説明

ウイルス感染の処置のための新規なヌクレオシドアナログ

本発明は、多様な薬剤適用を有する、例えばウイルス感染の処置および/または予防のための、新規な式(I)


のヌクレオシド化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ウイルス感染の処置に有用な新規化合物に関する。また本発明は、その製造方法およびウイルス感染、特にデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス感染、特にデングウイルスおよびC型肝炎ウイルス感染の処置または予防のような多様な医学的適用における該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
デング熱は、フラビウイルス科に属する4種のデングウイルス血清型DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDEN−4の1種によって引き起こされる熱病である。このウイルスは、1次的にはヒトを餌にする蚊であるネッタイシマカ(Aedes aegypti)によってヒトに伝染する。
【0003】
感染によって軽度のインフルエンザのような症状乃至より重篤な、時に致命的な出血性疾患のような臨床的兆候が生じる。典型的な症状は、熱、重度の頭痛、筋肉および関節の疼痛、および発疹を含む。より重度な疾患の形態は、デング出血熱(DHF)およびデング熱ショック症候群(DSS)である。WHOによると、DHFには4つの主な臨床的兆候が存在する:(1)高熱(2)出血現象(3)血小板減少および(4)血漿漏出。DSSはDHFに加えて、弱頻脈、脈圧狭小または寒けを伴う低血圧、冷や汗および不穏状態と定義される。DHFの重症度は早期診断および処置によって低下させることができるが、ショック状態の患者は死亡する危険が高い。
【0004】
デング熱は熱帯地方、特にアジア、アフリカおよびラテンアメリカの風土病であり、当該地域に住む推定25億人に感染のリスクがある。毎年およそ4000万のデング熱症例および数十万のDHF症例が存在する。シンガポールでは、2005年の流行によって12000症例以上のデング熱が生じた。
【0005】
定期的な発生にも拘わらず、デングウイルスには4種の異なる血清型が存在しており、これらの血清型の1種による感染によって当該血清型に対する免疫のみが得られるため、既に感染したヒトが感染に受容性なままである。2度目のデング感染を有する患者にDHFが極めて生じやすいと考えられている。デング熱、DHFおよびDSSに対する効果的な処置が研究されている。
【0006】
黄熱病ウイルス(YFV)、西ナイルウイルス(WNV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス(HCV)もフラビウイルス科に属する。
【0007】
WNVは無症状性であり得るか、またはいくらかの患者におけるインフルエンザのような症状を引き起こし得ることもある。いくつかの症例において神経障害、脳炎を引き起こし、そして重篤な症例では死亡し得る。WNVも蚊によって媒介される。YFVは別の蚊媒介性ウイルスであり、感染した個体に重度な症状を引き起こすことがある。JEVも蚊によって媒介され、無症状性であるか、またはインフルエンザのような症状を引き起こし、いくつかの症例において脳炎を生じさせる。該疾患の急性脳炎段階は、痙攣、頸部硬直および他の症状によって特徴付けられる。
【0008】
HCVは血液媒介性ウイルスであり、血液と血液の接触によって感染する。該疾患の初期(急性)段階では、大部分の患者が如何なる症状も示さない。慢性段階中(すなわち該疾患が6ヶ月以上持続している場合)でさえ、症状の重症度は患者間で異なり得る。長期間において、感染者が肝硬変および肝臓がんに進行することもある。現在のHCV処置は、インターフェロンアルファと抗ウイルス剤リバビリンの組合せを含む。
【0009】
これらのフラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる感染の効果的な処置も研究されている。
【0010】
驚くべきことに、本発明において、あるヌクレオシドアナログがフラビウイルス科のウイルス、特にデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス、ならびに本明細書に記載の他のフラビウイルス科ウイルスによって引き起こされるもののようなウイルス感染の処置に有用であることを見出した。
【0011】
本発明の目的は、新規化合物を提供することである。また、例えばウイルス感染の処置のための当該化合物の使用を提供することも本発明の目的である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の開示
本発明は、ウイルス感染の処置に有用な化合物およびその医薬組成物を提供する。
【0013】
第1の局面において、本発明は、式(I)
【化1】

〔式中:
XはCHまたはCR4であり;
R1はハロゲン、NR5R6またはOR7であり;
R2はH、ハロゲンまたはNR5R6であり;
R3はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R4はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキサミドまたはアルキルオキシカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R5およびR6は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールカルボニルおよびアルキルカルボニルから成る群から選択され、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
R7はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニルまたはアリールカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよい〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0014】
第2の局面において、本発明は、式(II)
【化2】

〔式中:
XはCHまたはCR4であり;
R1はハロゲン、NR5R6またはOR7であり;
R2はH、ハロゲンまたはNR5R6であり;
R3はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R4はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキサミドまたはアルキルオキシカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R5およびR6は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールカルボニルおよびアルキルカルボニルから成る群から選択され、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
R7はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニルまたはアリールカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよい〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0015】
上記式(I)および(II)のいくつかの例において、XがCHである。他の例において、XがCR4である。
【0016】
上記式(I)および(II)において、R3が例えばH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルまたはアルキニルであってよい。いくつかの例において、R3がH、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルである。いくつかの例において、R3がH、低級アルキルまたは低級アルキニルである。いくつかの例において、R3がHまたはエチニルである。
【0017】
上記式(I)および(II)において、R4が例えばハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルまたはアルキニルであってよい。いくつかの例において、R4がハロゲン、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルである。いくつかの例において、R4がF、Iまたは低級アルキニル、例えばエチニルである。
【0018】
上記式(I)および(II)において、R2が例えばHまたはNR5R6であってよく、ここでR5およびR6が独立して、H、アルキル、アルケニルおよびアルキニルから成る群から選択される。いくつかの例において、R2がHである。他の例において、R2がNHである。他の例において、R2がハロゲンである。他の例において、R5およびR6の一方がHであり、他方がアルキル、アルケニルおよびアルキニルから成る群から選択される。
【0019】
上記式(I)および(II)において、R1が例えばハロゲン、NR5R6またはOR7であってよく、ここでR7がH、アルキル、アルケニルおよびアルキニルから成る群から選択される。いくつかの例において、R7が低級アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチルである。いくつかの例において、R7がメチルである。いくつかの例において、R5およびR6が各々独立して、アルキル、アルケニルおよびアルキニルから成る群から選択される。いくつかの例において、R1がハロゲン、NR5R6またはOR7であり、ここでR7がHまたはアルキルであり;R5およびR6が各々独立して、Hおよびアルキルから成る群から選択され;R3がHまたは低級アルキニルであり、そしてR4がハロゲンまたは低級アルキニルである。
【0020】
R1がハロゲンであるとき、これは例えばClまたはBrであってよい。いくつかの例において、R1がClである。RがOR7であるとき、R7がHまたは低級アルキルであってよい。いくつかの例においてR7がメチルである。R1がNR5R6であるとき、これは例えばNHまたはNHR5であってよく、ここでR5が低級アルキル、例えばメチルである。
【0021】
Xは例えばCHであってよく、R1はNHまたはClであってよい。1つの態様において、XがCHであり、R1がNHまたはClであり、R2がHである。
【0022】
Xは例えばCR4であってよく、R1はNHであってよい。1つの態様において、XがCR4であり、R1がNHであり、ここでR4がアルキニル、例えば低級アルキニル、例えばエチニルである。
【0023】
上記定義の式(I)または(II)の化合物における何れかのアルキル基またはシクロアルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから成る群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0024】
上記定義の式(I)または(II)の化合物における何れかのアルケニルまたはアルキニル基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから成る群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0025】
上記定義の式(I)または(II)の化合物における何れかのアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロ基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから成る群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0026】
いくつかの例において、式(I)または(II)の化合物における何れかのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は、低級アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。いくつかの例において、上記式(I)または(II)の化合物における何れかのアリール基はフェニルである。
【0027】
該化合物のある群は、全ての不斉炭素中心(すなわちテトラヒドロフラニル環の4個の炭素)上の置換基に関するテトラヒドロフラニル基の立体化学が実施例1のものと同一である、実質的に純粋な光学活性異性体を含む。
【0028】
該化合物のある群は、全ての不斉炭素中心(すなわちテトラヒドロフラニル環の4個の炭素)上の置換基に関するテトラヒドロフラニル基の立体化学が実施例1のものと逆である、実質的に純粋な光学活性異性体を含む。
【0029】
1つの態様において、本発明は、次の群から選択される化合物を提供する:
【化3】

【0030】
他の態様において、本発明は(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールを提供する。
【0031】
他の態様において、本発明は(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−エチニル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールを提供する。
【0032】
他の態様において、本発明は(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールを提供する。
【0033】
他の局面において、本発明は、上記定義の式(I)または(II)の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、例えば適切な希釈剤および/または担体、例えば増量剤、結合剤、崩壊剤、流動性調節剤、滑沢剤、糖または甘味剤、風味剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧調節のための塩および/またはバッファーを含む医薬組成物を提供する。
【0034】
他の局面において、本発明は、医薬として使用するための上記定義の式(I)または(II)の化合物を提供する。
【0035】
他の局面において、本発明は、医薬の製造のための式(I)または(II)の化合物を提供する。
【0036】
他の局面において、本発明は、ウイルス感染の処置および/または予防用医薬、例えば医薬組成物の製造のための式(I)または(II)の化合物の使用を提供する。
【0037】
他の局面において、本発明は、医薬としての、例えばウイルス感染の処置および/または予防のための、式(I)または(II)の化合物の使用を提供する。
【0038】
他の局面において、本発明は、ウイルス感染の処置および/または予防において使用するための上記定義の式(I)または(II)の化合物を提供する。
【0039】
他の局面において、本発明は、ウイルス感染によって引き起こされる疾患の処置および/または予防用医薬の製造における、上記定義の式(I)または(II)の化合物の使用を提供する。
【0040】
さらに他の局面において、本発明は、ウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置および/または予防する方法であって、それを必要とする患者に有効量の上記定義の式(I)または(II)の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0041】
さらに他の局面において、本発明は、ウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置および/または予防するための医薬組成物であって、上記定義の式(I)または(II)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
ウイルス感染は、例えばフラビウイルス科に属するウイルス、例えばデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルス、ガジェット・グリー(Gadgets Gully)ウイルス、キャサヌル森林熱(Kyasanur Forest)ウイルス、ランガット(Langat)ウイルス、跳躍病(Louping ill)ウイルス、ポワッサン(Powassan)ウイルス、ロイヤルファーム(Royal Farm)ウイルス、カルシー(Karshi)ウイルス、カダム(Kadam)ウイルス、ミーバン(Meaban)ウイルス、ソーマレツ・リーフ(Saumarez Reef)ウイルス、チュレニー(Tyuleniy)ウイルス、アロア(Aroa)ウイルス、バスクアラ(Bussuquara)ウイルス、イグェイプ(Iguape)ウイルス、ナランジャール(Naranjal)ウイルス、ケロッグ(Kedougou)ウイルス、カシパコール(Cacipacore)ウイルス、コウタンゴ(Koutango)ウイルス、アルフィ(Alfuy)ウイルス、ウスツ(Usutu)ウイルス、ヤオンデ(Yaounde)ウイルス、ココベラ(Kokobera)ウイルス、ストラットフォード(Stratford)ウイルス、バガザ(Bagaza)ウイルス、イレウス(Ilheus)ウイルス、ロシオ(Rocio)ウイルス、イスラエルトルコ(Israeli turkey)髄膜脳脊髄炎ウイルス、ウンタヤ(Ntaya)ウイルス、テムブス(Tembusu)ウイルス、スポンウェニ(Sponweni)ウイルス、バンジ(Banzi)ウイルス、ボウボウィ(Bouboui)ウイルス、エッジ・ヒル(Edge Hill)ウイルス、ジュグラ(Jugra)ウイルス、ポチスカム(Potiskum)ウイルス、サボヤ(Saboya)ウイルス、セピク(Sepik)ウイルス、ウガンダ(Uganda)ウイルス、ウェッセルスブロン(Wesselsbron)ウイルス、エンテベコウモリ(Entebbe bat)ウイルス、ソコルク(Sokoluk)ウイルス、ヨコセ(Yokose)ウイルス、アポイ(Apoi)ウイルス、ウシ骨髄(Cowbone Ridge)ウイルス、ジュチアパ(Jutiapa)ウイルス、モドック(modoc)ウイルス、サル・ビエージャ(Sal Vieja)ウイルス、サン・ペルリータ(San Perlita)ウイルス、ブカレスコウモリ(Bukalasa bat)ウイルス、カレー島(Carey Island)ウイルス、ダカールコウモリ(Dakar bat)ウイルス、マンタナ・ミオチス(Mantana myotis)白質脳炎ウイルス、バツ・ケーブ(Batu Cave)ウイルス、フノンペンコウモリ(Phnom Penh bat)ウイルス、リオ・ブラボー(Rio Bravo)ウイルス、細胞融合仲介(Cell fusing agent)ウイルス、タマナコウモリ(Tamana bat)ウイルスおよびC型肝炎ウイルス、特にデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス、特にデングウイルスおよびC型肝炎ウイルスによって引き起こされる。
【0043】
他の局面において、本発明は、式(I)または(II)の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質の組合せを提供する。
【0044】
他の局面において、本発明は、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)または(II)の化合物である第1の薬剤と、b)少なくとも1種の共薬剤を含む医薬組合せ剤、例えばキットを提供する。該キットは、投与のための指示書を含んでいてもよい。
【0045】
本発明の化合物を用いる上記方法において、式(I)または(II)の化合物は細胞または組織を含む系に投与され得る。他の態様において、式(I)または(II)の化合物はヒトまたは動物患者に投与され得る。
【0046】
上記定義の式(I)または(II)の化合物を製造する方法は、式(i)
【化4】

