説明

エアゾール型便器リム内洗浄剤

【課題】尿石等による汚れに対して有効に作用する酸性の洗浄剤を所望の位置に向けて噴射可能なエアゾール洗浄剤を提供することを目的とする。
【解決手段】エアゾール洗浄剤10は、ヒドロキシカルボン酸及びその塩を含有しており酸性の洗浄剤30と、金属製のエアゾール容器20と、噴射剤40とを備えており、エアゾール容器20の内面が、洗浄剤30に対する耐食性を備えた保護膜26により被覆されている。洗浄剤30及び噴射剤40は、エアゾール容器20内に充填されており、噴射ボタン24aを押圧することにより噴射口24b及び噴射管24cを介して噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、便器に付着した汚れ(尿石)を除去したり付着防止したりすべく、下記特許文献1に開示されているスケールの除去剤や、特許文献2に開示されている尿石付着防止装置が提供されている。
【0002】
特許文献1のスケールの除去剤は、金属材質を腐食、水素脆化させることを防止するとともに、トイレの配管やタンクに付着した強固なスケールを除去することを意図して、キレート剤、ケイ酸塩及び水を含有し、アルカリ性を示す組成物によって構成されている。また、特許文献2の尿石付着防止装置は、マグネシウム製の中間電極が配される電解室において生成されるアルカリ性であって洗浄効果を有する改質水を流出させることにより便器を洗浄し、尿石の付着防止を図る装置である。
【0003】
ここで、近年、便器のリム部の内側(縁の裏側)等のように洗浄剤や洗浄用のブラシが届きにくく、特に尿石等の汚れが堆積しやすい位置に向けて集中的に洗浄剤を吹き付けて洗浄することを可能とすべく、洗浄剤をエアゾール容器に充填したエアゾール型便器リム内洗浄剤が提供されている。
【0004】
かかるエアゾール型便器リム内洗浄剤は、洗浄剤と共に噴射剤を金属製の耐圧容器(エアゾール缶)に封入しなければならないため、容器の腐食や破裂を防止すべく、封入可能な洗浄剤がアルカリ性のものに限定されているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−201495号公報
【特許文献2】特開2003−290768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属製のエアゾール缶に、上記特許文献1や特許文献2に開示されているアルカリ性の除去剤や改質水を用いれば、尿石による便器リム内の汚れを洗浄したり付着防止したりすることが可能であるものの、その洗浄能力は酸性の洗浄剤を用いた場合よりも低い。
【0007】
そのため、従来のエアゾール洗浄剤は、洗浄剤やブラシが届きにくく洗浄しにくい部分を洗浄可能とするものであるが、尿石による汚れのように強固に付着した汚れを洗浄するには不十分なものと言わざるを得ない。
【0008】
そこで、本発明は、尿石等による汚れに対して有効に作用する酸性の洗浄剤を所望の位置に向けて噴射可能なエアゾール型便器リム内洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決すべく、本発明は、
ヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩を含有する酸性の洗浄剤と、
噴射剤と、
前記洗浄剤に対する耐食性を有する保護膜で被覆された内面を有し、前記洗浄剤及び前記噴射剤が充填されている金属製のエアゾール容器と、
を備えること、
を特徴とするエアゾール型便器リム内洗浄剤を提供する。
【0010】
上記本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤においては、前記洗浄剤のpHが、4.3±0.3の範囲内であることが好ましい。
【0011】
また、上記本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤においては、ヒドロキシカルボン酸がグリコール酸であることが望ましい。
【0012】
上記本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤においては、前記エアゾール容器が、前記洗浄剤を外部へ噴射させるための噴射口と、前記噴射口に接続される噴射管と、を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤は酸性の洗浄剤を用いたものであるが、金属製のエアゾール容器の内側金属面が、前記洗浄剤に対して耐食性を有する保護膜によって前記洗浄剤から保護されているため、エアゾール容器が腐食や腐食に起因する破裂を起こさない。
【0014】
また、本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤で用いられている洗浄剤は、ヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩を含有するものであり、便器に付着した尿石による汚れを容易に洗浄することが可能である。
