説明

ウェビング巻き取り装置

【課題】ウェビング巻き取り装置において、ウェビング構造の見直しを行うことにより、少ない部品構成ながらも確実にウェビングの巻き締りを抑制すること。
【解決手段】ウェビング15の幅方向の両端部には複数の凸部15aがそれぞれ形成され、フランジ27の外周部分には複数の凸部27aが形成されている。ウェビング15が巻き取りプーリに巻き取られた際には、フランジ27の凸部27aとウェビング15の凸部15aとが噛み合うことにより、フランジ27の凸部27aがウェビング15の凸部15aを強固に係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェビングを巻き取り可能なウェビング巻き取り装置において、ウェビングの巻き締りを抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両へ積載物体を固定するためのウェビングを巻き取り可能なウェビング巻き取り装置が知られている。
このようなウェビング巻き取り装置は、例えば積載物を車両の床面に固定するための積載物固定装置や、車両の乗員をシートに拘束するためのシートベルト装置などに内蔵される。
【0003】
上述のウェビング巻き取り装置の中には次のように構成されているものがある。すなわち、ウェビング巻き取り装置は、ウェビングの一端が連結され、ウェビングを巻き取り可能で、且つウェビングを巻き取る方向へゼンマイばねなどの付勢手段によって付勢力を与えられた円筒形状の巻き取りプーリ、および巻き取りプーリの軸方向の両端部付近それぞれから半径方向へ延出する円板形状の一対のフランジを備えるスプール(巻き取り軸)と、巻き取りプーリがウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止可能なロック機構と、を備えている。そして、このように構成されたウェビング巻き取り装置においては次のような作用を奏する。以下、シートベルト装置に内蔵されるウェビング巻き取り装置を例に説明する。すなわち、通常の走行状態である場合には、ウェビングが、付勢手段による付勢力によって乗員の動きを妨げないように弱い力で乗員の体にフィットする。一方、通常の走行状態から車両が急減速状態となった場合には、ロック機構が、巻き取りプーリがウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止することで乗員をウェビングによって確実に拘束する。
【0004】
しかしながら、上述のようなウェビング巻き取り装置においては、ロック機構によって巻き取りプーリがウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止された場合において、例えばウェビングが引っ張られるなどウェビングに張力が作用したときには、巻き締まりが発生することがある。
【0005】
そこで、ウェビング巻き取り装置の中には、上述のような課題を解決するために、スプールの巻き取りプーリの軸方向中央部にピンを放射方向に立設するとともに、ウェビングに長孔を穿設し、ウェビングが巻き取りプーリに巻き取られた際には、上述の巻き取りプーリのピンにウェビングの長孔が挿通されるよう構成したウェビング巻き取り装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平6−85155号公報(第7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の特許文献1に記載されたウェビング巻き取り装置においては、ウェビングにおける巻き取りプーリに巻き取られた際に外周となる部分に形成される長孔については、巻き取りプーリに巻き取られた際に外周となる長孔ほど、ウェビングの長孔の長手方向の長さ寸法を大きく形成する必要がある。そのため、例えばウェビングが引っ張られるなどウェビングに張力が作用したときには、その長孔の長さ寸法の分ウェビングの巻き締りが発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ウェビング巻き取り装置において、ウェビング構造の見直しを行うことにより、少ない部品構成ながらも確実にウェビングの巻き締りを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るウェビング巻き取り装置は、車両へ積載物体を固定するためのウェビングと、前記ウェビングの一端が連結され、前記ウェビングを巻き取り可能で、且つ前記ウェビングを巻き取る方向へ付勢手段によって付勢力を与えられた円筒形状の巻き取りプーリ、および前記巻き取りプーリの軸方向の両端部付近それぞれから半径方向へ延出する円板形状の一対のフランジを備えるスプールと、前記巻き取りプーリが前記ウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止可能なロック機構と、を備えたウェビング巻き取り装置であって、前記ウェビングは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記巻き取りプーリに巻き取られた部分の外周縁付近にて前記フランジと係合するための係合部を備えており、前記フランジは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記係合部を係止する係止部を備えていることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明によれば、ウェビングが巻き取りプーリに巻き取られて車両へ積載物体が固定された際にはフランジの係止部が、ウェビングの係合部を係止する。