説明

エアゾール容器用噴射アダプタ

【課題】エアゾール容器に固定した状態からでも、分別廃棄の容易なエアゾール容器用噴射アダプタを提供する。
【解決手段】本発明は、エアゾール容器20の巻回部21に固定される台座部2を有し、この台座部2からノズルヘッド22を挟んで一対の側壁部3を起立させると共に、この側壁部3の上部における当該側壁部3の相互間に横方向に延在する梁部4を掛け渡し、この梁部4に屈曲可能なヒンジ部5を介してノズルヘッド21を押圧する操作片6を連結したアダプタ1であって、台座部2の下端2eから一方の側壁部3の上端3eに至るまでの間に、操作片6の引き起こしによって切り離し可能な分割ラインL1を設けることに加え、梁部4のうちの、他方の側壁部3との連結部分にも、同様の分割ラインL2を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器のノズルヘッドを押圧するにあたって補助的に機能して内容物の噴射を容易なものとするエアゾール容器用噴射アダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の噴射アダプタには、エアゾール容器の巻回部に着脱可能に保持される環状の台座部を有し、この台座部からノズルヘッドを取り囲む筒壁部を起立させると共に、この筒壁部の上部開口を天壁で封止し、この天壁に、スリットによって舌片を形作って当該舌片を揺動可能な操作片とすることで、当該アダプタ全体を一体に成形したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−97466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来の噴射アダプタは、その台座部が着脱可能であるところから、使用後の分別廃棄には有効であるが、例えば、噴射量の安定した使用を考慮して、当該アダプタの台座部を離脱不能に固定する場合には、エアゾール容器とアダプタとの分別作業が煩雑になるという問題がある。
【0004】
本発明の目的とするところは、エアゾール容器に固定した状態からでも、分別廃棄の容易なエアゾール容器用噴射アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明であるエアゾール容器用噴射アダプタは、エアゾール容器の巻回部に保持固定される台座部を有し、この台座部からノズルヘッドを挟んで一対の側壁部を起立させると共に、この側壁部の上部における当該側壁部の相互間に横方向に延在する梁部を掛け渡し、この梁部に屈曲可能なヒンジ部を介してノズルヘッドを押圧する操作片を連結したエアゾール容器用噴射アダプタであって、台座部の下端から2つの側壁部のいずれか一方の上端に至るまでの間に、操作片の引き起こしによって切り離し可能な分割ラインを設けたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明によれば、台座部の下端から一方の側壁部の上端に至るまでの間に、上述の分割ラインを設けることに加え、梁部のうちの、他方の側壁部との連結部分にも、同様の分割ラインを設けることができる。
【0007】
また、本発明によれば、台座部の下端から一方の側壁部の上端に至るまでの間に、上述の分割ラインを設けることに加え、台座部の下端から他方の側壁部の上端に至るまでの間にも、同様の分割ラインを設けることもできる。
【0008】
本発明にかかる分割ラインには、例えば、完全に分離された隙間であって、その相互間を破断可能な部位で連結したものや、溝のような凹部であって、その底部分を破断可能な薄肉状にしたものが挙げられる。
【0009】
本発明において、台座部は、エアゾール容器の巻回部の全周に亘って固定される形状のうち、その噴射側の一部を切り欠いて、エアゾール容器の巻回部の一部を露出させると共に、この巻回部の上部に掛け渡された橋梁部が形成されてなるものとすることができる。
【0010】
また、本発明において、台座部は、エアゾール容器の巻回部の全周に亘って固定される形状であって、梁部及び周壁部を一体に構成して噴射側の開口部が形成された前壁部と一体に繋がってなるものとすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアゾール容器用噴射アダプタは、エアゾール容器の巻回部に保持固定される台座部からノズルヘッドを挟んで一対の側壁部を起立させ、この側壁部の上部における当該側壁部の相互間に横方向に延在する梁部を掛け渡し、この梁部に屈曲可能なヒンジ部を介してノズルヘッドを押圧する操作片を連結したことから、内容物の噴射にあっては、操作片を介してノズルヘッドを押し下げることで内容物を噴射させることができる。また、この場合、アダプタの台座部が巻回部に保持固定されていることから、噴射量の安定した使用が可能となる。
