説明

ウイルス・アッセイ

本発明は、ウイルスを検出するためのアッセイであって、特に組織試料のウイルス複製を検出するためのアッセイに関する。さらに、本発明はウイルスへの動物の感染しやすさを決定する方法とウイルスに対する減少した感染しやすさをもつ動物を繁殖させる方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスを検出するためのアッセイであって、特に組織サンプルのウイルス複製を検出するためのアッセイに関する。本発明は、さらに、動物のウイルスへの感染しやすさを決定する方法、及びウイルスへの感染しやすさが低下した動物を繁殖させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス感染は、経済的に及び社会的に悪い影響力を有するヒト及び動物の重要な健康問題を残す。例えば、経済的に重要な家畜動物(例えば鶏、ブタ、魚、ヒツジ及び牛)の疾患を引き起こす多くのウイルス病原体がある。家畜動物のウイルス病は、鳥インフルエンザ、ニューカッスル病、鶏の貧血症及び鶏の伝染性ファブリーキウス嚢病、偶蹄類動物の口蹄疫、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)およびブタの古典的ブタコレラ、ヒツジの青舌病とアカバネ病、および伝染性サーモン貧血症、伝染性造血器壊死症ウイルス性疾患(IHNV)、ウイルス出血性敗血症及び魚の伝染性すい臓壊死症を含む。
【0003】
ウイルス病から動物を保護するための主要なアプローチの一つは、ワクチン接種である。いくつかの状況では家畜のワクチン接種は、ワクチンの産生及び投与に関係する経費により商業的に可能でない。加えて、多数のワクチンは完全な保護を提供せず、ワクチン接種を受けた動物と感染した動物との間でそれを区別することは困難な場合がある。
【0004】
ウイルスへの減少した感染しやすさをもつ動物を選択して交配することは、ウイルス病原体に対する増大された先天性免疫を有する動物ストックの開発を助けるはずであり、したがって最終的に商業的家畜のワクチン接種の要求を減じることができる。しかしながら、ウイルスへの動物の感染しやすさを決定するいくつかある現行方法の主要な制限は、適切な組織サンプルを得るために、動物が安楽死させられる必要があることである。その結果、上記の方法は、標的を繁殖させるための動物を選択するために用いることができない。いくつかある現行方法の別の制限は、ウイルスに対する動物の感染しやすさが決定できる前に、動物から細胞培養株又は培養組織を確立する必要があるということである。細胞または組織培養の確立を含む上記の方法は時間がかかる。
【0005】
ウイルスへの動物の感染しやすさを低下させる別の方法は、生来のウイルス耐性を提供するために、動物に導入遺伝子の組み込みを介するものであってもよい。ウイルス耐性は、それらの存続期間の全体にわたって持続し、それらの子孫に伝えられる。このウイルス耐性は、二本鎖RNA(dsRNA)を発現する導入遺伝子によって与えられることができ、ウイルス病原体に対して先天性免疫を提供するためにRNA干渉を利用することができる。代替的アプローチでは、導入遺伝子は、宿主動物が帰属する動物の種に固有の遺伝子を発現することができ、例えば、ウイルス病原体に対する動物免疫を増大するサイトカインであってもよい。上記の例において、ウイルスに対する減少した感染しやすさを有するトランスジェニック動物をスクリーニングすることが可能であることが望ましく、それらは動物を繁殖させるために使用することができる。
【0006】
生きている動物に実施することができる動物のウイルス感染の感染しやすさを決定するために適した試験への要求が残っている。上記の試験は、例えば、目的を繁殖させるためのウイルスに対する減少した感染しやすさをもつ動物を選択するために用いることができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の発明者は、本出願において、ウイルスは動物から得られた組織試料において複製できること、及び組織試料のウイルス複製の検出が動物の感染しやすさの指標を提供できることを示している。
【0008】
したがって、本発明は、ウイルスへの対象の感染しやすさを決定する方法であって、
ウイルスと対象から得られた組織試料とを接触させ、
ウイルスの複製に十分な時間にわたって組織試料をインキュベートし、
組織試料のウイルスの有無を検出することを含んでなる方法を提供する。
【0009】
更に、本発明は、対象由来の組織試料のウイルス複製を検出するための方法であって、
ウイルスと対象から得られた組織試料とを接触させ、
ウイルスの複製に十分な時間にわたって組織試料をインキュベートし、
組織試料のウイルスの有無を検出することを含んでなる方法を提供する。
【0010】
ある実施態様において、方法は、ウイルス複製に十分な時間にわたって試料をインキュベートする前に組織試料の細胞に付着しないウイルスを除去することを更に含む。
【0011】
別の実施態様において、ウイルスの存在は、ウイルスに対する感染しやすさを示す。
【0012】
本発明のさらにもう一つの実施態様において、方法は、試料のウイルスのレベルをコントロール試料と比較することを更に含む。コントロール試料は、ウイルスの知られているレベルを含む試料または任意のウイルスを含まない試料であってもよい。
【0013】
本発明の方法は、コントロール試料と比較して試料のウイルスの増大したレベルか、又は減少したレベルを検出することができる。
【0014】
ある実施態様において、コントロール試料と比較した組織サンプルのウイルスの減少したレベルは、ウイルスに対する減少した感染しやすさを示す。
【0015】
本発明の方法が任意の適切な対象において実施できると共に、ある特定の実施態様で、対象は鳥類であり、家禽、例えば鶏を含む。
【0016】
別の実施態様において、対象は、魚(例えばサケ科)である。サケ科はサケ又はマスであることが好ましい。
【0017】
本発明の方法ために使用される適切な組織は、皮膚、羽髄、肉垂、とさか、細胞画分を含有する血液、卵、上皮、粘膜、肺、ひ臓、肝臓、腎臓、結膜、胸腺、嚢、ひれ及びえらを含むが、これに限定されるものではない。例えば皮膚および/または羽髄を含む組織試料を用いて、アッセイは、生きている動物に有利に実施することができる。生きている動物から得ることができる他の適切な組織試料は、肉垂、とさか、血液、卵、ひれ及びえらを含むが、これに限定されるものではない。
【0018】
本発明の発明者は、組織外植片(例えば皮膚と羽髄の外植片)で複製されたインフルエンザウイルスを見いだした。インフルエンザウイルスがこれらの組織外植片で複製できることは、これまで知られておらず、予想もされていなかった。したがって、本発明の好適な実施態様において、組織試料は皮膚を含む。
【0019】
組織試料のウイルスの存在、非存在および/または複製を検出する任意の適切な方法は、本発明の方法で使用することができる。例えば、ウイルスは、ウイルス・ポリペプチドを検出することによって(例えば特異的抗体を用いて)、またはウイルス核酸を検出することによって検出することができる。細胞変性効果(CPE)を検出することによって、または当業者に知られている他の任意の適切な手段によって検出することができる。試料のインフルエンザウイルスの検出ためのアッセイの一例は、血球凝集アッセイである。
【0020】
ある実施態様において、組織試料のウイルスの有無を検出することは、組織試料から核酸を分離することを含む。方法は、単離された核酸からウイルス核酸を増幅することを試みることを更に含むことができる。
【0021】
ある実施態様において、組織試料から分離される核酸はRNAである。
【0022】
本発明の方法によって検出することができるウイルスは、例えばインフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、口蹄疫ウイルス、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、古典的ブタ熱ウイルス、青舌病ウイルス、アカバネ病ウイルス、伝染性サーモン貧血ウイルス、伝染性造血器壊死症ウイルス、ウイルス出血性敗血症ウイルス及び伝染性すい臓壊死症ウイルスを含むが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明のある実施態様において、ウイルスはインフルエンザウイルスである。
【0024】
ある実施態様において、インフルエンザウイルスはインフルエンザA型である。インフルエンザA型はインフルエンザA型の任意の菌株であってもよいが、ある実施態様において、インフルエンザA型は鳥インフルエンザA型である。試料のウイルス又はウイルス複製を検出するために、任意の適切なウイルス標的ウイルス核酸は増幅されることができる。本発明のある実施態様において、増幅されるウイルス核酸は、インフルエンザウイルスのM遺伝子の領域である。
【0025】
ある特定の実施態様では、ウイルス核酸は、配列番号1の少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む。
【0026】
別の実施態様において、ウイルス核酸は、配列番号2を含む。
【0027】
好適な実施形態において、細胞又は組織の培養は、ウイルスを組織試料に接触させる前には要求されない。本発明の方法の実施において、組織試料はウイルスに接触するので、ウイルスは試料の細胞に付着することができる。一実施態様において、ウイルスを、約15分から約2時間、組織試料に接触させる。
【0028】
別の実施態様において、ウイルスを、約1時間の組織試料に接触させる。
【0029】
更なる本発明の方法は、ウイルス複製に十分な時間にわたって、組織試料をインキュベートすることを含む。例えば、方法は、約1時間から約48時間、組織試料をインキュベートすることを含む。
【0030】
ある実施態様において、試料は、約48時間インキュベートされる。
【0031】
典型的に、組織試料のインキュベーションは、生育可能な条件で試料を保持ために最適な環境で実施される。当業者は、例えば、動物から得られた組織試料の種類及び動物が温血脊椎動物か冷血脊椎動物であるかどうかを含む、選択されたインキュベーション環境に影響する要因を理解するであろう。
【0032】
ある実施態様において、インキュベーションは約37℃である。
【0033】
さらに別の実施態様では、ウイルスは伝染性サーモン貧血ウイルスである。
【0034】
ある実施態様において、増幅されたウイルス核酸は、伝染性サーモン貧血ウイルスのセグメント7またはセグメント8の領域である。例えば、核酸は、配列番号10または配列番号11の少なくとも15の連続するヌクレオチドを含んでもよい。ある特定の実施態様では、ウイルス核酸は、配列番号12又は配列番号13を含む。
【0035】
一実施態様において、ウイルスは、約15分から約3時間にわたって組織試料に接触させる。ある特定の実施態様では、ウイルスは、約1.5時間、組織試料に接触させる。
【0036】
ある実施態様において、方法は、約1日から約10日間、組織試料をインキュベートすることを含む。
【0037】
別の実施態様において、方法は、約3日から約10日間、組織試料をインキュベートすることを含む。
【0038】
組織試料が冷血脊椎動物から得られた例において、37℃より低い温度で試料をインキュベートすることが望ましい場合がある。例えば、約10℃から約20℃で組織試料をインキュベートすることが好ましい。ある特定の実施態様では、インキュベーションは、約15℃である。
【0039】
ある特定の実施態様では、組織試料のインキュベーションは、約5%のCOを含む加湿された雰囲気において実施される。
【0040】
更に、本発明の方法は、トランスジェニック動物から得られた組織試料において実施してもよい。前記トランスジェニック動物は、例えば、ウイルス病原体に動物の感染しやすさに影響を及ぼす導入遺伝子を含む。したがって、本発明のある実施態様において、組織試料は、導入遺伝子の細胞を含む。
【0041】
導入遺伝子の細胞は、dsRNA分子(例えば短いヘアピンRNA(shRNA)分子)をコードする導入遺伝子を含む。トランス遺伝子がdsRNA分子をコードする場合に、dsRNA分子はウイルス核酸配列を含む場合があるか、あるいは動物に内在する核酸配列を含んでもよい。
【0042】
ある実施態様において、ウイルス核酸配列は、インフルエンザA型核酸配列である。
さらに別の実施態様では、対象は本発明の方法を実施する前に、ウイルスにさらされなかった。
【0043】
本発明は、ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を同定する方法であって、
(i)本発明の方法を実施すること、及び
(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を同定することを含む方法を提供する。
本発明は、
(i)本発明の方法を実施すること、
(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を選択すること、及び
(iii)前記動物を繁殖させることを含む、動物を繁殖させる方法を提供する。
【0044】
ある実施態様において、動物を繁殖させる方法は、
(i)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する第1の性別の第1の動物を選択すること;及び
(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する反対の性別の第2の動物を選択すること;及び
