エアマッサージ装置の加圧制御方法
【課題】自動的に加圧設定値が切り替わることで、効果的なマッサージ感を持続的に得ることのできるエアマッサージ装置のエア圧制御方法を提供する。
【解決手段】空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、加圧設定値までの加圧と所定の下げ幅での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に解放圧まで排気する行程を1サイクルとし、1サイクルごとに加圧設定値を変更する。加圧設定値A1〜A3を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、最初の加圧設定値に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、以降、これを繰り返す。
【解決手段】空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、加圧設定値までの加圧と所定の下げ幅での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に解放圧まで排気する行程を1サイクルとし、1サイクルごとに加圧設定値を変更する。加圧設定値A1〜A3を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、最初の加圧設定値に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、以降、これを繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマッサージ装置のエア圧制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアマッサージ装置として、足や腕などに巻き付けるバンドに空気袋を配し、
バンドを巻き付けた状態で空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことにより、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11はそのようなエアマッサージ装置100の一例を示している。
図において、101は巻き付けバンド、102はバンド101に仕込まれた空気袋であり、空気袋102にエアマッサージ装置本体105の給排気系が接続されている。給排気系としては、通常、加圧ポンプと排気弁が備わっており、排気弁を閉じて加圧ポンプにより加圧を行い、排気弁を開くことで空気袋102内のエアを排気するようになっている。
【0004】
従来、この種のエアマッサージ装置の空気袋102のエア圧制御方法として、図12に示すように、加圧値を一定に保ちながら、所定幅で加圧と減圧を繰り返し行い、所定回数の加圧と減圧を繰り返したら、圧力を完全に解放し、これを1サイクルとして、サイクル動作を繰り返し行うものがある。
【0005】
また、図13に示すように、一定の加圧設定値まで加圧をゆっくりと行ったら、圧力を完全に解放し、これを繰り返し行うものもある。大気圧に解放した状態の空気袋102にエアを供給すると、圧力が急激に上昇し始めるまでに若干の時間がかかり、この時間も加圧時間に含まれる。この圧力が急激に上昇し始める点を、ここでは加圧変位点と呼ぶ。加圧変更点までは圧力がなかなか上がらないので、加圧時間が長くかかる。
【0006】
従来、加圧設定値を変更できるようにしたものはあるが、あくまでも手動で設定するようになっており、使用者が自分に合った最適な加圧設定値を選んで、スイッチ操作により変更していた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−237344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、加圧と減圧の繰り返しを同じ加圧設定値で行っていると、次第に慣れてしまい、マッサージ感が得られ難くなることが分かった。そのような場合、加圧設定値の切り替えスイッチが付いていれば、手動で加圧設定値を自分で切り替えることも可能であるが、煩わしいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮し、自動的に加圧設定値が切り替わることで、効果的なマッサージ感を持続的に得ることのできるエアマッサージ装置のエア圧制御方法を提供するこ
とを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、加圧設定値までの加圧と所定の下げ幅での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に解放圧まで排気する行程
を1サイクルとし、1サイクルごとに前記加圧設定値を変更することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、最初の加圧設定値に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、以降、これを繰り返すことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記1サイクル終了後の解放圧を所定の待機時間だけ維持した後、次のサイクルに移行することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記各サイクルにおける加圧から減圧に移行する点、または、減圧から加圧に移行する点の少なくともいずれかに、定圧保持区間を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記各サイクル終了後の解放圧を、大気圧より高い前記空気袋の加圧変位点付近の値とすることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、1回毎または複数回ごとに加圧値を変更することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項7に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧値を所定の上限値まで徐々に上昇させていき、所定の上限値に到達したら、加圧値を所定の下限値まで徐々に下降させていき、所定の下限値に到達したら、再び加圧値を所定の上限値まで上昇させていき、以降、これを繰り返すことを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記加圧値の上昇と下降を正弦波に倣って行うことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1〜9にいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記エアマッサージ装置のエア圧制御方法によってエアマッサージを所定時間継続した後にこのエアマッサージを所定時間停止する動作を繰り返し行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、1サイクルごとに自動的に加圧設定値が変更されるので、効
