ウエットシート収容容器
【課題】ウエットシート収容容器の密封性を確実なものとする。
【解決手段】容器本体2上面の開口部2Hを被覆するようにしてシート状の気密部材5が配され、このシート状気密部材5にウエットシートの取出口15が形成されているとともに、さらにこのシート状気密部材5に前記取出口15を囲むようにして、蓋体を閉じた状態で蓋体3に接する気密部10を有するウエットシート収容容器により解決される。
【解決手段】容器本体2上面の開口部2Hを被覆するようにしてシート状の気密部材5が配され、このシート状気密部材5にウエットシートの取出口15が形成されているとともに、さらにこのシート状気密部材5に前記取出口15を囲むようにして、蓋体を閉じた状態で蓋体3に接する気密部10を有するウエットシート収容容器により解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットティシュなど、薬液等の液体を含浸させたウエットシートを収容するウエットシート収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットシートは、未使用時または不使用時に湿潤状態を維持するために、気密とされた容器内に、又は詰め替え用の包装袋内に収容された状態で前記容器内に、所定枚数分だけ折り畳まれた状態で収容されている。この種のウエットシートにおいては、上下段のウエットシートが互いに重ね部分を持ちながら積み重ねられており、最上部のウエットシートを容器から取り出すと、次のウエットシートが取り出し易いように、容器の取出口よりその一部が突出する、いわゆるポップアップ方式の重畳構造が採用されている。
かかるウエットシートを収容する収容容器は、一般的に、天面部に取出口を有する容器本体と、この容器本体の天面部にヒンジ等により回動可能に結合されて前記取出口を覆う蓋体とを具備し、前記取出口の周囲と蓋体との間をシール手段によりシールすることにより、内部に収容したウエットシートに含浸された薬液の揮発が防止される構造を採る。
そのシール手段としては、従来、天面部に形成された取出口に密着する弾性材を蓋体内面に配してシール機能を付与したもの(特許文献1参照)や、蓋体内面に設けた二重リング(インナリングと小リング)間に環状弾性パッキンを介在させるとともに、容器天板の一部を構成する中蓋にシールリングを形成し、このシールリング先端が蓋体を閉じた状態で前記二重リング間に収まるとともに前記弾性パッキンに当接するようにしてシール機能を発揮するようにしたもの(特許文献2参照)が知られる。
【特許文献1】特開2000−142842
【特許文献2】特開平11−49206
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら従来のシール手段は、度重なる開閉による蓋体の歪みやねじれ、度重なるウエットシートの取り出しに伴う天面部の歪みやねじれ、などによって簡単にシールリング頂点が弾性パッキンから離間してしまい、もってシール機能が不十分となることがあり、ウエットシートに含浸した薬液が揮発してしまうことがあった。
また、従来例は、取出口が広く形成されているため、蓋体の開け閉めをおこなうだけで薬液が多く揮発してしまい、短期間でウエットシートの品質が低下することがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、確実なシール機能を発揮し長期に渡ってウエットシートを湿潤状態の保持するウエットシート収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
上面に開口部が形成された容器本体と、前記開口部を開閉自在に塞ぐ蓋体とを備えるウエットシート収容容器であって、
前記開口部を被覆するようにしてシート状の気密部材が配され、
このシート状気密部材にウエットシートの取出口が形成され、さらにこのシート状気密部材に前記取出口を囲むようにして、前記蓋体を閉じた状態で蓋体と接する気密部を有することを特徴とするウエットシート収容容器。
【0005】
(作用効果)
取出口と気密部とが一体的に形成されているので、構造が簡易であり製造が容易となる。また、取出口から気密部までの間に他の部材の介在がなく気密性にも優れるようになる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記蓋体の内面に環状の起立壁が形成され、前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が気密部材に接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【0007】
(作用効果)
起立壁が気密部材に当接する簡易な構造で確実に気密性が確保できるようになる。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が嵌合する嵌合溝が、気密部材に形成されている請求項2記載のウエットシート収容容器。
【0009】
(作用効果)
起立壁の先端縁部が嵌合溝に嵌るように構成されているので、溝内壁が起立壁の内側壁および外側壁にそれぞれ接するとともに、さらに溝底が起立壁の先端縁に接するので、よりいっそう気密性の高い構造となる。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に、内側環状起立壁と外側環状起立壁とが形成され、前記蓋体を閉じた状態で、前記内側環状起立壁および外側環状起立壁がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【0011】
(作用効果)
本発明では、内側環状起立壁と外側環状起立壁とがそれぞれ凸堤部に接するように構成されている。すなわち、本発明は蓋体を閉じた状態では取出口は少なくとも二つの壁に囲まれるように密封されて二重にシールされた状態となる。したがって、従来、ウエットシート収容容器と比較して、容器本体内に収められたウエットシートから薬液等が外部に蒸散することが防止され、もってウエットシートの品質低下が防止される。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に起立壁が形成され、この起立壁の先端には溝が形成されていて、この溝を隔てて内側縁片と外側縁片とが形成されており、