(iii)子孫をつくるために、第1の動物と第2の動物を交配させることを更に含む。
【0045】
本発明は、本発明の方法を実施するためのキットであって、ウイルスを検出する手段を含むキットを提供する。ある実施態様において、キットは、ウイルス核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも一つの核酸分子を含む。別の実施態様において、少なくとも一つの核酸分子は、ウイルス核酸を増幅することに役立つプライマーである。
【0046】
さらに別の実施態様では、キットはウイルスの試料を更に含む。
【0047】
後述するように、本発明の一態様の好適な特徴及び特性は、本発明の他の多くの態様に適用できる。
本明細書を通して、「含む(comprise)」なる用語、または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」のような変形は、決まった要素、整数または工程、又は要素、整数または工程の群に適用されるが、他の任意の要素、整数または工程、又は要素、整数または工程の群を除くものではない。本発明は、以下の非限定的な実施例として、及び添付の図に関して以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】外植片組織試料におけるインフルエンザA型ウイルス複製。皮膚(A)、親指(別名「翼膜」)(B)及び羽髄(C)は、12日齢のひなから取られた。組織試料は、インフルエンザA型PR8ウイルスに感染しており、1から48時間インキュベートされた。RNAは、感染した試料から抽出され、次にインフルエンザA型マトリックス(M)遺伝子に特異的なプライマーでリアルタイムPCRによってアッセイされた。リアルタイムPCRの結果は、感染後1時間以内と比較して、感染後48時間でのM遺伝子mRNAの一貫した有意な増加を示す。
【図2】shRNAを発現し、H5N1インフルエンザに感染させた、RCAS形質転換されたCEF培養の結果生じたHA。1.単独でRCASベクターと統合されるCEF。2.PB1−2257 shRNAを発現しているRCASと統合されるCEF。
【図3】大西洋サーモン外植片の伝染性サーモン貧血ウイルスの定量的PCR。えら外植片試料のISAV RNAの倍増は、感染後日0、3及び10にqPCRによって決定された。
【0049】
配列リストのキー
配列番号1 −インフルエンザA型のM遺伝子のコード配列
配列番号2 −インフルエンザA型のM遺伝子の領域
配列番号3 −shRNAによって標的とされるPB1配列
配列番号4 −ISAV S7−F1オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5 −ISAV S7−R1オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6 −ISAV S7−プローブ
配列番号7 −ISAV S8−F1オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号8 −ISAV S8−R1オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9 − ISAV S8−プローブ
配列番号10 −伝染性サーモン貧血ウイルスセグメント7のヌクレオチド配列。
配列番号11 −伝染性サーモン貧血ウイルスセグメント8のヌクレオチド配列。
配列番号12 −伝染性サーモン貧血ウイルスセグメント7のアンプリコン。
配列番号13 −伝染性サーモン貧血ウイルスセグメント8のアンプリコン。
【0050】
(詳細な説明)
(一般的技術及び選択された定義)
他で特に定義しない限り、本願明細書で使用する技術的及び科学的な全ての用語は、(例えば、細胞培養、微生物学、特にウイルス学、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、及び生化学の)当業者によって一般に理解されるものと同じ意味に取られるべきである。
【0051】
特に明記しない限り、本発明において利用される微生物学的、細胞培養及び免疫学的の技術は標準的方法であり、当業者によく知られている。上記の技術は、以下のソースの文献を介して記載及び説明しされている:J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984), J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring Harbour Laboratory Press (2001), T.A. Brown (editor), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991), D.M. Glover and B.D. Hames (editors), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1-4, IRL Press (1995 and 1996), and F.M. Ausubel et al., (editors), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988, including all updates until present), Ed Harlow and David Lane (editors) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988), and J.E. Coligan et al., (editors) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons (現在までの全ての改訂を含む).
【0052】
本願明細書で使用する場合、「対象」なる用語は、動物、例えば鳥、魚または哺乳類動物を指し、ヒトを含む。ある実施態様において、対象は、鳥、例えば鶏、シチメンチョウまたはカモのような家禽であってもよい。他の実施態様において、対象は、例えば、ヒツジ、ブタまたは牛であってもよい。実施態様において、対象は鶏である。別の実施態様において、対象はサケ科である。
【0053】
本明細書で使用する「鳥(avian)」なる用語は、分類学上の鳥綱の生物の任意の種、亜種または系統をさし、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、並びにダチョウ、エミュー、およびヒクイドリを含む走鳥類であるが、これらに限定されない。この用語は、様々な既知のガルス・ガルス(Gallus gallus)またはニワトリ(chicken)の系統(例えば、ホワイトレグホーン(White Leghorn)、ブラウンレグホーン(Brown Leghorn)、バードロック(Barred-Rock)、サセックス(Sussex)、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ロードアイランド(Rhode Island)、オーストラロープ(Ausstralorp)、ミノルカ(Minorca)、アムロックス(Amrox)、カリフォルニアグレイ(California Gray)、イタリアンパートリッジカラード(Italian Partidge-colored)、並びにシチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ダチョウ、および商業的規模で一般的に飼育される他の系統の家禽を含む。
【0054】
「鳥肉」なる用語は、肉または卵のために保たれるか、収集されるか、または家畜されている全ての鳥類を含み、例えばニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ゲームヘン、ひな鳥、ホロホロチョウ、キジ、ウズラ、カモ、ガチョウ及びエミューである。
【0055】
本願明細書において使用する「サケ科」なる用語は、サケ科系統の魚を指し、サケ、マス、イワナ及びホワイトフィッシュを含む。サーモンの非限定的な例は、大西洋サケ、キングサーモン、カラフトマス、ギンザケ、サクラマス、ベニザケ及びシロサケを含む。マスの非限定的な例は、ニジマス、ブラウントラウト、カワマス及びレイクトラウトを含む。
【0056】
「試料」は任意の適切な種類であってもよく、非限定的な例として、組織試料、例えば皮膚、羽髄、肉垂、とさか、細胞画分を含む血液、卵、上皮、粘膜、肺、脾臓、肝臓、腎臓、結膜、胸腺、嚢、ひれ及びえらのような組織試料をさす。
【0057】
本明細書で使用する場合、「感染しやすさ」は、臨床感染及び無症状感染症を含むウイルスに感染される動物の能力を指す。「減少した感染しやすさ」によって、正規母集団と比較した場合の感染しやすさの減少したレベルを意味する。
【0058】
「細胞に付着しないウイルス」によって、宿主細胞表面上の特異的受容体と結合した表面タンパク質を有しないウイルス粒子を意味する。
【0059】
本願明細書において使用する「ウイルス複製」は、宿主細胞のウイルスゲノムの増幅を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合に「鳥インフルエンザウイルス」は、鳥を感染させることができる任意のA型インフルエンザウイルスを指す。鳥インフルエンザの例は、亜型H1からH16及びN1からN9の任意の1又は複数を含むが、これに限定されず、高病原性と低病原性の菌株を含む。ある実施態様において、鳥インフルエンザウイルスは、H5亜型である。別の実施態様において、鳥インフルエンザウイルスは、H7亜型である。別の実施態様において、鳥インフルエンザウイルスは、H5N1亜型である。
【0061】
本明細書で使用する場合、「約」なる用語は、所定値の+/−5%の範囲を指す。
【0062】
(アッセイ)
本発明の方法は対象由来の組織試料をウイルスと接触させるアッセイであって、ウイルス複製に十分な時間の後に、試料のウイルスの有無が検出されるアッセイを提供する。
ある実施態様において、本発明は、動物由来の組織試料のウイルス複製を検出する方法であって、
動物から得られた組織試料をウイルスに接触させて、
ウイルス複製のために十分な時間にわたって組織試料をインキュベートし、
組織試料のウイルスの有無を検出することを含む方法を提供する。
当業者は、上記アッセイが実施される条件が、組織試料が由来する種および/または組織試料に接触するウイルスによって決まることになることを理解する。例えば、組織試料がウイルスと接触し、続いてインキュベートされる温度、湿度、大気の組成及び時間のような要因は、対象種及びアッセイで使用するウイルス種に従い変化する。上記の条件は、当業者にとってルーチン的に決定されてもよい。
例えば、鶏の皮膚試料のインフルエンザウイルスの複製のためのテストの場合、試料は、約5%のCOを含んでいる加湿された雰囲気中で、37℃でインキュベートされてもよい。
【0063】
アッセイが実施される温度は約37℃であってもよいが、得られた試験試料が由来する種及び試験されるウイルスの種に従って、より低くてもより高くてもよい。例えば、魚から得られた試料のウイルスの複製の試験の場合、試料は約8〜18℃の間でインキュベートしてもよい。
組織試料は、ウイルスが試料中の細胞に入ることを可能にするために適切な時間にわたってウイルスに接触させてもよい。例えば、組織試料を、約15分から約2時間、ウイルスに接触させてもよい。ある実施態様において、ウイルスは約1時間の組織試料に接触させる。別の実施態様において、ウイルスは約1.5時間の試料に接触させる。
【0064】
組織試料は、次にウイルス複製に十分な時間にわたってインキュベートされる。インキュベーション時間は、例えば、約1時間から約48時間であってもよい。組織試料がより低い温度でインキュベートされる例および/またはウイルス増殖がより遅い例では、インキュベーション時間は約1日から約10日であってもよい。当業者は、インキュベーションの適切な期間を容易に決定することができる。
【0065】
ウイルスに接触させる組織試料は、例えばマイクロタイタ容器または他のマルチ・ウエルプレートの適切な容器のウェルに配置されることができる。ある実施態様において、ウイルスのアリコート(例えば連続的に希釈されたアリコート)は組織試料に加えられ、ウイルスは除かれ、次に組織試料はウイルスの複製を可能にする条件でインキュベートされ、典型的には特定の宿主組織試料の生存度を維持することに適している条件である。ある実施態様において、ウイルスの複製後に、ウイルス核酸は、必要に応じて細胞溶解を促進する条件または薬剤を使用して組織試料の細胞の溶解によって放出される。
【0066】
ある実施態様において、単離された核酸からウイルス核酸を増幅する試みが行われる。増幅される核酸は、RNAまたはDNAであってもよい。
【0067】
他の実施態様において、アレイのような、多数のライセートにおいて、ウイルス核酸を含む核酸は移されて、核酸(タンパク質と他の混入物を取り除くために適切に洗浄したもの)を結合する条件で膜に固定される。次に、標識されたウイルス特異的プローブと膜をハイブリダイズさせることは、各々の最初の培養ウェルとの一致によって、アレイ上のポイントの各々において、ウイルス特異的な核酸の相対量を同定し定量するために使用することができる。核酸トランスファー、結合、洗浄及びハイブリダイゼーショの条件及び材料は、通常の分子生物学的技術(例えば「ドットブロット」ハイブリダイゼーション(文献に記載されている、例えば分子生物学技術のSambrook et al.,(上記)及びAusubel et al.,(上記)を参照)を適用することができる。あるいは、試料のウイルスの有無は、タンパク質検出技術を使用して決定されてもよい。ある実施態様において、ウイルスポリペプチドに特異的な抗体は、試料のウイルスの有無を検出するために用いられる。ウイルスポリペプチドを検出する任意の適当手段が、本発明の方法で用いられてもよい。
