説明

ウェブガイド装置及び輪転機

【課題】ウェブガイド装置を容易に導入可能とする。
【解決手段】ウェブガイド装置45は、ウェブ紙の幅方向にウェブ紙の幅より広い間隔をおいて平行に、かつ、回転可能に支持された一対のネジ軸454,455と、ネジ軸に螺合する雌ネジ部を有することでネジ軸に設置されるとともに、一対のネジ軸の間で2本のガイドローラー456,457を回転可能、かつ、平行に支持するガイドローラー支持部4542,4543,4552,4553と、前記一対のネジ軸が回転することによって、一方のネジ軸454に設けられたガイドローラー支持部4542,4543と、他方のネジ軸455に設けられたガイドローラー支持部4552,4553とが、互いに逆方向に同じ距離だけ移動するように一対のネジ軸を回転させるネジ軸回転手段612,4531,4541,4532,4551とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪転機のウェブガイド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、輪転機における連続紙(以下、「ウェブ紙」と記す。)の紙端位置及び紙中心位置調整を行う装置として、バイアス装置が知られている。バイアス装置は、輪転機の印刷部と折畳部の間にあるレールフレーム部に設けられ、ウェブ紙走行方向に直角にかつ2本平行に並んだガイドローラーと、該ガイドローラーの両端部に設けられた偏芯スリーブを有するガイドローラー支持部にて構成される。輪転機停止中にウェブ紙を給紙部から折畳部へ通してウェブ紙の中心位置の確認を行い、調整が必要な時に2本のガイドローラーの両端部にある偏芯スリーブを回転させ、ガイドローラーの軸心をウェブ紙の紙巾方向と平行な方向に対して角度を持たせ、ウェブ紙の中心位置を調整する。
【0003】
他方、輪転機運転中におけるウェブ紙の蛇行制御及び紙端位置及び紙中心位置のずれを調整する装置として、ウェブガイド装置が知られている。
【0004】
例えば、下記特許文献1及び2には、センターピボット方式のウェブガイド装置が開示されている。センターピボット方式は、ウェブ紙走行方向の上流側と下流側との二つのガイドローラーを平行かつ水平に支持する補助フレームを有し、前記補助フレームは上流側ガイドローラーの軸方向中央近傍に垂直方向の回転軸が設けられている。そして、他のガイドローラーによって、垂直下方から案内されたウェブ紙は上流側ガイドローラーに90度巻いて下流側ガイドローラーへ導かれ、下流側ガイドローラーに上流側ガイドローラーと接したウェブ紙の同じ面を90度巻いてウェブ紙を垂直下方へ案内するようになっている。前記回転軸を中心に補助フレームを角変位させることにより、上流側ガイドローラーと下流側ガイドローラーは互いに平行を保ったまま動き、ウェブ紙の紙巾方向と平行な方向に対して角度をなし、これによりウェブガイド装置より下流側のウェブ紙を紙巾方向に移動する。
【0005】
また、前述の方式と異なる方式のウェブガイド装置が提案されている。例えば、下記特許文献3には、輪転機フレームに固定されたウェブ紙走行方向に直角かつ互いに平行に設けた二つの固定ガイドローラーと、補助フレームと該補助フレーム上に水平に支持されて固定されたウェブ紙走行方向の上流側と下流側に直角かつ互いに平行に設けた二つの調整用ガイドローラーと、を有し、前記補助フレームの輪転機駆動側における上流側と下流側の二本の調整用ガイドローラーの中間近傍に垂直方向の回転軸が設けられて水平方向に角変位させる角変位手段を有するウェブガイド装置が開示されている。ウェブ紙走行方向上流側より該ウェブガイド装置に導入されたウェブ紙は、上流側固定ガイドローラーにウェブ紙の表面を接し、略180度にわたって巻き付いて反転しながら上流方向へ戻り、補助フレーム上にウェブ紙走行方向に直角となるように二本が平行に並べて設けられた上流側調整用ガイドローラーに裏面を接し、略180度にわたって巻き付き再反転し下流側へ導かれ、下流側調整用ガイドローラーに上流側調整用ガイドローラーと接したウェブ紙の同じ面を略180度にわたって巻き付き再々反転して再度上流方向へ戻り、下流側固定ガイドローラーに導かれ、上流側固定ガイドローラーと接したウェブ紙の同じ面を略180度にわたって巻き付き4回目の反転をし、装置下流側へ案内されていく。前記補助フレームの操作側をウェブ紙走行方向に対して進み方向又は遅れ方向に動かし、駆動側回転軸を中心に補助フレームを角変位させることにより、上流側ガイドローラーと下流側ガイドローラーは互いに平行を保ったまま動き、ウェブ紙の紙巾方向と平行な方向に対して角度をなし、これによりウェブガイド装置より下流側のウェブ紙を紙巾方向に移動する。
【0006】
一方、下記特許文献4には、輪転機フレームに固定されたウェブ紙走行方向に直角かつ互いに平行に設けた二つの固定ガイドローラーと、ウェブ紙走行方向に直角かつ互いに平行に保ち角変位可能に設けた二つの調整用ガイドバーと、前記二つの調整用ガイドバーを一体で水平方向に角変位させる角変位手段を有するウェブガイド装置が開示されている。ウェブ紙走行方向上流側より該ウェブガイド装置に導入されたウェブ紙は、上流側固定ガイドローラーにウェブ紙の表面を接し、略180度にわたって巻き付いて反転しながら上流方向へ戻り、互いに平行に保ちながら角変位可能に設けられている二本の調整用ガイドバーの上流側調整用ガイドバーに裏面を接し、略180度にわたって巻き付き再反転し下流方向へ導かれ、下流側調整用ガイドバーに上流側調整用ガイドローラーと接したウェブ紙の同じ面を略180度にわたって巻き付き再々反転して再度上流方向へ戻り、下流側固定ガイドローラーに導かれ、上流側固定ガイドローラーと接したウェブ紙の同じ面を略180度にわたって巻き付けて4回目の反転をし、下流側へ案内されていく。操作側の前記連結部材をウェブ紙走行方向に対して進み方向又は遅れ方向に動かすと、上流側調整用ガイドバーと下流側調整用ガイドバーは互いに平行を保ったままそれぞれが駆動側支持部材の回転軸を中心に角変位し、ウェブ紙の紙巾方向と平行な方向に対して角度をなし、これによりウェブガイド装置より下流側のウェブ紙を紙巾方向に移動する。
