説明

ウォーキングアクチュエータ

【課題】非動的又は準静的駆動機構を有する改善された電気機械モータを提供する。
【解決手段】本体22に関する動作がウォーキング機構に従う複数の駆動素子14a〜dを有する。駆動素子14a〜dの駆動部分は、本体22表面に対して接線方向及び法線方向に独立可動である。駆動素子14a〜dは、把持、本体の移動、解除、及び元の位置への戻りという4サイクルステップで駆動される。駆動素子14a〜dは排他的な2組に分割される。当該組の駆動は位相シフトされる。当該組の少なくとも一組が、各瞬間において本体22表面に接触する。把持シーケンス中の駆動素子14a〜dの駆動が、駆動素子14a〜dが有意な接線成分を有する速度となるように行われることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、非動的又は準静的駆動機構を有する電気機械アクチュエータ並びにかかるアクチュエータの制御及び駆動に関する。
【背景技術】
【0002】
小規模なモータ市場は数十年にわたり連続的に拡大している。低コストで製造可能な高性能小型モータには特に関心がある。力及び精度が典型的に主要な重要特性である。通常の電気モータは、いくつかのアプリケーションにおいてその限界に達し、その代替が開発されている。本願発明は高性能小型モータの必要性に関する。
【0003】
例えば圧電モータを含む電気機械モータは、よく使用されてきているタイプの小型モータである。今日、圧電アクチュエータはよく知られており、様々なアプリケーションにおいて使用されている。圧電アクチュエータは一般に、高モーメントではあるが小ストロークであることを特徴とする。高周波数の動きを繰り返すことにより、巨視的なストロークを達成することができる。電気機械モータにおいては、基本的に異なるいくつかの動作機構が使用される。所定のモータ部材の慣性及び/又は時間依存性物理効果を用いることにより、様々な電気機械モータが実現できる。かかる駆動機構グループは、動的駆動機構と称する。典型的に、動的駆動機構を有するモータは、所定周波数範囲のみで動作することができ、低い内部速度又は周波数で動作することができない。よく見られる名称である超音波及び進行波モータは、動的駆動機構のうちこのグループに属する。
【0004】
駆動機構の他のグループは、非動的、静的又は準静的と呼ばれる。これらの非動的機構は、能動要素の動作が任意の低周波数又は低速度で行われることに特徴がある。被駆動部材はアクチュエータ要素によって移動される。アクチュエータ要素は典型的に、把持、移動、解除及び戻りのような動作サイクルを行う。一組の要素が解除すると、他組の要素が被駆動部材を把持する。典型的に非動的機構は、制御位置が低〜中高速度において望ましい点で有利である。さらに、この機構により、様々なアプリケーションでの最適化が容易となり、大きな力を伝えることができる。主な短所は、所望の機構を達成するには構成上の要求が高いことである。したがって一般には、性能を損なうことなく構成を簡略化する様々なソリューションが、商業的に大きな関心となっている。
【0005】
非動的動作のための一機構は「シャクトリムシ」機構であり、特許文献1に初めて開示された。被駆動部材は、例えば特許文献2におけるクランプ・拡張・クランプ解除というように機械的ステップによって移動される。クランプ要素は少なくとも2組必要であり、これらは位相がずれて動く。各動きすなわち拡張の間、被駆動部材が双方の組の要素によってクランプされて静止したままとなる。動きは周期的であり、究極的な分解能は電圧分解能によって分割される一ステップ長さに相当する。被駆動部材は、フルステップ長さの一部にてすなわち一種のマイクロステップモードで止まる場合もある。クランプ及びクランプ解除は、非動作相中に行われる。
【0006】
特許文献3において、非動的駆動機構に基づく圧電モータが開示されている。この機構は「シャクトリムシ」機構の代替であり、「機械ステップ機構」と呼ばれる。モータが、電気機械材料からモノリシック多層ユニットとして作られる。これは、2次元で移動できる独立した少なくとも2組の駆動要素を有する各組の動きは、把持、移動、解除、戻りの4シーケンスを特徴とする。バイモルフ駆動要素の組に電圧サイクルが適用される。これらの組は互いに位相がずれている。当該出願において、好ましい電圧サイクルは正弦波であると記載されていた。かかる駆動サイクルは、駆動要素の接触点に楕円動作軌道をもたらす。2要素組の位相シフトは180度であり、一組が把持し、他組が解除している瞬間の当該要素の接線速度は実質的にゼロである。
【0007】
特許文献4も、類似の駆動機構を開示する。4駆動要素は互いに関して位相シフトされた対で動作し、可動部を動かす。要素は、可動部の把持及び移動の楕円動作を実行するべく駆動される。ここで、一組が把持し他組が解除する極めて一瞬に、当該要素の接線速度は実質的にゼロになる。
【0008】
従来技術の非動的駆動電気機械モータには、大きな長所がある。しかし、小さな短所も存在する。一つは、準静的駆動制御が維持されている間に、極めて小さなステップ長さで制御ステップが達成されるという問題である。他の一般的な問題は、駆動サイクル中に接線速度が常に変化することであり、これは時に摩耗や振動などの問題につながる。さらに、法線動作も同様に変化して、振動の発生や摩擦の影響の他に、不要なパワー消費も生じる。接線動作を有用な作業に使用できる一方で、法線動作は表面の凹凸等を克服するべく必要なだけであり、パワー出力には使用されない。開示の「機械ステップ機構」装置に関する特定の問題は、正弦波電圧サイクルが、要素の可能なフルストロークを利用しないことである。これは効率を低下させる。
【0009】
超音波モータにおいて、接触表面の摩耗は無視できない課題である。ポリマー表面及び潤滑を含む課題解決策がいくつか提案されている。非共振モータの摩耗は、駆動要素を制御された動作とすればするほど小さくなる。しかし、高性能小型モータを考慮すると、小さな摩耗も性能に影響し得る。
【0010】
特許文献5は、超音波駆動装置を開示する。いくつかの実施例では、可動部を動かすべく複数の要素が、位相シフトされて駆動される。当該装置は一般的に、動的駆動機構によって動作するべく設計される。これは、当業者にとって自明であり、また周波数範囲によって示されるとおりである。ここで、当該動作が生じるように可動部の質量の慣性が使用される。かかる機構においては、動作サイクルの間に、どの要素も可動部に接触していない瞬間が必ず存在する。これは、例えば位相シフトなしで要素を駆動したり(特許文献5の図4aを参照)、純線形要素ストロークを使用する(特許文献5の図8c及び8dを参照)場合に考えられる唯一の駆動機構であることが明らかである。開示の装置が非動的機構によって駆動されるとしても、要素先端の楕円動作が使用されるので、(上述の機械ステップ装置と同様に)一組が把持し他組が解除する極めて一瞬において、当該要素の接線速度は必ず実質的にゼロとなる。特許文献5の図4bを参照のこと。
【0011】
本願発明に係る圧電セラミックモータを作る方法は多数あるが、従来技術のソリューションでは小さなサイズ、大きな力、及び低価格を同時に達成するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3,902,084号明細書
【特許文献2】米国特許第5,751,090号明細書
【特許文献3】国際公開第97/36366号明細書
【特許文献4】独国特許出願第4408618号明細書
【特許文献5】米国特許第6,066,911号明細書
【発明の概要】
【0013】
本願発明の一般的な目的は、非動的又は準静的駆動機構を有する改善された電気機械モータを提供することにある。さらなる目的は、駆動要素の幾何学的な動作可能性を最適な態様で利用することにある。他の目的は、加速又は減速だけでなく一定の速度での一様な動作を有するモータを提供することにある。本願発明のさらなる他の目的は、電気機械モータの位置決め精度を改善することであって、特に、適切な位置センサを有する閉ループアプリケーションにおいて容易に使用できる極めて小さなステップ長さを達成することにある。また、必要なパワーの低減とともに、能動要素の体積に関係して精度及び力を向上させることも目的とする。またさらなる目的は、幾何学的選択及び材料選択の改善とともに、摩擦特性も改善された電気機械モータを提供することにある。また、被駆動体の案内の改善及び法線力の適用も目的とする。
【0014】
上記目的は、添付された請求項による装置及び方法により達せられる。一般に、本願発明は、電気機械アクチュエータ配列を駆動する方法を提供する。当該電気機械アクチュエータ配列は、本体に対するウォーキング機構の動きによる複数の駆動要素を有する。駆動要素の駆動部は、前記本体の表面に沿って及び垂直に、すなわち接線方向及び法線方向において独立して動くことができる。本方法によれば、駆動要素は、本体の把持、本体の移動、本体の解除及び元の位置への戻りという4サイクルシーケンスで駆動される。駆動要素は、少なくとも2組の排他的な組に分割される。第2組の駆動は、第1組の駆動に対して位相シフトされる。少なくとも一方の組は、各瞬間において本体表面と接触している。本願発明に係る方法は、前記第1駆動要素組及び第2駆動要素組の把持シーケンスにおける駆動が、当該駆動要素が主動作方向に有意な成分を有する速度となるように行われることを特徴とする。すなわち、駆動部は把持の間、接線速度成分を有して動く。
【0015】
好ましい実施例において、駆動要素の駆動は、当該2組の把持シーケンスと解除シーケンスとが重なるように行われる。駆動要素の、特に接線速度成分の動作は、特に把持、移動及び解除シーケンスの間に、専用の速度スケジュールに応じて行われるのが好ましい。一実施例は、移動シーケンスの間に、純粋な接線運動を有する。本願発明の一実施例によれば、動作サイクルは、任意位置にて当該動作を中断できるようにマイクロステップに分割可能である。また、好ましい一実施例は、駆動サイクルを可変ステップ長さとすることができる。
【0016】