【0068】
本発明の方法において、ウイルス複製のレベルを対照試料と比較すること、または試料のウイルス複製のレベルを定量化することが望ましい。上記の定量は、適切なコントロール試料の包含によって、容易に提供される。内部対照群の例は、ウイルスの既知量を有する試料および/またはウイルスを含むことが分かっていない試料の一又は複数である。内部対照群の他の例は、興味がある特定のウイルスが複製することが知られているか、または逆にウイルスがいずれも繰り返さないことは知られている組織サンプルであってもよい。当業者に知られているように、内部対照群が実施される各アッセイに含まれない場合、対照群は確立されたデータセットに由来してもよい。
【0069】
(ウイルス核酸の検出)
「単離された核酸」によって、(少しでも天然に存在する場合に)天然状態において連結または結合したクレオチド配列から一般に分離された核酸を意味する。好ましくは、単離された核酸は、天然に結びつけられた他の成分から少なくとも60%フリーであり、より好ましくは、少なくとも75%フリーであり、より好ましくは少なくとも90%フリーである。
「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」なる用語は、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたはそれらの任意の断片を指す。ゲノム又は合成起源のDNAまたはRNAであってもよい。
【0070】
ある実施態様において、本発明は、対象のウイルスへの感染しやすさを決定する方法であって、ウイルスに対象から得られた組織試料を接触させて、ウイルス複製に十分な時間にわたって組織試料をインキュベートし、組織試料のウイルス複製の有無を検出することを含んでなり、組織試料から核酸を分離することを更に含む方法を提供する。別の実施態様において、方法は、単離された核酸からウイルス核酸を増幅することを試みることを更に含む。当業者は、ウイルス核酸を検出する任意の適切な技術を本発明の方法で用いてもよいことを理解する。
【0071】
当業者は、任意の適切なウイルス核酸配列が本発明の方法で検出されてもよいことを理解する。核酸検出を可能にする任意の適切な技術を用いることが可能であり、組織に特異的遺伝子の発現レベルの定量的評価を可能にするものを含む。比較は、標準対照群、または感染してない組織中での対照群のレベルを参照することによって行われる。例えば、転写遺伝子のレベルは、ノーザンブロッティングおよび/またはRT−PCRによって決定することができる。定量的(リアルタイム)PCRの出現については、任意のRNA集団に存在する遺伝子のコピー数を、興味がある遺伝子のための適切なプライマーを用いて、正確に決定することができる。複数の転写遺伝子のレベルは、固体表面に固定された興味がある全ての遺伝子の核酸配列を含む遺伝子アレイ上のハイブリダイゼーションによってすぐに監視することができる。核酸は標識され、遺伝子アレイにハイブリダイズをされてもよく、その場合には、遺伝子濃度はアレイにおいて生み出される放射性または蛍光性のシグナル強度に比例する。
【0072】
(ポリヌクレオチドの増幅)
「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、反復されたコピーが「上流」と「下流」のプライマーからなる「プライマー対」または「プライマーセット」及びDNAポリメラーゼのようなポリメリゼーションの触媒、典型的には熱耐性ポリメラーゼ酵素を用いて、標的ポリヌクレオチドからできている反応である。PCRの方法は公知技術であり、例えば、「PCR」(M.J. McPherson and S.G Moller(2000)編集のBIOS Scientific Publishers Ltd, Oxford)において教示される。PCRは、生物試料から単離された逆転写mRNAから得られたcDNA上に実施することができる。
【0073】
プライマーは、通常長さ約15〜約50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであり、PCRの間に、標的配列に配列特異的な様式でハイブリダイズし、伸長することができる。アンプリコンまたはPCR産物またはPCR断片または増幅産物は、プライマーと標的配列の新しく合成されたコピーを含む伸長生成物である。マルチプレックスPCRシステムは、複数のアンプリコンの同時の産生に結果としてなる多重のプライマーセットを含む。プライマーは標的配列に完全に合致してもよいし、または特異的な標的配列に制限酵素部位または触媒核酸認識/切断部位の導入に結果となりうるミスマッチの塩基を内部に含んでもよい。更に、プライマーは、アンプリコンの捕獲または検出を容易にするために、付加された配列および/または修飾または標識されたヌクレオチドを含んでもよい。DNAの熱変性の繰り返されたサイクル、それらの相補配列に対するプライマーのアニーリング、ポリメラーゼによるアニールされたプライマーの伸長は、標的配列の指数関数的な増幅に結果としてなる。標的または標的配列またはテンプレートなる用語は、増幅された核酸配列を指す。
【0074】
別の核酸増幅技術は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)である。まず、相補的DNA(cDNA)は逆転写酵素酵素を使用してRNAテンプレートから作られ、次にPCRは結果として生じたcDNAについて実施される。
【0075】
増幅のための別の方法はリガーゼ連鎖反応(「LCR」)であり、EP0320308に開示されている。LCRにおいて、2つの相補的プローブ対は調製され、標的配列の存在下で、各対は標的の逆の相補鎖に結合し、それらは隣接する。リガーゼの存在下で、2つのプローブ対は、連結して1つのユニットを形成する。PCRのような温度サイクリングによって、結合したライゲートされたユニットは標的から分離され、次に過剰なプローブ対のライゲーションのための「標的配列」として働く。米国特許第4883750号は、標的配列のプローブ対を結合するためにLCRに類似した方法を記載する。
【0076】
更に、Qβレプリカーゼが、本発明の別の増幅方法として使われてもよい。この方法では、標的の配列に相補的領域を有するRNAの反復可能な配列は、RNAポリメラーゼの存在下で、試料に加えられる。ポリメラーゼは反復可能な配列を複製し、次に検出されることができる。
【0077】
更に制限エンドヌクレアーゼとリガーゼが制限部位の1つのストランドにヌクレオチド5’α−チオ−三リン酸を含む標的分子の増幅を得るために用いられる等温増幅方法は、本発明の核酸の増幅に有用であってもよい(Walker et al.,1992a)。
ストランド置換増幅(Strand Displacement Amplification、SDA)は、ストランドの置換と合成、すなわちニックトランスレーション(Walker et al.,1992b)の多重のラウンドを含む核酸の等温増幅を実施する別の方法である。
【0078】
更に標的特異的配列は、サイクリック・プローブ反応(CPR)を使用して検出されうる。CPRでは、非特異的DNAの3’及び5’配列及び特異的RNAの中間配列を有するプローブが試料中に存在するDNAにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションの際に、反応はRNase Hで処理され、プローブの生成物は消化の後に放出される特徴的な生成物として同定される。当初のテンプレートは別のサイクリング・プローブにアニールされ、反応は繰り返される。等温増幅技術の別の例は、LAMP(DNAのループ介在型等温増幅)であって、Notomi,T. et al.,2000に記載されている。
【0079】
更なる増幅方法が、英国出願第2202328及び国際特許出願番号第PCT/US89/01025号に記載されており、本発明に用いられてもよい。前者の出願において、「修飾」プライマーが、PCR様、テンプレート依存型及び酵素依存型の合成において使われる。プライマーは、捕捉部分(例えばビオチン)および/または検出部分(例えば酵素)を有するラベリングによって修飾されることができる。後者の出願において、過剰の標識されたプローブが試料に加えられる。標的配列の存在下で、プローブは結合し、触媒で切断される。切断の後、標的配列は、過剰なプローブによって結合されるために完全に解放される。標識されたプローブの切断は、標的配列の存在の信号を出す。
【0080】
他の核酸増幅手順は、核酸配列ベース増幅(NASBA)及び3SR(Kwoh et al., 1989; WO88/10315)を含む転写ベース増幅システム(TAS)を含む。NASBAでは、核酸は増幅のために、標準フェノール/クロロホルム抽出、臨床試料の熱変性、溶菌緩衝液を用いた処理、並びにDNAおよびRNAを単離するためのミニスピンカラムまたはRNAの塩化グアニジニウム抽出により調製できる。これらの増幅技術は、標的特異的な配列を有するプライマーをアニールすることを含む。ポリメリゼーションに続いて、二重鎖DNA分子が再度熱変性される一方で、DNA/RNAハイブリッドはRNase Hによって消化される。いずれの場合でも、一本鎖DNAは第2の標的特異的プライマーの付加によって完全に二本鎖にされ、ポリメリゼーションが続く。二本鎖DNA分子は、T7またはSP6のようなRNAポリメラーゼによって多重に転写される。等温サイクリック反応において、RNAは一本鎖DNAに逆転写され、次に二本鎖DNAに変換されて、次にT7またはSP6のようなRNAポリメラーゼによってもう一度転写される。結果として生じる生成物は、短縮されたものであろうと完全なものであろうと、標的特異的な配列を示す。
【0081】
ヌクレオチド配列のダイレクト・シークエンシングのための方法は、当業者にとって周知であり、例えばAusubel et al., eds., Short Protocols in Molecular Biology, 3rd ed., Wiley, (1995) and Sambrook et al., Molecular Cloning, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001)に見出すことができる。シークエンシングは、任意の適切な方法(例えばジデオキシ・シークエンシング、化学シークエンシングまたはその変形)によって、実施することができる。ダイレクト・シークエンシングは、特定の配列の任意の塩基対の変異を決定する利点がある。
【0082】
ハイブリダイゼーション・ベースの検出システムは、TaqManアッセイと分子ビーコンを含むが、これに限定されるものではない。TaqManアッセイ(US5962233)は一端にドナー色素、他端にアクセプター色素を有するアリル特異的な(ASO)プローブを使用し、色素対は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を経て相互に作用する。標的配列は、標識されたASOプローブの付加を含むように改変されたPCRによって増幅される。単一のヌクレオチド違いがプローブの結合を影響するように、PCR条件は調整される。Taqポリメラーゼ酵素の中で5’ヌクレアーゼ活性により、PCRの間に、一つのミスマッチ塩基を有するプローブが切断されない一方で、完全に相補的プローブは切断される。プローブの切断はクエンチ用アクセプター色素からドナー染料を解離させて、非常にドナー蛍光を増大させる。
【0083】
TaqManアッセイの代替法は、分子ビーコン・アッセイ(US5925517)である。分子ビーコン・アッセイにおいて、プローブは標的特異的種の側面に位置している相補配列を含み、それによりヘアピン構造が形成される。ヘアピンの各アームがドナーまたはアクセプター色素のいずれかを含む一方で、ヘアピンのループは標的配列に相補的である。ドナー配列にハイブリダイズしない場合、ドナー色素とアクセプター色素は互いに近くなり、それによりヘアピン構造はドナー蛍光は消失される。しかしながら、特異的標的配列に対しハイブリダイズした場合、ドナー色素及びアクセプター色素は最高900倍の蛍光の増加と共に分離される。分子ビーコンは、PCRによって標的配列の増幅とともに使用されることができ、標的配列の存在下でリアルタイム検出の方法を提供することができるか、または増幅の後、使われることができる。当業者は、核酸を増幅するかまたは検出する任意の適切な方法が本発明の方法で用いられることができることを理解する。
【0084】
(ハイブリダイゼーション)
本発明の方法において、ウイルス核酸は、サザンブロット、ノーザンブロットまたはドットブロット解析を含むがこれに限らず、任意の適切なハイブリダイゼーション技術によって検出されることができる。ウイルスの有無のために試験される試料は、細胞、ゲノムDNA(例えばサザンブロット分析のために)、RNA(例えばノーザンブロット解析のために)、cDNAなどを含むことができる。必要に応じて、ウイルスまたはプローブ核酸は、溶液中にあるか、またはマイクロタイター・プレート、膜、ポリスチレンビーズ、ガラススライドまたは他の固相のような固体支持体に固定されてもよい。
