説明

ウラシル誘導体並びにそれを含有する抗腫瘍効果増強剤及び抗腫瘍剤

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明は、ヒト由来のチミジンホスホリラーゼに対して優れた阻害作用を有する新規なウラシル誘導体、並びにそれを含有する抗腫瘍効果増強剤及び抗腫瘍剤に関する。
背景技術 従来より、5−フルオロ−2′−デオキシウリジン、5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジンなどの抗腫瘍活性を示す非天然ピリミジンヌクレオシド類はイン ビトロ(in vitro)で強い活性を有することが知られている〔キャサー リサーチ(Cancer Research),18,335(1958);22,815(1962);28,2529(1968);プロシーディングス オブ ザ ソサイアティ ホー イクスペリメントル バイオロジー アンド メディシン(Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine),97,470(1958)〕。
しかしながら、これらの化合物は生体内では肝臓、小腸等に存在するピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼによって速やかに分解され不活化されることが知られており〔キャンサー リサーチ(Cancer Research),32,247(1972);癌と化学療法(Japanese Journal of Cancer and Chemotherapy),,262(1981);,1548(1981)〕、臨床での抗腫瘍効果は満足のいくものではなかった〔キャンサー ケモセラピー リポーツ パート 1(Cancer Chemotherapy Reports Part 1),55,205(1971);フィジシャンズ デスク レフレンス(Physicians′Desk Reference),32版,1387(1978)〕。
そこで、当該不活化を抑えるべく、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの阻害剤の開発研究が行われ、いくつかの強い阻害剤の例が報告されている。ところで、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにはウリジンホスホリラーゼ及びチミジンホスホリラーゼの2種類が存在しており、ウリジンホスホリラーゼはマウス、ラット等のげっ歯類の主要酵素であるのに対し、チミジンホスホリラーゼはヒト等での主要酵素であることが報告されている〔癌と化学療法(Japanese Journal of Cancer and Chemotherapy),,262(1981)〕。従ってヒトでの抗腫瘍効果を増強するためにはウリジンホスホリラーゼの阻害剤でなく、チミジンホスホリラーゼの阻害剤が必要となる。
しかしながら、これまでに報告された阻害剤の大部分はウリジンホスホリラーゼに対して選択的に阻害活性を示し、チミジンホスホリラーゼに対しては殆ど活性を示さないものであった。わずかに、チミジンホスホリラーゼの阻害剤として、6−アミノ−5−ブロモ−ウラシル及び6−アミノチミン〔バイオケミカル ファーマコロジー(Biochemical Pharmacology),29,1059(1980)〕、6−アミノ−5−クロロウラシル及び3−シアノ−2,6−ジヒドロキシピリジン〔特開昭63−250324号公報〕、アシクロチミジン〔特開平5−213761号公報〕等がこれまでに報告されているが、これらの阻害活性は充分なものではなかった。
また、最近になって、ヒトチミジンホスホリラーゼはヒト内因性血管新生物質であるPD−ECGF(Platelet Derived Endothelial Cell Growth Factor,血小板由来内皮細胞増殖因子)と同一であることが発見された〔ネイチャー(Nature),356,668(1992)〕。従って、チミジンホスホリラーゼ阻害剤は、固型腫瘍、リウマチ、糖尿病性網膜症等の病態の悪性化と密に関係のある血管新生を阻害できることになり、これら疾病の治療薬として有用なものである。
更に、5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジンは抗ウィルス活性も有し、ヘルペス角膜炎に対して点眼薬として用いられており〔サイエンス(Science),145(3632),585(1964);アメリカン ジャーナル オブ オフサルモロジー(American Journal of Ophthalmology),73,932(1972)〕、ホスホリラーゼの阻害剤は抗ウィルス活性の効果増強剤としても有用性が期待される。
従って、本発明の目的は、ヒト由来のチミジンホスホリラーゼに対して優れた阻害作用を有し、抗腫瘍効果増強剤及び抗腫瘍剤として有用な新規な化合物を提供することにある。
斯かる実情に鑑み本発明者らは鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体が、ヒト由来のチミジンホスホリラーゼに対して優れた阻害作用を有していることを見出し、本発明を完成した。
発明の開示 本発明は、次の一般式(1′)


〔式中、R1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基又は低級アルキル基を示し;R2は低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基;低級アルキルアミジノ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基;基−CH2N(Ra)Rb(ここでRa及びRbは同一又は異なって水素原子若しくは低級アルキル基を示すか、若しくはRa及びRbがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン環を形成してもよい);基−NH−(CH2−Z(ここでZは窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基若しくはシアノ基を示し、mは0〜3の整数を示す);基−NRc(CH2−OH(ここでRcは水素原子若しくは低級アルキル基を示し、nは1〜4の自然数を示す);基−X−Y(ここでXは、S若しくはNHを示し、Yは低級アルキル基で置換されていてもよい2−イミダゾリン−2−イル、2−イミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−ピリミジル若しくは2−ベンズイミダゾリル基を示す);又は窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいウレイド若しくはチオウレイド基を示す。但し、R1が臭素原子で、R2がアミノ基である場合を除く。〕
で表わされるウラシル誘導体又はその塩に係るものである。
一般式(1′)において、R1が臭素原子で、R2がアミノ基である5−ブロモ−6−アミノメチルウラシルについては、その塩酸塩の合成法が報告されているが〔アクタ ポロニアエ ファルマスーティカ(Acta Poloniae Pharmaceutica)、27(4)、329(1970)〕、ヒト由来のチミジンホスホリラーゼに対する阻害作用については知られていなかった。
従って、本発明は、次の一般式(1)


