説明

ウォブル信号抽出回路および光ディスク装置

光ディスクの表面に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分を含む第1の光ディスク信号、および、第1の光ディスク信号とは逆相のウォブル信号成分を含む第2の光ディスク信号から、ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出回路において、信号レベル固定部(24aおよび24b)は、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、第1および第2の光ディスク信号を所定のレベルに固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に情報が記録または再生可能な光ディスクに対する情報記録再生技術に関するものであり、特に、光ディスクの表面に形成されたウォブルに基づいて、光ディスクの回転制御およびトラックの位置情報取得を行う光ディスク装置において、光ディスクから再生した信号から、ウォブルに起因して生じるウォブル信号を正確に抽出する回路技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク装置は、光ディスク表面の径方向にあらかじめ蛇行して形成された案内溝、すなわち、ウォブルに基づいて、トラッキングを行いながら光ディスクに対してデータ記録または再生を行っている。図6は、従来の光ディスク装置の一例としてのCD−R記録再生装置の構成を示す。光ピックアップ100は、ある速度で回転させた光ディスク101にレーザー光を照射し、分割された光検出器で反射光を検出して電気信号に変換する。こうして得られた信号に対して、サーボ信号生成回路102は、フォーカスまたはトラッキングエラー信号を生成し、サーボコントローラ103を通じて光ピックアップ100のフォーカスまたはトラッキングサーボを行う。
【0003】
図7は、サーボがかかった状態の光ディスク101の表面を拡大した図である。サーボがかかった状態では、光ピックアップ100が照射するレーザー光は、レーザースポット110のように集光され、常に案内溝111に沿うようにトラッキング制御される。また、光ディスク101に情報が記録されている場合、案内溝111にはピット112が存在し、光ピックアップ100は、ピット112の有無に応じて強弱が変化する反射光に基づく信号を生成する。
【0004】
図6に戻り、ウォブル信号抽出回路104は、図7に示した案内溝111、すなわち、ウォブルに起因するウォブル信号を抽出する。サーボコントローラ103は、ウォブル信号の周波数が所望の値となるようにスピンドルモータ105の回転速度を制御してスピンドルサーボをかける。また、ウォブル信号には、光ディスク101のアドレス情報を示す絶対時間情報(ATIP:Absolute Time In Pre−groove)が埋め込まれている。ATIPデコーダ106は、ウォブル信号からATIPを復調し、CPU107に、光ディスク101における光ピックアップ100の位置情報を送信する。一方、データ信号生成回路108は、光ピックアップ100が生成する信号からデータ信号を生成する。そして、デコーダ109は、データ信号生成回路108が生成するデータ信号をデコードして光ディスク101に記録された信号を復調する。
【0005】
次に、上記の光ディスク装置におけるウォブル信号抽出回路104について詳細に説明する。図8は、従来のウォブル信号抽出回路104の構成を示す。ウォブル信号抽出回路104は、光ピックアップ100から、データ再生信号であるRF信号成分と光ディスク101に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分とを含む光ディスク信号S1およびS2を入力し、減算器120で光ディスク信号S1から光ディスク信号S2を減算してウォブル信号を抽出する。
【0006】
図9は、ウォブル信号抽出回路104によるウォブル信号抽出の原理を説明するための図である。記録済の光ディスクの再生を行う場合、理想的には、図9(a)に示したように、光130が、ディスク面から、光検出器131の分割部分A,B,CおよびDに対してそれぞれ均等に反射する。このとき、ディスク回転方向に沿って配置された分割部分AおよびDが生成するA+D信号、すなわち、図8に示した光ディスク信号S1と、同様にディスク回転方向に沿って配置された分割部分BおよびCが生成するB+C信号、すなわち、図8に示した光ディスク信号S2とでは、これら信号に含まれるRF信号成分は同相で同振幅、ウォブル信号成分は逆相で同振幅となる。したがって、図8に示した減算器120によって光ディスク信号S1から光ディスク信号S2を減ずることにより、これら信号に含まれるRF信号成分が相殺され、減算器120の出力信号として、ウォブル信号成分のみを含む(A+D)−(B+C)信号を取り出すことができる。
【0007】
