ウェルプレート攪拌装置
【課題】分注作業と同時に、分注後のウェルプレートに対する攪拌作業を行なうことができるウェルプレート攪拌装置を提供する。
【解決手段】分注時に分注ステージとして利用され、且つ、攪拌時に揺動される攪拌ステージとして利用されるウェルプレート載置部を有する分注装置のウェルプレート攪拌装置において、前記ウェルプレート載置部を複数備えていると共に、
２つのウェルプレート載置部が、同一の駆動手段により揺動可能になされ、一方のウェルプレート載置部が揺動されている間は、他方のウェルプレート載置部を停止させる停止手段を備えている。
【解決手段】分注時に分注ステージとして利用され、且つ、攪拌時に揺動される攪拌ステージとして利用されるウェルプレート載置部を有する分注装置のウェルプレート攪拌装置において、前記ウェルプレート載置部を複数備えていると共に、
２つのウェルプレート載置部が、同一の駆動手段により揺動可能になされ、一方のウェルプレート載置部が揺動されている間は、他方のウェルプレート載置部を停止させる停止手段を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ウェルプレート攪拌装置、特に液状試料等の液体の分注に用いられる分注装置において、ウェルプレートに分注された液体を攪拌する際に適用して好適なウェルプレート攪拌装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
物質の生化学的反応等の試験を系統的に行なう際に用いられる装置として、分注装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
この分注装置は、分注ステージに記載された、試料収容用のウェル（凹部）が形成されているウェルプレートに、液体（薬液や試薬、検体等の試料を含んだ液状体）を注入する分注操作を行なうものである。ウェルプレートには多種類の液体を収容可能とするために多数のウェルが設けられており、各ウェル内に分注ヘッドにより液体を吐出することにより分注が行なわれる。
【０００４】
この分注操作においては、ウェル内で加え合わされる液体を万遍なく混ぜ合わせる必要があるため、分注装置には分注後のウェルプレートを揺動させて攪拌を行なうための攪拌装置を備えているものが多い。
【０００５】
【特許文献１】特開２００２−３４０９０９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、従来の分注装置に備えられている攪拌装置は、ウェルプレート載置部が、分注時にウェルプレートを載置する分注ステージと、攪拌時にウェルプレートを載置する攪拌ステージとに兼用されている場合が多いため、攪拌作業中には分注作業ができないという問題があった。
【０００７】
又、分注ステージとは別に攪拌ステージが設けられている分注装置の場合には、攪拌作業中においても分注作業は可能であるが、攪拌ステージまで分注作業が完了したウェルプレートを搬送しなければならないため、その分タクトタイムのロスにつながり、作業効率が悪いという問題があった。
【０００８】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、新たなウェルプレートに対する分注作業と、分注完了後のウェルプレートに対する攪拌作業を同時に行なうことができるウェルプレート攪拌装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、分注時に分注ステージとして利用され、且つ、攪拌時に揺動される攪拌ステージとして利用されるウェルプレート載置部を有する分注装置のウェルプレート攪拌装置において、前記ウェルプレート載置部を複数備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【００１０】
本発明は、又、２つのウェルプレート載置部が、同一の駆動手段により揺動可能になされ、一方のウェルプレート載置部が揺動されている間は、他方のウェルプレート載置部を停止させる停止手段を備えているようにしたものである。
【００１１】
本発明においては、同一の駆動手段により正方向と逆方向に回転されるドライブギヤと、該ドライブギヤに噛合され、互いに逆方向のみの回転駆動力を軸中心に伝達する２つのワンウェイギヤと、各ワンウェイギヤの軸中心にそれぞれ支持され、前記回転駆動力が伝達される、偏心部を有する２つのドライブシャフトとを備え、各ドライブシャフトの偏心部に、前記２つのウェルプレート載置部がそれぞれ揺動可能に係合されるようにしてもよい。
【００１２】