〔式中、R1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基又は低級アルキル基を示し;R2は低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基;低級アルキルアミジノ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基;基−CH2N(Ra)Rb(ここでRa及びRbは同一又は異なって水素原子若しくは低級アルキル基を示すか、若しくはRa及びRbがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン環を形成してもよい);基−NH−(CH2−Z(ここでZは窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基若しくはシアノ基を示し、mは0〜3の整数を示す);基−NRc(CH2−OH(ここでRcは水素原子若しくは低級アルキル基を示し、nは1〜4の自然数を示す);基−X−Y(ここでXは、S若しくはNHを示し、Yは低級アルキル基で置換されていてもよい2−イミダゾリン−2−イル、2−イミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−ピリミジル若しくは2−ベンズイミダゾリル基を示す);又は窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいウレイド若しくはチオウレイド基を示す。〕
で表わされるウラシル誘導体又はその塩を有効成分とする医薬に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩を有効成分とする、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤の抗腫瘍効果増強剤に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩、及び2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩、及び医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類、及び医薬的に許容される担体を含有する抗腫瘍剤に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩の医薬としての使用に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩の、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤の抗腫瘍効果増強剤としての使用に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩、及び2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤の製造のための当該一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩の使用に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩の有効量を患者に投与することを特徴とする2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤の抗腫瘍効果を増強する方法に係るものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩、及び2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類の有効量を患者に投与することを特徴とする癌の治療方法に係るものである。
発明を実施するための最良の形態 上記一般式(1)及び(1′)中、R1及びR2で示される低級アルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられるが、就中メチル基が特に好ましい。
R2で示される窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基としては、例えば1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−ピロリン−1−イル、3−ピロリン−1−イル、1−ピロリル、1−ピラゾリジニル、2−ピラゾリン−1−イル、3−ピラゾリン−1−イル、4−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリン−1−イル、3−イミダゾリン−1−イル、4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、1−ピペラジル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル又は1−ペルヒドロアゾシニル基等が挙げられる。また、この複素環基の環上には、1個又は2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基及びニトロ基が挙げられる。このような置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2,5−ジメチルピロリジン−1−イル、2−イミノピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシピロリジン−1−イル、2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−イル、3−メタンスルホニルオキシピロリジン−1−イル、3−アミノピロリジン−1−イル、2−ピロリン−1−イル、3−ピロリン−1−イル、2−イミノ−3−ピロリン−1−イル、1−ピロリル、1−ピラゾリジニル、2−メチルピラゾリジン−1−イル、4−イミノピラゾリジン−1−イル、2−ピラゾリン−1−イル、3−ピラゾリン−1−イル、2−メチル−3−ピラゾリン−1−イル、5−イミノ−3−ピラゾリン−1−イル、4−ピラゾリン−1−イル、2−メチル−4−ピラゾリン−1−イル、3−イミノ−4−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、1−イミダゾリジニル、3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、3−イミダゾリン−1−イル、4−イミダゾリン−1−イル、3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、2−メチルイミダゾール−1−イル、2−ニトロイミダゾール−1−イル、4−ニトロイミダゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、1−ピペラジル、4−メチルピペラジン−1−イル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル、1−ペルヒドロアゾシニル基等が挙げられ、好ましくは1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−イミノピロリジン−1−イル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル基が挙げられる。
R2の窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基は、アミジノ基の窒素原子上の3個の水素原子のうち1〜3個が上記低級アルキル基で置換されていてもよいものであり、特に、アミジノチオ基、N1−メチルアミジノチオ基及びN1,N2−ジメチルアミジノチオ基が好ましい。
窒素原子上の水素原子が低級アルキル基又はシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基としては、グアニジノ基の4個の水素原子のうちの1〜4個が上記低級アルキル基又はシアノ基で置換されていてもよいもので、特に1−グアニジノ基、1−メチルグアニジノ基、3−メチルグアニジノ基、2,3−ジメチルグアニジノ基及び2−シアノ−3−メチルグアニジノ基が好ましい。
低級アルキルアミジノ基はアミジノ基に上記低級アルキル基が結合しているものであり、このうちアセトアミジノ基が好ましい。
窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基としては、アミノ基の2個の水素原子のうち1個又は2個が上記低級アルキル基で置換されていてもよいもので、就中アミノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−プロピルアミノ基及びN−イソプロピルアミノ基が好ましい。
−CH2N(Ra)Rbで示される基としては、N−メチルアミノメチル基、N,N−ジメチルアミノメチル基及び1−ピロリジニルメチル基が好ましい。
NH−(CH2−Zで示される基としては、N,N−ジメチルヒドラジノ基、N−(2−アミノエチル)アミノ基、N−(2−(N,N−ジメチル)アミノエチル)アミノ基、N−(3−アミノプロピル)アミノ基及びN−(2−シアノエチル)アミノ基が好ましい。
NRc(CH2−OHで示される基としては、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ基、N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ基及びN−(4−ヒドロキシブチル)アミノ基が好ましい。
−X−Y−で示される基としては、2−イミダゾリン−2−チオ基、2−イミダゾリン−2−アミノ基、イミダゾール−2−チオ基、1−メチルイミダゾール−2−チオ基、1,2,4−トリアゾール−3−チオ基、ピリミジン−2−チオ基及びベンズイミダゾール−2−チオ基が好ましい。
窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいウレイド基又はチオウレイド基としては、ウレイド基及び3−メチルチオウレイド基が好ましい。
一般式(1)中、R2で示される基としては、低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基又は低級アルキルアミジノ基が好ましい。
また、R2で示される基のうち、好ましいものの具体例としては、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−イミノピロリジン−1−イル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、アミジノチオ、N1−メチルアミジノチオ、N1,N2−ジメチルアミジノチオ、1−グアニジノ、1−メチルグアニジノ、3−メチルグアニジノ、2,3−ジメチルグアニジノ又はアセトアミジノ基が挙げられる。
一般式(1)で表わされるウラシル誘導体としては、R1が塩素原子、臭素原子又はシアノ基であり、R2が1−ピロリジニル基、1−アゼチジニル基、2−イミノピロリジン−1−イル基、2−イミノイミダゾリジン−1−イル基、1−イミダゾリル基、アミジノチオ基、1−グアニジノ基であるものが好ましい。
ウラシル誘導体(1)の塩は、特に限定されないが、薬学的に許容される酸又は塩基性化合物を作用させた酸付加塩及び/又は塩基塩が好ましい。この酸付加塩としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸との塩;シュウ酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸との塩が例示できるが、塩酸又はp−トルエンスルホン酸との塩が好ましい。塩基塩としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属との塩;アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジン、シクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等のアミン類との塩が例示できる。
ウラシル誘導体(1)又はその塩の特に好ましい具体例としては次のものが挙げられる。
5−クロロ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、 5−ブロモ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、 5−クロロ−6−(1−アゼチジニルメチル)ウラシル、 5−クロロ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、 5−ブロモ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、 5−シアノ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル、 5−クロロ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、 5−ブロモ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、 5−クロロ−6−(1−イミダゾリルメチル)ウラシル塩酸塩、 2−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩、 2−(5−シアノウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩 5−クロロ−6−(1−グアニジノ)メチルウラシル塩酸塩。
本発明のウラシル誘導体(1)は、種々の化合物を原料として、例えば下記A〜M法により製造することができる。


〔式中、R1は前記に同じ。lは1又は2の数を示し、R3は低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;基−NH−(CH2−Z(ここでZはアミノ基の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基若しくはシアノ基を示し、mは0〜3の整数を示す);又は基−NRc(CH2−OH(ここでRcは水素原子若しくは低級アルキル基を示し、nは1〜4の自然数を示す)を示す。〕
(工程1)
上記一般式(1−a)で表わされる化合物は、後述の製造方法(N法)及び(O法)によって得られる一般式(2)で表わされる化合物と、一般式(3)で表わされる文献記載〔ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),32,738(1967)、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),15,415(1972)〕又は市販の公知化合物とを、適当な溶媒中、塩基性化合物の存在下又は非存在下に反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒として反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が挙げられる。
塩基性化合物としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデク−7−エン等の第3級アミン類等の有機塩基性化合物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属等の無機塩基性化合物が例示できる。
原料の割合は、一般式(2)の化合物1モルに対して一般式(3)の化合物を1〜10モル当量、好ましくは1〜5モル当量、塩基性化合物を1〜5モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間は0.1〜48時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。
上記一般式(1−a)で表わされる化合物において、R3が水酸基を有する複素環である場合、当該水酸基は更に通常の方法によりメタンスルホニルオキシ基へ変換することができる。すなわち、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ピリジン等を、塩基性化合物としてトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等を、メシル化剤として塩化メタンスルホニルを用いて、一般式(1−a)の化合物1モルに対してメシル化剤を1〜2モル当量、塩基性化合物を1〜5モル当量使用し、0℃〜溶媒の沸点程度の反応温度で、0.5〜48時間反応させることによりメタンスルホニルオキシ体を得ることができる。


〔式中、R1は前記に同じ。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程2)
上記一般式(1−a′)で表わされる化合物は、A法により一般式(2−a)の化合物とエチレンジアミン(4)とを反応させて得られる一般式(5)で表わされる化合物と、臭化シアンとを、適当な溶媒中で反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応においては、一般式(5)の化合物1モルに対して臭化シアンを1〜2モル当量使用して行うのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。


〔式中、R1は前記に同じ。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程3)
上記一般式(1−b′)で表わされる化合物は、一般式(5)で表わされる化合物とオルトぎ酸トリメチルを、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸、ぎ酸、水等が例示できる。
この反応においては、一般式(5)の化合物1モルに対してオルトぎ酸トリメチルを1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは80〜130℃である。反応時間は0.5〜12時間であり、好ましくは1〜4時間である。


〔式中、R1は前記と同じ。AはCH又はNを示す。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程4)
上記一般式(1−b″)で表わされる化合物は、一般式(2−a)で表わされる化合物と一般式(6)で表わされる化合物を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応においては、一般式(2−a)の化合物1モルに対して一般式(6)の化合物を1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは50〜120℃である。反応時間は0.5〜72時間であり、好ましくは1〜48時間である。


〔式中、R1は前記に同じ。R4及びR5は同一又は異なって、水素原子又は低級アルキル基を示す。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程5)
上記一般式(1−c)で表わされる化合物は、一般式(2−a)で表わされる化合物と一般式(7)で表わされる市販化合物を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応には、一般式(2−a)の化合物1モルに対して一般式(7)の化合物を1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは50〜120℃である。反応時間は0.5〜24時間であり、好ましくは1〜8時間である。