しかし、光ディスク装置の製造時などにおける光検出器131の取り付け精度の限界などが原因で、図9(b)に示したように、光130´が、光検出器131に対して非対称に反射する。このとき、A+D信号とB+C信号とでは、これら信号に含まれるRF信号成分およびウォブル信号成分の振幅に差が生じることとなる。そこで、光ディスク信号S1およびS2は、それぞれ、自動利得調整器(以下、AGC回路と称する)121および122で振幅が一定となるように調整された後、減算器120に与えられる。さらに、減算器120の出力に残留するRF信号成分は帯域通過フィルタ123によって除去され、ウォブル信号S3が抽出される。その後、抽出したウォブル信号S3は二値化回路124によって二値化され、光ディスク装置におけるクロックとして、スピンドルサーボおよびディスクのアドレス情報の取得などに用いられる(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
現在、市場には、CD−Rの他に、DVD−Rのような追記型光ディスクや、CD−RW、DVD−RAM、DVD−RWなどの書き換え可能な光ディスクも存在する。これらの光ディスクに対応した記録再生装置もまた、データ記録時には上記と同様の方法で光ディスクからウォブル信号を抽出し、必要なクロック信号を生成している。
【特許文献1】特開平8−194969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
DVD−RAMディスクでは、ランドグルーブ記録方式が採用されている。ランドグルーブ記録方式では、アドレス情報は、ランド部およびグルーブ部のそれぞれのトラックに対して、ちどり状に配置されている。そのため、ウォブル信号は連続した信号とはならずにCAPA(Complimentary Allocated Pit Addressing)部の読み込みの際に寸断される。したがって、CAPA部の読み込みの際、すなわち、レーザー照射光がDATA部からCAPA部に、またはCAPA部からDATA部に遷移する際に、図8に示した減算器120に入力される光ディスク信号のDC変動および振幅が急激に変動し、減算器120の許容入力振幅範囲を超えてしまい、減算器120が飽和してしまうおそれがある。この場合、読み込み箇所がDATA部に移った後、減算器120が飽和状態から定常状態に復帰するのにしばらくの時間を要し、この復帰の期間中は、減算器120の応答特性が定常状態の特性とは異なったものとなってしまう。
【0010】
一方、DVD−R/RWでは、ディスク表面のランドプリピット領域を読み込む際、ランドプリピット信号がRF信号に重畳される。したがって、DVD−RAMと同様に、図8に示した減算器120またはAGC回路121および122に入力される信号の振幅レベルが急激に変動し、回路の許容入力振幅範囲を超えてしまうおそれがある。
【0011】
また、図8に示したように、減算器120の前段にAGC回路121および122を設けている場合には、CAPA部の読み込みの際、光検出器から出力される二つの光ディスク信号の一方が欠落することとなるため、この欠落した側のAGC回路が飽和してしまうことも考えられる。
【0012】
上記問題の対策として、減算器120の許容入力振幅範囲を、DC変動分および振幅変動分を考慮して十分に大きく設計することが考えられる。しかし、これは、回路の消費電力や実装面積の面からも不利である。また、受光部から減算器120に至る経路にHPF(高域通過フィルタ)を設けたとしても、上記のDC変動はRF帯域と近い周波数成分であるため、除去することができない。すなわち、CD−R/RW記録再生装置のウォブル信号抽出回路はDVD−RAM/R/RWには対応しておらず、これをDVD−RAM/R/RWに適用した場合、安定してウォブル信号を得ることができない。したがって、CD−R/RWおよびDVD−RAM/R/RWのいずれにも対応した光ディスク装置を実現する場合には、2種類のウォブル信号抽出回路を実装しなければならない。しかし、これは回路の実装面積の面から不利である。
【0013】
上記問題に鑑み、本発明は、回路規模および消費電力の増大を抑制しつつ、さまざまな種類の光ディスクに対応して、安定したウォブル信号の抽出が可能なウォブル信号抽出回路および光ディスク装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、光ディスクの表面に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分を含む第1の光ディスク信号、および、第1の光ディスク信号とは逆相のウォブル信号成分を含む第2の光ディスク信号から、ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出回路として、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、第1および第2の光ディスク信号のそれぞれを所定のレベルに固定する第1および第2の信号レベル固定部を備えたものとする。
【0015】
この発明によると、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、第1および第2の信号レベル固定部によって、第1および第2の光ディスク信号が所定のレベルに固定される。したがって、第1および第2の光ディスク信号を入力とする回路、たとえば、減算器に、許容入力振幅範囲を逸脱した信号が入力されなくなり、当該回路の許容入力振幅範囲が比較的小さくて済む。
【0016】
