説明

エアロゾル消火装置

【課題】固形消火剤の燃焼速度を調整することを可能とする。
【解決手段】固形消火剤14は、消火剤内部に通じる穴15を有し、穴15からの燃焼により消火用エアロゾルを発生する。固形消火剤14の穴15には点火部材32が収納され、固形消火剤14に点火して中から燃焼させる。固形消火剤14は一端に開口した消火剤容器12に収納される。消火剤容器12に収納された固形消火剤14の開口側の端面には、穴に対応する位置に放出穴18を開口した燃焼制御部材16が接触配置され、固形消火剤14の表面の燃焼を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形消火剤の燃焼により消火用エアロゾルを発生して火災を消火抑制するエアロゾル消火装置に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、エンジンルーム、ケーブルダクト、制御盤、機器筐体内などの閉鎖された密閉空間で発生した火災を消火抑制するため、固形消火剤に点火して燃焼させることで消火用エアロゾルを発生するエアロゾル消火装置が知られている。
【0003】
このようなエアロゾル消火装置にあっては、火災が発生した際に、エアロゾル消火装置の点火装置に電気信号を送り、固形消火剤に点火して燃焼させるようにしている。固形消火剤の燃焼により発生するエアロゾルは例えば塩化カリウムや臭化カリウムなどを主成分とし、それ以外に水、二酸化炭素及び窒素を含み、燃焼抑制作用により消火抑制を果たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3766685号公報
【特許文献2】特開2005−503853号公報
【特許文献3】特開平6−269513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなエアロゾル消火装置にあっては、容器内に収納した固形消火剤に点火して燃焼させた場合、最初は点火部分の燃焼となるが、時間の経過に伴って燃焼部分が急激に拡大し、容器内の異常な圧力上昇や炎の外部への噴出を起し、安全性の面で問題がある。
【0006】
固形消火剤の燃焼速度を緩やかにするには、固体消火剤の形状を異形にするなどの複雑な形状にする必要があり、製造が煩雑でコストが高くなる問題がある。
【0007】
一方、エアロゾルの噴出速度は固体消火剤の燃焼量に応じて増加するため、燃焼速度を緩やかにしつつ、噴出速度を上げることは困難であった。
【0008】
本発明は、燃焼速度を緩やかにすると同時に噴出速度を上げることを可能とするエアロゾル消火装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はエアロゾル消火装置を提供するものであり、
表面の開口部から内部に至る穴を有し、燃焼により穴を介して開口部から消火用エアロゾルを発生する固形消火剤と、
穴内部に収納され、固形消火剤に点火して燃焼させる点火部材と、
固形消火剤を収納する消火剤容器と、
固形消火剤の開口部に対応する位置に放出穴を開口すると共に開口部周囲の固形消火剤表面を覆って配置され、放出穴から出た炎で固形消火剤の表面が燃焼することを抑制する燃焼制御部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、固形消火剤は、開口部で高く周辺に向かって低くなる錐形状とし、
燃焼制御部材は、固形消火剤の開口部に対応する位置に放出穴を開口し、かつ前記錐形状周囲表面を覆う形状でとする。
【0011】
点火部材は、電気の通電により発熱するヒータコイルである。
固形消火剤に設けた連通穴は、開口部から固形消火剤の他表面へ貫通した貫通穴である。
【0012】
本発明のエアロゾル消火装置は、更に、消火剤容器を収納する一端に開口した内容器と、内容器を間に断熱空気層を介して収納する一端に開口した外容器との2重容器構造を備える。

【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固形消火剤として内側に穴を形成し、固形消火剤の穴に点火部材を配置して中から燃焼を開始させ、固体消火剤の放出側の端面に対応する位置に放出穴が空いた燃焼制御部材を接触設置することで、固体消火剤の燃焼が放出側の表面に広がらず、内側から外方向に広がるように燃焼を制御することができ、固形消火剤の燃焼を緩やかに制御して急激な圧力上昇といった過剰な負荷を掛けることなく、エアロゾルの放出が可能になる。
【0014】
また固形消火剤の燃焼で発生したエアロゾルは燃焼制御部材の放出穴から放出されるため、発生ガスの内部圧力を上昇させ、エアロゾルの放出速度を上げることができ、発生したエアロゾルが消火対象物内での拡散効果に繋がるため、消火性能の向上が期待でき、さらには燃焼時に発生する未燃性ガスも拡散させるため、放出穴付近の火炎の発生を抑制できる。
【0015】
また固形消火剤の開口側の端面形状を錐形状とすることで、消火剤内部から外側に燃え広がるときの燃焼量を略一定に保つ制御が可能となる。
【0016】
更に、燃焼制御部材に設けた放出穴の穴径(開口面積)を変更することで、エアロゾルの放出時間や放出速度を任意に制御することができる。