このことにより、ロック機構によって巻き取りプーリがウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止された場合において、例えばウェビングが引っ張られるなどウェビングに張力が作用したときでも、フランジの係止部がウェビングの係合部を係止することでその張力を受け止めるので、ウェビングのうち係止部に係止された部位よりも巻き取りプーリ側の部分についてはその張力が作用しないために巻き締まりが発生しない。したがって、ウェビング構造の見直しを行うことにより、少ない部品構成ながらも確実にウェビングの巻き締りを抑制することができる。
【0010】
なお、上述の積載物体としては、例えば車椅子などの積載物や乗員などが挙げられる。
この場合、上述の係合部については、ウェビングの少なくとも一部が巻き取りプーリに巻き取られて車両へ積載物体が固定された際に、巻き取りプーリに巻き取られた部分の外周縁付近に配置されるよう形成されていることが考えられる(請求項2)。このように構成すれば、ウェビングにおける巻き取りプーリに巻き取られた部分の外周縁がフランジによって係止されるので、ウェビングの巻き締りをより抑制することができる。
【0011】
また、上述の係合部については、ウェビングの幅方向の両端部それぞれ形成することが考えられる。具体的には、請求項3のように、係合部が、ウェビングの幅方向の両端部それぞれに形成されており、係止部が、係合部に対応して一対のフランジそれぞれに形成されていることが考えられる。このように構成すれば、上述のようにウェビングに張力が作用したときには、一対のフランジそれぞれに形成された係止部が、ウェビングの幅方向の両端部それぞれを係止してその張力を均等に受け止めるので、例えばウェビングの幅方向の両端部の一方のみを係止部が係止する場合のようにウェビングにおける幅方向の両端部のうち係止部によって係止されない方に張力の作用によって巻き締まりが発生する、といったことがない。
【0012】
また、上述の係合部および係止部についてはそれぞれが凸部を備え、ウェビングの少なくとも一部が巻き取りプーリに巻き取られた際にこれら凸部が互いに噛み合うよう構成することが考えられる。具体的には、請求項4のように、係合部が、ウェビングの少なくとも一部が巻き取りプーリに巻き取られて車両へ積載物体が固定された際にフランジに向けて突出するウェビング側凸部を有しており、係止部が、ウェビングの少なくとも一部が巻き取りプーリに巻き取られて車両へ積載物体が固定された際にウェビングのウェビング側凸部と噛み合うフランジ側凸部を有することが考えられる。このように構成すれば、ウェビングにおける係合部の形成された部分が巻き取りプーリに巻き取られた際にウェビング側の凸部とフランジ側の凸部とが噛み合うことで、係止部が係合部をより強固に係止することができる。
【0013】
ところで、巻き取りプーリに巻き取られるウェビングの長さが異なることがある。また、巻き取りプーリに巻き取られたウェビングを一部引き出すことがある。このような場合、ウェビングにおける係合部の形成された部分が巻き取りプーリには巻き取られないことがある。
【0014】
そこで、係合部が複数のウェビング側凸部を有し、これら複数のウェビング側凸部が、ウェビングにおける巻き取りプーリに巻かれた一巻き部分に形成されていることが考えられる。具体的には、請求項5のように、係合部にはウェビング側凸部が複数形成され、係止部にはフランジ側凸部が少なくともウェビング側凸部に対応する個数形成されており、複数のウェビング側凸部が、ウェビングの少なくとも一部が巻き取りプーリに巻き取られて車両へ積載物体が固定された際に、ウェビングにおける巻き取りプーリに巻かれた部分のうちの一巻き部分に形成されていることが考えられる。このように構成すれば、巻き取りプーリに巻き取られるウェビングの長さが短い場合でも、その変位量が、上述のウェビングにおける一巻き部分の範囲内であれば、複数のウェビング側凸部の何れかがフランジ側凸部と噛み合うことで係止部が係合部を係止する状態を維持することができる。
【0015】
また、上述のような問題を解決するために、複数のウェビング側凸部については次のように構成してもよい。すなわち、複数のウェビング側凸部が、ウェビングの少なくとも一部が巻き取りプーリに巻き取られて車両へ積載物体が固定された際にウェビングにおける巻き取りプーリに巻かれた一巻き以上の部分に形成されていることが考えられる。このように構成すれば、巻き取りプーリに巻き取られるウェビングの長さが異なる場合においてその変位量が巻き取りプーリに巻かれた一巻き部分以上であっても、複数のウェビング側凸部の何れかがフランジ側凸部と噛み合うことで係止部が係合部を係止する状態を維持することができる。なおこの場合、フランジ側凸部とフランジ側凸部の間に形成される凹部の深さ寸法を大きくする必要がある。
【0016】
また、上述のウェビング側凸部については棒材の先端部を用いて形成することが考えられる。具体的には、請求項6のように、ウェビング側凸部が、棒材をその長手方向がウェビングの幅方向とほぼ一致する姿勢でウェビングへ取り付けることによって形成されることが考えられる。このように構成すれば、上述のウェビングを容易に製造することができる。
