼさなかった(未提示)。これらのデータは、VLA−4に対するmAb PS/2が、用量依存的方式で、樹立骨髄腫細胞の増殖を強力に阻害することを示す。
【0087】
C.別のin vivo実験において、第0日に、18匹のSCIDマウスに5TGM1骨髄腫細胞を注射した。第1日から開始し3日ごとに(すなわち第1、2、5、8、および11日に)、4匹のマウスはPBSで処置し;4匹のマウスは、予防的プロトコルで、マウスVCAM1に対して反応性であるmAb M/K−2.7で、80μg(〜4 mg/kg)の用量で処置した。同じプロトコルを用いた同様の実験で、5匹のマウスを160μgのmAb M/K−2.7で処置した。さらに、5匹のマウスを、治療的プロトコルで、第8日から開始し(すなわち第8、11、14、17、および20日に)、160μgのmAb M/K−2.7で処置した。第21、28、および35日に、すべてのマウスから血清を採取し、そして動物をX線検査し、その後、第35日に組織学のため屠殺した。3つの処置群はすべて、血清IgG2bレベルの減少を示し、骨髄腫細胞負荷の減少を示した(図5)。低用量予防プロトコルで、コントロールに比べ、脾臓重量に関しても、有意な影響が観察された(コントロール0.23±0.14 gに対し処置0.08±0.04)。予防的高用量群において、5匹の動物のうち4匹は、脾臓重量の明らかな減少を示したが、1匹の動物の脾臓重量が大きかったため、全体の値は有意ではなかった(データ未提示)。
【0088】
D.アルファ4インテグリンアゴニストの初回多量(high bolus)用量に続く維持用量が、有効性を改善するかどうか調べてもよい。骨髄腫細胞は、骨髄区画にすでに確立されており、そしてVLA−4に依存するVCAM−1とのその緊密な相互作用を阻害する必要がある。さらに、おそらく確立骨髄腫細胞の数が多ければ、細胞を末梢循環に流し出すのに必要とされる初回用量も上昇するであろう。
【0089】
したがって、抗VLA−4抗体PS/2を用いた、より大規模な研究を行った。第0日に、28匹のSCIDマウスに5TGM1骨髄腫細胞を注射した。9匹のマウスには処置をせず;9匹のマウスにはアイソタイプ一致コントロールIgG mAbを投与し;10匹のマウスは、アルファ4インテグリンに対するmAb PS/2で処置した。異なる治療処置計画を行い、第4、5、および6日に、マウスに高用量のmAb(200μg)を投与した後、第8日から開始し、3日ごとに80μg(〜4 mg/kg)の維持用量を投与した。
【0090】
第3および4週に、処置群を、未処置またはコントロールIgG処置群のいずれかと比較した際、血清IgG2bの統計的に有意な減少があった(データ未提示)。重要なことに、処置群を未処置またはコントロールIgG処置群と比較した際、生存に対し、明確な影響があった(図6)。
実施例3:他のin vivo実験
本明細書に初めて提示された情報に基づき、一般の当業者は、記載されるネズミ動物モデルを用い、多発性骨髄腫におけるアルファ4インテグリンおよびそのリガンドの重要性を容易に確認し、そして敷衍することが可能である。
【0091】
以下の一連の実験は、本開示に基づき、十分に当業の技術レベルの範囲内であるが、単に例示のために提供され、そして研究の種類を限定するためではない。
1)最適週2回維持用量を決定するためのmAb PS/2に対する用量反応。80μgが優れた有効性を示したが、40μgは効果がなかった。最適用量を決定するため、週2または3回、20 mg/kgまでの、より高い用量を調べる。
【0092】
2)患者は、増加した腫瘍負荷と結びついた、重症度の異なる段階の疾患を示す。疾患の確立後、異なる時点で投与されるmAb PS/2の有効性を調べる、すなわち、第8日の処置開始(例えば図4を参照されたい)と、接種2、3、4および5週間後の開始を比較し、症状のある程度の緩和を提供するのにどのくらい遅くmAbを投与してもよいか観察する。
【0093】
3)VLA−4に対するmAbに関し上に概略されるのと同じパラメーター(用量、投与時期)にしたがい、ネズミVCAM−1に対するmAb MK−2の影響を調べる。有効性が確認されるのに、同様の用量レベルが必要とされるであろうことが予期される。
【0094】
4)骨髄および髄外部位両方の腫瘍負荷、組織形態計測による骨格の放射線学的解析による骨損傷の定量化;血漿におけるコラーゲン架橋の評価による骨吸収速度の測定;血漿における単一クローン性タンパク質産生の測定;存在する場合、高カルシウム血症;および死亡率を含む、骨髄腫進行のさらなるマーカーを調べる。
【0095】
5)多発性骨髄腫は、現在、標準的な化学療法治療計画で有効に治療されない。適切な化学療法治療計画と組み合わせた、あるいは該計画前または後の、最適用量のmAbの累積的または相乗効果を調べる。
【0096】
6)特定の1つのアルファ4インテグリンに選択的な、または同時にいくつかのアルファ4インテグリンに選択的な、小分子アルファ4インテグリン阻害剤が、あるいはこうした阻害剤の組み合わせが、mAbの効果を模倣しそして骨髄腫進行を遮断する能力を、上述のプロトコルおよび所産を用い、調べる。小分子阻害剤は、0.1ないし30 mg/kgの範囲の用量で、毎日1または2回、あるいは毎週2または3回、非経口または経口で搬送する。
参考文献
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多発性骨髄腫を治療するための医薬組成物であって、アルファ4サブユニット含有インテグリンおよびアルファ4サブユニット含有インテグリンのリガンドの間の相互作用のアンタゴニストを治療的に有効な量で含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
