説明

ウェーハ切断装置

【課題】 ウェーハ切断不良が発生することを最小化する。
【解決手段】 ウェーハの表面は下向きになるように搭載され、中心部分に所定のサイズの孔16が形成されたチャックテーブル10と、チャックテーブル10の孔16に設置され、孔16を介して露出するウェーハ表面の半導体チップの形態を認識するカメラ20と、チャックテーブル10に搭載されたウェーハの裏面を切断する切断刃30と、チャックテーブル10、カメラ20及び切断刃30に電気的に連結され、チャックテーブル10、カメラ20及び切断刃30の駆動を制御する制御部40とを備えている。制御部40は、カメラ20が認識したウェーハに関する情報に従ってチャックテーブル10を駆動し、ウェーハの位置を切断刃30に合わせて整列した後、切断刃30を駆動してウェーハを切断する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造装置に関し、より詳細には、ウェーハ裏面に沿って切断して個別半導体チップに分離するウェーハ切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製品の製造工程は、大きく半導体ウェーハ加工(semiconductor waferfabrication)、パッケージ組立(package assembly)及びテスト(test)とに分けられる。ウェーハ加工工程は、ウェーハの内部または表面に回路や素子を作る一連の操作をいう。この過程が終われば、ウェーハを切断し、ウェーハ上の半導体素子を個別半導体チップに分離するウェーハ切断工程を経て、それぞれの個別半導体チップをパッケージ状態に組立てるパッケージ組立工程が進行される。
【0003】通常、ウェーハ切断工程は、チャックテーブル(chuck table)上に搭載されたウェーハを、ダイアモンド切断刃で切断することで行われる。ウェーハ切断時、後続工程、例えばチップ取付工程のために、半導体チップを個別に容易に分離するために、フールカッティング(full cutting)を主に行なう。フールカッティングする際、ウェーハの厚さだけ切断するものではなく、チャックテーブルを基準に、上部の接着テープとウェーハ厚さを計算して、接着テープの約20%程度をさらに切断するように、切断深さをセッティングする。
【0004】ところが、通常的なウェーハ切断工程は、半導体チップが形成されたウェーハ上部面のチップ切断領域に沿って切断工程が進行するので、ウェーハを切断する過程で発生するチッピング(chipping)により半導体チップの回路部が損傷されることがある。また、切断過程で発生するシリコン屑が半導体チップの電極パッドに貼り付いて、洗浄液を噴射しても除去できず、ワイヤーボンディング工程でボンディング不良を引き起こすことがある。また、シリコン屑が半導体チップの表面を損傷させるおそれもある。
【0005】このような問題点を解決するために、ウェーハの裏面に沿って切断する方法がある。ウェーハ裏面を切断する方式のウェーハ切断装置が、例えば日本国特開平11−307488号に開示されている。開示されたウェーハ切断装置は、ウェーハ裏面に赤外線を照射する検出器でウェーハ表面の半導体チップの形態を認識した後、ウェーハ裏面の切断工程を進行する。このようにウェーハ裏面に沿って切断する場合、チッピングによるチップの損傷がなく、ウェーハ切断時に発生するシリコン屑が半導体チップの電極パッドに残存せず、洗浄液でシリコン屑を容易に除去できるだけでなく、シリコン屑により半導体チップの表面が損傷することを防止できるという長所を有する。
【0006】しかしながら、ウェーハ裏面から、反対面であるウェーハ表面に形成された半導体チップの形態を認識しながらウェーハ切断工程を進行するため、ウェーハ表面に形成された半導体チップの形態を直接認識する方式に比べて、認識率が低く、それによりウェーハ切断不良が発生するという問題点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ウェーハ表面の半導体チップの形態を認識した後、ウェーハ裏面に沿って切断して、ウェーハ切断不良が発生することを最小化するウェーハ切断装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明に係るウェーハ切断装置は、ウェーハの裏面を切断するウェーハ切断装置であって、ウェーハの表面が下向きになるように搭載され、中心部分に所定のサイズの孔が形成されたチャックテーブルと、チャックテーブルの孔に設置され、孔を介して露出するウェーハ表面の半導体チップの形態を認識するカメラと、チャックテーブルに搭載されたウェーハの裏面を切断する切断刃と、チャックテーブル、カメラ及び切断刃に電気的に連結され、チャックテーブル、カメラ及び切断刃の駆動を制御する制御部とを備え、制御部は、カメラが認識したウェーハに関する情報に従ってチャックテーブルを駆動させ、ウェーハの位置を切断刃に合わせて整列させた後、切断刃を駆動させてウェーハを切断することを特徴とする。