エキシマ光照射装置
【課題】 大型の被処理物を処理する場合であっても、被処理物の処理ムラを少なくすることのできるエキシマ光照射装置を提供すること。
【解決手段】 このエキシマ光照射装置は、一方向に長尺なエキシマランプと、当該エキシマランプの長手方向の両端部を同一の水平レベルで保持するランプ保持体が設けられた筐体とを備えた構成のものにおいて、前記筐体に、前記エキシマランプの長手方向における中央部をその上面側から下方へ押圧して、当該エキシマランプの中央部を前記ランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させるランプ押圧機構が設けられた構成とされている。
【解決手段】 このエキシマ光照射装置は、一方向に長尺なエキシマランプと、当該エキシマランプの長手方向の両端部を同一の水平レベルで保持するランプ保持体が設けられた筐体とを備えた構成のものにおいて、前記筐体に、前記エキシマランプの長手方向における中央部をその上面側から下方へ押圧して、当該エキシマランプの中央部を前記ランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させるランプ押圧機構が設けられた構成とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマ光照射装置に関し、特に、半導体素子や液晶基板の製造工程において、真空紫外光を利用した基板の洗浄処理などに用いられるエキシマ光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば半導体素子や液晶基板の製造工程において、シリコンウエハやガラス基板の表面に付着した有機化合物等の汚れを除去する方法として、紫外光を用いたドライ洗浄方法が広く利用されている。特に、エキシマランプから放射されるエキシマ光を用いたオゾン等の活性酸素による洗浄処理を行うエキシマ光照射装置が種々提案されており(例えば特許文献1,2参照。)、このようなエキシマ光照射装置によれば、より効率良く短時間で所定の表面処理を行うことができるとされている。
このようなエキシマ光照射装置のある種のものは、例えば、図11に示すように、例えばガラス基板などの被処理物(ワーク)60を搬送する例えばローラコンベヤよりなる搬送ユニット30と、当該搬送ユニット30によって搬送される被処理物60に対向して配置された、当該被処理物60にエキシマ光を照射するエキシマランプ20と、被処理物60の上方の空間に不活性ガスを流入させる不活性ガス流入手段(図示せず)とを備えた構成とされている。図11において、11は、全体が箱型形状の筐体であって、その内部に隔壁12により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が、一方向に長尺なエキシマランプ20がその長手方向の両端部が同一の水平レベルでランプホルダ25によって保持された状態で配置されるランプ配置空間部16とされている。31は、筐体11が載置される基台であって、搬送ユニット30の一部を構成する、複数個の円板状または円柱状の搬送ローラ37が軸方向における所定間隔毎に離間した位置に固定されてなる棒状のローラ用シャフト36よりなる搬送手段35が、ローラ用シャフト36の両端が同一の水平レベルで基台31に支持固定されてエキシマランプ20の長手方向に沿って伸びるよう設けられている。
上記のエキシマ光照射装置に具備されるエキシマランプ20としては、例えば特許文献3に記載されている構成のものを用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−183949号公報
【特許文献2】特開2008−068155号公報
【特許文献3】特開2008−059888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えば液晶基板の大型化に伴ってその基材であるガラス基板も大型化してきており、エキシマ光照射装置においては、大型の平板状の被処理物に対しても所期の処理を行うことができるものであることが望まれている。
【0005】
而して、処理されるべき被処理物が大型のものである場合には、搬送ユニット30を構成するローラ用シャフト36は、被処理物60の重量およびローラ用シャフト36の自重により、長手方向における中央部が下方へ変位するよう弾性的に湾曲変形し(撓み)、これに伴って、被処理物60はその自重によりローラ用シャフト36の形態に沿って長手方向における中央部が下方へ変位するよう撓み、長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる円弧状の形態を有する状態となる。その結果、被処理物60がエキシマランプ20に対して所定の位置にセットされた状態において、長手方向中央部における、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面(光照射面)との間の離間距離の大きさが、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさに比して大きくなる。
上記構成のエキシマ光照射装置においては、例えば、エキシマランプ20よりのエキシマ光が被処理物60に到達するまでの間に、酸素によって吸収されることを抑制するために、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさを例えば2mm程度として、エキシマランプ20と被処理物60とを近接配置される構成とされているが、大型の被処理物60においては、その自重による下方への変位量が最大で例えば1.2mm程度となること(通常、エキシマランプ20の長手方向における中央位置での下方への変位量が1.2mm程度となること)があり、エキシマランプ20の長手方向の中央部における、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさが、エキシマランプ20の長手方向の端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさの1.6倍の大きさ(例えば3.2mm程度)となる。
【0006】
このように、エキシマランプ20の長手方向における中央部と端部とで、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさに差(バラツキ)が生ずることによって、被処理物60の長手方向における両端部に照射されるエキシマ光の強度に比べて、被処理物60の中央部に照射されるエキシマ光の強度が小さくなって被処理物60の被処理面において照度ムラが生じ、被処理物60の処理ムラ(洗浄ムラ)が生じてしまう、という問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、大型の被処理物を処理する場合であっても、被処理物の処理ムラを少なくすることのできるエキシマ光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエキシマ光照射装置は、一方向に長尺なエキシマランプと、当該エキシマランプの長手方向の両端部を同一の水平レベルで保持するランプ保持体が設けられた筐体とを備えたエキシマ光照射装置において、
前記筐体には、前記エキシマランプの長手方向における中央部をその上面側から下方へ押圧して、当該エキシマランプの中央部を前記ランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させるランプ押圧機構が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のエキシマ光照射装置においては、前記ランプ押圧機構は、前記エキシマランプの上方位置において、長手方向の両端部が前記筐体に支持固定されて前記エキシマランプに沿って伸びるよう設けられた錘支持部材と、当該錘支持部材に着脱可能に支持される錘と、当該錘支持部材に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体とにより構成されたものとすることができる。
【0010】
また、本発明のエキシマ光照射装置においては、前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記隔壁の中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されたものとすることができる。
【0011】
さらにまた、本発明のエキシマ光照射装置においては、前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記筐体における上部空間部を構成する天板の長手方向における中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエキシマ光照射装置によれば、長手方向の両端がランプ保持体によって同一の水平レベルで保持されたエキシマランプの長手方向における中央部がランプ押圧機構によって下方へ押圧されてランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位されることにより、エキシマランプの形態を被処理物に合わせた形態とすることができるので、エキシマランプの長手方向における、エキシマランプの下面と被処理物の被処理面との間の離間距離の大きさのバラツキを可及的に小さくすることができ、従って、エキシマランプよりのエキシマ光を所期の照射強度で被処理物の被処理面の全体に照射することができて被処理物の処理ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの一例における構成の概略を示す説明図であって、(A)エキシマランプの外観を示す斜視図、(B)エキシマランプの長手方向に直交する断面を示す断面図、(C)エキシマランプの長手方向に沿った断面を示す断面図である。
【図4】ランプ押圧機構を構成する錘用シャフトによる錘の支持方法を説明するための、一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図6】実施形態2に係るエキシマ光照射装置において、ランプ押圧機構により下方向の荷重が隔壁の長手方向における中央部に作用されたときの筐体の状態を、基体における一方の垂直壁を除いた状態で示す説明用斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図10】本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図11】大型の平板状の被処理物がセットされた状態のエキシマ光照射装置の構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のエキシマ光照射装置は、被処理物に対向する状態で、長手方向における両端部が同一の水平レベルで支持固定された、一方向に長尺なエキシマランプの長手方向における中央部を、その上面側から下方へ押圧してランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させ、これにより、エキシマランプの形態を、自重により撓んだ被処理物に合わせた形態を有する状態とする押圧機構を備えるものである。
【0015】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るエキシマ光照射装置は、エキシマランプの上方に設けられた荷重付加手段による下方への荷重を、エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するよう設けられたランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプの中央部を押圧するランプ押圧機構を備えるものである。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図、図2は、図1におけるA−A線断面図である。
このエキシマ光照射装置は、例えば液晶パネル用のガラス基板などの平板状の被処理物60に対してエキシマ光を照射するエキシマランプ20を具備したランプユニット10と、被処理物60を搬送する搬送ユニット30とにより構成されている。
