説明

インフレーター

【課題】簡便な組付作業としても、ガイドを強固に安定してハウジングに保持させることができるインフレーターを提供すること。
【解決手段】インフレーター1は、流出口7を破裂板8で塞いで構成される加圧ガス室3と、破裂板を破裂可能なガス発生器を保持して加圧ガスCGを外部に吐出可能な吐出口18を有したハウジング10と、ガス発生器からの燃焼ガスGGを破裂可能に破裂板8に案内するガイド40と、を備える。ガイド40は、先端を流出口7側に延ばす略円筒状の噴出筒部43と、噴出筒部43の元部側に配置される取付座41と、取付座41と噴出筒部43との間に配置される連結部42と、を備える。ガイド40は、噴出筒部43を、ハウジングの接続筒部15の内周面15aとの間に隙間Hを開けて流出口7側に延ばし、かつ、取付座41を、ハウジングの段差面16に当接させつつ保持筒部11に保持させて、配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動時のガス発生器から噴出される燃焼ガスにより、破裂板を破裂させ、加圧ガス室に封入しておいた加圧ガスを吐出口から吐出させる構成のインフレーターに関し、例えば、車両に搭載されて乗員や歩行者を保護可能にエアバッグを膨らませるためのエアバッグ装置に、好適に使用できるインフレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインフレーターとしては、封入した加圧ガスを流出させるための流出口を破裂板で塞いで構成される加圧ガス室と、加圧ガス室の流出口に連なるように配設されて、作動時に噴出する燃焼ガスによって破裂板を破裂可能なガス発生器(マイクロガスジェネレータ)を保持するハウジングと、を備えて構成されていた。また、ハウジングは、ガス発生器と流出口との間に、破裂板の破裂によって流出する加圧ガスを外部に吐出可能な吐出口を設けて、構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、この種のインフレーターでは、ガス発生器が、小さな出力としていても、作動時に円滑に破裂板を破裂可能に、噴出する膨張用ガスを破裂板に対して、収束させるように、ガス発生器の流出口側にガイドを設けていた。このガイドは、先端側に向けて内周をテーパ状に狭めるように、形成されて、ガス発生器から噴出する燃焼ガスを、開口を狭めた先端から流速を高めて、破裂板の小さなエリアに集中させ、円滑に破裂板を破裂させるように、構成されていた。
【特許文献1】特表2006−502030公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の燃焼ガスを収束させるようなガイドを設けたインフレーターでは、ガイドが、ガス発生器から流出口側に延びつつ、ガス発生器の外周面に密着して組み付けられ、さらに、ハウジングの流出口側の開口からガス発生器とともに、挿入され、そして、ガイドの流出口側への移動を規制できるように、ハウジングの流出口側の先端を、ガイド側の環状溝に折り曲げるようにかしめて、ハウジングに固定されていた。
【0005】
すなわち、従来のガイドは、ガス発生器から噴出する燃焼ガスの噴出によって、ガス発生器から流出口側に外れないように、流出口側への移動を規制可能に、流出口側へ向けた端面部位に係止されるように、ハウジングの先端側を塑性変形させつつ折り曲げていたことから、組付に手間がかかっていた。そして例えば、圧力を高めて加圧ガスを加圧ガス室に封入する際には、破裂板の強度を高める必要が生じ、その際、破裂板への燃焼ガスの収束形態を、一層狭い範囲に、収束させて、破裂板を破裂させる必要が生ずる。しかし、その場合には、燃焼ガスの噴射時に、ガイドがガス発生器から外れないように、一層強固にハウジングにガイドを係止する構造が必要となり、従来のインフレーターでは、ハウジングによるガイドの保持構造に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便な組付作業としても、ガイドを強固に安定してハウジングに保持させることができるインフレーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインフレーターは、封入した加圧ガスを流出させるための流出口を破裂板で塞いで構成される加圧ガス室と、