また、チャックテーブルの孔の直径は、5cm〜10cmであることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例に係るウェーハ切断装置100を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施例に係るウェーハ切断装置100は、ウェーハの裏面で切断工程を進行する装置であって、チャックテーブル10、カメラ20、切断刃30及び制御部40で構成される。チャックテーブル10は、切断工程が進行されるべきウェーハを吸着し整列する手段であって、制御部40により制御され、中心部分に所定のサイズの孔16が形成されている。半導体チップが形成されたウェーハの表面を、下向きにしてチャックテーブル10上に実装する。カメラ20は、チャックテーブルの孔16内に設置され、孔16を介して露出するウェーハ表面の半導体チップの形態を認識し、制御部40に伝送する。切断刃30は、チャックテーブル10の搭載されたウェーハ裏面を切断し、個別半導体チップに分離する手段であって、通常的にダイアモンド切断刃を使用し、制御部40により制御される。そして、制御部40は、チャックテーブル10、カメラ20及び切断刃30と電気的に連結され、チャックテーブル10、カメラ20及び切断刃20の駆動を制御する。すなわち、制御部40は、カメラ20で認識したウェーハに関する情報をチャックテーブル10に伝送し、チャックテーブル10に実装されたウェーハの位置を切断刃30に合わせて整列させた後、切断刃30を駆動して、ウェーハの切断工程を実施する。
【0010】本発明の具体的な実施例に係るウェーハ切断装置100を、図2から図4を参照して説明する。チャックテーブル10は、テーブル胴体12、ウェーハ吸着板14及びリングクランプ(ring clamp)18で構成される。テーブル胴体12は、円板形状よりなり、中心部分にウェーハ吸着板14が設置される空間が形成されている。ウェーハ吸着板14は、テーブル胴体12の上部面に設置され、搭載されたウェーハ62を真空で吸着する手段であって、電気伝導性を有しない多孔性材質、例えばポーロス(porous)で製造される。
【0011】そして、リングクランプ18は、中心部分にウェーハ62の表面が取り付けられたウェーハリング66を固定する。すなわち、ウェーハ62の切断工程、及び切断工程以後のチップ取付工程を容易に実施するために、少なくともウェーハ62の直径より大きいリング形状のウェーハリング66の中心部分にウェーハ62を位置させ、リングテープ64を用いてウェーハリング56に固定した状態でウェーハ62を取扱う。従って、ウェーハ62が取り付けられたウェーハリング66がチャックテーブル10に移送されると、ウェーハ62が取り付けられた部分は、ウェーハ吸着板14上に載置され、ウェーハ62外周のウェーハリング66はリングクランプ18に位置し、ウェーハ62は、ウェーハ吸着板14により真空吸着され固定され、固定リング66はリングクランプ18により固定される。参照符号17は、フレームサイズ調整用把手である。すなわち、調整用把手17は、ウェーハ62の直径、例えば、6インチ、8インチ、12インチに応じてウェーハリング66のサイズも変わるため、それに対応できるようにリングクランプ18の位置を前後に移動させる手段である。
【0012】特に、本発明の実施例に係るチャックテーブル10は、ウェーハ吸着板14に向けているウェーハ62表面の半導体チップをカメラ20が認識できるように、ウェーハ吸着板14の中心部分に孔16が形成されており、その孔16にカメラ20が設置された構造を有する。ウェーハ吸着板14に形成された孔のサイズは、ウェーハ吸着板14がウェーハ62を安定的に吸着し、カメラ20がウェーハ62切断工程に必要な最小限の半導体チップの形状を認識できるサイズを有するように形成することが望ましい。
【0013】本発明の実施例では、ウェーハ吸着板14の中心部分に5cm〜10cmの直径を有する孔16を形成した。もちろん、ウェーハ吸着板14のサイズによって孔16のサイズを適切に調節することは、本発明から容易に変形できる範囲に属する。孔16に設置されたカメラ20は、孔16を介して露出するウェーハ62表面の半導体チップ形状を認識できるように、カメラ20を上下左右に移動させるX軸駆動部22、Y軸駆動部24及びZ軸駆動部26を含む。