【0007】
さらに、下記特許文献5には、蛇行修正装置として、一種のウェブガイド装置が提案されている。外部からの動力を使わない該装置は、ウェブ紙の蛇行検知を行う検知ローラーを備えたウェブ紙走行方向の上流側にある一つのガイドローラーと、下流側にある検知したウェブ紙の蛇行を修正する一つのガイドローラーを有し、他のガイドローラーによって、ウェブ紙走行方向上流の水平方向から案内されたウェブ紙は上流側ガイドローラーに略90度巻いて垂直下方にある下流側ガイドローラーへ導かれ、下流側ガイドローラーに上流側ガイドローラーと接したウェブ紙の反対面を巻いてウェブ紙を垂直下方へ案内するようになっている。前記上流側ガイドローラーは、紙巾方向においてガイドローラー中心部の周面とガイドローラー両端部にある検知ローラー周面とは機械的に分離され、かつ、両側の検知ローラーは、ガイドローラー中心部の内部で歯車を介して結合された構造を備えている。前記上流側ガイドローラー部と前記下流側ガイドローラー部とは、上流側ガイドローラー両端部にある検知ローラーから下流側ガイドローラー両端に設けられた軸支持部の雌ネジに螺合したネジ軸に駆動軸と歯車で接続され、駆動力を伝えられる。下流側ガイドローラーは、ガイドローラー両端の軸部を支え、かつ前記ネジ軸に螺合する雌ネジを有するローラー軸支持部と、ガイドローラー両側にウェブ紙走行方向と略平行に設けられて検知ローラーと接続された駆動軸と連結するネジ軸から構成されている。実際の作動は、ウェブ紙が上流側ガイドローラーの中心から外れると上流側ガイドローラー両端のどちらか片方の検知ローラー上をウェブ紙が走行することにより検知ローラーを回転駆動し、上流側ガイドローラー両側の駆動軸から下流側ガイドローラー両側に設けられているネジ軸へ同時に回転が伝わり、ネジ軸上にあるガイドローラー両端の軸支持部がウェブ紙走行方向に対して互いに反対方向(片方が進み方向ならば、その反対は遅れの方向)へ移動し、両側の支持部の中心にある下流側ガイドローラーが紙巾方向の中心を回転軸に角変位し、下流側ガイドローラーがウェブ紙の紙巾方向と平行な方向に対して角度をなし、これによりウェブ紙が走行した検知ローラーと紙巾方向において反対の方向へウェブ紙を移動させることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−222341号公報
【特許文献2】特開2000−128408号公報
【特許文献3】特公平6−29108号公報
【特許文献4】特許第3382196号明細書
【特許文献5】特開平8−53245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かつて主流の主軸駆動方式の輪転機では、印刷部や折畳部をはじめ回転駆動される機械の部分間には縦横に駆動軸が通っていたが、最近はシャフトレス駆動方式による部分ごとの個別駆動が主流となった。このシャフトレス駆動方式では、駆動軸が必要ないために輪転機の部分間で駆動軸の芯を合わせる必要がないので、組み付け精度を出す必要がなくなり、据え付け工期も短縮された。しかし、輪転機据え付け工事中の検査では問題が発生しなくても、輪転機設置後にウェブ紙を輪転機に通したときに、ウェブ紙の通り芯のずれが発生し問題となることがあった。
【0010】
また、近年では、ユーザーからの求めに応じて、多色化、多ページ化、多セクション化が可能で高い付加価値のついた印刷物を生産でき、さらに省人化を進めることができる高機能輪転機が提供されている。
【0011】
ここで、多色化とは、印刷部に単色印刷可能な印刷機を藍色(c:シアン)、紅色(m:マゼンタ)、黄色(y:イエロー)、墨色(k:ブラック)の4色分用意し、現在主流のタワー型輪転機の場合では印刷部に前記各色印刷可能な印刷機を4段重ねにして、4色印刷を行えるようにすることをいう。しかし、タワー型輪転機では、輪転機全体の高さが高くなり、ウェブガイド装置等の設置されるレールフレーム部は輪転機の最も高い位置となり、省人化を行うには、遠隔操作が可能であるウェブガイド装置が求められていた。
【0012】
また、多ページ化とは、1台で8ページ印刷可能な印刷部を4台乃至6台まで増やすことにより行うことをいう。印刷可能なページが増えることは、使用するウェブ紙の数も増えることを意味する。倍幅の輪転機では、ウェブガイド装置が1ウェブ紙に対して、操作側(以下、「OS」と表記する。)紙及び駆動側(以下、「DS」と表記する。)紙それぞれに1台必要となるので、多ページ化によるウェブ紙の増加はそのままウェブガイド装置の増加となり、増加した装置の設置のためのスペースの確保が必要となる。そのため、少ないスペースで設置可能であり、かつ、設置方法に自由度のあるウェブガイド装置が求められていた。
【0013】
また、多セクション化とは、折畳部のフォーマー板を複数台使い、複数のセクション(折丁)から一部の新聞を形成することをいう。倍幅の輪転機では、両面で8ページ分印刷されたウェブ紙を複数のフォーマー板に導入するために、倍幅のウェブ紙はレールフレーム部のドラッグローラー上でスリッターナイフによって、OS紙とDS紙のウェブ紙に分けられる。ところが、折畳部のフォーマー板に入るまでのウェブ紙の経路でOS紙の縁とDS紙の縁が干渉して、ウェブ紙の破損(断紙)の原因となることがあった。そのため、OS紙とDS紙に分けた後、それぞれのフォーマー板に導入される前にそれぞれのウェブ紙の縁が干渉しない程度にウェブ紙の巾方向の位置を予め決められた位置まで離し、干渉が起きていない時には元の位置に戻すことが容易にできるウェブガイド装置が求められていた。
