説明

インテリジェント高速カメラ

本発明は、少なくとも1つの画像形成レンズ(1)と、それぞれがシャッタ手段(2)及び画像形成手段(2a)と画像デジタル化手段(3)及びデジタル化画像の保存手段(3a)を有する複数の取得モジュールと、を有する高速カメラに関するものである。又、この高速カメラは、シャッタ手段のそれぞれを制御する制御手段(4)をも有しており、これは、予め定められた露光時間シャッタ手段を開放可能である。本発明は、シャッタ手段から画像を受け取るべく、画像形成手段が構成されていることを特徴としている。又、本発明は、高速カメラが、デジタル化手段(3)を管理する管理手段(5)を有しており、この管理手段は、取得モジュール内のデジタル化手段と関連付けられたシャッタ手段が開放状態にある際にデジタル化を起動するべく制御手段と同期することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像取得装置の分野に関するものである。
【0002】
更に詳しくは、本発明は、超高速カメラに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来技術においては、例えば、約2000画像/秒の取得頻度を実現する高速カメラが既に知られている。
【0004】
欧州特許出願第1,176,812号(EP1,176,812)明細書では、入射光線を4つの取得手段に分割する手段を有する高速カメラを開示することにより、取得頻度の更なる向上について記述している。次いで、得られた光線を増幅し、その取得時間が互いにオフセットされている4つのCCDカメラによって画像生成している。
【0005】
このような方法は、入射光線の分割によって制限され、光学装置を複雑化し、ピラミッド形のプリズムが必要となる。
【0006】
更には、カメラの同期の制御には、使用するセンサ用に特別に開発された非常に複雑な電子回路が必要である。ここで挙げられたカメラの例(C7300)は、利用するカメラと同数の取得カードを必要としており、可能な画像数の制限を招いている。
【0007】
又、従来技術においては、LaVision社からUltraSpeedStarという商標名の下に市販されているタイプの超高速カメラも知られている。このカメラは、1つの画像フレームにおいて約1Mhzという取得頻度性能を実現可能である。このカメラは、それぞれが連続して起動される異なるCMOSゾーンにセグメント化されたセンサを有している。
【0008】
非常に特殊なセグメント化されたセンサが必要であることに起因し、このようなカメラは、非常に高価であるという欠点を具備している。
【0009】
このような装置の他の欠点は、使用するセンサの分解能が固定されており、記録する画像数の増大が、これらの画像の分解能を犠牲にして実現されているという点にある。
【0010】
従って、このようなカメラのコストを低減しつつ、超高速カメラを提供する必要がある。特に、相対的に長い取得時間を具備した標準カメラを使用した場合に、短時間において画像をキャプチャ可能である必要がある。
【0011】
又、2005年のWilburn他による「High Performance Imaging using Large Camera Array」という文献が知られており、この文献では、画像を形成可能な少なくとも1つの対物レンズと、それぞれが閉塞手段及び画像形成手段並びに画像デジタル化手段及びデジタル化された画像を保存する手段を有する複数の取得モジュールと、を有するカメラを開示している。この高速カメラは、予め定められた露光時間閉塞手段を開放可能である閉塞手段のそれぞれを制御する手段をも有している。
【0012】
但し、この文献においては、相対的に長い取得時間を有するモジュールを有する超高速カメラを提供することができてはいない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的の1つは、相対的に長い取得時間を有する標準カメラを使用しつつ、相対的に短い時間において、且つ、従って、高い頻度において、画像フレームをキャプチャできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明は、画像を形成可能な少なくとも1つの対物レンズ(1)と、それぞれが閉塞手段(2)及び画像形成手段(2a)並びに画像デジタル化手段(3)及びデジタル化画像の保存手段(3a)を有する複数の取得モジュールと、を有する高速カメラに関するものであり、この高速カメラは、予め定められた露光時間閉塞手段を開放可能である閉塞手段のそれぞれを制御する手段(4)をも有しており、画像形成手段は、閉塞手段から画像を受け取るべく構成されており、この高速カメラは、デジタル化手段(3)を微細制御するべく構成された微細制御手段(5)を有しており、この微細制御手段は、取得モジュール内のデジタル化手段と関連付けられた閉塞手段が開放状態にある際にデジタル化手段を起動するべく、制御手段と同期することを特徴としている。