【0017】
ランプユニット10は、内部に平板状の隔壁12により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部がエキシマランプ20が配置されるランプ配置空間部16とされていると共に上部空間が例えばエキシマランプ20に給電するための電気部品(不図示)などが配置される電装体配置空間部17とされた、下方が開放された全体が箱型形状の筐体(ランプハウス)11を備えており、ランプ配置空間部16には、例えば一対の平板状部材が隔壁12の下面における長手方向両端部において互いに対向して上下方向に伸びるよう設けられて構成されたランプホルダ(ランプ保持体)25が設けられていると共に、一方向に長尺なエキシマランプ20の複数本例えば2本が、それぞれ、長手方向の両端が同一の水平レベルでランプホルダ25によって保持されて2本のエキシマランプ20が二次元的に互いに並列配置されている。
【0018】
この実施例に係るエキシマ光照射装置における筐体11は、例えば長手方向に直交する断面における断面形状が略H型形状の一方向に長尺な基体13と、この基体13の長手方向の両端面の各々に設けられた端壁14と、基体13の上端面に設けられた天板15とにより構成されており、基体13は、隔壁12を構成する水平方向に伸びる平板状の水平壁部分と、この水平壁部分の幅方向における両端面に一体に設けられた平板状の垂直壁部分13Aとを有する(図6参照)。
筐体11を構成する材料としては、例えばアルミニウムや、ステンレス鋼などの耐紫外線性及び耐オゾン性を有する金属材料などが挙げられる。
【0019】
上述したランプユニット10に具備されるエキシマランプ20の一構成例について、図3を用いて説明する。
図3は、本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの一例における構成の概略を示す説明図であって、(A)エキシマランプの外観を示す斜視図、(B)エキシマランプの長手方向に直交する断面を示す断面図、(C)放電容器の長手方向に沿った断面を示す断面図である。
このエキシマランプ20は、内部に放電空間Sが形成された、断面矩形状の中空長尺状の放電容器21を備えており、この放電容器21の内部には、放電用ガスとして、例えばキセノンガスや、アルゴンと塩素とを混合したガスが封入されている。ここに、放電容器21は、真空紫外光を良好に透過するシリカガラス、例えば合成石英ガラスよりなる。
【0020】
放電容器21における上壁および下壁の各々の外表面には、一対の格子状または網状の電極、すなわち、高電圧給電電極として機能する一方の電極22および接地電極として機能する他方の電極23が長尺な方向に伸びるよう対向して配置されている。
【0021】
上述のランプユニット10は、搬送ユニット30の上方に位置されるよう基台31上に載置されている。ここに、基台31におけるランプユニット10の載置面は水平である。 搬送ユニット30は、各々、複数個の円板状または円柱状の搬送ローラ37が軸方向における所定間隔毎に離間した位置に固定されてなる複数の棒状のローラ用シャフト36よりなる複数の搬送手段35と、各々の搬送手段35におけるローラ用シャフト36をその中心軸周りに回転駆動させる駆動手段(不図示)とにより構成されており、各々の搬送手段35は、搬送路Rに沿って互いに離間した位置において、ローラ用シャフト36の両端が同一の水平レベルで基台31に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられている。
本発明においては、搬送ユニット30によって、被処理物60がエキシマランプ20の長手方向に垂直な方向(図1においては紙面に垂直方向)に搬送される。
ここに、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の上下方向の離間距離は、例えば2〜5mmである。
【0022】
而して、上記のエキシマ光照射装置においては、上述したように、エキシマランプ20の上方に設けられた荷重付加手段による下方へ向かう荷重を、エキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接するよう設けられたランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプ20の中央部をその上面側から下方へ押圧するランプ押圧機構40を備えている。
【0023】
ランプ押圧機構40は、筐体11のランプ配置空間部16におけるエキシマランプ20の上方位置において、長手方向の両端が同一の水平レベルで筐体11を構成する端壁14に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられた錘支持部材である例えば棒状の錘用シャフト41、および、錘用シャフト41に着脱可能に支持される一以上の例えばリング状の錘42よりなる荷重付加手段と、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下面に上下方向に伸びるよう固定されて設けられた、下端面がエキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接する例えば円柱状のランプ当接体43とにより構成されている。
ランプ当接体43は、錘用シャフト41の両端が支持される支持端(支点)F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置において、エキシマランプ20に当接するよう設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置において、エキシマランプ20に当接するよう設けられた構成とされていることが好ましい。
【0024】
錘用シャフト41による錘42の支持方法について具体的に説明すると、図4(A)に示すように、錘用シャフト41の長手方向における所定間隔毎に離間した位置に錘装着用窪み44Aを形成し、当該錘装着用窪み44A内にリング状の錘42をその一部(上方部)を収容させて着脱可能に支持させる方法、あるいは、図4(B)に示すように、錘用シャフト41の長手方向における所定間隔毎に離間した位置において、各々錘用シャフト41より大きい径を有する一対の円柱状のストッパ部材44Bを間隙を介して設け、当該一対のストッパ部材44Bの間の間隙内にリング状の錘42をその一部(上方部)を収容させて着脱可能に支持させる方法などを挙げることができる。
上記のエキシマ光照射装置においては、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置)の下方への変位量が最大となる荷重分布、換言すれば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置に最大荷重が加えられる荷重分布で下方へ向かう荷重が錘用シャフト41に加えられるよう、錘42の個数、各々の錘42の重量および錘用シャフト41の長手方向における装着位置が調整可能に構成されており、これにより、錘42の重量および錘用シャフト41の自重によって錘用シャフト41がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、ランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の長手方向における中央部に効果的に作用させることができる。
【0025】
ランプ当接体43を構成する材料としては、例えばステアタイトやアルミナなどのセラミックスなどを挙げることができる。
錘用シャフト41は、例えば、エキシマランプ20全体より剛性が大きくなるよう材質および外径寸法などが選択されて構成されており、錘用シャフト41を構成する材料としては、オゾンが生じる環境に配置されることから、耐オゾン性を有するものであって、耐UV性を有する材料、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料を例示することができる。
錘42を構成する材料としては、オゾンが生じる環境に配置されることから、耐オゾン性を有するものであって、耐UV性を有する材料、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料、または樹脂材料を例示することができる。
【0026】
上記のエキシマ光照射装置の一構成例を示すと次の通りである。
筐体11は、基体13の肉厚が5mm、天板15の厚みが2mmであり、端壁14の電装体配置空間部17を構成する部分の厚みが5mmであり、上下方向の寸法Hが200mm、幅方向の寸法Wが300mm、長手方向の寸法Lが3200mm、ランプ配置空間部16の容積が約35300cm3 程度であるものである。
エキシマランプ20は、全長が3000mm、幅方向の寸法が40mm、上下方向の寸法が30mm、放電容器21の肉厚が3mmであるものである。
【0027】
上記のエキシマ光照射装置においては、被処理物60が搬送ユニット30によって搬送路Rに沿って搬送されてエキシマランプ20の下方位置に移動され、例えば被処理物60の長手方向における中央位置がエキシマランプ20の長手方向における中央位置に一致する状態でセットされた状態において、各々のエキシマランプ20における一方の電極22に、図示しない高周波電源より給電電圧が電装体配置空間部17に設けられた例えば昇圧トランス(図示せず)によって昇圧されて供給されると、放電容器21の壁を介して両電極22,23間に放電が生成され、これにより、エキシマ分子が形成されると共にこのエキシマ分子からエキシマ光(例えばキセノンガスの場合であれば、波長172nmの真空紫外光)が放射されるエキシマ放電が生じ、放電空間S内で生じた真空紫外光が放電容器21の壁を透過して被処理物60の被処理面の全体に照射され、これにより、被処理物60の表面処理、例えば洗浄処理がなされる。また、真空紫外光が酸素に吸収されることにより生ずるオゾンによっても被処理物60の表面処理がなされる。
【0028】
而して、被処理物60が大型のもの、例えば幅方向(図1における左右方向)の寸法が1500mm以上の大きさであるものである場合には、図1に示すように、被処理物60がエキシマランプ20に対して所定位置にセットされた状態において、搬送ユニット30を構成するローラ用シャフト36が、被処理物60の重量およびローラ用シャフト36の自重により、長手方向における中央部が下方に変位するよう撓み、これに伴って、被処理物60がその自重によりローラ用シャフト36の形態に沿って長手方向における中央部が下方に変位して、長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる円弧状に弾性的に変形するよう撓むこととなる。
【0029】
然るに、上記のエキシマ光照射装置においては、ランプ押圧機構40によって、エキシマランプ20の中央部に対して下方に向かう荷重が作用されてエキシマランプ20の中央部がその上面側から下方へ押圧されることによりエキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態とされる。すなわち、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下方への変位量が最大となる荷重分布で、錘用シャフト41に対して下方向への荷重が加えられるよう適正な重量の錘42が錘用シャフト41の長手方向における適正な位置に装着されて支持されていることにより、長手方向における両端が支持固定された錘用シャフト41はその中央部が下方へ変位するよう撓むこととなり、錘用シャフト41が撓むことによる下方への荷重が、錘用シャフト41に固定されたランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の中央部に作用されてエキシマランプ20の中央部が上面側から下方に押圧され、これにより、エキシマランプ20の長手方向における中央部がランプホルダ25による支持力に抗して下方へ変位するよう撓み、エキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態(長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる弧状に弾性的に変形した形態)を有する状態となる。