本願発明の他の局面によれば、上記方法によって駆動可能な電気機械アクチュエータが提示される。さらに、好ましい実施例は、モノリシック体の能動部及び接続受動部を有する。受動部は複数の追加電極層を含み、熱伝導率を改善するべく、いずれかが接地される。さらに駆動部は、高熱伝導率を有する材料で作られる。また、当該組は、前記電気機械アクチュエータ配列の中心に関して実質的に対称である。
【0017】
本願発明には、従来技術と比べていくつかの長所がある。幾何学寸法が効果的に利用される。本体の動きを滑らかにすることができる。位置決め精度が向上する。さらに、エネルギー消費が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願発明は、そのさらなる目的及び長所とともに、以下の記載を添付図面とともに参照することによって最もよく理解できる。
【0019】
【図1】本願発明で使用できるモノリシック圧電駆動ユニットの概略図である。
【図2】図1の駆動ユニットが本体を駆動するべくどのように配列されるかを示す。
【図3a】本願発明に係る単純動作の概略図である。
【図3b】本願発明に係る単純動作の概略図である。
【図3c】本願発明に係る単純動作の概略図である。
【図3d】本願発明に係る単純動作の概略図である。
【図4a】本願発明に係る動作軌道を示す図である。
【図4b】従来技術に係る動作軌道を示す図である。
【図4c】本願発明に係る他の動作軌道を示す図である。
【図5】図4に係る動作軌道を得るべく必要な電極電圧を示す図である。
【図6a】本願発明に係る、把持シーケンスと解除シーケンスとが重なる動作の概略図である。
【図6b】本願発明に係る、把持シーケンスと解除シーケンスとが重なる動作の概略図である。
【図6c】本願発明に係る、把持シーケンスと解除シーケンスとが重なる動作の概略図である。
【図6d】本願発明に係る、把持シーケンスと解除シーケンスとが重なる動作の概略図である。
【図6e】本願発明に係る、把持シーケンスと解除シーケンスとが重なる動作の概略図である。
【図7】本願発明に適した電子駆動装置を示す。
【図8】駆動ユニットの好ましい取り付けの一実施例を示す。
【図9】駆動ユニットの代替的な取り付けの平面図を示す。
【図10】小さなストロークに適したモータ配列を示す。
【図11】小さなストロークに適した他のモータ配列を示す。
【図12】法線力の適用の一実施例を示す。
【図13】法線力の適用の他実施例を示す。
【図14】受動支持体に接触電極を有する圧電ユニットの一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ほとんどのアクチュエータ材料は電気機械材料としての特徴を有するが、本開示においては、電圧又は電流が適用されるときにその形状を変化させる材料を意図している。電気機械材料の典型的な例は、圧電性、電歪性、及び反強誘電性の材料であり、これらの材料は、単結晶及び多結晶又はアモルファスであってよい。今日大きな関心を集めている材料は大きな電気機械歪を有する多結晶の多層強誘電セラミック材料であるが、これに匹敵する特性を有し得るポリマー及びポリマー複合材料は開発途上である。
【0021】
電気機械モータ及びアクチュエータ、特に圧電モータ及びアクチュエータは、非常に多くの種類が利用できる。装置を分類する一つのやり方は、その駆動機構に応じて分けることである。装置の特徴及び問題は、各グループ又は下位グループに特有であることが多い。特定の駆動機構のモータ装置に適用される一のソリューションが、他のタイプにとっては全く無関係かもしれない。本願発明では、非動的又は準静的駆動機構を有する電気機械装置が考慮される。通常の駆動機構をより理解するべく、異なる機構に関する簡単なレポートを添付1に与える。非動的機構及び準静的機構の周知事項は、制御された準静的ウォーキングを達成できるということである。以下では、「ウォーキング機構」と称される。
【0022】
したがって、ウォーキング機構は2駆動要素組を特徴とする。当該要素と当該本体との直接接触が利用されて、当該要素の形状変化により本体が連続的に動く。当該本体と接触する組は準静的に作動する。
【0023】
本願発明において、電気機械モータ又はアクチュエータは、少なくとも2組のアクチュエータ要素を含む。各組は、少なくとも一の要素を含む。好ましくは、要素はバイモルフ要素であって、その接触点を独立した2方向で位置決めすることができる。好ましくは、要素は、特許文献3に記載されるようにモノリシック体の一部であるが、他のソリューションも可能である。まず、基本構造について説明し、次にこのようなユニットの製造について簡単に言及し、最後に典型的な動作について詳細に述べる。
【0024】
モノリシック多層ユニット10を図1に示す。ユニット10は、受動支持体12及び駆動要素を含む。この場合、切れ目20によって分離された4駆動要素14a〜dを含む。各駆動要素は、別個に制御可能な2位相区間13a〜hに分離される。複数の位相電極層19及び接地電極層18が駆動要素14a〜d内に組み込まれる。電極16a〜hが駆動要素14の能動領域において位相電極層19に接触する。各位相電極16a〜hは、一位相区間(13a〜h)に対応する。同様の接触は、接地電極層18の後ろ側(図示せず)にも存在する。選択された電極16に適切な電圧を適用することにより、駆動要素内に電界が作られ、位相電極層19と接地電極層18との間の材料が膨張又は収縮する。これにより、駆動要素14が屈曲及び/又は膨張若しくは収縮する。この駆動要素の動作が、ユニット10に接触する対象物の動作に変換される態様を以下に詳細に説明する。
【0025】
ユニットは例えば、電極ペーストのスクリーン印刷と組み合わせた圧電セラミックスラリーの湿式集積のような従来技術で製造できるが、他の製造技術を使用してもよい。簡単に説明すると、製造は以下のとおりである。ガラス板上で、圧電セラミック粉末、バインダ、分散剤、及び溶媒からなるスラリーの層を例えばドクターブレードによって鋳造する。スラリーは強制対流によって乾燥することができる。構造は受動支持体12と駆動要素14とに分割する必要があるので、鋳造はかかる部分ごとにわずかに異なる。第1層が受動支持体12となり、通常の場合、この領域に電極は不要なので、先に鋳造及び乾燥した層の頂部に他のスラリー層を鋳造する。スラリーが乾燥され、典型的には約1〜3mmの十分に厚い受動支持体が鋳造されるまでこのプロセスが繰り返される。その後の層間では、例えばPt又はAgPdペーストの電極パターンが、2つの異なるマスクを使用してスクリーン印刷される。一方のマスクを位相電極層16に使用し、他方のマスクを接地電極層18に使用し、これらのマスクは交互に使用される。典型的には鋳造は、数平方デシメートルの表面上で行われ、マスクはセンタリングピンによって整列される。鋳造の完了後、素地全体が、例えばダイシングソーを使用してユニット10に分割される。同時に、駆動要素14が、駆動要素14の所望の長さと同じ深さの切れ目20によって分割される。ユニット10はまず600〜700℃で熱処理されて有機材料が除去される。次に、約1000〜1300℃で熱処理されて、当該材料がモノリシックユニットに焼結される。焼結後、例えば銀電極16が両側に印刷される。8の電極16a〜hが、駆動要素14の能動領域にて位相電極層16と接触する。接地側は図示していないが、全ての層が接続されることを除いて、位相電極側に類似する。駆動要素はバイモルフとして動作する。したがって、破線で示すように各駆動要素14には2つの異なる能動領域が存在する。銀ペーストが熱処理されて、ユニット10の両側に固体のAg銀電極16が形成される。
【0026】
かかるユニットによって被駆動部材を移動させる機構は、非動的タイプである。図2を参照して説明する。ここでは、図1と同じタイプのユニット10を示すが、便宜上、特定細部を省略する。図2のモノリシックユニット10を、独立して動作する2組の駆動要素からなるものとして考える。第1組の駆動要素として、駆動要素14a及び14cを選択する。したがって、かかる駆動要素14a及び14cは同期して動作する。かかる駆動要素14a及び14cは、被駆動部材と接触する。この場合、レール22に接触する。同様に、駆動要素14b及び14dは第2組に属する。したがって、かかる駆動要素14b及び14dも同期して動作する。かかる駆動要素14b及び14dは、図においてレール22に接触していない。駆動要素14はバイモルフであり、独立して制御可能な電圧が当該バイモルフの両側に与えられる。したがって、駆動要素14の頂部、接触点28は、負荷が存在しない場合、所定領域内で任意に移動することができる。理想的なバイモルフ及び小さなストロークに対し、この領域は菱形をなす。2組の駆動要素の所定の位相シフト動作に対し、矢印26によるレール22の動作が達成可能となる。
【0027】
本開示の残りの部分において、「レール」は、これらの駆動要素に対して移動するように、駆動要素に対して保持される任意の本体を意味する。線形動作が要求されるアプリケーションでは、「レール」は実質的に平坦であることが好ましい。しかし、回転アプリケーションでは、「レール」は湾曲して、円形断面を有することもある。
【0028】
動作の基本概念を、図3a〜3dに示す。駆動要素の全ての動作は、これらの図において機構を視覚化するべく極めて誇張される。図3aでは、全ての駆動要素14がレール22と接触する場合が示される。第1組の要素は左に曲がり、第2組の要素は右に曲がる。この状況から、第1組の要素すなわち駆動要素14a及び14cは、矢印30の方向すなわち右上方向に押し込まれる。第2組の要素すなわち駆動要素14b及び14dは、代わりに矢印32の方向すなわち左下方向に押し込まれる。これは、第2組の駆動要素がレール22と接触しなくなり、レール22が第1組の駆動要素の接触点の動作に追従することを意味する。
【0029】
所定時間後、図3bの状況に至る。ここで要素14は、その動作が変化しつつある。この状況から、第1組の要素すなわち駆動要素14a及び14cは、矢印34の方向すなわち右下方向に押し込まれる。第2組の要素すなわち駆動要素14b及び14dは、代わりに矢印36の方向すなわち左上方向に押し込まれる。これは、第2組の駆動要素が、最終的には再びレール22と接触することを意味する。