その場合、各ドライブシャフトには、それぞれ逆転防止ギヤが固定され、各逆転防止ギヤには、それぞれ固定されているドライブシャフトが駆動される回転方向とは逆方向の動力のみを伝達する第２のワンウェイギヤが噛合されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、攪拌装置が、分注ステージと攪拌ステージとに兼用されるウェルプレート載置部を複数備えるようにしたことにより、新たなウェルプレートに対する分注作業と、分注作業が完了したウェルプレートに対する攪拌作業とを同時に行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【００１５】
図１は、本発明に係る一実施形態の攪拌装置を示す斜視図、図２はその駆動機構の要部を抽出して示す機構部の構成図である。
【００１６】
本実施形態の攪拌装置は、液体を分注する際にウェルプレートを（図示せず）載置する分注ステージと、分注作業完了後に該プレートを揺動させて攪拌するための攪拌ステージとに兼用されるウェルプレート載置部として、２つのウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂを備えている。
【００１７】
各ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂは、以下に詳述する第１ベースプレート１４上に配設されている攪拌ガイドローラ２と、攪拌カムプレート３とからなる案内機構により平面内を揺動自在に支持され、該ベースプレート１４を支持する第２ベースプレート１５上に形成されている駆動機構により揺動可能になっている。
【００１８】
図３には、ウェルプレート載置板を除いた一方の案内機構の平面図を模式的に示す。この図に示されるように、カムプレート（ガイドプレート）３の周囲に配置された８個のガイドローラ２のうち、外側に位置する４つはＸ方向ガイドローラ２Ａであり、その内側に位置する４つはＹ方向ガイドローラ２Ｂである。
【００１９】
各Ｘ方向ガイドローラ２Ａは、回転軸を実線の丸で示すように、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂに回転自在に支持されているが、第１ベースプレート１４からは遊離されたフリーの状態にあり、逆に各Ｙ方向ガイドローラ２Ｂは、回転軸を破線の丸で示すように、第１ベースプレート１４に回転自在に支持されているが、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂからフリーの状態にある。
【００２０】
そして、各Ｘ方向ガイドローラ２Ａは、カムプレート３に形成されているＸ方向に延びる直線部からなるＸ方向案内辺３Ａにそれぞれ当接され、回転することによりウェルプレート載置板１Ａ（１Ｂ）と一体的にＸ方向に移動可能になっている。一方、各Ｙ方向ガイドローラ２Ｂは、カムプレート３に互いに対向して形成されているＹ方向に延びるＹ方向案内辺３Ｂに当接され、該カムプレート３をＹ方向に案内移動可能になっている。
【００２１】
従って、カムプレート３のＹ方向ガイドローラ２ＢによるＹ方向の進退移動と、カムプレート３に対するＸ方向ガイドローラ２ＡによるＸ方向の進退移動の合成により、可動範囲内でウェルプレート載置板１Ａ（１Ｂ）がＸＹ方向の任意位置に移動可能になっている。
【００２２】
又、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂには、以下に説明するように、下端部が第２ベースプレート１５に回転自在に支持されたドライブシャフト６Ａ、６Ｂの先端がそれぞれ偏心した状態で回動自在に連結されているため、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂは、各ドライブシャフト６Ａ、６Ｂの回転動作に伴って平面方向に円弧運動（揺動運動）することが可能となっている。
【００２３】
図１から第１ベースプレート１４より上の構成部を除いた状態に相当する図２に示されるように、前記第２ベースプレート１５上には１台のモータ（駆動手段）４が設置されており、該モータ４に正逆回転可能に固定されたドライブギヤ５は、互いに反対の一方向の回転のみを可能にするワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂにそれぞれ動力を伝達する。
【００２４】
各ワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂの軸係合部には、ワンウェイクラッチ８Ａ、８Ｂがそれぞれ介設されている。ワンウェイクラッチ８Ａは、左回転の、ワンウェイクラッチ８Ｂは、右回転の各動力を、それぞれ前記ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂを偏心回転により揺動させるドライブシャフト６Ａ、６Ｂに伝達すると共に、一方が回転中は他方を停止させる停止手段として機能している。
【００２５】
