ウレア変性大豆粉から製造された安定した接着剤
本発明は、効率よく生産でき、かつ、生産コストを低減した優れた湿潤および乾燥強度を有する安定したウレア改質大豆粉系接着剤を提供する。この方法は、大豆粉を加熱して、ウレアーゼを実質的に含まない変性大豆粉を得るステップと、前記変性大豆粉にウレアを加えて、安定した大豆粉系接着剤を得るステップと、を含む。大豆粉は40℃〜100℃に15分〜500分間加熱することができる。また、この方法は、前記大豆粉系接着剤に架橋剤を加えるステップをさらに含み得る。本発明によって製造された接着剤は、優れた安定性および強度を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願第60/831,650号(出願日:2006年7月18日)、および、米国仮出願第60/835,042号(出願日:2006年8月2日)に基づく優先権を伴うものである。これらの米国仮出願に記載されたすべての事項は本願の明細書に含まれるものとする。
【0002】
本発明は、安定した大豆/ウレア生成物(SUP)の製造方法、および、ウレア変性大豆粉(urea−denatured soy flour)から得た分散相(dispersion)、または、エマルジョン(emulsion)状態のポリマー(SUPD)を有する安定した大豆/ウレア生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
たんぱく質を含む大豆粉由来の接着剤は、1920年代にようやく一般に使用されるようになった(米国特許第1,813,387号、第1,724,695号、および、第1,994,050号)。接着剤として使用するに適した大豆粉は、現在に至るまで大豆からオイルの一部または大部分を除去し、残留物として大豆ミール(soy meal)を得てから、さらにそれをすりつぶして極めて微細な大豆粉にすることによって得ることができる。通常、押出/抽出法がまたオイルの除去に適した手段ではあるものの、押しつぶされた大豆から大部分の非極性オイルを抽出するのにヘキセン(hexane)が用いられる。
【0004】
それによって得られた大豆粉は、その後アルカリ剤で変性され(つまり、たんぱく質の2次、3次、および/または、4次構造が変わって、結合可能な更なる極性官能基が露出される。)、かつ、ある程度加水分解されて、乾燥した条件の下での木材接着(wood bonding)の用に供される接着剤を形成する。しかしながら、このような初期大豆接着剤は防水性に欠け、その使用は室内用(interior application)に限られていた。
【0005】
大豆接着剤は、限られたポット寿命(pot life)を有する。わずか数時間経過後に、アルカリ変性大豆粉混合物の粘性、および、性能は著しく落ちてしまう(図1参照)。それは、大豆粉が加水分解を受けた結果と考えられ、2次、3次、および、4次構造における過度な分解は、十分な接着性、および、粘着性結合を形成するにあたって重要な特徴とされている。したがって、2次/3次/4次構造における変性および保持(retention)は、接着性に欠かせないものと考えられる。
【0006】
1920年代では、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)、および、ウレア−ホルムアルデヒド(UF)接着剤樹脂が始めて開発された。フェノールホルムアルデヒド、および、改質ウレア−ホルムアルデヒド樹脂は外部的には耐久性を有するものであったが、その原材料(当初からその用途が限られている。)のコストが高い。第二世界大戦中、防水性、および、耐候性(外部的耐久性を含む。)に優れたこれらの接着剤についての研究が盛んに行われた。しかしながら、たんぱく質系接着剤、主に大豆系接着剤は、さまざまな内部材(室内用部材)として使用し続けられている。
【0007】
エマルジョンタイプのポリマーがまた広く使われるようになった。エマルジョン重合化(emulsion polymerization)を使用して、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリクロロプレン(PC)、様々なアクリレート類、様々なスチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体樹脂などの高体積ポリマー(high volume polymer)を製造することができる。エマルジョン重合化はまた、メチルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、および、スチレンなどを重合するのに用いられる。過去10年間、これらのエマルジョンタイプのポリマーと大豆系接着剤とを組み合わせることについての関心が高まった。それは、大豆系接着剤の場合、コストを低く抑えることができ、そして、室内用部材としてホルムアルデヒドを含まない接着剤が強く求められていたからである。インテリアー用のベニヤ板(plywood)、中質繊維板(MDF)、および、パーチクル・ボード(PB)は主にウレア−ホルムアルデヒドを用いて製造されているのが現状である。これらの樹脂は、非常に強く、早く硬化し、そして、使いやすいといった利点を有するが、ポリマー骨格に沿った加水分解安定性に欠けている。それは、大量の遊離ホルムアルデヒドが完成品から放出されてしまうことに起因する。最終的には、そこに住む人々に吸入されることになる。住宅用内部材にこれらの樹脂の使用を禁止するいくつかの法的措置がとられている。(カリフォニア州関連法−CARB、2007)
【0008】
大豆系接着剤は、出発物質として大豆粉、大豆たんぱく質濃縮物(SPC)、または、大豆たんぱく質単離物(SPI)を使用することができる。簡単に言えば、本明細書において、大豆粉は、炭水化物を20%超含有する全ての大豆産物を指す。大豆粉はSPIより安価だが、その大豆粉はしばしば高濃度の活性ウレアーゼ(ウレアをアンモニアに分解する酵素)を含有し、それにより、最終生成物の粘度/固体比(solid ratio)、または、性能を毀損しないで、そのウレアーゼだけを変性させる(分解させる)必要がある。大豆粉はまた高濃度の炭水化物を含有するので、より複雑な架橋技術が必要となる(なぜならば、これらの炭水化物を架橋させた場合に、大豆系接着剤の防水性が著しく改善されるからである。)
【0009】
炭水化物は、大豆粉において、水溶性、および、水難溶性部分として存在する。この水難溶性炭水化物は主に少量のセルロースを含むヘミセルロースである。水溶性部分は主にスクロース(sucrose)、ラフィノース(raffinose)、スタチオース(stachyose)からなる。大豆粉の熱処理(thermal processing)は、重要な炭水化物−たんぱく質間の反応を引き起こす。これらの反応は、様々な形態を有しており、一般的にマイラード反応(Maillard type reaction)と呼ばれることが多い。
【0010】
SPCは大豆粉に比べて大量だが、SPIに比べて少量のたんぱく質を含有する。通常、SPCは、アルコール洗浄(alcohol wash)を行うことによって可溶性炭水化物を除去して製造される。
【0011】
SPIは、一般的に、等電沈殿法(isoelectric precipitation)によって製造される。この方法は、可溶性糖類(sugar)を除去するだけでなく、何ら改質も行わずに接着性に最適な高分子量たんぱく質を主に残しつつ、より多くの可溶性の低分子量たんぱく質を除去することである。その結果、SPIから向上した耐久性を有するより強い接着剤を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願第2004−0089418号
【特許文献2】米国特許第6,597、760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、改善された湿潤および乾燥強度を有する安定した接着剤を製造する方法を提供する。かかる方法は、変性され、かつ、ウレアーゼ活性を実質的に持たない程度まで大豆粉を加熱し、その後、前記変性された大豆粉にウレアを添加して安定した大豆系接着剤を形成することを含む。ここで、大豆系接着剤は大豆/ウレア生成物(SUP)とも呼ばれる。
【0014】
“安定した”とは、少なくとも数ヶ月間粘性およびpH安定性を保持する接着剤のことを指す。“pH安定性”とは、少なくとも20日間にわたってpHが一ユニット内で留まることを指す。“粘性安定性”とは、少なくとも20時間にわたって500センチポアズ以内のブルックフィールド粘度を指す。“実質的に存在しない(実質的にない)”とは、従来のテストの結果、大豆粉にウレアーゼが有意に存在しないことを意味する。通常、時間の経過に対するpHの変化によって測定される。したがって、実質的にウレアーゼ活性のない大豆粉は、ウレアの存在下で室温にて30日間にわたって一ユニット未満のpH変化を示す。
【課題を解決するための手段】
【0015】
大豆粉は、40℃〜100℃に15〜500分間加熱することによって変性される。その大豆粉は、炭水化物20%以上含有する。
【0016】
大豆粉をそのような高温条件下に置くと同時に、ウレアを添加して大豆粉を変性させる。ここで、ウレアを、1部の大豆に対して、0.25〜5部の割合で添加することが好ましい。この実施例において、1部のウレアを1部の大豆に添加したが、別の実施例においては、2部のウレアを1部の大豆に添加して、安定した大豆/ウレア生成物(SUP)を製造することもできる。
【0017】
さらに、本発明は、SUPに架橋剤を添加することを含む。この架橋剤は、メチルジフェニル・ジイソシアネート(pMDI)、アミン−エピクロロヒドリン付加物、エポキシ、アルデヒド、または、ウレア−アルデヒド樹脂、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれた非ホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。この架橋剤はまた、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることが好ましい。しかしながら、SUPは、コスト削減の観点から、従来の接着剤をカバーできるもっとも少量で添加することも可能である。
【0018】
本発明は、SUPに希釈剤を加えることも含む。この希釈剤は、反応性、または、非反応性で、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、および、これらのポリマーからなる群から選ばれたものであり得る。最終的なpHは、従来の酸、または、塩基を使って調整することができる。
【0019】
本発明は、SUPを添加して、安定したウレア/大豆生成物の分散相、または、エマルジョン(SUPD)を形成することによって、安定した水性の接着剤分散相、または、エマルジョン樹脂を製造する方法を提供する。かかる方法は、大豆粉を加熱して、ウレアーゼを実質的に含まない変性大豆粉を得るステップと、ウレアを加えてSUPを形成した後、エマルジョンまたは分散相状態のポリマーと組み合わせて、安定した大豆/ウレア生成物分散相またはエマルジョン(SUPD)を形成することを含む。
【0020】
この大豆粉は、少なくとも20%の炭水化物を含有し、かつ、40℃〜100℃に15分〜500分間加熱することによって変性されたものである。
【0021】
1つの実施例において、前記変性大豆粉を40℃〜100℃で加熱しながら、前記変性大豆粉にウレアを加えることができる。前記変性大豆粉1部あたり前記ウレア0.25部〜5部の割合となるように、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることができる。
【0022】
SUPは、エマルジョンまたは分散相状態のポリマーに添加されて、その結果、SUPDを形成する。ポリ酢酸ビニル、または、フェノールホウムアルデヒド分散相を含めて、いずれのエマルジョンまたは分散相状態のポリマーも、本発明のSUPによって改質することができる。
【0023】
この方法は、前記大豆/ウレア分散相に架橋剤を加えることを含み得る。この架橋剤は、メチルジフェニル・ジイソシアネート(pMDI)ポリマー、アミン−エピクロロヒドリン付加物、エポキシ、アルデヒド、または、ウレア−アルデヒド樹脂、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれた非ホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。この架橋剤はまた、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることが好ましい。
【0024】
本発明に係る方法は、前記大豆/ウレア分散相を凍結乾燥させて、粉状の接着剤を生成することを含み得る。
【0025】
米国特許出願第2004−0089418号(リら)には、ポリアミド−アミン エピクロロヒドリン(polyamide−amine epichlorihydrin)系樹脂(PAE)で架橋された大豆たんぱく質が記載されている。この文献には、紙または木に対する湿潤強度添加剤(wet strength additive)として知られているこれらの所定のPAEが、たんぱく質官能基と反応することができるということが記載されている。また、この文献には、加温条件下でSPIをアルカリで変性させ、その後、適当なPAE樹脂と組み合わせて、防水性の結合(接着;bond)を形成することについても記載されている。この水性大豆溶液は、適当なポット寿命を維持できるように、共重合(または、凍結乾燥)直前に製造されなければならない。この発明においては、ウレアを添加することで大豆粉(たんぱく質、および、炭水化物の両方を含む。)を改質することを試みたが、その結果、匹敵する程度の大豆/PAEの割合(比率)で安定性が増加された。そのうちもっとも目立ったのが相容性(compatibility)である。そのときに、硬化された樹脂の湿潤および乾燥強度に大きな変化は見られなかった。
【0026】
さらに、前記文献には、PAEを含む大豆炭水化物については何ら記載されていない。前記文献には、変性過程の重要性を減らすためにSPIを使用することについて教えているだけである。なぜならば、たんぱく質は広範囲に及ぶ熱履歴を示すものであるからである。対照的に、製パン用大豆粉(均一状態)は、変性ステップ、および、架橋剤の添加がなければ、ある程度の接着性も示さない。前記特許文献にはこのような記載も示唆もない。
【0027】
米国特許第6,597、760号(サンら)には、接着剤を製造するための出発物質としてSPIを使用することが記載されている。この文献には、大豆粉を改質することができる点については記載があるが、ウレアを利用する点については何ら記載されていない。ウレアは、ウレアーゼ活性が全くないか、あるいは、ほとんど存在しない接着剤(例えば、SPI)に対する周知の変性剤である。しかしながら、ウレアは、中等度ないし高含量のウレアーゼ活性を有する大豆粉に対する有効な変性剤としては全く知られていない。SPIがウレアによって変性され得ることは知られているが(Kinsella, J. Am. Oil Chem.Soc, March 1979, 56:244)、前記特許文献には、大豆粉を含むウレアの使用について何ら記載されてなく、示唆もされていない。それは、ウレアーゼ活性のためである。しかしながら、本発明は、ウレアが、従来技術において使用されていた温度より高温条件で、通常、少量のウレアで大豆粉を変性し、かつ、溶媒和するのに有効に用いることができるということを見出した。
【0028】
本発明では、大豆のたんぱく質を溶媒和し、かつ、変性させるためにウレアを使用し、それにより、接着(adhesion)、および、架橋(cross−linking)により容易に接近可能な所定の官能基を作ることができた。AEおよびPAE(広く、アミン−エピクロロヒドリン付加物、および、ポリアミン−エピクロロヒドリン付加物と定義される。)、ポリイソシアネート、エポキシド、および、ホルムアルデヒド樹脂はこの技術分野において通常使用されているものである。しかしながら、本発明に係る安定したウレア変性大豆系生成物(SUP)は、適当な架橋剤を添加する場合であっても、添加しない場合であっても、向上された相溶性(compatibility)、安定性を示す。さらには、優れた生物学的耐性を示す。
【0029】
事実上、本発明にかかる安定したウレア−変性大豆粉系接着剤生成物(SUP)はすべて、少なくとも数ヶ月間にわたって向上された生物学的耐性を示す。このような特性は、水性条件で使用されるような大豆たんぱく質にはとても期待できないものであった。また、この特性は、使用された大豆のタイプとは関係ない。たんぱく質分散指数(dispensability index)(PDI)が高いか、または、低いか、そして、たんぱく質の含量が高いか、または、低いかに関係なく、すべての大豆粉は、ウレアーゼ活性が有意に減少される限り、同等の効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
こういった改善・改良された方法は、従来技術に対しいくつか有利な効果をもたらす。第一に、本発明のSUP/SUPDは、その他の大豆系接着剤に比べて粘度が遥かに低い。その結果、移動しやすく、また、塗りやすい。第二に、本発明のSUP/SUPDは、生物学的分解に対し高度の耐性を有する。第三に、本発明のSUP/SUPDは、固形分の含量が多い。第四に、本発明のSUP/SUPDは、所定の架橋剤に対する反応性が高く、かつ、貯蔵寿命が長い。最後に、本発明のSUP/SUPDは、別の殺虫剤などを使うことなしに、優れた生物学的耐性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、NaOHを利用した大豆粉の変性プロファイルを示すものである。
【図2】図2は、時間の経過に対する大豆/ウレアのpH安定性を示すものである。
【図3】図3は、時間の経過に対する大豆/ウレア生成物の粘度安定性を示すものである。
【図4】図4は、時間の経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)の生成物の粘度安定性を示すものである。
【図5】図5は、時間の経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH4.5)のABES強度向上を示すものである。
【図6】図6は、時間に経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH7.0)のABES強度向上を示すものである。
【図7】図7は、時間の経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)の生成物(pH10.0)のABES強度向上を示すものである。
【図8】図8は、時間に経過に対し、5%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH4.7)のABES強度向上を示すものである。
【図9】図9は、大豆/ウレア/PAE生成物のABES/インストロン湿潤強度、および、乾燥強度を示すものである。
【図10】図10は、ABES/インストロン湿潤強度保持力(保持率)を示すものである。
【図11】図11は、時間の経過に対し、pMDIを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH7.0)のABES強度向上を示すものである。
【図12】図12は、20%pMDIおよびPAEを用いた場合のABES強度向上比較した結果を示すものである。
【図13】図13は、様々なたんぱく質含量を有する大豆生成物に0.5%PAEを添加することによってもたらされるABES/インストロン湿潤強度向上効果を示すものである。
【図14】図14は、PVA/大豆/ウレア樹脂の粘度およびpH安定性を示すものである。
【図15】図15は、PVA/大豆/ウレア樹脂のABES/イントロン乾燥/湿潤強度を示すものである。
【図16】図16は、PVA/大豆/ウレア樹脂(固形分が規格化されたもの)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図17】図17は、PVA/大豆/ウレア樹脂(低ウレアーゼ大豆)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図18】図18は、PVA/大豆/ウレア樹脂(全て75%PVA)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図19】図19は、PVA/大豆/ウレア樹脂(メープル)のホットプレス3層(板)せん断強度(乾燥/湿潤)を示すものである。
【図20】図20は、PVA/大豆/ウレア樹脂(メープル)のコールドプレス3層(板)せん断強度(乾燥/湿潤)を示すものである。
【図21】図21は、架橋剤によって改質されたPVA/大豆/ウレア樹脂(すべて75%PVA)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図22】図22は、大豆/ウレア/PF分散相のABES/インストロン分析結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