前記蓋体を閉じた状態で、前記内側縁片および外側縁片がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【0013】
(作用効果)
本発明では、内側縁辺と外側縁片とがそれぞれ凸堤部に接するように構成されている。すなわち、本発明は蓋体を閉じた状態では取出口は少なくとも二つの縁片に囲まれるように密封されて二重にシールされた状態となる。したがって、従来、ウエットシート収容容器と比較して、容器本体内に収められたウエットシートから薬液等が外部に蒸散することが防止され、もってウエットシートの品質低下が防止される。
【0014】
<請求項6記載の発明>
容器本体の上面に凹部が形成され、この凹部にシート状の気密部材が嵌め込まれている、請求項1〜5の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【0015】
(作用効果)
蓋体の内面に気密部材を取付けると、蓋体の度重なる開閉に起因する蓋自体の変形によって気密性(密閉性)の確保が難しくなることがあるが、本発明では気密部材を容器本体の上面に設けたことにより、蓋体の内面に気密部材を取付ける場合に比べて、より長期かつ安定的にウエットシートの品質を保持することができる。また、気密部材の配置が容易となりもって製造が容易となる。
【0016】
<請求項7記載の発明>
気密部材は、軟質材又は弾性体で構成されている、請求項1〜6の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【0017】
(作用効果)
気密部材を軟質材又は弾性体で構成することによって、気密部材が変形して起立壁に圧接させることができ、より気密性(密閉性)の確保がし易くなる。
【0018】
<請求項8記載の発明>
前記取出口は、気密部材に形成されたスリットまたは貫通部でありシートが有する伸縮性によって開閉する、請求項1〜7何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【0019】
(作用効果)
取出口が気密部材に形成されたスリットであるため、気密部材を弾性体等にすると、ウエットシートの取り出しのさい取出口縁がウエットシートとの摩擦によって上方に向かって若干持ち上げられ、これにより取出口縁近傍が伸張される作用とともに取出口が若干広がるようになりウエットシートの取り出しが易化する。そして、一枚のウエットシートが取り出された後には、伸張した取出口縁が直ちに収縮して薬液の揮発経路となる開口を最小にならしめ、もって取り出し時における容器内のウエットシートの薬液の蒸散を最小限にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明は、凸堤部に代表される気密部とスリット状に代表される取出口が同一の気密部材に形成されていることを基本構造としている。そしてこの本発明によれば、確実なシール機能が発揮され、長期に渡ってウエットシートを湿潤状態の保持するウエットシート収容容器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本形態に係るウエットシート収容容器X1の正面図であり、図2はウエットシート収容容器X1のII−II断面図であり、図3は蓋体3を開けた状態のウエットシート収容容器X1の正面図であり、図4は取出口近傍の拡大断面概略図である。
【0022】
本形態に係るウエットシート収容容器X1は、図1〜4に示すように、底面が開口とされる容器本体2と、この容器本体2の底部に着脱自在に取付けられる底蓋4と、容器本体2の上部に形成された取出口15を開閉自在に塞ぐことが可能な蓋体3と、を備えている。容器本体2へのウエットシートWの収納は、底蓋4を容器本体2から取外して、容器本体2の底部2Bから行なわれる。
【0023】
容器本体2の上面には、蓋体3よりも若干大きい略矩形状で、かつ容器本体2上面より蓋体3の厚み分だけ一段低い段差が設けられた段差部2aが形成されており、これによって開口部5を蓋体3が塞ぐ際には、容器本体2の最上面部と蓋体3の上面とが略面一になるようになっている。
【0024】
また、容器本体2の上面であって、かつ段差部2aの略中央には、段差部2aからさらに一段低い略楕円状の凹部6が形成されており、この凹部6の周底の略中央に開口部2Hが形成されている。凹部6の形成により蓋体3を閉じた状態で、蓋体3の内面側と後述の取出口5との間に空間を形成し、この空間内に取出口5から突出したウエットシートWの一部が収まる。
【0025】
凹部6には、この凹部6と同形状であって大きさが等しいまたは若干大きく形成されたシート状の気密部材5が嵌め込まれている。前記気密部材5は、シリコン樹脂等の軟質材、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー、弾性繊維、弾性発泡体、合成ゴム、発泡ポリエチレン等の弾性体などが用いられる。
【0026】
このシート状の気密部材5は、前記開口部2Hの周縁部6b(凹部の周底部でもある)で支持されているとともに、前記容器本体2の開口部2Hを被覆している。そして、この気密部材5は前記開口部2Hの上方位置に十字スリット状の取出口15が形成されており、もって容器本体2に形成されて開口部2Hおよび取出口15を通ってウエットシートWが取り出される。この取り出しのさい、すなわち取出口15から露出するウエットシートWの一部を持って引き出すさいに、取出口15縁がウエットシートとの摩擦によって上方に向かって若干持ち上げられ、これにより取出口縁近傍が伸張される作用とともにスリット15が広がりウエットシートが取り出される。そして、一枚のウエットシートが取り出された後には、ただちにスリット縁は収縮して薬液の揮発経路となるスリット開口を最小にならしめる。また、一枚のウエットシートが取り出された後に、ただちにスリット開口が収縮することにより、それに続く後方のウエットシートの一部を確実に保持し、もってウエットシートの一枚毎の取り出しを確実なものとして好適なポップアップ式形態を可能ならしめる。
【0027】
ここでシート状の気密部材5の凹部6内での固定は、例えば、図示例の如く凹部周底6bに係止突片14を設けてこの係止突片14を気密部材5に適宜形成した固定用穴部16にはめ込むようにしてもよいし、凹部周側壁6sの途中に突出するよう係止突片(図示しない)を数箇所(例えば、楕円の短軸・長軸方向のそれぞれ2箇所ずつで計4箇所)形成して、この係止突片と凹部周底との間に気密部材を挟持させるように構成したり、凹部の周底部6bにシート状気密部材を接着剤で接着したりすれば、容易である。