【0015】
本出願において、「高速カメラ」とは、本発明による取得モジュールの組によって形成されたカメラを意味している。
【0016】
取得モジュール内に含まれているカメラを「標準カメラ」と呼ぶこととする。
【0017】
本発明によれば、閉塞手段が開放状態にある際にデジタル化を起動するべく微細制御手段が制御手段と同期するという事実により、超高速カメラを形成する取得モジュールとして相対的に長い取得時間を有する標準カメラを使用可能である。
【0018】
本発明については、添付の図面との関連において、純粋に説明を目的として以下に付与されている本発明の一実施例に関する説明を参照することにより、更に理解することができよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明による高速カメラは、図1に示されている複数の取得ジュール10から構成されている。このモジュールは、対物レンズ1と、画像インテンシファイア2と、メモリ3aを有するタイプのインテリジェント標準カメラ3と、を有している。
【0020】
動作の際には、対物レンズは、画像インテンシファイア2の前面2b上に画像を形成し、この画像インテンシファイアは、閉塞装置の役割を果たしている。供給電圧が存在しない場合には、インテンシファイアは、その前面上の画像を遮断する。例えば、400ボルトなどの高電圧パルスが印加された際に、インテンシファイアは、増幅された画像をその背面2aに伝送する。この結果、画像が背面上に形成され、この画像は、供給期間中にカメラ3から可視状態となる。
【0021】
従って、この期間中のカメラによる取得を保証する必要がある。
【0022】
このために、一実施例によれば、標準カメラ3は、常時キャプチャモードにあり、これは、画像が利用可能になると、即座に、画像が記録され、メモリ3a内に保存されることを意味している。従って、このキャプチャされた画像は、閉塞装置によって時間的に固定された表示画像に対応している。
【0023】
この実施例によれば、取得モジュール10のカメラによる画像キャプチャ用のゾーンは、インテンシファイアの背面部分及びその分解能に対して適合されていることを理解されたい。
【0024】
一連の画像を取得するべく、図3に示されているように様々な閉塞装置の開放時間をオフセットさせつつ、取得モジュールの標準カメラ3がこの時間中画像キャプチャモードになるように保証して、複数の取得モジュール10を図2に示されているように配設している。
【0025】
取得を所望する画像の数と同数の取得モジュールを配置している。
【0026】
閉塞装置としてのインテンシファイアの使用は、本発明との関係においては、高速閉塞頻度の面において特に有利であることに留意されたい。
【0027】
Photonis社によって開発されたSuperGen(登録商標)という商標名によって知られているインテンシファイアは、実際に、100nsを下回る、通常は、約50nsの閉塞期間を具備している。
【0028】
従って、本発明に従って使用されるインテンシファイアの機能は、高速の閉塞、その背面上において取得される画像の形成、並びに、光線の増幅である。
【0029】
取得モジュールは、例えば、VCMタイプの標準カメラを有している。このタイプのカメラは、本質的に既知の方式により、例えば、CCD又はCMOSセンサなどから受け取った光信号の画像をデジタル化する手段を有している。
【0030】
使用している標準カメラは、受け取った画像を保存するための少なくとも1つのメモリ3aを有している。このメモリは、例えば、後でコンピュータタイプの表示ステーションにおいて復元するべく、キャプチャされた画像を保存している。
【0031】
これは、本発明によれば、関連する閉塞装置が開放状態にない間、それぞれの標準カメラが、長期間にわたって統合(インテグレーション)位置に留まっているためである。従って、閉塞装置の開放時間を除いては、光がキャプチャされてはいない(光が存在してはいない)。統合の後、それぞれの標準カメラは、メモリへの画像の転送を独立的に実行している。当業者であれば、このようなメモリ3aが存在しなければ、閉塞装置の開放時間中にキャプチャされた画像が失われてしまい、後から表示することができなくなることを理解するであろう。