の化合物または対応するエポキシド(基−OYおよび隣接する−OHが−O−で弛緩されている)と式(ii)
【化5】

の化合物をカップリングして、式(iii)
【化6】

〔式中、X、R1、R2およびR3は上記定義のとおりであり、YはHまたはアルキル、例えば低級アルキル、例えばメチルを意味し、Protは保護基、好ましくは所望により1個以上のハロゲンで置換されたベンジル基、またはベンゾイル基、またはトルオイル基またはシリル基を意味する〕
の化合物を得る工程を含む。所望により、式(I)の化合物を他の式(I)の化合物に変換してもよい。式(i)および式(ii)の化合物は既知の化合物であるか、または既知の方法に準じて、例えば本明細書に記載の方法と同様に製造することができる。
【0047】
本発明によって提供される化合物は、本明細書において、「本発明の化合物」と称する。本発明の化合物には、あらゆる形態、例えば遊離形、塩形、溶媒和物形および塩の溶媒和物形の化合物が含まれる。
【0048】
「アルキル」なる用語は、本明細書において使用するとき、好ましくは1〜15個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。同じ定義をアルキルアリール基の非芳香族性部分にも適用する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル等を含むが、これらに限定されない。アルキル基は非置換であるか、または所望によりハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。典型的には非置換である。
【0049】
用語「低級アルキル」は、本明細書において使用するとき1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む分枝鎖または直鎖アルキル基を意味する。低級アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含むが、これらに限定されない。低級アルキル基は非置換であるか、または所望によりハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。典型的には非置換である。
【0050】
用語「シクロアルキル」は、好ましくは3〜8個の炭素原子を含む飽和または部分飽和(非芳香族性)環を意味する。例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含むが、これらに限定されない。シクロアルキル基は好ましくは3、5または6員環である。シクロアルキル基は非置換であるか、または所望によりハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。典型的には非置換である。
【0051】
用語「アルケニル」は、本明細書において使用するとき、好ましくは2〜15個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子、さらに好ましくは2または3個の炭素原子を含み、1個以上の二重結合を含む分枝鎖または直鎖基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、ノネニル、デセニル等を含むが、これらに限定されない。アルケニル基は非置換であるか、または所望によりハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。典型的には非置換である。
【0052】
用語「アルキニル」は、本明細書において使用するとき、好ましくは2〜15個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子、さらに好ましくは2または3個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子を含み、1個以上の三重結合を含む分枝鎖または直鎖基を意味する。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、ノニニル、デシニル等を含むが、これらに限定されない。アルケニル基は非置換であるか、または所望によりハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。典型的には非置換である。
【0053】
用語「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、上記定義の用語「低級アルキル」に対応する意味を有する。低級アルケニル基と低級アルキニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、エチニル、プロピニルおよびブチニルを含むが、これらに限定されない。低級アルケニル基または低級アルキニル基は非置換であるか、または所望により、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロおよびアジドから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。典型的には非置換である。
【0054】
用語「アルコキシ」は、本明細書において使用するとき−OR(ここで、Rは上記定義のアルキルである)を意味する。用語「低級アルコキシ」は上記定義の用語「低級アルキル」に対応する意味を有する。低級アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシを含むが、これらに限定されない。典型的な低級アルコキシの例は、メトキシ、エトキシおよびt−ブトキシを含む。
【0055】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書において使用するとき、F、Cl、BrまたはI、好ましくはBrまたはClを意味する。
【0056】
用語「アリール」は、本明細書において使用するとき、6〜18個の炭素原子を有する芳香環を意味し、単環式基ならびに多環式基、例えば二環式基および三環式基のような多環式基、例えば縮合基を含む。好ましいアリール基は6〜12個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を含むものである。例えば、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル基、特にフェニル基を含むが、これらに限定されない。アリール基は非置換であるか、または1個以上の環位置で、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シアノ、ニトロ、アジドから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。典型的には非置換である。
【0057】
用語「ヘテロアリール」は、環に少なくとも1個のヘテロ原子(例えばN、OおよびSを含むがこれらに限定されない)を含め、5〜18個の原子、好ましくは5または6個の原子を有する芳香環を意味する。用語「ヘテロアリール」は単環式基と多環式基、例えば二環式基および三環式基のような縮合基を意味する。ヘテロアリールは所望により、1個以上のベンゼン環と、および/またはさらなるヘテロアリール環と、および/または脂環式環と、縮合または架橋していてもよい。
【0058】
用語「ヘテロシクロ」「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ環式」は、環に少なくとも1個のヘテロ原子(例えばN、OおよびSを含むがこれらに限定されない)を含め、5〜18個の原子、好ましくは5または6個の原子を有する飽和または部分飽和(非芳香族性)環を意味する。ヘテロ環は所望により、1個以上のベンゼン環と、および/またはさらなるヘテロ環式環と、および/または脂環式環と、縮合または架橋していてもよい。
【0059】
ヘテロ環式基およびヘテロアリール基の例は、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、カルボリニル、シノリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イミダゾリル、インドラジニル、インダゾリル、モルホリニル、キノキサリニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チエニル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピリジン−2−オン、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インダニル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、ピロリル、フェナントリジニル、トリアゾリル、チエニル、フラニル、イソベンゾフラニルまたはテトラゾリル、特にピリジル、ピペリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、イソキノリル、キナゾリニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルおよびモルホリニルのようなN含有ヘテロ環を含むが、これらに限定されない。
【0060】
用語「アルキルカルボニル」および「アリールカルボニル」は、カルボニル基のC原子がアルキル基またはアリール基のC原子と結合している基を含む。
【0061】
用語「置換された」とは、分子の1個以上の原子、例えばC、OまたはN上の水素を置換する置換基を有する基を記載することを意図する。
【0062】
用語「1個以上の置換基」は、例えば3個までの置換基、好ましくは1個の置換基を意図する。2個以上の置換基は独立して選択され得る。
【0063】
多環式基は、2個以上の炭素が2個の隣接する環で共通しているか(縮合環)、または環が非隣接/共通原子を介して結合している(架橋環)2個以上の環、例えばシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルを有するものを含む。
【0064】
用語「プロドラッグ」は、本明細書において使用するとき、薬理学的に許容される式(I)または(II)の化合物の誘導体を意味し、インビボでの該誘導体の生物変換によって式(I)または(II)で定義の化合物が得られる。式(I)または(II)の化合物のプロドラッグは、修飾基がインビボで切断されて親化合物が得られるように、化合物中に存在するヒドロキシ基や酸基のような官能基を修飾することによって製造することができる。好適なプロドラッグは、例えばエステルまたはアミドを含む。
【0065】
用語「塩」は、式(I)または(II)の化合物に由来する、治療上活性な非毒性酸付加塩を含む。酸付加塩は、塩基形態の化合物を適切な酸で処理することによって得ることができる。好適な酸には、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;および有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、オキサル酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、酒石酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸およびステアリン酸が含まれる。
【0066】
用語「保護基」は、分子の官能基をマスクして、反応を化学選択的に行うことができるようにする基を意味する。好適な保護基は、好ましくは、導入が簡単であり、関与する反応条件に安定であり、そして除去が容易である。かかる保護基は当業者に既知であり、Theodora W Greene によるProtective Groups in Organic Synthesis (John Wiley & Sons Canada, Ltd)に記載されている。好適な保護基は、例えば所望により1個以上のハロゲンで置換されたベンジル基(例えばジクロロベンジル基)、またはベンゾイル基もしくはトルオイル基またはシリル基を含む。
【0067】
用語「処置する」、「処置し」、「処置され」または「処置」は、処置する状態、疾患または障害に関与するかまたはそれらによって引き起こされる少なくとも1個の症状の消失または軽減を含む。例えば処置には、患者のウイルス血症または発熱の1つ以上の消失が含まれていてもよい。
【0068】
用語「予防する」、「予防し」または「予防」は、予防する状態、疾患または障害に関与するかまたはそれらによって引き起こされる少なくとも1個の症状の予防を含む。例えば予防には、患者のウイルス血症または発熱の1つ以上の予防が含まれていてもよい。
【0069】
用語「患者」は、ウイルス感染を有するか、またはそれに罹患もしくは感染している生物、例えばヒト、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ヤギ、マウス、ウサギ、ラットおよび非ヒトトランスジェニック動物のような哺乳類を含む。いくつかの態様において、患者はヒト、例えば本明細書に記載の疾患または状態、例えばフラビウイルス科のウイルスによって引き起こされる感染、例えばデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス、ならびに本明細書に記載の他のフラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる感染を有するか、またはそれに罹患もしくは感染し得るヒトである。
【0070】
デングウイルスはデングウイルス血清型1、2、3および4の何れをも含むことを意図する。
【0071】
「ウイルス感染によって引き起こされる疾患」は、ウイルスの活性、例えばウイルス感染、例えばフラビウイルス科のウイルスによって引き起こされる感染、例えばデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス、ならびに本明細書に記載の他のフラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる感染に関与する患者の障害および状態を含む。
【0072】
本発明の化合物の「有効量」は、ウイルス感染、例えばフラビウイルス科のウイルスによって引き起こされる感染、例えばデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス、ならびに本明細書に記載の他のフラビウイルス科ウイルスによって引き起こされる感染によって惹起される疾患を処置または予防するために必要または十分な量であり、例えば有効量は、ウイルス感染の1個以上の症状を処置または予防するために必要な量である。有効量は、使用する化合物、投与形態、望まれる処置、および適用する疾患、ならびに他の要因、例えば患者の年齢、体重、一般的健康および性別に依存して、変化し得る。例えば、本発明の化合物の選択は「有効量」が何であるかに影響することがある。当該技術分野において通常の技術を有する者は、本明細書に記載の要因を考慮して、過度の実験を行うことなく、本発明の化合物の有効量を決定することができる。投与レジメンは有効量が何であるかに影響することがある。ウイルス感染によって引き起こされる疾患の発生前もしくは後、例えばフラビウイルス科のウイルスによって引き起こされる感染の前もしくは後に、本発明の化合物を患者に投与することができる。さらに、複数分割投与量または交互の投与量を1日1回または連続的に投与することができるか、または該用量を継続的に注入またはボーラス注射することができる。さらに、治療または予防状況の緊急性によって本発明の化合物の投与量を比例的に増加または減少することができる。当該技術分野において通常の技術を有する医師または獣医師は、必要な有効量を容易に決定または予測することができる。例えば、医師または獣医師は医薬組成物で使用する本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を得るために必要とされる量よりも低いレベルで開始して、所望の効果が得られるまで用量を漸増していくことができる。
【0073】
用語「医薬組成物」は、哺乳類、例えばヒトに投与するのに適した製剤、例えば医薬を含む。
【0074】
適切な有機および無機塩基で処理して、酸性プロトンを含む本発明の化合物を治療上活性な非毒性塩基付加塩に変換することもできる。適切な塩基塩形態は、例えばアンモニウム塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、特にリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩、有機塩基との塩、例えばベンザチン塩、N−メチル−D−グルカミン塩およびヒブラミン(hybramine)塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンとの塩を含む。
【0075】
簡便には、酸または塩基付加塩形態は、適切な塩基または酸での処理によって遊離形態に変換することができる。
【0076】
本明細書の文脈において用いる付加塩という用語はまた、本発明の化合物およびその塩が形成することができる溶媒和物も含む。かかる溶媒和物は、例えば水和物およびアルコラートである。
【0077】
本発明の化合物が光学異性体、ラセミ体またはジアステレオマーの形態で存在していてもよいことが理解される。本発明の範囲は、該化合物の立体化学的異性体形態を包含する。用語「立体化学的異性体形態」は、本明細書において使用するとき、本発明の化合物が取り得る全ての可能な異性体形態を意味する。特に、不斉炭素がRまたはS立体配置を有し得る。例えば、本発明の化合物のテトラヒドロフラニル基の不斉炭素がRまたはS立体配置を有し得る。
【0078】
本発明の化合物が互変異性体として存在してもよいことも理解されよう。例えば、R1がOHまたはNHであり、R2がNHである本発明の化合物は互変異性型で存在していてもよい。本発明の範囲は、全てのかかる互変異性型を包含する。
【0079】
遊離形または薬学的に許容される酸付加塩形の本発明の化合物、特に例示されているものは、薬理学的活性を示し、医薬として、特にウイルス感染、例えばフラビウイルス科のメンバーによって引き起こされるものを処置および/または予防するための医薬として有用である。該化合物は、感染、例えばデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス、ならびに本明細書に記載の他のフラビウイルス科ウイルスによって引き起こされるものの処置および/または予防に特に有用である。
【0080】
実施例1〜10の化合物が好ましい本発明の化合物である。例えば、実施例1〜10の化合物を含む本発明の化合物が細胞利用フラビウイルスイムノ(CFI)アッセイ、細胞利用フラビウイルス細胞変性効果(CPE)アッセイおよびHCVレプリコンアッセイ、ならびにインビボでデングウイルス感染マウスモデルにおいて、活性を示すことが確認された。実施例に記載のとおりに試験を行う。
【0081】
デングウイルスのCFIアッセイにおいて、本発明の化合物は、14μM以下、好ましくは5μM以下、好ましくは3μM以下、より好ましくは2μM以下、さらにより好ましくは1μM以下、最も好ましくは0.8μM以下のEC50値を示す。例えば実施例1の化合物のEC50値は(例えばデングウイルス血清型1およびデングウイルス血清型4について)約0.2μMであり、実施例4の化合物のEC50値は(例えばデングウイルス血清型2について)約0.4μMであり、実施例8の化合物のEC50値は(例えばデングウイルス血清型2について)約0.6μMである。
【0082】
黄熱病ウイルスのCFIアッセイにおいて、本発明の化合物は、5μM以下、好ましくは3μM以下、より好ましくは2μM以下、さらにより好ましくは1.5μM以下、最も好ましくは0.9μM以下のEC50値を示す。例えば実施例1の化合物のEC50値は約0.9μMである。
【0083】
西ナイルウイルスのCPEアッセイにおいて、本発明の化合物は、5μM以下、好ましくは3μM以下、好ましくは2μM以下、より好ましくは1.5μM以下、最も好ましくは1.3μM以下のEC50値を示す。例えば、実施例1の化合物のEC50値は約3.75μMである。
【0084】
日本脳炎ウイルスのCPEアッセイにおいて、本発明の化合物は、5μM以下、より好ましくは4μM以下のEC50値を示す。例えば、実施例1の化合物のEC50値は約1.3μMである。
【0085】
HCVレプリコンアッセイにおいて、本発明の化合物は、5μM以下、好ましくは2μM以下、より好ましくは1μM以下、より好ましくは0.7μM以下、さらにより好ましくは0.5μM以下、さらにより好ましくは0.3μM以下、さらにより好ましくは0.2μM以下、最も好ましくは0.1μM以下のEC50値を示す。例えば、実施例1の化合物のEC50値は約0.1μMである。
【0086】
CFIアッセイは、標的細胞におけるウイルス負荷の読み出しとしてのウイルスエンベロープタンパク質、Eの定量的免疫検出を利用している。CFIアッセイにおいて、本発明の化合物はデングウイルスおよび黄熱病ウイルスに対する活性を示す。さらに、本発明の化合物はCPEアッセイにおいて日本脳炎ウイルスに対する活性を示す。このアッセイにおいて、標的細胞でのウイルス誘導性CPEの阻害を評価して、本発明の化合物の活性を測定する。本発明の化合物はまた、HCVレプリコンアッセイにおいて抗HCV活性も示す。
【0087】
したがって、ウイルス感染、例えばフラビウイルス科のウイルス、例えばデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルス、ならびに本明細書に記載の他のフラビウイルス科ウイルスによって引き起こされるものの処置のために、通常使用されるものと同じ投与形態、同じ投与量で、本発明の化合物を大型哺乳類、例えばヒトに投与することができる。
【0088】
さらに、ウイルス感染の処置および/または予防に使用する本発明の化合物の投与量範囲は、宿主、処置する状態の性質および重症度、投与形態および使用する具体的な物質を含む当業者に既知の要因に基づくと理解される。
【0089】
本発明の化合物の1日用量は、使用する化合物、投与形態、所望の処置および適用される疾患、ならびに他の要因、例えば患者の年齢、体重、一般的な健康状態、薬歴および性別などの医学分野において既知の要因で変化する。例えば、本発明の化合物を約0.5mg/kg体重〜約15mg/kg体重の範囲、例えば約1mg/kg体重〜約10mg/kg体重の範囲の1日用量で投与する。典型的には、70kgのヒトに1日4回まで、本発明の化合物を1日用量約0.001g〜約1.5g、例えば約1グラムを超えず、例えば約0.1g〜約0.5gで投与したとき、満足のいく結果を得ることができる。
【0090】
例えば、デングウイルス感染の処置のために適用される実施例1の化合物の1日用量は、70kgのヒトについて、好ましくは1日1回投与で、約200−400mgである。
【0091】
医薬的使用のために、1種以上の本発明の化合物、例えば1種、または2種以上の本発明の化合物の組合せを使用することができ、好ましくは1種の本発明の化合物を使用する。
【0092】
本発明の化合物を医薬として患者、例えば哺乳類、例えばヒトに投与するとき、それ自体として、または医薬組成物として投与することができる。本発明の化合物は、投与の目的のための多様な医薬形態に製剤することができる。前進的に薬剤を投与するために通常使用される好適な組成物が使用され得る。本発明の化合物は、あらゆる好適な経路、例えば経口、非経腸、吸入スプレー、経皮、経鼻(例えばスプレーによって)、局所(例えば粉末、軟膏またはドロップによって)、直腸、膣、皮下、舌下または埋め込みリザーバーによる投与のために、製剤され得る。いくつかの例において、本発明の化合物を経口的に投与する。
【0093】
本発明の医薬組成物を製造するために、有効成分として、有効量の所望により酸付加塩形態の本発明の化合物を、薬学的に許容される担体と混合する。一般に、製剤は、本発明の化合物と液体担体、または微細な固体担体、またはその両方を均質かつ緻密に混合し、次いで所望により製造物を成形して製造される。薬学的に許容される担体は、患者に本発明の化合物を投与するのに適した薬学的に許容される物質、組成物またはビークルを含む。担体は、体のある臓器または部分から体の他の臓器または部分に本発明の化合物を運搬または移動させる、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル充填物質を含む。担体は、投与に望ましい製剤の形態に依存して、広範多様な形態を取り得る。担体は製剤の他の成分に適合性であり、そして患者を傷つけることがないという意味において、許容され得る。好適な担体は、ラクトース、グルコースおよびショ糖のような糖;コーンスターチおよびポテトスターチのようなデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターまたは座薬ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油のような油;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルエステルおよびラウリン酸エチルエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝化剤;アルギン酸;ピロゲンを含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝化溶液;経口液体製剤の場合には水、グリコール、油、アルコール等;医薬製剤に使用される他の希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤および他の非毒性適合性物質を含むが、これらに限定されない。
【0094】
湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤および芳香剤、保存剤および抗酸化剤も組成物中に存在してよい。
【0095】
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;油溶性抗酸化剤、例えばアスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガラート、α−トコフェロール等;および金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等が含まれる。
【0096】
好ましい医薬組成物は、経口投与または非経腸注射による投与に好適な単位投与形態のものを含む。
【0097】
経口投与のために、化合物を固体または液体製剤、例えば錠剤、カプセル剤、粉末、ピル、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル剤、エマルジョンおよび分散剤に製剤することができる。これらの経口投与形態を製剤するとき、経口液体製剤の場合には水、グリコール、油、アルコール等、または固体担体、例えばデンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のような通常の医薬媒体の何れかを使用することができる。色素、甘味剤または風味剤のような他の成分を加えてもよい。投与が容易であるため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口単位投与形態であり、その場合固体医薬担体を使用することができる。
【0098】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、サセット、ピル、錠剤、トローチ(風味ベース、通常ショ糖およびアカシアまたはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒の形態で、または水性もしくは非水性液体の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップとして、またはトローチ(不活性ベース、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアを用いる)として、および/または洗口剤等として存在してよく、各々有効成分として予定量の本発明の化合物を含む。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与してもよい。
【0099】
本発明の経口投与用固体投与形態(カプセル剤、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒等)において、有効成分を1種以上の薬学的に許容される担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸2カルシウム、および/または次のもの:増量剤またはエクステンダー、例えばデンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシア;保湿剤、例えばグリセロール;崩壊剤、例えば寒天−寒天、炭酸カルシウム、ポテトデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、一部のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;溶解抑制剤、例えばパラフィン;吸収促進剤、例えば4級アンモニウム化合物;湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアリン酸エステル;吸着剤、例えばカオリンおよびベントナイト泥;滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物;および着色剤と混合する。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、医薬組成物は緩衝化剤も含んでいてよい。同様のタイプの固体組成物はまた、軟および硬充填ゼラチンカプセルの増量剤として用いてもよく、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いてもよい。
【0100】
所望により1種以上の助剤と共に打錠または湿式成形して錠剤を製造することができる。打錠は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコーレートナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて製造することができる。湿式成形錠は、適当な装置で不活性液体希釈剤で湿潤化した粉末化合物の混合物を成形することによって製造することができる。
【0101】
錠剤および他の本発明の医薬組成物の固体投与形態、例えば糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒は、所望により、コーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティングおよび医薬製剤の分野で周知の他のコーティングを施すか、またはそれで製造することができる。それらは、有効成分の遅延または制御放出を提供するように、例えば、様々な比率のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを用いて所望の放出速度を提供するように製剤することができる。例えば、細菌保持フィルターで濾過し、または滅菌水もしくは他の滅菌注射に使用の直前に溶解させることができる滅菌剤を滅菌固体組成物の形態で導入して滅菌することができる。これらの組成物は所望により不透明化剤を含んでいてもよく、有効成分のみを、または好ましくは胃腸管の特定の部位で、所望により遅延形態で放出する組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。有効成分は、適当であるとき、1種以上の上記賦形剤と共にマイクロカプセル化形態であり得る。
【0102】
本発明の化合物の経口投与のための液体投与形態は、薬学的に許容されるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。有効成分に加えて、液体投与形態は当該技術分野で一般的に用いられている不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、溶解剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含む。
【0103】
経口組成物は、不活性希釈剤に加えて湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、風味剤、着色剤、芳香剤および保存剤のようなアジュバントを含み得る。
【0104】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカント、およびそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0105】
直腸または経膣投与用の本発明の医薬組成物の製剤は、座薬として存在してよく、これは1種以上の本発明の化合物を、室温では固体であるが体温では液体であり、したがって腸または膣腔内で融解して活性化合物を放出する1種以上の好適な非刺激性賦形剤または担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックスまたはサリチル酸を混合することによって製造することができる。
【0106】
経膣投与に適した本発明の製剤には、適切であると当該技術分野において知られている担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤が含まれる。
【0107】
本発明の化合物の局所または経皮投与用投与形態には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ剤および吸入剤が含まれる。活性化合物を滅菌条件下で薬学的に許容される担体と、および所望によりいずれかの保存剤、バッファー、プロペラントと混合することができる。
【0108】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、賦形剤、例えば動物脂質および植物脂質、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物を含み得る。
【0109】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、賦形剤、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、カルシウムシリケートおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含み得る。スプレーはさらに、常套のプロペラント、例えばクロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素、例えばブタンおよびプロパンを含み得る。
【0110】
経皮パッチは本発明の化合物を生体に制御送達するのにさらなる利点を有する。かかる投与形態は適切な媒体に化合物を溶解または分散させて製造することができる。皮膚を通過する化合物の流量を増加させるために吸収促進剤も用いてもよい。速度制御膜または活性化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることによって流入の速度を制御することができる。
【0111】
眼用製剤、眼軟膏、粉末、溶液等も本発明の範囲内であると理解される。
【0112】
非経腸投与に適した本発明の医薬組成物は、1種以上の本発明の化合物と、1種以上の薬学的に許容される滅菌等張水性もしくは非水性溶液、分散剤、懸濁液またはエマルジョンを含んでいてもよく、あるいは使用直前に滅菌注射溶液もしくは分散剤を再構成することができる滅菌粉末を含んでいてもよく、これは抗酸化剤、バッファー、静菌剤、意図する受容者の血液と製剤を等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含み得る。非経腸組成物について、担体は通常滅菌水を少なくとも大部分含み、例えば溶解性を向上させるための他の成分を含んでいてもよい。例えば、担体が食塩水、グルコース溶液または食塩水とグルコース溶液の混合物を含む注射液を製造することができる。適切な液体担体、懸濁剤等を用いた注射懸濁液を製造することもできる。また、使用の直前に液体形態製剤に変換することを意図した固体形態製剤も含まれる。
【0113】
本発明の医薬組成物に使用することができる好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射用有機エステル、例えばエチルオレエートが含まれる。例えばレシチンのようなコーティング物質を用いて、分散剤の場合には所望の粒度を維持することによって、そして界面活性剤を用いることによって、適切な流動性を維持することができる。
【0114】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のようなアジュバントを含んでいてもよい。微生物の作用の予防は、多様な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めることによって確保され得る。また、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム等を組成物に含めることが望ましい。さらに、注射医薬形態の延長された吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収遅延剤を含めることによって達成することができる。
【0115】
いくつかの場合において、薬剤の作用を延長するため、皮下または筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅延させることが望まれる。これは、水溶性が低い結晶物質またはアモルファス物質の液体懸濁液の使用によって達成し得る。薬剤吸収速度は溶解速度に依存し、これは結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経腸投与薬剤形態の遅延吸収は、薬剤を油性ビークルに溶解または懸濁させることによって達成される。
【0116】
生分解性ポリマー、例えばポリラクチド−ポリグリコリドに対象化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させて注射デポ形態を製造する。薬剤対ポリマーの比、および使用する具体的なポリマーの性質によって、薬剤放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポ注射製剤を、体組織に適合性であるリポソームまたはミクロエマルジョンに薬剤をトラップして製造する。
【0117】
「非経腸投与」のような句は、本明細書において使用するとき、経腸および局所投与以外の投与形態、通常は注射を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄膜内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、および胸骨内注射および輸液を含むが、これらに限定されない。
【0118】
投与形態に依存して、医薬組成物は好ましくは、0.05〜99.5重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは30〜70%重量%の有効成分と、0.05〜99.95重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは30〜70重量%の薬学的に許容される担体を含む(全てのパーセントは総組成物に基づく)。
【0119】
医薬組成物はさらに、当該技術分野において知られている多様な他の成分、例えば滑沢剤、安定化剤、緩衝化剤、乳化剤、粘度調節剤、界面活性剤または保存剤を含んでいてもよい。
【0120】
投与が簡便で用量が均一な単位投与形態に医薬組成物を製剤することが特に有利である。本明細書において使用するとき、単位投与形態は、物理的に分離した投与量単位として好適な単位を意味し、各単位は所望の治療効果を発揮するために計算された所定の量の有効成分と、必要な医薬担体を含む。かかる単位投与形態の例は、錠剤(割線入りまたはコーティングした錠剤)、カプセル剤、ピル、粉末パケット、ウエハース、座薬、注射液または懸濁液等、およびその分離した複数を含む。
【0121】
本発明の化合物を単独で、または第2の薬剤物質との組合せにおいて投与することができる。
【0122】
他の局面において、本発明は、次のものを提供する:
− 本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質の組合せ;
− 本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質を含む医薬組合せ剤;
− 本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質、そして1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物;
− 例えば本明細書に定義の何れかの方法に使用するための医薬組合せ剤または組成物の形態の、少なくとも1種の第2の薬剤物質との組み合わせにおける本発明の化合物、例えば:
− 本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質を含む、医薬として使用するための組合せ、医薬組合せ剤、または医薬組成物;
− 例えば医薬組合せ剤または組成物の形態において少なくとも1種の第2の薬剤物質との組み合わせにおける本発明の化合物の医薬としての使用;
− それを必要とする患者におけるウイルス感染を処置および/または予防する方法であって、治療上有効量の本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質を、例えば医薬組合せ剤または組成物の形態で同時または逐次的に共投与することを含む方法;
− 例えばウイルス感染の処置および/または予防用医薬の製造において使用するための、医薬組合せ剤または組成物の形態の少なくとも1種の第2の薬剤物質と組み合わせた本発明の化合物。
【0123】
「共投与する」または「組合せ投与」などの用語は、本明細書において使用するとき、選択した第2の薬剤物質を1人の患者に投与することを意味しており、第2の薬剤を必ずしも同じ投与経路で、または同時に投与することのない処置レジメンを含むことを意図する。本発明の化合物と何れかの第2の薬剤物質を別々の投与形態に製剤することができる。あるいは、患者に投与する投与形態の数を減少させるため、本発明の化合物と何れかの第2の薬剤物質を何れかの組合せにおいて一体として製剤することができる。例えば、本発明の化合物を1個の投与形態として製剤して、第2の薬剤物質を他の投与形態で製剤することができる。別々の投与形態を同時に、または異なる時点で投与することができる。
【0124】
組合せは、本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質が同じ製剤に存在する固定された組合せ剤;本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質が別個の製剤で存在し、同じパッケージにおいて、例えば共投与のための指示書と共に提供されるキット;および本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質が別々にパッケージされているが、同時または逐次投与のための指示書が与えられる自由な組合せを含む。
【0125】
他の局面において、本発明は、次のものを提供する:
− 本発明の化合物である第1の薬剤物質と、少なくとも1種の第2の薬剤物質、そして組合せ投与のための指示書を含む、医薬パッケージ;
− 本発明の化合物と、少なくとも1種の第2の薬剤物質との組合せ投与のための指示書を含む、医薬パッケージ;
− 少なくとも1種の第2の薬剤物質と、本発明の化合物との組合せ投与のための指示書を含む、医薬パッケージ。
【0126】
本発明の組合せによる処置は、単剤処置と比較して改良され得る。
【0127】
他の局面において、本発明は、次のものを提供する:
− 相乗的治療効果を発揮するのに適切な量の本発明の化合物と第2の薬剤物質を含む医薬組合せ剤;
− 本発明の化合物の治療上有用性を改善する方法であって、治療上有効量の本発明の化合物と第2の薬剤物質を共投与する、例えば同時または逐次的に投与することを含む方法;
− 第2の薬剤物質の治療上有用性を改善する方法であって、治療上有効量の本発明の化合物と第2の薬剤物質を共投与する、例えば同時または逐次的に投与することを含む方法。
【0128】
本発明の化合物と組合せ成分としての第2の薬剤物質の組合せを、何れかの常套の経路で、例えば本発明の化合物について本明細書に記載のとおりに投与することができる。第2の薬剤を適切な投与量で、例えば単剤処置で使用するものと同程度の投与量範囲で、または例えば相乗効果の場合、常套の投与量範囲以下で投与することができる。
【0129】
本発明の組合せを含む医薬組成物、および本明細書に記載の第2の薬剤を含む医薬組成物を、適切に、例えば常套の方法に準じて、例えばそれと同様に、または本発明の医薬組成物について本明細書に記載のように得ることができる。
【0130】
一体として、または個別もしくは連続的工程の治療において、2種以上の薬剤、例えば本発明の化合物と第2の薬剤物質の有効投与量を投与することができ、それによって各薬剤の有効投与量を連続的にまたは逐次的に投与する。一般に、ウイルスへの複数の同時的ストレスを誘導するため、典型的には最初の選択肢が他の治療よりも好ましい。所定の投与量は薬剤の吸収、不活性かおよび排出速度、ならびに他の要因に依存する。処置する状態の重症度によっても投与量が変化することに注意する。さらに、具体的な対象について、個体の必要および組成物を投与するか、または投与を監督する人物による専門的な判断によって、時間にわたって具体的な投与レジメンおよびスケジュールが調節され得ることが理解される。
【0131】
かかる方法を実施するために必要な1日投与量は、例えば使用する本発明の化合物、宿主、投与形態、処置する状態の重症度に依存して変化する。好適な1日用量および患者に経口投与するための単位投与形態は上記に記載している。投与形態中の第2の薬剤物質の量は大きく変化してよく、定常的な実験によって決定することができる。例えば、本発明の化合物および第2の薬剤物質の投与量は、必要な薬理学的作用に依存して、単独または他の化合物と投与される同じ化合物について投与される量と同じ程度、例えば半分であり得る。
【0132】
用語「第2の薬剤物質」は、式(I)または(II)の化合物であるか、またはそうではない化学療法剤、特に式(I)または(II)の化合物以外の何れかの化学療法剤を意味する。
【0133】
例えば、本明細書において使用するとき、第2の薬剤物質は、例えば抗ウイルス活性、特に抗フラビウイルス活性、最も特に抗デング活性もしくはC型肝炎活性を有する薬剤、例えばプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ、ウイルス侵入阻害剤、ウイルス性ポリメラーゼ阻害剤、免疫調節剤、抗体および逆転写酵素阻害剤を含む。かかる抗ウイルス剤は、リバビリン、ビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、ザナミビル、リン酸オセルタミビル、ファムシクロビル、アタザナビル、アマンタジン、ジダノシン、エファビレンツ、ホスカネット、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル、スタブジン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、スタブジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ジドブジン、テルビブジンおよびインターフェロン、例えばインターフェロン−α−2aまたはインターフェロン−α−2b、例えばIntron(登録商標)A、Roferon(登録商標)、Avonex(登録商標)、Rebif(登録商標)またはBetaferon(登録商標)、コンセンサスインターフェロン、リンパ芽球インターフェロン、インターフェロンタウまたは水溶性ポリマーもしくはヒトアルブミンと結合しているインターフェロン、例えばアルブフェロン;ラミブジン、US特許第6,812,219号およびWO 2004/002422 A2(そここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に記載の化合物;抗繊維症剤、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブ、免疫調節剤、例えばミコフェノール酸、その塩もしくはプロドラッグ、例えばミコフェノール酸ナトリウムまたはミコフェノール酸モフェチル、またはS1P受容体アゴニスト、例えばFTY720または所望によりリン酸化されたそのアナログ、例えばEP627406A1、EP778263A1、EP1002792A1、WO02/18395、WO02/76995、WO 02/06268、JP2002316985、WO03/29184、WO03/29205、WO03/62252およびWO03/62248(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に記載のものを含むが、これらに限定されない。