【0014】
そして、従来、バイアス装置を使用して行っていた、ウェブ紙の紙巾方向の位置調整は、輪転機停止中にそれぞれの紙通しコースにウェブ紙を通して、手動で工具を使って調整する必要があり、運転中の調整及び遠隔操作による調整が不可能で、調整量の数値管理等もできなかった。
【0015】
他方、ウェブガイド装置におけるセンターピボット方式では、遠隔操作は可能であるが、補助フレームがあるため補助フレームの据え付けスペースが必要となり、さらに、ウェブ紙が補助フレームに設けられているウェブ紙走行方向の上流側ガイドローラーへ入るための立ち上がりと下流側ガイドローラーから出ていくための立ち下がりのスペースを必要とするため、ウェブ紙の走行方向に対して、水平方向及び垂直方向のスペースが必要であった。
【0016】
なお、上掲した特許文献3の方法は、遠隔操作は可能であるが、補助フレームを有している関係上、ウェブ紙走行方向に対して垂直方向へ補助フレームの支持部及び可動部のスペースを必要とし、4本のガイドローラーのそれぞれが紙巾方向へ向けて配置され、かつ4本を平行に並べる方向に設置されるため、水平方向においてもスペースを必要とするものであった。
【0017】
また、上掲した特許文献4の方式は、遠隔操作は可能であるが、補助フレームは必要としないものの、ガイドバーを支える支持回転部材を有し、ウェブガイド装置を構成するガイドローラー2本とガイドバー2本のそれぞれが紙巾方向へ向けて配置され、かつ4本を平行に並べる方向に設置されるため、水平方向でのスペースを必要とし、垂直方向へはローラー2本分のスペースを必要とするものである。さらに、バイアス装置を除く前記ウェブガイド装置においては、水平状態での据え付けを基本としているので、設置場所及び設置方法に制限があった。
【0018】
さらに、上掲した特許文献5の方式は、補助フレームを備えず、設置場所及び設置方法の制限がないが、外部からの動力を使わずに自動蛇行修正を行う装置のため、蛇行検出の機能及びウェブガイドの動力をローラーの回転より得る機能を有する上流側のガイドローラーの構造が複雑なうえに径が大きくなって回転する慣性が大きくなるので、倍幅のウェブ紙が高速で走行する輪転機においては、ウェブガイド装置として使用することが極めて困難であった。
【0019】
本発明は、上述した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の輪転機における機器配置を大きく変更することなく、複数のウェブガイド装置を狭いスペースにしかも設置方向を問わずに設置可能であり、さらに電動による遠隔操作及び位置表示が可能なウェブガイド装置と、このウェブガイド装置を備える輪転機を提供することを目的とするものである。またさらに、位置表示を可能とすることで、OS紙とDS紙の縁が干渉する際には、各ウェブ紙の巾方向位置を干渉しない予め決められた位置まで離し、干渉がない場合には、もとの位置に容易に戻すことが可能なウェブガイド装置と、このウェブガイド装置を備える輪転機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、特許請求の範囲に記載した構成によって前記目的を達成するものであって、本発明に係るウェブガイド装置は、輸転機の印刷部で印刷されたウェブ紙を折畳部まで案内するためのレールフレーム部に設置される装置であって、ウェブ紙の幅方向にウェブ紙の幅より広い間隔をおいて平行に、かつ、回転可能に支持された一対のネジ軸と、前記ネジ軸に螺合する雌ネジ部を有することで前記ネジ軸に設置されるとともに、一対のネジ軸の間で2本のガイドローラーを回転可能、かつ、平行に支持するガイドローラー支持部と、前記一対のネジ軸が回転することによって、一方のネジ軸に設けられたガイドローラー支持部と、他方のネジ軸に設けられたガイドローラー支持部とが、互いに逆方向に同じ距離だけ移動するように前記一対のネジ軸を回転させるネジ軸回転手段と、を有し、前記2本のガイドローラーのそれぞれに対してウェブ紙の一方の面と他方の面が巻きつくことで、前記2本のガイドローラーによる前記ウェブ紙の案内が行われることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明に係るウェブガイド装置は、前記ガイドローラー支持部の位置を検出する検出手段と、検出したガイドローラー支持部の位置を表示する位置表示手段と、を有することとすることができる。
【0022】
さらに、印刷部で印刷されたウェブ紙を折畳部まで案内するためのレールフレーム部を有する輪転機において、印刷部で印刷されたウェブ紙の通る複数のウェブ紙経路の少なくとも1個所に、上記のウェブガイド装置を設けるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、設置スペースが小さく、しかも設置方向を問わないので、複数のウェブ紙を扱う輪転機において、従来のレールフレーム部の機器配置を大幅に変更せず、ウェブガイド装置を容易に導入可能とするものである。また、本発明によれば、輪転機運転中のウェブガイド装置の遠隔操作及び調整量の確認を容易に行うことができるようになり、操作時には、ウェブ紙を紙巾方向における所望する任意の位置へと移動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】本実施形態に係るウェブガイド装置を備えた新聞輪転機の構成を例示する図である。
【図1B】図1AにおけるOS半裁ウェブ紙22hOSとDS半裁ウェブ紙22hDSの交差部Iを拡大した図である。
【図1C】図1Aにおける折畳部5のフォーマー板の構成及び折畳装置54の構成を示す、B矢視概略図である。
【図2】輪転機のレールフレーム部において、倍幅の1ウェブ紙がスリッターナイフによってOS半裁ウェブ紙とDS半裁ウェブ紙に分けられ、ウェブガイド装置を通ってフォーマー板に至る様子をウェブ紙の走行方向に沿って示す概略模式図である。