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるエアロゾル消火装置の実施形態を示した説明図
【図2】図1の実施形態の組立分解状態を示した説明図
【図3】図1の実施形態における燃焼の様子を示した説明図
【図4】本発明によるエアロゾル消火装置の他の実施形態を示した説明図
【図5】図4の消火剤容器の組立分解状態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明によるエアロゾル消火装置の実施形態を示した説明図であり、図1(A)に平面を、図1(B)に断面を示している。
【0019】
図1において、本実施形態のエアロゾル消火装置10は、消火剤容器12の中に固形消火剤14を収納しており、固形消火剤14の開口側となる上面には燃焼制御板16が面接触して固定配置されている。
【0020】
消火剤容器12は放出側となる上部に開口した円筒体であり、金属ケースなどが使用される。固形消火剤14は中心軸方向に貫通穴(連通穴)15を形成した円柱形状をもち、燃焼により粉末エアロゾルを発生するものである。
【0021】
固形消火剤14に使用する消火剤組成物としては、特に制限がないが、アルカリ金属塩を主成分とする発煙消火剤組成物を使用することが好ましい。アルカリ金属塩として具体的には、塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム、重クロム酸カリウム、硝酸セシウム、および硝酸カリウムからなる群より選択されたアルカリ金属塩が好ましく、入手のしやすさ、コスト等の面からより好ましくは塩素酸カリウム、過塩素酸カリウムである。
【0022】
また、アルカリ金属塩に還元剤として作用する反応物を含んだものが好ましい。還元剤は、特に限定されることはないが、ゴム、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の高分子材料を好ましく用いることができる。
【0023】
さらに、本発明に用いる消火剤組成物には、別途、燃焼調整剤、金属還元剤がそれぞれ配合されていてもよい。該燃焼調整剤としては、塩化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、タルク、珪藻土、硝子粉等の塩を用いることができる。また、該金属還元剤としてはマグネシウム、アルミニウム、シリコン等を挙げることができる。
【0024】
これらの消火剤組成物は、過塩素酸カリウムに代表される酸化剤を主成分とし、樹脂等の還元剤及び適宜、燃焼調整剤、金属還元剤を混合し、成型したものを使用することができる。
【0025】
固形消火剤14の燃焼により発生するエアロゾルは1μm以下の粒子径を持つ超微粒子であり、その成分には炭酸塩、塩化物、あるいは酸化物、もしくはその混合物を含有している。
【0026】
具体的には、エアロゾルは塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸カリウム、酸化カリウムなどの凝集粒子であり、これ以外に窒素、二酸化炭素、水蒸気などを含んでいる。エアロゾルは火災が発生した監視エリアに充満することで、火災発生場所における燃焼の火災中心を抑制消滅させることで消火を行う。またエアロゾルはその主成分が炭酸塩、塩化物、あるいは酸化物などであることから、毒性がなく環境に対し優しい性状を有する。
【0027】
エアロゾルを燃焼により発生する固形消火剤14の重量としては、1立方メートルの監視エリアに必要な量が80〜200グラムであり、これに基づき、本実施形態のエアロゾル消火装置10を設置する監視エリア、例えば車両のエンジンルームの容積に対応した量の固形消火剤14を収納している。
【0028】
燃焼制御板16は貫通穴15に対応する中心位置に放出穴18を開口した金属製の薄い円板であり、固形消火剤14の放出側の上面に接触固定され、上面の燃焼を抑制すると共に、放出穴18から燃焼により発生したエアロゾルを含む燃焼ガスを外部に放出させる。
【0029】
ここで燃焼制御板16の中心に設けた放出穴18の穴径は、エアロゾルの放出時間や放出速度を決める役割を果たし、必要に応じて任意に変更する。例えば貫通穴15の初期の径と同じであっても良いし、貫通穴15よりも小さくても良い。また燃焼制御板16の放出穴18としては円形の穴としているが、これ以外に、多角形や星形といった任意の形状及び個数とすることができる。
【0030】
また消火剤容器12に対する燃焼制御板16の固定は、消火剤容器12に対し燃焼制御板16を圧入することにより抜止めし、上端面に接触固定している。燃焼制御板16の消火剤容器12内での固定構造としては、圧入以外に、固形消火剤の上面に対する接着固定、消火剤容器12内へのCリングの嵌合による抜止め固定、若しくは消火剤容器12の内面に形成した爪又は突起による抜止め固定などにより、固形消火剤14の上端面に接触固定しても良い。
【0031】
消火剤容器12は上部の放出側に開口した内容器20に底部のスペーサプレート29を介して収納される。内容器20は更に上部の放出側に開口した外容器22に収納され、両者の間に断熱空気層25を形成した2重容器構造としている。