加圧ガス室に連なるように配設されて、作動時に噴出する燃焼ガスによって破裂板を破裂可能なガス発生器を保持するとともに、ガス発生器と流出口との間に、破裂板の破裂によって流出する加圧ガスを外部に吐出可能な吐出口を有したハウジングと、
ガス発生器から噴出する燃焼ガスを収束させて、破裂を促進可能に燃焼ガスを破裂板に案内するガイドと、
を備えてなるインフレーターであって、
ガイドが、
先端を流出口側に延ばして、内径寸法を流出口の開口寸法より小さくする略円筒状の噴出筒部と、
噴出筒部の元部側に配置されて噴出筒部の軸直交方向に鍔状に延びる取付座と、
取付座から噴出筒部の内周側にかけて略円弧状に曲がる曲がり板状として、取付座と噴出筒部との境界部位に配置される連結部と、
を備えて構成され、
ハウジングが、
内周側にガス発生器を保持する保持筒部と、
保持筒部から流出口側にかけて配設されて、保持筒部の内周面から保持筒部の軸心側に延びる段差面を有して、保持筒部の内径寸法より小径として流出口側に延びるとともに、内外周を貫通するように吐出口を設けて加圧ガス室に連なる接続筒部と、
を備えて構成され、
ガイドが、噴出筒部を、接続筒部の内周面との間に隙間を開けて流出口側に延ばし、かつ、取付座を、段差面に当接させつつ保持筒部に保持させて、配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るインフレーターでは、ガス発生器が作動されて、燃焼ガスが噴出されれば、燃焼ガスは、ガイドの噴出筒部を経て、破裂板に当たる。この時、ガイドの噴出筒部は、先端を流出口側に延ばして、内径寸法を流出口の開口寸法より小さくしており、開口を狭めた先端から流速を高めて、破裂板の小さなエリアに集中させ、円滑に破裂板を破裂させることができる。そして、破裂板が破裂すれば、加圧ガス室の流出口が開口されて、加圧ガスが、流出口から、ガイドの噴出筒部とハウジングの接続筒部との間を経て、接続筒部の吐出口側に流れ、吐出口から吐出されることとなる。
【0009】
そして、ガイドは、取付座を、ガス発生器の燃焼ガスの噴出方向と対向するように配置されたハウジングの段差面に、当接させており、ガス発生器から燃焼ガスが噴出されて、取付座から連結部の内周面、さらには、噴出筒部の内周面側に、燃焼ガスの噴出時の圧力が加わっても、ハウジングの段差面が燃焼ガスの噴出方向に移動しようとする取付座を正対して受け止めることができ、ハウジングに強固に安定して保持される状態を維持することとなる。そして、ガイドは、単に、取付座を、ハウジングの段差面に当接させて、保持筒部に保持させればよく、段差面の部位に溶接したり圧入させたりして、容易に、ハウジングに組み付けることができる。換言すれば、ハウジングの段差面は、取付座を介在させて燃焼ガスの噴出時の圧力を受ける際、圧縮荷重を受けるだけであって、従来のような組付時に曲げ塑性変形させるようにかしめてガイドを係止する場合に比べて、ガイドの組付時に曲げ加工することなく、燃焼ガスの噴出方向の十分な厚さ寸法を、予め容易に確保できており、その結果、ハウジングは、シンプルな段差面の構造と簡単な組付作業とによって、容易に、ガイドを強固に保持することができることとなる。
【0010】
さらに、ガイドは、ガス発生器側に組み付けられることなく、ハウジング側に組み付けられているため、噴出筒部の長さや内径寸法を変えて、破裂板への燃焼ガスの収束形態を変更させることとなっても、ガイドのハウジングへの組付部位となる取付座の形状やハウジングの組付部位を変更しなくとも済み、簡便なハウジングへの組付作業を維持して、容易に対処できる。
【0011】
したがって、本発明に係るインフレーターでは、簡便な組付作業としても、ガイドを安定してハウジングに保持させることができ、さらに、破裂板への燃焼ガスの収束形態を変更させることとなっても、容易に対処することができる。
【0012】
