説明

インビトロ診断と生体内イメージング、診断と治療法における細菌ベータラクタマーゼの利用

蛍光、発光または比色検出試薬(例えば細菌の酵素のための蛍光発生基質、ケージドルシフェリンと蛍光タンパク質、ルシフェラーゼと組み換え型細菌が発現する酵素)を用い、病原性細菌またはそれらと相関した病態生理学的症状を同定、診断し、イメージングする方法をここに提供する。細菌の存在下で蛍光、発光または比色検出試薬により生じるシグナルを コントロールと比較し病原性細菌を検出し局在を同定する。また、 潜在的治療剤の存在下と非存在下で検出試薬から発される蛍光または発光を測定する事により病態生理学的症状を治療する治療薬の検索方法を提供する。加えて、ベータラクタマーゼまたは他の酵素または病原性細菌のタンパク質の陽電子放出またはガンマ線放出する基質を用いPETまたはSPECTイメージングする事により病原性細菌を検出する方法を提供する。さらに、蛍光発生基質CNIR‐7またはCNIR7‐TATまたは放射性同位元素で標識した基質を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は米国特許法(35 U.S.C.§119(e))に基づき2008年12月24日に仮出願され現在は放棄されている整理番号61/203,605、および2008年8月6日に仮出願され現在は放棄されている整理番号61/188,112の優先権の利益を請求するものであり、その両内容は全て本書類に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、医薬、病原微生物学、およびイメージング技術分野に関するものである。具体的には、本発明は、対象物をイメージングする際、細菌性病原菌を検出し局在を得るのに有効な化合物とレポーターに関するものである。
【0003】
多くの細菌性感染症は全世界で罹患率と死亡率に大きな影響を与える原因となっており、最も重要な細菌種の多くがベータラクタマーゼ陽性であり、一般的なペニシリン様抗生物質に対し耐性を示す。これらの感染症とペニシリン耐性の有無の診断は多くの場合困難であり、感染性の判定には大規模な診断研究施設での細胞培養を要する。
【0004】
例えば結核は現在世界人口のほぼ3分の1に感染しており、依然公衆衛生上の重大な脅威となっている。治療が容易ではない複数の薬剤に対し抵抗性を持つ極度薬剤耐性の菌株が世界中に継続して存在している事を考慮するれば、その懸念はますます増大している。現在、結核の定量化と生存能の評価方法、組織細胞培養、動物モデルと人における感染の研究手法はコロニー形成単位(CFU)の同定や組織と痰の顕微鏡検査に限定される。これらの方法は時間がかかり、多くの場合その解釈が困難であり比較的感度が低い。動物と人間の場合、ほとんどの方法で死体解剖が行われ侵襲的処置を要する。動物モデルと患者において、これらの欠点が、疾患進行、ワクチンの有効性と治療結果の理解を困難にしている。光学イメージング法は感染中の結核の生存能の直接的な観察、そして罹患中、リアルタイムに生きた動物を使用し非侵襲的な方法により治療法の効果と細菌の局在の可視化を可能にする。
【0005】
このように細菌性疾患におけるイメージングの改良法のための技術開発の必要性が認識されている。さらに具体的に言うと先行技術では細菌感染を診断し、局在を明らかにすべく、インビトロそして生きた対象物に使用可能であり、新たな治療法の迅速な検索と新規の薬剤標的の同定のために使用可能なベータラクタマーゼ陽性細菌のための高感度で特異的なリアルタイムでの光学イメージング法が欠如している。本発明はこの技術分野において長年にわたり必要とされていたもの、そして念願とされてきたものを満たすものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はその対象物においてリアルタイムに病原性細菌を検出する方法である。その方法は対象物または生物学的サンプルに病原性細菌のベータラクタマーゼの蛍光、発光または発色基質を誘導する事、そして基質に対するベータラクタマーゼ活性から生じる産生物により対象またはサンプルをイメージングする事から成る。ベータラクタマーゼ産生物により放出された波長のシグナルは対象において病原性細菌を検出する事により得られる。本発明はさらにその対象において病原性細菌の局在を同定するため放出されたシグナルの三次元画像再構成を行う関連手法を含む。本発明はまたコントロールシグナルよりも高く測定された発光シグナル強度に基づき、病原性細菌に関与した病態生理学的状態をリアルタイムで診断するもう一つの関連手法をさらに含む。
【0007】
本発明にはその対象において病原性細菌に関与した病態生理学的状態を診断する為の関連手法も含まれる。その方法は対象物に病原性細菌のベータラクタマーゼの蛍光発生基質を投与する事、または生物学的サンプルに接触させる事、そして基質に対するベータラクタマーゼ活性から生じる産生物により対象をイメージングする事から成る。蛍光、発光または比色分析シグナル強度はリアルタイムにコントロールで測定されたシグナルより高い蛍光、発光または比色分析シグナル強度のような産生物により発せられる波長として 病態生理学的な状態の診断と相関し測定される。本発明はさらに微生物病原体の局在を同定するためシグナルを三次元画像再構成する関連手法も含む。
【0008】
本発明は、病態生理学的症状を治療するために効果的な1つまたはそれ以上の治療化合物を投与する事からなるもう一つの関連手法も含む。本発明はさらに対象物に蛍光発生化合物を再投与する事と対象物を再度イメージングする事、またはそこからもたらされる生物学的サンプルと蛍光基質と呼ばれる物を接触させる事、そしてさらには病態生理学的症状に対する治療効果を示す診断時のシグナルと比較し発光シグナルの減退の様な治療化合物の有効性をモニターするために対象物または生物学的サンプルといったものをイメージングする事から構成される関連手法も含む。
【0009】
本発明はさらに対象の病原性細菌と相関した病態生理学的症状の治療に有効な治療化合物の検索の為の方法をも含む。その方法は潜在的な治療化合物を選択する事、蛍光、発光または比色分析試薬と細菌細胞を接触させる事、そして潜在的に治療化合物と成りうるものと細菌細胞とを接触させる事から構成される。細菌細胞により生じた蛍光、発光または比色シグナルを治療化合物非存在下のシグナルと比較し治療化合物存在下でのシグナルの減退が病原性細菌に対する化合物の治療効果を示唆するような潜在的な治療化合物の存在下と非存在下で測定する。
【0010】
本発明はさらに病原性細菌のイメージング方法を含む。その方法は病原性細菌とベータラクタマーゼ酵素の蛍光発生基質とを接触させる事、基質に対するベータラクタマーゼ活性による産物により生じた励起波長を病原性細菌に移動させる事、そして産生物から発せられる蛍光、発光または比色シグナルを得る事から成る。 病原性細菌のイメージングにより検出したシグナルの三次元画像再構成を作成する。
【0011】
本発明はさらに細菌のベータラクタマーゼの蛍光発生基質であるCNIR‐7またはCNIR7‐TATも含む。
【0012】
本発明はさらに対象物における病原性細菌をリアルタイムで検出するための方法を含む。その方法は対象にガンマ放射線と関連した同位元素により放射性標識した基質を誘導する事からなり、その基質は病原性細菌に対しベータラクタマーゼまたはその他の酵素またはタンパク質特異的なものである。その対象物は活性状態にある間、放射されるガンマ線により生じるシグナルを得、放射性標識された基質からのガンマ放射線によりイメージングされる。対象におけるガンマ線から得たシグナル強度に基づく放射性標識の集積により三次元画像再構成を作成し、それにより病原性細菌を検出する。本発明はさらにその検出に基づきリアルタイムに病原性細菌と相関した病態生理学的症状を診断する事から成る関連手法をも含む。本発明は、病態生理学的症状を治療するために効果的な1つまたはそれ以上の治療化合物を投与する事からなるもう一つの関連手法も含む。本発明はさらにもう一つ、放射性標識した基質を対象物に再度投与する事、そして治療化合物の効果(診断時と比較しガンマ放射線が減少し、病態生理学的症状に対する治療的効果を示唆する。)をモニターするため対象を再度イメージングする事からなる関連手法を含む。
【0013】
本発明はさらに、ここに記述するようにPETやSPECTイメージングに適する細菌のベータラクタマーゼの放射性標識した基質を含む。
【0014】
他のさらなる対象や特性、そして利点長所などは本発明の現時点での望ましい実施形態の下記に示す記述からも明らかであり、それは開示目的のため与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
解明されるであろう他の事柄と同時に本発明の前述した特徴、長所と対象物において生じる問題が詳細に理解されるように、簡潔に上記に要約した発明のより詳細な記述を特定の実施形態において添付の図中に例示する。これらの図面は明細事項の一部を構成する。しかし、添付した図面は本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、したがってそれらの範囲には制限する事が考慮されていない点に注意が必要である。
【図1】図1A‐1Cはベータラクタマーゼによる加水分解の前後のCC1とCC2 (図1A)、CHPQ (図1B) とCR2 (図1C)とを表す。
【図2A】図2A‐2BはCNIR1、CNIR2、CNIR3そしてCNIR4の構造とベータラクタマーゼによるそれらの加水分解 (図2A) および CNIR9とCNIR10 (図 2B) を表す。
【図2B】図2A‐2BはCNIR1、CNIR2、CNIR3そしてCNIR4の構造とベータラクタマーゼによるそれらの加水分解 (図2A) および CNIR9とCNIR10 (図 2B) を表す。
【図3A】図3A‐3Cは近赤外基質のCNIR5を作成する合成経路 (図3A)、ベータラクタマーゼの存在下、非存在下でのCNIR5の蛍光強度と波長 (図3B) および CNIR5‐QSY22の構造 (図3C) を表す。
【図3B】図3A‐3Cは近赤外基質のCNIR5を作成する合成経路 (図3A)、ベータラクタマーゼの存在下、非存在下でのCNIR5の蛍光強度と波長 (図3B) および CNIR5‐QSY22の構造 (図3C) を表す。
【図3C】図3A‐3Cは近赤外基質のCNIR5を作成する合成経路 (図3A)、ベータラクタマーゼの存在下、非存在下でのCNIR5の蛍光強度と波長 (図3B) および CNIR5‐QSY22の構造 (図3C) を表す。
【図4A】図4A‐4DはQSY21の構造(図4A)、QSY21二硫酸塩(図4B)とQSY22二硫酸塩(図4C)、そして QSY22二硫酸塩の化学合成(図4D)を示す。
【図4B】図4A‐4DはQSY21の構造(図4A)、QSY21二硫酸塩(図4B)とQSY22二硫酸塩(図4C)、そして QSY22二硫酸塩の化学合成(図4D)を示す。
【図4C】図4A‐4DはQSY21の構造(図4A)、QSY21二硫酸塩(図4B)とQSY22二硫酸塩(図4C)、そして QSY22二硫酸塩の化学合成(図4D)を示す。
【図4D】図4A‐4DはQSY21の構造(図4A)、QSY21二硫酸塩(図4B)とQSY22二硫酸塩(図4C)、そして QSY22二硫酸塩の化学合成(図4D)を示す。
【図5A】図5A‐5BはCNIR7の構造(図5A)とその化学合成(図5B)を示す。
【図5B】図5A‐5BはCNIR7の構造(図5A)とその化学合成(図5B)を示す。
【図6A】図6A‐6BはBlucoの化学合成(図6A)とベータラクタマーゼの連続的レポーター生物発光分析 (SREL) イメージングにおけるBlucoの使用法を示す(図6B)。
【図6B】図6A‐6BはBlucoの化学合成(図6A)とベータラクタマーゼの連続的レポーター生物発光分析 (SREL) イメージングにおけるBlucoの使用法を示す(図6B)。
【図7】図7はCNIR5で大腸菌におけるベータラクタマーゼ(Bla)活性の検出を示す。コントロールは 形質転換大腸菌を含まずLB培地とCNIR5を含む。
【図8】図8A‐8Dは10分間のBlaによる開裂の前後におけるCNIR4(図8A)、CNIR5(図8B)、CNIR9(図8C)そしてCNIR10(図8D)の発光スペクトルを示す。
【図9】図9A‐9BはCNIR4(図9A)およびCNIR5(図9B)の基質における大腸菌TEM‐1ベータラクタマーゼとヒト型結核菌Bla‐Cベータラクタマーゼの反応速度論を示す。
【図10】図10A‐10HはCNIR4(図10A、10E)、CNIR5(図10B、10F)、CNIR9(図10C、10G)そしてCNIR10(図10D、10H)を添加した培地におけるヒト型結核菌のみでの蛍光取り込みの反応速度論とその分布比(図10E‐10H)を示す。
【図11】図11A‐11HはCNIR4(図11A、11E)、CNIR5(図11B、11F)、CNIR9(図11C、11G)そしてCNIR10(図11D、11H)とともにマクロファージに感染したヒト型結核菌の蛍光取り込みの反応速度論(図1A‐11D)とその分布比(図11E‐11H)を示す。
【図12】図12はマクロファージに感染したヒト型結核菌へのCNIR4の細胞内取り込みを示す蛍光共焦点顕微鏡法によるイメージングを示す。DAPI染色(青色)は感染した細胞の核、緑色はGFP標識したヒト型結核菌、赤色蛍光は開裂したNIR4からの蛍光である。
【図13A】図13A‐13Eは108個(各々のマウスの左下)、107個(左上)、106個(右上)から様々な濃度でのCNIR4(図13A)、CNIR5(図3B)、CNIR9(図13C)そしてCNIR10(図13D)の皮内接種によりヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光を示す。図13Eは感染に用いた細菌の各々の濃度における各々の化合物のシグナルとバックグラウンドを比較したものである。
【図13B】図13A‐13Eは108個(各々のマウスの左下)、107個(左上)、106個(右上)から様々な濃度でのCNIR4(図13A)、CNIR5(図3B)、CNIR9(図13C)そしてCNIR10(図13D)の皮内接種によりヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光を示す。図13Eは感染に用いた細菌の各々の濃度における各々の化合物のシグナルとバックグラウンドを比較したものである。
【図13C】図13A‐13Eは108個(各々のマウスの左下)、107個(左上)、106個(右上)から様々な濃度でのCNIR4(図13A)、CNIR5(図3B)、CNIR9(図13C)そしてCNIR10(図13D)の皮内接種によりヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光を示す。図13Eは感染に用いた細菌の各々の濃度における各々の化合物のシグナルとバックグラウンドを比較したものである。
【図13D】図13A‐13Eは108個(各々のマウスの左下)、107個(左上)、106個(右上)から様々な濃度でのCNIR4(図13A)、CNIR5(図3B)、CNIR9(図13C)そしてCNIR10(図13D)の皮内接種によりヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光を示す。図13Eは感染に用いた細菌の各々の濃度における各々の化合物のシグナルとバックグラウンドを比較したものである。
【図13E】図13A‐13Eは108個(各々のマウスの左下)、107個(左上)、106個(右上)から様々な濃度でのCNIR4(図13A)、CNIR5(図3B)、CNIR9(図13C)そしてCNIR10(図13D)の皮内接種によりヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光を示す。図13Eは感染に用いた細菌の各々の濃度における各々の化合物のシグナルとバックグラウンドを比較したものである。
【図14A】図14A‐14Eはエアロゾル接種により肺にヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光イメージを示す。CNIR4(図14A)、CNIR5(図14B)、CNIR9(図14C)そしてCNIR10(図14D)を測定した蛍光シグナルである。図8A‐8Dの各々において、各々のパネルの左のマウスは感染してないもの、左から2番目はblaC遺伝子に突然変異を持つヒト型結核菌に感染しているもの、そして、各々のパネルの2匹の右側のマウスは野生型ヒト型結核菌に感染しているものを示す。各々のパネルの3匹の右のマウスに、イメージング24時間前にCNIR4、CNIR5、CNIR9またはCNIR10を静脈内注射した。図14Eは背面の画像の肺の領域における各々の化合物のシグナル対バックグラウンドのグラフである。
【図14B】図14A‐14Eはエアロゾル接種により肺にヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光イメージを示す。CNIR4(図14A)、CNIR5(図14B)、CNIR9(図14C)そしてCNIR10(図14D)を測定した蛍光シグナルである。図8A‐8Dの各々において、各々のパネルの左のマウスは感染してないもの、左から2番目はblaC遺伝子に突然変異を持つヒト型結核菌に感染しているもの、そして、各々のパネルの2匹の右側のマウスは野生型ヒト型結核菌に感染しているものを示す。各々のパネルの3匹の右のマウスに、イメージング24時間前にCNIR4、CNIR5、CNIR9またはCNIR10を静脈内注射した。図14Eは背面の画像の肺の領域における各々の化合物のシグナル対バックグラウンドのグラフである。
【図14C】図14A‐14Eはエアロゾル接種により肺にヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光イメージを示す。CNIR4(図14A)、CNIR5(図14B)、CNIR9(図14C)そしてCNIR10(図14D)を測定した蛍光シグナルである。図8A‐8Dの各々において、各々のパネルの左のマウスは感染してないもの、左から2番目はblaC遺伝子に突然変異を持つヒト型結核菌に感染しているもの、そして、各々のパネルの2匹の右側のマウスは野生型ヒト型結核菌に感染しているものを示す。各々のパネルの3匹の右のマウスに、イメージング24時間前にCNIR4、CNIR5、CNIR9またはCNIR10を静脈内注射した。図14Eは背面の画像の肺の領域における各々の化合物のシグナル対バックグラウンドのグラフである。
【図14D】図14A‐14Eはエアロゾル接種により肺にヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光イメージを示す。CNIR4(図14A)、CNIR5(図14B)、CNIR9(図14C)そしてCNIR10(図14D)を測定した蛍光シグナルである。図8A‐8Dの各々において、各々のパネルの左のマウスは感染してないもの、左から2番目はblaC遺伝子に突然変異を持つヒト型結核菌に感染しているもの、そして、各々のパネルの2匹の右側のマウスは野生型ヒト型結核菌に感染しているものを示す。各々のパネルの3匹の右のマウスに、イメージング24時間前にCNIR4、CNIR5、CNIR9またはCNIR10を静脈内注射した。図14Eは背面の画像の肺の領域における各々の化合物のシグナル対バックグラウンドのグラフである。
【図14E】図14A‐14Eはエアロゾル接種により肺にヒト型結核菌に感染したマウスからの蛍光イメージを示す。CNIR4(図14A)、CNIR5(図14B)、CNIR9(図14C)そしてCNIR10(図14D)を測定した蛍光シグナルである。図8A‐8Dの各々において、各々のパネルの左のマウスは感染してないもの、左から2番目はblaC遺伝子に突然変異を持つヒト型結核菌に感染しているもの、そして、各々のパネルの2匹の右側のマウスは野生型ヒト型結核菌に感染しているものを示す。各々のパネルの3匹の右のマウスに、イメージング24時間前にCNIR4、CNIR5、CNIR9またはCNIR10を静脈内注射した。図14Eは背面の画像の肺の領域における各々の化合物のシグナル対バックグラウンドのグラフである。