果的なマッサージ感を持続的に得ることができると共に、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、同じ加圧設定値で1サイクルのマッサージを行い、次のサイクルで前回の加圧設定値よりも高い加圧設定値でマッサージを行い、加圧設定値が上限値に到達した段階で最初の加圧設定値に戻し、電源が切られるかタイマーが設定時間に達するまで、これを繰り返して行うようにしたので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すようにしたので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、1サイクルが終了して次のサイクルに入るところに解放圧を維持する待機時間を設けたので、サイクルごとに患部により大きな解放感を与えることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、加圧点または減圧点に定圧保持区間を設けたので、圧迫感と解放感を印象深く味わうことができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、解放時に大気圧まで完全に圧を下げずに次の加圧にそのまま移行するので、加圧時間を短縮することができ、消費電力の削減を図ることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、自動的に加圧値を変更しながら圧迫と解放を繰り返すので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができると共に、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、最初は少ない加圧値で刺激を少なくし、だんだんと加圧値を上げて刺激を強めていき、その後だんだんと加圧値を下げる、というパターンで加圧を繰り返すようにしたので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、加圧値の変化を正弦波に倣うように制御するので、人体に優しいマッサージを行うことができる。
請求項10の発明によれば、一回のマッサージを定格時間内で終わらせ、かつ、そのマッサージによる血流改善効果が減少する前に次のマッサージを間違いなく行うことができる。これにより、マッサージ効果を適切に持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は本発明の実施形態のエア圧制御方法を実現するためのエアマッサージ装置の説明図で、図1はエアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図、図2はエアマッサージ装置のバンドの一部の断面構成を概略的に示す図、図3はエアマッサージ装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、このエアマッサージ装置10は、例えば、使用者の下肢Maにバンド11を巻き付けて、そのバンド11に配した空気袋40に、エアマッサージ装置本体50から加圧エアを導入したり、その加圧エアを排出したりすることで、筋肉に圧迫と解放を繰り返し与えて、マッサージ効果を得るものである。ここでは、下肢Maにエアマッサージ装置10を装着する場合を例にとって説明する。下肢Maに装着する場合は、主にふくらはぎ部分の筋肉がマッサージの対象部位であるので、下肢Maの裏側からバンド11を装着することになる。
【0030】
エアマッサージ装置10のバンド11は、図2にその一部の断面構造を示すように、丈夫な合成布などで形成された長尺帯状の基布11Aと、基布11Aの基端側の一部の領域の外周面に配された樹脂カバー20と、樹脂カバー20を配した領域における基布11Aの内周面に配された空気袋(ブラダー)40と、空気袋40を収容する袋状の空間を基布11Aとの間に形成する内布13とからなる。
【0031】
樹脂カバー20は、柔軟材料(例えばEVA)よりなる空気袋40よりも硬質の樹脂シート材の成形品よりなるもので、空気袋40の外周方向への膨らみを防止する機能を果たす。樹脂カバー20と基布11Aは、後述する樹脂カバー20上の薄肉部20bの位置で縫製糸8により縫い合わされて一体化されている。空気袋40は、基布11Aの内面に配されており、基布11Aに対して内布13の周縁部を縫い付けることで、基布11Aと内布13との間に形成された空間に収容されている。
【0032】
基布11Aは、樹脂カバー20や空気袋40と重なり合う部分よりも先端側が幅の狭い帯状に形成されており、その先端側に、樹脂成形品よりなる留め具30が取り付けられている。留め具30は、基布11Aの長手方向に移動可能に取り付けられており、固定する位置を変えることで、バンド11の有効長(実際に足等に巻き付ける際に必要な長さ)を無段階に調節できるようになっている。
【0033】
この留め具30は、矩形状の基板30aの前端上面に指で摘むための取っ手33を一体に設けると共に、基板30aの前側下面に前後方向に間隔をあけて2段のフック(係止部)31、32を一体的に突設し、更に、基板30aの後部に無段階にバンド11の有効長を調節するバンド長さ調整機構35を設けたものであり、バンド長さ調整機構35に基布11Aの先端11aを通すことで、バンド11の先端側に取り付けられている。
【0034】