【0017】
なお、棒材をウェビングへ取り付ける手法としては、例えば織物をウェビングに縫製または溶着することによって棒材をウェビングに取り付けることが挙げられる。このようにすれば、棒材がウェビングに強固に固定され、ウェビングの巻き締りをより抑制することができる。
【0018】
この場合、ウェビングに取り付けられる棒材、およびスプールのフランジについては、次のような材料にて構成されることが考えられる。
(イ)棒材およびフランジが金属材料によって構成されていることが考えられる。このように構成すれば、金属部材同士によって強固に噛み合い、ウェビングの巻き締りをより抑制することができる。
【0019】
(ロ)棒材が金属材料によって構成されるとともに、フランジが樹脂材料によって構成されていることが考えられる。このように構成すれば、棒材およびフランジが金属材料によって構成されている場合に比べて、ウェビングをスプールへ巻き取る際に棒材およびフランジをよりスムーズに噛み合わせることができる。なお、上述のようにフランジを樹脂材料によって構成する場合には、その強度を確保するためにフランジの厚み寸法を大きくすることが望ましい。
【0020】
ところで、上記課題を解決するためになされた請求項7に係るウェビング巻き取り装置は、車両へ積載物または乗員を固定するためのウェビングと、前記ウェビングの一端が連結され、前記ウェビングを巻き取り可能で、且つ前記ウェビングを巻き取る方向へ付勢手段によって付勢力を与えられた円筒形状の巻き取りプーリ、および前記巻き取りプーリの軸方向の両端部付近それぞれから半径方向へ延出する円板形状の一対のフランジを備えるスプールと、前記巻き取りプーリが前記ウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止可能なロック機構と、を備えるウェビング巻き取り装置であって、前記ウェビングは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記フランジと接触するためのウェビング側接触面を備えており、前記フランジは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記ウェビング側接触面と接触するフランジ側接触面を備えていることを特徴とする。
【0021】
一例を挙げると、例えばウェビング側接触面またはフランジ側接触面の少なくとも一方における摩擦係数を大きく設定することにより、ウェビング側接触面とフランジ側接触面とが接触した際に互いの相対位置が変化しにくくなり、このことによってウェビング側接触面とフランジ側接触面との接触部分がその張力を受け止めるよう構成するといった具合である。
【0022】
このように構成された本発明によれば、ウェビングが巻き取りプーリに巻き取られて車両へ積載物体が固定された際には、ウェビングのウェビング側接触面とフランジのフランジ側接触面とが接触する。このことにより、ロック機構によって巻き取りプーリがウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止された場合において、例えばウェビングが引っ張られるなどウェビングに張力が作用したときでも、ウェビング側接触面とフランジ側接触面との接触部分がその張力を受け止めるので、ウェビングのうち上述の接触部分よりも巻き取りプーリ側の部分についてはその張力が作用しないために巻き締まりが発生しない。したがって、ウェビング構造の見直しを行うことにより、少ない部品構成ながらも確実にウェビングの巻き締りを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態のウェビング巻き取り装置10を車両2の床3に取り付けた様子を示す説明図である。また、図2はウェビング巻き取り装置10の外観を示す図であり、(a)が平面図、(b)が正面図である。また、図3(a)は図2におけるA−A断面図であり、図2(b)は図2におけるB−B断面図であり、図4は図2におけるC−C断面図である。また、図5(a)はウェビング巻き取り装置10の内部構造(非係合状態)を正面視した概略構造図であり、図5(b)はウェビング巻き取り装置10の内部構造(係合状態その1)を正面視した概略構造図(1)であり、図5(c)はウェビング巻き取り装置10の内部構造(係合状態その2)を正面視した概略構造図(2)である。
【0024】
なお、以降、このウェビング巻き取り装置10においては、図2(a)に示すように、 巻き取りプーリ21に対してゼンマイ23が配されている側を「右側」とし、ゼンマイ23に対して巻き取りプーリ21が配されている側を「左側」とする。また、ウェビング巻き取り装置10においては、巻き取りプーリ21に対して収納ケース11の取付孔11fが配されている側を「下側」とし、収納ケース11の取付孔11fに対して巻き取りプーリ21が配されている側を「上側」とする。また、ウェビング巻き取り装置10においては、図2(b)に示すように、巻き取りプーリ21に対してウェビングが引き出される側を「後側」とし、引き出されたウェビング15に対して巻き取りプーリ21が配されている側を「前側」とする。
【0025】