好ましくは、上記のウォブル信号抽出回路は、第1および第2の光ディスク信号のそれぞれの振幅を所定の大きさに調整する第1および第2の正規化部を備えているものとする。そして、第1および第2の信号レベル固定部は、それぞれ、第1および第2の正規化部の前段に設けられているものとする。
【0017】
さらに好ましくは、上記のウォブル信号抽出回路は、第1および第2の信号レベル固定部によって、第1および第2の光ディスク信号のそれぞれが所定のレベルに固定されたとき、第1および第2の正規化部のゲインを、第1および第2の光ディスク信号のそれぞれが所定のレベルに固定される直前の値または所定値に固定するゲイン調整部を備えているものとする。
【0018】
また、好ましくは、第1および第2の信号レベル固定部は、それぞれ、第1および第2の光ディスク信号についてサンプル・ホールド処理を行うものであり、かつ、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、第1および第2の光ディスク信号を所定のレベルにホールドするものであるとする。
【0019】
一方、上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、光ディスクの表面に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分を含む第1の光ディスク信号、および、第1の光ディスク信号とは逆相のウォブル信号成分を含む第2の光ディスク信号から、ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出回路として、第1の光ディスク信号から第2の光ディスク信号を減ずる減算器と、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、減算器の出力信号を所定のレベルに固定する信号レベル固定部を備えたものとする。
【0020】
この発明によると、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、信号レベル固定部によって、減算器の出力信号が所定のレベルに固定される。したがって、減算器の出力信号を入力とする回路、たとえば、帯域通過フィルタに、許容入力振幅範囲を逸脱した信号が入力されなくなり、当該回路の許容入力振幅範囲が比較的小さくて済む。
【0021】
また、上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、光ディスクの表面に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分を含む第1の光ディスク信号、および、第1の光ディスク信号とは逆相のウォブル信号成分を含む第2の光ディスク信号から、ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出回路として、第1および第2の光ディスク信号のいずれか一方を選択的に出力する信号切り替え器と、信号切り替え器から出力された信号を第1の光ディスク信号から減ずる減算器とを備えたものとする。そして、信号切り替え器は、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、第1の光ディスク信号を出力するものとする。
【0022】
この発明によると、ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、信号切り替え器からは第1の光ディスク信号が出力され、減算器の二つの入力が同一となり相殺される。したがって、減算器の許容入力振幅範囲が比較的小さくて済む。
【0023】
具体的には、上記の光ディスクは、DVD−RAM規格またはDVD−R/RW規格に準拠したものであり、上記のウォブルの非連続箇所は、CAPA部またはランドプリピット領域である。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によると、さまざまな種類の光ディスクに対して一のウォブル信号抽出回路でウォブル信号が安定的に抽出される。これにより、2種類のウォブル抽出回路を設ける従来の場合と比較して、回路実装面積が低減される。また、各回路に必要とされる許容入力振幅範囲が小さく抑えられるため、低消費電力および低電源電圧での動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[図1]図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成図である。
[図2]図2は、DVD−RAMにおけるCAPA部読み込み時の光ディスク信号を示した図である。
[図3]図3は、本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置の構成図である。
[図4]図4は、本発明の第3の実施形態に係る光ディスク装置の構成図である。
[図5]図5は、本発明の第4の実施形態に係る光ディスク装置の構成図である。
[図6]図6は、従来の光ディスク装置の構成図である。
[図7]図7は、サーボがかかった状態の光ディスク表面の拡大図である。
[図8]図8は、ウォブル信抽出回路によるウォブル信号抽出の原理を説明するための図である。
