説明

エアレイド法とウェットガラスを使用するサンドイッチ複合材料

第1及び第2スキン層(320、330)の間に位置づけられたコア層(310)で形成されたサンドイッチ複合材料(300)を提供する。コア層又は第1及び第2スキン層は、強化繊維と有機繊維を含む複合材料で形成される。好ましくは、強化繊維はウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である。強化繊維を広げ、該強化繊維と有機繊維をブレンドし、該強化繊維と有機繊維をシートに形成し、かつ該シートを結合することによって複合材料を形成することができる。接着剤又は樹脂つなぎ層によって、コア層と第1及び第2スキン層を付着させ得る。サンドイッチ複合材料は、第1及び第2スキン層の一方又は両方の露出主要面に貼付された表面仕上げ層を含んでよい。存在する繊維の量及び/又はタイプを変えることによって、サンドイッチ複合材料の強度、剛性、及び負荷たわみを改変することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野及び産業上の利用可能性〕
本発明は、一般的に複合製品に関し、さらに詳しくは、強化繊維と有機繊維で形成された少なくとも1層を含み、表面仕上げ材料又はコア材料として使用可能なサンドイッチ複合材料に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
ガラス繊維は種々の技術で有用である。例えば、ガラス繊維をポリマー材料中の強化材として用いて、ガラス繊維強化プラスチック又は複合物を形成する。連続又はチョップドフィラメント、ストランド、ロービング、織布、不織布、メッシュ、及びスクリムの形態でガラス繊維を用いてポリマーを強化している。ガラス繊維は大気条件の変化に応じて収縮又は伸張しないことから寸法安定性を提供するので、一般的にガラス繊維強化プラスチック又は複合物を形成するためにポリマー材料中の強化材として使用される。さらに、ガラス繊維は、高い引張り強さ、耐熱性、防湿性、及び高い熱伝導性を有する。
ガラス繊維強化プラスチック複合物の一用途は、サンドイッチ構造パネルでの使用である。サンドイッチ構造パネルは、より厚く、軽量のコア材料の両面に、薄く、高強度の表面仕上げ層を組み合わせたもので、絶縁特性、音の減衰特性及び構造特性を提供する。コア材料は、荷重によって生じたせん断力を吸収してから広い範囲に分散させる。結果として、コア層は十分に堅く、かつ良いせん断強さを有するだろう。表面仕上げ層は、典型的にガラス繊維強化プラスチック(FRP)で形成される。典型的に、コア層と表面仕上げ層は、接着剤又は機械的ファスナーで結合されるので、荷重支持単位として作用し得る。
【0003】
従来のサンドイッチ構造パネルの例を以下に示す。
Blanpeidらの米国特許第4,459,334号は、発泡プラスチック材料のコアと、その表面の少なくとも一方の上に、ランダムに配向されたガラス繊維のマットに結合したアルミニウム箔のツープライ(two-ply)材料で形成されたスキンとを含む複合パネルを開示している。このコア材料とツープライスキンで形成されたパネルは、優れた断熱及び難燃特性を有すると主張されている。
O'Neillの米国特許第4,910,067号は、熱可塑性層と、該熱可塑性層から間隔をあけれた繊維材料の層と、これらの層間の空間に配置されたフォームコアとで形成された構造材料を開示している。樹脂を含浸させて繊維材料の層を相互に保持して繊維強化樹脂構造を形成する。フォームコアと繊維強化樹脂構造は、発泡特性と樹脂特性を有し得るコア材料から完全に形成される。
Sanmartinらの米国特許第4,937,125号は、外側スキンと内側スキンの間に挿入されたコアで形成されたサンドイッチ構造を開示し、衝撃と熱攻撃に対して耐えるように設計されている。
Brambachの米国特許第5,186,999号は、2つの強化トップ層間にサンドイッチされたコア材料で形成されたシート様サンドイッチ材料を開示している。コア層は、熱可塑性発泡材料又はハニカム構造を有する材料である。トップ層は繊維で強化された熱可塑性合成プラスチック材料で形成される。プラスチック材料である強化材の少なくとも一部は、加圧下、前記コア層中に、トップ層の一方を通じて注入される。
Tsotsisの米国特許第5,460,865号は、薄い軽量の中間層の回りに配置された薄い上部ハニカムコアと、該上部コアと同じか又は低密度の下部ハニカムコアの組合せで形成されたハイブリッドパネルを開示している。ハニカムコアと軽量の中間層の組合せが2つの外側スキン内に配置される。
Uedaらの米国特許第6,743,497号は、ハニカムコアと、該ハニカムコアの上面と下面をサンドイッチする前面層と後面層を有するサンドイッチパネルを開示している。前面層と後面層の少なくとも一方は、マトリックスとしてフェノール樹脂を使用する繊維強化プラスチック製である。
Wediの米国特許第6,753,061号は、中心層と、1又は2の外層とで形成されたフレキシブルなサンドイッチ材料を開示している。中心層は、フレキシブルであり、かつハニカム構造を示すポリマー合成材料製である。外層は、合成添加剤でフレキシブルにされ、かつそのコアとして繊維ウェブ材料を有する硬化モルタルで形成される。
Preislerらの米国特許公開第2003/0197400 A1号は、サンドイッチ型の強化複合インナールーフパネルを開示している。このインナールーフパネルは、強化熱可塑性材料製の上部スキンと、熱可塑性材料製の海綿状コアと、強化熱可塑性材料製の底部スキンを含む。
Preislerの米国特許公開第2003/0205917 A1号は、サンドイッチ型の荷重フロアーを開示している。この荷重フロアーは、強化熱可塑性材料製の荷重支持上部スキンと、強化スレートの上部骨格枠構造(それぞれ、強化熱可塑性複合物又は引出し成形物製)と、熱可塑性材料製の海綿状コアと、強化スレートの下部骨格枠構造(強化熱可塑性複合物又は引出し成形物)と、強化熱可塑性材料製の底部スキンを含む。
