説明

ウェブ製造機における幅方向(CD)動作を改善するためのCDコントローラ設定を制御するための方法および装置

【課題】 ウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法および装置を提供する。
【解決手段】 ウェブ製造機(108)をモニターし、局所的マッピング問題を発生している少なくとも1つの幅方向(CD)アクチュエータ(126)を識別する。この識別されたCDアクチュエータおよびその周囲のアクチュエータセグメントが探査され、アクチュエータについての動作曲線(227)が判定される。この動作曲線の鈍感領域の中央部が、識別されたアクチュエータについての最適マッピング整合設定として選択され、アクチュエータの設定が更新される。包括的平滑化は、包括的平滑因子を探査し、対応するパーフォーマンス曲線を発生させ、これを同様に平滑因子についての最適値を選択するのに使用することによっても達成することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大略的にウェブ形成プロセスに係わり、特にこのようなプロセスでの改良された幅方向の制御に関する。本発明は種々のシステムに適用し得るものであるが、ここでは本発明が特に好適し、当初から利用を意図した紙シートを製造するのに使用されるウェブ製造機を参照して説明する。
【背景技術】
【0002】
シート材料のウェブの特性の均質性は互いに直交する2方向での変化として特定することができる。すなわち、製造の間でのウェブの移動方向である機械方向(MD)と、製造の間における上記MDと垂直方向であるウェブを横切る幅方向(CD)である。アクチュエータの異なるセットが各方向での変動を制御するのに使用される。CD変動はCDプロフィルとして測定に現れ、一般にはウェブの幅を横切って順次配置されたアクチュエータ列により制御される。例えば、製紙機において、ヘッドボックス上のスライススクリュー列又はヘッドボックスを横切って分配された白水希釈弁列を通常使用して製紙機により製造された紙のウェブの重量プロフィルが制御される。
【0003】
ウェブを横切る異なるCD位置での変動を減少させるため、制御方式がCDアクチュエータを制御するのに使用される。この方式を成功させるため、正しいアクチュエータ、すなわちCD変動が減少されるウェブの面積を制御するアクチュエータに制御調整を適用することは重要である。従って、アクチュエータが影響するアクチュエータのCD位置と、プロフィルの面積との間の空間的関係は、高性能CDコントローラの履行にとって鍵となる。CDアクチュエータと、CDプロフィルとの間の横断方向の空間的関係は当業者にとって、“CDマッピング”として知られている。図1はCDマッピング関係100の1例を示すもので、ここでアクチュエータ列中のアクチュエータに対し形成された隆起102がCDプロフィル106に反映されている。
【0004】
多くのシート形成プロセスにおいて、CDマッピング関係は一次関数ではない。例えば、製紙機において、ヘッドスライススクリュー又は希釈弁と、重量プロフィルとの間のCDマッピングは、ウェブの両端部近傍ではより大きい収縮のため特に非直線的となる。非直線的マッピング関係は種々の機械条件の関数となる。この関係は固定した明白な関数で容易に表すことができない。特に、進行中のウェブ製造操作においては、機械の条件の進展に依存してCDマッピングが徐々に又は急激に変化し得る。
【0005】
CDマッピングにおける調整不良は制御性能の悪化につながる。マッピング調整不良の1つの典型的な兆候はCDプロフィルおよびアクチュエータプロフィルの双方におけるサインカーブ変動パターンの存在である。サインカーブパターンの出現はしばしば“ピケットフェンス”パターン又は“ピケット”として呼ばれる。CDプロフィルおよびアクチュエータプロフィルの双方に現れるピケットフェンスサイクルはシートの同一の領域に発生し、通常、比較的広い頻度のものである。マッピング調整不良の他の典型的な兆候はMDレーンにおけるサインカーブ変動パターンの存在であり、これはCDプロフィルおよびアクチュエータプロフィルの双方に現れるサインカーブ変動パターンに相当する。“ピケットフェンス”パターンとの組合せにおけるMDレーンにおけるサインカーブパターンの出現はしばしば“ウォーキングパターン”と呼ばれている。これらのパターンは、調整不良アクチュエータに適用される制御作用により生じることになる。
【0006】
このマッピング調整不良は制御セットアップを調整することにより修正することができるが、そのような調整はしばしば手動による介入を必要とする。CDマッピングの変化の頻度によっては、手動による介入の数が有意なものとなる。最小でも、手動による介入は、フォーミング末端(アクチュエータ列が配置されたプロセスの位置)および仕上げ末端(CDプロフィルが測定されるプロセスの位置)においてシートがどの程度広いかを判定することを要する。これらの判定は非常に小さい非直線的収縮でプロセスを十分に満足させるものであるが、より大きい非直線的収縮を有するプロセスでは、手動による介入が、アクチュエータとCDプロフィルとの間のマッピング関係を決定するため多数の位置でアクチュエータ列を摂動させることになる。このような摂動又は“バンプ”は一般にCD制御システムを遮断して行われる。更に、十分に離間させた小数のアクチュエータのみが通常、CDプロフィルにおける応答位置を確実に分離させるため或る時間で摂動される。大きいアクチュエータ列を有するCD制御システムについて、このような摂動又はバンプはプロセスにおいて生産期間の長期化をもたらす。
【0007】
ウェブを横切る複数の調整不良の問題を特定するため、又は対応するプロフィル最適化シーケンスを活性化するため、CDプロフィル全体の変動のような包括的インジケータに基づいた、自動化オンラインマッピング調整不良修正が提案されている[例えば、本出願人による米国特許出願No.09/592,921(発明の名称:シート製造プロセスのための横方向プロフィル制御性能の自動最適化;2000年6月13日出願;米国特許No.6,564,117)参照]。残念ながら、包括的インジケータを使用した場合、修正アクションがなされる前に、局部的プロフィル問題領域が製品損傷レベルまで形成されなければならない。更に、複数の問題が或る時間に識別されなければならないから、その時点で発生していない問題は取扱われない。
【0008】
更に、このような修正策は、動作(パーフォーマンス)曲線がV-型のような急激な最小を伴った曲線として分類できることを仮定している。この動作曲線の形は急激な最小点で最良の解決を有する。本発明者は、事実はそうでなく、むしろ、横方向の適用において、動作曲線は急峻な端部と広く平坦な中央部、つまり皿型断面により特徴付けられ、最良点はこの平坦な領域の中心近くにあり、急峻な端部近傍にはないことを見出した。従って、従来提案された整合不良修正策はかろうじて安定な点である急峻な端部に最良点を見出している。更に、機械的な問題から生じるプロフィルにおける持続的な“悪い”スポットは、解決することのできない問題への時間のかかる調査となるようなプロフィル問題を有するものとして認識することができる。
【0009】
アクチュエータ列の設定点の平滑性を制御すること、すなわち、アクチュエータ列における隣接するアクチュエータ間の設定点の相違を制限し、サイクルの振幅を減少させることも可能である。平滑性の制御も、異なるプロセス条件およびCDプロフィルにおける制御不能な変動の存在下での不確実性をモデル化するため、CD制御システムをより強固なものとするためのメカニズムとなる。
【特許文献1】米国特許出願No.09/592,921
【特許文献2】米国特許No.6,564,117
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、ウェブ製造機において、CDアクチュエータと、それが制御するウェブの対応するCDプロフィルとの間のマッピング関係の変化を克服することができるような横方向(CD)マッピング制御の改善の必要性が依然として存在する。この制御構成は、CD制御システムの中断を要することなくマッピングを修正することができ、更に、マッピングの修正の代わりに、又はそれに加えてアクチュエータの設定点の平滑性を制御するものであることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この必要性は、以下に述べる本発明により達成される。すなわち、局所的マッピング問題を発生させている少なくとも1つの幅方向(CD)アクチュエータを識別するためにウェブ製造機がモニターされる。この識別されたCDアクチュエータおよび周りのアクチュエータの区分が、アクチュエータについての動作曲線を判定するために探査される。この動作曲線は、識別されたアクチュエータについて最適なマッピング整合設定を選択するのに使用され、このアクチュエータについての設定は更新される。包括的平滑化も、対応する動作曲線を発生させる包括的平滑化因子を探査することにより達成され、この動作曲線はついで平滑化因子についての最適値を選択するのに使用される。
【0012】
本発明の1形態としてウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法が提供される。この方法は、ウェブ製造機により生産されたウェブをモニターすること、このウェブを表すデータから少なくとも2つのウェブ分析プロフィルを発生させることからなる。この少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1のものをこの少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第2のものと組合せ、この組合せを用いて、発生しているCDマッピング問題が識別される。この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータが探査され、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点がこの探査の結果から判定される。上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングがこの最適動作点に従って調整される。
【0013】
この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータの探査は、探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのマッピング整合をステッピング(stepping)することからなり、このマッピング整合工程は初期値で開始される。ウェブはこのマッピング整合工程のそれぞれでモニターされ、動作測定および許容限度が、現時点でのマッピング整合工程について探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定される。ステッピング閾値が、先行する全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定される。
【0014】
マッピング整合ステッピングが最初に第1の方向で行われ、上記探査は更に、現時点でのマッピング整合工程についての動作測定とステッピング閾値とを比較する工程と、動作測定がステッピング閾値を超えたとき、第1の方向のマッピング整合ステッピングを停止する工程とを含むものでもよい。上記探査は更に、第1の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットを設定する工程と、このハードリミットが適合したとき、マッピング整合ステッピングを停止する工程とを含むものでもよい。
【0015】
上記探査は更に、第1の方向でのマッピング整合ステッピングが終了した後の初期値でのマッピング整合工程についての動作測定とステッピング閾値とを比較する工程と、初期値でのマッピング整合工程についての動作測定がステッピング閾値を超えたとき、更なるステッピングを停止する工程とを含むものでもよい。もしも、初期値でのマッピング整合工程についての動作測定がステッピング閾値を超えないとき、第2の探査が上記第1の方向とは反対側の第2の方向で行われ、ここでマッピング整合工程が初期値で開始され、上記第2の方向で続行される状態で、探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてマッピング整合がステッピングされる。ウェブはこのマッピング整合工程のそれぞれで第2の方向でモニターされ、動作測定および許容限度が、現時点でのマッピング整合工程について第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定される。ステッピング閾値が、先行する第2の方向での全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定される。
【0016】
第2の方向での探査は更に、第2の方向で探査するため現時点のマッピング整合工程についての動作測定と、第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値とを比較する工程と、上記動作測定が第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値を超えたとき、第2の方向でのマッピング整合ステッピングを停止する工程とを含むものでもよい。この探査は更に、第2の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットを設定する工程と、このハードリミットが適合したとき、第2の方向でのマッピング整合ステッピングを停止する工程とを含むものでもよい。第1の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットは、第2の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットと等しいものでもよい。
【0017】
少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの発生は、センサーにより発生したデータ点の数に対応するウインドウを画定することにより空間的分析プロフィルを発生させることからなるものでもよい。このウインドウの中央は、ウェブ製造機における複数のCDアクチュエータのそれぞれと整合し、アクチュエータに限定されるセンサーデータを選択し、CDアクチュエータに対応するウインドウ内のセンサーデータを統計的に処理しCDアクチュエータに対応する局所データを空間的分析プロフィルに統計的に地図化する。この統計的処理はウインドウ内の局所データの変動を取り上げる工程と、ウインドウ内の局所データの二次差を取り上げる工程とからなる。
【0018】
上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの内の第1のものは空間的分析プロフィルでもよく、その第2のものは時間的分析プロフィルでもよい。この空間的分析プロフィルは空間的変動プロフィル又は空間的二次差プロフィルであってもよい。上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものは空間的分析プロフィルでもよく、その場合、上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものの内の少なくとも1つは空間的変動プロフィルであり、上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものの内の少なくとも1つは空間的二次差プロフィルである。上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものが時間的プロフィルでもよい。
