説明

エアコン

【課題】 エアコンの冷却部は、エアコンの他の部分と比べて空気が滞留しやすく、またフィンその他の抵抗もあるため、ここにタバコのヤニや汚れが付着しやすい。また、汚れが付着すると、そこにカビが繁殖したりする。それが循環空気とともに室内に放出されることとなり、室内環境が悪化する。また、そのようなものが原因で悪臭が生じることにもなる。そこで、そのような室内環境の悪化や、病気の原因をできるだけ発生させないエアコンを提供する。
【解決手段】 エアコンユニット内に、その抽出成分が殺菌又は洗浄効果のある植物を設けたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ほとんどすべての自動車には、エアコンが取り付けられている。この出願でいうエアコンは、冷却機能のみ、暖房機能のみ、その両方を有するもの、または温度調整できるものすべてを含む。
このエアコン(冷房の場合)は、室内の空気を吸引し、冷却して室内に再循環するものである。空気を冷却する部分は、冷媒が蒸発してその蒸発潜熱によって空気を冷却するエバポレーターと呼ばれている冷却コイルを有する冷却部である。
この冷却部は、エアコンの他の部分と比べて空気が滞留しやすく、またフィンその他の抵抗もあるため、ここにタバコのヤニや汚れが付着しやすい。また、汚れが付着すると、そこにカビが繁殖したりする。
【0003】
このように汚れが付着したり、カビが繁殖したりすると、それが循環空気とともに室内に放出されることとなり、室内環境が悪化する。また、そのようなものが原因で悪臭が生じることにもなる。
【0004】
アレルギーを持った人では、このような室内では非常に苦しいか、病気を生じるおそれがある。
また、室内の隅々までそのような空気がいきわたることにより、いろいろな場所でまた、カビが繁殖したり、ダニの原因にもなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明では、そのような室内環境の悪化や、病気の原因をできるだけ発生させないエアコンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明エアコンを完成させたものであり、その特徴は、エアコンユニット内に、その抽出成分が殺菌又は洗浄効果のある植物を設けた点にあり、さらに他の態様では、エアコンユニット内に、殺菌又は洗浄効果のある植物の抽出成分を含浸させたチップを設けた点にある。
【0007】
ここでいうエアコンユニットは、エアコンの空気を吸い込んで、排出するまでの全空間をいう。通常のエアコンは、空気吸込口、エアフィルター、ブロアユニット、冷却ユニット、ヒーターユニット、最後に空気排出口という順に空気が流通する。勿論、エアコンの種類、その用途、例えば、家庭用、自動車用、船舶用その他によってこの各ユニットがすべてそろっているとは限らないし、その他のエリアやユニットを有しているものもある。しかし、そのような内部構造にかかわらず、空気吸込口から空気排出口までの空間をいう。
【0008】
本発明でいうエアコンは、その用途や使用場所は問わない。自動車用、船舶用、車両用、家庭用等である。その大きさや取り付け個数等も自由である。
【0009】
抽出成分とは、植物に含有される成分であり、通常は水やアルコールで抽出できるものである。これは、植物から自然に放散されるものでその植物によって種々のものがある。
例えば、ヒノキ科の植物から放散されるヒノキチオールがある。これは、殺菌作用や抗カビ効果がある。勿論、樟やその他の植物に含有されるものでもよく特に限定するものではない。
【0010】
また、洗浄効果のあるものでもよい。例えば、シャボンの木のような界面活性剤を含有するようなものである。
【0011】
このような殺菌又は洗浄効果を有する成分を放散する植物であればどのようなものでもよく、且つ植物のどの部分でもよい。例えば、幹、枝、根、葉等であり、その成分の放散程度で適当に選択すればよい。
植物としては、前記したヒノキ科の植物や樟、その他ハーブでもよい。ハーブとは、一般には、薬草、香味料とする草の総称であり、オレガノ、ミント、タイムその他がある。
【0012】
また植物としては、小さい葉等はそのまま使用できるが、大きいものは破砕するか粉砕する。そして、適当なサイズにすることが望ましい。
【0013】
さらに、そのような殺菌又は洗浄効果のある成分を他の植物等に含浸させたものでもよい。このようにすれば、自然に含まれているよりも多量に含浸させることができ、長期間使用できる。また、複数の成分を含浸させることもできる。
