説明

ウレアグリース組成物

【課題】 優れた耐熱性及び極圧性を有するグリース組成物を提供する。
【解決手段】40℃における動粘度が1〜2000mm/sの鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の基油に、ポリウレア化合物を0.5〜15質量%、平均粒径0.01〜20μmの炭酸カルシウムを3〜30質量%、及びポリテトラフルオロエチレンまたは黒鉛から選ばれる少なくとも1種以上の固体潤滑剤を1〜20質量%含有することを特徴とするグリース組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、産業用機械等の潤滑箇所へ適用でき、耐熱性及び極圧性に優れたグリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械技術は益々進歩し、機器は高温・高荷重条件下で運転されるようになってきている。したがって、このような箇所へ使用しているグリースにおいても耐熱性及び極圧性のより一層の向上が望まれている。そこで、耐熱性及び極圧性を向上させるために、一般に高温下で使用するグリースの増ちょう剤である有機化ベントナイト、リチウムコンプレックス、ウレア、カルシウムスルホネートコンプレックス等を用いて、種々の試みがなされている(特許文献1、2、3、4参照。)。
【0003】
また、高温、高荷重条件下においては、摩擦熱によりグリース潤滑されている摺動部は、局部的には非常に高温に晒されることがあり、高温部で潤滑しているグリースは、油分の蒸発や増ちょう剤の劣化等により硬化する傾向にあり、グリース本来の性能を充分発揮できなくなる可能性がある。したがって、このような過酷な条件下においては、極端に高い温度に晒されても硬化を抑制するグリースが求められている。
【0004】
【特許文献1】:特開2003−321694公報
【特許文献2】:特開2003−155491公報
【特許文献3】:特開2004−91711公報
【特許文献4】:特開2003−301190公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高温、高荷重下で使用される軸受、ギヤ等に使用でき、耐熱性及び極圧性に優れ、グリースが局部的に高温に晒されても硬化を抑制するグリース組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の基油に、式(1)で表されるポリウレア化合物を0.5〜15質量%、平均粒径0.01〜20μmの炭酸カルシウムを3〜30質量%、及びポリテトラフルオロエチレンまたは黒鉛から選ばれる少なくとも1種以上の固体潤滑剤を1〜20質量%含有することにより耐熱性及び極圧性が向上することを見出した。
【0007】
その中でも、基油として、フェニルエーテル類、ポリαオレフィン、ポリオールエステル類及びコンプレックス型ポリオールエステル類から選ばれる少なくとも1種以上を使用することにより耐熱性及び極圧性を著しく向上させることを見出した。
すなわち、本発明は、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の基油に、式(1)で表されるポリウレア化合物を0.5〜15質量%、平均粒径0.01〜20μmの炭酸カルシウムを3〜30質量%、及びポリテトラフルオロエチレンまたは黒鉛から選ばれる少なくとも1種以上の固体潤滑剤を1〜20質量%含有することを特徴とするグリース組成物を提供する。
【0008】
【化2】

(式中、yは0〜3の整数であり、R及びRは炭素数1〜30の一価の炭化水素基であり、R及びRは炭素数1〜30の二価の炭化水素基である。)
また、本発明は、上記グリース組成物において、基油が、フェニルエーテル類、ポリαオレフィン、ポリオールエステル類及びコンプレックス型ポリオールエステル類から選ばれる少なくとも1種以上であるグリース組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のグリース組成物は、耐熱性及び極圧性に優れている。従って、本発明のグリース組成物は、実用上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明においてグリース増ちょう剤として使用されるポリウレア化合物は下記式(1)で表されるポリウレア化合物である。
【化3】

(式中、yは0〜3の整数であり、R及びRは炭素数1〜30の一価の炭化水素基であり、R及びRは炭素数1〜30の二価の炭化水素基である。)
【0011】
式(1)において、yは0〜3の整数であり、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。R及びRは、炭素数1〜30の一価の炭化水素基であり、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基の炭素数は1〜30であり、好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。R及びRは炭素数1〜30の二価の炭化水素基であり、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基の炭素数は1〜30であり、好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。