【0028】
一方、前記気密部材5には、前記取出口15を囲むようにして、凸堤部10が形成されている。この凸堤部10の下方位置までは、容器本体2の凹部6の周底部6bが延在しており上方がわからの押圧に対する剛性がある程度確保されている。
【0029】
他方、容器本体2の上面には、容器本体2の一側辺側を回動支点(ヒンジ部)30として開閉自在とされた蓋体3が設けられており、この蓋体3は未使用時または不使用時に少なくとも取出口15、好適には開口部2Hが形成されている範囲を塞ぐように構成されている。また、ヒンジ30近傍には弾性復元力により上記蓋を全開可能とする弾性体(図示せず)が配設されており、上記容器本体と上記蓋とに設けられた該蓋の閉時に互いに係止して該蓋を閉蓋位置に保つ係止機構部21A、21Bの解除により簡易に蓋を開けることが可能とされている。
【0030】
ここで、本形態では特徴的に前記蓋体3の内面の中央付近に、蓋体天面から下方(内面側)に向かって突出するように起立し、かつその先端縁が蓋体3を閉じた状態で前記気密部材に全周にわたって接する環状に形成された起立壁11が形成されている。また、前記起立壁11は、本形態では蓋体3を閉じた状態では気密部材5に形成された凸堤部10の内側基端部近傍に接するように形成されており、もって取出口15を囲むように気密部材5と接する。すなわち、起立壁11の先端周縁と気密部材5の当接部分が本発明にいう気密部である。ここで、前述のとおりこの凸堤部10の下方位置までは、容器本体2の凹部周底部6bが延在されていることから、起立壁11先端の接触によってシート状気密部材5が過度に下方側(容器内側)に押し込まれて変形することはなく、気密部材5自体が有する弾性力に応じて適度に起立壁11の先端周縁に対して気密部材5表面が圧接する。
【0031】
このように、蓋体3を閉じた状態で蓋体3の起立壁11と前記シート状の気密部材5とが、適度な圧力をもって当接するとともに、容器本体2内に収められたウエットシートWから薬液が取出口15を介して外部に蒸散することが防止され、ウエットシートWの品質低下が防止される。
【0032】
<第2の実施の形態>
次いで、第2の実施の形態X2を説明する。第2の実施の形態X2は、シート状の気密部材の形状の相違による気密部の態様が相違するほかは、第1の実施の形態と同様であるので、共通事項について説明は省略する。本形態は、図5に取出口15の近傍の構造が示されるように、シート状の気密部材5に凸堤部はなく、代わって取出口15を囲むようにして環状の溝部12が形成されている。
【0033】
そして、本形態では蓋体3を閉じた状態としたときに、蓋体3に形成された起立壁11(構造は第1の実施の形態と同様)の先端周縁が、溝部12に嵌るように構成されており、このときに溝部12の内壁面が起立壁11の内側壁11iおよび外側壁11oにそれぞれ接するとともに、溝部の底面が起立壁11の先端縁11tに接し、気密部を構成する。
【0034】
本形態では、図からも明らかなとおり、容器本体2の凹部6の周底部6bにも凹溝6mが形成されていてこの容器本体凹溝6mに、シート状の気密部材5に形成された凹溝6mに合わせてその反対面側に形成される凸部が、嵌合されるように構成されている。
【0035】
本形態は、起立壁11と気密部材5との接触部分が多くなるため、第1の形態よりも気密性が高いものとなる。
【0036】
<第3の実施の形態>
次いで、第3の実施の形態X3を説明する。第3の実施の形態X3は、蓋体3に形成される起立壁11およびシート状の気密部材5の凸堤部10の形状の相違による気密部の態様が相違するほかは、第1の実施の形態と同様である。
【0037】
本形態は、図6に取出口近傍の構造が示されるように、シート状の気密部材5に形成された凸堤部10が断面山型形状をなしている。
【0038】
一方、蓋体3に形成された起立壁11の先端が二股に分かれており内側縁片11aおよび外側縁片11bが形成されている。
【0039】
そして、前記蓋体3を閉じた状態では、前記内側縁片11aが前記断面山形の凸堤部10の内側傾斜面10aに全周に渡って接し、外側縁片11bが外側傾斜面10bに全周に渡って接するように構成されている。
【0040】
本形態では、内側縁片11aおよび外側縁片11bの二周縁が凸堤部10に接するようになるので、気密性が高くなる。
【0041】
なお、本形態の変形例として、例えば、図7に示す例X4ように、凸堤部10が頂面を有する断面台形形状をなし、その内側縁片11aが内側稜線10cに接し、外側縁片11bが外側稜線10dに接するように構成した例を挙げることができる。
【0042】
また、図示の形態では、内外縁片11a,11bの高さ(長さ)が同じに形成されているが、これらは必ずしも同じ高さである必要はない。
【0043】
<第4の実施の形態>
次いで、第4の実施の形態X5を説明する。第4の実施の形態X5は、蓋体3に形成される起立壁11およびシート状の気密部材5の凸堤部10の形状の相違による気密部の態様が相違するほかは、第1の実施の形態と同様である。
【0044】
本形態X5は、図8に取出口近傍の構造が示されるように、シート状の気密部材5に形成された凸堤部10が断面山型形状をなしている。
【0045】
一方、蓋体3の内面には、内側環状起立壁11Aおよび外側環状起立壁11Bの二つの起立壁が形成されている。
【0046】
そして、前記蓋体3を閉じた状態では、前記内側環状起立壁11Aの先端部が前記凸堤部10の内側傾斜面10aに接し、外側環状起立壁11Bの先端部が外側傾斜面10bとに接するように構成されている。すなわち、前記蓋体3を閉じた状態では、両起立壁先端部11A,11B間に凸堤部10が全周に渡って接しつつ嵌り込むように構成されている。
【0047】
本形態では、内側環状起立壁11Aおよび外側環状起立壁11Bがそれぞれ凸堤部10に接するようになるので気密性が高くなる。
【0048】
なお、本形態の変形例として、例えば、図9に示す例X6ように、凸堤部10が頂面を有する断面台形形状をなし、その内側環状起立壁11Aが内側稜線10cに接し、外側環状起立壁11Bが外側稜線10dに接するように構成した例を挙げることができる。
【0049】
