説明

インペラ回転軸の断面形状決定方法およびそれを用いたインペラ回転軸

【課題】溶銑の脱硫効率を向上させるために、インペラの回転数を現状より高回転にしても、KR装置が振動しないインペラの回転軸の形状決定方法を提供する。
【解決手段】インペラの現状固有振動数および周波数応答曲線を求め、目標とする回転数における振動の加速度が予め定めた加速度以下となる目標曲げの固有振動数を定め、ついでインペラの固有振動数が上記目標曲げの固有振動数となるように、以下の式(1)を用いて、回転軸の目標断面2次モーメントを求め、さらに上記目標断面2次モーメントを満足するように、インペラの回転軸の断面形状を決定する。ft=α・It-1/2・・・(1)(α=f/I-1/2)ただし、ft:インペラ回転軸の目標曲げの固有振動数[Hz]、It:インペラ回転軸の目標断面2次モーメント[m4]、f:インペラ回転軸の現状固有振動数[Hz]、I:インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント[m4]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硫処理用の溶銑撹拌装置に備わるインペラの回転軸の断面形状を決定する方法およびそれにより得られるインペラ回転軸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉から出銑された溶銑は、トーピードカーなどの搬送容器で運搬され、装入鍋という転炉への溶銑装入専用鍋で転炉に供される。上記出銑された溶銑は、多種の不純物を含んでいるが、中でも硫黄(S)は、鋼の性質に種々の影響を及ぼすことから、これを除去することが重要である。
従来、硫黄の除去すなわち脱硫処理は、その除去コストが少ない溶銑の段階で行われ、脱硫装置としては、インペラを備える溶銑脱硫用の溶銑撹拌装置(以下、KR装置ともいう)が主に用いられている。
【0003】
KR装置による脱硫処理は、溶銑を貯留した鍋形状をなす装入鍋または溶銑鍋に耐火物で形成された十字状の羽(以下、インペラという)を装入し、鍋中央部で回転させ、さらに脱硫剤を鍋上部より添加することにより実施される。なお、脱硫剤としては、通常、石灰を用いる。
【0004】
このKR装置を用いた脱硫処理においては、溶銑に浸漬されたインペラを回転させることにより脱硫剤が溶銑中に分散し、溶銑中のSを除去する脱硫反応が進行する。また、脱硫剤を投入後、所定時間撹拌を継続することで脱硫反応を安定化させる。その後、インペラの回転を停止し、インペラを上昇させた後、溶銑上に浮上したS濃度の高い脱硫スラグをスラグドラッガーなどで除去する。脱硫された溶銑は、転炉に送られ、低S鋼等の製造に供される。
【0005】
近年、低S鋼板の使用用途が拡大するに伴って、溶銑の製造量が一段と増加している。そのため、脱硫処理における脱硫効率の向上に対する要求も、従来に比して大きくなってきている。
ここに、脱硫効率の向上は、主にインペラの回転数を上げることによって行われるが、従来の装置では、撹拌動力を上げるための設備費の増大や、KR装置の損傷につながる振動の増大などの問題を引き起こしていた。
【0006】
これらの問題に対し、特許文献1には、過剰な脱硫を避け、インペラの回転数が120〜140rpmの範囲において、インペラの径と脱硫処理時間とを適切に調整することで脱硫効率
の向上を図る方法が示されている。
【0007】
また、特許文献2には、インペラの径が細くなってきた場合に、140rpm以上という高速回転によってその脱硫効率を上げるという方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−132989号公報
【特許文献2】特開2005−290434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、最近では、鋼板の高強度化等に伴い、低S鋼のニーズが高まっていて、鋼板中のS量を、より低位にすることが求められている。加えて、リサイクル型の溶銑生産の浸透により、高炉に投入されるスクラップ量が増えてきているが、スクラップ量が増えると、溶銑中のS量が増えることになる。
従って、脱硫効率向上のニーズはますます高まり、結果的にインペラを高速回転させる必要性が一段と高まってきている。
【0010】