【0019】
幅方向(CD)マッピングを制御する方法は、更に、少なくとも1つのCDアクチュエータについて動作曲線を発生させることを含むものでもよく、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点の判定が上記動作曲線の鈍感領域を判定する工程と、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点が上記動作曲線の鈍感領域の略中央となるように画定する工程とを具備してなるものでもよい。
【0020】
本発明の他の形態としてウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法が提供される。この方法は、ウェブ製造機の幅方向に延在するCDアクチュエータをモニターすること、このCDアクチュエータを表すデータから少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルを発生させることからなる。この少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの第1のものをこの少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの第2のものと組合され、この組合せを用いて、発生しているCDマッピング問題が識別される。この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータが探査され、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点がこの探査の結果から判定される。上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングがこの最適動作点に従って調整される。
【0021】
上記の少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの内の第1のものは時間的分析プロフィルでもよく、その第2のものは空間的分析プロフィルであってもよい。この空間的分析プロフィルは空間的変動プロフィル又は空間的二次差プロフィルであってもよい。
【0022】
本発明の更に他の形態としてウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法が提供される。この方法は、ウェブ製造機により生産されたウェブをモニターすること、このウェブを横切って延びたCDアクチュエータをモニターすることからなる。このウェブを表すデータおよびCDアクチュエータを表すデータから少なくとも2つの分析プロフィルが発生される。この少なくとも2つの分析プロフィルの第1のものをこの少なくとも2つの分析プロフィルの第2のものと組合され、この組合せを用いて、発生しているCDマッピング問題が識別される。この識別されたCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータが識別され、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点が上記の少なくとも1つのCDアクチュエータの探査の結果から判定される。上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングがこの最適動作点に従って調整される。上記の少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの内の第1および第2のものがウェブを表すデータおよびCDアクチュエータを表すデータから発生させることができる。あるいは、上記の少なくとも2つの分析プロフィルの第1のものを、ウェブを表すデータから発生させることができ、この少なくとも2つの分析プロフィルの第2のものをCDアクチュエータを表すデータから発生させることができる。
【0023】
本発明の更に他の形態としてウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法が提供される。この方法は、ウェブ製造機をモニターすること、このモニターにより発生したデータから、発生しているCDマッピング問題を識別することからなる。この識別されたCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータが識別され、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて動作曲線が発生することになる。この動作曲線の鈍感領域が識別され、最適動作点が上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて識別され、それが動作曲線の鈍感領域のほぼ中央となる。
【0024】
動作曲線を発生させる工程は、第1の方向で上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのマッピング整合をステッピングすることにより上記の少なくとも1つのCDアクチュエータを探査することからなり、ここでマッピング整合は初期値で開始される。ウェブ製造機により生産されるウェブはそれぞれのマッピング整合工程でモニターされる。動作測定および許容限度が、現時点のマッピング整合工程について探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定される。ステッピング閾値が、先行する全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定され、ここで、現時点のマッピング整合工程についての動作測定が上記ステッピング閾値と比較される。第1の方向でのマッピング整合ステッピングは、動作測定が上記ステッピング閾値を超えたとき又は行われるマッピング整合工程の数のハードリミットを超えたときに停止される。マッピング整合ステッピングが第1の方向で終了した後の初期値でのマッピング整合工程についての動作測定が上記ステッピング閾値と比較される。更に、初期値でのマッピング整合工程についての動作測定が上記ステッピング閾値を超えたとき、ステッピングが停止される。初期値でのマッピング整合工程についての動作測定が、第1の方向での探査の間に判定された上記ステッピング閾値を超えないとき、第1の方向と反対の第2の方向での探査が行われる。つまり、マッピング整合工程が初期値で開始され、上記第2の方向で続行される状態で、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてマッピング整合がステッピングされる。ウェブはこのマッピング整合工程のそれぞれで第2の方向でモニターされる。探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについての動作測定および許容限度が、第2の方向での現時点でのマッピング整合工程について判定される。第2の方向で探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値が、第2の方向での先行する全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて判定される。第2の方向での探査のための現時点のマッピング整合工程についての動作測定が、第2の方向で探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値と比較される。この動作測定が、第2の方向で探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値を超えたとき又は行われるマッピング整合工程の数のハードリミットを超えたときに停止される。
【0025】
本発明の更に他の形態としてウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法が提供される。この方法は、ウェブ製造機をモニターすること、このウェブ製造機を表すデータから少なくとも2つのウェブ分析プロフィルを発生させることからなる。この少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものを組合して、発生しているCDマッピング問題が識別される。この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータが探査され、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点がこの探査の結果から判定される。上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングがこの最適動作点に従って調整される。
【0026】
ウェブ製造機をモニターする工程は、ウェブ製造機により生産されたウェブをモニターすること、ウェブ製造機を横切って延在するCDアクチュエータをモニターすること又はウェブ製造機により生産されたウェブをモニターすること;およびウェブ製造機を横切って延在するCDアクチュエータをモニターすることからなる。
【0027】
本発明の更に他の形態としてウェブ製造機におけるシート製造機のための増幅方向(CD)マッピング制御を制御するための装置が提供される。この装置は、ウェブ製造機をモニターするためのセンサーと、以下の操作を行うためにプログラムされたコントローラとを具備してなる。つまり、この操作は、ウェブ製造機をモニターする工程と;このウェブ製造機を表すデータから少なくとも2つのウェブ分析プロフィルを発生させる工程と;上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1のものを、上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第2のものと組合せる工程と;この組合せから、発生しているCDマッピング問題が識別する工程と;この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータを探査する工程と;この探査の結果から、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点を判定する工程と;上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングをこの最適動作点に従って調整する工程とからなる。
【0028】
このコントローラは、ウェブ製造機により生産されたウェブをモニターする操作、ウェブ製造機を横切って延在するCDアクチュエータをモニターする操作又はウェブ製造機により生産されたウェブをモニターする操作;およびウェブ製造機を横切って延在するCDアクチュエータをモニターする操作を行うことができる。
【0029】
本発明の更に他の形態としてウェブ製造機において幅方向(CD)のアクチュエータの整定値設定の平滑性を制御するための方法が提供される。この方法は、ウェブ製造機により生産されたウェブをモニターすること、および包括的平滑化因子を探査することを含む。この探査された結果から包括的平滑化因子について発生した動作曲線が発生する。この動作曲線から平滑化因子についての最適動作値が判定され、包括的平滑化因子が最適値に設定される。包括的平滑化因子の探査は、包括的平滑化因子をステッピングすることからなり、ここでステップは初期値で開始される。ウェブが包括的平滑化因子の工程のそれぞれでモニターされ、動作測定および許容限度が、現時点の平滑化因子の工程のための上記包括的平滑化因子について判定される。包括的平滑化因子についての最小動作測定および最小許容限度が、先行する全てのマッピング整合工程の間において収集されたデータに基づいて判定される。
本発明の他の特徴および利点は以下の説明、図面および請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を図面を参照して説明する。図2は製紙機108を示しており、これには長網抄紙機ワイヤー領域110と、プレス領域112と、ドライヤー領域114(中央部が切欠されていて、他のウェブ処理装置、例えばサイジング領域、追加のドライヤー領域など当業者が公知の製紙機108に含まれるべき装置を含み得ることを示唆している)とが含まれる。
【0031】
長網抄紙機ワイヤー領域110は、駆動ローラ118と、この駆動ローラ118との関係で正しく配置された複数のガイドローラ120とを巻回する無端ベルト116を具備してなる。この駆動ローラ118は適当な駆動機構(図示しない)により回転駆動され、無端ベルト116の上面がMD(このプロセスの機械方向)で示した矢線方向に移動するようになっている。ヘッドボックス122はパルプスラリー(すなわち、紙原料)を受理し、スライスリップ124を介して排出される。このスライスリップ124は、図2で示すようなスライススクリュー(希釈弁も使用することができる)からなる複数のCDアクチュエータ126を用いて制御され無端ベルト116の上面にパルプスラリーを排出させる。このパルプスラリーは無端ベルト116上で脱水され紙のウェブ128が形成される。ウェブ128を形成させるため、このパルプスラリーから出た水は白水と呼ばれ、パルプを低濃度で含み、長網抄紙機ワイヤー領域110の下で集められ、公知の様式で製紙機108を循環するようになっている。
【0032】
このように形成されたウェブ128はプレス領域112で更に脱水され、ドライヤー領域114へ送られる。このドライヤー領域114は複数のスチーム加熱ドラム130を有する。ウェブ128はプロセスに沿うMDに配置された他の公知の装置により処理されてもよく、これは最終的にウェブロール130により取り上げられる。図2で走査センサー132として示されているウェブ128の特徴を感知するための装置がウェブロール130に実質的に隣接して配置されている。なお、他の型の感知装置を本発明に使用することも可能であり、例えばウェブ128の一部又は全体を測定するための静止感知装置を使用することができ、このような感知装置をウェブ128に沿う他の場所に配置させてもよい。
【0033】
先に述べたように、製紙機108におけるCDマッピングの整合不良はCD制御動作の悪化につながり、例えば、しばしば“ピケットフェンス”パターン又は“ピケット”と呼ばれるサインパターンを生じさせる。更に、MDレーンにおけるサインパターンは“ピケットフェンス”パターンとの組合せでしばしば“ウォーキングパターン”と呼ばれるパターンを生じさせる。本発明は個々の局所的マッピング整合不良が発生したとき、それを認識し、検出された各マッピング整合不良について改善された局所的CD制御設定を判定し、この改善されたCD制御設定をCDコントローラに細かく調和させることによりCDマッピング整合不良を克服するものである。それにより整合不良を改善、修正し、CDコントローラが改善、持続した長期パーフォーマンスを行えるようにする。本発明では更に、マッピングの修正の代わりに、又はそれに加えてCDアクチュエータの整定点の平滑性を制御することができる。本発明のCD制御は、製紙機108のためのコントローラ134内に含ませることが好ましい。但し、コントローラ134に結合させた別のコントローラ(図示しない)に含ませることも可能である。
【0034】