【図3】第1実施例に係るウェブガイド装置の構成を示す立体透視概略図であり、特に、1枚の半裁ウェブ紙に対応する1台のウェブガイド装置の構成を示すものである。
【図4】図3のウェブガイド装置のA矢視概略図である。
【図5】第1実施例に係るウェブガイド装置が有する制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】輪転機タッチパネルとウェブガイド装置の現在値を表示している画面、及び、ウェブガイド装置操作スイッチパネルを示す図である。
【図7】第2実施例に係るウェブガイド装置45の構成を示す正面概略図であり、図3のウェブガイド装置のA矢視概略図と同様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態及び実施例について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態及び実施例は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態及び実施例の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0026】
<ウェブガイド装置を備えた輪転機の構成>
図1Aは、本実施形態に係るウェブガイド装置を備えた新聞輪転機の構成を例示する図である。また、図1Bは、図1AにおけるOS半裁ウェブ紙22hOSとDS半裁ウェブ紙22hDSの交差部Iを拡大した図である。図1Cは、図1Aにおける折畳部5のフォーマー板の構成及び折畳装置54の構成を示す、B矢視概略図である。また、図2は、レールフレーム部4において、倍幅の1ウェブ紙がスリッターナイスによってOS半裁ウェブ紙とDS半裁ウェブ紙に分けられ、ウェブガイド装置45を通ってフォーマー板に至る様子をウェブ紙の走行方向に沿って示す概略模式図である。なお、図2において、矢印Xはウェブ紙22の走行方向を示している。また、図2では、ターンバー装置43、コンペンセーターローラー装置44、及び中間のガイドローラー等の詳細は、省略してある。以下に、本実施形態に係るウェブガイド装置45を備えた新聞輪転機1の構成を、ウェブ紙22の走行方向であるX方向に沿って説明する。
【0027】
本実施形態に係る新聞輪転機1は、給紙部2と、印刷部3と、レールフレーム部4と、折畳部5とを有して構成されている。
【0028】
給紙部2は、倍幅の巻取紙21を懸架可能な不図示のリールアームと、巻取紙21から巻き出されるウェブ紙22の張力制御装置23を備えている。
【0029】
印刷部3は、4つの印刷機31c、31m、31y、31kを備えており、これら4つの印刷機31c、31m、31y、31kは、前記給紙部2より送り出され適正な張力を与えられた倍幅の前記ウェブ紙22に対して、1台で全紙サイズの表裏8ページの紙面に藍色(c)、紅色(m)、黄色(y)、墨色(k)の各色印刷を行う機能を有している。
【0030】
レールフレーム部4は、前記印刷部3より送り出されて印刷された倍幅のウェブ紙22をレールフレーム部4へ送り込むドラッグローラー41と、ドラッグローラー41と協働して前記ウェブ紙22をX方向に対し平行に半分に切断して2分の1幅のウェブ紙(以下、「半裁」と記す。)22hとするスリッターナイフ42と、目的に応じて半裁となった前記半裁ウェブ紙22hをOSからDS(又はDSからOS)に移動するターンバー装置43と、それぞれの前記半裁ウェブ紙22hごとに折畳部5における裁断位置を前記印刷された半裁ウェブ紙22hのX方向のページとページの間に調整するコンペンセーターローラー装置44と、可動する平行に配された2本のガイドローラーに半裁となった前記半裁ウェブ紙22hをS字状に巻きつけて、前記半裁ウェブ紙22hの紙巾方向における中心位置を調整するウェブガイド装置45と、これらの装置の間に設けられた複数のガイドローラーと、を備えている。このレールフレーム部4は、前記ウェブ紙22及び半裁ウェブ紙22hを、前記印刷部3から、折畳部5に複数あるフォーマー板52,53の該当する前記フォーマー板52,53の折上ドラッグローラー51まで案内する機能を有する。
【0031】
折畳部5は、前記折上ドラッグローラー51まで案内された複数の前記半裁ウェブ紙22hを重ね合わせてフォーマー板52,53へと送り込む前記折上ドラッグローラー51と、折上ドラッグローラー51に送り込まれ重ね合わされた前記半裁ウェブ紙22hをX方向に対して平行に半分に折畳む前記フォーマー板52,53と、前記フォーマー板52,53でそれぞれ半分ごとに折畳まれた複数の前記半裁ウェブ紙22hを一つにまとめ、1ページ長に裁断し、前記半裁ウェブ紙22hから裁断された1ページ長の1部の新聞を裁断方向に対して平行に半分にさらに折り曲げて搬送コンベアー(図示せず)へ並べて置き、前記搬送コンベアー(図示せず)に並べて置かれた前記新聞を排出口55から搬出する前記折畳装置54と、を備えている。
【0032】
図1A、及び図1Cの新聞輪転機1には、給紙部2が2台、印刷部3が2台、折畳部5のフォーマー板52,53のそれぞれがOSとDSに1台ずつで計2台、折畳装置54が1台又は2台備わっており、全紙サイズの新聞で全16ページ4色印刷を行い、4つのセクション(折丁)から構成される1部の新聞を作成する機能を有する。
【0033】
なお、本発明に係る新聞輪転機の構成は、図1で例示した本実施形態の構成に限定されるものではないことは勿論である。
【0034】
<第1実施例におけるウェブガイド装置の構成>
次に、本実施形態に係る新聞輪転機1が備えるウェブガイド装置45の具体的な構成例について、第1実施例として説明する。ここで、図3は、第1実施例に係るウェブガイド装置45の構成を示す立体透視概略図であり、特に、1枚の全幅のウェブ紙22hよりX方向に平行に2分された半裁ウェブ紙22hDSに対応する1台のウェブガイド装置45の構成を示すものである。また、図4は、図3のウェブガイド装置45のA矢視概略図である。