【0012】
ここで、R、Rが脂肪族炭化水素基であるものを脂肪族ポリウレア化合物といい、R、Rが脂環式炭化水素基であるものを脂環式ポリウレア化合物といい、R、Rが芳香族炭化水素基であるものを芳香族ポリウレア化合物という。
上記増ちょう剤は単独でも組み合わせても使用することができる。
【0013】
式(1)で表されるポリウレア化合物の配合量は0.5〜15質量%であり、より好ましい配合量は1〜12質量%、特に好ましい配合量は2〜10質量%である。ポリウレアの配合量が少なすぎるとグリース本来の性能であるせん断安定性が低下する傾向になる。また、このせん断安定性を保持するために、他の増ちょう剤で代用すると、充分な耐熱性が得られないため、本願においては、増ちょう剤として上記の量のポリウレアを配合する必要がある。配合量が多すぎると高温下でグリースが硬くなりやすくなり、所定の性能を満足できなくなる傾向にある。
【0014】
本発明で使用される炭酸カルシウムは、その平均粒径が0.01〜50μmのものであり、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.01〜10μmである。平均粒径が大きすぎると所定の極圧性が得られない傾向にある。また、炭酸カルシウムの好ましい配合量は3〜30質量%であり、より好ましくは5〜25質量%である。炭酸カルシウムが少なすぎると耐熱性と極圧性が低下する傾向にある。多すぎても効果が飽和する傾向にある。
【0015】
本発明では固体潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)または黒鉛が用いられる。
PTFEについては、平均粒径が0.1〜20μmの通常グリース用として知られている公知のものを使用することができる。
黒鉛については、大別して、人造黒鉛と天然黒鉛とに分けられる。人造黒鉛は、ピッチ・コークスをタール、ピッチ等により固めて1200℃位で焼成後、黒鉛炉で高温で処理することにより炭素の結晶が成長して造られたものである。また、天然黒鉛は天然の地熱と地下の高圧下で長い年月を経て黒鉛化したものである。本発明において用いる黒鉛としては、天然黒鉛が好ましい。また、天然黒鉛においては、その材質の違いにより鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛が挙げられるが、鱗状黒鉛が好ましい。また、平均粒径は1〜15μmのものを好ましく用いることができる。これらの固体潤滑剤は、1種単独でも、複数組み合わせても使用することができる。
【0016】
ここで、上記固体潤滑剤の好ましい配合量は1〜20質量%、さらに好ましくは3〜18質量%、特に好ましくは5〜18質量%である。配合量が少なすぎると所定の極圧性が得られず、配合量が多すぎても効果が飽和してしまう傾向にある。
また、所定の性能を損なわない範囲で通常、グリースに使用されている他の固体潤滑剤を併用することもできる。具体例としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、雲母、MCA、窒化ホウ素、シリカ、遷移金属ジカルコゲナイドのインカレーション化合物等が挙げられる。
【0017】
本発明で使用される基油としては、通常グリースに使用される鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合系のものなどの種々の潤滑油基油が用いられるが、40℃における動粘度の値としてが、1〜2000mm/sの範囲が好ましく、1〜1000mm/sの範囲がより好ましく、10〜600mm/sの範囲が特に好ましい。動粘度が、あまり小さすぎると極圧性が低くなる傾向にある。動粘度が大きすぎると流動性が悪くなり、グリース本来の性能が出にくくなる傾向にある。
鉱油系潤滑油基油としては、例えば原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製など適宜組み合わせて精製したものが挙げられる。
【0018】
合成系潤滑油基油としては、例えば、ポリαオレフィン(以下、PAOということがある)、ジアルキルジエステル、ポリオールエステル類、コンプレックス型エステル類、アルキルベンゼン類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類などが挙げられる。
ポリαオレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマーが挙げられる。
ジアルキルジエステル類としては、脂肪族ジカルボン酸と1価のアルコールとのジエステルが挙げられ、炭素数4〜12のジアルキルジエステルが好ましいものとして挙げられる。例えば、2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルセバケートを始めとするセバケート、アゼレート、アジペートなどを用いることができる。
【0019】
ポリオールエステル類としては、炭素数5〜6の2価、3価又は4価のアルコールと、炭素数3〜18のモノカルボン酸とのエステルが挙げられ、特にアルコール部分が1−トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールであるものが好ましい。