【図15A】図15A‐15Fは肺にヒト型結核菌をエアロゾル接種により感染させ、基質CNIR5を1時間(図15A)、18時間(図15B)、24時間(図15C)と48時間(図15D)、使用しイメージングしたマウスからの蛍光イメージを示す。背部、腹部または左右の側面図の各々のパネルにおいて左は非感染、右は感染したマウスを示す。全てのマウスに、記載した時点におけるイメージング前にCNIR5を静脈内注射した。図15Fは図15Aの上のパネルで丸印をつけた関心領域から得た蛍光シグナルを定量化したグラフである。
【図15B】図15A‐15Fは肺にヒト型結核菌をエアロゾル接種により感染させ、基質CNIR5を1時間(図15A)、18時間(図15B)、24時間(図15C)と48時間(図15D)、使用しイメージングしたマウスからの蛍光イメージを示す。背部、腹部または左右の側面図の各々のパネルにおいて左は非感染、右は感染したマウスを示す。全てのマウスに、記載した時点におけるイメージング前にCNIR5を静脈内注射した。図15Fは図15Aの上のパネルで丸印をつけた関心領域から得た蛍光シグナルを定量化したグラフである。
【図15C】図15A‐15Fは肺にヒト型結核菌をエアロゾル接種により感染させ、基質CNIR5を1時間(図15A)、18時間(図15B)、24時間(図15C)と48時間(図15D)、使用しイメージングしたマウスからの蛍光イメージを示す。背部、腹部または左右の側面図の各々のパネルにおいて左は非感染、右は感染したマウスを示す。全てのマウスに、記載した時点におけるイメージング前にCNIR5を静脈内注射した。図15Fは図15Aの上のパネルで丸印をつけた関心領域から得た蛍光シグナルを定量化したグラフである。
【図15D】図15A‐15Fは肺にヒト型結核菌をエアロゾル接種により感染させ、基質CNIR5を1時間(図15A)、18時間(図15B)、24時間(図15C)と48時間(図15D)、使用しイメージングしたマウスからの蛍光イメージを示す。背部、腹部または左右の側面図の各々のパネルにおいて左は非感染、右は感染したマウスを示す。全てのマウスに、記載した時点におけるイメージング前にCNIR5を静脈内注射した。図15Fは図15Aの上のパネルで丸印をつけた関心領域から得た蛍光シグナルを定量化したグラフである。
【図15E】図15A‐15Fは肺にヒト型結核菌をエアロゾル接種により感染させ、基質CNIR5を1時間(図15A)、18時間(図15B)、24時間(図15C)と48時間(図15D)、使用しイメージングしたマウスからの蛍光イメージを示す。背部、腹部または左右の側面図の各々のパネルにおいて左は非感染、右は感染したマウスを示す。全てのマウスに、記載した時点におけるイメージング前にCNIR5を静脈内注射した。図15Fは図15Aの上のパネルで丸印をつけた関心領域から得た蛍光シグナルを定量化したグラフである。
【図15F】図15A‐15Fは肺にヒト型結核菌をエアロゾル接種により感染させ、基質CNIR5を1時間(図15A)、18時間(図15B)、24時間(図15C)と48時間(図15D)、使用しイメージングしたマウスからの蛍光イメージを示す。背部、腹部または左右の側面図の各々のパネルにおいて左は非感染、右は感染したマウスを示す。全てのマウスに、記載した時点におけるイメージング前にCNIR5を静脈内注射した。図15Fは図15Aの上のパネルで丸印をつけた関心領域から得た蛍光シグナルを定量化したグラフである。
【図16】図16A‐16Bはヒト型結核菌をエアロゾル接種により感染させたマウス(図16A)、または非感染のマウス(図16B) のバックグラウンドを軽減させるため反射率ではなく徹照法を使用しイメージングした蛍光イメージを示す。
【図17A】図17A‐17Dは左肩に野生型C6型腫瘍、右肩にはcmy‐blaが安定に導入されたC6腫瘍を異種移植したヌードマウスのCNIR5(7nmol)におけるBla発現のイメージングを示す。図17Aは各時点の蛍光像と明視野像との重ね合わせを示す。図17Bは各々の時間における腫瘍の平均強度のプロットを示す。 図17Cは切除した腫瘍と器官のイメージを示す。図17Dは両腫瘍からの抽出物におけるBlaのCC1解析の結果を示す。
【図17B】図17A‐17Dは左肩に野生型C6型腫瘍、右肩にはcmy‐blaが安定に導入されたC6腫瘍を異種移植したヌードマウスのCNIR5(7nmol)におけるBla発現のイメージングを示す。図17Aは各時点の蛍光像と明視野像との重ね合わせを示す。図17Bは各々の時間における腫瘍の平均強度のプロットを示す。 図17Cは切除した腫瘍と器官のイメージを示す。図17Dは両腫瘍からの抽出物におけるBlaのCC1解析の結果を示す。
【図17C】図17A‐17Dは左肩に野生型C6型腫瘍、右肩にはcmy‐blaが安定に導入されたC6腫瘍を異種移植したヌードマウスのCNIR5(7nmol)におけるBla発現のイメージングを示す。図17Aは各時点の蛍光像と明視野像との重ね合わせを示す。図17Bは各々の時間における腫瘍の平均強度のプロットを示す。 図17Cは切除した腫瘍と器官のイメージを示す。図17Dは両腫瘍からの抽出物におけるBlaのCC1解析の結果を示す。
【図17D】図17A‐17Dは左肩に野生型C6型腫瘍、右肩にはcmy‐blaが安定に導入されたC6腫瘍を異種移植したヌードマウスのCNIR5(7nmol)におけるBla発現のイメージングを示す。図17Aは各時点の蛍光像と明視野像との重ね合わせを示す。図17Bは各々の時間における腫瘍の平均強度のプロットを示す。 図17Cは切除した腫瘍と器官のイメージを示す。図17Dは両腫瘍からの抽出物におけるBlaのCC1解析の結果を示す。
【図18A】図18A‐18Cは左肩に野生型C6型腫瘍、右肩にはcmy‐blaが安定に導入されたC6腫瘍を異種移植したヌードマウスのCNIR6(7nmol)におけるBla発現のイメージングを示す。図18AはCNIR6の化学構造である。図18Bは各時点の蛍光像と明視野像との重ね合わせを示す。図18Cは各々の時間における腫瘍の平均強度のプロットを示す。
【図18B】図18A‐18Cは左肩に野生型C6型腫瘍、右肩にはcmy‐blaが安定に導入されたC6腫瘍を異種移植したヌードマウスのCNIR6(7nmol)におけるBla発現のイメージングを示す。図18AはCNIR6の化学構造である。図18Bは各時点の蛍光像と明視野像との重ね合わせを示す。図18Cは各々の時間における腫瘍の平均強度のプロットを示す。
【図18C】図18A‐18Cは左肩に野生型C6型腫瘍、右肩にはcmy‐blaが安定に導入されたC6腫瘍を異種移植したヌードマウスのCNIR6(7nmol)におけるBla発現のイメージングを示す。図18AはCNIR6の化学構造である。図18Bは各時点の蛍光像と明視野像との重ね合わせを示す。図18Cは各々の時間における腫瘍の平均強度のプロットを示す。
【図19A】図19A‐19Bは4時間(図19A)と24時間(図19B)後の様々な組織でのCNIR5の7.5nmolの生体内分布を示す。
【図19B】図19A‐19Bは4時間(図19A)と24時間(図19B)後の様々な組織でのCNIR5の7.5nmolの生体内分布を示す。
【図20】図20A‐20Bは造影剤としてCNIR5を静脈注射しヒト型結核菌に感染させたマウス(図20A)と感染していないコントロールマウス(図20B)のインビトロのイメージを示す。
【図21】図21A‐21CはCNIRプローブを用いたSRELの検出の閾値を示す。図21Aは100個以下の細菌がSRELイメージングでベータラクタマーゼCNIRプローブを用い検出できる事を示す棒グラフである。図21B‐21Cはヒト型結核菌に感染している(図21B)または感染していない(図21C)生きたマウスの生体内イメージである。
【図22】図22はIRDye800系のフルオロフォアの構造を示す。
【図23】図23はセフォペラゾンと提案するCNIRプローブの構造を示す。
【図24】図24はBluco基質のバイアスの小さいライブラリーの構築方法である。
【図25】図25は3末端におけるアリル結合を含む新規プローブの構造を示す。
【図26】図26は3末端におけるカルバミン酸結合を含む新規プローブの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書中で使用される用語“a”または“an”は“一つまたはそれ以上”の意味を持つ。特許請求の範囲において“comprising(成り立っている)”という単語とともに使用される場合、“a”または“an”は一つというよりむしろ“一つまたはそれ以上”の意味を持つ。ここに使用する“もう一つ”または“他”は同一であるか異なる特許請求要素またはその構成要素の少なくとも2つ目またはそれ以上を意味する。さらに、前後の文脈により必要でない限り、単数語は複数を含み、複数語は単数を含む。
【0017】
本開示では取って代わる意味のもののみと“and/or”を意味するという定義を支持するが、本明細書中で特許請求の範囲で使用される用語“or”は別に取って代わるものが明確に示されない限り、“and/or”を意味する。または別に取って代わるものは相互排他的である(もれなく別に取って代わる意味のものとなる。)。
【0018】
本明細書中で使用される用語“contacting(接触)”はPETやSPECTイメージングに適した蛍光化合物、蛍光、発行または比色タンパク質または放射性標識した基質を病原性細菌と接触させ運ぶ適切な方法を意味するが、例えばそれはヒト型結核菌(Mbt)やウシ型結核菌(M. bovis)に限定しない。これはインビトロまたは生体外で適当な培地で1つまたはそれ以上の細菌細胞を蛍光化合物または蛍光、発光または比色タンパク質にさらすことにより行われる。細菌細胞は対象物から得られるサンプル中に存在し、そのサンプルには胸膜液と細菌が含まれる可能性のある血、唾液、尿と排泄物を含む他の体液と言ったものが含まれるがそれらのみに限定しない。生体内応用において、ここに記述されるように、蛍光化合物、蛍光、発光または比色タンパク質または放射性標識した基質のどのような既知の投与(処理)方法も適応される。
【0019】
本明細書中で使用される語句“蛍光基質”は適当な酵素の存在下で適当な波長での励起により蛍光、発光または比色シグナルを発するまたは生じる産物を産出する化合物またはタンパク質またはペプチドまたは他の生物学的活性分子を意味する。たとえば、蛍光基質は以下に限定はしないがベータラクタマーゼまたはルシフェラーゼ存在下で蛍光、発光または比色産物を産生する。
【0020】
本明細書中で使用される語句“放射性標識された基質”は陽電子[ポジトロン]放出(型)断層撮影法(PET)には陽電子を発する、または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)にはガンマ線を発する半減期の短い短寿命放射性同位体が付着またはつながれるまたはさもなくば取り入れられた化合物またはタンパク質またはペプチドまたは他の生物学的活性分子を意味する。
【0021】
本明細書中で使用される語句“ベータラクタマーゼ陽性細菌”は自然な状態でベータラクタマーゼ酵素を分泌するか、発症の間にベータラクタマーゼを発現するようになる病原性細菌を意味する。
【0022】
本明細書中で使用される用語“対象”は処理を行う全ての標的を意味する。対象は哺乳類が望ましく、ウシまたはヒトのうちのどちらかであることがさらに望ましい。
【0023】
本発明の一つの実施形態として、対象においてリアルタイムに病原性細菌を検出する方法がある。その方法は病原性細菌のベータラクタマーゼのためそこから蛍光、発光または比色基質を対象または生物学的サンプルに導入する事;基質のベータラクタマーゼ活性からの産物で生じる励起波長により対象またはサンプルをイメージングする事;そして、ベータラクタマーゼ産物で発される波長でシグナルを得る事;それにより対象において病原性細菌を検出する事から構成されるものである。
【0024】
さらに本実施形態に関して、その方法とは対象で病原性細菌の局在を同定するため発せられたシグナルの三次元再構成を作成する事から成るものである。さらにもう1つ本実施形態に関して、その方法とはコントロールにて測定されたシグナルより大きく放出されたシグナル強度に基づく病原性細菌と相関した病態生理学的症状をリアルタイムに診断する事から成るものである。その病態生理学的症状の一例は結核である。
【0025】
本発明のある特定の実施形態において蛍光基質は蛍光発生基質である。蛍光発生基質は例として、CNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR5‐QSY22、CNIR7、CNIR9、CNIR10、CNIR7‐TAT、ケージドルシフェリン、比色試薬またはその派生物が挙げられる。また、ある特定の実施形態において、イメージング波長は約540nmから約730nmまでである。加えて、放出されたシグナルは、約300nmから約900nmである。全ての実施形態においてイメージング波長は、約300nmから約900nmまでである。特定の実施形態において、比色の目安は、視覚的に色変化により人間の目で同定されるか、指定された数値を測定する器材で計測される。さらにまた、病原性細菌は、バクテロイデス属、クロストリジウム属、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス、ヘモフィルス属、レジオネラ、マイコバクテリウム、大腸菌、サルモネラ属、赤痢菌またはリステリア属の細菌種から成る。
【0026】
本発明のもう一つの実施形態において、対象で病原性細菌と相関した病態生理学的症状の診断法がある。その方法は病原性細菌のベータラクタマーゼのため対象に蛍光発生基質を処理する事;基質に対するベータラクタマーゼ活性の産物を励起波長で対象でイメージングする事;そして、産物より放出された波長でリアルタイムに蛍光、発光または比色シグナル強度を測定する事;そしてそこで測定されたコントロールシグナルより大きな蛍光、発光または比色シグナル強度は、病態生理学的状症状の診断に相関する事から成るものである。
【0027】
さらにこの実施形態に関し、その方法は微生物病原体の局在を同定するためシグナルの三次元再構成を作成する事から成る。もう一つの更なる実施形態において、その方法は病態生理学的症状を治療するために効果的な一つまたはそれ以上の治療的化合物を投与する事から成る。さらにその方法は対象に蛍光発生基質を再度投与する事;そして、治療的化合物の有効性をモニターするため対象を再度イメージングする事;そこで、診断時のシグナルと比較し放出されたシグナルの減退は、病態生理学的症状に対する治療的効果を示す事から成る。全ての実施形態において、病態生理学的症状、病原性細菌、蛍光発生基質と励起と放出波長は上記に記述した通りである。
【0028】
本発明のもう一つの実施形態において、対象で病原性細菌と相関した病態生理学的症状を診断する方法が提供される。その方法は病原性細菌のベータラクタマーゼのための比色基質と対象と言われるものから得たサンプルとを接触させる事; そしてそこで基質のベータラクタマーゼ活性の産物は肉眼で確認できる色の変化を引き起こし、それにより診断する事から成る。その基質は、細長い条片、q‐tip(綿棒)、背景または他の目に見える測定器に置かれる。色の変化は肉眼で確認可能であり、どのような器材や外部エネルギー源からの励起なしででも同定可能である。
【0029】
本発明のさらにもう一つの実施形態として、対象で病原性細菌と相関した病態生理学的症状を治療するために効果的な治療的化合物の検索のための方法がある。そしてそれは病原性細菌のために潜在的な治療的化合物を選択する事;蛍光、発光または比色検出試薬と細菌細胞とが接触する事;潜在的な治療的化合物と細菌細胞とが接触する事;そして、潜在的な治療的化合物の存在下と非存在下で細菌細胞より放出される蛍光、発光または比色シグナルを測定する事;そしてそこで、治療的化合物非存在下でのシグナルと比較し治療的化合物の存在下でのシグナル減退から病原性細菌に対する化合物の治療的な効果を示す事から成る。本実施形態において、病態生理学的症状と病原性細菌は上記に記述される通りである。
【0030】
本実施形態の一態様において、蛍光、発光または比色検出試薬から成る発現ベクターで野生型細菌を形質転換する事から成る細菌と蛍光、発光または比色検出試薬とが接触するステップで病原性細菌はリコンビナント細菌である。この態様では、蛍光、発光、比色検出試薬は、蛍光タンパク質から成る。蛍光タンパク質の例として、mPlum、mKeima、McherryまたはtdTomatoが挙げられる。また本態様において、リコンビナント細菌細胞と、ベータガラクトシダーゼ酵素存在下で蛍光シグナルを発するのに効果的なフルオロフォアとが接触する事から成るさらなる方法において発現ベクターはベータガラクトシダーゼ遺伝子から成る。フルオロフォアの例としてはC2FDG、C12RGまたはDDAOGが挙げられる。さらに、この態様では、リコンビナント細菌細胞とD‐ルシフェリンとが接触する事から成るさらなる方法において発現ベクターはルシフェラーゼ遺伝子から成る。ルシフェラーゼの例としては、ホタルルシフェラーゼ、コメツキムシ赤またはrLuc8がある。
【0031】
本実施形態のもう一つの態様では、蛍光検出試薬は細菌のベータラクタマーゼの蛍光発生基質である。1つの例とし、病原性細菌は蛍光発生基質CNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR5‐QSY22、CNIR7、CNIR9、CNIR10、CNIR‐TAT、ケージドルシフェリン、比色試薬またはその誘導体と生体内で接触する。もう一つの例として、病原性細菌は蛍光発生基質CC1、CC2、CHPQ、CR2、CNIR1またはCNIR6でインビトロで接触する。
【0032】
本発明のさらにもう一つの実施形態において、病原性細菌のイメージング法が提供され、病原性細菌とそのベータラクタマーゼ酵素の蛍光発生基質とを接触させる事;基質に対するベータラクタマーゼ活性による産物により生じた励起波長を病原性細菌に移動させる事;産生物から発せられる蛍光、発光または比色シグナルを得る事;そして、病原性細菌のイメージングにより検出したシグナルの三次元画像再構成を作成する事から成る。本実施形態において上記に記述するように、病原性細菌は生体内またはインビトロで蛍光発生基質または発光基質と接触させる。また、本実施形態のあらゆる態様において病原性細菌と励起と放出波長は上記に記述される通りである。
【0033】
本発明のさらにもう一つの実施形態において、細菌のベータラクタマーゼの蛍光発生基質CNIR‐7またはCNIR7‐TATが提供される。
【0034】
本発明のさらにもう一つの実施形態において、対象において病原性細菌をリアルタイムで検出するための方法が提供される。その方法は対象にガンマ放射線と関連した同位元素により放射性標識した基質を誘導する事;その基質は病原性細菌に対しベータラクタマーゼまたはその他の酵素またはタンパク質特異的なものであり;その対象物を活性状態にある間、放射性標識された基質からのガンマ放射線によりイメージングする事;そして対象におけるガンマ線から得たシグナル強度に基づく放射性標識の集積により三次元画像再構成を作成する事;それにより病原性細菌を検出する事から成る。
【0035】
さらに本実施形態において、その方法は病原性細菌の検出に基づきそれと相関した病態生理学的症状をリアルタイムに診断する事から成る。もう一つさらに実施形態において、その方法は病態生理学的症状の治療に効果的な一つまたはそれ以上の治療的化合物を投与する事から成る。さらにもう一つのさらなる実施形態において、その方法は対象に放射性標識した基質を再投与する事;そして、治療的化合物の有効性をモニターするため対象を再度イメージングする事;そこでの診断時のガンマ放射と比較しガンマ放射の減少で病態生理学的症状に対する治療効果を示す事から成る。これらの更なる実施形態において病態生理学的症状は結核である。