動力を伝達されるドライブシャフト６Ａ、６Ｂは、第１、第２ベースプレート１４、１５に埋設されているベアリングによって回動自在に支持されており、各ドライブシャフト６Ａ、６Ｂには逆回転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂがそれぞれ固定されている。
【００２６】
各逆転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂは、逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂと噛合されている。これらのワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂには、逆転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂがそれぞれ固定されているドライブシャフト６Ａ、６Ｂに支持されているワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂに組込まれた前記ワイウェイクラッチ８Ａ、８Ｂとは逆回転の動力のみを伝達するワンウェイクラッチ１１Ａ、１１Ｂがそれぞれ組込まれている。
【００２７】
逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂは、それぞれ第２ベースプレート１５に固定された軸１２Ａ、１２Ｂに回動自在に支持されており、又、その円周上には位置制御用のセンサドグ１３Ａ、１３Ｂが付設され、フォトインターラプタからなるセンサ１６Ａ、１６Ｂによりそれぞれ原点として検出されるようになっている。
【００２８】
次に、以上の構成からなる本実施形態のウェルプレート攪拌装置の作用を説明する。
【００２９】
モータ４によりドライブギヤ５が実線矢印で示すように右回転されると、各ドライブシャフト６Ａ、６Ｂに取付けられているワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂはいずれも左回転し、左回転の動力を伝達するワンウェイクラッチ８Ａが介設された一方のワンウェイギヤ７Ａは、ドライブシャフト６Ａに動力を伝達する。その結果、偏心したドライブシャフト６Ａの先端部に回動自在に連結されているウェルプレート載置板１Ａは円弧運動をし、ウェルプレート載置板１Ａ上のウェルプレート（図示せず）に分注された液体が攪拌される。
【００３０】
なお、この攪拌動作中は、ドライブシャフト６Ａが回転することにより、逆転防止用ギヤ９Ａと噛み合っている逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａはワンウェイクラッチ１１Ａの作用により空転する。
【００３１】
又、このときには、右回転の動力を伝達するワンウェイクラッチ８Ｂが組込まれているワンウェイギヤ７Ｂは空転し、ドライブシャフト６Ｂに動力が伝達されることはない。しかしながら、このままでは外力によりドライブシャフト６Ｂを回転させることは可能である。ところが、左回転の動力を伝達するワンウェイクラッチ１１Ｂが埋設されている逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ｂが、ドライブシャフト６Ｂに固定されている逆転防止用ギヤ９Ｂと噛み合っているため、外力が作用してもウェルプレート載置板１Ｂは動くことなく停止したままの状態が維持される。
【００３２】
従って、ウェルプレート載置板１Ｂで次のウェルプレートに対して分注作業を行ないながら、ウェルプレート載置板１Ａで分注作業が完了したウェルプレートに対する攪拌作業を行なうことが可能となる。
【００３３】
又、逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂは、逆転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂに対して、整数倍の歯数で構成されているため、センサ１６Ａ、１６Ｂによるセンサドグ１３Ａ、１３Ｂの検出が容易であり、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂを所定の位置に容易に位置決めすることが可能である。
【００３４】
一方、詳細な説明は省略するが、モータ４によりドライブギヤ５が破線矢印で示す左回転される場合は、上述した動きとは逆にウェルプレート載置板１Ｂが円弧運動し、ウェルプレート載置板１Ａは停止した状態が維持される。
【００３５】
以上詳述したように、本実施形態によれば、一方のウェルプレート載置板が攪拌装置として可動中でも、他方のウェルプレート載置板を確実に所定位置に停止させることができるため、分注作業を同時に行なうことが可能となる。しかも、分注ステージと攪拌ステージが別々に設けられているものに比較して、タクトタイムのロスが無いため、両作業を効率良く行なうことが可能となる。
【００３６】