本発明の制御構成は、プロフィルモニタリング、プロフィル探査およびプロフィル修正の操作からなる。プロフィルモニタリングは、局所的プロフィルアクチュエータ整合不良領域を急速に識別するパターン認識を使用するものである。マッピング整合不良領域が一旦識別されると、その領域が、調整CD制御パラメータにより探査され、プロフィル動作曲線を発生させる。このプロフィル動作曲線が一旦発生すると、動作曲線の最適点を反映するためにCD制御パラメータが更新される。
【0035】
CDコントローラが、整合を描くためのCDマッピング又はアクチュエータについての正確な情報を最早持たなくなったとき、マッピング整合不良が発生する。1例が図3に示されており、ここで、アクチュエータおよびプロフィルは1対1の関係を有する。すなわち、1つのアクチュエータが移動したとき、アクチュエータの幅を有するプロフィルの1領域のみが影響を受ける。この例において、3つの制御アクションが示されている。頂部の像はアクチュエータの位置を示し、底部の像はシートのCD測定を示している。点線は、CDコントローラ中のアクチュエータおよびセンサープロフィル整合のためのCDマッピングを表している。黒い実線で示された斜線は実際のアクチュエータおよびセンサーの整合を表している。
【0036】
図3の領域Aにおいて、136Bは制御が最初にオンになったときの測定を示している。CDコントローラがこのエラーを認識し、修正を行う。問題は、CDコントローラがアクチュエータを調整しプロフィルの問題を解決するが、アクチュエータの変化は実際には整合不良のため次のゾーンで問題を生じさせる。マッピングが図示の全てのアクチュエータに亘ってオフとなっているから、マッピングの問題が“ウォーキングパターン”を生じさせる。第3の制御アクション138Bまでに、最初のエラーが依然として存在し、スタートの時点で存在していなかった3つの更なるエラーが、CDマッピング整合不良のために導入される。
【0037】
図3には、マッピング整合不良の1例のみが示されている。勿論、初期のエラーおよびCDコントローラにより適用されるアクチュエータの応答のタイプによって、厳しさの程度の異なる他のプロフィルの問題も生じ得る。更に、図3の整合不良は、全てのアクチュエータが整合不良であるという最悪のケースの包括的マッピング問題を推定していることを留意すべきである。このようなケースはまれである。むしろ、殆どの場合、マッピング整合の問題は局所的であり、局所的に影響を受けた領域に限られている。
【0038】
ヒトの眼は局所的マッピング整合不良が存在するウェブの領域を検出することができる。残念ながら、ウェブを常時、肉眼で監視することができず、整合不良の肉眼による検出は、可なりの時間に亘り整合不良の問題が持続した後でのみ可能となる。ウェブ自体に加えて、ウェブ生産に対応するアクチュエータのプロフィル、すなわち、アクチュエータの設定は、CDマッピング整合不良に関する更なる情報を提供するものである。
【0039】
CDプロフィルと、CDアクチュエータとの間のプロセス利得関係によっては、ウォーキングパターンのようなマッピング整合不良をセンサープロフィル又はアクチュエータプロフィルにより容易に見出すことができる。プロセス利得が大きい場合は、小さなアクチュエータの変化が大きなプロセス変化を生じさせることになる。この場合、センサープロフィルはアクチュエータプロフィルよりも早くマッピング整合不良を示すことになる。他方、プロセス利得が小さい場合は、アクチュエータプロフィルはセンサープロフィルよりも早くマッピング整合不良を示すことになる。その結果、一方のみを観察し、他方を観察しないことにより、マッピング不整合識別の遅延を生じされることになる。
【0040】
ウェブは、常時、肉眼で観察することができず、また、肉眼の観察によるマッピング整合不良の問題の検出がその問題が可なりの時間持続した後でのみ可能であるから、本発明のマッピング制御により提供される継続的な数学的分析はこの肉眼に取って代わるものとなる。実際に、この分析は、肉眼よりも迅速に整合不良問題を検出することができ、問題の存在を肉眼が検出する前に問題を既に修正し得るものであるから肉眼の感知能力を改善するものとなる。
【0041】
本発明のマッピング制御のモニター方式は、分析の工程、分析結果のパーシステンスを評価する工程、およびCDアクチュエータを識別するパーシステンス評価を、発生するCDマッピング問題と組合せるための規則を適用する工程とを含む。モニタリングは、マッピング問題を有するウェブの領域と整合するCDアクチュエータを識別するために継続的に行われる。マッピング問題を有するCDアクチュエータが識別され、このCDアクチュエータについて探査が開始された後、探査されている識別されたCDアクチュエータを囲むCDアクチュエータのセグメントがCDモニタリングの範囲から除去される。すなわち、探査のため取り上げられない。他の残留するCDアクチュエータは継続して評価され、もしも、他のアクチュエータがこの探査操作の間にマッピング問題を有するものとして示された場合は、それらは新規な探査用アクチュエータとして加えられる。このモニタリングは、全てのCDアクチュエータがモニタリング対象範囲から外されるまで継続される。取り上げられたCDアクチュエータの現時点のセットについて探査が終了した後は、モニタリングプロセスがリセットされ、モニタリング操作がウェブ全体について再び行われる。
【0042】
分析工程において、分析プロフィルが、CDマッピング問題と大きく関連するCD制御情報から作成される。本発明では、高解像度CDエラープロフィルおよびCDアクチュエータ整定点がCDマッピング問題と大きく関連するCD制御情報の例である。
【0043】
高解像度CDエラープロフィルは、全幅CD標的プロフィルから全幅CDセンサープロフィルのずれを表す列ベクトルである。この高解像度CDエラープロフィルは下記式(1)により定義づけすることができる。
【0044】
e(x,z)=p(x,z)−pr(x,z) (1)
ここで、
x=紙の全幅又はシートについての継続的CD位置のm-エレメントベクトルである。xのエレメントはしばしばCDプロフィルデータボックス数(又は単にCDデータボックス) 又はレーン数と呼ばれる。
z=現時点のデータサンプル。
e(x,z)=全幅高解像度CDエラープロフィルを表す列ベクトルである。
e(xi,z)=CDデータボックスxiでのシートの特性におけるエラーを表すe(x,z)のエレメントである。
p(x,z)=全幅高解像度CDセンサープロフィルを表す列ベクトルである。
p(xi,z)=CDデータボックスxiでのシートの特性を表すp(x,z)のエレメントである。
pr(x,z)=全幅高解像度CD標的プロフィルを表す列ベクトルである。
pr(xi,z)=CDデータボックスxiでの標的値を表すpr(x,z)のエレメントである。
【0045】
高解像度CDエラープロフィルe(x,z)および全幅高解像度CDセンサープロフィルp(x,z)は周期的に更新される。走査測定システムについては、この更新は走査測定システム内に収容されているセンサーがウェブ又はシートの端部に到達したときになされる。高解像度CD標的プロフィルpr(x,z)はユーザーが標的プロフィルを変更するときに更新される。
【0046】
高解像度CDエラープロフィルからは、これをCDアクチュエータと整合させることによりマップ化CDエラープロフィルが作成される。マップ化CDエラープロフィルは、CDアクチュエータの存在数と同じ数のエレメントを有する列ベクトルである。マップ化CDエラープロフィルをCDアクチュエータの分解能に持っていくことにより、マッピング整合不良を有するプロフィル領域に対応するアクチュエータナンバーを本発明のモニタリング操作により直接ピックアップすることができる。この高解像度CDエラープロフィルは、下記式(2)によりマップ化CDエラープロフィルに変形することができる。
【0047】
em(y,z)=M・F・e(x,z) (2)
ここで、
y=継続的CDアクチュエータのn-エレメントベクトルである。yのエレメントはしばしばCDアクチュエータゾーン数と呼ばれる。
z=現時点のデータサンプル。
em(y,z)=マップ化CDエラープロフィルを表す列ベクトルである。
e(x,z)=全幅高解像度CDエラープロフィルを表す列ベクトルである。
F=m-行およびm-列を有するアンチアライアシング(anti-aliasing)・フィルターマトリックスである。
M=高解像度CDエラープロフィルをマップ化CDエラープロフィルに変形するためのマッピングマトリックスである。このマッピングマトリックスはn-行およびm-列を有する。
【0048】
フィルターマトリックスFは、マトリックスMの再サンプリング操作を行いマップ化CDエラープロフィルを作成する前に、高解像度CDエラープロフィルにおける高い度数変動を除去するのに役立つ。もし、Fがバンド・対角行列であるとすると、Fの非ゼロバンド・対角エレメントは2側ローパスフィルターウインドウを画成するものとなる。このマトリックスFにおける非ゼロエレメントを、Hanning,HemmingおよびBlackmanなどの受け入れられたウインドウイングフィルターから計算できることは当業者にとって明らかであろう。
【0049】
マッピングマトリックスMは正方形ではない。マトリックスMの全ての行について、もし行jが、値1(1)と等しい単一エレメントmjiを含み、同じ行の他の全てのエレメントが値ゼロ(0)に等しい場合、マッピングマトリックスは、マップ化CDエラープロフィルのCDデータボックスxiないしCDアクチュエータyjに対応する高解像度CDエラープロフィルのフィルターされた値をマップ化することになる。マトリックスMの全ての行について、もし行jが、値1(1)と等しい継続的エレメントの範囲の合計を有するエレメントmjiを中心とする継続的エレメントの範囲を含み、この継続的エレメントの範囲に含まれない他の全てのエレメントが値ゼロ(0)に等しい場合、マッピングマトリックスは2側ローパスフィルターであって、高解像度CDエラープロフィル中のエレメントmjiを中心とする継続的エレメントの範囲ないしマップ化CDエラープロフィルのCDアクチュエータyjに対応するCDデータボックスの範囲をマップ化することになる。
【0050】
モニタリング操作の分析工程において、マップ化CDエラープロフィルの履歴は、しばしば“ウォーキング”パターンと呼ばれる結果を生じさせるマッピング整合不良の問題の存在を確立するのに必要である。このモニタリング操作の分析工程のため、マップ化CDエラープロフィルが円形バッファー内に記憶される。この円形バッファーは記憶方法であって、バッファー内に現時点記憶されているデータを、新規なデータを導入する前に、1つのレジスターによりヒストリーデータの方向に最初にシフトさせる。マップ化CDエラープロフィルのヒストリーは図4に例示したようにマトリックスEm(y,z)140で表すことができる。先に定義したように、変数yは継続的CDアクチュエータナンバーのベクトルである。変数zはマップ化CDエラープロフィルの連続的更新のs-エレメントベクトルである。zのエレメントはしばしばデータサンプル又は更新と呼ばれ、z0又はzは現時点のデータサンプルであり、zkはzの前にkの更新を受けたデータサンプルである。本発明において、zにおけるエレメントsの数は分析されるべき時間的データの程度を特定するためにユーザーにより規定される。図4に例示するように、列em(y,zk)142 はマトリックスEm(y,z)の1つのエレメントであり、最新の更新の前にkの更新を記憶したマップ化CDエラープロフィルを表す列ベクトルである。図4に示すように、行em(yj,z)144 はマトリックスEm(y,z)の1つのエレメントであり、マップ化CDエラープロフィルの全てのサンプルについてのCDアクチュエータyjでのマップ化CDエラープロフィル値を表す行ベクトルである。
【0051】
CDアクチュエータプロフィルは、CDアクチュエータのそれぞれについての整定点を表す列ベクトルである。このアクチュエータの整定点の値はベクトルu(y,z)で表すことができる。変数yは継続的CDアクチュエータナンバーのベクトルである。変数zはアクチュエータの整定点の現時点のサンプルである。u(y,z)のエレメントu(yj,z)はCDアクチュエータyjについての整定点値を表す。
【0052】
CDアクチュエータの整定点は一般に、CDエラープロフィル更新の整数に等しい周期で周期的に更新され、この更新期間はユーザーにより特定される。例えば、CDアクチュエータの整定点はCDエラープロフィルの5回目の更新毎に更新される。しかし、本発明のモニタリング操作での使用において、CDアクチュエータの整定点がCDエラープロフィル更新と同じ頻度で取り上げられる。これによりCDエラープロフィルとCDアクチュエータの整定点との間に調和が導入される。
【0053】
マップ化CDエラープロフィルに対し行われる分析と同様に、CDアクチュエータ整定点のヒストリーがモニタリング操作にとって必要である。マップ化CDエラープロフィルのヒストリーはマトリックスU(y,z)で表すことができる。変数yは継続的CDアクチュエータナンバーのベクトルである。変数zはCDアクチュエータの整定点の継続的サンプルのベクトルである。U(y,z)におけるzの時間的範囲(time horizon)は、マップ化CDエラープロフィルのヒストリーとCDアクチュエータの整定点との間の調和を維持させるためEm(y,z)に現れるものと同じである。U(y,z)のエレメントu(y,zk)は最新の更新の前にkの更新を記憶したCDアクチュエータの整定点を表す列ベクトルである。U(y,z)のエレメントu(yj,z)はCDアクチュエータの整定点値の全てのサンプルについてのCDアクチュエータyjでのCDアクチュエータ整定点値を表す行ベクトルである。
【0054】
マップ化CDエラープロフィルおよびCDアクチュエータ整定点に基づいて、分析が行われ、この工程には、分析プロフィルを作成する統計的操作の実行が含まれ、これはマッピング整合不良の問題の空間的(CDプロフィル)および時間的(MDヒストリー)特徴に対する洞察を提供する。分析プロフィルの作成は下記の一般式(3)により規定することができる。
【0055】
a(y,W,v)=W・v(y) (3)
ここで、
v(y)=状態調整した入力ベクトルを表す列ベクトル。
W=分析プロフィル変換マトリックス。
y=継続的CDアクチュエータのn-エレメントベクトル。
a(y,W,v)=マトリックスWにより変換された入力vの分析プロフィル。
【0056】
本発明で考察される分析プロフィルを得るために、或る変換例を以下に説明するが、その他の変換を用いてマッピング整合不良の問題への洞察を提供することも可能であることを理解されたい。マップ化CDエラープロフィルおよびCDアクチュエータ整定点は、CD制御に関する異なるタイプの情報であるが、前述の変数、em(y,z)、u(y,z)、Em(y,z)、U(y,z)は構造的に同様である。説明の簡便化のため、以下の分析プロフィルの発展をマップ化CDエラープロフィルに適用する。これと同様の発展をCDアクチュエータ整定点又はem(y,z)、u(y,z)、Em(y,z)、U(y,z)と同様の構成により特長付けられる他の入力にも容易に適用し得ることは当業者にとって明らかであろう。
【0057】
空間的変動分析プロフィルは、as(y,Ws,v)で表される列ベクトルであり、入力プロフィルの各CD位置でのウィンドウド(windowed)変動のプロフィルとして定義される。この空間的変動分析プロフィルは、入力ベクトルを有する同一重み付き二乗平均ウィンドウを巻き込むことにより得ることができる。式3において、空間的変動分析プロフィルは状態調整した入力ベクトルv(y)および空間的変動変換マトリックスWsを規定する以下の工程を実行することにより得ることができる。
【0058】
1.入力ベクトルem(y,z)から平均値を除去し、その結果を中間列ベクトルq(y,z)に当て嵌める工程。
【0059】