当該技術には多くのサンドイッチ構造パネルが存在するが、現存のサンドイッチパネルは十分な強度、剛性、負荷たわみ、及び十分な音減衰特性を与えず、或いは該パネルを所望の強度及び音響要求に合うように調整する能力を提供しない。従って、優れた音減衰特性、改良された構造特性及び熱特性を示し、かつ軽量で低コストのサンドイッチ複合材料が要望されている。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、サンドイッチ複合材料の製造方法を提供することであり、本方法は、第1スキン層と第2スキン層の主要面間にコア層を位置づける工程と、前記第1及び第2スキン層に前記コア層を貼り付ける工程を含む。少なくとも1つの典型的な実施態様では、前記第1及び第2スキン層は、脱水した強化繊維と、有機繊維とを含む複合材料で形成される。前記第1及び第2スキン層を形成する複合材料は同一又は異なってよい。少なくとも1つの典型的な実施態様では、前記コア層は前記複合材料で形成される。本複合材料は、ウェット強化繊維のベイル(bale)を広げ、かつ前記ウェット強化繊維中に存在する水の少なくとも一部を除去して、脱水した強化繊維を形成することによって形成される。脱水した強化繊維を、例えば高速空気流中で有機繊維とブレンドして、強化繊維と有機繊維の実質的に均質な混合物を形成する。次に、該混合物をシート形成機に移してシートに形成する。脱水した強化繊維と有機繊維の少なくとも一部を結合して複合材料を形成する。好ましくは、強化繊維はウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である。第1及び第2スキン層の一方又は両方の露出主要面に表面仕上げ層又は表面被覆を貼り付けることができる。
【0005】
脱水した強化繊維と有機繊維を含む複合材料で形成された少なくとも1つの層を含むサンドイッチ複合材料を提供することも本発明の目的である。サンドイッチ複合材料は、第1及び第2スキン層間に位置づけられたコア層で形成される。少なくとも1つの典型的な実施態様では、第1及び第2スキン層は複合材料で形成され、コア層はフォーム、バルサ木材、紙、厚紙、アルミニウム、ノーメックス(nomex)又はガラス強化熱可塑性樹脂(GMT)でよい。少なくとも1つの他の典型的な実施態様では、コア層が複合材料で形成され、かつ第1及び第2スキン層が複合シート又はポリマーシートである。接着剤、つなぎ層、又は他の一般的に知られる固着技術、例えば超音波若しくは振動溶着によって、コア層と第1及び第2スキン層を付着させ得る。第1及び第2スキン層の一方又は両方の露出主要面に表面仕上げ層又は表面被覆を貼り付けることができる。
【0006】
本発明の利点は、複合材料中に存在する繊維の特有の組合せによってサンドイッチ複合材料の強度、剛性、負荷たわみ、及び音響要求を変更又は改良し得るので、特定用途の必要性を満たすようにあつらえ得ることである。例えば、本複合材料は、該複合材料で使う強化繊維及び/又は有機繊維の量及び/又はタイプを変えることによって、特有の用途に必要なサンドイッチ複合材料の物理的性質(例えば、剛性及び/又は強度)を最適化する、又はあつらえる能力を提供する。
本発明の別の利点は、本複合材料は、強化及び/又は繊維の重量を変えることによって、或いは強化繊維含量及び/又は強化繊維の長さ若しくは直径を変えることによって、或いは該複合材料で使う有機繊維の繊維長及び/又はデニールを変えることによって、特有の用途に必要なサンドイッチ複合材料の物理的性質(例えば、剛性、負荷たわみ、又は強度)を最適化する、及び/又はあつらえる能力を提供することである。
さらに、本明細書で述べる方法で形成される複合材料は繊維の均一又は実質的に均一な分布を有することによって、該サンドイッチ複合材料に改良された強度並びに改良された音響特性と熱的特性、剛性、負荷たわみ、及び耐衝撃性を与えることも本発明の利点である。
なおさらなる本発明の利点は、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維を強化繊維として使用すると、該ガラス繊維中に存在する湿分のためほとんど静電気を生じずにガラス繊維を容易に広げて繊維状にし得ることである。
さらなる本発明の利点は、本明細書で述べるようなドライレイド(dry-laid)法でウェットユースのチョップドストランドガラス繊維を用いて形成された複合材料は、高いロフト(loft)(高い多孔度)を有することである。高い多孔度は、複合材料の密度を低減すると同時に、相対的な剛性及び音吸収を高める。
また、本明細書で述べるドライレイド法で使うウェットユースのチョップドストランドガラス繊維はドライチョップド繊維より安価に製造され、結果として、低コストでサンドイッチ複合材料を製造できることも本発明の利点である。
本発明の上記及び他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明を考慮することでさらに完全に明らかになるだろう。しかし、図面は説明の目的のためであり、かつ本発明の限界を定義するものと解釈すべきでないことを明白に理解すべきである。
本発明の以下の詳細な説明を考慮すると、特に添付図面と共に考慮すると、この発明の利点が明白になるだろう。
【0007】
〔発明の詳細な説明及び好ましい実施態様〕
特に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施又は試験では、本明細書で述べるものと同様又は均等ないずれの方法及び材料も使用できるが、本明細書では好ましい方法と材料について述べる。
図面中、線、層、及び領域の厚さは明瞭さのため拡大されていることがある。図面全体を通じて同様の符号は同様の要素を示すことに注意すべきである。用語“トップ”、“ボトム”、“サイド”等は、本明細書では説明目的のためだけに使用される。層、領域、又はパネル等の要素が別の要素の“上”であると表されている場合、該要素は、直接別の要素の上にあってもよく、或いは介在要素が存在し得ることが分かるだろう。要素若しくは層が別の要素若しくは層“に隣接して”又は“と向かい合って”いると記述されている場合、当該要素若しくは層が別の要素若しくは層に直接隣接し、又は別の要素若しくは層と直接向かい合っていてもよく、或いは介在要素が存在し得ることを理解すべきである。層などの要素が別の要素の上方にあると表されている場合、該要素は、直接別の要素の上方にあってもよく、或いは介在要素が存在し得ることも分かるだろう。さらに、用語“強化繊維(reinforcing fiber)”及び“強化繊維(reinforcement fiber)”は、本明細書では相互交換可能に使用され得る。
【0008】
本発明は、強化繊維と有機繊維を含む複合材料で形成された少なくとも1つの層を含むサンドイッチ複合材料に関する。本サンドイッチ複合材料中のスキン層として、又はコア層として複合材料を使用し得る。
該複合材料で利用される強化繊維は、良い構造品質並びに良い音響的及び熱的特性を与えるために適したいずれのタイプの有機又は無機繊維でもよい。複合材料で利用し得る強化繊維の非限定例として、ガラス繊維、ウールガラス繊維、天然繊維、海綿状繊維、金属繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ナノ繊維、又はその組合せが挙げられる。本発明と共に使用される場合、用語“天然繊維”は植物のいずれの部分から抽出される植物繊維をも指し、植物の部分としては、限定するものではないが、幹、種、葉、根、又は靭皮が挙げられる。本複合材料では、強化繊維は同一又は異なる長さ、直径及び/又はデニールを有し得る。好ましくは、強化繊維はガラス繊維である。