又、１つの駆動手段の回転方向を切替えることにより、２つの攪拌装置をそれぞれ制御できるようになるため、それぞれの攪拌装置に駆動手段を持つものに比較して、省スペース化が図れると同時に、コストの低減を図ることができる利点もある。
【００３７】
但し、前記実施形態に示したものに限定されず、ウェルプレート載置板は３つ以上であってもよく、又、各ウェルプレート載置板は、それぞれ専用の駆動手段で揺動されるようになっていてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明に係る一実施形態のウェルプレート攪拌装置を示す斜視図
【図２】上記ウェルプレート攪拌装置の機構要部を抽出して示す斜視図
【図３】ウェルプレート載置板をＸＹ方向に円弧運動可能にするクランクプレートとガイドローラの関係を示す平面図
【符号の説明】
【００３９】
１Ａ、１Ｂ…ウェルプレート載置板
２Ａ…Ｘ方向ガイドローラ
２Ｂ…Ｙ方向ガイドローラ
３…攪拌カムプレート
４…モータ（駆動手段）
５…ドライブギヤ
６Ａ、６Ｂ…ドライブシャフト
７Ａ、７Ｂ…ワンウェイギヤ
８Ａ、８Ｂ…ワンウェイクラッチ
９Ａ、９Ｂ…逆転防止用ギヤ
１０Ａ、１０Ｂ…逆転防止用ワンウェイギヤ
１４…第１ベースプレート
１５…第２ベースプレート
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ウェルプレート攪拌装置、特に液状試料等の液体の分注に用いられる分注装置において、ウェルプレートに分注された液体を攪拌する際に適用して好適なウェルプレート攪拌装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
物質の生化学的反応等の試験を系統的に行なう際に用いられる装置として、分注装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
この分注装置は、分注ステージに記載された、試料収容用のウェル（凹部）が形成されているウェルプレートに、液体（薬液や試薬、検体等の試料を含んだ液状体）を注入する分注操作を行なうものである。ウェルプレートには多種類の液体を収容可能とするために多数のウェルが設けられており、各ウェル内に分注ヘッドにより液体を吐出することにより分注が行なわれる。
【０００４】
この分注操作においては、ウェル内で加え合わされる液体を万遍なく混ぜ合わせる必要があるため、分注装置には分注後のウェルプレートを揺動させて攪拌を行なうための攪拌装置を備えているものが多い。
【０００５】
【特許文献１】特開２００２−３４０９０９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、従来の分注装置に備えられている攪拌装置は、ウェルプレート載置部が、分注時にウェルプレートを載置する分注ステージと、攪拌時にウェルプレートを載置する攪拌ステージとに兼用されている場合が多いため、攪拌作業中には分注作業ができないという問題があった。
【０００７】
又、分注ステージとは別に攪拌ステージが設けられている分注装置の場合には、攪拌作業中においても分注作業は可能であるが、攪拌ステージまで分注作業が完了したウェルプレートを搬送しなければならないため、その分タクトタイムのロスにつながり、作業効率が悪いという問題があった。
【０００８】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、新たなウェルプレートに対する分注作業と、分注完了後のウェルプレートに対する攪拌作業を同時に行なうことができるウェルプレート攪拌装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、分注時に分注ステージとして利用され、且つ、攪拌時に揺動される攪拌ステージとして利用されるウェルプレート載置部を有する分注装置のウェルプレート攪拌装置において、前記ウェルプレート載置部を複数備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【００１０】
本発明は、又、２つのウェルプレート載置部が、同一の駆動手段により揺動可能になされ、一方のウェルプレート載置部が揺動されている間は、他方のウェルプレート載置部を停止させる停止手段を備えているようにしたものである。
【００１１】
本発明においては、同一の駆動手段により正方向と逆方向に回転されるドライブギヤと、該ドライブギヤに噛合され、互いに逆方向のみの回転駆動力を軸中心に伝達する２つのワンウェイギヤと、各ワンウェイギヤの軸中心にそれぞれ支持され、前記回転駆動力が伝達される、偏心部を有する２つのドライブシャフトとを備え、各ドライブシャフトの偏心部に、前記２つのウェルプレート載置部がそれぞれ揺動可能に係合されるようにしてもよい。
【００１２】