そして、本発明に係るインフレーターでは、ガイドの取付座を、ハウジングの保持筒部における段差面の部位に圧入させて、ハウジングに保持させる構成とすれば、ガイドのハウジングへの組付作業が容易となり、インフレーターの製造工数・コストを低減することができる。
【0013】
さらに、本発明に係るインフレーターでは、ガス発生器が、流出口側の面に、作動時における燃焼ガスの噴出時に、中心から放射状に破断する破断部位を形成して開く複数の扉部を設けて、構成されている場合には、ガイドは、ガス発生器の燃焼ガスの噴出時に開く各扉部を、連結部の内周面側によって、受け止め可能とする位置に、ハウジングに保持させて、配置することが望ましい。
【0014】
このような構成では、作動時のガス発生器の各扉部が開く際、ガイドの連結部の内周面側が、各扉部を受け止める。そして、連結部は、取付座から噴出筒部の内周側にかけて略円弧状に曲がる曲がり板状としており、連結部に受け止められる各扉部は、略90°未満の開き角度で曲がり板状に開くこととなり、遠心力を抑制されて、開き時の中心であるヒンジ部付近での応力集中が生じ難くなり、扉部がヒンジ部付近から分離することを的確に防止可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1に示す実施形態のインフレーター1は、車両に搭載されるエアバッグ装置のエアバッグを膨張させる膨張用ガスを吐出するために使用され、作動時に、加圧された加圧ガスCGと燃焼ガスGGとを混合させた膨張用ガスIGを吐出口18から吐出するハイブリッドタイプとしている。
【0016】
実施形態のインフレーター1では、図1に示すように、加圧ガスCGを封入させた加圧ガス室3と、ガス発生器22を保持するハウジング10と、ガイド40と、を備えて構成されている。加圧ガス室3は、鋼製の略円筒状のボトル4を備えて構成されるとともに、ボトル4の塞がれた先端部から離れた元部側の開口4aを、閉塞壁6に塞がれて構成されている。閉塞壁6には、鋼板等からなる破裂板8に塞がれた流出口7が配設されている。この加圧ガス室3には、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、または、それらの混合ガス等からなる加圧ガスCGが、充填口4bから充填されている。充填口4bは、加圧ガスCGの充填後に、ボトル4に溶接される封止キャップ5によって、塞がれている。閉塞壁6は、実施形態の場合、ハウジング10の先端側における縮径部19を、開口4aの内周側に溶接させて、構成され、既述の流出口7を開口させた縮径部19の先端面20側において、、流出口7を塞ぐように、破裂板8が加圧ガス室3の内周側から溶接等を利用して固着されている。
【0017】
ガス発生器22は、内部にガス発生剤30を充填したカップ部23と、ガス発生剤30を燃焼させて燃焼ガスGGを発生させるための点火用のスクイブ32と、カップ部23とスクイブ32とを結合させるホルダ36と、を備えて構成されている。スクイブ32は、カップ部23側となる先端側に点火部33を配設させ、ハウジング10の元部側に、点火部33を点火させるための電気信号を入力させる図示しないリード線を結線するターミナル部34を配設させて、構成されている。
【0018】
カップ部23は、図2,4に示すように、アルミニウム合金等の金属製として、円筒状の周壁部24と、周壁部24の流出口7側となる先端側で周壁部24を塞ぐように配設される先端壁部25と、を備えて構成されている。カップ部23の先端壁部25には、図4に示すように、ガス発生器22の作動時(ガス発生剤30の燃焼時)に破断可能とされる薄肉状の破断予定部26が、先端壁部25の中央から略放射状に延びる線状に形成されている。実施形態の場合、破断予定部26は、先端壁部25の外表面に、先端壁部25の肉厚の1/2程度の深さの切り込みを連続的に設けるようにして構成されるもので、先端壁部25の中央から放射状に延びるように、複数箇所(実施形態の場合、6箇所)に、形成されている。さらに詳細には、破断予定部26は、先端壁部25を分断するように形成されるものではなく、端部を先端壁部25の外周縁より若干内側に位置させるようにして、構成されている。そして、この先端壁部25における破断予定部26間の部位が、扉部27として構成され、これらの略三角板状の6枚の扉部27が、ガス発生器22の作動時において破断予定部26の破断時に、それぞれ、周壁部24との境界部位付近(先端壁部25の外周縁付近)を開きの中心とするヒンジ部28として、放射状に開くこととなる。