こうした問題に対し、上掲した特許文献1は、過剰な脱硫を避ける技術であるがゆえに、通常時の脱硫能力は十分とはいえず。また、上掲した特許文献2では、現状のインペラが、使用によりやせ細ったときに、その回転数を140rpm以上とすることができる技術に過ぎないもので、従来公知のKR装置の脱硫効率の維持は行えるものの、脱硫効率を現状以上に向上させるものではない。
【0011】
そこで、発明者らは、上記した種々の課題を解決するために、インペラの径に関係なく、インペラが高速回転してもKR装置が振動しない方策について、鋭意検討を行った。その結果、インペラの回転軸の固有振動数の調整を、回転軸の断面2次モーメントを変更することで行えば、上記課題が解消することを見出した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、脱硫効率を向上させるために、インペラの回転数を現状より高速回転にしても、KR装置が振動しないインペラの回転軸を、その形状の決定方法と共に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.インペラを備える溶銑脱硫用の溶銑撹拌装置におけるインペラ回転軸の断面形状決定方法であって、
対象とするインペラ回転軸の曲げ振動の現状固有振動数、およびインペラの回転数と装置に発生する振動の加速度との関係から定まる曲げ振動の周波数応答曲線を求め、
前記周波数応答曲線から、目標とするインペラの回転数において、装置に発生する振動の加速度が予め定めた加速度を超えると判断された場合に、
前記回転数における振動の加速度が上記予め定めた加速度以下となる目標曲げの固有振動数を定め、
ついでインペラ回転軸の固有振動数が上記目標曲げの固有振動数となるように、下記式(1)を用いて、回転軸の目標断面2次モーメントを求め、
さらに前記目標断面2次モーメントを満足するように、インペラの回転軸の断面形状を決定することを特徴とするインペラ回転軸の断面形状決定方法。

t = α・It-1/2 ・・・ (1)
(ここに、α=f/I-1/2
ただし、ft:インペラ回転軸の目標曲げの固有振動数[Hz]
t:インペラ回転軸の目標断面2次モーメント[m4]
:インペラ回転軸の現状固有振動数[Hz]
:インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント[m4]
【0014】
2.溶銑脱硫用の溶銑撹拌装置におけるインペラの回転軸であって、
上記回転軸の断面形状が、下記式(1)より求まる目標断面2次モーメントを満足するものであることを特徴とするインペラ回転軸。

t = α・It-1/2 ・・・ (1)
(ここに、α=f/I-1/2
ただし、ft:インペラ回転軸の目標曲げの固有振動数[Hz]
t:インペラ回転軸の目標断面2次モーメント[m4]
:インペラ回転軸の現状固有振動数[Hz]
:インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント[m4]
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インペラの回転数を現状より高速回転にしても振動しないKR装置を得ることができる。その結果、S不純物の少ない高品質な溶銑を、優れた生産性のもとで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】KR装置の模式図である。
【図2】KR装置の固有振動数を測定する要領を示した模式図である。
【図3】ハンマリングと振動の加速度との関係を示したグラフである。
【図4】(a)および(b)は、インペラに係る部分の周波数応答曲線と、その一部を拡大したグラフである。
【図5】(a)および(b)は、インペラに係る部分の周波数応答曲線と、その一部を拡大し、目標曲げの固有振動数から得られる周波数応答曲線とを併記したグラフである。
【図6】本発明に従う走行台車クランプを備えたKR装置の模式図である。
【図7】従来のKR装置のインペラの回転数とKR装置の各測定場所における振動の加速度を測定した結果を示したグラフである。
【図8】本発明に従う回転軸を備えるKR装置のインペラの回転数とKR装置の各測定場所における振動の加速度を測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について具体的に説明する。