【0030】
エキシマランプ20に対して作用される荷重の調整方法の具体例を示すと、例えば、被処理物60を搬送するローラ用シャフト36に生ずる下方への変位量(被処理物60の変位量)が最大となる位置がローラ用シャフト36の長手方向における中央位置であって、その大きさが例えば1.2mmであるとすると、錘用シャフト41が、材質がアルミニウム、外径が5mmの円柱状、全長が3200mm(支点F間の距離が3200mm)であるものであり、エキシマランプ20が上述の構成例のものである場合には、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41の重心位置)に約10Nの下方へ向かう荷重(最大荷重)が加えられる荷重分布が得られるよう、適正の数、適正な重量の錘42を錘用シャフト41の適正な位置に装着して支持させること、具体的には例えば、均一の重量の錘42の複数個を長手方向に等間隔毎に支持させて錘用シャフト41に分散荷重を作用させることにより、エキシマランプ20を、その長手方向における中央位置の下方への変位量(エキシマランプ20の自重による撓み量を含む)が1.2mmとなる、被処理物60に合わせた形態に撓ませることができる。
【0031】
従って、エキシマランプ20がその中央部がランプ押圧機構40によって押圧されて被処理物60に合わせた形態を有する状態とされることにより、長手方向中央部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさと、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさとの差を可及的に小さくすることができるので、エキシマランプ20よりの真空紫外光を所期の照射強度で被処理物60の被処理面の全体に照射すること(被処理物Wに照射される真空紫外光の強度を略均一にすること)ができて処理ムラを低減することができる。
【0032】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置は、筐体の隔壁における長手方向中央部に対して下方へ向かう荷重を加え、隔壁の中央部が下方へ変位されることによる下方への荷重を、エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプの中央部を押圧する押圧機構を備えるものである。
【0033】
図5は、本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。このエキシマ光照射装置は、第1実施形態に係るエキシマ光照射装置(図1および図2)において、ランプ押圧機構の構成以外の基本的構成は、第1実施形態に係るものと同一であり、便宜上、同一の構成部材については同一の符号が付してあり、その説明を省略することとする。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40は、筐体11を構成する隔壁12の下面における長手方向中央位置において上下方向に伸びるよう固定されて設けられた、下端面がエキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接する例えば円柱状のランプ当接体43と、例えばアルミニウムよりなる筐体11の電装体配置空間部17内において、長手方向の両端が同一の水平レベルで筐体11を構成する端壁14に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられた錘支持部材である例えば棒状の錘用シャフト41、および、錘用シャフト41に着脱可能に装着されて支持される一以上の例えばリング状の錘42よりなる荷重付加手段と、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(隔壁12を介してランプ当接体43と対掌な位置)の下面に上端面が固定されると共に下端面が隔壁12の上面に固定されて上下方向に伸びるよう設けられた例えば円柱状の連結部材45とにより構成されている。
ランプ当接体43および連結部材45は、錘用シャフト41の両端が支持される支持端(支点)F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
【0034】
錘42の個数、各々の錘42の重量および錘42の錘用シャフト41の長手方向における装着位置は、例えば錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置)の下方への変位量が最大となる荷重分布で、荷重が錘用シャフト41に加えられるよう、調整可能に構成されており、これにより、錘42の重量および錘用シャフト41の自重によって錘用シャフト41がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、連結部材45を介して、隔壁12の長手方向における中央部に効果的に作用させることができると共に、隔壁12がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、ランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の長手方向における中央部に効果的に作用させることができる。
【0035】
この例に係るエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40においては、隔壁12の長手方向における中央部に荷重を作用させ、これにより、隔壁12の長手方向における中央部を下方へ変位させことによって、結果的に、筐体11全体がその長手方向における中央部が下方へ変位されるよう撓ませる構成上、例えば、合計170kgもの重量の錘42を錘用シャフト41に支持させることが必要とされることがあるので、錘42を構成する材料としては、単位体積当たりの重量が大きいものが用いられ、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料などを例示することができる。
また、錘用シャフト41は、例えば、筐体11の隔壁12より剛性が大きくなるよう材質および外径寸法などが選択されて構成される。
【0036】
而して、上記のエキシマ光照射装置においては、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下方への変位量が最大となる荷重分布で、錘用シャフト41に対して下方向への荷重が加えられるよう適正な重量の錘42が錘用シャフト41の長手方向における適正な位置に装着されて支持されていることにより、長手方向における両端が支持固定された錘用シャフト41がその中央部が下方に変位するよう撓み、錘用シャフト41が撓むことによる下方への荷重P0 が、図6(A)に示すように、錘用シャフト41に固定された連結部材45を介して、隔壁12の長手方向における中央部に加えられ、これにより、隔壁12がその長手方向における中央部が下方に変位するよう撓み、その結果として、図6(B)に示すように、長手方向に沿った断面において、筐体11を構成する端壁14の上端部分が、基台31の上面に接する筐体11の内端を中心に内方側に変位するよう弾性的に湾曲変形し、筐体11全体がその中央部が下方へ変位するよう撓むこととなる。 そして、隔壁12が撓むことによる下方への荷重P1 が、隔壁12の下面に固定されたランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の中央部に作用されてエキシマランプ20の中央部が上面側から下方に押圧され、これにより、エキシマランプ20はその長手方向における中央部がランプホルダ25による支持力に抗して下方へ変位するよう撓み、エキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態(長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる弧状に弾性的に変形した形態)を有する状態となる。
【0037】
エキシマランプ20に対して作用される荷重の調整方法の具体例を示すと、例えば、被処理物60を搬送するローラ用シャフト36に生ずる下方への変位量(被処理物60の変位量)が最大となる位置がローラ用シャフト36の長手方向における中央位置であって、その大きさが例えば1.2mmであるとすると、錘用シャフト41が材質がステンレス鋼、外径が5mmの円柱状、全長が3200mm(支点F間の距離が3200mm)であるものであり、アルミニウムよりなる筐体11およびエキシマランプ20が上述の構成例のものである場合には、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(筐体11の重心位置)に約1000Nの下方へ向かう荷重(最大荷重)P0が作用される荷重分布が得られるよう、適正の数、適正な重量の錘42を錘用シャフト41の適正な位置に装着して支持させること、具体的には例えば、均一の重量の錘42の複数個を長手方向に等間隔毎に支持させて錘用シャフト41に分散荷重を作用させることにより、エキシマランプ20を、その長手方向における中央位置の下方への変位量(エキシマランプ20の自重による撓み量を含む総撓み量)が1.2mmとなる、自重により撓んだ被処理物60に合わせた形態に撓ませることができる。
なお、上記構成の筐体11においては、その自重による長手方向における中央位置の撓み量が例えば0.12mmであり、錘用シャフト41の長手方向における中央位置に支持される錘42の重量が約10kgずつ増加する毎に、長手方向における中央位置の下方への変位量が例えば約0.07mmずつ増加する。
【0038】
従って、エキシマランプ20がその中央部がランプ押圧機構40によって押圧されて被処理物60に合わせた形態を有する状態とされることにより、長手方向中央部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさと、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさとの差を可及的に小さくすることができるので、エキシマランプ20よりの真空紫外光を所期の照射強度で被処理物60の被処理面の全体に照射すること(被処理物60に照射される真空紫外光の強度を略均一にすること)ができて処理ムラを低減することができる。
【0039】
また、錘用シャフト41および錘42が筐体11における密閉された電装体配置空間部17内に設けられた構成とされていることにより、例えば、これらの構成部材が設けられていることによって生ずるホコリなどの物質が被処理物60上に落下(付着)して処理不良が生じるといった問題が生ずることを抑制することができる。
【0040】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置は、筐体の天板における長手方向中央部に対して下方へ向かう荷重を加え、筐体全体をその中央部が下方へ変位されるよう弾性的に変形させ、隔壁の中央部が下方へ変位されることによる下方への荷重を、エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプの長手方向における中央部を押圧する押圧機構を備えるものである。
【0041】