また、図示の形態では、内外起立壁の高さ(長さ)が同じに形成されているが、これらは必ずしも同じ高さである必要はない。
【0050】
<第5の実施の形態>
次いで、第5の実施の形態X7を説明する。第5の実施の形態X7は、蓋体3に起立壁11が形成されていない形態である。本形態X7では、シート状の気密部材5に形成された取出口15を囲むように形成された凸堤部10が第1の形態よりも高く(長く)形成されており、蓋体3を閉じた状態においてこの凸堤部10の先端が全周に渡って蓋体3の内面(天板)に圧接するように構成されている。その他の構造は、第1の実施の形態と同様である。
【0051】
<第6の実施の形態>
次いで、第6の実施の形態X8、X9を説明する。第6の実施の形態X8、X9は、気密部材5に二つの凸堤部10A,10Bが形成されている形態である。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0052】
本形態X8、X9では、図11または12に示されるように、気密部材5に取出口15を囲むようにして二つの凸堤部(内側凸堤部10Aおよび外側凸堤部10B)が形成されている。そして、蓋体3を閉じた状態で、起立壁11の内側壁面11iが内側凸堤部10Aに全周に渡って接触し、外側壁面11oが外側凸堤部10Bに全周に渡って接触するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、手拭用途、肌の清拭用途に用いるウエットティッシュや、各種対象物の清拭用途等に用いるウエットワイプなど、アルコール、保湿材、その他薬材など適宜の液体を含浸させたウエットシートを収容する収容容器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の形態にかかるウエットシート収容容器の正面図である。
【図2】そのII−II断面図である。
【図3】第1の形態にかかるウエットシート収容容器の蓋を開けた状態の正面図である。
【図4】第1の形態の取出口近傍の拡大断面図である。
【図5】第2の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図6】第3の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図7】第3の形態の他の例にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図8】第4の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図9】第4の形態の他の例にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図10】第5の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図11】第6の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図12】第6の形態の他の例にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0055】
2…容器本体、2a…段差部、2B…容器底部開口、2H…開口部、3…蓋体、4…底蓋、5…気密部材、6…楕円形凹部、6s…凹部周側壁、6b…凹部周底、6m…容器本体凹溝、10…凸堤部、10a…凸堤部内側傾斜面、10b…凸堤部外側傾斜面、10c…凸堤部内側稜線、10d…凸堤部外側稜線、10A…内側凸堤部、10B…外側凸堤部、11…起立壁、11a…内側縁片、11b…外側縁片、11i…起立壁の内側壁面、11o…起立壁の外側壁面、11t…起立壁の先端縁、11A…内側起立壁、11B…外側起立壁、12…環状溝部、W…ウエットシート、14…係止突片、15…取出口、16…固定用穴部、21A,21B…係止機構部、30…ヒンジ、X1〜X9…ウエットシート収容容器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットティシュなど、薬液等の液体を含浸させたウエットシートを収容するウエットシート収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットシートは、未使用時または不使用時に湿潤状態を維持するために、気密とされた容器内に、又は詰め替え用の包装袋内に収容された状態で前記容器内に、所定枚数分だけ折り畳まれた状態で収容されている。この種のウエットシートにおいては、上下段のウエットシートが互いに重ね部分を持ちながら積み重ねられており、最上部のウエットシートを容器から取り出すと、次のウエットシートが取り出し易いように、容器の取出口よりその一部が突出する、いわゆるポップアップ方式の重畳構造が採用されている。
かかるウエットシートを収容する収容容器は、一般的に、天面部に取出口を有する容器本体と、この容器本体の天面部にヒンジ等により回動可能に結合されて前記取出口を覆う蓋体とを具備し、前記取出口の周囲と蓋体との間をシール手段によりシールすることにより、内部に収容したウエットシートに含浸された薬液の揮発が防止される構造を採る。
そのシール手段としては、従来、天面部に形成された取出口に密着する弾性材を蓋体内面に配してシール機能を付与したもの(特許文献1参照)や、蓋体内面に設けた二重リング(インナリングと小リング)間に環状弾性パッキンを介在させるとともに、容器天板の一部を構成する中蓋にシールリングを形成し、このシールリング先端が蓋体を閉じた状態で前記二重リング間に収まるとともに前記弾性パッキンに当接するようにしてシール機能を発揮するようにしたもの(特許文献2参照)が知られる。
【特許文献1】特開2000−142842
【特許文献2】特開平11−49206
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら従来のシール手段は、度重なる開閉による蓋体の歪みやねじれ、度重なるウエットシートの取り出しに伴う天面部の歪みやねじれ、などによって簡単にシールリング頂点が弾性パッキンから離間してしまい、もってシール機能が不十分となることがあり、ウエットシートに含浸した薬液が揮発してしまうことがあった。