【0019】
ガス発生剤30は、燃焼時に燃焼ガスGGを発生可能な所定の薬剤を、所定形状に成形して、構成されるもので、実施形態の場合、略球状とされて、カップ部23内に充填されている(図1,2参照)。
【0020】
ホルダ36は、図1に示すように、アルミニウム合金等の金属製の略円筒状としており、カップ部23とスクイブ32とを挿入した状態で、前後両端を縮径させるようにかしめて、カップ部23とスクイブ32とを結合させるように保持している。
【0021】
ハウジング10は、図1に示すように、加圧ガス室3の元部側のボトル4における開口4a側に連なるように配設される略円筒状の鋼等からなる金属製として、内周側にガス発生器22を保持する保持筒部11と、保持筒部11から加圧ガス室3側に延びる接続筒部15と、を備えて構成されている。
【0022】
保持筒部11は、元部11aの端末に配置されて(図1参照)、ガス発生器22のホルダ36をかしめてガス発生器22を前後移動を不能に保持するかしめ部12と、かしめ部12から流出口7側の先端部11b(図2参照)側にかけて、内径寸法を一定とする円筒状のストレート部13と、を備えて構成されている。
【0023】
接続筒部15は、図2に示すように、保持筒部11のストレート部13に連なるストレート部17と、加圧ガス室3側の縮径部19と、を備えて構成されている。ストレート部17は、保持筒部11のストレート部13の内周面13aから保持筒部11の軸心O側に延びる段差面16を有するように、保持筒部11のストレート部13の内径寸法D1より小径の内径寸法D3として、流出口7側に延びる円筒状に形成されている。縮径部19は、ストレート部17の先端からさらにストレート部17の内径寸法D3より内径寸法D4を狭めるように、縮径させるように構成されて、流出口7を形成している。そして、縮径部19の先端面20には、既述したように、破裂板8が固着されている。
【0024】
また、接続筒部15のストレート部17には、周方向に沿った放射状に、内外周を貫通するように、複数(実施形態の場合は4個)の吐出口18が開口されている。
【0025】
なお、保持筒部11のストレート部13は、図2に示すように、段差面16の近傍で、内周面13aを僅かに縮径させた嵌合部13bを備えている。この嵌合部13bは、内径寸法D2をガイド40の取付座41を嵌合可能な寸法として、長さ寸法L1を取付座41の厚さ寸法T1と略等しくて設定されている(図3参照)。
【0026】
また、保持筒部11のガイド40の取付座41を支持する段差面16は、その厚さ寸法L0(図2参照)を、十分な強度にできるように、設定されている。実施形態の場合、段差面16の部位の厚さ寸法L0は、段差面16からハウジング10の先端面20までの長さとするように、段差面16から先端面20側までのエリアにおいて、周方向の全周にわたって段差面16の領域まで凹むような凹部を設けることなく、設定されている。
【0027】
ガイド40は、高張力鋼等の金属製として、図2,5に示すように、取付座41、連結部42、及び、噴出筒部43と、を備えて構成されている。噴出筒部43は、先端43aを流出口7側に延ばして、内径寸法D5を流出口7の開口寸法(縮径部19の内径寸法)D4)より小さくする円筒状としている。取付座41は、噴出筒部43の元部側に配置されて噴出筒部43の軸直交方向に鍔状に延びる略円環状としている。連結部42は、取付座41から噴出筒部43の内周側にかけて略円弧状(実施形態の場合、略1/4円弧状)に曲がる曲がり板状として、取付座41と噴出筒部43とを連結するように、取付座41と噴出筒部43との境界部位に配置されている。
【0028】
なお、実施形態の場合、ガイド40は、各部位の厚さ寸法T1を等しく設定されている。ちなみに、実施形態の場合、ガイド40の厚さ寸法T1は、1.6mmとし、ボトル4の厚さ寸法T0は、2.0mmとしている。