図7は、本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。このエキシマ光照射装置は、第1実施形態に係るエキシマ光照射装置(図1および図2)において、ランプ押圧機構の構成以外の基本的構成は、第1実施形態に係るものと同一であり、便宜上、同一の構成部材については同一の符号が付してあり、その説明を省略することとする。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40は、筐体11を構成する隔壁12の下面における長手方向中央位置において上下方向に伸びるよう固定されて設けられた、下端面がエキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接する例えば円柱状のランプ当接体43と、例えばアルミニウムよりなる筐体11の電装体配置空間部17内において、長手方向の両端が同一の水平レベルで筐体11を構成する端壁14に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられた錘支持部材である例えば棒状の錘用シャフト41、および、錘用シャフト41に着脱可能に装着されて支持される一以上の例えばリング状の錘42よりなる荷重付加手段と、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(ランプ当接体43と対掌な位置)の上面に下端面が固定されると共に上端面が天板15の下面に固定されて上下方向に伸びるよう設けられた例えば円柱状の連結部材45とにより構成されている。
【0042】
ランプ当接体43および連結部材45は、錘用シャフト41の両端が支持される支持端(支点)F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
【0043】
錘42の個数、各々の錘42の重量および錘42の錘用シャフト41の長手方向における装着位置は、例えば錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置)の下方への変位量が最大となる荷重分布で、荷重が錘用シャフト41に加えられるよう、調整可能に構成されており、これにより、錘42の重量および錘用シャフト41の自重によって錘用シャフト41がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、連結部材45を介して、天板15の中央部に効果的に作用させることができると共に、筐体11全体がその中央部が下方へ変位するよう弾性的に変形されることによって隔壁12がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、ランプ当接体43を介して、エキシマランプ20に効果的に作用させることができる。
【0044】
この実施例に係るエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40においては、上述したように、筐体11全体を撓ませて隔壁12の中央部に下方へ向かう荷重を作用させ、これにより、エキシマランプ20の長手方向における中央部を押圧する構成上、例えば合計170kgもの大きな重量の錘42を錘用シャフト41に支持させることが必要とされることがあるので、錘42を構成する材料としては、単位体積当たりの重量が大きいものが用いられ、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料などを例示することができる。
また、錘用シャフト41は、例えば、筐体11より剛性が大きくなるよう材質および外径寸法などが選択されて構成される。
【0045】
而して、上記のエキシマ光照射装置においては、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下方への変位量が最大となる荷重分布で、錘用シャフト41に対して下方向への荷重が加えられるよう適正な重量の錘42が錘用シャフト41の長手方向における適正な位置に装着されて支持されていることにより、長手方向における両端が支持固定された錘用シャフト41がその中央部が下方に変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重が、錘用シャフト41に固定された連結部材45を介して、天板15の長手方向における中央部に加えられ、天板15がその長手方向における中央部が下方へ変位するよう撓み、これにより、筐体11全体がその中央部が下方へ変位するよう撓み、その結果、隔壁12がその長手方向における中央部が下方へ変位するよう撓むこととなる。
そして、隔壁12が撓むことによる下方への荷重が、隔壁12の下面に固定されたランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の中央部に作用されてエキシマランプ20の中央部が上面側から下方に押圧され、これにより、エキシマランプ20がその長手方向における中央部がランプホルダ25による支持力に抗して下方へ変位するよう撓み、エキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態(長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる弧状に弾性的に変形した形態)を有する状態となる。ここに、エキシマランプ20に対して作用される荷重Pの調整方法は、上述した第2実施形態に係るエキシマランプ装置と同様である。
【0046】
従って、エキシマランプ20がその中央部がランプ押圧機構40によって押圧されて被処理物60に合わせた形態を有する状態とされることにより、長手方向中央部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさと、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさとの差を可及的に小さくすることができるので、エキシマランプ20よりの真空紫外光を所期の照射強度で被処理物60の被処理面の全体に照射すること(被処理物60に照射される真空紫外光の強度を略均一にすること)ができて処理ムラを低減することができる。
また、この実施例に係るエキシマ光照射装置においても、錘用シャフト41および錘42が筐体11における密閉された電装体配置空間部17内に設けられた構成とされていることにより、例えば、これらの構成部材が設けられていることによって生ずるホコリなどの物質が被処理物60上に落下(付着)して処理不良が生じるといった問題が生ずることを抑制することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、ランプ押圧機構は、自重により撓んだ被処理物の形態に合わせた形態がエキシマランプに得られるようエキシマランプを押圧する構成とされていれば、錘によって荷重を作用させる構成のものに限定されるものではなく、例えば、上下方向に位置調整可能に設けられた適宜の押圧部材によって機械的にエキシマランプを押圧する構成とされていてもよい。
また、下方向へ向かう荷重を錘を用いて作用させる手段としては、錘をシャフト等の錘支持部材によって支持させる構成に限定されるものではなく、例えば図8および図9に示すように、筐体11に直接的に固定されて設けられる錘支持部材48に錘42を支持させる構成とすることもできる。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40Aは、図5に示すエキシマ光照射装置のランプ押圧機構40において、錘42を錘用シャフト41によって支持させる構成の荷重付加手段に代えて、隔壁12の上面における長手方向中央部に設けられた例えば箱型形状の錘支持部材48およびこの錘支持部材48の内部に収容される適正な重量の錘42よりなる荷重付加手段を備えた構成とされている。
ランプ当接体43および錘支持部材48は、隔壁12の両端(ランプ配置空間部16を構成する端壁14の内端)を支点Fとして、当該支点F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
このような構成のランプ押圧機構40Aを備えたエキシマ光照射装置によっても、図5に示すエキシマ光照射装置と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図9は、本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40Aは、図7に示すエキシマ光照射装置のランプ押圧機構40において、錘42を錘用シャフト41によって支持させる構成の荷重付加手段に代えて、図8に示す構成のものと同様に、天板15の下面における長手方向中央部に設けられた例えば箱型形状の錘支持部材48およびこの錘支持部材48の内部に収容される適正な重量の錘42よりなる荷重付加手段を備えた構成とされている。
ランプ当接体43および錘支持部材48は、天板15の両端(電装体配置空間部17を構成する端壁14の垂直壁部分の内端)を支点Fとして、当該支点F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
このような構成のランプ押圧機構40Aを備えたエキシマ光照射装置によっても、図7に示すエキシマ光照射装置と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本発明のエキシマ光照射装置に具備されるエキシマランプは、図3に示す構成のものに限定されるものではなく、次のような構成を有するものを用いることができる。
図10は、本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
このエキシマランプ50は、放電ガスが充填された管状の発光部52および発光部52の両端に連続する封止部53を有する放電容器51を備えており、放電容器51内に、誘電体材料からなる内側管55が放電容器51の管軸に沿って伸びるよう配設されていると共にコイル状の内側電極56が内側管55内に挿通状態で配設され、放電容器51の外周面における内側管55に対応する位置に例えば網状の外部電極58が設けられて、構成されている。
内側電極56は、封止部53に気密に埋設された金属箔54を介して放電容器51の外端より外方に突出して伸びる外部リード59に電気的に接続されている。
【0051】
さらにまた、本発明のエキシマ光照射装置に具備されるエキシマランプとしては、例えば図3に示す構成のものにおいて、放電容器21の内面における、高圧側の電極である一方の電極22が設けられた部分に、反射膜が設けられた構成のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 ランプユニット
11 筐体(ランプハウス)
12 隔壁
13 基体
13A 垂直壁部分
14 端壁
15 天板
16 ランプ配置空間部
17 電装体配置空間部
20 エキシマランプ
21 放電容器
22 一方の電極
23 他方の電極
S 放電空間
25 ランプホルダ
30 搬送ユニット
31 基台
35 搬送手段
36 ローラ用シャフト
37 搬送ローラ
R 搬送路
40,40A ランプ押圧機構
41 錘用シャフト
42 錘
43 ランプ当接体
44A 錘装着用窪み
44B ストッパ部材
45 連結部材
48 錘支持部材
F 支点
50 エキシマランプ
51 放電容器
52 発光部
53 封止部
54 金属箔
55 内側管
56 内側電極
58 外部電極
59 外部リード
60 被処理物
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマ光照射装置に関し、特に、半導体素子や液晶基板の製造工程において、真空紫外光を利用した基板の洗浄処理などに用いられるエキシマ光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば半導体素子や液晶基板の製造工程において、シリコンウエハやガラス基板の表面に付着した有機化合物等の汚れを除去する方法として、紫外光を用いたドライ洗浄方法が広く利用されている。特に、エキシマランプから放射されるエキシマ光を用いたオゾン等の活性酸素による洗浄処理を行うエキシマ光照射装置が種々提案されており(例えば特許文献1,2参照。)、このようなエキシマ光照射装置によれば、より効率良く短時間で所定の表面処理を行うことができるとされている。