【0012】
加えて、本発明のエアゾール容器用噴射アダプタは、台座部の下端から2つの側壁部のいずれか一方の上端に至るまでの間に、操作片の引き起こしによって破断可能な分割ラインが設けられていることから、
エアゾール容器を使い切った後は、操作片を引き起こして当該分割ラインを破断させることで当該アダプタを切り開くことができる。即ち、本発明によれば、エアゾール容器に固定した状態からでも、当該アダプタのみを容易に取り外すことができる。
【0013】
従って、本発明によれば、エアゾール容器に固定した状態からでも、分別廃棄の容易なエアゾール容器用噴射アダプタを提供することができる。
【0014】
ところで、台座部から一方の側壁部のみに、上述の分割ラインを設けた場合、エアゾール容器からの分離にあたっては、分割ラインを破断させた後、更に、アダプタを押し広げて取り外す必要があるため、分別作業に改善の余地がある。
【0015】
そこで、台座部の下端から一方の側壁部の上端に至るまでの間に、上述の分割ラインを設けるに加え、梁部のうちの、他方の側壁部との連結部分にも、同様の分割ラインを設ければ、始めに操作片を引き起こして梁部側の分割ラインを破断させるに次いで、この操作片を更に、他方の分割ラインを破断させるように捩りながら引き下げれば、操作片の引き起こしに起因した一連の動作で、そのままエアゾール容器から分離することができる。
【0016】
かかる構成によれば、エアゾール容器からの分離にあたり、分割ラインを破断させた後、更に、アダプタを押し広げて取り外す必要がないため、エアゾール容器との容易な分別を実現することができる。
【0017】
また、台座部から一方の側壁部のみに、上述の分割ラインを設けた場合、アダプタを押し広げて取り外す際には、比較的大きな力を要する場合がある。
【0018】
そこで、台座部から一方の側壁部に、上述の分割ラインを設けるに加え、台座部の下端から他方の側壁部の上端に至るまでの間にも、同様の分割ラインを設ければ、2つの分割ラインの相互間は、操作片を引き起こすに次いで引き下げることで、帯状の部位として分離される。即ち、アダプタは、2つの分割ラインの相互間に形成される幅分だけ、大きく切り開かれることになるため、分割ラインを単独で設けた場合に比べて、アダプタを押し広げて取り外す際に要する力は比較的小さく済む。
【0019】
従って、かかる構成によれば、エアゾール容器からの分離にあたって、分割ラインの破断と、アダプタの押し広げとを要する場合にあっても、アダプタを押し広げて取り外す際に要する力は比較的小さく済むため、エアゾール容器との容易な分別を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好適な形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一形態であるエアゾール容器用噴射アダプタ(以下、「アダプタ」という)1を備えるエアゾール容器20の要部をその上部側面から示す要部斜視図である。また、図2(a),(b)はそれぞれ、その上面図及びアダプタ1の側面図である。
【0022】
更に、図3(a),(b)はそれぞれ、アダプタ1を備えるエアゾール容器20の要部正面図及びその側面図である。なお、図3(b)ではアダプタ1を、図2(a)のX−X断面で示す。
【0023】
アダプタ1は、エアゾール容器20の巻回部21に固定される台座部2を有し、この台座部2からノズルヘッド22を挟んで一対の側壁部3を起立させると共に、この側壁部3の上部におけるノズルヘッド22によりも前方の位置にあって当該側壁部3の相互間に横方向に延在する梁部4を掛け渡し、この梁部4に屈曲可能なヒンジ部5を介してノズルヘッド22を押圧する操作片6を連結してなる。
【0024】
更に詳細には、本形態に係る台座部2は、巻回部21の全周に亘って固定される形状のうち、その噴射側の一部を切り欠いて、巻回部21の一部を露出させると共に、この巻回部21の上部に掛け渡された橋梁部2aが形成されてなる。即ち、橋梁部2aは、アダプタ1の装着時に、梁部4の下方位置において、巻回部21で保持される。これにより、橋梁部2aは、2つの側壁部3及び梁部4と共に、ノズルヘッド22の噴射孔23を外界に開放する開口部Aを形成する。