〔式中、R1及びlは前記に同じ。R6及びR7は同一又は異なって、水素原子又は低級アルキル基を示す。R8は水素原子若しくは低級アルキル基を示すか又は2個のR8はこれらが結合している窒素原子と一緒になって2−イミダゾリン−2−イル基を示す。〕
上記反応式に示す各工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程6)
上記一般式(9)で表わされる化合物は、一般式(2)で表わされる化合物と一般式(8)で表わされる市販化合物を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応においては、一般式(2)の化合物1モルに対して一般式(8)の化合物を1〜50モル当量、好ましくは1〜10モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間は0.5〜168時間であり、好ましくは1〜96時間である。
本反応により得られる一般式(9)の化合物は単離し、又は単離せずに工程7に用いることができる。
(工程7)
上記一般式(1−d)で表わされる化合物は、一般式(9−a)で表わされる化合物と、一般式(10)で表わされる文献記載〔アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry),57,310(1974)〕又は市販の公知化合物とを、適当な溶媒中、塩基性化合物の存在下若しくは非存在下に反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
塩基性化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属酸化物;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属等の無機塩基性化合物が例示できる。
この反応においては、一般式(9−a)の化合物1モルに対して一般式(10)の化合物を1〜2モル当量、塩基性化合物を1〜5モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。
反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。


〔式中、R1及びR6は前記に同じ。R9は低級アルキル基を示す。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程8)
上記一般式(1−e)で表される化合物は、一般式(9−a)で表わされる化合物と、文献記載〔オーガニック シンセシーズ コレクティブ(Organic Syntheses Collective),,5(1941)〕の一般式(11)で表わされる化合物を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応においては、一般式(9−a)の化合物1モルに対して一般式(11)の化合物を1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。


〔式中、R1aは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。R3及びlは前記に同じ。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程9)
上記一般式(1−a″)で表わされる化合物、後述の製造方法(P法)によって得られる一般式(12)で表わされる化合物を、適当な溶媒中、塩素化剤、臭素化剤又はヨウ素化剤と反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸、ぎ酸、濃硫酸、水等が例示できる。
塩素化剤としては、塩素、N−クロロコハク酸イミド、塩化スルフリル、次亜塩酸ソーダ等が例示できる。
臭素化剤としては、臭素、N−ブロモコハク酸イミド、ピリジニウムブロミドパーブロミド等が例示できる。
ヨウ素化剤としては、ヨウ素、N−ヨードコハク酸イミド等が例示できる。
この反応においては、一般式(12)の化合物1モルに対して塩素化剤、臭素化剤又はヨウ素化剤を1〜3モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは1〜12時間である。


〔式中、R1は前記に同じ。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程10)
上記一般式(1−b■)で表わされる化合物は、一般式(9−b)で表わされる化合物と2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(13)を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;酢酸、ぎ酸、濃硫酸、水等が例示できる。
この反応においては、一般式(9−b)の化合物1モルに対して2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(13)を1〜5モル当量、好ましくは1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜120℃である。反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。


〔式中、R1は前記に同じ。R10は2−イミダゾリン−2−イル、2−イミダゾリル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1−メチルイミダゾール−2−イル、2−ピリミジル又は2−ベンズイミダゾリル基を示す。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程11)
上記一般式(1−f)で表わされる化合物は、一般式(2−a)で表わされる化合物と一般式(14)で表わされる市販化合物を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応においては、一般式(2−a)の化合物1モルに対して一般式(14)の化合物を1〜3モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜100℃である。反応時間は0.5〜24時間であり、好ましくは1〜8時間である。


〔式中、R1及びR6は前記に同じ。R11は低級アルキル基を示す。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程12)
上記一般式(1−g)で表わされる化合物は、一般式(9−a)で表わされる化合物と一般式(15)で表わされる化合物を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が例示できる。
この反応においては、一般式(9−a)の化合物1モルに対して一般式(15)の化合物1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好まくは0〜80℃である。反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。


〔式中、R1は前記に同じ。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程13)
上記一般式(17)で表わされる化合物は、一般式(9−b)で表わされる化合物と市販化合物であるS,S′−ジメチル N−シアノジチオイミノカーボネート(16)を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応においては、一般式(9−b)の化合物1モルに対してS,S′−ジメチル N−シアノジチオイミノカーボネート(16)を1〜5モル当量、好ましくは1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは60〜130℃である。反応時間は0.5〜24時間であり、好ましくは1〜8時間である。
本反応により得られる一般式(17)の化合物は単離し、又は単離せずに工程14に用いることができる。
(工程14)
上記一般式(1−d′)で表わされる化合物は、一般式(17)で表わされる化合物とメチルアミンを、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水素が例示できる。
この反応においては、一般式(17)の化合物1モルに対してメチルアミンを1〜100モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間は0.5〜24時間であり、好ましくは1〜8時間である。


〔式中、R1は前記に同じ。〕
上記反応式に示す工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程15)
上記一般式(1−g′)で表わされる化合物は、一般式(9−b)で表わされる化合物と尿素(18)を、適当な溶媒中、反応させることにより製造できる。
ここで用いられる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;水等が例示できる。
この反応においては、一般式(9−b)の化合物1モルに対して尿素を1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度である。反応時間は0〜5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。
本発明の上記A法、B法、D法、E法、F法及びJ法の原料である前記一般式(2)で表わされる化合物は、種々の化合物を原料として、例えば下記N法及びO法により製造することができる。また、6−クロロメチルチミンについては、文献記載〔ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイアティ(Journal of the American Chemical Society),35,596(1913)〕の方法により製造することができる。


〔式中、Qは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。lは1又は2を示す。〕
(工程16)
上記一般式(2−b)で表される化合物は、市販化合物である6−クロロメチルラウシル又は既知化合物である6−(2−クロロエチル)ラウシル〔ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(Journal of Heterocyclic Chemistry),16,239(1979)〕を原料に用いて、H法での工程9に準じて製造することができる。


上記反応式に示す各工程は、より詳細には以下の如くして実施される。
(工程17)
上記化合物(22)は、文献記載〔ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),28,1816(1963)〕のエチル 2−クロロ−N−シアノアセトイミデート(20)とシアノ酢酸エチル(21)を、文献記載〔ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサイアティ ケミカル コミューニケイションズ(Journal of the Chemical Society Chemical Communications),350(1974)〕の方法に準じて、適当な溶媒中、塩基性化合物の存在下に反応させることにより製造できる。
ここで用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類等が例示できる。
塩基性化合物としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水酸化ナトリウム等の水素化アルカリ金属等の無機塩基性化合物が例示できる。
この反応においては、エチル 2−クロロ−N−シアノアセトミイデート(20)1モルに対してシアノ酢酸エチル(21)を1〜2モル当量、塩基性化合物を1〜2モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間は0.5〜48時間であり、好ましくは1〜24時間である。
本反応により得られる化合物(22)は単離し、又は単離せずに工程18に用いることができる。
(工程18)
上記化合物(2−c)は、化合物(22)を、文献記載〔ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサイアティ ケミカル コミューニケイションズ(Jorunal of the Chemical Society Chemical Communications),350(1974)〕の方法に準じて、水中、水酸化ナトリウムと反応させることにより製造できる。
この反応においては、化合物(22)1モルに対して水酸化ナトリウムを1〜100モル当量使用するのがよい。反応温度は0℃〜溶媒の沸点程度であり、好ましくは0〜50℃である。反応時間は0.5〜24時間であり、好ましくは1〜6時間である。
また、本発明の上記H法の原料である前記一般式(12)で表わされる化合物は、種々の化合物を原料として、例えば下記P法により製造することができる。