大豆粉は、適切に変性された場合に、優れた接着剤である。いったん変性されてしまうと、その大豆粉に含まれたたんぱく質は、その天然の構造から非コイル状に変わり、それにより、たんぱく質の主鎖に存在するより多くの親水性アミド基が露出されることになる。変性の程度を制御することは、強度および安定性に優れた接着剤を製造するにあたって重要である。
【0033】
大豆粉が水溶液中で40〜100℃に15〜500分間加熱されると、熱変性され、かつ、実質的に(相当量の)ウレアーゼが除去された大豆粉の溶液が得られる。一例を挙げると、多量のウレアーゼを含む大豆粉は90℃で60分間加熱され得るが、少量のウレアーゼを含む大豆粉は50℃で60分間加熱され得る。変性が絶対的に必要とされる時点まで大豆粉を加熱する間に、大豆粉を変性させるに必要とされる高温での持続時間(加熱時間)は、必要とされる変性、および/または、改質の程度によって異なってくる。大豆粉を変性させるに必要とされる時間は、更なる防水性を導入するために(所定の場合)選択された架橋剤のタイプにもよる。
【0034】
しかしながら、熱変性大豆粉は、粘度が高く、そして、固形分の含量が低く、それによって、運搬・保存し難く、わずか数時間で劣化し始めるか、または、使えなくなってしまう。しかし、この熱変性され、かつ、実質的にウレアーゼを含まない大豆粉にウレアを添加して安定したウレア/大豆生成物(SUP)を製造することによって、粘度を下げることができるだけでなく、意外なことに、水性生成物の生物学的な耐性を大きく改善することができる。さらに、SUPの粘度、および、pH安定性は、架橋剤が添加された場合であっても、従来の大豆接着剤に比べて大きく向上された。ウレアを添加することは、接着剤の粘度の制御、相溶性または適合性(compatibility)、安定性、および、溶解性(これは適当な架橋剤に対する反応性を増加させる。)に重要であるが、ウレアは、ウレアーゼ活性を減らすために大豆粉がひとまず熱変性された後にのみ添加することができる。
【0035】
ウレアの含量は、最終的に得た接着剤樹脂のガラス転移温度(Tg)、または、流動特性を制御するために調整することができる。これによって、SUP、または、SUPDは噴霧塗布され、かつ、有用な粒状の接着剤樹脂に転換され得る。また、ウレアを添加することによって、特定の架橋剤と組み合わせられた場合であっても、pH安定性、および、粘度の双方が改善され、かつ、生物学的耐性が改善される。生物学的耐性は、カビの生育、および/または、悪臭の生成物を生じるような分解が抑えられた状態を意味する。
【0036】
通常、ウレアは、40〜100℃の温度において実質的にウレアーゼが存在しない熱変性大豆粉に添加される。一例において、ウレアは、ウレアーゼを含まない粉に対しては、75〜90℃の温度で添加されたが、少量のウレアーゼを含む粉に対しては、45〜55℃の温度で添加された。SUPを生成するためには、約15〜500分間反応させる必要がある。
【0037】
ウレアは、溶媒和、化学反応、変性、および、生物学的耐性を含めて、これらの生成物におけるいくつかの目的に寄与し得る。これらの寄与の程度は知られていないが、それらの4つの異なる特性はそれぞれ異なる程度であろう。熱変性大豆粉に添加されたウレアの量は、大豆粉1部に対し約0.25部(s/s)〜約5部である。最も好ましくは、大豆粉1部に対しウレア約0.5〜2部(s/s)が添加される。ウレアの量は、接着剤のTgまたは流動特性を制御するために調整することができ、それにより、この技術を噴霧乾燥/凍結乾燥に適用することができ、かつ、有用な粉状接着剤に転換させるのに適用することもできる。
【0038】
高温でウレアを添加した場合、低粘度混合(low viscosity mixing)ができると共に、ウレアは大豆粉成分と反応することができる。その結果、例えば、大豆粉のたんぱく質のカルバミル化(carbamylation)が起こる。文献[Stark G.R. et al., J. Biological Chemistry 235(11): 3177−3181 Nov. 1960]参照。ウレアーゼ活性が低い大豆粉の場合、プロセスは1段階プロセスに単純化され得る。ここで、ウレアおよび大豆は室温で結合され、その後、所定の温度に加熱される。しかしながら、たんぱく質の含量が高く、かつ、ウレアーゼ活性が高い粉を用いた場合に、より優れた接着性が得られる。一部の用途においては、希釈剤(diluent)または、腐食剤を添加することによって、粘度、或いは、用途、および/または、架橋剤によってより好ましい状態などを提供することが望ましい。しかしながら、接着剤に過量の腐食剤を添加した場合に、大豆たんぱく質における3次構造/4次構造が破壊(分解)される可能性があると共に、すぐにアンモニアガス(ammonia off−gassing)が生じ、ひいては、接着剤の性能が著しく落ちてしまう。これらの接着剤のpHは10未満であることが好ましく、一例においては、pHが5以上10以下である場合に最も優れた安定性、および、相溶性(適合性)が得られる。しかしながら、特定のSUPDシステムに対しては、pH5未満もあり得る。
【0039】
本発明のSUPは、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVA)エマルジョン、および、フェノールホルムアルデヒド分散相(PFD)のような任意のエマルジョンまたは分散相状態のポリマーに添加されて、安定したSUPDを形成することができる。通常、エマルジョン化されたポリマーに改質大豆粉(unmodified soy flour)、または、NaOHによって変性された大豆粉を添加した場合に、安定性および相溶性(適合性)に欠けた樹脂が得られる。
【0040】
本発明のSUPをエマルジョン状態、または、分散相状態のポリマーに添加することは、市販されている混合用タンク(mixing tank)、薄型タンク(thin tank)、または、反応器において使用可能な簡単な混合技術によって行うことができる。この混合物(blend)の温度は、重要ではないが、一般的に室温である。そういった方法は、高温でエマルジョン状態、または、分散相状態のポリマーとSUPを結合させることも可能であり、ひいては、好ましいともいえる。酸または塩基を用いて行う最終的なpHの調整は、SUPDの最適な安定性を確保するにあたって必要とされ得る。しかしながら、これらの調整は通常まれであり、大豆/ウレア成分に対してよりもエマルジョン、または、分散相を安定化するために行うのが多い。
【0041】
本発明のSUPまたはSUPDは、そのまま使用することも可能だが、適当な架橋剤を添加することによってそれをさらに改善することができる。架橋剤のタイプ、および、その使用量は、大豆粉に含まれた炭水化物の含量に依存し得る。例えば、大豆粉に含まれた炭水化物の含量は、1〜60%であり、その含量は、大豆粉の前処理によって異なってくる。ある大豆粉(即ち、大豆たんぱく質濃縮物−SPC)は、通常炭水化物を15〜30%含有する一方で、別の大豆粉の場合炭水化物の含量が40〜50%である。別の例を挙げると、大豆粉は炭水化物の含量が20%である。炭水化物が大豆粉において防水性を悪化させる主な原因となっているため、これらの炭水化物の架橋を行うことによって、接着剤の強度(乾燥強度、および、湿潤強度)をさらに改善することができる。その他、炭水化物の架橋を行うことによって、吸水性(water uptake)、および、膨潤性(swelling)を抑えることができる。参考までに、これらの吸水性および膨潤性は接着剤の剥離(脱結合)を促し得る。
【0042】
架橋剤はホルムアルデヒドを含んでも良く、含まなくても良い。多くの内部材としてはホルムアルデヒドを含まない架橋剤のほうが望ましいものとされているが、ホルムアルデヒドを含む架橋剤もまた一部の外部材としての用途に適している。本発明の接着剤に使用することができる非ホルムアルデヒド架橋剤としては、例えば、大豆粉と反応することができるメチルジフェニル・ジイソシアネート(pMDI)、アミノ−エピクロロヒドリン(amine−epichlorihydrin)樹脂、エポキシ、アルデヒド、アルデヒドスターチ、および、ウレア−アルデヒド樹脂などがある。アミン−エピクロロヒドリン樹脂は、エピクロロヒドリンとアミノ官能性化合物との反応を通じて製造されるものとして定義される。これらの例としては、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)、ポリアルキレンポリアミン−エピクロロヒドリン(PAPAE樹脂)、アミンポリマーエピクロロヒドリン樹脂(APE樹脂)などがある。PAE樹脂の例としては、2次アミン系アゼチジニウム(azetidinium)官能性PAE樹脂(例えば、Kymene(登録商標)557H,Kymene(登録商標)557LX,Kymene(登録商標)617、Kymene(登録商標)624、および、ChemVisions(登録商標)CA1000など(以上、デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手可能)、3次アミンポリアミド系エポキサイド−官能性PAE樹脂、および、3次アミンポリアミドウリレン系エポキサイド(tertiary amine polyamidourylene−based epoxide)官能性PAE樹脂(例えば、Kymene(登録商標)450(デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手可能)などがある。適当な架橋剤PAPAE樹脂として、例えば、Kymene(登録商標)736(デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手可能)がある。Kymene(登録商標)2064樹脂は、デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手することができるAPE樹脂である。これらは広く知られ、かつ、市販されているものである。これらの化学的構造、および、特性については、例えば、文献[H. H. Espy, “Alkaline−Curing Polymeric Amine−Epichlorohydrin Resins”, in Wet Strength Resins and Their Application, L. L. Chan, Ed., TAPPI Press, Atlanta GA, pp. 13−44 (1994)]を参照することができる。また、非ホルムアルデヒド架橋剤として、特許文献米国特許第3,494,775号明細書に記載されたような低分子量アミン−エピクロロヒドリン濃縮物を使用することができる。ホルムアルデヒドを含む架橋剤として、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、それらを組み合わせたものを用いることができる。
【0043】
架橋剤の役割は、そのタイプに関係なく、接着剤内において架橋濃度を増加させ、Tgを増加させると共に、溶解度を減少させ、それによって、乾燥、および、湿潤強度を高めることである。かかる効果は、1分子あたりいくつかの反応座(reactive site)を有する架橋剤を使用することによって最大化することができる。例えば、一例において、ホルムアルデヒドを含まない架橋剤は、PAEを0.1〜80%含有するし、ホルムアルデヒドを含む架橋剤はフェノールホルムアルデヒドを1〜90%含有する。
【0044】
架橋剤は、通常接着剤を適用(塗布)する直前にSUPまたはSUPDに添加されるものである。しかしながら、架橋剤は、場合によっては、数日、または、数週前に添加されることもある。最終的な接着剤の有効期限(貯蔵期限)は、変性条件、並びに、使用された架橋剤のタイプおよび使用量によって変わってくるが、数日以上であり得る。したがって、著しく改善された粘度安定性は、アルカリ変性生成物(図1参照)に比べて、本発明の方法を用いることによって得られる。例えば、従来のアルカリ変性接着剤は、架橋剤を添加しない場合であっても、通常数時間有効なものであった。それは、優れたたんぱく質接着剤の強度に必修的なたんぱく質の3次/4次構造の迅速な損失を伴う加水分解、および/または、過度の変性に起因したものである。
【0045】
架橋剤に加えて、多数の反応性または非反応性希釈剤(diluent)が、本発明のSUP/SUPD接着剤に添加され得る。このような希釈剤は、より良い溶媒和物(solvate)の生成に寄与し、さらには、大豆/ウレア接着剤の物理的特性を変性し、または、改質する役割をする。可能な希釈剤としては、ポリオール類、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、または、その他のヒドロキシル含有モノマーまたはポリマーなどがある。これらは、消泡剤、湿潤剤などで利用することができる。これらは当業者に広く知られている。これらの希釈剤/添加剤の添加量(含量)は、総添加剤のうち0.1〜70%であり得る。これらの希釈剤/改質剤は、ウレアーゼを不活性化するための加熱ステップを行う前に、その途中、または、その後に添加することができる。
【0046】
本発明の接着剤は、適当な基質に対して適用することができる。そのとき、接着剤の添加量は1〜25重量%、好ましくは、1〜10重量%、最も好ましくは、2〜8重量%であり得る。ここにいう適当な基質の例を挙げると、リグノセルロース物質、パルプ、または、ガラス繊維などがある。しかし、この発明に使用される基質がこれらの例に限られるものではない。接着剤は、従来技術、例えば、ローラコーティング(roller coating)、ナイフコーティング(knife coating)、圧出、カーテンコーティング(curtain coating)、フォームコーター(foam coater)、および、噴霧コーター(spray coater)例えば、回転円板樹脂塗布器(spinning disc resin applicator)によって塗布され得る。
【0047】
ウレア接着剤を用いて、文献[“Wood−based Composite Products and Panel Products”, Chapter 10 of Wood Handbook − Wood as an Engineering Material, Gen Tech. Rep. FPL−GTR−113, 463 pages, U.S. Department of Agriculture, Forest Service, Forest Products Laboratory, Madison, WI (1999)]の記載とおりリグノセルロース複合体(lignocellulosic composite)を製造した。数多くの物質、例えば、パーティクルボード(particle board)、配向ストランドボード(oriented strand board; OSB)、ウェハーボード(wafer board)、ファイバーボード(fiber board)、積層ストランドルンバー(laminated strand lumber; LSL)などは、本発明の接着剤を用いて製造することができる。リグノセルロース物質,例えば、木(材)、木のパルプ、米、小麦、または、大麦のわら(straw)、アマ、アサ、および、バガスなどは、本発明から熱硬化性生成物を製造するに用いることができる。このようなリグノセルロース生成物は、概して粉状、粒状、繊維状、チップ(chip)状、フレーク繊維(flake fiber)状、ウェハー(wafer)状、トリム(trim)状、シェービング(shavings)状、おがくず(sawdust)状、わら(straw)状、柄(stalk)状、または、破片(shives)状(断片状)の基質と接着剤を配合し、それによって得られた配合物を加熱して硬化させることによって製造される。リグノセルロース物質の水分含量は、接着剤と配合される前に2〜20%でなければならない。この接着剤組成物はまた、合板、または、積層ベニヤ木材(laminated veneer lumber; LVL)を製造するのに使用され得る。この接着剤組成物をベニヤ表面に対し、ローラコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、または、噴霧コーティングによって塗布する。その後、複数のベニヤは重ねて、所定の厚みを有するシートを形成する。その後、そのマットまたはシートを加熱プレス(例えば、圧板)に配置する。それによって、圧縮されたマットまたはシートはボード内に圧密され、かつ、硬化される。ファイバーボードは、乾燥フェルト(dry felted)/乾燥プレス(dray pressed)法、または、湿潤フェルト/乾燥プレス法によって製造される。
【0048】
リグノセルロール基質のほか、接着剤は、ガラスウール(grass wool)、ガラス繊維、および、その他の無機材料のような基質に対しても使用することができる。本発明の接着剤は、リグノセルロースと、無機基質とを組み合わせたものに対しても使用することができる。
【0049】
大豆粉/ウレア接着剤について、以下の特性を評価した。
【0050】
1)物理的特性
ブルックフィールド粘度(生成物の粘度に基づくスピンドール1−4を備えたLVT@30および60RPM;オーブン固形分)、pH、および、室温粘度、および、生物学的安定性(大豆の腐敗が明らかに始まると判断されたとき)が、われわれが考える主な特性である。ここで、オーブンでウレアを処理すること(150℃/1時間、および、125℃/1.25時間)によって、所定量の自由ウレアが失われるが、それによって、なぜ理論値が実測値より高いのかが説明できる。)
【0051】
2)乾燥強度の向上−AES社製の自動結合(接着)評価システム(Automated Bonding evaluation system; ABES)を用いて押圧された(すなわち、プレスされた)2つの層(板)のせん断強度
これは、所定のプレス時間/温度の条件下で時間が経過するにつれて向上される接着結合の強度を測定するために行った。すべての実施例に対し120℃の温度を適用した。時間の関数として、異なる接着剤の相対的強度増加を測定(決定)するために、その結果を時間に対してプロットした。標本は、HRT ABES/インストロン方法にしたがって製造されたが、テストは、プレス後数秒以内にABESユニット自体内で行われた。
【0052】
3)湿潤強度保持力
ぬれ過程(wetting process)、および、乾燥過程(drying process)において、接着剤が、木−接着剤間の界面にたまるストレスを適当に分散することができなかった場合に、湿潤失敗(wet failure)がたびたび起こる。湿潤強度保持力は、水づけ後に保持される乾燥強度の百分率として計算される。
【0053】
4)内部用合板の検定
後述するダグラスファー3層法(Douglas Fir 3−Ply preparation procedure)に基づいて製造したサンプルを、内部材用の合板に対する標準にあたるANSI/HPVA HP−1−2004 4.6“3回ソークテスト(Three−cycle Soak Test)”を行った。
【0054】
サンプルの製造:イースタンホワイトパインベニヤ(Eastern White Pine veneer)から入手した自動結合評価システム(ABES)打抜き装置を用いて、木からなるサンプルに対して打ち抜き加工を行った。その結果、最終的にグレーン(grain)に沿って11.7cm、このグレーンに対し垂直方向に2.0cm、そして、厚み0.08cmのものを得た。テストすべき接着剤をこのサンプルの一端に塗布して、重なっているすべての面積がカバーできるようにした。その範囲は、概して3.8〜4.2mg/cm2(湿潤時)であった。その後、このサンプルを第2のベニヤに接着させ(よりよい移行のために15秒未満の開放時間(open time:“オープンタイム”、または、“風乾時間”とも呼ぶ。)を設ける。)、その後、接着されたサンプルの重なった面積が1.0cm×2.0cmとなるように、ABESユニット内に配置した。特段の事情がない限り、すべてのサンプルを、120℃で2.0分間プレスした。この際に加えられる圧力は、9.1kg/cm2であった。その後、接着された(すなわち、結合された)すべてのサンプルを、22℃の温度、および、50%の相対湿度という調整された雰囲気下で少なくとも48時間放置した。
【0055】
強度テスト
すべての樹脂に対し、前述したとおり、10個のサンプルを製造した。前記調整後、10個のサンプルのうち5個に対し、クロスヘッド速度10mm/分でインストロン1000を用いて、テストを行った。サンプル破損直後の最大負荷を記録した。これらを乾燥強度サンプル(dry sample)と呼んだ。残りの5個のサンプルは、22℃の水槽内に4時間維持させた。水槽からこれらのサンプルを取り出してからすぐに前述したとおりテストを行った。これらのサンプルを湿潤サンプル(wet sample)と呼んだ。特殊なグリップを製造して、これらの薄いサンプルがインストロン内で保持できるようにした。各樹脂に対し、5個のサンプルの平均値を記録した。記録されたエラーは標準偏差である。この方法の変動係数(coefficient of variation; COV)は、乾燥評価および湿潤評価の両方に対して15%程度であった。この結果に基づくと、木自体内の変動性の観点から優れたものと考えられる。