【0060】
ここで、
em(y,z)=入力ベクトルを表す列ベクトル(例えば、マップ化CDエラープロフィル)。
n=入力ベクトルにおけるエレメントの数。
q(y,z)=入力ベクトルにおけるエレメントの数と等しいエレメントの数を有し、平均を除去した入力ベクトルを表す中間列ベクトル。
O=行と列の数が入力ベクトルにおけるエレメントの数と等しい正方行列。この行列Oにおける全てのoijは1(1)の値と等しい。
【0061】
2. 状態調整した入力ベクトルv(y)を形成する工程であって、ここでエレメントv(yj)はベクトルq(y)の対応するエレメントq(yj,z)の二乗に等しい。
【0062】

【0063】
3. 空間的変動変換マトリックスWsを形成する工程であって、エレメントwijは式(6)で規定される。Wsは行と列の数が入力ベクトルにおけるエレメントの数と等しい正方行列である。変数Dsvaは等しく重みづけしたウィンドウを規定するのに使用される片面重みづけ長さである。もし、この片面重みづけ長さDsvaが余りにも小さく設定された場合、統計的に有効な変動プロフィルを保証するのに十分なデータが存在しないことになる。この片面重みづけ長さDsvaが余りにも大きく設定された場合は、局所的空間問題は重くろ過されることになる。好ましい出発値は、この片面重みづけ長さDsvaを、5−10のアクチュエータと等しい長さとなるような値に設定することである。
【0064】

【0065】
4. 空間的変動分析プロフィルas(y,Ws,v)を計算する工程。
as(y,Ws,v)=Ws・v(y) (7)
【0066】
空間的二次差分析プロフィルは、ad(y,Wd,v)で表される列ベクトルであり、入力プロフィルの各CD位置におけるウィンドウド空間的二次差のプロフィルとして規定される。空間的二次差分析プロフィルは、入力ベクトルを有する3つのエレメントのウィンドウを巻き込むことにより得ることができる。式3において、空間的二次差分析プロフィルは状態調整した入力ベクトルv(y)および空間的二次差変換マトリックスWdを規定する以下の工程を実行することにより得ることができる。
【0067】
1.状態調整した入力ベクトルv(y)を、入力ベクトルem(y,z)と等しく設定する工程。
v(y)=em(y,z) (8)
【0068】
2.空間的二次差変換マトリックスWdを形成する工程は式(9)により規定される。Wdは行と列の数が入力ベクトルにおけるエレメントの数と等しいバンド・対角正方行列である。
【0069】

【0070】
3.空間的変動分析プロフィルad(y,Wd,v)を計算する工程。
Ad(y,Wd,v)=Wd・v(y) (10)
【0071】
時間的変動分析プロフィルは、at(y,Wt,v)で表される列ベクトルであり、入力ベクトルのヒストリーマトリックスにおける各CD位置での変動のプロフィルとして規定される。時間的変動分析プロフィルは、各CD位置のs-サンプルの変動を計算し、得られた変動値をCD位置に対応するatのエレメントに割り当てることにより得ることができる。式3において、時間的変動分析プロフィルは、状態調整した入力ベクトルv(y)および変換マトリックスWtを規定する以下の工程を実行することにより得ることができる。
【0072】
1.CD位置yjでの入力ベクトルem(yj,z)および行列Em(y,z)から平均値を除去し、その結果を中間行ベクトルq(yj,z)に当て嵌める工程。
【0073】