[図9]図9は、抽出したウォブル信号とそれを二値化した信号との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面中の主な符号は次のとおりである。
24、24a、24b 信号レベル固定部
26a、26b 正規化部
27a、27b ゲイン調整部
28 信号切り替え器
23 減算器
【0027】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示す。本実施形態に係る光ディスク装置は、光検出器20、加算回路21および22、信号レベル固定部24aおよび24b、減算器23、および帯域通過フィルタ25を備えている。このうち、本実施形態に係るウォブル信号抽出回路は、加算回路21および22、信号レベル固定部24aおよび24b、減算器23、および帯域通過フィルタ25を含む部分である。
【0028】
光ディスクからの反射光を4分割された光検出器20で検出した信号をそれぞれ光ディスク信号A、B、CおよびDとする。これら信号は、光検出器20にトラッキングおよびフォーカスサーボがかかり、光ディスクにデータ記録または再生が可能となってから、光検出器20によって読み取られた信号であり、RF信号成分およびウォブル信号成分が合成された信号である。これら光ディスク信号A〜Dから、加算回路21および22によって、第1の光ディスク信号に相当するディスク内周側の和信号(A+D)と、第2の光ディスク信号に相当するディスク外周側の和信号(B+C)とが生成される。そして、減算器23によって和信号(A+D)から和信号(B+C)が減算されることによって、これら二つの和信号に含まれるRF信号成分が除去され、ウォブル信号が抽出される。その後、帯域通過フィルタ25により、差動信号(A+D)−(B+C)から、所望の周波数成分が抽出される。以下、DVD−RAMの場合を例に、本実施形態に係るウォブル信号抽出回路について説明する。
【0029】
DVD−RAMの場合、図2(a)に示したように、アドレス情報を示すCAPA部113が、ランド部114およびグルーブ部115に対してちどりに配置されている。したがって、CAPA部113の読み込みの際、図2(b)に示したように、光ディスク信号に急激なDCレベル変動および振幅レベル変動が生じる。このレベル変動による影響を回避するには、減算器23の許容入力振幅範囲を十分に大きく設計する必要があるが、これは回路規模および消費電力の増大を招くため好ましくない。
【0030】
そこで、本実施形態に係るウォブル信号抽出回路における信号レベル固定部24aおよび24bは、CAPA部113の読み込みの際、減算器23の入力を、許容入力振幅範囲内の所定のレベルに固定する。具体的には、信号レベル固定部24aおよび24bは、CAPA部の検出を示す信号を受け、この信号に基づいて、入力した光ディスク信号を所定のレベルに固定する。CAPA部の検出を示す信号は、DVD−RAM装置では必須の信号であり、図1に示した以外の回路で生成される。これによって、CAPA部113の読み込み時の光ディスク信号が除去され、減算器23には許容入力振幅範囲を超えた信号が入力されなくなる。したがって、CD−R/RW装置で用いられているウォブル信号抽出回路における減算器の許容入力振幅範囲を特に大きく設計することなく、DVD−RAM装置においてそのまま用いて、安定してウォブル信号を抽出することができる。
【0031】
なお、サンプル&ホールド方式でサーボシステムが実現されている場合には、信号レベル固定部24aおよび24bの機能はサンプル・ホールド回路で実現するとよい。すなわち、当該サンプル・ホールド回路は、CAPA部の検出を示す信号を受け、この信号に基づいて、入力した光ディスク信号を所定のレベルにホールドする。このように、サンプル&ホールド方式が採用されている場合には、回路規模の増加を伴うことなく信号レベル固定部24aおよび24bの機能が実現される。
【0032】
また、光ディスク装置にセットされた光ディスクの種類に応じて、CD−R/RWの場合には信号レベル固定部24aおよび24bの機能を無効にし、DVD−RAMの場合には有効にすることによって、CD−R/RWおよびDVD−RAMのいずれにも対応する光ディスク装置において、一のウォブル信号抽出回路で、すべての種類の光ディスクについてウォブル信号の抽出を行うことができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示す。本実施形態に係る光ディスク装置は、第1の実施形態に係る光ディスク装置における減算器23の前段に正規化部26aおよび26bを設け、さらに、ゲイン調整部27aおよび27bを設けた形態をしている。正規化部26aおよび26bは、それぞれ、減算器23に入力される光ディスク信号(A+D)および(B+C)の振幅を一定の大きさにする。そして、減算器23によって、正規化後の二つの光ディスク信号の差分を算出することにより、抽出されたウォブル信号へのRF信号の漏れこみが抑制され、良好なウォブル信号抽出特性が得られる。
【0034】