このようなエキシマ光照射装置のある種のものは、例えば、図11に示すように、例えばガラス基板などの被処理物(ワーク)60を搬送する例えばローラコンベヤよりなる搬送ユニット30と、当該搬送ユニット30によって搬送される被処理物60に対向して配置された、当該被処理物60にエキシマ光を照射するエキシマランプ20と、被処理物60の上方の空間に不活性ガスを流入させる不活性ガス流入手段(図示せず)とを備えた構成とされている。図11において、11は、全体が箱型形状の筐体であって、その内部に隔壁12により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が、一方向に長尺なエキシマランプ20がその長手方向の両端部が同一の水平レベルでランプホルダ25によって保持された状態で配置されるランプ配置空間部16とされている。31は、筐体11が載置される基台であって、搬送ユニット30の一部を構成する、複数個の円板状または円柱状の搬送ローラ37が軸方向における所定間隔毎に離間した位置に固定されてなる棒状のローラ用シャフト36よりなる搬送手段35が、ローラ用シャフト36の両端が同一の水平レベルで基台31に支持固定されてエキシマランプ20の長手方向に沿って伸びるよう設けられている。
上記のエキシマ光照射装置に具備されるエキシマランプ20としては、例えば特許文献3に記載されている構成のものを用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−183949号公報
【特許文献2】特開2008−068155号公報
【特許文献3】特開2008−059888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えば液晶基板の大型化に伴ってその基材であるガラス基板も大型化してきており、エキシマ光照射装置においては、大型の平板状の被処理物に対しても所期の処理を行うことができるものであることが望まれている。
【0005】
而して、処理されるべき被処理物が大型のものである場合には、搬送ユニット30を構成するローラ用シャフト36は、被処理物60の重量およびローラ用シャフト36の自重により、長手方向における中央部が下方へ変位するよう弾性的に湾曲変形し(撓み)、これに伴って、被処理物60はその自重によりローラ用シャフト36の形態に沿って長手方向における中央部が下方へ変位するよう撓み、長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる円弧状の形態を有する状態となる。その結果、被処理物60がエキシマランプ20に対して所定の位置にセットされた状態において、長手方向中央部における、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面(光照射面)との間の離間距離の大きさが、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさに比して大きくなる。
上記構成のエキシマ光照射装置においては、例えば、エキシマランプ20よりのエキシマ光が被処理物60に到達するまでの間に、酸素によって吸収されることを抑制するために、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさを例えば2mm程度として、エキシマランプ20と被処理物60とを近接配置される構成とされているが、大型の被処理物60においては、その自重による下方への変位量が最大で例えば1.2mm程度となること(通常、エキシマランプ20の長手方向における中央位置での下方への変位量が1.2mm程度となること)があり、エキシマランプ20の長手方向の中央部における、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさが、エキシマランプ20の長手方向の端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさの1.6倍の大きさ(例えば3.2mm程度)となる。
【0006】
このように、エキシマランプ20の長手方向における中央部と端部とで、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさに差(バラツキ)が生ずることによって、被処理物60の長手方向における両端部に照射されるエキシマ光の強度に比べて、被処理物60の中央部に照射されるエキシマ光の強度が小さくなって被処理物60の被処理面において照度ムラが生じ、被処理物60の処理ムラ(洗浄ムラ)が生じてしまう、という問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、大型の被処理物を処理する場合であっても、被処理物の処理ムラを少なくすることのできるエキシマ光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエキシマ光照射装置は、一方向に長尺なエキシマランプと、当該エキシマランプの長手方向の両端部を同一の水平レベルで保持するランプ保持体が設けられた筐体とを備えたエキシマ光照射装置において、
前記筐体には、前記エキシマランプの長手方向における中央部をその上面側から下方へ押圧して、当該エキシマランプの中央部を前記ランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させるランプ押圧機構が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のエキシマ光照射装置においては、前記ランプ押圧機構は、前記エキシマランプの上方位置において、長手方向の両端部が前記筐体に支持固定されて前記エキシマランプに沿って伸びるよう設けられた錘支持部材と、当該錘支持部材に着脱可能に支持される錘と、当該錘支持部材に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体とにより構成されたものとすることができる。
【0010】
また、本発明のエキシマ光照射装置においては、前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記隔壁の中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されたものとすることができる。
【0011】
さらにまた、本発明のエキシマ光照射装置においては、前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記筐体における上部空間部を構成する天板の長手方向における中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエキシマ光照射装置によれば、長手方向の両端がランプ保持体によって同一の水平レベルで保持されたエキシマランプの長手方向における中央部がランプ押圧機構によって下方へ押圧されてランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位されることにより、エキシマランプの形態を被処理物に合わせた形態とすることができるので、エキシマランプの長手方向における、エキシマランプの下面と被処理物の被処理面との間の離間距離の大きさのバラツキを可及的に小さくすることができ、従って、エキシマランプよりのエキシマ光を所期の照射強度で被処理物の被処理面の全体に照射することができて被処理物の処理ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの一例における構成の概略を示す説明図であって、(A)エキシマランプの外観を示す斜視図、(B)エキシマランプの長手方向に直交する断面を示す断面図、(C)エキシマランプの長手方向に沿った断面を示す断面図である。
【図4】ランプ押圧機構を構成する錘用シャフトによる錘の支持方法を説明するための、一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図6】実施形態2に係るエキシマ光照射装置において、ランプ押圧機構により下方向の荷重が隔壁の長手方向における中央部に作用されたときの筐体の状態を、基体における一方の垂直壁を除いた状態で示す説明用斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図10】本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【図11】大型の平板状の被処理物がセットされた状態のエキシマ光照射装置の構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のエキシマ光照射装置は、被処理物に対向する状態で、長手方向における両端部が同一の水平レベルで支持固定された、一方向に長尺なエキシマランプの長手方向における中央部を、その上面側から下方へ押圧してランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させ、これにより、エキシマランプの形態を、自重により撓んだ被処理物に合わせた形態を有する状態とする押圧機構を備えるものである。
【0015】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るエキシマ光照射装置は、エキシマランプの上方に設けられた荷重付加手段による下方への荷重を、エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するよう設けられたランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプの中央部を押圧するランプ押圧機構を備えるものである。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図、図2は、図1におけるA−A線断面図である。
このエキシマ光照射装置は、例えば液晶パネル用のガラス基板などの平板状の被処理物60に対してエキシマ光を照射するエキシマランプ20を具備したランプユニット10と、被処理物60を搬送する搬送ユニット30とにより構成されている。
【0017】
ランプユニット10は、内部に平板状の隔壁12により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部がエキシマランプ20が配置されるランプ配置空間部16とされていると共に上部空間が例えばエキシマランプ20に給電するための電気部品(不図示)などが配置される電装体配置空間部17とされた、下方が開放された全体が箱型形状の筐体(ランプハウス)11を備えており、ランプ配置空間部16には、例えば一対の平板状部材が隔壁12の下面における長手方向両端部において互いに対向して上下方向に伸びるよう設けられて構成されたランプホルダ(ランプ保持体)25が設けられていると共に、一方向に長尺なエキシマランプ20の複数本例えば2本が、それぞれ、長手方向の両端が同一の水平レベルでランプホルダ25によって保持されて2本のエキシマランプ20が二次元的に互いに並列配置されている。
【0018】
この実施例に係るエキシマ光照射装置における筐体11は、例えば長手方向に直交する断面における断面形状が略H型形状の一方向に長尺な基体13と、この基体13の長手方向の両端面の各々に設けられた端壁14と、基体13の上端面に設けられた天板15とにより構成されており、基体13は、隔壁12を構成する水平方向に伸びる平板状の水平壁部分と、この水平壁部分の幅方向における両端面に一体に設けられた平板状の垂直壁部分13Aとを有する(図6参照)。
筐体11を構成する材料としては、例えばアルミニウムや、ステンレス鋼などの耐紫外線性及び耐オゾン性を有する金属材料などが挙げられる。
【0019】
上述したランプユニット10に具備されるエキシマランプ20の一構成例について、図3を用いて説明する。
図3は、本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの一例における構成の概略を示す説明図であって、(A)エキシマランプの外観を示す斜視図、(B)エキシマランプの長手方向に直交する断面を示す断面図、(C)放電容器の長手方向に沿った断面を示す断面図である。
このエキシマランプ20は、内部に放電空間Sが形成された、断面矩形状の中空長尺状の放電容器21を備えており、この放電容器21の内部には、放電用ガスとして、例えばキセノンガスや、アルゴンと塩素とを混合したガスが封入されている。ここに、放電容器21は、真空紫外光を良好に透過するシリカガラス、例えば合成石英ガラスよりなる。
【0020】
