説明

ウィンドウ制御プログラム

【課題】マウスの傾斜に基づいてウィンドウを制御することが可能なウィンドウ制御プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係るウィンドウ制御プログラムは、コンピュータに、マウス21に設けられた傾斜検出部21aの出力に基づいて、マウス21の傾斜角度を算出する処理と、マウス21に設けられた傾斜検出部21aの出力に基づいて、マウス21が傾斜している時間を算出する処理と、マウス21の傾斜角度及びマウス21が傾斜している時間に基づいて、画面に表示するウィンドウを制御する処理と、を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンドウ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等のマウスをユーザが操作することによって、ディスプレイの画面に表示されたウィンドウの移動や切り替え等の制御を行うことが一般的である。
ところで、特許文献1には、加速度センサを搭載したマウスが開示されている。特許文献1の技術は、加速度センサの出力に基づいて画面上でのカーソル位置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−5983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、加速度センサの出力に基づいて画面上でのカーソル位置を制御することができるが、ウィンドウを制御することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態に係るウィンドウ制御プログラムは、コンピュータに、マウスに設けられた傾斜検出部の出力に基づいて、前記マウスの傾斜角度を算出する処理と、前記マウスに設けられた傾斜検出部の出力に基づいて、前記マウスが傾斜している時間を算出する処理と、前記マウスの傾斜角度及び前記マウスが傾斜している時間に基づいて、画面に表示するウィンドウを制御する処理と、を実行させる。これにより、マウスの左右方向又は前後方向への傾斜に伴ってウィンドウを制御することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、マウスの傾斜に基づいてウィンドウを制御することが可能なウィンドウ制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態で用いられるパーソナルコンピュータを概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態で用いられるマウスを概略的に示す透視図である。
【図3】マウスの使用形態を概略的に示す図である。
【図4】パーソナルコンピュータの制御部のブロック図である。
【図5】ウィンドウの第1の制御を概略的に示す図である。
【図6】ウィンドウの第2の制御を概略的に示す図である。
【図7】ウィンドウ制御プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータの動作を概略的に示すフローチャート図である。
【図8】ウィンドウの第3の制御を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るウィンドウ制御プログラムの実施形態について説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0009】
<実施形態1>
図1から図7を用いて実施形態1のウィンドウ制御プログラムを説明する。
図1は、本実施形態で用いられるパーソナルコンピュータを概略的に示すブロック図である。パーソナルコンピュータ1は、キーボードやマウスを含む操作部2、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を含む記憶部3、CPU(Central Processing Unit)を含む制御部4、ディスプレイを含む表示部5等を備えている。ユーザが操作部2を操作することによって、記憶部3に格納されているプログラムやデータを制御部4が読み出し、制御部4が当該プログラムに基づく処理を実行して所定の表示内容を表示部5に表示させる。
【0010】
つまり、パーソナルコンピュータ1は、一般的なパーソナルコンピュータと略同様の構成とされており、本実施形態のウィンドウ制御プログラムも、例に洩れず、記憶部3に格納される。なお、以下の説明においては、一般的なパーソナルコンピュータと同一の要素については説明を省略し、一般的なパーソナルコンピュータと異なる要素を詳細に説明する。
【0011】