【0056】
ダグラスファー3層製造方法
サンプルの製造:使用されたベニヤは、8”×8”で、その厚みが1/6”のダグラスファー(であった。テストすべき接着剤をまず中間ベニヤにおける一方の面に塗布した。その後、上部ベニヤをこの面上に配置させ、2つのベニヤ(上部ベニヤ、中間ベニヤ)のグレーン(grain)が互いに垂直をなうようにした。このプロセスには特に開放時間を設けなかった。その後、この接着剤を前記中間ベニヤにおける他方の面に塗布した。その後、底部ベニヤをこの面上に配置させ、これらの2つのベニヤ(底部ベニヤ、中間ベニヤ)のグレーンが互いに垂直をなうようにした。通常の接着剤負荷量の範囲は、接着層(glueline)あたり21.5〜22.5mg/cm2(湿潤時)であった。その後、組み立てられた3層に対し、150℃にて11.0kg/cm2の圧力を5分間加えた。テストをする前に、前記サンプルを26℃の温度、および、30%の相対湿度の雰囲気下で少なくとも48時間調整した。
【0057】
サンプルテスト:ANSI/HPVA HP−1−2004. 4.6の“3回ソークテスト”に基づいてこれらのサンプルをテストした。
【0058】
メープル3層製造方法(Maple 3−Ply Preparation Procedure)
サンプルの製造:使用されたベニヤは、8”×8”で、その厚みが1/6”のメープルベニヤであった。テストすべき接着剤をまず中間ベニヤにおける一方の面に塗布した。底部ベニヤを、前記中間ベニヤにおける前記接着剤を塗布した面上に配置して、2つのベニヤのグレーンが互いに垂直をなうようにした。このプロセスには特に開放時間を設けなかった。こうして製造した2層アセンブリをひっくり返して、中間ベニヤが上にくるようにした。その後、この接着剤を前記中間ベニヤにおける他方の面に塗布し、そして、上部ベニヤをこの面上に配置させた。この時、これらの2つのベニヤ(中間ベニヤ、上部ベニヤ)のグレーンが互いに垂直をなうようにした。通常の接着剤負荷量の範囲は、接着層(glue line)あたり21.5〜22.5mg/cm2(湿潤時)であった。その後、組み立てられた3層に対し、150℃で11.0kg/cm2の圧力を5分間加えた。テストをする前に、これらのサンプルを26℃の温度、および、30%の相対湿度の雰囲気下で少なくとも48時間調整した。
【0059】
サンプルテスト:サンプルは、ASTM D905に基づいてテストされた。
【0060】
後述する実施例は、本発明に係る第4の実施形態を示すものである。しかしながら、これらの実施例は、あくまで例示のために示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を制限するものと解されてはならない。これらの実施例に示す原料は次のとおりである。
【0061】
大豆粉は、ADM社(Decatur, IL)製のA7B等級(水分含量4.7%)、および、Cargill社(Minneapolis, MN)製のトースト大豆CG4を使用し;大豆たんぱく質濃縮物(SPC)は、ADM社製(AVF)を使用し;大豆たんぱく質単離物(SPI)は、ADM社製のSPIプロファム(Profam)974を使用し;ウレア(市販用)は、ユニヴァル社(Univar)製を使用し;PAEは、Hercules社製のChemVisions(登録商標)CA 1000 PAE(pH2.62,150℃/1時間オーブン固形分=20.04%)を使用し;pMDIは、ダウケミカール社(Midland, MI)製のPAPI(登録商標)を使用し;PVAは、フランクリン社(Columbus, OH)製のDUR−A−FLEX(登録商標)を使用し、エポキシ樹脂はエアープロダクト&ケミカール社(Allentown, PA)製のANCAREZ AR550を使用し;Arolonは、レイコールド社(Bridgeport, NJ)製の850−W−45を使用した。
(実施例1)
【0062】
大豆粉を熱変性させ、その後、ウレアと反応させて安定した大豆/ウレア水性生成物(SUP)を製造した。実施例1A、および、1Cの手順は、各原料の量を除き、同じである。実施例1Dは、異なる温度を使用した点(実施例Dでは、50が、そして、実施例Bでは90が使用された。)を除き、実施例1Bと同じである。実施例Dの場合、低度のウレアーゼ処理大豆(low urease toasted soy)(CG4)を使用した。
【0063】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ(three−neck round bottom flask)内に水を入れた。2〜5分にわたって室温で大豆粉を前記水に添加した。その混合物を5分間撹拌し(均質化)、その後、90℃で15〜30分間加熱した。この反応物を撹拌しながら90℃±2で1時間維持させ、この時点でウレアーゼを含まない大豆にウレアを添加し、その反応物を90℃に再加熱し、1時間撹拌しながら90℃±2℃で維持させた。この反応物を氷/水槽上において25℃に冷却させ、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
【0064】
(表1)
【0065】
(表2)
【0066】
(表3)
【0067】
考察:実施例1A〜1Dから得た生成物はすべて非常に均質な混合物であった。それらの物理的特性は表4に示す。予想とおり、粘度は著しく減少され、そして、高濃度のウレア条件下で固形分が増加された。pHにおけるわずかな増加は、生成物中に依然として存在する微量のウレアーゼの影響であり得るが、それにより、アンモニアが形成され、その結果、pHが増加されたと考えられる。その後3ヶ月が経てもいずれのサンプルにおいてもアンモニアの臭いはなかった。これらの生成物のpHおよび粘度安定性(図2、および、図3)を見ると、90℃生成物がどうやって優れた安定性を提供することができるか、そして、従来の液体ポンプ方法(liquid pumping methodology)にも適したものであるかという点が明らかになるだろう。90℃生成物に比べて、50℃生成物のほうがより薄いし(thinner)、より低いpHを提供し、そして、粘度安定性が高いというのは興味深い。それは、おそらくウレア−大豆反応の欠如、または、不完全変性に基づくものと考えられる。
【0068】
さらに、実施例1Dは、その他の樹脂の有する生物学的耐性を示さなかったし、3週間も経たないうちに悪くなり始めた(即ち、劣化し始めた)。それはおそらくウレアーゼの分解(劣化)に基づいて、ウレア樹脂の濃度が減少された結果であろう。(ここで、理論上の固形分対実際の固形分において大した差異はなかった。また、アンモニアの臭いはした。)生成物のせん断細線化挙動(shear−thinning behavior)は、一定の粘度読みを可能にすると共に、図3に示されたいくつかの形状が得られた原因にもなり得る。このせん断細線化特性は、すべての水性大豆たんぱく質を含む生成物で見られるが、実質的に通常のアルカリ変性生成物より若干低いものであり、総ウレア含量の関数としてわずかに減少されたものと考えられる。その特性に基づいて、これらの生成物をより容易に塗布することができる。最も重要なのは、実施例1A〜1Dから得た生成物は、液体の状態を保持すると共に、室温において3ヶ月以上放置しても生物学的劣化に安定した状態を保持した。単なる熱変性大豆粉(ウレアは含まないが、90℃での反応を経たもの)の場合、非流動性の濃厚な生成物(濃度:15%未満)が得られ、24時間も経たないうちに大幅な生物学的劣化が見られた。したがって、ウレアは、これらの生成物において必修的な殺生物剤/保存剤として機能することがわかった。
【0069】
(表4)
(比較実施例)
【0070】
最近行われた研究の結果、非架橋大豆たんぱく質断離物から乾燥および湿潤接着強度を得ることができるということが分かった。これらの接着剤を本発明に係る接着剤に比べてみると、低コストの、多量の炭水化物を含む大豆粉を使用してこのような改良ないし改善ができるということが明らかになるだろう。
【0071】
実施例2Aは、固形粉の含量が14.0%でなく23.9%である点を除き、サン(Sun)にしたがって製造された低温ウレア変性生成物である。また、サンの生成物は凍結乾燥され、本発明の生成物はすぐに使用された。
【0072】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水とウレアを入れた。その溶液を25℃に加熱し、その時点において、SPIを15分にわたって添加した。その混合物を25℃±2℃で撹拌しながら1時間維持させた。その後、(次の使用のために)その反応生成物を室温で貯蔵した。
【0073】
(表5)
【0074】
実施例2Bは、サンの実施例1.3に基づいて製造したアルカリ変性大豆生成物である。これらの生成物は、ダグラスファー内部用合板の強度要求条件に対する優れた比較実施例であった。なぜならば、これらの生成物は、内部用ベニヤ板の両面に対して自由に塗布された場合に、内部材等級合板テスト(ANSI/HPVA HP−I −20044.6 “Three−cycle Soak Test”)に合格したからである。
【0075】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水を入れた。SPIを2〜5分にわたって添加した。その反応物を22℃で30分間撹拌した。その後、50%NaOHを添加し、反応物を50℃に加熱した。その反応を50℃±2℃で撹拌しながら1時間維持させた。反応物を25℃に冷却し、次の使用のために貯蔵した。
【0076】
(表6)
【0077】
考察:これらの2つの生成物(実施例2A、および、2B)の物理的特性を表7に示す。これらの生成物は、匹敵する程度の固形分含量において、表4に示した生成物に比べてかなり濃厚であった。最も注目すべきところは、多量のウレアを含む実施例2Aは、大豆粉0.5S/U実施例の25倍濃厚であった。この比較生成物はまた固形粉の含量が低かった(23.9対35.0)。この高粘度、低固体状態(low solid situation)は、アルカリ変性生成物(実施例2B)の場合より大きなイシューとなり得る。本発明の方法を用いた場合に、従来のSPI樹脂が与えることができたものより、より濃厚で、かつ、より多量の固形分を含んだ大豆粉/ウレア生成物を得ることができる。HRT ABES/インストロン手法、および、ダグラスファー3層製造方法を使用して、これらの生成物を対象にテストを行った。
【0078】
(表7)
【0079】
PAEを含む大豆粉/ウレア:唯一の接着剤として大豆粉/ウレア接着剤を使用したにもかかわらず、その防水性は制限されていた。水膨潤現象を防止するために架橋剤を添加することができ、その結果、湿潤強度を向上させることができる。架橋剤は更なる架橋密度をその生成物に導入するものである。
【0080】
実施例3〜5は、1/1大豆粉/ウレア生成物(実施例1Bに類似したもの)を含有する通常のPAE樹脂の架橋能(cross−linking ability)を示す。出発物質である大豆粉/ウレアのpHとして4.5、7.0、および、10.0を選択して、両方の最終的な性能、および、生成物の優れた(neat)特性に対するpHの影響を調べた。安定性、および、性能を評価するために、PAEは0.5%、および、20%(s/s)で使用された。
(実施例3)
【0081】
製造方法:実施例1Bにしたがって製造された生成物を、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に入れた。室温で撹拌しながら50%H2SO4を添加することによって、pHを低下させた。かかる酸添加が終わったら、その溶液を15分間撹拌して、その後、次の使用のために室温で貯蔵した。
【0082】
実施例3Aをビーカーに入れて、必要量のPAEを撹拌しながら添加した。同様の手法を用いて、実施例3Bおよび3Cを製造した。そのサンプルが均質となるように1分間猛烈に撹拌し、その後、次の使用のために室温で貯蔵した。
【0083】
(表8)
【0084】
(表9)
【0085】
(表10)
(実施例4)
【0086】
実施例4A〜C(0.5、および、20%PAE)は、出発物質IBの最初pHを若干高めに設定した点を除き、実施例3A〜Cと同様に製造された。実施例4AのpHは50%H2SO4を用いて、pH7.0にした。
(実施例5)
【0087】
実施例5A〜5C(0.5、および、20%PAE)は、出発物質1Bの最初pHを高めに設定した点を除き、上記実施例3A〜3Cと同様に製造された。実施例5AのpHは、50%NaOHを加えることによってpH10.0に調整された。実施例3〜5にしたがって製造された9つの生成物の特性について表11に示す。
【0088】
(表11)
【0089】
最終生成物(PAEを添加した後)のpHは大豆粉/ウレア生成物の出発物質のpHから有意に外れることはなかった(pH10の生成物を除く)。pH10の生成物の場合、そのpHはPAEの添加によって非常に敏感に変動した。また、pH10の生成物のすべては、アルカリ分解反応に起因して、すぐに少量のアンモニアを排気し始めた。以上のとおり、最終組成物のpHは、PAE架橋剤を添加することによって改質された。
【0090】
表11に示すすべての生成物は少なくとも5時間にわたって優れた粘度安定性を示した。そのうちいくつかの実施例の場合、20時間から三日間以上にわたっても安定した状態を保持した。図4は、実施例4Bおよび4Cにしたがって製造された生成物の安定性を示すものである。5%PAEを添加した場合(実施例4B)、粘度は、24時間以上実質的に変わらなかった。それは、1成分生成物が得られたことを意味する。両方の生成物において観察された粘度の増加(最初)は主に、所定の消泡剤を添加することによって減少/軽減させることができる泡立ち現象に起因するものである。
【0091】
生成物の最終的な強度、および、これらの強度が得られる割合(rate)は、任意の接着剤候補の商業的可能性(commercial viability)を決めるにあたって非常に重要なことである。表11に示したすべての生成物に対し、この明細書の前半部に紹介した強度増強方法(Strength Development Procedure)を用いて評価した。これらの結果を図5〜図8に示した。すべての場合において、0%から5%PAEのほうが5から20%PAEより大きく増加したのにもかかわらず、PAE架橋剤を添加することによって最終的な強度における明確、かつ、均一な増加が見られた。それは、このシステムに適用するのに最適なPAE濃度があることを示唆するものであった。
【0092】
pH7.0およびpH1.0のサンプル(実施例4、および、5)はいずれも、対照群である0%PAE樹脂に比べて初期強度改善(強度増加)速度が大きかった。しかしながら、このような現象は、pH4.5のサンプルにおいては見られないものであった。したがって、かかる現象は、これらの条件下におけるより遅いPAE反応に基づくものと考えられた。また、興味深いのは、5%PAE生成物がpH4.5において硬化速度がより遅かったことである。この現象は、他の標本に対してのこの標本の湿潤強度が悪かったことに部分的に起因するものと考えられる(図8参照)。HRT改良方法(HRT developed procedure, HRT ABES/インストロン)に基づいて、表11に示した9つの接着剤の乾燥および湿潤強度を評価すると共に、2つの比較実施例(実施例2Aおよび2B)の乾燥および湿潤強度を評価した。
【0093】
図9は、比較のために、その結果を並べて示した、乾燥および湿潤強度に対してテストされた標本のせん断強度(shear strength)を示すものである。図10は、強度保持率(百分率)(percent retention of strength)を示すものである。組み合わせられた比較用SPI生成物の場合、いかなる架橋剤を含まなくてもこれらの樹脂に対して許容可能な優れた乾燥および湿潤強度を有することが分かった。かかる理論は、適当な架橋剤を必要とする大豆粉/ウレア性生物には適用がない。要するに、大豆粉/ウレア性生物の場合、所定の乾燥および湿潤強度を獲得するためには、適当な架橋剤の使用が必修不可欠といえる。
【0094】
しかしながら、pH4.5において製造された生成物の場合、このような傾向を従わない。実際に、pH4.5において乾燥強度がもっとも高いのは、0%PAEを含む生成物であった。このpHにおける湿潤強度は、PAEを添加することによって改善されるのではなく、より高いpHを有するサンプルに対してはこのようなレベルは見られない。pH4.5のデータを除くと、5%PAEを添加した場合、乾燥強度が平均して58%まで増強され、そして、湿潤強度の場合、572%まで増強された。pH7.0およびpH1.0生成物に対して20%PAEを添加したとき、乾燥強度が97%まで増強され、そして、湿潤強度が952%といった信じられないほど増強された。
【0095】
実施例2Aおよび4A(双方とも固形分を基にして、約25%たんぱく質を含む。)と比較した場合に、粉対単離物(flour vs. isolate)の強度特性に対する炭水化物の影響(効果)を完全に知ることができた。サンプル4Bに対し5%架橋剤を添加した場合、より高分子量の、かつ、より吸湿性の少ない炭水化物、および、たんぱく質ポリマーを形成することによって、炭水化物の影響(効果)を実質的に取り消すことができた。したがって、炭水化物を架橋化させることは、大豆粉の湿潤強度を増強させるのに非常に重要なことである。
(実施例6)
【0096】
この実施例では、大豆粉/ウレア(1/1)生成物に対する架橋剤としてのpMDIの利用可能性を評価した。PAD実施例と同様、架橋剤の濃度によってもたらされる効果を評価した。この実施例においては、出発物質である1/1大豆/ウレア性生物のpHを7.0に調整した。ここで、pMDIの濃度は、5、および、20%であった。これらの生成物の製造方法は、実施例4において使用されたものと同じであった。
【0097】
(表12)
【0098】
(表13)
【0099】
(表14)
【0100】
考察:架橋剤としてのpMDIの使用を、実施例4に係るPAE改質生成物(すなわち、PAEによって改質された生成物)と同様に評価した。大豆粉/ウレア/pMDIの特性を表14に示した。強度改善曲線は、図11に示した。一般的に、pMDI生成物は、PAEによって改質されたもの(そのほかは同一条件である。)に比べて、(固形分の濃度が高い場合であっても)粘度が若干低かった。さらに、pMDI生成物は、pHが若干低かった。強度改善を見ると、乾燥強度は、pMDIの関数として増加された。さらに、強度増加速度はまた、架橋剤の使用に伴って著しく増加された(PAEによって改質された樹脂において観察されたものに類似する。)PAEによって改質された生成物とpMDIによって改質された生成物とを直接比較してみると(図12を参照)、双方の生成物は、その強度は匹敵する程度であり、改善(増加)速度の観点からみても近似していた。3層ソーク(3−ply soak)テストの結果、ウレアがpMDI−大豆反応を妨害し得る可能性が示唆された。したがって、架橋剤としpMDIを用いるときには、より高い割合(比率)の大豆/ウレアを用いたほうが最適であろう。
(実施例7)
【0101】
内部用合板に対する基準として、ANSI湿潤剥離法(ANSI wet method for delamination)がある。この市場においては様々な生成物が接着されているが、その大部分を占めるのは依然としてダグラスファー(Douglas Fir)から製造されたものである。この実施例においては、いくつかの大豆/ウレア接着剤と共に、比較実施例2から得た接着剤を評価した。大豆粉/ウレア接着剤を用いて互いに接着させた標本を、前述したダグラスファー3層製造方法(Douglas Fir three−Ply Preparation Procedure)に基づいて製造した。実施例2Aおよび2Bを用いて接着させた標本を別途(サンに基づいて)製造した。その詳細は次のとおりである。湿潤状態の接着剤7.5gを中間板の両面に、そして、上板、および、底板のそれぞれの一面に塗った。上板、および、底板の粒(grain)に対し垂直方向にある中間板の粒をボードに組み立てる前に、15分の開放時間(open time)を設けた。組み立てられた3層板は、その後、140℃で11.0kg/cm2の圧力で15分間押圧された。ANSI/HPVA HP−1−2004 4.6“3回ソークテスト(Three−cycle Soak Test)”基準に基づいてすべてのパネルを対象にテストを行った。その結果を表15に示す。
【0102】
(表15)
(実施例8)
【0103】
PAEを用いた架橋に対するたんぱく質含量の影響を評価することによって、炭水化物を含有する大豆生成物を用いることの重要性(意味)について検討した。この実施例においては、3種の異なる大豆/ウレア接着剤(たんぱく質の含量が異なる。)を実施例1Cと同様に製造した。すべての場合において、大豆/ウレアの割合(比率)が1:2であるものを使用した。そして、架橋剤として5%PAEを、実施例4Bと同様に添加した。これらの接着剤の特性を表16に示す。これらの各接着剤の湿潤強度を、前述したABES/インストロン手順に基づいて評価した。非架橋樹脂に対する湿潤強度改善効果を図13に示した。かかる改善(効果)は、たんぱく質の含量の関数であることがわかった。さらに、実施例8Dを、実施例7の欄において説明したソーク状態に置いた。その標本は、最少量のPAE(5%)でそのテストをパスした。
