説明

インバータ

【課題】漏れ電流を低減でき、小型化及び低コストを図るインバータ。
【解決手段】直流電源1の電力を交流に変換して、一相が接地された三相の電力系統に連系するインバータにおいて、接地相を除く2つの相にPWM電圧を出力するための複数のスイッチング素子を有する2組のアーム20,21と、直流電源のラインの相間に直列に接続され、その中性点に接地相が直接接続された第1コンデンサ対22a,22bと、接地相を除く2つの相に対応した2組のアームのインバータ出力ラインにそれぞれ接続される2つのノーマルモードリアクトル23a,23b及び接地相と2つの相との間に接続される2つの相間コンデンサ24a,24bで構成される正弦波フィルタと、正弦波フィルタ出力の接地相と第1コンデンサ対の中性点とを接続するバイパス路26と、バイパス路に挟まれる電源ラインに接続される第1コモンモードチョークコイル25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インバータに関し、特にインバータの漏れ電流を低減するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や燃料電池などの直流電源を交流に変換し系統に連系する系統連系インバータシステムでは、半導体素子のスイッチング動作によって電圧変動が発生する。これがノイズ源となって系統にノイズが伝わり、その一部は太陽電池パネルなど直流電源の浮遊容量を介してアースを流れる漏れ電流となる。
【0003】
漏れ電流は人体への感電や他機器の誤動作などの悪影響を与える可能性があることから、漏れ電流の抑制は必須の課題である。その解決策として、一般的には、インバータ内部で入力と出力とを高周波トランスを用いて絶縁したり、あるいはインバータと系統との間にトランスを挿入して絶縁し、漏れ電流の流れる経路を遮断する方法(非特許文献1、特許文献1)や、あるいは接地コンデンサやコモンモードチョークコイルなどで構成されるノイズフィルタで対策する方法(非特許文献2)がある。
【0004】
図14は絶縁トランスによる従来の対策例を示している。直流電源1からの直流は、各相を構成する半導体素子2a、2b、3a、3b、4a、4bのスイッチング動作によりPWM電圧波形が出力される。このインバータからの電流はリアクトル5a、5b、5c及び相間コンデンサ6a、6b、6cで構成される正弦波フィルタ7により正弦波として出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−256435号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】シャープ技報第77号・2000年8月
【非特許文献2】「電気学会技術報告 第545号 パワーエレクトロニクス機器の電磁波ノイズ」P22、2.34図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
出力電流に含まれる高周波成分の一部は漏れ電流として系統8の接地相から直流電源1の浮遊容量9a、9bを通るルートで対地を流れる。絶縁トランス9は、このルートを遮断することで漏れ電流の抑制を図る。この対策は漏れ電流の抑制には非常に有効であるが、絶縁トランス9が大きく、また重量物であるため、インバータシステム全体が大型化・重量化、更には高コスト化している。また、絶縁トランス9でも電力損失が発生することから、システム全体としての電力変換効率が低下するという問題もある。
【0008】
一方、図15はノイズフィルタ11による対策回路を示す。漏れ電流となる高い周波数のコモンモード電流に対して、高インピーダンスのコモンモードチョークコイル12、13と低インピーダンスの相間コンデンサ14a、14b、14cおよび接地コンデンサ15を組み合わせることで、電源への漏れを防止している。
【0009】
しかし、系統8が1相接地の場合には、3つの相間コンデンサ14a、14b、14cの中性点には電源周波数の電圧変化が生じるため、低周波の漏れ電流が流れることから、接地コンデンサ15の容量は大きくできず、充分なフィルタ性能を得られない。また、インバータと系統8との間の配線が長い場合には、配線のインダクタンスによっても、相間コンデンサ14a、14b、14cの中性点がアースに対して高周波で電位変動することから、漏れ電流が発生する。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、漏れ電流を低減することができ、小型化及び低コストを図ることができるインバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、実施形態に係るインバータによれば、直流電源の電力を交流に変換して、一相が接地された三相の電力系統に連系するインバータにおいて、接地相を除く2つの相にPWM電圧を出力するための複数のスイッチング素子を有する2組のアームと、前記直流電源のラインの相間に直列に接続され、その中性点に前記接地相が直接接続された第1コンデンサ対と、前記接地相を除く2つの相に対応した前記2組のアームのインバータ出力ラインにそれぞれ接続される2つのノーマルモードリアクトル及び前記接地相と前記2つの相との間に接続される2つの相間コンデンサで構成される正弦波フィルタと、前記正弦波フィルタ出力の接地相と前記第1コンデンサ対の中性点とを接続するバイパス路と、前記バイパス路に挟まれる電源ラインに接続される第1コモンモードチョークコイルとを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態のインバータを示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のインバータを示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態のインバータを示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施形態のインバータを示す回路図である。