図2は、本実施形態で用いられるマウスを概略的に示す透視図である。マウス21は、傾斜角度検出部21a、トラッキング部21b、基板21c、筐体21d、さらには図示を省略したが、一般的なマウスと同様に、各機能(例えば項目選択や決定等の機能)が与えられたボタンを備えている。
【0012】
傾斜角度検出部21aは、当該傾斜角度検出部21aの検出信号に基づいて、パーソナルコンピュータ1の制御部4がマウス21の少なくとも左右方向又は前後方向への傾斜角度及び傾斜時間を算出することができるように構成されていれば良い。本実施形態の傾斜角度検出部21aは、加速度センサを含む。傾斜角度検出部21aの検出信号は、基板21cに出力される。
【0013】
トラッキング部21bは、当該トラッキング部21bの出力信号に基づいて、パーソナルコンピュータ1の制御部4がマウス21の水平方向の軌跡を算出することができるように構成されていれば良く、一般的なボール式、光学式又はレーザ式を採用することができる。トラッキング部21bの出力信号は、基板21cに出力される。
【0014】
基板21cには、傾斜角度検出部21aやトラッキング部21bなどが搭載されている。基板21cには、傾斜角度検出部21aから検出信号が入力される。また、基板21cには、トラッキング部21bから出力信号が入力される。基板21cは、当該信号をパーソナルコンピュータ1の制御部4に出力する。ちなみに、当該信号のパーソナルコンピュータ1の制御部4への出力は、無線、有線のどちらでも可能であるが、無線による出力が好ましい。
【0015】
筐体21dは、傾斜角度検出部21a、トラッキング部21b、基板21c等を収容する。
【0016】
図3は、マウス21の使用形態を概略的に示す図である。詳細は後述するが、ウィンドウの移動又は切り替え等の操作を行う場合、ユーザはマウス21を例えば左右方向に傾斜(回転)させる。つまり、ユーザは、マウス21の側部底面を支点として当該支点側と逆側の側部を浮かすように左右方向に回転させる。
【0017】
図4は、パーソナルコンピュータ1の制御部4のブロック図である。制御部4は、傾斜角度算出部41、傾斜時間算出部42、傾斜角度判定部43、傾斜時間判定部44、画像制御部45等を備えている。
【0018】
傾斜角度算出部41は、マウス21の傾斜角度を算出する。つまり、傾斜角度算出部41には、マウス21の傾斜角度検出部21aから検出信号が入力される。傾斜角度算出部41は、当該検出信号に基づいて、マウス21の傾斜角度を算出する。そして、傾斜角度算出部41は、算出したマウス21の傾斜角度を傾斜角度判定部43に出力する。
【0019】
傾斜時間算出部42は、マウス21が傾斜している時間を算出する。つまり、傾斜時間算出部42には、マウス21の傾斜角度検出部21aから検出信号が入力される。傾斜時間算出部42は、当該検出信号に基づいて、マウス21が傾斜している時間を算出する。傾斜時間算出部42は、算出したマウス21の傾斜時間を傾斜時間判定部44に出力する。
【0020】
傾斜角度判定部43は、マウス21の傾斜角度が予め設定された角度以下か否かを判定する。つまり、傾斜角度判定部43には、傾斜角度算出部41からマウス21の傾斜角度が入力される。傾斜角度判定部43は、入力されたマウス21の傾斜角度と、予め設定された角度閾値と、を比較し、その比較結果を画像制御部45に出力する。ここで、当該角度閾値は、予めパーソナルコンピュータ1の記憶部3に格納されており、傾斜角度判定部43が入力されたマウス21の傾斜角度と比較する際に、傾斜角度判定部43に読み出される。
【0021】
傾斜時間判定部44は、マウス21が傾斜している時間が予め設定された時間以内か否かを判定する。つまり、傾斜時間判定部44は、入力されたマウスの傾斜時間と、予め設定された時間閾値と、を比較し、その比較結果を画像制御部45に出力する。ここで、当該時間閾値は、予めパーソナルコンピュータ1の記憶部3に格納されており、傾斜時間判定部44が入力されたマウス21の傾斜時間と比較する際に、傾斜時間判定部44に読み出される。
【0022】
画像制御部45は、入力されたマウス21の傾斜角度及びマウス21の傾斜時間に基づいて、画面に表示するウィンドウを制御する。つまり、画像制御部45は、マウス21の傾斜角度が予め設定された角度閾値以下であることを示す判定結果が入力された場合、ウィンドウの制御を行わない。この場合、画像上でカーソルを動かすためなどのマウス操作である可能性が高いからである。
【0023】
一方、画像制御部45は、マウス21の傾斜角度が予め設定された角度閾値より大きいことを示す判定結果が入力された場合、ウィンドウの制御を行うために、入力されたマウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値以内か否かを示す判定結果を参照する。
【0024】