【0074】
ここで、
em(yj,z)=CD位置yjでの入力ベクトルのサンプルヒストリーを表す行ベクトル(例えば、マップ化CDエラープロフィル)。
s=入力ベクトルにおけるヒストリーエレメントの数。
q(yj,z)=入力ベクトルem(yj,z)におけるエレメントの数と等しいエレメントの数を有し、平均を除去した入力ベクトルを表す中間行ベクトル。
O=行と列の数が入力ベクトルにおけるエレメントの数と等しい正方行列。この行列Oにおける全てのoijは1(1)の値と等しい。
【0075】
2. 状態調整した入力ベクトルv(yj)を形成する工程であって、ここでエレメントv(yj)はベクトルq(z)のエレメントq(zk)の二乗の合計に等しい。
v(yj)=q(yj,z)qT(yj,z) (12)
【0076】
3. y中の全てのyjエレメントについて工程1および2を繰り返すことにより状態調整した入力ベクトルv(y)を形成する工程。
【0077】
4. 入力ベクトルv(y)中のエレメントの数の逆数により予め掛け算することにより単位行列である変換マトリックスWtを形成する工程。このマトリックスWtは式(13)により規定される。Wは行と列の数が入力ベクトルにおけるエレメントの数と等しい正方行列である。
【0078】

【0079】
5. 空間的変動分析プロフィルat(y,Wd,v)を計算する工程。
At(y,Wt,v)=Wt・v(y) (14)
【0080】
時間的変動分析プロフィルについて、入力ベクトルのs-エレメントを保存することが入手可能なメモリーにより制限される。この制限されたメモリーシステムについて、記憶消却因子を使用する時間的変動の再帰フォームも、パー・レーンベースに基づくMDヒストリーに適用することができる。時間的変動分析プロフィルについての式を、式(15)に示すようにマトリックス型から加法型に変換し得ることは当業者にとって自明であろう。
【0081】

【0082】
ここで、
em(yj,zk)=位置yjおよび時間zkでのマップ化CDプロフィルを表すスカラー。
s=入力ベクトルにおけるヒストリーエレメントの数。
【0083】
崩壊重み付け因子を式(15)に加えることにより、第2のフォームが生じ、これは加法においてより古い値の寄与を減少させ、より古い情報の逐次的除去を生じさせる。この新たなフォームは下記(16)で示される。
【0084】

【0085】
ここで、
em(yj,zk)=位置yjおよび時間zkでのマップ化CDプロフィルを表すスカラー。
s=入力ベクトルにおけるヒストリーエレメントの数。
T=ユーザーが規定する崩壊値。
【0086】
式(16)の利点は、先の値から帰納的に計算できることである。これにより、式(15)に必要なs-エレメントメモリーバッファーの保存を必要とせずに時間的変動分析プロフィルの連続的計算が可能となる。当業者に公知の標準帰納法を用いて、式(16)に規定されるシーケンスの次の値が式(17)で規定される。
【0087】

【0088】
ここで、
em(yj,zk)=位置yjおよび時間zkでのマップ化CDプロフィルを表すスカラー。
s=入力ベクトルにおけるヒストリーエレメントの数。
T=ユーザーが規定する崩壊値。
【0089】
この帰納法は、s-エレメントヒストリーマトリックスのバッファリングを必要とせずに実際の時間的変動分析プロフィルの極めて近似したものを生じさせる。
【0090】
前記説明および下記表から、以下のことが明らかである。すなわち、本発明で説明したプロフィル・モニタリングの分析部分は6つの分析プロフィルの発生をもたらす。すなわち、マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析;マップ化CDエラープロフィルの時間的変動分析;マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析の時間的変動分析;マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析;CDアクチュエータ整定点の時間的変動分析;CDアクチュエータ整定点の空間的変動分析である。
【0091】
プロフィル(1):
(入力):マップ化CDエラープロフィル
(適用分析;Wv):空間的変動
(出力;a(W,v)):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析
プロフィル(2):
(入力):マップ化CDエラープロフィル
(適用分析;Wv):時間的変動
(出力;a(W,v)):マップ化CDエラープロフィルの時間的変動分析
プロフィル(3):
(入力):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析
(適用分析;Wv):時間的変動
(出力;a(W,v)):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析の時間的変動分析
プロフィル(4):
(入力):マップ化CDエラープロフィル
(適用分析;Wv):空間的二次差
(出力;a(W,v)):マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析
プロフィル(5):
(入力):CDアクチュエータ整定点
(適用分析;Wv):時間的変動
(出力;a(W,v)):CDアクチュエータ整定点の時間的変動分析
プロフィル(6):
(入力):CDアクチュエータ整定点
(適用分析;Wv):空間的二次差
(出力;a(W,v)):マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析
【0092】
正規化分析プロフィルα(y,z)は、最初に分析プロフィルの各エレメントから分析プロフィルa(y,W,v)中の全てのエレメントの平均値を除去し、ついで得られた“ゼロ平均分析プロフィル”を、対応する分析プロフィル中の全てのエレメントの標準偏差で割ることにより計算することができる。
【0093】

【0094】
a(y,W,v)=分析プロフィル。
n=分析プロフィルにおけるエレメントの数。
q=分析プロフィル中のエレメントの数と等しいエレメントの数を有する中間列ベクトル。
O=行と列の数が分析プロフィルにおけるエレメントの数と等しい正方行列。この行列Oにおける全てのoijは1(1)の値と等しい。
【0095】
正規化分析プロフィルを発生させる分析プロフィルの正規化は分析プロフィルから関連するユニットを除去する。この正規化分析プロフィルの値は分析プロフィル中の全てのエレメントの標準偏差の因子を表すものである。例えば、正規化分析プロフィルの1つのエレメントについての2(2)の値は、そのエレメントが分析プロフィルの標準偏差の2倍であることを意味している。もし、正規化分析プロフィルの1つのエレメントにより表されるウェブの領域が、パーシステンス閾値(ユーザーが選択したもの、又は自動的に設定されたもの)を超え始めると、パーシステンスが正規化分析プロフィルのそのエレメントについて存在すると考えられる。
【0096】
分析プロフィルが判定された後に行われるパーシステンス工程は、判定された分析プロフィルのそれぞれについてパーシステンスプロフィルc(y,z)を発生させる。このパーシステンスプロフィルc(y,z)は、意図する分析プロフィルと同じエレメント数を有するベクトルである。パーシステンスプロフィルは、正規化分析プロフィルのエレメントを、ユーザーが選択した、又は自動的に設定されたパーシステンス閾値Lptと比較した結果を示すものである。パーシステンスプロフィルのエレメントを、正規化分析プロフィル中の対応するエレメントとパーシステンス閾値との比較に基づいて更新するために計数方法が用いられる。パーシステンスプロフィルc(y,z)のエレメントc(yj,z)はCD位置yjでのパーシステンスカウントを表すものである。
【0097】
特定のパーシステンスプロフィルc(y,z)が、対応する正規化分析プロフィルとパーシステンス閾値Lptとの比較に基づいて更新される。パーシステンスプロフィルのエレメントc(yj,z)の値は、正規化分析プロフィルのCD位置yjでの値がパーシステンス閾値よりも上になるたびに1(1)だけ増加することになる。又、パーシステンスプロフィルのエレメントc(yj,z)の値は、正規化分析プロフィルのCD位置yjでの値がパーシステンス閾値よりも下になるたびに1(1)だけ減少することになる。
【0098】
c(y,zk)=c(y,zk-1)+sgn(α(y,zk)-Lpt) (19)
【0099】
図5は計数方法を示すものであり、ここで正規化分析プロフィルの4つの走査がパーシステンスプロフィルの計算が説明されている。パーシステンスプロフィルc(y,z)中の全てのエレメントのパーシステンス・カウントがゼロと上限との間に制限されパーシステンス・カウントの”ワインド・アップ”を防止している。この上限はパーシステンス・カウントについても設定され、パーシステンスプロフィルの単一エレメントが、次の工程、つまり組合せ規則を適用する工程で探査CDアクチュエータの選択が誘発されるのを防止している。一例として、本発明の実施例として、上限はパーシステンス閾値の1.5倍となるように設定される。パーシステンスプロフィルは、パーシステンス閾値を分析プロフィルの標準偏差の因子に設定することにより同調される。例えば、2の値(2)は、パーシステンスプロフィルの更新が開始される前に、正規化分析プロフィルが標準偏差の約2倍の区域を有する者でなければならないことを意味している。
【0100】
パーシステンスプロフィルが決定されたのちに行われるところの組合せ規則を適用する工程は2つの異なるパーシステンスプロフィルc(y,z)から規則プロフィルcr(y,z)を発生させ、これは発生しているCDマッピング問題を有するCDアクチュエータをピックアップするのに使用される。この規則プロフィルcr(y,z)は意図するパーシステンスプロフィルc(y,z)と同じエレメント数を有するベクトルである。ロジカルおよびアリスメティック操作の組合せが、2つの異なるパーシステンスプロフィル中の対応するエレメントの周りのウインドウド領域に基づいて規則プロフィルのエレメントを更新するのに使用される。この規則プロフィルがついで、ユーザーにより特定された、又は自動的に設定された規則閾値Lrtと比較される。規則プロフィルのエレメントが一旦、規則閾値を超えると、センター・オブ・グラビティ操作が行われ、CDアクチュエータがピックアップされる。この取り上げられたCDアクチュエータは、ついで改善されたマッピング整合を見出すために探査される。
【0101】
この実施例においては、6つのパーシステンスプロフィル(分析プロフィルのそれぞれについて1つ)が存在するから、2つの異なるパーシステンスプロフィルの対は、15の可能な規則プロフィルの計算をもたらし、ユーザーは1又はそれ以上の規則プロフィルの計算を行うことが可能ないし不能となる。ついで、規則プロフィルを使用して、劣化したプロフィルの領域(整合問題がウェブを横切って発生している)を判定する。この時点で、規則プロフィルは異なる2つのパーシステンスプロフィルを組合せ、整合問題の偽りの識別の機会を減少させる。本発明の或る用途においては、単一のパーシステンスプロフィル又はパーシステンスプロフィルの組合せ(2,3など)から規則プロフィルを作成することが可能であると思われる。
【0102】
規則プロフィルの計算のための入力はパーシステンスプロフィルである。上述のように、現時点、各規則プロフィルを発生させるのに2つの異なるパーシステンスプロフィルが使用される。2つの任意に選択されたパーシステンスプロフィル1および2について、ユーザー特定の片面幅Drwを有するスライデング・ウインドウが、2つのパーシステンスプロフィルのベクトルc(y,z)上に重ねられる。このスライデング・ウインドウはDrwの値の2倍に1を加えることにより決定され、得られたウインドウはy中の偶数のエレメントと等しいものとなる。図6中のウインドウA160およびB161により表されるスライデング・ウインドウは、各パーシステンスプロフィルのベクトルc(y,z)に沿って一時にyの1エレメント分移動され、2つのパーシステンスプロフィルの同じyjエレメント上に整合される。各CD位置yjにおいて、2つの整合されたウインドウAおよびB内のパーシステンスプロフィル中の最大値が以下のように決定される。
【0103】

【0104】
2つのウインドウについての最大値が一緒に加えられ、平均値が図6中のCD位置yjでの規則プロフィルへのエントリーとして採用される。
【0105】

【0106】
図6において、ウインドウAおよびBがDrwについての1の値からの3つのアクチュエータ幅として説明されている。しかし、他の偶数のアクチュエータをスライデング・ウインドウとして使用することができる。図示のように、ウインドウAの3つのエレメントの最大値は4であり、ウインドウBの3つのエレメントの最大値は2である。従って、最大値の合計は、4+2=6である。2つのウインドウが使用されるから、対応する規則プロフィルエントリー位置(つまりウインドウAおよびB上)におけるエントリーのための平均値は6の半分、つまり3となる。このウインドウはついで互いに摺動され、次の計算が行われる。
【0107】
探査のためのCDアクチュエータ取り上げのための入力は規則プロフィルおよび規則閾値Lrtである。この規則プロフィルは、探査アクションのためCDアクチュエータがピックアップされる前に存在されなければならない問題の期間を決定するものである。もし、この規則プロフィルを余り低く設定すると、偽りのトリガーが発生することになる。もし、この規則プロフィルを余り高く設定すると、トリガーが発生する前にこのプロフィルが著しく劣化することになる。規則プロフィルcr(y,z)のそれぞれのエレメントが規則閾値を比較される。規則プロフィルのエレメントcr(yj,z)が一旦、規則閾値を超えると、センター・オブ・グラビティ計算が行われ(yjの周りのユーザー特定片面ウインドウの長さDcog)、CDアクチュエータy*(h)がピックアップされる。この取り上げられたCDアクチュエータは、ついで改善されたマッピング整合を見出すために探査される。本実施例において、片面ウインドウの長さDcogが5−10のCDアクチュエータの範囲に亘って選択される。センター・オブ・グラビティ計算から得られる最も近似の整数値はCDアクチュエータy*(h)である。
【0108】

【0109】
ここで、
cr(yj,z)=規則閾値を超えた規則プロフィルのエレメント。
Dcog=センター・オブ・グラビティ計算における特定片面ウインドウの長さ。
Round()=最も近似の整数値に対し入力をラウンド(rounding)する関数。
【0110】
ピックアップされたCDアクチュエータy*(h)がセットY*に添加され、ついで探査される。このセットY*はゼロないしhtotalエレメントを有するものでもよく、これは現時点でピックアップされたCDアクチュエータ並びに先にピックアップされたCDアクチュエータの全てのものを含み、マッピング問題を有するCDプロフィル領域に相当する1セットである。変数hはy*の指数である。図示の実施例において、htotalはマッピング問題を有するものとして識別されたアクチュエータの総数の成長カウントである。
【0111】
一旦、CDアクチュエータが規則プロフィルから識別されると、ユーザーにより片面ウインドウ長さDbとして特定されたCDアクチュエータおよびCDアクチュエータの範囲が、セットY*中の全てのアクチュエータy*(h)について探査プロセスが完了するまで、モニタリングのピックアップ形態の範囲から除去される。一例として、本実施例において、片面ウインドウの長さDcogが5−10のCDアクチュエータの範囲に亘って選択される。全ての規則プロフィル中の関連するエレメントについて値をゼロに設定することにより、CDアクチュエータはモニタリングのピックアップ形態の範囲から除去される。モニタリングのピックアップ形態の範囲から除去されるCDアクチュエータの範囲は以下の式(23)を満足するように選択される。
【0112】