【0036】
これら全ての実施形態の1つの態様において、標識用放射性同位元素は陽電子を発している同位元素であり、イメージングは陽電子[ポジトロン]放出(型)断層撮影法(PET)により行われる場合がある。もう一つの態様では、標識用放射性同位元素は直接ガンマ線を発している同位元素であり、イメージングは単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)を用い行われる場合がある。これら全ての実施形態の態様において、他の酵素またはタンパク質がベータラクタマーゼ様酵素またはペニシリン結合タンパク質である場合を含む。また、全ての実施形態において細菌種は上記記述のある通りである。
【0037】
本発明のさらにもう一つの実施形態において、PETまたはSPECTイメージングに適した細菌のベータラクタマーゼの放射性標識した基質を提供する。この実施形態において、標識用放射性同位元素はフッ素‐18、窒素‐13、酸素‐18、炭素‐11、テクネチウム‐99m、ヨウ素‐123またはインジウム‐111である。
【0038】
細菌性疾患や細菌感染の光学イメージングのためのシステムおよび方法をここに提供する。これらのシステムと方法は罹患中の細菌の定量化と局在のため、そしてリアルタイムの抗菌性薬剤活性の解析において非常に高感度な手段である。これらのシステムは単細胞レベルでの細菌性病原菌の検出に効果的であると考えられる。これらの生体内イメージング(IVI)システムと方法は患者に直接臨床応用可能である。
【0039】
ここで述べるシステムと方法はベータラクタマーゼ活性をもともと有しているか獲得する細菌種に適用可能である。下記に限定しないが、ベータラクタマーゼ陽性細菌種の例として、バクテロイデス属、クロストリジウム属、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス、レジオネラ、マイコバクテリウム、ヘモフィルス属、大腸菌、サルモネラ属、赤痢菌またはリステリア属が挙げられる。特にヒト型結核菌とウシ型結核菌といったマイコバクテリウムの診断と局在と定量を定する。ここに記述されるシステムと方法の利点はその検出において細菌株の操作を要しないということにあるが、検出の感度を改善するためベータラクタマーゼの発現、活性や分泌を改良する方法が検討される。そのように、任意の関心細菌種または株にベータラクタマーゼを誘導することにより高感度な検出をするのに十分なレベルでベータラクタマーゼ発現と分泌を可能とする任意の適用可能な方法によりベータラクタマーゼ細菌種が検出されることが考えられる。これは、哺乳類への適当な送達媒体(輸送媒介物)(delivery vehicles)であるファージの使用を含む既知の標準的な送達方法を用い、インビトロまたは生体内で達成される。
【0040】
本発明の生体内イメージングシステムはベータラクタマーゼ活性の基質として働く化合物またはレポーターにより放出された蛍光、発光または比色シグナルを検出するものである。イメージングシステムは本技術分野で既によく知られており、市販されている。たとえば、連続的レポーター生物酵素蛍光(SREF)システム、連続的レポーター酵素発光(SREL)システムまたは生物発光システムは、ベータラクタマーゼ活性の産物を検出するのに用いられる。さらにまた、獲得したシグナルは細菌性病原菌の局在を検出するのに有用である三次元描写を作成するために使用される。これらのシステムにおいて、イメージング技術の一般的な技術のうちの1つは、使用される化合物やレポーターに基づく励起波長と放出波長とを検出するシグナルのタイプがかなり選択可能であるということである。例として励起シグナルが約540nmから約730nmまでの範囲内で放出シグナルが約650nmから約800nmの範囲内にある。また、本発明の生体内イメージングシステムで例えば放射線によって生じるような他のシグナルや、または適当な基質または他の検出試薬によるベータラクタマーゼ活性により生じる検出可能で読み込み可能な任意のシグナルを検出する事が考えられる。
【0041】
本発明のベータラクタマーゼ基質は、化学基質または量子ドット基質であるである。たとえば、SRELまたはSREFを用いたイメージングのための基質は、フルオロフォア、ケージドルシフェリンまたは他の蛍光、発光または比色化合物、必要とされる応用のため最も良いシグナルを与えるレポーターまたは他の検出試薬である。基質はどのような組織にも良く浸透しノイズに比べ高いシグナルをもたらすことを可能にするレベルで、非常に低い毒性かまたは全く毒性を持たない。シグナルはたとえば約650nmから約800nmまでの近赤外線、赤外線または赤光シグナルである。
【0042】
たとえば、基質はインビトロまたは生体内でベータラクタマーゼによる開裂でシグナルを出す蛍光発生基質または量子ドット基質である。蛍光発生基質は、例えばCy5、Cy5.5またはCy7といったインドシアニン染料のようなFRETドナーとQSY21、QSY21二硫酸塩、QSY22またはQSY22二硫酸塩といった消光基のようなFRETクエンチャー(消光剤)から成る。そのうえ、蛍光発生基質は細胞透過性を改善するためアセチル化D‐グルコサミンから構成され、そして/または、限定されないがTATのような小さなペプチドに結合する。そのうえ、基質はそのシグナル強度、組織浸透能、特異性または全ての組織内で良く分布する能力を改善させるために修正される。さらにまた、これらの基質との組み合わせた組織、細胞または他の化合物のための他の標識方法は細菌性病原菌の感度と検出を改善するために有用であると考えられる。
【0043】
特に、蛍光発生基質はインビトロで細菌の細胞培養、または培養した1個の細菌細胞でベータラクタマーゼ活性を検出する。化学蛍光発生基質は例として、CC1、CC2、CHPQ、CR2、CNIR1またはCNIR6が挙げられる。またあるいは、生体内イメージング応用のための蛍光発生基質はCNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR5‐QSY22、CNIR7、CNIR9、CNIR10あるいはCNIR‐TATである。これら蛍光発生基質は連続的レポーター酵素蛍光(SREF)システムに有用である。ベータラクタマーゼ基質はインビトロまたは生体内で1個の細菌細胞の検出に効果的であると考えられる。
【0044】
ベータラクタマーゼの生体内検出のための蛍光発生基質のもう一つの例としてBluco、Bluco2またはBluco3のようなケージドルシフェリンが挙げられるが、これはBluco、Bluco2またはBluco3に限定されない。この基質はホタルルシフェラーゼ(Fluc)の基質であるD‐ルシフェリンとベータラクタマーゼの基質であるベータラクタムでから構成される。酵素によるベータラクタムの開裂はD‐ルシフェリンを放出し、それはFlucによる酸化で発光する。ケージドルシフェリンは連続的レポーター酵素発光(SREL)システムまたは他の生物発光イメージングシステムに有用である。
【0045】
蛍光タンパク質もまたインビトロと生体内で、細菌性病原菌の検出に有用である。mPlum、mKeima、McherryとtdTomatoのような蛍光タンパク質(FP)を発現ベクターにクローニングする。例えばヒト型結核菌などの関心細菌性病原菌をFPコンストラクトで形質転換する。細菌による蛍光タンパク質の発現はイメージングで検出可能なシグナルとして結果を得る。他のイメージングシステムは例えばベータガラクトシダーゼのような他の酵素を分泌するよう形質転換したリコンビナント(組み換え型)細菌を利用し、例えばC2FDG、C12RGまたはDDAOGのフルオロフォア存在下でそれは蛍光シグナルを生じる。さらに他のイメージングシステムではD‐ルシフェリン存在下でシグナルを出すコメツキムシ赤またはrLuc8のような他のルシフェラーゼを発現する他のリコンビナントシステムを利用する。
【0046】
またあるいは、 陽電子[ポジトロン]放出(型)断層撮影法 (PET)または 単光子放出コンピュータ断層撮影 (SPECT)イメージングシステムが用いられる。プローブはここに記述される病原性細菌のベータラクタマーゼ、ベータラクタマーゼ様酵素または他の類似酵素またはタンパク質のための基質から成る。PETとSPECTのイメージング技術は、本技術分野において良く知られている。PETイメージングのため、基質プローブを、陽電子を発する放射性同位元素(例えばフッ素‐18、酸素‐18、炭素‐11または窒素‐13だがこれらに限定しない)で標識する。SPECTイメージングのため、 基質プローブを、ガンマ線を発する放射性同位元素(例えばテクネチウム‐99m、ヨウ素‐123またはインジウム‐111だがこれらに限定しない)で標識する。PETとSPECTのプローブは、標準的な既知の化学的、放射化学的合成技術を用い合成、標識される。
【0047】
ベータラクタマーゼ酵素ポケットをモデル化するため、プローブの設計と特異性を例えばceferoperazoneのような小分子を用い最大にされることが考えられる。このように、このハイスループット小分子システムを用い、診断目的のために最も感度が高く、既存のイメージング装置で検出できる深部組織から透過し、他の細菌種との交差反応を防ぐのに有効なシグナルを生じさせるのに適当である基質が設計される。また、そのような高感度で特異的な基質プローブは、一個のバクテリアレベルで効果的で、100‐1000倍でそこから得られるシグナル量を増加させる事が可能である。また、ヒト型結核菌のベータラクタマーゼ以外のベータラクタマーゼ様酵素とペニシリン結合タンパク質がプローブの特異性を改善するよう設計することが可能であると考えられる。
【0048】
ここに記述されるシステムと方法は、リアルタイムに細菌性病原菌を検出し、局在を明かにし、定量化し、その生存能を同定するのに効果的である。イメージングはインビトロでは細胞培養または一つの培養細胞において、生体外ではSRELまたはSREFを用い臨床サンプルまたは標本において、生体内では開示されたいなかなるイメージングシステムを用い対象物において行われる。インビトロで用いるサンプルには、生検、胸膜液と細菌性病原菌を持つ血液、唾液、尿と排泄物を含む他の体液が含まれるがそれらのみに制限されない。このように、ここに提供されるシステムと方法は、細菌性病原菌に相関した病態生理学的症状(例えば病気や感染)を診断するのに効果的である。一個の細菌を含む非常に低いレベルでの検出が可能であるため、現在の診断法より感染の初期段階で迅速な診断が可能である。ここに記述するシステムと方法は、細菌感染の危険にさらされる医療従事者の検査と定期的なスクリーニングに利用可能である。加えて、これらのシステムと方法は器具、用具、施設、調理台、衣類と人々の汚染のスクリーニングと検出に使用可能である。薬物耐性結核(XDR‐TB)に従事するスタッフの感染が医療従事者の40%にも及ぶ広範囲に存在し、感染の主要領域が鼻腔と洗い過ぎに起因する手のひびであるため、本発明は保健所と医療従事者における細菌性病原菌のスクリーニング方法として有効である。これらのシステムと方法はベータラクタマーゼ検出の農業や動物学分野への応用において必要に応じ使用可能である。
【0049】
また、シグナル強度と細菌量とは現在のイメージング技術の限度内において十分な相関関係にあるといえる。よって、化合物、薬、医薬品組成物または他の治療剤の効能をリアルタイムでモニターすることができる。このようにここに記述するシステムと方法は抗生物質の検索においてハイスループットシステムを提供する。ベータラクタマーゼ検出には細菌の生存能を要するため、一つまたはそれ以上の治療的試薬の存在下における酵素レベルは抗菌作用の目安となる。特定の細菌に対する適切な基質の使用はベータラクタマーゼレベルの変化の迅速な測定と治療剤の効果のほぼ即時の判定を可能にする。スループットシステムはマイクロプレートを用い一度に一サンプルから数千までの解析に有用である。
【0050】
以下の実施例は本発明の様々な実施形態を例示する目的で挙げ、どのような方法においても本発明を制限することを意味しない。
【0051】
実施例1
培養におけるヒト型結核菌のBla検出
対数増殖初期の全細胞と全細胞溶解液とを用いたMtbのBlaの検出において潜在的な蛍光化合物とニトロセフィン(Calbiochem社)、CENTA Bla基質(Calbiochem社) Fluorocillin Green (Molecular Probes社)、CCF2‐AM (Invitrogen社)そしてCCF4‐AM (Invitrogen社)の既知の化合物とを比較する。有意なシグナルを得るべく最小細菌数または溶解液の量を同定するためにこれらのサンプルの全てにおいて希釈倍率を分析する。無傷細胞(intact cells)での分析の前後、そして溶解物を得るための溶解前に力価の解析を実際使用したCFU数を同定するため行う。感度と再現性は96穴プレートを用い37℃で15から120分インキュベートした細菌培養液を4回繰り返し(quadruplicate)分光光度法で測定し評価する。まず、化合物はメーカーにより推奨されている濃度で使用し、CNIR5は2nMで生体内イメージングに使用する。最も感度が良く再現性の高い化合物の様々な濃度を最大限のシグナルを得るのに必要な最低濃度を同定すべく培養液より評価する。これらの実験のコントロールにはポジティブコントロールとしてマイコバクテリウムスメグマチスと市販のBla(Sigma社)そしてネガティブコントロールとしてBlaを欠くMtb blaC変異体(1)(ロチェスター大学のM. Pavelka博士より供与された PM638)を用いた。より広範囲のイメージング装置が直ぐに利用可能であるBL2において、場合によってはBCGがIVIに使用されるため、BCGによるBlaの産生もまた評価する。
【0052】
blaC変異体と野生型の結核菌における組み換え型Blaコンストラクトの評価
2つのマルチコピーと2つのシングルコピーのベクターをMtbのBla発現に用いる。マルチコピーベクターは遺伝子が適度なレベルで発現することが示されたhsp60プロモーター(Phsp60)をpMV262から移動させたpJDC89に基づくものである。本ベクターはまたハイグロマイシン耐性で、Phsp60の下流にポリリンカーを持ち、大腸菌の複製開始点とマイコバクテリア(抗酸菌)pAL5000の複製開始点を持つ。本ベクターからの発現を増加させるため、Phsp60をPhsp60の50から100倍高い遺伝子を発現するL5プロモーター(PL5)と共に配置する。両プロモーターは相対的に構成され、ほとんどの生体内の状況下において発現する必要がある。言及しない限り全てのクローニングは目的領域のPCRに用いるプライマー上の15塩基対の最小相同性領域を用いフラグメントを任意の直鎖化したコンストラクトへ直接クローニングを行う事ができるIn‐Fusion 2.0 PCRクローニングシステム(Clontech社)を用い行う。
【0053】
構築した2つのベクターはccdB遺伝子と各プロモーターの下流の左右両側のGateway組み替え配列を含むPCR断片のクローニングによりGateway(Invitrogen社)ドナーベクターで修飾する。本領域を持つベクターは本領域を維持することが可能なccdB耐性株において維持されなくてはならない。ところが他の大腸菌株では本領域は致死となりクローニングにおいて非組み替えベクターの維持を妨げる事に使用される。これらのプロモーターと Gatewayの関連領域をpYUB412にクローニングする。pYUB412はハイグロマイシン耐性で、大腸菌複製開始点とL5ファージゲノム組み換え吸着部位(attP)とL5リコンビナーゼを持つためマイコバクテリアの染色体の細菌ゲノム組み換え付着部位(attB)にインテグレートし、そしてシングルコピーでマイコバクテリアで安定に維持される。 Mtb BlaはGateway BPリアクション(Invitrogen社)によりGateway組み替え配列を持つプライマーを用いたPCRによりこれらのベクターにクローニングされる。これらのベクターは文献2に記述されるようにエレクトロポレーションによりMtbとblaC変異体に形質転換される。結果として生じるMtb株を内在性Blaの解析について記述した様にインビトロ分析を用いた検出に有用かどうか評価し、ネガティブコントロールとしてのblaC変異体のシグナル強度および適当なベクター骨格のみを持つ野生型のシグナル強度と比較する。
【0054】
CNIR5は高い膜浸透性を持つが、シグナル強度はレポーターで細菌単独と比較すると宿主細胞の細胞膜はより広い表面積を持つため化合物へのアクセスが改善され、Blaターゲティングにより増加する。エンドソームのリサイクルにおいて存在するいくつかのマーカーと同様にいくつかの脂質とレセプターのリサイクル経路と相互作用し、マイコバクテリアのファゴソームが静止していないため、適切に目的タンパク質がマイコバクテリアのファゴソームを通してホスト細胞の原形質膜にアクセスする必要がある。Mtb Blaはアミノ酸末端に位置するTATAシグナルを介し細菌から分泌され、カルボキシ末端タグを作り本タンパク質を理想的に原形質膜に移動させる。マクロファージ表面においてよく発現するCD14などのグリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカータンパク質はカルボキシ末端シグナル配列を通し原形質膜に局在する。
【0055】
BlaとGPIの融合タンパク質 (Bla::GPI) はCD14からのカルボキシ末端24アミノ酸GPIアンカータンパク質シグナル配列とMtbからのBlaにより構築する。この融合タンパク質はそれからMtbの4つ全ての発現システムにGatewayシステムを用い組み込まれ、野生型MtbおよびblaC変異体両方により形質転換を行う。結果的に生じる株はBla::GPIとネガティブコントロールとしてのblaC変異体ともともとのBlaを発現し、それらのBlaレベルを感染したマクロファージの表面で細胞内分析により評価する。両方の感染したマクロファージと0.1%トライトンで溶解したそれらの溶解物を解析する。
【0056】
加水分解前後の基質の蛍光スペクトル
励起と発光スペクトルを1μM濃度でPBS溶液1mlに収集する。精製したBlaを10nM添加したこの溶解液に励起と発光スペクトルを更なる変化がなくなるまで再度収集する。Bla加水分解後のプローブの蛍光シグナルの増加を発光のピークの波長である690nmでの発光強度を比較する事により推定する。
【0057】
Bla基質としてのプローブのインビトロ酵素反応速度論
690nm以下における蛍光強度の増加率(v)はプローブの加水分解率の基準とし用いられる。その比率(v)はMtb Blaの1nM濃度において5、10、20、50、80μMの異なる濃度で測定する。基質(1/v)対基質濃度(1/プローブ)の加水分解率の二重逆数プロットはBla加水分解のためのプローブのkcat とKm値の推定に用いる。
【0058】
基質の生物学的安定性
生理的状況下における基質の自発的な加水分解率も690nm以下の蛍光強度での増加率から推定することが可能である。このように水性緩衝液(バッファー)と血清における基質の安定性は、室温で1時間インキュベーションの後、蛍光定量によりすぐに評価可能である。
【0059】
培養細胞におけるBla発現のイメージング
基質はトランスフェクトしたBla(cmv‐bla)と野生型JurkatとC6グリオーマ細胞株でテストし、公開されているイメージング条件(3)を用い蛍光顕微鏡によりイメージングする。
【0060】
mRNA発現レベルとNIRFシグナル間の線形相関