【0032】
次いで、本発明によれば、閉塞装置の開放時間に対応した標準カメラのメモリの内容をコンピュータプログラムによって復元している。
【0033】
次いで、様々な取得モジュールから復元されたすべての画像により、一連の画像を高頻度において再構築可能である。
【0034】
標準カメラ及びインテンシファイアの制御及び同期モジュール4及び5について次に説明する。これらの2つの手段を同期させることにより、関連する閉塞装置が開放状態にある際に取得モジュールの標準カメラが画像をデジタル化可能であることを保証している。
【0035】
従って、図3に図示されているように、閉塞装置が開閉する際に、すべての標準カメラは、デジタル化位置にある。
【0036】
モジュール4は、例えば、クロックと、400V電源と、モジュール5との同期手段と、を有している。後者により、例えば、PCタイプなどの標準的なコンピュータからのカメラの電源供給及び制御が実現されている。
【0037】
一般に、使用されているクロック信号は、その周波数が画像取得頻度に対応しており、且つ、そのhighレベルの持続時間がインテンシファイアの閉塞時間に対応するように、定義されている。
【0038】
24個の取得モジュール10を有するカメラの場合には、例えば、12個のパルスタイプの供給カードが使用されており、1つのカードによって2つのインテンシファイアを制御している。
【0039】
図4に示されているこのパルスタイプの供給カードは、例えば、2つの画像インテンシファイアに対して独立的に供給している。このカードは、0から5Vに変化する電圧を有する固定された持続時間のパルスを、同一の持続時間であるが+20V(Lowレベル)から−400V(Highレベル)に変化する電圧を有するパルスに変換可能である。更には、このインテンシファイアの電気特性は、これらの供給が変動することを意味している。
【0040】
低電圧同期カードの一例が、例えば、図5に示されている。これは、1つの入力と32個の出力を有するデマルチプレクシングカードである。入力は、クロックに接続されており、出力は、ペアを構成して図4に示されているパルスタイプの供給カードに接続されている。クロックのそれぞれの立ち上がりエッジにおいて、デマルチプレクサは、異なる出力を起動し、これにパルスを送信しており、そのHighレベルの持続時間は、クロックの形態によって定義されている。
【0041】
又、インテリジェント標準カメラ内に統合されており、且つ、デジタル化を制御しているDSPタイプのプロセッサにより、制御を実現することも可能である。このDSPは、閉塞装置が開放状態にある際にデジタル化が行われることを保証するべく、閉塞装置制御手段と同期している。
【0042】
最後に、本発明によるシステムは、例えば、PCタイプのコンピュータ上にインストールされたコンピュータアプリケーションを含んでいる。このアプリケーションは、様々なカメラから入ってくる画像の取得及び転送の機能を実行する。
【0043】
それぞれのカメラは、会話すると共にプログラム及びデータを交換できるようにするためにコンピュータへ接続されるRS232接続を具備している。図6に示されているスプリッタにより、単一のコンピュータは、12個のカメラと会話可能である。このために、通信を所望するカメラの番号に対応したコンピュータのパラレルポート上に制御ワードを送信しており、図6のカードによってRS232のフローを対応したカメラに向けている。この場合も、これは、1対12のマルチプレクシングカードのケースにおけるものである。
【0044】
本発明による24個のカメラの位置決めのため、例えば、カメラ支持プレート、インテンシファイア支持プレート、及び対物レンズ支持プレートから構成される本発明によるカメラの連続要素を保持する一連のプレートを使用している。これらのプレートが、図7A、7B、及び7Cに示されている。
【0045】
具体的には、レンズ支持プレートは、それぞれの対物レンズを独立的に並進運動させることができるようになっている。これにより、それぞれのカメラは、その異なる位置に応じたその異なる視点において、同一の画像を表示可能である。この方法は、例えば、「lens shift」(「レンズシフト」に相当する英語の単語)という用語で呼ばれている。
【0046】