【0134】
他の第2の薬剤物質は、抗アレルギー剤および抗炎症化合物、例えばNSAIDを含むがこれらに限定されない。他の第2の薬剤物質の例は、パラセタモール、アスピリン、サルサラート、ジフルニサール、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、ピロキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジンおよびセレコキシブ;フルセミド;ビタミンK;ビカルボネート;カルシウム;制吐剤、例えばドンペリドン、メトクロプラミド、ブロモプリドおよびアリザプリド;ラニチジン;シメチジン;ファモチジン;ニザチジン;ラニチジン;ロキサチジン;ミソプロストール;エンプロスチル;エソメプラゾール;ランソプラゾール;オメプラゾール;パントプラゾール;ラベプラゾール;テナトプラゾール;カルベノキソロン;スクラルフェート;ピレンゼピン;抗けいれん剤、例えばアセタゾラミド、アルプラゾラム、アミロバルビトン、カルバマゼピン、ガバペンチン、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロメチアゾール、クロナゼパム、カルバマゼピン、ジアゼパム、フェニトイン、ジバルプロエクス、バルプロ酸ナトリウム、エトスクシミド、フルナリジン、フォスフェニトイン、レベチラセタム、ラモトリジン、ロラゼパム、プレガバリン、硫酸マグネシウム、フェノバルビトン、ミダゾラム、オキシカルバゼピン、プリミドン、ビガバトリン、トピラマート、バルプロ酸、バルプロミド、ゾニサミド、ゾピクロン;およびエストロゲン、例えばプレマリンを含むが、これらに限定されない。
【0135】
本発明の化合物は、患者のC型肝炎ウイルス関連障害の処置のために、例えば式(I)または(II)であるか、またはそうではないさらなるC型肝炎ウイルス−調節化合物との組合せにおいて使用することができる。
【0136】
WO 2005/042020(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)は多様なC型肝炎ウイルス阻害剤とシトクロームP450(“CYP”)阻害剤の組合せを開示している。何れかの好適なCYP阻害剤を本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。これらのCYP阻害剤は、リトナビル(WO 94/14436、ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、フォサムプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497を含むが、これらに限定されない。好ましいCYP阻害剤にはリトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。
【0137】
化合物のCYP活性阻害能を測定する方法は既知である(例えば、US 6,037,157およびYun, et al. Drug Metabolism & Disposition, vol. 21, pp. 403-407 (1993)参照;引用により本明細書の一部とする)。例えば、評価する化合物と0.1、0.5、および1.0mgタンパク質/ml、または他の適切な濃度のヒト肝臓ミクロソーム(例えば商業的に入手可能な、貯蔵され特徴付けられた肝臓ミクロソーム)とを、0、5、10、20および30分、または他の適切な時間、NADPH産生系の存在下でインキュベートすることができる。肝臓ミクロソームの非存在下で対照インキュベーションを0および30分間行うことができる(3連)。化合物の存在についてサンプルを分析することができる。化合物代謝の線形速度を作り出すインキュベーション条件を、さらなる試験の指標として用いる。当該技術分野において既知の実験を用いて化合物代謝の動力学(KおよびVmax)を測定することができる。化合物の消失速度を測定し、Lineweaver-Burk、Eadie-Hofstee、または非線形回帰分析を用いたMichaelis-Menten反応速度論によってデータを分析することができる。
【0138】
代謝阻害実験を実施することができる。例えば、化合物(1つの濃度、≦K)と貯蔵ヒト肝臓ミクロソームとを、CYP阻害剤(例えばリトナビル)の存在下または非存在下、上記条件かでインキュベートすることができる。理解されるとおり、対照インキュベーションはCYP阻害剤とのインキュベーションと同じ濃度の有機溶媒を含み得る。サンプル中の化合物濃度を定量することができ、親化合物の消失速度を測定することができる。速度は対照活性のパーセンテージとして表現される。
【0139】
対象における本発明の化合物とCYP阻害剤の共投与による影響を評価する方法も既知である(例えばUS2004/0028755参照;ここに引用することにより本明細書の一部とする)。何れかのかかる方法を本発明に用いて、組合せの薬物動態への影響を測定することができる。本発明の処置によって利益を受けるであろう対象を選択することができる。
【0140】
したがって、本発明の1つの態様は、CYP3A4の阻害剤と本発明の化合物を投与する方法を提供する。本発明の別の態様は、アイソザイム3A4(“CYP3A4”)、アイソザイム2C19(“CYP2C19”)、アイソザイム2D6(“CYP2D6”)、アイソザイム1A2(“CYP1A2”)、アイソザイム2C9(“CYP2C9”)、またはアイソザイム2E1(“CYP2E1”)の阻害剤を投与する方法を提供する。
【0141】
理解されるとおり、CYP3A4活性はヒトにおいて広範に観察される。したがって、アイソザイム3A4の阻害を含む本発明の態様は、広範な患者に適用可能であると予期される。
【0142】
したがって、本発明は、CYP阻害剤と本発明の化合物を同じ投与形態で、または別個の投与形態で投与する方法を提供する。
【0143】
上記のとおり、使用する第2の薬剤物質の1日用量は、例えば使用する化合物、宿主、投与形態および処置する状態の重症度に依存して変化する。例えば、ラミブジンを1日用量100mgで投与することができる。ペグ化インターフェロンは、週1〜3回、好ましくは週1回、合計週間用量2,000,000〜10,000,000IU、より好ましくは5,000,000〜10,000,000IU、最も好ましくは8,000,000〜10,000,000IUで非経腸的に投与され得る。使用することができる第2の薬剤物質が多様なタイプにわたるため、上記のとおり、その量は大きく変化することがあり、日常的な実験によって決定され得る。
【0144】
現在のC型肝炎処置のための標準的な治療法は、ペグ化インターフェロンアルファとリバビリンの組合せであり、その推奨用量はペグ化インターフェロンアルファ−2bで1.5μg/kg/週またはペグ化インターフェロンアルファ−2aで180μg/週と、遺伝子型I患者についてリバビリンで1000〜1200mg/日を48週間、または遺伝子型2/3患者についてリバビリンで800mg/日を24週間である。
本発明の化合物と第2の薬剤物質を何れかの常套の経路で、特に経腸、例えば経口的に、例えば飲用液、錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経腸的に、例えば注射液または懸濁液の形態で投与することができる。
【0145】
インターフェロンと水溶性ポリマーの複合体は、特にポリアルキレンオキシドホモポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール、そのコポリマーおよびそのブロックコポリマーを含むことを意味する。ポリアルキレンオキシドに基づくポリマーとは別のものとして、実質的に非抗原性物質、例えばデキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物に基づくポリマー等を用いることができる。かかるインターフェロン−ポリマー複合体は、米国特許第4,766,106号、第4,917,888号、欧州特許出願第0 236987号、欧州特許出願第0 510 356号および国際公開公報第WO 95/13090号に記載されている(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)。ポリマー性修飾によって抗原性応答が十分に減少するので、外来インターフェロンは完全に自己である必要はない。ポリマー複合体を製造するために使用するインターフェロンを、哺乳類抽出物、例えばヒト、反すう動物またはウシインターフェロンから製造するか、または組換え的に製造することができる。好ましいのは、ペグ化インターフェロンとしても知られているインターフェロンとポリエチレングリコールの複合体である。
【0146】
特に好ましいインターフェロンの複合体は、ペグ化アルファ−インターフェロン、例えばペグ化インターフェロン−α−2a、ペグ化インターフェロン−α−2b;ペグ化コンセンサスインターフェロンまたはペグ化精製インターフェロン−α製品である。ペグ化インターフェロン−α−2aは、例えば欧州特許第593868号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に記載されており、例えばPEGASYS(登録商標)(Hoffmann-La Roche)の商品名で商業的に入手可能である。ペグ化インターフェロン−α−2bは、例えば欧州特許第975,369号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に記載されており、例えばPEG−INTRON A(登録商標)(Schering Plough)の商品名で商業的に入手可能である。ペグ化コンセンサスインターフェロンはWO 96/11953(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に記載されている。好ましいペグ化α−インターフェロンは、ペグ化インターフェロン−α2aおよびペグ化インターフェロン−α−2bである。ペグ化コンセンサスインターフェロンも好ましい。
【0147】
他の好ましい第2の薬剤物質は、インターフェロンの融合タンパク質、例えばインターフェロン−α−2a、インターフェロン−α−2b、コンセンサスインターフェロンまたは精製インターフェロン−α生成物の融合タンパク質であり、これらは各々他のタンパク質と融合している。特に好ましい融合タンパク質は、インターフェロン(例えば、インターフェロン−α−2b)とアルブミンを含み、米国特許6,973,322および国際公開公報WO02/60071、WO05/003296およびWO05/077042(Human Genome Sciences)に記載されている。好ましいヒトアルブミンとのインターフェロン結合体は、Albuferon(Human Genome Sciences)である。
【0148】
シクロフィリンと強く結合するが免疫抑制性ではないシクロスポリンには、米国特許5,767,069および5,981,479(ここに引用することにより本明細書の一部とする)に記載のシクロスポリンが含まれる。[MeIle]−シクロスポリンは好ましい非免疫抑制性シクロスポリンである。他のシクロスポリン誘導体は、WO2006039668(Scynexis)およびWO2006038088(Debiopharm SA)(ここに引用することにより本明細書の一部とする)に記載されている。シクロスポリンは、混合リンパ球応答(MLR)において、シクロスポリンAのものの5%未満、好ましくは2%未満の活性を有するとき、非免疫抑制性であると考えられる。混合リンパ球応答は、T. Meoの“Immunological Methods”, L. Lefkovits and B. Peris, Eds., Academic Press, N.Y. pp. 227 - 239 (1979)に記載されている。Balb/cマウス(メス、8−10週)由来の脾臓細胞(0.5×10)を5日間、0.5×10放射線照射(2000rad)またはマイトマイシンC処理CBAマウス(メス、8−10週)由来の脾臓細胞と共にインキュベートする。放射線照射同種細胞はBalb c脾臓細胞の増殖性応答(これは、DNAへの標識化前駆体取り込みによって測定することができる)を誘導する。刺激細胞が放射線照射(またはマイトマイシンC処理)されているため、Balb/c細胞には増殖応答しないが、それらの抗原性は保持されている。MLRにおいて試験化合物について見出されたIC50を、並行実験におけるシクロスポリンAのものと比較する。さらに、非免疫抑制性シクロスポリンはCNおよび下流NF−AT経路を阻害する能力を欠く。[MeIle]−シクロスポリンは、本発明の使用に好ましい非免疫抑制性シクロフィリン結合シクロスポリンである。
【0149】
リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1−1,2,4−トリアゾール−3−カロキサミド)は、合成非インターフェロン誘導性、広スペクトル抗ウイルスヌクレオシドアナログであり、Virazole(The Merck Index, 11th edition, Editor: Budavar, S, Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, p1304,1989)の商品名で市販されている。米国特許第3,798,209号および第RE29,835号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)は、リバビリンを開示および特許請求している。リバビリンはグアノシンと構造的に類似しており、フラビウイルス科を含む様々なDNAおよびRNAウイルスに対するインビトロ活性を有する(Gary L. Davis, Gastroenterology 118:S104-S114, 2000)。
【0150】
他の組合せは、本発明の化合物と非免疫抑制性シクロフィリン結合シクロスポリンと、ミコフェノール酸、その塩もしくはプロドラッグ、および/またはS1P受容体アゴニスト、例えばFTY720の組合せ剤を含む。
【0151】
本発明の化合物との組合せに用いることができる化合物のさらなる例には、次のものが含まれる:
(1)インターフェロンアルファ2aまたは2b、およびペグ(PEG)インターフェロンアルファ2aおよび2bを含むインターフェロン、例えば
(a)Intron−A(登録商標)、インターフェロンアルファ−2b(Schering Corporation, Kenilworth, NJ);
(b)PEG−Intron(登録商標)、ペグインターフェロンアルファ−2b(Schering Corporation, Kenilworth, NJ);
(c)Roferon(登録商標)、組換えインターフェロンアルファ−2a(Hoffmann-La Roche, Nutley, NJ);
(d)Pegasys(登録商標)、ペグインターフェロンアルファ−2a(Hoffmann-La Roche, Nutley, NJ);
(e)Berefor(登録商標)、インターフェロンアルファ2 入手可能(Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CT);
(f)Sumiferon(登録商標)、天然アルファインターフェロンの精製ブレンド(Sumitomo, Japan)
(g)Wellferon(登録商標)、リンパ芽球インターフェロンアルファn1(GlaxoSmithKline);
(h)Infergen(登録商標)、コンセンサスアルファインターフェロン(InterMune Pharmaceuticals, Inc., Brisbane, CA);
(i)Alferon(登録商標)、天然アルファインターフェロンの混合物(Interferon Sciences, and Purdue Frederick Co., CT);
(j)Viraferon(登録商標);
(k)Amgen, Inc., Newbury Park, CAのコンセンサスアルファインターフェロン。
【0152】
他の形態のインターフェロンには、次のものが含まれる:インターフェロンベータ、ガンマ、タウおよびオメガ、例えばSeronoのRebif(インターフェロンベータ1a)、ViragenのOmniferon(天然インターフェロン)、Ares-SeronoのREBIF(インターフェロンベータ−1a)、BioMedicinesのOmega Interferon;Amarillo Biosciencesの経口Interferon Alfa;水溶性ポリマーまたはヒトアルブミンと結合しているインターフェロン、例えばAlbuferon(Human Genome Sciences)、抗ウイルス剤、コンセンサスインターフェロン、ヒツジまたはウシインターフェロンタウ。
【0153】
インターフェロンと水溶性ポリマーの結合体は、特にポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールのようなポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリオキシエチレンポリオール、そのコポリマーまたはそのブロックコポリマーとの結合体を含むことを意味する。ポリアルキレンオキシドに基づくポリマーに代えて、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物利用ポリマー等のような非抗原物質を有効に使用することができる。ポリマー修飾によって抗原性応答が十分に減少されるので、外来インターフェロンが完全に自己である必要はない。ポリマー結合体を製造するために使用されるインターフェロンを、哺乳類抽出物、例えばヒト、反芻動物またはウシインターフェロンから製造することができるか、または組換え的に製造することができる。ペグインターフェロンとしても知られているインターフェロンとポリエチレングリコールの結合体が好ましい。
【0154】
(2)リバビリン、例えばValeant Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAのリバビリン(1−ベータ−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド);Schering Corporation, Kenilworth, NJのRebetol(登録商標)、およびHoffmann-La Roche, Nutley, NJのCopegus(登録商標);ならびに開発中の新規なリバビリンアナログ、例えばValeantのLevovirinおよびViramidine。
【0155】
(3)NS3/4A融合タンパク質およびNS5A/5B基質を含む逆相HPLCアッセイにおいて阻害を示すチアゾリジン誘導体(Sudo K. et al., Antivirus Research, 1996, 32, 9-18)、特に化合物RD−1−6250、長アルキル鎖で置換された縮合シンナモイル基を有するもの、RD4 6205およびRD4 6193。
【0156】
(4)Kakiuchi N. et al. J. FEBS Letters 421, 217-220;Takeshita N. et al. Analytical Biochemistry, 1997, 247, 242-246において同定されたチアゾリジンおよびベンズアニリド。
【0157】
(5)Streptomyces sp.の発酵培養液から単離された、SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーアッセイにおいてプロテアーゼに対して活性を有するフェナントレンキノン、Sch 68631(Chu M. et al., Tetrahedron Letters, 1996, 37, 7229-7232)、および真菌Penicillium griseofulvumから単離された、シンチレーション近接アッセイにおいて活性を示すSch 351633(Chu M. et al, Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9, 1949-1952)。
【0158】
(6)プロテアーゼ阻害剤;例えば基質利用NS3プロテアーゼ阻害剤(Attwood et al., Antiviral peptide derivatives, PCT WO 98/22496, 1998; Attwood et al., Antiviral Chemistry and Chemotherapy 1999, 10, 259-273; Attwood et al, Preparation and use of amino acid derivatives as anti-viral agents, German Patent Pub. DE 19914474; Tung et al. Inhibitors of serin proteases, particularly hepatitis C virus NS3 protease; PCT WO 98/17679)、例えばアルファケトアミドおよびヒドラジノウレア、ならびにボロン酸もしくはホスホネートのような求電子試薬を終了させる阻害剤(Llinas-Brunet et al. Hepatitis C inhibitor peptide analogues, PCT WO 99/07734)が研究されている。
【0159】
非基質利用NS3プロテアーゼ阻害剤、例えば2,4,6−トリヒドロキシ−3−ニトロ−ベンズアミド誘導体(Sudo K. et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 1997, 238 643-647; Sudo K. et al. Antiviral Chemistry and Chemotherapy, 1998, 9, 186)、例えばRD3−4082およびRD3−4078(前者はアミド上で14炭素鎖で置換されており、後者はパラフェノキシフェニル基を処理する)も研究されている。
【0160】
フェナントレンキノンであるSch68631は、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤(Chu M et al., Tetrahedron Letters 37:7229-7232, 1996)である。同じ著者による他の例では、真菌Penicillium grieofulvumから単離されたSch351633がプロテアーゼ阻害剤として同定された(Chu M. et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9:1949-1952)。HCV NS3プロテアーゼ酵素に対するナノモル効果を巨大分子eglin cに基づく選択的阻害剤の設計によって達成される。ヒルから単離したEglin cは、様々なセリンプロテアーゼ、例えばS.グリセウスプロテアーゼAおよびB、∀−キモトリプシン、チマーゼ、およびサブチリジンの強力な阻害剤である。Qasim M.A. et al., Biochemistry 36:1598-1607, 1997。
【0161】
C型肝炎ウイルスの処置のためのプロテアーゼ阻害剤を開示している米国特許には、例えばHCVエンドペプチダーゼ2を阻害するシステインプロテアーゼ阻害剤のクラスを開示しているSpruce et alの米国特許第6,004,933号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする);C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼの合成阻害剤を開示しているZhang et alの米国特許第5,990,276号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする);Reyes et al.の米国特許第5,538,865号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)が含まれる。C型肝炎ウイルスのNS3セリンプロテアーゼ阻害剤としてのペプチドは、Corvas International, Inc.のWO 02/008251、およびSchering Corporation のWO 02/08187およびWO 02/008256(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に開示されている。C型肝炎ウイルス阻害剤トリペプチドはBoehringer Ingelheimの米国特許第6,534,523号、第6,410,531号および第6,420,380号、ならびにBristol Myers SquibbのWO 02/060926(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に開示されている。C型肝炎ウイルスのNS3セリンプロテアーゼ阻害剤としてのジアリールペプチドはSchering CorporationのWO 02/48172(ここに引用することにより本明細書の一部とする)に記載されている。C型肝炎ウイルスのNS3セリンプロテアーゼ阻害剤としてのイミダゾリジノンは、Schering CorporationのWO 02/18198およびBristol Myers SquibbのWO 02/48157(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)。Vertex PharmaceuticalsのWO 98/17679およびBristol Myers SquibbのWO 02/48116はまた、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤を開示している(それらの全体を参照により本明細書の一部とする)。
【0162】
C型肝炎ウイルス NS3−4Aセリンプロテアーゼ阻害剤、例えばBoehringer IngelheimのBILN 2061、VertexのVX−950、Schering-PloughのSCH6/7、および現在前臨床開発中の他の化合物;
【0163】
基質利用NS3プロテアーゼ阻害剤、例えばアルファケトアミドおよびヒドラジノウレア、およびボロン酸またはホスホネートのような求電子試薬を終了させる阻害剤;非基質利用NS3プロテアーゼ阻害剤、例えば2,4,6−トリヒドロキシ−3−ニトロ−ベンズアミド誘導体、例えばRD3−4082およびRD3−4078(前者は14炭素鎖でアミド上で置換されており、後者はパラフェノキシフェニル基を処理する);およびSch68631、フェナントレンキノン、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤。
【0164】
真菌Penicillium griseofulvumから単離されたSch351633は、プロテアーゼ阻害剤として同定された。ヒルから単離されたEglin cは、多様なセリンプロテアーゼ、例えばS. griseusプロテアーゼAおよびB、a−キモトリプシン、チマーゼおよびサブチリジンの強力な阻害剤である。
【0165】
米国特許第6004933号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)は、C型肝炎ウイルスエンドペプチダーゼ2を阻害するシステインプロテアーゼ阻害剤群;C型肝炎ウイルス NS3プロテアーゼの合成阻害剤、C型肝炎ウイルス阻害剤トリペプチド、ジアリールペプチド、例えばHCVのNS3セリンプロテアーゼ阻害剤、C型肝炎ウイルスのNS3セリンプロテアーゼ阻害剤としてのイミダゾリジオンを開示している。
【0166】
チアゾリジンおよびベンズアニリド。NS3/4A融合タンパク質およびNS5A/5B基質を含む逆相HPLCアッセイにおいて阻害を示すチアゾリジン誘導体、特に化合物RD−16250、長アルキル鎖で置換された縮合シンナモイル基を有するもの、RD4 6205およびRD4 6193。
【0167】
ストレプトマイセスspの発酵培養液から単離したSDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーアッセイにおいてプロテアーゼに対して活性を有するフェナントレンキノン、およびシンチレーション近接アッセイにおいて活性を示す真菌Penicillium griseofulvumから単離されたSch 68631およびSch 351633。
【0168】
(7)C型肝炎ウイルス NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼのヌクレオシドまたは非ヌクレオシド阻害剤、例えばWO 2004/002422 A2(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に開示されている2’−C−メチル−3’−O−L−バリンエステルリボフラノシルシチジン(Idenix)、R803(Rigel)、JTK−003(Japan Tabacco)、HCV−086(ViroPharma/Wyeth)および現在前臨床開発中の他の化合物;
グリオトキシンおよび天然生成物セルレニン;
2’−フルオロヌクレオシド;
WO 02/057287 A2、WO 02/057425 A2、WO 01/90121、WO 01/92282、および米国特許第6,812,219号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に記載の他のヌクレオシドアナログ。
【0169】
Idenix Pharmaceuticalsは、国際公開番号WO 01/90121およびWO 01/92282(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)において、フラビウイルス(C型肝炎ウイルスを含む)およびペスチウイルスの処置における分枝鎖ヌクレオシドの使用を開示している。具体的には、ヒトおよび他の宿主動物におけるC型肝炎(およびフラビウイルスおよびペスチウイルス)感染の処置方法がIdenix公報に記載されており、それは有効量の生物学的に活性な1’、2’、3’または4’−分枝鎖β−Dまたはβ−Lヌクレオシドまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを、単独で、または他の抗ウイルス剤との組合せで、所望により薬学的に許容される担体と、投与することを含む。特に好ましい生物学的に活性な1’、2’、3’、または4’分枝鎖β−Dまたはβ−Lヌクレオシド、例えばテルビブジンは、米国特許6,395,716および6,875,751(ここに引用することにより、各々を本明細書の一部とする)に開示されている。
【0170】
C型肝炎ウイルスを処置するためのヌクレオシドアナログの使用を開示している他の特許出願には:BioChem Pharma, Inc.(現在はShire Biochem, Inc.)のPCTCA00/01316(WO 01/32153;2000年11月3日出願)およびPCT/CA01/00197(WO 01/60315;2001年2月19日出願);Merck & Co., Inc.のPCT/US02/01531(WO 02/057425;2002年1月18日出願)およびPCT/US02/03086(WO 02/057287;2002年1月18日出願、2002)、RocheのPCT/EP01/09633(WO 02/18404;2001年8月21日公開)、ならびにPharmasset, Ltd.のPCT公開番号WO 01/79246(2001年4月13日出願)、WO 02/32920(2001年10月18日出願)およびWO 02/48165(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)が含まれる。
【0171】
Emory UniversityのPCT公開番号WO 99/43691(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)、表題「2’−フルオロヌクレオシド」は、C型肝炎ウイルスの処置のための2’−フルオロヌクレオシドの使用を開示している。
【0172】
Eldrup et al.(Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International Conference on Antiviral Research (2003年4月27日、Savannah, GA))によって、C型肝炎ウイルスの阻害についての2’−修飾ヌクレオシドの構造と活性の関係性が開示されている。
【0173】
Bhat et al.(Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae, 2003 (Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International conference on Antiviral Research (2003年4月27日, Savannah, GA); p A75)は、C型肝炎ウイルスRNA複製の可能性のある阻害剤としてのヌクレオシドアナログの合成および薬物動態特性を開示している。著者らは2’−修飾ヌクレオシドが細胞利用レプリコンアッセイにおいて強力な阻害活性を示すことを報告している。
【0174】
Olsen et al. (Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae, 2003 (Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International conference on Antiviral Research (2003年4月27日, Savannah, GA); p A76)はまた、2’−修飾ヌクレオシドのC型肝炎ウイルスRNA複製に対する効果を開示した。
【0175】
(8)ヌクレオチドポリメラーゼ阻害剤およびグリオトキシン(Ferrari R. et al. Journal of Virology, 1999, 73, 1649-1654)、ならびに天然生成物セルレニン(Lohmann V. et al. Virology, 1998, 249, 108-118)。
【0176】
(9)C型肝炎ウイルスNS3ヘリカーゼ阻害剤、例えばViroPhamaのVP_50406およびVertexの化合物。他のヘリカーゼ阻害剤(Diana G.D. et al., Compounds, compositions and methods for treatment of hepatitis C、米国特許第5,633,358号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする); Diana G.D. et al., Piperidine derivatives, pharmaceutical compositions thereof and their use in the treatment of hepatitis C, PCT WO 97/36554)。
【0177】
(10)ウイルスの5’非コーディング領域(NCR)における配列ストレッチと相補的なアンチセンスホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(S−ODN)(Alt M. et al., Hepatology, 1995, 22, 707-717)、またはNCRの3’末端を含むヌクレオチド326−348およびC型肝炎ウイルスRNAの核コーディング領域に位置するヌクレオチド371−388(Alt M. et al., Archives of Virology, 1997, 142, 589-599; Galderisi U. et al., Journal of Cellular Physiology, 199, 181, 251-257);例えばIsis Pharm/ElanのISIS 14803、Hybridonのアンチセンス、AVI bioPharmaのアンチセンス。
【0178】
(11)IRES依存性翻訳の阻害剤(Ikeda N et al., Agent for the prevention and treatment of hepatitis C, 日本公開特許公報JP-08268890; Kai Y et al. Prevention and treatment of viral diseases, 日本公開特許公報JP-10101591);例えばIsis Pharm/ElanのISIS 14803、AnadysのIRES阻害剤、ImmusolのIRES阻害剤、PTC Therapeuticsの標的RNA化学。
【0179】
(12)リボザイム、例えばヌクレアーゼ抵抗性リボザイム(Maccjak, D.J. et al., Hepatology 1999, 30, abstract 995)、ならびにBarber et al.の米国特許第6,043,077号およびDraper et al.の米国特許第5,869,253号および第5,610,054号(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)に記載のもの、例えばRPIのHEPTAZYME
【0180】
(13)C型肝炎ウイルスゲノムを指向するsiRNA。
(14)あらゆる他の機構のC型肝炎ウイルス複製阻害剤、例えばViroPharama/WyethのVP50406、Achillion, Arrowの阻害剤
(15)ウイルス侵入、集合および成熟を含むC型肝炎ウイルスライフサイクルにおける他の標的の阻害剤。
【0181】
(16)免疫調節剤、例えばIMPDH阻害剤、ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグ、ミコフェノール酸ナトリウムまたはミコフェノール酸モフェチル、またはメリメボジブ(VX−497);チモシンアルファ−1(SciCloneのザダキシン);またはS1P受容体アゴニスト、例えばFTY720もしくは所望によりリン酸化されたそのアナログ。
【0182】
(17)抗線維症剤、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、イマチニブ(Gleevac)、IndevusのIP−501、およびInterMuneのインターフェロンガンマ 1b。
【0183】
(18)Intercell、Epimmune/Genecor、Merix、Tripep(Chron−VacC)の治療ワクチン、Avantの免疫療法(Therapore)、CellExSysのT細胞療法、STLのモノクローナル抗体XTL−002、AnadysのANA246およびANA246。
【0184】
(19)他の多様な化合物、例えば1−アミノ−アルキルシクロヘキサン(Gold et al.の米国特許第6,034,134号)、アルキル脂質(Chojkier et al.の米国特許第5,922,757号)、ビタミンEおよび他の抗酸化剤(Chojkier et al.の米国特許第5,922,757号)、アマンタジン、胆汁酸(Ozeki et al.の米国特許第5,846,99964号)、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸(Diana et al.の米国特許第5,830,905号)、ベンゼンジカルボキサミド(Diana et al.の米国特許第5,633,388号)、ポリアデニル酸誘導体(Wang et al.の米国特許第5,496,546号)、2’3’−ジデオキシイノシン(Yarchoan et al.の米国特許第5,026,687号)、ベンゾイミダゾール(Colacino et al.の米国特許第5,891,874号)、植物抽出物(Tsai et al.の米国特許第5,837,257号、Omer et al.の米国特許第5,725,859号、および米国特許第6,056,961号)およびピペリジン(Diana et al.の米国特許第5,830,905号)(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)。また、スクアレン、テルビブジン、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸、ベンゼンジカルボキサミド、ポリアデニル酸誘導体、グリコシル化阻害剤、およびウイルス感染によって引き起こされる細胞傷害を阻止する非特異的細胞保護剤。
【0185】
(20)C型肝炎ウイルス処置のための現在前臨床または臨床開発中のあらゆる他の化合物、例えばInterleukin−10(Schering-Plough)、Endo Labs SolvayのAMANTADINE(Symmetrel)、Idun Pharmaのカスパーゼ阻害剤IDN−6556、ChironのHCV/MF59、NABIのCIVACIR(C型肝炎免疫グロブリン)、MaximのCEPLENE(ヒスタミンジクロライド)、Idun PHARMのIDN−6556、T67、Tularikのベータチューブリン阻害剤、InnogeneticsのE2を指向する治療ワクチン、Fujisawa HelathcareのFK788、IdB1016(Siliphos、経口シリビン−ホスファチジルコリンフィトソーム)、Trimerisの融合阻害剤、ImmtechのDication、Aethlon Medicalの血液浄化剤(hemopurifier)、United TherapeuticsのUT231B。
【0186】
(21)Anadysが開発しているTlR7のプリンヌクレオシドアナログアンタゴニスト(toll様受容体)、例えば欧州特許出願EP348446およびEP636372、国際公開公報WO03/045968、WO05/121162およびWO05/25583、ならびに米国特許6/973322(ここに引用することにより、各々を本明細書の一部とする)に記載のIsotorabine(ANA245)およびそのプロドラッグ(ANA975)。
【0187】
(21)Genelabsが開発しており、国際公開公報WO2004/108687、WO2005/12288、およびWO2006/076529(ここに引用することによりその各々を本明細書の一部とする)に記載の非ヌクレオシド阻害剤。
【0188】
(22)本発明の化合物との組合せで使用することができる他の共薬剤(例えば、非免疫調節または免疫調節化合物)には、WO 02/18369(参照により本明細書の一部とする)に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0189】
他の局面において、本発明は、本発明の化合物と他の抗ウイルス剤、好ましくは抗フラビウイルス剤、例えば抗デング熱ウイルス剤または抗C型肝炎ウイルス剤を投与することを含む方法を提供する。かかる抗ウイルス剤には、免疫調節剤、例えばα、β、およびδインターフェロン、ペグ誘導体化インターフェロン−a化合物、およびチモシン;他の抗ウイルス剤、例えばリバビリン、アマンタジンおよびテルビブジン;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);フラビウイルス(例えばデングウイルス、C型肝炎ウイルス)ライフサイクルの他の標的の阻害剤、例えばヘリカーゼ、ポリメラーゼおよびメタロプロテアーゼ阻害剤;内部リボソーム侵入の阻害剤;広スペクトルウイルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤(例えば、米国特許5,807,876、6,498,178、6,344,465、6,054,472、WO 97/40028、WO 98/40381、WO 00/56331の化合物、ならびにミコフェノール酸およびその誘導体、および例えばVX−497、VX−148、および/またはVX−944を含むがこれらに限定されない);または上記のいずれかの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0190】
本発明の組合せ剤の各成分を、個別に、一体として、またはそのいずれかの組合せで投与することができる。当業者に理解されるとおり、インターフェロンの投与量は典型的にはIUで測定される(例えば、約4,000,000IU〜約12,000,000IU)。
各成分を1個以上の投与形態で投与することができる。患者に任意の順序で各投与形態を投与することができる。
【0191】
例えばX、R1、R2、R3、R4、R5、R6および/またはR7について、本明細書に記載の何れかの下位群を、本明細書に記載の何れかの他の下位群と組み合わせてさらなる下位群を創成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0192】
下記一般方法を用いて、式(I)および(II)の化合物を製造することができる。具体的な本発明の化合物の製造は、下記具体的な実施例を参照することによって当業者に明らかである。何れかの具体的な方法が本明細書に具体的に開示されていなくとも、常套もしくは既知の方法、または既知の方法と同様に、実施することができる。
【0193】
一般方法1
一般方法1によって中間体化合物I−4を製造することができ、これを何れかの適切な塩基性基に結合させて本発明の化合物を得る。一般方法1は、二保護(4−ヒドロキシル置換基および5−ヒドロキシメチル置換基で)4−ヒドロキシル−5−ヒドロキシメチル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート、例えば(3R,4R,5R)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテートを出発物質として用いる。塩基性条件下で、例えばNaOMeまたは他の適切な塩基、例えばナトリウムアルコキシドまたは炭酸カリウムを用いてアセテート基を除去する。適切な酸化剤/条件、例えばSwern Oxidation、TEMPOまたはDess-Martinペルヨージナンを用いて酸化工程を実施して、フラン−3−オンを得ることができる。適切なGrignard試薬、例えばアルキニルマグネシウムハライド、例えばアルキニルマグネシウムブロマイド、例えばエチニルマグネシウムブロマイドを用いるか、または有機リチウム試薬、例えばアルキニルリチウム試薬、例えばエチニルリチウムで、アルキニレン基に変換することができる。化合物I−4を何れかの適切な塩基性基、例えばアデニンまたはグアニン誘導体と結合させることができる(ここで、X=N、CHまたはCR4、R1’=ハロゲン、NR5R6またはOR7、R2’=H、ハロゲンまたはNR5R6、そしてR3、R4、R5、R6およびR7は本明細書に定義のとおりである)。いくつかの例において、XはCHであってよい。他の例においてXはCR4であってよい。いくつかの例においてR4はハロゲン、例えばFまたはIであってよい。他の例においてR4はアルキニル、例えばエチニルであってよい。いくつかの例においてR1’はハロゲン、例えばClであってよい。他の例において、R1’はアミノまたはアルコキシ、例えばメトキシであってよい。いくつかの例においてR2’はHであってよい。塩基類/塩基アナログの他の例は、例えば4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、4−クロロ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル−イソインドール−1,3−ジオンおよび4−クロロ−5−アセチレン−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを含む。例えば適切なLewis酸、例えばBClを用いて保護基を除去して、所望のヌクレオシドアナログを得ることができる。
【0194】
【化7】