該複合材料で利用される強化繊維は、約5〜約100mmの長さ、さらに好ましくは約10〜約50mmの長さを有し得る。さらに、強化繊維は約8〜約25ミクロンの直径、好ましくは約12〜約18ミクロンの直径を有し得る。強化繊維は複合材料内で相互に変化する長さ(アスペクト比)と直径を有し得る。強化繊維は、全繊維の質量の約20〜約80質量%の量で複合材料中に存在し得る。好ましくは約40〜約60質量%の量で存在する。
さらに、本複合材料は少なくとも1種の有機繊維を含む。複合材料中に存在する有機繊維としてポリマーベース熱可塑性繊維、例えば、限定するものではないが、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)繊維、低級アルキルアクリレートポリマー繊維、アクリロニトリルポリマー繊維、部分加水分解ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルピロリドン繊維、スチレンアクリレート繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、及びナイロンが挙げられる。有機繊維は、例えば、マレイン酸又はアクリル酸等の酸でカルボキシル化することによって、酸性基で官能化されていてもよく、或いはアンヒドリド基又は酢酸ビニルを加えて有機繊維が官能化されていてもよい。有機繊維は、二者択一的に、ポリマー繊維の形態でなく、フレーク、顆粒、又は粉末の形態でもよい。いくつかの実施態様では、有機繊維に加えて、フレーク、顆粒、及び/又は粉末の形態の樹脂が添加される。
本複合材料中に1又は2以上のタイプの有機繊維が存在し得る。有機繊維は、複合材料内で同一又は変化する長さ、直径、及び/又はデニールを有し得る。有機繊維の長さ及び/又はデニールを変えることによって、複合材料の音響的挙動、剛性、負荷たわみ、及び強度を調整することができる。さらに、複合材料中に存在する異なる有機繊維の比を変えて特有の機械的、音響的、及び熱的特性を達成することができる。
有機繊維は、約10〜約100mmの長さ、好ましくは約10〜約50mmの長さを有し得る。さらに、有機繊維は、約2〜約25デニール、好ましくは約2〜約12デニールのデニールを有し得る。有機繊維は、全繊維の質量の約20〜約80質量%の量で複合材料中に存在し得る。好ましくは約40〜約60質量%の量で存在する。
【0009】
1又は2以上の有機繊維は、多成分繊維、例えば、二成分繊維、三成分繊維、又は熱可塑性樹脂被覆ガラス繊維のようなプラスチック被覆鉱物繊維でもよい。二成分繊維は、鞘-核(sheath-core)、サイドバイサイド(side-by-side)、アイランドインザシー(islands-in-the-sea)、又はセグメント化パイ(segmented-pie)配列で配置されていてよい。好ましくは、二成分繊維は鞘-核配列で形成され、鞘が第1ポリマー繊維で形成され、この第1ポリマー繊維が、第2ポリマー繊維で形成された核を実質的に取り囲んでいる。鞘繊維が全体的に核繊維を取り囲んでいる必要はない。第1ポリマー繊維は第2ポリマー繊維の融点より低い融点を有するので、該二成分繊維を加熱すると、第1ポリマー繊維と第2ポリマー繊維が別々に反応する。特に、二成分繊維を第1ポリマー繊維(鞘繊維)の融点より高く、かつ第2ポリマー繊維(核繊維)の融点より低い温度に加熱すると、第1ポリマー繊維は軟化又は融解するが、第2ポリマー繊維は元のままである。この第1ポリマー繊維(鞘繊維)の軟化が第1ポリマー繊維を粘着性にして第1ポリマー繊維をそれ自体及び密接している他の繊維に結合させるだろう。
二成分ポリマー繊維を調製するため、多くの材料の組合せ、例えば、限定するものではないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスルフィド、ポリオレフィン、及びポリエチレン繊維を用いた組合せを使用することができる。二成分繊維のための特定ポリマーの組合せとして、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、及びポリプロピレン/ポリエチレンが挙げられる。他の非限定的な二成分繊維の例として、コポリエステルポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート(coPET/PET)、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチルテレフタレート/ポリプロピレン(PCT/PP)、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(HDPE/PET)、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン(HDPE/PP)、線状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(LLDPE/PET)、ナイロン6/ナイロン6,6(PA6/PA6,6)、及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート(6PETg/PET)が挙げられる。
二成分ポリマー繊維は、約1〜約18デニールのデニール及び約2〜約4mmの長さを有し得る。第1ポリマー繊維(鞘繊維)は約66〜約200℃(約150〜約400°F)の範囲の融点を有することが好ましく、さらに好ましくは約77〜約150℃(約170〜約300°F)の範囲である。第2ポリマー繊維(核繊維)は、より高い融点を有し、好ましくは約177℃(約350°F)より高い。二成分繊維を本複合材料の成分として使用でき、又は該複合材料中に存在する有機繊維として使用し得る。
【0010】
ランダムに配向された強化繊維と有機繊維のエアレイド(air-laid)、ウェットレイド(wet-laid)、又はメルトブローン不織マット若しくはウェブで複合材料を形成し得る。少なくとも1つの典型的な実施態様では、複合材料は、ドライレイド(dry-laid)法、例えば、Enamul Haqueの表題“ドライレイド法でウェットユースのチョップドストランドガラスを用いた熱可塑性複合物の開発(Development Of Thermoplastic Composites Using Wet Use Chopped Strand Glass In A Dry Laid Process)”の米国特許公開第2005-0082721号に記載されているドライレイド法によって形成される。好ましい実施態様では、複合材料を形成するために使用する強化繊維はウェット強化繊維であり、最も好ましくはウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である。強化繊維として使うウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、技術上周知の常法で形成される。該ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、約5〜約30%の含水率、さらに好ましくは約5〜約15%の含水率を有することが望ましい。
ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維の使用は、従来のドライレイドガラス法を超える費用上の利点がある。例えば、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、ドライユースのチョップドストランドガラス繊維(DUCS)のようなドライチョップド繊維より製造費用が安い。ドライ繊維は典型的にチョップするまえに個別工程で乾燥かつ包装されるからである。結果として、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維の使用により、低コストで複合材料ひいてはサンドイッチ複合材料を製造することができる。
本発明の複合材料の典型的な製造方法は図1に一般的に示され、強化繊維と有機繊維を少なくとも部分的に広げる工程(工程100)、強化繊維と有機繊維をブレンドする工程(110)、強化繊維と有機繊維をシートに形成する工程(工程120)、任意に、前記シートをニードリングする工程(工程130)、及び強化繊維と有機繊維を結合する工程(工程140)を含む。
強化繊維及び有機繊維は、典型的に個々の繊維のベイル(bale)の形態で集塊している。ウェットガラス強化繊維は、典型的に個々の繊維の“ボックス”の形態で集塊している。複合材料の形成では、強化繊維及び有機繊維のベイルを、該業界で共通のベイルオープニングシステム等のオープニングシステムで広げ得る。オープニングシステムが働いて、クラスター化した繊維の結合を減らすと共に繊維毎の接触を増強する。
さて、図2に戻ると、ウェット強化繊維200と有機繊維210のオープニングが最も良く分かる。典型的にベイルの形態のウェット強化繊維200と有機繊維210をそれぞれ第1オープニングシステム220と第2オープニングシステム230に供給して、ウェット強化繊維200と有機繊維210を少なくとも部分的に広げ、及び/又はフィラメント化(個別化)する。図1及び2に示される典型的な方法は有機繊維210を第2オープニングシステム230で広げる工程を示しているが、有機繊維210がフィラメント形態で存在し又は得られ、ベイルの形態でない場合、有機繊維210を繊維移動システム250に直接供給してよい(図示しない実施態様)。このような実施態様は、本発明の範囲内であると考えられる。
これとは別の、有機繊維210がフレーク、顆粒、又は粉末であって(図示せず)、繊維形態でない場合の実施態様では、これら樹脂材料を強化繊維200と混合できるように、第2オープニングシステム230を、繊維移動システム250に該フレーク、粉末、又は顆粒を配給するのに適した装置と置き換えてよい。当業者は、好適な配給装置を容易に特定するだろう。有機繊維210に加え(代わりではなく)、フレーク、顆粒、又は粉末形態の樹脂を使用する実施態様では、フレーク、顆粒、又は粉末を配給する装置を第2オープニングシステム230と置き換える必要はない。
第1及び第2オープニングシステム220、230は、好ましくはベイルオープナーであるが、ウェット強化繊維200と有機繊維210のベイルを広げるのに適したいずれのタイプのオープナーでもよい。オープナーのデザインは、広げる繊維のタイプと物理的性質によって決まる。本発明で使うのに適したオープナーには、秤量デバイスがあるか又は無い通常の標準的ないずれのタイプのベイルオープナーも含まれる。秤量デバイスが働いて、部分的に広げられた繊維が該ベイルオープナーを通過するとき、該部分的に広げられた繊維を連続的に秤量して、次の処理工程に進む繊維の量をモニターする。ベイルオープナーは、種々の微細オープナー、1種以上のリッカイン(licker-in)ドラム又は鋸歯状ドラム、フィーディング(feeding)ローラー、及び/又はフィーディングローラーとノーズバー(nose bar)の組合せを備え得る。
【0011】
次に、部分的に広げられたウェット強化繊維200を第1オープニングシステム220から凝縮ユニット240に供給して、該ウェット繊維から水を除去し得る。典型的な実施態様では、約70%を超えるフリーな水(強化繊維の外部にある水)が除去される。しかし、好ましくは、実質的にすべての水が凝縮ユニット240で除去される。ここで使用する用語“実質的にすべての水”とは、フリーな水のすべて又はほとんどすべてが除去される意であることに留意すべきである。凝縮ユニット240は技術上周知のいずれの乾燥デバイス又は水除去デバイスでもよく、限定するものではないが、エアドライヤー、オーブン、ローラー、吸引ポンプ、加熱ドラムドライヤー、赤外線加熱源、ホットエアブロワー、又はマイクロ波放出源が挙げられる。
強化繊維200が凝縮ユニット240を通過した後、上述したようなベイルオープナー等の別のオープニングシステムに繊維を通して、強化繊維200をさらにフィラメント化及び分離してもよい(図示しない実施態様)。
【0012】
強化繊維200と有機繊維210を一緒に繊維移動システム250でブレンドする。好ましい実施態様では、高速空気流内で繊維をブレンドする。繊維移動システム250は、強化繊維200と有機繊維210をシート形成機270に輸送する導管として働くと共に、強化繊維200と有機繊維210を実質的に均一に混合するために働く。強化繊維200と有機繊維210をできる限り均一に分布させることが望ましい。第1及び第2オープニングシステム220、230について上述したような秤量デバイスによって、或いは繊維が第1及び第2オープニングシステム220、230を通過するときの量及び/又は速度によって、繊維移動システム250に入る強化繊維200と有機繊維210の比を制御することができる。好ましい実施態様では、空気流中に存在する強化繊維200の有機繊維210に対する比は50:50である。しかし、空気流中に存在する繊維の比は、最終製品の所望の構造上及び音響上の要求によって変わるだろう。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様では、複合材料の所望組成によって、チョップドロービング、ドライユースのチョップドストランドガラス(DUCS)、天然繊維(例えば、ジュート、大麻、及びケナフ)、アラミド繊維、金属繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ポリマー繊維、又はその組合せ等の他のタイプの繊維を追加のオープナー(図示せず)で広げてフィラメント化し、繊維移動システム250に加え、強化繊維200及び有機繊維210と混合することができる。このような追加繊維を加える場合、繊維移動システム250中の繊維の約25%までがこれら追加繊維から成る。