画像制御部45は、マウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値以内であることを示す判定結果が入力された場合、画面に表示するウィンドウの第1の制御を行う。
【0025】
図5は、本実施形態におけるウィンドウの第1の制御を概略的に示す図である。画像制御部45は、マウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値以下であることを示す判定結果が入力された場合、例えば画面上に階層的に開いているウィンドウW1、W2、・・・、Wn(但し、nは自然数)において、アクティブ化されている最も手前に表示されているウィンドウW1を、パーソナルコンピュータ1の管理上最背面に移動し、後ろに控えているウィンドウW2をアクティブ化する。
【0026】
一方、画像制御部45は、マウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値より長期であることを示す判定結果が入力された場合、画面に表示するウィンドウの第2の制御を行う。
【0027】
図6は、本実施形態におけるウィンドウの第2の制御を概略的に示す図である。画像制御部45は、マウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値より長期であることを示す判定結果が入力された場合、例えばランチャー機能によって並べられたウィンドウW1、W2、W3、W4、W5、W6において、マウス21を傾斜時間分だけ、ウィンドウを順にマウス21の傾斜方向に変更していき、マウス21を水平に戻した時点のウィンドウをアクティブ化する。例えば図示例では、ウィンドウW4がアクティブ化されている。
【0028】
図7は、ウィンドウ制御プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ1の動作を概略的に示すフローチャート図である。先ず、ユーザがマウス21を右側又は左側に傾斜させると、マウス21の傾斜角度検出部21aが当該マウス21の傾斜を検出し、検出信号をパーソナルコンピュータ1の制御部4に出力する(S1)。
【0029】
制御部4の傾斜角度算出部41は、当該検出信号に基づいて、マウス21の傾斜角度を算出する。そして、傾斜角度算出部41は、算出したマウス21の傾斜角度を傾斜角度判定部43に出力する。また、制御部4の傾斜時間算出部42は、当該検出信号に基づいて、マウス21の傾斜時間を算出する。そして、傾斜時間算出部42は、算出したマウス21の傾斜時間を傾斜時間判定部44に出力する。
【0030】
傾斜角度判定部43は、入力されたマウス21の傾斜角度と、予め設定された角度閾値(例えば15°)と、を比較し、その比較結果を画像制御部45に出力する(S2)。また、傾斜時間判定部44は、入力されたマウス21の傾斜時間と、予め設定された時間閾値(例えば500msec)と、を比較し、その比較結果を画像制御部45に出力する。
【0031】
画像制御部45は、マウス21の傾斜角度が予め設定された角度閾値以下であることを示す判定結果が入力された場合(S2のYES)、ウィンドウの制御を行わない(S3)。
【0032】
一方、画像制御部45は、マウス21の傾斜角度が予め設定された角度閾値より大きいことを示す判定結果が入力された場合(S2のNO)、ウィンドウの制御を行うために、入力されたマウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値以内か否かを示す判定結果を参照する(S4)。
【0033】
画像制御部45は、マウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値以内であることを示す判定結果が入力された場合(S4のYES)、例えば画面上に階層的に開いているウィンドウW1、W2、・・・、Wn(但し、nは自然数)において、アクティブ化されている最も手前に表示されているウィンドウW1を、パーソナルコンピュータ1の管理上最背面に移動し、後ろに控えているウィンドウW2をアクティブ化する(S5)。
【0034】
一方、画像制御部45は、マウス21の傾斜時間が予め設定された時間閾値より長期であることを示す判定結果が入力された場合(S4のNO)、例えばランチャー機能によって並べられたウィンドウW1、W2、W3、W4、W5、W6において、マウス21を傾斜時間分だけ、ウィンドウを順にマウス21の傾斜方向に変更していき、マウス21を水平に戻した時点のウィンドウをアクティブ化する(S6)。
【0035】
このように本実施形態では、マウス21の左右方向への傾斜に伴ってウィンドウを制御することができる。しかも、マウス21の左右方向への傾斜に伴ってウィンドウを制御することができるので、画面から視線を外すことなく、ウィンドウを制御することができる。