放電容器21における上壁および下壁の各々の外表面には、一対の格子状または網状の電極、すなわち、高電圧給電電極として機能する一方の電極22および接地電極として機能する他方の電極23が長尺な方向に伸びるよう対向して配置されている。
【0021】
上述のランプユニット10は、搬送ユニット30の上方に位置されるよう基台31上に載置されている。ここに、基台31におけるランプユニット10の載置面は水平である。 搬送ユニット30は、各々、複数個の円板状または円柱状の搬送ローラ37が軸方向における所定間隔毎に離間した位置に固定されてなる複数の棒状のローラ用シャフト36よりなる複数の搬送手段35と、各々の搬送手段35におけるローラ用シャフト36をその中心軸周りに回転駆動させる駆動手段(不図示)とにより構成されており、各々の搬送手段35は、搬送路Rに沿って互いに離間した位置において、ローラ用シャフト36の両端が同一の水平レベルで基台31に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられている。
本発明においては、搬送ユニット30によって、被処理物60がエキシマランプ20の長手方向に垂直な方向(図1においては紙面に垂直方向)に搬送される。
ここに、エキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の上下方向の離間距離は、例えば2〜5mmである。
【0022】
而して、上記のエキシマ光照射装置においては、上述したように、エキシマランプ20の上方に設けられた荷重付加手段による下方へ向かう荷重を、エキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接するよう設けられたランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプ20の中央部をその上面側から下方へ押圧するランプ押圧機構40を備えている。
【0023】
ランプ押圧機構40は、筐体11のランプ配置空間部16におけるエキシマランプ20の上方位置において、長手方向の両端が同一の水平レベルで筐体11を構成する端壁14に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられた錘支持部材である例えば棒状の錘用シャフト41、および、錘用シャフト41に着脱可能に支持される一以上の例えばリング状の錘42よりなる荷重付加手段と、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下面に上下方向に伸びるよう固定されて設けられた、下端面がエキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接する例えば円柱状のランプ当接体43とにより構成されている。
ランプ当接体43は、錘用シャフト41の両端が支持される支持端(支点)F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置において、エキシマランプ20に当接するよう設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置において、エキシマランプ20に当接するよう設けられた構成とされていることが好ましい。
【0024】
錘用シャフト41による錘42の支持方法について具体的に説明すると、図4(A)に示すように、錘用シャフト41の長手方向における所定間隔毎に離間した位置に錘装着用窪み44Aを形成し、当該錘装着用窪み44A内にリング状の錘42をその一部(上方部)を収容させて着脱可能に支持させる方法、あるいは、図4(B)に示すように、錘用シャフト41の長手方向における所定間隔毎に離間した位置において、各々錘用シャフト41より大きい径を有する一対の円柱状のストッパ部材44Bを間隙を介して設け、当該一対のストッパ部材44Bの間の間隙内にリング状の錘42をその一部(上方部)を収容させて着脱可能に支持させる方法などを挙げることができる。
上記のエキシマ光照射装置においては、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置)の下方への変位量が最大となる荷重分布、換言すれば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置に最大荷重が加えられる荷重分布で下方へ向かう荷重が錘用シャフト41に加えられるよう、錘42の個数、各々の錘42の重量および錘用シャフト41の長手方向における装着位置が調整可能に構成されており、これにより、錘42の重量および錘用シャフト41の自重によって錘用シャフト41がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、ランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の長手方向における中央部に効果的に作用させることができる。
【0025】
ランプ当接体43を構成する材料としては、例えばステアタイトやアルミナなどのセラミックスなどを挙げることができる。
錘用シャフト41は、例えば、エキシマランプ20全体より剛性が大きくなるよう材質および外径寸法などが選択されて構成されており、錘用シャフト41を構成する材料としては、オゾンが生じる環境に配置されることから、耐オゾン性を有するものであって、耐UV性を有する材料、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料を例示することができる。
錘42を構成する材料としては、オゾンが生じる環境に配置されることから、耐オゾン性を有するものであって、耐UV性を有する材料、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料、または樹脂材料を例示することができる。
【0026】
上記のエキシマ光照射装置の一構成例を示すと次の通りである。
筐体11は、基体13の肉厚が5mm、天板15の厚みが2mmであり、端壁14の電装体配置空間部17を構成する部分の厚みが5mmであり、上下方向の寸法Hが200mm、幅方向の寸法Wが300mm、長手方向の寸法Lが3200mm、ランプ配置空間部16の容積が約35300cm3 程度であるものである。
エキシマランプ20は、全長が3000mm、幅方向の寸法が40mm、上下方向の寸法が30mm、放電容器21の肉厚が3mmであるものである。
【0027】
上記のエキシマ光照射装置においては、被処理物60が搬送ユニット30によって搬送路Rに沿って搬送されてエキシマランプ20の下方位置に移動され、例えば被処理物60の長手方向における中央位置がエキシマランプ20の長手方向における中央位置に一致する状態でセットされた状態において、各々のエキシマランプ20における一方の電極22に、図示しない高周波電源より給電電圧が電装体配置空間部17に設けられた例えば昇圧トランス(図示せず)によって昇圧されて供給されると、放電容器21の壁を介して両電極22,23間に放電が生成され、これにより、エキシマ分子が形成されると共にこのエキシマ分子からエキシマ光(例えばキセノンガスの場合であれば、波長172nmの真空紫外光)が放射されるエキシマ放電が生じ、放電空間S内で生じた真空紫外光が放電容器21の壁を透過して被処理物60の被処理面の全体に照射され、これにより、被処理物60の表面処理、例えば洗浄処理がなされる。また、真空紫外光が酸素に吸収されることにより生ずるオゾンによっても被処理物60の表面処理がなされる。
【0028】
而して、被処理物60が大型のもの、例えば幅方向(図1における左右方向)の寸法が1500mm以上の大きさであるものである場合には、図1に示すように、被処理物60がエキシマランプ20に対して所定位置にセットされた状態において、搬送ユニット30を構成するローラ用シャフト36が、被処理物60の重量およびローラ用シャフト36の自重により、長手方向における中央部が下方に変位するよう撓み、これに伴って、被処理物60がその自重によりローラ用シャフト36の形態に沿って長手方向における中央部が下方に変位して、長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる円弧状に弾性的に変形するよう撓むこととなる。
【0029】
然るに、上記のエキシマ光照射装置においては、ランプ押圧機構40によって、エキシマランプ20の中央部に対して下方に向かう荷重が作用されてエキシマランプ20の中央部がその上面側から下方へ押圧されることによりエキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態とされる。すなわち、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下方への変位量が最大となる荷重分布で、錘用シャフト41に対して下方向への荷重が加えられるよう適正な重量の錘42が錘用シャフト41の長手方向における適正な位置に装着されて支持されていることにより、長手方向における両端が支持固定された錘用シャフト41はその中央部が下方へ変位するよう撓むこととなり、錘用シャフト41が撓むことによる下方への荷重が、錘用シャフト41に固定されたランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の中央部に作用されてエキシマランプ20の中央部が上面側から下方に押圧され、これにより、エキシマランプ20の長手方向における中央部がランプホルダ25による支持力に抗して下方へ変位するよう撓み、エキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態(長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる弧状に弾性的に変形した形態)を有する状態となる。
【0030】
エキシマランプ20に対して作用される荷重の調整方法の具体例を示すと、例えば、被処理物60を搬送するローラ用シャフト36に生ずる下方への変位量(被処理物60の変位量)が最大となる位置がローラ用シャフト36の長手方向における中央位置であって、その大きさが例えば1.2mmであるとすると、錘用シャフト41が、材質がアルミニウム、外径が5mmの円柱状、全長が3200mm(支点F間の距離が3200mm)であるものであり、エキシマランプ20が上述の構成例のものである場合には、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41の重心位置)に約10Nの下方へ向かう荷重(最大荷重)が加えられる荷重分布が得られるよう、適正の数、適正な重量の錘42を錘用シャフト41の適正な位置に装着して支持させること、具体的には例えば、均一の重量の錘42の複数個を長手方向に等間隔毎に支持させて錘用シャフト41に分散荷重を作用させることにより、エキシマランプ20を、その長手方向における中央位置の下方への変位量(エキシマランプ20の自重による撓み量を含む)が1.2mmとなる、被処理物60に合わせた形態に撓ませることができる。
【0031】
従って、エキシマランプ20がその中央部がランプ押圧機構40によって押圧されて被処理物60に合わせた形態を有する状態とされることにより、長手方向中央部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさと、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさとの差を可及的に小さくすることができるので、エキシマランプ20よりの真空紫外光を所期の照射強度で被処理物60の被処理面の全体に照射すること(被処理物Wに照射される真空紫外光の強度を略均一にすること)ができて処理ムラを低減することができる。
【0032】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置は、筐体の隔壁における長手方向中央部に対して下方へ向かう荷重を加え、隔壁の中央部が下方へ変位されることによる下方への荷重を、エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプの中央部を押圧する押圧機構を備えるものである。
【0033】
