説明

ウエーブ状襞を可能にするカーテン方式

【課題】カーテンに安価で確実に均一な美しいウエーブ襞を作る手段を課題とする。
【解決手段】カーテンの表側と裏側に交互に凹凸のウエーブ状襞を作るために、カーテン上端部のフック装着用テープに設けたフック通し穴部に、ウエーブの振幅の略中央部で、吊り下げ用複数足フックまたはそのフックに吊り下げ高さの上下方向の長さを可変できるアジャスター機能を有したフックを装着し、ウエーブ振幅の略中央部で隣接点同士をカーテン生地の半波ウエーブ長さより短い所定の長さの紐体でランナー同士を結合したことを手段とするカーテン方式。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋内の窓等に使用するカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の家屋で使用するカーテンは、カーテンに襞をつくり、美観の向上や熱の遮断性の向上あるいは薄物生地カーテンでは採光の多様性を図っている。
【0003】
【特許文献1】公開特許公報 特開平9−10094
【特許文献2】公開特許公報 特開2002−34777
【特許文献3】再公表特許 WO2005/034695
【特許文献4】公開特許公報 特開2002−159395
【実用新案文献1】
実用新案登録第3125248号
【実用新案文献2】
実用新案公開昭63−161587
従来技術として上記の公開文献がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1)従来技術である特許文献1はカーテンの片側でのみ襞を作るためウエーブの均一性がうまく出せないという問題があった。またカーテンの側面位置にフックを設けるため壁掛け式のみに限られ天井からの吊り下げ式には適さないという問題があった。図7は特許文献1の図3を従来例として引用したものであるがカーテン部襞が半円弧で作られるので半円弧同士の隣接部は急峻に布地が折られるためカーテン上部で形成させた襞はカーテン下部では襞が続かず美観に問題があった。
2)従来技術である特許文献2も同じくカーテンの片側でのみ襞を作るためウエーブの均一性がうまく出せないという問題があった。またカーテンの側面の位置にフックを設けるため壁掛け式のみに限られ天井からの吊り下げ式には適さなかった。
3)特許文献3に使用するフックはフック通し穴部に挿入される部分が平板状であるため、フックの材料費が高くなり且つ特殊なフックのため一般性が無く入手が困難であり、またカーテンテープもこのフックに合わせた特殊なものとなり、全体的に高価なものとなる問題があった。
4)特許文献4に開示されたものはカーテンランナーが一定間隔で保たれるように各ランナー同士を紐で連結するものであるが、カーテンテープならびにカーテンフックには何ら工夫が無いためウエーブ形成に問題があった。
5)従来技術である実用新案文献1はカーテンの片側で且つウエーブ形状を1個おきに連結具で間隔を狭めて作るためウエーブの均一性がうまく作れず、ウエーブの美観に問題があった。
6)実用新案文献2に記載された内容は前述した特許文献4の内容とほぼ同じでカーテンランナーが一定間隔で保たれるように各ランナー同士を紐で連結するものであるが、カーテンテープならびにカーテンフックには何ら工夫が無いためウエーブ形成に問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を実現するには以下の手段による。
「手段1」
カーテンの表側と裏側に交互に凹凸のウエーブ状襞を作るために、ウエーブ振幅の略中央部の隣接点同士をカーテン生地の半波ウエーブ長さより短い所定の長さの紐体でランナー同士を結合するカーテン装置において、ウエーブの振幅の略中央部にて、カーテン上端部のカーテンテープにカーテンレール長手方向に垂直なフック通し穴部を設けて、穴部ピッチに対応した足部ピッチを有する吊り下げ用複数足フックまたはそのフックに吊り下げ高さの調節機能を有したフックを装着したことを手段とするウエーブ状襞を形成するカーテン方式。
「手段2」
手段1において、紐体でランナー同士の結合をせず、カーテン閉口時にはウエーブ状襞を設けずフラットなカーテン形態とし、カーテン開口時にはウエーブ状襞を形成するカーテン方式。
「手段3」
手段1において、カーテンの表側と裏側凸部の連結紐体の長さを交互に変えることでカーテンの表側と裏側凸部のピッチ比を異ならせたことを手段とするウエーブ状襞を形成するカーテン方式。
【発明の効果】