【0015】
更に、本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤は、噴射剤によって洗浄剤を噴射させることが可能であるため、例えば便器のリム部の内側のような汚れが堆積しやすい位置に向けて集中的に洗浄剤を吹き付けて効果的に洗浄することが可能である。
【0016】
本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤は、pHが4.3±0.3の範囲内にある弱酸性の洗浄剤を用いることにより、尿石による汚れを容易に洗浄可能としつつ、エアゾール容器の腐食や破裂を確実に防止することが可能となる。
【0017】
本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤は、ヒドロキシカルボン酸としてグリコール酸を用いることにより、尿石による汚れを容易に洗浄することが可能となる。
【0018】
本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤は、前記エアゾール容器が、前記洗浄剤を外部へ噴射させるための噴射口と、前記噴射口に接続される噴射管とを備えたものであるため、所望の位置に向けて洗浄剤を噴射させることが可能である。特に便器のリム部の内側のように、外側から見えにくく洗浄剤やブラシ等が届きにくいような位置であっても、噴射管を差し入れることによって容易かつ的確に洗浄剤を噴射させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るエアゾール型便器リム内洗浄剤の容器本体の一部破断した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
続いて、本発明の一実施形態に係るエアゾール型便器リム内洗浄剤について、図1を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はかかる実施形態に制限されるものではない。図1は、本発明の一実施形態に係るエアゾール型便器リム内洗浄剤10の容器本体の一部破断した状態を示す斜視図である。
【0021】
本実施形態のエアゾール型便器リム内洗浄剤10は、便器のリム部の内側(縁の裏側)の洗浄用として好適に使用可能なものであり、図1に示すように、エアゾール容器20の内部に洗浄剤30と噴射剤40とを充填したものである。エアゾール容器20は、高純度アルミニウム合金製で有底筒状の缶によって構成された耐圧性を有する容器本体22と、樹脂製の噴射部24と、容器本体22の開口部を封止するバルブ(図示せず)と、を備えている。
【0022】
容器本体22は、内側金属面が保護膜26によって保護されている。保護膜26は、酸性の洗浄剤30に対する耐食性を備えた素材によって構成されている。具体的には、保護膜26は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、エバール、ポリアミドイミド樹脂、エポキシフェノール等の薄膜や、これら薄膜を積層した積層膜によって形成されている。保護膜26は、耐食性を有するものであれば単層構造、多層構造のいずれであってもよい。本発明者らは、特にポリアミドイミド樹脂又はエポキシフェノールで構成された保護膜が、酸性の洗浄剤に対して長期耐食性に優れることを見出した。
【0023】
容器本体22は、いかなる方法によって形成したものであっても良いが、例えばカッピング工程、成型工程、洗浄工程、塗装・印刷工程、焼き付け・乾燥工程、ネッキング・フランジャー工程の各工程を経て形成することが可能である。
【0024】
具体的には、前述した方法により容器本体22を形成する場合は、先ずカッピング工程において、コイル状に巻かれ潤滑油が塗布されたアルミニウム板又はアルミニウム合金板から円形のブランクが打ち抜かれ、これがプレス等によってカップ状に形成される。このようにして形成されたカップは、成型工程においてドローイング・アイアニング加工(DI加工)が施され、有底円筒体とされる。
【0025】
その後、有底円筒体の内外面に付着している潤滑油が洗浄工程において除去される。塗装・印刷工程において、有底円筒体の外面に印刷や塗装が施されると共に、有底円筒体の内面に上述した保護膜26の形成用に準備された溶液が塗装される。その後、焼き付け乾燥炉等において乾燥させ、硬化させることにより、有底円筒体の内面に保護膜26が形成された状態になる。このようにして形成された有底円筒体の首の部分を絞って細くする加工(ネッキング加工)や、蓋をかしめる加工(フランジャー加工)を行うことにより容器本体22が形成される。
【0026】
噴射部24は、容器本体22の上端側に設けられた樹脂製の噴射ボタン24aと、噴射口24bと、噴射口24bに接続された噴射管24cとを備えている。噴射口24bは、噴射ボタン24aに形成されている。噴射管24cは、細長い管状のものであり、噴射口24bに連通するように取り付けられている。