【0032】
この2重容器構造は、内容器20の底部から下向きに3本のボルト26を延在し、ボルト26に円筒状のスペーサ28を挿入することで両者の間隔を設定し、外容器22の底部から取り出したボルト26に間にフッ素系ゴムを使用したシール40を介して底板24を配置し、ナット30のねじ込みで締め付け固定している。
【0033】
消火剤容器12に収納した固形消火剤14の貫通穴18には点火装置32が設けられる。点火装置32は内容器20の底部に耐熱ソケットとしてセラミックソケット34を配置してシール38を介して底板24により固定し、固形消火剤14の貫通穴15の中にヒータコイル36を穴の内面に接触するように配置している。
【0034】
点火装置32は外部からの信号線接続による通電でヒータコイル36を加熱し、貫通穴15の部分で固形消火剤14に点火して中から燃焼を始めるようにしている。点火装置32のヒータコイル36にはニクロム線やタンタル線を使用する。
【0035】
図2は図1のエアロゾル消火装置の実施形態を組立分解状態として示した説明図である。図2において、上部に開口した円筒体である消火剤容器12には、中心軸方向に燃焼を開始するための貫通穴15を形成した固形消火剤14が収納され、その上に中心に放出穴18を開口した燃焼制御板16を例えば圧入し、固形消火剤14の上面に接触させている。従って、固形消火剤14の外表面は消火剤容器12で覆われると共に、上面が燃焼制御板16に接触して覆われた収納構成となり、貫通穴15に対応する燃焼制御板16の放出穴18でのみ外部と連通している。
【0036】
固形消火剤14及び燃焼制御板16を組み込んだ消火剤容器12は、上部に開口した円筒状の内容器20に収納される。内容器20は底部から下向きに延在した3本のボルト26にスペーサ28を嵌め入れた状態で外容器22に収納し、ボルト26の先端を底部の通し穴46から取り出し、そこにシール38を介して底板24の通し穴54を嵌め入れ、その下側でナット30のネジ込みにより、内容器20を外容器22の中に浮動状態で支持固定している。
【0037】
点火装置32は内容器20の底部のソケット挿入穴44にヒータコイル36を挿入して固形消火剤14の貫通穴15の中に配置している。ヒータコイル36はセラミックソケット34の上面に設けた一対の端子間にコイル部36aとコイル戻り部36bを接続している。
【0038】
コイル部36aは、ヒータ線を細かいピッチで巻き回して固形消火剤14との接触面積を確保する。コイル戻り部36bは、固形消火剤14の貫通穴15の中に下側から嵌め入れる際に、貫通穴15に押し当てながら挿入することにより、コイル部36aを貫通穴15の反対側に押圧接触させ、通電加熱時にコイル部36aの熱を効率良く伝えて確実に着火できるようにしている。
【0039】
図3は図1の実施形態における固形消火剤の燃焼によりエアロゾルが放出する様子を示した説明図である。
【0040】
図3において、点火装置32のヒータコイル36に通電すると、ヒータコイル36の発熱によりコイル部36aが接触している貫通穴15の部分から固形消火剤14の燃焼が始まる。固形消火剤14の燃焼で発生したエアロゾル60は燃焼による炎と共に、貫通穴15から燃焼制御板16の放出穴18を通って外部に放出される。
【0041】
このとき固形消火剤14の上側の表面には燃焼制御板16が接触固定されているため、貫通穴15による固形消火剤14の中から燃焼を開始しても、固形消火剤14の表面に燃焼が拡大することがなく、矢印で示すように、貫通穴15から外側に向かって緩やかに燃焼が進む。消火剤容器12の内面も固形消火剤14の側面及び底面に接触していることから、消火剤の燃焼時の火炎が固形消火剤14の表面に延焼することを防止して燃焼を制御していることから、燃焼制御板16と同様の機能も果たしている。
【0042】
更に固形消火剤14の放出側の上面に接触配置した燃焼制御板16は貫通穴15に対応する中心付近に放出穴18を開口しているため、貫通穴15から外側に向かう燃焼で発生したエアロゾルで内部圧力が上昇し、放出穴18から外部に勢い良くエアロゾルを放出する。
【0043】
これによって固形消火剤14の燃焼速度を緩やかに抑えながら、同時にエアロゾル60の噴出速度を高めることができ、放出したエアロゾルの消火対象物内での拡散効果を高めることで消火性能の向上が期待でき、さらには燃焼時に発生する未燃性ガスも拡散させるため、放出穴付近の火炎の発生を抑制できる。
【0044】
また固形消火剤14の燃焼によって内容器20が加熱されて温度が上昇するが、内容器20と外容器22の間には断熱空気層25が形成されているため、外容器22に対する熱伝導を抑制し、外容器22の温度が安全な範囲を超えて上昇しないようしている。
【0045】
図4は本発明によるエアロゾル消火装置の他の実施形態を示した説明図であり、図4(A)に平面を、図4(B)に断面を示している。
【0046】