図5は、本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。このエキシマ光照射装置は、第1実施形態に係るエキシマ光照射装置(図1および図2)において、ランプ押圧機構の構成以外の基本的構成は、第1実施形態に係るものと同一であり、便宜上、同一の構成部材については同一の符号が付してあり、その説明を省略することとする。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40は、筐体11を構成する隔壁12の下面における長手方向中央位置において上下方向に伸びるよう固定されて設けられた、下端面がエキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接する例えば円柱状のランプ当接体43と、例えばアルミニウムよりなる筐体11の電装体配置空間部17内において、長手方向の両端が同一の水平レベルで筐体11を構成する端壁14に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられた錘支持部材である例えば棒状の錘用シャフト41、および、錘用シャフト41に着脱可能に装着されて支持される一以上の例えばリング状の錘42よりなる荷重付加手段と、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(隔壁12を介してランプ当接体43と対掌な位置)の下面に上端面が固定されると共に下端面が隔壁12の上面に固定されて上下方向に伸びるよう設けられた例えば円柱状の連結部材45とにより構成されている。
ランプ当接体43および連結部材45は、錘用シャフト41の両端が支持される支持端(支点)F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
【0034】
錘42の個数、各々の錘42の重量および錘42の錘用シャフト41の長手方向における装着位置は、例えば錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置)の下方への変位量が最大となる荷重分布で、荷重が錘用シャフト41に加えられるよう、調整可能に構成されており、これにより、錘42の重量および錘用シャフト41の自重によって錘用シャフト41がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、連結部材45を介して、隔壁12の長手方向における中央部に効果的に作用させることができると共に、隔壁12がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、ランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の長手方向における中央部に効果的に作用させることができる。
【0035】
この例に係るエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40においては、隔壁12の長手方向における中央部に荷重を作用させ、これにより、隔壁12の長手方向における中央部を下方へ変位させことによって、結果的に、筐体11全体がその長手方向における中央部が下方へ変位されるよう撓ませる構成上、例えば、合計170kgもの重量の錘42を錘用シャフト41に支持させることが必要とされることがあるので、錘42を構成する材料としては、単位体積当たりの重量が大きいものが用いられ、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料などを例示することができる。
また、錘用シャフト41は、例えば、筐体11の隔壁12より剛性が大きくなるよう材質および外径寸法などが選択されて構成される。
【0036】
而して、上記のエキシマ光照射装置においては、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下方への変位量が最大となる荷重分布で、錘用シャフト41に対して下方向への荷重が加えられるよう適正な重量の錘42が錘用シャフト41の長手方向における適正な位置に装着されて支持されていることにより、長手方向における両端が支持固定された錘用シャフト41がその中央部が下方に変位するよう撓み、錘用シャフト41が撓むことによる下方への荷重P0 が、図6(A)に示すように、錘用シャフト41に固定された連結部材45を介して、隔壁12の長手方向における中央部に加えられ、これにより、隔壁12がその長手方向における中央部が下方に変位するよう撓み、その結果として、図6(B)に示すように、長手方向に沿った断面において、筐体11を構成する端壁14の上端部分が、基台31の上面に接する筐体11の内端を中心に内方側に変位するよう弾性的に湾曲変形し、筐体11全体がその中央部が下方へ変位するよう撓むこととなる。 そして、隔壁12が撓むことによる下方への荷重P1 が、隔壁12の下面に固定されたランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の中央部に作用されてエキシマランプ20の中央部が上面側から下方に押圧され、これにより、エキシマランプ20はその長手方向における中央部がランプホルダ25による支持力に抗して下方へ変位するよう撓み、エキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態(長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる弧状に弾性的に変形した形態)を有する状態となる。
【0037】
エキシマランプ20に対して作用される荷重の調整方法の具体例を示すと、例えば、被処理物60を搬送するローラ用シャフト36に生ずる下方への変位量(被処理物60の変位量)が最大となる位置がローラ用シャフト36の長手方向における中央位置であって、その大きさが例えば1.2mmであるとすると、錘用シャフト41が材質がステンレス鋼、外径が5mmの円柱状、全長が3200mm(支点F間の距離が3200mm)であるものであり、アルミニウムよりなる筐体11およびエキシマランプ20が上述の構成例のものである場合には、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(筐体11の重心位置)に約1000Nの下方へ向かう荷重(最大荷重)P0が作用される荷重分布が得られるよう、適正の数、適正な重量の錘42を錘用シャフト41の適正な位置に装着して支持させること、具体的には例えば、均一の重量の錘42の複数個を長手方向に等間隔毎に支持させて錘用シャフト41に分散荷重を作用させることにより、エキシマランプ20を、その長手方向における中央位置の下方への変位量(エキシマランプ20の自重による撓み量を含む総撓み量)が1.2mmとなる、自重により撓んだ被処理物60に合わせた形態に撓ませることができる。
なお、上記構成の筐体11においては、その自重による長手方向における中央位置の撓み量が例えば0.12mmであり、錘用シャフト41の長手方向における中央位置に支持される錘42の重量が約10kgずつ増加する毎に、長手方向における中央位置の下方への変位量が例えば約0.07mmずつ増加する。
【0038】
従って、エキシマランプ20がその中央部がランプ押圧機構40によって押圧されて被処理物60に合わせた形態を有する状態とされることにより、長手方向中央部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさと、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさとの差を可及的に小さくすることができるので、エキシマランプ20よりの真空紫外光を所期の照射強度で被処理物60の被処理面の全体に照射すること(被処理物60に照射される真空紫外光の強度を略均一にすること)ができて処理ムラを低減することができる。
【0039】
また、錘用シャフト41および錘42が筐体11における密閉された電装体配置空間部17内に設けられた構成とされていることにより、例えば、これらの構成部材が設けられていることによって生ずるホコリなどの物質が被処理物60上に落下(付着)して処理不良が生じるといった問題が生ずることを抑制することができる。
【0040】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置は、筐体の天板における長手方向中央部に対して下方へ向かう荷重を加え、筐体全体をその中央部が下方へ変位されるよう弾性的に変形させ、隔壁の中央部が下方へ変位されることによる下方への荷重を、エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体を介して、エキシマランプの中央部に作用させ、これにより、エキシマランプの長手方向における中央部を押圧する押圧機構を備えるものである。
【0041】
図7は、本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の一例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。このエキシマ光照射装置は、第1実施形態に係るエキシマ光照射装置(図1および図2)において、ランプ押圧機構の構成以外の基本的構成は、第1実施形態に係るものと同一であり、便宜上、同一の構成部材については同一の符号が付してあり、その説明を省略することとする。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40は、筐体11を構成する隔壁12の下面における長手方向中央位置において上下方向に伸びるよう固定されて設けられた、下端面がエキシマランプ20の長手方向における中央部の上面に当接する例えば円柱状のランプ当接体43と、例えばアルミニウムよりなる筐体11の電装体配置空間部17内において、長手方向の両端が同一の水平レベルで筐体11を構成する端壁14に支持固定されてエキシマランプ20に沿って伸びるよう設けられた錘支持部材である例えば棒状の錘用シャフト41、および、錘用シャフト41に着脱可能に装着されて支持される一以上の例えばリング状の錘42よりなる荷重付加手段と、錘用シャフト41の長手方向における中央位置(ランプ当接体43と対掌な位置)の上面に下端面が固定されると共に上端面が天板15の下面に固定されて上下方向に伸びるよう設けられた例えば円柱状の連結部材45とにより構成されている。
【0042】
ランプ当接体43および連結部材45は、錘用シャフト41の両端が支持される支持端(支点)F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
【0043】
錘42の個数、各々の錘42の重量および錘42の錘用シャフト41の長手方向における装着位置は、例えば錘用シャフト41の長手方向における中央位置(錘用シャフト41を支持する支点F間の中央位置)の下方への変位量が最大となる荷重分布で、荷重が錘用シャフト41に加えられるよう、調整可能に構成されており、これにより、錘42の重量および錘用シャフト41の自重によって錘用シャフト41がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、連結部材45を介して、天板15の中央部に効果的に作用させることができると共に、筐体11全体がその中央部が下方へ変位するよう弾性的に変形されることによって隔壁12がその中央部が下方へ変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重を、ランプ当接体43を介して、エキシマランプ20に効果的に作用させることができる。
【0044】
この実施例に係るエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40においては、上述したように、筐体11全体を撓ませて隔壁12の中央部に下方へ向かう荷重を作用させ、これにより、エキシマランプ20の長手方向における中央部を押圧する構成上、例えば合計170kgもの大きな重量の錘42を錘用シャフト41に支持させることが必要とされることがあるので、錘42を構成する材料としては、単位体積当たりの重量が大きいものが用いられ、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどの金属材料などを例示することができる。