【図5】本発明の第5の実施形態のインバータを示す回路図である。
【図6】本発明の第6の実施形態のインバータを示す回路図である。
【図7】従来のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。
【図8】本発明の第6の実施形態のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。
【図9】本発明の第7の実施形態のインバータを示す回路図である。
【図10】従来のインバータ内の制御回路の詳細を示す回路図である。
【図11】本発明の第7の実施形態のインバータ内の制御回路の詳細を示す回路図である。
【図12】図10に示す従来のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。
【図13】本発明の第7の実施形態のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。
【図14】従来のインバータの一例を示す回路図である。
【図15】従来のインバータの他の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のインバータを示す回路図である。図1に示す三相出力のインバータは、直流電源1、コンデンサ22a,22b,24a,24b、U相アーム20、W相アーム21、リアクトル23a,23b、コモンモードチョークコイル25からなり、太陽電池などからの直流電源1の直流を交流に変換するもので、直流電源1の両端には、U相アーム20、W相アーム21、及び直列に接続された直流のコンデンサ22a、22b(第1コンデンサ対)が接続されている。U相アーム20及びW相アーム21のそれぞれは、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子をオンオフさせることでPWM信号を出力する。残りのV相は電源の接地相とし、この接地相は、コンデンサ22a、22bの中性点に接続されている。
【0014】
U相アーム20とW相アーム21との出力ラインには、リアクトル23a、23b(ノーマルモードリアクトル)が接続され、接地相と残りの二相とにコンデンサ24a、24b(相間コンデンサ)が接続されている。リアクトル23a、23bとコンデンサ24a、24bは、インバータからの出力波形を滑らかにする正弦波フィルタを構成する。
【0015】
このとき、接地相にはリアクトルは接続せず、できるだけ配線のインダクタンスも小さく抑える。これは接地相のインピーダンスが高いと、接地相を流れる高周波電流によって電源の接地相との間に電位差が生じてしまい、インバータの中性点が変動してノイズや漏れ電流が増えるためである。
【0016】
正弦波フィルタの系統側にはコモンモードチョークコイル25(第1コモンモードチョークコイル)が接続され、コモンモードチョークコイル25を挟むように系統側の接地相Aとコンデンサ22a、22bの中性点Bがバイパス路26で接続されている。
【0017】
このような構成によれば、漏れ電流となるインバータからの高周波のコモンモード電流が、高インピーダンスとなるコモンモードチョークコイル25で抑制される。さらに、直流電源1側の浮遊容量9a、9bを介して構成される漏れ電流の経路に対してインピーダンスの低いバイパス回路26をコモンモード電流が流れるため、外への漏れ電流は大幅に低減される。
【0018】
なお、図1ではリアクトル23a、23bが各相にそれぞれ別個に接続された状態を示しているが、二つの巻線23a、23bを一つのコアに巻回して構成したノーマルモードリアクトルを用いても良い。
【0019】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態のインバータを示す回路図である。図2に示すインバータは、直流電源1の両端に直列に接続された2つのコンデンサ27a、27b(第2コンデンサ対)を設け、コンデンサ27a、27bの中性点と正弦波フィルタ出力の接地相とを接続してバイパス路26を構成したことを特徴とする。
【0020】
コンデンサ22a、22bには一般的に電解コンデンサが用いられるが、等価直列抵抗が比較的大きいため、十分な漏れ電流抑制効果が得られない場合がある。これに対して、フィルムコンデンサなどの等価直列抵抗の小さいコンデンサを用いてバイパス路26を接続することにより、より一層の効果が得られる。
【0021】