【0035】
1枚の半裁ウェブ紙22hDSに対応するウェブガイド装置45は、前記レールフレーム部4のOSフレーム451及びDSフレーム452の内面に、ブラケットPによって軸方向をウェブ紙走行方向Xに対して略平行に回転可能かつ軸方向位置が固定されて設けられたOSネジ軸454及びDSネジ軸455を有している。OSネジ軸454及びDSネジ軸455には、本発明に係る雌ネジを備えたOSガイドローラー支持部4542,4543とDSガイドローラー支持部4552,4553が螺合しており、これらOSガイドローラー支持部4542,4543とDSガイドローラー支持部4552,4553によって、2本のガイドローラー456,457が支持されている。ガイドローラー支持部としてのOSガイドローラー支持部4542,4543とDSガイドローラー支持部4552,4553は、前記OSネジ軸454及びDSネジ軸455上にそれぞれ2個等間隔で配置されており、それぞれの前記ガイドローラー支持部4542,4543,4552,4553に設けられた不図示の軸受部に対して前記ガイドローラー456,457の両端にある軸部が回転可能に嵌めこまれ、前記上流側ガイドローラー456と下流側ガイドローラー457とが平行を保持した状態で配置される。
【0036】
第1実施例に係るウェブガイド装置45は、駆動モーター612を前記OSフレーム451の外面に備えており、駆動モーター612によって回転駆動される駆動軸453が、OSフレーム451を貫通して、DSフレーム452内面へと伸びており、OSフレーム451及びDSフレーム452で支えられている。また、OSフレーム451内面の個所では、OSネジ軸454の端部と駆動軸453とが互いに傘歯車4531,4541で直角に噛合し、さらに、DSフレーム452内面の個所では、DSネジ軸455の端部と駆動軸453とが互いに傘歯車4532,4551で直角に噛合している。傘歯車4531,4541と傘歯車4532,4551の噛合は、OSネジ軸454とDSネジ軸455が互いに逆に回動するように組み付けられており、それぞれが互いに逆に同じ角度だけ回動することにより、OSガイドローラー支持部4542,4543とDSガイドローラー支持部4552,4553が互いに逆方向へ同じ距離移動するように構成されている。
【0037】
つまり、ネジ軸回転手段は、駆動モーター612、駆動軸453、及び傘歯車4531,4532,4541,4551によって、構成されている。
【0038】
<ウェブガイド装置の制御部の構成>
図5は、第1実施例に係るウェブガイド装置45が有する制御部6の構成を示すブロック図である。また、図6は、ウェブガイド装置45によって案内されているウェブ紙22及び半裁ウェブ紙22hの紙巾方向における現在の中心位置(以下、「現在値」と記す。)の表示を行う、現在値表示画面635を表示している輪転機タッチパネル631とウェブガイド装置操作スイッチパネル632を示す図である。
【0039】
第1実施例に係るウェブガイド装置45の制御部6は、レールフレーム盤61と、折部盤62と、輪転機運転操作部63と、駆動モーター612に内蔵されモーターの出力軸回転角度を検知するポテンショメーター614とを有している。第1実施例に係るウェブガイド装置45は、新聞輪転機1の最上部に設けられているレールフレーム部4にあるので、モーター駆動線613及びポテンショメーター614からの検出信号を伝える信号線615は、配線距離を最短にできるレールフレーム盤61へ接続されている。この制御部6では、レールフレーム盤61が有するレールフレームPLC(Programmable Logic Controler)611によって、駆動モーター612のオン/オフ及び正・逆転制御と駆動モーター612に設けられたポテンショメーター614から出力される検知信号の処理が行われる。駆動モーター612は、減速ギア及びブレーキ付(図示せず)のモーターであって、それぞれのウェブガイド装置45のネジ軸454及び455の回転量の上限/下限設定用のカム及びリミットスイッチ(図示せず)と、前述のポテンショメーター614とを備える。すなわち、駆動モーター612が備える上限/下限設定用のカム及びリミットスイッチ(図示せず)と、検知信号用のポテンショメーター614といった機器が、本発明の検出手段として機能している。
【0040】
一方、操作を行うウェブガイド装置操作スイッチパネル632は、レールフレーム部4と離れている印刷フロアPFLの折畳装置54の排出口55(新聞の排出口)付近にある輪転機運転操作部63に設けられている。ウェブガイド装置操作スイッチパネル632のそれぞれのスイッチからの駆動モーター612を正・逆転させる信号は、印刷フロアPFLにある折部盤62の折部PLC621へ信号線634経由で入力が行われ、その信号は、輪転機内専用ネットワーク64経由でレールフレーム盤61へ転送されて、レールフレーム盤61のレールフレームPLC611が受信し、処理が行われる。また、ポテンショメーター614によって検知されたモーター出力軸の回転角度に基づくウェブガイド装置45の現在値表示については、輪転機運転操作部63に設けられているとともに折部PLC621に対して通信線633で接続されている輪転機タッチパネル631にて行われる。つまり、第1実施例に係る輪転機タッチパネル631が、本発明の位置表示手段として構成されている。
【0041】
<前記構成による作動>
図3では、1枚の半裁ウェブ紙22hDSは、X方向上流より水平方向からウェブガイド装置45へ導入されて、上流側ガイドローラー456へ半裁ウェブ紙22hDS下面を接して略90度巻き付きながら下方へ方向を変えて進み、次に下流側ガイドローラー457へは、上流側ガイドローラー456と半裁ウェブ紙22hDSの接した面と反対面を接して略90度巻き付きながら水平方向へ進行方向を変えて進み、さらにX方向下流側へ案内されていく。