細胞密度5x105/mLで野生型とcmv‐bla Jurkat細胞を様々な比率(cmv‐bla細胞が10%、20%、40%、60%と80%)で混合する。各々の混合細胞にて基質5μMを30分間インキュベーションした後、各々のサンプルを冷えたPBSで洗浄し、遠心分離し溶解する。蛍光測定は、最終段階の上澄みを用い行う。mRNAレベルとBlaの酵素はノーザンブロット分析により定量化する。mRNAレベル対Cy5.5蛍光強度のプロットにより両者の間に線形相関が存在するかどうかを明らかにする。
【0061】
培地における結核ベータラクタマーゼ局在と制御
Blaの転写はO.D.値が0.05の時に接種し、静止期(O.D. = 2)まで増加させたMtb成長曲線を通してqRT‐PCRにより解析する。転写レベルを毎日同じ培養の一定分量からRNAを抽出し評価し、全ての培養実験は3回行う(triplicate)。RNA抽出(4)とSYBRグリーンを用いたqRT‐PCR(5)は前述の通り行う。RNAレベルはその成長曲線において1または2点、鍵となるポイントでノーザンブロットにより確認し、全ての測定は16SrRNAに対しノーマライズを行う。全細菌と全細胞の溶解物を用いて行う同じ状況下において、ニトロセフィンによるBla活性の測定結果と得られたデータとを比較する。
【0062】
blaCを誘動するベータラクタム能の解析を行う。成長曲線を通し同様にしてベータラクタムの存在下、非存在下においてRNA転写の解析を行う。50、250と500μg/mlの、Bla陰性Mtbを殺滅するカルベニシリンは対数増殖期初期である2時間までMtbと共に同時にインキュベートし、blaC転写レベルを全ての細胞と全ての細胞溶解物でBla活性と同様に同定する。Blaのレベルは市販のBla (Sigma社) を使い作成した標準曲線を用い定量し、同様に増加するMtb blaC変異体はBla活性のためのネガティブコントロールとして加える。
【0063】
マクロファージにおけるBla検出
基本的に、J774A.1細胞を96穴平底プレートに1x104細胞/ウェルでまき、37℃で一晩インキュベートする。対数増殖期初期まで増加したMtbの単一細胞懸濁液に1細胞あたり1000から0.001の細菌数で多様に感染させ加え、30分間37°Cでインキュベートする。その後ウェルをPBSと200μg/mlのアミカシンを添加した新しい培養液で2回洗浄し、細胞外の細菌を殺滅するため37℃で2時間インキュベートする。ウェルはそれからPBSで洗浄し、分光測光法によるシグナル測定を行う前に、60から180分間、テスト化合物を様々な濃度で加えた新しい培養液でさらにインキュベートする。duplicateウェルを0.1%のトライトンX‐100で溶解し、宿主細胞透過性の役割を評価するため化合物を加え測定する。
【0064】
すべての時点において、細胞と関連したCFU数を測定するために4つの未処置のウェルを 用いる。シグナルの局在は、最も効果的である事を明確に示すそれらの化合物を同定するため蛍光顕微鏡解析により確認する。顕微鏡解析は同様の方法で行われるが、シグナルを検索し、ポジティブシグナルを持つ細菌の割合を同定し、局所シグナル強度を評価するため8ウェルチャンバースライドを用いる。
【0065】
生物学的分析と薬物動態
麻酔したマウスを、接種後(各時点で3匹のマウスを使用)異なる時間間隔(30分、240分、12時間、24時間、48時間と72時間)で、頚椎脱臼によりsacrificeした。血液サンプルを心穿刺により収集し、組織(腫瘍、心臓、腎臓、肝臓、膀胱、胃、脳、膵臓、小腸、大腸、肺と脾臓)は近赤外蛍光を蛍光光度計で測定するため素早く収集する。データは、組織のグラムあたりの蛍光単位(FU)[FU/(g組織)]として表す。
【0066】
ベータラクタマーゼ活性解析
異種移植腫瘍におけるBlaの酵素レベルは、以下のプロトコルを用い測定する。:冷えたPBSで2回、収集した腫瘍を洗浄する。; Promega社製の溶解バッファーを(4mL/g組織)添加し、組織溶液をホモジナイズする。;ホモジェネートを3回、凍結融解し、遠心分離により上澄みを収集する。;蛍光基質CC1を用いBla活性を解析する。cmv‐bla腫瘍のBlaのmRNAは、Qiagen社のプロトコルに従いRNAを抽出し、RT‐PCR解析を行い確認する。これらの測定より観察されたcmv‐blaをトランスフェクトした腫瘍の近赤外シグナルがBla活性と相関しているかどうかを検証する。
【0067】
生体内のBla RNA発現の同定
生体内で発現するBla RNAは、結核のための標準的なRNA抽出プロトコル(6)により抽出し、常時発現のコントロールrRNA遺伝子と相対比較しqRT‐PCR解析を行う。これらの測定は、観察したIVIシグナルレベルと比較し全ての組織におけるBlaの発現レベルを評価する手段を提供するものである。抽出したRNAレベルはRT‐PCRにより検出可能なレベルより低く、それにも関わらずCFUが組織で定量化可能な場合、高い再現性(高忠実度)で線形(リニアな)様式でDNAを増幅することが可能なphi29ポリメラーゼ(Fidelity Systems社)を用いcDNAをRT‐PCR前に増幅し、増幅後のテンプレートのレベルの正確な定量を可能にする。
【0068】
Bla株の生体内における発現、安定性と病原性(病毒性)
4匹のBalb/cマウスの8グループを100‐1000cfu/肺で、エアロゾルにより感染させる。細菌株はマイナス80℃ストックから解凍し、単一細胞懸濁液にするため27Gの注射器針に2度通過させエアロゾル感染させるのに用いた。エアロゾル感染は、飛沫核を直接肺胞腔に供給するように設計されているウィスコンシン大学で作成された『マディソン』チャンバーを用い行う(7‐10)。Mtbとの感染は、病原性結核を取り扱うために設計され認定されたABSL3施設で行う。感染したマウスは検死解剖まで比較医学センターのABSL3封じ込め施設に収容する。各々の細菌株(blaCとWT)に用いる1グループ4匹のマウスは肺と脾臓でblaCのCFUとRNAレベルとBla活性を同定するため全ての時点(1、14、28と72日)において検死解剖する。RNA転写レベルとBla活性にはここに記述するようにニトロセフィンを用いる。
【0069】
安定性と生体内組み換え型Bla発現の病原性に対する影響をIVIすることに見込みのある2つのリコンビナント株で解析する。前述したように4匹のBalb/cマウスの12のグループを、100‐1000cfu/肺で、エアロゾル感染させる。各々の細菌株(野生型、コンストラクト1とコンストラクト2)の4匹のマウスの1つのグループは、CFUを同定し、病理組織診断を行い、肺と脾臓で適当なコンストラクトの存在とBla活性を同定するため、すべての時点(1、14、28と72日)において検死解剖を行う。コンストラクトを持つこととなる細菌集団のパーセンテージは、CFU力価検索用プレート由来の少なくとも20の独立したコロニーを用たBla分析により同定する。残りのBlaの全体的なレベルを評価するためBla活性解析をホモジナイズした組織で行う。ここに記述するように、Bla活性はニトロセフィンを使い評価する。
【0070】
実施例2
細胞移植モデルを用いた生体顕微鏡イメージング
万能供血者Tr、CD8+ T細胞、単球、マクロファージと樹枝細胞をBCGに感染した同系(同種)のマウスに移植し、時間とともにこれら細胞の分布を生体内生物発光イメージング(BLI)とイメージ誘導生体顕微鏡検査(IVM)でイメージングする。ベータアクチンプロモーターによりルシフェラーゼを産生するトランスジェニックマウスの系統は、非トランスジェニック動物で発光する組織と細胞のソースを提供する(11‐12)。このマウス系統(L2G85)はホタルルシフェラーゼ(発光酵素)(Fluc)からの明るい生物発光を示すがGFP蛍光は弱いため、それはリンパ球で強いGFP発現と蛍光を示している別々の系統に交雑させる。そして、それら交雑の規模が拡大し、再分布されるか、シグナルが消失したとき、レシピエントにおけるBLIにより万能供血者幹細胞と他の細胞の空間的分布を追跡する事が可能となり、その後、検出した細胞はGFPを利用したIVMにより視覚化される事が可能となる。
【0071】
L2G85マウスはFBVを遺伝的背景として作成される。FVB/NJ (Jackson Labs)野生型マウスはL2G85からの細胞のレシピエントとして使用され、移植細胞の拒否反応を防ぐ。計80匹のFVB/NJマウスを20μlの生理食塩水でBCGの104CFUを鼻腔内感染させる。4匹のマウスは感染後の肺における最初のCFUを同定するため24時間でsacrificeする。感染後14日で病理組織診断し、肺と脾臓でCFUを同定するためさらに4匹のマウスをsacrificeする。14日後においても残りの72匹のマウスは4つのグループに分けられ L2G85 Tr、CD8 T細胞、単球、マクロファージ、樹枝細胞または細胞を含まないもの(コントロール)を尾静脈注射により導入する。28、42および56日においてD‐ルシフェリンの存在下、(12)で記述のあるように、4匹のマウス(コントロールを含む)の6つのグループをイメージングする。
【0072】
明らかな病変のより詳細な検査を行うため光ファイバー共焦点蛍光顕微鏡(Cell‐viZio, Mauna Kea)を用いた生体顕微鏡検査(IVM)によりイメージングする。IVMは何万もの光ファイバーからなる柔軟なミニプローブを使用する。全身麻酔がなされ、その領域にすぐに治癒する小切開を介してプローブを導入し、手術後動物をsacrificeする必要を防ぎ、細胞レベルでの可視化を許すものである。
【0073】
コントロールマウスは細胞が導入されたマウスでシグナルを観察した肺とその他の器官でCFUを同定するためイメージングした後、sacrificeする。光子放出の起源をより詳細に同定するため背部、腹部そして左右の側面のイメージを得る。 組織を解剖し、新鮮な組織をD‐ルシフェリンとともにインキュベートし、そして組織を覆う事なくイメージングする事により、更なる確証を一部の動物で得ることが可能である。 全ての感染組織で GFPを発現する移植細胞を可視化し、蛍光顕微鏡を使い詳細な病理組織診断を行い、組織における細菌と細胞とを同定するためヘマトキシリンとエオシンと抗酸菌染色を行う。
【0074】
個々の細菌の生体内イメージングと肉芽腫形成における免疫細胞
移植モデルを用い生きたマウスにおいて細菌と宿主細胞の両方を視覚化するのに用いるため肉芽腫形成の可視化を最も可能なものとする2つのタイプの移植細胞を選択する。病変がちょうど確認できるようになる時点、多く形成される時点そしてシグナルが移植細胞で観察できるようになる一番最後の時点の計3つの時点を選択する。合計32匹のFVB/NJマウスに20μlの生理食塩水でIVIレポーターの一つであるBCG(例えばtdTomato)を発現している細菌を104CFUで鼻腔内感染させる。更に4匹のコントロールマウスのグループは感染させない。4匹のマウスは感染後の肺における最初のCFUを同定するため24時間でsacrificeする。感染14日後、さらに4匹の実験マウスを、病理組織診断し、肺と脾臓でのCFUを同定するためsacrificeする。また14日目には、残りの24匹のマウスを4のグループに分け、それらの12匹に尾静脈注射により肉芽腫形成を誘導する可視化が可能なL2G85細胞を接種し、残りの12匹を細胞を接種しないコントロールとする。4匹のマウス(L2G85細胞を持つもの対細胞を持たないもの)の2つのグループを3つの時点においてD‐ルシフェリンの存在下で(12)に記述がある通りイメージングする。
【0075】
明らかな病変のより詳細な検査を行うため光ファイバー共焦点蛍光顕微鏡(Cell‐viZio, Mauna Kea)を用いた生体顕微鏡検査(IVM)によりイメージングする。全身麻酔を行い、その領域に小切開を介してプローブを導入する。コントロールマウスは細胞が導入されたマウスでシグナルを観察した肺とその他の器官でCFUを同定するためイメージングした後、sacrificeする。光子放出の起源をより詳細に同定するため背部、腹部そして左右の側面のイメージを得る。組織を解剖し、新鮮な組織をD‐ルシフェリンとともにインキュベートし、そして組織を覆う事なくイメージングする事により、更なる確証を一部の動物で得ることが可能である。解剖した組織において移植細胞と細菌のレポーターシグナルを検出可能なフィルターセットを使用する。細菌レポーターシグナルの場合と同様に、全ての感染組織でGFPを発現する移植細胞を可視化し、蛍光顕微鏡を使い詳細な組病理組織診断を行い、組織における細菌と細胞とを同定するためヘマトキシリンとエオシンと抗酸菌染色を行う。
【0076】
イメージング解析
収集した画像は、Xenogen社から市販されているソフトウェア(Living Image)を使用しPCコンピュータで処理する。関心領域(ROI)において全身蛍光イメージ上に腫瘍が上書きされる。IVISイメージングシステムの鍵となる特徴のうちの1つはスペクトル放射輝度のソースを提供している米国標準技術局(NIST)に対し調整がなされていることである。この較正は光学と開口部(f/stop)を通し計算上失われる事を考慮に入れ、イメージング時間とビニングを計算することにより対象物表面上の放射輝度のCCDカメラのカウンタの交換を提供する。結果として得られるイメージは、このように表面放射輝度( 光子/秒/cm2/sr)の物理単位で示される。感染したマウス、コントロールマウスと正常組織のROI(光子/秒の単位)から合成したシグナルを異なるマウスと比較する(感染したもの:コントロール:正常組織の比率)。統計解析は、GraphPad Prism 3.0(GraphPad Software、サンディエゴ、CA)を用い行う。有意水準は、P<0.05。
【0077】
実施例3
ベータラクタマーゼ検出のための蛍光基質
CC1、CC2、CHPQとCR2
蛍光化合物CC1、CC2、CHPQとCR2はインビトロで1つの培養細胞のBla活性検出に効果的である。これらのプローブはBlaによる加水分解前は蛍光性ではなく、Bla反応(図1A‐1B)の後、蛍光性となる。異なる蛍光放射の範囲はBla検出の必要に応じ選択することができる。:CC1とCC2による青色から、CHPQによる緑色、CR2による赤色まで)。これら新規の蛍光基質はCCF2より小さく、作成が容易であり、使用し易く、Bla活性の検出において高感度であり、多様な生物学的サンプルにおいてBla活性の検出を容易なものにする。
【0078】
ラクタムの3'末端の炭素と脱離基の間へのオレフィン基の挿入はBlaによる加水分解の反応速度論的効率を改善する助けとなる。たとえば、CC1のkcat値は174s‐1であるが、挿入された二重結合を持たないその類似物のkcat値はたったの35s‐1となる。触媒効率において約5倍の増加が認められる。このようなデザインが全ての動物の蛍光イメージングに使用する近赤外基質を含むBlaの多種多様な蛍光発生基質を合成する一般的な戦略として用いる事が可能であると考えられる。
【0079】
また、プローブが新規の消光剤QC‐1と近赤外フルオロフォアIRDye 800CWにより改善される可能性があると考えられる。さらに、IRDyeに基づくプローブは、スルホン酸基の追加により改善される可能性がある。
【0080】
CNIR1、CNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR 5、CNIR9とCNIR10
全身蛍光イメージングにより生きた動物のBla発現をイメージングする際、赤外線/近赤外の明りはより良い組織侵入性を持ち、可視光より少ない光散乱を持ち、ヘモグロビンにもさほど吸収されない(13)ため、近赤外/赤外線の蛍光発生基質は有益である。化合物CNIR1、CNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR9とCNIR10は、培養細胞のBla発現イメージングのための一連の近赤外蛍光基質である(図2A‐2B)。これらの化合物はBlaの細胞透過性の近赤外蛍光基質を構築するための骨格として有効で、細菌細胞内、または動物で利用可能なプローブの分量の影響を解析することに用いることが可能である。
【0081】
Bla活性のレポーティングは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づく。プローブはFRETドナーとFRET消光剤を含む。生体内イメージングするため、フルオロフォアは650nm以上で低い毒性で理想的に放出される必要がある。インドシアニン染料(Cy5、Cy5.5とCy7)は、650から800nmまでの放射を持ち、副作用の報告があまりない何万ものタンパク質において使用されてきた。したがって、Cy5をFRETドナーとして選択する。540から730nmまでで660nmにおいてピークを持つ広い吸収スペクトルを持ちそれ自体は蛍光ではない消光基であるQSY21はCy5放射の効果的な消光剤であることが示されてきた。
【0082】
CNIR1は基本的に非蛍光性であるが、Bla処置により660nmの波長で、放射強度において57倍増幅し、非常に高い蛍光産物を産生する(14)。しかしながら、CNIR1自体は細胞透過性ではなく、それ故生体内でBlaのイメージングに有用ではない。CNIR1の膜透過性を改善するため、CNIR1をアセチル化したD‐グルコサミンと共役結合させたCNIR3は高い細胞透過性を持ち、1個の生細胞におけるBla発現のイメージングを行う事が可能である。QSY21に2つのスルホン酸基を添加することでCNIR4の可溶性が改善される。
【0083】
CNIR5とCNIR6
CNIR1からCNIR4は全てCy5に基づくものである。生体内動物のイメージングでは、Cy5.5はより長い発光波長を持つため、より好まれて使用される。このように、Cy5をCy5.5に置換しCNIR5を合成する(図3A)。最終産物をHPLCにより精製し、質量分析計で特性が明らかにされた( C122H123N11O39S10の計算された質量:2687.98;MALDI‐MSでは[M+H]:2687.68を観察した)。励起時、CNIR5自体は690nmで弱い蛍光を発するが、Blaの処置により、その強度は9倍以上増加する(図3B) 。Blaによるその加水分解反応速度論は、pH 7.1でリン酸緩衝生理食塩水(PBS)において測定する: 触媒定数kcat = 0.62±0.2 s‐1とミカエリス定数Km = 4.6±1.2μM(値は加水分解率対基質濃度の二重逆数プロットの加重最小二乗から得る。)。その触媒効率(kcat/km)は、1.36x105 M‐1s‐1であった。マウス血清中と同様に少ない蛍光の増加が12時間のインキュベーションの後でさえ観察されたので、CNIR5は1.75x10‐7 s‐1の自然発生的な加水分解率でPBSで非常に安定であったといえる。CNIR6はアセチル化されたD‐グルコサミンのないCNIR5の類似体で、コントロールとして有用である。
【0084】
また、CNIR5はQSY21をQSY22と置換することにより合成する(3C図)。この合成はCNIR5のそれと非常に類似しており問題を含まない。QSY22の合成は以下に記述する。
【0085】
CNIR7
CNIR7はCNIR5を改良し、Blaの生体内イメージングのためにその感度を高めたものである。Cy5.5は690nmで最大に発光するが、CNIR5で使用される消光基QSY21の二硫酸塩は675nmで最大の吸収を示す。したがって、CNIR5と共に、消光効率はちょうど90%となり、観察されたバックグラウンド蛍光に大きく寄与する。QSY21とCy5(CNIR1)のFRET組み合わせでは、QSY21とCy5の間により良いスペクトルの共通部分(重複)が存在するため、消光効率は98%以上であった。このように、690nmで吸収が可能な消光基は、よりよくCy5.5を消光し、バックグラウンドシグナルを減少させる。QSY21においてインドリンがテトラヒドロキノリンにより置換されれば、その最大吸収は赤色に14nmシフトするとの報告がある。
【0086】