なお、図1では、コモンモードチョークコイル25がインバータの出力側に設けられている例を説明したが、図2に示すように、直流電源1とコンデンサ22a、22bとの間にコモンモードチョークコイル28を配置しても、第1の実施形態の漏れ電流抑制効果と同様な効果が得られる。また、コモンモードチョークコイル28は単相となるため、巻線が一相少なくて済み、小型化を図ることができる。
【0022】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態のインバータを示す回路図である。図3に示すインバータは、図2に示すインバータに対して、コモンモードチョークコイル28とコンデンサ22a,22bとの間に、チョッパリアクトル29とダイオード30とスイッチング素子31とからなる昇圧チョッパを追加したことを特徴とする。
【0023】
昇圧チョッパ回路もバイパス路26で挟むことにより、昇圧チョッパの昇圧動作によって新たに発生する漏れ電流もインバータからの漏れ電流抑制効果と同様な効果が得られる。
【0024】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態のインバータを示す回路図である。図4に示すインバータは、図3に示すインバータに対して、バイパス路26を接続する電源ラインを除く残りの電源ラインの直流電源側と系統側との少なくとも一方に、即ち、系統8にコモンモードチョークコイル32を接続し、直流電源1にコモンモードチョークコイル33を接続したことを特徴とする。
【0025】
浮遊容量9a、9bのインピーダンスは周波数に反比例するために、高周波に対してそのインピーダンスは小さくなり、漏れ電流が流れやすくなる。これに対してコモンモードチョークコイル32、33は、高周波の漏れ電流に対して大きなインピーダンスとして作用することから、その低減効果を一層高めることができる。
【0026】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態のインバータを示す回路図である。図5に示すインバータは、図4に示すインバータに対して、直流電源1側のバイパス路26に接続される直列のコンデンサ27a、27bに代えて、一つのコンデンサ34を接続し、バイパス路26は、どちらか一方の相にもう一つのコンデンサ35を介して接続されることを特徴とする。このような構成でも、第4の実施形態の作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0027】
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態のインバータを示す回路図である。図7は、従来のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。図8は、本発明の第6の実施形態のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。
【0028】
図6に示すインバータのU相アーム20は、上下2つのスイッチング素子20a、20bで構成され、W相アーム21は、上下2つのスイッチング素子21a、21bで構成される。制御回路10は、キャリア発生器CAR、コンパレータCMP1、CMP2、インバータINV1〜INV3を有している。
【0029】
キャリア発生器CARは、三角波信号からなるキャリア信号を生成する。コンパレータCMP1は、キャリア発生器CARからのキャリア信号とU相出力電圧指令値(以下、U相指令値)UINとを比較し、U相指令値UINがキャリア信号CAR以上であるとき、Hレベルをスイッチング素子20aに出力し、U相指令値UINがキャリア信号CAR未満であるとき、Lレベルをスイッチング素子20aに出力する。インバータINV1はコンパレータCMP1の出力を反転してスイッチング素子20bに出力する。
【0030】
インバータINV2はキャリア発生器CARからのキャリア信号をコンパレータCMP2の反転入力端子に出力する。コンパレータCMP2は、インバータINV2からの反転されたキャリア信号とW相出力電圧指令値(以下、W相指令値)WINとを比較し、W相指令値WINが反転キャリア信号以上であるとき、Hレベルをスイッチング素子21aに出力し、W相指令値WINが反転キャリア信号未満であるとき、Lレベルをスイッチング素子21aに出力する。インバータINV3はコンパレータCMP1の出力を反転してスイッチング素子21bに出力する。
【0031】
図7(A)、図8(A)に、U相アーム20とW相アーム21の相電圧、即ち、U相指令値UIN、W相指令値WINを示す。図7(B)及び図8(B)と図7(C)及び図8(C)は、図7(A)及び図8(A)に対して時間軸を拡大したものであり、それぞれU相指令値とW相指令値とキャリア信号CARを示している。
【0032】
図7(D)及び図8(D)はU相とW相の出力電圧のシミュレーション波形を示している。図8(C)のキャリア信号の位相は、図8(B)に示すキャリア信号の位相に対して、180°ずらしてある。
【0033】
キャリア信号と比較してU相指令値、W相指令値が大きい場合には、上のスイッチング素子20a,21aがオンし、逆の場合にはスイッチング素子20b,21bがオンし、それぞれ直流の正極、負極のパルス電圧を出力する。
【0034】