【0104】
(表16)
【0105】
考察:図13には、PAE架橋剤の効果が炭水化物の存在によって減少されるものではなく、そして、かかる効果は予想を超えて著しく向上されたものであることが明確に示されている。おそらくかかる結果は、図16に示すホモPAE接着剤の強度によって証明されたとおり、これらのシステム内に起こるPAE−PAE反応の結果であろう。これらの結果から、炭水化物の部分が、大豆粉接着剤内で起こる防水性向上という効果をもたらす必修的部分であることが分かった。
(実施例9)
【0106】
架橋剤を用いて、または、用いることなく生成物の湿潤強度および乾燥強度を向上させるためには、非反応性および反応性希釈剤(または、賦形剤)を用いることが望ましいであろう。サンプルは、その後グリセロールが前記混合物に、生成物中に含まれた大豆を基準にして(すなわち、大豆に対して)、5、25、または、100%の割合で添加される点を除き、前記実施例3と同様に製造された。この研究および実験の結果を表17に示す。
【0107】
(表17)
【0108】
考察:表17の結果から、乾燥強度および湿潤強度のうちいずれかが希釈剤を添加することによって有意義に向上されたことが分かる。このような増加は、原因の数に左右されるものではなく、大豆接着剤においてその強度を維持するのに重要な2次/3次構造の増加された溶解度、または、安定化と何らかの関係があるものと考えられる。実施例9には、加熱後における希釈剤/改質剤の導入能力が示されているが、ウレアーゼ不活性化ステップを行う前に希釈剤/改質剤を導入することが許容できるし、所定の場合においては、このようにしたほうが望ましいと考えられる。
【0109】
エマルジョン対照群に係る実施例
物理的特性、および、パネルの性能に対し大豆/ウレア樹脂の添加が及ぼす効果を比較するために、市販用のポリ酢酸ビニル(PVA)を使用した。表10は、ここで評価された対照群サンプルを定めたものである。
【0110】
(表10)
【0111】
実施例10〜20において、大豆は、熱変性され、その後、ウレアと反応して安定した大豆/ウレア水性樹脂を生成した。このプロセスは、1段階であってもよく、または、2段階プロセスであっても良い。
(実施例10)
【0112】
この第1の実施例においては、表2Aに示す配合物を用いる1段階プロセスを利用した。
【0113】
(表11)
【0114】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水を入れた。室温で水にウレアを加え、完全に溶けるまでに2〜5分にわたって攪拌した。前記急速に攪拌された溶液に、室温で5分間大豆粉(A7B)を入れた。その混合物を5分間攪拌して、均一状態にした。その後、90℃に15〜30分間加熱した。その反応物を90℃±2℃で1時間維持させた。反応物を氷/水槽上で25℃に冷却させ、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
(実施例11)
【0115】
この実施例は、高ウレアーゼ大豆粉を用いて、2段階プロセスによって行った。
【0116】
(表12)実施例11の組成
【0117】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水を入れた。室温で2〜5分間水に大豆粉(A7B)を添加した。その混合物を5分間攪拌して、均一状態にした。その後、90℃に15〜30分間加熱した。その反応物を攪拌しながら90℃±2℃で1時間維持させた。そのときに、ウレアを添加し、その反応物を再び90℃に加熱し、攪拌しながら1時間維持させた。その反応物を氷/水槽上で25℃に冷却させ、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
(実施例12〜18)
【0118】
実施例12〜18は、上記実施例10および11の欄において説明した1段階、または、2段階プロセスのいずれかによって製造した。大豆/ウレアの割合(比率)、および、反応温度だけが変わった。これらの樹脂の特徴を表13に示した。
【0119】
大豆/ウレア/PVAの実施例:ポリ酢酸ビニル(PVA)を含む共接着剤(co−adhesive)、または、増量剤(extender)として機能する大豆/ウレア接着剤の能力を評価するために、いくつかの大豆/ウレア/PVA接着剤の組成物を以下の手順に沿って製造した。
【0120】
製造方法:温度計、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内にPVAを入れた。水槽を用いてその温度を22〜24℃に調整した。大豆/ウレア共接着剤(実施例10〜18から選択されたもの)を、急速に攪拌したPVAエマルジョンに室温で2〜5分間かけて添加した。その混合物を15分間攪拌して、均一状態にした。混合物のpHを測定し、“当初のpH”として記録した。その後、硫酸(50%)を滴下することによって、前記pHを最終的に4.4〜4.6までに低下させた。pHを低下させるのに必要とされる酸の量は、溶液に対する濃硫酸(すなわち、濃硫酸対溶液)を基準として記録した。これらのPVA/大豆/ウレア接着剤をさらに15分間攪拌した後、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
【0121】
考察:大豆/ウレアの際に見られた優れた安定性は、大豆/ウレア/PVA樹脂を用いた場合にも同じく見られた(図14参照)。もっとも、大豆/ウレア/PVAのpH安定性は、ウレア/PVA対照群樹脂に対して遥かに高いものであった(実施例C3)。また、大豆/ウレアのせん断細線化挙動(shear thinning behavior)は減少され、そして、大豆/ウレア/PVA樹脂ではそれ以上全く見られなかった。
【0122】
性能評価(ABES/インストロン方法)
PVAは、その典型的なPVA組成物におけるその湿潤強度があまり知られていない。図15に示したとおり、大豆/ウレア樹脂はまた、反応性架橋剤を添加しない限り、湿潤使用(wet application)に適していない。しかしながら、25〜50%PVAは、(固形分の含量をも低く維持した場合であっても)その乾燥強度における損失を最小限に抑えつつ、大豆/ウレアに置き換えられる。
【0123】
図16は、図15に示す百分率固形分(percent solid)を正規化したチャートである。この図によれば、大豆/ウレアの含量を50%まで上げても乾燥および湿潤強度には大差がなかった。つまり、PVAを50%程度含んだ大豆/ウレア接着剤は、固形分を基準にした場合、その強度がPVAと同等であった。50%ウレア改質PVAサンプルを製造したが、ホットプレス手法(12℃)を用いては前記サンプルを製造することができなかった。それは、これらがプレスから飛び出すからである。それは、可塑化ウレア(plasticizing urea)を用いてTgを低下させたことに起因するものと考えられる。大豆のTgはかなり高いものであるので、大豆/ウレア樹脂を用いたときには、前述した問題は発生しなかった。
【0124】
低(濃度)ウレアーゼ大豆(トースト大豆類)を用いる場合には、簡単な1段階プロセスで行うことができる。図17および図18は、大豆/ウレア生成物に対する温度および段階(1段階対2段階)の効果(影響)を示すものである。その結果から、すべての実施例においてトースト大豆が、トーストされていない大豆(前述したPDIがより高い。)に比べて強度が若干落ちることがわかった。
【0125】
トースト大豆自体を使うという設定の下で、低温樹脂はより強い強度を示すが、そこで最も注目すべき点は、湿潤強度が大きく向上されたことである(実施例15)。これはまた、トースト粉に対して低温の1段階プロセスを用いた場合に、3層(three−ply)サンプルの湿潤強度は驚くべきものであった。
【0126】
評価方法(メープル3層)
せん断ブロック(shear block)を、室温(45分)および150℃の条件の下でプレスされた3層メープルアセンブリ(3−ply maple assembly)から製造した。これらの結果を図19および図20に示し、かつ、表15にまとめた。予想通り、サンプルは、ABES上で製造されたものに比べて遥かに大きかったので、ウレアを添加した際に見られるTg下降(量)は、25%ウレアを含有するサンプルすらホットプレスから取り出されて直ぐにその一部において剥離される程度まで悪化された。ウレアによって改質されたこれらのサンプルは、熱いうちは、これらの低いTgに基づいて、十分な程度の強度を有しない。一般的に、これは、大豆/ウレアサンプル(50%改質されたPVAを除く。)を用いる際には問題となることはなかったが、この実施例においては、大豆/ウレアの比率は0.54という非常に低いものであったので、ウレアの使用量が単にあまりにも多く、それにより、再びTg下降(量)が問題となったものと考えられる。
【0127】
コールドプレスサンプルでは、25%PVAが置き換えられた(つまり、75%PVA)大豆/ウレア/PVA樹脂の能力が、ほとんどのサンプルにおいて匹敵する程度のものであることが分かった。驚くべきことに、この実験において、50%PVAサンプルの場合その性能が決して良くなかったが、それはおそらく、この接着剤に含まれた固形分の含量が低かったためであろう。これらの樹脂に対する木の失敗(wood failure)は全体のデータ範囲内で0〜60%であった。そこで、特別なトレンドは発見できなかった。
【0128】
(表13)
【0129】
(表14)
【0130】
(表15)
(実施例19〜27)
【0131】
架橋剤を含む大豆/ウレア/PVA25/75
PVAエマルジョンに大豆/ウレア接着剤を添加することによって、官能基(官能基;functionality)を樹脂の化学構造に導入した。こうして導入された官能基を用いて、PVA樹脂により優れた防水性を与えることができた。具他的にいうと、大豆、PVA、または両方と反応することができる反応性架橋剤を添加することによって行う。4つの異なる反応性架橋剤をこのシステム(大豆/ウレア)に2.5、および、10%の濃度で添加して、これらの安定した相溶性の(適合性の)エマルジョンに対して湿潤強度を与える可能性について評価した。
【0132】
製造方法:大豆/ウレア/PVA非架橋基礎樹脂を、実施例11と同様に製造した。この樹脂に反応性架橋剤を添加し、急速に攪拌した。この反応性架橋剤を以下のとおり評価した。実施例19に対しては、架橋剤を添加しないで、実施例20に対しては、2.5%PAEを添加し、実施例21に対しては、10.0%のPAEを添加して、実施例22に対しては、2.5pMDIを添加して、実施例23に対しては、10.0%pMDIを添加して、実施例24に対しては、2.5%AR550を添加して、実施例25に対しては、10.0%AR550を添加して、実施例26に対しては、2.5%Arlonを添加して、そして、実施例27に対しては、10.0%Arlonを添加して行った。
【0133】
考察(評価方法−ABES/インストロン):反応性架橋剤を添加した場合、PVAによって改質された接着剤の湿潤強度が向上された。例えば、AR550、および、Arlonを添加したときに、樹脂の湿潤強度には何ら変化も見られなかった(図21)。
(実施例28)
【0134】
大豆/ウレア/PF分散相:大豆/ウレア共接着剤をPVAに添加するほか、フェノールホルムアルデヒド(PF)分散相と共に評価した。
【0135】
(表16)
【0136】
製造方法:PF分散相は、オーバヘッド攪拌機(overhead stirrer)だけを備えた250mL丸底フラスコにおいて室温で製造した。このPF樹脂(実験室において製造されたF/P=2.1、Na/P= 0.2)を室温で表面活性剤とともに前記フラスコの中に入れた。それを2〜3分間攪拌してから、H2SO42.2gを前記急速に攪拌したPF溶液に入れた。このPF樹脂は低粘度を有する白色の分散相に変わった。その後、その分散相に実施例11から得た大豆/ウレア樹脂を5分間かけて入れて、さらに5分間攪拌した。その後、50%H2SO40.9gを用いてpHを調整した。その大豆/ウレア/PF分散相を10分間さらに攪拌した。安定した低粘度の生成物が得られた。この樹脂の特徴を、表17にせん断強度分析結果を通じて示した。
【0137】
(表17)
【0138】
考察(評価方法−ABES/インストロン):大豆/ウレア樹脂の湿潤強度は、分散相状態のPF樹脂を添加することによって大きく改善された。ここで、分散相状態のPF樹脂は架橋剤として機能した。その樹脂は、明るい色を有し、粘度が低く、大豆樹脂において典型的に見られるようなチキソトロピー特性(thixotropic nature)を有する中空性のもの(void)であった。その結果を図22に示した。図22によれば、かかる高大豆改質生成物(high soy modified product)、特に、150℃超の温度で得られた生成物において優れた湿潤強度が見られた。この実施例によって、大豆/ウレアをPF分散相と組み合わせることが実用の面から可能であり、かかる場合に防水性が大きく改善されることが分かった。
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願第60/831,650号(出願日:2006年7月18日)、および、米国仮出願第60/835,042号(出願日:2006年8月2日)に基づく優先権を伴うものである。これらの米国仮出願に記載されたすべての事項は本願の明細書に含まれるものとする。
【0002】
本発明は、安定した大豆/ウレア生成物(SUP)の製造方法、および、ウレア変性大豆粉(urea−denatured soy flour)から得た分散相(dispersion)、または、エマルジョン(emulsion)状態のポリマー(SUPD)を有する安定した大豆/ウレア生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
たんぱく質を含む大豆粉由来の接着剤は、1920年代にようやく一般に使用されるようになった(米国特許第1,813,387号、第1,724,695号、および、第1,994,050号)。接着剤として使用するに適した大豆粉は、現在に至るまで大豆からオイルの一部または大部分を除去し、残留物として大豆ミール(soy meal)を得てから、さらにそれをすりつぶして極めて微細な大豆粉にすることによって得ることができる。通常、押出/抽出法がまたオイルの除去に適した手段ではあるものの、押しつぶされた大豆から大部分の非極性オイルを抽出するのにヘキセン(hexane)が用いられる。
【0004】
それによって得られた大豆粉は、その後アルカリ剤で変性され(つまり、たんぱく質の2次、3次、および/または、4次構造が変わって、結合可能な更なる極性官能基が露出される。)、かつ、ある程度加水分解されて、乾燥した条件の下での木材接着(wood bonding)の用に供される接着剤を形成する。しかしながら、このような初期大豆接着剤は防水性に欠け、その使用は室内用(interior application)に限られていた。
【0005】
大豆接着剤は、限られたポット寿命(pot life)を有する。わずか数時間経過後に、アルカリ変性大豆粉混合物の粘性、および、性能は著しく落ちてしまう(図1参照)。それは、大豆粉が加水分解を受けた結果と考えられ、2次、3次、および、4次構造における過度な分解は、十分な接着性、および、粘着性結合を形成するにあたって重要な特徴とされている。したがって、2次/3次/4次構造における変性および保持(retention)は、接着性に欠かせないものと考えられる。
【0006】
1920年代では、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)、および、ウレア−ホルムアルデヒド(UF)接着剤樹脂が始めて開発された。フェノールホルムアルデヒド、および、改質ウレア−ホルムアルデヒド樹脂は外部的には耐久性を有するものであったが、その原材料(当初からその用途が限られている。)のコストが高い。第二世界大戦中、防水性、および、耐候性(外部的耐久性を含む。)に優れたこれらの接着剤についての研究が盛んに行われた。しかしながら、たんぱく質系接着剤、主に大豆系接着剤は、さまざまな内部材(室内用部材)として使用し続けられている。
【0007】
エマルジョンタイプのポリマーがまた広く使われるようになった。エマルジョン重合化(emulsion polymerization)を使用して、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリクロロプレン(PC)、様々なアクリレート類、様々なスチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体樹脂などの高体積ポリマー(high volume polymer)を製造することができる。エマルジョン重合化はまた、メチルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、および、スチレンなどを重合するのに用いられる。過去10年間、これらのエマルジョンタイプのポリマーと大豆系接着剤とを組み合わせることについての関心が高まった。それは、大豆系接着剤の場合、コストを低く抑えることができ、そして、室内用部材としてホルムアルデヒドを含まない接着剤が強く求められていたからである。インテリアー用のベニヤ板(plywood)、中質繊維板(MDF)、および、パーチクル・ボード(PB)は主にウレア−ホルムアルデヒドを用いて製造されているのが現状である。これらの樹脂は、非常に強く、早く硬化し、そして、使いやすいといった利点を有するが、ポリマー骨格に沿った加水分解安定性に欠けている。それは、大量の遊離ホルムアルデヒドが完成品から放出されてしまうことに起因する。最終的には、そこに住む人々に吸入されることになる。住宅用内部材にこれらの樹脂の使用を禁止するいくつかの法的措置がとられている。(カリフォニア州関連法−CARB、2007)
【0008】
大豆系接着剤は、出発物質として大豆粉、大豆たんぱく質濃縮物(SPC)、または、大豆たんぱく質単離物(SPI)を使用することができる。簡単に言えば、本明細書において、大豆粉は、炭水化物を20%超含有する全ての大豆産物を指す。大豆粉はSPIより安価だが、その大豆粉はしばしば高濃度の活性ウレアーゼ(ウレアをアンモニアに分解する酵素)を含有し、それにより、最終生成物の粘度/固体比(solid ratio)、または、性能を毀損しないで、そのウレアーゼだけを変性させる(分解させる)必要がある。大豆粉はまた高濃度の炭水化物を含有するので、より複雑な架橋技術が必要となる(なぜならば、これらの炭水化物を架橋させた場合に、大豆系接着剤の防水性が著しく改善されるからである。)
【0009】
炭水化物は、大豆粉において、水溶性、および、水難溶性部分として存在する。この水難溶性炭水化物は主に少量のセルロースを含むヘミセルロースである。水溶性部分は主にスクロース(sucrose)、ラフィノース(raffinose)、スタチオース(stachyose)からなる。大豆粉の熱処理(thermal processing)は、重要な炭水化物−たんぱく質間の反応を引き起こす。これらの反応は、様々な形態を有しており、一般的にマイラード反応(Maillard type reaction)と呼ばれることが多い。
【0010】
SPCは大豆粉に比べて大量だが、SPIに比べて少量のたんぱく質を含有する。通常、SPCは、アルコール洗浄(alcohol wash)を行うことによって可溶性炭水化物を除去して製造される。
【0011】
SPIは、一般的に、等電沈殿法(isoelectric precipitation)によって製造される。この方法は、可溶性糖類(sugar)を除去するだけでなく、何ら改質も行わずに接着性に最適な高分子量たんぱく質を主に残しつつ、より多くの可溶性の低分子量たんぱく質を除去することである。その結果、SPIから向上した耐久性を有するより強い接着剤を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願第2004−0089418号
【特許文献2】米国特許第6,597、760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、改善された湿潤および乾燥強度を有する安定した接着剤を製造する方法を提供する。かかる方法は、変性され、かつ、ウレアーゼ活性を実質的に持たない程度まで大豆粉を加熱し、その後、前記変性された大豆粉にウレアを添加して安定した大豆系接着剤を形成することを含む。ここで、大豆系接着剤は大豆/ウレア生成物(SUP)とも呼ばれる。
【0014】