繊維移動システム250を出る強化繊維200と有機繊維210の混合物をシート形成機270に移動することができ、シート形成機270で繊維がシートに形成される。シート形成機270に入る前に、ブレンドした繊維を繊維移動システム250によって装填ボックスタワー260に輸送することができ、そこで強化繊維200と有機繊維210を、例えばコンピューター監視電子秤量装置によって容積測定してシート形成機270に供給する。装填ボックスタワー260は、シート形成機270の内部に配置してもよく、或いはシート形成機270の外部に位置づけてもよい。装填ボックスタワー260は、シート形成機270に入る前に強化繊維200と有機繊維210をさらにブレンド及び混合するための整流装置を含んでもよい。ある典型的な実施態様では(図示せず)、カーディング(carding)法におけるように、シート形成機270に入る前に、微細なワイヤー又は歯で覆われたドラム又は一連のドラム上に強化繊維200と有機繊維210の混合物をブローして繊維を平行配列に梳く(図示せず)。
さらに、シート形成機270で形成されたシートを第2シート形成機(図示せず)に移すことができる。第2シート形成機は、シート内で強化繊維200と有機繊維210を分布させる補助をする。追加のシート形成機の使用により、形成されるシートの構造的な統合性を高め得る。
【0014】
いくつかの実施態様では、凝縮器と分配コンベヤーを有するシート形成機270を用いて、装填ボックスタワー260への繊維の供給を高め、かつ装填ボックスタワー260を通る空気の量を増やすことができる。広げられた繊維の交差分布を高めるため、シートの方向に対して横断的に分配コンベヤーを動かしてよい。結果として、強化繊維200と有機繊維210がほとんど又は全く圧力なしで最小限の繊維破損で装填ボックスタワー260に移動し得る。少なくとも1つの典型的な実施態様では、有機繊維210の長さは強化繊維200の長さと実質的に同一である。実質的に同じ長さの強化繊維及び有機繊維200、210は、繊維移動システム250、装填ボックスタワー260、及びシート形成機270内で強化繊維200と有機繊維210を混合する際に、該繊維を均一に分布させる助けとなる。
シート形成機270で形成されたシートは、強化繊維200と有機繊維210の所望の比と重量分布の実質的に均一な分布を含む。シート形成機270で形成されたシートは約400〜約2500g/m2の重量分布、好ましくは約1000〜約2000g/m2の重量分布を有し得る。
本発明の1又は2以上の実施態様では、シート形成機270を出るシートをニードルフェルティング(needle felting)装置280におけるニードリング(needling)プロセスに供して、有刺針又はフォーク状針を下向き又は上向きの動きでシートの繊維に通して押し出して、強化繊維200と有機繊維210をもつれさせ又は絡み合わせて、該マットに機械的な強度と統合性を与える。ニードルフェルティング装置280は、ウェブ供給機構と、ニードルボード、機械の幅1メートル当たり約500〜約7,500個の範囲の有刺フェルティングニードルを有するニードルビームと、ストリッパープレートと、ベッドプレートと、巻取機構とを含み得る。有刺フェルティングニードルをシートの中と外に繰り返し通すことによって、強化繊維200と有機繊維210の機械的インターロッキングを達成する。当業者は、本発明の方法で使うために選ばれた個々の強化繊維200及び有機繊維210で使うための最適なニードル選択を容易に特定するだろう。
【0015】
シートがシート形成機270を出た後、又はシートの任意的なニードリングの後、シートを熱結合システム290に進めて強化繊維200と有機繊維210を結合することができる。熱結合では、有機繊維210の熱可塑特性を利用し、加熱によって強化繊維200との結合を形成する。熱結合システム290では、有機繊維210の融点より高いが、強化繊維200の融点より低い温度にシートを加熱する。有機繊維210として二成分繊維を使用する場合、熱結合システム290内の温度は、鞘繊維の融点より高いが、強化繊維200の融点より低い温度に上げられる。有機繊維210をその融点、又は有機繊維210が二成分繊維の場合は鞘繊維の融点より高い温度に加熱すると、有機繊維210(又は鞘繊維)が接着性になって、有機繊維210と強化繊維200を結合する。有機繊維210が完全に融解すると、融解した繊維は、強化繊維200を包み込むことができる。熱結合システム290内の温度が強化繊維及び/又は核繊維の融点ほどには上昇しない限り、これら繊維は、熱結合システム290及び複合材料295内で繊維状態のままだろう。
【0016】
有機繊維210を用いて強化繊維200を相互に結合し得るが、熱結合システム290にシートを進める前に、熱可塑性又は熱硬化性バインダー樹脂285を添加して、繊維の結合を補助することができる。バインダー樹脂285は樹脂の粉末、フレーク、顆粒、フォーム、又は液体スプレーの形態でよい。例えば、フラッド及び抽出法のようないずれの適切な方法によってもバインダー樹脂285を添加することができ、或いはシート上にバインダー樹脂285を噴霧することによってバインダー樹脂285を添加してもよい。シートに添加するバインダー樹脂285の量は、複合材料の所望特性によって変化し得る。塩化アンモニウム、p-トルエン、スルホン酸、硫酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、又は硝酸亜鉛などの触媒を用いて、硬化速度及び硬化したバインダー樹脂285の品質を高めることができる。
強化繊維200と有機繊維210をさらに結合するために利用し得る単独の、又は本明細書で述べる他の結合法に加えて行う別の方法は、ラテックス結合法である。ラテックス結合法では、エチレン(Tg -125℃)、ブタジエン(Tg -78℃)、アクリル酸ブチル(Tg -52℃)、アクリル酸エチル(Tg -22℃)、酢酸ビニル(Tg 30℃)、塩化ビニル(Tg 80℃)、メタクリル酸メチル(Tg 105℃)、スチレン(Tg 105℃)、及びアクリロニトリル(Tg 130℃)等のモノマーから形成されたポリマーを結合剤として使用する。ガラス転移温度(Tg)が低いほど軟らかいポリマーをもたらす。シートが熱結合システム290に入る前に、ラテックスポリマーをスプレーとして添加することができる。シートが熱結合システム290に入ると、ラテックスポリマーが融けて強化繊維200と有機繊維210を結合する。