【0030】
この状況を図3cに示す。すなわち、全ての要素が再びレール22と接触するが、第2組はわずかに異なる位置にある。この状況から、第2組の要素すなわち駆動要素14b及び14dは、矢印30の方向すなわち右上方向に押し込まれる。第1組の要素すなわち駆動要素14a及び14cは、代わりに矢印32の方向すなわち左下方向に移動される。これは、第1組の駆動要素がレール22と接触しなくなり、その代わりにレール22が第2組の駆動要素の接触点の動作に追従することを意味する。
【0031】
所定時間後、図3dに示す状況に至る。ここで要素14は、その動作が変化しつつある。この状況から、第2組の要素すなわち駆動要素14b及び14dは、矢印34の方向すなわち右下方向に押し込まれる。第1組の要素すなわち駆動要素14a及び14cは、代わりに矢印36の方向すなわち左上方向に押し込まれる。これは、第2組の駆動要素が、最終的には再びレール22と接触して当該サイクルが繰り返されることを意味する。その結果、レールは図内右側へ移送される。
【0032】
当該動作の特徴的な4シーケンスが容易に区別される。図3aの状況では、第1組の駆動要素がその把持シーケンスにある。図3aから図3bを経由して図3cまでの間に、移動シーケンスが生じる。図3cの状況では、第1組の駆動要素はその解除シーケンスにある。最終的に、図3cから図3dを経由して図3aまでの間に移動シーケンスが生じる。理論的には、把持シーケンス及び解除シーケンスはほぼ無限に短いが、現実的には、把持及び解除は所定期間中に生じる。
【0033】
図2のようなモータを作る方法は通常、法線方向において法線力24を適用することである。以下では、本願発明を例証するべく線形動作26が主に使用されるが、ソリューションのほとんどを回転、線形・回転、及び線形・線形等のモータに使用できることは明らかである。回転モータにおいては3点接触が望まれることが多い。したがって、非動的駆動機構による典型的な回転駆動ユニットは6つの駆動要素からなる。しかし、線形モータ及び回転モータの双方にとっては、ガイドによって一方の組の要素が自由に動き他方の組の要素が被駆動部材を保持する場合に、所望の駆動機構を得るべく4要素又は一以上の要素を使用することが可能である。
【0034】
上記例は典型的には、180度位相シフトする2組の駆動要素に基づく。一の例は、2組を超える組の駆動要素を使用する。一の可能性は、例えば120度位相シフトする独立した3組の駆動要素を使用することである。かかる配列により、2組がほぼいつも被移動体と接触する一方、一組が戻りシーケンスにある状況が可能となる。したがって、複雑な電子機械設計を犠牲にして、大きな力を達成することができる。
【0035】
要素のサイズはアプリケーションに対して選択され、考慮すべき主な因子は、必要な駆動要素の伸び、駆動要素ステップ長さ、及び支承負荷である。伸びは、全ての駆動表面の平坦度及び粗度、全ての機械部分の弾性変形のような因子によって決まる。レールの平坦度が0.25μm、駆動ユニットの平坦度が0.25μm、及び弾性変形が0.50μmの場合、伸びは1.0μmを超え、典型的には約2.0μmで十分である。許容される最大動作電圧で0.07%の電気機械歪みを達成することができる材料を使用すれば、当該要素の長さは少なくとも3mmでなければならない。当該要素はバイモルフとみなすことができる。また、図1において例えば要素14aを考えると、当該バイモルフの一側をAg電極16aで活性化し、他側をAg電極16bで活性化することができる(接地電極が接続されている場合)。一能動側を使用したバイモルフの曲げは以下の数式より計算できる。
【0036】
【数1】

ここで、図1に示すように、Lは駆動要素の長さ、tはバイモルフの総厚さ、sは活性化層が達成可能な歪である。長さと厚さがほぼ同じ場合、得られる曲げ動作は双方向において約1μmとなり、これによって約2μmのステップ長さが得られる。
【0037】
非共振機構の主な長所の一つは、制御された動作が得られることである。本願発明の局面は、適切な電子制御により精細なウォーキングを得る方法を開示する。上述したように、本願発明は2以上の駆動要素を有する、様々なタイプの非共振モータ(回転、線形、線形・回転等)に適用できる。精細なウォーキングにより、位置、速度、加速度を、好ましくは全てを同時に、リアルタイムで精細制御することが意図される。これは、位置、速度、及び/又は加速度が、(制御回路によって得られる時間分解能内の)各瞬間において駆動電子回路によって完全に制御されると解釈すべきである。先に開示した非動的電気機械モータは、所定長さの機械ステップに限定される。また、精細な位置決めは、クランプ・拡張・クランプシーケンスにおける拡張相の間の電圧を制御することによって達成している。このタイプの精細なウォーキングにはいくつかの長所が存在する。最も明らかなことは、高分解能の位置決めである。また、一要素組が把持又は解除を行っているときの速度を選択することにより、非常に滑らかな動作が得られる。この方法をさらに説明し、以下に例示する。
【0038】
まず、ステップ長さ及びサイクル周期という2パラメータを画定する必要がある。モータは、最も一般的な場合、サイクル周期中に変化する駆動電圧サイクルが制御される。典型的には、電圧サイクルの振る舞いは、サイクル周期内で変化しない。一定速度及び一定負荷の場合についてまず考えると、電圧サイクルも一定となる。各サイクル周期中に、駆動要素は2ステップを共に生成する。一要素組は一ステップを生成し、他要素組は他ステップを生成する。図3aからdに示すように、一要素組が他要素組の解除と正確に同時に把持を行うと、一サイクル中の動きは2のフルステップに正確に対応する。しかし実際には、2ステップは通常重複する。このため、一サイクル中の動きは2ステップの合計よりも小さくなる。要するに、ステップ長さは、一要素の接触点がレールと接触するときの位置と、他要素の接触点がレールと接触するときの位置との間の距離である。
【0039】
一要素のみの接触点を考えると、制御された精細なウォーキングがよく理解できる。レール等からの法線力を考えない場合すなわち無負荷状態の接触要素の動作領域を図4aに示す。z軸は法線方向であり、x軸は接線方向である。すなわち、接線方向は被移動体の主動作方向である。外側の菱形領域40は、バイモルフ接触点の最大動作領域を示している。当該要素の2つの部分の電圧を適切に選択することにより、この領域40内の全ての位置を達成することができる。図には2の水平線が示される。一方の線42は接触点に関するレールの最低位置を表し、また他方の線44は接触点に関するレールの最上位置を表す。この高さ範囲は、この点における全ての製造誤差の合計とみなすことができる。すなわち、線42から線44への動きが、駆動要素の把持シーケンスを構成する。同様に、線44から線42への動きが、駆動要素の解除シーケンスを構成する。
【0040】
軌道48は、レールからの法線負荷がない場合の要素先端の動きを示す。位置Cにおいて、レールが最低位置にあれば要素がレールと接触する。当該先端がDに向かって移動すると、当該先端は線44に至る前すなわちC’の前でレールと接触する。レールと摩擦接触した後、要素はさらに法線方向に動いてDに到達しようとする。モータ動作においては、これは不可能である。適用された法線力に起因してレールは法線方向に自由に動くことができないので、その代わりに当該要素がレール表面に追従するからである。モノリシックユニット、レール、ばね、機械的細部からなるシステム全体が弾性変形する。位置Dに対応する法線高さを、線44よりも十分に上になるよう選択する必要がある。この変形は以下でさらに説明する。
【0041】
その後当該要素は、位置Eを通過して位置Fに向かう軌道に追従しようとする。これにより、レールの純粋な接線動作が生じる。もちろん、摩擦係数及び法線力は、任意の接線力に打ち勝つよう十分に大きくなければならない。次に、当該要素が位置Gまで動くと、要素先端は、最も早い場合にはG’でレールを解除し、同時に接線方向にわずかに移動する。無視できるほどの高さ誤差、すなわち42と44との間の法線距離が存在すれば、ステップ長さをCとFとの間の接線距離とみなすことができる。図4aからわかるように、ステップ長さは、特定アプリケーションのパラメータに適応させた選択軌道によって制御される。
【0042】
当該要素は、Gから位置Hへ向かってレールから引き下がる。この例では、中間位置A及びBを経て当初位置Cに戻る。接触点が時計回り又は反時計回りの軌道に追従するかに応じて、レールの動作方向はx方向において前進又は後退する。
【0043】
要素が正弦波電圧によって制御されると、対応するサイクル軌道は、例えば図4bの46に示される楕円となる。ここで、かかる軌道のステップ長さが当該楕円の上半分の軸すなわちJからKの距離に対応することが容易にわかる。また、正弦波電圧サイクルにより得られるステップ長さは、菱形軌道の使用による対応電圧で達成できるサイズと同じサイズを達成できないことも容易にわかる。一般には、把持シーケンス及び解除シーケンスの間に有意な接線成分を有する軌道を使用すれば、大きなステップサイズが達成可能である。これは特に、バイモルフ駆動要素の場合に当てはまる。
【0044】
バイモルフにおいて2位相にある軌道と電圧との関係は以下のように見積もるのが妥当である。
【0045】
【数2】

及びkは、材料、形状等に応じた定数である。所望の軌道に対し、バイモルフ駆動要素における2位相電圧u及びuは、2定数h及びhを用いて以下のように記載できる。
【0046】
【数3】

駆動サイクルのためのタイミング情報は重要であり、ここに説明される。本願発明に係る動作軌道のさらに好ましい特徴は、当該軌道が可変速度で進行することにある。これは、当該軌道の一部分に要する通過時間が、同じ長さの他部分に要する通過時間と同じわけではないということである。軌道速度を変化させることによって、一組の把持シーケンスの少なくとも一部を、当該組の解除シーケンスの少なくとも一部と重ねることができ、またその逆もできる。DからFへの軌道進行に要する時間をGからCへの軌道進行に要する時間と同じくすることにより、及びCからDへの軌道速度をFからGへの軌道速度と同じくすることにより、一組の把持シーケンスは対向する組の解除シーケンスと重なる。さらに、同じ大きさの対向傾斜を使用することにより、すなわち一組の把持シーケンス用の、他組の把持シーケンス用の負の軌道傾斜と同じ正の軌道傾斜を使用することにより、双方の要素組はこれらのシーケンスの間に同じ接線動作成分を有する。かかる方法により、接触する組の実際の移行が滑らかに行われる。