図1に示すように、ウェビング巻き取り装置10は、自動車などの車両2の床3に取り付けられ、車椅子1などの積載物の前部を床3に対して固定するのに用いられる。なお、床3には積載物固定装置5が固定されており、この積載物固定装置5には、車椅子1などの積載物に引っ掛けるための一対のフック5a,5aがその一端にそれぞれ取り付けられた一対のワイヤ5b,5bが固定されている。したがって、一対のフック5a,5aを車椅子1の後脚などに引っ掛けることにより、車椅子1の後部を床3に固定することができる。
【0026】
[ウェビング巻き取り装置10の構成の説明]
ウェビング巻き取り装置10は、図1に示すように、収納ケース11と、積載物に引っ掛けるためのフック13と、その一端にフック13がそれぞれ取り付けられた一対のウェビング15と、を備えている。
【0027】
[ウェビング15の構成の説明]
ウェビング15は例えばシートベルトなどを構成する帯状の織物であり、その織物の繊維材料としてはテトロンやナイロン等が挙げられる。
【0028】
また、ウェビング15の幅方向の両端部には、図4に示すように、複数の凸部15aがそれぞれ形成されている。具体的には、これら凸部15aは、シャフトなどの金属製の複数の棒材をその長手方向がウェビング15の幅方向とほぼ一致する姿勢でウェビング15に取り付けることによって形成されている。なお、本第一の実施形態では、薄い織物15cをウェビング15に縫製することによって上述の棒材をウェビング15に取り付けている。なお、薄い織物15cをウェビング15に縫製する代わりに溶着してもよい。また、これら隣接する凸部15aの間には凹部15bが形成されている。
【0029】
また、これら凸部15aは、図5(b)および図5(c)に例示するように、ウェビング15における凸部15aが形成された部分が巻き取りプーリ21に巻き取られた際にフランジ27に向けて突出しており、凹部15bの内部に位置するフランジ27の凸部27a(後述)と噛み合うよう形成されている。また、凸部15aは、ウェビング15の少なくとも一部が巻き取りプーリ21に巻き取られて車椅子1が床3に固定された際に、巻き取りプーリ21に巻き取られた部分の外周縁付近であり、且つウェビング15における巻き取りプーリ21に巻かれた部分のうちの一巻き部分に並べて配置され、フランジ27に向けて突出するよう形成されている。
【0030】
なお、ウェビング15の凸部15aは係合部およびウェビング側凸部に該当する。
[収納ケース11の構成の説明]
また、収納ケース11は、図2(a)に示すように、対向するよう配置された一対の底板11aおよび天板11bを、同様に対向するよう配置された一対の右側板11cおよび左側板11dによってビスなどを用いて一体に連結した構成を有している。なお、底板11a、天板11b、右側板11cおよび左側板11dについては、板状に形成された金属材料によって構成されている。
【0031】
また、底板11aには、その内壁へ4つのナット11eを取り付けることによって収納ケース11を床3に取り付けるための4つの取付孔11fが形成されており、ウェビング巻き取り装置10は、底板11aに形成された4つの取付孔11fに貫通したビスなどを床3へ取り付けることにより、床3の内部へ収納ケース11を位置させる姿勢で床3へ取り付けられている。また、収納ケース11に、ウェビング15を巻き取り可能な巻き取り機構19が組み込まれている。
【0032】
[巻き取り機構19の構成の説明]
巻き取り機構19は、図2(a)および図2(b)に示すように、順逆両方向に回転可能で、ウェビング15を巻き取り可能な巻き取りプーリ21と、ゼンマイ23と、巻き取りプーリ21にビス(図示省略)で固定され、巻き取りプーリ21とともに回転する爪車25と、巻き取りプーリ21にビスなどで(図示省略)で固定され、巻き取りプーリ21とともに回転する一対のフランジ27,27と、収納ケース11の左側板11dの内壁に取り付けられた軸29aを中心に回動可能な揺動爪29(図3(a)参照)と、揺動爪29の爪29bと収納ケース11の左側板11dの内壁に突設された突起31との間に取り付けられた圧縮バネ33(図3(a)参照)と、を備えている。なお、巻き取りプーリ21および一対のフランジ27,27は、本発明でいうスプールを構成する。また、爪車25および揺動爪29は本発明でいうロック機構に該当する。
【0033】
[巻き取りプーリ21の構成の説明]
このうち巻き取りプーリ21は、ウェビング15を層状に巻き取り可能な円筒形状を有しており、収納ケース11に取り付けられた軸45によって回転可能に支持されている。また、巻き取りプーリ21の外周部にはウェビング15の一端が連結されている(図3(b)参照)。そして、巻き取りプーリ21は、順方向(図3(a)中の矢印A1方向、巻き取り方向)へ回転した際にはウェビング15を巻き取ることによってウェビング15を図3(a)中の矢印B1方向へ引っ張る一方、ウェビング15が図3(a)中の矢印B2方向へ引っ張られた際には逆方向(図3(a)中の矢印A2方向、引出方向)へ回転することによって巻き取っていたウェビング15を繰り出すよう構成されている。
【0034】
[ゼンマイ23の構成の説明]