【0113】
上述のように、各規則はユーザーにより可能にしたり不能にしたりすることができる。この規則対は、分析プロフィルについてのパーシステンスプロフィルの全ての組合せを表し、出力として探査されるべきアクチュエータナンバーを発生させる。本実施例で考慮されている規則対を以下の表に示す。
【0114】
規則(1):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析の時間的変動分析
規則(2):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析
規則(3):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの時間的変動分析
規則(4):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の空間的二次差分析
規則(5):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の時間的変動分析
規則(6):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析の時間的変動
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析
規則(7):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析の時間的変動
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの時間的変動分析
規則(8):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析の時間的変動
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の空間的二次差分析
規則(9):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的変動分析の時間的変動
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の時間的変動分析
規則(10):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの時間的変動分析
規則(11):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の空間的二次差分析
規則(12):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの空間的二次差分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の時間的変動分析
規則(13):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの時間的変動分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の空間的二次差分析
規則(14):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):マップ化CDエラープロフィルの時間的変動分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の時間的変動分析
規則(15):
(第1の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル):CD整定点の空間的二次差分析
(第2の分析プロフィルのパーシステンスプロフィル): CD整定点の時間的変動分析
【0115】
次に、プロフィル探査を説明する。センサープロフィルの局所領域でのCDパーフォーマンスの最適化のためのベースは、その局所領域でのCD制御のパーフォーマンスである。もし、アクチュエータ整合が、或る任意の局所領域での特定のアクチュエータを中心とするセンサープロフィルの局所領域について正しい場合、良好に同調させたCD制御が優れたパーフォーマンスを示すと共に、マッピング整合不良に関連する如何なるパターンも生じさせないであろう。その領域における局所的変動性は比較的安定に保たれ、製紙機の正常な操作のため、変動は極めて僅かである。もし、CD制御が活性に維持された状態で、アクチュエータについてのマッピング整合がそのアクチュエータの周りの小さな領域でシフトした場合、マッピング整合の変化は殆ど影響しないであろう。しかし、マッピング整合が正しい値から更に移動した場合、局所的変動性が増加し始めるであろう。マッピング整合を正しい整合を中心とする或る領域を通したとき、その領域についての局所的変動性のプロットは一般に放物線状形状となる。この放物線状形状180の1例が図7に示されている。航空機で、黒色の円はそれぞれ、その領域での呼称局所的変動性を表している。
【0116】
図7の重要な特徴は、放物線状形状180の中心が平坦な領域182となっていることである。この平坦領域182は、良好に構成されたCDコントローラの作用によるものであり、これはアクチュエータ整合の僅かなエラーに鈍感なものである。CDコントローラにおけるマッピング整合が正しい値に近いものである限り、そのCDコントローラは良好に動作する。このCDコントローラの操作は、最適整合位置184を実質的に中心とする平坦な領域182を生じさせる。この平坦領域182はCDコントローラの“鈍感”領域である。本発明者による“鈍感”領域の認識は重要である。なぜならば、最適化の間での最適アクチュエータマッピング整合を正しく位置決めする最適化技術が、変化するプロセス条件に直面した場合にCDコントローラをより強靭にするからである。
【0117】
この“鈍感”領域は、多くの伝統的な最適化技法に対しインパクトを与える点で有意なものである。つまり、この技法はパーフォーマンス曲線が最適マッピング整合を規定する最小点を有すると仮定しているからである。この伝統的仮定を適用することにより、最適化パラメータは、パーフォーマンス値が最早減少せず最小値を達するまで変化することになる。この時点において、最適化技法の操作は停止され、対応する値が正しい整合値として決定される。残念ながら、この伝統的最適化法は、うまく働かない。なぜならば、パーフォーマンス曲線が減少しなくなる点が正しいマッピング整合としているからである。しかし、図7に示すパーフォーマンス曲線において、これは“鈍感”領域の端が整合値となる。このようなマッピング整合の結果は、満足な短期パーフォーマンスを生じさせるが、それは最適の解決ではない。局所的収縮での僅かな変化は、非最適解決を、制御パーフォーマンスが劣化し始める領域に容易に移動させる。最適な解決は放物線状パーフォーマンス曲線180の平坦領域182の中心にあり、この場合、プロセス操作(変化する収縮値など)によるアクチュエータ整合の僅かな変化は“鈍感”領域内に留まり、良好な制御パーフォーマンスを生じさせ続ける。
【0118】
本発明の局所的パーフォーマンス曲線の観念を使用する場合、局所的プロフィルパーフォーマンスの最適化の主たる目的は、最適な局所的マッピング整合の判定である。この最適化は“鈍感”領域内のパーフォーマンス曲線の平坦部を利用して行われる。又、この最適化は閉ループで行われ、存在しているCDコントローラは中断されることなく操作される。これは重要である。なぜならば、最適化ルーチンがCDコントローラの閉ループパーフォーマンスに基づいて最適のマッピング整合を決定するからである。閉ループ最適化は、マッピング整合不良の修正のための殆どの伝統的技法とは異なる。なぜならば、それらは開ループ形式でマッピング整合で識別するからである。残念ながら、正しい開ループ整合は、閉ループ技法を使用して識別される最適マッピング整合と必ずしも同一ではないからである。更に、開ループ識別技法はCDコントローラを或る期間、オフにする必要がある。閉ループ技法の大きな利点は、最適化期間全体に亘って制御が維持されることである。図8は本発明の閉ループ最適化を示すブロック図である。
【0119】
プロフィル探査の第1の工程は、新たに取り上げられたCDアクチュエータy*(h)のために最適化されるべきCDアクチュエータの領域の識別である。上述の分析工程は、探査されるべき1又はそれ以上のCDアクチュエータy*(h)を決定するための自動化技法を提供する。ユーザーにとって、探査されるべき1又はそれ以上のCDアクチュエータy*(h)を手動で導入することも可能である。探査操作は、正しくないマッピング整合が局所的な現象であり、プロセス変化(不均一の乾燥および収縮)を経るシート領域が単一のアクチュエータの影響領域に限定されないことを考慮する必要がある。従って、探査操作は、単一のアクチュエータについてではなく、領域についてCDコントローラ中のマッピング整合を説明するものでなければならない。CDアクチュエータの局所領域は2つの両端のCDアクチュエータにより識別され、探査されたアクチュエータy*(h)は両端のCDアクチュエータ間に集中される。この2つの両端のCDアクチュエータは、探査されたアクチュエータy*(h)からの片面離間距離Dpをユーザーが特定することにより選択され、下方CDアクチュエータ範囲yL*(h)および上方CDアクチュエータ範囲yU*(h)を生じさせる。ここでyL*(h)およびyU*(h)は下記式(24)から計算される。
【0120】
yL*(h)=y*(h)−(Dp+1)
yU*(h)=y*(h)+(Dp+1) (24)
【0121】
両端CDアクチュエータyL*(h)およびyU*(h)は“ピンニング”アクチュエータと呼ばれる。実施例として、不履行(default)離間距離Dpが5ないし10の間のアクチュエータで設定される。すなわち、もし、5の離間距離が選択されたとき、探査されたアクチュエータと、その各ピンニングされたアクチュエータとの間に5つのアクチュエータが存在することになる。
【0122】
探査されるべきCDアクチュエータy*(h)およびアクチュエータyL*(h)およびyU*(h)により画成されるCDアクチュエータの範囲の選択に続いて、CDアクチュエータy*(h)およびアクチュエータyL*(h)およびyU*(h)に対応するマッピング整合の識別を行う次の工程が行われる。CDアクチュエータy*(h)およびアクチュエータyL*(h)およびyU*(h)に対応するマッピング整合は、それぞれχ(y*(h))、χ(yL*(h))、χ(yU*(h))で表される。マッピング整合χは式(2)からマッピングマトリックス(行列)中に識別されるCDデータボックスxiであり、CDアクチュエータナンバーy*(h)、yL*(h)およびyU*(h)に相当する。マッピング整合χ(y*(h))はCDコントローラのパラメータであり、これは局所的制御パーフォーマンスを最適化するための探査工程(probing steps)の間に調整される。マッピング整合χ(yL*(h))、χ(yU*(h))は、探査のための局所的パーフォーマンスの判定に使用されるCDコントローラのパラメータである。この後者の2つのマッピング整合は、探査されたCDアクチュエータy*(h)の周りのCDアクチュエータの局所的更新にも使用され、その間、アクチュエータマッピング整合の調節がなされる。
【0123】
図9に示すように、対角線190は水平軸上のCDアクチュエータyjと、垂直軸上の測定されたCDプロフィル中のマッピング整合との間のCDコントローラにおける現時点の整合を表している。垂直軸に沿う白抜き円は、探査されるべきアクチュエータy*(h)192、194を表し、発生するマッピング問題を有するものとして手動で又は自動的に識別された領域に対応する。垂直軸に沿う正方形は、探査されたアクチュエータ192、194からのユーザー特定片面離間距離Dpにより選択されるピンニングアクチュエータ196、198、200、202を表す。アクチュエータ196、198は探査されたアクチュエータ192のためのピンニングアクチュエータであり、アクチュエータ200、202は探査されたアクチュエータ194のためのピンニングアクチュエータである。
【0124】
探査されたアクチュエータ192(194)のために規定されたピンニングアクチュエータ196、198(200、202)を用い、探査されたアクチュエータ192(194)のためのマッピング整合χ(y*(h))を変化させ、図7に示すパーフォーマンス曲線180を描く。探査されたアクチュエータ192(194)のためのマッピング整合を変化させる一方、ピンニングアクチュエータ196、198(200、202)のためのマッピング整合χ(yL*(h))、χ(yU*(h))は、アクチュエータがピンニングアクチュエータとなるべく選択される時点に対応する値に固定保持される。図9の192A-D(194A-D)に示すように、探査されたアクチュエータ192(194)と、ピンニングアクチュエータ196(200)との間の全てのアクチュエータについてのマッピング整合値が、これら2つのアクチュエータに対応するマッピング整合値間に直線的に内挿される。更に、探査されたアクチュエータ192(194)と、ピンニングアクチュエータ198(202)との間の全てのアクチュエータについてのマッピング整合値が、これら2つのアクチュエータに対応するマッピング整合値間に直線的に内挿される。
【0125】
探査されたアクチュエータマッピング整合値を、片面マッピング整合調査範囲Dsrに亘って、不連続工程で変化させる。この不連続工程の数は不連続工程Nsの最大片面数に制限される。この不連続工程Nsの最大片面数および片面マッピング整合調査範囲Dsrの双方は、探査されたアクチュエータのマッピング整合値を調整するための停止条件である。この不連続工程Nsの最大片面数および片面マッピング整合調査範囲Dsrはユーザーにより特定される。探査されたアクチュエータのためのマッピング整合は、本発明のモニタリングにより探査されたアクチュエータが識別された時点に対応する値との関連でマッピング整合値が減少および増加する双方向に変化させる。
【0126】
マッピング整合値が減少する場合、そのマッピング整合値は、探査されたアクチュエータがモニタリングにより識別された時点に対応するマッピング整合値からマッピング整合調査範囲Dsrを引いて得られるマッピング整合値よりも小さくてはならない。マッピング整合値が増大する場合、そのマッピング整合値は、探査されたアクチュエータがモニタリングにより識別された時点に対応するマッピング整合値にマッピング整合調査範囲Dsrを加算して得られるマッピング整合値よりも大きくてはならない。値を減少又は増加させる工程で実行される不連続工程の数は、不連続工程Nsの最大片面数に限定される。本実施例において、6ないし8の数がこの不連続工程Nsの最大片面数について使用され、2つの連続的CDアクチュエータ間のCDアクチュエータマッピング整合スパンの2ないし3倍に等しいCDデータボックスが、マッピング整合調査範囲Dsrについて使用される。各不連続工程についてのマッピング整合値の絶対工程サイズは、上記調査範囲Dsrを不連続工程Nsの最大数で割ったものに等しい。
【0127】
マッピング整合値を減少方向および増大方向に調節する記述を補助するため以下のパラメータを導入することができる。
【0128】

【0129】
ここで、
χ(y*(h),0)=モニタリングにより識別された時点に対応する探査されたアクチュエータについてのマッピング整合値。
χ(y*(h),l)=探査プロセスのl番目の工程およびlの符号により表される方向での探査されたアクチュエータについてのマッピング整合値。マイナスのl値はマッピング整合値が減少していることを意味する。プラスのl値はマッピング整合値が増加していることを意味する。
Dsr=マッピング整合調査範囲
Ns=減少又は増加方向で採られるべき不連続探査工程の最大数。
ζ(l)=減少および増加方向の双方での探査のためのステッピングカウント。
【0130】
マッピング整合値を減少方向および増大方向に調節する記述を補助するため、式(25)中の表示を以下の形で記述することができる。
【0131】