【0047】
正弦波電圧の使用では、かかる軌道速度調整ができない。また、把持シーケンス及び解除シーケンスを、実質的にゼロの接線速度において行う必要がある。接触する組の間において同様の滑らかな移行を行うことはできない。
【0048】
駆動要素の駆動部分の動きが、十分に制御される。特に、把持、移動、及び解除シーケンス中の主動作方向速度成分は、速度スケジュールに応じて制御される。典型的に、連続動作中の速度スケジュールは一定である。しかし、例えば加速動作若しくは減速動作又は精細な位置決めを扱うべく、かかるスケジュールも当該動作中に変更又は調整できるのが好ましい。
【0049】
動作タイミングを表現する他の方法を図5に示す。ここで、電圧u及びuの経時変化態様の例が示される。接線速度は、考慮すべき重要なパラメータである。雑音、摩耗等を回避して接線方向の滑らかな動きを維持するべく、レールと接触している場合の駆動要素の速度を、特定の方法で調整する必要がある。例えば、接線負荷がゼロの場合の一定速度を考える。この場合、要素の接線速度は図4aの位置CからGまで一定とする必要がある。一定の接線速度により、「把持」区間C〜D及び「解除」区間F〜Gの合計速度は、接線速度よりも大きくする必要がある。法線速度成分も存在するからである。上述のように、本願発明における「把持」シーケンス及び「解除」シーケンスは、先に開示されたものと全く同一というわけではない。これは、制御された接線速度が把持中にも存在するからである。しかし便宜上、以下では引用符号を省略する。戻り区間G〜Cの間の速度は、駆動要素がレールと接触している区間よりも相当高い速度とされる。また、制限速度は駆動要素の動的効果と相関する。把持、移動D〜F、及び解除区間中の接線速度制御により、レールの動作が滑らかとなる。
【0050】
ウォーキング機構に基づくモータには、異なる2位相にある少なくとも2の異なる要素組が存在する。当該要素が一組にて駆動される。典型的に、一モータ位相は、一組の各駆動要素の一位相区間13a〜h(図1)に対応する。通常、モータは4位相により駆動される。しかし、モータは、以下でさらに記載するように、例えば2位相又は8位相によって駆動してもよい。例えば一位相が、当該位相の電圧がサイクル周期の関数としてプロットされる場合、台形形状となる。典型的に、同じ組の他位相は1/4周期位相シフトされ、他の組の残る2位相は第1組の2位相に対して1/2周期位相シフトされる。場合によっては、位相が電圧レベルで異なることもある。一般的な場合、全ての位相は完全に異なる波形を有する。
【0051】
図6a〜6eにおいて、上記重なりに係る一連の概略図を示す。上述したように、これらの図において駆動要素の全ての動作は、機構を視覚化するべく極めて誇張される。図6aにおいて、第1駆動要素組14a、14cがレール22に接触間近にあり、かつ、第2組がレール22に接触している状況が示される。第1組の要素はできる限り左に曲げられ、第2組の要素は右に曲げられるが最大ストロークではない。この状況から、第1組の要素すなわち駆動要素14a及び14cは、矢印30の方向すなわち右上方向に押し込まれる。第2組の要素すなわち駆動要素14b及び14dは代わりに、矢印34の方向すなわち右下方向に押し込まれる。これは、第1組の駆動要素がレール22と接触し、代わりに第2組の駆動要素がレール22との接触を解かれることを意味する。レール22は、接触している駆動要素の接触点に追従して図内右側へ動く。
【0052】
所定時間後、図6bの状況に至る。要素14はその動きを変える。かかる状況から、第1組の要素すなわち駆動要素14a及び14cは、矢印31で示す純粋な接線方向に押し込まれる。第2組の要素すなわち駆動要素14b及び14dは代わりに、矢印32の方向すなわち左下方向に押し込まれる。これは、第2組の駆動要素が自由に動けることと、レール22が右へ第1組に追従することとを意味する。第1組14a、14c及びレール22の動きは、図6c及び6dにおいても続く。しかし、第2組は図6cにおいて、レールの動作方向に対向する純粋な接線方向33へその動きを変える。図6dにおいて、第2組の動きは左上の動き36に再び変わる。これは、第2組の駆動要素14b、14dが再びレールに近づくことを意味する。
【0053】
図6eの状況は、第1及び第2組がそれぞれの役割を変えたこと以外は図6aの状況に対応する。今度は、元の位置へ戻るべく当該サイクルの後半が行われる。
【0054】
当該動作の特徴的な4シーケンスは、ここでも容易に区別される。第1組の把持シーケンス及び第2組の解除シーケンスは、図6aで始まり図6bで終わる。第1組の移動シーケンス及び第2組の戻りシーケンスは、図6bと図6eとの間で行われる。ここで第1組が解除の準備にある一方、第2組は把持を始める。
【0055】
これは、把持シーケンス及び解除シーケンス中の接線速度成分が移動シーケンスの接線速度と等しい場合にさらなる長所となる。これにより、サイクル全体においてレールの動きが一定の、途切れない一様な動きとなる。しかし、戻りシーケンスは所定速度を表す必要がない。その後要素は自由に動くことができるからである。しかし、当該速度は、把持シーケンス開始に時間内にたどり着くべく、他のシーケンスの速度よりもある程度高い必要がある。
【0056】
把持及び解除区間の法線速度は、利用可能な動作範囲、高さ誤差、及び所望ステップ長さによって部分的に決まる。要素の法線速度及び法線理想変位が、レールの法線方向に衝撃を与える。典型的には、かかる衝撃によりレール(及び要素)に音波が生じ、摩耗も生じ得る。特に20kHz未満の周波数におけるアコースティックエミッションの低減が望ましいことが多い。すなわち、機械的衝撃を最小限とすることが重要である。高さ誤差を無視すれば、把持中の滑らかな法線アプローチ、例えば法線方向の加速、を選択して機械的衝撃を最小化するのが典型的である。アコースティックエミッションを低減するべく、例えば一要素組の把持が他組の解除と同時となる相殺的な力、変位、及び波形成を選択するのが好ましい。すなわち、速度スケジュールは、被移動体の表面に実質的に垂直な方向における異なる2要素組の相殺的動きを含む。把持及び解除中の法線速度制御が使用されて、機械的衝撃及びアコースティックエミッションが低減される。電圧波形は、以下に詳述する制御電子回路によって適合される。適合は、単に異なる電圧波形を試験して雑音を最低にするものを選択することによって行うことができる。すなわち単なる試行錯誤手順である。しかし、多くのアプリケーションでは、要素、その表面、及びレールの特性が既知であり、おおよそ化学的なモデルを構成することができる。これがその後実験的に最適化される。
【0057】
当該2駆動要素組の位相差は、できる限り安定かつ滑らかな振る舞いを得るべく通常180度である。これは、当該2組の振る舞いが互いと比べて同一であることを意味する。しかし、性能を向上させるべく位相差を調整することは時に有利である。典型的には、不要な共振を抑制することであり得る。戻り区間に対するサイクル部分は、当該2要素組の位置関係を決定する。例えば、非常に高速度の戻り区間による非常に低速度の動きであって、当該要素組間の位相差が180度の場合を考えると、一要素組は他要素組が位置Cに到達すると実質的に位置Eになる。これは、極端な一の選択とみなすことができる。極端な他の選択は、当該サイクルの50%の戻り部分となる。すなわち、当該サイクルの戻り部分が、把持、移動、及び解除部分に等しい。一の場合、双方の要素組は、ほとんどの時間レールを動かしているとともに、例えば高い接線力性能及び安定性を与えている。他の場合、典型的には低い法線力と良好な平坦度(レール及び要素接触点の高さ誤差)とによって、非常に単純な駆動サイクルが使用できる。これは、コストを最小化すべき場合に有利である。一例は単純な菱形であり、多くの場合、最大移動範囲40である。しばしば最良の妥協となる駆動サイクルは、一要素組が位置Cにあって他要素組が位置Fにある図4aで与えられる軌道48である。把持シーケンス及び解除シーケンスが同時に行われる一方、接線速度は要望どおりに制御され続ける。
【0058】
非動的及び準静的動作機構において、少なくとも一の要素組は被移動体に接触している。これは、動作サイクルが任意の段階において、動作制御を緩めることなく中断できることを意味する。これにより、マイクロステップが可能となる。すなわち、ステップ長さよりも短いステップを取ることができる。マイクロステップにおいて位置分解能は主に、相対電圧分解能及びステップ長さに依存する。電圧を精細に制御することにより、精細なステップが可能となる。
【0059】
図4cにおいて、外側の菱形40内に内側の菱形50も示されている。内側の菱形50は、制御されたステップ長さ低減のための動作領域を表す。ステップ長さは、アプリケーションにおける分解能、振動の抑制、及び駆動要素先端の角度傾斜のようなパラメータに関して双方を選択する必要がある。傾斜は性能に悪影響を及ぼすことがあり、一のソリューションは先端を丸めて滑らかな接触とすることである。他のソリューションは、ステップを小さくすることである。すなわち、小さい要素傾斜を使用することである。駆動要素先端の形状は、接触領域に近づく弾性変形にとっても重要である。半径が小さすぎると弾性変形が大きくなりすぎる。半分のステップ長さによって2倍の周波数でモータを駆動できれば、例えばモータその他の機械詳細部における振動を抑制することができる。ステップ長さを調整可能なことの主な重要性は、精細な位置決めが容易かつ正確になることにある。ステップを所望の位置決め分解能よりも小さくすることにより、コントローラは所望の位置に至るまではフルステップが容易に可能となる。マイクロステップモードの場合のように、所望の位置に至るのに必要なフルステップ数及びマイクロステップ数の双方を追跡し続ける必要はない。把持及び解除に関する所定タイプの位置決め誤差及び時間依存クリープ等の因子が常に存在するので、低減ステップモードはマイクロステップモードよりも安定する。最後のステップがなされると、電圧がゼロに選択される。マイクロステップモードに関するような位置決め変化はもはや生じない。マイクロステップの使用における位置決めの詳細を以下にさらに説明する。