“安定した”とは、少なくとも数ヶ月間粘性およびpH安定性を保持する接着剤のことを指す。“pH安定性”とは、少なくとも20日間にわたってpHが一ユニット内で留まることを指す。“粘性安定性”とは、少なくとも20時間にわたって500センチポアズ以内のブルックフィールド粘度を指す。“実質的に存在しない(実質的にない)”とは、従来のテストの結果、大豆粉にウレアーゼが有意に存在しないことを意味する。通常、時間の経過に対するpHの変化によって測定される。したがって、実質的にウレアーゼ活性のない大豆粉は、ウレアの存在下で室温にて30日間にわたって一ユニット未満のpH変化を示す。
【課題を解決するための手段】
【0015】
大豆粉は、40℃〜100℃に15〜500分間加熱することによって変性される。その大豆粉は、炭水化物20%以上含有する。
【0016】
大豆粉をそのような高温条件下に置くと同時に、ウレアを添加して大豆粉を変性させる。ここで、ウレアを、1部の大豆に対して、0.25〜5部の割合で添加することが好ましい。この実施例において、1部のウレアを1部の大豆に添加したが、別の実施例においては、2部のウレアを1部の大豆に添加して、安定した大豆/ウレア生成物(SUP)を製造することもできる。
【0017】
さらに、本発明は、SUPに架橋剤を添加することを含む。この架橋剤は、メチルジフェニル・ジイソシアネート(pMDI)、アミン−エピクロロヒドリン付加物、エポキシ、アルデヒド、または、ウレア−アルデヒド樹脂、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれた非ホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。この架橋剤はまた、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることが好ましい。しかしながら、SUPは、コスト削減の観点から、従来の接着剤をカバーできるもっとも少量で添加することも可能である。
【0018】
本発明は、SUPに希釈剤を加えることも含む。この希釈剤は、反応性、または、非反応性で、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、および、これらのポリマーからなる群から選ばれたものであり得る。最終的なpHは、従来の酸、または、塩基を使って調整することができる。
【0019】
本発明は、SUPを添加して、安定したウレア/大豆生成物の分散相、または、エマルジョン(SUPD)を形成することによって、安定した水性の接着剤分散相、または、エマルジョン樹脂を製造する方法を提供する。かかる方法は、大豆粉を加熱して、ウレアーゼを実質的に含まない変性大豆粉を得るステップと、ウレアを加えてSUPを形成した後、エマルジョンまたは分散相状態のポリマーと組み合わせて、安定した大豆/ウレア生成物分散相またはエマルジョン(SUPD)を形成することを含む。
【0020】
この大豆粉は、少なくとも20%の炭水化物を含有し、かつ、40℃〜100℃に15分〜500分間加熱することによって変性されたものである。
【0021】
1つの実施例において、前記変性大豆粉を40℃〜100℃で加熱しながら、前記変性大豆粉にウレアを加えることができる。前記変性大豆粉1部あたり前記ウレア0.25部〜5部の割合となるように、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることができる。
【0022】
SUPは、エマルジョンまたは分散相状態のポリマーに添加されて、その結果、SUPDを形成する。ポリ酢酸ビニル、または、フェノールホウムアルデヒド分散相を含めて、いずれのエマルジョンまたは分散相状態のポリマーも、本発明のSUPによって改質することができる。
【0023】
この方法は、前記大豆/ウレア分散相に架橋剤を加えることを含み得る。この架橋剤は、メチルジフェニル・ジイソシアネート(pMDI)ポリマー、アミン−エピクロロヒドリン付加物、エポキシ、アルデヒド、または、ウレア−アルデヒド樹脂、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれた非ホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。この架橋剤はまた、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であり得る。前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることが好ましい。
【0024】
本発明に係る方法は、前記大豆/ウレア分散相を凍結乾燥させて、粉状の接着剤を生成することを含み得る。
【0025】
米国特許出願第2004−0089418号(リら)には、ポリアミド−アミン エピクロロヒドリン(polyamide−amine epichlorihydrin)系樹脂(PAE)で架橋された大豆たんぱく質が記載されている。この文献には、紙または木に対する湿潤強度添加剤(wet strength additive)として知られているこれらの所定のPAEが、たんぱく質官能基と反応することができるということが記載されている。また、この文献には、加温条件下でSPIをアルカリで変性させ、その後、適当なPAE樹脂と組み合わせて、防水性の結合(接着;bond)を形成することについても記載されている。この水性大豆溶液は、適当なポット寿命を維持できるように、共重合(または、凍結乾燥)直前に製造されなければならない。この発明においては、ウレアを添加することで大豆粉(たんぱく質、および、炭水化物の両方を含む。)を改質することを試みたが、その結果、匹敵する程度の大豆/PAEの割合(比率)で安定性が増加された。そのうちもっとも目立ったのが相容性(compatibility)である。そのときに、硬化された樹脂の湿潤および乾燥強度に大きな変化は見られなかった。
【0026】
さらに、前記文献には、PAEを含む大豆炭水化物については何ら記載されていない。前記文献には、変性過程の重要性を減らすためにSPIを使用することについて教えているだけである。なぜならば、たんぱく質は広範囲に及ぶ熱履歴を示すものであるからである。対照的に、製パン用大豆粉(均一状態)は、変性ステップ、および、架橋剤の添加がなければ、ある程度の接着性も示さない。前記特許文献にはこのような記載も示唆もない。
【0027】
米国特許第6,597、760号(サンら)には、接着剤を製造するための出発物質としてSPIを使用することが記載されている。この文献には、大豆粉を改質することができる点については記載があるが、ウレアを利用する点については何ら記載されていない。ウレアは、ウレアーゼ活性が全くないか、あるいは、ほとんど存在しない接着剤(例えば、SPI)に対する周知の変性剤である。しかしながら、ウレアは、中等度ないし高含量のウレアーゼ活性を有する大豆粉に対する有効な変性剤としては全く知られていない。SPIがウレアによって変性され得ることは知られているが(Kinsella, J. Am. Oil Chem.Soc, March 1979, 56:244)、前記特許文献には、大豆粉を含むウレアの使用について何ら記載されてなく、示唆もされていない。それは、ウレアーゼ活性のためである。しかしながら、本発明は、ウレアが、従来技術において使用されていた温度より高温条件で、通常、少量のウレアで大豆粉を変性し、かつ、溶媒和するのに有効に用いることができるということを見出した。
【0028】
本発明では、大豆のたんぱく質を溶媒和し、かつ、変性させるためにウレアを使用し、それにより、接着(adhesion)、および、架橋(cross−linking)により容易に接近可能な所定の官能基を作ることができた。AEおよびPAE(広く、アミン−エピクロロヒドリン付加物、および、ポリアミン−エピクロロヒドリン付加物と定義される。)、ポリイソシアネート、エポキシド、および、ホルムアルデヒド樹脂はこの技術分野において通常使用されているものである。しかしながら、本発明に係る安定したウレア変性大豆系生成物(SUP)は、適当な架橋剤を添加する場合であっても、添加しない場合であっても、向上された相溶性(compatibility)、安定性を示す。さらには、優れた生物学的耐性を示す。
【0029】
事実上、本発明にかかる安定したウレア−変性大豆粉系接着剤生成物(SUP)はすべて、少なくとも数ヶ月間にわたって向上された生物学的耐性を示す。このような特性は、水性条件で使用されるような大豆たんぱく質にはとても期待できないものであった。また、この特性は、使用された大豆のタイプとは関係ない。たんぱく質分散指数(dispensability index)(PDI)が高いか、または、低いか、そして、たんぱく質の含量が高いか、または、低いかに関係なく、すべての大豆粉は、ウレアーゼ活性が有意に減少される限り、同等の効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
こういった改善・改良された方法は、従来技術に対しいくつか有利な効果をもたらす。第一に、本発明のSUP/SUPDは、その他の大豆系接着剤に比べて粘度が遥かに低い。その結果、移動しやすく、また、塗りやすい。第二に、本発明のSUP/SUPDは、生物学的分解に対し高度の耐性を有する。第三に、本発明のSUP/SUPDは、固形分の含量が多い。第四に、本発明のSUP/SUPDは、所定の架橋剤に対する反応性が高く、かつ、貯蔵寿命が長い。最後に、本発明のSUP/SUPDは、別の殺虫剤などを使うことなしに、優れた生物学的耐性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、NaOHを利用した大豆粉の変性プロファイルを示すものである。
【図2】図2は、時間の経過に対する大豆/ウレアのpH安定性を示すものである。
【図3】図3は、時間の経過に対する大豆/ウレア生成物の粘度安定性を示すものである。
【図4】図4は、時間の経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)の生成物の粘度安定性を示すものである。
【図5】図5は、時間の経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH4.5)のABES強度向上を示すものである。
【図6】図6は、時間に経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH7.0)のABES強度向上を示すものである。
【図7】図7は、時間の経過に対し、5%、および、20%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)の生成物(pH10.0)のABES強度向上を示すものである。
【図8】図8は、時間に経過に対し、5%PAEを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH4.7)のABES強度向上を示すものである。
【図9】図9は、大豆/ウレア/PAE生成物のABES/インストロン湿潤強度、および、乾燥強度を示すものである。
【図10】図10は、ABES/インストロン湿潤強度保持力(保持率)を示すものである。
【図11】図11は、時間の経過に対し、pMDIを用いた大豆/ウレア(1:1)生成物(pH7.0)のABES強度向上を示すものである。
【図12】図12は、20%pMDIおよびPAEを用いた場合のABES強度向上比較した結果を示すものである。
【図13】図13は、様々なたんぱく質含量を有する大豆生成物に0.5%PAEを添加することによってもたらされるABES/インストロン湿潤強度向上効果を示すものである。
【図14】図14は、PVA/大豆/ウレア樹脂の粘度およびpH安定性を示すものである。
【図15】図15は、PVA/大豆/ウレア樹脂のABES/イントロン乾燥/湿潤強度を示すものである。
【図16】図16は、PVA/大豆/ウレア樹脂(固形分が規格化されたもの)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図17】図17は、PVA/大豆/ウレア樹脂(低ウレアーゼ大豆)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図18】図18は、PVA/大豆/ウレア樹脂(全て75%PVA)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図19】図19は、PVA/大豆/ウレア樹脂(メープル)のホットプレス3層(板)せん断強度(乾燥/湿潤)を示すものである。
【図20】図20は、PVA/大豆/ウレア樹脂(メープル)のコールドプレス3層(板)せん断強度(乾燥/湿潤)を示すものである。
【図21】図21は、架橋剤によって改質されたPVA/大豆/ウレア樹脂(すべて75%PVA)のABES/イントロン乾燥/湿潤せん断強度を示すものである。
【図22】図22は、大豆/ウレア/PF分散相のABES/インストロン分析結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
大豆粉は、適切に変性された場合に、優れた接着剤である。いったん変性されてしまうと、その大豆粉に含まれたたんぱく質は、その天然の構造から非コイル状に変わり、それにより、たんぱく質の主鎖に存在するより多くの親水性アミド基が露出されることになる。変性の程度を制御することは、強度および安定性に優れた接着剤を製造するにあたって重要である。
【0033】
大豆粉が水溶液中で40〜100℃に15〜500分間加熱されると、熱変性され、かつ、実質的に(相当量の)ウレアーゼが除去された大豆粉の溶液が得られる。一例を挙げると、多量のウレアーゼを含む大豆粉は90℃で60分間加熱され得るが、少量のウレアーゼを含む大豆粉は50℃で60分間加熱され得る。変性が絶対的に必要とされる時点まで大豆粉を加熱する間に、大豆粉を変性させるに必要とされる高温での持続時間(加熱時間)は、必要とされる変性、および/または、改質の程度によって異なってくる。大豆粉を変性させるに必要とされる時間は、更なる防水性を導入するために(所定の場合)選択された架橋剤のタイプにもよる。
【0034】
しかしながら、熱変性大豆粉は、粘度が高く、そして、固形分の含量が低く、それによって、運搬・保存し難く、わずか数時間で劣化し始めるか、または、使えなくなってしまう。しかし、この熱変性され、かつ、実質的にウレアーゼを含まない大豆粉にウレアを添加して安定したウレア/大豆生成物(SUP)を製造することによって、粘度を下げることができるだけでなく、意外なことに、水性生成物の生物学的な耐性を大きく改善することができる。さらに、SUPの粘度、および、pH安定性は、架橋剤が添加された場合であっても、従来の大豆接着剤に比べて大きく向上された。ウレアを添加することは、接着剤の粘度の制御、相溶性または適合性(compatibility)、安定性、および、溶解性(これは適当な架橋剤に対する反応性を増加させる。)に重要であるが、ウレアは、ウレアーゼ活性を減らすために大豆粉がひとまず熱変性された後にのみ添加することができる。
【0035】
ウレアの含量は、最終的に得た接着剤樹脂のガラス転移温度(Tg)、または、流動特性を制御するために調整することができる。これによって、SUP、または、SUPDは噴霧塗布され、かつ、有用な粒状の接着剤樹脂に転換され得る。また、ウレアを添加することによって、特定の架橋剤と組み合わせられた場合であっても、pH安定性、および、粘度の双方が改善され、かつ、生物学的耐性が改善される。生物学的耐性は、カビの生育、および/または、悪臭の生成物を生じるような分解が抑えられた状態を意味する。
【0036】
通常、ウレアは、40〜100℃の温度において実質的にウレアーゼが存在しない熱変性大豆粉に添加される。一例において、ウレアは、ウレアーゼを含まない粉に対しては、75〜90℃の温度で添加されたが、少量のウレアーゼを含む粉に対しては、45〜55℃の温度で添加された。SUPを生成するためには、約15〜500分間反応させる必要がある。
【0037】
ウレアは、溶媒和、化学反応、変性、および、生物学的耐性を含めて、これらの生成物におけるいくつかの目的に寄与し得る。これらの寄与の程度は知られていないが、それらの4つの異なる特性はそれぞれ異なる程度であろう。熱変性大豆粉に添加されたウレアの量は、大豆粉1部に対し約0.25部(s/s)〜約5部である。最も好ましくは、大豆粉1部に対しウレア約0.5〜2部(s/s)が添加される。ウレアの量は、接着剤のTgまたは流動特性を制御するために調整することができ、それにより、この技術を噴霧乾燥/凍結乾燥に適用することができ、かつ、有用な粉状接着剤に転換させるのに適用することもできる。
【0038】
高温でウレアを添加した場合、低粘度混合(low viscosity mixing)ができると共に、ウレアは大豆粉成分と反応することができる。その結果、例えば、大豆粉のたんぱく質のカルバミル化(carbamylation)が起こる。文献[Stark G.R. et al., J. Biological Chemistry 235(11): 3177−3181 Nov. 1960]参照。ウレアーゼ活性が低い大豆粉の場合、プロセスは1段階プロセスに単純化され得る。ここで、ウレアおよび大豆は室温で結合され、その後、所定の温度に加熱される。しかしながら、たんぱく質の含量が高く、かつ、ウレアーゼ活性が高い粉を用いた場合に、より優れた接着性が得られる。一部の用途においては、希釈剤(diluent)または、腐食剤を添加することによって、粘度、或いは、用途、および/または、架橋剤によってより好ましい状態などを提供することが望ましい。しかしながら、接着剤に過量の腐食剤を添加した場合に、大豆たんぱく質における3次構造/4次構造が破壊(分解)される可能性があると共に、すぐにアンモニアガス(ammonia off−gassing)が生じ、ひいては、接着剤の性能が著しく落ちてしまう。これらの接着剤のpHは10未満であることが好ましく、一例においては、pHが5以上10以下である場合に最も優れた安定性、および、相溶性(適合性)が得られる。しかしながら、特定のSUPDシステムに対しては、pH5未満もあり得る。
【0039】
本発明のSUPは、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVA)エマルジョン、および、フェノールホルムアルデヒド分散相(PFD)のような任意のエマルジョンまたは分散相状態のポリマーに添加されて、安定したSUPDを形成することができる。通常、エマルジョン化されたポリマーに改質大豆粉(unmodified soy flour)、または、NaOHによって変性された大豆粉を添加した場合に、安定性および相溶性(適合性)に欠けた樹脂が得られる。
【0040】
本発明のSUPをエマルジョン状態、または、分散相状態のポリマーに添加することは、市販されている混合用タンク(mixing tank)、薄型タンク(thin tank)、または、反応器において使用可能な簡単な混合技術によって行うことができる。この混合物(blend)の温度は、重要ではないが、一般的に室温である。そういった方法は、高温でエマルジョン状態、または、分散相状態のポリマーとSUPを結合させることも可能であり、ひいては、好ましいともいえる。酸または塩基を用いて行う最終的なpHの調整は、SUPDの最適な安定性を確保するにあたって必要とされ得る。しかしながら、これらの調整は通常まれであり、大豆/ウレア成分に対してよりもエマルジョン、または、分散相を安定化するために行うのが多い。
【0041】
本発明のSUPまたはSUPDは、そのまま使用することも可能だが、適当な架橋剤を添加することによってそれをさらに改善することができる。架橋剤のタイプ、および、その使用量は、大豆粉に含まれた炭水化物の含量に依存し得る。例えば、大豆粉に含まれた炭水化物の含量は、1〜60%であり、その含量は、大豆粉の前処理によって異なってくる。ある大豆粉(即ち、大豆たんぱく質濃縮物−SPC)は、通常炭水化物を15〜30%含有する一方で、別の大豆粉の場合炭水化物の含量が40〜50%である。別の例を挙げると、大豆粉は炭水化物の含量が20%である。炭水化物が大豆粉において防水性を悪化させる主な原因となっているため、これらの炭水化物の架橋を行うことによって、接着剤の強度(乾燥強度、および、湿潤強度)をさらに改善することができる。その他、炭水化物の架橋を行うことによって、吸水性(water uptake)、および、膨潤性(swelling)を抑えることができる。参考までに、これらの吸水性および膨潤性は接着剤の剥離(脱結合)を促し得る。
【0042】