また、従来例は、取出口が広く形成されているため、蓋体の開け閉めをおこなうだけで薬液が多く揮発してしまい、短期間でウエットシートの品質が低下することがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、確実なシール機能を発揮し長期に渡ってウエットシートを湿潤状態の保持するウエットシート収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
上面に開口部が形成された容器本体と、前記開口部を開閉自在に塞ぐ蓋体とを備えるウエットシート収容容器であって、
前記開口部を被覆するようにしてシート状の気密部材が配され、
このシート状気密部材にウエットシートの取出口が形成され、さらにこのシート状気密部材に前記取出口を囲むようにして、前記蓋体を閉じた状態で蓋体と接する気密部を有することを特徴とするウエットシート収容容器。
【0005】
(作用効果)
取出口と気密部とが一体的に形成されているので、構造が簡易であり製造が容易となる。また、取出口から気密部までの間に他の部材の介在がなく気密性にも優れるようになる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記蓋体の内面に環状の起立壁が形成され、前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が気密部材に接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【0007】
(作用効果)
起立壁が気密部材に当接する簡易な構造で確実に気密性が確保できるようになる。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が嵌合する嵌合溝が、気密部材に形成されている請求項2記載のウエットシート収容容器。
【0009】
(作用効果)
起立壁の先端縁部が嵌合溝に嵌るように構成されているので、溝内壁が起立壁の内側壁および外側壁にそれぞれ接するとともに、さらに溝底が起立壁の先端縁に接するので、よりいっそう気密性の高い構造となる。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に、内側環状起立壁と外側環状起立壁とが形成され、前記蓋体を閉じた状態で、前記内側環状起立壁および外側環状起立壁がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【0011】
(作用効果)
本発明では、内側環状起立壁と外側環状起立壁とがそれぞれ凸堤部に接するように構成されている。すなわち、本発明は蓋体を閉じた状態では取出口は少なくとも二つの壁に囲まれるように密封されて二重にシールされた状態となる。したがって、従来、ウエットシート収容容器と比較して、容器本体内に収められたウエットシートから薬液等が外部に蒸散することが防止され、もってウエットシートの品質低下が防止される。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に起立壁が形成され、この起立壁の先端には溝が形成されていて、この溝を隔てて内側縁片と外側縁片とが形成されており、
前記蓋体を閉じた状態で、前記内側縁片および外側縁片がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【0013】
(作用効果)
本発明では、内側縁辺と外側縁片とがそれぞれ凸堤部に接するように構成されている。すなわち、本発明は蓋体を閉じた状態では取出口は少なくとも二つの縁片に囲まれるように密封されて二重にシールされた状態となる。したがって、従来、ウエットシート収容容器と比較して、容器本体内に収められたウエットシートから薬液等が外部に蒸散することが防止され、もってウエットシートの品質低下が防止される。
【0014】
<請求項6記載の発明>
容器本体の上面に凹部が形成され、この凹部にシート状の気密部材が嵌め込まれている、請求項1〜5の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【0015】
(作用効果)
蓋体の内面に気密部材を取付けると、蓋体の度重なる開閉に起因する蓋自体の変形によって気密性(密閉性)の確保が難しくなることがあるが、本発明では気密部材を容器本体の上面に設けたことにより、蓋体の内面に気密部材を取付ける場合に比べて、より長期かつ安定的にウエットシートの品質を保持することができる。また、気密部材の配置が容易となりもって製造が容易となる。
【0016】
<請求項7記載の発明>
気密部材は、軟質材又は弾性体で構成されている、請求項1〜6の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【0017】
(作用効果)
気密部材を軟質材又は弾性体で構成することによって、気密部材が変形して起立壁に圧接させることができ、より気密性(密閉性)の確保がし易くなる。
【0018】
<請求項8記載の発明>
前記取出口は、気密部材に形成されたスリットまたは貫通部でありシートが有する伸縮性によって開閉する、請求項1〜7何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【0019】
(作用効果)
取出口が気密部材に形成されたスリットであるため、気密部材を弾性体等にすると、ウエットシートの取り出しのさい取出口縁がウエットシートとの摩擦によって上方に向かって若干持ち上げられ、これにより取出口縁近傍が伸張される作用とともに取出口が若干広がるようになりウエットシートの取り出しが易化する。そして、一枚のウエットシートが取り出された後には、伸張した取出口縁が直ちに収縮して薬液の揮発経路となる開口を最小にならしめ、もって取り出し時における容器内のウエットシートの薬液の蒸散を最小限にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明は、凸堤部に代表される気密部とスリット状に代表される取出口が同一の気密部材に形成されていることを基本構造としている。そしてこの本発明によれば、確実なシール機能が発揮され、長期に渡ってウエットシートを湿潤状態の保持するウエットシート収容容器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本形態に係るウエットシート収容容器X1の正面図であり、図2はウエットシート収容容器X1のII−II断面図であり、図3は蓋体3を開けた状態のウエットシート収容容器X1の正面図であり、図4は取出口近傍の拡大断面概略図である。