【0060】
一般的な動作の場合、双方の要素組に対する負荷なしの軌道を表すxz平面内の時間依存位置ベクトルr(t)は、動作の完全な自由を得るべく各瞬間において可変である必要がある。これは現在のアナログ及びデジタル電子回路によりある程度可能であるが、かかる自由を得る必要はほとんどない。むしろ、慎重に考慮すべき特殊な場合がいくつか存在する。
【0061】
その一つは加速/減速である。例証するべく加速シーケンスを説明する。慣性負荷を有するレールは、要素からの力が許容するよりも速く加速することができない。考慮すべき極端な場合が2つある。滑らかな又は最大の加速である。最大の加速は、ほとんどの時間レールに接触する双方の要素によって達成できる。実質的に要素は、Cにて把持し、Gまで高速度で移動して最大の力を達成する。これは低速度でのみ有効である。戻りシーケンスはさらに高速度であり、2要素組はおおよそ180度の位相差で動作する。かかるタイプの加速ルーチンは、摩耗及び雑音が短所である。その代わりに純粋な移動シーケンスD〜F中に加速が行われると、当該2要素組間の相対速度が低減されて把持及び解除が行われる。これは、例えば摩耗の点で有利である。かなり高い加速は移動シーケンスの開始における高加速で可能となるので、当該要素は理想的な無負荷軌道48の位置Fにおいてほぼ同位相となる。
【0062】
他の簡単なルーチンは、ステップごとに一回速度を変えることである。例えば位置Dにおいてである。これにより当該要素が加速中、無負荷軌道に沿って動くことがなくなるので、把持及び解除中の当該2要素組間の小さな相対速度差が許容される。一般に、駆動サイクルの様々な区間中の加速制御により、各アプリケーションに対してモータを最適化することができる。
【0063】
本願発明における精細なウォーキングは、当該軌道の各位置にて停止できることと、ステップ長さ、把持/解除の時間、及び重なりを自由に選択できることとに関する。当該軌道の各位置にて停止できることは、適切な制御電子回路によって任意の精細な分解能を達成できることを意味する。ステップモータと比べて当該類似性は完全ではないが、マイクロステップモードでモータを駆動することもできる。電磁ステップモータにおいては、各ステップを精細な増分で分割するべく電流が制御される。本モータの電圧制御を考えると、バイモルフの2位相にある電圧を精細に調整することによって、選択した軌道に沿って各位置にて停止することができる。すなわち、圧電マイクロステップが可能となる。
【0064】
図4a〜4cには、法線負荷又は接線負荷がない要素先端の軌道を示されている。駆動ユニットが法線力によってレールに押し付けられると、ほとんどの場合、レールに対して法線力を生じさせるばねとはみなすことができない駆動ユニット等の部材に無視できない変形が生じる。駆動ユニットの受動部分を位置基準として使用することにより、法線負荷を有する軌道は、現実的な状況において要素がレールと接触する場合、z方向にある程度低減されると考えられる。高い接線負荷においても、無負荷状態軌道と負荷状態軌道とには差が存在する。一要素組での把持及び他要素組での解除がどのように行われるかにより、要素先端には把持シーケンス中にx方向のシフト/歪みが生じる。シフト方向は、接線負荷方向に依存する。現実的な状況において可能な軌道は、図4aの軌道49のようになる。
【0065】
xz座標にて得られる要素先端の速度ベクトルは、負荷状態と、当該2要素組の把持シーケンス及び解除シーケンスがどのように同期するかとに大きく依存する。負荷がある場合に所望の動きを生じさせるべく必要な力を考えて、性能を最適化するべく当該2要素組の時間依存軌道を調整するのが便宜である。外部の接線負荷がある場合又は加速/減速中に、把持中に要素先端により適用される力は法線成分及び接線成分の双方を有する。一定速度かつ外部負荷なしでは、法線力成分のみが存在する。本願発明の動作原理の特徴は、要素先端が、要素組の交替の瞬間において所定の非ゼロ接線速度を有することにある。
【0066】
ほとんどのモータにおいて考慮すべき他の局面は、停止ルーチン及び保持ルーチンである。モノリシックユニットをレールに押し付ける所定タイプのばね力によって、保持性能は駆動要素の位置からほぼ独立する。双方の要素をゼロ相対運動に近づけて位置を維持かつ高摩擦を達成することがかなり重要である。歪性能が高い電気機械材料のほとんどが、クリープ、経年変化等を受けるので、保持/停止位置での動きが無視できるよう動作を停止することが重要となる。かかる2つの位置は、電圧がオフにされた場合か、又は電圧が、当該2要素組が対称的に相殺し合うようにすなわち対称の対立バランスで適用される場合のいずれかである。好ましくは電圧は、位置Eにてオフにすべきである。これにより、バイモルフの両側が同等の電界を有し、駆動要素接触点の動きが直線に追従して位置Aまで下がる。電圧をオンのままとすることに問題がなければ、要素は高電圧対称位置Eに維持される。対立バランスにするべく、当該要素組は中心線A〜Eに関する対称位置に配置される必要がある。時間依存効果も含んで、当該組は異なる方向に動いてよい。例えば、一組が時計回りに、他組が反時計回りに動く。しかし、典型的なソリューションは、一要素組が例えば時計回りに軌道48に追従し、DとEとの間の位置で停止するというものである。次に他要素組は、反時計回りに位置Gまで動いた後、線G〜Cに沿って移動して、第1組の鏡像x位置に至る。その後、第2組はz軸に平行に動いて、対称対立位置に至る。したがって、当該2組のクリープ、経年変化等が効果的に相殺される。要素組を停止又は保持のための対立又は安定位置に接近させる制御された位置決めは、精細な位置決めに不可欠である。
【0067】
ステップ長さが調整できることは、精細な位置決めにとって非常に有利である。ステップ長さが調整されて駆動要素が、位置Eに非常に近い所望の位置に至り、C〜E又はE〜Gの間のいずれかの位置とはならない場合、駆動要素は、接線位置のシフトが限られたままで直接オフにすることができる。ステップ長さの調整は、連続的に行われるか又は所望の位置に至る前の最終ステップで行われる。
【0068】
極めて小さいステップ長さを達成するべく、本願発明の動きを、適切な位置センサを有する閉ループアプリケーションで使用することができる。ステップ長さが必要な分解能よりも非常に小さい場合、閉ループ制御プログラムで十分に制御された動作を実行することは容易である。同等サイズのステップ、及び遊びのない動作も重要である。マイクロステップを使用することにより、閉ループ位置決めアプリケーションは、単一ステップ内で当該必要な位置に確実に至ることができない。また、当該必要な位置に至るべくマイクロステップ手順を次のステップに進ませる必要がある。閉ループ制御とは、位置センサが実際の位置を与える手順、及び、調整ルーチンが実際の位置を当該必要な位置と比較して当該差異を最小化するべくさらにモータ動作を制御する手順のことである。
【0069】
上述のように、使用できる電子回路が、制御された精細なウォーキングを可能とするにはいくつかのソリューションが存在する。可能な一ソリューションは、所望の波形記述をデジタルで生成することである。その後、デジタル/アナログコンバータ及び増幅器を使用して、対応する電圧波を生成する。
【0070】
これに適する増幅器回路の一実施例を図7に示す。線形増幅器63は、キャパシタ64として示されるモータ位相を駆動する。線形増幅器63は一般に、それ自身が回路である。好ましくは増幅器64は、モータ等の部材における共振を防止するべく内蔵又は外部のローパスフィルタを有する。線形増幅器は、デジタル/アナログコンバータ62によって駆動される。デジタル/アナログコンバータ62は、集積回路61から電圧波のデジタル定義を得る。好ましくはICは、各アプリケーションに対してモータを容易に最適化するFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)のようなプログラマブル論理回路である。モータの電圧制御を選択することには、安定性及び単純性を含むいくつかの長所がある。重要な一の長所は、様々な不要動作モードを減衰させるべく当該回路が使用できることである。モータ位相が所定電圧において短絡接続されているとみなせるからである。増幅器のインピーダンスを適切に選択することにより、様々な不要動作モードを減衰させることができる。FPGAの並列アーキテクチャにより、各サイクルで又は頻繁に全ての位相を変更する必要がある複雑な最適化シーケンスを容易に実行することができる。今日利用できる経済的な回路は、サイクル当たりのマイクロステップ数が256を超えるサイクル分解能にあるサイクル周波数100kHzでモータを駆動することができる。これは、約25.6MHzのクロック周波数に相当する。電圧の画定がかなり良好となり、モータの分解能がこれによって制限されない。わずかに高いコストで今日使用できる500MHzのクロック周波数では、マイクロステップ分解能は20倍向上する。
【0071】
2の異なる精細なウォーキング機構、低減されたステップ長さ、及びICによるマイクロステップを使用して、高い位置決め分解能を達成することができる。究極分解能は、最大ステップ長さに関する相対電圧分解能によって決定される。例えば、50Vにおいて1μmの最大ステップ長さでは、12ビット電圧分解能が、Åレンジ(半ステップに対して12ビット)の究極位置決め分解能に対応する。マイクロステップモードにおいては、当該分解能はサイクル分解能で除されるステップ長さの2倍となる。一サイクル当たり2ステップが存在するからである。当該分解能を最適化するべく、低減されたステップ長さを選択して電圧分解能よりも低いサイクルを補償することが好ましい。また、究極分解能に近い低減ステップ長さによりステップを定義することができる。これは、クリープ等の不要な動作を最小限まで低減すべき場合に有利である。一般に、クリープ等はフルストロークのフラクションであるから、低減されたストロークによって不要な動作が減少する。