【0042】
紙巾方向において走行位置の中心にある半裁ウェブ紙22hDSは、ウェブガイド装置45を通る過程で、紙巾方向における移動がなされる。図4におけるガイドローラー456,457が、図4の紙面に対して時計回り方向にわずかに角変位している狭幅間隔の破線のガイドローラー456a,457aの位置に移動すると、X方向上流の水平手前方向より導入された半裁ウェブ紙22hDSは、上流側ガイドローラー456に接する部分では紙巾方向において実線の上流側ガイドローラー456と同じ紙巾方向において走行位置の中心で下面を接する。そこから半裁ウェブ紙22hDSは、下面を接しながら上流側ガイドローラー456に略90度巻き付き、走行方向であるX方向を水平方向より下方へ変えながら下流側ガイドローラー457へ進むが、上流側ガイドローラー456は、図4の紙面に対して時計回り方向にわずかに角変位している狭幅間隔の破線のガイドローラー456aの位置にあるので、半裁ウェブ紙22hDSは垂直下方よりもDS(左)方向に角度をなして傾きながら進み、狭幅間隔の破線のガイドローラー457aの位置にある下流側ガイドローラー457に紙巾方向において走行位置の中心よりもDS(左)の位置に上面を接し、下流側ガイドローラー457に略90度巻きついてX方向下流側の水平奥方向へさらに案内されていく。その結果、半裁ウェブ紙22hDSはDSへの移動がなされる。
【0043】
次に、半裁ウェブ紙22hDSの紙巾方向におけるOSへの移動について説明を行う。図4におけるガイドローラー456,457が、図4の紙面に対して反時計回り方向にわずかに角変位している広幅間隔の破線のガイドローラー456b,457bの位置に移動すると、X方向上流の水平手前方向より導入された半裁ウェブ紙22hDSは、上流側ガイドローラー456に接する部分では紙巾方向において実線の上流側ガイドローラー456と同じ紙巾方向において走行位置の中心で下面と接する。そこから半裁ウェブ紙22hDSは、下面を接しながら上流側ガイドローラー456に略90度巻き付き、走行方向であるX方向を水平方向より下方へ変えながら下流側ガイドローラー457へ進むが、上流側ガイドローラー456は、図4の紙面に対して反時計回り方向にわずかに角変位している広幅間隔の破線のガイドローラー456bの位置にあるので、半裁ウェブ紙22hDSは垂直下方よりもOS(右)方向に角度をなして傾きながら進み、広幅間隔の破線のガイドローラー457bの位置にある下流側ガイドローラー457に紙巾方向において走行位置の中心よりもOS(右)の位置に上面を接し、下流側ガイドローラー457に略90度巻きついてX方向下流側の水平奥方向へさらに案内されていく。その結果、半裁ウェブ紙22hDSはOSへの移動がなされる。
【0044】
通常、印刷の前後及び印刷中、印刷作業者は、前記折畳装置54の排出口55付近に設けられた輪転機運転操作部63で輪転機運転操作を行い、排出口55から排出された新聞を手にとって印刷状態の確認を行う。その結果、選択された半裁ウェブ紙22hを紙巾方向へ移動する場合、作業者は、輪転機運転操作部63の輪転機タッチパネル631におけるウェブガイド装置45の現在値表示画面635をメニュー画面から開き、該当するウェブガイド装置45における現在値の確認を行い、ウェブガイド装置操作スイッチパネル632の該当するスイッチを操作して、半裁ウェブ紙22hをOS又はDSの方向へ移動させる。なお、ウェブガイド装置45のスイッチ操作を行っている間のみ、駆動モーター612が正転あるいは逆転作動する。
【0045】
駆動モーター612が作動して駆動軸453が回動すると、駆動軸453とOS/DSのネジ軸454,455の間にある傘歯車4531,4541,4532,4551の噛合の向きにより、それぞれのネジ軸454,455が互いに逆に回動し、同じ向きにネジ溝が切られている(例えば右ネジが切られている)OSネジ軸454とDSネジ軸455に螺合されているOSガイドローラー支持部4542,4543とDSガイドローラー支持部4552,4553は、OSとDSで反対方向へ同じ距離移動する。その結果、OSガイドローラー支持部4542,4543とDSガイドローラー支持部4552,4553の間に設けられている平行に配置された上流側ガイドローラー456と下流側ガイドローラー457は、互いに平行を保ったまま、半裁ウェブ紙22hの紙巾方向と平行な方向に対して角度をなし、これによりウェブガイド装置45より下流側の半裁ウェブ紙22hが紙巾方向へ移動する。
【0046】
輪転機タッチパネル631に表示されるウェブガイド装置45の現在値表示画面635では、半裁ウェブ紙22hの紙巾方向での現在の位置をmm(ミリメートル)単位で表示する。この表示は、半裁ウェブ紙22hが本来の走行位置にあると0mmとなる。また、半裁ウェブ紙22hの紙巾方向での調整可能範囲は、OS/DSともに0〜10mmであり、スイッチの操作を行って駆動モーター612が作動すると、リアルタイムに半裁ウェブ紙22hの現在値の変更が行われ、移動後の値が表示される。さらに、OS/DSでは、それぞれ10mmで限界検出が行われるので、たとえスイッチが操作されていても、OS/DSにおいて半裁ウェブ紙22hの紙巾方向での現在の位置が10mmに達すると、ウェブガイド装置45の作動を停止して装置の保護を行う。
【0047】
ウェブガイド装置45は、ガイドローラーの面長が倍幅のウェブ紙22に対応しているので、半裁ウェブ紙22hの紙巾方向の位置の調整のみならず、倍幅のウェブ紙22において紙巾方向の位置のずれが発生した場合でも対応可能であり、印刷準備作業の紙通し作業、又は印刷を通して複数のウェブ紙22の紙巾方向の位置のずれが発生した場合でも、輪転機運転操作部63にある輪転機タッチパネル631のウェブガイド装置45の現在値表示画面635にて該当するウェブガイド装置45の現在値を確認後、ウェブガイド装置操作スイッチパネル632にて該当するウェブガイド装置45の操作を行うことで、容易に倍幅のウェブ紙22の紙巾方向の位置調整を行うことができる。