【0085】
本明細書で使用する場合「ハイブリダイゼーション」なる用語は、水素結合により2つの核酸分子が互いに結合することを指す。この結合に影響を及ぼす要因は、以下から成る:溶媒の種類と量;反応温度;ハイブリダイゼーションの時間;撹拌;固体支持体への液相分子の非特異的付加を遮断する薬剤(例えばデンハート試薬またはBLOTTO);分子の濃度;分子の結合の速度を増大する化合物の使用(例えば硫酸デキストランまたはポリエチレングリコール);及びハイブリダイゼーション後の洗浄条件のストリンジェンシー(参照:Sambrook et al. Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition (1989))。
【0086】
「ストリンジェンシー」は、異なる分子の結合以上に、非常に類似した分子の結合をより好むハイブリダイゼーション反応の条件を指す。高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、例えば、50%のホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸3ナトリウム、pH8.0)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5Xデンハート溶液、10%の硫酸デキストラン、及び20マイクログラム/mlの変性された、断片化サケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩のインキュベーション、続いてフィルターを約65℃で、0.1xSSCで洗浄することと定義される。低ストリンジェンシー条件は、35℃で実施されているハイブリダイゼーション反応を含む。好ましくは、本発明の方法のハイブリダイゼーションのために使用する条件は、高ストリンジェンシー条件である。
【0087】
一般に、ウイルス核酸分子にハイブリダイズするプローブまたはプライマーとして役立つオリゴヌクレオチドは、長さ少なくとも約12〜15ヌクレオチド、または長さ18〜20ヌクレオチド、または長さ21〜25ヌクレオチド、場合により長さ約26〜35ヌクレオチドか、それ以上である。好ましくは、核酸分子はウイルス核酸分子とバックグラウンドの少なくとも2倍で、より典型的にはバックグラウンドの10から100倍以上でハイブリダイズする。
【0088】
好ましくは、核酸は、テストのために試料から単離される。適切な方法は、当業者に知られている。例えば、RNAは従来の手順(例えばQIAGEN technologyによって供給されるもの)を使用して、分析される試料から分離されることができる。このRNAは、次に逆転写酵素を使用してDNAに逆転写され、興味があるDNA分子は次に特異的なプライマーを使用してPCR技術によって増幅されることができる。
【0089】
(ウイルス・ポリペプチドの検出)
ある実施態様において、そのウイルス・ポリペプチドまたは免疫原性断片またはエピトープは試料で検出され、試料中のポリペプチドまたは免疫原性断片またはエピトープのレベルはウイルス複製を表す。好ましくは、方法は、試料から得られたタンパク質または免疫原性断片を、ウイルス・ポリペチドまたは免疫原性断片またはそのエピトープと結合することができる結合剤と接触させること、及び結合剤とウイルス・ポリペチドまたは免疫原性断片またはそのエピトープとの間での複合体の形成を検出することを含む。実施態様において、結合剤は抗体である。
【0090】
好ましくは、結合剤がウイルス・ポリペプチドに選択的に結合し、通常は結合が意図されない他のポリペプチドに結合しない。結合剤は、他のポリペプチドの過剰量がある場合に、ウイルス・ポリペプチドに、十分にしっかりと(すなわち十分に高い親和性によって)結合することができ、それによりウイルス・ポリペプチドを検出するために有用なツールを提供する。上記の特異性を得るために必要とされるパラメータは、従来技術を使用してルーチンに決定される。好ましくは、結合剤は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10〜100倍でウイルス・ポリペプチドに結合する。
【0091】
本願明細書において考察される検出システムは、例えば、対象から単離された生物学的試料中のタンパク質を検出するために知られている任意のアッセイ、例えばSDS/PAGE、分画電気泳動、SDS/PAGEと分画電気泳動を含んで成る2次元のゲル電気泳動、イムノアッセイ、タンパク質の抗体または非抗体リガンド、例えば小分子(例えば、タンパク質の、化学化合物、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレータ、競合阻害剤または非競合阻害剤)を使用している検出ベースのシステムを含む。これらの実施態様に従って、抗体または小分子が、タンパク質の検出に適している任意の標準の固相または液相アッセイ・フォーマットで使用されてもよい。光学または蛍光性の検出、例えば、質量分析を使用する蛍光活性化細胞分類(FACS)、MALDI−TOF、バイオセンサ技術、エベネセント・ファイバー・オプティックスまたは蛍光共鳴エネルギー転送は、本発明に明らかに含まれる。更に、質量試料のハイスループット・スクリーニング、特にハイスループット分光学共鳴法(例えばMALDI−TOF、エレクトロスプレーMSまたはナノ−エレクトロスプレーMS)に使用される適切なアッセイ・システムも考慮される。
【0092】
適切なイムノアッセイ様式は免疫ブロット、ウエスタンブロット、ドットブロット、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及びエンザイムイムノアッセイを含む。更に蛍光共鳴エネルギー転送(FRET)、アイソトープ標識親和性タグ(ICAT)、マトリックス支援脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF)、エレクトロスプレーオン化(ESI)、バイオセンサ技術、エベネセント・ファイバー・オプティックス技術またはタンパク質チップ技術を利用する改変イムノアッセイも有用である。
【0093】
ある実施態様において、アッセイは半定量的アッセイまたは定量的アッセイである。
標準固相ELISA様式は、特に種々の試料からウイルス・ポリペプチドの濃度を決定する際に役立つ。上記のELISAベースのシステムは、例えば特に標準の既知量に対して検出システムを調整することによって、試料のウイルス・ポリペプチドの定量に適している。
【0094】
別の形態において、ELISAは、特異的に固体のマトリックス(例えば、膜、ポリスチレンまたはポリカーボネート・マイクロウエル、ポリスチレンまたはポリカーボネート計量棒またはガラス支持体)上に、ウイルス・ポリペプチドを結合する抗体を固定することを含む。次に、試料は前記抗体と物理的関係に持たされ、試料の抗原は結合されるかまたは捕捉される。結合したタンパク質は、次に標識抗体を使用して検出されうる。例えば、タンパク質がインフルエンザウイルスを含むことが疑われる試料から捕獲される場合、インフルエンザウイルス・ポリペプチドに対する抗体は捕獲されたタンパク質を検出するために用いる。あるいは、第2の(検出)抗体を結合する第三の標識抗体が使用されてもよい。
【0095】
バイオセンサ装置は、一般に、アッセイ基質(例えばそれ米国特許第5567301号に記載される)と結合して装置に組み込まれる電流またはインピーダンスを測定している素子と組み合わせた電極表面を使用する。興味があるタンパク質に特異的に結合する抗体またはリガンドは、好ましくはバイオセンサ装置の表面及び前記装置に接触する、対象から分離された生物学試料に組み込まれる。バイオセンサ装置による検出電流またはインピーダンスの変化は、前記抗体またはリガンドにタンパク質結合を示す。更に、公知技術のバイオセンサのいくつかの形態は、タンパク相互作用を検出するために表面プラスモン共鳴に依存し、それによって、反射の表面プラスモン共鳴表面の変化はリガンドまたは抗体へのタンパク質結合を表す(米国特許第5485277号と5492840号)。
【0096】
バイオセンサは、上記のシステムをミクロ−またはナノ−スケールに容易に調節するために、特にハイスループット解析に使用されるものである。さらにまた、上記のシステムは、一つのバイオセンサユニット中で多重の診断試薬を可能にする、いくつかの検出試薬を組み込むのに便利で適している。
【0097】
抗体またはリガンドへの診断用タンパク質の結合に応じて異なる波長で蛍光を放出するために、エバネセントバイオセンサは、一般に、蛍光分子(例えばプローブの表面の近くに取り付けられた蛍光抗体)と相互に作用している前もって決められた波長の光に依存する。
【0098】
(細胞変性効果(CPE)の検出)
本願明細書において使用する場合、「細胞変性効果」または「CPE」なる用語は細胞構造の変化(すなわち異常な効果)をいう。一般的な細胞変性効果は、細胞崩壊、シンシチウム(すなわち、融合された巨細胞)形成、細胞の球状化、液胞形成、封入体の形成を含む。CPEは、生存可能なままその必須の機能を実施するために許容細胞宿主の能力に悪影響を及ぼす、許容細胞におけるウイルスの活動から生じる。
ウイルスの存在は、しばしば宿主細胞の形態学的変化を生じる。感染のための宿主細胞の任意の検出可能な変化は、細胞変性効果として知られている。細胞変性効果(CPE)は、細胞の球状化、方向付け障害、膨張または縮小、死亡、表面からの分離などを含む。
本発明のある実施態様において、組織試料のウイルス複製は、試料の細胞変性効果の有無を決定することによって検出することができる。
ある特定の実施態様では、細胞変性効果は、試料を色素で染色することによって検出される。CPEの検出のための適切な色素は、従来技術である。例えば、CPEは、細胞のニュートラルレッド取り込みの増加を測定することによって検出することができる。ニュートラルレッド取り込みアッセイは、細胞を含んで成る試験試料に加えられる培地に、ニュートラルレッドを約0.34%の濃度で加えることによって行われることができる。2時間後に、細胞によって吸収される色素の色強度は、例えば、マイクロプレート自動読取り機を使用して決定される。
【0099】
(ウイルス病原体)
本発明の方法は、ウイルスが動物由来の組織試料において複製することができるかどうか決定するために用いてもよい。ウイルスの複製は、ウイルス病原体への動物の感染しやすさを示すことができる。家禽の重大なウイルス病の例は、鳥インフルエンザ、マレック病、ニューカッスル病、伝染性ファブリーキウス嚢病、伝染性貧血症及び伝染性気管支炎を含むが、これに限定されるものではない。ブタにおいて、伝染性胃腸炎、豚繁殖・呼吸障害症候群、古典的ブタコレラ、仮性狂犬病及び狂犬病感染症は、深刻な健康問題である。偶蹄類の重大な疾患は、口蹄疫(FMD)である。魚の重大なウイルス病原体は、伝染性サーモン貧血ウイルス、伝染性造血器壊死症ウイルス、ウイルス出血性敗血症ウイルス及び伝染性すい臓壊死症ウイルスを含む。動物に感染させること知られているウイルス病原体の他の例は、青舌病ウイルス、ユーベナンジーウイルス、アフリカ馬疫ウイルス、ネブラスカ仔牛下痢症ウイルス、牛または羊ロタウイルス、鳥類のロタウイルス、ウシ腸内ウイルス、ブタ腸内ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス、A型インフルエンザウイルス、ブタインフルエンザウイルス、馬インフルエンザウイルス;ジステンパーウイルス、牛疫ウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、狂犬病ウイルス、魚類ラブドウイルス、伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、牛痘ウイルス、バッファロー痘ウイルス、鶏痘ウイルス、ヒツジ痘ウイルス、ヤギ痘ウイルス、豚痘ウイルス、ウシ丘疹性口内炎ウイルス、アフリカ豚コレラウイルス、ウマ流産ウイルス、馬のヘルペスウイルス2型及び3型、ウシ伝染性角結膜炎ウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウシ、ブタ、ヒツジと多数の他種のアデノウイルス、鳥アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、ウシ・パルボウいルス及びアカバネウイルスを含むがこれらに限定されない。
【0100】
(インフルエンザウイルス)
重要なウイルス病原体の例はインフルエンザウイルスである。3種類のインフルエンザウイルス、A型、B型、及びC型が知られており、オルソミクソウイルス科と呼ばれるマイナス一本鎖エンベロープRNAウイルスの科に属する。ウイルスゲノムは、長さ約12,000〜15,000ヌクレオチドであって、11のタンパク質をコードする8つのRNA部分(C型では7つ)を含む。
【0101】
インフルエンザAウイルスは、ヒト、ブタ、ウマ、海洋哺乳類及び鳥のような多数の動物に感染し、気道の上皮細胞に感染する。その天然保有者は水禽類であり、鳥類の種で、大部分のインフルエンザウイルス感染によって呼吸と腸管の軽度の局所的感染が生じる。しかしながら、ウイルスは、家禽に高い病原性の影響を有することができ、突発的に、感染した家禽集団で高死亡率を引き起こす。
【0102】
