説明

インライン加工装置及び方法

【課題】本発明は、成形された導光板を成形機の周辺のインライン加工装置で加工し、成形から切削加工までを連続することを目的とする。
【解決手段】本発明によるインライン加工装置及び方法は、成形機(2)で成形された導光板(3)を、成形機(2)周辺のインライン加工装置(20)の治具テーブル(21)に設け、この治具テーブル(21)を移動させることにより、ゲート面切削装置(29)及び四辺切削装置(30)で切削を行い、製品収納パレット(8)へ自動的に収納する構成と方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インライン加工装置及び方法に関し、特に、成形機で成形された導光板を、この成形機の周辺位置に配設されたインライン加工装置でインライン加工し、成形直後から連続して切削加工を行い、パレットに収容するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の成形後の導光板の切削加工を行う方法としては、特に、特許文献等を行っていないため、特許文献等は開示していないが、その切削加工方法を示す構成は図2及び図3で示すことができる。
すなわち、図2は成形工場1、図3は加工室2Aを示している。前記成形工場1においては、成形機2で成形された導光板3は、取出機4で取出されてコンベア装置5上に仮置きされる。
【0003】
前記コンベア装置5上の導光板3は、作業員の手によって取り上げられ、手動式プリカット装置6で導光板3のゲート部(図示せず)が切断され、このゲート部の切断後は、検査台7上で導光板3の成形品としての良否検査が行われる。
この検査によって、導光板3が良品であると判定された場合には、製品収納パレット8へ人手を介して収容される。
【0004】
次に、前記製品収納パレット8内に、良品の導光板3が満杯となると、パレット1山10として、前記成形工場1とは別の場所にある加工室2Aの人手又は車輌等で搬送され、荒削り前検査台11で検査され、導光板3は、この加工室2内の荒削り前検査台11で検査後、荒削り切削装置12にて荒削り切削が行われる。次に、荒削り後の導光板3は荒削り後検査台13上で検査された後、仕上げ切削装置14によって仕上げ切削が行われる。
この仕上げ切削が終了した導光板3は、製品収納パレット8に収納され、満杯パレット15として図示しない組立室へ搬送される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の成形後の導光板の切削加工方法としては、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、成形工場と加工室が別の場所で独立しているため、成形工場で成形した導光板は人手によってゲート部の切断が行われ、その後、人手を介して加工室に搬送し、人手を介して荒削り、荒削り後検査、仕上げ切削を行なわなければならず、人手を介して導光板と多く接触することになっていた。
そのため、導光板にホコリや傷がつきやすく、歩留まりを向上させることが極めて困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるインライン加工装置は、成形機で成形された導光板を受取るための治具テーブルと、前記治具テーブル上の前記導光板を位置決めするための位置決め機構部と、前記治具テーブルで移動した前記導光板のゲート部を切断するレーザマーカと、前記ゲート部切断後の前記治具テーブル上の導光板のゲート面の荒仕上げ切削を行うためのゲート面切削装置と、前記ゲート面の荒仕上げ切削後の前記治具テーブル上の導光板の四辺の仕上げ切削を行うための四辺切削装置と、前記仕上げ切削後の前記治具テーブル上の導光板をチャッキングして製品収納パレットへ移載するための移載ローダと、よりなり前記成形機の周辺位置で前記導光板の切削仕上げ及び前記製品収納パレットへの移載を行う構成であり、また、前記位置決め機構部は、マイクロメータとエアーシリンダよりなる構成であり、また、前記ゲート面切削装置は、1軸固定切削装置よりなる構成であり、また、本発明によるインライン加工方法は、成形機で成形された導光板を受取るための治具テーブルと、前記治具テーブル上の前記導光板を位置決めするための位置決め機構部と、前記治具テーブルで移動した前記導光板のゲート部を切断するレーザマーカと、前記ゲート部切断後の前記治具テーブル上の導光板のゲート面の荒仕上げ切削を行うためのゲート面切削装置と、前記ゲート面の荒仕上げ切削後の前記治具テーブル上の導光板の四辺の仕上げ切削を行うための四辺切削装置と、前記仕上げ切削後の前記治具テーブル上の導光板をチャッキングして製品収納パレットへ移載するための移載ローダと、を用い、前記成形機の周辺位置で前記導光板の切削仕上げ及び前記製品収納パレットへの移載を行う方法であり、また、前記位置決め機構部は、マイクロメータとエアーシリンダを用いる方法であり、また、前記ゲート面切削装置