架橋剤はホルムアルデヒドを含んでも良く、含まなくても良い。多くの内部材としてはホルムアルデヒドを含まない架橋剤のほうが望ましいものとされているが、ホルムアルデヒドを含む架橋剤もまた一部の外部材としての用途に適している。本発明の接着剤に使用することができる非ホルムアルデヒド架橋剤としては、例えば、大豆粉と反応することができるメチルジフェニル・ジイソシアネート(pMDI)、アミノ−エピクロロヒドリン(amine−epichlorihydrin)樹脂、エポキシ、アルデヒド、アルデヒドスターチ、および、ウレア−アルデヒド樹脂などがある。アミン−エピクロロヒドリン樹脂は、エピクロロヒドリンとアミノ官能性化合物との反応を通じて製造されるものとして定義される。これらの例としては、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)、ポリアルキレンポリアミン−エピクロロヒドリン(PAPAE樹脂)、アミンポリマーエピクロロヒドリン樹脂(APE樹脂)などがある。PAE樹脂の例としては、2次アミン系アゼチジニウム(azetidinium)官能性PAE樹脂(例えば、Kymene(登録商標)557H,Kymene(登録商標)557LX,Kymene(登録商標)617、Kymene(登録商標)624、および、ChemVisions(登録商標)CA1000など(以上、デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手可能)、3次アミンポリアミド系エポキサイド−官能性PAE樹脂、および、3次アミンポリアミドウリレン系エポキサイド(tertiary amine polyamidourylene−based epoxide)官能性PAE樹脂(例えば、Kymene(登録商標)450(デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手可能)などがある。適当な架橋剤PAPAE樹脂として、例えば、Kymene(登録商標)736(デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手可能)がある。Kymene(登録商標)2064樹脂は、デラウェア州、ウィルミングトンに所在するHercules社から入手することができるAPE樹脂である。これらは広く知られ、かつ、市販されているものである。これらの化学的構造、および、特性については、例えば、文献[H. H. Espy, “Alkaline−Curing Polymeric Amine−Epichlorohydrin Resins”, in Wet Strength Resins and Their Application, L. L. Chan, Ed., TAPPI Press, Atlanta GA, pp. 13−44 (1994)]を参照することができる。また、非ホルムアルデヒド架橋剤として、特許文献米国特許第3,494,775号明細書に記載されたような低分子量アミン−エピクロロヒドリン濃縮物を使用することができる。ホルムアルデヒドを含む架橋剤として、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、それらを組み合わせたものを用いることができる。
【0043】
架橋剤の役割は、そのタイプに関係なく、接着剤内において架橋濃度を増加させ、Tgを増加させると共に、溶解度を減少させ、それによって、乾燥、および、湿潤強度を高めることである。かかる効果は、1分子あたりいくつかの反応座(reactive site)を有する架橋剤を使用することによって最大化することができる。例えば、一例において、ホルムアルデヒドを含まない架橋剤は、PAEを0.1〜80%含有するし、ホルムアルデヒドを含む架橋剤はフェノールホルムアルデヒドを1〜90%含有する。
【0044】
架橋剤は、通常接着剤を適用(塗布)する直前にSUPまたはSUPDに添加されるものである。しかしながら、架橋剤は、場合によっては、数日、または、数週前に添加されることもある。最終的な接着剤の有効期限(貯蔵期限)は、変性条件、並びに、使用された架橋剤のタイプおよび使用量によって変わってくるが、数日以上であり得る。したがって、著しく改善された粘度安定性は、アルカリ変性生成物(図1参照)に比べて、本発明の方法を用いることによって得られる。例えば、従来のアルカリ変性接着剤は、架橋剤を添加しない場合であっても、通常数時間有効なものであった。それは、優れたたんぱく質接着剤の強度に必修的なたんぱく質の3次/4次構造の迅速な損失を伴う加水分解、および/または、過度の変性に起因したものである。
【0045】
架橋剤に加えて、多数の反応性または非反応性希釈剤(diluent)が、本発明のSUP/SUPD接着剤に添加され得る。このような希釈剤は、より良い溶媒和物(solvate)の生成に寄与し、さらには、大豆/ウレア接着剤の物理的特性を変性し、または、改質する役割をする。可能な希釈剤としては、ポリオール類、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、または、その他のヒドロキシル含有モノマーまたはポリマーなどがある。これらは、消泡剤、湿潤剤などで利用することができる。これらは当業者に広く知られている。これらの希釈剤/添加剤の添加量(含量)は、総添加剤のうち0.1〜70%であり得る。これらの希釈剤/改質剤は、ウレアーゼを不活性化するための加熱ステップを行う前に、その途中、または、その後に添加することができる。
【0046】
本発明の接着剤は、適当な基質に対して適用することができる。そのとき、接着剤の添加量は1〜25重量%、好ましくは、1〜10重量%、最も好ましくは、2〜8重量%であり得る。ここにいう適当な基質の例を挙げると、リグノセルロース物質、パルプ、または、ガラス繊維などがある。しかし、この発明に使用される基質がこれらの例に限られるものではない。接着剤は、従来技術、例えば、ローラコーティング(roller coating)、ナイフコーティング(knife coating)、圧出、カーテンコーティング(curtain coating)、フォームコーター(foam coater)、および、噴霧コーター(spray coater)例えば、回転円板樹脂塗布器(spinning disc resin applicator)によって塗布され得る。
【0047】
ウレア接着剤を用いて、文献[“Wood−based Composite Products and Panel Products”, Chapter 10 of Wood Handbook − Wood as an Engineering Material, Gen Tech. Rep. FPL−GTR−113, 463 pages, U.S. Department of Agriculture, Forest Service, Forest Products Laboratory, Madison, WI (1999)]の記載とおりリグノセルロース複合体(lignocellulosic composite)を製造した。数多くの物質、例えば、パーティクルボード(particle board)、配向ストランドボード(oriented strand board; OSB)、ウェハーボード(wafer board)、ファイバーボード(fiber board)、積層ストランドルンバー(laminated strand lumber; LSL)などは、本発明の接着剤を用いて製造することができる。リグノセルロース物質,例えば、木(材)、木のパルプ、米、小麦、または、大麦のわら(straw)、アマ、アサ、および、バガスなどは、本発明から熱硬化性生成物を製造するに用いることができる。このようなリグノセルロース生成物は、概して粉状、粒状、繊維状、チップ(chip)状、フレーク繊維(flake fiber)状、ウェハー(wafer)状、トリム(trim)状、シェービング(shavings)状、おがくず(sawdust)状、わら(straw)状、柄(stalk)状、または、破片(shives)状(断片状)の基質と接着剤を配合し、それによって得られた配合物を加熱して硬化させることによって製造される。リグノセルロース物質の水分含量は、接着剤と配合される前に2〜20%でなければならない。この接着剤組成物はまた、合板、または、積層ベニヤ木材(laminated veneer lumber; LVL)を製造するのに使用され得る。この接着剤組成物をベニヤ表面に対し、ローラコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、または、噴霧コーティングによって塗布する。その後、複数のベニヤは重ねて、所定の厚みを有するシートを形成する。その後、そのマットまたはシートを加熱プレス(例えば、圧板)に配置する。それによって、圧縮されたマットまたはシートはボード内に圧密され、かつ、硬化される。ファイバーボードは、乾燥フェルト(dry felted)/乾燥プレス(dray pressed)法、または、湿潤フェルト/乾燥プレス法によって製造される。
【0048】
リグノセルロール基質のほか、接着剤は、ガラスウール(grass wool)、ガラス繊維、および、その他の無機材料のような基質に対しても使用することができる。本発明の接着剤は、リグノセルロースと、無機基質とを組み合わせたものに対しても使用することができる。
【0049】
大豆粉/ウレア接着剤について、以下の特性を評価した。
【0050】
1)物理的特性
ブルックフィールド粘度(生成物の粘度に基づくスピンドール1−4を備えたLVT@30および60RPM;オーブン固形分)、pH、および、室温粘度、および、生物学的安定性(大豆の腐敗が明らかに始まると判断されたとき)が、われわれが考える主な特性である。ここで、オーブンでウレアを処理すること(150℃/1時間、および、125℃/1.25時間)によって、所定量の自由ウレアが失われるが、それによって、なぜ理論値が実測値より高いのかが説明できる。)
【0051】
2)乾燥強度の向上−AES社製の自動結合(接着)評価システム(Automated Bonding evaluation system; ABES)を用いて押圧された(すなわち、プレスされた)2つの層(板)のせん断強度
これは、所定のプレス時間/温度の条件下で時間が経過するにつれて向上される接着結合の強度を測定するために行った。すべての実施例に対し120℃の温度を適用した。時間の関数として、異なる接着剤の相対的強度増加を測定(決定)するために、その結果を時間に対してプロットした。標本は、HRT ABES/インストロン方法にしたがって製造されたが、テストは、プレス後数秒以内にABESユニット自体内で行われた。
【0052】
3)湿潤強度保持力
ぬれ過程(wetting process)、および、乾燥過程(drying process)において、接着剤が、木−接着剤間の界面にたまるストレスを適当に分散することができなかった場合に、湿潤失敗(wet failure)がたびたび起こる。湿潤強度保持力は、水づけ後に保持される乾燥強度の百分率として計算される。
【0053】
4)内部用合板の検定
後述するダグラスファー3層法(Douglas Fir 3−Ply preparation procedure)に基づいて製造したサンプルを、内部材用の合板に対する標準にあたるANSI/HPVA HP−1−2004 4.6“3回ソークテスト(Three−cycle Soak Test)”を行った。
【0054】
サンプルの製造:イースタンホワイトパインベニヤ(Eastern White Pine veneer)から入手した自動結合評価システム(ABES)打抜き装置を用いて、木からなるサンプルに対して打ち抜き加工を行った。その結果、最終的にグレーン(grain)に沿って11.7cm、このグレーンに対し垂直方向に2.0cm、そして、厚み0.08cmのものを得た。テストすべき接着剤をこのサンプルの一端に塗布して、重なっているすべての面積がカバーできるようにした。その範囲は、概して3.8〜4.2mg/cm2(湿潤時)であった。その後、このサンプルを第2のベニヤに接着させ(よりよい移行のために15秒未満の開放時間(open time:“オープンタイム”、または、“風乾時間”とも呼ぶ。)を設ける。)、その後、接着されたサンプルの重なった面積が1.0cm×2.0cmとなるように、ABESユニット内に配置した。特段の事情がない限り、すべてのサンプルを、120℃で2.0分間プレスした。この際に加えられる圧力は、9.1kg/cm2であった。その後、接着された(すなわち、結合された)すべてのサンプルを、22℃の温度、および、50%の相対湿度という調整された雰囲気下で少なくとも48時間放置した。
【0055】
強度テスト
すべての樹脂に対し、前述したとおり、10個のサンプルを製造した。前記調整後、10個のサンプルのうち5個に対し、クロスヘッド速度10mm/分でインストロン1000を用いて、テストを行った。サンプル破損直後の最大負荷を記録した。これらを乾燥強度サンプル(dry sample)と呼んだ。残りの5個のサンプルは、22℃の水槽内に4時間維持させた。水槽からこれらのサンプルを取り出してからすぐに前述したとおりテストを行った。これらのサンプルを湿潤サンプル(wet sample)と呼んだ。特殊なグリップを製造して、これらの薄いサンプルがインストロン内で保持できるようにした。各樹脂に対し、5個のサンプルの平均値を記録した。記録されたエラーは標準偏差である。この方法の変動係数(coefficient of variation; COV)は、乾燥評価および湿潤評価の両方に対して15%程度であった。この結果に基づくと、木自体内の変動性の観点から優れたものと考えられる。
【0056】
ダグラスファー3層製造方法
サンプルの製造:使用されたベニヤは、8”×8”で、その厚みが1/6”のダグラスファー(であった。テストすべき接着剤をまず中間ベニヤにおける一方の面に塗布した。その後、上部ベニヤをこの面上に配置させ、2つのベニヤ(上部ベニヤ、中間ベニヤ)のグレーン(grain)が互いに垂直をなうようにした。このプロセスには特に開放時間を設けなかった。その後、この接着剤を前記中間ベニヤにおける他方の面に塗布した。その後、底部ベニヤをこの面上に配置させ、これらの2つのベニヤ(底部ベニヤ、中間ベニヤ)のグレーンが互いに垂直をなうようにした。通常の接着剤負荷量の範囲は、接着層(glueline)あたり21.5〜22.5mg/cm2(湿潤時)であった。その後、組み立てられた3層に対し、150℃にて11.0kg/cm2の圧力を5分間加えた。テストをする前に、前記サンプルを26℃の温度、および、30%の相対湿度の雰囲気下で少なくとも48時間調整した。
【0057】
サンプルテスト:ANSI/HPVA HP−1−2004. 4.6の“3回ソークテスト”に基づいてこれらのサンプルをテストした。
【0058】
メープル3層製造方法(Maple 3−Ply Preparation Procedure)
サンプルの製造:使用されたベニヤは、8”×8”で、その厚みが1/6”のメープルベニヤであった。テストすべき接着剤をまず中間ベニヤにおける一方の面に塗布した。底部ベニヤを、前記中間ベニヤにおける前記接着剤を塗布した面上に配置して、2つのベニヤのグレーンが互いに垂直をなうようにした。このプロセスには特に開放時間を設けなかった。こうして製造した2層アセンブリをひっくり返して、中間ベニヤが上にくるようにした。その後、この接着剤を前記中間ベニヤにおける他方の面に塗布し、そして、上部ベニヤをこの面上に配置させた。この時、これらの2つのベニヤ(中間ベニヤ、上部ベニヤ)のグレーンが互いに垂直をなうようにした。通常の接着剤負荷量の範囲は、接着層(glue line)あたり21.5〜22.5mg/cm2(湿潤時)であった。その後、組み立てられた3層に対し、150℃で11.0kg/cm2の圧力を5分間加えた。テストをする前に、これらのサンプルを26℃の温度、および、30%の相対湿度の雰囲気下で少なくとも48時間調整した。
【0059】
サンプルテスト:サンプルは、ASTM D905に基づいてテストされた。
【0060】
後述する実施例は、本発明に係る第4の実施形態を示すものである。しかしながら、これらの実施例は、あくまで例示のために示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を制限するものと解されてはならない。これらの実施例に示す原料は次のとおりである。
【0061】
大豆粉は、ADM社(Decatur, IL)製のA7B等級(水分含量4.7%)、および、Cargill社(Minneapolis, MN)製のトースト大豆CG4を使用し;大豆たんぱく質濃縮物(SPC)は、ADM社製(AVF)を使用し;大豆たんぱく質単離物(SPI)は、ADM社製のSPIプロファム(Profam)974を使用し;ウレア(市販用)は、ユニヴァル社(Univar)製を使用し;PAEは、Hercules社製のChemVisions(登録商標)CA 1000 PAE(pH2.62,150℃/1時間オーブン固形分=20.04%)を使用し;pMDIは、ダウケミカール社(Midland, MI)製のPAPI(登録商標)を使用し;PVAは、フランクリン社(Columbus, OH)製のDUR−A−FLEX(登録商標)を使用し、エポキシ樹脂はエアープロダクト&ケミカール社(Allentown, PA)製のANCAREZ AR550を使用し;Arolonは、レイコールド社(Bridgeport, NJ)製の850−W−45を使用した。
(実施例1)
【0062】
大豆粉を熱変性させ、その後、ウレアと反応させて安定した大豆/ウレア水性生成物(SUP)を製造した。実施例1A、および、1Cの手順は、各原料の量を除き、同じである。実施例1Dは、異なる温度を使用した点(実施例Dでは、50が、そして、実施例Bでは90が使用された。)を除き、実施例1Bと同じである。実施例Dの場合、低度のウレアーゼ処理大豆(low urease toasted soy)(CG4)を使用した。
【0063】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ(three−neck round bottom flask)内に水を入れた。2〜5分にわたって室温で大豆粉を前記水に添加した。その混合物を5分間撹拌し(均質化)、その後、90℃で15〜30分間加熱した。この反応物を撹拌しながら90℃±2で1時間維持させ、この時点でウレアーゼを含まない大豆にウレアを添加し、その反応物を90℃に再加熱し、1時間撹拌しながら90℃±2℃で維持させた。この反応物を氷/水槽上において25℃に冷却させ、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
【0064】
(表1)
【0065】
(表2)
【0066】
(表3)
【0067】
考察:実施例1A〜1Dから得た生成物はすべて非常に均質な混合物であった。それらの物理的特性は表4に示す。予想とおり、粘度は著しく減少され、そして、高濃度のウレア条件下で固形分が増加された。pHにおけるわずかな増加は、生成物中に依然として存在する微量のウレアーゼの影響であり得るが、それにより、アンモニアが形成され、その結果、pHが増加されたと考えられる。その後3ヶ月が経てもいずれのサンプルにおいてもアンモニアの臭いはなかった。これらの生成物のpHおよび粘度安定性(図2、および、図3)を見ると、90℃生成物がどうやって優れた安定性を提供することができるか、そして、従来の液体ポンプ方法(liquid pumping methodology)にも適したものであるかという点が明らかになるだろう。90℃生成物に比べて、50℃生成物のほうがより薄いし(thinner)、より低いpHを提供し、そして、粘度安定性が高いというのは興味深い。それは、おそらくウレア−大豆反応の欠如、または、不完全変性に基づくものと考えられる。
【0068】
さらに、実施例1Dは、その他の樹脂の有する生物学的耐性を示さなかったし、3週間も経たないうちに悪くなり始めた(即ち、劣化し始めた)。それはおそらくウレアーゼの分解(劣化)に基づいて、ウレア樹脂の濃度が減少された結果であろう。(ここで、理論上の固形分対実際の固形分において大した差異はなかった。また、アンモニアの臭いはした。)生成物のせん断細線化挙動(shear−thinning behavior)は、一定の粘度読みを可能にすると共に、図3に示されたいくつかの形状が得られた原因にもなり得る。このせん断細線化特性は、すべての水性大豆たんぱく質を含む生成物で見られるが、実質的に通常のアルカリ変性生成物より若干低いものであり、総ウレア含量の関数としてわずかに減少されたものと考えられる。その特性に基づいて、これらの生成物をより容易に塗布することができる。最も重要なのは、実施例1A〜1Dから得た生成物は、液体の状態を保持すると共に、室温において3ヶ月以上放置しても生物学的劣化に安定した状態を保持した。単なる熱変性大豆粉(ウレアは含まないが、90℃での反応を経たもの)の場合、非流動性の濃厚な生成物(濃度:15%未満)が得られ、24時間も経たないうちに大幅な生物学的劣化が見られた。したがって、ウレアは、これらの生成物において必修的な殺生物剤/保存剤として機能することがわかった。
【0069】
(表4)
(比較実施例)
【0070】
最近行われた研究の結果、非架橋大豆たんぱく質断離物から乾燥および湿潤接着強度を得ることができるということが分かった。これらの接着剤を本発明に係る接着剤に比べてみると、低コストの、多量の炭水化物を含む大豆粉を使用してこのような改良ないし改善ができるということが明らかになるだろう。
【0071】
実施例2Aは、固形粉の含量が14.0%でなく23.9%である点を除き、サン(Sun)にしたがって製造された低温ウレア変性生成物である。また、サンの生成物は凍結乾燥され、本発明の生成物はすぐに使用された。