信号レベル固定部24aおよび24bは、それぞれ、CAPA部の読み込みの際、正規化部26aおよび26bへの入力を許容入力振幅範囲内の所定のレベルに固定する。これによって、CAPA部の読み込み時の光ディスク信号が除去される。すなわち、正規化部26aおよび26bに許容入力振幅範囲を超えた信号が入力されなくなる。したがって、CD−R/RW装置で用いられているウォブル信号抽出回路における正規化部の許容入力振幅範囲を特に大きく設計することなく、DVD−RAM装置においてそのまま用いて、安定してウォブル信号を抽出することができる。
【0035】
信号レベル固定部24aおよび24bによって正規化部24aおよび24bの入力が所定のレベルに固定された場合、たとえば、レベルがゼロ近傍になった場合、正規化部24aおよび24bのゲインが最大となり、そのままの状態が続いてしまうおそれがある。そこで、ゲイン調整部27aおよび27bは、信号レベル固定部24aおよび24bによって正規化部24aおよび24bの入力が所定のレベルに固定されたとき、正規化部24aおよび24bのゲインを直前の値または所定値に固定する。これにより、正規化部24aおよび24bの過渡応答が抑制され、読み込み箇所がCAPA部からDATA部に移行する際に良好な過渡応答特性が得られる。
【0036】
なお、光ディスク装置にセットされた光ディスクの種類に応じて信号レベル固定部24aおよび24bの有効および無効を切り替える点、およびサンプル&ホールド方式でサーボシステムが実現されている場合における信号レベル固定部24aおよび24bの機能の実現については、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0037】
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示す。本実施形態に係る光ディスク装置は、光検出器20、加算回路21および22、減算器23、信号レベル固定部24、帯域通過フィルタ25、および正規化部26aおよび26bを備えている。このうち、本実施形態に係るウォブル信号抽出回路は、加算回路21および22、減算器23、信号レベル固定部24、帯域通過フィルタ25、および正規化部26aおよび26bを含む部分である。
【0038】
信号レベル固定部24は、CAPA部の読み込みの際、帯域通過フィルタ25への入力を許容入力振幅範囲内の所定のレベルに固定する。これによって、CAPA部の読み込み時の光ディスク信号が除去され、帯域通過フィルタ25に許容入力振幅範囲を超えた信号が入力されなくなる。したがって、CD−R/RW装置で用いられているウォブル信号抽出回路における帯域通過フィルタの許容入力振幅範囲を特に大きく設計することなく、DVD−RAM装置においてそのまま用いて、安定してウォブル信号を抽出することができる。
【0039】
なお、光ディスク装置にセットされた光ディスクの種類に応じて信号レベル固定部24の有効および無効を切り替える点については、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0040】
(第4の実施形態)
図5は、本発明の第4の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示す。本実施形態に係る光ディスク装置は、光検出器20、加算回路21および22、減算器23、帯域通過フィルタ25、正規化部26aおよび26b、および信号切り替え器28を備えている。このうち、本実施形態に係るウォブル信号抽出回路は、加算回路21および22、減算器23、帯域通過フィルタ25、正規化部26aおよび26b、および信号切り替え器28を含む部分である。
【0041】
減算器23は、正規化部26aの出力から信号切り替え器28の出力を減ずる。信号切り替え器28は、CAPA部の読み込みの際、正規化部26aからの信号を出力し、これ以外のとき、正規化部26bからの信号を出力する。したがって、CAPA部の読み込みの際、減算器23に入力される二つの光ディスク信号は同一となるため相殺される。これによって、CAPA部の読み込み時の光ディスク信号が除去される。したがって、CD−R/RW装置で用いられているウォブル信号抽出回路における減算器の許容入力振幅範囲を特に大きく設計することなく、DVD−RAM装置においてそのまま用いて、安定してウォブル信号を抽出することができる。
【0042】
なお、光ディスク装置にセットされた光ディスクの種類に応じた信号切り替え器28の有効および無効の切り替えは、第1の実施形態に係る信号レベル固定部24aおよび24bの有効および無効の切り替えと同様である。
【0043】
上記の各実施形態は、便宜のため、DVD−RAM装置を想定して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。DVD−R/RWの場合、ランドプリピット領域を読み込む際、光ディスク信号に急激なDCレベル変動および振幅レベル変動が生じる。したがって、上記説明中のCAPA部をランドプリピット領域に適宜置き換えることにより、DVD−R/RW装置についても、本発明により上記効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るウォブル信号抽出回路は、従来と同等の回路規模および消費電力で、さまざまな種類の光ディスクに対応して安定したウォブル信号の抽出を実現するため、CD−R/RWおよびDVD−RAM/R/RWのいずれにも対応した光ディスク装置におけるウォブル信号抽出回路として有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの表面に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分を含む第1の光ディスク信号、および、前記第1の光ディスク信号とは逆相のウォブル信号成分を含む第2の光ディスク信号から、ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出回路であって、