また、ゼンマイ23は、内側にある一端が軸45に固定されるとともに、外側にある一端が収納ケース11の右側板11cに固定され、いくらか締まる方向へ変形した状態で組み込まれることにより、常に巻き取りプーリ21を順方向に回転させるように付勢している。そして、ウェビング15が図3(a)中の矢印B2方向へ引っ張られた際には、ゼンマイ23の付勢力に逆らって巻き取りプーリ21が逆方向へ回転してゼンマイ23がさらに締まるため、ウェビング15を引っ張り出す方向への力をゆるめると、ゼンマイ23の力で巻き取りプーリ21が順方向へ回転してウェビング15が巻き取りプーリ21に巻き取られる。
【0035】
[フランジ27の構成の説明]
フランジ27は、円板形状の金属材料にて構成されており、巻き取りプーリ21の軸方向の両端部付近それぞれから半径方向へ延出するよう形成されている。
【0036】
また、フランジ27の外周部分には、複数の凸部27aが形成されており、これら隣接する凸部27aの間には凹部27bが形成されている。これら凸部27aは、ウェビング15の少なくとも一部が巻き取りプーリ21に巻き取られて車椅子1が床3に固定された際に、凹部27bの内部に位置するウェビング15の凸部15aと噛み合うよう配置されている。
【0037】
なお、本実施形態では、上述の凸部27aについては、少なくともウェビング15の凸部15aに対応する個数以上形成されており、ウェビング15が巻き取りプーリ21に巻き取られた際に、ウェビング15に形成されたすべての凸部15aが、フランジ27の凸部27aと噛み合うよう構成されている。
【0038】
なお、フランジ27の凸部27aは、係止部およびフランジ側凸部に該当する。
[爪車25および揺動爪29の構成の説明]
また、爪車25および揺動爪29は、いわゆるラチェット機構を構成するものであり、圧縮された圧縮バネ33の伸張作用によって揺動爪29が爪車25に引っかかる位置(係合状態、図3(a)参照)へと付勢され、揺動爪29によって爪車25の逆方向への回転が規制されるよう構成されている。また、揺動爪29は、図示しない操作部に連結されており、その操作部を操作することにより、圧縮バネ33の伸張作用によって爪車25に引っかかる位置(係合状態)と、揺動爪29を圧縮バネ33の力に抗して爪車25の係合面25aから離れる位置(非係合状態)との間で移動させることが可能である。
【0039】
[巻き取り機構19の作用の説明]
以上のように構成された巻き取り機構19では、次のような作用を奏する。すなわち、図3(a)に示すように、図示しない操作部を操作することにより、揺動爪29を圧縮バネ33の伸張作用によって爪車25に引っかかる位置へと移動させて爪車25の係合面25aと係合させると(係合状態)、巻き取りプーリ21が、巻き取り方向へは回転可能であり、且つ引出方向へは回転不可能な状態となる。このことにより、巻き取りプーリ21がゼンマイ23の付勢力によって巻き取り方向へ付勢され、ウェビング15を巻き取ることができ、且つウェビング15を巻き取りプーリ21から引き出すことができなくなる(ロック状態)。そして、巻き取りプーリ21にウェビング15が巻き取られるに従ってウェビング15に張力が作用し、車椅子1が強く床3へ引き寄せられることで床3に固定される。
【0040】
一方、図示しない操作部を操作することにより、揺動爪29を圧縮バネ33の力に抗して爪車25の係合面25aから離れる位置へ移動させると(非係合状態)、巻き取りプーリ21が、巻き取り方向と引出方向との双方向へ回転可能な状態となる(アンロック状態)。このことにより、巻き取りプーリ21がゼンマイ23の付勢力によって巻き取り方向へ付勢され、ウェビング15を巻き取ることができる。また、ウェビング15を巻き取りプーリ21から引き出すことができる。
【0041】
[ウェビング巻き取り装置10の動作の説明]
次に、ウェビング巻き取り装置10の動作について図5を参照して説明する。
まず、ウェビング巻き取り装置10を使用していない場合には、使用時に備えて巻き取りプーリ21をアンロック状態としている。すなわち、巻き取り機構19においては、図示しない操作部を操作することにより、揺動爪29を圧縮バネ33の力に抗して爪車25の係合面25aから離れる位置へ移動させている(非係合状態)。このことにより、巻き取りプーリ21が巻き取り方向および引出方向への何れにも回転可能となっている。したがって、ウェビング巻き取り装置10は、巻き取りプーリ21からウェビング15を引き出すことができる。
【0042】
車両2の床3に載せた車椅子1を床3に固定する場合には、ウェビング15をウェビング巻き取り装置10から引き出しながら、ウェビング15の一端に取り付けられたフック13を車椅子1の脚部などに引っ掛ける(図1参照)。この場合、ゼンマイ23の力で巻き取りプーリ21が巻き取り方向へ回転し、ウェビング15が巻き取りプーリ21に巻き取られる(図5(a)参照、非係止状態)。そして、ウェビング15の複数の凸部15aがフランジ27の複数の凹部27bの内部に位置しながら複数の凸部27aと順に噛み合う(係止状態、図5(b)参照)。さらに、ウェビング15の緩みがなくなるまでウェビング15が巻き取りプーリ21に巻き取られると、ウェビング15における巻き取りプーリ21に巻かれた一巻き部分に形成された複数の凸部15aすべてがフランジ27の複数の凸部27aと噛み合う状態となる(係止状態、図5(c)参照)。
【0043】