U相とW相から出力される正弦波の極性が逆になっている領域では、図8に示す第6の実施形態のように、キャリア信号の位相を180°ずらすことで、スイッチングによりU相とW相から出力される電圧の極性が反対になる割合が増える。その場合、U相とW相の二つの出力電圧は打ち消されて、漏れ電流の原因となる電圧の変動は小さくなり、スイッチングに伴う漏れ電流の成分は、図8(E)に示すように、小さくなる。
【0035】
(第7の実施形態)
図9は、本発明の第7の実施形態のインバータを示す回路図である。図9に示すインバータのU相アーム20は、直列に接続された4つのスイッチング素子20c、20d、20e、20fからなり、W相アーム21は、直列に接続された4つのスイッチング素子21c、21d、21e、21fからなる。
【0036】
図10は、従来のインバータ内の制御回路の詳細を示す回路図である。図10に示す制御回路は、コンパレータCMP1〜CMP4、インバータINV1〜INV4を有している。コンパレータCMP1は、U相指令値UINと上段のキャリア信号CARUとを比較し、U相指令値UINが上段のキャリア信号CARU以上であるときHレベルをスイッチング素子20cに出力し、U相指令値UINが上段のキャリア信号CARU未満であるときLレベルをスイッチング素子20cに出力する。インバータINV1は、コンパレータCMP1の出力を反転して、スイッチング素子20eに出力する。
【0037】
コンパレータCMP2は、U相指令値UINと下段のキャリア信号CARDとを比較し、U相指令値UINが下段のキャリア信号CARD以上であるときHレベルをスイッチング素子20dに出力し、U相指令値UINが下段のキャリア信号CARD未満であるときLレベルをスイッチング素子20dに出力する。インバータINV2は、コンパレータCMP2の出力を反転して、スイッチング素子20fに出力する。
【0038】
コンパレータCMP3は、W相指令値WINと上段のキャリア信号CARUとを比較し、W相指令値WINが上段のキャリア信号CARU以上であるときHレベルをスイッチング素子21cに出力し、W相指令値WINが上段のキャリア信号CARU未満であるときLレベルをスイッチング素子21cに出力する。インバータINV3は、コンパレータCMP3の出力を反転して、スイッチング素子21eに出力する。
【0039】
コンパレータCMP4は、W相指令値WINと下段のキャリア信号CARDとを比較し、W相指令値WINが下段のキャリア信号CARD以上であるときHレベルをスイッチング素子21dに出力し、W相指令値WINが下段のキャリア信号CARD未満であるときLレベルをスイッチング素子21dに出力する。インバータINV4は、コンパレータCMP4の出力を反転して、スイッチング素子21fに出力する。
【0040】
図11は、本発明の第7の実施形態のインバータ内の制御回路の詳細を示す回路図である。図11に示す第7の実施形態の制御回路は、図10に示す従来の制御回路に、さらに、インバータINV5、INV6を備えることを特徴とする。インバータINV5は、上段のキャリア信号CARUを反転して、コンパレータCMP3の反転入力端子に出力する。インバータINV6は、下段のキャリア信号CARDを反転して、コンパレータCMP4の反転入力端子に出力する。
【0041】
図12は、図10に示す従来のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。図13は、本発明の第7の実施形態のインバータを説明するU相・W相の出力電圧指令値とキャリア、U相・W相の出力電圧、および漏れ電流のシミュレーション波形である。
【0042】
図12(A)、図13(A)に、U相アーム20とW相アーム21の相電圧、即ち、U相指令値UIN、W相指令値WINを示す。図12(B)及び図13(B)と図12(C)及び図13(C)は、図12(A)及び図13(A)に対して時間軸を拡大したものであり、それぞれU相指令値とW相指令値と2つのキャリア信号CARU、CARDを示している。
【0043】
図12(D)及び図13(D)はU相とW相の出力電圧のシミュレーション波形を示している。図13(C)の各相のキャリア信号CARU、CARDの位相は、図12(D)に示す各相のキャリア信号CARU、CARDの位相に対して、180°ずらしてある。図12(E)及び図13(E)は、漏れ電流のシミュレーション波形を示している。
【0044】
第7の実施形態も第6の実施形態と同様に、U相とW相のそれぞれのキャリア信号を180°ずらすことで、各相から出力される電圧が互いに打ち消される期間が長くなり、漏れ電流を低減できる。
【0045】
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…直流電源、2a〜4b…スイッチング素子、5a〜5c…リアクトル、6a〜6c…コンデンサ、7…正弦波フィルタ、8…系統、9a,9b…浮遊容量、9…絶縁トランス、10,10a…制御回路、11…ノイズフィルタ、12,13…リアクトル、14a〜14c…相間コンデンサ、15…接地コンデンサ、20…U相アーム、21…W相アーム、20a〜20f,21a〜21f…スイッチング素子、22a,22b…コンデンサ、23a,23b…リアクトル、24a,24b…コンデンサ、25…コモンモードチョークコイル、26…バイパス路、27a,27b…コンデンサ、28…コモンモードチョークコイル、29…リアクトル、30…ダイオード、31…スイッチング素子、32,33…コモンモードチョークコイル、CMP1〜CMP4…コンパレータ、INV1〜INV6…インバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の電力を交流に変換して、一相が接地された三相の電力系統に連系するインバータにおいて、