このように、新規構造であるQSY22二硫酸塩(図4A‐4D)はQSY21でインドリングループをテトラヒドロキノリンに取り替えることにより合成された。そして、それは同様に最大吸収が赤色に14nmシフトする。2つの間の唯一の構造違いはQSY22が融合六員環を含むテトラヒドロキノリンを使用し、QSY21は五員環であるインドリンを使用しているということであるので、スルホン化化学を用いることで、ベンゼン環におけスルホン化の位置が同じ(パラ)になることが予想される。したがってQSY22二硫酸塩はより効率的にCy5.5を消光しバックグラウンドシグナルを減少させる。
【0087】
第2に、CNIR5のkcat値は約0.6s‐1であり、その値はCC1とCCF2と比較し非常に低い。同様に二重結合がkcatの増加を誘導する消光剤とCy5.5の間に挿入される。第3に、FRETドナーであるCy5.5と消光剤QSY22二硫酸塩の間の距離は、エネルギー移動効率を改善するために減少する。CNIR5はトランスポーターの取り込みのためシステインを含む長いリンカー基を持つ。新規のCNIR7トランスポーターはCy5.5の他の結合部位に結合しているため、もはや長いリンカーを持つ必要がない。さらにまた、2アミノチオフェノールはCNIR5で4アミノチオフェノールに置換されCy5.5と消光剤の間の距離をさらに短くする。NIR基質CNIR7の最終的な設計とその化学合成は、図5A‐5Bに示す。その合成はさらにより短い経路で完了させることができ、CNIR5より簡便である。
【0088】
CNIR7もまたアセチル化D‐グルコサミンに代わるTAT配列のような短い陽イオンペプチドから成る。ペプチダーゼ加水分解を避けるためL‐アミノ酸の代わりにD‐アミノ酸を用いる。アンテナぺディア(15‐16)、HIV‐1 Revタンパク質とHTLV‐1レックスタンパク質基本的ドメインのホメオドメインとHIV‐1 Tatタンパク質基本ドメインのホメオドメインの第3番目のへリックスのような短い陽イオンペプチドが細胞の原形質膜に浸透することが可能な事が証明された。
【0089】
結核におけるBlaのイメージングのためのケージドBla基質
Bla(Bluco)(6A図)のケージド基質の構造は、D‐ルシフェリン、ホタルルシフェラーゼ(Fluc)の基質とBlaの基質であるベータラクタムから成る。D‐ルシフェリンのフェノール基は、Flucによるその酸化に極めて重要である。このフェノール基がエーテル結合を通しセファロスポリンの3'末端の位置に直接結合するとき、結果として生じる共役結合はFlucにとり不十分な基質となるが、Blaのための基質としては残る。Blaによるベータラクタム環の開環は自然な断片化を誘発し、3'末端部位のエーテル結合の開裂を誘導し、発光反応のFlucによる酸化が可能となる遊離D‐ルシフェリンを放出する。
【0090】
共役結合の安定性を改善するため、セファロスポリンの硫化物をスルホキシドに酸化し、最終的な構造であるBlucoを得た。Blucoの調製は、複数のステップの有機合成(図6B)を通し達成可能である。BlucoのサイズがCNIRシリーズのプローブより非常に小さいため、それはヒト型結核菌の細胞壁をより透過する。7つのアミンの位置で同定された置換は、ここでは単にTBにおけるBlaのSRELイメージングのためのTB特異的なケージド発光基質を設計するため利用可能である。Blucoはまた二重結合(Bluco2)の挿入とカルバメート結合(Bluco3)を用い改善されたKcatを得るために合成される。
【0091】
実施例4
CNIR4、CNIR5、CNIR9とCNIR10のFRETと蛍光取り込み速度反応論
インビトロのFRET
CNIR5による大腸菌のBla活性の検出
CNIR5により生きた細菌におけるBla活性の検出が可能かどうか試すべく予備実験を行った。大腸菌をアンピシリン耐性プラスミドで形質転換し、30℃で一晩増幅させた。細胞を回収し500nMのCNIR5を添加する前に2回LB培地で洗浄した。蛍光スペクトル(励起:640nm)を時間間隔をおいて検出し、データを図7に示した。測定(t=160分)終了時、精製したBlaの溶液をCNIR5の完全な加水分解を確認するために添加した。結果はCNIR5が大腸菌においてBlaの検出が可能であることを示す。比較して、インビトロゲン社からの蛍光基質CCF2/AMを同じ状況下で使用した場合、LB培地中で生存している大腸菌のBlaは検出できなかった。
【0092】
FRETスペクトル
図8B‐8Eは、10分間のBlaによる開裂前後のCNIR4、CNIR5、CNIR9とCNIR10の各々のプローブのFRET発光スペクトルを示す。
【0093】
CNIR4とCNIR5基質による大腸菌TEM‐1とヒト型結核菌Bla‐Cの反応速度論
表1は基質としてCNIR4とCNIR5を用いた大腸菌TEM‐1とヒト型結核菌Bla‐Cのベータラクタマーゼ酵素の反応速度論の比較を示す(図9A‐9B)。
【0094】
【表1】

【0095】
これらのCNIRのプローブを用いヒト型結核菌への蛍光取り込みの速度反応論を同定した。 CNIR4とCNIR5プローブを基質として使用した、ヒト型結核菌のみを含む培地の取り込みと分布(図10A‐10H)とヒト型結核菌に感染したマクロファージの取り込みと分布 (図11A‐11H)を示す。
【0096】
ヒト型結核菌へのCNIR4の取り込み
CNIR4がヒト型結核菌に感染したマクロファージの細胞内に取り込まれたことが蛍光共焦点顕微鏡検査により示された(図12)。DAPI染色(青色)は感染した細胞の核を示し、緑色蛍光はGFP標識したヒト型結核菌からのもので、赤色蛍光は開裂したCNIR4からのものである。着目すべき点はCNIR4からの蛍光は感染した細胞中に蓄積しているが、感染してない細胞では蛍光を示さないことである。
【0097】
生体内におけるCNIRプローブの蛍光シグナルの検出
マウスにヒト型結核菌を様々な濃度で皮内注射し感染させる。左下腹部に108個の細菌を接種し、左上腹部には107個の細菌を接種し、右上腹部は106個の細菌を接種した。CNIR4、CNIR5、CNIR9とCNIR10の各々のプローブ存在下での蛍光を測定した(図13A‐13D)。CNIR5は最も強い蛍光シグナルを示し、接種濃度が増えるに従い増加し、続いてCNIR10とCNIR9が追随し増加した。CNIR4は蛍光の増加を示さなかった。また、CNIR4、CNIR5、CNIR9とCNIR10プローブからの蛍光は、野生型ヒト型結核菌またはblaC遺伝子に突然変異を持つヒト型結核菌をエアロゾル接種により肺に感染させたマウスにおいて測定する(図14A‐14D)。CNIR10は最も高い全蛍光を示し、その後にはCNIR9、CNIR5とCNIR4が続いて高い全蛍光を示した(図14E)。
【0098】
蛍光取り込みをイメージングしコントロールマウスとエアロゾルによりヒト型結核菌を感染させたマウスの時間ごとの速度反応論のグラフを作成するためCNIR5を基質として使用しイメージングした。コントロールマウスと感染マウスからのイメージは、1、18、24、48と96時間で得た(図15A‐15E)。CNIR5の取り込みのピークは、エアロゾル感染後、48時間であった(15E図)。バックグラウンドシグナルを減少させるため反射率でなく徹照法を用いイメージングした。図16A‐16Bはそれぞれ、感染していないマウスまたはエアロゾルによりヒト型結核に感染したマウスの蛍光イメージを表す。
【0099】
実施例5
CNIR5による生体内イメージング
マウス腫瘍モデルにおけるCNIR5
C6ラットのグリオーマ細胞約1x106個をヌードマウスの左肩に注射し、cmv‐blaで安定にトランスフェクションした同数のC6ラットのグリオーマ細胞を同じヌードマウスの右肩に注射した。腫瘍サイズが約6mmに達した時点で麻酔をかけたマウスの尾より7.0nmolのCNIR5を静脈注射した。マウスは、IVIS 200イメージャーのCy5.5フィルターセットで注射後の様々な時間において1秒のデータ収集時間でスキャンした(励起:615‐665nm;発光:695‐770nm)。
【0100】
図17Aは注射前と注射後、2、4、12、24、48と72時間に撮影した一連の代表的なイメージである。注射の2時間後には早くもcmv‐bla腫瘍において野生型(wt)C6腫瘍より高い蛍光強度を検出した。コントラスト(明暗差)は24時間で1.6の最も高い値に達し、それから48時間と72時間におよそ1.3に減少し始めた(図17B)。イメージング終了後、マウスは器官と腫瘍を生体外イメージングのため収集するためsacrificeし、イメージングデータを補強するため生体内分布の解析を行った。図17CはCNIR5注射の24時間後にsacrificeしたマウスから回収した腫瘍と器官の蛍光イメージを示し、摘出したcmv‐bla腫瘍からのCy5.5発光が野生型C6腫瘍より高いことを示す生体内イメージングデータと一致する。cmv‐bla腫瘍のBlaの発現を確認するため、CNIR5を注射したマウスから摘出した腫瘍(図17D)のCC1分析を行った;結果は野生型腫瘍ではほとんどBla活性がないが、cmv‐bla腫瘍において高いレベルの酵素発現を示した。
【0101】
観察されたコントラストが腫瘍でBla発現によるCNIR5の活性化により生じたことをさらに証明するため、アセチル化D‐グルコサミンを持たないCNIR5の類似体であるCNIR6をコントロールとして用意した(18A図)。CNIR6はCNIR5と同等の効率でBlaによりインビトロで加水分解されるが、細胞透過性を持たないためCNIR6による生体内でのBlaのイメージングは不可能である。全てのイメージング期間を通し、cmv‐bla腫瘍とコントロール腫瘍において全くコントラストが検出されなか」\」った(図8B‐18C)。これは明らかにCNIR5が標的細胞に入り、Blaにより活性化したことを示す。この結果はまた生体内でBlaのイメージングをするためのCNIR5のD‐グルコサミングループの重要性を示す。
【0102】
静脈内接種後のマウスにおけるCNIR5の生体内分布と薬物動態学
CNIR5をBalb/cマウスに静脈内接種する。マウスのグループを器官収集と処理のためsacrificeする。各々の器官におけるCNIR5の存在を時間とともに蛍光強度により評価する。図19A‐19Bはそれぞれ接種後4時間と24時間のCNIR5シグナルを示す。安定したシグナルを全ての組織において検出したことはCNIR5が24時間以上全身性であり、24時間では顕著に劣化、分解しないことを示唆する。
【0103】
Blaによるマウスでのヒト型結核菌感染の局在の生体内イメージング
実施例1で記述したように、4匹のBalb/cマウスの6つのグループを100‐1000cfu/肺で各々エアロゾル感染させる。1グループ4匹のマウスを全ての時点でのイメージングに用い、各時点で4匹のマウスの1グループをsacrificeし、病理組織診断し、肺と脾臓のcfuを同定するため検死解剖する。24時間、7、14、28と72日でのイメージングはXenogen IVIS200イメージングステーションを用い同じABSL3の特別室で行う。非開裂化合物からのバックグラウンド蛍光のコントロールとするため、細菌に感染させず検出試薬のみを注射した4匹の動物のコントロールグループをイメージングに用いる。動物を明く狭い部屋においてisofluoraneで麻酔し、690nmで励起し640nmで画像を取り込みイメージングする。IVIに十分であることが示された5nmolのCNIR5を尾静脈を使い静脈内に注射する。化合物の注入前と注射後1、2と4時間のイメージを得る。シグナルがこれらのいずれかの時点において観察された場合、それ以降24、48と72時間後、さらにシグナルの消失に至るまで動物をイメージングする。
【0104】
野生型ヒト型結核菌に感染したマウス(図20A)とコントロールマウス(図20B)の生体内イメージを示す。両マウスにイメージングに先立ちCNIR5を静脈注射した。このイメージは感染したマウスが肺から来るシグナルを持つことを示す。平均的なシグナルの局在が肺の間に存在することがシグナルの三次元画像再構築により示された。シグナルを平均値化し、マウスは2つの肺を持つ事から、この部位が最も大きな点光源であると考えられる。このように、化合物CNIR5は、生きた哺乳類においてヒト型結核菌の局在を同定するのに用いることが可能である。このイメージをとらえるのにXenogen/Caliper IVIS Spectrumイメージングシステムを用いた。
【0105】
Blaによるマウスにおけるヒト型結核菌検出の閾値の同定
ベータラクタマーゼCNIRプローブは、リアルタイムでマウスのSRELイメージングにより、100個またはそれ以下のヒト型結核細菌の検出を可能にする(図21A)。コントロールとしての感染していない生きたマウス(図21B)とヒト型結核菌に感染したマウス(図21C)においてSRELイメージングを行った。カラーバーは620nmで励起後、680nmでの発光のレベルを示す。色はMtbに感染した肺由来の強いシグナルの存在と感染の特異的な局在を示す。シュードモナス菌、ブドウ球菌とレジオネラ菌の検出の閾値もまた同定可能である。
【0106】
Blaを用いたモルモットのヒト型結核菌感染の生体内イメージング
4匹のモルモットの6つのグループを感染させ、以下の例外を除いて、マウスの記述にあるのと同様にイメージングする。 第1にモルモットが顕著な死亡率を示し始めるのがより遅い時点からであると考えられるため、感染後28日の時点までのみ調査する。第2にマウス血清でのレベルと同等にするにはモルモットではマウスで要した量の20倍以上の検出試薬(CNIR5については~100nmol)を要するため、化合物は側部中足骨静脈から投与する。モルモットはABSL3施設でエアロゾル感染させ、イメージングまで封じ込めで維持する。イメージングは、感染後24時間、7、14と28日でIVIS200イメージングステーションを用いABSL3の特別室で行う。コントロールグループの4匹の動物を細菌に感染していないイメージングのために使用するが、非開裂化合物からのバックグラウンド蛍光のコントロールとするため検出試薬を注射する。
【0107】
イメージング前にIVIに十分であることが示された100nmolのCNIR5を尾静脈を使い静脈内に注射する。化合物の注入前と注射後1、2と4時間のイメージを得る。シグナルがこれらのいずれかの時点において観察された場合、それ以降24、48と72時間後、さらにシグナルの消失に至るまで動物をイメージングする。
【0108】
実施例6
CNIR7による生体内イメージング
マウス組織におけるCNIR7の生体内分布
マウス組織のCNIR7の生体内分布を生体内イメージングの前に評価する。CNIR7を、3匹のマウスに(100μL生理食塩水に10nmolの量で)静脈注射する。マウスに麻酔をかけ、注射後(各時点において3匹のマウス)異なる時間間隔(30分、240分、12時間、24時間、48時間と72時間)で、頚椎脱臼によりsacrificeする。血液サンプルは心穿刺により収集し、組織(心臓、腎臓、肝臓、膀胱、胃、脳、すい臓、小腸、大腸、肺と脾臓)は近赤外蛍光を蛍光測定器で測定するため素早く収集する。データは組織重量あたりの蛍光単位(FU)[FU/(g組織)]として表し、これらの組織器官で加水分解されたCNIR7産物の量を示す。
【0109】
マウスモデルにおける CNIR7による生体内イメージング
CNIR7イメージングに、C6グリオーマ腫瘍を異種移植したヌードマウスを用いた。マウスは(流量)1L/分の低い率で、100%の酸素中2%のイソフルラン吸入により麻酔した。CNIR7を側部尾静脈に100μLのPBSバッファーで10nmol注射する。3匹のマウスは、IVIS200 Optical CCDシステム(Xenogen Inc)を使用し小動物生体内蛍光イメージングシステムでイメージングした。このシステムは 生物発光と生体内蛍光イメージングに適しており、例えば蛍光イメージングのため1秒といった短い時間で小さな齧歯動物を迅速に一回の投影でスキャンする事が可能である。可視化のための完全なソフトウェアツールもまたこのシステムで利用可能である。Cy5.5によるNIRFイメージングには励起フィルター(640±25nm)と発光フィルター(695‐770nm)のフィルターセットを使用する。蛍光イメージはCマウントレンズを装備し、赤色ランプに高感度のモノクロCCDカメラで収集する。マウスは生体内分布解析のためsacrificeする。一部の腫瘍組織サンプルをBla活性の評価に使用する。
【0110】
実施例7
蛍光タンパク質
IVIのための蛍光タンパク質の可能性についての評価
蛍光タンパク質(FP)mPlumは最長649nmの波長を持ち、59nmという非常に良いストークスシフトを持ち、それはこのFPが非常に良く組織を透過し、ノイズ比率に対して良いシグナルを持つことを意味する。mPlumはEGFPほど明度は高くないが、類似した光安定性を持ち、インビトロで同様の挙動を示さないが、IVIにおいてその波長とストークスシフトはこの違いを十二分に補うものである。長い波長(620nm)を持つ第2のFPはmKeimaであり、それは、バックグラウンドが励起波長で重なるという懸念がほとんどない180nmというmPlumよりさらに良いストークスシフトを持つ。しかし、mKeimaはmPlumと同程度の明るさしかなく、どちらのFPがIVIの間、よりよい挙動を示すかどうかは不明である。もう一つのFPは、mPlumまたはmKeimaより4倍明るい比較的長い波長(610nm)を持つmCherryである。mCherryのストークスシフトはわずか23nmであるため、より高い明度を持つにもかかわらずノイズ比率へのシグナルについては問題を残す。FP tdTomatoは最も短い波長(581nm)を持つが、mPlumとmKeimaより20倍明るく最も明るい。
【0111】
4つのFP、mPlum、mKeima、mCherryとtdTomatoをGateway PCRクローニングを用い発現ベクターにクローニングする。これら各々のコンストラクトをMtbに形質転換し、96穴プレート解析によりインビトロで評価する。標準的な増殖条件下における培養液を用い細胞内増殖解析によりそれらを評価する。すべてのコンストラクトを分光測光法と8穴チャンバースライドを使用した顕微鏡検査により評価する。分光測光法解析により各々のコンストラクトの最適発光波長と同様に最適励起波長を評価する。EGFPは長い波長における発光と細菌とマクロファージ自身からの自家発光の影響を評価するためベクター単独でネガティブコントロールとして使用する。細菌集団における蛍光のパーセントを計算することで、培地での増殖後のシグナル強度の多様な変動と様々なベクターの安定性の評価が顕微鏡検査により可能である。
【0112】
FPのインビトロでの評価パネル
FPコンストラクトを利用し、培養における安定性、転写と翻訳の効率、検出限界とイソニアジド治療中、および治療後のシグナルの評価を行う。シグナル強度の変動とコンストラクト安定性とが相関する事がこれまでに個々のFP transformants(形質転換体)で確認されているので、まず最初に各々のFPコンストラクトによる少なくとも2つの形質転換体を評価のため選択する。その後、各々のFPにおける一つの最適株を生体内解析用に選択する。
【0113】
培養における安定性は、株を選択し、その非存在下および存在下で30日間増殖させた後、蛍光性が残留する細菌のパーセンテージを同定し各々の株の増殖により評価する。これはプラスミド由来の選択マーカーを用いた培養において細菌のパーセンテージを評価するため、適切な抗生物質の存在下、非存在下で行うプレーティング希釈法により確認される。転写および翻訳の効率の解析は、プロモーターが各々のコンストラクトできちんと機能しているかどうか、そして、それがシグナル強度に影響を及ぼすであろう点でそのコドンが使用され翻訳に影響を及ぼしているかどうかの見識を提供する。これは、他のレポーターを発現するコンストラクトにおける発現誘導と相関を示す異なるプロモーターと単数または複数コピーのベクターを使用による誘導倍率の違いを比較するため各々のFPコンストラクトを持つMtbをRT‐PCRにより評価する。発現するレポーターに関係なく、これらの比率は比較可能である必要がある。