〔式中、R3及びlは前記に同じ。〕
(工程19)
上記一般式(12)で表わされる化合物は、6−クロロメチルウラシル又は6−(2−クロロエチル)ウラシル(19)を原料に用いて、A法での工程1に準じて製造することができる。
上記A法、B法、C法、D法、E法、F法、G法、H法、I法、J法、K法、L法及びM法により得られる本発明化合物(1)は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶、減圧蒸留等により単離及び精製して用いることができる。
このようにして得られた本発明のラウシル誘導体(1)又はその塩は、優れたヒトチミジンホスホリラーゼ阻害作用を有し、抗腫瘍効果増強剤又は抗腫瘍剤の有効成分として有用である。
前記一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩は、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤の抗腫瘍効果増強剤として有用である。ここで、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類としては、例えば5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジン、チミジン、5−フルオロ−2′−デオキシウリジン、5′−フルオロ−2′−デオキシウリジンの前駆薬誘導体〔例えば国際公開特許番号WO95/18138〕、5−アザ−2′−デオキシシチジン等を挙げることができる。このうち、5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジン及び5−フルオロ−2′−デオキシウリジンが特に好ましい。
抗腫瘍効果増強剤とする場合、各種の投与単位形態に製剤したウラシル誘導体又はその塩(1)と、やはり単独で各種の投与形態に製剤した2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤とを、それぞれ別個に又は同時に投与することができる。
また、ウラシル誘導体(1)又はその塩と、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類とを含有する抗腫瘍剤として、各種の投与単位形態に製剤した後投与することもできる。この場合、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類とウラシル誘導体(1)又はその塩との使用割合は特に限定されないが、前者1モルに対して後者を0.1〜500モル程度、特に0.2〜10モル程度使用するのが好ましい。
本発明の抗腫瘍効果増強剤及び抗腫瘍剤を人を含む哺乳動物の悪性腫瘍の治療剤として使用する際には、治療目的に応じて各種の薬学的投与形態とすることができ、具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等の非経口剤とすることができる。これら投与剤は、医薬的に許容される担体等を用い、この分野で通常知られた慣用的な製剤方法により製剤化することができる。
錠剤の形態に成形するに際しては、担体として、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、コーンスターチ、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、テンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン酸、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤などを使用できる。更に、錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠等とすることができる。
丸剤の形態に成形するに際しては、担体として、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン、カンテン等の崩壊剤などを使用できる。
カプセル剤は常法に従い、ラウシル誘導体(1)又はその塩を、上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。
経口用液体製剤とする場合は、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を用い、常法により、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合、矯味剤としては、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が、緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を使用できる。
注射剤とする場合、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ましく、これらの形態に成形するに際しては、希釈剤として、例えば水、乳酸水溶液、エチルアルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。尚、この場合、等張性の溶液を調製するに充分の量の食塩、ブドウ糖又はグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
軟膏剤、例えばペースト、クリーム、ゲルの形態とする際には、希釈剤として、例えば白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト等を使用できる。
貼付剤とする場合には、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。支持体としては綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルムあるいは発泡体シートが好適である。
更に上記各製剤には必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や、他の医薬品を配合してもよい。
本発明の製剤中に含まれる2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類及びウラシル誘導体(1)又はその塩の量は特に限定されず、適宜選択することができるが、いずれも通常製剤中1〜70重量%程度とするのが好ましい。
本発明の製剤の投与方法は特に限定されず、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、患者の症状の程度等に応じて適宜決定される。例えば錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤及び乳剤は経口投与される。注射剤は単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で動脈内、筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤は直腸内投与される。軟膏剤は、皮膚、口腔内粘膜等に塗布され、貼付剤は皮膚に貼付される。
本発明の製剤の各有効成分の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択できる。通常2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類の量は0.1〜100mg/kg/日程度、好ましくは0.5〜50mg/kg/日程度であり、ウラシル誘導体(1)又はその塩の量は0.01〜10000mg/kg/日程度、好ましくは0.5〜1000mg/kg/日程度の範囲となる量を目安とするのがよい。また、これら本発明の製剤は1日1回又は2〜4回程度に分けて投与することができる。
本発明の製剤を投与することにより治療できる悪性腫瘍としては、特に制限はなく、例えば食道癌、胃癌、肝臓癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、頭頚部癌、肺癌、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、骨・軟部肉腫、皮膚癌、悪性リンパ腫、白血病、脳腫瘍等が挙げられる。
実施例 以下、参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
〔N法による化合物(2−b)の合成〕
参考例1(5−クロロ−6−クロロメチルウラシルの合成)
6−クロロメチルウラシル(163g)の酢酸(500ml)懸濁液に塩化スルフリル(120ml)を室温下20分間で滴下し、同温で3時間攪拌した。反応液を氷水(500ml)に注ぎ、晶出物を濾取し、標記化合物を182.3g(収率92%)得た。
融点:225℃以上(分解)
NMRスペクトル(DMSO−d6)δ 4.46(2H,s),11.57(1H,s),11.71(1H,s)
元素分析(C5H4N2O2Cl2として)
C H N 計算値 30.80 2.07 14.37 測定値 30.85 1.99 14.41参考例2(5−ブロモ−6−クロロメチルウラシルの合成)
参考例1と同様な方法で、塩化スルフリルの代わりにN−ブロモコハク酸イミドを用いて反応を行い、標記化合物を収率70%で得た。
融点:245℃以上(分解)
NMRスペクトル(DMSO−d6)δ 4.47(2H,s),11.61(1H,s),11.66(1H,s)
元素分析(C5H4N2O2BrClとして)
C H N 計算値 25.08 1.68 11.70 測定値 24.81 1.67 11.57参考例3(5−ヨード−6−クロロメチルウラシルの合成)
参考例1と同様な方法で、塩化スルフリルの代わりにN−ヨードコハク酸イミドを用いて反応を行い、標記化合物を収率77%で得た。
融点:225℃以上(分解)
NMRスペクトル(DMSO−d6)δ 4.49(2H,s),11.52(1H,s),11.58(1H,s)
元素分析(C5H4N2O2ClIとして)
C H N 計算値 20.96 1.41 9.78 測定値 21.10 1.36 9.87参考例4(5−クロロ−6−(2−クロロエチル)ウラシルの合成)
参考例1と同様な方法で、6−クロロメチルウラシルの代わりに6−(2−クロロエチル)ウラシルを用いて反応を行い、標記化合物を収率77%で得た。
融点:225℃以上(分解)
NMRスペクトル(DMSC−d6)δ 3.01(2H,t,J=6.9Hz),3.88(2H,t,J=6.9Hz),11.28(1H,s),11.60(1H,s)
元素分析(C6H6N2O2Cl2・2/5H2Oとして)
C H N 計算値 33.89 3.03 13.18 測定値 34.27 3.02 12.75〔O法による化合物(2−c)の合成〕
参考例5(4−クロロ−2−シアノ−3−ウレイドクロトン酸エチル(22)の合成)
エチル 2−クロロ−N−シアノアセトイミデート(20)20gと、シアノ酢酸エチル(21)16.6g及びナトリウムエトキシド9.28gのエタノール(350ml)溶液を室温下3時間攪拌した。反応溶液を留去した後、2N−塩酸140mlを加え、氷冷下1時間攪拌した。反応溶液を2N−水酸化ナトリウム水溶液で中和後、酢酸エチルで抽出し、水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮し、得られた残渣をヘキサン−酢酸エチル勾配溶出を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、標記化合物5.66g(収率18%)を得た。
融点:175−177℃NMRスペクトル(DMSO−d6)δ 1.27(3H,t,J=6.9Hz),4.26(2H,q,J=6.9Hz),5.38(2H,s),10.05(1H,s)
元素分析(C8H10N3O2Clとして)
C H N 計算値 41.48 4.35 18.14 測定値 41.87 4.44 17.78参考例6(5−シアノ−6−クロロメチルウラシル(2−b)の合成)
参考例5で得た4−クロロ−2−シアノ−3−ウレイドクロトン酸エチル(22)3.88gを2N−水酸化ナトリウム水溶液17mlに溶解し、室温下1時間攪拌後、氷冷下、2N−塩酸で中和、晶出物を濾取し、標記化合物を1.16g(収率37%)得た。
融点:229℃以上(分解)
NMRスペクトル(DMSO−d6)δ 4.45(2H,s),10.05(1H,s)
元素分析(C6H4N3O2Cl・1/10H2Oとして)
C H N 計算値 38.46 2.26 22.43 測定値 38.72 2.20 22.07〔P法による化合物(12)の合成〕
参考例7(6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシルの合成)
ピロリジン1.78gの水(20ml)溶液に、6−クロロメチルウラシル1.33gを加え、室温下24時間攪拌、酢酸で中和後、反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をメタノールで洗浄、濾取し、標記化合物を466mg(収率29%)得た。
融点:176−178℃NMRスペクトル(DMSO−d6)δ 1.68−1.76(4H,m),2.42−2.55(4H,m),3.49(2H,s),5.44(1H,s),10.90(2H,br−s)
元素分析(C9H13N3O2・4/5H2Oとして)
C H N 計算値 51.57 7.02 20.04 測定値 51.59 6.94 19.73 以下の実施例により得られた化合物の物性を表1〜表20に示す。
〔A法による化合物(1−a)の合成〕
実施例1(5−クロロ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル(化合物1)の合成)
ピロリジン32.8gの水(300ml)溶液に、参考例1で得た5−クロロ−6−クロロメチルウラシル30.0gを加え、室温下24時間攪拌後、不溶物を濾取した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をメタノールで洗浄、濾取し、標記化合物を14.2g(収率40%)得た。
実施例2(化合物2〜21の合成)
適当な出発原料を用い実施例1と同様な方法で、表1〜表3及び表11〜表13に示す化合物2〜21を合成した。
実施例3(5−クロロ−6−(1−(3−メタンスルホニルオキシ)ピロリジニルメチル)ウラシル(化合物22)の合成)
実施例2で得た5−クロロ−6−(1−(3−ヒドロキシ)ピロリジニルメチル)ウラシル(化合物8)702mgのピリジン(5ml)溶液に塩化メタンスルホニル350mgを加え、室温下24時間攪拌後、反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール溶出)によって精製し、標記化合物を220mg(収率24%)得た。
実施例4(5−クロロ−6−(3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ウラシル(化合物23)の合成)
3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール0.88gの1N−KOH水溶液(10ml)に、5−クロロ−6−クロロメチルウラシル0.50gを加え、80℃で2.5時間加熱攪拌した。反応液を6N−塩酸で中和し、析出物を濾取し、水、メタノールで洗浄し、標記化合物を510mg(収率73%)得た。
実施例5(化合物24〜28の合成)
適当な出発原料を用い実施例4と同様な方法で、表3〜表4及び表13〜表14に示す化合物24〜28を合成した。
実施例6(5−クロロ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル 塩酸塩(化合物29)の合成)
5−クロロ−6−クロロメチルウラシル5.0g、2−イミノピロリジン6.14g及びナトリウムエトキシド5.24gのN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を、室温下14時間攪拌した。晶出物を濾取し、水30mlに懸濁、酢酸で中和、洗浄後、不溶物を濾取し1N−塩酸60mlに溶解後、活性炭を加え濾過した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をエタノールで洗浄し、濾取し、標記化合物を2.68g(収率38%)得た。
実施例7(5−クロロ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル p−トルエンスルホン酸塩(化合物30)の合成)
実施例6と同様な方法で1N−塩酸の代わりにp−トルエンスルホン酸を用いて反応を行い、標記化合物を収率26%で得た。
実施例8(化合物31〜36の合成)
適当な出発原料を用い実施例6と同様な方法で、表4及び表14に示す化合物31〜36を合成した。
実施例9(6−N−(2−アミノエチル)アミノメチル−5−クロロウラシル(化合物37)の合成)
無水エチレンジアミン60gの水(200ml)溶液に、参考例1で得た5−クロロ−6−クロロメチルウラシル39gを加え、室温下24時間攪拌、晶出物を濾取し、標記化合物を28.35g(収率65%)得た。
実施例10(6−N−(2−アミノエチル)アミノメチル−5−ブロモウラシル(化合物38)の合成)
実施例9と同様な方法で、5−クロロ−6−クロロメチルウラシルの代わりに5−ブロモ−6−クロロメチルウラシルを用いて反応を行い、標記化合物を収率46%で得た。
実施例11(6−N−(2−アミノエチル)アミノメチル−5−ヨードウラシル(化合物39)の合成)
実施例9と同様な方法で、5−クロロ−6−クロロメチルウラシルの代わりに5−ヨード−6−クロロメチルウラシルを用いて反応を行い、標記化合物を収率69%で得た。
実施例12(化合物40〜43の合成)
適当な出発原料を用い実施例9と同様な方法で、表5及び表15に示す化合物40〜43を合成した。
実施例13(5−クロロ−6−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)ウラシル(化合物44)の合成)
3−ヒドロキシプロピルアミン580mgの水(20ml)溶液に、参考例1で得た5−クロロ−6−クロロメチルウラシル500mgを加え、室温下19時間攪拌後、反応液を減圧下濃縮し、1られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−トリエチルアミン溶出)によって精製し、標記化合物を70mg(収率12%)得た。
実施例14(化合物45及び46の合成)
適当な出発原料を用い実施例13と同様な方法で、表5〜表6及び表15〜表16に示す化合物45及び46を合成した。
〔B法による化合物(1−a′)の合成〕
実施例15(5−クロロ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ラウシル(化合物47)の合成)
臭化シアン3.6gの水(50ml)溶液に実施例9で得た6−N−(2−アミノエチル)アミノメチル−5−クロロウラシル7.0gを加え、室温下3.5時間攪拌した。晶出物を濾取し、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、水50mlに懸濁し、1N−水酸化ナトリウム水溶液で中和後、不溶物を濾取し、標記化合物を2.65g(収率34%)得た。
実施例16(化合物48及び49の合成)
適当な出発原料を用い実施例15と同様な方法で、表6及び表16に示す化合物48及び49を合成した。
〔C法による化合物(1−b)の合成〕
実施例17(5−クロロ−6−(2−イミダゾリン−1−イルメチル)ウラシル 塩酸塩(化合物50)の合成)
実施例9で得た6−N−(2−アミノエチル)アミノメチル−5−クロロウラシル1.0gの酢酸(3ml)溶液にオルトぎ酸トリエチル0.56mlを加え、1時間加熱還流した。濃酸塩0.1ml、酢酸2mlを加え放冷後、晶出物を濾取し、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄し、標記化合物を220mg(収率18%)得た。
〔D法による化合物(1−b′)の合成〕
実施例18(5−クロロ−6−(1−イミダゾリルメチル)ウラシル 塩酸塩(化合物51)の合成)
N−アセチルイミダゾール4.3gのメタノール(100ml)溶液に5−クロロ−6−クロロメチルウラシル5.0gを加え、2日間加熱還流した。放冷後、晶出物を濾取し、10%塩酸メタノール溶液で洗浄し、標記化合物を4.32g(収率64%)得た。
実施例19(5−クロロ−6−(1,2,3−トリアゾール−1−イルメチル)ウラシル(化合物52)の合成)
実施例18と同様な方法でN−アセチルイミダゾールの代わりにN−アセチル−1,2,3−トリアゾールを用いて反応を行い、標記化合物を収率58%で得た。
〔E法による化合物(1−c)の合成〕
実施例20(2−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア 塩酸塩(化合物53)の合成)
チオウレア140mgのエタノール(3ml)溶液に5−クロロ−6−クロロメチルウラシル300mgを加え、6時間加熱還流した。放冷後、晶出物を濾取し、標記化合物を337mg(収率81%)得た。
実施例21(化合物54〜58の合成)
適当な出発原料を用い実施例20と同様な方法で、表6〜表7及び表16〜表17に示す化合物54〜58を合成した。
〔F法による化合物(9)の合成〕
実施例22(6−アミノメチル−5−クロロウラシル(化合物59)の合成)
25%アンモニア水溶液400mlに、参考例1で得た5−クロロ−6−クロロメチルウラシル10gを加え、室温下4日間攪拌、晶出物を濾取し、標記化合物を7.3g(収率81%)得た。
実施例23(5−クロロ−6−N−メチルアミノメチルウラシル(化合物60)の合成)
40%メチルアミン水溶液150mlに、参考例1で得た5−クロロ−6−クロロメチルウラシル6gを加え、室温下4.5時間攪拌後、減圧下濃縮し、得られた残渣をメタノールで洗浄、濾取し、標記化合物を5.38g(収率92%)得た。
実施例24(化合物61〜67の合成)
適当な出発原料を用いて実施例23と同様な方法で、表7〜表8及び表17〜表18に示す化合物61〜67を合成した。
〔F法による化合物(1−d)の合成〕
実施例25(5−クロロ−6−(1−グアニジノ)メチルウラシル 塩酸塩(化合物68)の合成)
氷冷下、0.1N−水酸化カリウム水溶液33mlに2−メチルイソチオウレア硫酸塩455mgを加えた後、実施例22で得た6−アミノメチル−5−クロロウラシル600mgを加え、2時間80℃に加熱攪拌した。放冷後、晶出物を濾取、2N−塩酸水で洗浄し標記化合物を287mg(収率33%)得た。
実施例26(化合物69〜72の合成)
適当な出発原料を用い実施例25と同様な方法で、表8及び表18に示す化合物69〜72を合成した。
〔G法による化合物(1−e)の合成〕
実施例27(N−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)アセタミジン 塩酸塩(化合物73)の合成)
エチル アセトイミデート 塩酸塩705mgのN,N−ジメチルホルムアミド(12ml)溶液に6−アミノメチル−5−クロロウラシル500mgを加え、室温下13時間攪拌した。放冷後、晶出物を濾取、10%塩酸メタノール溶液で洗浄し、標記化合物を190mg(収率26%)得た。
〔H法による化合物(1−a″)の合成〕
実施例28(5−ブロモ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル(化合物2)の合成)
参考例7で得た6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル1.0gの酢酸(10ml)溶液に臭素1.0gを滴下し、室温下20時間攪拌した。晶出物を濾取、メタノールで洗浄し、標記化合物を560mg(収率40%)得た。得られた化合物の融点及びNMRスペクトルは実施例2のA法によって合成した化合物2のものと完全に一致した。
元素分析(C9H12N3O2Brとして)
C H N 計算値 39.44 4.41 15.33 測定値 39.48 4.47 15.43〔I法による化合物(1−b■)の合成〕
実施例29(5−クロロ−(1−ピロリルメチル)ウラシル(化合物74)の合成)
実施例22で得た6−アミノメチル−5−クロロウラシル500mgの酢酸(8ml)溶液に2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン577mgを加え、110℃で2時間攪拌した。室温に戻し、不溶物を濾過後、濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール溶出)によって精製し、標記化合物を155mg(収率24%)得た。
〔J法による化合物(1−f)の合成〕
実施例30(5−クロロ−6−(2−イミダゾリルチオメチル)ウラシル(化合物75)の合成)
実施例20と同様な方法で、チオウレアの代わりに2−メルカプトイミダゾールを用いて反応を行い、標記化合物を収率77%で得た。
実施例31(化合物76〜80の合成)
適当な出発原料を用い実施例30と同様な方法、表9〜表10及び表19〜表20に示す化合物76〜80を合成した。
〔K法による化合物(1−g)の合成〕
実施例32(N−メチル−N′−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)チオウレア(化合物81)の合成)
5−クロロ−6−クロロメチルウラシル0.50gとメチルイソチオシアネート0.22gのN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)懸濁液を70℃で4時間加熱攪拌した。反応液に水(50ml)を加え、析出物を濾取し、水、メタノールで洗浄し、標記化合物を435mg(収率61%)得た。
〔L法による化合物(1−d′)の合成〕
実施例33(N−シアノ−N′−メチル−N″−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)グラニジン(化合物82)の合成)
実施例22で得た6−アミノメチル−5−クロロウラシル1.0gとS,S′−ジメチル−N−シアノジチオイミノカーボネート0.926gのN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)懸濁液を120℃で3.5時間加熱攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にメタノールを加えて濾過し、濾液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール溶出)で精製し、N−シアノ−N′−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)−S−メチルイソチオウレアを190mg得た。
次に、このN−シアノ−N′−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)−S−メチルイソチオウレア150mgをエタノール(3ml)に懸濁させ、30%メチルアミンエタノール溶液2mlを加え、50℃で3.5時間加熱攪拌した。不溶物を濾過後、室温に戻し、濾液からの析出物を濾取し、標記化合物を12mg(収率9%)得た。
〔M法による化合物(1−g′)の合成〕
実施例34(5−クロロ−6−(ウレイドメチル)ウラシル(化合物83)の合成)
実施例22で得た6−アミノメチル−5−クロロウラシル300mgを2N塩酸(10ml)に懸濁し、減圧下濃縮した。残渣に尿素188mg、水15mlを加え、24時間加熱還流し、不溶物を濾過後、濾液を室温に戻し、析出物を濾取し、水から再結晶して標記化合物を33mg(収率9%)得た。








