【0029】
さらに、このガイド40は、噴出筒部43の外径寸法D6を、接続筒部15の内周面15aとの間に隙間Hを開けて流出口7側の縮径部19近傍まで延ばし可能に、ストレート部17の内径寸法D3より、小さくし、かつ、取付座41を、段差面16に当接させつつ保持筒部11に保持させるように、配設されている。
【0030】
実施形態の場合、ガイド40は、図2に示すように、取付座41をハウジング10の保持筒部11における段差面16の部位(嵌合部13b)に圧入させて、ハウジング10に保持されるように、取付座41の外径寸法D7を、嵌合部13bの内径寸法D2と同等、若しくは、内径寸法D2より若干小さく、設定して、構成されている。さらに、噴出筒部43の外径寸法D6は、流出口7の内径寸法D4と等しく設定されている。
【0031】
そして、このガイド40は、保持筒部11に固定(保持)される位置が、ガス発生器22の燃焼ガスGGの噴出時に開く各扉部27を、連結部42の内周面42a側によって、受け止め可能とする位置として、配置されている(図3参照)。
【0032】
実施形態のインフレーター1は、まず、ガス発生器22を組付前の状態のハウジング10の元部11a側から、噴出筒部43を先端にして、ガイド40を挿入し、取付座41を、段差面16に当接させるように、保持筒部11の嵌合部13bに圧入させて嵌合させる。ついで、保持筒部11内に、ガス発生剤30を充填したカップ部23とスクイブ32とをホルダ36で一体化させたガス発生器22を、挿入し、かしめ部12をかしめて、ガス発生器22を保持筒部11に保持させる。その後、流出口7を塞ぐように、破裂板8をハウジング10の先端面20に固着させ、ついで、ハウジング10を、ボトル4の開口4a内に挿入して、ボトル4と溶接する。その後、ボトル4の充填口4bから加圧ガスCGを加圧ガス室3内に充填して、充填口4bを封止キャップ5によって塞げば、インフレーター1を製造することができる。
【0033】
そして、この実施形態のインフレーター1では、ガス発生器22が作動されると、スクイブ32の点火部33が点火され、ガス発生剤30が着火されて燃焼ガスGGを発生させて、発生した燃焼ガスGGが、カップ部23の各扉部27を押し開いて、ガス発生器22から噴出されることとなる。そして、燃焼ガスGGは、ガイド40の噴出筒部43を経て、破裂板8に当たる。この時、ガイド40の噴出筒部43は、先端43aを流出口7側に延ばして、内径寸法D5を流出口7の開口寸法(内径寸法)D4より小さくしており、開口を狭めた先端43aから流速を高めて、破裂板8の小さなエリアに集中させることから、図3に示すように、円滑に破裂板8を破裂させることができる。そして、破裂板8が破裂すれば、加圧ガス室3の流出口7が開口されて、加圧ガスCGが、流出口7から流出し、燃焼ガスGGと混合されて膨張用ガスIGを生成し、膨張用ガスIGが、ガイド40の噴出筒部43とハウジング10の接続筒部15との間の隙間Hを経て、接続筒部15の吐出口18側に流れ、吐出口18から吐出されることとなる。
【0034】
そして、実施形態のインフレーター1では、ガイド40が、取付座41を、ガス発生器22の燃焼ガスGGの噴出方向SDと対向するように配置されたハウジング10の段差面16に、当接させており、ガス発生器22から燃焼ガスGGが噴出されて、取付座41から連結部42の内周面42a、さらには、噴出筒部43の内周面43b側に、燃焼ガスGGの噴出時の圧力が加わっても、ハウジング10の段差面16が燃焼ガスGGの噴出方向SDに移動しようとする取付座41を正対して受け止めることができ、ハウジング10に強固に安定して保持される状態を維持することとなる。そして、ガイド40は、単に、取付座41を、ハウジング10の段差面16に当接させて、保持筒部11に保持させればよく、段差面16の部位(嵌合部)13bに溶接したり圧入させたりして、容易に、ハウジング10に組み付けることができる。換言すれば、ハウジング10の段差面16は、取付座41を介在させて燃焼ガスGGの噴出時の圧力を受ける際、圧縮荷重を受けるだけであって、従来のような組付時に曲げ塑性変形させるようにかしめてガイドを係止する場合に比べて、ガイド40の組付時に曲げ加工することなく、燃焼ガスGGの噴出方向SDの十分な厚さ寸法L0を、予め容易に確保できており、その結果、ハウジング10は、シンプルな段差面16の構造と簡単な組付作業とによって、容易に、ガイド40を強固に保持することができることとなる。