【0195】
一般方法1 工程1:(3R、4S、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール(I−2)
(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1(10g、19.1mmol)のMeOH(150ml)溶液に、30% NaOMeのMeOH(5.37ml、28.6mmol、1.5当量)を加え、室温で30分間該反応物を撹拌する。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル(180ml)に溶解させ、1N HCl溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ(無水NaSO)、濃縮して(3R、4S、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール I−2を黄色油状物として得る。得られた粗化合物をさらに精製することなく次の工程に使用する。
【0196】
一般方法1 工程2:(4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−ジヒドロフラン−3−オン(I−3)
塩化オキサリル(2.15ml、25.1mmol、1.3当量)のDCM(20ml)冷温溶液に、−78℃でDMSO(2.85ml、36.5mmol、1.9当量)のDCM(30ml)溶液を加え、−78℃で30分間撹拌する。(3R、4S、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール I−2(9.6g、18.8mmol、1当量)のDCM(50ml)溶液をゆっくりと加え、−78℃で約2時間撹拌する。その後、該反応混合物にトリエチルアミン(15.8ml、114mmol、6.0当量)を加え、ゆっくりと室温にして、1時間撹拌する。反応完了後、混合物を水(100ml)およびDCM(50ml)で希釈する。DCM層を分離し、1N HCl溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ(無水NaSO)、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30)で精製して、(4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−ジヒドロフラン−3−オン I−3を淡黄色油状物を得る。
【0197】
一般方法1 工程3:(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−3−エチニル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール(I−4)
0.5M エチニルマグネシウムブロマイド(R3=−H)のTHF(137.5ml、68.5mmol、5当量)冷温(0℃)溶液に、(4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−ジヒドロフラン−3−オン I−3(6.6g 13.7mmol、1当量)のTHF(15ml)溶液を加え、同じ温度で3時間撹拌する。冷温飽和NHCl(50ml)で反応混合物をクエンチし、酢酸エチル(2×60ml)で抽出する。有機層を1N HCl溶液および飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ(無水NaSO)、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製して、(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(3,5−ジクロロベンジルオキシ)−3−エチニル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール I−4を黄色泡状物として得る。
【0198】
一般方法1 工程4:(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロフラン−3−オール(I−5)
(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−3−エチニル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール I−4(500mg、1mmol、1当量)の乾燥DCM(5ml)溶液に33% HBr−AcOH(0.88ml、5mmol、5当量)溶液を加え、室温で1.5時間撹拌する。出発物質が消費された後、真空下(1mbar、35℃)で反応混合物を蒸発させて、ブロマイド中間体を濃厚油状物として得る。乾燥アセトニトリル(10ml)に溶解させる。別のフラスコで、4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジン(R’=Cl、R’=H、X=CH)(153.0mg、1mmol、1当量)とNaH(200mg、5mmol、5当量)のアセトニトリル(15ml)混合物を予め室温で0.5時間撹拌し、これに上記ブロマイド中間体溶液を加え、該反応混合物を室温で18時間撹拌する。溶媒を除去し、酢酸エチル(60ml)で希釈し、水、塩水で洗浄し、乾燥させ(無水NaSO)、濃縮して濃厚液体を得る。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20)で精製して、(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロフラン−3−オール I−5を淡黄色固体として得る。
【0199】
一般方法1 工程5:(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(I−6)
(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロフラン−3−オール I−5(150mg、0.24mmol、1当量)の乾燥DCM(20ml)冷温(−78℃)溶液に、1M BClのDCM(2.4ml、2.4mmol、10当量)溶液を滴下し、−78℃で約5時間撹拌する。MeOH(15ml)で0℃で反応混合物をクエンチし、30分間撹拌する。溶媒を蒸発させ、シリカゲル(4ml)で乾燥させ、シリカゲル上の粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM:メタノール=90:10)で精製して、(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール I−6を褐色泡状物として得る。
【0200】
一般方法1 工程6:(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(I)
耐圧ガラス試験管中の(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール I−6(96mg、0.31mmol、1当量)とNH.HO(R1=NH)(10mL 28−30%アンモニア水)混合物を、100℃で5時間加熱する。反応混合物を濃縮乾固し、30分間で水中アセトニトリルのグラジエント0%〜35%を用いる分取HPLCで精製する。純粋な分画を合併し、凍結乾燥させて(2R、3R、4R、5R)−2−(4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(X=CH、R1=NH、R2=H、R3=H) Iを淡黄色泡状物として得る。
【0201】
一般方法2:中間体二保護(4−ヒドロキシル置換基および5−ヒドロキシメチル置換基で)−(3R、4R、5R)−3−アルキニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−2,3,4−トリオール(II−1)
下記一般方法2a、2bまたは2cに従って、中間体化合物II−1を製造することができる。
【0202】
一般方法2aは二保護(4−ヒドロキシル置換基および5−ヒドロキシメチル置換基で)4−ヒドロキシル−5−ヒドロキシメチル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート、例えば(3R,4R,5R)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−2−メトキシ−テトラヒドロ−フラン−3−アセテートを出発物質として用いる。塩基性条件下で、例えばNaOMeまたは他の適切な塩基、例えばナトリウムアルコキシドまたは炭酸カリウムを用いてアセテート基を除去する。適切な酸化剤/条件、例えばSwern Oxidation、TEMPOまたはDess-Martinペルヨージナンを用いて酸化工程を実施して、フラン−3−オンを得ることができる。適切なGrignard試薬、例えばアルキニルマグネシウムハライド、例えばアルキニルマグネシウムブロマイド、例えばエチニルマグネシウムブロマイドを用いるか、または有機リチウム試薬、例えばアルキニルリチウム試薬、例えばエチニルリチウムで、アルキニレン基に変換することができる。
【0203】
一般方法2bは三保護(2−ヒドロキシル置換基、4−ヒドロキシル置換基および5−ヒドロキシメチル置換基で)テトラヒドロフラン−3−オール、例えば1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノースを出発物質として用いる。適切な酸化剤/条件、例えばTEMPO、Dess-MartinペルヨージナンまたはSwern Oxidationを用いて酸化工程を実施して、フラン−3−オンを得ることができる。一般方法2aに記載のとおりに、適切なGrignard試薬、例えばアルキニルマグネシウムハライド、例えばアルキニルマグネシウムブロマイド、例えばエチニルマグネシウムブロマイドを用いるか、または有機リチウム試薬、例えばアルキニルリチウム試薬、例えばエチニルリチウムで、アルキニレン基に変換することができる。塩基性条件下でKCO/MeOHを用いて、2−保護基の選択的除去を実施することができる。
【0204】
一般方法2cにおいて、商業的に入手可能なジアセトン−D−グルコースを出発物質として使用することができる。適切な酸化剤/条件、例えばTEMPO、Dess-MartinペルヨージナンまたはSwern Oxidationを用いて酸化工程を実施して、フラン−4−オンを得ることができる。一般方法2aおよび2bに記載のとおり、適切なGrignard試薬、例えばアルキニルマグネシウムハライド、例えばアルキニルマグネシウムブロマイド、例えばエチニルマグネシウムブロマイドを用いるか、または有機リチウム試薬、例えばアルキニルリチウム試薬、例えばエチニルリチウムで、アルキニレン基に変換することができる。何れかの適切な反応剤、例えば2,5−ジクロロ臭化ベンジル、2,4−ジクロロ臭化ベンジル、アリルハライドまたはシリルハライドを用いて、3−ヒドロキシル基を保護することができる。同様に、何れかの適切な反応剤、例えばベンゾイルハライド、トルオイルハライド等を用いて、4−ヒドロキシ置換基および5−ヒドロキシルメチル置換基上のヒドロキシル基を保護することができる。
【0205】
一般方法2a
【化8】