インフルエンザA型ウイルスは、表面糖タンパク質(すなわち、ウイルス付加と細胞放出のために必要であるヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA))をコードする2つの遺伝子の抗原性領域の対立遺伝子の変異に基づいて、サブタイプに分類されることができる。他の重大なウイルスタンパク質は、核タンパク、ヌクレオカプシド構造タンパク質、基質タンパク質(M1及びM2)、ポリメラーゼ(PA、PB1及びPB2)、及び非構造タンパク質(NS1とNS2)を含む。
【0103】
少なくとも16亜型のHA(H1からH16)及び9亜型のNA(N1からN9)抗原の変異体が、A型インフルエンザウイルスで知られている。さらに、鳥インフルエンザ菌株は、低病原性の菌株と高病原性の菌株に特徴づけられる。低病原性の菌株は典型的にHA前駆体の切断部位の位置−1と−3に2つの塩基性アミノ酸を有するだけであるが、高病原性の菌株は複数の塩基性の切断部位を有する。H5亜型とH7亜型は家禽で高病原性の感染症を引き起こす場合があり、特定の亜型は種の壁を越えてヒトに渡ることが示された。更に高病原性H5及びH7ウイルスは、国内の家禽の低病原性前駆体から現れる場合がある。鳥類のインフルエンザ感染の症状は、典型的インフルエンザタイプの症状(発熱、咳、咽頭炎及び筋肉痛)から、結膜炎、肺炎、急性呼吸困難及び他の致命的な合併症まで変動する。
【0104】
本発明の方法は、インフルエンザウイルス感染に対する減少した感染しやすさを有する動物を同定するために用いることができる。インフルエンザウイルス検出のための任意の適切な方法が、本発明の方法で用いられてもよい。インフルエンザ核酸を検出する場合、検出される核酸配列は任意のインフルエンザ遺伝子またはその領域であってもよく、すなわちM1基質タンパク質、M2基質タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)、ヘマグルチニン(HA)、非構造タンパク質1と2(NS1とNS2)、ヌクレオカプシドタンパク質(NP)、ポリメラーゼ(PA)、ポリメラーゼ1(PB1)またはポリメラーゼ2(PB2))をコードしている遺伝子であってもよい。ある実施態様において、増幅される核酸配列は、インフルエンザウイルスのM遺伝子の領域である。実施態様において、ウイルス核酸は、配列番号1の少なくとも15ヌクレオチドを含み、例えば配列番号2を含んでもよい。あるいは、任意のインフルエンザウイルスをコードするポリペプチドが検出されてもよい。
【0105】
(ニューカッスル病ウイルス)
ニューカッスル病(ND)は、しばしば命にかかわる家禽の重病であって、そのため重大な経済的損失に結果としてなることがある。病気はニューカッスル病ウイルス(NDV)によって生じ、ウイルスはパラミクソウイルス科パラミクソウイルス属に帰属する。
【0106】
ニューカッスル病ウイルスは、呼吸と腸管を経て動物の体に入る。ニューカッスル病の症状は主として呼吸と神経である。喘ぎは一般的である。神経の症状は、翼および/または脚の片側及び両側の麻痺、グルグル動くこと、頭頸部の上下の動き/振る動き、及び翼、首または足腰の発作を含む。一般的な症状は、しばしば40%以上もの産卵の減少及び食欲不振を含む場合がある。
【0107】
関与するウイルスの特性と特定の群れの免疫状態に従い、死亡率は変化しうる。一般的に、早く死に至る系統は、ゆっくりと死に至るものより、鳥の間に感染しにくい。加えて、長い無症状の保因状態は、家禽の特定の種(例えば鶏)に起こると推定されている。大発生の間、疾患を蔓延させる最も大きなリスクは、人と器材の移動から来る。養鶏業の多数のプロセスの集中化により、ある群れから別の群れへのスタッフと器材の移動の相当な流通がある。
【0108】
残念なことに、現在、毒性のニューカッスル病ウイルスの「野生型」バージョンに苦しんでいるワクチン接種をされていないものから、ワクチン接種を受けたものを区別する方法はないようである。両方の例において、抗体は動物の体で産生される。しかしながら、NDVに対する現在のワクチン接種免疫原は、毒性で伝染性のNDVへの感染後に見いだされる抗体とは区別がつかない抗体を頻繁に誘導する。
【0109】
本発明の方法は、NDVに対する減少した感染しやすさをもつ家禽の同定を可能にする。検出されるNDV核酸配列が、任意のゲノム遺伝子配列またはその領域、例えばヌクレオカプシドタンパク質(NP)、リンタンパク質(P)、基質タンパク質(M)、融合タンパク質(F)、ヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)または多数のポリメラーゼ・タンパク質(L)をコードしている遺伝子由来であってもよい。あるいは、ニューカッスル病ウイルスポリペプチドは、本発明の方法で検出されることができる。
【0110】
(鶏の貧血症ウイルス)
CAVウイルスは、鶏の伝染性貧血症を引き起こす。ウイルスは1979年に日本で最初に単離されて、幼雛では、当該ウイルスによって重い貧血症を生じるので、その名前が与えられた(Yuasa, et al., 1979)。CAV感染症の他の症状は、骨髄の萎縮及び胸腺のリンパ球の滅失である。病変は脾臓及び肝臓に起こる。
【0111】
日齢雛は最も感染しやすい。これらの動物において、昏睡状態、食欲不振及び一時的な貧血症は、CAVによる接種後4から7日まで観察され、感染後2から3週間で動物の半分が死亡する。年齢の増加と共に、自然抵抗力も増大する。7日目の感染では、ひなは感染後、一時的な貧血症を発病するだけであり、14日齢動物の感染では、貧血症はあとに続かない。
【0112】
CAVは、世界中に蔓延しているようである。CAV調査が日本で始まった相当な時間後、はじめのCAV分離は、ヨーロッパで、すなわちドイツでVon Bulow(1983)によって、その後イギリスでMcNulty et al.(1990)によって行われた。利用可能な文献データは、分離株が1つの血清型に属することを示すが、複数の野生分離株は病原性の相互関係及びありうる違いを見つけるため検査される(McNulty et al., 1990)。群れ内でのCAVの分散は、多分糞便と空気を介して感染によって起こる。更に子孫へのウイルスの垂直伝播は、CAV疫学において重要な役割を果たす。
【0113】
本発明の方法を使用して鶏の貧血症ウイルス(CAV)を検出する場合、検出される核酸配列は任意のCAV遺伝子(例えばCAVgp1、CAVgp2またはCux−1)由来であってよく、あるいは、CAV遺伝子によってコードされるポリペプチドが検出される。
【0114】
(伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス)
伝染性ファブリーキウス嚢病(IBD)は、若鶏の急性の接触感染性ウイルス病であり、ガンボロ病として知られている(Kibenge et al., 1988; Lasher et al., 1997)。病原体IBDウイルス(IBDV)は、ファブリキウス嚢の細胞に好発し、そこにウイルスは能動的に感染し、B細胞株のリンパ球を分割させ分化させる(Burkhardt and Muller, 1987)。IBDは、養鶏業に大きな損失を引き起こしている致命的な免疫抑制性疾患である。
【0115】
IBDVの第1の大発生は、米国デラウェアの商業的なニワトリの群れで記録された(Cosgrove, 1962)。大発生の間に分離されたIBDV株は、現在は古典的血清型I型分離株と呼ばれている。更に、疾患は1962年にヨーロッパで最初の報告があった。そして、1966年から1974年まで、IBDは、中東、南アフリカ及び西アフリカ、インド、極東及びオーストラリアで記録された。ほとんどの場合、大発生と関係しているIBDV菌株は、低い毒性であり、わずか1〜2%の特異的な死亡率が生じた(van den Berg et al., 2000)。
【0116】
1990年代において、IBDV分離株は、通常は防御される母親由来抗体のレベルを突破することが可能だったことが、ヨーロッパにおいて報告された。これらの分離株、いわゆる非常に強毒であるIBDVによって、大発生の間により重篤な臨床症状が生じ、感染しやすい群れで100%に近づくほどの死亡率であり、現在、ほぼ全世界で見つかっている(van den Berg et al., 2000)。IBDVの非常に強毒の菌株(vvIBDV)の出現は、疾患に対する免疫化計画を複雑にしている。
【0117】
早期ワクチン接種は母親由来抗体による干渉のために失敗に結果としてなることがあり、一方でその遅延は野生ウイルス感染が生じることがある。IBDV感染に対する減少した感染しやすさを有する鶏の同定は、疾患耐性系統の繁殖と選択を可能にする。
【0118】
本発明の一実施態様において、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス核酸が検出される。核酸は、IBDVsAgp1、IBDVsAgp2またはIBDVsBgp1由来であってもよい。あるいは、IBDV遺伝子にコードされるポリペプチドが検出される。
【0119】
(口蹄疫ウイルス)
口蹄疫(FMD)は、アフタウイルスによって生じる最も深刻な家畜病のうちの1つである。それは、少なくとも52カ国の世界の大部分で見つかっており、前記疾患はアフリカ、中東、アジア及び南アメリカにわたて報告されている。ウイルスに、A、O、C、SAT1、SAT2、SAT3及びAsia1の7つの血清型がある。これらは、60以上の菌株に更に再分割される。FMDは、牛、バッファロ、ラクダ、ヒツジ、ヤギ、シカとブタを含む偶蹄類(割れた蹄を有する動物)に影響を及ぼす。
【0120】
FMDは、呼吸、唾液、粘液、牛乳または糞便により迅速に動物の間に拡散する。疾患は、感染した動物の移動により非常に広く蔓延する。ウール、毛、草または藁上に、風によって、又は履き物、衣類、家畜装置または乗り物のタイヤに付着している泥又は堆肥によって、拡散しうる。
【0121】
FMDが成獣ではあまり致命的でないにもかかわらず、幼若動物を死亡させ、深刻な生産減失が生じることがある。臨床徴候は、発熱と、それにつづく足指の間と踵、乳腺、特に唇、舌と口蓋上の小水疱(液体に満ちた水疱)の出現である。これらの小水疱は、しばしば結合して、はれた水疱を形成し、つぶれると、ただれた、痛みを伴う潰瘍がのこり、それは回復に最大10日を要する。足の病変は、動物を歩行困難にし、食料や水に歩いていくことが不可能になる。舌と口の病変は非常に痛く、動物によだれを垂らし、摂食を止める。成体は通常2、3日後に再び摂食を開始するが、幼若動物は弱って死亡するか、足に奇形が残るか、又は乳腺に障害が残る場合がある。
【0122】
FMDは、動物及び畜産物の国際貿易において重要であり、当該疾患がない国々は感染している国からの輸入を禁止または制限している。これは、大発生が任意の主要家畜輸出国にとって深刻な経済的影響を有することを意味する。
【0123】
FMDウイルスは、5’非翻訳領域、コード領域及び3’非翻訳領域から成る約8500ヌクレオチドのプラス鎖RNAゲノムを含む。ゲノムは、異なるウイルスポリペプチドが切断された単一のポリプロテインをコードする。したがって、本発明の方法は、FMDウイルスゲノムまたはその生成物、例えば構造タンパク質VP1、VP2、VP3及びVP4、又は非構造タンパク質Lpro、3Dpol、2A、2B、2C、3A、3B、3Cproまたは3Dpolを検出することを含んでもよい。
【0124】
(豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス)
PRRSは、雌ブタの繁殖障害(例えば、雌ブタの後期流産と死産)及び特徴づけられたブタのウイルス病であり、子豚の呼吸困難(例えば、子豚の間質性肺炎)のウイルス病である(Collins et al., 1992; and Wensvoort et al., 1991)。それは、1987年に北米で、1990年にヨーロッパで検出された。
【0125】
原因因子は、感染したブタの肺胞マクロファージと血液からの主に回収される、小さい、エンベロープのあるプラス鎖RNAウイルスである。それはアルテリウイルス科のメンバーであり、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、マウスの乳酸脱水素酵素上昇ウイルス(LDV)及びサルの出血熱ウイルス(SHFV)を含む。他のアルテリウイルスのように、PRRSウイルスは、主にマクロファージを感染し、多数の組織の在住マクロファージの持続感染を確立する(Lawson et al., 1997; and Christopher-Hennings et al., 1995)。
【0126】
アルテリウイルス(例えばPRRSV)について、宿主感受性因子は検討されていなかった。したがって、PRRSVに対する宿主感受性についてのブタ繁殖のためのマーカーは知られていない。しかしながら、実験的に感染させた動物をと殺し、続いて間質性肺炎について組織病理学と免疫組織化学による更なる検査を行って肺のPRRSV抗原の存在を確認することに基づいて、ブタの異なる品種はPRRSV感受性が異なることが知られている。
【0127】
したがって、本発明は、PRRSV感染症の感染しやすさについて、ブタを調べるために用いることができる方法を提供する。加えて、スクリーニング結果が、PRRSV感染症への子孫の感染しやすさを減少させるように設計された繁殖プログラムで使われるかもしれない。
【0128】
本発明の方法で検出することができる豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルスは、PRRSVgp1、PRRSVgp2、PRRSVgp3、PRRSVgp4、PRRSVgp5、PRRSVgp6、PRRSVgp7またはPRRSVgp8遺伝子由来であってもよい。別の実施態様において、PRRSV遺伝子によってコードされるポリペプチドが検出される。