【0072】
図1に示すようなモノリシック駆動ユニットを有する作動モータを作る方法は多数存在する。2つの特定の場合が区別される。有意な負荷又は無視できる負荷である。これらの場合に対する機械的ソリューションを以下にさらに説明する。本願発明で使用する非動的機構は、動作中の機械安定性に対して特定の要求を課す。全ての駆動要素(接触点)は、所定位置においてレールと接触できる必要がある。図8において破線で示す最大角度誤差76がモータの制御動作可能な程度に小さくなるようにガイドされるレールを考えると、主な要求は、接線力T74の適用時に法線力N24が生じる詳細に関する。ばね78が使用されると、接線力が取り付けモジュール70を回転させる。典型的には、取り付けモジュール70にはモノリシックアクチュエータユニット10が固定される。取り付けモジュール70は鋼等の頑丈な材料で作られる。ばね78がモノリシックアクチュエータユニット10とレール22との接触平面74上又はその近くに取り付け点80を有する場合、取り付けモジュール70の回転は大きく抑制される。好ましくは、ばね78全体が接触平面74に配置されるべきである。接線方向の位置制御を維持するべく、ばね78はできる限り異方性にする必要がある。すなわち、法線方向において十分柔性に、かつ、接線方向においてはできる限り剛性にする必要がある。
【0073】
所望の法線力の達成と同時に接線方向の高剛性を達成する方法の一例は、接触平面内又はその近くで板ばね78を使用することである。ばね78の他の所望の特性は、当該モジュールをレールに対して自動整列できることである。好ましくは、取り付けモジュール70全体及びばね78を、機械加工されたハウジング内に取り付け、調整なしで動作させる。これは、図8に示すばね78によって達成できる。例えば接触平面74内の板ばね78の曲げ剛性が調整できるので、モジュール内駆動要素の複数の接触点がレール表面に平行に自己整列することができる。すなわち、ばねは自動整列特性を有する。図9には、ばね78を有する取り付けモジュール70が平面図で示される。レール22が破線で示される。取り付け点80は接触平面内又はその近くにあるが、レール22動作の法線方向及び接線方向の双方に対して直交配置される。また、好ましくは取り付けモジュール70に対して対称である。
【0074】
再び強調すべきことは、いくつかの異なるモノリシックユニットを使用できることである。これは、様々なアプリケーションに長所を与える。かかる直前の例では有利なことに、4駆動要素からなるユニットが使用できる。バイモルフ位相が図1に示すものに直交する配置となる。その後、駆動要素は長手方向ではなく短手方向が傾斜する。モジュールは、レールに対して平行ではなく直交に配向される。かかる場合モジュールは、図8に示すような傾斜誤差に対して敏感ではなくなる。レールに対する高さの差が全ての駆動要素に対して等しくなるからである。
【0075】
小さなストロークに対するレールを容易にガイドすることは、平行ばね配列すなわち二重カンチレバーによって構成される。これは図10に示される2の平行カンチレバー90のいずれかである。ユニット10は法線力24によってレール22に押し付けられて、法線方向のばねの伸びにより反力が生じる。当該カンチレバーを曲げるのに必要な力は非常に小さいので、ばねの長さに応じて小から中程度のストロークが得られる。法線方向の動作を低減させる他の例は、図8及び9に示すような対立配列を使用することである。または、対称なリーフばね92を図11に示すもののようにすることである。この実施例では、当該ばねが、スリット94を有するリーフからなる。リーフ92のスリット94により、当該リーフは、協働かつ対立する複数の二重カンチレバービームとして作用する。当該リーフの法線に対して垂直な少なくとも一の方向に動作する。リーフ92は、小さな丸93に示される点で、すなわち当該図面の実質的に前後において、支持構造に機械的に固定される。この二重カンチレバービーム配列により、大きな空間を必要とせずに大きなストロークが得られる。当該配列は、接線動作によって当該ビームの平行シフトを実質的に低減する。
【0076】
無視できる負荷に対しては、制御動作を得るべくレールの特定のガイドを行う必要がない。レールの接線位置は精細なウォーキングによって実質的に画定される。レールを当該直交方向の所定位置に維持するべく、単純な詳細部のみを使用する必要がある。接線力を高めることなく、法線力を与えることで十分である。図12に示す非常に簡単な一ソリューションは、線形軸受102を使用することである。線形軸受102は、法線力24によりレール22に押し付けられる摩擦係数が低い。軸受102の材料は、例えばPTFEポリマーである。法線力24は、例えばアクチュエータユニット10の取り付けモジュール70等の機械部品に取り付けられたつる巻ばね100のような簡単なばねによって生じる。アプリケーションによっては、例えば接線方向に高い剛性を有するリーフばねのような他のタイプのばねが必要になる。図13に示すある程度高価なソリューションは、高すぎる接線力を生じさせずに法線力を与えるボール104又は滑り軸受の使用である。軸受104が図示しないある所定の機械的手段によって取り付けモジュール70に固定される場合、力自体はつる巻ばね100によって調整できる。ゴム材料であってもよい。当該ゴムは、軸受に嵌められたOリングであってよい。レール22を接線方向に直交する所定位置に維持する簡単なソリューションは、軸受上における所定タイプの形状である。さらに、複数のボール軸受又はローラ軸受を使用してもよい。複数のボール軸受はレールに沿って置かれる。代替案は、自由ボール又はローラの使用である。当該自由ボール又はローラは被移動レールに対して他の固定形状レールによって保持され、当該自由ローラ/ボールが短手方向に動かないように又は長手方向に大きく動きすぎないようにされる。
【0077】
理解すべきことは、小型規模では動作範囲がマイクロメートルのオーダーであることと、レール表面を極めて平坦にすべきことである。また駆動要素の高さは、非常に小さな公差内で調整される必要がある。レールの平坦度は従来のラップ仕上げ及び研摩の技術によってなし得るが、モノリシックユニットの研摩は、選択された材料に応じた特定の手順でなす必要がある。圧電セラミック材料は最終研摩の前に分極させて、研摩状態での当該材料の形状変化を防ぐ必要がある。これは、通常の技術ではない。モノリシックユニットはその後、通常は好ましくない電気担体が付着する研摩をする必要があるからである。軟性圧電材料は、必ずしも使用前に分極させる必要はない。短い準備段階で所望の分極が与えられるからである。簡単なモータにおいて、駆動要素の制御されない高さの短所は、安価な研摩シーケンスによって補償することができる。この場合、好ましい一ソリューションは、使用前に当該モータを分極させないことである。
【0078】
「把持」及び「解除」での時間依存速度ベクトルと、2駆動要素組間の重なり時間とを正確に選択することは、最適化された性能にとって重要である。さらに、かかる局面は他で説明されている。非動的モータのエネルギー消費を考えると、法線動作はほぼ常に損失につながる。当該材料における当該損失は、最も理想の駆動電子回路をもってしても無視できないからである。したがって、レール及び接触点双方の表面平坦度の制御は、効率性のために必要である。レールにおける材料特性の選択は、最適性能にとって重要である。高いヤング率は、接触点における弾性変形の低減と、高い法線力での高い平坦度の維持との双方にとって有利である。アプリケーションに応じては、レールの摩耗が、摩耗エッジが生じる場合に特に重大となる。したがって、駆動要素の接触点よりも高い耐摩耗性を有するレールを使用することが有利である。レールの摩耗低減及び駆動要素の接触点の摩耗低減と同時に高い法線力の必要性を低減する他の方法が存在する。2表面間の分子力は、約10ナノメートル未満という非常に間隔が小さい場合に重要となる。この効果はしばしば「ゲージブロック効果」と称する。レールと駆動要素の接触表面との間で、潤滑剤のような適切な気体又は液体を使用することにより、当該表面をなんら摩耗させることなく、中程度又はゼロの法線力において高い摩擦力を達成することができる。これは、極めて平坦な表面を有する非動的モータにおいて有用である。
【0079】
特定アプリケーションに必要な接線力に達することを可能にするべく、レールと駆動要素の接触点との間の法線力及び摩擦特性を適切に設計する必要がある。レール及び駆動要素に適した最も剛性の材料にとっては、法線力を接線力よりもかなり大きくなるように選択する必要がある。摩擦係数が1未満だからである。しかし、ゴムのような所定材料はかなり高い摩擦係数を有するので、所定のアプリケーションでは有利である。剛性がかなり低いゴムの厚さは、駆動要素が自由に動けるように十分小さくする必要がある。多くの長所を有する他の可能性は、レール及び駆動要素の双方が歯を使用することである。それにより、法線力が実質的に低減され、摩耗も低減される。歯を使用することの主な長所は、開ループ位置決めが高い精度で正確に行えることである。歯は、今日の標準的なマイクロ機械加工技術で製造できる。
【0080】
高性能の非動的モータを設計する際に、考慮すべき局面がいくつかある。重要な一局面は材料における損失である。これは、材料の温度上昇につながる。例えば圧電効果は、強誘電性材料のキュリー温度よりも高い温度で消滅するので、当該温度をこの限界よりも低く維持しなければならない。温度上昇のほとんどは、材料の熱膨張を生じさせ、様々な要素の拡散を増大させ、任意のポリマー成分に悪影響を及ぼす。したがって、モノリシックユニットにおける温度を制御することが望まれる。これを行う一の方法は、受動支持体に電極層を追加することである。当該金属がかなり高い熱伝導率を有するからである。通常これらの層は、接地電極に接続される。ここに示されるような非動的モータにおける主な冷却経路は、レールまでの駆動要素経由、及びユニットまでの電気接続部経由である。高い熱伝導率を有する一体型接触材料を使用すると、レールを通る冷却経路が改善される。