【0048】
また、倍幅の新聞輪転機1で、図1Cにおける折畳部5の複数のフォーマー板52(OS,DS),53(OS,DS)を使い、複数のセクション(折丁)から一部を構成する新聞の作成を行う多セクション印刷では、印刷部3までは多セクション印刷を行わない通常の印刷と同じウェブ紙22の紙通し経路を通り、印刷部3で両面8ページ分印刷されたウェブ紙22はレールフレーム部4のドラッグローラー上41でスリッターナイフ42によりOS紙とDS紙の半裁ウェブ紙22hに分割されて、多セクション印刷を行わないときの紙通し経路と異なる経路で、予め決められた折畳部5のフォーマー板52(OS,DS),53(OS,DS)へ進む。図1Aにおける折畳部5の左側に配置された印刷部3で印刷されたウェブ紙22は、レールフレーム部4のドラッグローラー41上でスリッターナイフ42によってOS紙とDS紙の半裁ウェブ紙22hに分けられ、図1Aでは、OS半裁ウェブ紙22hOSは上側を、DS半裁ウェブ紙22hDSは下側を進む紙通し経路に分かれ、コンペンセーターローラー装置44、ウェブガイド装置45等を経由して、上側のOS半裁ウェブ紙22hOSはフォーマー板53OSへ進み、下側のDS半裁ウェブ紙22hDSはフォーマー板52DSへ進む。ところが、それぞれの半裁ウェブ紙hが折畳部5のフォーマー板52DS,53OSに入るまでの間で、図1A、及び図1Bにおいてフォーマー板52DSの折上ドラッグローラー51手前で上方向から下方向へ向かう上側のOS半裁ウェブ紙22hOSと、左方向から右方向へ横切る下側のDS半裁ウェブ紙22hDSが交差する部分Iがあり、互いに接近しすぎると前記交差部Iで各縁が干渉し、ウェブ紙22の破損(断紙)の原因となる。しかし、印刷前の印刷準備作業におけるウェブ紙22を新聞輪転機1の予め与えられた多セクション印刷の紙通し経路に通した段階で、作業者は干渉を認識できるため、印刷準備段階において、輪転機運転操作部63が有する輪転機タッチパネル631のウェブガイド装置45の現在値表示画面635にて、該ウェブガイド装置45の現在値を確認後、ウェブガイド装置操作スイッチパネル632にて該ウェブガイド装置45の操作を行い、それぞれの半裁ウェブ紙22hを容易に干渉しない程度に離れた位置に調整することが可能であり、その結果、印刷工程に影響を及ぼさない対応が可能となる。
【0049】
<第2実施例におけるウェブガイド装置の構成>
以上、第1実施例に係るウェブガイド装置45の具体的な構成と作動手順についての説明を行った。ただし、本発明に係るウェブガイド装置の構成は、上述した第1実施形態には限られず、あらゆる変形形態を採用することができる。そこで、次に、図7を用いて、第2実施形態に係るウェブガイド装置45の構成例についての説明を行う。ここで、図7は、第2実施例に係るウェブガイド装置45の構成を示す正面概略図であり、図3のウェブガイド装置のA矢視概略図と同様の概略図である。なお、上述した本実施形態及び第1実施例で説明した部材と同一又は類似する部材については、同一符号を付して説明と図示を省略する場合がある。
【0050】
1枚の半裁ウェブ紙22hDSに対応するウェブガイド装置45は、レールフレーム部4のOSフレーム451及びDSフレーム452の内面に、ブラケットPによって軸方向をウェブ紙走行方向Xに対して略平行に回転可能かつ軸方向位置が固定されて設けられたOSネジ軸454及びDSネジ軸455を有している。OSネジ軸454及びDSネジ軸455には、雌ネジを備えた一体物のガイドローラー支持部4544,4554によって、2本のガイドローラー456,457が支持されている。一体物のガイドローラー支持部4544,4554は、前記OSネジ軸454及びDSネジ軸455上にそれぞれ配置されており、また、一体物のガイドローラー支持部4544,4554に設けられた不図示の軸受部に対して前記ガイドローラー456,457の両端にある軸部が回転可能に嵌めこまれ、前記上流側ガイドローラー456と下流側ガイドローラー457とが平行を保持した状態で配置される。
【0051】
第2実施例に係るウェブガイド装置45は、駆動モーター612OSと駆動モーター612DSを、OSフレーム451とDSフレーム452の内面に備えており、それぞれの駆動モーター612OS,612DSの駆動軸は垂直下方へ向けて出ていて、前記OSフレーム451内面では駆動モーター612OSからOSネジ軸454へ、前記DSフレーム452内面では駆動モーター612DSからDSネジ軸455へ、それぞれ駆動軸が直接結合されている。そして、前記OSネジ軸454とDSネジ軸455のそれぞれが互いに逆に同じ角度だけ回動することにより、ガイドローラー支持部4544,4554が互いに逆方向へ同じ距離だけ移動するように構成されている。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態及び実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施形態及び実施例には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0053】
例えば、本発明に係る駆動装置の設置場所、駆動方法及び作動方向などは、上述した実施形態及び実施例に記載した内容の限りではなく、さらに、上述した実施形態及び実施例の駆動モーターは、油圧モーター、空圧モーター等のアクチユエーターを採用してもよく、電動機に限定されるものでないことは勿論である。
【0054】