は、1軸固定切削装置を用いる方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるインライン加工装置及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、成形機で成形された導光板を受取るための治具テーブルと、前記治具テーブル上の前記導光板を位置決めするための位置決め機構部と、前記治具テーブルで移動した前記導光板のゲート部を切断するレーザマーカと、前記ゲート部切断後の前記治具テーブル上の導光板のゲート面の荒仕上げ切削を行うためのゲート面切削装置と、前記ゲート面の荒仕上げ切削後の前記治具テーブル上の導光板の四辺の仕上げ切削を行うための四辺切削装置と、前記仕上げ切削後の前記治具テーブル上の導光板をチャッキングして製品収納パレットへ移載するための移載ローダと、よりなり、前記成形機の周辺位置で前記導光板の切削仕上げ及び前記製品収納パレットへの移載を行い、前記位置決め機構部は、マイクロメータとエアーシリンダよりなり、前記ゲート面切削装置は、1軸固定切削装置よりなるため、成形機で成形した導光板を、人手を介することなく、切削加工を行うことができ、成形機による成形から切削装置による切削まで、全て自動化が可能で、人手による接触傷等を受けることなくパレットに収容でき、製品品質の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、成形機で成形された導光板を、この成形機の周辺位置に配設されたインライン加工装置でインライン加工し、成形直後から連続して切削加工を行い、パレットに収容するようにしたインライン加工装置及び方法を提供することを目的とする。
【実施例】
【0009】
以下、図面と共に本発明によるインライン加工装置及び方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。
成形機2で成形された成形品である導光板3は、取出機4を介してインライン加工装置20の治具テーブル21上に載置され、この治具テーブル21は図示しない駆動手段を介してレール22上を直線往復移動できるように構成されている。
【0010】
前記インライン加工装置20は、前記成形機2及び取出機4の周辺位置、すなわち、近傍位置に配設されている。
前記レール22の出発位置23の近傍位置には、治具テーブル21上の導光板3の位置決めを行うためのマイクロメータ24とエアーシリンダ25からなる位置決め機構部26が設けられている。
【0011】
前記位置決め機構部26の下流側には、導光板3のゲート部3aをチャッキングするためのゲートチャック機構部27及びレーザマーカ28がユニット化されて配設され、このゲートチャック機構部27は、エアーシリンダ27a及びチャック部27bからなる。
前記ゲートチャック機構部27の下流側には、1軸固定切削装置からなり、前記ゲート部3aを切断した後のゲート面3aAを荒仕上げで切削加工するためのゲート面切削装置29が配設され、前記ゲート面切削装置29の下流位置には、ゲート面3aAの切削後の導光板3の四辺を仕上げ切削するための四辺切削装置30が配設されている。
【0012】
前記レール22の最下流位置である製品移載受取位置31の近傍には、前記インライン加工装置20に隣接して配設された移載ローダ32が設けられ、この移載ローダ32のチャッキングアーム33は前記製品移載受取位置31の治具テーブル21上の加工済みの導光板3をチャッキングして、パレット置場34の製品収納パレット8内に導光板3を収容し、満杯となった満杯パレット35を図示しない組立室へ搬送することができるように構成されている。
【0013】
次に、前述の構成において、導光板3のインライン加工を行う場合について説明する。
インライン加工装置20へ成形機2で成形された導光板3を取出機4で取出し、治具テーブル21に導光板3を移載し、位置決め機構部26によりマイクロメータ24で位置決めした位置まで、エアーシリンダ25にて導光板3を押して位置決めを行う。位置決め完了後、治具テーブル21が導光板3を真空吸着する。治具テーブル21がカット位置20aへ移動し、ゲートチャック機構部27でチャック部27bをエアーシリンダ27aで前進させ、ゲート部3aをチャッキングする。チャック完了後、レーザマーカ28にてゲート部3aを切断する。
【0014】
前述のように切断されたゲート部3aは、ゲートチャック機構部27が下方へ排出する。このゲート部3aの切断完了後、治具テーブル21が切削位置20bまで移動し、1軸固定切削装置29にてゲート部3a切断後のゲート面3aAの切削を行う。切削完了後、治具テーブル21が仕上げ切削位置20cへ移動し、四辺切削装置30にて4辺の仕上げ切削加工を行う。仕上げ切削完了後、製品移載受取位置31へ治具テーブル21が移動する。治具テーブル21の移動完了にて移載ローダ32にて導光板3をチャッキングする。チャッキングした導光板3を、パレット置場34の製品収納パレット8内へ収納する。パレット置場34の製品収納パレット8が満杯になると、人手により、満杯になった満杯パレット35を、組立室に運搬する。