その場合、各ドライブシャフトには、それぞれ逆転防止ギヤが固定され、各逆転防止ギヤには、それぞれ固定されているドライブシャフトが駆動される回転方向とは逆方向の動力のみを伝達する第２のワンウェイギヤが噛合されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、攪拌装置が、分注ステージと攪拌ステージとに兼用されるウェルプレート載置部を複数備えるようにしたことにより、新たなウェルプレートに対する分注作業と、分注作業が完了したウェルプレートに対する攪拌作業とを同時に行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【００１５】
図１は、本発明に係る一実施形態の攪拌装置を示す斜視図、図２はその駆動機構の要部を抽出して示す機構部の構成図である。
【００１６】
本実施形態の攪拌装置は、液体を分注する際にウェルプレートを（図示せず）載置する分注ステージと、分注作業完了後に該プレートを揺動させて攪拌するための攪拌ステージとに兼用されるウェルプレート載置部として、２つのウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂを備えている。
【００１７】
各ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂは、以下に詳述する第１ベースプレート１４上に配設されている攪拌ガイドローラ２と、攪拌カムプレート３とからなる案内機構により平面内を揺動自在に支持され、該ベースプレート１４を支持する第２ベースプレート１５上に形成されている駆動機構により揺動可能になっている。
【００１８】
図３には、ウェルプレート載置板を除いた一方の案内機構の平面図を模式的に示す。この図に示されるように、カムプレート（ガイドプレート）３の周囲に配置された８個のガイドローラ２のうち、外側に位置する４つはＸ方向ガイドローラ２Ａであり、その内側に位置する４つはＹ方向ガイドローラ２Ｂである。
【００１９】
各Ｘ方向ガイドローラ２Ａは、回転軸を実線の丸で示すように、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂに回転自在に支持されているが、第１ベースプレート１４からは遊離されたフリーの状態にあり、逆に各Ｙ方向ガイドローラ２Ｂは、回転軸を破線の丸で示すように、第１ベースプレート１４に回転自在に支持されているが、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂからフリーの状態にある。
【００２０】
そして、各Ｘ方向ガイドローラ２Ａは、カムプレート３に形成されているＸ方向に延びる直線部からなるＸ方向案内辺３Ａにそれぞれ当接され、回転することによりウェルプレート載置板１Ａ（１Ｂ）と一体的にＸ方向に移動可能になっている。一方、各Ｙ方向ガイドローラ２Ｂは、カムプレート３に互いに対向して形成されているＹ方向に延びるＹ方向案内辺３Ｂに当接され、該カムプレート３をＹ方向に案内移動可能になっている。
【００２１】
従って、カムプレート３のＹ方向ガイドローラ２ＢによるＹ方向の進退移動と、カムプレート３に対するＸ方向ガイドローラ２ＡによるＸ方向の進退移動の合成により、可動範囲内でウェルプレート載置板１Ａ（１Ｂ）がＸＹ方向の任意位置に移動可能になっている。
【００２２】
又、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂには、以下に説明するように、下端部が第２ベースプレート１５に回転自在に支持されたドライブシャフト６Ａ、６Ｂの先端がそれぞれ偏心した状態で回動自在に連結されているため、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂは、各ドライブシャフト６Ａ、６Ｂの回転動作に伴って平面方向に円弧運動（揺動運動）することが可能となっている。
【００２３】
図１から第１ベースプレート１４より上の構成部を除いた状態に相当する図２に示されるように、前記第２ベースプレート１５上には１台のモータ（駆動手段）４が設置されており、該モータ４に正逆回転可能に固定されたドライブギヤ５は、互いに反対の一方向の回転のみを可能にするワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂにそれぞれ動力を伝達する。
【００２４】
各ワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂの軸係合部には、ワンウェイクラッチ８Ａ、８Ｂがそれぞれ介設されている。ワンウェイクラッチ８Ａは、左回転の、ワンウェイクラッチ８Ｂは、右回転の各動力を、それぞれ前記ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂを偏心回転により揺動させるドライブシャフト６Ａ、６Ｂに伝達すると共に、一方が回転中は他方を停止させる停止手段として機能している。