係止部としてのフック31、32は、バンド11を巻き付け状態で固定するためのもので、バンド11の先端側の部分を外側から被せるバンド11の外周面の樹脂カバー20上には、前記フック31、32を選択的に係合するための複数のスリット21が被係止部として設けられている。樹脂カバー20上のスリット21は、それぞれバンド11の幅方向に長く延びたものであり、バンド11の長手方向に沿って一定のピッチで間隔的に配置されている。
【0035】
そして、この樹脂カバー20の長手方向の一端部にエアマッサージ装置本体50が搭載されている。エアマッサージ装置本体50は、図3に示すように、図示しないバッテリと、空気袋40に加圧エアを供給する加圧ポンプ51と、空気袋40のエアを排気する電気排気弁52と、空気袋40内のエア圧力を検出する圧力センサ53と、主として圧力センサ53の測定値に応じて加圧ポンプ51や電磁排気弁52などを制御してマッサージ動作を作り出すコントローラ55と、コントローラ55に繋がる図示しないスイッチやディスプレイなどを有している。
【0036】
この空気袋40を使用したエアマッサージ装置10で、例えば、使用者の下肢Maをマッサージする場合は、図1に示すように、ふくらはぎの裏側からバンド11を巻き付ける。即ち、空気袋40のある方を内側にしてバンド11をふくらはぎにあてがい、バンド11の先端側をバンド11の基端側の樹脂カバー20の上に被せるように巻き付け、その状態で、留め具30のフック31、32を樹脂カバー21上の適当な位置のスリット21に嵌める。この状態でスイッチを操作することにより、マッサージ動作がスタートする。
【0037】
次にコントローラ55によって実施される本発明の各実施形態のエア圧制御方法について説明する。
【0038】
まず、図4に示す第1の実施形態の制御方法では、基本的に、加圧設定値A1、A2、A3までの加圧と所定の下げ幅a1、a2、a3での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に、解放圧(大気圧B0に近い圧力)まで排気する行程を1サイクルとしてマッサージを行う。そして、1サイクルごとに加圧設定値A1、A2、A3を変更する。
【0039】
具体的には、最初のサイクルでは、大気圧から加圧設定値A1まで加圧を行い、この加圧設定値A1を基準にして、所定の幅a1で加圧と減圧を決まった回数だけ短い周期で繰
り返す。所定回数を繰り返したら、いったん圧力を解放して1サイクルを終える。1サイクルを終えたら、次のサイクルは、前回より大きな加圧設定値A2まで加圧を行い、その加圧設定値A2を基準にして、所定の幅a2で加圧と減圧を決まった回数だけ短い周期で繰り返す。所定回数を繰り返したら、いったん圧力を解放して1サイクルを終える。
【0040】
このように、1サイクルごとに徐々に加圧設定値を上昇させていき、加圧設定値が上限値(本例ではA3)に到達した段階で、最初の加圧設定値A1に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させる。以降、これを繰り返すことによりマッサージを行う。
【0041】
この場合、減圧時の圧力は、全サイクルでほぼ等しい値B1、B2、B3になるように、下げ幅a1、a2、a3が決められている。なお、下げ幅a1、a2、a3の決め方として、それぞれの加圧値A1、A2、A3に対して所定の割合となるようにa1、a2、a3の値を決めてもよい。
【0042】
以上のようにエア圧を制御することによって、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。また、1サイクルごとに自動的に加圧設定値が変更されるので、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。
【0043】
なお、図5に示すように、1サイクル終了後の解放圧を所定の待機時間t1だけ維持した後、次のサイクルに移行するようにしてもよい。こうすることにより、サイクルごとに患部により大きな解放感を与えることができる。
【0044】
また、各サイクルにおける加圧から減圧に移行する点、または、減圧から加圧に移行する点の少なくともいずれかに、定圧保持区間t2、t3を設けてもよい。このようにすれば、圧迫感と解放感を印象深く味わうことができる。
【0045】
図6は第2実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
前記第1実施形態では、加圧設定値をサイクル毎に順次上げていき、上限値になったところで、最初の加圧設定値に戻して、以降、これを繰り返すようにした場合について説明したが、本実施形態では、加圧設定値A1〜A3を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値(本例ではA3)に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すようにしている。
【0046】
この場合の減圧時の下げ幅a1、a2、a3は、全部がほぼ等しい値に設定されている。従って、減圧点の圧B1、B2、B3がそれぞれ異なっている。なお、下げ幅a1、a2、a3の決め方として、それぞれの加圧値A1、A2、A3に対して所定の割合となるようにa1、a2、a3の値を決めてもよい。
【0047】
このように制御した場合も、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0048】
図7は第3実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
この第3実施形態では、加圧動作の1回毎または複数回ごとに加圧値を変更するようにしている。具体的には、加圧値を初期値から所定の上限値まで徐々に上昇させていき、所定の上限値に到達したら、加圧値を所定の下限値まで徐々に下降させていき、所定の下限値に到達したら、再び加圧値を所定の上限値まで上昇させていき、以降、これを繰り返すようにしている。特にこの場合、加圧値の上昇と下降を正弦波に倣って行うようにしている。
【0049】
このように制御することで、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。また、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。特に、最初は少ない加圧値で刺激を少なくし、だんだんと加圧値を上げて刺激を強めていき、その後だんだんと加圧値を下げる、というパターンで加圧を繰り返すようにしている上、加圧値の変化を正弦波に倣うようにしているので、人体に優しいマッサージを行うことができる。