図4において、本実施形態のエアロゾル消火装置10は、消火剤容器12の中に収納した固形消火剤14の放出側を円錐体としており、この部分に頂点位置に放出穴64を開口した円錐燃焼制御板62を接触配置するように固定している。それ以外の構成は図1の実施形態と同じになる。
【0047】
図5は図4の消火剤容器の部分を取り出して組立分解状態を示した説明図であり、固形消火剤14は円柱部14bの上に円錐部14aを一体に形成し、中心軸方向に貫通穴15を形成している。円錐燃焼制御板62は固形消火剤14の円錐部14aの円錐面に接触配置される金属製薄板で作られた中空円錐形状を持ち、円錐頂点となる部分に放出穴64を開口している。
【0048】
このように固形消火剤14の一端を円錐部14aとし、ここに円錐燃焼制御板62を接触配置して円錐面に燃焼が広がらないように抑制することで、点火装置32により中心の貫通穴15の部分から燃焼を始めて図3に示したように、外側に向けて燃焼を拡大させていく場合に、単位時間当りの固形消火剤14の燃焼量を略一定に保つ制御ができる。
【0049】
即ち、中心から外側に向かう燃焼速度が一定であるとすると、図1の実施形態のような円柱形状の固形消火剤14の場合には、燃焼径が増加すると燃焼量も増加する。これに対し図4の実施形態にあっては、燃焼径の増加に伴う燃焼量の増加に対し、円錐部14aによる高さの減少で燃焼量が減少し、両者のバランスを適切に設定することで、燃焼径の増加に対し略一定の燃焼量とする制御が可能となる。これによって燃焼中に略一定の放出速度でエアロゾルを対象空間に安定的に放出して消火することができる。
【0050】
なお、上記の実施形態にあっては、エアロゾル消火装置を消火対象空間内に直接設置する場合を例にとっていることから、内容器20及び外容器22の上部となる放出側については単に円筒体を開口しているだけの放出側の構造であるが、エアロゾル消火装置を消火対象空間から離れた位置に設置するような場合には、エアロゾル消火装置から放出されたエアロゾルを消火対象空間に導くダクトやパイプといった適宜の放出ガイド構造を内容器20及び外容器22の開口に連結することになる。
【0051】
また上記の実施形態にあっては、点火装置としてヒータコイルを使用した場合を例にとっているが、機械的な摩擦で点火する点火装置や、2物質の接触による反応熱で点火する点火装置を使用しても良い。
【0052】
また、上記の実施形態においては、固形消火剤14を収納する容器として、一端を開口した筒状の消火剤容器12に、一端を塞ぐ燃焼制御板16、62を装着することで固形消火剤14の外表面を接触させて覆った構成としているが、これに限らず、内部から燃焼開始した固形消火剤14が火炎によって表面に燃え広がらないように面接触して覆う構成であればよく、例えば、消火剤容器と燃焼制御板がともに側面を有する筒形状で、互いの筒部材を上下に組み合わせることで固形消火剤14の側面を分担して覆う構成であっても良い。
【0053】
貫通穴15は必ずしも固形消火剤14の中心軸と一致させて開口する必要はない。
【0054】
また、上記の実施形態においては、固形消火剤14の内部に点火装置を設置しやすくするため貫通穴15を設けて、一端をエアロゾル放出穴として、他端を点火装置の挿入穴としているが、固形消火剤の内部から燃焼して外方向へ燃焼させていく構成であれば良く、必ずしも穴は貫通させる必要はなく、固形消火剤の表面に貫通しないエアロゾル放出穴を備え、貫通せずに一端のみ開放し消火剤内部方向に伸びた穴形状とし、その放出穴に発火装置を収納する構造であってもよい。
【0055】
この場合はエアロゾル放出穴と点火装置挿入穴を兼用する構成としても良く、またヒータコイルのリード線を開放していない方の消火剤を貫いてリード線が外部に出される構成であっても良い。つまり、図1の固形消火剤のコイルヒータ36より下の点火装置部分は消火剤に埋め込まれて消火剤を固形成形するようにしても良い。
【0056】
消火剤容器12と内容器20は同一部材で構成しても良い。
【0057】
固形消火剤14は円柱や円錐形状などの円形状に限らず角柱や角錐であってもよく、エアロゾル放出穴周辺表面に併せて燃焼制御板の形状を設定すればよい。
【0058】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0059】
10:エアロゾル消火装置
12:消火剤容器
14:固形消火剤
15:貫通穴
16:燃焼制御板
18,64:放出穴
20:内容器
22:外容器
25:断熱空気層
32:点火装置
36:ヒータコイル
62:円錐燃焼制御板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の開口部から内部に至る連通穴を有し、燃焼により前記連通穴を介して前記開口部から消火用エアロゾルを発生する固形消火剤と、
前記連通穴内部に収納され、前記固形消火剤に点火して燃焼させる点火部材と、
前記固形消火剤を収納する消火剤容器と、
前記固形消火剤の開口部に対応する位置に放出穴を開口すると共に前記開口部周囲の固形消火剤表面を覆って配置され、前記放出穴から出た炎で前記固形消火剤の表面が燃焼することを抑制する燃焼制御部材と、
を備えたことを特徴とするエアロゾル消火装置。