【0027】
この噴射部24は、噴射ボタン24aと容器本体22の開口部を封止するために設けられたバルブ(図示せず)とが連なった構造とされており、噴射ボタン24を押圧することにより、洗浄剤30を噴射剤40と共に噴射口24aおよび噴射管24bを介して噴射させることが可能である。噴射管24bは、噴射口24bに対して適宜着脱可能なものであってもよく、噴射口24bに対して一体的に取り付けられたものであってもよい。
【0028】
洗浄剤30は、便器(特にリム部内)の洗浄に好適に使用可能な酸性水溶液によって構成されている。洗浄剤30は、主として汚れを洗浄するための成分(洗浄成分)、主として除菌作用を発揮する成分(除菌成分)、主として尿石を分解するための成分(尿石分解成分)、主として水を軟化させるための成分(水軟化成分)、主として湿潤及び洗浄補助するための成分(湿潤・洗浄補助成分)、着色成分、消臭成分等の成分を水溶させたものである。
【0029】
洗浄成分としては、従来公知の洗浄成分(好ましくは酸性〜中性)を用いることができ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミノ酢酸ベタイン等を好適に使用することができる。
【0030】
洗浄成分は、単一の物質によって構成されてもよく、2種以上の物質を混合することにより構成されてもよい。本実施形態では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミノ酢酸ベタインの混合物が汚れ洗浄成分として採用されており、それぞれ洗浄剤30の全量に対して重量比で2%、8%、3%、6%の割合となるように調製されている。
【0031】
また、除菌成分としては、従来公知のものを用いることができ、例えばジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等を好適に使用することができる。
【0032】
除菌成分は、単一の物質によって構成されてもよく、2種以上の物質を混合することにより構成されてもよい。本実施形態では、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライドが除菌成分として採用されており、洗浄剤30の全量に対して重量比で0.5%の割合となるように調製されている。
【0033】
尿石分解成分としては、従来公知のものを用いることができ、例えばヒドロキシカルボン酸及びその塩を含むものが採用されている。具体的には、尿石分解成分としては、ヒドロキシカルボン酸の一種であるグリコール酸等を好適に使用することができる。
【0034】
尿石分解成分は、単一の物質によって構成されてもよく、2種以上の物質を混合することにより構成されてもよい。本実施形態では、グリコール酸が尿石分解成分として採用されており、洗浄剤30の全量に対して重量比で2%の割合となるように調製されている。
【0035】
水軟化成分としては、従来公知のものを用いることができ、例えばニトリロ三酢酸三ナトリウム等を好適に使用することができる。
【0036】
水軟化成分は、単一の物質によって構成されてもよく、2種以上の物質を混合することにより構成されてもよい。本実施形態では、ニトリロ三酢酸三ナトリウムが水軟化成分として採用されており、洗浄剤30の全量に対して重量比で1%の割合となるように調製されている。
【0037】
湿潤・洗浄補助成分としては、従来公知のものを用いることができ、例えばグリセリン等を好適に使用することができる。
【0038】
湿潤・洗浄成分は、単一の物質によって構成されてもよく、2種以上の物質を混合することにより構成されてもよい。本実施形態では、湿潤・洗浄補助成分としてグリセリンが採用されており、洗浄剤30の全量に対して重量比で10%の割合となるように調製されている。
【0039】
本実施形態において採用されている洗浄剤30は、上述した成分に加え、着色成分と消臭成分とをそれぞれ微量含有している。着色成分は染料によって構成されており、洗浄剤30を所望の色彩(本実施形態では青色)に着色することができる。また、消臭成分は香料等によって構成することが可能であり、適宜選択することが可能である。
【0040】
洗浄剤30は、上述した各成分を精製水に溶解することにより調製され、pHが4.3±0.3の範囲内にある弱酸性で青色の水溶液である。具体的には、本実施形態において採用されている洗浄剤30の成分、特性は、表1又は表2に示す通りである。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