【0050】
図8は図13の比較例として、解放圧を、大気圧より高い空気袋の加圧変位点付近の値とした場合の例を示している。この例に示すように、加圧変位点付近に解放圧を設定した場合、大気圧まで解放を待つ必要がなく、次の加圧をそのまま開始することで、加圧時間の短縮を図ることができと共に、消費電力の削減を図ることができる。
【0051】
この場合の制御は、電磁排気弁52の電流を制御して、加圧変位点付近になったら、次の加圧を開始するようにすればよい。
【0052】
他の実施例としては、電磁排気弁52と他のエア回路の間に空気の絞り弁を入れておき、減圧速度を遅くして、加圧変位点付近まで圧力が下がったら、次の加圧を行うようにしてもよい。つまり、排気をするときに、いきなり大気圧にするのではなく、少しゆっくりと下げていき、加圧変位点付近まで下がったら、次の加圧を行うようにする。これにより、加圧時間の短縮と消費電力の削減を図ることができる。
【0053】
なお、加圧変位点付近は、圧力が10〜30mmHgと低いので、圧力をかけたままでも鬱血を起こすおそれはない。
【0054】
このことを応用して、図9に示すように、各サイクル終了後の解放圧BNを大気圧より高い空気袋の加圧変位点付近の値とすることにより、加圧時間の短縮と消費電力の削減を図ることができる。また、前述したものと同様、図10に示すように、解放圧を所定の待機時間t1だけ維持するようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施例によるエアマッサージを所定時間継続した後にこのエアマッサージを所定時間停止する動作を繰り返し行うようにすれば、一回のマッサージを定格時間内で終わらせ、かつ、そのマッサージによる血流改善効果が減少する前に次のマッサージを間違いなく行うことができる。これにより、マッサージ効果を適切に持続させることができる。この場合、マッサージを行う所定時間を例えば30分以内とし、停止の所定時間を5〜30分程度とするのがよい。このような機能は、例えば、コントローラ55に用いているマイクロプロセッサのプログラム内容を変更することで容易に実現できる。その場合、この動作を行っている間は、表示ランプによる表示を行う等のことも行う。また、表示装置を設けて、動作の設定動容を表示できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態のエア圧制御方法を実現するためのエアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図である。
【図2】同エアマッサージ装置のバンドの断面構成を概略的に示す図である。
【図3】同エアマッサージ装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
【図5】同第1実施形態のエア圧制御方法の変形例の説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
【図8】加圧時間の短縮と消費電力の削減を図る制御の説明図である。
【図9】図8の制御を第1実施形態のエア圧制御方法に応用した例の説明図である。
【図10】図9の制御方法の変形例の説明図である。
【図11】従来のエアマッサージ装置の説明図である。
【図12】従来のエアマッサージ装置におけるエア圧制御方法の説明図である。
【図13】従来のエアマッサージ装置におけるエア圧制御方法の別の例の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
40 空気袋
A1〜A3 加圧設定値
a1〜a3 下げ幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマッサージ装置のエア圧制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアマッサージ装置として、足や腕などに巻き付けるバンドに空気袋を配し、
バンドを巻き付けた状態で空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことにより、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11はそのようなエアマッサージ装置100の一例を示している。
図において、101は巻き付けバンド、102はバンド101に仕込まれた空気袋であり、空気袋102にエアマッサージ装置本体105の給排気系が接続されている。給排気系としては、通常、加圧ポンプと排気弁が備わっており、排気弁を閉じて加圧ポンプにより加圧を行い、排気弁を開くことで空気袋102内のエアを排気するようになっている。
【0004】
従来、この種のエアマッサージ装置の空気袋102のエア圧制御方法として、図12に示すように、加圧値を一定に保ちながら、所定幅で加圧と減圧を繰り返し行い、所定回数の加圧と減圧を繰り返したら、圧力を完全に解放し、これを1サイクルとして、サイクル動作を繰り返し行うものがある。
【0005】
また、図13に示すように、一定の加圧設定値まで加圧をゆっくりと行ったら、圧力を完全に解放し、これを繰り返し行うものもある。大気圧に解放した状態の空気袋102にエアを供給すると、圧力が急激に上昇し始めるまでに若干の時間がかかり、この時間も加圧時間に含まれる。この圧力が急激に上昇し始める点を、ここでは加圧変位点と呼ぶ。加圧変更点までは圧力がなかなか上がらないので、加圧時間が長くかかる。
【0006】
従来、加圧設定値を変更できるようにしたものはあるが、あくまでも手動で設定するようになっており、使用者が自分に合った最適な加圧設定値を選んで、スイッチ操作により変更していた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−237344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、加圧と減圧の繰り返しを同じ加圧設定値で行っていると、次第に慣れてしまい、マッサージ感が得られ難くなることが分かった。そのような場合、加圧設定値の切り替えスイッチが付いていれば、手動で加圧設定値を自分で切り替えることも可能であるが、煩わしいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮し、自動的に加圧設定値が切り替わることで、効果的なマッサージ感を持続的に得ることのできるエアマッサージ装置のエア圧制御方法を提供するこ