前記ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、前記第1および第2の光ディスク信号のそれぞれを所定のレベルに固定する第1および第2の信号レベル固定部を備えた
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項2】
請求の範囲1に記載のウォブル信号抽出回路において、
前記第1および第2の光ディスク信号のそれぞれの振幅を所定の大きさに調整する第1および第2の正規化部を備え、
前記第1および第2の信号レベル固定部は、それぞれ、前記第1および第2の正規化部の前段に設けられている
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項3】
請求の範囲2に記載のウォブル信号抽出回路において、
前記第1および第2の信号レベル固定部によって、前記第1および第2の光ディスク信号のそれぞれが前記所定のレベルに固定されたとき、前記第1および第2の正規化部のゲインを、前記第1および第2の光ディスク信号のそれぞれが前記所定のレベルに固定される直前の値または所定値に固定するゲイン調整部を備えた
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項4】
請求の範囲1に記載のウォブル信号抽出回路において、
前記第1および第2の信号レベル固定部は、それぞれ、前記第1および第2の光ディスク信号についてサンプル・ホールド処理を行うものであり、かつ、前記ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、前記第1および第2の光ディスク信号を前記所定のレベルにホールドするものである
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項5】
光ディスクの表面に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分を含む第1の光ディスク信号、および、前記第1の光ディスク信号とは逆相のウォブル信号成分を含む第2の光ディスク信号から、ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出回路であって、
前記第1の光ディスク信号から前記第2の光ディスク信号を減ずる減算器と、
前記ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、前記減算器の出力信号を所定のレベルに固定する信号レベル固定部を備えた
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項6】
光ディスクの表面に形成されたウォブルに起因するウォブル信号成分を含む第1の光ディスク信号、および、前記第1の光ディスク信号とは逆相のウォブル信号成分を含む第2の光ディスク信号から、ウォブル信号を抽出するウォブル信号抽出回路であって、
前記第1および第2の光ディスク信号のいずれか一方を選択的に出力する信号切り替え器と、
前記信号切り替え器から出力された信号を前記第1の光ディスク信号から減ずる減算器とを備え、
前記信号切り替え器は、前記ウォブルの非連続箇所が検出されたとき、前記第1の光ディスク信号を出力する
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項7】
請求の範囲1、5および6のいずれか一つに記載のウォブル信号抽出回路において、
前記光ディスクは、DVD−RAM規格に準拠したものであり、
前記ウォブルの非連続箇所は、CAPA部である
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項8】
請求の範囲1、5および6のいずれか一つに記載のウォブル信号抽出回路において、
前記光ディスクは、DVD−R/RW規格に準拠したものであり、
前記ウォブルの非連続箇所は、ランドプリピット領域である
ことを特徴とするウォブル信号抽出回路。
【請求項9】
請求の範囲1、5および6のいずれか一つに記載のウォブル信号抽出回路を備えた
ことを特徴とする光ディスク装置。

【国際公開番号】WO2005/043516
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515110(P2005−515110)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015441
【国際出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】