【0081】
製造シーケンスの重要なステップは、モノリシックユニットを電気的に接続することである。使用できる方法は複数あり、それぞれに長所及び短所がある。国際特許出願PCT/SE00/00063及びPCT/SE00/00064に提案されているように、ユニットは機械技術又は接合技術のいずれかによってフレキシブルプリント回路基板に取り付けることができる。国際特許出願PCT/SE00/00064に開示されているように、フレキシブル担体のばね力によって当該接触がなされる。これにより、例えば分極後の解体が可能となる。後の段階で、永久はんだ接合がなされる。フレキシブル担体頂部においてスクリーン印刷を行うこと又は構成要素(この場合モノリシックユニット)を配置する前にはんだを付与することという一般的な表面取り付け技術は、大規模製造において非常に有利である。モノリシックユニットは駆動要素とともに、フレキシブル担体に対して法線方向又は平行方向に置かれる。法線方向配置の一の長所は、モノリシックユニットの両面の電極すなわち位相電極及び接地電極の双方を同時に容易に接触できることである。短所は、ユニット全体が法線方向の機械支持としてポリマーを有することである。モノリシックユニットがフレキシブル担体表面に平行に配置されると、裏側に剛性支持が得られる。この場合、接地接触を位相と同じ側で行う必要があるか、又は裏側との所定のスマートな接触が必要となる。図14を考えると、図1に示すものと同様のユニット10の裏側が示される。追加電極層15が、受動支持体部分12に導入される。かかる層を使用して、ユニット10の(図示しない)「表」側から接地電極17a〜dを接触させることができる。他のソリューションは、フレキシブル担体を分割して当該担体の一部を他側に到達させることである。フレキシブル担体に対する最終的な接触に関して考慮すべき詳細がいくつか存在する。所定のアプリケーションにおいては、接地電極17a〜dが位相電極14a〜h(図1)と同様に分割されるのが好ましい。これはまた、スクリーン印刷プロセスに必要なマスクの数を低減させることができる。
【0082】
接地電極もまた同様に完全に分離される。この例では、最終的に16ワイヤのモータとなる。通常、接地電極が接続されるが、主なワイヤの代替案が2つ存在する。全ての位相のいずれも分離されたままで9ワイヤのモータを与えるか、又は同期動作する組に属する位相が接続されて5ワイヤのモータを与えるかである。5ワイヤのモータは4位相モータとみなすことができる。要素aの位相の一つを考えると、この位相は要素c又はdの他の位相に接続される。第1代替案により、同期動作する駆動要素間の距離は同一となる。また、第2代替案により、ユニットの中心に関して対称となる。中心対称配列、すなわち要素aの左の位相が要素dの左の位相に接続されること又は要素aの右の位相が要素dの右の位相に接続されること等の配列が好ましい。8相モータ(9ワイヤ)では、バイアス電圧を対応する位相に加えることにより、異なる要素接触点の、製造誤差等に起因する高さ位置の小さい調整ができる。例えば、駆動要素aが所望の値よりも0.1μm低いことがわかった場合、当該伸びに相当するバイアス電圧を当該要素の位相a及びbに加えて補正することができる。
【0083】
添付の請求項により定義される本願発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を本願発明に加えることが可能であることが当業者により明らかとなることが理解されよう。
【0084】
(添付1)
電気機械材料に基づく複数の異なるモータが提案され、その一部は商品化されている。様々な論文及び特許文献に開示されている様々な駆動機構を区別するべく、当該機構は物理的原理に応じて分けることができる。特に、小型モータの重要性に関して分けることができる。さらに細かく区別することもできる。異なる機構を以下に簡単に説明する。
【0085】
駆動機構の第1の区別は、動的機構と非動的機構との区別である。所定モータ部材の慣性及び/又は時間依存物理効果を使用して、動的機構に基づく様々な電気機械モータが実現できる。典型的に、当該モータは所定周波数範囲で動作できるのみであって、低い内部速度又は周波数では動作しない。よく聞かれる超音波及び進行波モータは動的機構のグループに属する。後者は機械共振に基づくモータの具体例である。
【0086】
開示されたモータ構成の主要部は、圧電材料自体又は圧電材料と機械的に結合した構造のいずれかの機械共振に基づく。被駆動部材は、共振する表面又は要素との断続的な周期性接触によって動かされる。進行波モータにおいては、通常はロータである被駆動部材と共振要素のいくつかとが常に接触する。この機構における主な関心は、省エネルギーと動作拡大の可能性に関連している。共振の能動的な構造は、ほとんどエネルギーを消費せずに動くことができる。これは理論的に、高効率モータに使用できる。いかに容易に構造を共振させるかに応じて、小さな又は大きな動作増幅を得ることができる。動作拡大は、寸法が低減して機械部品間のクリアランスが小さい場合に重要となる。実際面での短所は、摩耗が比較的高く、当該共振部品の大きな動作範囲を故障なしに達成することが困難なことにある。
【0087】
慣性効果を使用するモータもある。被駆動部材は、アクチュエータ要素との断続的な摩擦接触によって周期的に動かされる。被駆動部材又は当該モータの他の部品の慣性は、アクチュエータ要素が、通常は高速かつ2次元の動作によって他の接触位置まで自由に動くことができるように選択される。一のサイクルは、動的接触の生成、被駆動部材の動き、動的解除、及び開始位置への戻りからなる。動的性質に起因して、サイクル周波数を所定範囲内に維持する必要がある。接触時間がサイクル時間に関して短い場合、慣性機構は衝撃機構となる。当該機構の重要な長所の一つは、短い寿命及び中程度の力のアプリケーションでは、当該表面を接触させる必要性がそれほど高くないことにある。当該機構は、この動的動作ゆえに、位置決め及び分解能に関して非動的機構よりも劣る。
【0088】
スティック・スリップ機構は、特定の慣性機構である。アクチュエータ要素と被駆動部材との間のゼロ相対速度での摩擦係数の増加を利用する。この場合、アクチュエータ要素の2次元動作は不要である。摩擦係数は(通常)ゼロ相対速度で高くなるので、被駆動部材の所望の動作は、アクチュエータがスリップ力よりも小さい力にある場合に得られる。アクチュエータは、当初の高加速によって高速度で後ろに動く。アクチュエータの加速度は、アクチュエータと被駆動部材との間のスリップをカバーする程度に高くなるよう選択される。したがって、被駆動部材の慣性が利用される。主な長所は構成が単純なことである。主な短所は、部材の摩耗及び機構の不制御性である。
【0089】
特に、圧電モータに対して提案又は開示された初期の構造は、衝撃機構に基づいていた。一般に、機械的モーメントの一部は、振動するアクチュエータから移動部分に移行する。長所は構成が簡単なことであるが、動作方向の変化及び摩耗の問題を含む短所がいくつか存在する。
【0090】
非動的機構は、その動作が能動要素の任意の低い周波数又は速度で行われることに特徴がある。被駆動部材はアクチュエータ要素によって動かされる。アクチュエータ要素は、把持、移動、解除、及び戻りのようなシーケンスからなる動作サイクルを行う。一要素(組)が解除しているとき、他(組の)要素が被駆動部材を把持する。これは、交互の把持・解除機能を与えるように構成された少なくとも2つの把持要素(又は要素のグループ)が必要になることを意味する。非動的機構の上限は典型的に、アクチュエータ要素の機械的共振が要素の動きに実質的影響を与えるサイクル周波数である。すなわち準静的制限である。典型的には、非動的機構は、制御された位置決めが低〜中高速度で必要となる場合に有利である。さらに、この機構により、様々なアプリケーションの最適化が容易となり、大きな力を送ることができる。主な短所は、所望の機構を達成するための当該構造に対する要求である。したがって、性能を失わずに構成を簡略化する様々なソリューションは、大きな商業的興味を引いている。以下に開示する非動的動作のための機構は、シャクトリムシ機構及び繊毛駆動要素を使用する機構である。
【0091】
「シャクトリムシ」機構において、被駆動部材はクランプ・拡張・クランプという機械的ステップによって動かされる。位相がずれて動く少なくとも2組のクランプ要素が必要となる。クランプ要素は、被駆動部材を動かす中心拡張管に接続されている。各動きすなわち拡張の間、被駆動部材が双方の組の要素によってクランプされて静止したままとなる。
【0092】
繊毛駆動要素を使用することによって、一次元的にのみ動くことができる駆動要素による機械的ステップが行われる。実質的には、位相がずれて動く2組の要素が必要となる。一組は、法線方向と接線方向との間の一方向に動かすことができる。他組も法線方向と接線方向との間の一方向に動かすことができるが、典型的には、第1組と法線軸に関して鏡像になる。第1組が上昇すると、被駆動部材は法線方向及び接線方向に動く。第2組が上昇して被駆動部材と接触すると、その後第1組が下降する。第2組が下降すると、被駆動部材は第1組のときと同じ方向に動く。方向の変更は、2組間の位相の変更により達成される。
【0093】
また、実質的に非動的な機構によって被移動体と接触する動きを生じさせることができる。しかし、当該機構は、動的特性に関する所定部品を含む。かかる機構は、制御されたウォーキングに使用することができる。また、被駆動部材と接触する組が(準)静的に動作し、かつ、当該被駆動部材と接触しない組が動的に動作する2組の要素に基づく。典型的には、被駆動部材と接触しない要素は、当該要素及び/又は他の部材の慣性を使用して、解除シーケンスから把持シーケンスに高速で戻る。したがって、被駆動部材は任意の低い速度で動くことができる。しかし、戻りシーケンスの周波数又は速度は、要素が自由に動くことができる程度に十分高くする必要がある。かかる機構を準静的と称する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォーキング機構によって駆動される複数の駆動要素(14a〜d)と、主動作方向(26)に動く本体(22)とを有し、前記駆動要素の駆動部(28a〜d)が前記本体(22)の表面に沿って及び垂直に独立して動くことができる電気機械アクチュエータ配列(10)を駆動する方法であって、
