説明

エアブロー機器

【課題】 オイル漏洩による汚染防止を可能にする。
【解決手段】 エアーノズル5を回転させてエア噴射方向を変化させる機能を有した機器であって、機器本体1に設けられており且つ回転対象部材4をエアノズル5とともに回転自在に支持するとともにエアーノズル5にエアーを供給するためのロータリージョイント3を備えている。ロータリージョイントは、固定側筒状部材31と可動側軸状部材32とを有している。固定側筒状部材31の外面にはエア導入用ポート312a〜312fが設けられており、固定側筒状部材31と可動側軸状部材32との間にはオイルレスエアベアリング33a、33bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアーノズルを回転させてエア噴射方向を変化させる機能を有したエアブロー機器に関し、より詳しくは、オイル漏洩による汚染防止が可能なエアブロー機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアブロー機器においては、エアーノズルにエアーを供給するためのロータリージョイントが備えられている(例えば、特許文献1等)。
【特許文献1】登録実用新案公報第3022517号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例による場合、ロータリージョイントの軸受部に潤滑油が使用されていることから、これが漏洩して機器内が汚染されるおそれがあり、特に精密部品や食品等を扱う機器において非常に大きな問題となっている。また、ロータリージョイントのエア排気用ポートとエアーノズルとの間を配管で別途接続することが必要不可欠であることから、この点で構成が複雑であり、これに伴ってコスト高を招来していた。
【0004】
本発明は上記した背景の下で創作されたものであって、その主たる目的とするところは、オイル漏洩による汚染防止が可能なエアブロー機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るエアブロー機器は、エアーノズルを回転させてエア噴射方向を変化させる機能を有した機器であって、機器本体に設けられており且つエアノズルを回転自在に支持するとともにエアーノズルにエアーを供給するためのロータリージョイントを備え、ロータリージョイントは、固定側筒状部材と、固定側筒状部材に挿入された可動側軸状部材と、固定側筒状部材と可動側軸状部材との間に設けられ且つ可動側軸状部材を固定側筒状部材に対して軸支するオイルレスエアベアリング又はボールベアリングとを具備し、固定側筒状部材は、その外側面に設けられたエア導入用ポートと、その内周面に形成されエア導入用ポートに連通する輪状溝とを有している一方、可動側軸状部材は、その外側面に形成され且つ輪状溝に連通する連通孔と、その内部に形成され且つ連通孔に連通する第1のエア流通路と、その外面に設けられ且つ第1のエア流通路とエアノズルとを接続するための接続手段とを有している。
【0006】
接続手段の一例としてはエア排気用ポートがある。また、ロータリージョイントの可動側軸状部材の端部にエアノズルを保持する回転対象部材が連結され且つ回転対象部材の内部にエアノズルに連通する第2のエア流通路が形成されている場合、可動側軸状部材の端部に形成され且つ第2のエア流通路の端部に連通する開口を接続手段としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1、2に係るエアブロー機器による場合、ロータリージョイントにオイルレスエアベアリング又はボールベアリングを使用していることからオイル漏洩による汚染防止を確実に行うことが可能になり、この点で高性能化を図ることが可能になる。特に精密部品や食品等を扱う機器において非常に有意義である。
【0008】
本発明の請求項3に係るエアブロー機器による場合、エアーノズルに特別な配管を接続することなくエアが供給される構成となっているので、従来に比べて構成が簡単になり、低コスト化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明のエアブロー機器の一部破断側面図、図2は図1中A−A線の矢視図、図3はロータリージョイントの変形例を示す側面図である。
【0010】
ここに掲げるエアーブロー機は、例えば、LEDチップの特性を検査した後にその検査結果であるランクに応じてLEDチップを選別するLEDチップ選別機の一部を構成する装置であって、円板状の回転対象部材4を回転させるとともに、回転対象部材4の縁部に90°ピッチ間隔を開けて合計4個配置されたエアーノズル5にエアーを供給するようになっている。即ち、エアーノズル5を回転させてエア噴射方向を変化させる機能を有している。
【0011】
同機は、具体的には、機器本体1と、機器本体1の上方位置に下向きに設けられたモータ2と、機器本体1に設けられており且つモータ2にカップリング21を通じて連結されたロータリージョイント3と、ロータリージョイント3の可動側(可動側軸状部材32)の先端部に連結された回転対象部材4と、回転対象部材4に設けられた合計4つのエアーノズル5とを具備している。
【0012】
モータ2は回転対象部材4をエアーノズル5とともに回転移動させるための直流モータ等である。
【0013】