【0072】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水とウレアを入れた。その溶液を25℃に加熱し、その時点において、SPIを15分にわたって添加した。その混合物を25℃±2℃で撹拌しながら1時間維持させた。その後、(次の使用のために)その反応生成物を室温で貯蔵した。
【0073】
(表5)
【0074】
実施例2Bは、サンの実施例1.3に基づいて製造したアルカリ変性大豆生成物である。これらの生成物は、ダグラスファー内部用合板の強度要求条件に対する優れた比較実施例であった。なぜならば、これらの生成物は、内部用ベニヤ板の両面に対して自由に塗布された場合に、内部材等級合板テスト(ANSI/HPVA HP−I −20044.6 “Three−cycle Soak Test”)に合格したからである。
【0075】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水を入れた。SPIを2〜5分にわたって添加した。その反応物を22℃で30分間撹拌した。その後、50%NaOHを添加し、反応物を50℃に加熱した。その反応を50℃±2℃で撹拌しながら1時間維持させた。反応物を25℃に冷却し、次の使用のために貯蔵した。
【0076】
(表6)
【0077】
考察:これらの2つの生成物(実施例2A、および、2B)の物理的特性を表7に示す。これらの生成物は、匹敵する程度の固形分含量において、表4に示した生成物に比べてかなり濃厚であった。最も注目すべきところは、多量のウレアを含む実施例2Aは、大豆粉0.5S/U実施例の25倍濃厚であった。この比較生成物はまた固形粉の含量が低かった(23.9対35.0)。この高粘度、低固体状態(low solid situation)は、アルカリ変性生成物(実施例2B)の場合より大きなイシューとなり得る。本発明の方法を用いた場合に、従来のSPI樹脂が与えることができたものより、より濃厚で、かつ、より多量の固形分を含んだ大豆粉/ウレア生成物を得ることができる。HRT ABES/インストロン手法、および、ダグラスファー3層製造方法を使用して、これらの生成物を対象にテストを行った。
【0078】
(表7)
【0079】
PAEを含む大豆粉/ウレア:唯一の接着剤として大豆粉/ウレア接着剤を使用したにもかかわらず、その防水性は制限されていた。水膨潤現象を防止するために架橋剤を添加することができ、その結果、湿潤強度を向上させることができる。架橋剤は更なる架橋密度をその生成物に導入するものである。
【0080】
実施例3〜5は、1/1大豆粉/ウレア生成物(実施例1Bに類似したもの)を含有する通常のPAE樹脂の架橋能(cross−linking ability)を示す。出発物質である大豆粉/ウレアのpHとして4.5、7.0、および、10.0を選択して、両方の最終的な性能、および、生成物の優れた(neat)特性に対するpHの影響を調べた。安定性、および、性能を評価するために、PAEは0.5%、および、20%(s/s)で使用された。
(実施例3)
【0081】
製造方法:実施例1Bにしたがって製造された生成物を、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に入れた。室温で撹拌しながら50%H2SO4を添加することによって、pHを低下させた。かかる酸添加が終わったら、その溶液を15分間撹拌して、その後、次の使用のために室温で貯蔵した。
【0082】
実施例3Aをビーカーに入れて、必要量のPAEを撹拌しながら添加した。同様の手法を用いて、実施例3Bおよび3Cを製造した。そのサンプルが均質となるように1分間猛烈に撹拌し、その後、次の使用のために室温で貯蔵した。
【0083】
(表8)
【0084】
(表9)
【0085】
(表10)
(実施例4)
【0086】
実施例4A〜C(0.5、および、20%PAE)は、出発物質IBの最初pHを若干高めに設定した点を除き、実施例3A〜Cと同様に製造された。実施例4AのpHは50%H2SO4を用いて、pH7.0にした。
(実施例5)
【0087】
実施例5A〜5C(0.5、および、20%PAE)は、出発物質1Bの最初pHを高めに設定した点を除き、上記実施例3A〜3Cと同様に製造された。実施例5AのpHは、50%NaOHを加えることによってpH10.0に調整された。実施例3〜5にしたがって製造された9つの生成物の特性について表11に示す。
【0088】
(表11)
【0089】
最終生成物(PAEを添加した後)のpHは大豆粉/ウレア生成物の出発物質のpHから有意に外れることはなかった(pH10の生成物を除く)。pH10の生成物の場合、そのpHはPAEの添加によって非常に敏感に変動した。また、pH10の生成物のすべては、アルカリ分解反応に起因して、すぐに少量のアンモニアを排気し始めた。以上のとおり、最終組成物のpHは、PAE架橋剤を添加することによって改質された。
【0090】
表11に示すすべての生成物は少なくとも5時間にわたって優れた粘度安定性を示した。そのうちいくつかの実施例の場合、20時間から三日間以上にわたっても安定した状態を保持した。図4は、実施例4Bおよび4Cにしたがって製造された生成物の安定性を示すものである。5%PAEを添加した場合(実施例4B)、粘度は、24時間以上実質的に変わらなかった。それは、1成分生成物が得られたことを意味する。両方の生成物において観察された粘度の増加(最初)は主に、所定の消泡剤を添加することによって減少/軽減させることができる泡立ち現象に起因するものである。
【0091】
生成物の最終的な強度、および、これらの強度が得られる割合(rate)は、任意の接着剤候補の商業的可能性(commercial viability)を決めるにあたって非常に重要なことである。表11に示したすべての生成物に対し、この明細書の前半部に紹介した強度増強方法(Strength Development Procedure)を用いて評価した。これらの結果を図5〜図8に示した。すべての場合において、0%から5%PAEのほうが5から20%PAEより大きく増加したのにもかかわらず、PAE架橋剤を添加することによって最終的な強度における明確、かつ、均一な増加が見られた。それは、このシステムに適用するのに最適なPAE濃度があることを示唆するものであった。
【0092】
pH7.0およびpH1.0のサンプル(実施例4、および、5)はいずれも、対照群である0%PAE樹脂に比べて初期強度改善(強度増加)速度が大きかった。しかしながら、このような現象は、pH4.5のサンプルにおいては見られないものであった。したがって、かかる現象は、これらの条件下におけるより遅いPAE反応に基づくものと考えられた。また、興味深いのは、5%PAE生成物がpH4.5において硬化速度がより遅かったことである。この現象は、他の標本に対してのこの標本の湿潤強度が悪かったことに部分的に起因するものと考えられる(図8参照)。HRT改良方法(HRT developed procedure, HRT ABES/インストロン)に基づいて、表11に示した9つの接着剤の乾燥および湿潤強度を評価すると共に、2つの比較実施例(実施例2Aおよび2B)の乾燥および湿潤強度を評価した。
【0093】
図9は、比較のために、その結果を並べて示した、乾燥および湿潤強度に対してテストされた標本のせん断強度(shear strength)を示すものである。図10は、強度保持率(百分率)(percent retention of strength)を示すものである。組み合わせられた比較用SPI生成物の場合、いかなる架橋剤を含まなくてもこれらの樹脂に対して許容可能な優れた乾燥および湿潤強度を有することが分かった。かかる理論は、適当な架橋剤を必要とする大豆粉/ウレア性生物には適用がない。要するに、大豆粉/ウレア性生物の場合、所定の乾燥および湿潤強度を獲得するためには、適当な架橋剤の使用が必修不可欠といえる。
【0094】
しかしながら、pH4.5において製造された生成物の場合、このような傾向を従わない。実際に、pH4.5において乾燥強度がもっとも高いのは、0%PAEを含む生成物であった。このpHにおける湿潤強度は、PAEを添加することによって改善されるのではなく、より高いpHを有するサンプルに対してはこのようなレベルは見られない。pH4.5のデータを除くと、5%PAEを添加した場合、乾燥強度が平均して58%まで増強され、そして、湿潤強度の場合、572%まで増強された。pH7.0およびpH1.0生成物に対して20%PAEを添加したとき、乾燥強度が97%まで増強され、そして、湿潤強度が952%といった信じられないほど増強された。
【0095】
実施例2Aおよび4A(双方とも固形分を基にして、約25%たんぱく質を含む。)と比較した場合に、粉対単離物(flour vs. isolate)の強度特性に対する炭水化物の影響(効果)を完全に知ることができた。サンプル4Bに対し5%架橋剤を添加した場合、より高分子量の、かつ、より吸湿性の少ない炭水化物、および、たんぱく質ポリマーを形成することによって、炭水化物の影響(効果)を実質的に取り消すことができた。したがって、炭水化物を架橋化させることは、大豆粉の湿潤強度を増強させるのに非常に重要なことである。
(実施例6)
【0096】
この実施例では、大豆粉/ウレア(1/1)生成物に対する架橋剤としてのpMDIの利用可能性を評価した。PAD実施例と同様、架橋剤の濃度によってもたらされる効果を評価した。この実施例においては、出発物質である1/1大豆/ウレア性生物のpHを7.0に調整した。ここで、pMDIの濃度は、5、および、20%であった。これらの生成物の製造方法は、実施例4において使用されたものと同じであった。
【0097】
(表12)
【0098】
(表13)
【0099】
(表14)
【0100】
考察:架橋剤としてのpMDIの使用を、実施例4に係るPAE改質生成物(すなわち、PAEによって改質された生成物)と同様に評価した。大豆粉/ウレア/pMDIの特性を表14に示した。強度改善曲線は、図11に示した。一般的に、pMDI生成物は、PAEによって改質されたもの(そのほかは同一条件である。)に比べて、(固形分の濃度が高い場合であっても)粘度が若干低かった。さらに、pMDI生成物は、pHが若干低かった。強度改善を見ると、乾燥強度は、pMDIの関数として増加された。さらに、強度増加速度はまた、架橋剤の使用に伴って著しく増加された(PAEによって改質された樹脂において観察されたものに類似する。)PAEによって改質された生成物とpMDIによって改質された生成物とを直接比較してみると(図12を参照)、双方の生成物は、その強度は匹敵する程度であり、改善(増加)速度の観点からみても近似していた。3層ソーク(3−ply soak)テストの結果、ウレアがpMDI−大豆反応を妨害し得る可能性が示唆された。したがって、架橋剤としpMDIを用いるときには、より高い割合(比率)の大豆/ウレアを用いたほうが最適であろう。
(実施例7)
【0101】
内部用合板に対する基準として、ANSI湿潤剥離法(ANSI wet method for delamination)がある。この市場においては様々な生成物が接着されているが、その大部分を占めるのは依然としてダグラスファー(Douglas Fir)から製造されたものである。この実施例においては、いくつかの大豆/ウレア接着剤と共に、比較実施例2から得た接着剤を評価した。大豆粉/ウレア接着剤を用いて互いに接着させた標本を、前述したダグラスファー3層製造方法(Douglas Fir three−Ply Preparation Procedure)に基づいて製造した。実施例2Aおよび2Bを用いて接着させた標本を別途(サンに基づいて)製造した。その詳細は次のとおりである。湿潤状態の接着剤7.5gを中間板の両面に、そして、上板、および、底板のそれぞれの一面に塗った。上板、および、底板の粒(grain)に対し垂直方向にある中間板の粒をボードに組み立てる前に、15分の開放時間(open time)を設けた。組み立てられた3層板は、その後、140℃で11.0kg/cm2の圧力で15分間押圧された。ANSI/HPVA HP−1−2004 4.6“3回ソークテスト(Three−cycle Soak Test)”基準に基づいてすべてのパネルを対象にテストを行った。その結果を表15に示す。
【0102】
(表15)
(実施例8)
【0103】
PAEを用いた架橋に対するたんぱく質含量の影響を評価することによって、炭水化物を含有する大豆生成物を用いることの重要性(意味)について検討した。この実施例においては、3種の異なる大豆/ウレア接着剤(たんぱく質の含量が異なる。)を実施例1Cと同様に製造した。すべての場合において、大豆/ウレアの割合(比率)が1:2であるものを使用した。そして、架橋剤として5%PAEを、実施例4Bと同様に添加した。これらの接着剤の特性を表16に示す。これらの各接着剤の湿潤強度を、前述したABES/インストロン手順に基づいて評価した。非架橋樹脂に対する湿潤強度改善効果を図13に示した。かかる改善(効果)は、たんぱく質の含量の関数であることがわかった。さらに、実施例8Dを、実施例7の欄において説明したソーク状態に置いた。その標本は、最少量のPAE(5%)でそのテストをパスした。
【0104】
(表16)
【0105】
考察:図13には、PAE架橋剤の効果が炭水化物の存在によって減少されるものではなく、そして、かかる効果は予想を超えて著しく向上されたものであることが明確に示されている。おそらくかかる結果は、図16に示すホモPAE接着剤の強度によって証明されたとおり、これらのシステム内に起こるPAE−PAE反応の結果であろう。これらの結果から、炭水化物の部分が、大豆粉接着剤内で起こる防水性向上という効果をもたらす必修的部分であることが分かった。
(実施例9)
【0106】
架橋剤を用いて、または、用いることなく生成物の湿潤強度および乾燥強度を向上させるためには、非反応性および反応性希釈剤(または、賦形剤)を用いることが望ましいであろう。サンプルは、その後グリセロールが前記混合物に、生成物中に含まれた大豆を基準にして(すなわち、大豆に対して)、5、25、または、100%の割合で添加される点を除き、前記実施例3と同様に製造された。この研究および実験の結果を表17に示す。
【0107】
(表17)
【0108】
考察:表17の結果から、乾燥強度および湿潤強度のうちいずれかが希釈剤を添加することによって有意義に向上されたことが分かる。このような増加は、原因の数に左右されるものではなく、大豆接着剤においてその強度を維持するのに重要な2次/3次構造の増加された溶解度、または、安定化と何らかの関係があるものと考えられる。実施例9には、加熱後における希釈剤/改質剤の導入能力が示されているが、ウレアーゼ不活性化ステップを行う前に希釈剤/改質剤を導入することが許容できるし、所定の場合においては、このようにしたほうが望ましいと考えられる。
【0109】
エマルジョン対照群に係る実施例
物理的特性、および、パネルの性能に対し大豆/ウレア樹脂の添加が及ぼす効果を比較するために、市販用のポリ酢酸ビニル(PVA)を使用した。表10は、ここで評価された対照群サンプルを定めたものである。
【0110】
(表10)
【0111】
実施例10〜20において、大豆は、熱変性され、その後、ウレアと反応して安定した大豆/ウレア水性樹脂を生成した。このプロセスは、1段階であってもよく、または、2段階プロセスであっても良い。
(実施例10)
【0112】
この第1の実施例においては、表2Aに示す配合物を用いる1段階プロセスを利用した。
【0113】
(表11)
【0114】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水を入れた。室温で水にウレアを加え、完全に溶けるまでに2〜5分にわたって攪拌した。前記急速に攪拌された溶液に、室温で5分間大豆粉(A7B)を入れた。その混合物を5分間攪拌して、均一状態にした。その後、90℃に15〜30分間加熱した。その反応物を90℃±2℃で1時間維持させた。反応物を氷/水槽上で25℃に冷却させ、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
(実施例11)
【0115】
この実施例は、高ウレアーゼ大豆粉を用いて、2段階プロセスによって行った。
【0116】
(表12)実施例11の組成
【0117】
製造方法:加熱器、温度調節器、還流冷却器、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内に水を入れた。室温で2〜5分間水に大豆粉(A7B)を添加した。その混合物を5分間攪拌して、均一状態にした。その後、90℃に15〜30分間加熱した。その反応物を攪拌しながら90℃±2℃で1時間維持させた。そのときに、ウレアを添加し、その反応物を再び90℃に加熱し、攪拌しながら1時間維持させた。その反応物を氷/水槽上で25℃に冷却させ、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
(実施例12〜18)
【0118】
実施例12〜18は、上記実施例10および11の欄において説明した1段階、または、2段階プロセスのいずれかによって製造した。大豆/ウレアの割合(比率)、および、反応温度だけが変わった。これらの樹脂の特徴を表13に示した。
【0119】
大豆/ウレア/PVAの実施例:ポリ酢酸ビニル(PVA)を含む共接着剤(co−adhesive)、または、増量剤(extender)として機能する大豆/ウレア接着剤の能力を評価するために、いくつかの大豆/ウレア/PVA接着剤の組成物を以下の手順に沿って製造した。
【0120】
製造方法:温度計、および、機械的撹拌器を備えた三つ口フラスコ内にPVAを入れた。水槽を用いてその温度を22〜24℃に調整した。大豆/ウレア共接着剤(実施例10〜18から選択されたもの)を、急速に攪拌したPVAエマルジョンに室温で2〜5分間かけて添加した。その混合物を15分間攪拌して、均一状態にした。混合物のpHを測定し、“当初のpH”として記録した。その後、硫酸(50%)を滴下することによって、前記pHを最終的に4.4〜4.6までに低下させた。pHを低下させるのに必要とされる酸の量は、溶液に対する濃硫酸(すなわち、濃硫酸対溶液)を基準として記録した。これらのPVA/大豆/ウレア接着剤をさらに15分間攪拌した後、(次の使用のために)プラスチックボトルに入れて室温で保存した。
【0121】
考察:大豆/ウレアの際に見られた優れた安定性は、大豆/ウレア/PVA樹脂を用いた場合にも同じく見られた(図14参照)。もっとも、大豆/ウレア/PVAのpH安定性は、ウレア/PVA対照群樹脂に対して遥かに高いものであった(実施例C3)。また、大豆/ウレアのせん断細線化挙動(shear thinning behavior)は減少され、そして、大豆/ウレア/PVA樹脂ではそれ以上全く見られなかった。
【0122】
性能評価(ABES/インストロン方法)
PVAは、その典型的なPVA組成物におけるその湿潤強度があまり知られていない。図15に示したとおり、大豆/ウレア樹脂はまた、反応性架橋剤を添加しない限り、湿潤使用(wet application)に適していない。しかしながら、25〜50%PVAは、(固形分の含量をも低く維持した場合であっても)その乾燥強度における損失を最小限に抑えつつ、大豆/ウレアに置き換えられる。
【0123】
図16は、図15に示す百分率固形分(percent solid)を正規化したチャートである。この図によれば、大豆/ウレアの含量を50%まで上げても乾燥および湿潤強度には大差がなかった。つまり、PVAを50%程度含んだ大豆/ウレア接着剤は、固形分を基準にした場合、その強度がPVAと同等であった。50%ウレア改質PVAサンプルを製造したが、ホットプレス手法(12℃)を用いては前記サンプルを製造することができなかった。それは、これらがプレスから飛び出すからである。それは、可塑化ウレア(plasticizing urea)を用いてTgを低下させたことに起因するものと考えられる。大豆のTgはかなり高いものであるので、大豆/ウレア樹脂を用いたときには、前述した問題は発生しなかった。
【0124】
低(濃度)ウレアーゼ大豆(トースト大豆類)を用いる場合には、簡単な1段階プロセスで行うことができる。図17および図18は、大豆/ウレア生成物に対する温度および段階(1段階対2段階)の効果(影響)を示すものである。その結果から、すべての実施例においてトースト大豆が、トーストされていない大豆(前述したPDIがより高い。)に比べて強度が若干落ちることがわかった。
【0125】
トースト大豆自体を使うという設定の下で、低温樹脂はより強い強度を示すが、そこで最も注目すべき点は、湿潤強度が大きく向上されたことである(実施例15)。これはまた、トースト粉に対して低温の1段階プロセスを用いた場合に、3層(three−ply)サンプルの湿潤強度は驚くべきものであった。
【0126】
評価方法(メープル3層)