【0025】
なお、アダプタ1を固定するにあたっては、例えば、図3(b)に示すように、台座部2の下端2eの内側に、台座部2から環状又は断続的に突出する係止突起2bを設け、この係止突起2bを巻回部21の下端に引っ掛ける。但し、アダプタ1を固定する方法は、これに限定されるものではない。
【0026】
また、エアゾール容器20の巻回部21は、マウントカップの巻き締め部分であるが、アダプタを固定できるものであれば、本形態のような、マウントカップの巻き締め部分に限定されない。即ち、符号24に示す巻回部に固定することも可能である。
【0027】
また、2つの側壁部3の相互間のうち、その後方には、図3(b)に示すように、操作片6を押圧できるように、切り欠きCが形成されている。操作片6は、その裏面に、ノズルヘッド22の上端を押圧するための膨出部6pを備える。また、操作片6の揺動を生起させるヒンジ部5は、梁部4と操作片6との連結部分を薄肉に構成することで、屈曲可能になっている。
【0028】
更に、台座部2の下端2eから側壁部3の一方の上端3eに至るまでの間には、操作片6の引き起こしによって破断可能な分割ラインL1が設けられている。分割ラインL1は、完全に分離された隙間Sであって、その相互間を破断可能な部位rで連結したものである。なお、分割ラインL1は、溝のような凹部であって、その底部分を破断可能な薄肉状又は膜状にしたものとすることもできる。
【0029】
加えて、本形態では、梁部4のうちの、他方の側壁部3との連結部分にも、同様の分割ラインL2が設けられている。
【0030】
本形態のアダプタ1は、エアゾール容器20の巻回部21に保持固定される台座部2からノズルヘッド21を挟んで一対の側壁部3を起立させ、この側壁部3の上部における当該側壁部3の相互間に横方向に延在する梁部4を掛け渡し、この梁部4に屈曲可能なヒンジ部5を介してノズルヘッド22を押圧する操作片6を連結したことから、内容物の噴射にあっては、図3(b)の二点鎖線で示すように、操作片6を介してノズルヘッド21を押し下げることで内容物を噴射させることができる。また、この場合、アダプタ1の台座部2が巻回部21に保持固定されていることから、噴射量の安定した使用が可能となる。
【0031】
加えて、本形態のアダプタ1は、台座部2の下端2eから一方の側壁部3の上端3eに至るまでの間に、分割ラインL1を備えるに加え、梁部4のうちの、他方の側壁部3との連結部分にも、同様の分割ラインL2を備えることから、始めに操作片6を引き起こして梁部4側の分割ラインL2を破断させるに次いで、この操作片6を更に、他方の分割ラインL1を破断させるように捩りながら引き下げれば、操作片6の引き起こしに起因した一連の動作で、そのままエアゾール容器20から分離することができる。
【0032】
かかる構成によれば、エアゾール容器20からの分離にあたり、分割ラインL1を破断させた後、更に、アダプタを押し広げて取り外す必要がないため、エアゾール容器との容易な分別を実現することができる。
【0033】
即ち、本形態のアダプタ1によれば、エアゾール容器20に固定した状態からでも、当該アダプタ1のみを容易に取り外すことができる。
【0034】
図4は、本発明の他の形態であるアダプタ10を備えるエアゾール容器20の要部をその上部側面から示す要部斜視図である。なお、本形態において、先の形態と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0035】
本形態のアダプタ10は、その台座部2が、巻回部21の全周に亘って固定される形状であって、上述の形態に係る梁部4と2つの周壁部3とを一体に構成して噴射側の開口部Aが形成された前壁部4rと一体に繋がってなる。本形態では、台座部2から一方の側壁部3に、上述の分割ラインL1を備えるに加え、台座部2の下端2eから他方の側壁部3の上端3eに至るまでの間にも、同様の分割ラインL1を備える。
【0036】
即ち、2つの分割ラインL1の相互間には、台座部2の一部をなす台座前方部2r、この台座前方部2rに一体に繋がって梁部4を一体に構成する前壁部4rと、前壁部4rとヒンジ部5を介して一体に繋がる操作片6とで構成された帯状の部位が形作られる。なお、前壁部4rには、噴射孔23の開口部Aが形成されている。
【0037】
これにより、本形態では、操作片6を引き起こすに次いで引き下げることで、2つの分割ラインL1の相互間は、上述の帯状の部位として分離される。即ち、本形態のアダプタ10は、2つの分割ラインL1の相互間に形成される幅分だけ、大きく切り開かれることになるため、分割ラインL1を単独で設けた場合に比べて、アダプタ1を押し広げて取り外す際に要する力は比較的小さく済む。