回転対象部材4はLEDチップを搬送させるのに使用される円形のロータリーテーブルであって、図示されていないが、複数のLEDチップが作成されたウエハがその面上に乗せられる。エアーノズル5は、LEDチップを別のウエハに移送させる過程でエアーを吹き付けて洗浄するために回転対象部材4の縁部に90°ピッチ間隔で配設されている。
【0014】
回転対象部材4の内部には中心位置から十字状に径方向に向けて第2のエア流通路42が各々形成されており、第2のエア流通路42の端部にエアーノズル5が各々連通している。
【0015】
ロータリージョイント3は回転対象部材4及びエアノズル5を回転自在に支持するとともにエアーノズル5にエアーを供給するために設けられている。ここでは4回路のものを使用している。具体的には以下のような構成となっている。
【0016】
ロータリージョイント3は、固定側筒状部材31、36と、固定側筒状部材31、36に挿入された可動側軸状部材32と、固定側筒状部材31と可動側軸状部材32との間に設けられ且つ可動側軸状部材32を固定側筒状部材31に対して軸支するオイルレスエアベアリング33a、33bと、固定側筒状部材36と可動側軸状部材32との間に設けられ且つ可動側軸状部材32を固定側筒状部材36に対して軸支するボールベアリング38を具備しており、機器本体1の基台11上に形成された穴111に垂直に取り付けられている。
【0017】
なお、図中34はリング状のスリーブ保持器、35は締結ボルト、37はベアリングナット、39はベアリングカラーである。
【0018】
固定側筒状部材31は、その外側面の下方位置に形成されたフランジ311と、その外側面に形成されたエア導入用ポート312a〜312fと、その内周面に形成されたエア導入用ポート312b〜312eに連通する合計4つの輪状溝313とを有したスリーブである。
【0019】
エア導入用ポート312a〜312fは、図外のエア供給源に接続された配管が接続される継手であって、固定側筒状部材31の外面に等間隔に軸方向に合計4つ並べて配置されており、固定側筒状部材31の軸方向に対して直角の方向に向けて各々取り付けられている。
【0020】
エア導入用ポート312a、312fは、オイルレスエアベアリング33a、33bにエアーを各々導入するための継手であって、オイルレスエアベアリング33a、33bに対応する位置に各々設けられている。エア導入用ポート312b〜312eは、合計4つのエアーノズル5にエアーを各々導入するための継手であって、エア導入用ポート312aと312fとの間に配置されている。
【0021】
輪状溝313は、固定側筒状部材31の内周面のエア導入用ポート312b〜312eに対応する位置に周方向に各々形成されており、エア導入用ポート312b〜312eに各々連通している。
【0022】
固定側筒状部材36は、固定側筒状部材31とは異なりフランジ361のみを有しており、固定側筒状部材31と同一内径のスリーブである。
【0023】
固定側筒状部材31は機器本体1の基台11の上側に位置した状態でスリーブ保持器34を介して基台11に固定される一方、固定側筒状部材36は機器本体1の基台11の下側に位置した状態で基台11に固定される。ロータリージョイント3の基台11への固定には合計4本の締結ボルト35が使用される。
【0024】
可動側軸状部材32は固定側筒状部材31,36内においてオイルレスエアベアリング33a、33b及びボールベアリング38により軸支された円柱体であって、その上端部にはカップリング21が連結されている一方、その下端部には回転対象部材4が連結されている。
【0025】
可動側軸状部材32には、その外側面に形成され且つ輪状溝313に各々連通する連通孔321と、その内部に形成され且つ連通孔321に各々連通する第1のエア流通路322と、その下端部に形成され且つ第1のエア流通路322の端部に各々連通する開口323とを有している。
【0026】
連通孔321はエア導入用ポート312b〜312eに対応する位置に各々形成された穴であって、可動側軸状部材32の外面に等間隔に軸方向に合計4つ並べて配置されており、第1のエア流通路322の他端部に各々連通している。
【0027】
第1のエア流通路322は、可動側軸状部材32の上部から下端部にかけて軸方向に各々形成されており、可動側軸状部材32の軸芯を中心として90度ピッチ間隔で合計4つ配置されている。第1のエア流通路322の上側端部が可動側軸状部材32の外側面に形成された連通孔321に各々連通する一方、第1のエア流通路322の下側端部が可動側軸状部材32の下側端面に形成された開口323に各々連通している。
【0028】
開口323は、可動側軸状部材32の外面に設けられ且つ第1のエア流通路322とエアノズル5とを接続するための接続手段を構成するものであって、可動側軸状部材32の軸芯を中心として90度ピッチ間隔で合計4つ配置されており、可動側軸状部材32の第1のエア流通路322と回転対象部材4の第2のエア流通路42との間の接続点に位置している。
【0029】
オイルレスエアベアリング33a、33bは多孔質焼焼結層とバックメタルを一体構造とした無給油ラジアル軸受けであって、可動側軸状部材32の外周面との間の隙間にエア導入用ポート312a、312fを通して供給されたエアーが流通して可動側軸状部材32を低摩擦で軸支するようになっている。潤滑油を使用しない以上、これがエア導入用ポート312b〜312eからエアノズル5に至るエアー流通経路に混入するおそれは全くない。