【0114】
蛍光強度とタンパク質レベルは、それぞれ、分光測光法とウェスタンブロッド解析を用い株ごとに測定し比較する。レポーター発現またはRNA転写物の発現レベルに関係なく、RNA、蛍光シグナルとのタンパク質の比率は比較可能である必要がある。一部のレポーターが非効率的に翻訳されるならば、それらのRNA転写物のタンパク質比率はRNA発現レベルの増加とともにおそらく減少することとなる。このような観察は翻訳効率を改善するためそのFPのコドンの使用を修正する必要があるものと解釈される。しかし、同時にこれがタンパク質不安定性の結果または過剰発現による封入体の隔離であることも考えられる。
【0115】
検出限界は同時に準備した培養から蛍光の希釈限界を評価することにより決定する。これらのデータは生存可能な細菌と直接相関する蛍光により得られる数を確認するために、CFUと比較し、蛍光顕微鏡検査による定量により評価される。イソニアジド(INH)治療の効果はすでに96穴フォーマットの解析でCFUと蛍光の評価を行った培養液にイソニアジドを1μg/ml添加する事により評価する。37℃にセットしたチャンバーをインキュベートし、INH添加直後から48時間後までの様々な時点でCFUのために蒔いた一定分量を分光光度計で測定し、リアルタイムでCFUと蛍光性を解析する。本解析により各々のコンストラクトの抗生物質処理後のシグナル強度、安定性とシグナル持続期間に対する見識を得る。
【0116】
安定性と選択組み換え型FPsの毒性に対する影響
毒性研究において全ての株を同時に野生型と比較する。実施例1で記述したように4匹のBalb/cマウスの20グループを100‐1000cfu/肺でエアロゾル感染させる。各々の細菌株(野生型、FP1、FP2、FP3、FP4)に用いる1グループ4匹のマウスは、CFUを同定し、病理組織診断を行い、適当なコンストラクトの存在を決定し、肺と脾臓での蛍光レベルを同定するため、全ての時点(1、14、28と72日)において検死解剖を行う。コンストラクトを持つ細菌集団の割合は、CFU力価(滴定濃度)プレートから少なくとも20の個々のコロニーで行う蛍光顕微鏡検査により測定する。残留FPの全体的なレベルを評価するためホモジナイズした組織で蛍光レベルを測定する。
【0117】
エアロゾル感染したマウスの蛍光タンパク質
4匹のBalb/cマウスの6グループに、mPlum、mKeima、mCherryとtdTomatoコンストラクトを持つ各々の細菌株とベクター骨格(合計30グループ)のみの株を100‐1000cfu/肺で各々エアロゾル感染させる。実施例1で記述したように、細菌株をエアロゾル感染のために解凍する。4匹のマウスの5グループ(各々のFPを持つグループとベクター単独のグループ)を全ての時点におけるイメージングに用い、各時点で4匹のマウスの5グループを病理組織診断と肺と脾臓でのcfuを同定するためsacrificeし、検死解剖する。24時間、7、14、28と72日において、FPごとに最適な励起と発光フィルターを使用し、Xenogen IVIS 200のイメージングステーションを用い、同じABSL3の特別室でイメージングを行う。FPがIVISで異なるフィルターセットの使用を要するときは、ベクターの自家蛍光のためコントロールにもまた同じフィルターセットを使用し、各々の動物のグループで単独でイメージングする。このように、実験を通して細菌負荷が感染後のより後の時点で非常に低いもの(100cfu/肺)から非常に高いもの(>105cfu/肺)まで異なる為、IVIにおける各々のFPはこのシステムの感度と同様に確認する。ベクター単独での使用が蛍光とFPsの存在によりもたらされる毒性における潜在的な違いの両方のコントロールとなる。
【0118】
実施例8
培養液における結核菌検出のためのコメツキムシ赤(CBR)
すでに導入されているGateway組み換え部位を用いBlaにおいて既に記述した全4つのコンストラクトにCBR遺伝子をクローニングする。これらのプラスミドは、L5とhsp60両プロモーターからの発現が可能である。持続的なシグナルの分解反応速度論と同様に、蛍光検出機能のあるマルチモードのマイクロプレートリーダーとD‐ルシフェリンを添加する間フラッシュ発光の測定が可能なインジェクターで96穴プレートを用いD‐ルシフェリン存在下において各々の株が光を発生させる能力を成長(増殖)培地で比較する。シグナルを産生する生存能力のある細菌数の相関関係を明らかにするため、細菌の限界希釈とCFUの同定におけるすべての解析は4回繰り返し(quadruplicate)て行う。コンストラクトの安定性は、選択培地でない培地で7日間の培養の後、分光測光法と蛍光顕微鏡法でその増殖を観察し評価する。これらのデータはシグナル/生存細菌を同定するためのCFUと相関し、顕微鏡検査法を用い陽性シグナルを持つ細菌のパーセンテージの計算を行う。細菌の生存能におけるコンストラクトの影響は、ベクター単独の細菌とこのコンストラクトを持つ細菌の増殖を 比較してプロットし解析する事により評価可能である。
【0119】
マウスにおけるCBR発現、安定性と毒性の評価
組み換え型CBRの安定性と毒性に対する影響をIVIに有望な2つの株で解析する。毒性試験では、すべての株を同時に野生型と比較する。実施例1で記述した通り、4匹のBalb/cマウスの12グループを100‐1000cfu/肺でエアロゾル感染させる。
【0120】
各々の細菌株(野生型、CBR1とCBR2)に用いる1グループ4匹のマウスは、CFUを同定し、病理組織診断を行い、適当なコンストラクトの存在を決定し、肺と脾臓での蛍光レベルを同定するため、全ての時点(1、14、28と72日)において検死解剖を行う。コンストラクトを持つ細菌集団の割合は、CFU力価(滴定濃度)プレートから少なくとも20の個々のコロニーで行う蛍光顕微鏡検査により測定する。残留CBRの全体的なレベルを評価するためホモジナイズした組織で蛍光レベルを測定する。
【0121】
マウスにおけるCBRを発現する結核菌とBCG株のイメージング
実施例1で記述したように、4匹のBalb/cマウスの6グループに、RLuc8コンストラクトを持つ細菌株とベクター骨格(合計12グループ)のみの株を100‐1000cfu/肺で各々エアロゾル感染させる。 4匹のマウスの2グループ( RLuc8を持つグループとベクター単独のグループ)を全ての時点におけるイメージングに用い、各時点で4匹のマウスの2グループを病理組織診断と肺と脾臓でのcfuを同定するためsacrificeし、検死解剖する。24時間、7、14、28と72日において、Xenogen IVIS 200のイメージングステーションを用い、同じABSL3の特別室でイメージングを行う。イメージング前にIVIに十分であることが示された1‐5μmolのD‐ルシフェリンを尾静脈を使い静脈内に注射する。
【0122】
化合物の注入前と注射後1、2と4時間のイメージを得る。シグナルがこれらのいずれかの時点において観察された場合、それ以降24、48と72時間後、さらにシグナルの消失に至るまで動物をイメージングする。動物を明く狭い部屋においてマトリクスシステム(Xenogen社) を用い、100%の酸素中2%のイソフルラン吸入により麻酔し、10ピクセルビニングで3から5分の集積時間でイメージングする。これは実験を通して細菌負荷が感染後のより後の時点で非常に低いもの(100cfu/肺)から非常に高いもの(>105cfu/肺)まで異なる為、 このシステムの感度と同様に IVIにおけるCBRの有用性の確認を可能にする。ベクター単独での使用が蛍光とCBR遺伝子の存在によりもたらされる毒性における潜在的な違いの両方のコントロールとなる。
【0123】
実施例9
IVIの他のルシフェラーゼの潜在性の評価
RLuc8ルシフェラーゼは既に記述したマイコバクテリア(抗酸菌)を用いた発現システムにGateway PCRクローニングを用いクローニングする。コンストラクトをMtbに導入し全細胞を用い細菌の培養液中のそれらの光産物(光生成)を解析する。無傷の細菌はCBRと比較可能な光を産生し、細胞内細菌のシステムはマウスにおいてCBRと比較可能である。グラム陽性細菌とグラム陰性細菌のルシフェラーゼの両システムには、双方とも、彼らが彼ら自身の基質を産生するという利点がある。両方のオペロンは、それらの現在のベクターからそれらを切り出すため制限酵素による消化により発現システムにクローニングした後にGatewayアダプターにライゲーションすることでGateway組み換えクローニングする。細菌の培地におけるMtbからの 光産物(光生成)によりコンストラクトを解析する。生体内生物発光のための全ての分析評価は光産物が発光用のセッティングで分光光度計で測定される以外はBlaシステムにおいて既に解説されている様に96穴プレートで行われる。光産物がCFUと比較して計算する事ができるように、感度を限界希釈により評価し、全てのサンプルにつき同時にCFUを同定する。
【0124】
ルシフェラーゼを用いたマクロファージにおける結核菌の検出
マクロファージにおける分泌とルシフェラーゼ活性の膜へのターゲティングの影響を解析する。マイコバクテリアからの分泌は、Mtb BlaC(BlaSS)からアミノ末端TATシグナル配列を付加する事と、Mtbで最適にCBRを発現する同じコンストラクトにこの融合タンパク質を配置する事により成し遂げられる。その分泌は、対数増殖初期まで増殖した発現Mtb株のCBR、BlaSS::CBR、そしてベクター単独をトランスフェクトした培養液濾過溶液と全細胞を分析する事により確認する。この株からの培養濾過溶液はCBR発現株より非常に高い光産物を持ち、BlaSS::CBRからの全細胞はCBR Mtbと同等かまたはCBR Mtbより低い光産物を持つ。Blaに使用されるCD14からのカルボキシ末端のGPIアンカーは融合タンパク質BlaSS::CBR::GPIを産生するためBlaSS::CBRに付着させる。
【0125】
BlaSS::CBR::GPIを発現する株を細胞内マクロファージ解析によりCBRとBlaSS::RLuc8を発現する株と比較し光産物を評価する。J774A.1マクロファージを96穴プレートを用い化合物の様々な濃度で細菌の滴定を行い 解析する。 全ての分析評価はBlaにて記述したのと同様に4回繰り返し行う(quadruplicate)。Duplicateウェルを、D‐ルシフェリン添加前に0.1%のトライトンX‐100で溶解し、得られる測定値により宿主細胞透過性の役割を評価する。全ての時点において、4つの未処理のウェルをその細胞と相関したCFUの数を測定するのに用いる。CBRの細胞内検出はD‐ルシフェリンの真核生物細胞とマイコバクテリア液胞の浸透性により影響を受ける可能性があるため、マクロファージにおける感度の評価は非常に重要である。しかしながら細菌のルシフェラーゼシステムは細胞内における細菌の増殖にさほど影響を与えないようである。
【0126】
各々の細菌ルシフェラーゼシステムとRLuc8における 光産物(光生成)は細胞内分析評価により確認する。RLuc8の測定により宿主細胞透過性の役割を評価するためセレンテラジンを加える前に、duplicateウェルを0.1%のトライトンX‐100で溶解する。最も有効であるそれらコンストラクトによりシグナルの局在を確認する。これらの分析評価は8ウェルのチャンバースライドを使用する事以外は同様の方法で行われる。顕微鏡検査は、局在を明らかにする事と、ポジティブなシグナルを持つ細菌のパーセンテージの同定と局在したシグナル強度の評価を可能にする。
【0127】
実施例10
IVIのための化合物によるBgalの検出
これまでに報告のあるプロモーターを持たないBgal遺伝子(17)を、ゲートウェイアダプターに制限酵素による消化とライゲーションによりマイコバクテリア発現ベクターにクローニングする。これまでに報告されたように(18)96穴プレートにおいて、これらのベクターをマイコバクテリア浸透性蛍光試薬5‐アセチルアミノ‐フルオレセインジ‐ベータ‐D‐ガラクトピラノシド(C2FDG)を用い細菌培養液で評価すべくMtbに導入する。この化合物はBgalにより開裂されるまで蛍光性でなく、460nmで励起し、520nmで放出される。最も強い蛍光発光を生じるベクターを、Bgalの分泌と宿主細胞局在を行う更なる融合タンパク質のコンストラクトに用いる。
【0128】
Bgalの分泌は、マイコバクテリアの透過性がBgalを検出する為の異なる化合物の能力評価において重要な役割を果たすかどうかを同定する手助けとなるため重要である。Bgalを分泌するためMtb BlaC(BlaSS)からのアミノ末端TATシグナル配列を付加し、Mtbで最適にBgalを発現する同じコンストラクトにこの融合タンパク質を配置する。その分泌は、対数増殖初期まで増殖した発現Mtb株のBgal、BlaSS::Bgal、そしてベクター単独をトランスフェクトした培養液濾過溶液と全細胞を分析する事により確認する。Blaに使用されるCD14からのカルボキシ末端のGPIアンカーは融合タンパク質BlaSS::Bgal::GPIを産生するためBlaSS:: Bgalに付着させる。
【0129】
全てのBgalコンストラクトの蛍光検出の感度の評価をC2FDG、5‐ドデカノイルアミノレゾルフィン ジ‐ベータ‐D‐ガラクトピラノシド(C12RG)と9H‐(1,3‐ジクロロ‐9,9‐ジメチルアクリジン‐2‐1‐7‐イル)ベータ‐D‐ガラクトピラノシド(DDAOG)により行う。全ての化合物は市販されておりインビトロゲン社のMolecular Probesより入手可能である。C2FDGは効率的にMtbに入りBgalを検出可能である事が知られている為、その放出波長はIVIに有利であるとは言えないが、本化合物を我々のポジティブコントロールとし使用する。C12RGは真核生物細胞に侵入しやすくより長い放出波長(590nm)を持つが、類似化合物C12FDGはMtbではうまくBgalを検出する事ができず、これはそれがあまり細菌膜を通過できない事を示唆する。
【0130】
放出されたシグナルにおける透過性と局在の影響を確認するため、全ての株と化合物において無傷細胞と全細胞の溶解物のBgal活性を測定する。真核生物の細胞膜を通過する事ができ、Bgalによる開裂後、最も長い放出波長(660nm)を持つ為、化合物DDAOGはIVIに非常に有用である事が示された。更なる研究からもDDAOGは非常に良くBgal活性を検出する事が可能であり、最も良い化合物であると考えられる。
【0131】
マウスにおけるBgal発現、安定性と 病原性(病毒性)
安定性と組み換え型Bgalの病原性に対する影響をIVIすることに見込みのある2つの株で解析する。毒性研究においては全ての株を同時に野生型と比較する。実施例1に前述したように4匹のBalb/cマウスの12のグループを、100‐1000cfu/肺で、エアロゾル感染させる。各々の細菌株(野生型Bgal1とBgal2)の4匹のマウスの1つのグループは、CFUを同定し、病理組織診断を行い、肺と脾臓で適当なコンストラクトの存在とC2FDGによる肺と脾臓のBgal活性を同定するため、すべての時点(1、14、28と72日)において検死解剖を行う。コンストラクトを持つこととなる細菌集団のパーセンテージは、CFU力価検索用プレート由来の少なくとも20の独立したコロニーで行い、C2FDGを用いたBgal分析により同定する。Bgalレベルは各時点での残留Bgalの全体的なレベルを評価するため、ホモジナイズした組織で測定する。
【0132】
マウスにおけるBgal発現結核菌株のイメージング
L2G85マウス由来の全ての細胞はACTBプロモーターからFlucを発現するので、L2G85マウスのマクロファージ由来の骨髄をBgalを発現するMtb株に感染させ、ベクターのみを持つ同じ株と比較する。マクロファージ感染は、J774A.1マクロファージの他の細胞内増殖分析評価における手法と同様に、感染しさせたL2G85マウスの骨髄由来のマクロファージを用い行う。Duplicateウェルを、Lugal添加前に0.1%のトライトンX‐100で溶解し、得られる測定値により宿主細胞透過性の役割を評価する。全ての時点において、4つの未処理のウェルをその細胞と相関したCFUの数を測定するのに用いる。これらのコンストラクトが最も効果的である事を示すためにシグナル局在を顕微鏡検査により確認する。8ウェルチャンバースライドを用いる事以外は、これらの分析評価は同様の方法で行う。顕微鏡検査により、局在を明らかにし、陽性シグナルを持つ細菌のパーセンテージを同定し、局在化したシグナルの強度を評価する事が可能である。IVI研究は検出のためにルシフェリンの代わりにLugalを使用し、CBRにおいて記述したのと同じプロトコルを用いマウスで行う。
【0133】
実施例11
ベータラクタマーゼと他のタンパク質の結晶構造モデルに基づくプローブ設計
BlaC酵素ポケットモデリング
ヒト型結核菌ベータラクタマーゼ(BlaC)酵素ポケットは、プローブ設計と特異性を改善するために小分子を用いモデル化される。小分子のハイスループット検索では、 BlaCの活性化部位の裂け目に結合する化合物を同定するのに例えば小分子ライブラリーが用いられ、結晶構造はそこから得られる。候補プローブを合成し、インビトロでテストする。
【0134】
ベータラクタマーゼ様酵素とペニシリン結合タンパク質
ヒト型結核菌の2つの主要なベータラクタマーゼ様タンパク質(BlaX)と2つの主要なペニシリン結合タンパク質(PBP)をクローニングし過剰発現させ精製する。BlaXとPBPのためのKmと結合定数は、ceferoperazone、ペニシリンとシプロフロキサシンで測定する。候補タンパク質の結晶構造を解明しプローブ活性を改善する特異的なプローブを設計するのに用いる。
【0135】
Mtb酵素と大腸菌ベータラクタマーゼTEM‐1との構造活性の関係
セフォペラゾンを用いBlaCとTEM‐1の結晶構造を解明する。ceferperazoneに基づくプローブはモデル化され、設計されてそして合成される。候補プローブはBlaCとTEM‐1のKmを同定するのに用いる。
【0136】
実施例12
新規の消光剤と染料によるREF感度の改善
REFイメージングに用いられるこれまでの基質はマウスにおいて結核菌による肺感染症のイメージングに成功を収め、この戦略が極めて有望であることを示唆した。しかし、肺での検出閾値が10,000個以上の細菌であるため、REFプローブの感度を増すことにより検出を改善することが有利となる。近年、800nmの範囲で働く新規の染料と消光剤がLiCorにより開発され、我々の化合物の改善という大きな期待感が生じた。この指定された新規の染料IRDye 800CWはCy5.5よりおよそ10倍明るく、その長い波長によりCy5.5より非常によく哺乳類の組織を透過する。この染料に基づく化合物とQC‐1と指名されたその化合物と適合する消光剤を設計する。この染料に基づく化合物 と消光剤は、現在のREFシステムを劇的に改善する。また、生体内イメージングアプリケーションのFRETドナーとして2つのIRDye800染料、IRDye800RSとIRDye800CW(図22)を研究する。両染料とも励起780nmと発光820nmで同じ蛍光スペクトルを持つが、IRDye800CWはIRDye800RSより多くのスルホン酸基を持つ点で異なる。この違いは異なる生体内分布を導く可能性があり、よって両方の調査研究を行う。RDye800に対し高い消光効率を持つ対応染料であるIRDye QC‐1を蛍光発生プローブのFRETアクセプターとして使用する(図22)。上記に解説されるように、プローブへのこれらの分子の取り込みはNHSエステルとアミンとの間の同じカップリング化学で合成したCNIR5に用いた合成手順と同一である。最初に、IRDye800染料からなるこれらのCNIRプローブの加水分解反応速度論はTEM‐1 BlaとMtb BlaCによって特徴づけられ、プローブは皮下と肺感染でのMtbの生体内イメージングを評価する。
【0137】