【0206】
一般方法2a 工程1:(3R、4S、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール
MeOH(150ml)中の(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート(10g、19.1mmol)に30% NaOMeのMeOH(5.37ml、28.6mmol)溶液を加え、20℃で30分間該反応物を撹拌する。反応混合物を濃縮し、IPAC(100ml)に溶解させ、1N HCl溶液(50mL)および水(50mL)で洗浄し、濃縮して(3R、4S、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オールを黄色油状物として得る。得られた粗化合物をさらに精製することなく次の工程に使用する。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.43 (d, J=8.1Hz, 1H), 7.35-7.31 (m, 3H), 7.23 (dd, J = 2.1, 4.0 Hz, 1H), 7.21-7.10 (dd, J=2.1, 4.0Hz, 1H), 4.92 (d, J = 4.6 Hz,1H), 4.77(d, J=13.4Hz, 1H), 4.68 (d, J=13.4Hz, 1H); 4.60 (d, J=13.0Hz, 1H), 4.56 (d, J=13.0Hz, 1H), 4.25 (q, J=4.0Hz, 1H), 4.19 (dd, J=6.8, 4.8 Hz, 1H),3.86 (dd,J=6.9,7.0 Hz, 1H), 3.60 (d, J=10.5Hz, 2H), 3.48 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3, 100MHz): δ 134.2, 134.1, 133.9, 133.5, 133.4, 129.9, 129.8,129.1, 129.08, 127.11, 127.08, 102.8, 81.6, 77.4, 72.0, 70.8, 70.0, 69.5, 55.6 (1個の炭素が重複); ESI-MS: C20H20Cl4O5の計算値 (M+NH4+, 480.0); 実測値: 498.0.
【0207】
一般方法2a 工程2:(4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−ジヒドロフラン−3−オン
(3R、4S、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール(9.20g、19.08mmol)の無水CHCl(70mL)とトリクロロイソシアヌル酸(4.88g、21mmol)溶液に、氷浴中、TEMPO(160mg、0.95mmol)を加える。反応混合物が黄色懸濁液に変化し、これを20℃で1時間撹拌する。HPLCで反応の完了を測定し、濾過する。溶媒を蒸発させ、トルエン(100ml)を加える。有機相を飽和NaHCO溶液(50ml)およびHCl水溶液(1N、50ml)で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して(4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−ジヒドロフラン−3−オンを明緑色油状物として得て、これを次の工程に直接使用する。
【0208】
一般方法2a 工程3:(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−3−エチニル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール(I−4)
(4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−ジヒドロフラン−3−オン(9.16g、19.07mmol)の乾燥THF(20ml)冷温(−20℃)溶液に、0.5M アルキニルマグネシウムブロマイド(例えばR3=Hであるとき、アルキニルマグネシウムブロマイドはエチニルマグネシウムブロマイドである)のTHF(57.2mL、28.6mmol)溶液を滴下する。同じ温度で1時間、黄色反応混合物を撹拌し、飽和NHCl(50ml)でクエンチし、IPAC(2×70ml)で抽出する。有機層を水(50mL)で洗浄し、濃縮して(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−3−エチニル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール(I−4)(R3=H)を暗赤色油状物として得て、これを次の工程に直接使用する。
【0209】
一般方法2a 工程4:(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−3−エチニル−テトラヒドロフラン−2,3−ジオール
(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−3−エチニル−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−オール(I−4)(9.65g、19.08mmol)のTFAと水(30mL:1.5mL)溶液を55℃に加熱する。赤色溶液が黒色溶液に変化し、これを同じ温度で24時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、DCM(70mL)で希釈する。有機層を飽和NaCO(50ml)、水(50ml)で洗浄し、濃縮して黒色油状物を得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:EA 2:1)で精製して、(3R、4R、5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)−3−エチニル−テトラヒドロフラン−2,3−ジオールを赤色油状物(2種のアノマーの混合物)を得る。(約NMR分析とHPLC分析によると1.4:1)。ESI-MS: C21H18Cl4O5の計算値(M+NH4+, 490.0); 実測値: 508.0。
【0210】
一般方法2b
【化9】