【0035】
さらに、ガイド40は、ガス発生器22側に組み付けられることなく、ハウジング10側に組み付けられているため、噴出筒部43の長さ寸法L2や内径寸法D5を変えて、破裂板8への燃焼ガスGGの収束形態を変更させることとなっても、ガイド40のハウジング10への組付部位となる取付座41の形状やハウジング10の組付部位(嵌合部13b)を変更しなくとも済み、簡便なハウジング10への組付作業を維持して、容易に対処できる。
【0036】
例えば、図6に示すガイド40Aでは、加圧ガスCGの圧力を高めたことに伴って強度を高くした破裂板8Aを、出力を変えないガス発生器22を使用しても、円滑に破裂させるために、図2に示すガイド40に比べ、噴出筒部43の長さ寸法L2を長くし、かつ、内径寸法D5を小さくするように変えている。すなわち、このガイド40Aでは、破裂板8Aへの燃焼ガスGGの収束形態を、一層、一点に集中させる構成としており、この場合でも、ガイド40Aのハウジング10への組付部位となる取付座41の形状やハウジング10の組付部位(嵌合部13b)は、変更しなくとも済み、ガイド40Aを圧入させて組み付ける簡便なハウジング10への組付作業を維持して、容易に対処できる。
【0037】
したがって、実施形態のインフレーター1では、簡便な組付作業としても、ガイド40,40Aを安定してハウジング10に保持させることができ、さらに、破裂板8,8Aへの燃焼ガスGGの収束形態を変更させることとなっても、容易に対処することができる。
【0038】
そして、実施形態のインフレーター1では、ガイド40,40Aを、取付座41をハウジング10の保持筒部11における段差面16の部位(嵌合部)13bに圧入させて、ハウジング10に保持させる構成としており、ガイド40,40Aのハウジング10への組付作業が容易となり、インフレーター1の製造工数・コストを低減することができる。
【0039】
さらに、実施形態のインフレーター1では、ガス発生器22が、流出口7側の面に、作動時における燃焼ガスGGの噴出時に、中心から放射状に破断する破断部位を形成して開く複数の扉部27を設けて、構成されている。そして、ガイド40が、ガス発生器22の燃焼ガスGGの噴出時に開く各扉部27を、連結部42の内周面42a側によって、受け止め可能とする位置に、ハウジング10に保持されて、配置されている。そのため、実施形態のインフレーター1では、作動時のガス発生器22の各扉部27が開く際、ガイド40の連結部42の内周面42a側が、各扉部27を受け止める。そして、連結部42が、取付座41から噴出筒部43の内周面43b側にかけて略円弧状(実施形態の場合には1/4円弧状)に曲がる曲がり板状としており、連結部42に受け止められる各扉部27は、略90°未満の開き角度で曲がり板状に開くこととなり、遠心力を抑制されて、開き時の中心であるヒンジ部28付近での応力集中が生じ難くなり、扉部27がヒンジ部28付近から分離することを的確に防止可能となる。
【0040】
なお、実施形態のインフレーター1では、ガイド40,40Aを嵌合部13bに圧入させるように嵌合させて、ハウジング10の保持筒部11の保持させる場合を例示したが、抵抗溶接等の溶接を利用して、段差面16に取付座41を当接させた状態で、ガイド40,40Aを保持筒部11に保持(固定)させてもよい。勿論、圧入と溶接とを併用して、ガイドを保持筒部に保持させてもよい。
【0041】
また、実施形態では、インフレーターとして、加圧ガスと燃焼ガスとを混合させて吐出させるハイブリッドタイプを例示したが、ガス発生器から噴出する燃焼ガスを、単に、破裂板の破裂に使用するような、ストアードタイプのインフレーターに、本発明を利用してもよい。
【0042】