【0132】
探査されたCDアクチュエータ192(194)のマッピング整合での各不連続工程で、このプロセスを安定させことができ、探査されたCDアクチュエータ192(194)のピンニングアクチュエータ196,198(200,202)間を跨るマッピング整合領域に対応するCDプロフィルセグメントの局所的変動性を表すためにデータが収集される。
【0133】
探査されたCDアクチュエータ192(194)のためのマッピング整合位置が、局所的変動性の上昇により“鈍感”領域の端部が決定されるまで、第1の方向に移動される。マッピング整合の位置がついで、探査が開始された位置に戻される。マッピング整合はついで、不連続工程で第2の方向(第1の方向と反対方向)に移動され、それにより探査されたアクチュエータについてのパーフォーマンス曲線180全体が決定される。なお、マッピング整合は連続的に変化しているが、マッピング整合は短期間、“鈍感”領域の外側であり、従って探査操作のプロセスに対するインパクトは小さい。
【0134】
パーフォーマンス曲線180全体が完全に決定されたとき、“鈍感”領域の端部が明らかとなる。探査されたCDアクチュエータ192、194のための最適マッピング整合が、ウェブ中の変化が小さい“鈍感”領域の中央に存在することになる。その理由はシートの乾燥および収縮がCD制御のパーフォーマンスに殆どインパクトを与えないからである。
【0135】
CDアクチュエータが探査のために識別された後、このCDアクチュエータに対応するパーフォーマンス測度が規定される。本実施例で使用されるパーフォーマンス測度は、探査されたアクチュエータについてのピニングアクチュエータに対応するマッピング整合間、又はマッピング整合χ(yL*(h))、χ(yU*(h))間のCDプロフィルデータボックスの範囲に基づいて行われる。このCDプロフィルデータボックスの範囲が、特定のマッピング整合(εl)での走査Zsc特定数について局所的変動性を決定するのに使用される。このZsc走査のそれぞれについての局所的変動性が以下のように計算される。
【0136】

【0137】
ここで、
e(xi,zk)=プロフィルサンプルzkのCD位置xiでの高解像度CDエラープロフィルエレメント。
Xa=χ(yL*(h))、CD位置xiの下方境界
Xa=χ(yU*(h))、CD位置xiの上方境界
e-(zZ)=aおよびbのCD位置の範囲における高解像度CDエラープロフィルエレメントe(xi,zk)の平均値。
σ(y*(h),εl,zk)=探査されたアクチュエータy*(h)に対応する局所的プロフィル領域に亘る高解像度CDエラープロフィルサンプルzkについての局所的変動性、およびマッピング整合設定εlの最適化調査のl番目の工程についての局所的変動性。
【0138】
走査Zsc特定数が収集された後、パーフォーマンス測度J(y*(h),εl)および許容限界T(y*(h),εl)が、全ての局所的変動性サンプルσ(y*(h),εl,zk)から計算される。このパーフォーマンス測度は全ての局所的変動性サンプルσ(y*(h),εl,zk)の平均値として計算され、許容限界は全ての局所的変動性サンプルσ(y*(h),εl,zk)についての変動性として計算される。
【0139】

【0140】
パラメータεl設定はついで変えられ、新しいエプシロン設定でプロセスが安定した後、そのシーケンスが繰り返される。
【0141】
第1の方向の探査で、マッピング整合変化のCDコントローラへの導入をどの時点で停止させるかを判定するため、最小パーフォーマンス測度Jmin(y*(h),εl+(-1)sgn(l))および最小許容限界Tmin(y*(h),εl+(-1)sgn(l))が、エプシロン設定への各段階的変化で計算される。この最小パーフォーマンス測度および最小許容限界が組み合わされてステッピング閾値Tstep(y*(h),εl-1)を発生させる。
【0142】

【0143】
現時点のマッピング設定工程εlについてのパーフォーマンス測度がステッピング閾値を超えたとき、以下のように表される。
【0144】

【0145】
この方向での更なるエプシロン変化は行われない。この停止チェックは、最適化の開始において(第1の探査工程が適用される前)、 マッピング設定に対応するパーフォーマンス測度に対して行われない。なぜならば、このパーフォーマンス測度は現時点のマッピング設定のベンチマークを表すからである。このステッピング方向が変化するとき、最小パーフォーマンス測度の判定、最小許容限界、およびステッピング閾値が第2の調査方向について開始される。
【0146】
最小パーフォーマンス測度が、マッピング設定の各工程において、現時点の探査方向についてのマッピング設定の先行する工程について計算された全てのパーフォーマンス測度の中で最小値となるように決定される。
【0147】

【0148】
ここで、
J(y*(h),εO)=最適化の開始において(第1の探査工程が適用される前)、マッピング設定に対応するパーフォーマンス測度。
J(y*(h),εl)=第1の探査工程が適用された後のマッピング設定に対応するパーフォーマンス測度。
J(y*(h),εl-1)=第(l−1)番目の探査工程が適用された後のマッピング設定に対応するパーフォーマンス測度。
l=現時点の探査工程。
【0149】
最小パーフォーマンス測度はマッピング設定の開始値について計算されない。なぜならば、この開始値は現時点のパーフォーマンスのベンチマークを表すからである。最初の工程で現時点の方向で計算される最小パーフォーマンス測度は、マッピング設定の開始値(ベンチマーク)について計算されたパーフォーマンス測度と等しい。第2の工程で現時点の方向で計算される最小パーフォーマンス測度(2つの先行するパーフォーマンス測度値が存在する)は、2つの入手可能な値の最小値と等しい。この最小パーフォーマンス測度を決定するための更新方法は現時点の方向での調査が終了するまで継続される。
【0150】
最小許容限界は、エプシロン設定の各工程において、現時点の探査方向についてのマッピング設定の先行する工程について計算された全ての許容限界の平均値となるように決定され、ここで、ユーザー特定利得KTが適用される。
【0151】

【0152】
ここで、
T(y*(h),εO)=最適化の開始において(第1の探査工程が適用される前)、マッピング設定に対応する許容限界。
T(y*(h),εl)=第1の探査工程が適用された後のマッピング設定に対応する許容限界。
T(y*(h),εl-1)=第(l−1)番目の探査工程が適用された後のマッピング設定に対応する許容限界。
l=現時点の探査工程。
KT=許容限界の大きさを調整するのに使用された利得。もしこの利得が余りにも小さい場合は、現時点のステッピング方向での探査が余りにも早く停止される。もしこの利得が余りにも大きい場合は、現時点のステッピング方向での探査がマッピング設定の開始値から余りにも大きく逸れたものとなる。本実施例において、利得KTは、2ないし3の値に設定される。
【0153】
最小許容限界はマッピング設定の開始値について計算されない。なぜならば、この開始値は現時点のパーフォーマンスのベンチマークを表すからである。最初の工程で現時点の方向で計算される最小許容限界は、マッピング設定の開始値(ベンチマーク)について計算された許容限界と等しい。第2の工程で現時点の方向で計算される最小許容限界(2つの先行する許容限界が存在する)は、2つの入手可能な許容限界値の平均値と等しい。この最小許容限界を決定するための更新方法は現時点の方向での調査が終了するまで継続される。
【0154】
走査Zscの特定数(図示の場合、6)についての局所的変動性が図10Aのボックス220で示されている。ここにはパーフォーマンス測度222、開始時のマッピング整合設定について計算された許容限界、および第1の工程を適用した後のマッピング整合が示されている。前述のように、第1のマッピング整合設定工程ε1について、パーフォーマンス測度および許容限界の僅か1セットが最小パーフォーマンス測度および最小許容限界の決定のために入手可能である。パーフォーマンス曲線点が第1のマッピング整合設定工程について確立された後、マッピング整合設定がステッピングされ、そのシーケンスが繰り返される。第2およびその後の最小パーフォーマンス測度および最小許容限界の計算が、現時点のマッピング整合設定前のマッピング整合設定工程に至るまでの第1、第2、第3などのマッピング整合設定工程から得られたパーフォーマンス測度値および許容限界値の全てのセットに基づいて行われる。従って、最小パーフォーマンス測度および最小許容限界は全探査を通して展開されることになる。
【0155】
図10Bは、第2のエプシロン値設定で探査した後にマッピング探査を停止するための閾値の例を示している。図10Bにおいて、マッピング整合設定(エプシロン)は減少しており、従って、左側に移動しており、最小パーフォーマンス測度はマッピング設定εOについてのパーフォーマンス測度と等しい。更に、マッピング探査を停止するためのステッピング閾値はTstep(y*(h),ε-2)と等しい。これは最小パーフォーマンス測度および最小許容限界である。
【0156】
最初の方向における探査は、マッピング整合工程についてのパーフォーマンス測度がステッピング閾値(もし、開始点が“鈍感”領域に端にある場合、これは最初のマッピング整合工程で発生する)を超えまで、又はマッピング整合工程又は調査範囲についてのユーザー特定数が超されるまで継続される。従って、このステッピング閾値が侵されない場合は、Dsrにより規定されるハードリミットが存在し、これは探査操作の間エプシロンの変化を停止させるものである。最初の方向で一旦探査又は調査が停止されると、他の方向での調査(すなわちパーフォーマンス曲線の他方の側での調査)を必要とするか否かを判定するチェックがなされる。マッピング整合の開始値(いずれかのマッピング整合工程がなされる前)に対応するパーフォーマンス測度が、ステッピング閾値(すなわち、最小パーフォーマンス測度プラス最小許容限界)よりも上の場合、上記曲線の他の側の調査を行う必要はない。ステッピング閾値よりも上のマッピング整合の開始値に対応するパーフォーマンス測度は、明確な降下エッジがパーフォーマンス曲線上の探査開始点の他の側に存在することを示唆するものである。2つの具体例が図11および12に示されている。図11において、エプシロンを減少させる最初の方向における調査は、最後のマッピング整合工程でのパーフォーマンス測度がステッピング閾値を超えたときに終了する。図12において、エプシロンを減少させる最初の方向における調査は、ユーザーにより設定されたマッピング整合工程のハードリミット又は数に到達したときに終了する。図11および12の双方において、マッピング設定の開始点に対応するパーフォーマンス測度はステッピング閾値より上であり、したがって、逆方向又はエプシロン値を増加させる方向では探査はなされない。
【0157】
パーフォーマンス曲線の一方の側から他方の側に亘るアクチュエータの探査であって、上述のようにステッピング閾値を超えることにより停止される例が図13に示されている。アクチュエータの探査において、パーフォーマンス測度および許容限界は、出発点226についてのベンチマークとしての局所的変動性から判定される。探査はついで第1の方向、つまり、図13で左に向けて(最初の探査を右側に向けて行いマッピング整合設定を増加させるようにすることもできるが)開始され、マッピング整合設定(エプシロン値)を減少させ、この探査はエプシロン値についてのパーフォーマンス測度がステッピング閾値を超えたとき停止される。第1の方向での探査が停止された後の開始エプシロン値での局所的変動性のパーフォーマンス測度が、第1の方向での探査完了時のステッピング閾値を超えないから、パーフォーマンス曲線の他方の側が探査又は調査される。エプシロン値を増大する第2の方向(図13の右側への方向)出の探査が出発点226についての新たなベンチマークを採ることにより新たに開始される。新たなベンチマークを取り上げて第2の方向での正確な探査を確保する。この探査は、エプシロン値についてのパーフォーマンス測度が第2の探査方向でのステッピング閾値を超えたとき停止される。パーフォーマンス曲線227の最も外側の点227A,227Bは2つの探査停止点により画成され、ここで“鈍感”領域227C,227D(すなわち、探査されるアクチュエータマッピング整合のための最適範囲)の端部はステッピング閾値又はハードリミット内の最終のパーフォーマンス測度により画成される。
【0158】
一旦、パーフォーマンス曲線227が形成されると、最適パーフォーマンス点230が図13に示すように識別され、探査されるアクチュエータのためのマッピング整合として使用される。この最適パーフォーマンス点230はパーフォーマンス曲線227の増大端部の左右の側227C,227D間の中間点に基づいて決定される。このパーフォーマンス曲線の両側は、最終のパーフォーマンス測度が依然としてステッピング閾値又はハードリミット内にある曲線上の点として画成される。
【0159】
通常、マッピング整合不良は、プロフィルを横切る僅か1点でプロフィルが悪化するものとはならない。むしろ、マッピング整合不良の結果として幾つかのプロフィル点で悪化することが通例である。しかし、問題はマッピング整合不良が異なるプロフィル点で同時に悪化し始めることがめったにないことである。その結果、探査およびモニタリングルーチンが、最初の探査が開始された後に一緒に稼動し続けられ、識別された新たな探査領域は、モニタリングルーチンから探査ルーチンにより受理され、先に識別された探査領域の探査を行いながら、その処理がなされる。これは図14に説明されている。
【0160】
図14に示すように、問題2は問題1が解決される前に開始され、問題3は問題2が解決される前に開始される。一旦、問題が解決されると、対応する探査領域は、全探査シーケンスが完了するまで、マッピング問題として再導入されることはない。そうでないと、探査シーケンスは停止されることがなくなる。探査シーケンスは、探査されるべき全ての領域が解決された後、又はモニターされるべきプロフィルの領域が最早なくなった後に完了する(すなわち、モニタリングが有効でなくなる点まで探査プロフィルがブロックされた後のブロッキング操作)。
【0161】
一旦、探査操作又は最適化が完了すると、第2の関連する最適化を行うことができる。アクチュエータが探査グルーチンに導入される度に、ユーザー特定ピニングウインドウ幅に基づいて1セットのピニングアクチュエータが設定され、探査されるアクチュエータがピニングアクチュエータ間に集中、配置される。場合によっては、探査が、第1の最適化パスのピニング位置でマッピング整合不良を生じさせることもあり得る。その結果、パーフォーマンスを更に改善する必要が生じ、これは第2のパスで探査されるアクチュエータとしてピニングアクチュエータを使用し第2の最適化パスを行うことによりなされる。このような第2の最適化プロセスが図15,16に示されている。図15において、第1のパスでのピニングアクチュエータ240が第2のパスでの探査されるアクチュエータ240‘となる。同様に、第1のパスでの探査されるアクチュエータ242が第2のパスでのピニングアクチュエータ242’となる。最初のピニングアクチュエータ240は探査されたとき、ピニングアクチュエータで周囲を囲まれなければならないから、追加のピニングアクチュエータ242"が、探査されるアクチュエータ240‘のためのユーザー特定ピニングウインドウ幅に基づいて選択される。
【0162】
図15において、第1の最適化パス中の最も隣接するピニングアクチュエータ240(2つの中央ピニングアクチュエータ240)が離間させて設けられ、従って、第2の最適化パスがなされてピニングアクチュエータ240‘を探査するとき、略中心にある追加のピニングアクチュエータ242"により正しい探査が可能となる。図16では事情が異なる。図16において、第1のパス中の2つの最も外側のピニングアクチュエータ244が第2のパスでの探査されるアクチュエータ244’となり、第1のパスでの探査されるアクチュエータ246が第2のパスでのピニングアクチュエータ246’となる。最初のピニングアクチュエータ244‘は探査されたとき、ピニングアクチュエータで周囲を囲まれなければならないから、追加のピニングアクチュエータ246"が、図15に示すように探査されるアクチュエータ246‘のためのユーザー特定ピニングウインドウ幅に基づいて選択される。しかし、第1のパスでの中央ピニングアクチュエータ244間の間隙は、それらを個々に探査できないようなものとなる。従って、第1のパスでピニングアクチュエータ244間に置かれた中間アクチュエータ248が第2のパスで探査されるべきものとして選択される。探査されるアクチュエータ248のためのピニングアクチュエータ250がユーザー特定ピニングウインドウ幅に基づいて選択される。第2の最適化パスの間の探査は前記の第1の最適化パスについてのものと同様であるが、ピニングアクチュエータおよび探査されるアクチュエータの選択については異なる。
【0163】
第1の最適化パス又は任意の第2の最適化パスの後、包括的平滑化操作を選択的に行うことも可能である。すなわち、ユーザーは第2の最適化パスを行うか否か、更に最適化を行った後に平滑化操作を行うか否かを選択できる。平滑化因子は、アクチュエータ整定点の二次差の上方境界である。つまり、先に参照した米国特許出願No.09/592,921(米国特許No.6,564,117)で使用したものと同じである。包括的平滑化については、平滑化因子が小さければ小さいほど、CDアクチュエータについて許容される二次差は小さくなる。境界のない平滑化因子はプロフィルにオーバーコントロールを招き、センサープロフィルのより高い頻度の変動を生じさせる。オーバー・バウンド化平滑化因子はアクチュエータ整定点を制限し、整定点ベクトルを平坦にしてしまう。その結果、センサープロフィルにおけるずれに対し制御アクションをとることができなくなる。
【0164】
包括的平滑化調査は局所的(マッピング)最適化と同様にして操作される。しかし、CDコントローラのパーフォーマンスを改善するため最適化されるパラメータは、1セットのCDアクチュエータマッピング整合に代って、単一包括的平滑化因子b(l)となる。本発明が適用されるCDコントローラにおいて、この単一包括的平滑化因子はゼロおよび1の範囲の値に限定される。ここで、ゼロはアクチュエータ整定点の完全なオーバー・バウンド化に相当し、1はアクチュエータ整定点の完全な未バウンド化に相当する。包括的平滑化因子が全てのCDアクチュエータ整定点の二次差に影響し、CDアクチュエータが全体として全幅CDプロフィルに影響するから、包括的平滑化調査のためのパーフォーマンス測度は、局所的CDプロフィルの変動性ではなく、全幅CDプロフィルの変動性である(これも米国特許出願No.09/592,921(米国特許No.6,564,117)で示したものと同じである)。しかし、最適化されるパラメータの更新、最適化されるパラメータの更新の停止、および結果的に得られた曲線の分析のためのプロセスは全て、マッピング最適化のためのものと同じである。
【0165】
下方および上方調査範囲に対応する値を確定するための工程において、包括的平滑化調査で特異的なことは、下方包括的平滑化因子(bu)および上方包括的平滑化因子(bul)が明瞭に特定化されることである。調査範囲の明確化により、包括的平滑化因子の出発値がゼロおよび1の絶対的限界内にない場合に、包括的平滑化調査を特に1方向で探査することを可能にする。不連続工程Nsの最大片面数がマッピング最適化の場合と同じにした状態で、この明瞭に特定化した調査範囲は、減少および増加調査方向での包括的平滑化因子の更新するための2辺ステッピングサイズを生じさせる。この2辺ステッピングサイズは下記式(33)により決定することができる。
【0166】