図1は、本発明の実施例に係るKR装置の概要を示す正面図である。KR装置7は、溶銑を満たした溶銑鍋6を挟んで立設されたガイド12と、溶銑鍋6に臨んで溶銑の撹拌を行うインペラ(撹拌機)1と、インペラ1をガイド12に沿って昇降させる昇降装置10(詳細は、以下に示す図2を参照)とによって構成されている。なお、図中、1はインペラ、2は回転軸、3はクランプA、4はガイドローラ、5はクランプB、6は溶銑鍋(台車付き)および7はKR装置である。また、8はモータ、9はワイヤ、10は昇降装置、11は減速機および12はガイドである。
【0018】
インペラ1は、モータ8と減速機11からなるインペラ駆動装置を格納するキャリッジ、キャリッジの下方に延伸する回転軸2及び回転軸2に連結され溶融金属を撹拌するインペラ1を有する。インペラ1の昇降は、キャリッジを吊り下げたワイヤ9をモータ8(詳細は、以下に示す図2を参照)で巻取り又は引き出して行う。
【0019】
本発明では、キャリッジとガイド12との間に、ガイドローラ4を介在せしめる。ガイドローラ4は、キャリッジにその端部を支持され、ガイド12に向けてガイド12を押圧する皿ばね(図示せず)と、そのロッド(図示せず)の端に設けたブラケット(図示せず)に軸支されるローラからなる。さらに、走行台車から走行レール架橋を掴むクランプA3、走行台車から副原料架橋を掴むクランプB5を備えている。
【0020】
本発明では、まず、対象とするKR装置における、インペラの曲げ振動の現状固有振動数、およびインペラの回転数と装置に発生する振動の加速度との関係から定まる曲げ振動の周波数応答曲線を求めることが重要である。
【0021】
というのは、発明者らが、装置に発生する振動の防止方法を鋭意検討した結果、装置に発生する振動の防止には、装置の固有振動数を変化させることが最も簡便かつ有効であることが分かったからである。また、その装置の固有振動数を変化させるのに、従来のKR装置では検討対象となっていなかったインペラの回転軸における断面2次モーメントを変更することで、装置の振動防止効果が効果的に実現することも併せて知見したからである。
【0022】
図2に、インペラ1の曲げ振動の現状固有振動数および上記周波数応答曲線を求めるために行うハンマリング試験の要領を示す。なお、図中、8はモータ、12はガイド、10は昇降装置であり、その他は図1と同じである。
図中に、測定点a〜eで示したハンマリング位置を、打撃部直径:75mmのインパクトハンマーで、周波数を0〜7Hzの範囲で変化させて打撃し、その際の装置における振動の加速度を、サーボ型加速度計(日本航空電子工業製 JA−5VD4)を用いて測定した。
【0023】
図3に、図2で示した測定点bでの加速度の測定結果を示す。ついで、インペラに係る部分の周波数応答曲線を、カーブフィッティングして求めたグラフが図4(a)である。
さらに、図4(b)に、インペラの回転数が150rpmに相当する部分を拡大して示す。
【0024】
ここに、上記測定を行ったKR装置は、その吸収可能な振動の加速度が、ガイドローラ4に付属の皿ばね等による振動吸収能力から、0.1×10-3m/s2と定められるものであって、インペラの回転軸の現断面2次モーメントが6.46×10-44であるとする。
上記のKR装置で、インペラの回転数を150rpmにして運転すると企図した場合について、以下、本発明を説明する。なお、以下の説明は好適事例であり、本発明を限定するものではない。
【0025】
上記の場合、図4(b)より、インペラの回転数が130rpm程度になると、このKR装置の振動の加速度が、上記の予め定めた加速度:0.1×10-3m/s2を超えることになる。従って、このKR装置は、インペラの回転数が130rpm程度で振動が始まると推定されるため、150rpmでの運転はできないことになる。
【0026】
そこで、図5(a)に示すように、曲げ振動の現固有振動数:2.9Hzから0.8Hz上昇させた3.7Hzを目標曲げの固有振動数と定めた。次に、3.7Hzを目標曲げの固有振動数とした場合の周波数応答曲線を、現固有振動数:2.9Hzの周波数応答曲線に基づいて、解析ソフト ME’scopeVES (株式会社システムプラス製)法によりモーダル解析を行った。その解析結果を、図5(a)に併記する。
ここで、上記目標曲げの固有振動数を3.7Hzとしたのは、従来設備の150rpm(=2.5Hz)における振動加速度:1.6[G]と、振動加速度の設備許容値:0.4[G]との関係から、目標を従来の1/4とした。すなわち、上記関係(0.4/1.6=1/4)から、150rpm操業時の振動レベルが従来の1/4程度に低減できれば、このKR装置は、結果として振動しないことが分かる。それ故、図5(a)に示した周波数応答曲線より、ピークが3.7[Hz]と求められるのである。