【0030】
ボールベアリング38は潤滑油が使用される一般的なラジアル軸受けであり、可動側軸状部材32の全長が長いことから、オイルレスエアベアリング33a、33bとともに併用されている。ただ、オイルレスエアベアリング33a、33bとは異なり、エア導入用ポート312a〜312fを有しない固定側筒状部材36に設けられており、しかも固定側筒状部材31の下に配置されていることから、固定側筒状部材36から潤滑油が漏れたとしてもエア導入用ポート312b〜312eからエアノズル5に至るエアー流通経路に混入するおそれはない。
【0031】
以上のように構成されたエアーブロー機による場合、ロータリージョイント3のボールベアリング38に使用される潤滑油がエアー流通経路に混入せず、ノズル5から噴射されるエアーに潤滑油が混じるようなことがないことから、例えば、LEDチップに潤滑油が付着する等のオイル漏洩による汚染防止を確実に行うことが可能になる。
【0032】
また、エアーノズル5に特別な配管を接続することなく、可動対象部材4内に形成された第2のエア流通路42を通じてエアーが供給される構成となっているので、従来とは異なり特別な配管が不要になり、この点で構成が簡単になり、この点で低コスト化を図ることが可能になる。しかもロータリージョイント3においてオイルレスエアベアリングとボールベアリングと併用していることから、オイルレスエアベアリングだけを使用するときに比べて割安になり、この点でも低コスト化を図ることが可能になる。
【0033】
なお、ロータリージョイント3の代わりに図3に示すロータリージョイント3’を使用しても良い。これがロータリージョイント3と大きく異なる点は、(1)可動側軸状部材32’の下端部の外周面に排気手段としてのエア排気ポート323’が設けられている点、(2)回転対象部材4’に第2のエア流通路がなく、図示されていないが、エアノズルとエア排気ポート323’との間を配管で接続するようにする点である。これ以外についてはロータリージョイント3と同様であるので説明は省略する。
【0034】
なお、本発明に係るエアーブロー機はLEDチップ選別機だけの適用に止まらず、エアーノズルを回転させてエア噴射方向を変化させる機能を有した機器である限り、どのような機器においても適用可能であるのは当然である。
【0035】
ロータリージョイントについても種類、形状及び回路数は機器の対象に応じて適宜設計変更すれば良く、オイルレスエアベアリングの代わりにボールベアリングを用いてもかまわない。また、オイルレスエアベアリング又はボールベアリングの数や位置等についても特に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図であって、エアブロー機器の一部破断側面図である。
【図2】図1中A−A線の矢視図である。
【図3】ロータリージョイントの変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 機器本体
3 ロータリージョイント
31 固定側筒状部材
312a〜312f エア導入用ポート
313 軸状溝
32 可動側軸状部材
321 連通穴
322 第1のエア流通路
323 開口(接続手段)
33a 33b オイルレスエアベアリング
4 回転対象部材
42 第2のエア流通路
5 エアーノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーノズルを回転させてエア噴射方向を変化させる機能を有したエアブロー機器において、機器本体に設けられており且つエアノズルを回転自在に支持するとともにエアーノズルにエアーを供給するためのロータリージョイントを備え、ロータリージョイントは、固定側筒状部材と、固定側筒状部材に挿入された可動側軸状部材と、固定側筒状部材と可動側軸状部材との間に設けられ且つ可動側軸状部材を固定側筒状部材に対して軸支するオイルレスエアベアリング又はボールベアリングとを具備し、固定側筒状部材は、その外側面に設けられたエア導入用ポートと、その内周面に形成されエア導入用ポートに連通する輪状溝とを有している一方、可動側軸状部材は、その外側面に形成され且つ輪状溝に連通する連通孔と、その内部に形成され且つ連通孔に連通する第1のエア流通路と、その外面に設けられ且つ第1のエア流通路とエアノズルとを接続するための接続手段とを有していることを特徴とするエアブロー機器。
【請求項2】
請求項1記載のエアブロー機器において、接続手段はエア出力用ポートであることを特徴とするエアブロー機器。
【請求項3】
ロータリージョイントの可動側軸状部材の端部にエアノズルを保持する回転対象部材が連結され且つ回転対象部材の内部にエアノズルに連通する第2のエア流通路が形成されている場合の請求項1記載のエアブロー機器において、接続手段は可動側軸状部材の端部に形成され且つ第2のエア流通路の端部に連通する開口であることを特徴とするエアブロー機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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