説明

インパクト工具

【課題】モータの回転軸の軸方向振動の影響を受けることなく回転数検知を確実に行うことができる上に小型軽量化に有利なものとする。
【解決手段】モータ3とこのモータ3の回転からインパクト打撃を発生するインパクト機構部5とモータ回転数の検出用の回転数センサー7を備える。回転数センサー7は放射状に着磁されてモータの回転軸に取り付けられた磁石70と、該磁石の外周に配置された磁気感応素子71とからなる。モータ3の回転軸自体が軸方向に振動しても、磁石70と磁気感応素子71とが干渉するようなことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを動力源としているインパクト工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータを動力源としている電動工具において、モータの回転数を制御する場合、モータの回転数を検知する回転数センサーを設けることになるが、この回転数センサーとしては、モータの回転軸に放射状に着磁した磁石を設けるとともに、この磁石の外周に磁石の極数に応じた爪状の突起が並ぶ2枚のヨークとコイルとを配置した周波数ジェネレータと称されるものが用いられている。
【0003】
しかし、このような回転数センサーでは、モータの回転軸自体が軸方向振動をしてしまうインパクト工具においては、回転軸に取り付けられた磁石が上記ヨークと干渉して破損してしまうことがある。
【0004】
また、ヨークやコイル等のセンシング側の部材の部品点数が多くて小型軽量化化が困難である。
【特許文献1】特開2003−340620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、モータの回転軸の軸方向振動の影響を受けることなく回転数検知を確実に行うことができる上に小型軽量化に有利なインパクト工具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係るインパクト工具は、モータとこのモータの回転からインパクト打撃を発生するインパクト機構部とを備えているとともにモータ回転数の検出用の回転数センサーを備えているものにおいて、回転数センサーが放射状に着磁されてモータの回転軸に取り付けられた磁石と、該磁石の外周に配置された磁気感応素子とからなることに特徴を有している。モータの回転軸自体が軸方向に振動しても、磁石と磁気感応素子とが干渉するようなことがないものである。
【0007】
上記磁気感応素子はモータを収めたハウジングによってモータの回転軸の軸方向と交差する方向において挟持固定されていることが、磁気感応素子の位置ずれや振動による回転数検出精度の低下の防止の点で好ましい。
【0008】
また、磁石とモータの磁気回路部との間にモータの回転軸を受ける磁性体製の軸受が位置していると、磁気回路部の磁気的影響を受けることなく回転数検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、モータの回転軸自体が軸方向に振動しても磁石と磁気感応素子とが干渉するようなことがなく、このために回転数検出に関して高い安定性を有するものであり、しかも周波数ジェネレータの場合に比して部品点数も少なくて小型軽量化に有利なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図示例のインパクト工具はグリップ部10の下端に電池パック2を着脱自在に装着している本体1内に駆動源であるモータ3とその出力を減速する減速器4並びにインパクト機構部5を配したもので、グリップ部10の根元部にはトリガーレバー11を備えたスイッチ12を内蔵している。図中6は出力軸、13は設定状態の表示及び回転数設定値等の変更用の表示設定部、14は制御回路部である。
【0011】
上記モータ3は本体1のハウジングをモータケースとするビルトインタイプのもので、その回転軸31の一端側は上記減速器4に接続されているが、他端には図3に示すように放射状に着磁された磁石70が取り付けられている。また該磁石70の外周位置には本体1の二つ割とされているハウジングで挟持固定された磁気感応素子71が配設されて、磁石70と磁気感応素子71とで回転数センサー7が構成されている。
【0012】
モータ3が回転する時の磁石70の磁界の切り替わりが磁気感応素子71から方形波として出力されるものであり、制御回路部14は方形波信号の周期を計算することでモータ3の回転数を検出し、この検出結果に基づいてスイッチング素子15をたとえばPWM制御駆動することでモータ3の回転数を制御してインパクトの打撃力を調整する。図3中の72は磁気検出素子(図示例はホール素子)71から導出されて前記制御回路部14に接続されているリード線である。
【0013】
磁気感応素子71は磁石70の外周に配置されており、モータ3の回転軸31自体が軸方向に振動しても、磁石70と磁気感応素子71とが干渉するようなことはなく、また磁石70の位置が軸方向に変化しても、回転数検出は放射状に着磁された磁石70の回転による磁界の切り替わりを基に行っているために、回転数検出に支障が生じることはない。また、左右に二つ割の本体1のハウジングで磁気感応素子71を回転軸31と交差する方向において挟持しているために、磁気感応素子71が振動の影響で左右方向に動いてしまうこともなく、このために高い回転数検出精度を得ることができる。
【0014】
ここで、磁石70はモータ3の回転軸31の端部に取り付けて、モータ3における磁気回路部と磁石70との間に軸受30が位置するようにしているのは、図6に示すように、磁気回路部の磁力線が磁性体からなる軸受30を通過して回転数センサー7側に影響が及ばないようにしているためである。
【0015】
なお、回転数センサー7はどのような目的で設けたものであってもよいのはもちろんである。たとえば回転数の変化によってインパクトの打撃を検出し、その打撃数を設定回数カウントして所定数に達すればモータへの電力を遮断することでインパクトの締め付け力制御を行うものでもよく、またモータ3の回転数表示のために設けただけのものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の一例の縦断面図である。
【図2】同上の部分拡大縦断面図である。
【図3】同上の横断面図である。
【図4】同上の概略図である。
【図5】同上のブロック図である。
【図6】同上のモータの磁力線についての説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1 本体
3 モータ
5 インパクト機構部
7 回転数センサー
31 回転軸
70 磁石
71 磁気感応素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータとこのモータの回転からインパクト打撃を発生するインパクト機構部とを備えているとともにモータ回転数の検出用の回転数センサーを備えているインパクト工具において、上記回転数センサーは放射状に着磁されてモータの回転軸に取り付けられた磁石と、該磁石の外周に配置された磁気感応素子とからなることを特徴とするインパクト工具。
【請求項2】
磁気感応素子はモータを収めたハウジングによってモータの回転軸の軸方向と交差する方向において挟持固定されていることを特徴とする請求項1記載のインパクト工具。
【請求項3】
磁石とモータの磁気回路部との間にモータの回転軸を受ける磁性体製の軸受が位置していることを特徴とする請求項1または2記載のインパクト工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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