IRDye 800CWに基づく化合物は最初インビトロで解析を行い、続けて検証するため皮下と肺感染により細胞内研究と動物モデルを用いた研究を行う。動物の全身レベルでIVISイメージングシステムを用い感染部位の蛍光取り込みを可視化し、細胞レベルで感染した組織の組織切片を蛍光共焦点顕微鏡検査と生体顕微鏡検査し、組織ホモジェネートを蛍光光度計で解析し検証する。これらの技術を組合せ、全てのプローブの解析を行い、感染のマウスモデルで感染した組織の標識の詳細な性質の決定と感染した宿主細胞におけるプローブの取り込みの同定を行う。
【0138】
プローブの構造的変化によるSRELとREF感度の改善
現在のプローブはMtb BlaC活性を検出しイメージングことが可能であるが、Mtb BlaCのその活性は最適ではない。Mtb BlaCで酵素反応速度論を改善したプローブは、検出とイメージングにおいてより大きな感度を提供する。Mtb BlaCの結晶構造は他のクラスAベータラクタマーゼと比べ大きな違いを示し、Mtb BlaCがより大きな活性部位ポケットを持つ。この構造的な違いはMtb BlaCの改善された反応速度論でプローブを設計できる可能性を暗に示す。セフォペラゾンに基づいたBlaCプローブの修飾構造の改善、限定されたライブラリーによる化合物の検索と脱離基の修飾という大きくわけ三つの主要なアプローチが用いられる。さらにMtbを用いたインビトロ解析、細胞内細菌と皮下と肺経路におるマウスへの感染により同定された適当な化合物の特性を明らかにする。
【0139】
セフォペラゾンの構造に基づく合理的なアプローチ。
【0140】
TEM‐1 BlaとMtb BlaCによるCNIR5の反応速度論:
TEM‐1 Blaについて、 kcat=0.33 s‐1、KM=1.9 μM、kcat/KM=1.74 x 105s‐1M‐1;
Mtb BlaCについて、 kcat=0.07 s‐1、KM=5.9 μM、kcat/KM=1.2 x 104s‐1M‐1。
【0141】
この反応速度論データは、CNIR5がMtb BlaCでなくTEM‐1 Blaに対して望ましい基質であることを示す。Mtb BlaCの特異的活性に必要な構造的要素を特定するため、いくつかの セファロスポリンラクタム抗生物質(セフォペラゾン、cephalotin、セファゾリン、セフタジジム、セフォキシチン、セファマンドール、セフォタキシムとセファレキシン)の反応速度論をTEM‐1 BlaとMtb BlaCで測定した。結果はセフォペラゾン(図23)がTEM‐1 Blaと比較しMtb BlaCの望ましい基質であることを示した。TEM‐1 Blaについて、kcat=0.26 s‐1、KM=262 μM、kcat/KM=1 x 103s‐1M‐1;Mtb BlaCについて、kcat=2.01 s‐1、KM=76 μM、kcat/KM=2.6 x 104s‐1M‐1。
【0142】
Mtb BlaCについてのkcat/KM値(2.6 x 104s‐1M‐1)はCNIR5についてのその値(1.2 x 104s‐1M‐1)よりよいが、TEM‐1 Blaについてのkcat/KM値(1 x 103s‐1M‐1)はCNIR5についてのその値(1.74 x 105s‐1M‐1)より100倍小さい。嵩高い基に起因する本選択性に対する原因である主要な構造群がセフォペラゾンの7つのアミンに接続していることが仮定され、それはMtb BlaCのX線構造からの発見により支持されるものである。つまり、BlaCは7つの部位で大きな基質結合ポケットを持つ。
【0143】
したがって、セフォペラゾンの7ヶ所の基はCNIR5に取り込まれ、酵素反応速度論の改善を示すMtb BlaC プローブを作る。最初にインビトロにおいてこのプローブの (1)バッファーとマウス血清での安定性と(2)精製したMtbと細胞内Mtbの存在下での反応速度論と(3)精製したTEM‐1 Blaの存在下での反応速度論の解析を行う。そしてまず比較可能であるかどうか、また、膜輸送の改善を示すかどうかを評価するため、我々がこれまでに使用していたプローブにより示されるそれらデータとその膜透過性の特徴をCNIR5と比較する。その後、皮下とエアロゾル感染による動物実験を行い、Mtbのイメージングを行う。
【0144】
セフォペラゾンCNIRプローブの構造と活性関係(SAR)をさらに理解するため、BlaCへの結合のコンピュータによるモデル化を行った。同時に、プローブは複雑な構造を解明すべくBlaCとともに共同結晶化する。結果として得た構造情報を改善したプローブの合理的な設計に適用する。
【0145】
改善した感度を持つプローブを同定するための迅速な限られた構造ライブラリー解析
セフォペラゾン CNIRプローブを合成しテストした後、X線構造解析によるSAR改良と平行し、選択性を改善するためライブラリーアプローチを試みる。
【0146】
CNIRプローブと比較しBlucoを準備することの方が非常に容易であるので、酵素反応速度論の読み出しが単純で迅速であるBlucoに基づく基質を用いた。セフォペラゾン類似体とのバイアスが小さいライブラリーを構築するためテンプレートとしてBlucoを利用した。このライブラリーを構築し、多様性を生み出すため、8置換ピペラジン2,3‐ジオン(A)と6置換フェニルグリシルメチルエステル(B)を利用した。その全ては市販されている。これにより48種類の産生物を得た。
【0147】
ライブラリーは、それからBlucoの最終的な48の類似体を作成するためBluc前駆体(C)と反応させた。ライブラリーをD‐ルシフェリンのカルボキシレート基により固相担体(固型支持体)に準備した。これらの化合物の全てを含み、我々のライブラリーを(固型支持体に)準備する前に、各々の化合物全てについて潜在的にBlaCの活性部位ポケットと適合していることを確認するためBlaCのX線構造解析で明らかになった構造に基づいてコンピューターモデリング解析を行った。
【0148】
ライブラリーの検索は発光マイクロプレートリーダーを用いハイスループット解析を行った。反応速度論検索の前に、第一段階としてバッファーでの化合物の安定性を検索した。反応速度論は、共インキュベーションの初期の時点をポジティブコントロールとして発光レベルを我々の元々のBluco基質とルシフェリンとを比較することにより評価した。有効な反応速度論を持つ化合物は、迅速な加水分解を示し、基質添加後数分以内に高い発光レベルに達し、ルシフェリンの放出を示した;ところが、我々の最初のBluco分子は、数時間もの共インキュベーションを経て発光の最大レベルを示す。これらの研究は、CNIRの基盤として使用可能な新規の化合物と、光学イメージングにおいてより高感度でありBlaCと改善された反応速度論を示すBluco基質をを提供する。
【0149】
改善された反応速度論学により修飾された脱離基
3'末端部位のアリル基
フェノールエーテルの間の二重結合の挿入が大幅にフェノール基の放出反応速度論を増加させることがこれまでに示された[JACS、2003、125、11146‐11147]。例えば、kcatはフェノール脱離基により54s‐1となり5倍増加した。この現象に基づき二重結合をCNIRのプローブに挿入した。図22に示した構造に対応するプローブを図25に例示する。前に示した例において二重結合がcis構造を持つため、ここでの構造は非常に大きなアリル基によりtransとなる事が予想される。同様に、Blucoへ挿入された二重結合はBluco2を誘導し、Blucoより良い反応速度論を持つ事が予想される(図24)。
【0150】
3'末端部位のカルバミン酸結合
3'末端部位における結合の第2のタイプは加水分解後、より速い断片化を示すため、より良い感度をもたらす。このデザインではカルバミン酸結合とD‐ルシフェリンのアミノ類似体であるアミノD‐ルシフェリンが用いられる。カルバミン酸結合は、優れた脱離基として(体内で代謝されて有効になる薬物)プロドラッグのデザインにおいて広く用いられる。Bla開裂でカルバミン酸が放出され、その後二酸化炭素とルシフェラーゼの基質である遊離アミノD‐ルシフェリン(図26)に分解される。同様に、この結合はCNIRプローブにも適用される(図26)。
【0151】
組織分布の評価によるSRELとREF感度の改善
存在する濃度を同定するためにCNIR基質の蛍光を用い組織分布解析を行った。開裂により蛍光が増加するため、非開裂の基質の分布はBlaCの存在下でインキュベートし、蛍光を測定する事により同定し、開裂した基質の濃度は直接蛍光を評価する事により同定した。組織においてこの方法(により検出した基質は実際の)基質の存在と近いものではあるが、組織サンプル内の自家蛍光、潜在的な阻害物質の存在と基質の自然発生的な加水分解により得られるデータが影響を受ける事が考えられるため、決定的なものであるとは言えない。より詳細な組織分布データは、放射性標識したプローブの分布の解析から得る事が可能である。生体内において簡便にプローブの分布を追跡できるようCNIR5をI125のような放射性ヨウ素で標識した。タンパク質においてチロシンを標識するプロトコルを用い、 CNIR5の芳香族基を同様にヨード化する。標識したプローブをマウスに接種し、ダイナミックなSPECTイメージングを行う。様々な時間間隔においてマウスをsacrificeし、放射能をカウントするため器官を収集する。同時にプローブの遊離画分を検死後に得た溶解性成分を用いHPLC法により直接評価する。組織の(全体と溶解性の)ホモジェネートは、放射能標識しない(コールド)プローブを用い蛍光により評価し、放射能標識した(ホット)プローブの分画はシンチレーション検出の後にHPLCにより溶解性成分の評価を行う。これらが開発され組織分布を改善する潜在性に対する知見を提供する事が確認されれば、同様の実験は新規のMtb特異的プローブでも行われる。
【0152】
ベータガラクトシダーゼの使用によるSRELとREF感度の改善
異なるSREL/REF酵素システムがBlaCを上回るより良い酵素反応速度論または使用可能な基質により大きな利点を持つ可能性があるため、蛍光(DDAOG)とベータガラクトシダーゼ(lacZ)、またはMtbとSREL/REFのための発光基質(Lugal)を使用する。DDAOGとLugalは共にインビトロイメージングに有用であり、Lugalはマウスの皮下感染のイメージングに使用される。DDAOGはインビトロで有望な結果を示したが、我々は生体内でそれを評価していない。 基質とともにルシフェラーゼが(対象に)輸送されることを必要とする発光基質と比較し、蛍光基質の使用にはいくつかの利点があるため、DDAOGが生体内でLugalと同等の感度を持つかどうかを同定することが重要である。このシステムにはBlucoにおけるものと類似した問題点がある。DDAOGまたはDDAOGに基づき改良された修飾化合物は、最終的に最も感度の高いシステムの1つであると証明される可能性があり、このシステムを迅速に結核コミュニティ(結核に従事するグループ) にとり価値あるものとしてくれるであろう多くの研究者により既に使用されている多くの比色レポーターシステムがあり、我々はそのシステムを用い、生きた動物における結核感染症のイメージングにおいて成果を挙げる必要がある。
【0153】
実施例13
大きなラクタムを用いたSRELとREFプローブの特異性の改善
感度を改善したプローブ開発の為に用いられた戦略と同様の戦略が、他の細菌種において存在するベータラクタマーゼを上回るMtb BlaCを選択可能であるプローブを開発する為に用いられる。これらのベータラクタマーゼ酵素の中で最も良く特性が明らかにされているのは、多くの反応速度論解析に使用され、真核生物システムの重要なレポーターとして既に使用されている大腸菌TEM‐1である。感度の改善を比較として用いるこのアプローチの主要な違いは、反応速度論においてMtb BlaCと大腸菌TEM‐1の間で最も大きな相違を持つ化合物に対し焦点が当てられているという事にある。大部分のベータラクタムがTEM‐1酵素でより良い反応速度論を示すが、Mtb BlaCでTEM‐1より良い反応速度論を示す3つのベータラクタムが特定された。これらは、セフォペラゾン、セフォタキシムとセフォキシチンである。これら化合物の反応速度論はかなり相違があるが、セフォペラゾンはMtb酵素でTEM‐1酵素より10‐100倍の速い反応速度論を示し、それがこの酵素に特異的なプローブの開発の良い候補であることを示唆する。CNIR化合物はセフォペラゾンに基づいて作成され、リードアウト(計測器が示した値、情報)として蛍光で96穴フォーマットにおいて精製したBlaCとTEM‐1を用い同定したその酵素反応速度論パラメータによりその特性を解析する。
【0154】
制限された構造ライブラリーを用いたSRELとREFプローブの特異性の改善
実施例12で開発した化合物のライブラリーは我々のSRELとREFプローブの特異性を改善するのにもまた用いることが可能であるが、修正されたハイスループット検索は酵素運動速度論よりむしろ特異性に焦点を置いた検索に用いられる。基本的に、各々の化合物は先に述べたようにBlucoを基礎とした基質として合成され、その化合物は我々のハイスループット発光解析において精製したBlaCとTEM‐1の存在下で評価される。全ての化合物をまず BlaCで当たりを付け、そしてその中から他の酵素に対して働きが悪い基質となるものを同定するためTEM‐1 Blaで検索を行う。さらに安定な化合物だけを確実に選択すべく全ての化合物の37℃の水における安定性を予め検索する。解析は平行して行い、結果は全てTEM‐1発光に対するBlaCの比率として表す。我々は最初に30分の反応後、BlaC酵素で10倍以上速い運動速度論を示す分子で閾値を設定した。ソリッド構造活性相関(SAR)を構築するためBlaCとTEM‐1酵素との結晶構造に対し各々の化合物についてコンピュータでのモデル化を行う。REFに使用するCNIR基質にこれらの知見を利用できるという仮定は、CNIRとBlucoに基づくセフォペラゾンプローブの活性を比較することにより最初に確かめられた。これらのデータを手にし、皮下とエアロゾル接種後のマウスの感染中、マクロファージで細胞内増殖する場合、良い特異性を持つものと同定したラクタムはさらにREFプローブへと発展させ、インビトロでMtb全細胞におけるそれらの検出能の評価を行う。
【0155】
実施例14
生きたマウスのイメージングにおけるCBRの評価
我々の最初の研究でコメツキムシ赤い発光酵素(CBR)がインビトロおよび組織培養細胞でMtbのレポーターとして非常によく機能することが明らかになった。インビトロで生じたシグナルと閾値の検出に関してCBRはホタルルシフェラーゼ(FFlux)と比較可能である事が明らかとなった。しかしながら、マウスの皮下と肺感染のにおいてCBRの検出閾値はFFluxより有意に良い値となった。この予備的な観察結果は、接種原(接種材料)、生体内における細菌の代謝の影響、または、発光の反応速度論の違いによるものである可能性がある。これら各々のパラメーターを肺感染と皮下感染においてMtbの生存能の解析のためのリポーターとしてのCBRの有用性の慎重な解析により分析する。レポーターが応答する事を証明するため生物発光シグナルのスペクトルが混合しない組合せで異なる部位からの皮下接種により同じ動物で発光の反応速度論を評価し直接FFluxと比較する。肺感染は比較可能な細菌数で感染させた一組のマウスで平行して個別に評価する。インビトロで低酸素状態のシグナル強度に対する影響の解析により、低酸素障害におけるCBRの潜在的な感度についての見識を得る。例えば低いpHやROSとRNSの存在といった生体内で起こる可能性のある他のストレスについても解析する。
【0156】
治療評価におけるCBRイメージングの解析
CBRルシフェラーゼシグナルはATP依存性であるので、このイメージングシステムは細菌の生存力において治療法の効果を迅速に評価する独特で有利な条件(状況)を提供する。このシステムに関する主要な問題点のいくつかは、いかにして迅速に測定可能なシグナルの違いを得るのか、そしてそれがいかに正確にMICs(最小発育阻止濃度)を同定するのに用いることが可能であるかということにある。 この分析法を用いイソニアジドとリファンビシンのMtbにおけるMICsを同定する。実験により同定されたMICをODとCFUに基づいた解析で得られたデータと比較する。シグナル損失の反応速度論は、全体におけるMtb解析を用い、抗生物質0.5x、1xと5xのMICの存在下、マクロファージの細胞内で評価される。一度反応速度論をインビトロで同定し、細菌の生存能の違いをCFUにより比較されると、処理後の細菌の増殖能およびCFUと発光との間に良い相関関係があるかどうかが評価される。一旦CFUと発光の間の相関関係がインビトロで増殖した細菌において同定されればすぐに、マウスの皮下と肺感染の治療における発光に対する影響の反応速度論が解析される。肺と皮下との環境では細菌のアクセスしやすさの違いが予想される。両方の接種経路を用いることでシグナル損失の反応速度論もまた両者で異なる。これらの研究は、マウスを用いた治療法の迅速な評価におけるCBRの有用性についての見識を提供する。結果を速く得るべく、これらの実験は感染の急性期に着目し行われたものであるが、続く以降の実験は細菌が高率で複製していない場合、このシステムがまた治療法を評価することに有用かどうかを立証するためマウス感染の慢性期において行われる必要がある。
【0157】
二重CBR‐REF光学イメージングシステムの開発
細菌の生存能の迅速な読み出しを可能にするためCBRシステムは有効であるが、場合によっては、この種のシステムは最適でない可能性がある。 最大の光を作り出す事が不可能な細菌の代謝率の状況下では、ルシフェラーゼベースのシステムは、最適な代謝状況下に比べ感度が落ちる。CBRを用い治療における影響が評価され、異なる組織における細菌が定量化され、REFはそれらの細胞内局在を同定するのに用いられる。異なる環境における細菌数の評価のためのこれらの2つのシステムの潜在的な有用性に対する見識を得るため、肺と皮下感染後のCBRとREFのシグナル損失の両反応速度論をマウスを用い解析する。発光は抗生物質の配送と同時にすぐに減少し、シグナル損失を観察するため24時間程度のREFシグナルが必要となる。代謝活性におけるCBRとREFの感度の違いは代謝状態とリアルタイムに連動して細菌数を評価する可能性を提供する。動物でMtb感染において全ての細菌の代謝状態はどのような状態にあるか依然として不明であるため、これは開発すべき重要なシステムである。このイメージングシステムはリアルタイムで各々のシグナルの有無により生きた動物で異なる環境における輸送を直接観察することを可能にした最初の手段を提供する。細菌が罹患対象以外には存在しない場合の様に、ある環境下では治療法とは殺菌を指す事があるため、この能力は治療法の評価においてかなりの重要性を持つ事が証明されるものと考えられる。また、前臨床研究の継続という意味においても重大な検討となりうる。
【0158】
以下の論文をここに引用した:
1. Flores et al. 2005, J Bacteriol, 187:1892‐1900.
2. Jacobs et al. 1991, Methods Enzymol, 204:537‐555.
3. Gao et al. 2003, J. Am. Chem. Soc. 125:11146‐11147.
4. Cirillo et al. 1994, Molec. Microbiol., 11:629‐639.
5. Lyons et al. 2004, Tuberculosis (Edinb), 84:283‐292.
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10. Weigeshaus et al. 1970, Am. Rev. Respir. Dis., 102:422‐429.
11. Cao et al. 2005, Transplantation, 80:134‐139.