処方例1(抗腫瘍効果増強剤)
化合物29 25.0mg 乳糖 8.0 結晶セルロース 4.0 ステアリン酸マグネシウム 1.0 タルク 1.0 コーンスターチ 3.5 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.5 錠剤 45.0mg 常法により、上記配合割合で錠剤を調製した。
処方例2(抗腫瘍効果増強剤)
化合物29 50.0mg 乳糖 85.0 コーンスターチ 100.0 ヒドロキシプロピルセルロース 3.0 顆粒剤 238.0mg 常法により、上記配合で顆粒剤を調製した。
処方例3(抗腫瘍効果増強剤)
化合物29 50.0mg 乳糖 24.0 結晶セルロース 13.0 ステアリン酸マグネシウム 1.0 カプセル剤 88.0mg 常法により、上記配合割合でカプセル剤を調製した。
処方例4(抗腫瘍剤)
5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジン(F3dThd) 12.5mg 化合物29 25.0 乳糖 8.0 結晶セルロース 3.5 ステアリン酸マグネシウム 1.0 タルク 1.0 コーンスターチ 3.5 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 25 1錠当り 57.0mg 常法により、上記配合割合で錠剤を調製した。
処方例5(抗腫瘍剤)
5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジン(F3dThd) 12.5mg 化合物29 50.0 乳糖 85.0 コーンスターチ 100.0 ヒドロキシプロピルセルロース 2.5 1包当り 250.0mg 常法により、上記配合割合で顆粒剤を調製した。
処方例6(抗腫瘍剤)
5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジン(F3dThd) 12.5mg 化合物29 50.0 乳糖 24.0 結晶セルロース 12.5 ステアリン酸マグネシウム 1.0 1カプセル当り 100.0mg 常法により、上記配合割合でカプセル剤を調製した。
試験例1(チミジンホスホリラーゼ阻害作用)
ウラシル誘導体(1)又はその塩のチミジンホスホリラーゼに対する阻害活性を下記方法により〔6−3H〕チミジンからの〔6−3H〕チミンの生成を測定することにより求めた。
すなわち、3mMチミジン水溶液(75Bq/mlの〔6−3H〕チミジンを含む)0.05ml、0.5Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)0.05ml、種々濃度の被検化合物溶液又は対照として純水0.05ml及びヒト胎盤より高度に精製したチミジンホスホリラーゼ溶液0.1mlの計0.25mlを37℃で5分間反応させた。反応後直ちに100℃の沸騰水浴中で2分間加熱して反応を停止させ、3000rpmで10分間遠心分離した。遠心分離後、得られた上清の一部(10μ■)を2.0×10cmのシリカゲル60F254プレートにスポットし、風乾後クロロホルム−メタノール−酢酸(v/v/v、17:3:1)を入れた展開槽に入れ、約8cmの位置まで展開させた。シリカゲルプレートを取り出し、風乾後、UVランプにて〔6−3H〕チミンの位置(Rf0.46)をマイクし、その部分をステンレスのへらにてかき取り、液体シンチレーション用バイヤルに入れ、2N HCl 100μ■を加えてシリカゲルを湿潤させ、〔6−3H〕チミンをゲルより遊離させた。その後10mlのシンチレータ(アマシャム社製,AQUASOL−II)を加えてミキサーにて充分攪拌し、シンチレーションカウンター(ファルマシア社製,WALLAC SYSTEM1410)にて放射活性を測定した。
被検化合物の阻害活性は次式により求めた。