【0022】
本形態に係るウエットシート収容容器X1は、図1〜4に示すように、底面が開口とされる容器本体2と、この容器本体2の底部に着脱自在に取付けられる底蓋4と、容器本体2の上部に形成された取出口15を開閉自在に塞ぐことが可能な蓋体3と、を備えている。容器本体2へのウエットシートWの収納は、底蓋4を容器本体2から取外して、容器本体2の底部2Bから行なわれる。
【0023】
容器本体2の上面には、蓋体3よりも若干大きい略矩形状で、かつ容器本体2上面より蓋体3の厚み分だけ一段低い段差が設けられた段差部2aが形成されており、これによって開口部5を蓋体3が塞ぐ際には、容器本体2の最上面部と蓋体3の上面とが略面一になるようになっている。
【0024】
また、容器本体2の上面であって、かつ段差部2aの略中央には、段差部2aからさらに一段低い略楕円状の凹部6が形成されており、この凹部6の周底の略中央に開口部2Hが形成されている。凹部6の形成により蓋体3を閉じた状態で、蓋体3の内面側と後述の取出口5との間に空間を形成し、この空間内に取出口5から突出したウエットシートWの一部が収まる。
【0025】
凹部6には、この凹部6と同形状であって大きさが等しいまたは若干大きく形成されたシート状の気密部材5が嵌め込まれている。前記気密部材5は、シリコン樹脂等の軟質材、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー、弾性繊維、弾性発泡体、合成ゴム、発泡ポリエチレン等の弾性体などが用いられる。
【0026】
このシート状の気密部材5は、前記開口部2Hの周縁部6b(凹部の周底部でもある)で支持されているとともに、前記容器本体2の開口部2Hを被覆している。そして、この気密部材5は前記開口部2Hの上方位置に十字スリット状の取出口15が形成されており、もって容器本体2に形成されて開口部2Hおよび取出口15を通ってウエットシートWが取り出される。この取り出しのさい、すなわち取出口15から露出するウエットシートWの一部を持って引き出すさいに、取出口15縁がウエットシートとの摩擦によって上方に向かって若干持ち上げられ、これにより取出口縁近傍が伸張される作用とともにスリット15が広がりウエットシートが取り出される。そして、一枚のウエットシートが取り出された後には、ただちにスリット縁は収縮して薬液の揮発経路となるスリット開口を最小にならしめる。また、一枚のウエットシートが取り出された後に、ただちにスリット開口が収縮することにより、それに続く後方のウエットシートの一部を確実に保持し、もってウエットシートの一枚毎の取り出しを確実なものとして好適なポップアップ式形態を可能ならしめる。
【0027】
ここでシート状の気密部材5の凹部6内での固定は、例えば、図示例の如く凹部周底6bに係止突片14を設けてこの係止突片14を気密部材5に適宜形成した固定用穴部16にはめ込むようにしてもよいし、凹部周側壁6sの途中に突出するよう係止突片(図示しない)を数箇所(例えば、楕円の短軸・長軸方向のそれぞれ2箇所ずつで計4箇所)形成して、この係止突片と凹部周底との間に気密部材を挟持させるように構成したり、凹部の周底部6bにシート状気密部材を接着剤で接着したりすれば、容易である。
【0028】
一方、前記気密部材5には、前記取出口15を囲むようにして、凸堤部10が形成されている。この凸堤部10の下方位置までは、容器本体2の凹部6の周底部6bが延在しており上方がわからの押圧に対する剛性がある程度確保されている。
【0029】
他方、容器本体2の上面には、容器本体2の一側辺側を回動支点(ヒンジ部)30として開閉自在とされた蓋体3が設けられており、この蓋体3は未使用時または不使用時に少なくとも取出口15、好適には開口部2Hが形成されている範囲を塞ぐように構成されている。また、ヒンジ30近傍には弾性復元力により上記蓋を全開可能とする弾性体(図示せず)が配設されており、上記容器本体と上記蓋とに設けられた該蓋の閉時に互いに係止して該蓋を閉蓋位置に保つ係止機構部21A、21Bの解除により簡易に蓋を開けることが可能とされている。
【0030】
ここで、本形態では特徴的に前記蓋体3の内面の中央付近に、蓋体天面から下方(内面側)に向かって突出するように起立し、かつその先端縁が蓋体3を閉じた状態で前記気密部材に全周にわたって接する環状に形成された起立壁11が形成されている。また、前記起立壁11は、本形態では蓋体3を閉じた状態では気密部材5に形成された凸堤部10の内側基端部近傍に接するように形成されており、もって取出口15を囲むように気密部材5と接する。すなわち、起立壁11の先端周縁と気密部材5の当接部分が本発明にいう気密部である。ここで、前述のとおりこの凸堤部10の下方位置までは、容器本体2の凹部周底部6bが延在されていることから、起立壁11先端の接触によってシート状気密部材5が過度に下方側(容器内側)に押し込まれて変形することはなく、気密部材5自体が有する弾性力に応じて適度に起立壁11の先端周縁に対して気密部材5表面が圧接する。
【0031】
このように、蓋体3を閉じた状態で蓋体3の起立壁11と前記シート状の気密部材5とが、適度な圧力をもって当接するとともに、容器本体2内に収められたウエットシートWから薬液が取出口15を介して外部に蒸散することが防止され、ウエットシートWの品質低下が防止される。
【0032】
<第2の実施の形態>
次いで、第2の実施の形態X2を説明する。第2の実施の形態X2は、シート状の気密部材の形状の相違による気密部の態様が相違するほかは、第1の実施の形態と同様であるので、共通事項について説明は省略する。本形態は、図5に取出口15の近傍の構造が示されるように、シート状の気密部材5に凸堤部はなく、代わって取出口15を囲むようにして環状の溝部12が形成されている。
【0033】
そして、本形態では蓋体3を閉じた状態としたときに、蓋体3に形成された起立壁11(構造は第1の実施の形態と同様)の先端周縁が、溝部12に嵌るように構成されており、このときに溝部12の内壁面が起立壁11の内側壁11iおよび外側壁11oにそれぞれ接するとともに、溝部の底面が起立壁11の先端縁11tに接し、気密部を構成する。
【0034】