【0211】
一般方法2b 工程1:(2R、3R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−ジヒドロフラン−3−オン
ジクロロメタン(60ml)に1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノース(10.0g、21.62mmol、1.0当量)を溶解させ、氷で冷却する。トリクロロイソシアヌル酸(5.52g、23.80mmol、1.1当量)を加え、次いで触媒量のTEMPOを加える。氷浴を除去し、室温で1時間該混合物を撹拌し、次いでセライト(登録商標)で濾過する。有機相を飽和NaCO水溶液、1N HClおよび塩水で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を蒸発させて、(2R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−ジヒドロフラン−3−オンを白色泡状物として得る。1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ 8.13-8.01 (m, 6H), 7.65-7.37 (m, 9H), 6.20 (d, 1H, J = 1.2Hz), 5.88 (dd, 1H, J = 1.2Hz, 8.8Hz), 5.05 (m, 1H, J = 1.2Hz, 4Hz, 8.8Hz), 4.84 (dd, 1H, J = 4Hz, 12.4Hz), 4.65 (dd, 1H, J = 4Hz, 12.4Hz).
【0212】
一般方法2b 工程2:(2R、3R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−3−エチニル−テトラヒドロフラン−3−オール
下で乾燥三首フラスコにCeCl(23.6g、95.48mmol、4.4当量)とTHF(100ml)を加え、−50℃に冷却する。1M エチニルマグネシウムブロマイド(186.8ml、93.4mmol、4.3当量)を20分にわたって加える。−50℃で1.5時間該懸濁液を撹拌する。(2R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−ジヒドロフラン−3−オン(10.0g、21.7mmol、1.0当量)のTHF(80ml)溶液を10分にわたって加える。添加後、−50℃で4時間該懸濁液を撹拌する。飽和NHCl(200ml)で反応をクエンチする。周囲温度まで温めた後、反応混合物を濾過し、CHCl(200ml×3)で抽出する。有機相を無水NaSOで乾燥させ、濃縮して泡状の(2R、3R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−3−エチニル−テトラヒドロフラン−3−オールを得る。1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ 8.05-8.01 (m, 6H), 7.65-7.37 (m, 9H), 6.59 (s, 1H), 5.53 (d, 1H, J = 2.8Hz), 4.80-4.77 (m, 1H), 4.70 (dd, 1H, J = 5.2Hz, 12Hz), 4.65 (dd, 1H, J = 6Hz, 12Hz), 3.02 (bs, 1H), 2.65 (s, 1H).
【0213】
あるいは、反応温度が−30℃であり、反応時間が3時間であり、(2R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−ジヒドロフラン−3−オン (1.0g、2.17mmol、1.0当量)、1M エチニルマグネシウムブロマイド(13ml、6.51mmol、3当量)、CeCl(1.77g、7.16mmol、3.3当量)およびTHF(18ml)を用いる以外工程2に記載したものと同じ方法を用いて、(2R、3R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−3−エチニル−テトラヒドロフラン−3−オールを得る。
【0214】
一般方法2b 工程3:(2R、3R、4R、5R)−4−ベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−3−エチニル−テトラヒドロフラン−2,3−ジオール
メタノール(10ml)とTHF(10ml)に中間体(2R、3R、4R、5R)−2,4−ジベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−3−エチニル−テトラヒドロ−フラン−3−オール(2.048g、4.21mmol、1.0当量)を溶解させる。KCO(176mg、1.26mmol、0.3当量)を加え、周囲温度で2時間該反応物を撹拌し、シリカゲルで濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーで精製して、(2R、3R、4R、5R)−4−ベンゾイルオキシ−5−ベンゾイルオキシメチル−3−エチニル−テトラヒドロフラン−2,3−ジオールを泡状物として得る。1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ 8.06-7.96 (m, 4H), 7.54-7.26 (m, 6H), 5.88 (d, 0.26H, J = 6.4Hz), 5.54 (s, 0.72H), 5.53 (d, 0.72H, J = 5.2Hz), 5.41 (s, 0.28H), 5.28 (bs, 1H), 4.67-4.49 (m, 3H), 4.22 (bs, 1H), 2.67 (s, 0.26H), 2.59 (s, 0.71H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3): δ 166.74, 166.61, 165.74, 165.66, 133.79, 133.71, 133.52, 133.33, 133.24, 130.11, 130.05, 130.02, 129.89, 129.81, 129.44, 129.41, 128.86, 128.75, 128.57, 128.41, 128.36, 81.87, 80.07, 79.23, 77.89, 77.21, 76.61, 76.39, 75.77, 75.58, 72.83, 65.29, 64.26.
【0215】
一般方法2c
【化10】