【0129】
(古典的ブタ熱ウイルス)
古典的ブタコレラ(CSF)(別名豚コレラまたはブタコレラ)は、ブタの高接触感染性のウイルス病である。CSFは、汚染された糞便、尿、鼻の分泌物及び涙を介して迅速に広がる。感染しやすいブタと感染したブタの直接接触は拡散の最も有力な手段であるが、さらにウイルスは汚染された囲い、ブタの木枠、トラックまたは衣類で媒介される可能性がある。さらに、感染した肉断片の生ゴミをブタに給餌することも、CSFが新しい地域または国に広まる有力な手段である。
【0130】
急性CSFによって、突然の発熱が生じる。感染したブタは最初は眠そうに見えるが、後にひどく衰えて、餌をとらなくなる。彼らは一緒にうずくまり、よろよろと歩き、時々痙攣し震え;嘔吐、咳および下痢が一般的である。さらに、しばしば、患畜の耳、鼻口部、四肢及び腹部の皮膚に赤色又は紫色のシミが現われる。死亡率は、90パーセントに到達することがある。疾患の慢性型は、軽症型であるが類似した臨床症状をしめす;通常30日以上あとに死に至り、しばしば第2の細菌感染症と関連する。
【0131】
古典的ブタ熱ウイルス(CSFV)のゲノムは、長さ約12,300ヌクレオチドであるプラス一本鎖RNAである。それは、両末端(5’NTRおよび3’NTR)の非翻訳領域および巨大タンパク質(PestiV2gp1ポリタンパク質)をコードする単一のオープンリーディングフレームであって小さい断片に切断されたものを有する。したがって、本発明の方法では、CSFVの存在はPestiV2gp1遺伝子または遺伝子産物を検出することによって、例えばCSFVポリタンパク質、N−Pro、キャプシドタンパク質、RNAse、エンベロープ糖タンパク質E1及びE2、E2*、非構造タンパク質p7、NTPase/RNAヘリカーゼ、非構造タンパク質NS4A、NS4B及びNS5AまたはRNA依存性RNAポリメラーゼ検出することによって決定される。
【0132】
(青舌病ウイルス)
青舌病(BT)は、反すう動物の節足動物媒介性の伝染性ウイルス病である。牛とヤギは、広範囲の血管損傷なしに原因となるBTVに容易に感染する場合があり、そのためこれらの種は一般にはっきりした臨床症状を示さない。対照的に、ヒツジの疾患は、口、鼻と前胃の粘膜のカタル性炎症によって、及び蹄冠帯の炎症と蹄の薄層によって特徴づけられる。上皮の表皮剥離及び最後に頬粘膜の壊死がおこり、腫れて炎症を起こした舌と口は、疾患の名前となっている青色になる(Spreull, 1905)。ヒツジの死亡率は1−30%と推定される。
【0133】
BTVは、オルビウイルス属(レオウイルス科)の基本型ウイルスであり、少なくとも24の異なる血清型から構成される(Wilson et al., 2000)。BTVの異なる菌株は、熱帯と温帯の全世界で同定されている。BTVは反すう動物の間で接触感染性しないので、BTVの分布は節足動物の媒介種Coides種(ヌカカ)の存在に依存しており、世界の異なる領域には異なる媒介種が存在する。最近のデータは、遺伝的浮動と創立者効果がBTVの分野菌株の個々の遺伝子部分の多様化に寄与することを示唆する。BTV血清陽性の動物が相同的BTV血清型による再感染に対して耐性化していることは示されている。
【0134】
青舌病ウイルスの有無を決定するために、青舌病ウイルス遺伝子または青舌病ウイルス遺伝子によってコードされるポリペプチドが検出されてもよい。青舌病ウイルス遺伝子は、BTVs1gp1、BTVs2gp1、BTVs3gp1、BTVs4gp1、BTVs5gp1、BTVs6gp1、BTVs7gp1、BTVs8gp1、BTVs9gp1及びBTVs10gp1遺伝子を含む。
【0135】
(アカバネウイルス)
アカバネは、反すう動物の中枢神経系の先天性異常を起こす昆虫媒介性ウイルスである。アカバネウイルスによる疾患は、オーストラリア、イスラエル、日本および韓国において認識された;それに対する抗体は、南東アジア、中東およびアフリカの多くの国で発見された。疾患は、牛、ヒツジとヤギの胎仔に影響を及ぼす。無症状感染は、流行地のウマ、バッファロおよびシカ(しかし、ヒトまたはブタ以外)において血清学的に示された。
【0136】
アカバネウイルスに誘導された疾患の発病率は、妊娠期間のいつに感染が起きたか、更にはウイルスの菌株によって影響を受ける。妊娠の最後3ヵ月の感染は、疾患の比較的低い発病率に結果としてなる(子牛の5−10%は影響を受ける)。発病率のピークは感染後3ヶ月目と4ヶ月目にみられ、40%までの子牛が異常を伴って生まれる可能性がある。妊娠期間の最も感染しやすい段階でさえ、アカバネウイルスのいくつかの菌株は異常の非常に低い発病率(<20%)を示すが、最も重症ものは多くとも80%の患畜の疾患を引き起こしうる。
【0137】
本発明の方法において、任意のゲノムのアカバネ核酸またはポリペプチドは、検出されてもよい。アカバネウイルス遺伝子は、AKAV sSgp1(ヌクレオカプシド)、AKAV sSgp2(非構造タンパク質)、AKAV sMgp1(M遺伝子)とAKAV sLgp1(Pol)遺伝子を含む。
【0138】
(伝染性サーモン貧血ウイルス)
伝染性サーモン貧血症(ISA)によって、ノルウェー、大西洋カナダ及びスコットランドの大西洋サーモンの養殖産業に相当な経済的損失が生じた。ISA疾患の死亡率は多様であり、10%から50%以上まで変化する。疾患の臨床徴候は大西洋サケで明瞭であるが、他のサケ科はウイルスの無症状保有体として動く可能性がある。ISAと関係している病理変化は、重症の貧血症、白血球減少症、腹水、及び内臓大量出血に続く肝細胞と腎臓間質細胞の壊死によって特徴づけられる。感染因子は、生体内で内皮細胞において複製し、細胞表面から出芽するエンベロープウイルス(ISAV)である。ウイルスは、長さ約1.0から2.2kbで変動している8つの部分からなる線状マイナス一本鎖RNAゲノムを有し、トータルサイズは約14.3kbである。ウイルスの構造的、形態学的、及び生理化学的な特性は、ISAVがオルソミクソウイルス科のメンバーに関連があることを示唆する。
【0139】
ISAウイルスの根絶の試みによるISA疾患の排除は、効果がないと判明した。野生の魚でのウイルスのリザーバを含めて、疾患の伝染に関係する多数の未知の要因を仮定すると、ISAとウイルス(ISAV)の完全な除去は達成可能な目的であるようは思われない。
【0140】
本発明の方法において、任意のISAV核酸またはポリペプチドが検出されてもよい。例えば、PB2ポリメラーゼ、PB1、NP、P2、P3、HA、P4、P5、P6またはP7遺伝子または遺伝子産物の一つ以上は、本発明の方法で検出されてもよい。セグメント7(配列番号10)またはセグメント8由来の核酸を検出するアッセイは、Plarre et al. (2005)に記載されている。プライマーS7−F1(配列番号4)とS7−R1(配列番号5)はセグメント7(配列番号12)の81bp領域を増幅するために用いられ、次に蛍光標識されたプローブS7−P1(配列番号6)によって検出されうる。プライマーS8−F1(配列番号7)とS8−R1(配列番号P8)は、セグメント8(配列番号13)の63bp領域を増幅するために用いられ、蛍光標識されたプローブS8−P1(配列番号9)によって検出されうる。
【0141】
(伝染性造血器壊死症ウイルス)
伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)は、サケ科(例えばサーモンとマス種)の疾患を引き起こすラブドウイルスである。IHNVに感染する可能性がある種は、ニジマス/スチールヘッドマス(Oncorhynchus mykiss)、クビキリマス(Salmo clarki)、ブラウントラウト(Salmo trutta)、大西洋サケ(Salmo salar)、チヌークを含む太平洋サーモン(O. tshawytscha)、ベニザケ/コカニーマス(O.nerka)、サケ(O.keta)、サクラマス/ヤマメ(O.masou)、アマゴ(O.rhodurus)とギンザケ(O.kisutch)を含む。
【0142】
疾患の発生がワシントン、オレゴンとカリフォルニアにおいて記録されているので、IHNVウイルスは米国の太平洋北西部地方の動物の地方病である。ウイルスは太平洋北西部を越えて広がり、米国の他の州、例えばミネソタ、モンタナ、サウスダコタ、アラスカとウエスト・バージニア、及びブリティッシュ・コロンビアを含むカナダの行政区で記録されている。発生がフランス、イタリア、ベルギー、日本、台湾と韓国で生じているので、ウイルスの範囲は現在全世界であるように見える。
【0143】
IHNV感染症によって、典型的に若い魚、稚魚または小魚の高い死亡率が生じ、80%までの死亡率または重度の変形が報告されている。感染した魚は、暴露の1週間以内に、疾患の外部に可視徴候を呈する。死亡は暴露から4から10日以内で起こるが、典型的に、IHNVによる死亡は約40〜50日後に終わる。
【0144】
IHNVは、他のラブドウイルスと同様に、マイナス鎖RNAウイルスであり、そのゲノムは6つの遺伝子をコードする。IHNVの保有体は、臨床的に感染した魚と魚の中の不顕性キャリアである。魚間のIHNVの伝達は、主として水平であり、ウイルスは糞便、尿、性的な液体及び外部の粘液を経て及ぼされる。感染した卵を通した垂直伝播のケースが観察された。IHNVが感染しやすい魚の集団において確立されたならば、疾患はキャリア魚の中で確立されるので、排除するのは困難である。
【0145】
ワクチンは、現在開発中及び試験中である。しかしながら、IHNV感染症を抑制するワクチンはまだ提供されていない。従って、疾患のための現在の予防措置は、感染個体の同定と、感染個体と感染環境に接触することから非感染魚を妨げる措置を必要とする。
【0146】
伝染性造血器壊死症ウイルスについて、本発明の方法で検出されることができる核酸配列は、IHNVgp1(ヌクレオカプシド)、IHNVgp2(ポリメラーゼ関連タンパク質)、IHNVgp3(基質タンパク質)、IHNVgp4(糖タンパク質)、IHNVgp5(非ビリオン・タンパク質)とIHNVgp6(転写酵素)遺伝子を含む。代替の実施形態では、IHNV遺伝子によってコードされるポリペプチドが検出される。
【0147】
(ウイルス出血性敗血症ウイルス)
魚に影響を及ぼすラブドウイルス(ノビラブドウイルス)の中で、ウイルス出血性敗血症ウイルス(VHSV)は、最も危険なものの一つであり、サケ科だけでなく、タラ、ヒラメ、クローカー、ウナギ、ニシマトウダイとエビに影響を及ぼす。VHSVに対する市販ワクチンは、多大な努力にもかかわらず、まだ利用可能でない。
【0148】
宿主の外膜の特異的な受容体にpG糖タンパク質によってウイルスが結合しラブドウイルスによって生じる感染症が始まり、つづいてエンドサイトーシスによって細胞の細胞質に入ったあと、pHの減少に依存して膜融合がある。細胞内部に入ったならば、ラブドウイルスは細胞質において複製し、ビリオンは成熟し、最後に細胞表面から出芽し、細胞を溶解させる。
【0149】
VHSV感染症の著しい発病率と利用可能な市販ワクチンの不足のために、VHSVによる感染に対する減少した感染しやすさを有する魚を同定できることが望ましい。
【0150】
本発明の方法で検出することができる核酸配列は、Nタンパク質(核タンパク;VHSVgp1)、Pタンパク質(リン酸化タンパク質;VHSVgp2)、Mタンパク質(基質タンパク質;VHSVgp3)、Gタンパク質(糖タンパク質;VHSVgp4);NVタンパク質(非ビリオン・タンパク質;VHSVgp5)及びLタンパク質(巨大タンパク質;VHSVgp6)をコードしている遺伝子を含む。あるいは、VHSV遺伝子によってコードされるポリペプチドが検出される。
【0151】
(伝染性すい臓壊死症ウイルス)
伝染性すい臓壊死症ウイルス(IPNV)は、ビルナウイルス科のメンバーであり、水生動物の接触感染性ウイルス病を生じる。魚では、IPNVは、ニジマス、大西洋サケ、太平洋サケ、カワマスと他のサケ科、特に稚魚、スモルト及び若いステージの病的状態と死亡が生じる。更に、IPNVは、例えばコイ、パーチ、カワカマス、ウナギ、イワナ、軟体動物および甲殻類のような種々の水生動物種において分離された。
【0152】
IPNVの発生後、生存している魚は一般にウイルスのキャリアになる。キャリア魚のウイルスの残存は、特定の器官の少数の感染細胞によりウイルスが連続産生されるためのようである。キャリア魚のウイルスを除去するための現在の唯一の制御方法は、魚を殺すことである。
【0153】
本発明の方法で検出することができるIPNV核酸配列は、仮想タンパク質(IPNVsAgp1)、ポリタンパク質(IPNVsAgp1)及びウイルスタンパク質1(IPNVsBgp2)をコードしている遺伝子を含む。あるいは、IPNV遺伝子によってコードされるポリペプチドが検出される。
【0154】
(キット)
本発明は、ウイルス複製を検出するために役立つキットにも関する。上記のキットは核酸種の検出あるいは遺伝子産物の検出に適していてもよい。
核酸の検出のために、上記のキットは、バイアルまたはプラスチック管のような第1のコンテナまたはオリゴヌクレオチドプローブを含むマイクロタイタープレートを含む場合がある。キットは、プライマーを保持する第2の容器を場合により含んでもよい。プローブはウイルスDNAにハイブリダイズ可能でもよく、プライマーはこのDNAを増幅することに役立つ。固体支持体に固定されるオリゴヌクレオチドプローブを含むキットは、たとえばアッセイを使用して開発される(参照supplement of issue 21(1) Nature Genetics, 1999)。