【0027】
さらに、図5(b)に、インペラの回転数が150rpmに相当する部分を拡大して示す。同図に示したように、3.7Hzを目標曲げの固有振動数とした場合は、150rpmに対応する振動の加速度が、2.9Hzの現固有振動数の場合の1/4程度になっている。
【0028】
本発明では、装置の固有振動数を調整するのに、インペラの回転軸の断面2次モーメントを変更することで実現する。
すなわち、以下の式(1)を用いて、回転軸の目標断面2次モーメントを求め、さらにインペラの回転軸の断面2次モーメントが上記目標断面2次モーメントを満足するように形状を変更すれば良い。
t = α・It-1/2 ・・・ (1)
(ここに、α=f/I-1/2
ただし、ft:インペラ回転軸の目標曲げの固有振動数[Hz]
t:インペラ回転軸の目標断面2次モーメント[m4]
:インペラ回転軸の現状固有振動数[Hz]
:インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント[m4]
【0029】
従って、上述した式(1)は以下の式(2)に変形できるので、上記の事例の場合、対象となるKR装置の固有振動数を3.7Hzとするためには、このKR装置の現断面2次モーメントの1.63倍の断面2次モーメントを有する回転軸とすれば良いことがわかる。
t = (ft/f2・・・ (2)
t = (3.7/2.9)2= 1.63I
【0030】
従って、上記の事例の場合、インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント(I)が6.46×10-44なので、目標断面2次モーメント(It)は、10.6×10-44となる。
ここに、回転軸の断面2次モーメントは、その回転軸の径の4乗に比例するので、現状曲げ断面2次モーメントから目標断面2次モーメントにするためには、現行の回転軸の径より大きな径とすれば良いことが分かる。
しかしながら、あまりに回転軸の径が大きくなると、その質量が増えすぎてインペラを回す動力源の負荷が過大となる。そこで、本発明では、そのような場合、軸の内部を空洞、すなわち中空の状態として、回転軸の質量を減らすことができる。
【0031】
また、本発明では、上記のようにインペラを高速回転することで、脱硫剤として添加している石灰が効果的に粉砕され、未反応の部分が露出して反応効率が向上したり、溶銑の巻込みや巻上がりが生じたりして、さらに脱硫効果が上がるという効果もある。
ただし、溶銑の粘度等の関係で当該KR装置の固有振動数が低回転数でも振動が生じる場合などは、低回転数であっても本発明に従う方法を用いて、その振動を低減することが可能である。
【0032】
また、本発明では、図6に示すように、走行台車と副原料架構の床とを、走行台車クランプ13を用いて接続することもできる。このような補強をすることで、前記した、予め定めた加速度を大きくすることができるので、結果的に大きな回転数までインペラを回すことができるようになるからである。このような補強は、上記した回転軸の径があまりに長大となる時などに補完的に実施すると効果的である。
【0033】
以上述べたように、本発明では、インペラの回転軸の断面形状を、以下の式(1)より求まる目標断面2次モーメントを満足させるものとすることで、本発明に従うインペラの回転軸を得ることができる。
t = α・It-1/2 ・・・ (1)
(ここに、α=f/I-1/2
ただし、ft:インペラ回転軸の目標曲げの固有振動数[Hz]
t:インペラ回転軸の目標断面2次モーメント[m4]
:インペラ回転軸の現状固有振動数[Hz]
:インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント[m4]
【0034】
本発明に用いるKR装置は、従来公知のKR装置のいずれもが好適に使用することができる。
従って、その構成品であるインペラやインペラの回転軸等も従来公知のものを用いることができ、そのインペラの回転軸を、本発明に従い作り直すだけで、本発明で述べたような高生産性でかつ高品質な脱硫溶鋼を得ることができる。
【実施例】
【0035】
図1に示したKR装置を用いて、インペラの回転軸のみを変更し、表1に示すように、現行のもの(比較例)および本発明に従ったもの(発明例)とした。
その他の脱硫条件は以下のとおりである。