そして、図示しない操作部を操作することにより、揺動爪29を圧縮バネ33の伸張作用によって爪車25に引っかかる位置へと移動させて爪車25の係合面25aと係合させ(係合状態)、巻き取りプーリ21をロック状態とする(図3(a)参照)。このことにより、巻き取りプーリ21が、巻き取り方向へは回転可能であるが、引出方向へは回転不可能な状態となり、巻き取りプーリ21からウェビング15を引き出すことができなくなる。
【0044】
また、フランジ27の凸部27aとウェビング15の凸部15aとが噛み合うことで、フランジ27の凸部27aがウェビング15の凸部15aを係止するので、例えばウェビング15が引っ張られるなどウェビング15に張力が作用したときでも、ウェビング15の巻き締まりが発生しない。
【0045】
なお、上述のように、巻き取りプーリ21をロック状態である際に、例えば車両2のタイヤのパンクなどによってウェビング15に緩みが発生した時には、ゼンマイ23の付勢力によって巻き取りプーリ21がウェビング15を巻き取ってその弛みを吸収する。
【0046】
車両2の床3に固定された車椅子1を開放するためには、図示しない操作部を操作することにより、揺動爪29を圧縮バネ33の力に抗して爪車25の係合面25aから離れた状態とする(非係合状態)。このことにより、巻き取りプーリ21は巻き取り方向および引出方向への何れにも回転可能となっている。したがって、ウェビング巻き取り装置10は、巻き取りプーリ21からウェビング15を引き出すことができる。そして、フック13を車椅子1の脚部などから取り外す。この際、引き出す操作を完了すれば、ゼンマイ23の作用によってウェビング15は巻き取りプーリ21へ巻き取られる。
【0047】
[効果]
(1)このように第一実施形態のウェビング巻き取り装置10によれば、ウェビング15の幅方向の両端部には複数の凸部15aがそれぞれ形成され、フランジ27の外周部分には複数の凸部27aが形成されており、ウェビング15が巻き取りプーリに巻き取られた際には、フランジ27の凸部27aとウェビング15の凸部15aとが噛み合うことにより、フランジ27の凸部27aがウェビング15の凸部15aを強固に係止する。このことにより、揺動爪29が爪車25に係止することで巻き取りプーリ21がウェビング15を引き出す方向へ回転するのを阻止された場合において、例えばウェビング15が引っ張られるなどウェビング15に張力が作用したときでも、フランジ27の凸部27aがウェビング15の凸部15aを係止することでその張力を受け止めるので、ウェビング15のうちフランジ27の凸部27aに係止された部位よりも巻き取りプーリ21側の部分についてはその張力が作用しないために巻き締まりが発生しない。したがって、ウェビング構造の見直しを行うことにより、少ない部品構成ながらも確実にウェビング15の巻き締りを抑制することができる。
【0048】
(2)また、第一実施形態のウェビング巻き取り装置10によれば、ウェビング15の凸部15aについては、ウェビング15の少なくとも一部が巻き取りプーリ21に巻き取られて車椅子1が床3に固定された際に、巻き取りプーリ21に巻き取られた部分の外周縁付近に形成されているので、ウェビング15における巻き取りプーリ21に巻き取られた部分の外周縁がフランジ27によって係止され、ウェビングの巻き締りをより抑制することができる。
【0049】
(3)また、第一実施形態のウェビング巻き取り装置10によれば、ウェビング15の凸部15aについては、ウェビング15の幅方向の両端部それぞれに形成されている。このことにより、ウェビング15に張力が作用したときには、フランジ27の凸部27aが、ウェビング15の幅方向の両端部それぞれを係止してその張力を均等に受け止めるので、例えばウェビング15の幅方向の両端部の一方のみをフランジ27の凸部27aが係止する場合のようにウェビング15における幅方向の両端部のうちフランジ27の凸部27aによって係止されない方に張力の作用によって巻き締まりが発生する、といったことがない。
【0050】
(4)また、第一実施形態のウェビング巻き取り装置10によれば、ウェビング15の凸部15aが、ウェビング15の少なくとも一部が巻き取りプーリ21に巻き取られて車椅子1が床3に固定された際に、巻き取りプーリ21に巻き取られた部分の外周縁付近であり、且つウェビング15における巻き取りプーリ21に巻かれた部分のうちの一巻き部分に並べて配置されているので、巻き取りプーリ21に巻き取られるウェビング15の長さが短い場合でも、その変位量が、上述のウェビング15の一巻き部分の長さの範囲内であれば、複数のウェビング15の凸部15aの何れかがフランジ27の凸部27aと噛み合う状態を維持することができる。
【0051】
(5)また、第一実施形態のウェビング巻き取り装置10によれば、ウェビング15の凸部15aについては、シャフトなどの金属製の複数の棒材の先端部を用いて形成されているので、ウェビング15を容易に製造することができる。この場合、金属製の複数の棒材については、その長手方向がウェビング15の幅方向とほぼ一致する姿勢で薄い織物をウェビング15に縫製することによってウェビング15に取り付けているので、棒材がウェビング15に強固に固定され、ウェビング15の巻き締りをより抑制することができる。なお、上述の薄い織物をウェビング15に縫製する代わりに溶着してもよい。
【0052】
(6)また、第一実施形態のウェビング巻き取り装置10によれば、ウェビング15の凸部15aを構成する棒材およびフランジ27が金属材料によって構成されているので、金属部材同士によって強固に噛み合い、ウェビング15の巻き締りをより抑制することができる。