【0006】
1)ウエーブ振幅の中央部に2本足又は複数足のフックをその足が入るテープに設けたフック通し穴部に挿入するのでその複数足ピッチ間はカーテンテープの直線剛性が得られる。このためウエーブの中央部のフック位置はカーテンにウエーブ曲線の接線的な剛性の高い直線部ができて、柔軟性を必要とする曲率の高いウエーブ頂点部と差を持たせることで得られる効果があり、またカーテン用複数足フックを用いているためにカーテンの自然なウエーブに逆らわずにカーテンと一体となってカーテンの美しいウエーブ状襞を形成する。
2)カーテンテープはウエーブ状襞を自然に美しく形成するためにカーテンレール長手方向に柔らかいことが必要であるが、この場合本発明の複数足フックを用いることでカーテンテープの剛性に差を持たせウエーブ状襞の形成がより確実なものとなる。
3)ウエーブ振幅の中央部をフック位置とするため表裏でカーテンウエーブ部の重量が均等となり、カーテン開閉時の動作がスムーズとなる。またカーテン吊り下げ時に上部から下部まで均一垂直となりカーテン下部までウエーブが作られる。またその形も各ウエーブが均一となるためカーテンの美観が向上する。
4)ウエーブの形はフックを吊り下げるランナー同士を連結する紐体長さを変えることで簡単に変えられる。
5)本発明で紐体でランナー同士の結合をしない場合は、カーテンを閉めた状態の閉口時にはウエーブ状襞を設けずフラットなカーテン形態となり、カーテンを開いた状態の開口時にはウエーブ状襞を形成するカーテン方式が可能になる。
6)フックを吊り下げるランナー同士を連結する紐体長さを交互に変えればカーテンの表側と裏側凸部のピッチ比が異なり美観の多様性が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面によって説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明を実施したウエーブを持たせたカーテンである。1はカーテン生地部、2はカーテン上部に設けたテープであり、カーテンレール長手方向に垂直なフック通し穴部3を多数有している。図1のカーテンがランナーに吊るされる場合は、複数足フックの足がウエーブ振幅の中央部付近の図1に示したA,B,C,D,E,F,Gなる位置にて、フック通し穴部に挿入され、カーテンレールを自由に移動可能なランナーに吊るされる。このフック通し穴部3は必ずしもテープ長手方向全体に設けなくても良く、例えば2本足フックを用いる場合はウエーブ振幅の中央部をまたいで2本足フックを装着するための2箇所のフック通し穴部を有するものでも良い。その場合のフック通し穴部3は各ウエーブ振幅の中央部である図1に示したA,B,C,D,E,F,Gなる位置をまたいでテープ2の片面に2個ずつ設けられるのが望ましい。
図2は本発明に使用する複数足フックでありその内の最も簡単な2本足フック4の図である。4の上部で折れ曲がっているフック部は一般のカーテンレールを移動できるランナーに吊り掛ける部分であり、下部から上方に向かって立っている2本の足は前述したフック通し穴部に挿入してカーテンを吊る部分である。 このフックは金属製でもプラスチック製でも良い。フック通し穴部ピッチはフックの複数足部ピッチと対応している。この場合、ウエーブ振幅の中央部に位置するフック通し穴に2本足又は複数足のフックが挿入され、それらのフックは金属やプラスチックでできているので、その剛性に助けられてカーテンテープの直線剛性が増すことになる。このためウエーブの中央部のテープ2のフック位置付近はカーテンにウエーブ曲線の接線的な剛性の高い直線部ができて、柔軟性を必要とする曲率の高いウエーブ頂点部と差を持たせることで得られる効果でウエーブがより美しく形成される。
また吊り下げ用フック4はその上下方向の長さを可変できるアジャスター機能を有するものであれば天井から吊り下げる場合にカーテンの下部と床の間隔をカーテン生地長さを変えずに行えるので便利である。図2に示した吊り下げ用2本足フックはアジャスター機能を有しない一般的なもので容易に入手ができる。
更に図1に点線で示す様に隣接するウエーブ振幅の中央部A、B,C,D,E,F,G同士はウエーブの半サークル長より短い長さに紐体等でその間隔を保てば美しい襞が容易に得られる。
図1のカーテンをフックにてカーテンレールに吊るす場合、前述した移動可能なランナーに吊り下げるがそのとき各隣接のランナーをウエーブの半サークル長より短い長さに紐体等で連結すればよい。