溶銑鍋内の約150トンの溶銑を、図1に示す機械撹拌式脱硫装置で脱硫処理した。処理対象の溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床及び受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。溶銑組成は、事前の脱珪処理により[Si]:0.05〜0.10質量%であり、[C]:4.3〜4.6質量%、[Mn]:0.22〜0.41質量%、[P]:0.10〜0.13質量%であり、処理前の[S]は0.039〜0.042質量%であった。溶銑温度は1330〜1430℃であった。使用する脱硫剤は、生石灰(CaO)を主成分とし、これに蛍石(CaF2)、石灰石(CaCO3)を添加したものも用いた。
以上の条件で、500〜850秒間脱硫を行った。
【0036】
【表1】

【0037】
図7および8は、KR装置の操業中の振動加速度の測定結果である。なお、振動の加速度は、加速度計(小野測器NP−120)を用いて測定した。また、振動加速度の測定箇所は、図1中のA,B,CおよびDで示した箇所、すなわち昇降装置10およびガイド12の上部並びに昇降装置10およびガイド12の下部である。
【0038】
図7(比較例)に示したように、従来のKR装置でも、インペラ回転数が110rpm以下の場合は、各測定箇所の振動加速度に問題はないが、インペラ回転数120rpm以上になると、いずれの測定箇所も振動加速度が増加し許容値を超える。
一方、本発明に従うインペラの回転軸を備えたKR装置は、図8(発明例)に示したように、インペラ回転数が120rpm程度では、いずれの測定箇所においても振動加速度に問題は発生せず、150rpmまでインペラ回転数を増加させても、やはり振動加速度は、許容値内であることが分かる。
【符号の説明】
【0039】
1 インペラ
2 回転軸
3 クランプA
4 ガイドローラ
5 クランプB
6 溶銑鍋(台車付き)
7 KR装置
8 モータ
9 ワイヤ
10 昇降装置
11 減速機
12 ガイド
13 走行台車クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラを備える溶銑脱硫用の溶銑撹拌装置におけるインペラ回転軸の断面形状決定方法であって、
対象とするインペラの曲げ振動の現状固有振動数、およびインペラの回転数と装置に発生する振動の加速度との関係から定まる曲げ振動の周波数応答曲線を求め、
前記周波数応答曲線から、目標とするインペラの回転数において、装置に発生する振動の加速度が予め定めた加速度を超えると判断された場合に、
前記回転数における振動の加速度が上記予め定めた加速度以下となる目標曲げの固有振動数を定め、
ついでインペラの固有振動数が上記目標曲げの固有振動数となるように、下記式(1)を用いて、回転軸の目標断面2次モーメントを求め、
さらに前記目標断面2次モーメントを満足するように、インペラの回転軸の断面形状を決定することを特徴とするインペラ回転軸の断面形状決定方法。

t = α・It-1/2 ・・・ (1)
(ここに、α=f/I-1/2
ただし、ft:インペラ回転軸の目標曲げの固有振動数[Hz]
t:インペラ回転軸の目標断面2次モーメント[m4]
:インペラ回転軸の現状固有振動数[Hz]
:インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント[m4]
【請求項2】
溶銑脱硫用の溶銑撹拌装置におけるインペラの回転軸であって、
上記回転軸の断面形状が、下記式(1)より求まる目標断面2次モーメントを満足するものであることを特徴とするインペラ回転軸。

t = α・It-1/2 ・・・ (1)
(ここに、α=f/I-1/2
ただし、ft:インペラ回転軸の目標曲げの固有振動数[Hz]
t:インペラ回転軸の目標断面2次モーメント[m4]
:インペラ回転軸の現状固有振動数[Hz]
:インペラ回転軸の現状曲げ断面2次モーメント[m4]

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−108175(P2013−108175A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236948(P2012−236948)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】