【0216】
一般方法2c 工程1:1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−リボへキソフラン−3−ウロース
CHCl(40ml)にジアセトン−D−グルコース(2.0g、6.9mmol)を溶解させる。Dess-Martinペルヨージナン(7.5g、13.8mmol、2.0当量)を加え、室温で一夜該反応物を撹拌する。次いで10% Na溶液(20ml)と飽和NaHCO溶液(20ml)を加え、15分間、橙色層が透明溶液に変化するまで該反応物を撹拌する。さらに40ml CHClを加え、CHCl層を分離し、NaHCO溶液(20ml)、塩水(20ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して粗中間体1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−a−D−リボへキソフラン−3−ウロースを得る。粗中間体1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−a−D−リボへキソフラン−3−オースをトルエン(2×25ml)と共沸し、トルエン(20ml)に溶解させて、次の工程に使用する。
【0217】
一般方法2c 工程2:1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−C−エチニル−α−D−アロフラノース
トルエン(20ml)中の中間体1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−a−D−リボへキソフラン−3−ウロース(1.82g、6.9mmol、1当量)を0℃に冷却し、0.5M エチンMgBrのTHF溶液(55.2ml、27.6mmol、4当量)を加え、室温下で1時間該混合物を撹拌する。10% NHCl溶液(40ml)で反応をクエンチし、酢酸エチル(100ml)と水相間で粗生成物を分配する。さらに酢酸エチル(3×20ml)で水相を抽出し、合併した酢酸エチルを塩水(40ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮乾固させて粗中間体1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−C−エチニル−α−D−アロフラノースを黄色泡状物として得る。
【0218】
一般方法2c 工程3:3−C−エチニル−1,2:5,6−ビス−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−α−D−アロフラノース
DMF(15ml)に中間体1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−C−エチニル−α−D−アロフラノース(2.84g、10mmol)を溶解させ、氷下で冷却する。NaH(油中60%分散体として600mg、15mmol、1.5当量)を加え、2分間該反応物を撹拌し、2,5−ジクロロ臭化ベンジル(3.6g、15mmol、1.5当量)を加え、室温で3時間該混合物を撹拌する。酢酸エチル(120ml)を加え、1N HCl(3×25ml)、塩水(2×25ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮乾固させて粗中間体3−C−エチニル−1,2:5,6−ビス−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−α−D−アロフラノースを淡黄色油状物として得る。
【0219】
一般方法2c 工程4:3−C−エチニル−1,2−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−α−D−アロフラノース
アセトニトリル(50ml)に粗中間体3−C−エチニル−1,2:5,6−ビス−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−α−D−アロフラノース(5.91g、10mmol)を溶解させる。5体積% HSO溶液(12ml)を加え、室温で一夜該混合物を撹拌する。NaOAc溶液(0.1M、20ml)を加え、真空下で混合物を蒸発させる。残留溶液に酢酸エチル(120ml)を加える。酢酸エチル層を飽和NaHCO溶液(2×25ml)、塩水(2×25ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して粗中間体3−C−エチニル−1,2−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−α−D−アロフラノースを得る。
【0220】
一般方法2c 工程5:3−C−エチニル−1,2−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−5,6−ビス(4−メチルベンゾエート)−α−D−アロフラノース−ジベンゾエート
アセトニトリル(30ml)に粗中間体3−C−エチニル−1,2−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−α−D−アロフラノース(5.6g、10mmol)を溶解させる。ピリジン(7.9ml、100mmol、10当量)、次いでp−トルオイルクロライド(3.11ml、30mmol、3当量)を加える。55℃で3時間該反応物を撹拌し、真空下で濃縮する。酢酸エチル(120ml)を加え、1N HCl溶液(3×25ml)、塩水(2×25ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮乾固させて粗中間体3−C−エチニル−1,2−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−5,6−ビス(4−メチルベンゾエート)−α−D−アロフラノースを油状物として得る。
【0221】
一般方法2c 工程6:3−C−エチニル−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−5,6−ビス(4−メチルベンゾエート)−D−アロース
アセトニトリル(35ml)に粗中間体3−C−エチニル−1,2−O−(1−メチルエチリデン)−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−ビス(4−メチルベンゾエート)−α−D−アロフラノース(7.4g、10mmol)を溶解させ、7ml HOで希釈した50% HBFの水溶液(6.3ml、50mmol、5当量)を加える。60℃で3時間該反応混合物を撹拌する。反応混合物に酢酸エチル(200ml)を加え飽和NaHCO溶液(2×30ml)、1N HCl溶液(2×30ml)、塩水(2×30ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30)で精製して、3−C−エチニル−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−5,6−ビス(4−メチルベンゾエート)−D−アロースを白色泡状物として得る(4.41g、7.36mmol、4工程で73.6%)。1H-NMR (CDCl3): δ 7.92-7.80 (m, 4H), 7.38 (d, 0.79H, J = 2.4 Hz), 7.34 (d, 0.23H, J = 2.1 Hz), 7.30-7.09 (m, 6H), 5.84-5.60 (m, 1H), 5.51 (d, 0.76H, J = 3.9 Hz ), 5.40 (d, 0.22 H, J = 1.5 Hz), 4.94-4.50 (m, 5H), 4.29 (d, 1H, J = 4.2 Hz), 2.87 (s, 0.23H), 2.80 (s, 0.76H), 2.34 (s, 6H). 13C-NMR (CDCl3): δ 166.71, 166.59, 165.66, 165.63, 144.08, 143.88, 136.59, 136.41, 133.01, 132.98, 131.59, 131.25, 130.61, 130.48, 129.97, 129.91, 129.75, 129.45, 129.30, 129.26, 129.22, 127.16, 127.06, 102.76, 96.78, 81.53, 81.25, 80.91, 80.83, 80.67, 80.55, 80.21, 77.83, 77.74, 76.81, 76.70, 72.10, 71.24, 65.67, 65.61, 64.07, 63.84, 21.80, 21.78.
【0222】
一般方法2c 工程7:2−C−エチニル−2−O−(2,5−ジクロロベンジル)−3,5−ビス(4−メチルベンゾエート)−D−リボース
アセトニトリル(20ml)に中間体3−C−エチニル−3−O−(2,5−ジクロロベンジル)−5,6−ビス(4−メチルベンゾエート)−D−アロース(2.20g、3.67mmol)を溶解させ、0℃に冷却する。過ヨウ素酸(1.25g、5.50mmol、1.5当量)のHO(5.0ml)溶液を加え、30分間該反応物を撹拌する。イソプロピルアセテート(50ml)を加え、飽和NaHCO溶液(50ml)、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液(30ml)、塩水(30ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、乾燥させる。残留油状物にMeOH(20ml)を加え、0℃に冷却する。トリエチルアミン(1.09ml、7.84mmol、2.1当量)を加え、4℃で60時間該反応物を撹拌する。酢酸エチル(200ml)を加え、有機相を1N HCl溶液(2×40ml)、塩水(2×30ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)で精製して、表題化合物を黄色ペーストとして得る。1H-NMR (CDCl3): δ 7.99-7.84 (m, 4H), 7.51 (d, 0.53H, J = 2.4 Hz), 7.33 (d, 0.43H, J = 2.4 Hz), 7.28-7.10 (m, 6H), 5.94 (d, 0.53H, J = 5.7 Hz), 5.73 (d, 0.43H, J = 4.2 Hz), 5.57(s, 0.45H), 5.46 (s, 0.53H), 4.98-4.85 (m, 2H), 4.80-4.54 (m, 3H), 2.81 (s, 0.48H), 2.80 (s, 0.40H), 2.44-2.34 (m, 6H). 13C-NMR (CDCl3): δ 166.65, 166.47, 165.62, 165.44, 144.89, 144.73, 144.07, 144.05, 137.64, 136.75, 133.04, 130.82, 130.46, 130.24, 130.21, 130.10, 130.06, 129.60, 129.51, 129.29, 129.26, 129.06, 128.94, 128.60, 128.39, 127.14, 127.12, 126.31, 126.13, 100.36, 100.34, 81.54, 80.24, 80.07, 79.51, 78.64, 78.48, 76.89, 76.60, 76.45, 66.34, 65.38, 64.76, 64.25, 21.95, 21.88.
【0223】
一般方法2c 工程8:(3R、4R、5R)−4−(4−メチルベンゾイルオキシル)−5−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロ−フラン−2,3−ジオール
CHCl(30ml)に中間体2−C−エチニル−2−O−(2,5−ジクロロベンジル)−3,5−ビス(4−メチルベンゾエート)−D−リボース(1.113g、1.95mmol)を溶解させ、−35℃に冷却する(o−キシレンとドライアイス、アセトニトリルを加える)。1M BClのCHCl溶液(15.6ml、15.6mmol、8当量)を加え、−35℃で3時間該混合物を撹拌する。該反応物に冷メタノール(10ml)、次いでKHCO粉末(3.9g、39.0mmol、20当量)を加える。10分間撹拌後、混合物を濾過する。CHCl(30ml)と1N HCl溶液(20ml)を加え、2層を分離させる。さらにCHCl(20ml)で水層を抽出する。合併したCHCl溶液を塩水(15ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30)で精製して、(3R、4R、5R)−4−(4−メチルベンゾイルオキシル)−5−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロフラン−2,3−ジオールを白色泡状物として得る。出発物質を回収することができる。1H-NMR (CDCl3): δ 7.96-7.84 (m, 4H), 7.28-7.10 (m, 4H), 5.80-5.30 (m, 2H), 4.70-4.45 (m, 3H), 2.67 (s, 0.16H), 2.59 (s, 0.63H), 2.44-2.34 (m, 6H). 13C-NMR (CDCl3): δ 166.80, 166.61, 165.79, 165.67, 144.93, 144.78, 144.10, 144.07, 130.20, 130.08, 130.02, 129.50, 129.47, 129.26, 129.22, 127.02, 126.27, 101.73, 100.18, 81.85, 80.07, 79.57, 78.47, 76.75, 76.50, 76.13, 75.63, 73.07, 65.10, 64.16, 21.91, 21.84.
【0224】
一般方法3:中間体二保護(4−ヒドロキシル置換基および5−ヒドロキシメチル置換基で):(3R、4R、5R)−3−アルキニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−2,3,4−トリオール(II−1)からの本発明の化合物の製造
何れかの適切なスルホニルブロマイド、例えばMs−ClもしくはTs−Cl、またはスルホン酸無水物、例えばMs−O−MsもしくはTs−O−Tsを用いて、化合物II−1をエポキシドに変換することができる。該エポキシドを適切な塩基または塩基アナログと結合させて、ヌクレオシドアナログを得る。一般方法3には塩基アナログ4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンが記載されているが、例えば何れかの適切な塩基性基、例えばアデニンまたはグアニンアナログを用いることができることが理解される(X=N、CHまたはCR4、R1’=ハロゲン、NR5R6またはOR7、R2’=H、ハロゲンまたはNR5R6、そしてR3、R4、R5、R6およびR7は本明細書に定義のとおりである)。いくつかの例において、XはCHであってよい。他の例においてXはCR4であってよい。いくつかの例においてR4はハロゲン、例えばFまたはIであってよい。他の例においてR4はアルキニル、例えばエチニルであってよい。いくつかの例においてR1’はハロゲン、例えばClであってよい。他の例において、R1’はアミノまたはアルコキシ、例えばメトキシであってよい。いくつかの例においてR2’はHであってよい。塩基/塩基アナログの他の例は、例えば4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、4−クロロ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル−イソインドール−1,3−ジオンおよび4−クロロ−5−アセチレン−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを含む。何れかの適切な反応剤、例えば適切な塩基、例えばNaHを用いてカップリング工程を実施することができる。保護基R8’は何れかの好適な保護基、例えば2,4−ジクロロベンジル、または2,5−ジクロロベンジル、トルオイル、ベンゾイルまたはベンジルであってよい。これらは適切な反応剤によって、例えばBClまたは適切な塩基、例えばナトリウムメトキシドを用いて除去することができる。
【0225】
【化11】

【0226】
一般方法3 工程1:1,2−アンヒドロ−2−C−エチニル−3,5−ビス(4−メチルベンゾイル)−α−D−リボフラノース
CHCl(4ml)に中間体(3R、4R、5R)−4−(4−メチルベンゾイルオキシル)−5−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロ−フラン−2,3−ジオール(II−1)(304mg、0.74mmol)を溶解させる。トリエチルアミン(308.4μL、2.22mmol、3当量)を加え、混合物を30℃に加熱する。10分にわたってメタンスルホニル無水物(167.6mg、0.96mmol、1.3当量)のCHCl(1ml)溶液を滴下する。40℃で2.5時間該反応物を撹拌し、CHCl(50ml)を加える。CHCl溶液をHO(2×5ml)、塩水(10ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮乾固させて、粗中間体1,2−アンヒドロ−2−C−エチニル−3,5−ビス(4−メチルベンゾイル)−α−D−リボフラノースを得る。
【0227】
一般方法3 工程2:(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−4−(4−メチルベンゾイルオキシ)−5−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロフラン−3−オール
乾燥フラスコ中の4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(227.3mg、1.48mmol、2当量)に、NaH(油中60%分散体として59.2mg、1.48mmol、2当量)とアセトニトリル(4ml)を加え、10分間撹拌する。アセトニトリル(2ml)に溶解させた粗中間体1,2−アンヒドロ−2−C−エチニル−3,5−ビス(4−メチルベンゾイル)−α−D−リボフラノース(383mg、0.74mmol、1当量)を加え、50℃で15時間該反応物を加熱する。1N HCl溶液を加えて該混合物をpH7.0に中和し、真空下で蒸発させる。残留溶液に酢酸エチル(50ml)を加え、1N HCl溶液(8ml)、HO(8ml)、塩水(10ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮乾固させて、粗中間体(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−4−(4−メチルベンゾイルオキシ)−5−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロ−フラン−3−オール(434mg)を得る。
【0228】
一般方法3 工程3:(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
MeOH(5ml)およびCHCl(5ml)に粗中間体(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−4−(4−メチルベンゾイルオキシ)−5−(4−メチルベンゾイルオキシメチル)−3−エチニル−テトラヒドロ−フラン−3−オール(434mg、0.74mmol)を溶解させる。30% ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(1.38ml、7.4mmol、10当量)を加え、室温で15分間該混合物を撹拌する。1N HCl溶液を加えて該混合物をpH7.0に中和し、真空下で蒸発乾固させ、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=92:8)で精製して、(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールを得る。1H-NMR (CDCl3): δ 8.58 (s, 1H), 8.00 (d, 1H, J = 3.9 Hz), 6.68 (d, 1H, J = 3.9 Hz), 6.49 (s, 1H), 4.51(d, 1H, J = 9.0 Hz), 4.20-3.75 (m, 3H), 2.51 (s, 1H). ESI-MS: C13H12ClN3O4の計算値 (309.05); 実測値: 310.3.
【0229】
一般方法3 工程4:(2R、3R、4R、5R)−2−(4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
耐圧ガラス試験管中の(2R、3R、4R、5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(198.0mg、0.64mmol)とNH.HO(30ml)の混合物を100℃で5時間加熱する。反応混合物を濃縮乾固させ、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=80:20)で精製して、(2R、3R、4R、5R)−2−(4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールを淡黄色固体として得る。1H NMR (300MHz, MeOD): δ 8.07 (1H, s), 7.48 (1H, d, J = 3.9 Hz), 6.58 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.29 (1H, s), 4.49 (1H, d, J = 8.4 Hz), 4.08-3.96 (2H, m), 3.90-3.75 (1H, m), 2.52 (1H, s). 1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.05 (1H, s), 7.41 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.97 (2H, s), 6.55 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.23 (1H, s), 6.16 (1H, s), 5.61 (1H, d, J = 7.5 Hz), 5.13 (1H, t, J = 4.9 Hz), 4.33 (1H, t, J = 7.8 Hz), 3.90-3.70 (2H, m), 3.78-3.68 (1H, m), 3.01 (1H, s). 13C NMR (75MHz, DMSO-d6): δ 157.4, 151.6, 150.1, 121.6, 102.4, 99.6, 89.6, 82.1, 81.8, 76.5, 75.8, 74.0, 59.7. ESI-MS: C13H14N4O4の計算値 (290.1); 実測値: 291.2.
【実施例1】
【0230】
実施例
本発明を下記実施例によって説明する。本発明がこれらの実施例に限定されないことは、理解されるべきである。
【0231】
略語
DMSO ジメチルスルホキシド
THF テトラヒドロフラン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
NMR 核磁気共鳴
TEA トリエチルアミン
MS マススペクトル
DMF ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
PBS リン酸緩衝化食塩水
FBS 胎児ウシ血清
HRP ホースラディッシュペルオキシダーゼ
TMB 3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン
DMEM ダルベッコ修飾イーグル培地
【0232】
I.本発明の化合物の製造
実施例1
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
【化12】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法1に準じて表題化合物を製造する。
あるいは、該化合物を一般方法2a、2bまたは2cおよび一般方法3に準じて製造する。
黄色固体1H NMR (300MHz, MeOD): δ 8.07 (1H, s), 7.48 (1H, d, J = 3.9 Hz), 6.58 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.29 (1H, s), 4.49 (1H, d, J = 8.4 Hz), 4.08-3.96 (2H, m), 3.90-3.75 (1H, m), 2.52 (1H, s). 1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.05 (1H, s), 7.41 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.97 (2H, s), 6.55 (1H, d, J = 3.6 Hz), 6.23 (1H, s), 6.16 (1H, s), 5.61 (1H, d, J = 7.5 Hz), 5.13 (1H, t, J = 4.9 Hz), 4.33 (1H, t, J = 7.8 Hz), 3.90-3.70 (2H, m), 3.78-3.68 (1H, m), 3.01 (1H, s). 13C NMR (75MHz, DMSO-d6): δ 157.4, 151.6, 150.1, 121.6, 102.4, 99.6, 89.6, 82.1, 81.8, 76.5, 75.8, 74.0, 59.7. ESI-MS: C13H14N4O4の計算値 (290.1); 実測値: 291.2(M+1).
[α]: +160.0°(ATAGO AP-100偏光計;メタノール溶媒;100mm観察管;23.4℃;波長589nm)。
【0233】
実施例2
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
【化13】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法1に準じて表題化合物を製造する。
あるいは、該化合物を一般方法2a、2bまたは2cおよび一般方法3に準じて製造する。
白色固体。1H-NMR (300MHz, MeOH-d4): δ 8.59 (1H, s), 8.01 (1H, d, J = 4.2 Hz), 6.69 (1H, d, J = 3.9 Hz), 6.49 (1H, s), 4.50 (1H, d, J = 9.3 Hz), 4.06-3.99 (2H, m), 3.87-3.82 (1H, m), 2.52 (1H, s). ESI-MS: C13H12ClN3O4の計算値 (309.2); 実測値: 310.6 (M+1).
【0234】
実施例3
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−クロロ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
【化14】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法2aまたは2bおよび一般方法3に準じて表題化合物を製造する。
1H NMR (300MHz, MeOD): δ 8.60 (1H, s), 7.92 (1H, d, J = 2.1 Hz), 6.54 (1H, d, J = 2.1 Hz), 4.46 (1H, d, J = 8.7 Hz), 4.05-3.95 (2H, m), 3.90-3.80 (1H, m), 2.56 (1H, s). ESI-MS: C13H11ClFN3O4の計算値 (327.0); 実測値: 328.2.
【0235】
実施例4
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
【化15】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法2aまたは2cおよび一般方法3に準じて表題化合物を製造する。
1H NMR (300MHz, MeOD): δ 8.08 (1H, s), 7.39 (1H, d, J = 2.1 Hz), 6.34 (1H, d, J = 2.1 Hz), 4.44 (1H, d, J = 9.0 Hz), 4.05-3.95 (2H, m), 3.85-3.75 (1H, m), 2.58 (1H, s). ESI-MS: C13H13FN4O4の計算値 (308.1); 実測値: 309.2.
【0236】
実施例5
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
【化16】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法1に準じて表題化合物を製造する。
あるいは、該化合物を一般方法2aおよび一般方法3に準じて製造する。
白色固体。 1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.69 (1H, s), 8.36 (1H, s), 6.39 (1H, s), 6.33 (1H, s), 5.70 (1H, d, J = 7.60 Hz), 5.33 (1H, t, J = 4.85 Hz), 4.34 (dd, J = 8.94, 7.47 Hz, 1H), 3.92-3.81 (2H, m), 3.71-3.64 (1H, m), 3.04 (1H, s).
ESI-MS: C13H11ClIN3O4の計算値 (435.6); 実測値: 436.1.2(M+1).
13C NMR (75MHz, DMSO-d6): δ 151.67, 151.32, 144.28, 133.96, 117.00, 90.85, 83.06, 82.08, 77.46, 76.61, 73.85, 59.54, 53.76.
【0237】
実施例6
(2R,3R,4R,5R)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−2−(5−ヨード−4−メトキシ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
【化17】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法1に準じて、次いでメタノールで処理してクロロ化合物をメトキシ化合物に変換して、表題化合物を製造する。
あるいは、該化合物を一般方法2aおよび一般方法3に準じて製造する。
白色固体。1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.44 (1H, s), 7.97 (1H, s), 6.28 (2H, s), 5.66 (1H, d, J = 7.34 Hz), 5.24 (1H, t, J = 4.73 Hz), 4.33 (t, J = 7.76, Hz, 1H), 4.05 (3H, s), 3.88-3.79 (2H, m), 3.67-3.62 (1H, m), 3.03 (1H, s). ESI-MS: C14H14IN3O5の計算値 (431.2); 実測値: 432.1.2(M+1).
13C NMR (75MHz, DMSO-d6): δ 162.82, 152.19, 144.62, 144.54, 144.41,129.81,107.02, 82.79, 82.26, 76.58, 73.98, 59.68, 54.37, 51.69.
【0238】
実施例7
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール
【化18】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法1に準じて表題化合物を製造する。
あるいは、該化合物を一般方法2aおよび一般方法3に準じて製造する。
白色固体。1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.10 (1H, s), 7.75 (1H, s), 6.62 (2H, bs), 6.20 (2H, d, J = 2.38 Hz), 5.60 (1H, d, J = 7.38 Hz), 5.18 (1H, t, J = 5.18 Hz), 4.31 (dd, J = 8.64, 7.47 Hz, 1H), 3.84-3.76 (2H, m), 3.65-3.64 (1H, m), 3.07 (1H, s). ESI-MS: C13H13IN4O4の計算値 (416.2); 実測値: 417.2 (M+1).
13C NMR (75MHz, DMSO-d6): δ 157.80, 150.71, 144.96, 127.45, 103.48, 90.16, 82.63, 82.49, 77.31, 76.50, 74.18, 59.85, 52.29.
【0239】
実施例8
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−エチニル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール
【化19】