以上のようにすればカーテンの非窓側をカーテンの表側また窓側をカーテンの裏側とすれば、フック位置はウエーブ振幅の中央部に設けられているので表裏で重量がバランスして開閉時スムーズに動作できる。
図3はランナー同士をウエーブの半サークル長より短い長さに紐体5で連結した場合をカーテン垂直方向から見た側面図である。尚ランナーやフックの図示は省略してある。
このようにすれば前述した複数足フックによる効果とともに均一で美しい襞を有することができる。またこのようにしてカーテンのウエーブが簡単な方法で確実にできるので安価性をも有している。
【0009】
図4は本発明の請求項1のカーテンの開口時、閉口時を示す側面図である。図4の(a)はカーテンを閉じた閉口時の図、図4の(b)はカーテンを開いた開口時の図である。どちらもウエーブがきれいに形成されている。これに対して図5は請求項2の内容を具体的に説明するための同じくカーテンの開口時、閉口時を示す側面図である。本発明で紐体でランナー同士の結合をしない場合は、閉口時に生地がフラットになるように生地の長さを設定する必要があるが、閉口時にはウエーブ状襞の無いフラットなカーテン形態となり図5の(a)となる。カーテンを開いた状態の開口時には複数足フック等の効果でウエーブ状襞を形成するカーテンにすることが可能で図5の(b)の状態になる。そのため紐体の有無で閉口時には2つの異なるカーテン方式が可能になる。
【0010】
図6はカーテンの表側と裏側凸部の連結紐体5と6の長さを変えることでカーテンの表側と裏側凸部のピッチ比を異ならせた別の本発明の実施図であり請求項3に対応する。即ち表側凸部を作るAB間紐体5と裏側凸部を作るBC間紐体6で紐体の長さを変えた場合の本発明のカーテンの垂直方向から見た側面図である。カーテンの表側と裏側凸部の連結紐体の長さを交互に変えることでカーテンの表側と裏側凸部のピッチ比を異ならせたカーテン方式であり、美観の多様性が増す効果を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0011】
【0012】
本発明により作られるカーテンはウエーブが美しく確実にできるので実用性、優美性、品質の均一性があり且つ安価性を備えたものであるので、工業的に大きな貢献が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のカーテンの立体図
【図2】本発明に使用する吊り下げ用フック
【図3】本発明のカーテンの図1の側面図
【図4】本発明のカーテンの開口と閉口時の図
【図5】別の本発明のカーテンの開口と閉口時の図
【図6】別の本発明の側面図
【図7】従来技術の図
【符号の説明】
【0014】
1 : カーテン生地部
2 : テープ部
3 : フック通し穴部
4 : 吊り下げ用2本足フック
5,6 : 紐体
7 : 吊り下げ用1本足フック
A,B,C,D,E,F,G: ウエーブ振幅の中央位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンの表側と裏側に交互に凹凸のウエーブ状襞を作るために、ウエーブ振幅の略中央部の隣接点同士をカーテン生地の半波ウエーブ長さより短い所定の長さの紐体でランナー同士を結合するカーテン装置において、カーテン上端部のカーテンテープにカーテンレール長手方向に垂直なフック通し穴部を設けて、ウエーブの振幅の略中央部にて、穴部ピッチに対応した足部ピッチを有する吊り下げ用複数足フックまたはそのフックに吊り下げ高さの調節機能を有したフックを装着したことを特徴とするウエーブ状襞を形成するカーテン方式。
【請求項2】
請求項1において、紐体でランナー同士の結合をせず、カーテン閉口時にはウエーブ状襞を設けずフラットなカーテン形態とし、カーテン開口時にはウエーブ状襞を形成するカーテン方式。
【請求項3】
請求項1において、カーテンの表側と裏側凸部の連結紐体の長さを交互に変えることでカーテンの表側と裏側凸部のピッチ比を異ならせたことを特徴とするウエーブ状襞を形成するカーテン方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−253686(P2008−253686A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116201(P2007−116201)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(593071823)株式会社黒沢レ−ス (13)
【Fターム(参考)】