【0155】
核酸のPCR増幅のために、核酸プライマーはキットに含まれてもよく、ウイルスタンパク質をコードする遺伝子の少なくとも一部に相補的である。プライマーセットは、典型的には、DNAの特異的な増幅ができる少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。定量的PCRの決定を可能にする蛍光標識されたオリゴヌクレオチドが含まれてもよい(例えばTaqManケミストリー、分子ビーコン)。さらにDNAの増幅のための適切な酵素を含んでもよい。
【0156】
対照用核酸は、比較または検証のために含まれてもよい。上記の対照は、ウイルスとインキュベートされていないか、またはウイルスが存在しないことがわかっている組織サンプルから分離されたRNA又はDNAの何れかである。
【0157】
タンパク質の検出のために、抗体がキットの成分として、最も典型的には用いられる。しかしながら、興味があるウイルスポリペプチドに対して特異的に結合できる任意の薬剤は、本発明のこの態様において役立つ。キットの他の構成成分は、典型的には、ユーザーが、発現量を定量できるように、および/または診断実験が正しく作用したかどうか判断するために、標識、第2の抗体、基質(遺伝子が酵素である場合)、インヒビター、補因子と対照用遺伝子産物調製物を含む。酵素結合抗体免疫吸着アッセイに基づく(ELISA)テストと競争ELISAテストは、特にキット構成成分を使用する当業者により容易に実施することができる適切なアッセイである。
【0158】
(繁殖)
家畜動物の繁殖計画は、典型的には、有利な特性(例えば耐病性)を有する商業的系統が繁殖するように設計されている。従って、本発明の方法は、有利には、特定の疾患に耐性をもつか又は減少した感染しやすさを有する動物を同定して、選択するために用いることができる。
【0159】
ある実施態様において、本発明は、ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を同定する方法を提供し、該方法は(i)本発明の方法を実施すること、及び(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさ有する動物を同定することを含む。
【0160】
ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物が同定されたならば、それは、ウイルスに対する減少した感染しやすさを有するか又は有していなくてもよい逆の性の動物と交配させることができる。結果として生じる子孫は、ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する親の動物に類似したウイルスに対する減少した感染しやすさを有するか、または子孫はウイルスに対する感染しやすさの親の動物レベルの中間の感染しやすさのレベルを有してもよい。
【0161】
したがって、本発明は動物を繁殖させる方法を提供し、該方法は
(i)本発明の方法を行うこと;
(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を選択すること;及び
(iii)動物を繁殖させることを含む。
【0162】
ある実施態様において、方法は、
(i)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する第1の性の第1の動物を選択し、(ii)ウイルスに対する減少した感染しさすさを有する反対の性の第2の動物を選択し、(iii)第1および第2の動物を交配させて子孫を作り出すことを含む。
【実施例】
【0163】
(実施例1)組織試料の調製
鶏の皮膚(翼の下の胸部域周辺のもの)、親指(翼膜)及び羽嚢は、12日齢のひなから採取され、室温でペニシリン(100U/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を補充したPBSAに入れた。インフルエンザA型ウイルスのPR8菌株への感染用の鳥から採取された試料は、1.5時間以内に受けて処理された。皮膚試料は約2mmの破片に切られ、羽嚢は1cmの破片に切られて髄質が絞り出され、この羽嚢の髄質は皮膚組織片と類似したサイズにされた。個々の組織片は、200μlのPBSAを含む96ウエルのプレートに入れられた。
【0164】
(実施例2)ウイルス・アッセイ
インフルエンザA型PR8ストックウイルス(鶏の10日齢の孵化卵由来の尿膜腔液のストック)は連続的に10倍から10−5(1000 TCID50感染用量)に、ウイルス増殖培地(VGM)(0.3%のウシ血清アルブミン(BSA)、10mMのHepes、2mMのグルタミンを含み、ペニシリン(100u/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、フンギゾン(0.005μg/ml)と5μg/mlのトリプシンが添加されたアールズ変法イーグル培地)に希釈された。PBSAは取り除かれ、200μlのウイルスが各ウェルに加えられ、培養は5%COを含む加湿された空気中で1時間37℃でインキュベートされ、次にウイルスは取り出されて、5μg/mlのトリプシンを含む200μlのVGMが加えられ、次に培養は1時間又は48時間、5%のCOを含む空気中で37℃でインキュベートされた。
【0165】
ウイルス上清は取り除かれ、組織は200μlのPBSAで洗浄し、それからQIAshredderカラムを通した遠心後にRNA分離のためにQiagen RNeasyキット・インストラクションに従って処理された。RNAは、インフルエンザA型のM遺伝子(Heine et al., 2007)に対して特異的プライマーでリアルタイムPCRによってアッセイされた。試料は、ABI7700配列検出システム(アプライドバイオシステム)で分析された。全ての実験条件は、三組で繰り返されて、次にリアルタイムPCRによって三組でアッセイされた。リアルタイムPCR結果は、インフルエンザA型M遺伝子mRNAにおいて、感染後1時間の時点に比べて、感染後48時間で最大5logの安定した有意な増大を示した(図1を参照)。これは、ウイルスが異なる細胞タイプで成功のうちに複製されていることを示す。
【0166】
(実施例3)鶏の胚モデルのウイルス感受性の決定
特定病原体未感染(SPF)の日4の胚は、EGFPを発現するRCASウイルス及びインフルエンザAウイルスのPB1遺伝子を標的とするshRNAを注射された(PB1−2257−5’gatctgttccaccattgaa 3’(配列番号3)。小開口は、気嚢膜、胚及び血液系を露出している卵の鈍端部に作られた。数マイクロリットルの血液はマイクロキャピラリーを使用して静脈から取り出され、次に各RCASウイルスの1−2μl(滴定濃度約10/ml)は別の静脈を介して注入された。次に、卵は開口部の上に置かれた2枚のパラフィルムの小片を使用して2重にシールされ、パラフィルムを卵殻の表面に付着させるために控えめに加熱したメスの刃を使用してシールされた。次に、卵は日9までインキュベートされた。
【0167】
胚は、卵から取り出されて、蛍光機能を有する解剖顕微鏡下で、EGFPについて調べられた。最も大きなEGFP発現を含む胚が選択されて、鶏の胚繊維芽細胞(CEF)はこれらの胚から収集された。CEFは、頭部、四肢及び内臓を除外して、胚の残りの部分を細かく切り刻み、一定に撹拌しながら37℃で30分間、0.25%のトリプシンで処理することによって作成された。次に、より大きな組織の塊は70μmのフィルターを通すことによってろ過され、次に残りの細胞はペレット化されて組織培養フラスコにシーディングの前に増殖培地に再懸濁された。CEFは、集密的になった後にフラスコからトリプシン処理されて、24枚のウェルプレートに再度シーディングされて、数日にわたり集密的になるまで増殖させた。
【0168】
これらの培養は、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)−H5N1に、0.01、0.001及び0.001の多重感染前に、それらがEGFP発現を有していることを確認するために蛍光顕微鏡下でチェックされた。細胞は37℃で1時間、ウイルスと共にインキュベートされ、ウイルスは取り除かれて、新鮮な培地が加えられた。培養は37℃に戻されて、続いて48時間インキュベートされた。各ウェルの上清は取り除かれて、血球凝集反応アッセイによってウイルス量が評価された。50μlのウイルス上清はPBSAに2倍に連続的に希釈され、0.5%のパック細胞容積のプレウォッシュされた50μlの鶏の赤血球は各ウェルに加えられて、室温で45分間インキュベートされた。赤血球の凝集反応はウイルスの存在を示す。shRNA PB1−2257を発現しているRCASウイルスに感染しているCEFは、HPAI−H5N1を繰り返すそれらの能力に関するヘアピンを欠いたRCASウイルスに感染している対照CEFと比較された。PB1−2257含有CEFは、対照CEF細胞と比較して、耐性のレベルが増大した(図2)。
【0169】
(実施例4)大西洋サーモン外植片でのウイルスアッセイ
2匹の大西洋サケは麻酔されて、血液サンプルは尾部から取られた。血液は、Alsevers溶液(10mlのAlseversに4mlの血液)に収集された。血液は洗浄培地:抗生物質(1Xゲンタマイシン、2Xペニシリンとストレプトマイシン、1Xフンギゾン)を有するPBS−ABCで4回洗われた。細胞は、500gで10分間、遠心によって洗浄の間にペレット化された。次に3.3ml中の軟膜と微量の赤血球が、後述するように実験で使われた。
【0170】
魚は血を抜かれてから、えらは1匹の魚から取り出されて、(上記の)洗浄培地に入れられて室温で1時間保たれた。次に培地は取り除かれた。新鮮な培地が加えられて、チューブは室温で30分間置かれた。このステップが繰り返された。最後に、最後の洗浄液が取り除かれて、1mlのSHK−1増殖培地と交換された。
【0171】
6つの2mlのザルスタット管は、1mlのSHK−1増殖培地によって調製された。これらのうちの3つは、軟膜の100μlに調製された。他の3つの管の各々に、えらの部分は挿入された。えらまたは軟膜の管の各1つは、伝染性のサーモン貧血症ウイルス(ISAV FRS 13299)の3用量の1つによって調製された。チューブに接種するために使用するISAVの3つの用量は、1000、5000又は25,000のTCID50であった。
【0172】
チューブは、90分間15℃でインキュベートされた。軟膜の管は細胞をペレット化するために遠心分離機にかけられて、全ての培地は取り除かれた。次に細胞は新鮮な増殖培地中に再懸濁されて、管は15℃で10日間インキュベートされた。試料は、日3と10に取り出されて、定量的PCR(qPCR)を使用してISAV増殖について分析された。全ての試料は、三組で試験された。
【0173】
qPCRは、TaqManアッセイであった。プライマーは、ISAV S7−F1(5’−TGG GAT CAT GTG TTT CCT GCT A−3’(配列番号4))及びISAV S7−R1(5’−GAA AAT CCA TGT TCT CAG ATG CAA−3’(配列番号5))である。使用するTaqManプローブは、ISAV S7−プローブ(5’−6FAM CAC ATG ACC CCT CGT C MGBNFQ−3’(配列番号6))であった。qPCRは以前に記載されていた(Plarre et al., 2005)。
【0174】
qPCR結果は図3に示される。ISAVは、えら外植片試料において増殖することが可能だったが、軟膜試料において増殖することができなかった。えら外植片試料において、上記の全3つのウイルス量について、ウイルス増殖は日3及び日10で検出された。最大量のウイルス増殖は、25,000のTCID50の量を使用している日10のえら外植片試料において検出された。この用量で、ISAV RNAは、日0と比較して日10でほぼ10倍、より高かった。
【0175】
広く記載されている場合に、本発明の意図または範囲から逸脱することなく、特異的な実施態様に示すように、多数の変異および/または修飾が本発明になされうることが当業者に認識される。従って、本実施例は、例示的であり限定的でなく、あらゆる点について考慮されるべきである。
【0176】
本願明細書において議論及び/又は参照される全ての刊行物は、それらの全体が本願明細書に組み込まれる。本出願は2009年6月19日付けの米国出願第61/218742号に基づいて優先権を主張するし、その全ての内容は本願明細書に引用したものとする。
【0177】
本願明細書に含まれた資料、法令、材料、装置、論文等に関する任意の議論は、単に状況を本発明に提供するためにだけある。これらの事項の任意又は全てが、本出願に各々主張されている優先日の前に存在する場合に、先行技術に基づくか又は本発明に関連した分野に共通の一般知識であると認めたものであるとは受け取られない。
【0178】
(文献)
Bonneau, KR et al. (2001) 75:8298-8305.
Burkhardt E and Muller H (1987) Arch Virol. 94:297-303.
Christopher-Hennings J et al. (1995) J Vet Diag Invest. 7:456-464.
Collins JE et al. (1992) J Vet Diagn Invest. 4:117-126.
Cosgrove AS (1962) Avian Dis. 6:385-389.