噴射剤40は、上述した洗浄剤30と共にエアゾール容器20の内部に充填されている。噴射剤40は特に限定されるものではないが、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、これらの混合物であるガス、メタンを主成分とする液化天然ガス(LPG)、イソペンタン、ジメチルエーテル等の液化ガス、フロン11(登録商標)、フロン12(登録商標)、フロン21(登録商標)、フロン113(登録商標)、フロン114(登録商標)等のフッ化炭化水素類、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられる。以下の実施例では噴射剤40としてLPGが採用されている。
【0044】
エアゾール型便器リム内洗浄剤10は、噴射ボタン24aを押圧することにより、噴射口24b及び噴射管24cを介して洗浄剤30を噴射剤40と共に噴出させ、所望の位置に洗浄剤30を吹き付けることができる。また、洗浄剤30は、泡状の状態で噴出される。
【0045】
エアゾール型便器リム内洗浄剤10は、金属製のエアゾール容器20の内面が保護膜26によって保護されており、酸性の洗浄剤30が金属部分に直接触れない構造とされているため、エアゾール容器20の腐食や腐食に起因する破裂が発生しない。また、エアゾール型便器リム内洗浄剤10に用いられている洗浄剤30は、ヒドロキシカルボン酸の一種であるグリコール酸やその塩を含有したものであり、便器に付着した尿石による汚れを容易に洗浄することが可能である。
【0046】
エアゾール型便器リム内洗浄剤10は、噴射剤によって洗浄剤30を噴射させることが可能であるため、便器リム内のように洗浄剤やブラシが届きにくく汚れが堆積しやすい位置等の所望の位置に向けて集中的に洗浄剤30を吹き付けて洗浄することが可能である。また、洗浄剤30を噴射するものであるため、使用者の手等を汚すことがなく、離れた位置から洗浄剤30を噴射することも可能である。
【0047】
本実施形態では、洗浄剤30の最も好ましい例として、pHが4.3±0.3の範囲内であり弱酸性のものを使用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに強酸性あるいは弱酸性のものを使用することが可能である。なお、本実施形態において採用したものと相違する洗浄剤30を用いる場合は、その液性等を考慮し、容器本体22の内面に形成される保護膜26の素材を選択することが好ましい。
【0048】
上述したように、エアゾール型便器リム内洗浄剤10は、噴射口24bに噴射管24cを接続したものであるため、便器リム内のように外側から見えにくい場所や、洗浄剤やブラシ等が届きにくいような位置であっても、噴射管24cを差し入れることによって容易かつ的確に洗浄剤30を噴射させることが可能である。なお、本実施形態では、噴射口24aに噴射管24bが接続された例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、噴射管24bを備えていないものであってもよい。
【実施例】
【0049】
続いて、本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤の実験例について説明する。
ここではアイメディア(株)製の水アカ・黒ズミおちーる(商品名)及びトイレふちクリーン(商品名)、並びに表1に示す成分で構成される本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤の3種類洗浄剤を試料として用いて以下の洗浄力評価試験を行った。それぞれの成分は以下のとおりであった。
【0050】
試料1:水アカ・黒ズミおちーる
洗浄成分
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 3重量%
ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド 0.5重量%
除菌成分
ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド 0.5重量%
粘度調整剤
イソプロパノール 2重量%
ポリアクリル酸塩 0.5重量%
染料 0.5重量%
香料 0.5重量%
精製水 92.5重量%
淡青色透明粘性液
中性 pH7.0±1.0(25℃)
【0051】
試料2:トイレふちクリーン
洗浄成分
脂肪酸アルカノールアミド 4重量%
ヤシ油脂アミノ酸塩 0.75重量%
ヤシ油脂脂肪酸塩 0.75重量%
洗浄助剤
ケイ酸塩 0.75重量%
尿石分解成分
グリコール系溶剤 7重量%
香料
D−リモネン 0.75重量%
キレート剤
エデト酸塩 0.5重量%
精製水 85.5重量%
アルカリ性 pH10.3±0.5
【0052】
試料3:本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤
洗浄成分
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 2重量%
アルキルジメチルアミンオキサイド 8重量%
アルキルポリグルコシド 3重量%
アルキルアミノ酢酸ベタイン 6重量%