【0015】
尚、前述の加工動作をまとめると、次の通りである。
前記成形機2で成形された導光板3を受取るための治具テーブル21と、前記治具テーブル21上の前記導光板3を位置決めするための位置決め機構部26と、前記治具テーブル21で移動した前記導光板3のゲート部3aを切断するレーザマーカ28と、前記ゲート部3a切断後の前記治具テーブル21上の導光板3のゲート面3aAの荒仕上げ切削を行うためのゲート面切削装置29と、前記ゲート面3aAの荒仕上げ切削後の前記治具テーブル21上の導光板3の四辺の仕上げ切削を行うための四辺切削装置30と、前記仕上げ切削後の前記治具テーブル21上の導光板3をチャッキングして製品収納パレット8へ移載するための移載ローダ32と、を用い、前記成形機2の周辺位置で前記導光板3の切削仕上げ及び前記製品収納パレット8への移載を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるインライン加工装置及び方法を示す構成図である。
【図2】従来の成形工場を示す構成図である。
【図3】従来の加工室を示す構成図である。
【符号の説明】
【0017】
1 成形工場
2 成形機
3 導光板
3a ゲート部
3aA ゲート面
4 取出機
8 製品収納パレット
20 インライン加工装置
21 治具テーブル
24 マイクロメータ
25 エアーシリンダ
26 位置決め機構部
27 ゲートチャック機構部
27a エアーシリンダ
27b チャック部
28 レーザマーカ
29 1軸固定切削装置(ゲート面切削装置)
30 四辺切削装置
31 製品移載受取位置
32 移載ローダ
33 チャッキングアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機(2)で成形された導光板(3)を受取るための治具テーブル(21)と、前記治具テーブル(21)上の前記導光板(3)を位置決めするための位置決め機構部(26)と、前記治具テーブル(21)で移動した前記導光板(3)のゲート部(3a)を切断するレーザマーカ(28)と、前記ゲート部(3a)切断後の前記治具テーブル(21)上の導光板(3)のゲート面(3aA)の荒仕上げ切削を行うためのゲート面切削装置(29)と、前記ゲート面(3aA)の荒仕上げ切削後の前記治具テーブル(21)上の導光板(3)の四辺の仕上げ切削を行うための四辺切削装置(30)と、前記仕上げ切削後の前記治具テーブル(21)上の導光板(3)をチャッキングして製品収納パレット(8)へ移載するための移載ローダ(32)と、よりなり、
前記成形機(2)の周辺位置で前記導光板(3)の切削仕上げ及び前記製品収納パレット(8)への移載を行う構成としたことを特徴とするインライン加工装置。
【請求項2】
前記位置決め機構部(26)は、マイクロメータ(24)とエアーシリンダ(25)よりなることを特徴とする請求項1記載のインライン加工装置。
【請求項3】
前記ゲート面切削装置(29)は、1軸固定切削装置よりなることを特徴とする請求項1又は2記載のインライン加工装置。
【請求項4】
成形機(2)で成形された導光板(3)を受取るための治具テーブル(21)と、前記治具テーブル(21)上の前記導光板(3)を位置決めするための位置決め機構部(26)と、前記治具テーブル(21)で移動した前記導光板(3)のゲート部(3a)を切断するレーザマーカ(28)と、前記ゲート部(3a)切断後の前記治具テーブル(21)上の導光板(3)のゲート面(3aA)の荒仕上げ切削を行うためのゲート面切削装置(29)と、前記ゲート面(3aA)の荒仕上げ切削後の前記治具テーブル(21)上の導光板(3)の四辺の仕上げ切削を行うための四辺切削装置(30)と、前記仕上げ切削後の前記治具テーブル(21)上の導光板(3)をチャッキングして製品収納パレット(8)へ移載するための移載ローダ(32)と、を用い、
前記成形機(2)の周辺位置で前記導光板(3)の切削仕上げ及び前記製品収納パレット(8)への移載を行うことを特徴とするインライン加工方法。
【請求項5】
前記位置決め機構部(26)は、マイクロメータ(24)とエアーシリンダ(25)を用いることを特徴とする請求項4記載のインライン加工方法。
【請求項6】
前記ゲート面切削装置(29)は、1軸固定切削装置を用いることを特徴とする請求項4又は5記載のインライン加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−286089(P2009−286089A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144273(P2008−144273)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】