【0167】
ここで、
Sdsz=減少工程サイズ。
Sisz=増加工程サイズ。
Ns=不連続工程の最大片面数。
bu=調査範囲の下限。
bul=調査範囲の上限。
B(O)=減少又は増加工程を適用する前の包括的平滑化因子の開始値。
【0168】
式(25)に関連して、包括的平滑化調査のおけるエプシロンパラメータを以下のように表すことができる。
【0169】

【0170】
ここで、
B(O)=減少又は増加工程を適用する前の包括的平滑化因子の開始値。
B(l)=探査プロセスのl番目の工程およびlの符号により表される方向での包括的平滑化因子の値。マイナスl値はマッピング整合値が減少していることを意味し、プラスl値はマッピング整合値が増加していることを意味する。
Sdsz=減少工程サイズ。
Sisz=増加工程サイズ。
ζ(l)=減少および増加方向の双方での探査のためのステッピングカウント。
エプシロンを表す速記注記εlは同じままである。
【0171】
包括的平滑化因子の各設定に対応するパーフォーマンス測度を確定するための工程において、包括的平滑化調査で特異的なことは、全幅CDプロフィルの変動性が評価されることである。探査工程後に分析されるCDプロフィルの走査Zscの数がマッピング最適化の場合と同様に落ち着かせた状態で、式(27)中のCDデータボックスナンバーxaおよびxbは、プロフィルデータを有する最低CDデータボックスナンバーおよびプロフィルデータを有する最大CDデータボックスナンバーとそれぞれ同じになっている。新規に規定したxaおよびxbの値の間の範囲は全幅CDプロフィルである。以下の工程を包括的平滑化調査のために実行し得ることは、更なる説明を要することなく、当業者にとって明らかであろう。すなわち、各探査工程において、パーフォーマンス測度および許容限界を決定する工程;最小パーフォーマンス測度、最小許容限界およびステッピング閾値を決定する工程;パーフォーマンス測度がステッピング閾値を超えたとき、又はハードリミットが達したとき、第1の調査方向で探査のための停止条件を決定する工程;第2の探査方向を行うか否かを決定する工程;第2の探査方向を行う工程;パーフォーマンス曲線を作成する工程;包括的平滑化因子のための最適設定を判定する工程である。
【0172】
本発明は空間的(CDプロフィル)および時間的(MDヒストリー)分析を用いて、局所的プロフィル問題が発展し始めているか否かを判定するものである。この技法は局所的プロフィル問題がプロセスで明らかになる前に、その領域を検出しようとするものである。局所的インジケータがトリガーとして働き、局所的プロフィル領域の問題解決のため即座に探査を行うことを可能にする。これは包括的プロフィル最適化トリガーを使用する従来の技法から卓越したものである。
【0173】
本発明はパーシステンス(持続)形状と、発展しつつある形状途を区別する機能を有する。従って、探査シーケンスはパーシステンス形状にたいしてはトリガーを発することはなく、実際に発展している問題のみが取扱われる。これは持続的問題を有するプロフィルの区域のモニタリングを不能にそれらが繰り返して検出されないようにする従来の技法から実質的に卓越したものである。
【0174】
本発明では、プロフィル問題を発見し修正するために、プロフィル問題を同時に発展させる必要はない。むしろ、問題が発生したときに、それを見出し解決する。ウェブをモニターすることにより局所的プロフィル問題が見出されたとき、その問題がアクチュエータと関係させ、探査が行われる。しかし、最初の問題を探査している間に、他のプロフィルの問題点が発生した場合、その問題が識別され、同じく、新しい位置のための最適マッピング整合についての探査が行われる。唯一の制限はアクチュエータの数である。問題が発生したときの、その持続的識別法は従来の技法から実質的に卓越したものといえる。
【0175】
従前のパターン認識技法はしばしば、製造される紙のグレードに敏感となっている。しかし、本発明では、パターン認識分析結果を正規化し、これらを独立して処理する。従って、これは強靭なプログラムであり、セットアップおよび使用が容易である。
【0176】
従前の技法は、パーフォーマンス曲線がV-型断面を有するものと仮定している。然るに、本発明者はV-型断面ではなく、それがむしろ皿型断面であることを見出した。従って、パーフォーマンス曲線を生じさせる操作変数の小さな変化は全て、パーフォーマンスに変化を生じさせることはない。パーフォーマンス曲線についての従来の仮定では、僅かに安定なシステムを形成させるものであるから、本発明ではプロフィル問題を生じさせるものとして認識されている各操作変数について実際のパーフォーマンス曲線を作成し、このパーフォーマンス曲線を最適なCDマッピングを選択するのに使用している。
【0177】
パーフォーマンス曲線の中央の小さな変化がパーフォーマンスプロフィルに殆ど変化を生じさせるものでないが、パーフォーマンス曲線の端部での小さな変化がプロセスに可なりの劣化を生じさせ得るから、本発明ではプロセスが劣化する前に操作変数の変化を停止させるようにしている。
【0178】
パーフォーマンス曲線を生じさせた後、本発明では最適点を位置決めし、最適パーフォーマンスが得られるように操作変数を調整するようにしている。
【0179】
メモリーの使用は理論的解決の履行をしばしば抑止することになる。しかし、本発明では、幾つかの帰納的計算を使用してメモリーの使用を少なくし、それによりプロフィルおよび分析結果の履歴的データ保存の必要性を少なくしている。
【0180】
本発明において、プロフィルのMDヒストリーを記憶することにより探査時間を10走査以内減少させている。ウェブモニタリングルーチンがマッピング整合不良の問題を見出したとき、探査ルーチンが直ちに履歴バッファーから初期の状態を判定し、初期化期間の完了と待つことなく、探査が直ちに開始されるようになっている。
【0181】
一旦、局所的プロフィル点が最適化されると、その点が包括的アクチュエータ中でプロフィル整合アレーに更新される。しかし、もし、この点が現時点の位置より可なり異なる場合は、包括的アクチュエータに不連続を生じさせ、最適点に近いプロフィル整合が見出される。本発明では、この不連続で最適な位置を識別し、包括的アクチュエータおよびプロフィル整合アレーを効果的に“平滑化”するよう操作可能であり、プロフィル整合に対し総体的アクチュエータが達成される。包括的アクチュエータおよびプロフィル整合が一旦達成されると、本発明ではこれらを次のモニタリング/探査動作のための出発点として使用する。経時的結果はプロフィル整合に対する最適アクチュエータへの収斂となる。
【0182】
以上、本発明を好ましい具体例を参照して詳述したが、特許請求の範囲に規定した本発明の範囲を逸脱することなく、種々変更、変形し得ることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】CDアクチュエータと、CDプロフィルにおけるその対応する影響領域との間のCDマッピングの例を示すグラフ図。
【図2】本発明に従って操作可能な製紙機の斜視図。
【図3】マッピング整合不良を表す模式図。
【図4】マトリックスにより表されるマップ化されたCDエラープロフィルの経歴を示す模式図。
【図5】持続的プロフィルの計算に使用される計算方法を示す模式図。
【図6】本発明の規則に従った2つの持続的プロフィルの評価例をグラフ図。
【図7】本発明の探査手法を使用して作られたCDアクチュエータについての動作曲線を説明するグラフ図。
【図8】本発明の閉ループ最適化を示すブロック図。
【図9】本発明の探査手法を模式図。
【図10A】探査されている或るマッピング整合設定(エプシロン値)での6個の走査についての局所的変動性の結果と、この局所的変動性についての動作測定を示すグラフ図。
【図10B】第2のエプシロン値設定での探査の後、マッピング探査操作を停止するために使用されるステッピング閾値の例を説明するグラフ図。
【図11】第2の方向での探査なしで、ステッピング閾値を超えた動作測定のため、第1又は最初の方向における探査サーチの終了を説明するグラフ図。
【図12】第2の方向での探査なしで、ユーザー設定ハードリミット又はマッピング整合工程の数に到達したため、第1又は最初の方向における探査サーチの終了を説明するグラフ図。
【図13】動作曲線の1側から他の側に至るアクチュエータ探査、すなわち、第1および第2の方向における探査であって、ステッピング閾値を超えることにより探査が停止された状態を示すグラフ図。
【図14】本発明の探査およびモニタールーチンが、最初の探査が開始された後に共に稼動され、従って、探査がなされながら新規な探査領域が受理され、処理されることを示す模式図。
【図15】本発明に従うパス最適化を説明する模式図。
【図16】本発明に従うパス最適化を説明する模式図。
【符号の説明】
【0184】
108 製紙機
110 長網抄紙機ワイヤー領域
112 プレス領域
114 ドライヤー領域
122 ヘッドボックス
124 スライスリップ
126 CDアクチュエータ
128 ウェブ
130 ウェブロール
132 走査センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ製造機(108)において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法であって:
ウェブ製造機により生産されたウェブ(128)をモニターする工程と;
このウェブを表すデータから少なくとも2つのウェブ分析プロフィルを発生させる工程と;
この少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1のものをこの少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第2のものと組合せる工程と;
この組合せを用いて、発生しているCDマッピング問題が識別する工程と;
この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータ(126)を探査する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点(230)をこの探査の結果から判定する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングをこの最適動作点に従って調整する工程と;
を具備してなることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記の識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータの探査が:
探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータ(126)についてのマッピング整合をステッピング(stepping)する工程であって、このマッピング整合工程が初期値で開始されるものと;
ウェブ(128)をこのマッピング整合工程のそれぞれでモニターする工程と;
動作測定(222)および許容限度を、現時点でのマッピング整合工程について探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定する工程と;
ステッピング閾値を、先行する全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定する工程と;
からなる請求項1記載の方法。
【請求項3】
マッピング整合ステッピングが最初に第1の方向で行われ、上記探査は更に:
現時点でのマッピング整合工程についての動作測定(222)とステッピング閾値とを比較する工程と;
動作測定がステッピング閾値を超えたとき、第1の方向のマッピング整合ステッピングを停止する工程と;
を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記探査は更に:
第1の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットを設定する工程と;
このハードリミットが適合したとき、マッピング整合ステッピングを停止する工程と;
を含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記探査が更に:
第1の方向でのマッピング整合ステッピングが終了した後の初期値でのマッピング整合工程についての動作測定(222)とステッピング閾値とを比較する工程と;
初期値でのマッピング整合工程についての動作測定がステッピング閾値を超えたとき、更なるステッピングを停止する工程と;
もしも、初期値でのマッピング整合工程についての動作測定がステッピング閾値を超えないとき、第2の探査を上記第1の方向とは反対側の第2の方向で行う工程であって、マッピング整合工程を初期値で開始する工程と;
上記第2の方向で続行される状態で、探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータ(126)についてマッピング整合をステッピングする工程と;
ウェブ(128)をこのマッピング整合工程のそれぞれで第2の方向でモニターする工程と;
動作測定および許容限度を、現時点でのマッピング整合工程について第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定する工程と;
ステッピング閾値を、先行する第2の方向での全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定する工程と;
を具備してなる請求項4記載の方法。
【請求項6】
第2の方向での探査が更に:
第2の方向で探査するため現時点のマッピング整合工程についての動作測定(222)と、第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータ(126)についてのステッピング閾値とを比較する工程と;
上記動作測定が第2の方向で探査されている上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値を超えたとき、第2の方向でのマッピング整合ステッピングを停止する工程と;
を含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記探査が更に:
第2の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットを設定する工程と;
このハードリミットが適合したとき、第2の方向でのマッピング整合ステッピングを停止する工程と;
を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
第1の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットが、第2の方向のマッピング整合工程の数に対するハードリミットと等しい請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの発生が、空間的分析プロフィルを発生させることからなる請求項1記載の方法。
【請求項10】
空間的分析プロフィルを発生させることが:
センサー(132)により発生したデータ点の数に対応するウインドウ(160,161)を画定する工程と;
このウインドウの中央を、ウェブ製造機(108)における複数のCDアクチュエータ(126)のそれぞれと整合し、アクチュエータに限定されるセンサーデータを選択する工程と;
該CDアクチュエータに対応するウインドウ内のセンサーデータを統計的に処理しCDアクチュエータに対応する局所データを空間的分析プロフィルに統計的に地図化する工程と;
を具備してなる請求項9記載の方法。
【請求項11】
該統計的処理がウインドウ(160,161)内の局所データの変動を取り上げることからなる請求項10記載の方法。
【請求項12】
該統計的処理がウインドウ(160,161)内の局所データの二次差を取り上げることからなる請求項10記載の方法。
【請求項13】
上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの内の第1のものが空間的分析プロフィルであり、その第2のものは時間的分析プロフィルである請求項1記載の方法。
【請求項14】
該空間的分析プロフィルが空間的変動プロフィルである請求項13記載の方法。
【請求項15】
該空間的分析プロフィルが空間的二次差プロフィルである請求項13記載の方法。
【請求項16】
上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものが空間的分析プロフィルである請求項1記載の方法。
【請求項17】
上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものの内の少なくとも1つが空間的変動プロフィルである請求項16記載の方法。
【請求項18】
上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものの内の少なくとも1つが空間的二次差プロフィルである請求項16記載の方法。
【請求項19】
上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものが時間的プロフィルである請求項1記載の方法。
【請求項20】
更に、少なくとも1つのCDアクチュエータ(126)について動作曲線(227)を発生させることを含み、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点(230)の判定が:
上記動作曲線の鈍感領域を判定する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点が上記動作曲線の鈍感領域の略中央となるように画定する工程と;
を具備してなる請求項1記載の方法。
【請求項21】
ウェブ製造機(108)において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法であって:
ウェブ製造機の幅方向に延在するCDアクチュエータ(126)をモニターする工程;
このCDアクチュエータを表すデータから少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルを発生させる工程と;
この少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの第1のものをこの少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの第2のものと組合せる工程と;
この組合せを用いて、発生しているCDマッピング問題を識別する工程と;
この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータを探査する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点(230)を上記探査の結果から判定する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングをこの最適動作点に従って調整する工程と;
を具備してなることを特徴とする方法。
【請求項22】
上記の少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの内の第1のものが時間的分析プロフィルであり、その第2のものが空間的分析プロフィルである請求項21記載の方法。
【請求項23】
該空間的分析プロフィルが空間的変動プロフィルである請求項22記載の方法。
【請求項24】
該空間的分析プロフィルが空間的二次差プロフィルである請求項22記載の方法。
【請求項25】
ウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法であって:
ウェブ製造機(108)により生産されたウェブ(128)をモニターする工程と;
このウェブを横切って延びたCDアクチュエータ(126)をモニターする工程と;
このウェブを表すデータおよびCDアクチュエータを表すデータから少なくとも2つの分析プロフィルを発生させる工程と;
この少なくとも2つの分析プロフィルの第1のものをこの少なくとも2つの分析プロフィルの第2のものと組合せる工程と;
この組合せを用いて、発生しているCDマッピング問題を識別する工程と;
この識別されたCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータを探査する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点(230)を上記の少なくとも1つのCDアクチュエータの探査の結果から判定する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングをこの最適動作点(230)に従って調整する工程と;
を具備してなることを特徴とする方法。
【請求項26】
上記の少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの内の第1および第2のものを、ウェブ(128)を表すデータから発生させる請求項25記載の方法。
【請求項27】
上記の少なくとも2つのアクチュエータ分析プロフィルの内の第1および第2のものを、CDアクチュエータ(126)を表すデータから発生させる請求項25記載の方法。
【請求項28】
上記の少なくとも2つの分析プロフィルの第1のものを、ウェブ(128)を表すデータから発生させ、この少なくとも2つの分析プロフィルの第2のものを、CDアクチュエータ(126)を表すデータから発生させる請求項25記載の方法。
【請求項29】
ウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法であって:
ウェブ製造機をモニターする工程と;
このモニターにより発生したデータから、発生しているCDマッピング問題を識別する工程と;
このCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータを識別する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについて動作曲線(227)を発生させる工程と;
この動作曲線の鈍感領域を識別する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点(230)が動作曲線の鈍感領域のほぼ中央となるように画定する工程と;
を具備してなる方法。
【請求項30】
動作曲線(227)を発生させる工程が以下の工程により少なくとも1つのCDアクチュエータ(126)を探査することからなり:この探査工程が:
上記の第1の方向で上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのマッピング整合をステッピングする工程であって、ここでマッピング整合を初期値で開始するものと;
ウェブ製造機(108)により生産されるウェブ(128)をそれぞれのマッピング整合工程でモニターする工程と;
動作測定(122)および許容限度を、現時点のマッピング整合工程について探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定する工程;
ステッピング閾値を、先行する全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについて判定する工程と;
現時点のマッピング整合工程についての動作測定を上記ステッピング閾値と比較する工程と;
第1の方向でのマッピング整合ステッピングを、動作測定が上記ステッピング閾値を超えたとき又は行われるマッピング整合工程の数のハードリミットを超えたときに停止する工程と;
マッピング整合ステッピングが第1の方向で終了した後の初期値でのマッピング整合工程についての動作測定を上記ステッピング閾値と比較する工程と;
初期値でのマッピング整合工程についての動作測定が上記ステッピング閾値を超えたとき、ステッピングを停止する工程と;
初期値でのマッピング整合工程についての動作測定が、第1の方向での探査の間に判定された上記ステッピング閾値を超えないとき、第1の方向と反対の第2の方向での探査が行う工程と;
マッピング整合工程を初期値で開始し、上記第2の方向で続行される状態で、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてマッピング整合をステッピングする工程と;
ウェブをこのマッピング整合工程のそれぞれで第2の方向でモニターする工程と;
探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについての動作測定および許容限度を、第2の方向での現時点でのマッピング整合工程について判定する工程と;
第2の方向で探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値を、第2の方向での先行する全てのマッピング整合工程の間に収集されたデータに基づいて判定する工程と;
第2の方向での探査のための現時点のマッピング整合工程についての動作測定を、第2の方向で探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値と比較する工程と;
この動作測定を、第2の方向で探査されている少なくとも1つのCDアクチュエータについてのステッピング閾値を超えたとき又は行われるマッピング整合工程の数のハードリミットを超えたときに停止する工程と;
を具備してなる請求項29記載の方法。
【請求項31】
ウェブ製造機において幅方向(CD)マッピングを制御するための方法であって:
ウェブ製造機をモニターする工程と;
このウェブ製造機を表すデータから少なくとも2つのウェブ分析プロフィルを発生させる工程と;
この少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1および第2のものを組合せる工程と;
発生しているCDマッピング問題をこの組合せから識別する工程と;
この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータ(126)を探査する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点(230)をこの探査の結果から判定する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングをこの最適動作点に従って調整する工程と;
を具備してなることを特徴とする方法。
【請求項32】
ウェブ製造機(108)をモニターする工程が、ウェブ製造機により生産されたウェブ(128)をモニターすることからなる請求項31記載の方法。
【請求項33】
ウェブ製造機(108)をモニターする工程が、ウェブ製造機を横切って延在するCDアクチュエータ(126)をモニターすることからなる請求項31記載の方法。
【請求項34】
ウェブ製造機(108)をモニターする工程が:
ウェブ製造機により生産されたウェブ(128)をモニターすること;および
ウェブ製造機を横切って延在するCDアクチュエータ(126)をモニターすることからなる請求項31記載の方法。
【請求項35】
ウェブ製造機(108)におけるシート製造機のための増幅方向(CD)マッピング制御を制御するための装置であって:
ウェブ製造機をモニターするためのセンサー(132)と;
以下の操作を行うためにプログラムされたコントローラ(134)とを具備してなり:この操作が;
ウェブ製造機をモニターする工程と;
このウェブ製造機を表すデータから少なくとも2つのウェブ分析プロフィルを発生させる工程と;
上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第1のものを、上記の少なくとも2つのウェブ分析プロフィルの第2のものと組合せる工程と;
この組合せから、発生しているCDマッピング問題が識別する工程と;
この識別された発生しているCDマッピング問題に対応する少なくとも1つのCDアクチュエータを探査する工程と;
この探査の結果から、上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについての最適動作点を判定する工程と;
上記の少なくとも1つのCDアクチュエータについてのCDマッピングをこの最適動作点に従って調整する工程とからなる。
【請求項36】
上記コントローラ(134)が、ウェブ製造機により生産されたウェブ(128)をモニターする操作を行うものである請求項35記載の装置。
【請求項37】
上記コントローラ(134)が、ウェブ製造機(108)を横切って延在するCDアクチュエータ(126)をモニターする操作を行うものである請求項35記載の装置。
【請求項38】
上記コントローラ(134)が、ウェブ製造機(108)により生産されたウェブ(128)をモニターする操作;およびウェブ製造機を横切って延在するCDアクチュエータ(126)をモニターする操作を行うものである請求項35記載の装置。
【請求項39】
ウェブ製造機(108)において幅方向(CD)のアクチュエータ(126)の整定値設定の平滑性を制御するための方法であって:
ウェブ製造機により生産されたウェブ(128)をモニターする工程と;
包括的平滑化因子を探査する工程と;
この探査された結果から包括的平滑化因子について発生した動作曲線(227)を発生させる工程と;
この動作曲線から平滑化因子についての最適動作値を判定する工程と;
包括的平滑化因子を最適値に設定する工程と;
を具備してなることを特徴とする方法。
【請求項40】
包括的平滑化因子の探査が:
包括的平滑化因子をステッピングする工程であって、ここでステップを初期値で開始するものと;
ウェブ(128)を包括的平滑化因子の工程のそれぞれでモニターする工程と;
動作測定(222)および許容限度を、現時点の平滑化因子の工程のための上記包括的平滑化因子について判定する工程と;
包括的平滑化因子についての最小動作測定および最小許容限度を、先行する全てのマッピング整合工程の間において収集されたデータに基づいて判定する工程と;
を具備してなる請求項39記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−500291(P2007−500291A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532835(P2006−532835)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/014213
【国際公開番号】WO2004/101886
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(502234606)エイビービー インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】ABB INC.
【住所又は居所原語表記】579 EXECUTIVE CAMPUS, WESTERVILEE,OHIO 43082,USA
【Fターム(参考)】