コンプレックス型エステル類としては、炭素数5〜6の2価、3価又は4価のアルコール、炭素数3〜18のモノカルボン酸と炭素数3〜18のジカルボン酸からなるコンプレックス型エステルが挙げられ、特にアルコール部分が1−トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールであるものが好ましい。
【0020】
アルキルベンゼン類としては、炭素数9〜40のアルキル基を有するものが挙げられる。
ポリグリコール類としては、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとブチルアルコールなどのアルコールを縮合させることにより得られるポリグリコールやポリグリコールエーテルが挙げられる。
フェニルエーテル類としては、約2〜6個のフェニル基が約1〜5個のエーテル結合したものが好ましいものとして挙げられ、フェニル基には炭素数が8〜20のアルキル基が結合したものであってもよい。
【0021】
上記鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することができるが、好ましくは、PAO、ポリオールエステル類、コンプレックス型ポリオールエステル類およびフェニルエーテル類の中から選ばれる1種単独、あるいは2種以上の混合使用である。
【0022】
また、本発明のグリース組成物は、上記各成分の基油と増ちょう剤を配合するものであるが、必要に応じて、各種添加剤を適宜配合することができる。
添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの分散剤、亜鉛系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;多価アルコールのカルボン酸部分エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤、シリコーン油などの各種消泡剤などが挙げられる。添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明のグリース組成物には、過塩基性カルシウムスルホネート、カルシウムスルホネートコンプレックス、硫黄系極圧剤を多く配合すると、耐熱性、極圧性が低くなるので、好ましくない。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0024】
(実施例1〜5及び比較例1〜11)
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*21成分を表1〜2に示した配合量(質量)の割合で含有させたグリース組成物を調製した。*1〜*21のうちの増ちょう剤は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として*1〜*21の各成分を含有するグリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、*1〜*21の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってグリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
得られたグリース組成物は、それぞれ燃焼性試験の評価を行った。
【0025】
1:脂肪族ジウレア:耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、オクチルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させ、その後、撹拌しながら170℃に加熱し、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
(式(1)中のyが0、R及びRが炭素数8の脂肪族炭化水素基、Rが炭素数13の芳香族炭化水素基である脂肪族ジウレア)
【0026】
2:脂環式ジウレア:耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、シクロヘキシルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させ、その後、撹拌しながら110℃に加熱し、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
(式(1)中のyが0、R及びRが炭素数6の脂環式炭化水素基、Rが炭素数13の芳香族炭化水素基である脂環式ジウレア)
【0027】
3:芳香族ジウレア:耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、パラトルイジンを約60℃付近で添加し、約40分反応させ、その後、撹拌しながら170℃まで加熱し、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
(式(1)中のyが0、R及びRが炭素数7の芳香族炭化水素基、Rが炭素数13の芳香族炭化水素基である芳香族ジウレア)
【0028】
4:リチウム−12−ヒドロキシステアレート(耐熱容器に表中の各基油とリチウム−12−ヒドロキシステアレート(堺化学製;商品名;S7000H)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりリチウムー12−ヒドロキシステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