商業的に入手可能な(3R,4R,5R)−5−(2,4−ジクロロベンジルオキシメチル)−4−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)−2−メトキシ−テトラヒドロフラン−3−アセテート I−1と4−クロロ−5−アセチレン−ピロロ[2,3−d]ピリミジンまたは4−クロロ−5−トリメチルシリルエチニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンから、一般方法2aおよび一般方法3に準じて表題化合物を製造する。
【0240】
あるいは、(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(実施例7)から表題化合物および実施例9と10の化合物を製造する。25ml容積丸底フラスコを乾燥させ、予め冷却し、これに(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(0.060g、0.144mmol)、ヨウ化銅(I)(0.006g、0.028mmol)、無水THF(1.0ml)と無水DMF(0.5ml)に溶解させたテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.016g、0.014mmol)、トリエチルアミン(0.04ml、0.288mmol)、トリメチルシリルアセチレン(0.024ml、0.173mmol)を加える。0℃〜室温でアルゴン下、30分間該反応混合物を撹拌する。溶媒を真空下で除去し、得られた残渣をメタノール(0.60ml)と30%アンモニア溶液(0.60ml)に溶解させる。室温で1時間、得られた反応混合物を撹拌する。溶媒を真空下で除去する。Atlantis C18カラム(250×20mm)で水中アセトニトリル5〜95%のグラジエントでの逆相分取HPLCによって得られた粗残渣を精製する。所望の生成物を含む分画を単離し、蒸発させ、水を凍結乾燥させて、(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−エチニル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(実施例8)、(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−エチニル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−ブタ−1,3−ジニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(実施例9)、および(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−ブタ−1,3−ジニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(実施例10)を白色固体として得る。
白色固体。1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.14 (1H, s), 7.88 (1H, s), 6.62 (1H, bs), 6.26-6.20 (2H, m), 5.70 (1H, bs), 5.25 (1H, bs), 4.33 (d, J = 8.79 Hz, 1H), 4.26 (1H, s), 3.85-3.62 (4H, m), 3.06 (1H, s).
ESI-MS: C15H14IN4O4の計算値 (314.3); 実測値: 315.3 (M+1).
【0241】
実施例9
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−エチニル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−ブタ−1,3−ジニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール
【化20】

実施例8について上記のとおり、表題化合物を製造する。
白色固体。1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.15 (1H, s), 7.92 (1H, s), 6.60 (2H, bs), 6.21 (1H, s), 5.80 (1H, bs), 5.25 (1H, bs), 4.36 (d, J = 9.08 Hz, 1H), 4.28 (1H, s), 3.88-3.78 (2H, m), 3.67-3.62 (2H, m), 3.54 (1H, s).
ESI-MS: C17H14N4O4の計算値 (338.3); 実測値: 339.3 (M+1).
【0242】
実施例10
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−ブタ−1,3−ジニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール
【化21】

実施例8について上記のとおり、表題化合物を製造する。
白色固体。ESI-MS: C15H13IN4O4の計算値(440.2); 実測値: 441.2 (M+1).
【0243】
実施例11:塩基性基の合成
4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンは商業的に入手可能である。X Wang, P P Seth, R Ranken, E E Swayze and M T Migawa, Nucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids, 23:1, 161-170に記載のとおりに、4−クロロ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを合成することができる。M M Bio, F Xu, M Waters, J M Willimas, K A Savery, C J Cowden, C Yang, E Buck, Z J Song, D M Tschaen, R P Volante, R A Reamer, E J J Grabowski, J. Org. Chem. 2004, 69, 6257-6266に記載のとおりに、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル−イソインドール−1,3−ジオンを合成することができる。4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンから下記のとおりに、4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジンおよび4−クロロ−5−アセチレン−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを合成することができる。一般方法3に記載のとおりに塩基性7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル−イソインドール−1,3−ジオンを糖と結合させ、カップリング工程の後に、塩基性条件下、例えばメタノール中1−ブチルアミンを用いて保護基を除去することができる(例えば65℃で12時間加熱する)。そうして対応する4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イルヌクレオシドを得ることができる。
【0244】
【化22】

【0245】
実施例11.1:アルミフォイルで光から保護した250ml容積丸底フラスコに、無水DMFに溶解させた4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン1(2.15g、14.0mmol)とN−ヨードスクシンイミド(3.37g、14.98mmol)を加える。溶媒を真空下で除去し、残渣を塩化メチレン(250ml)に溶解させる。反応混合物を塩水(50ml)で洗浄し、有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮する。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中60% EtOAcで溶出)で粗残渣を精製する。所望の生成物を含む分画(TLC)を貯蔵し、蒸発させて、4−クロロ−5−ヨード−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを準黄色固体として得る。
ESI-MS: C6H3ClIN3の計算値(279.4); 実測値: 280.07 (M+1).
【0246】
実施例11.2:アルミフォイルで光から保護した250ml丸底フラスコに、4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1.3g、4.6mmol)、ヨウ化銅(I)(0.17g、0.93mmol)、トリメチルシリルアセチレン(0.96ml、6.97mmol)、および無水THF(60ml)と無水DMF(20ml)に溶解させたテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.26g、0.23mmol)およびトリエチルアミン(0.64ml、4.65mmol)を加える。室温で窒素下、16時間該反応混合物を撹拌する。溶媒を真空下で除去し、残渣を塩化メチレン(250ml)に溶解させる。反応混合物を水(3×50ml)で洗浄し、合併した有機層をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮する。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中70%EtOAcで溶出)で粗残渣を精製する。所望の生成物を含む分画(TLC)を貯蔵し、蒸発させて、4−クロロ−5−トリメチルシリルエチニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを白褐色固体として得る。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 12.92 (1H, s), 8.62 (1H, s), 8.06 (1H, s), 0.23 (9H, s).
ESI-MS: C11H12ClN3Siの計算値 (249.7); 実測値: 250.2 (M+1).
カップリング反応条件下でトリメチルシリル基を切断する一般工程3に示すカップリング工程において、4−クロロ−5−トリメチルシリルエチニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを直接用いるか、または例えばアンモニア、NaOHまたはKOHを用いた脱シリル化によって4−クロロ−5−アセチレン−ピロロ[2,3−d]ピリミジンに変換することができる。
【0247】
II.本発明の化合物の抗ウイルス活性
本発明の化合物は、多様なフラビウイルス科のメンバーに対して活性である。本発明の化合物の活性を標準的なインビトロおよびインビボ試験によって示すことができる。
50%有効濃度(EC50)は、ウイルスによるシグナルを50%減少させる試験化合物の濃度である。可変勾配シグモイド用量応答曲線を使用した非線形回帰分析を用いて、市販のソフトウェア、例えばPrismまたはActivityBaseによって計算する。
【0248】
実施例12
細胞利用フラビウイルス免疫検出(CFI)アッセイ
BHK21またはA549細胞をトリプシン処理し、計測し、2%胎児ウシ血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったHams F-12 培地(A549細胞について)またはRPMI-1640培地(BHK21細胞について)で2×10細胞/mlに希釈する。96ウェル組織培養プレートの各ウェルに2×10細胞を分注し、37℃、5%COで一夜静置する。翌日、多様な濃度の試験化合物の存在下、37℃、5%COで、同じ培地中、感染多重度(MOI)0.3で細胞をウイルスに感染させる。ウイルスと化合物を含む培地を除去し、試験化合物のみを含む新鮮な培地に置換して、37℃、5%COでさらに48時間インキュベートする。細胞をPBSで1回洗浄し、冷メタノールで10分間固定する。PBSで2回洗浄した後、1% FBSと0.05% ツイーン20を含むPBSで1時間、室温で固定した細胞をブロックする。1% FBSと0.05% ツイーン20を含むPBS中1:20〜1:100の濃度で3時間、1次抗体溶液(4G2)を加える。細胞をPBSで3回洗浄し、次いでホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合抗マウスIgG(Sigma、1:2000希釈)と1時間インキュベートする。PBSで3回洗浄した後、各ウェルに2分間、50μl 3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液(Sigma)を加える。0.5M 硫酸を加えて反応を停止させる。ウイルス負荷定量のために吸光度450nmでプレートを読み込む。測定後、細胞をPBSで3回洗浄し、次いでヨウ化プロピジウムで5分間インキュベーションする。細胞数定量のためにTecan Safireプレートリーダー(励起537nm、放出617nm)でプレートを読み込む。平均吸光度対試験化合物濃度の対数で用量応答曲線をプロットする。非線形回帰分析によってEC50を計算する。ポジティブコントロール、例えばN−ノニル−デオキシノジリマイシンを用いることができる。
【0249】
実施例13
細胞利用フラビウイルス細胞変性効果(CPE)アッセイ
西ナイルウイルスまたは日本脳炎ウイルスについて試験するため、BHK21細胞をトリプシン処理し、2%胎児ウシ血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったRPMI-1640培地で4×10細胞/mlに希釈する。デングウイルスについて試験するため、Huh7細胞をトリプシン処理し、5%胎児ウシ血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったDMEM培地で4×10細胞/mlに希釈する。96ウェルオプティカルボトムPITポリマーベースプレート(Nunc)の各ウェルに50μl細胞懸濁液(2×10細胞)を分注する。培養培地中37℃、5% COで一夜細胞を増殖させ、多様な濃度の試験化合物の存在下、西ナイルウイルス(例えばB956株)または日本脳炎ウイルス(例えばNakayama株)にMOI=0.3で、またはデングウイルス(例えばDEN−2 NGC株)にMOI=1で、感染させる。37℃、5% COで72時間、ウイルスと化合物を含むプレートをさらにインキュベートする。インキュベーション終了時に、100μl CellTiter-Glo(登録商標)を各ウェルに加える。オービタルシェーカーで2分間成分を混合して、細胞溶解を誘導する。室温で10分間プレートをインキュベートして、蛍光シグナルを安定化する。プレートリーダーを使用して蛍光読み取りを記録する。ポジティブコントロール、例えばN−ノニル−デオキシノジリマイシンを用いることができる。
【0250】
実施例14
細胞利用C型肝炎ウイルス(HCV)レプリコンアッセイ
2mM L−グルタミン酸塩、0.1mM 非必須アミノ酸溶液、10% 熱不活性化胎児ウシ血清および250mg/ml Geneticin(登録商標)、G418硫酸塩溶液を含むDMEM培地中で、HVCレプリコン含有細胞であるHuh−luc/neo−ETを維持する。細胞を20〜80%コンフルエンシーに維持し、トリプシン(0.05%)/EDTA溶液でトリプシン処理する。トリプシン処理後、フェノールレッドを含まないDMEM培地(2mM L−グルタミン、0.1mM 非必須アミノ酸溶液、10% 熱不活性化胎児ウシ血清および1mM ピルビン酸ナトリウムを補った、フェノールレッドを含まないDMEM)に細胞を再懸濁し、420gで5分間遠心分離してペレット化する。細胞密度を計算し、フェノールレッドを含まない培地で1×10細胞/mLに希釈する。
ルシフェラーゼリーディングのための白色不透明96ウェルプレートと、細胞毒性測定のための96ウェル透明プレートの2セットのプレートを作成する。10,000細胞/ウェルで各ウェルに播種し、37℃、5% COで一夜インキュベートする。インキュベーション後、培地を吸引し、多様な濃度の化合物を補ったフェノールレッドを含まない培地を加え、37℃、5% COでさらに48時間、プレートをさらにインキュベートする。ポジティブコントロール、例えばNM107(2’−C−メチルシチジン)を用いることができる。
【0251】
ルシフェラーゼ活性を測定するために、インキュベーターからプレートを取り出し、室温に30分間平衡化させて、製造業者の指示に従って製造したBritelite(登録商標)(PerKin Elmer)100μlを加えた後、ルシフェラーゼ活性を測定する。
【0252】
III.デング熱ウイルス感染マウスモデルにおける本発明の化合物の抗ウイルス活性
実施例15
本発明の化合物はまた、デング熱ウイルス感染のマウスモデルにおいて、インビボで活性を示す(Schul et al. Journal of Infections Disease 2007; 195:665-74)。簡単に言うと、AG129マウス(B&K Universal Ltd, Hull, UK)を個別に通気ケージ(TechniPlast, Italy)で飼育し、6〜10週齢で使用する。マウスに0.4ml TSV01デングウイルス2懸濁液を腹腔内注射する。イソフルラン麻酔下で眼窩後部の穿刺によって血液サンプルを採取する。最終濃度0.4%のクエン酸ナトリウムを含む試験管に血液サンプルを集めて、速やかに3分間、6000gで遠心分離して、血漿を得る。780μl RPMI1640培地に20μl血漿を希釈し、血小板アッセイ分析のために液体窒素でスナップ凍結する。サイトカインおよびNS1プロテインレベル測定のために残留血漿を用いる。マウスはデングウイルス血症を発症し、数日にわたって上昇し、感染後3日目にピークになる。
【0253】
抗ウイルス活性を試験するため、本発明の化合物をビークル液、例えば10% エタノール、30% PEG 300および60% D5W(水中5%デキストロース);または6N HCl(1.5当量):1N NaOH(pH3.5に調節):100mM クエン酸バッファー pH3.5(0.9% v/v:2.5% v/v:96.6% v/v)に溶解させる。36匹の6−10週齢 AG129マウスを各6匹のマウスの6群に分ける。全マウスを上記のとおりデング熱ウイルスに感染させる(0日)。グループ1は0.2mg/kgの本発明の化合物を含む200ml/マウスの経口胃管栄養法によって1日2回(1回目は朝、2回目は午後)、0日目から連続して3日間(最初の投与はデング熱ウイルス感染の直前)投与する。グループ2、3および4は同じ方法で本発明の化合物1mg/kg、5mg/kgおよび25mg/kgをそれぞれ投与する。ポジティブコントロール、例えば抗ウイルス化合物または(2R,3R,4R,5R)−2−(2−アミノ−6−ヒドロキシ−プリン−9−イル)−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオールを使用することができ、上記グループと同じ方法で200μl/マウスの経口胃管栄養法によって投与する。さらなるグループは、ビークル液のみで処置する。
【0254】
感染後3日目に、イソフルラン麻酔下、逆軌道穿刺によって約100μlの血液サンプルを採取し、クエン酸ナトリウムで抗凝固処理する。血小板アッセイ分析のために、各血液サンプルを遠心分離し、液体窒素でスナップ凍結して血漿を得る。Schul et al. Journal of Infectious Disease 2007; 195:665-74に記載の血小板アッセイによって、回収した血漿サンプルを分析する。Schul et al. Journal of Infectious Disease 2007; 195:665-74に記載のとおりにサイトカインも分析する。Platelia(登録商標)キット(BioRad Laboratories)を用いてNS1タンパク質レベルを分析する。サイトカインレベルおよび/またはNS1タンパク質レベルの低下によって、抗ウイルス効果が示される。
【0255】
本発明の化合物は、1日2回5〜50mg/kg投与で用量応答阻害を示し、コントロール群と比較して約5〜100倍、例えば約10〜60倍、例えば約20〜30倍のウイルス血症の低下が得られる。例えば、実施例1の化合物は、1日2回25mg/kg投与で用量応答阻害を示し、約20倍のウイルス血症の低下が得られる。
【0256】
IV.デング熱臨床試験のための臨床試験プロトコル
例えば次のようにして臨床試験を実施することができる。フェーズI試験は、安全性、耐用性および薬物動態、そして単回および複数回経口用量を評価するための、64人の健常成人でのランダム化、プラセボ対照用量漸増試験である。デング熱ウイルス血症が典型的には5〜7日間続くため、7日間投与を実施する。1つの健常人群で血症薬剤レベルに対する食事の影響を評価する。
【0257】
フェーズIIa試験は、急性デング熱を有する成人患者における本発明の化合物の抗ウイルス活性を評価するための、ランダム化、プラセボ対照用量漸増試験である。合計約60患者を3群に分ける。抗ウイルスまたは臨床効果を観察する最大の機会を得るため、疾患発症の48時間以内に適格な入院患者を薬剤またはプラセボにランダム化する。1日1回、または薬剤の薬物動態特性によって示されるとおり、3日まで、投薬を実施する。解熱後72時間まで、臨床マーカー、血液学的マーカー、生化学的マーカー、ウイルス学的マーカーを1日4回測定する。1次的な研究上の終了時点は、ウイルス血症の回復時である。1次的な臨床上の終了時点は、熱の消散時である。ウイルス血症の回復に要する時間の顕著な短縮が成功の証明である。2次的な測定は、NS1抗原血症の回復に要した時間、血小板減少症の回復に要した時間、および静脈内補液の要求を含み得る。
【0258】
本明細書に記載した実施例および態様は説明のみを目的としており、その認識内での多様な修正または変更が当業者によって示唆され、そして本明細書および本明細書に添付した特許請求の範囲の精神および範囲に含まれることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中:
XはCHまたはCR4であり;
R1はハロゲン、NR5R6またはOR7であり;
R2はH、ハロゲンまたはNR5R6であり;
R3はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R4はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキサミドまたはアルキルオキシカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R5およびR6は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールカルボニルおよびアルキルカルボニルから成る群から選択され、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
R7はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニルまたはアリールカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよい〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
式(II)
【化2】

〔式中:
XはCHまたはCR4であり;
R1はハロゲン、NR5R6またはOR7であり;
R2はH、ハロゲンまたはNR5R6であり;
R3はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R4はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキサミドまたはアルキルオキシカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R5およびR6は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールカルボニルおよびアルキルカルボニルから成る群から選択され、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
R7はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニルまたはアリールカルボニルであり、これらは各々所望により、1個以上の置換基で置換されていてもよい〕
の化合物である、請求項1の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
下記
【化3】

から成る群から選択される化合物。
【請求項4】
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール。
【請求項5】
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−エチニル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールまたは(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノ−5−フルオロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3−エチニル−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3,4−ジオール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
医薬として使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項8】
ウイルス感染によって引き起こされる疾患の処置および/または予防用医薬の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項9】
初する感染によって引き起こされる疾患を処置および/または予防する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項10】
ウイルス感染がデングウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルスから成る群から選択されるウイルスによって引き起こされる、請求項8の使用または請求項9の方法。

【公表番号】特表2010−518047(P2010−518047A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548691(P2009−548691)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051527
【国際公開番号】WO2008/095993
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】