せん断ブロック(shear block)を、室温(45分)および150℃の条件の下でプレスされた3層メープルアセンブリ(3−ply maple assembly)から製造した。これらの結果を図19および図20に示し、かつ、表15にまとめた。予想通り、サンプルは、ABES上で製造されたものに比べて遥かに大きかったので、ウレアを添加した際に見られるTg下降(量)は、25%ウレアを含有するサンプルすらホットプレスから取り出されて直ぐにその一部において剥離される程度まで悪化された。ウレアによって改質されたこれらのサンプルは、熱いうちは、これらの低いTgに基づいて、十分な程度の強度を有しない。一般的に、これは、大豆/ウレアサンプル(50%改質されたPVAを除く。)を用いる際には問題となることはなかったが、この実施例においては、大豆/ウレアの比率は0.54という非常に低いものであったので、ウレアの使用量が単にあまりにも多く、それにより、再びTg下降(量)が問題となったものと考えられる。
【0127】
コールドプレスサンプルでは、25%PVAが置き換えられた(つまり、75%PVA)大豆/ウレア/PVA樹脂の能力が、ほとんどのサンプルにおいて匹敵する程度のものであることが分かった。驚くべきことに、この実験において、50%PVAサンプルの場合その性能が決して良くなかったが、それはおそらく、この接着剤に含まれた固形分の含量が低かったためであろう。これらの樹脂に対する木の失敗(wood failure)は全体のデータ範囲内で0〜60%であった。そこで、特別なトレンドは発見できなかった。
【0128】
(表13)
【0129】
(表14)
【0130】
(表15)
(実施例19〜27)
【0131】
架橋剤を含む大豆/ウレア/PVA25/75
PVAエマルジョンに大豆/ウレア接着剤を添加することによって、官能基(官能基;functionality)を樹脂の化学構造に導入した。こうして導入された官能基を用いて、PVA樹脂により優れた防水性を与えることができた。具他的にいうと、大豆、PVA、または両方と反応することができる反応性架橋剤を添加することによって行う。4つの異なる反応性架橋剤をこのシステム(大豆/ウレア)に2.5、および、10%の濃度で添加して、これらの安定した相溶性の(適合性の)エマルジョンに対して湿潤強度を与える可能性について評価した。
【0132】
製造方法:大豆/ウレア/PVA非架橋基礎樹脂を、実施例11と同様に製造した。この樹脂に反応性架橋剤を添加し、急速に攪拌した。この反応性架橋剤を以下のとおり評価した。実施例19に対しては、架橋剤を添加しないで、実施例20に対しては、2.5%PAEを添加し、実施例21に対しては、10.0%のPAEを添加して、実施例22に対しては、2.5pMDIを添加して、実施例23に対しては、10.0%pMDIを添加して、実施例24に対しては、2.5%AR550を添加して、実施例25に対しては、10.0%AR550を添加して、実施例26に対しては、2.5%Arlonを添加して、そして、実施例27に対しては、10.0%Arlonを添加して行った。
【0133】
考察(評価方法−ABES/インストロン):反応性架橋剤を添加した場合、PVAによって改質された接着剤の湿潤強度が向上された。例えば、AR550、および、Arlonを添加したときに、樹脂の湿潤強度には何ら変化も見られなかった(図21)。
(実施例28)
【0134】
大豆/ウレア/PF分散相:大豆/ウレア共接着剤をPVAに添加するほか、フェノールホルムアルデヒド(PF)分散相と共に評価した。
【0135】
(表16)
【0136】
製造方法:PF分散相は、オーバヘッド攪拌機(overhead stirrer)だけを備えた250mL丸底フラスコにおいて室温で製造した。このPF樹脂(実験室において製造されたF/P=2.1、Na/P= 0.2)を室温で表面活性剤とともに前記フラスコの中に入れた。それを2〜3分間攪拌してから、H2SO42.2gを前記急速に攪拌したPF溶液に入れた。このPF樹脂は低粘度を有する白色の分散相に変わった。その後、その分散相に実施例11から得た大豆/ウレア樹脂を5分間かけて入れて、さらに5分間攪拌した。その後、50%H2SO40.9gを用いてpHを調整した。その大豆/ウレア/PF分散相を10分間さらに攪拌した。安定した低粘度の生成物が得られた。この樹脂の特徴を、表17にせん断強度分析結果を通じて示した。
【0137】
(表17)
【0138】
考察(評価方法−ABES/インストロン):大豆/ウレア樹脂の湿潤強度は、分散相状態のPF樹脂を添加することによって大きく改善された。ここで、分散相状態のPF樹脂は架橋剤として機能した。その樹脂は、明るい色を有し、粘度が低く、大豆樹脂において典型的に見られるようなチキソトロピー特性(thixotropic nature)を有する中空性のもの(void)であった。その結果を図22に示した。図22によれば、かかる高大豆改質生成物(high soy modified product)、特に、150℃超の温度で得られた生成物において優れた湿潤強度が見られた。この実施例によって、大豆/ウレアをPF分散相と組み合わせることが実用の面から可能であり、かかる場合に防水性が大きく改善されることが分かった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆粉を加熱して、ウレアーゼを実質的に含まない変性大豆粉を得るステップと、
前記変性大豆粉にウレアを加えて、安定した大豆粉系接着剤を得るステップと、
を含むことを特徴とする安定した接着剤の製造方法。
【請求項2】
前記大豆粉を40℃〜100℃に加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記大豆粉を15分〜500分間加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記変性大豆粉を40℃〜100℃で加熱しながら、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記大豆粉が、炭水化物を20重量%以上含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記大豆粉1部あたり前記ウレア5部以下の割合となるように、前記ウレアを前記変性大豆粉に加えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記大豆粉系接着剤に架橋剤を加えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記架橋剤が、イソシアネート、ポリアミノ・エピクロロヒドリン樹脂、エポキシ、アルデヒド、アルデヒドスターチ、ウレア・アルデヒド樹脂、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれた非ホルムアルデヒド系架橋剤であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記架橋剤が、メチルジフェニル・ジイソシアネートポリマーであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記架橋剤が、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、ポリアルキレンポリアミン−エピクロロヒドリン、または、アミンポリマー−エピクロロヒドリン樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記架橋剤が、ジアルデヒドスターチであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
前記架橋剤が、グリオキサルであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項13】
前記架橋剤が、ウレア・グリオキサルであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項14】
前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項15】
前記大豆粉系接着剤を乾燥させて、粉状の接着剤を得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
前記架橋剤を、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項17】
前記架橋剤が、フェノールホルムアルデヒドであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項18】
前記架橋剤が、ウレアホウムアルデヒドであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項19】
前記大豆粉系接着剤に希釈剤を加えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項20】
前記希釈剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、および、これらのポリマーからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記希釈剤が、グリセロールであることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
大豆粉を加熱して、ウレアーゼを実質的に含まない変性大豆粉を得るステップと、
前記変性大豆粉にウレアを加えて、大豆粉系接着剤を得るステップと、
前記大豆粉系接着剤にポリマーを加えて、安定した大豆/ウレア分散相を形成するステップと、
を含むことを特徴とする安定した大豆/ウレア分散相の製造方法。
【請求項23】
前記ポリマーが、エマルジョン、または、分散相状態のポリマーであることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記大豆粉を40℃〜100℃に加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項25】
前記大豆粉を15分〜500分間加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項26】
前記変性大豆粉を40℃〜100℃で加熱しながら、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項27】
前記大豆粉が、炭水化物を20重量%以上含有するものであることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項28】
前記大豆粉1部あたり前記ウレア0.25部〜5部の割合となるように、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項29】
前記ポリマーが、ポリ酢酸ビニル、または、フェノールホウムアルデヒド分散相であることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項30】
前記大豆/ウレア分散相に架橋剤を加えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項31】
前記架橋剤を、ポリマー状態のメチルジフェニル・ジイソシアネート、ポリアミノ・エピクロロヒドリン、エポキシ、および、グリオキサルからなる群から選ぶことを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項33】
前記架橋剤が、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であることを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項34】
前記大豆/ウレア分散相を乾燥させて、粉状の大豆/ウレア分散相を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項35】
前記大豆/ウレア分散相を凍結乾燥させることを特徴とする請求項34に記載の製造方法。
【請求項36】
前記大豆/ウレア分散相を噴霧乾燥させることを特徴とする請求項34に記載の製造方法。
【請求項1】
大豆粉を加熱して、ウレアーゼを実質的に含まない変性大豆粉を得るステップと、
前記変性大豆粉にウレアを加えて、安定した大豆粉系接着剤を得るステップと、
を含むことを特徴とする安定した接着剤の製造方法。
【請求項2】
前記大豆粉を40℃〜100℃に加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記大豆粉を15分〜500分間加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記変性大豆粉を40℃〜100℃で加熱しながら、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記大豆粉が、炭水化物を20重量%以上含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記大豆粉1部あたり前記ウレア5部以下の割合となるように、前記ウレアを前記変性大豆粉に加えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記大豆粉系接着剤に架橋剤を加えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記架橋剤が、イソシアネート、ポリアミノ・エピクロロヒドリン樹脂、エポキシ、アルデヒド、アルデヒドスターチ、ウレア・アルデヒド樹脂、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれた非ホルムアルデヒド系架橋剤であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記架橋剤が、メチルジフェニル・ジイソシアネートポリマーであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記架橋剤が、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、ポリアルキレンポリアミン−エピクロロヒドリン、または、アミンポリマー−エピクロロヒドリン樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記架橋剤が、ジアルデヒドスターチであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
前記架橋剤が、グリオキサルであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項13】
前記架橋剤が、ウレア・グリオキサルであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項14】
前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項15】
前記大豆粉系接着剤を乾燥させて、粉状の接着剤を得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
前記架橋剤を、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項17】
前記架橋剤が、フェノールホルムアルデヒドであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項18】
前記架橋剤が、ウレアホウムアルデヒドであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項19】
前記大豆粉系接着剤に希釈剤を加えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項20】
前記希釈剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、および、これらのポリマーからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記希釈剤が、グリセロールであることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
大豆粉を加熱して、ウレアーゼを実質的に含まない変性大豆粉を得るステップと、
前記変性大豆粉にウレアを加えて、大豆粉系接着剤を得るステップと、
前記大豆粉系接着剤にポリマーを加えて、安定した大豆/ウレア分散相を形成するステップと、
を含むことを特徴とする安定した大豆/ウレア分散相の製造方法。
【請求項23】
前記ポリマーが、エマルジョン、または、分散相状態のポリマーであることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記大豆粉を40℃〜100℃に加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項25】
前記大豆粉を15分〜500分間加熱することによって前記変性大豆粉を得ることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項26】
前記変性大豆粉を40℃〜100℃で加熱しながら、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項27】
前記大豆粉が、炭水化物を20重量%以上含有するものであることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項28】
前記大豆粉1部あたり前記ウレア0.25部〜5部の割合となるように、前記変性大豆粉に前記ウレアを加えることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項29】
前記ポリマーが、ポリ酢酸ビニル、または、フェノールホウムアルデヒド分散相であることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項30】
前記大豆/ウレア分散相に架橋剤を加えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項31】
前記架橋剤を、ポリマー状態のメチルジフェニル・ジイソシアネート、ポリアミノ・エピクロロヒドリン、エポキシ、および、グリオキサルからなる群から選ぶことを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
前記架橋剤を、0.1〜80重量%で加えることを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項33】
前記架橋剤が、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンウレアホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、および、これらの組み合わせからなる群から選ばれたホルムアルデヒド系架橋剤であることを特徴とする請求項30に記載の製造方法。
【請求項34】
前記大豆/ウレア分散相を乾燥させて、粉状の大豆/ウレア分散相を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項35】
前記大豆/ウレア分散相を凍結乾燥させることを特徴とする請求項34に記載の製造方法。
【請求項36】
前記大豆/ウレア分散相を噴霧乾燥させることを特徴とする請求項34に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2009−543943(P2009−543943A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520974(P2009−520974)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/073771
【国際公開番号】WO2008/011455
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509016449)ハートランド リソース テクノロジーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】HEARTLAND RESOURCE TECHNOLOGIES
【住所又は居所原語表記】3320 Yorkshire Road, Pasadena, CA 91107, US
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/073771
【国際公開番号】WO2008/011455
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509016449)ハートランド リソース テクノロジーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】HEARTLAND RESOURCE TECHNOLOGIES
【住所又は居所原語表記】3320 Yorkshire Road, Pasadena, CA 91107, US
【Fターム(参考)】
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