単独で、又は本明細書で述べる他の結合法と組み合わせて使用し得るさらなる任意の結合法は化学結合法である。液体ベース結合剤、粉末接着剤、フォーム、及びいくつかの例では、有機溶剤を化学結合剤として使用できる。化学結合剤の好適な例として、限定するものではないが、アクリレートポリマー及びコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー、及びその組合せが挙げられる。例えば、ポリ酢酸ビニル(PVA)、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)、低級アルキルアクリレートポリマー、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリルポリマー、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及び塩化ビニリデンと他のモノマーのコポリマー、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル樹脂、及びスチレンアクリレートを化学結合剤として使用し得る。化学結合剤を含浸させ、コーティングし、又は噴霧することによって、化学結合剤をシートに均一に施すことができる。
【0017】
熱結合システム290は、技術上周知のいずれの加熱及び結合法をも包含し得る。例えば、オーブン結合法、強制空気を用いるオーブン結合法、赤外線加熱法、熱カレンダー法、ベルトカレンダー法、超音波結合法、マイクロ波加熱法、及び加熱ドラムが挙げられる。任意に、これら結合法の2種以上を併用してシート内の繊維を結合することができる。熱結合システム290の温度は、使用する個々の有機繊維210の融点及びシート内に二成分繊維が存在するか否かによって変化する。熱結合システム290から出現する複合材料295は、有機繊維210と強化繊維200の均一又は実質的に均一な分布を含む。複合材料295内の有機繊維210と強化繊維200の均一又は実質的に均一な分布は、サンドイッチ複合材料に、改良された強度、改良された音響的及び熱的特性、改良された剛性、改良された負荷たわみ、並びに改良された耐衝撃性を与える。さらに、複合材料295は、実質的に均一な重量一貫性を有し、結果としてサンドイッチ複合材料の曲げ強さ及び衝撃強さ等の均一な特性をもたらす。
【0018】
第1スキン層320と第2スキン層330の間に配置されたコア層310を含むサンドイッチ複合材料300を図3に示す。第1及び第2スキン層320、330はそれぞれ、上述した図2及び3に示される方法で製造された複合材料295で形成され、かつこれらの層は、同一の複合材料295又は異なった複合材料295で形成され得るものと解釈すべきである。
上述したように、サンドイッチ複合材料300は、第1及び第2スキン層320、330の主要面間に位置づけられたコア層310を含む。コア層310で使うための適切な成分として、限定するものではないが、ポリウレタンフォーム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリルアミド(polymethyl metharylamide)、スチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマー、ポリエーテルイミドフォーム、ポリエーテルイミド/ポリスルホンフォーム、変動重量のバルサ木材、紙、厚紙、アルミニウム、ノーメックス、ガラス強化熱可塑性樹脂及びその組合せが挙げられる。コア層310で使うフォームの重量、K値、厚さ及び/又はタイプを変えることによって、或いは他の特有タイプのコア材料(例えばバルサ重量)によって、強度、剛性、及び荷重分布などのサンドイッチ複合材料300の物理的性質を特有の要求に合うように変更し、又はあつらえることができる。
接着剤(例えば、スプレーオン接着剤、感圧接着剤、感熱接着剤)又は樹脂つなぎ層によって、第1及び第2スキン層にコア層310を付着させ得る。好適な樹脂つなぎ層の非限定例として、PlexarTM(Quantum Chemicalから商業的に入手可能)、AdmerTM(Mitsui Petrochemicalから商業的に入手可能)、及びBynelTM(DuPontから商業的に入手可能なアンヒドリド変性ポリオレフィン)が挙げられる。超音波又は振動溶着などの他の一般に知られている固着技術を用いてコア層310を第1及び第2スキン層320、330に貼り付けてよい。或いは、異なる層のツインシート熱成形によってコア層310と第1及び第2スキン層320、330を付着させることができる。
【0019】
さらに、サンドイッチ複合材料300は、第1及び第2スキン層320、330の一方又は両方の露出主要面に貼付された表面仕上げ層又は表面被覆(図示せず)を含み得る。表面被覆は、布、壁紙、ビニル、皮、アルミニウム箔、薄い銅シート、熱可塑性オレフィン(TPO)、又は種々の構成を有するフィルム、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリアミド等の単層フィルム、又はエチレン/アクリル酸(EAA)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及びポリプロピレン/ポリアミド(PP/PA)等の多層フィルムで形成され得る。表面層はサンドイッチ複合材料300の音響特性を変える補助をするので、個々の用途の要求に合わせて音響特性を調整することができる。さらに、表面層の材料によっては、限定するものではないが、透水性又は非透水性、耐摩耗性、及び/又は耐熱性などのサンドイッチ複合材料の他の特性を与え得る。
【0020】
図4に示される代替実施態様では、図1及び2に示される上記方法で形成された複合材料295をサンドイッチ複合材料340のコア層350として利用する。コア層350は第1及び第2スキン層360、370で取り囲まれている。第1及び第2スキン層360、370は高強度複合シート、例えば、限定するものではないが、シートモールディングコンパウンド(SMC)、バルクモールディングコンパウンド(BMC)、ガラスマット強化熱可塑性樹脂(GMT)、炭素繊維強化シート、天然繊維強化シート、薄いアルミニウム、及び銅の金属シート等で形成されている。さらに、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート/ポリエステル-ベースプラスチック基材(商標名XenoyTMでGeneral Electric Companyが販売)、ポリエーテルイミド(商標名UltemTMでGeneral Electric Companyが販売)、及びポリフェニレンオキシド(NorylTMとしてGeneral Electric Companyが販売)等のポリマーシートで、第1及び第2スキン層360、370を形成し得る。同一又は異なる材料で第1及び第2スキン層360、370を形成することができる。複合材料295で形成されたコア層350は、良い絶縁、物理的、及び動的特性を与え、ショック及び衝撃負荷を経験する用途に対してサンドイッチ複合材料340を理想的にする。図3について上述したように、コア層350、第1及び第2スキン層360、370は、接着剤、樹脂つなぎ層、超音波、振動溶着によって、又はこれら層をシート熱成形することによって、貼り付けられる。さらに、第1及び第2スキン層360、370の一方又は両方の露出主要面に表面仕上げ層を(図示せず)を貼り付けてもよい。