【００２５】
動力を伝達されるドライブシャフト６Ａ、６Ｂは、第１、第２ベースプレート１４、１５に埋設されているベアリングによって回動自在に支持されており、各ドライブシャフト６Ａ、６Ｂには逆回転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂがそれぞれ固定されている。
【００２６】
各逆転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂは、逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂと噛合されている。これらのワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂには、逆転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂがそれぞれ固定されているドライブシャフト６Ａ、６Ｂに支持されているワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂに組込まれた前記ワイウェイクラッチ８Ａ、８Ｂとは逆回転の動力のみを伝達するワンウェイクラッチ１１Ａ、１１Ｂがそれぞれ組込まれている。
【００２７】
逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂは、それぞれ第２ベースプレート１５に固定された軸１２Ａ、１２Ｂに回動自在に支持されており、又、その円周上には位置制御用のセンサドグ１３Ａ、１３Ｂが付設され、フォトインターラプタからなるセンサ１６Ａ、１６Ｂによりそれぞれ原点として検出されるようになっている。
【００２８】
次に、以上の構成からなる本実施形態のウェルプレート攪拌装置の作用を説明する。
【００２９】
モータ４によりドライブギヤ５が実線矢印で示すように右回転されると、各ドライブシャフト６Ａ、６Ｂに取付けられているワンウェイギヤ７Ａ、７Ｂはいずれも左回転し、左回転の動力を伝達するワンウェイクラッチ８Ａが介設された一方のワンウェイギヤ７Ａは、ドライブシャフト６Ａに動力を伝達する。その結果、偏心したドライブシャフト６Ａの先端部に回動自在に連結されているウェルプレート載置板１Ａは円弧運動をし、ウェルプレート載置板１Ａ上のウェルプレート（図示せず）に分注された液体が攪拌される。
【００３０】
なお、この攪拌動作中は、ドライブシャフト６Ａが回転することにより、逆転防止用ギヤ９Ａと噛み合っている逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａはワンウェイクラッチ１１Ａの作用により空転する。
【００３１】
又、このときには、右回転の動力を伝達するワンウェイクラッチ８Ｂが組込まれているワンウェイギヤ７Ｂは空転し、ドライブシャフト６Ｂに動力が伝達されることはない。しかしながら、このままでは外力によりドライブシャフト６Ｂを回転させることは可能である。ところが、左回転の動力を伝達するワンウェイクラッチ１１Ｂが埋設されている逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ｂが、ドライブシャフト６Ｂに固定されている逆転防止用ギヤ９Ｂと噛み合っているため、外力が作用してもウェルプレート載置板１Ｂは動くことなく停止したままの状態が維持される。
【００３２】
従って、ウェルプレート載置板１Ｂで次のウェルプレートに対して分注作業を行ないながら、ウェルプレート載置板１Ａで分注作業が完了したウェルプレートに対する攪拌作業を行なうことが可能となる。
【００３３】
又、逆転防止用ワンウェイギヤ１０Ａ、１０Ｂは、逆転防止用ギヤ９Ａ、９Ｂに対して、整数倍の歯数で構成されているため、センサ１６Ａ、１６Ｂによるセンサドグ１３Ａ、１３Ｂの検出が容易であり、ウェルプレート載置板１Ａ、１Ｂを所定の位置に容易に位置決めすることが可能である。
【００３４】
一方、詳細な説明は省略するが、モータ４によりドライブギヤ５が破線矢印で示す左回転される場合は、上述した動きとは逆にウェルプレート載置板１Ｂが円弧運動し、ウェルプレート載置板１Ａは停止した状態が維持される。
【００３５】
以上詳述したように、本実施形態によれば、一方のウェルプレート載置板が攪拌装置として可動中でも、他方のウェルプレート載置板を確実に所定位置に停止させることができるため、分注作業を同時に行なうことが可能となる。しかも、分注ステージと攪拌ステージが別々に設けられているものに比較して、タクトタイムのロスが無いため、両作業を効率良く行なうことが可能となる。
【００３６】
又、１つの駆動手段の回転方向を切替えることにより、２つの攪拌装置をそれぞれ制御できるようになるため、それぞれの攪拌装置に駆動手段を持つものに比較して、省スペース化が図れると同時に、コストの低減を図ることができる利点もある。