本形態では、図からも明らかなとおり、容器本体2の凹部6の周底部6bにも凹溝6mが形成されていてこの容器本体凹溝6mに、シート状の気密部材5に形成された凹溝6mに合わせてその反対面側に形成される凸部が、嵌合されるように構成されている。
【0035】
本形態は、起立壁11と気密部材5との接触部分が多くなるため、第1の形態よりも気密性が高いものとなる。
【0036】
<第3の実施の形態>
次いで、第3の実施の形態X3を説明する。第3の実施の形態X3は、蓋体3に形成される起立壁11およびシート状の気密部材5の凸堤部10の形状の相違による気密部の態様が相違するほかは、第1の実施の形態と同様である。
【0037】
本形態は、図6に取出口近傍の構造が示されるように、シート状の気密部材5に形成された凸堤部10が断面山型形状をなしている。
【0038】
一方、蓋体3に形成された起立壁11の先端が二股に分かれており内側縁片11aおよび外側縁片11bが形成されている。
【0039】
そして、前記蓋体3を閉じた状態では、前記内側縁片11aが前記断面山形の凸堤部10の内側傾斜面10aに全周に渡って接し、外側縁片11bが外側傾斜面10bに全周に渡って接するように構成されている。
【0040】
本形態では、内側縁片11aおよび外側縁片11bの二周縁が凸堤部10に接するようになるので、気密性が高くなる。
【0041】
なお、本形態の変形例として、例えば、図7に示す例X4ように、凸堤部10が頂面を有する断面台形形状をなし、その内側縁片11aが内側稜線10cに接し、外側縁片11bが外側稜線10dに接するように構成した例を挙げることができる。
【0042】
また、図示の形態では、内外縁片11a,11bの高さ(長さ)が同じに形成されているが、これらは必ずしも同じ高さである必要はない。
【0043】
<第4の実施の形態>
次いで、第4の実施の形態X5を説明する。第4の実施の形態X5は、蓋体3に形成される起立壁11およびシート状の気密部材5の凸堤部10の形状の相違による気密部の態様が相違するほかは、第1の実施の形態と同様である。
【0044】
本形態X5は、図8に取出口近傍の構造が示されるように、シート状の気密部材5に形成された凸堤部10が断面山型形状をなしている。
【0045】
一方、蓋体3の内面には、内側環状起立壁11Aおよび外側環状起立壁11Bの二つの起立壁が形成されている。
【0046】
そして、前記蓋体3を閉じた状態では、前記内側環状起立壁11Aの先端部が前記凸堤部10の内側傾斜面10aに接し、外側環状起立壁11Bの先端部が外側傾斜面10bとに接するように構成されている。すなわち、前記蓋体3を閉じた状態では、両起立壁先端部11A,11B間に凸堤部10が全周に渡って接しつつ嵌り込むように構成されている。
【0047】
本形態では、内側環状起立壁11Aおよび外側環状起立壁11Bがそれぞれ凸堤部10に接するようになるので気密性が高くなる。
【0048】
なお、本形態の変形例として、例えば、図9に示す例X6ように、凸堤部10が頂面を有する断面台形形状をなし、その内側環状起立壁11Aが内側稜線10cに接し、外側環状起立壁11Bが外側稜線10dに接するように構成した例を挙げることができる。
【0049】
また、図示の形態では、内外起立壁の高さ(長さ)が同じに形成されているが、これらは必ずしも同じ高さである必要はない。
【0050】
<第5の実施の形態>
次いで、第5の実施の形態X7を説明する。第5の実施の形態X7は、蓋体3に起立壁11が形成されていない形態である。本形態X7では、シート状の気密部材5に形成された取出口15を囲むように形成された凸堤部10が第1の形態よりも高く(長く)形成されており、蓋体3を閉じた状態においてこの凸堤部10の先端が全周に渡って蓋体3の内面(天板)に圧接するように構成されている。その他の構造は、第1の実施の形態と同様である。
【0051】
<第6の実施の形態>
次いで、第6の実施の形態X8、X9を説明する。第6の実施の形態X8、X9は、気密部材5に二つの凸堤部10A,10Bが形成されている形態である。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0052】
本形態X8、X9では、図11または12に示されるように、気密部材5に取出口15を囲むようにして二つの凸堤部(内側凸堤部10Aおよび外側凸堤部10B)が形成されている。そして、蓋体3を閉じた状態で、起立壁11の内側壁面11iが内側凸堤部10Aに全周に渡って接触し、外側壁面11oが外側凸堤部10Bに全周に渡って接触するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、手拭用途、肌の清拭用途に用いるウエットティッシュや、各種対象物の清拭用途等に用いるウエットワイプなど、アルコール、保湿材、その他薬材など適宜の液体を含浸させたウエットシートを収容する収容容器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の形態にかかるウエットシート収容容器の正面図である。
【図2】そのII−II断面図である。
【図3】第1の形態にかかるウエットシート収容容器の蓋を開けた状態の正面図である。
【図4】第1の形態の取出口近傍の拡大断面図である。
【図5】第2の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図6】第3の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図7】第3の形態の他の例にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図8】第4の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図9】第4の形態の他の例にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図10】第5の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図11】第6の形態にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【図12】第6の形態の他の例にかかるウエットシート収容容器の取出口近傍の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0055】