とを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、加圧設定値までの加圧と所定の下げ幅での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に解放圧まで排気する行程
を1サイクルとし、1サイクルごとに前記加圧設定値を変更することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、最初の加圧設定値に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、以降、これを繰り返すことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記1サイクル終了後の解放圧を所定の待機時間だけ維持した後、次のサイクルに移行することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記各サイクルにおける加圧から減圧に移行する点、または、減圧から加圧に移行する点の少なくともいずれかに、定圧保持区間を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記各サイクル終了後の解放圧を、大気圧より高い前記空気袋の加圧変位点付近の値とすることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、1回毎または複数回ごとに加圧値を変更することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項7に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧値を所定の上限値まで徐々に上昇させていき、所定の上限値に到達したら、加圧値を所定の下限値まで徐々に下降させていき、所定の下限値に到達したら、再び加圧値を所定の上限値まで上昇させていき、以降、これを繰り返すことを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、前記加圧値の上昇と下降を正弦波に倣って行うことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1〜9にいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記エアマッサージ装置のエア圧制御方法によってエアマッサージを所定時間継続した後にこのエアマッサージを所定時間停止する動作を繰り返し行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、1サイクルごとに自動的に加圧設定値が変更されるので、効
果的なマッサージ感を持続的に得ることができると共に、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、同じ加圧設定値で1サイクルのマッサージを行い、次のサイクルで前回の加圧設定値よりも高い加圧設定値でマッサージを行い、加圧設定値が上限値に到達した段階で最初の加圧設定値に戻し、電源が切られるかタイマーが設定時間に達するまで、これを繰り返して行うようにしたので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すようにしたので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、1サイクルが終了して次のサイクルに入るところに解放圧を維持する待機時間を設けたので、サイクルごとに患部により大きな解放感を与えることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、加圧点または減圧点に定圧保持区間を設けたので、圧迫感と解放感を印象深く味わうことができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、解放時に大気圧まで完全に圧を下げずに次の加圧にそのまま移行するので、加圧時間を短縮することができ、消費電力の削減を図ることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、自動的に加圧値を変更しながら圧迫と解放を繰り返すので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができると共に、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、最初は少ない加圧値で刺激を少なくし、だんだんと加圧値を上げて刺激を強めていき、その後だんだんと加圧値を下げる、というパターンで加圧を繰り返すようにしたので、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、加圧値の変化を正弦波に倣うように制御するので、人体に優しいマッサージを行うことができる。
請求項10の発明によれば、一回のマッサージを定格時間内で終わらせ、かつ、そのマッサージによる血流改善効果が減少する前に次のマッサージを間違いなく行うことができる。これにより、マッサージ効果を適切に持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は本発明の実施形態のエア圧制御方法を実現するためのエアマッサージ装置の説明図で、図1はエアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図、図2はエアマッサージ装置のバンドの一部の断面構成を概略的に示す図、図3はエアマッサージ装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、このエアマッサージ装置10は、例えば、使用者の下肢Maにバンド11を巻き付けて、そのバンド11に配した空気袋40に、エアマッサージ装置本体50から加圧エアを導入したり、その加圧エアを排出したりすることで、筋肉に圧迫と解放を繰り返し与えて、マッサージ効果を得るものである。ここでは、下肢Maにエアマッサージ装置10を装着する場合を例にとって説明する。下肢Maに装着する場合は、主にふくらはぎ部分の筋肉がマッサージの対象部位であるので、下肢Maの裏側からバンド11を装着することになる。