【0053】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0054】
(1)上記第一の実施形態では、ウェビング巻き取り装置10を積載物の固定に利用した例を挙げたが、このようなウェビング巻き取り装置10を、車両のシートベルト巻き取り装置に適用してもよい。
【0055】
(2)上記第一の実施形態では、ウェビング15の凸部15aを構成する棒材およびフランジ27が金属材料によって構成されているが、これには限られず、棒材を金属材料によって構成するとともに、フランジ27を樹脂材料によって構成してもよい。このように構成すれば、棒材およびフランジ27が金属材料によって構成されている場合に比べて、ウェビング15を巻き取りプーリ21へ巻き取る際に棒材で構成されたウェビング15の凸部15aおよびフランジ27の凸部27aをよりスムーズに噛み合わせることができる。なお、上述のようにフランジ27を樹脂材料によって構成する場合には、その強度を確保するためにフランジ27の厚み寸法を大きくすることが望ましい。
【0056】
(3)上記第一の実施形態では、ウェビング15の幅方向の両端部には、複数の凸部15aが、棒材を取り付けることで形成され、フランジ27の外周部分には複数の凸部27aが形成されているが、これには限られず、ウェビング15の幅方向の両端部にギヤードケーブルをそれぞれ取り付け、フランジ27の凸部27aと噛み合うよう構成してもよい。また、ウェビング15の幅方向の両端部にチェーンを取り付け、フランジ27の凸部27aと噛み合うよう構成してもよい。このように構成しても上記第一の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0057】
(4)また、巻き取りプーリ21を駆動モータにて回転駆動するよう構成してもよい。 具体的には、収納ケース11に、軸45に連結されて巻き取り機構19を回転駆動可能な駆動モータ(図示省略)、制御部(図示省略)、駆動モータを駆動するための駆動回路(図示省略)、およびスイッチ部(図示省略)を組み込み、この制御部が、スイッチ部に入力された外部からの指令に基づき、駆動回路を介して駆動モータを回転駆動させるよう構成する。このように構成しても上記第一の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0058】
(5)また、例えばヤスリ状の表面など、ウェビング15の両端(ウェビング側接触面)またはフランジ27(フランジ側接触面)の少なくとも何れか一方をその摩擦係数が大きくなるよう構成してもよい。このように構成すれば、ウェビング15の両端とフランジ27とが接触した際に互いの相対位置が変化しにくくなり、ウェビング15の両端とフランジ27との接触部分がウェビング15の張力を受け止め、ウェビング15とフランジ27との摩擦によってウェビング15の巻き締まりを抑制する。なお、ウェビング15の両端およびフランジ27の双方を、その摩擦係数が大きくなるよう構成することが望ましい。このように構成しても上記第一の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0059】
(6)上記第一の実施形態では、ウェビング15の凸部15aが、ウェビング15の少なくとも一部が巻き取りプーリ21に巻き取られて車椅子1が床3に固定された際に、巻き取りプーリ21に巻き取られた部分の外周縁付近であり、且つウェビング15における巻き取りプーリ21に巻かれた部分のうちの一巻き部分に並べて配置され、フランジ27に向けて突出するよう形成されているが、これには限られず、ウェビング15の凸部15aを、且つウェビング15における巻き取りプーリ21に巻かれた部分のうちの一巻き部分以上に配置するようにしてもよい。このように構成すれば、巻き取りプーリ21に巻き取られるウェビング15の長さが異なる場合において、その変位量が、上述のウェビング15における一巻き部分以上であっても、複数のウェビング15の凸部15aの何れかがフランジ27の凸部27aと噛み合う状態を維持することができる。なおこの場合、フランジ27においては、隣り合う凸部27aと凸部27aの間に形成される凹部の深さ寸法を大きくする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第一実施形態のウェビング巻き取り装置を車両の床に取り付けた様子を示す説明図である。
【図2】(a)はウェビング巻き取り装置の外観を示す平面図であり、(b)はウェビング巻き取り装置の外観を示す正面図である。
【図3】(a)は図2におけるA−A断面図であり、(b)は図2におけるB−B断面図である。
【図4】図2におけるC−C断面図である。
【図5】(a)はウェビング巻き取り装置の内部構造(非係合状態)を正面視した概略構造図であり、(b)はウェビング巻き取り装置の内部構造(係合状態その1)を正面視した概略構造図(1)であり、(c)はウェビング巻き取り装置の内部構造(係合状態その2)を正面視した概略構造図(2)である。
【符号の説明】
【0061】