2…容器本体、2a…段差部、2B…容器底部開口、2H…開口部、3…蓋体、4…底蓋、5…気密部材、6…楕円形凹部、6s…凹部周側壁、6b…凹部周底、6m…容器本体凹溝、10…凸堤部、10a…凸堤部内側傾斜面、10b…凸堤部外側傾斜面、10c…凸堤部内側稜線、10d…凸堤部外側稜線、10A…内側凸堤部、10B…外側凸堤部、11…起立壁、11a…内側縁片、11b…外側縁片、11i…起立壁の内側壁面、11o…起立壁の外側壁面、11t…起立壁の先端縁、11A…内側起立壁、11B…外側起立壁、12…環状溝部、W…ウエットシート、14…係止突片、15…取出口、16…固定用穴部、21A,21B…係止機構部、30…ヒンジ、X1〜X9…ウエットシート収容容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部が形成された容器本体と、前記開口部を開閉自在に塞ぐ蓋体とを備えるウエットシート収容容器であって、
前記開口部を被覆するようにしてシート状の気密部材が配され、
このシート状気密部材にウエットシートの取出口が形成され、さらにこのシート状気密部材に前記取出口を囲むようにして、前記蓋体を閉じた状態で蓋体と接する気密部を有することを特徴とするウエットシート収容容器。
【請求項2】
前記蓋体の内面に環状の起立壁が形成され、前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が気密部材に接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【請求項3】
前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が嵌合する嵌合溝が、気密部材に形成されている請求項2記載のウエットシート収容容器。
【請求項4】
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に、内側環状起立壁と外側環状起立壁とが形成され、前記蓋体を閉じた状態で、前記内側環状起立壁および外側環状起立壁がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【請求項5】
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に起立壁が形成され、この起立壁の先端には溝が形成されていて、この溝を隔てて内側縁片と外側縁片とが形成されており、
前記蓋体を閉じた状態で、前記内側縁片および外側縁片がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【請求項6】
容器本体の上面に凹部が形成され、この凹部にシート状の気密部材が嵌め込まれている、請求項1〜5の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【請求項7】
気密部材は、軟質材又は弾性体で構成されている、請求項1〜6の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【請求項8】
前記取出口は、気密部材に形成されたスリットまたは貫通部でありシートが有する伸縮性によって開閉する、請求項1〜7何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【請求項1】
上面に開口部が形成された容器本体と、前記開口部を開閉自在に塞ぐ蓋体とを備えるウエットシート収容容器であって、
前記開口部を被覆するようにしてシート状の気密部材が配され、
このシート状気密部材にウエットシートの取出口が形成され、さらにこのシート状気密部材に前記取出口を囲むようにして、前記蓋体を閉じた状態で蓋体と接する気密部を有することを特徴とするウエットシート収容容器。
【請求項2】
前記蓋体の内面に環状の起立壁が形成され、前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が気密部材に接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【請求項3】
前記蓋体を閉じた状態で前記起立壁の先端が嵌合する嵌合溝が、気密部材に形成されている請求項2記載のウエットシート収容容器。
【請求項4】
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に、内側環状起立壁と外側環状起立壁とが形成され、前記蓋体を閉じた状態で、前記内側環状起立壁および外側環状起立壁がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【請求項5】
前記気密部材に取出口の周囲を囲むように配された凸堤部が形成され、かつ、前記蓋体の内面に起立壁が形成され、この起立壁の先端には溝が形成されていて、この溝を隔てて内側縁片と外側縁片とが形成されており、
前記蓋体を閉じた状態で、前記内側縁片および外側縁片がそれぞれ、前記凸堤部の内側稜線または内側傾斜面と外側稜線または外側傾斜面とに接する、請求項1記載のウエットシート収容容器。
【請求項6】
容器本体の上面に凹部が形成され、この凹部にシート状の気密部材が嵌め込まれている、請求項1〜5の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【請求項7】
気密部材は、軟質材又は弾性体で構成されている、請求項1〜6の何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【請求項8】
前記取出口は、気密部材に形成されたスリットまたは貫通部でありシートが有する伸縮性によって開閉する、請求項1〜7何れか1項に記載のウエットシート収容容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−176544(P2007−176544A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376636(P2005−376636)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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