【0030】
エアマッサージ装置10のバンド11は、図2にその一部の断面構造を示すように、丈夫な合成布などで形成された長尺帯状の基布11Aと、基布11Aの基端側の一部の領域の外周面に配された樹脂カバー20と、樹脂カバー20を配した領域における基布11Aの内周面に配された空気袋(ブラダー)40と、空気袋40を収容する袋状の空間を基布11Aとの間に形成する内布13とからなる。
【0031】
樹脂カバー20は、柔軟材料(例えばEVA)よりなる空気袋40よりも硬質の樹脂シート材の成形品よりなるもので、空気袋40の外周方向への膨らみを防止する機能を果たす。樹脂カバー20と基布11Aは、後述する樹脂カバー20上の薄肉部20bの位置で縫製糸8により縫い合わされて一体化されている。空気袋40は、基布11Aの内面に配されており、基布11Aに対して内布13の周縁部を縫い付けることで、基布11Aと内布13との間に形成された空間に収容されている。
【0032】
基布11Aは、樹脂カバー20や空気袋40と重なり合う部分よりも先端側が幅の狭い帯状に形成されており、その先端側に、樹脂成形品よりなる留め具30が取り付けられている。留め具30は、基布11Aの長手方向に移動可能に取り付けられており、固定する位置を変えることで、バンド11の有効長(実際に足等に巻き付ける際に必要な長さ)を無段階に調節できるようになっている。
【0033】
この留め具30は、矩形状の基板30aの前端上面に指で摘むための取っ手33を一体に設けると共に、基板30aの前側下面に前後方向に間隔をあけて2段のフック(係止部)31、32を一体的に突設し、更に、基板30aの後部に無段階にバンド11の有効長を調節するバンド長さ調整機構35を設けたものであり、バンド長さ調整機構35に基布11Aの先端11aを通すことで、バンド11の先端側に取り付けられている。
【0034】
係止部としてのフック31、32は、バンド11を巻き付け状態で固定するためのもので、バンド11の先端側の部分を外側から被せるバンド11の外周面の樹脂カバー20上には、前記フック31、32を選択的に係合するための複数のスリット21が被係止部として設けられている。樹脂カバー20上のスリット21は、それぞれバンド11の幅方向に長く延びたものであり、バンド11の長手方向に沿って一定のピッチで間隔的に配置されている。
【0035】
そして、この樹脂カバー20の長手方向の一端部にエアマッサージ装置本体50が搭載されている。エアマッサージ装置本体50は、図3に示すように、図示しないバッテリと、空気袋40に加圧エアを供給する加圧ポンプ51と、空気袋40のエアを排気する電気排気弁52と、空気袋40内のエア圧力を検出する圧力センサ53と、主として圧力センサ53の測定値に応じて加圧ポンプ51や電磁排気弁52などを制御してマッサージ動作を作り出すコントローラ55と、コントローラ55に繋がる図示しないスイッチやディスプレイなどを有している。
【0036】
この空気袋40を使用したエアマッサージ装置10で、例えば、使用者の下肢Maをマッサージする場合は、図1に示すように、ふくらはぎの裏側からバンド11を巻き付ける。即ち、空気袋40のある方を内側にしてバンド11をふくらはぎにあてがい、バンド11の先端側をバンド11の基端側の樹脂カバー20の上に被せるように巻き付け、その状態で、留め具30のフック31、32を樹脂カバー21上の適当な位置のスリット21に嵌める。この状態でスイッチを操作することにより、マッサージ動作がスタートする。
【0037】
次にコントローラ55によって実施される本発明の各実施形態のエア圧制御方法について説明する。
【0038】
まず、図4に示す第1の実施形態の制御方法では、基本的に、加圧設定値A1、A2、A3までの加圧と所定の下げ幅a1、a2、a3での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に、解放圧(大気圧B0に近い圧力)まで排気する行程を1サイクルとしてマッサージを行う。そして、1サイクルごとに加圧設定値A1、A2、A3を変更する。
【0039】
具体的には、最初のサイクルでは、大気圧から加圧設定値A1まで加圧を行い、この加圧設定値A1を基準にして、所定の幅a1で加圧と減圧を決まった回数だけ短い周期で繰
り返す。所定回数を繰り返したら、いったん圧力を解放して1サイクルを終える。1サイクルを終えたら、次のサイクルは、前回より大きな加圧設定値A2まで加圧を行い、その加圧設定値A2を基準にして、所定の幅a2で加圧と減圧を決まった回数だけ短い周期で繰り返す。所定回数を繰り返したら、いったん圧力を解放して1サイクルを終える。
【0040】
このように、1サイクルごとに徐々に加圧設定値を上昇させていき、加圧設定値が上限値(本例ではA3)に到達した段階で、最初の加圧設定値A1に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させる。以降、これを繰り返すことによりマッサージを行う。
【0041】
この場合、減圧時の圧力は、全サイクルでほぼ等しい値B1、B2、B3になるように、下げ幅a1、a2、a3が決められている。なお、下げ幅a1、a2、a3の決め方として、それぞれの加圧値A1、A2、A3に対して所定の割合となるようにa1、a2、a3の値を決めてもよい。
【0042】
以上のようにエア圧を制御することによって、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。また、1サイクルごとに自動的に加圧設定値が変更されるので、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。
【0043】
なお、図5に示すように、1サイクル終了後の解放圧を所定の待機時間t1だけ維持した後、次のサイクルに移行するようにしてもよい。こうすることにより、サイクルごとに患部により大きな解放感を与えることができる。
【0044】