1…車椅子、2…車両、3…床、5…積載物固定装置、5a…フック、5b…ワイヤ、10…ウェビング巻き取り装置、11…収納ケース、11a…底板、11b…天板、11c…右側板、11d…左側板、11e…ナット、11f…取付孔、13…フック、15…ウェビング、15a…ウェビングの凸部、15b…ウェビングの凹部、15c…ウェビングの薄い織物、19…巻き取り機構、21…巻き取りプーリ、23…ゼンマイ、25…爪車、25a…係合面、27…フランジ、27a…フランジの凸部、27b…フランジの凹部、29…揺動爪、29a…軸、29b…爪、31…突起、33…圧縮バネ、45…軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両へ積載物体を固定するためのウェビングと、
前記ウェビングの一端が連結され、前記ウェビングを巻き取り可能で、且つ前記ウェビングを巻き取る方向へ付勢手段によって付勢力を与えられた円筒形状の巻き取りプーリ、および前記巻き取りプーリの軸方向の両端部付近それぞれから半径方向へ延出する円板形状の一対のフランジを備えるスプールと、
前記巻き取りプーリが前記ウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止可能なロック機構と、
を備えたウェビング巻き取り装置であって、
前記ウェビングは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記フランジと係合するための係合部を備えており、
前記フランジは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記係合部を係止する係止部を備えていること
を特徴とするウェビング巻き取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェビング巻き取り装置において、
前記係合部は、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記巻き取りプーリに巻き取られた部分の外周縁付近に配置されるよう形成されていることを特徴とするウェビング巻き取り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のウェビング巻き取り装置において、
前記係合部は、前記ウェビングの幅方向の両端部それぞれに形成されており、
前記係止部は、前記係合部に対応して前記一対のフランジそれぞれに形成されていること
を特徴とするウェビング巻き取り装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のウェビング巻き取り装置において、
前記係合部は、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に前記フランジに向けて突出するウェビング側凸部を有しており、
前記係止部は、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に前記ウェビング側凸部と噛み合うフランジ側凸部を有すること
を特徴とするウェビング巻き取り装置。
【請求項5】
請求項4に記載のウェビング巻き取り装置において、
前記係合部には、前記ウェビング側凸部が複数形成され、
前記係止部には、前記フランジ側凸部が、少なくとも前記ウェビング側凸部に対応する個数形成されており、
前記複数のウェビング側凸部は、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記ウェビングにおける前記巻き取りプーリに巻かれた部分のうちの一巻き部分に形成されていること
を特徴とするウェビング巻き取り装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載のウェビング巻き取り装置において、
前記ウェビング側凸部は、棒材をその長手方向が前記ウェビングの幅方向とほぼ一致する姿勢で前記ウェビングへ取り付けることによって形成されることを特徴とするウェビング巻き取り装置。
【請求項7】
車両へ積載物または乗員を固定するためのウェビングと、
前記ウェビングの一端が連結され、前記ウェビングを巻き取り可能で、且つ前記ウェビングを巻き取る方向へ付勢手段によって付勢力を与えられた円筒形状の巻き取りプーリ、および前記巻き取りプーリの軸方向の両端部付近それぞれから半径方向へ延出する円板形状の一対のフランジを備えるスプールと、
前記巻き取りプーリが前記ウェビングを引き出す方向へ回転するのを阻止可能なロック機構と、
を備えるウェビング巻き取り装置であって、
前記ウェビングは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記フランジと接触するためのウェビング側接触面を備えており、
前記フランジは、前記ウェビングの少なくとも一部が前記巻き取りプーリに巻き取られて前記車両へ前記積載物体が固定された際に、前記ウェビング側接触面と接触するフランジ側接触面を備えていること
を特徴とするウェビング巻き取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−298107(P2006−298107A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121186(P2005−121186)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【Fターム(参考)】