そして、チミジンホスホリラーゼによって生成する〔6−3H〕チミンの量を50%阻害する被検液の濃度をIC50(μM)として表21に示した。
また、阻害活性を比較するために、6−アミノ−5−クロロウラシル、6−アミノ−5−ブロモウラシル、6−アミノミチン、アシクロチミン及び3−シアノ−2,6−ジヒドロキシピリミジンのIC50も測定、算出した。


試験例2(抗腫瘍効果)
(a)被検液の調製I: F3dThdを5.0mg/ml及び10.0mg/mlになるように0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約20分攪拌した後、氷冷下に5分間超音波処理し、F3dThd単独投与用応薬液(被検液(1),(2))を得た。
(b)被検液の調製II: F3dThdを7.5mg/mlになるように0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に懸濁させた。これにウラシル誘導体(1)又はその塩(化合物2、29、47及び48)をそれぞれ6.9、7.0、6.9及び7.5mg/mlになるように加え、室温にてスターラーで約20分間攪拌した後、氷冷下に超音波処理し、本発明混合液(被検液(3)〜(6))を得た。
(c)試験: 生後4〜5週齢のヌードマウスの腋下皮下に約2mm角のヌードマウス可移植ヒト腫瘍片を移植し、V=1/2×L(長径)×W(短径)×D(厚み)で求めた推定腫瘍体積が約150mm3に達した時、各薬剤投与群の腫瘍の平均、標準偏差(S.D.)ともできる限り均等になるように対照群と治療群を設定した後、薬剤投与を開始した。
投与は1日1回の割合でヌードマウスの体重10gに対し上記被検液(1)〜(6)のそれぞれ0.1mlを14日間経口投与した。対照群の担癌ヌードマウスには0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液のみを経口投与した。
薬剤最終投与から24時間後に上記推定腫瘍体積(V)を求めて下記式により腫瘍縮少率(%)を求め、表21に示した。