第1駆動要素組の駆動要素を、前記本体(22)を把持し、前記本体(22)を移動し、前記本体(22)を解除し、及び前記第1組の前記駆動要素を元の位置に戻すという4サイクルシーケンスで駆動するステップと、
第2駆動要素組の駆動要素を、前記本体(22)を把持し、前記本体(22)を移動し、前記本体(22)を解除し、及び前記第1組の前記駆動要素を元の位置に戻すという4サイクルシーケンスで駆動するステップと
を含み、
前記第2組の前記駆動は前記第1組の前記駆動に対して位相シフトされ、
前記第2組は前記第1組に対して排他的であり、
少なくとも一の組が各瞬間で前記本体(22)の表面と接触し、
前記第1組の前記把持シーケンスが無視できない移行期間中に前記第2組の前記解除シーケンスと重なり、前記第1駆動要素組及び前記第2駆動要素組双方が同時に前記本体(22)と接触し、
前記第2組の前記把持シーケンスが無視できない移行期間中に前記第1組の前記解除シーケンスと重なり、前記第1駆動要素組及び前記第2駆動要素組双方が同時に前記本体(22)と接触し、
前記把持シーケンス中の前記第1駆動要素組及び前記第2駆動要素組の駆動は、前記駆動要素の前記駆動部を、前記主動作方向(26)に有意な成分を有する速度で駆動するステップを含む方法。
【請求項2】
前記第1組の前記駆動要素の前記主動作方向(26)における速度の成分は、前記移行期間中に、前記第2組の前記駆動要素の前記主動作方向(26)における速度の成分と実質的に同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記駆動するステップは、速度スケジュールに応じた前記把持、移動、及び解除シーケンス中に、前記駆動要素の前記駆動部の前記主動作方向(26)における速度の成分を制御するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記速度スケジュールは、前記主動作方向(26)における一定速度区間を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記速度スケジュールは、移動される前記本体(22)の表面に実質的に垂直な方向における異なる2要素組の相殺動作を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記速度スケジュールは、加速区間及び減速区間を含む、請求項3、4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記駆動ステップは、前記アクチュエータ要素(14a〜d)の前記駆動部(28a〜d)を、前記移動シーケンス中に、実質的に前記主動作方向(26)に沿って移動するステップを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記サイクルの各ステップがマイクロステップに分割され、前記駆動するステップは、前記駆動の動作の分解能を増大させるべく前記マイクロステップのそれぞれにおいて中断可能である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記駆動ステップが中断された場合に、全てのアクチュエータ要素の前記駆動部(28a〜d)を動かして前記本体(22)の表面に接触させるステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1組及び第2組のサイクルステップ長さを、可能な最大ステップ長さよりも低減する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記駆動要素組の2位相の電圧が実質的に同一である場合に、前記駆動シーケンスを中断するステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記本体(22)を把持し、前記本体(22)を移動し、前記本体(22)を解除し、元の位置に戻る前記4サイクルシーケンスにおいて、追加駆動要素組の駆動要素を駆動するステップをさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
電気機械アクチュエータ配列(10)であって、
ウォーキング機構によって駆動される複数の駆動要素(14a〜d)と、
主動作方向(26)に動く本体(22)と
第1駆動要素組の駆動要素を、前記本体(22)を把持し、前記本体(22)を移動し、前記本体(22)を解除し、前記第1組の前記駆動要素を元の位置に戻すという4サイクルシーケンスで駆動するための、及び、第2駆動要素組の駆動要素を、前記本体(22)を把持し、前記本体(22)を移動し、前記本体(22)を解除し、前記第1組の前記駆動要素を元の位置に戻すという4サイクルシーケンスで駆動するための駆動手段と
を含み、
前記駆動要素(14a〜d)の駆動部(28a〜d)が前記本体(22)の表面に沿って及び垂直に独立して動くことができ、
前記第2組の前記駆動が前記第1組の前記駆動に対して位相シフトされ、
前記第2組は前記第1組に対して排他的であり、
少なくとも一の組が各瞬間で前記本体(22)の表面と接触し、
前記第1組の前記把持シーケンスが無視できない移行期間中に前記第2組の前記解除シーケンスと重なり、前記第1駆動要素組及び第2駆動要素組双方が同時に前記本体(22)と接触し、
前記第2組の前記把持シーケンスが無視できない移行期間中に前記第1組の前記解除シーケンスと重なり、前記第1駆動要素組及び第2駆動要素組双方が同時に前記本体(22)と接触し、
前記駆動手段は、前記把持シーケンス中に前記第1組及び前記第2組の前記駆動部(28a〜d)を、前記主動作方向(26)に有意な成分を有する速度で駆動する手段を含む電気機械アクチュエータ配列。
【請求項14】
前記駆動要素(28a〜d)はモノリシック体の能動部であり、
前記能動部は前記モノリシック体の受動部と接続し、
前記受動部は追加電極層(15)をさらに含む、請求項13に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項15】
前記追加電極層(15)は、熱伝導率を向上させるべく接地される、請求項14に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項16】
前記駆動部(28a〜d)は、高熱伝導率を有する材料で作られる、請求項13、14又は15に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項17】
前記組は、前記電気機械アクチュエータ配列(10)の中心に関して実質的に対称である、請求項13から16のいずれか1項に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項18】
前記駆動要素(14a〜d)は、前記駆動部(28a〜d)と前記本体(22)との実質的な接触平面(74)に取り付けられたばね手段(78)によって、前記本体(20)に対して保持される、請求項13から17のいずれか1項に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項19】
前記本体(22)に法線力(24)を適用するべく、前記本体(22)と接触する線形軸受(102)と、前記線形軸受(102)と前記駆動要素(14a〜d)との間に接続されたばね手段(100)とを含む、請求項13から18のいずれか1項に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項20】
前記本体(22)に法線力(24)を適用するべく、前記本体(22)と接触するボール又はローラ(104)と、
前記ボール又はローラ(104)と前記駆動要素(14a〜d)との間に接続されたばね手段(100)と
を含む、請求項13から18のいずれか1項に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項21】
前記駆動要素(14a〜d)に機械的に接続する2のカンチレバー(90、92)を含み、
前記本体(22)は、前記カンチレバー(90)の間に取り付けられ、
前記カンチレバー(90)は、前記主動作方向(26)において移動可能である、請求項13〜20のいずれか1項に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項22】
スリット(94)を有するリーフ(92)からなるばねを含み、
前記リーフ(92)は、前記リーフの法線に垂直な少なくとも一の方向において相殺的振る舞いをする複数の平行カンチレバーばねとして動作する、請求項21に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項23】
前記駆動要素(14a〜d)の駆動部(28a〜d)及び移動される前記本体(22)双方が歯を含む、請求項13〜22のいずれか1項に記載の電気機械アクチュエータ配列。
【請求項24】
前記駆動要素(14a〜d)の駆動部(28a〜d)と移動される前記本体(22)との間に非固体材料を含む、請求項13〜23のいずれか1項に記載の電気機械アクチュエータ配列。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−188739(P2011−188739A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−104542(P2011−104542)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【分割の表示】特願2002−520393(P2002−520393)の分割
【原出願日】平成13年7月25日(2001.7.25)
【出願人】(503222101)
【Fターム(参考)】