また、錘用シャフト41は、例えば、筐体11より剛性が大きくなるよう材質および外径寸法などが選択されて構成される。
【0045】
而して、上記のエキシマ光照射装置においては、例えば、錘用シャフト41の長手方向における中央位置の下方への変位量が最大となる荷重分布で、錘用シャフト41に対して下方向への荷重が加えられるよう適正な重量の錘42が錘用シャフト41の長手方向における適正な位置に装着されて支持されていることにより、長手方向における両端が支持固定された錘用シャフト41がその中央部が下方に変位するよう撓むことによる下方へ向かう荷重が、錘用シャフト41に固定された連結部材45を介して、天板15の長手方向における中央部に加えられ、天板15がその長手方向における中央部が下方へ変位するよう撓み、これにより、筐体11全体がその中央部が下方へ変位するよう撓み、その結果、隔壁12がその長手方向における中央部が下方へ変位するよう撓むこととなる。
そして、隔壁12が撓むことによる下方への荷重が、隔壁12の下面に固定されたランプ当接体43を介して、エキシマランプ20の中央部に作用されてエキシマランプ20の中央部が上面側から下方に押圧され、これにより、エキシマランプ20がその長手方向における中央部がランプホルダ25による支持力に抗して下方へ変位するよう撓み、エキシマランプ20の形態が被処理物60に合わせた形態(長手方向における中央位置に対して実質的に対称な下方に凸となる弧状に弾性的に変形した形態)を有する状態となる。ここに、エキシマランプ20に対して作用される荷重Pの調整方法は、上述した第2実施形態に係るエキシマランプ装置と同様である。
【0046】
従って、エキシマランプ20がその中央部がランプ押圧機構40によって押圧されて被処理物60に合わせた形態を有する状態とされることにより、長手方向中央部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさと、長手方向端部におけるエキシマランプ20の下面と被処理物60の被処理面との間の離間距離の大きさとの差を可及的に小さくすることができるので、エキシマランプ20よりの真空紫外光を所期の照射強度で被処理物60の被処理面の全体に照射すること(被処理物60に照射される真空紫外光の強度を略均一にすること)ができて処理ムラを低減することができる。
また、この実施例に係るエキシマ光照射装置においても、錘用シャフト41および錘42が筐体11における密閉された電装体配置空間部17内に設けられた構成とされていることにより、例えば、これらの構成部材が設けられていることによって生ずるホコリなどの物質が被処理物60上に落下(付着)して処理不良が生じるといった問題が生ずることを抑制することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、ランプ押圧機構は、自重により撓んだ被処理物の形態に合わせた形態がエキシマランプに得られるようエキシマランプを押圧する構成とされていれば、錘によって荷重を作用させる構成のものに限定されるものではなく、例えば、上下方向に位置調整可能に設けられた適宜の押圧部材によって機械的にエキシマランプを押圧する構成とされていてもよい。
また、下方向へ向かう荷重を錘を用いて作用させる手段としては、錘をシャフト等の錘支持部材によって支持させる構成に限定されるものではなく、例えば図8および図9に示すように、筐体11に直接的に固定されて設けられる錘支持部材48に錘42を支持させる構成とすることもできる。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40Aは、図5に示すエキシマ光照射装置のランプ押圧機構40において、錘42を錘用シャフト41によって支持させる構成の荷重付加手段に代えて、隔壁12の上面における長手方向中央部に設けられた例えば箱型形状の錘支持部材48およびこの錘支持部材48の内部に収容される適正な重量の錘42よりなる荷重付加手段を備えた構成とされている。
ランプ当接体43および錘支持部材48は、隔壁12の両端(ランプ配置空間部16を構成する端壁14の内端)を支点Fとして、当該支点F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
このような構成のランプ押圧機構40Aを備えたエキシマ光照射装置によっても、図5に示すエキシマ光照射装置と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図9は、本発明の第3実施形態に係るエキシマ光照射装置の他の例を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
このエキシマ光照射装置におけるランプ押圧機構40Aは、図7に示すエキシマ光照射装置のランプ押圧機構40において、錘42を錘用シャフト41によって支持させる構成の荷重付加手段に代えて、図8に示す構成のものと同様に、天板15の下面における長手方向中央部に設けられた例えば箱型形状の錘支持部材48およびこの錘支持部材48の内部に収容される適正な重量の錘42よりなる荷重付加手段を備えた構成とされている。
ランプ当接体43および錘支持部材48は、天板15の両端(電装体配置空間部17を構成する端壁14の垂直壁部分の内端)を支点Fとして、当該支点F間の離間距離の大きさ(スパン)Spの、両端からSp/4の長さの端部領域をそれぞれ除いた中央に位置される2Sp/4の長さの中央部領域内の位置に、設けられた構成とされていれば、所期の効果を得ることができるが、支点F間の中央位置に設けられた構成とされていることが好ましい。
このような構成のランプ押圧機構40Aを備えたエキシマ光照射装置によっても、図7に示すエキシマ光照射装置と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本発明のエキシマ光照射装置に具備されるエキシマランプは、図3に示す構成のものに限定されるものではなく、次のような構成を有するものを用いることができる。
図10は、本発明のエキシマ光照射装置において用いられるエキシマランプの他の例における構成の概略を示す、エキシマランプの長手方向に沿った断面図である。
このエキシマランプ50は、放電ガスが充填された管状の発光部52および発光部52の両端に連続する封止部53を有する放電容器51を備えており、放電容器51内に、誘電体材料からなる内側管55が放電容器51の管軸に沿って伸びるよう配設されていると共にコイル状の内側電極56が内側管55内に挿通状態で配設され、放電容器51の外周面における内側管55に対応する位置に例えば網状の外部電極58が設けられて、構成されている。
内側電極56は、封止部53に気密に埋設された金属箔54を介して放電容器51の外端より外方に突出して伸びる外部リード59に電気的に接続されている。
【0051】
さらにまた、本発明のエキシマ光照射装置に具備されるエキシマランプとしては、例えば図3に示す構成のものにおいて、放電容器21の内面における、高圧側の電極である一方の電極22が設けられた部分に、反射膜が設けられた構成のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 ランプユニット
11 筐体(ランプハウス)
12 隔壁
13 基体
13A 垂直壁部分
14 端壁
15 天板
16 ランプ配置空間部
17 電装体配置空間部
20 エキシマランプ
21 放電容器
22 一方の電極
23 他方の電極
S 放電空間
25 ランプホルダ
30 搬送ユニット
31 基台
35 搬送手段
36 ローラ用シャフト
37 搬送ローラ
R 搬送路
40,40A ランプ押圧機構
41 錘用シャフト
42 錘
43 ランプ当接体
44A 錘装着用窪み
44B ストッパ部材
45 連結部材
48 錘支持部材
F 支点
50 エキシマランプ
51 放電容器
52 発光部
53 封止部
54 金属箔
55 内側管
56 内側電極
58 外部電極
59 外部リード
60 被処理物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長尺なエキシマランプと、当該エキシマランプの長手方向の両端部を同一の水平レベルで保持するランプ保持体が設けられた筐体とを備えたエキシマ光照射装置において、
前記筐体には、前記エキシマランプの長手方向における中央部をその上面側から下方へ押圧して、当該エキシマランプの中央部を前記ランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させるランプ押圧機構が設けられていることを特徴とするエキシマ光照射装置。
【請求項2】
前記ランプ押圧機構は、前記エキシマランプの上方位置において、長手方向の両端部が前記筐体に支持固定されて前記エキシマランプに沿って伸びるよう設けられた錘支持部材と、当該錘支持部材に着脱可能に支持される錘と、当該錘支持部材に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマ光照射装置。
【請求項3】
前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記隔壁の中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマ光照射装置。
【請求項4】
前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記筐体における上部空間部を構成する天板の長手方向における中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマ光照射装置。
【請求項1】
一方向に長尺なエキシマランプと、当該エキシマランプの長手方向の両端部を同一の水平レベルで保持するランプ保持体が設けられた筐体とを備えたエキシマ光照射装置において、
前記筐体には、前記エキシマランプの長手方向における中央部をその上面側から下方へ押圧して、当該エキシマランプの中央部を前記ランプ保持体による支持力に抗して下方へ変位させるランプ押圧機構が設けられていることを特徴とするエキシマ光照射装置。
【請求項2】
前記ランプ押圧機構は、前記エキシマランプの上方位置において、長手方向の両端部が前記筐体に支持固定されて前記エキシマランプに沿って伸びるよう設けられた錘支持部材と、当該錘支持部材に着脱可能に支持される錘と、当該錘支持部材に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマ光照射装置。
【請求項3】
前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記隔壁の中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマ光照射装置。
【請求項4】
前記筐体は、その内部に隔壁により上下に区画されて形成された上部空間部および下部空間部を有し、下部空間部が前記エキシマランプが配置されるランプ配置空間部とされており、
前記ランプ押圧機構は、前記隔壁の長手方向における中央部に設けられた、前記エキシマランプの長手方向における中央部の上面に当接するランプ当接体と、前記筐体における上部空間部を構成する天板の長手方向における中央部に下方へ向かう荷重を加える荷重付加手段とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマ光照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−165540(P2011−165540A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28497(P2010−28497)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
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