さらに、破裂板の破裂は、ガス発生器の作動時の衝撃波によってなされる場合もあり、その場合でも、本発明のガイドでは、衝撃波を収束させて、噴出筒部の先端から噴出できることとから、破裂板の破裂が、専ら、ガス発生器の作動時の衝撃波によってなされる場合でも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態であるインフレーターの概略断面図である。
【図2】図1のインフレーターにおけるガイド付近を示す部分拡大断面図である。
【図3】図1のインフレーターの作動時のガイド付近を示す部分拡大断面図である。
【図4】図1のインフレーターのガス発生器におけるカップ部の先端壁部付近を示す部分拡大斜視図である。
【図5】図1のインフレーターに使用するガイドの斜視図であり、正面側と背面側から見た状態を示す。
【図6】図1に示すインフレーターのガイドを変更した場合を示すガイド付近の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…インフレーター、
3…加圧ガス室、
7…流出口、
8,8A…破裂板、
10…ハウジング、
11…保持筒部、
13b…嵌合部、
15…接続筒部、
16…段差面、
18…吐出口、
22…ガス発生器、
27…扉部、
28…ヒンジ部、
30…ガス発生剤、
40,40A…ガイド、
41…取付座、
42…連結部、
42a…(連結部の)内周面、
43…噴出筒部、
GG…燃焼ガス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入した加圧ガスを流出させるための流出口を破裂板で塞いで構成される加圧ガス室と、
前記加圧ガス室に連なるように配設されて、作動時に噴出する燃焼ガスによって前記破裂板を破裂可能なガス発生器を保持するとともに、前記ガス発生器と前記流出口との間に、前記破裂板の破裂によって流出する前記加圧ガスを外部に吐出可能な吐出口を有したハウジングと、
前記ガス発生器から噴出する燃焼ガスを収束させて、破裂を促進可能に燃焼ガスを前記破裂板に案内するガイドと、
を備えてなるインフレーターであって、
前記ガイドが、
先端を前記流出口側に延ばして、内径寸法を前記流出口の開口寸法より小さくする略円筒状の噴出筒部と、
該噴出筒部の元部側に配置されて前記噴出筒部の軸直交方向に鍔状に延びる取付座と、
前記取付座から前記噴出筒部の内周側にかけて略円弧状に曲がる曲がり板状として、前記取付座と前記噴出筒部との境界部位に配置される連結部と、
を備えて構成され、
前記ハウジングが、
内周側に前記ガス発生器を保持する保持筒部と、
該保持筒部から前記流出口側にかけて配設されて、前記保持筒部の内周面から前記保持筒部の軸心側に延びる段差面を有して、前記保持筒部の内径寸法より小径として前記流出口側に延びるとともに、内外周を貫通するように前記吐出口を設けて前記加圧ガス室に連なる接続筒部と、
を備えて構成され、
前記ガイドが、前記噴出筒部を、前記接続筒部の内周面との間に隙間を開けて前記流出口側に延ばし、かつ、前記取付座を、前記段差面に当接させつつ前記保持筒部に保持させて、配設されていることを特徴とするインフレーター。
【請求項2】
前記ガイドが、前記取付座を前記ハウジングの前記保持筒部における前記段差面の部位に圧入させて、前記ハウジングに保持されていることを特徴とする請求項1に記載のインフレーター。
【請求項3】
前記ガス発生器が、前記流出口側の面に、作動時における前記燃焼ガスの噴出時に、中心から放射状に破断する破断部位を形成して開く複数の扉部を設けて、構成され、
前記ガイドが、前記ガス発生器の燃焼ガスの噴出時に開く前記各扉部を、前記連結部の内周面側によって、受け止め可能とする位置に、前記ハウジングに保持されて、配置されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のインフレーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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