試験例3(抗腫瘍効果)
(a)被検液の調製I: F3dThdを1.25、2.5、5.0、7.5及び10.0mg/mlとなるように0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約20分攪拌した後、氷冷下に5分間超音波処理し、F3dThd単独投与用薬液(被検液(1)〜(5))を得た。
(b)被検液の調製II: F3dThdを1.25、2.5、5.0、7.5及び10.0mg/mlとなるように0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に懸濁させた。それぞれに化合物29を0.23、0.46、0.93、1.39及び1.85mg/mlになるように加え、室温にてスターラーで約20分攪拌した後氷冷下に5分間超音波処理し、F3dThd−化合物29(モル比1:0.2)混合液(被検液(6)〜(10))を得た。
(c)被検液の調製III: 上記被検液の調製で化合物29の量をそれぞれ0.58、1.16、2.31、3.47及び4.63mg/mlとした以外は同様の方法で、F3dThd−化合物29(モル比1:0.5)混合液(被検液(11)〜(15))を得た。
(d)被検液の調製IV: 上記被検液の調製で化合物29の量をそれぞれ1.16、2.31、4.63、6.94及び9.25mg/mlとした以外は同様の方法で、F3dThd−化合物29(モル比1:1)混合液(被検液(16)〜(20))を得た。
(e)被検液の調製V: 上記被検液の調製で化合物29の量をそれぞれ2.31、4.63、9.25、13.88及び18.51mg/mlとした以外は同様の方法で、F3dThd−化合物29(モル比1:2)混合液(被検液(21)〜(25))を得た。
(f)被検液の調製VI: 上記被検液の調製で化合物29の量をそれぞれ5.78、11.57、23.14、34.70及び46.27mg/mlとした以外は同様の方法で、F3dThd−化合物29(モル比1:5)混合液(被検液(26)〜(30))を得た。
(g)試験: 上記試験例2で被検液を(1)〜(30)とした以外は同様の方法で行った。
又、経時的に体重を測定し、薬物投与開始前と薬物投与終了日の24時間後より体重変化(BWC)を求め、下記式により治療係数(TI)を求め、表22に示した。




試験例4(抗腫瘍効果)
化合物29の代わり化合物2を用いて試験例3と同様な方法で試験を行ない、その結果を表23に示した。


試験例5(抗腫瘍効果)
(a)被検液の調製I: 5−フルオロ−2′−デオキシウリジン(FdUrd)を各々0.5mg/ml及び1.0mg/mlになるように0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に懸濁させ、室温にてスターラーで約20分攪拌した後、氷冷下に5分間超音波処理し、被検液(1)及び(2)を得た。
(b)被検液の調製II: 化合物2及び化合物29を各々0.83mg/ml及び0.81mg/mlになるように被検液(1)に懸濁させ、室温にてスターラーで約20分攪拌した後、氷冷下に5分間超音波処理し、被検液(3)及び(4)を得た。
(c)被検液の調製III: 化合物2及び化合物29を各々4.15mg/ml及び4.05mg/mlになるように被検液(2)に懸濁させ、室温にてスターラーで約20分攪拌した後、氷冷下に5分間超音波処理し、被検液(5)及び(6)を得た。
(d)試験: 5週齢のICR系雄性マウスの背部皮下に1×107個のS−180細胞を移植した。移植から24時間経過後より1日1回の割合でマウスの体重10gに対して上記被検液(1)〜(6)のそれぞれ0.1mlを7日間経口投与した。対照群の担癌マウスには0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液のみを経口投与した。腫瘍移植後10日目にマウスを屠殺し、腫瘍を摘出し、重量を測定して下記式により腫瘍減少率(%)を求め、表24に示した。




産業上の利用可能性 一般式(1)のウラシル誘導体及びその塩は、既知のチミジンホスホリラーゼ阻害剤よりも極めて大きいチミジンホスホリラーゼ阻害活性を有し、2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類に対して、その抗腫瘍効果を著しく増強するという利点を有しており、本発明の抗腫瘍効果増強剤及び抗腫瘍剤は極めて有用性の高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】次の一般式(1′)


〔式中、R1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基又は低級アルキル基を示し;R2は低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基;低級アルキルアミジノ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基;基−CH2N(Ra)Rb(ここでRa及びRbは同一又は異なって水素原子若しくは低級アルキル基を示すか、若しくはRa及びRbがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン環を形成してもよい);基−NH−(CH2−Z(ここでZは窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基若しくはシアノ基を示し、mは0〜3の整数を示す);基−NRc(CH2−OH(ここでRcは水素原子若しくは低級アルキル基を示し、nは1〜4の自然数を示す);基−X−Y(ここでXは、S若しくはNHを示し、Yは低級アルキル基で置換されていてもよい2−イミダゾリン−2−イル、2−イミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−ピリミジル若しくは2−ベンズイミダゾリル基を示す);又は窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいウレイド若しくはチオウレイド基を示す。但し、R1が臭素原子で、R2がアミノ基である場合を除く。〕
で表わされるウラシル誘導体又はその塩。
【請求項2】一般式(1′)中、R2で示される基が、低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基又は低級アルキルアミジノ基である請求項1記載のウラシル誘導体又はその塩。
【請求項3】一般式(1′)中、R2の窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基が1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−ピロリン−1−イル、3−ピロリン−1−イル、1−ピロリル、1−ピラゾリジニル、2−ピラゾリン−1−イル、3−ピラゾリン−1−イル、4−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリン−1−イル、3−イミダゾリン−1−イル、4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、1−ピペラジル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル又は1−ペルヒドロアゾシニル基である請求項1又は2記載のウラシル誘導体又はその塩。
【請求項4】一般式(1′)中、R2の低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基が、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2,5−ジメチルピロリジン−1−イル、2−イミノピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシピロリジン−1−イル、2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−イル、3−メタンスルホニルオキシピロリジン−1−イル、3−アミノピロリジン−1−イル、1−ピロリル、2−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、2−メチルイミダゾール−1−イル、2−ニトロイミダゾール−1−イル、4−ニトロイミダゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、4−メチルピペラジン−1−イル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル又は1−ペルヒドロアゾシニル基である請求項1又は2記載のウラシル誘導体又はその塩。
【請求項5】一般式(1′)中、R2で示される基が1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−イミノピロリジン−1−イル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、アミジノチオ、N1−メチルアミジノチオ、N1,N2−ジメチルアミジノチオ、1−グアニジノ、1−メチルグアニジノ、3−メチルグアニジノ、2,3−ジメチルグアニジノ又はアセトアミジノ基である請求項1又は2記載のウラシル誘導体又はその塩。
【請求項6】一般式(1′)中、R1で示される基が、塩素原子、臭素原子又はシアノ基であり、R2で示される基が、1−ピロリジニル基、1−アゼチジニル基、2−イミノピロリジン−1−イル基、2−イミノイミダゾリジン−1−イル基、1−イミダゾリル基、アミジノチオ基又は1−グアニジノ基である請求項1記載のウラシル誘導体又はその塩。
【請求項7】5−クロロ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、5−ブロモ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−アゼチジニルメチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、5−ブロモ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、5−シアノ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、5−ブロモ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−イミダゾリルメチル)ウラシル塩酸塩、2−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩、2−(5−シアノウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩及び5−クロロ−6−(1−グアニジノ)メチルウラシル塩酸塩から選ばれるものである請求項1記載のウラシル誘導体又はその塩。
【請求項8】次の一般式(1)