従って、以上の詳細な説明は、少なくとも1つの対物レンズ(1)と、それぞれが少なくとも1つの閉塞手段(2)を通じて画像を形成する手段(2a)並びに画像デジタル化手段(3)及びデジタル化画像の保存手段(3a)を有する複数の取得モジュールと、を有する高速カメラの例示用の実施例を示しており、このカメラは、予め定められた露光時間閉塞手段を開放可能である閉塞手段のそれぞれを制御する手段(4)と、取得モジュール内のデジタル化手段と関連付けられた閉塞手段が開放状態にある際にデジタル化手段を起動するため、前述の制御手段と同期するデジタル化手段(3)の微細制御の手段(5)と、をも有している。
【0047】
図2に示されているように、図7Cのレンズ支持部上には、例えば、取得モジュール当たりに1つずつなどの複数の対物レンズが示されている。但し、対物レンズの視野が、本発明によるすべての取得モジュールに対応している場合には、高速カメラの対物レンズは、単一でもよいことを理解されたい。具体的には、使用する対物レンズの視野は、本発明による高速カメラの取得モジュールの数に適合する。
【0048】
又、以上においては、閉塞及び画像形成機能を実行するべく取得モジュール内においてインテンシファイアを使用する実施例において説明している。標準カメラが、艶消しシートや半透明スクリーンのような画像を表示できるように、電気光学セル、LCDパネル、又は音響光学変調器などの既知のタイプの任意の高速閉塞手段、並びに、閉塞の後に画像を形成する任意の手段を使用することも可能であることを理解されたい。
【0049】
本発明による高速カメラは、その画像取得頻度により、亀裂の伝播などの高速現象の画像生成に対して特に適合される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による高速カメラに含まれている取得モジュールの1つを示す概略図である。
【図2】複数の取得モジュールを有する本発明による高速カメラを示す概略図である。
【図3】本発明による高速カメラ内のインテンシファイア及び標準カメラのパルス時間を示す図である。
【図4】インテンシファイア用の400Vパルスタイプの供給カードの一例を示す図である。
【図5】本発明に使用されている低電圧同期カードの一例を示す図である。
【図6】本発明による標準カメラ用の微細制御カードの一例を示す図である。
【図7A】本発明による標準カメラを固定する支持プレートを示す図である。
【図7B】本発明による標準インテンシファイアを固定する支持プレートを示す図である。
【図7C】本発明による対物レンズを固定する支持プレートを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成可能な少なくとも1つの対物レンズ(1)と、
複数の取得モジュールであって、該モジュールのそれぞれが、閉塞手段(2)及び画像形成手段(2a)並びに画像デジタル化手段(3)及びデジタル化画像の保存手段(3a)を有する、複数の取得モジュールと、を有する高速カメラであって、
前記高速カメラは、予め定められた露光時間前記閉塞手段を開放可能である前記閉塞手段のそれぞれを制御する手段(4)をも有し、
前記画像形成手段は、前記閉塞手段から前記画像を受け取るべく構成されており、
前記高速カメラは、前記デジタル化手段(3)を微細制御するべく構成された微細制御手段(5)を有しており、前記微細制御手段は、取得モジュール内の前記デジタル化手段と関連付けられた前記閉塞手段が開放状態にある際に、前記デジタル化手段を起動するべく、前記制御手段と同期することを特徴とする高速カメラ。
【請求項2】
前記閉塞手段は、インテンシファイアであることを特徴とする請求項1記載の高速カメラ。
【請求項3】
前記画像形成手段は、前記インテンシファイアの背面にあることを特徴とする請求項2記載の高速カメラ。
【請求項4】
前記デジタル化手段は、カメラセンサであることを特徴とする請求項1記載の高速カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2009−504046(P2009−504046A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524547(P2008−524547)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001892
【国際公開番号】WO2007/017582
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(508034934)ユニベルシテ ドゥ ポワティエール (1)
【Fターム(参考)】