除菌成分
ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド 0.5重量%
尿石分解成分
グリコール酸 2重量%
水軟化成分
ニトリロ三酢酸三ナトリウム 1重量%
湿潤・洗浄補助成分
グリセリン 10重量%
染料 1重量%
香料 1重量%
精製水 65.5重量%
青色透明液
弱酸性 pH4.0(20℃)
【0053】
[評価試験1]
(1)人工汚れの調製方法(尿石成分を参考したもの)
第三燐酸ソーダ3g、蓚酸1g、無水塩化カルシウム4g、寒天培地0.6g、ゼラチン0.3g、炭酸ソーダ0.2g、微粉末ダスト1.2g及び着色料を順番に水に入れ加熱しながら有機物が完全に溶けるまで良く撹拌し100g混合液を調合した。
【0054】
(2)人工汚れの付け方法
以上の処方で調合した人工汚れを陶製タイル(45mm×45mm×6mm)の表面になるべく均一に塗布し、ヘアドライヤーでタイルを乾燥した。この操作を4回繰り返し行った。次に、50℃の恒温乾燥機に入れ、約1週間放置し固化した。この方法で用意したタイルを以下の洗浄力評価試験に用いた。
【0055】
(3)洗浄方法
上記各試料の35g(±0.1g)を100mlビーカーに入れた。上述方法で用意したタイル(精秤したもの、±0.001g)をそれぞれビーカーに入れて常温で半分ディッピングした。1時間後、タイルを取り出し、60℃乾燥機に入れ乾燥した。次に、乾燥したタイルを精秤し以下の計算式で汚れの除去率(洗浄率)を算出した。この洗浄試験を8回繰り返して行い、それらデータの平均値を算出し、3種類試料の洗浄力を評価した。評価結果を表3に示した。
【0056】
洗浄量(g)=A−B
洗浄率(%)=[(A−B)/(A−C)]×100
上記式中、Aは浸漬前のタイルの重さ(g)、
Bは浸漬後のタイルの重さ(g)、
Cはタイルの自重(g)である。
【0057】
【表3】

【0058】
表3に示す結果から、本発明の酸性タイプの洗浄剤が、アルカリ性タイプのトイレふちクリーンよりも洗浄率が良かったことがわかる。なお、表2に示す組成の本発明の酸性タイプの洗浄剤でも同等の結果が得られた。
【0059】
[評価試験2]
上記洗浄剤のうちの水アカ・黒ズミおちーる及びトイレふちクリーンを、それぞれLPGを用いて東洋製罐(株)製の高純度アルミニウム缶に充填して、比較エアゾール洗浄剤1及び2を作製した。また、本発明の洗浄剤を、LPGを用いて東洋製罐(株)製の高純度アルミニウム缶であって内面にポリアミドイミド樹脂をコーティングしたものに充填して、本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤を作製した。
【0060】
これらの比較エアゾール洗浄剤1及び2、並びに本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤を、1ヶ月間及び3ヶ月間、40℃の環境で保管したところ、いずれもアルミニウム缶に腐食等はなく、同等の耐食性を示した。なお、表2に示す組成の本発明の酸性タイプの洗浄剤を用いて作製したエアゾール缶でも同等の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のエアゾール型便器リム内洗浄剤は、便器のリム部の内側(縁の裏側)等のように洗浄剤やブラシが届きにくく洗浄しにくい場所の洗浄用として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 エアゾール洗浄剤
20 エアゾール容器
24b 噴射口
24c 噴射管
26 保護膜
30 洗浄剤
40 噴射剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩を含有する酸性の洗浄剤と、
噴射剤と、
前記洗浄剤に対する耐食性を有する保護膜で被覆された内面を有し、前記洗浄剤及び前記噴射剤が充填されている金属製のエアゾール容器と、
を備えること、
を特徴とするエアゾール型エアゾール型便器リム内洗浄剤。
【請求項2】
ヒドロキシカルボン酸がグリコール酸であること、
を特徴とする請求項1に記載のエアゾール型便器リム内洗浄剤。
【請求項3】
前記保護膜がポリアミドイミド樹脂で構成されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール型便器リム内洗浄剤。

【図1】
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【公開番号】特開2012−21035(P2012−21035A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152768(P2010−152768)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(595018617)アイメディア株式会社 (4)
【Fターム(参考)】