【００３７】
但し、前記実施形態に示したものに限定されず、ウェルプレート載置板は３つ以上であってもよく、又、各ウェルプレート載置板は、それぞれ専用の駆動手段で揺動されるようになっていてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明に係る一実施形態のウェルプレート攪拌装置を示す斜視図
【図２】上記ウェルプレート攪拌装置の機構要部を抽出して示す斜視図
【図３】ウェルプレート載置板をＸＹ方向に円弧運動可能にするクランクプレートとガイドローラの関係を示す平面図
【符号の説明】
【００３９】
１Ａ、１Ｂ…ウェルプレート載置板
２Ａ…Ｘ方向ガイドローラ
２Ｂ…Ｙ方向ガイドローラ
３…攪拌カムプレート
４…モータ（駆動手段）
５…ドライブギヤ
６Ａ、６Ｂ…ドライブシャフト
７Ａ、７Ｂ…ワンウェイギヤ
８Ａ、８Ｂ…ワンウェイクラッチ
９Ａ、９Ｂ…逆転防止用ギヤ
１０Ａ、１０Ｂ…逆転防止用ワンウェイギヤ
１４…第１ベースプレート
１５…第２ベースプレート
【特許請求の範囲】
【請求項１】
分注時に分注ステージとして利用され、且つ、攪拌時に揺動される攪拌ステージとして利用されるウェルプレート載置部を有する分注装置のウェルプレート攪拌装置において、
前記ウェルプレート載置部を複数備えたことを特徴とするウェルプレート攪拌装置。
【請求項２】
２つのウェルプレート載置部が、同一の駆動手段により揺動可能になされ、一方のウェルプレート載置部が揺動されている間は、他方のウェルプレート載置部を停止させる停止手段を備えていることを特徴とする請求項１に記載のウェルプレート攪拌装置。
【請求項３】
同一の駆動手段により正方向と逆方向に回転されるドライブギヤと、
該ドライブギヤに噛合され、互いに逆方向のみの回転駆動力を軸中心に伝達する２つのワンウェイギヤと、
各ワンウェイギヤの軸中心ににそれぞれ支持され、前記回転駆動力が伝達される、偏心部を有する２つのドライブシャフトとを備え、
各ドライブシャフトの偏心部に、前記２つのウェルプレート載置部がそれぞれ揺動可能に係合されていることを特徴とする請求項２に記載のウェルプレート攪拌装置。
【請求項４】
各ドライブシャフトには、それぞれ逆転防止ギヤが固定され、
各逆転防止ギヤには、それぞれ固定されているドライブシャフトが駆動される回転方向とは逆方向の動力のみを伝達する第２のワンウェイギヤが噛合されていることを特徴とする請求項３に記載のウェルプレート攪拌装置。
【請求項１】
分注時に分注ステージとして利用され、且つ、攪拌時に揺動される攪拌ステージとして利用されるウェルプレート載置部を有する分注装置のウェルプレート攪拌装置において、
前記ウェルプレート載置部を複数備えたことを特徴とするウェルプレート攪拌装置。
【請求項２】
２つのウェルプレート載置部が、同一の駆動手段により揺動可能になされ、一方のウェルプレート載置部が揺動されている間は、他方のウェルプレート載置部を停止させる停止手段を備えていることを特徴とする請求項１に記載のウェルプレート攪拌装置。
【請求項３】
同一の駆動手段により正方向と逆方向に回転されるドライブギヤと、
該ドライブギヤに噛合され、互いに逆方向のみの回転駆動力を軸中心に伝達する２つのワンウェイギヤと、
各ワンウェイギヤの軸中心ににそれぞれ支持され、前記回転駆動力が伝達される、偏心部を有する２つのドライブシャフトとを備え、
各ドライブシャフトの偏心部に、前記２つのウェルプレート載置部がそれぞれ揺動可能に係合されていることを特徴とする請求項２に記載のウェルプレート攪拌装置。
【請求項４】
各ドライブシャフトには、それぞれ逆転防止ギヤが固定され、
各逆転防止ギヤには、それぞれ固定されているドライブシャフトが駆動される回転方向とは逆方向の動力のみを伝達する第２のワンウェイギヤが噛合されていることを特徴とする請求項３に記載のウェルプレート攪拌装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００６−１８９３０６（Ｐ２００６−１８９３０６Ａ）
【公開日】平成１８年７月２０日（２００６．７．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−９０１（Ｐ２００５−９０１）
【出願日】平成１７年１月５日（２００５．１．５）
【出願人】（０００００３３９９）ＪＵＫＩ株式会社 (1,557)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年７月２０日（２００６．７．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１月５日（２００５．１．５）
【出願人】（０００００３３９９）ＪＵＫＩ株式会社 (1,557)
【Ｆターム（参考）】
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