【0029】
5:リチウム−ヒドロキシステアレート(耐熱容器に表中の各基油とリチウムーヒドロキシステアレート(堺化学製;商品名;S7000)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりリチウム−ステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
【0030】
6:複合体リチウム石けん(耐熱容器に表中の各基油と12−ヒドロキシステアレートを投入し加熱する。次に、水酸化リチウム水溶液を約80℃付近で添加し、けん化反応によりリチウム−12−ヒドロキシステアレートを生成させる。さらに、約90℃付近で水酸化リチウムとアゼライン酸を加え約2時間反応させ、リチウムコンプレックス石けんを生成させる。その後、これを加熱し、半溶融させた後急冷を行うことによって、リチウムコンプレックス石けんの結晶を最適なものとし、得られた、基油中に均一に混合分散させたリチウム−12−ヒドロキシステアレート/アゼライン酸複合体リチウム石けん)
【0031】
7:カルシウムスルホネートコンプレックス(耐熱容器に基油を入れ、塩基価400のカルシウムスルホネートとメタノールを入れ十分に攪拌し、その後、80〜90℃付近まで加熱してメタノールを揮発除去し、基油中に炭酸カルシウムがコロイド状に分散した混合物を得た。次に、この混合物にホウ酸、酢酸、ベヘニン酸及びステアリン酸と水酸化カルシウム水溶液を添加し、激しく攪拌しながら約150℃付近まで加熱し、約30分保持した後、冷却し、カルシウムスルホネートコンプレックスの結晶を最適なものとし得られたカルシウムコンプレックス。得られた組成物の成分は以下のとおりである。
【0032】
(基油成分) 60質量%
(カルシウムスルホネートコンプレックス成分)
カルシウムスルホネート+炭酸カルシウム 36.0質量%
ベヘニン酸カルシウム 0.8質量%
ジステアリン酸カルシウム 0.6質量%
ホウ酸カルシウム 0.7質量%
酢酸カルシウム 1.9質量%
【0033】
*8:鉱油(40℃動粘度:100mm/sの水素化精製鉱油)
*9:PAO(炭素数10のαオレフィンの重合体で、40℃の動粘度:60mm/sのポリアルファオレフィン)
*10:ポリオールエステル(ペンタエリスリトールと炭素数8〜10モノカルボン酸とのテトラエステルで、40℃の動粘度:30mm2/s)
*11:コンプレックスエステル(ペンタエリスリトールと炭素数8〜10のモノカルボン酸と炭素数6のジカルボン酸とのコンプレックスエステル、40℃粘度:105mm/s)
*12:アルキル化ジフェニルエーテル(商品名「モレスコハイルーブLB−100」、松村石油(株)製で、40℃粘度:100mm/s)
【0034】
*13:炭酸カルシウムA(平均粒径0.15μmの炭酸カルシウム)
*14:炭酸カルシウムB(平均粒径2.0μmの炭酸カルシウム)
15:PTFE(平均粒径0.5μmのPTFE)
16:黒鉛(平均粒径5μmの鱗状黒鉛)
17:二硫化モリブデン(平均粒径2μmの二硫化モリブデン)
*18:塩基性Caスルホネート(商品名「NASUL 729」 KING
INDUSTRIES社製)
*19:硫黄−リン系添加剤(商品名「アングラモール99」日本ルーブリゾール社製)
*20:硫黄系極圧剤 硫化ラード(硫黄含有量:30質量%)
*21:酸化防止剤(ジフェニルアミン)
【0035】
(測定方法)
耐熱性試験
鋼板に厚さ2mmの薄膜でグリースを塗布し、280℃の恒温槽で3時間加熱後、室温になるまで放置し、試験前後の不混和ちょう度を測定した。評価は、以下の基準で行った。
◎:試験前後の不混和ちょう度の差が−20以上20未満の範囲内
○:試験前後の不混和ちょう度の差が−60以上60未満の範囲内
×:試験前後の不混和ちょう度の差がー60未満または60以上の範囲
【0036】
極圧性試験
シェル四球試験(ASTM D2596準拠)により、行った。評価は、融着荷重(単位:N)で行った。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の基油に、式(1)で表されるポリウレア化合物を0.5〜15質量%、平均粒径0.01〜20μmの炭酸カルシウムを3〜30質量%、及びポリテトラフルオロエチレンまたは黒鉛から選ばれる少なくとも1種以上の固体潤滑剤を1〜20質量%含有することを特徴とするグリース組成物。
【化1】

(式中、yは0〜3の整数であり、R及びRは炭素数1〜30の一価の炭化水素基であり、R及びRは炭素数1〜30の二価の炭化水素基である。)
【請求項2】
基油が、フェニルエーテル類、ポリαオレフィン、ポリオールエステル類及びコンプレックス型ポリオールエステル類から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のグリース組成物。

【公開番号】特開2008−94991(P2008−94991A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279618(P2006−279618)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(398053147)コスモ石油ルブリカンツ株式会社 (123)
【Fターム(参考)】