また、各サイクルにおける加圧から減圧に移行する点、または、減圧から加圧に移行する点の少なくともいずれかに、定圧保持区間t2、t3を設けてもよい。このようにすれば、圧迫感と解放感を印象深く味わうことができる。
【0045】
図6は第2実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
前記第1実施形態では、加圧設定値をサイクル毎に順次上げていき、上限値になったところで、最初の加圧設定値に戻して、以降、これを繰り返すようにした場合について説明したが、本実施形態では、加圧設定値A1〜A3を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値(本例ではA3)に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すようにしている。
【0046】
この場合の減圧時の下げ幅a1、a2、a3は、全部がほぼ等しい値に設定されている。従って、減圧点の圧B1、B2、B3がそれぞれ異なっている。なお、下げ幅a1、a2、a3の決め方として、それぞれの加圧値A1、A2、A3に対して所定の割合となるようにa1、a2、a3の値を決めてもよい。
【0047】
このように制御した場合も、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。
【0048】
図7は第3実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
この第3実施形態では、加圧動作の1回毎または複数回ごとに加圧値を変更するようにしている。具体的には、加圧値を初期値から所定の上限値まで徐々に上昇させていき、所定の上限値に到達したら、加圧値を所定の下限値まで徐々に下降させていき、所定の下限値に到達したら、再び加圧値を所定の上限値まで上昇させていき、以降、これを繰り返すようにしている。特にこの場合、加圧値の上昇と下降を正弦波に倣って行うようにしている。
【0049】
このように制御することで、マッサージの慣れを無くすことができ、快適なマッサージ感を持続的に得ることができる。また、加圧値の手動設定スイッチを省略することができる。特に、最初は少ない加圧値で刺激を少なくし、だんだんと加圧値を上げて刺激を強めていき、その後だんだんと加圧値を下げる、というパターンで加圧を繰り返すようにしている上、加圧値の変化を正弦波に倣うようにしているので、人体に優しいマッサージを行うことができる。
【0050】
図8は図13の比較例として、解放圧を、大気圧より高い空気袋の加圧変位点付近の値とした場合の例を示している。この例に示すように、加圧変位点付近に解放圧を設定した場合、大気圧まで解放を待つ必要がなく、次の加圧をそのまま開始することで、加圧時間の短縮を図ることができと共に、消費電力の削減を図ることができる。
【0051】
この場合の制御は、電磁排気弁52の電流を制御して、加圧変位点付近になったら、次の加圧を開始するようにすればよい。
【0052】
他の実施例としては、電磁排気弁52と他のエア回路の間に空気の絞り弁を入れておき、減圧速度を遅くして、加圧変位点付近まで圧力が下がったら、次の加圧を行うようにしてもよい。つまり、排気をするときに、いきなり大気圧にするのではなく、少しゆっくりと下げていき、加圧変位点付近まで下がったら、次の加圧を行うようにする。これにより、加圧時間の短縮と消費電力の削減を図ることができる。
【0053】
なお、加圧変位点付近は、圧力が10〜30mmHgと低いので、圧力をかけたままでも鬱血を起こすおそれはない。
【0054】
このことを応用して、図9に示すように、各サイクル終了後の解放圧BNを大気圧より高い空気袋の加圧変位点付近の値とすることにより、加圧時間の短縮と消費電力の削減を図ることができる。また、前述したものと同様、図10に示すように、解放圧を所定の待機時間t1だけ維持するようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施例によるエアマッサージを所定時間継続した後にこのエアマッサージを所定時間停止する動作を繰り返し行うようにすれば、一回のマッサージを定格時間内で終わらせ、かつ、そのマッサージによる血流改善効果が減少する前に次のマッサージを間違いなく行うことができる。これにより、マッサージ効果を適切に持続させることができる。この場合、マッサージを行う所定時間を例えば30分以内とし、停止の所定時間を5〜30分程度とするのがよい。このような機能は、例えば、コントローラ55に用いているマイクロプロセッサのプログラム内容を変更することで容易に実現できる。その場合、この動作を行っている間は、表示ランプによる表示を行う等のことも行う。また、表示装置を設けて、動作の設定動容を表示できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態のエア圧制御方法を実現するためのエアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図である。
【図2】同エアマッサージ装置のバンドの断面構成を概略的に示す図である。
【図3】同エアマッサージ装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
【図5】同第1実施形態のエア圧制御方法の変形例の説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態のエア圧制御方法の説明図である。
【図8】加圧時間の短縮と消費電力の削減を図る制御の説明図である。
【図9】図8の制御を第1実施形態のエア圧制御方法に応用した例の説明図である。
【図10】図9の制御方法の変形例の説明図である。
【図11】従来のエアマッサージ装置の説明図である。
【図12】従来のエアマッサージ装置におけるエア圧制御方法の説明図である。
【図13】従来のエアマッサージ装置におけるエア圧制御方法の別の例の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
40 空気袋
A1〜A3 加圧設定値
a1〜a3 下げ幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、