【0036】
<実施形態2>
なお、実施形態1のウィンドウ制御プログラムの機能に加えて、制御部4にアクティブ化されているウィンドウを最小化又は最大化させる機能を備えていることが好ましい。
【0037】
図8は、本実施形態におけるウィンドウの第3の制御を概略的に示す図である。ユーザがマウス21を例えば前方に傾斜させると、マウス21の傾斜角度検出部21aはマウス21の前方への傾斜を示す検出信号を、制御部4の画像制御部45に出力する。画像制御部45は、図示するようにアクティブ化されているウィンドウW1を最小化させる。
【0038】
一方、ユーザがマウス21を例えば後方に傾斜させると、マウス21の傾斜角度検出部21aの後方への傾斜を示す検出信号を、制御部4の画像制御部45に出力する。画像制御部45は、最小化されているウィンドウを最大化させる。
【0039】
これにより、マウス21を傾斜させることで、ウィンドウの移動及び切替だけでなく、ウィンドウを最小化及び最大化することができる。
【0040】
但し、本実施形態では、マウス21を前方に傾斜させるとウィンドウを最小化し、マウス21を後方に傾斜させるとウィンドウを最大化しているが、マウス21を後方に傾斜させるとウィンドウを最小化し、マウス21を前方に傾斜させるとウィンドウを最大化しても良い。
【0041】
<実施形態3>
また、実施形態1又は2のウィンドウ制御プログラムの機能に加えて、左右方向への傾斜角度に基づいて、制御部4にウィンドウの移動速度又は切替速度を変更させる機能を備えていることが好ましい。例えばマウス21の傾斜角度が大きくなるにつれ、ウィンドウの移動速度又は切替速度が速くなるように制御部4に制御させる。
これにより、マウス21の傾斜だけで、ウィンドウを素早く制御することができる。
【0042】
本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、マウス21の傾斜速度に応じて、ウィンドウの移動速度又は切替速度を変更しても良い。また、例えば、マウス21の前後方向への傾斜に基づいてウィンドウの移動及び切替を実行させ、マウス21の左右方向への傾斜に基づいてウィンドウの最小化又は最大化を実行させても良い。さらに、上記実施形態では、マウス21の傾斜に基づいて、ウィンドウの移動又は切り替え等の制御を実行しているが、ウィンドウの制御は特に限定されず、マウス21の傾斜に基づいて種々の機能を割り当てることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 パーソナルコンピュータ
2 操作部
3 記憶部
4 制御部、41 傾斜角度算出部、42 傾斜時間算出部、43 傾斜角度判定部、44 傾斜時間判定部、45 画像制御部
5 表示部
21 マウス、21a 傾斜角度検出部、21b トラッキング部、21c 基板、21d 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
マウスに設けられた傾斜検出部の出力に基づいて、前記マウスの傾斜角度を算出する処理と、
前記マウスに設けられた傾斜検出部の出力に基づいて、前記マウスが傾斜している時間を算出する処理と、
前記マウスの傾斜角度及び前記マウスが傾斜している時間に基づいて、画面に表示するウィンドウを制御する処理と、
を実行させるためのウィンドウ制御プログラム。
【請求項2】
前記マウスの前後方向又は左右方向のいずれか一方の傾斜角度が設定された角度以下の場合、画面に表示するウィンドウを制御することなく、前記マウスの傾斜角度が設定された角度より大きい場合、画面に表示するウィンドウを制御する請求項1に記載のウィンドウ制御プログラム。
【請求項3】
前記マウスが傾斜している時間が設定された時間以内の場合、画面に表示するウィンドウの第1の制御を行い、前記マウスが傾斜している時間が設定された時間より長い場合、画面に表示するウィンドウの第2の制御を行う請求項2に記載のウィンドウ制御プログラム。
【請求項4】
前記マウスの前後方向又は左右方向の他方への傾斜に基づいて、画面に表示するウィンドウの第3の制御を行う請求項2又は3に記載のウィンドウ制御プログラム。
【請求項5】
前記マウスの傾斜角度に応じてウィンドウの制御速度を変化させる請求項1乃至4のいずれか1項に記載のウィンドウ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−89108(P2013−89108A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230462(P2011−230462)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】