【0021】
第1及び第2スキン層320、330(図3)又はコア層350(図4)を形成するために複合材料295を使用すると、該複合材料295で用いる強化繊維及び/又は有機繊維の量及び/又はタイプを変えることによって、サンドイッチ複合材料の物理的性質(強度、剛性、及び負荷たわみ)を最適にして製造することができる。さらに、強化繊維及び/又は有機繊維の重量を変えることによって、或いは強化繊維含量及び/又は有機繊維の長さ若しくは直径を変えることによって、或いは複合材料で使用する有機繊維の繊維長及び/又はデニールを変えることによって、サンドイッチ複合材料の強度、剛性、及び負荷たわみを最適化することができる。従って、複合材料中に存在する繊維の特有の組合せによって、サンドイッチ複合材料の強度、剛性、負荷たわみ、及び音響的要求(場合によって)を変更又は改善することができるので、サンドイッチ複合材料を個々の用途の要求に合うようにあつらえることができる。
【0022】
第1スキン層、接着剤又はつなぎ層、コア層、別の接着剤又はつなぎ層、及び第2スキン層を連続的に積み重ねることによってサンドイッチ複合材料300及び340を形成できる。次に、例えば、ラミネーター又は他のタイプの移動ベルトプレスを用いて、サンドイッチ複合材料を積層することができる。サンドイッチ複合材料を種々の形状に圧縮成形又は熱成形することができる。例えば、スキン層を加熱し、かつ吸引及び/又は加圧成形を用いて形状を作ることによって、ツインシート熱成形機で所望形状に熱成形し得る。一工程法で、サンドイッチ複合材料をモールディング又はダイカットして所望の音響的な半構造的最終部品を形成することができる。インライン(連続様式で)、又は個別工程でサンドイッチ複合材料の製造方法を実施し得る。好ましくは、本方法はインラインで実施する。さらに、特殊フィルム、スクリム、及び/又は他の布を添加するなどのいずれの追加処理工程も本発明の範囲内であると考えられる。
サンドイッチ複合材料は、多くの構造用途、例えば輸送ロードフロア、シートバックの形成、及び消費者産業や建築産業の他の用途で利用される。オフィス用仕切り板及び家の音吸収パネルとして、例えば基部の仕上げシステムなどでも本サンドイッチ複合材料を使用し得る。
【0023】
複合材料の有機繊維及び/又はガラス含量の基本重量を変えることによって、形成される複合部品の厚さ、形成される複合部品の多孔度及び/又は空気流路を調節することができる。さらに、図1について上述したようにウェットガラスチョップドストランドガラスをドライレイド法で使用すると、本発明の複合材料の音吸収性の向上に寄与する。ドライレイド法で形成される複合材料は高いロフト(高い多孔度)を有するからである。さらに、本明細書で述べる方法で形成される複合材料は、強化繊維と有機繊維の均一又は実質的に均一な分布を有するので、改良された強度並びに改良された音響及び熱的特性、剛性、及耐衝撃性を与える。
本発明の別の利点は、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維を強化繊維として使用すると、ガラス繊維中に存在する湿分のためほとんど静電気を生じずに容易にガラス繊維を広げ、繊維状にできることである。さらに、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、ドライチョップド繊維より製造費用が安い。ドライ繊維は典型的にチョップするまえに個別工程で乾燥かつ包装されるからである。従って、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維の使用により、低コストで複合製品(及びサンドイッチ複合材料)を製造することができる。
この出願の発明を一般的及び特定実施態様に関して上述した。本発明を好ましい実施態様と考えられることで示したが、一般的な開示内で、当業者に周知の種々多様な代替物を選択することができる。本発明は、添付の特許請求の範囲の記述を除き、その他の点では制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様のドライレイド法でウェット強化繊維を使用するための工程を示す流れ図である。
【図2】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様の複合材料を形成するためのウェット強化繊維を用いるエアレイド(air-laid)法の概略図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様の外側スキン層として、図2に示される方法で形成された複合材料を利用しているサンドイッチ複合材料の概略図である。
【図4】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様のサンドイッチ複合材料のコア層として、図2に示される方法で形成された複合材料を利用しているサンドイッチ複合材料の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンドイッチ複合材料(340)の製造方法であって、コア層(310)を第1スキン層(320)と第2スキン層(330)の主要面間に位置づける工程(前記第1及び第2の各スキン層は、脱水した強化繊維と、有機繊維とを含む複合材料で形成されている)と、前記コア層を前記第1スキン層と前記第2スキン層のそれぞれに貼り付けて、サンドイッチ複合材料を形成する工程を含む方法。
【請求項2】
前記コア層が、ポリウレタンフォーム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリルアミド、スチレンアクリロニトリルコポリマー、ポリエーテルイミドフォーム、ポリエーテルイミド/ポリスルホンフォーム、バルサ木材、紙、厚紙、アルミニウム、ノーメックス、ガラス強化熱可塑性樹脂及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置づけ工程の前に、前記複合材料を形成する工程をさらに含み、この形成工程が以下の工程を含む、請求項1に記載の方法:
ウェット強化繊維から水を除去して、脱水した強化繊維を形成する工程;
前記脱水した強化繊維を前記有機繊維とブレンドして、前記脱水した強化繊維と前記有機繊維の実質的に均質な混合物を形成する工程;
前記混合物をシートに形成する工程;及び
前記脱水した強化繊維と前記有機繊維の少なくとも一部を結合して、前記複合材料を形成する工程。
【請求項4】
前記除去工程の前に、ウェット強化繊維のベイルを少なくとも部分的に広げる工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェット強化繊維が、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2スキン層の一方又は両方の露出主要面に表面仕上げ層を付着させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
接着剤、樹脂つなぎ層、超音波及び振動溶着から成る群より選択される手段で、前記コア層を前記第1及び第2スキン層に貼り付ける、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
以下の工程を含むサンドイッチ複合材料の製造方法:
コア層(310)を第1スキン層(320)と第2スキン層(330)の主要面間に位置づける工程、ここで前記コア層は、脱水した強化繊維と、有機繊維とを含む複合材料で形成されている;及び
前記コア層を前記第1スキン層と前記第2スキン層のそれぞれに貼り付けて、サンドイッチ複合材料(340)を形成する工程。
【請求項9】
前記位置づけ工程の前に、前記複合材料を形成する工程をさらに含み、この形成工程が以下の工程を含む、請求項8に記載の方法:
ウェット強化繊維のベイルを少なくとも部分的に広げる工程;
前記少なくとも部分的に広げられたウェット強化繊維のベイルから水を除去して、脱水した強化繊維を形成する工程;
前記脱水した強化繊維を前記有機繊維とブレンドして、前記脱水した強化繊維と前記有機繊維の実質的に均質な混合物を形成する工程;
前記混合物をシートに形成する工程;及び
前記脱水した強化繊維と前記有機繊維の少なくとも一部を結合して、前記複合材料を形成する工程。
【請求項10】
前記ウェット強化繊維が、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2スキン層の一方又は両方の露出主要面に表面仕上げ層を付着させる工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2スキン層が、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、ガラスマット強化熱可塑性樹脂、炭素繊維強化シート、天然繊維強化シート、金属シート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ゼノイ(xenoy)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリエーテルイミド及びポリフェニレンオキシドで形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
以下の成分を含んでなるサンドイッチ複合材料(340)であって:
第1主要面と第2主要面を有する第1スキン層(320);
第1主要面と第2主要面を有する第2スキン層(330);及び
コア層(310)であって、前記第1スキン層の前記第1主要面と前記第2スキン層の前記第1主要面が前記コア層に隣接して配置されるように前記第1スキン層と前記第2スキン層の間に位置づけられている前記コア層;

前記第1及び第2の各スキン層又は前記コア層が、脱水した強化繊維と有機繊維とを含む複合材料である、前記サンドイッチ複合材料。
【請求項14】
前記第1及び第2スキン層が前記複合材料で形成され、かつ前記コア層が、ポリウレタンフォーム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリルアミド、スチレンアクリロニトリルコポリマー、ポリエーテルイミドフォーム、ポリエーテルイミド/ポリスルホンフォーム、バルサ木材、紙、厚紙、アルミニウム、ノーメックス及びガラス強化熱可塑性樹脂から成る群より選択される、請求項13に記載のサンドイッチ複合材料。
【請求項15】
前記第1スキン層を形成する前記複合材料と、前記第2スキン層を形成する前記複合材料が同一である、請求項14に記載のサンドイッチ複合材料。
【請求項16】
前記コア層が前記複合材料で形成され、前記第1及び第2スキン層が、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、ガラスマット強化熱可塑性樹脂、炭素繊維強化シート、天然繊維強化シート、金属シート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ゼノイ、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリエーテルイミド及びポリフェニレンオキシドから成る群より選択される、請求項13に記載のサンドイッチ複合材料。
【請求項17】
前記第1スキン層の前記第2主要面と前記第2スキン層の前記第2主要面の少なくとも一方に貼付された表面仕上げ層をさらに含む請求項13に記載のサンドイッチ複合材料。
【請求項18】
接着剤、樹脂つなぎ層、超音波及び振動溶着から成る群より選択される手段で、前記コア層が前記第1スキン層の前記第1面と前記第2スキン層の前記第1面に貼付されている、請求項13にサンドイッチ複合材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525662(P2008−525662A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549395(P2007−549395)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/043962
【国際公開番号】WO2006/071463
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507130004)オウェンス コーニング ファイバーグラス テクノロジー ザ セカンド リミテッド ライアビリティ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】