【0038】
従って、本形態によれば、エアゾール容器20からの分離にあたって、分割ラインL1の破断と、アダプタ10の押し広げとを要する場合にあっても、アダプタ10を押し広げて取り外す際に要する力は比較的小さく済むため、エアゾール容器20との容易な分別を実現することができる。
【0039】
なお、本発明に従えば、台座部2の下端2eから2つの側壁部3のいずれか一方の上端3eに至るまでの間に、操作片6の引き起こしによって破断可能な分割ラインL1を設ければよい。この場合も、エアゾール容器20を使い切った後は、操作片6を引き起こして当該分割ラインL1を破断させることで当該アダプタを切り開くことができる。
【0040】
上述したところは、本発明の好適な形態を説明するものであるが、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、ノズルヘッド22からの噴出形態は、本形態のように、内容物を噴霧させるものに限らず、泡状やストレート状の噴射を可能とするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一形態であるエアゾール容器用噴射アダプタを備えるエアゾール容器の要部をその上部側面から示す要部斜視図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ、同形態の上面図及び同形態のアダプタの側面図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、同形態のアダプタを備えるエアゾール容器の要部正面図及びその側面図である。
【図4】本発明の他の形態であるアダプタを備えるエアゾール容器の要部をその上部側面から示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 エアゾール容器用噴射アダプタ(第一の形態)
2 台座部
2e 台座部下端
2r 台座前方部
3 側壁部
3e 側壁部上端
4 梁部
4r 前壁部
5 ヒンジ部
6 操作片
10 エアゾール容器用噴射アダプタ(第二の形態)
20 エアゾール容器
21 回巻部
22 ノズルヘッド
23 噴射孔
24 回巻部
A 噴射用開口部
C 操作用切り欠き
L1 分割ライン
L2 分割ライン
r 連結部位
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器の巻回部に固定される台座部を有し、この台座部からノズルヘッドを挟んで一対の側壁部を起立させると共に、この側壁部の上部における当該側壁部の相互間に横方向に延在する梁部を掛け渡し、この梁部に屈曲可能なヒンジ部を介してノズルヘッドを押圧する操作片を連結したエアゾール容器用噴射アダプタであって、
台座部の下端から2つの側壁部のいずれか一方の上端に至るまでの間に、操作片の引き起こしによって破断可能な分割ラインを設けたことを特徴とするエアゾール容器用噴射アダプタ。
【請求項2】
請求項1において、梁部のうちの、他方の側壁部との連結部分に、操作片の引き起こしによって切り離し可能な分割ラインを設けたことを特徴とするエアゾール容器用噴射アダプタ。
【請求項3】
請求項1において、台座部の下端から他方の側壁部の上端に至るまでの間に、操作片の引き起こしによって切り離し可能な分割ラインを設けたことを特徴とするエアゾール容器用噴射アダプタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、台座部は、エアゾール容器の巻回部の全周に亘って固定される形状のうち、その噴射側の一部を切り欠いて、エアゾール容器の巻回部の一部を露出させると共に、この巻回部の上部に掛け渡された橋梁部が形成されてなることを特徴とするエアゾール容器用噴射アダプタ。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項において、台座部は、エアゾール容器の巻回部の全周に亘って固定される形状であって、梁部及び周壁部を一体に構成して噴射側の開口部が形成された前壁部と一体に繋がってなることを特徴とするエアゾール容器用噴射アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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