この含浸させた植物(木のチップ等)も適当なサイズにする。
【0014】
この植物をエアコンユニット内に設ける方法としては、エアコンユニット内にエアーフィルターが設けられている場合、そのエアフィルターに粉砕した上記植物を固着する方法がある。 例えば、フィルターが不織布の場合、その空間に破砕物を入れ込む、フィルターを構成している膜と膜の間に破砕物を入れる、フィルターで袋を作りそれに入れる等である。
このフィルターに付けて設ける場合には、場所や固定方法の心配はない。
【0015】
フィルターとは別に設ける場合、フィルターが用いられていないエアコンユニットの場合には、上記植物を通気性のある袋や箱のような容器に入れて、それをエアコンユニット内に入れることになる。また、木等で大きなものは、適当な大きさにして袋等に入れずそのままでも可能である。
設ける場所は、自由であり、エアコンユニット内ならばどこでもよい。エアコンユニット内に十分成分を行き渡らせるため、エアコンユニット内の上流側が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明エアコンには次のような効果がある。
(1) 有効植物等がエアコンユニット内に設けられているため、その成分によってエアコンユニット内の雑菌やカビが死滅する。それによって、室内の悪臭も防止できる。
(2) 室内の殺菌や汚れ防止にもなる。
(3) 有効植物は良い香りのするものが多いため、室内に良い香りが漂い、アロマテラピー効果が期待できる。
(4) 特に自動車用エアコンとして使用すると、安全運転にもつながる。
(5) 非常に安価で長期間使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1
図1は、エアコンユニット1(これは自動車用)の1例を示す概略断面図である。このエアコンユニット1は、3つの部分からなる。フィルーター2が内蔵されたフィルターユニット3、ブロア4を有するブロアユニット5、エバポレーター6を有する冷却ユニット7である。空気は、吸込口8から入り、フィルター2で汚れ等を取られてブロアから冷却ユニットで冷却されて排出口9から排出される。
【0019】
図2は、図1のフィルター2の拡大図である。不織布のフィルター10の間にヒノキの木の破砕物(数mm程度の粒)11が多数入っている。このフィルターの厚みは、従来のフィルターの全厚みと同じにすれば便利である。下流側のフィルターは目の粗い単なる網にようなものでもよい。
【0020】
この例では、空気は最初のフィルターで汚れ等が取られ、ヒノキから出たヒノキチオール等の成分とともにエアコンユニット1内に行き渡る。そして、エアコンユニットに付着した汚れ等の有機物が発酵したり、そこで細菌が増殖するのを防止する。
【0021】
さらに、ヒノキチオールのような有効成分は、空気と共に排出口9から室内に排出され、分子の拡散作用その他により室内の隅々まで行き渡ると考えられる。よって、室内の殺菌や脱臭効果も期待できる。
勿論、前記したアロマテラピー効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エアコンユニット1の1例を示す概略断面図である。
【図2】フィルター2の1例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 エアコンユニット
2 フィルター
3 フィルターユニット
4 ブロア
5 ブロアユニット
6 エバポレーター
7 冷却ユニット
8 吸込口
9 排出口
10 フィルター
11 木の破砕物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンユニット内に、その抽出成分が殺菌又は洗浄効果のある植物を設けたことを特徴とするエアコン。
【請求項2】
該植物は、空気のフィルターに固着されたものである請求項1記載のエアコン。
【請求項3】
該植物は、空気のフィルターとは別に保持されたものである請求項1記載のエアコン。
【請求項4】
該植物は、ヒノキ科の植物である請求項1〜3記載のエアコン。
【請求項5】
該植物は、ハーブである請求項1〜3記載のエアコン。
【請求項6】
エアコンユニット内に、殺菌又は洗浄効果のある植物の抽出成分を含浸させたチップを設けたことを特徴とするエアコン。

【図1】
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【図2】
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