Falk, et al. (1997) J Virol. 71:9016-23.
Heine H et al. (2007) Avian Dis. 51(1 Suppl):370-372.
Kibenge FS et al. (1988) J Gen Virol. 69:1757-1775.
Kwoh DY et al. (1989) Proc Natl Acad Sci USA. 86:1173-1177.
Lasher HN and Davis VS (1997) Avian Dis. 41:11-19.
Lawson SR et al. (1997) Virus Res. 51:105-113.
McNulty MS et al. (1990) Avian Pathol. 19:67-73.
Notomi T et al. (2000) Nucleic Acids Res. 28:E63.
Plarre et al. (2005) Dis Aquat Org, 66:71-79.
Spreull J (1905) J Comp Path Ther. 18:321-337.
van den Berg et al. (2000) Rev Sci Tech. 19:509-543.
Vielitz E et al. (1989) Poult Sci. 68:34-35.
von Bulow V et al. (1983) Zentralbl Veterinarmed B. 30:742-750.
Walker GT et al. (1992a) Proc Natl Acad Sci USA. 89:392-396.
Walker GT et al. (1992b) Nucleic Acids Res. 20:1691-1696.
Wensvoort G et al. (1991) Vet Q, 13:121-130.
Wilson WC et al. (2000) Virus Res. 62:141-151.
Yuasa N et al. (1979) Avian Dis. 23:366-385.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルスへの対象の感染しやすさを決定するための方法であって、
ウイルスと対象から得られた組織試料とを接触させ、
ウイルス複製のために十分な時間にわたって組織試料をインキュベートし、
組織サンプルのウイルスの有無を検出することを含んでなる、方法。
【請求項2】
対象由来の組織試料のウイルス複製を検出するための方法であって、
ウイルスと対象から得られた組織試料とを接触させ、
ウイルス複製のために十分な時間にわたって組織試料をインキュベートし、
組織試料のウイルスの有無を検出することを含んでなる、方法。
【請求項3】
ウイルス複製のために十分な時間にわたって試料をインキュベートする前に組織試料の細胞に付着しないウイルスを除去することを更に含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ウイルスの存在がウイルスに対する感染しやすさを示す、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
試料のウイルス複製のレベルをコントロール試料と比較することを更に含む、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
コントロール試料と比較した組織試料のウイルスの減少したレベルがウイルスに対する減少した感染しやすさを示す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
対象が鳥類である、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
対象が家禽である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
対象が鶏である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
組織試料が皮膚、羽髄、肉垂、とさかまたは血液を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
試料が皮膚を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象が魚である、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
対象がサケ科である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
試料は、ひれ、えらまたは皮膚を含む、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組織試料のウイルスの有無を検出することが組織試料から核酸を単離することを含む、請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
単離された核酸からウイルス核酸の増幅を試みることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
核酸がRNAである、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ウイルスが、インフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、鶏の貧血症ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、口蹄疫ウイルス、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、古典的ブタ熱ウイルス、青舌病ウイルス、アカバネ病ウイルス、伝染性サーモン貧血ウイルス、伝染性造血器壊死症ウイルス、ウイルス出血性敗血症ウイルス及び伝染性すい臓壊死症ウイルスから選択される、請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
インフルエンザウイルスがインフルエンザA型である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
インフルエンザA型が鳥インフルエンザA型である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
増幅されるウイルス核酸がインフルエンザウイルスのM遺伝子の領域である、請求項19から21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
ウイルス核酸が配列番号1の少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ウイルス核酸が配列番号2を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ウイルスを約15分から約2時間、組織試料と接触させる、請求項1から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
ウイルスを約1時間の組織試料に接触させる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
方法が約1時間から約48時間、組織試料をインキュベートすることを含む、請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
試料を約48時間インキュベートする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
インキュベーションが約37℃である、請求項1から28の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
ウイルスが伝染性サーモン貧血ウイルスである、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
増幅されるウイルス核酸が伝染性サーモン貧血ウイルスのセグメント7又はセグメント8の領域である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ウイルス核酸が配列番号10または配列番号11の少なくとも15の連続するヌクレオチドを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ウイルス核酸が配列番号12または配列番号13に示す配列を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ウイルスを約15分から約3時間、組織試料と接触させる、請求項30から33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
ウイルスを約1.5時間、組織試料と接触させる、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
方法が約1日から約10日間、組織試料をインキュベートすることを含む、請求項30から35の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
方法が約3日から約10日間、組織試料をインキュベートすることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
インキュベーションが約15℃である、請求項30から37の何れか一項に記載の方法。
【請求項39】
ウイルスに対象から得られた組織試料を接触させること、および/またはウイルス複製のために十分な時間にわたって組織試料をインキュベートすることが、約5%のCOを含む加湿された雰囲気内で実施される、請求項1から38の何れか一項に記載の方法。
【請求項40】
組織試料がトランスジェニック細胞を含む、請求項1から39の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
トランスジェニック細胞がdsRNA分子をコードしている導入遺伝子を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
dsRNA分子がshRNA分子である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
dsRNA分子がウイルス核酸配列を含む、請求項41または請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ウイルス核酸配列がインフルエンザA型核酸配列である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を同定するための方法であって、
(i)請求項1から44の何れか一項に記載の方法を実施すること、及び
(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を同定することを含む方法。
【請求項46】
動物を繁殖させる方法は、
(i)請求項1から45の何れか一項に記載の方法を実施すること、
(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する動物を選択すること、及び
(iii)前記動物を繁殖させることを含む方法。
【請求項47】
(i)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する第1の性別の第1の動物を選択すること;
(ii)ウイルスに対する減少した感染しやすさを有する反対の性別の第2の動物を選択すること;及び
(iii)子孫をつくるために、第1の動物と第2の動物を交配させることを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ウイルスを検出するための手段を含んで成る、請求項1から47の何れか一項に記載の方法を実施するためのキット。
【請求項49】
ウイルス核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも一つの核酸分子を含んでなる、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
少なくとも一つの核酸分子がウイルス核酸を増幅することに役立つプライマーである、請求項49に記載のキット。
【請求項51】
ウイルスの試料を更に含んでなる請求項48から50の何れか一項に記載のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−529892(P2012−529892A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515289(P2012−515289)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000752
【国際公開番号】WO2010/144965
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511307096)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション (4)
【出願人】(509316718)エムエーティー・マルタ・アドヴァンスト・テクノロジーズ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】