加圧設定値までの加圧と所定の下げ幅での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に解放圧まで排気する行程を1サイクルとし、1サイクルごとに前記加圧設定値を変更することを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、最初の加圧設定値に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、以降、これを繰り返すことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、 前記1サイクル終了後の解放圧を所定の待機時間だけ維持した後、次のサイクルに移行することを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記各サイクルにおける加圧から減圧に移行する点、または、減圧から加圧に移行する点の少なくともいずれかに、定圧保持区間を設けたことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記各サイクル終了後の解放圧を、大気圧より高い前記空気袋の加圧変位点付近の値とすることを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項7】
空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、
1回毎または複数回ごとに加圧値を変更することを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧値を所定の上限値まで徐々に上昇させていき、所定の上限値に到達したら、加圧値を所定の下限値まで徐々に下降させていき、所定の下限値に到達したら、再び加圧値を所定の上限値まで上昇させていき、以降、これを繰り返すことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧値の上昇と下降を正弦波に倣って行うことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項10】
請求項1〜9にいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記エアマッサージ装置のエア圧制御方法によってエアマッサージを所定時間継続した後にこのエアマッサージを所定時間停止する動作を繰り返し行うことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項1】
空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、
加圧設定値までの加圧と所定の下げ幅での減圧を短い周期で複数回繰り返した後に解放圧まで排気する行程を1サイクルとし、1サイクルごとに前記加圧設定値を変更することを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、最初の加圧設定値に戻して、再び加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、以降、これを繰り返すことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧設定値を1サイクルごとに徐々に上昇させ、加圧設定値が上限値に到達した段階で、加圧設定値を1サイクルごとに徐々に下降させ、最初の加圧設定値に到達するまでの行程をパターン周期として、以降、このパターン周期を繰り返すことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、 前記1サイクル終了後の解放圧を所定の待機時間だけ維持した後、次のサイクルに移行することを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記各サイクルにおける加圧から減圧に移行する点、または、減圧から加圧に移行する点の少なくともいずれかに、定圧保持区間を設けたことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記各サイクル終了後の解放圧を、大気圧より高い前記空気袋の加圧変位点付近の値とすることを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項7】
空気袋に対する加圧と減圧を繰り返すことで、身体組織に対し圧迫と解放を交互に与えるエアマッサージ装置のエア圧制御方法において、
1回毎または複数回ごとに加圧値を変更することを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧値を所定の上限値まで徐々に上昇させていき、所定の上限値に到達したら、加圧値を所定の下限値まで徐々に下降させていき、所定の下限値に到達したら、再び加圧値を所定の上限値まで上昇させていき、以降、これを繰り返すことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記加圧値の上昇と下降を正弦波に倣って行うことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【請求項10】
請求項1〜9にいずれかに記載のエアマッサージ装置のエア圧制御方法であって、
前記エアマッサージ装置のエア圧制御方法によってエアマッサージを所定時間継続した後にこのエアマッサージを所定時間停止する動作を繰り返し行うことを特徴とするエアマッサージ装置のエア圧制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−7379(P2007−7379A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330876(P2005−330876)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000231590)日本精密測器株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000231590)日本精密測器株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
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