アンタゴニストがアルファ4インテグリン結合剤である、請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
アンタゴニストがアルファ4インテグリンリガンド結合剤である、請求項1の医薬組成物。
【請求項4】
アルファ4インテグリン結合剤が;a)VLA−4およびアルファ4ベータ7両方と、それぞれのアルファ4リガンドとの相互作用に拮抗する抗体相同体(homolog);b)VLA−4とそのアルファ4リガンドの相互作用に拮抗する抗体相同体;およびc)アルファ4ベータ7とそのアルファ4リガンドの相互作用に拮抗する抗体相同体、からなる群より選択される、請求項2の医薬組成物。
【請求項5】
抗体相同体が、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片からなる群より選択される、請求項4の医薬組成物。
【請求項6】
アルファ4インテグリンリガンド結合剤が抗VCAM−1抗体相同体である、請求項3の医薬組成物。
【請求項7】
抗体相同体が、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片からなる群より選択される、請求項6の医薬組成物。
【請求項8】
アンタゴニストが小分子である、請求項1の医薬組成物。
【請求項9】
組成物が、約0.1ないし約20 mg/kg体重を提供するような投薬量で投与される、請求項1の医薬組成物。
【請求項10】
骨髄の腫瘍と関連する骨吸収を阻害するための医薬組成物であって、アルファ4サブユニット含有インテグリンおよびアルファ4サブユニット含有インテグリンのリガンドの間の相互作用のアンタゴニストを、前記骨吸収の阻害を提供するのに有効な量で含む、前記医薬組成物。
【請求項11】
アンタゴニストがアルファ4インテグリン結合剤である、請求項10の医薬組成物。
【請求項12】
アンタゴニストがアルファ4インテグリンリガンド結合剤である、請求項10の医薬組成物。
【請求項13】
アルファ4インテグリン結合剤が抗VLA−4抗体相同体または抗アルファ4ベータ7抗体相同体である、請求項11の医薬組成物。
【請求項14】
抗体相同体が、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片からなる群より選択される、請求項13の医薬組成物。
【請求項15】
アルファ4インテグリンリガンド結合剤が抗VCAM−1抗体相同体である、請求項12の医薬組成物。
【請求項16】
抗体相同体が、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片からなる群より選択される、請求項15の医薬組成物。
【請求項17】
アンタゴニストが小分子である、請求項10の医薬組成物。
【請求項18】
個体の体重に基づき、アンタゴニストが、約0.1ないし約20 mg/kgを提供するような投薬量で投与される、請求項10の医薬組成物。
【請求項19】
アンタゴニストが、約0.1−30 mg/kg体重の小分子の投薬量を提供するのに有効な量で投与される、請求項17の医薬組成物。
【請求項20】
破骨細胞形成(osteoclastogenesis)の存在により特徴付けられる障害を有する患者を治療する医薬組成物であって、アルファ4サブユニット含有インテグリンおよびアルファ4サブユニット含有インテグリンのリガンドの間の相互作用のアンタゴニストを、破骨細胞形成を抑制するのに十分な量で含む、前記医薬組成物。
【請求項21】
アンタゴニストがアルファ4インテグリン結合剤である、請求項20の医薬組成物。
【請求項22】
アンタゴニストがアルファ4インテグリンリガンド結合剤である、請求項20の医薬組成物。
【請求項23】
アルファ4インテグリン結合剤が抗VLA4抗体相同体または抗アルファ4ベータ7結合剤である、請求項21の医薬組成物。
【請求項24】
抗体相同体が、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片からなる群より選択される、請求項23の医薬組成物。
【請求項25】
アルファ4インテグリンリガンド結合剤が抗VCAM−1抗体相同体である、請求項22の医薬組成物。
【請求項26】
抗体相同体が、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびそれらの断片からなる群より選択される、請求項25の医薬組成物。
【請求項27】
アンタゴニストが小分子である、請求項20の医薬組成物。
【請求項28】
アンタゴニストが、約0.1ないし約20 mg/kg体重を提供するような投薬量で投与される、請求項20の医薬組成物。
【請求項29】
アンタゴニストが、約0.1−20 mg/kg体重の小分子の投薬量を提供するのに有効な量で投与される、請求項27の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−235620(P2010−235620A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132110(P2010−132110)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【分割の表示】特願2000−569831(P2000−569831)の分割
【原出願日】平成11年9月13日(1999.9.13)
【出願人】(591217403)ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム (49)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【Fターム(参考)】