【0014】そして、ウェーハ62表面は、リングテープ64により隠れるため、有色のリングテープを使用する場合、カメラの認識率が低下することがある。従って、リングテープ64としては、有色よりは無色に近いリングテープを使用することが望ましい。
【0015】以下、本発明の一実施例に係るウェーハ切断装置100を用いたウェーハ切断工程を説明する。まず、ウェーハ62表面がリングテープ64に取り付けられたウェーハリング66がチャックテーブル10にローディングされ、吸着固定される。次に、チャックテーブルの孔16に設置されたカメラ20が孔16を介して露出するウェーハ62表面の半導体チップの形状を上下左右に移動しながら認識し、その情報を制御部40に伝送する。制御部40で伝送されたウェーハ62に関する情報に基づいてチャックテーブル10を駆動させ、ウェーハ62を切断刃30により切断されるべき位置に整列する。続いて、制御部40は、切断刃30を駆動させて、整列されたウェーハ62裏面に沿って個別半導体チップに分離するウェーハ切断工程を進行する。最後に、切断工程が完了したウェーハリング66は、チャックテーブル10からアンローディングすることによって、ウェーハ切断工程が完了する。
【0016】本発明は、本発明の技術的思想から逸脱することなく、他の種々の形態で実施することができる。前述の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例のみに限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、ウェーハの表面を下向きにしてテーブル上に搭載することにより、チャックテーブルの孔に設置されたカメラがウェーハ表面の半導体チップの形状を認識してウェーハの位置を補正するため、ウェーハ切断不良が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るウェーハ切断装置を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係るウェーハ切断装置において、チャックテーブルの孔にカメラが設置されたウェーハ切断装置を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るウェーハ切断装置において、切断刃によりウェーハが切断される状態を示す部分断面図である。
【図4】図3のA部分を拡大して示した部分断面図である。
【符号の説明】
10 チャックテーブル
12 テーブル胴体
14 ウェーハ吸着板
16 孔
20 カメラ
22 X軸駆動部
24 Y軸駆動部
26 Z軸駆動部
30 切断刃
40 制御部
50 リングクランプ
52 フレームサイズ固定用把手
100 ウェーハ切断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ウェーハの裏面を切断するウェーハ切断装置であって、ウェーハの表面が下向きになるように搭載され、中心部分に所定のサイズの孔が形成されたチャックテーブルと、前記チャックテーブルの孔に設置され、前記孔を介して露出する前記ウェーハの表面の半導体チップの形態を認識するカメラと、前記チャックテーブルに搭載されたウェーハの裏面を切断する切断刃と、前記チャックテーブル、前記カメラ及び前記切断刃に電気的に連結され、前記チャックテーブル、前記カメラ及び前記切断刃の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記カメラが認識した前記ウェーハに関する情報に従って前記チャックテーブルを駆動し、前記ウェーハの位置を前記切断刃に合わせて整列した後、前記切断刃を駆動して前記ウェーハを切断することを特徴とするウェーハ切断装置。
【請求項2】 前記チャックテーブルの孔の直径は、5cm〜10cmであることを特徴とする請求項1に記載のウェーハ切断装置。
【請求項3】 前記ウェーハの表面は、リングテープによりウェーハリングに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のウェーハ切断装置。
【請求項4】 前記リングテープは、透明な材質よりなることを特徴とする請求項3に記載のウェーハ切断装置。
【請求項5】 前記チャックテーブルは、前記ウェーハが搭載されて吸着されるウェーハ吸着板と、前記ウェーハ吸着板を囲むテーブル胴体とを備え、前記孔は、前記ウェーハ吸着板の中心部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェーハ切断装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate