説明

ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法

【課題】ウレタン(メタ)アクリレートを安全に生産性良く製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】内部に微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路が形成された伝熱性反応容器の該微小管状流路内に、水酸基を有する化合物(A)と、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(B)との混合液を、連続的かつ液密状に流通させ、80〜250℃に加熱するとともに、前記微小管状流路内を流通する反応液のレイノルズ数が0.05〜300の範囲となるように反応させ、次いで、反応終了後、前記伝熱性反応容器から吐出された反応生成物を連続的に冷却することを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレートを安全に生産性良く連続的に製造できる製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウレタン(メタ)アクリレートは、反応釜を用いたバッチ方式により製造されている。一般に、ウレタン(メタ)アクリレートは、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物の水酸基とイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基とを反応させて製造する。水酸基を有する化合物の水酸基とイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物のイソシアネート基とを反応させて製造する場合もある。水酸基とイソシアネート基との反応は発熱反応である。この発熱反応が進行している過程において、反応熱が蓄熱され反応系の温度が異常に上昇すると(メタ)アクリロイル基同士が結合し、反応物がゲル化する暴走反応が生じる。従って、暴走反応の原因となる反応熱の過剰な発生や蓄積を抑えるため、精密な温度制御や効果的な除熱操作が求められるが、反応系が大きくなる程、例えば、工業生産の規模では、攪拌の効率や除熱能力等から、この対応が難しくなる。
【0003】
暴走反応が起こると、暴走反応時の発熱により未反応原料のガス化、生成したウレタン(メタ)アクリレートの分解によるガス化が起こる。その結果、反応系内の圧力が急激に上昇し、反応装置自体に致命的な破壊をきたす場合がある。反応装置の破壊を防ぐため、暴走反応が起こった際に反応釜に付帯されたマンホール、安全弁、ラプチャーディスク、エクスプロージョンベントなどを開放して系内に溜まった圧を開放する措置や、内容物自体を系外に排出する措置を講じるが、これらの措置を講じるための設備自体も非常に大掛かりなものとなり、投資コストも高く、占有する面積も大きくなることから、生産性は良好ではない。
【0004】
ウレタン(メタ)アクリレートの製造中に起こった暴走反応を停止させる手段として、重合禁止剤を添加する方法が知られている。この方法では、重合禁止剤を反応系に対してごく短時間に分散し溶解させる必要がある。
【0005】
しかしながら、ゲル化が起こると反応系が高粘度化し易く、重合禁止剤を反応系にごく短時間に分散し溶解することが非常に困難となる問題がある。加えて、暴走反応による急激な粘度増加に反応系内を攪拌する攪拌翼の駆動能力がついていけず、重合禁止剤が反応系に十分分散、溶解できないばかりか、負荷がかかることによる攪拌装置の故障等装置自体に致命的な破壊をきたす問題もある。このような問題は、ウレタン(メタ)アクリレート製造時に希釈溶媒等を用いない場合、特に深刻である。
【0006】
重合禁止剤を反応系に分散、溶解しやすくさせる手段として、重合禁止剤を溶剤等に溶解して使用する方法があるが、暴走反応の発生に迅速に対応するためには、重合禁止剤を溶解した溶液を予め大量に準備しておかなければならない。そのため、ウレタン(メタ)アクリレート製造時のコストが増加する。また、重合禁止剤の中には変異原性物質が含まれるため、取り扱いにも十分注意を払う必要がある。
【0007】
ウレタン(メタ)アクリレートの製造中に暴走反応が起こることを抑制する手段として、反応系内に溶剤を共存させ、系内に存在する重合性化合物の濃度を下げると共に反応の進行に伴い増大する流体粘度を下げることにより反応の制御性を向上させる方法も知られている。しかしながら、この方法は反応終了後に反応系内の溶剤を回収しなくてはならず、また、溶剤を使用するため釜得量が低下するので生産性が良い方法ではない。さらに、品質上も得られた樹脂組成物中に微量に残存する溶剤の影響も懸念される。
【0008】
このようにウレタン(メタ)アクリレートを製造する際には、暴走反応に対する上記のような対応策を講じる必要があり、生産性は良好なものではない。そして、暴走反応の対応策を講じているとはいえ、結局のところ、暴走反応が起きない条件、例えば、100℃以下、好ましくは80℃以下の温度で5〜7時間と低温で長時間かけて非効率にウレタン(メタ)アクリレートを製造しているのが現状である(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
反応熱による加熱を防止でき、多量化等の副反応を抑制して、しかも高い反応率が得られる製造方法として、流路断面積が300〜1,000,000μm〔3×10−4〜1(mm)〕の流路に、エポキシ化合物と水酸基を有する化合物とを流通させ、両化合物を接触させて開環付加反応を行うエポキシ化合物の開環反応物の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、該特許文献2に記載された製造方法はエポキシ化合物の開環反応物にのみ特化した製造方法であり、前記ウレタン(メタ)アクリレートの製造の際に、問題となる(メタ)アクリロイル基の重合による暴走反応を防止する策について何ら開示されていない。しかも、エポキシ化合物と水酸基を有する化合物を流路内で十分反応させる(例えば、反応率を98%)には160分もかかり、製造効率も非常に悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平08−109230号公報
【特許文献2】特開2006−111574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ウレタン(メタ)アクリレートを安全に生産性良く製造できる製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは鋭意研究した結果、内部に微小管状流路が形成された伝熱性反応容器を用い、該微小管状流路内に水酸基を有する化合物(A)と、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(B)との混合液を、連続的かつ液密状に流通させて前記化合物(A)中の水酸基と前記化合物(B)中のイソシアネート基とを反応させる際に、前記反応容器として、前記微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が特定の面積となる空隙サイズを有する微小管状流路を有するものを用い、かつ、前記微小管状流路内を流通する反応液のレイノルズ数が特定の範囲となるように流させることにより、通常層流と考えられる微小流路中で微乱流を伴う状態で分子拡散による混合が進行し、化合物(A)と化合物(B)との接触が活発化すること、加えて、前記伝熱性反応容器を通常のバッチ方式では取り得ない高い温度とすることにより、水酸基とイソシアネート基とのウレタン反応の効率が向上すること、更に、ウレタン化反応の後微小流路から流れ出るウレタン(メタ)アクリレートは容量もバッチ式の場合と比べて小さく、連続的に冷却することにより容易に温度コントロールする事が可能で、その結果、(メタ)アクリロイル基の暴走反応も起こりにくいこと、そして、短時間にウレタン化反応が起こることから生産性良くウレタン(メタ)アクリレートを製造できること、等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、内部に微小管状流路が形成された伝熱性反応容器の該微小管状流路内に、水酸基を有する化合物(A)と、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(B)との混合液を、連続的かつ液密状に流通させ、前記化合物(A)中の水酸基と前記化合物(B)中のイソシアネート基とを反応させるウレタン(メタ)アクリレートの連続製造方法であって、
前記反応容器が、前記微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路を有するものであり、かつ、前記伝熱性反応容器を80〜250℃に加熱するとともに、前記微小管状流路内を流通する反応液のレイノルズ数が0.05〜300の範囲となるように反応させ、次いで、反応終了後、前記伝熱性反応容器から吐出された反応生成物を連続的に冷却することを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法によれば、ウレタン(メタ)アクリレートを安全に生産性良く製造できる製造方法を提供できる。また、大掛かりな設備の導入も不必要で、投資コスト、製造コストの削減も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイスの継手部を含めた概略図全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の製造方法に用いる化学反応デバイスの継手部を含めた概略図全体構成を示す水平断面図である。
【図3】図2における2種類のプレート構造を示す分解斜視図である。
【図4】実施例及び比較例で用いた製造装置を模式的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で用いる化合物(A)は、水酸基を有する化合物である。化合物(A)は常温で固体、又は高粘度の液体であっても、加熱溶融、溶解、分散等の手段により流路を閉塞させずに供給できるものであれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。
【0017】
本発明で用いる化合物(A)が有する水酸基は、アルコール性水酸基でも、フェノール性水酸基でも良い。
【0018】
本発明の製造方法に用いる化合物(A)としては、例えば、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ターシャリーブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、1−デカノール、2−デカノール等の脂肪族アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、2−シクロペンテン−1−オール、2−シクロヘキセン−1−オール等の脂環式アルコール;フェネチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、4−ニトロベンジルアルコール、4−ブロモベンジルアルコール等の芳香族アルコール;パーフルオロブチルアルコール、パーフルオロブチルエチルアルコール、パーフルオロブチルスルホニルアミノエチルアルコール、パーフルオロへキシルエチルアルコール、パーフルオロオクチルエチルアルコール等のフッ素化アルキル基を有するアルコールなどの1価のアルコールが挙げられる。
【0019】
また、前記化合物(A)として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、グリセリン、ぺンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、単糖類、多糖類等の多価アルコール;パーフルオロポリエーテル等のフッ素系多価アルコールなどの多価アルコールも用いることができる。
【0020】
さらに、下記に示すような分岐構造を有する2つのフッ素化アルキル基(エーテル性酸素原子を有するものも含む。)を有するアルコールを用いても良い。
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

【0023】
【化3】

【0024】
【化4】

【0025】
また、本発明で用いる化合物(A)としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物でも良い。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ(メタ)ブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の1つの(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上で用いてもよい。
【0026】
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルとアクリロイルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいう。
【0027】
本発明の製造方法としては、化合物(A)としてウレタン化反応の発熱量の多い水酸基価が50〜500の化合物を用いる製造方法が、本発明の効果、即ち、安全に製造できるという効果を十分に発揮することができることから好ましい。
【0028】
本発明で用いる化合物(B)は、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である。化合物(B)としては、常温で固体、又は高粘度の液体であっても、加熱溶融、溶解、分散等の手段により流路を閉塞させずに供給できるものであれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。
【0029】
本発明で用いる化合物(B)としては、(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート、アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、1,1−ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上で用いてもよい。
【0030】
(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートの具体例としては、例えば、下記式(B)−1〜8で表わされる化合物が挙げられる。
【0031】
【化5】

【0032】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法で用いる伝熱性反応容器は内部に微小管状流路が形成されている。そして、この微小流路に水酸基を有する化合物(A)とイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(B)との混合液を連続的かつ液密状に流通させ化合物(A)が有する水酸基と化合物(B)が有するイソシアネート基とを反応させることによりウレタン(メタ)アクリレートを連続的製造する。ここで用いる伝熱性反応容器として微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路を有するものを用いることにより圧損が大きくなりすぎず、生産性も良好、流路閉塞も起こしにくい、該流路の加熱や冷却の迅速な制御が可能等優れた効果を奏する。本発明で用いる伝熱性反応容器としては、微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.3〜1.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路を有するものがより好ましい。なお、本発明において使用する「断面」とは、反応流路中の流れ方向に対して垂直方向の断面を言い、「断面積」は、その断面の面積をいう。
【0033】
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法では、前記微小管状流路内を流通する反応液のレイノルズ数が0.05〜300の範囲となるように反応させる必要がある。一般的に、前記微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路に流体を流すと流れる流体は層流となる。その為、例えば、水酸基を有する化合物(A)とイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(B)の混合液を流路に流通させた場合、化合物(A)と化合物(B)とは遠く離れた化合物同士は接触する機会が非常に少ない為、反応しにくい。その為、化合物(A)と化合物(B)とは主に近傍の化合物同士が反応するのみで、流路内を更に移動しても反応がそれ以上進行しない。今般、発明者らは流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路流路に、レイノルズ数が0.05〜300となる範囲で化合物(A)とイソシアネート基を有する化合物(B)の混合液を流通させると、流路内の状態は微乱流を伴う状態で混合が進行し、化合物(A)と化合物(B)との接触が活発化することを見出し、発明者らは本発明を完成することができた。レイノルズ数としては、0.1〜200が好ましく、1〜100がより好ましい。レイノルズ数0.05未満では反応の進行が遅く長時間滞留するためゲル化の恐れがあり、300を超えるレイノルズ数では反応効率化上限界があり、反応器も長大化するため好ましくない。
【0034】
なお、本発明でいうレイノルズ数とは下記の式(1)に従って計算されるものである。
レイノルズ数=(D×u×ρ)/μ・・・式(1)
ここで、D(流路の内径)、u(平均流速)、ρ(流体密度)、μ(流体粘度)である。本発明において、レイノルズ数は上記式(1)の各要素を以下のように定義し、求めた。
【0035】
D(流路の内径):微小管状流路の相等直径(m)。ここで、相等直径とは〔(4×微小管状流路の断面積(m))/周長(m)〕である。
u(平均流速):化合物(A)と化合物(B)との混合液の流速(m/秒)である。
ρ(流体密度):それぞれ化合物(A)の20℃における密度(kg/m)である。
μ(流体粘度):20℃における化合物(A)の粘度(Pa・s)である。
【0036】
さらに、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法では、前記伝熱性反応容器を80〜250℃に加熱する必要がある。この温度範囲とすることにより水酸基とイソシアネート基との反応を効率良く進行させることができ、かつ、(メタ)アクリロイル基の重合である暴走反応は起こらないという優れた効果を奏する。また、伝熱性反応容器の温度としては、暴走反応が起きにくく、かつ、製造効率も良好なことから100〜210℃が好ましく、120℃〜180℃がより好ましい。
【0037】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法では、本発明で用いる反応装置が有する微小流路を流れる混合液の断面積、微小流路への混合液の流通を行う際のレイノルズ数、伝熱性反応容器の温度を上記の範囲とすることにより、水酸基とイソシアネート基との効率よい反応が起こり、その結果、(メタ)アクリロイル基同士の縮合反応が起こる前に生成したウレタン(メタ)アクリレートを冷却できるということが可能となっている。また、微小流路への混合液の流通を行う際の流速としては、0.9×10−4〜4.2m/秒が好ましく、1.5×10−2〜1.5m/秒がより好ましい。
【0038】
なお、本発明では触媒を用いることなくウレタン(メタ)アクリレートを製造することもできる。触媒を用いないことにより、例えば、重金属フリーのウレタン(メタ)アクリレート等を製造することもでき、また、例えば、触媒により得られるウレタン(メタ)アクリレートが着色するといった問題も回避することができる。
【0039】
本発明の製造方法で用いる伝熱性反応容器としては熱交換機能を有し、かつ、微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路を有するものを用いればよく、その他の要件については特に制限はない。このような装置としては、例えば、化学反応用デバイスとして用いられる部材中に前記流路(以下、単に「微小流路」ということがある。)が設けられた装置等が挙げられる。
【0040】
微小管状流路の、化合物(A)と化合物(B)とを含有する混合液の流れに対して垂直に切断して得られる断面形状は、正方形、長方形を含む矩形、台形や平行四辺形、三角形、五角形などを含む多角形状(これらの角が丸められた形状、アスペクト比の高い、すなわちスリット形状を含む)、星形状、半円、楕円状を含む円状などであってもよい。微小流路の断面形状は一定である必要はない。
【0041】
前記微小管状流路の形成方法は特に限定されるものではないが、一般的には、表面に溝を有する部材(X)の、溝を有する面に他の部材(Y)が積層、接合等により固着され、部材(X)と部材(Y)との間に空間として形成される。
【0042】
部材(X)と部材(Y)との間に微小管状流路を形成させる場合、部材(Y)に熱交換機能を設けることができる。例えば、部材(Y)表面に温調流体が流れるための溝を設け、該温調流体が流れるための溝を設けた面に他の部材を接合ないし積層するなどの方法により固着すればよい。一般的には、表面に溝を有する部材(X)と温調流体が流れるための溝を設けた部材(Y)とが、溝を設けた面と、他の部材の溝を設けた面と逆側の面とを固着することによって流路を形成し、これら部材(X)と部材(Y)とを複数交互に固着すればよい。
【0043】
この際、部材表面に形成された溝は、その周辺部より低い、いわゆる溝として形成されていても良いし、部材表面に立つ壁の間として形成されていても良い。部材の表面に溝を設ける方法は任意であり、例えば、射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプリカ法、切削、エッチング、フォトリソグラフィー(エネルギー線リソグラフィーを含む)、レーザーアブレーションなどの方法を利用できる。
【0044】
部材中の流路のレイアウトは、用途目的に応じて直線、分岐、櫛型、曲線、渦巻き、ジグザグ、その他任意の配置の形をしていてもよい。
【0045】
流路は、その他、例えば、混合場、抽出場、分離場、流量測定部、検出部、貯液槽、膜分離機構、デバイス内外への接続口、絡路、クロマトグラフィーや電気泳動の展開路、バルブ構造の一部(弁の周囲部分)、加圧機構、減圧機構などと接続していてもよい。
【0046】
部材の外形は、特に限定する必要はなく、用途目的に応じた形状を採りうる。部材の形状としては、例えば、プレート状、シート状(フィルム状、リボン状などを含む。)、塗膜状、棒状、チューブ状、その他複雑な形状の成型物などであってよい。厚みなどの外形的寸法は一定であることが好ましい。部材の素材は任意であり、例えば、重合体、ガラス、セラミック、金属、半導体などであって良い。
【0047】
本発明で用いる伝熱性反応容器としては、前記のような表面に溝を有する部材(X)の、溝を有する面に他の部材(Y)が積層、接合等により固着され、部材(X)と部材(Y)との間に空間として形成されることにより微小管状流路を形成したものを好ましく用いることができる。このような伝熱性反応容器としては、例えば、表面に複数の溝部が形成された伝熱性プレート状構造体を複数枚積層してなる構造を有するもの等が挙げられる。
【0048】
上記の形成方法で説明した流路は、少なくとも2つの部材を組み合わせて、部材間に形成された空間を流路とするものであるが、それ以外にも単なる管やパイプ形状のものを反応流路として用いても構わない。流路の長さとしては、所望の反応率が得られるよう適宜設定すればよいが、通常0.5〜100m、好ましくは3〜70mである。
【0049】
本発明の製造方法で用いる伝熱性反応容器としては、例えば、微小管状流路を配設した伝熱性プレート状構造体と、混合液との間で熱交換が行われる流体を流す流路を配設した伝熱性プレート状構造体が交互に積層してなる装置等が挙げられる。
【0050】
また、化合物(A)と化合物(B)とを別々に装置内に供給する場合は、前記伝熱性反応容器の前方又はこの装置内に混合する混合空間を設けることが好ましい。さらに、化合物(A)と化合物(B)とを予め混合して混合液として、連続的に前記伝熱性反応容器に導入しても構わない。
【0051】
以下、本発明で用いる内部に微小管状流路が形成された伝熱性反応容器について、具体的に説明する。図1は、混合液を流す微小管状流路を配設したプレートと、混合液との間で熱交換が行われる流体を流す流路を配設したプレートが交互に積層してなる反応装置で、微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路を有する化学反応用デバイス1の概略構成例である。
【0052】
前記化学反応用デバイス1は、例えば前記図1において同一の長方形板状からなる第1プレート(前記図1中の2)と第2プレート(前記図1中の3)とが複数交互に積層されて構成されている。各1枚の第1プレートには前記断面積が0.1〜4.0(mm)の流路(以下、反応流路という)が設けられている(以下、反応流路が設けられたプレートをプロセスプレートという)。また第2プレートには温調流体用の流路(以下、温調流路という)が設けられている(以下、温調流路が設けられたプレートを温調プレートという)。そして、図2に示すようにそれらの供給口及び排出口が、化学反応用デバイス1の端面1b、1c、側面1d、1eの各領域に分散して配置され、それら領域に化合物(A)及び化合物(B)と、温調流体を流すためのコネクタ30とジョイント部31とからなる継手部32がそれぞれ連結されている。
【0053】
これらの継手部を介して、化合物(A)と化合物(B)とを含有する流体α(混合液)が端面1bから供給されて、化合物(A)と化合物(B)との反応物を含有する流体βが端面1cに排出され、温調流体γが側面1eから供給されて側面1dに排出されるようになっている。
【0054】
化学反応用デバイス1の平面視形状は図示のような長方形とは限定されず、正方形状、又は端面1b、1c間よりも側面1d、1e間が長い長方形状としてもよいが、以下では簡単のために図示形状に即して、端面1bから端面1cに向かう方向を、化学反応用デバイス1のプロセスプレートと温調プレートの長手方向と称し、側面1dから側面1eに向かう方向を化学反応用デバイス1のプロセスプレートと温調プレートの短手方向と称することにする。
【0055】
プロセスプレートは、図3に示すように、一方の面2aに断面凹溝形状の流路4をプロセスプレートの長手方向に貫通して延し、短手方向に所定間隔pで複数本配列したものである。流路4の長さをLとする。断面形状は、幅w、深さdとする。
【0056】
流路4の断面形状は、化合物(A)と化合物(B)とを含有する流体αの種類、流量や流路長さLに応じて適宜設定することができるが、断面内の温度分布の均一性を確保するために、幅w、深さdは、それぞれ0.1〜16〔mm〕、0.1〜2〔mm〕の範囲に設定している。なお、幅、深さの記載は図面を参照した場合であって、この値は熱伝面に対して広い値となる様に適宜解釈しうる。特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは5〜100本である。
【0057】
前記流体αは各流路4内に流され、図1ないし図3に矢印で示すように、一方の端面2b側から供給されて他方の端面2c側へ排出される。
【0058】
温調プレートは、図1に示すように、一方の面3aに断面凹溝形状の温調流路6が所定の間隔だけ離れて設けられている。温調流路6の断面積は、反応流路に対して熱を伝えることができれば特に限定されるものではないが概ね0.1〜4.0(mm)の範囲である。さらに好ましくは0.3〜1.0(mm)である。温調流路6の本数は、熱交換効率を考慮して適宜の本数を採用することができ、特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは5〜100本である。
【0059】
温調流路6は、図1及び図3に示す様に、温調プレートの長手方向に沿って複数本配列された主流路6aと、主流路6aの上流側及び下流側端部でそれぞれ流路4と略直交に配置されて各主流路6aに連通する供給側流路6b及び排出側流路6cとを備えていてもよい。図1及び図3では供給側流路6bと排出側流路6cは2回直角に屈曲して温調プレートの側面3d、3eからそれぞれ外部に開口している。温調流路6の各流路の本数は、温調流路6の主流路6a部分のみが複数本配列され、供給側流路6b及び排出側流路6cはそれぞれ1本で構成されている。
【0060】
なお、温調流路6の各主流路6aは、流路4に対して、温調プレートの短手方向において、流路4が分布する範囲を積層方向に重なる範囲に設けられる。
【0061】
そして、好ましくは各主流路6aが、隣り合う2本の流路4、4間に位置するように積層方向に配列し、さらに好ましくは、各主流路6aが各流路4に積層方向に重なるように配列する。
【0062】
各複数のプロセスプレート、温調プレートは、プロセスプレート、温調プレートを同一方向に交互に重ねて積層され、互いに固着、積層されている。
【0063】
そのため、化学反応用デバイス1の形態において、各流路4、温調流路6は、凹溝の開口面が上に積層されるプレートの下面により覆われ、両端が開口する長方形断面のトンネル形状とされる。
【0064】
このような各プロセスプレート、温調プレートは、適宜の金属材料を用いることができるが、例えばステンレス鋼板にエッチング加工を施すことにより流路4、温調流路6などを形成し、流路面を電解研磨仕上げするなどして製作することができる。
【0065】
本発明の製造方法で用いる流路が設けられてなる化学反応用デバイスを有する装置としては、例えば、図4に記載のある製造装置を例示できる。具体的には、例えば、以下の化学反応デバイスを有する製造装置を例示できる。
【0066】
<化学反応デバイス>
化学反応デバイスは図1に示す構造であり、構造としては、プロセスプレートと温調プレートと交互に積層している。プロセスプレートには流路4が形成されおり、また、温調プレートには温調流路6が形成されている。
【0067】
図4に記載のある製造装置に用いられる化学反応デバイス40はドライエッチング加工により反応流路4が21本形成されたプロセスプレート20枚と同じくエッチング加工により温調流路6が21本形成された温調プレート21枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。
【0068】
図4に記載のある製造装置に用いられる化学反応デバイス50はドライエッチング加工により反応流路4が5本形成されたプロセスプレート2枚と同じくエッチング加工により温調流路6が5本形成された温調プレート3枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。
【0069】
図4に記載のある製造装置に用いられる化学反応デバイス60はドライエッチング加工により反応流路4が5本形成されたプロセスプレート4枚と同じくエッチング加工により温調流路6が5本形成された温調プレート5枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。
【0070】
図4において、化合物(A)(61)を入れるタンク62(第1のタンク)の流出口とプランジャーポンプ65の流入口とが、化合物(A)が通る配管を介して接続されており、また、化合物(B)を入れるタンク64(第2のタンク)の流出口とプランジャーポンプ66の流入口とが、化合物(B)(63)が通る配管を介して接続されている。プランジャーポンプ65の流出口及びプランジャーポンプ66の流出口からは、それぞれプランジャーポンプ65又はプランジャーポンプ66を通して化合物(A)又は化合物(B)が通る配管が伸びており、これらの配管はミキサー〔化合物(A)と化合物(B)とを混合する混合空間〕67の流入口に接続されている。
【0071】
このミキサー67で化合物(A)(61)と化合物(B)(63)とが混合され、化合物(A)(61)と化合物(B)(63)とを含有する混合液が形成される。この流体はミキサー67の流出口に接続された配管を通して、化学反応用デバイス40、50又は60の流入口1bへと移動する。化学反応用デバイス40、50又は60には温調装置68が接続されている。そして、化学反応用デバイス40、50又は60中の微小流路を移動していくことにより流体α中の化合物(A)と化合物(B)とが反応する。化学反応用デバイス40、50又は60中の微小流路を移動し化学反応用デバイス40、50又は60の流出口1cと到達する。その後、流出口に接続された配管を通して冷却用熱交換器69の流入口へと移動する。
【0072】
本発明の製造方法においては、レイノルズ数や温度を各々変えることが出来るので、伝熱性反応容器として、前記の化学反応用デバイス40、50又は60等の記のような微小管状流路が形成された伝熱性反応容器を複数直列状に配設してなる反応装置を用いて反応を行うのが好ましい。
【0073】
上記の方法でウレタン(メタ)アクリレートを得た後、得られる反応生成物は前記伝熱性反応容器から吐出される。そして、この反応生成物を連続的に冷却する。反応生成物を速やかに、かつ、連続的に冷却することにより(メタ)アクリロイル基の暴走反応を防止することができる。この冷却は、例えば、そのまま空気中で冷却する自然空冷で冷却しても良いし、吐出したのち速やかに溶剤中に投入して冷却しても良いし、熱交換機能を有する冷却装置に流通させることにより冷却しても良い。本発明においては、熱交換機能を有する冷却装置に流通させることにより冷却させるのが好ましい。この冷却機としては、微小管状流路が形成された冷却用伝熱器が好ましい。
【0074】
この冷却用伝熱器を用いて連続的な冷却を行うには、例えば、前記伝熱性反応容器の反応液出口(流出口)に連通する、微小管状流路が形成された冷却用伝熱器に連続的に反応生成物を流通させることにより好ましく行うことができる。
【0075】
具体的には、冷却用伝熱器(冷却装置)69の流入口へと移動した化合物(A)(61)と化合物(B)(62)との反応物を含有する流体β〔ウレタン(メタ)アクリレート〕は冷却用熱交換器69中を移動しながら冷却され、冷却用熱交換器69の流出口へと到達する。流出口に接続された配管を通して冷却用熱交換器69から流体βは排出され、排圧弁71を通して受け容器72へと排出される。
【0076】
本発明で用いる冷却用伝熱器としては、前記伝熱性反応容器として好ましく用いることができる内部に微小管状流路が形成された伝熱性反応容器が、表面に複数の溝部が形成された伝熱性プレート状構造体を複数枚積層してなる構造を有するものが好ましく用いることができる。このような装置としては、前記した化学反応デバイスを有する装置を例示できる。
【0077】
なお、微小管状流路内における化合物(A)と化合物(B)との反応は任意の収率で止めることができ、反応物ないし未反応物を反応流路系外へ排出してもよい。一般的に反応物の粘度は収率が高くなればなるほど上昇するため、圧損も増加し流速も落ちてくる。このため、例えば、レイノルズ数0.05以上、より好ましくはレイノルズ数1〜200といった、反応初期ないし反応中期までの反応を本発明の製造方法で実施しておき、続いて、未反応物を含む組成物をバッチ式の反応器や貯蔵槽、あるいは断面積のより大きな流路などへ移して、残りの未反応物を反応させることができる。
【0078】
また、本発明の製造方法に用いる化合物(A)や化合物(B)は、供給可能な粘度を有する液体であればよく、供給を可能にするために加熱してもよいし、溶剤に希釈溶解してもよい。
【0079】
また、必要に応じ、流路を閉塞させない範囲で化合物(A)や化合物(B)に触媒(開始剤)や重合禁止剤などの添加剤を添加してもよい。
【0080】
本発明で用いる化合物(A)及び化合物(B)は、反応に悪影響を起こさない範囲であれば、流路内に各々単独で供給してもよいし、混合状態で供給してもよい。また、必要に応じ、溶剤に希釈して用いてもよく、触媒(開始剤)や重合禁止剤などの添加剤を添加してもよい。
【0081】
触媒(開始剤)としては、化合物(A)及び化合物(B)に溶解又は流路を閉塞させない範囲で分散できるもの、又は溶剤に溶解して併用出来るものであれば特に限定されず、従来公知の触媒(開始剤)を用いることができ、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレートのような金属触媒などが挙げられる。
【0082】
重合禁止剤としては、化合物(A)及び化合物(B)に溶解又は流路を閉塞させない範囲で分散できるもの、又は溶剤に溶解して併用出来るものであれば特に限定されず、従来公知の重合禁止剤を用いることができ、例えば、メトキノン、ハイドロキノンなどが挙げられる。
【実施例】
【0083】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
【0084】
<本実施例及び比較例で使用した化学反応用デバイス>
本実施例では図1に示す構造の化学反応デバイスを用いた。プロセスプレート2と温調プレート3とを交互に積層した構造である。プロセスプレートには流路4が形成されおり、また、温調プレートには温調流路6が形成されている。化学反応デバイスとしては、同じ流量を流したとき(同じ流速で流したとき)レイノルズ数が異なる図4に示す化学反応デバイス40、50、60を用いた。
【0085】
化学反応デバイス40はドライエッチング加工により反応流路4が21本形成されたプロセスプレート20枚と同じくエッチング加工により温調流路6が21本形成された温調プレート22枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。反応流路4の長さは198mmである。
【0086】
化学反応デバイス50はドライエッチング加工により反応流路4が5本形成されたプロセスプレート2枚と同じくエッチング加工により温調流路6が5本形成された温調プレート3枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。反応流路4の長さは40mmである。
【0087】
化学反応デバイス60はドライエッチング加工により反応流路4が5本形成されたプロセスプレート4枚と同じくエッチング加工により温調流路6が5本形成された温調プレート5枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。反応流路4の長さは40mmである。
【0088】
冷却用熱交換器69はドライエッチング加工により反応流路4が21本形成されたプロセスプレート20枚と同じくエッチング加工により温調流路6が21本形成された温調プレート22枚が交互に積層されている。プロセスプレート2と温調プレート3の材質はSUS304であり、板厚は1mmである。反応流路4と温調流路6の断面寸法はともに幅1.2mm×深さ0.5mmである。反応流路4の長さは198mmである。
【0089】
(反応率の算出方法)
反応率は、下式(1)により求めた。
反応率(%)={(総原料中のNCO%理論値)−(反応液のNCO%測定値)}/(総原料中のNCO%理論値)×100・・・式(1)
また、NCO%は以下の方法により測定した。
まず、反応させた試料1gを300mlの共栓付三角フラスコに精秤し、脱水酢酸エチル15mlをメスシリンダーで加えて、試料を溶解した。完全に溶解した後、1mol/Lのジ−n−ブチルアミントルエン溶液10mlをホールピペットで加えてよく混合し、室温で20分以上放置した。ブロムフェノールブルー指示薬を加えて、0.5mol/L塩酸水溶液で滴定し、紫色から黄色に変わった点を終点とした。同時に空試験も行なった。次の式(2)により、NCO%を求めた。

NCO%=(B−T)×F×0.5×42.02×100/S×1000・・・(式2)
ただし、
B・・・空試験に要した塩酸の滴定量(ml)
T・・・本試験に要した塩酸の滴定量(ml)
F・・・塩酸の力価
S・・・試料の採取量(g)
【0090】
(実施例1)
図4に示す製造装置80において化学反応デバイス40を一つ繋いだ装置を用いてエチレングリコール(以下、「EG」という。)61(1.05モル)と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」という。)63(2.0モル)を混合して反応を行った。また、EG61には、予め触媒としてジブチルチンジアセテートを50ppm及び重合禁止剤としてハイドロキノンを200ppm混合溶解した。
【0091】
プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のEG61と第2のタンク64中のMOI63をモル比1.05:2.0の比率でEG61とMOI63との混合液をレイノルズ数が0.054(流速:1.6×10−3m/秒)になるようにミキサー(混合空間)67、化学反応デバイス40、冷却用熱交換器69、排圧弁71へと連続的に流し、吐出された反応混合物を受け容器72にて受け取った。なお、ミキサー内ではEGとMOIの混合を行った。化学反応デバイス40では、温調装置68にて、120℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。冷却用熱交換器69では温調装置70にて、70℃の温水を連続して流した。排圧弁71にて管内圧を1MPa以上にて行った。
【0092】
反応混合物中の未反応のイソシアネート基の定量結果から、反応時間120秒で反応率60%の割合でウレタンアクリレートが生成されていた。また、暴走反応は起こらなかった。なお、本発明で反応時間とは化合物(A)及び化合物(B)の混合液が化学反応用デバイスの端面から供給されて、冷却用熱交換器の端面から排出されるまでの時間をいう。
【0093】
(実施例2)
図4に示す製造装置80において化学反応デバイス50を10個直列に繋いだ装置を用いて、EG61(1.05モル)とMOI63(2.0モル)を混合して反応を行った。また、EG61には、予め触媒としてジブチルチンジアセテートを50ppm及び重合禁止剤としてハイドロキノンを200ppm混合溶解した。
【0094】
プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のEG61と第2のタンク64中のMOI63をモル比1.05:2.0の比率でEG61とMOI63との混合液をレイノルズ数が1.19(流速:3.5×10−2m/秒)になるようにミキサー67、化学反応デバイス50、冷却用熱交換器69、排圧弁71と連続的に流した、吐出された反応混合物を受け容器72にて受け取った。なお、ミキサー内ではEGとMOIの混合を行った。化学反応デバイス50では、温調装置68にて、160℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。冷却用熱交換器69では温調装置70にて、70℃の温水を連続して流した。排圧弁71にて管内圧を1MPa以上にて行った。
【0095】
(実施例3)
図4に示す製造装置80において化学反応デバイス60を20個直列に繋いだ装置を用いて、EG61(1.05モル)とMOI63(2.0モル)を混合して反応を行った。また、EG61には、予め触媒としてジブチルチンジアセテートを50ppm及び重合禁止剤としてハイドロキノンを200ppm混合溶解した。
【0096】
プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のEG61と第2のタンク64中のMOI63をモル比1.05:2.0の比率でEG61とMOI63との混合液をレイノルズ数が9.5(流速:2.8×10−1m/秒)になるようにミキサー67、化学反応デバイス60、冷却用熱交換器69、排圧弁71へと連続的に流した。吐出された反応混合物は、受け容器72にて受け取った。なお、ミキサー内ではEGとMOIの混合を行った。化学反応デバイス60では、温調装置68にて、180℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。冷却用熱交換器69では温調装置70にて、70℃の温水を連続して流した。排圧弁71にて管内圧を1MPa以上にて行った。なお、EGとMOIの混合液が化学反応用デバイス80の端面から供給されて、冷却用熱交換器の端面から排出されるまでの時間(反応時間)は20秒であった。
【0097】
反応混合物中の未反応のイソシアネート基の定量結果から、反応時間20秒で反応率98%の割合でウレタンアクリレートが生成されていた。また、暴走反応は起こらなかった。
【0098】
(実施例4)
EG61とMOI63との混合液をレイノルズ数が48(流速:1.41m/秒)になるようにし、また、図4に示す製造装置80において化学反応デバイス60を50個直列に繋いだ以外は、実施例3と同様にして反応混合物を得た。EGとMOIの混合液が化学反応用デバイス60の端面から供給されて、冷却用熱交換器の端面から排出されるまでの時間(反応時間)は4秒であった。反応混合物中の未反応のイソシアネート基の定量結果から、反応時間4秒で反応率70%の割合でウレタンアクリレートが生成されていた。また、暴走反応は起こらなかった。
【0099】
(実施例5)
図4に示す製造装置80において化学反応デバイス50を10個直列に繋いだ装置を用いて、2−パーフルオロヘキシルエタノール(以下、「PFHE」という。)61(1.1モル)とMOI64(1.0モル)を混合して反応を行った。また、PFHE61には、予め触媒としてジブチルチンジアセテートを50ppm及び重合禁止剤としてハイドロキノンを200ppm混合溶解した。
【0100】
プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中のPFHE61と第2のタンク64中のMOI63をモル比1.1:1.0の比率でPFHE61とMOI63との混合液をレイノルズ数が5.3(流速:0.104m/秒)になるようにミキサー67、化学反応デバイス50、冷却用熱交換器69、排圧弁71へと連続的に流した。吐出された反応混合物は、受け容器72にて受け取った。なお、ミキサー内ではPFHEとMOIの混合を行った。化学反応デバイス50では、温調装置68にて、140℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。冷却用熱交換器69では温調装置70にて、70℃の温水を連続して流した。排圧弁71にて管内圧を1MPa以上にて行った。なお、PFHEとMOIの混合液が化学反応用デバイス80の端面から供給されて、冷却用熱交換器の端面から排出されるまでの時間(反応時間)は29秒であった。
【0101】
反応混合物中の未反応のイソシアネート基の定量結果から、反応時間29秒で反応率100%の割合でウレタンアクリレートが生成されていた。また、暴走反応は起こらなかった。
【0102】
(実施例6)
図4に示す製造装置80において化学反応デバイス50を10個直列に繋いだ装置を用いて、具体例(A−8)の化合物61(1.1モル)とMOI63(1.0モル)を混合して反応を行った。また、(A−8)61には、予め触媒としてジブチルチンジアセテートを50ppm、重合禁止剤としてハイドロキノンを200ppm及び溶剤としてメチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。)1.0質量%を混合溶解した。
【0103】
プランジャーポンプ65及び66を用いて、第1のタンク62中の(A−8)61と第2のタンク64中のMOI63をモル比1.1:1.0の比率で(A−8)61とMOI63との混合液をレイノルズ数が1.5(流速:0.106m/秒)になるようにミキサー67、化学反応デバイス50、冷却用熱交換器69、排圧弁71へと連続的に流した。吐出された反応混合物は、受け容器72にて受け取った。なお、ミキサー内では(A−8)とMOIの混合を行った。化学反応デバイス50では、温調装置68にて、80℃の温調流体(オイル)を温調プレートの温調流路6に連続して流した。冷却用熱交換器69では温調装置70にて、70℃の温水を連続して流した。排圧弁71にて管内圧を1MPa以上にて行った。なお、(A−8)とMOIの混合液が化学反応用デバイス80の端面から供給されて、冷却用熱交換器の端面から排出されるまでの時間(反応時間)は28秒であった。
【0104】
反応混合物中の未反応のイソシアネート基の定量結果から、反応時間28秒で反応率85%の割合でウレタンアクリレートが生成されていた。また、暴走反応は起こらなかった。
【0105】
(実施例7)
実施例6において、温調装置68にて、140℃の温調流体(オイル)を流すこと以外は、実施例6と同様にして反応を行なった。反応混合物中の未反応のイソシアネート基の定量結果から、反応率100%の割合でウレタンアクリレートが生成されていた。また、暴走反応は起こらなかった。
【0106】
(比較例1)
EG61とMOI63との混合液の流路を流れる流速がレイノルズ数で0.02(流速:6.3×10−4m/秒)になるようにした以外は、実施例1と同様にして反応混合物を得た。EGとMOIの混合液が化学反応用デバイス40の端面から供給されて、冷却用熱交換器の端面から排出されるまでの時間(反応時間)は300秒であった。暴走反応は起こらなかったものの、反応時間が300秒でも反応率30%でしかなく、ウレタンアクリレートを効率よく製造することが出来なかった。
【0107】
実施例1〜7及び比較例1の化学反応デバイスを加温した温調流体温度、流速、レイノルズ数、反応時間及び得られたウレタンアクリレートの反応率を表1に示す。比較例1の結果から明らかなように、レイノルズ数が小さくなると、反応時間が長いのにもかかわらず反応率が下がり、効率よくウレタンアクリレートを製造できないことが分かる。また、実施例から明らかな通り、レイノルズ数が大きいほど反応速度が速くなり、効率よくウレタンアクリレートを製造できる。
【0108】
【表1】

【0109】
(比較例2)
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素吹き込み口、エアー吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、化合物(A−8)294g、ハイドロキノン0.14g、ジブチルチンジアセテート0.018g、MIBK 54gを仕込み、フラスコ内を80℃に昇温した。80℃に昇温後、MOI 70gとMIBK 30gを予め混合溶解したものを2時間かけて滴下し、滴下終了後、80℃で反応を継続した。1時間ごとに上記の方法でNCO%を測定し、NCO%が変化しなくなった時点で反応を終了し、比較対照用ウレタンアクリレートを得た。
【0110】
(比較例3)
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素吹き込み口、エアー吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、EG 33g、MOI 155g、ハイドロキノン0.04gを仕込み均一に混合した後、フラスコ内を60℃に昇温した。60℃に昇温後、加熱を中止し、ジブチルチンジアセテート0.04gを仕込んだ。ジブチルチンジアセテート仕込み後、直ちに発熱が生じ制御不能となり、フラスコ内の温度が約2分で240℃まで上昇、最終的に320℃まで上昇しフラスコ内がゲル化してフラスコ内より大量のガスが発生した。
【0111】
下記表2に比較例2及び3の反応条件及び反応結果を実施例2及び6の反応条件及び反応結果とともに示す。
【0112】
【表2】

【0113】
表2に示す反応条件及び反応結果より、実施例2では、暴走反応の発生なく非常に短時間に反応が終結していることが分かった。これは、特定の条件を満たす微小流路内に特定の流速で化合物(A)と化合物(B)を供給し、反応釜などバッチ方式の反応形態では暴走反応の危険から通常採りえない反応温度(160℃)にて微小流路内で反応させたことにより達成された結果である。
【0114】
比較例1では、エチレングリコールと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートをレイノルズ数が0.05未満となる速度で特定の微小流路内に供給し、反応釜などバッチ方式の反応形態では暴走反応の危険から通常採り得ない反応温度(120℃)にて微小流路内で反応させた結果を示した。レイノルズ数が0.05未満の場合、非常に高い反応温度で時間を延ばして反応を行っても、反応の進行に伴い反応物の粘度が増加し、分子拡散による混合性が著しく低下するため、短時間に反応が進行しなくなることが分かった。
【0115】
比較例2では、通常、反応釜で行うバッチ方式の結果を示した。暴走反応を抑制しつつ、系内の温度を十分制御する目的から溶剤メチルイソブチルケトン中での溶液反応とし、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを連続滴下により供給し、80℃の低温で反応を行っているため、反応終結まで5時間を要した。
【0116】
比較例3では、反応時間を短縮するため、エチレングリコールと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを一括で仕込み、バッチ方式にて反応を行った結果を示した。触媒を添加した途端に急激な発熱が生じ激しいガスの発生を伴ってゲル化を生じ、いわゆる暴走反応を生じる結果となった。
【0117】
上記の比較例2及び3の結果と、本発明の製造方法である実施例1〜7の結果とを比較することで、本発明の製造方法が安全かつ効率的なウレタン(メタ)アクリレートの製造方法であることが分かった。
【符号の説明】
【0118】
α・・・・・化合物(A)と化合物(B)とを含有する流体
β・・・・・化合物(A)と化合物(B)との反応物を含有する流体
γ・・・・・温調流体
1・・・・・化学反応用デバイス
1b・・・・化学反応用デバイスの端面
1c・・・・化学反応用デバイスの端面
1d・・・・化学反応用デバイスの側面
1e・・・・化学反応用デバイスの側面
2・・・・・第1プレート(プロセスプレート)
2a・・・・第1プレートの面
2b・・・・第1プレートの端面
2c・・・・第1プレートの端面
2d・・・・第1プレートの側面
2e・・・・第1プレートの側面
3・・・・・第2プレート(温調プレート)
3a・・・・第2プレートの面
3b・・・・第2プレートの端面
3c・・・・第2プレートの端面
3d・・・・第2プレートの側面
3e・・・・第2プレートの側面
4・・・・・断面凹溝形状の流路
6・・・・・断面凹溝形状の温調流路
6a・・・・断面凹溝形状の主流路
6b・・・・断面凹溝形状の供給側流路
6c・・・・断面凹溝形状の排出側流路
・・・・所定間隔
・・・・・幅
・・・・・深さ
L・・・・・・流路長さ
30・・・・・コネクタ
31・・・・・ジョイント部
32・・・・・継手部
40・・・・・化学反応デバイス
50・・・・・化学反応デバイス
60・・・・・化学反応デバイス
80・・・・・製造装置
61・・・・・化合物(A)
62・・・・・第1のタンク
63・・・・・化合物(B)
64・・・・・第2のタンク
65・・・・・プランジャーポンプ
66・・・・・プランジャーポンプ
67・・・・・ミキサー
68・・・・・温調装置
69・・・・・冷却用熱交換器
70・・・・・温調装置
71・・・・・排圧弁
72・・・・・受け容器
80・・・・・実施例及び比較例で用いた樹脂の製造装置を模式的に示す概略構成図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に微小管状流路が形成された伝熱性反応容器の該微小管状流路内に、水酸基を有する化合物(A)と、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(B)との混合液を、連続的かつ液密状に流通させ、前記化合物(A)中の水酸基と前記化合物(B)中のイソシアネート基とを反応させるウレタン(メタ)アクリレートの連続製造方法であって、
前記反応容器が、前記微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.1〜4.0mmとなる空隙サイズを有する微小管状流路を有するものであり、かつ、前記伝熱性反応容器を80〜250℃に加熱するとともに、前記微小管状流路内を流通する反応液のレイノルズ数が0.05〜300の範囲となるように反応させ、次いで、反応終了後、前記伝熱性反応容器から吐出された反応生成物を連続的に冷却することを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項2】
内部に微小管状流路が形成された伝熱性反応容器を複数直列状に配設してなる反応装置を用いて反応を行う請求項1記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項3】
内部に微小管状流路が形成された伝熱性反応容器が、表面に複数の溝部が形成された伝熱性プレート状構造体を複数枚積層してなる構造を有するものである請求項1記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項4】
前記化合物(A)と化合物(B)との混合液を、0.9×10−4〜4.2m/秒の流速で微小管状流路に流通させる請求項1〜3のいずれか1項記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項5】
前記化合物(A)がフッ素化アルキル基(エーテル性酸素原子を有するものも含む。)を有する化合物である請求項1〜4のいずれか1項記載のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−57603(P2011−57603A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208056(P2009−208056)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】