また、上述したウェブ紙や半裁ウェブ紙などがウェブガイド装置内を通過する方向については、上述した実施形態及び実施例には限られない。本発明の適用は、あらゆる角度方向に送られるウェブ紙等に対して適用可能であり、また、そのようなあらゆる走行方向でウェブ紙等を送ることのできるウェブガイド装置を構成することも可能である。
【0055】
さらに、上述した第1実施例及び第2実施例では、いずれも2本のネジ軸(OSネジ軸454及びDSネジ軸455)の回転方向が逆回転となっていたが、これら2本のネジ軸の回転方向については、両ネジ軸とも同一の回転方向とすることができる。すなわち、各ガイドローラー支持部(4542,4552,4543,4553、及び4544,4554)を上述した第1実施例及び第2実施例の場合と同様に動作させることができれば、2本のネジ軸(OSネジ軸454及びDSネジ軸455)の回転方向は、同一であっても逆であっても構わない。
【0056】
またさらに、本発明で用いられる駆動モーターの設置位置について、上述した第1実施例では、OSフレーム451の外面側に駆動モーター612を設置した場合を例示し、一方、上述した第2実施例では、OSフレーム451及びDSフレーム452のそれぞれの内面側に対して1つずつ駆動モーター612(OS,DS)を設置した場合を例示した。しかしながら、本発明の駆動モーターについては、上述した第1及び第2実施例の場合と同様の作用効果を発揮することを条件として、あらゆる場所に対して設置することが可能である。また、設置個数についても、任意に選択することが可能である。
【0057】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この発明は、移動するウェブ状の素材の端面位置/中心位置のずれを調整する装置及び蛇行制御装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 新聞輪転機、2 給紙部、21 巻取紙、22 ウェブ紙、22h(OS,DS) 半裁ウェブ紙、23 張力制御装置、3 印刷部、31 印刷機(c:藍色、m:紅色、y:黄色、k:墨色)、4 レールフレーム部、41 ドラッグローラー、42 スリッターナイフ、43 ターンバー装置、44 コンペンセーターローラー装置、45(OS,DS) ウェブガイド装置、451 OSフレーム、452 DSフレーム、453 駆動軸、4531,4532,4541,4551 傘歯車、454 OSネジ軸、4542 OS上流側ガイドローラー支持部、4543 OS下流側ガイドローラー支持部、4544 OSガイドローラー支持部、455 DSネジ軸、4552 DS上流側ガイドローラー支持部、4553 DS下流側ガイドローラー支持部、4554 DSガイドローラー支持部、456 上流側ガイドローラー、457 下流側ガイドローラー、5 折畳部、51 折上ドラッグローラー、52(OS,DS),53(OS,DS) フォーマー板、54(OS,DS) 折畳装置、55 排出口、6 ウェブガイド装置の制御部、61 レールフレーム盤、611 レールフレームPLC、612(OS,DS) 駆動モーター、613 モーター駆動線、614 ポテンショメーター、615 現在値信号線、62 折部盤、621 折部PLC、63 輸転機運転操作部、631 輪転機タッチパネル、632 ウェブガイド装置操作スイッチパネル、633 通信線、634 信号線、635 輪転機タッチパネル上にウェブガイド装置の現在値を表示中の画面、64 輪転機内専用ネットワーク、PFL 印刷フロア、RFL 給紙フロア、P ネジ軸支持ブラケット、I OS半裁紙22hOSとDS半裁紙22hDSの交差部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸転機の印刷部で印刷されたウェブ紙を折畳部まで案内するためのレールフレーム部に設置されるウェブガイド装置であって、
ウェブ紙の幅方向にウェブ紙の幅より広い間隔をおいて平行に、かつ、回転可能に支持された一対のネジ軸と、
前記ネジ軸に螺合する雌ネジ部を有することで前記ネジ軸に設置されるとともに、一対のネジ軸の間で2本のガイドローラーを回転可能、かつ、平行に支持するガイドローラー支持部と、
前記一対のネジ軸が回転することによって、一方のネジ軸に設けられたガイドローラー支持部と、他方のネジ軸に設けられたガイドローラー支持部とが、互いに逆方向に同じ距離だけ移動するように前記一対のネジ軸を回転させるネジ軸回転手段と、
を有し、
前記2本のガイドローラーのそれぞれに対してウェブ紙の一方の面と他方の面が巻きつくことで、前記2本のガイドローラーによる前記ウェブ紙の案内が行われることを特徴とするウェブガイド装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェブガイド装置において、
前記ガイドローラー支持部の位置を検出する検出手段と、
検出したガイドローラー支持部の位置を表示する位置表示手段と、
を有することを特徴とするウェブガイド装置。
【請求項3】
印刷部で印刷されたウェブ紙を折畳部まで案内するためのレールフレーム部を有する輪転機であって、
印刷部で印刷されたウェブ紙の通る複数のウェブ紙経路の少なくとも1個所に、請求項1又は2に記載のウェブガイド装置が設けられていることを特徴とする輸転機。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−224421(P2012−224421A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91473(P2011−91473)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000151416)株式会社東京機械製作所 (48)
【Fターム(参考)】