【請求項2】
請求項1記載のエアロゾル消火装置に於いて、
前記固形消火剤は、前記開口部で高く周辺に向かって低くなる錐形状とし、
前記燃焼制御部材は、前記固形消火剤の開口部に対応する位置に放出穴を開口し、かつ前記錐形状周囲表面を覆う形状であることを特徴とするエアロゾル消火装置。

【請求項3】
請求項1記載のエアロゾル消火装置に於いて、前記点火部材は、電気の通電により発熱するヒータコイルであることを特徴とするエアロゾル消火装置。

【請求項4】
請求項1記載のエアロゾル消火装置に於いて、前記固形消火剤に設けた連通穴は、前記開口部から固形消火剤の他表面へ貫通した貫通穴であることを特徴とするエアロゾル消火装置。

【請求項5】
請求項4記載のエアロゾル消火装置に於いて、前記点火部材は、電気の通電により発熱するヒータコイルであり、
前記ヒータコイルは前記貫通穴の他表面側の開口から挿入されて貫通穴内面に接触して配置されることを特徴とするエアロゾル消火装置。

【請求項6】
請求項1記載のエアロゾル消火装置に於いて、更に、
前記消火剤容器を収納する一端に開口した内容器と、
前記前記内容器を間に断熱空気層を介して収納する一端に開口した外容器と、
の2重容器構造を備えたことを特徴とするエアロゾル消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−62339(P2011−62339A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215418(P2009−215418)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)
【Fターム(参考)】