接地相を除く2つの相にPWM電圧を出力するための複数のスイッチング素子を有する2組のアームと、
前記直流電源のラインの相間に直列に接続され、その中性点に前記接地相が直接接続された第1コンデンサ対と、
前記接地相を除く2つの相に対応した前記2組のアームのインバータ出力ラインにそれぞれ接続される2つのノーマルモードリアクトル及び前記接地相と前記2つの相との間に接続される2つの相間コンデンサで構成される正弦波フィルタと、
前記正弦波フィルタ出力の接地相と前記第1コンデンサ対の中性点とを接続するバイパス路と、
前記バイパス路に挟まれる電源ラインに接続される第1コモンモードチョークコイルと、
を有することを特徴とするインバータ。
【請求項2】
直流電源の電力を交流に変換して、一相が接地された三相の電力系統に連系するインバータにおいて、
接地相を除く2つの相にPWM電圧を出力するための複数のスイッチング素子を有する2組のアームと、
前記直流電源のラインの相間に直列に接続され、その中性点に前記接地相が直接接続された第1コンデンサ対と、
前記接地相を除く2つの相に対応した前記2組のアームのインバータ出力ラインにそれぞれ接続される2つのノーマルモードリアクトル及び前記接地相と前記2つの相との間に接続される2つの相間コンデンサで構成される正弦波フィルタと、
前記直流電源のラインに直列に接続された第2コンデンサ対と、
前記正弦波フィルタ出力の接地相と前記第2コンデンサ対の中性点とを接続するバイパス路と、
前記バイパス路に挟まれる電源ラインに接続される第1コモンモードチョークコイルと、
を有することを特徴とするインバータ。
【請求項3】
前記第1コンデンサ対と前記第2コンデンサ対との間に、前記直流電源の一方のラインに接続されたリアクトルとダイオードとの直列回路及び前記リアクトルと前記ダイオードとの接続点と前記直流電源の他方のラインとに接続された第1スイッチング素子を有する昇圧チョッパを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインバータ。
【請求項4】
前記バイパス路に挟まれる電源ラインを除く残りの電源ラインの前記直流電源側と系統側との少なくとも一方に接続された第2コモンモードチョークコイルを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のインバータ。
【請求項5】
前記第2コンデンサ対に代えて、前記直流電源のラインの相間に接続された第1コンデンサと、前記直流電源のラインの一方と前記正弦波フィルタ出力の接地相とを接続する第2コンデンサとを有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載のインバータ。
【請求項6】
前記PWM電圧を出力する前記2組のアームのそれぞれは、2つのスイッチング素子を有し、
さらに、前記2組のアームのそれぞれに有する前記2つのスイッチング素子をPWMスイッチングするための制御回路を有し、
前記制御回路は、第1キャリア信号を用いて前記2つの相の一方の相の前記2つのスイッチング素子をスイッチングさせ、前記第1キャリア信号とは180°ずれた第2キャリア信号を用いて前記2つの相の他方の相の2つのスイッチング素子をスイッチングさせることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のインバータ。
【請求項7】
前記PWM電圧を出力する前記2組のアームのそれぞれは、上段の第1及び第2スイッチング素子と下段の第3及び第4スイッチング素子とを有し、
さらに、前記2組のアームのそれぞれに有する前記上段の第1及び第2スイッチング素子と前記下段の第3及び第4スイッチング素子とをPWMスイッチングするための制御回路を有し、
前記制御回路は、上段用キャリア信号を用いて前記2つの相の一方の相の前記第1及び第3スイッチング素子をスイッチングさせ、前記上段用キャリア信号とは180°ずれたキャリア信号を用いて前記2つの相の他方の相の第1及び第3スイッチング素子をスイッチングさせ、下段用キャリア信号を用いて前記2つの相の一方の相の前記第2及び第4スイッチング素子をスイッチングさせ、前記下段用キャリア信号とは180°ずれたキャリア信号を用いて前記2つの相の他方の相の第2及び第4スイッチング素子をスイッチングさせることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のインバータ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−125055(P2012−125055A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273634(P2010−273634)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】