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14. Xing et al. 2005, J Am Chem Soc, 127:4158‐4159.
15. Derossi et al. 1996, J Biol Chem, 271:18188‐18193.
16. Derossi et al. 1996, J Biol Chem, 269:10444‐10450.
17. Cirillo et al. 1991, J. Bacteriol., 173:7772‐7780.
18. Rowland et al. 1999, FEMS Microbiol Lett, 179:317‐325.
本明細書において言及する全ての特許または出版物は本発明に関係する当業者の水準を示すものである。各々の出版物が引用される事により特異的にそして個別に取り込まれるのと同じ程度、これらの特許と出版物は引用される事によりここに取り込まれる。
【0159】
当事者はすぐに本発明を対象に対し施行し、行う中で本来その技術が持つ特有の長所と同様に最終的に記載した様な長所(利点)を 得るのに非常に適していると即座に認知することとなるであろう。当業者にとり本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な修正や変更が進行中の発明においてなされることは明らかである。当業者により本請求の範囲により定義されるように本発明の精神の範囲内で包含される(その中における)変更と他の用途への転用という事態が生じるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるリアルタイムでの病原性細菌の検出するための方法であって、該方法は、
病原性細菌のベータラクタマーゼの蛍光、発光または比色基質を対象または生物学的サンプルに導入する工程;
基質におけるベータラクタマーゼ活性による産物により対象またはサンプルをイメージングする工程;および
ベータラクタマーゼ産物により生じる波長シグナルを得る工程;
それにより対象における病原性細菌を検出する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
対象で病原性細菌の局在を同定するために放出されたシグナルを三次元画像再構成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コントロールで測定されたシグナルより強く放出されたシグナル強度に基づく病原性細菌と相関した病態生理学的症状をリアルタイムに診断する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記病態生理学的症状が結核であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光、発光または比色基質が蛍光発生基質であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光発生基質がCNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR5−QSY22、CNIR7、CNIR9、CNIR10、CNIR7―TAT、ケージドルシフェリン、比色試薬またはその誘導体であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記病原性細菌がバクテロイデス属、クロストリジウム属、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス、ヘモフィルス属、レジオネラ、マイコバクテリウム、大腸菌、サルモネラ属、赤痢菌またはリステリア属の細菌種を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
イメージング波長が約300nmから約900nmまであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
発生するシグナルの波長が約300nm〜約900nmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
対象において病原性細菌と相関した病態生理学的症状を診断するための方法であって、該方法は、
それらから由来の生物学的サンプルに病原性細菌のベータラクタマーゼの蛍光または発光基質を対象に投与または接触させる工程;
基質に対するベータラクタマーゼ活性の産物により対象をイメージングする工程;および
産物から生じる波長で蛍光、発光または比色シグナル強度をリアルタイムに測定する工程;
そこでのコントロールシグナルより強い蛍光、発光または比色シグナル強度は病態生理学的症状の診断と相関する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
微生物病原体の局在を同定するためにシグナルの三次元画像再構成を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記病態生理学的症状を治療するため効果的な一つまたはそれ以上の治療的化合物を投与する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記対象に蛍光発生基質を再度投与する工程、またはそれらから由来の生物学的サンプルと蛍光発生基質とを接触させる工程;および
治療的化合物の有効性をモニターするため前記対象または前記生物学的サンプルをイメージングする工程;
そこで、診断時におけるシグナルと比較し、発生したシグナルの減少は前記病態生理学的症状に対する治療的な影響を示す工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記病態生理学的症状が結核であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記病原性細菌がバクテロイデス属、クロストリジウム属、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス、ヘモフィルス属、レジオネラ、マイコバクテリウム、大腸菌、サルモネラ属、赤痢菌またはリステリア属の細菌種を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記蛍光発生基質がCNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR5‐QSY22、CNIR7、CNIR7‐TAT、CNIR9、CNIR10、ケージドルシフェリン、比色試薬またはその誘導体であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
イメージング波長が約300nmから約900nmまでであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
放出されたシグナルの波長が約300nm〜約900nmであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項19】
対象において病原性細菌と相関した病態生理学的症状を治療するのに効果的な治療的化合物の検索するための方法であって、該方法は、
病原性細菌に対する潜在的な治療的化合物の選択を行う工程;
蛍光、発光または比色検出試薬と細菌の細胞を接触させる工程;
潜在的な治療的化合物と細菌の細胞を接触させる工程;および
潜在的治療的な合成物の存在下および非存在下において細菌の細胞から放出される蛍光、発光または比色シグナルを測定する工程;
その際、治療的な化合物の非存在下におけるそのシグナルと比較し、治療的な化合物の存在下でシグナルの減少の観察は病原性細菌に対する化合物の治療的な影響を示す工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
病原性細菌が組み換え型細菌、つまり蛍光、発光または比色検出試薬を含む発現ベクターにより野生型細菌を形質転換する工程を含む、蛍光、発光または比色検出試薬と細菌とを接触させる工程であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記発現ベクターが蛍光タンパク質を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記蛍光タンパク質がmPlum、mKeima、McherryまたはtdTomatoであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記発現ベクターがベータガラクトシダーゼ遺伝子を含み、ベータガラクトシダーゼ酵素の存在下で蛍光シグナルを放出するため効果的なフルオロフォアを組み換え型細菌の細胞と接触させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記フルオロフォアがC2FDG、C12RG、DDAOGまたはその誘導体であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
発現ベクターがルシフェラーゼ遺伝子を含み、D‐ルシフェリンを組み換え型細菌の細胞と接触させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記ルシフェラーゼがホタルルシフェラーゼ、コメツキムシ赤またはrLuc8であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
蛍光検出試薬が細菌のベータラクタマーゼの蛍光発生基質であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項28】
病原性細菌を蛍光発生基質CNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR5―QSY22、CNIR7、CNIR9、CNIR10、CNIR‐TAT、ケージドルシフェリン、比色試薬またはその誘導体と生体内で接触させることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
病原性細菌を蛍光発生基質CC1、CC2、CHPQ、CR2、CNIR1、CNIR6またはその誘導体とインビトロで接触させることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項30】
病原性細菌がバクテロイデス属、クロストリジウム属、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス、ヘモフィルス属、レジオネラ、マイコバクテリウム、大腸菌、サルモネラ属、赤痢菌またはリステリア属の細菌種を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項31】
病態生理学的症状が結核であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項32】
病原性細菌をイメージングするための方法であって、該方法は、
ベータラクタマーゼ酵素の蛍光発生基質を病原性細菌に接触させる工程;
基質におけるベータラクタマーゼ活性の産物による励起波長を病原性細菌に輸送する工程;
産物から生じる蛍光、発光または比色シグナルを得る工程;および
獲得したシグナルから三次元画像再構成を得る工程と、それにより病原性細菌をイメージングする工程を含むことを特徴とする病原性細菌をイメージングする方法。
【請求項33】
前記病原性細菌がバクテロイデス属、クロストリジウム属、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス、ヘモフィルス属、レジオネラ、マイコバクテリウム、大腸菌、サルモネラ属、赤痢菌またはリステリア属の細菌種を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
励起波長が約540nmからお約730nmまでであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
発されたシグナルの波長が約650nm〜約800nmであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記病原性細菌を蛍光発生基質CNIR2、CNIR3、CNIR4、CNIR5、CNIR5―QSY22、CNIR7、CNIR9、CNIR10、CNIR‐TAT、ケージドルシフェリン、比色試薬またはその誘導体と生体内で接触させることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記病原性細菌を蛍光発生基質CC1、CC2、CHPQ、CR2、CNIR1、CNIR6またはその誘導体とインビトロで接触させることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項38】
CNIR‐7、CNIR7‐TATまたはその誘導体である、細菌のベータラクタマーゼのための蛍光発生基質。
【請求項39】
対象においてリアルタイムに病原性細菌を検出するための方法であって、該方法は、
ガンマ放出に関連する放射性同位元素で標識した基質を対象に導入する工程;を含み、前記基質はベータラクタマーゼまたは他の酵素または病原性細菌特異的なタンパク質であり;
前記方法はさらに、
それが活性化状態にある間、放射性同位元素で標識した基質からのガンマ線放出により対象をイメージングする工程;
放出されたガンマ線により発生するシグナルを得る工程;および
対象におけるガンマ線により生じたシグナル強度に基づく放射性同位元素標識の集積により三次元画像再構成を行う工程;
それにより病原性細菌を検出する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
その検出に基づく病原性細菌と相関する病態生理学的症状をリアルタイムで診断する工程をさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法
【請求項41】
前記病態生理学的症状の治療に効果的な一つまたはそれ以上の治療的化合物を投与する工程をさらに含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
対象に放射性同位元素で標識した基質を再度投与する工程;および
治療的化合物の有効性をモニターするため対象を再度イメージングする工程;
そこで、診断時におけるガンマ放出と比較したガンマ放出の減少は病態生理学的症状に対する治療的な影響を示す工程をさらに含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記病態生理学的症状が結核であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項44】
放射性標識が陽電子放出同位元素であり、陽電子[ポジトロン]放出(型)断層撮影法(PET)によりイメージングを行うことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項45】
放射性標識が直接ガンマ線を放出する同位元素であり、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)によりイメージングを行うことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記他の酵素またはタンパク質がベータラクタマーゼ様酵素またはペニシリン結合タンパク質であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記病原性細菌がバクテロイデス属、クロストリジウム属、連鎖球菌、ブドウ球菌、シュードモナス、ヘモフィルス属、レジオネラ、マイコバクテリウム、大腸菌、サルモネラ属、赤痢菌またはリステリア属の細菌種を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項48】
PETまたはSPECTイメージングに適した細菌のベータラクタマーゼのための放射性同位元素標識した基質。
【請求項49】
標識用放射性同位元素がフッ素‐18、窒素‐13、酸素‐18、カーボン‐11、テクネチウム‐99m、ヨウ素‐123またはインジウム‐111であることを特徴とする請求項48に記載の放射性同位元素で標識した基質。

【図2B】
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【図3B】
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【図5A】
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【図12】
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【図13A−13D】
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【図14A−14D】
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【図15A−15E】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図25】
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【図26】
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【図1】
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【図2A】
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【図3A】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13E】
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【図14E】
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【図15F】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17D】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2011−530285(P2011−530285A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522063(P2011−522063)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/004503
【国際公開番号】WO2010/016911
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(510162539)ザ テキサス エーアンドエム ユニバーシティ システム (2)
【氏名又は名称原語表記】THE TEXAS A&M UNIVERSITY SYSTEM
【住所又は居所原語表記】3369 TAMU College Station, Texas 77843−3369, United States of America
【出願人】(506330896)ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・レランド・スタンフォード・ジュニア・ユニバーシティ (15)
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF TRUSTEES OF THE LELAND STANFORD JUNIOR UNIVERSITY
【Fターム(参考)】