〔式中、R1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基又は低級アルキル基を示し;R2は低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基;低級アルキルアミジノ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基;基−CH2N(Ra)Rb(ここでRa及びRbは同一又は異なって水素原子若しくは低級アルキル基を示すか、若しくはRa及びRbがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン環を形成してもよい);基−NH−(CH2−Z(ここでZは窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基若しくはシアノ基を示し、mは0〜3の整数を示す);基−NRc(CH2−OH(ここでRcは水素原子若しくは低級アルキル基を示し、nは1〜4の自然数を示す);基−X−Y(ここでXは、S若しくはNHを示し、Yは低級アルキル基で置換されていてもよい2−イミダゾリン−2−イル、2−イミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−ピリミジル若しくは2−ベンズイミダゾリル基を示す);又は窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいウレイド若しくはチオウレイド基を示す。〕
で表わされるウラシル誘導体又はその塩を有効成分とする医薬。
【請求項9】一般式(1)中、R2で示される基が、低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基又は低級アルキルアミジノ基である請求項8記載の医薬。
【請求項10】一般式(1)中、R2の窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基が1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−ピロリン−1−イル、3−ピロリン−1−イル、1−ピロリル、1−ピラゾリジニル、2−ピラゾリン−1−イル、3−ピラゾリン−1−イル、4−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリン−1−イル、3−イミダゾリン−1−イル、4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、1−ピペラジル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル又は1−ペルヒドロアゾシニル基である請求項8又は9記載の医薬。
【請求項11】一般式(1)中、R2の低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基が、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2,5−ジメチルピロリジン−1−イル、2−イミノピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシピロリジン−1−イル、2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−イル、3−メタンスルホニルオキシピロリジン−1−イル、3−アミノピロリジン−1−イル、1−ピロリル、2−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、2−メチルイミダゾール−1−イル、2−ニトロイミダゾール−1−イル、4−ニトロイミダゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、4−メチルピペラジン−1−イル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル又は1−ペルヒドロアゾシニル基である請求項8又は9記載の医薬。
【請求項12】一般式(1)中、R2で示される基が1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−イミノピロリジン−1−イル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、アミジノチオ、N1−メチルアミジノチオ、N1,N2−ジメチルアミジノチオ、1−グアニジノ、1−メチルグアニジノ、3−メチルグアニジノ、2,3−ジメチルグアニジノ又はアセトアミジノ基である請求項8又は9記載の医薬。
【請求項13】一般式(1)中、R1で示される基が、塩素原子、臭素原子又はシアノ基であり、R2で示される基が、1−ピロリジニル基、1−アゼチジニル基、2−イミノピロリジン−1−イル基、2−イミノイミダゾリジン−1−イル基、1−イミダゾリル基、アミジノチオ基又は1−グアニジノ基である請求項8記載の医薬。
【請求項14】一般式(1)で表わされる化合物が、5−クロロ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、5−ブロモ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−アゼチジニルメチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、5−ブロモ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、5−シアノ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、5−ブロモ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−イミダゾリルメチル)ウラシル塩酸塩、2−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩、2−(5−シアノウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩及び5−クロロ−6−(1−グアニジノ)メチルウラシル塩酸塩から選ばれるものである請求項8記載の医薬。
【請求項15】2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤の抗腫瘍効果増強剤である請求項8〜14のいずれか1項記載の医薬。
【請求項16】次の一般式(1)


〔式中、R1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基又は低級アルキル基を示し;R2は低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基;低級アルキルアミジノ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基;基−CH2N(Ra)Rb(ここでRa及びRbは同一又は異なって水素原子若しくは低級アルキル基を示すか、若しくはRa及びRbがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン環を形成してもよい);基−NH−(CH2−Z(ここでZは窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基若しくはシアノ基を示し、mは0〜3の整数を示す);基−NRc(CH2−OH(ここでRcは水素原子若しくは低級アルキル基を示し、nは1〜4の自然数を示す);基−X−Y(ここでXは、S若しくはNHを示し、Yは低級アルキル基で置換されていてもよい2−イミダゾリン−2−イル、2−イミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−ピリミジル若しくは2−ベンズイミダゾリル基を示す);又は窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいウレイド若しくはチオウレイド基を示す。〕
で表わされるウラシル誘導体又はその塩及び2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類を含有する抗腫瘍剤。
【請求項17】一般式(1)中、R2で示される基が、低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基若しくはニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいアミジノチオ基;窒素原子上の水素原子が低級アルキル基若しくはシアノ基で置換されていてもよいグアニジノ基又は低級アルキルアミジノ基である請求項16記載の抗腫瘍剤。
【請求項18】一般式(1)中、R2の窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基が1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−ピロリン−1−イル、3−ピロリン−1−イル、1−ピロリル、1−ピラゾリジニル、2−ピラゾリン−1−イル、3−ピラゾリン−1−イル、4−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリン−1−イル、3−イミダゾリン−1−イル、4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、1−ピペラジル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル又は1−ペルヒドロアゾシニル基である請求項16又は17記載の抗腫瘍剤。
【請求項19】一般式(1)中、R2の低級アルキル基、イミノ基、水酸基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホニルオキシ基、アミノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、窒素原子を1〜3個含有する4〜8員の複素環基が、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2,5−ジメチルピロリジン−1−イル、2−イミノピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシピロリジン−1−イル、2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−イル、3−メタンスルホニルオキシピロリジン−1−イル、3−アミノピロリジン−1−イル、1−ピロリル、2−ピラゾリン−1−イル、1−ピラゾリル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、2−メチルイミダゾール−1−イル、2−ニトロイミダゾール−1−イル、4−ニトロイミダゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピペリジノ、4−メチルピペラジン−1−イル、モルホリノ、1−ペルヒドロアゼピニル又は1−ペルヒドロアゾシニル基である請求項16又は17記載の抗腫瘍剤。
【請求項20】一般式(1)中、R2で示される基が1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−イミノピロリジン−1−イル、2−イミノイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−メチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル、2−イミノ−3−イソプロピルイミダゾリジン−1−イル、2−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−メチル−4−イミダゾリン−1−イル、2−イミノ−3−エチル−4−イミダゾリン−1−イル、1−イミダゾリル、アミジノチオ、N1−メチルアミジノチオ、N1,N2−ジメチルアミジノチオ、1−グアニジノ、1−メチルグアニジノ、3−メチルグアニジノ、2,3−ジメチルグアニジノ又はアセトアミジノ基である請求項16又は17記載の抗腫瘍剤。
【請求項21】一般式(1)中、R1で示される基が、塩素原子、臭素原子又はシアノ基であり、R2で示される基が、1−ピロリジニル基、1−アゼチジニル基、2−イミノピロリジン−1−イル基、2−イミノイミダゾリジン−1−イル基、1−イミダゾリル基、アミジノチオ基又は1−グアニジノ基である請求項16記載の抗腫瘍剤。
【請求項22】一般式(1)で表わされる化合物が、5−クロロ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、5−ブロモ−6−(1−ピロリジニルメチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−アゼチジニルメチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、5−ブロモ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル塩酸塩、5−シアノ−6−(1−(2−イミノピロリジニル)メチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、5−ブロモ−6−(1−(2−イミノイミダゾリジニル)メチル)ウラシル、5−クロロ−6−(1−イミダゾリルメチル)ウラシル塩酸塩、2−(5−クロロウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩、2−(5−シアノウラシル−6−イルメチル)イソチオウレア塩酸塩及び5−クロロ−6−(1−グアニジノ)メチルウラシル塩酸塩から選ばれるものである請求項16記載の抗腫瘍剤。
【請求項23】2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類が、5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジン、チミジン、5−フルオロ−2′−デオキシウリジン、5−フルオロ−2′−デオキシウリジンの前駆薬誘導体及び5−アザ−2′−デオキシシチジンから選ばれるものである請求項16記載の抗腫瘍剤。
【請求項24】2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類が、5−トリフルオロメチル−2′−デオキシウリジン又は5−フルオロ−2′−デオキシウリジンである請求項16又は23記載の抗腫瘍剤。
【請求項25】2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類1モルに対して、一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩を0.1〜500モル含有する請求項16記載の抗腫瘍剤。
【請求項26】2′−デオキシピリミジンヌクレオシド類1モルに対して、一般式(1)で表わされるウラシル誘導体又はその塩を0.2〜10モル含有する請求項16記載の抗腫瘍剤。

【特許番号】特許第3088757号(P3088757)
【登録日】平成12年7月14日(2000.7.14)
【発行日】平成12年9月18日(2000.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−529175
【出願日】平成8年3月28日(1996.3.28)
【国際出願番号】PCT/JP96/00828
【国際公開番号】WO96/30346
【国際公開日】平成8年10月3日(1996.10.3)
【審査請求日】平成10年10月20日(1998.10.20)
【出願人】(999999999)大鵬薬品工業株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平7−188023(JP,A)
【文献】特開 平3−279366(JP,A)
【文献】Journal of Medicinal Chemistry;vol.19(No.1)p71−98(1976)